(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-11
(54)【発明の名称】飲料ディスペンスシステム用多方向タップハンドル
(51)【国際特許分類】
B67D 1/14 20060101AFI20250304BHJP
B67D 1/04 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
B67D1/14 Z
B67D1/04 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548687
(86)(22)【出願日】2023-02-24
(85)【翻訳文提出日】2024-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2023054636
(87)【国際公開番号】W WO2023161392
(87)【国際公開日】2023-08-31
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520297702
【氏名又は名称】カールスバーグ ブルワリーズ アグシャセルスガーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】レイボーン クラウス
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB03
3E082EE02
(57)【要約】
タップハンドル(10)を有するディスペンスヘッド(2)と、飲料管(9)からの飲料の流れを制御するためにディスペンスヘッド内に配置されたバルブ(8)とを備える飲料吐出器アセンブリ(1)。タップハンドルは、非吐出位置(P1)から吐出位置(P2)をとるために、互いに対向しない少なくとも2つの方向に傾けられ、バルブを開くように構成される。タップハンドルは、非吐出位置において、その長手軸(11)の周りに回転可能であってもよい。飲料の吐出は、タップハンドルが傾動可能である特定の操作角度(A)に制限されてもよい。これらの操作角度の間にはタップハンドルが傾動不能な非操作角度(B)が存在する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を吐出するための飲料吐出器アセンブリであって、
ドラフトタワーに支持されるか、又は飲料ディスペンスシステムのボディに支持されうるディスペンスヘッドを備え、前記ディスペンスヘッドは、
前記ディスペンスヘッドを通る飲料の流れを制御するように構成されたバルブと、
前記バルブの開閉を制御するべく前記バルブを操作しうるように前記バルブに結合されたタップハンドルと、
を備え、前記タップハンドルは、前記バルブが閉じている非吐出位置と、前記バルブが少なくとも部分的に開いている吐出位置との間で操作可能であり、
前記タップハンドルは、前記非吐出位置において、前記ディスペンスヘッドに対して前記タップハンドルの長手軸の周りに回転可能に構成され、
前記タップハンドルは、前記バルブの前記吐出位置をとるために、前記非吐出位置から、互いに対向しない少なくとも2つの方向に傾動可能であるように構成される、
飲料吐出器アセンブリ。
【請求項2】
前記タップハンドルは、該タップハンドルが傾動可能にされる複数の操作角度と、前記複数の操作角度の間に位置する複数の非操作角度であって前記タップハンドルが傾動可能にされない複数の非操作角度との間で、前記長手軸の周りに回転可能に構成される、請求項1に記載の飲料吐出器アセンブリ。
【請求項3】
前記タップハンドルは、前記非吐出位置と前記吐出位置との間を移行するために、前記タップハンドルの長手軸に垂直な枢動軸を中心に傾動するように構成される、請求項1又は2に記載の飲料吐出器アセンブリ。
【請求項4】
前記ディスペンスヘッドはアクチュエータ機構を備え、該アクチュエータ機構は前記タップハンドルと協働しうるように該タップハンドルに結合されると共に、前記バルブと協働しうるように該バルブに結合され、前記アクチュエータ機構は、前記非吐出位置と前記吐出位置との間の前記タップハンドルの動きを、前記バルブの閉状態と開状態との間で変化させるための動きに変換するように構成される、請求項1から3のいずれかに記載の飲料吐出器アセンブリ。
【請求項5】
前記アクチュエータ機構は、前記バルブを開閉するように構成されたバルブ係合要素と、前記枢動軸の周りの前記タップハンドルの傾動を前記バルブ係合要素の並進運動に変換するように構成された機械的リンク機構とを備える、請求項4に記載の飲料吐出器アセンブリ。
【請求項6】
前記アクチュエータ機構はジョイントを介して前記タップハンドルに接続され、前記ジョイントは、前記バルブ係合要素に対する前記タップハンドルの前記長手軸周りの回転を可能にするための少なくとも1つの回転自由度を有する、請求項5に記載の飲料吐出器アセンブリ。
【請求項7】
前記ディスペンスヘッドは、前記非吐出位置と前記吐出位置との間の前記タップハンドルの枢動運動を、前記バルブ係合要素の往復運動に変換する運動変換手段を備える、請求項5又は6に記載の飲料吐出器アセンブリ。
【請求項8】
前記運動変換手段は、前記タップハンドル又は前記アクチュエータ機構の一部として構成され、前記タップハンドルと前記アクチュエータ機構とを前記枢動軸回りに枢動可能に結合するためのピボットピンを含む、請求項7に記載の飲料吐出器アセンブリ。
【請求項9】
前記運動変換手段が、前記ピボットピンと係合するように構成されたヨークを備える、請求項8に記載の飲料吐出器アセンブリ。
【請求項10】
前記タップハンドルがネジ穴を有すると共に、前記運動変換手段は前記ネジ穴に対応するネジ部を有し、それによって前記タップハンドルが前記ディスペンスヘッド上で容易に交換可能である、請求項7から9のいずれか1項に記載の飲料吐出器アセンブリ。
【請求項11】
前記タップハンドルは湾曲面を備え、前記アクチュエータ機構は、一端が前記タップハンドルに固定され前記湾曲面から延びるケーブルを備え、前記湾曲面は、前記ケーブルが前記バルブ又は前記バルブ係合要素に接続された状態で、前記ディスペンスヘッドの接触面上に載るように配置される、請求項4から7のいずれかに記載の飲料吐出器アセンブリ。
【請求項12】
前記タップハンドル及び前記ケーブルは、前記タップハンドルが前記接触面に対して実質的に直角である前記非吐出位置から前記吐出位置へ前記タップハンドルを傾けることによって引き起こされる前記ケーブルの並進運動が前記バルブの開弁運動をもたらし、開口部を囲む前記接触面に対して直角以外の角度から前記直角に向かって前記タップハンドルを戻すことが前記バルブの閉弁運動をもたらすように構成される、請求項11に記載の飲料吐出器アセンブリ。
【請求項13】
弾性要素を更に備え、前記弾性要素は、前記タップハンドルと前記バルブとの間、又は前記タップハンドルと前記バルブ係合要素との間に配置され、前記タップハンドルを前記非吐出位置に向けて付勢するように構成される、請求項5から12のいずれか記載の飲料吐出器アセンブリ。
【請求項14】
前記バルブはバルブボディを備え、前記バルブボディはバルブニードルと協働するように構成されるバルブシートを有し、前記バルブボディは前記バルブニードルに対して相対的に移動するように構成され、それによって前記バルブの開閉を制御する、請求項1から13のいずれかに記載の飲料吐出器アセンブリ。
【請求項15】
前記バルブは保持要素を備え、前記保持要素は、前記バルブボディが前記ディスペンスヘッド内にないときに、前記バルブニードルを前記バルブシートに接触した状態に保ち、それによって前記バルブを閉状態に保持するように構成される、請求項14に記載の飲料吐出器アセンブリ。
【請求項16】
請求項の1から15のいずれかに記載の飲料吐出器アセンブリを備える飲料ディスペンスシステムであって、
前記飲料ディスペンスシステムは、飲料を収容するための少なくとも1つのケグを受容するように構成され、前記少なくとも1つのケグは、飲料出口を有するクロージャーを有し、
飲料ディスペンスシステムは更に、前記飲料出口に接続するケグ接続端と、吐出端とを有する少なくとも1つの飲料吐出管を受容するように構成され、
前記バルブは前記吐出端で前記飲料管に接続される、
飲料ディスペンスシステム。
【請求項17】
前記ケグ、前記バルブ及び前記飲料管の少なくとも1つが交換可能である、請求項16に記載の飲料ディスペンスシステム。
【請求項18】
前記飲料ディスペンスシステムは、前記少なくとも1つのケグの少なくとも一部を受容するための受容部と、前記受容部から少なくとも部分的に取り外し可能な蓋部とを備え、前記受容部は前記蓋部と共に、前記少なくとも1つのケグを加圧するための圧力室として機能する密封可能な筐体を画定する、請求項16又は17のいずれかに記載の飲料ディスペンスシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つのケグは、外殻内に飲料が充填された袋を有し、
前記少なくとも1つのケグを加圧するために、コンプレッサからの加圧流体が、前記外殻と前記袋との間の空間に印加され、それによって、前記飲料管を通ってディスペンスヘッドに達する飲料の流れが発生する、
請求項16又は17に記載の飲料ディスペンスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示事項(以下、本開示という)は、飲料を提供する飲料ディスペンスシステムに関し、より詳細には、飲料タンクに貯蔵された飲料を複数の方向から吐出するためのタップハンドルを備える飲料吐出器アセンブリに関する。
【背景】
【0002】
本願の出願人によって製造されるDraughtMasterシステムのような、業務用又は個人使用を意図した既知の飲料ディスペンスシステムが、例えば、WO2007/019848、WO2007/019849、WO2007/019850、WO2007/019851及びWO2007/019853に記載されている。
【0003】
飲料ディスペンスシステムは、生ビールやサイダーなどの炭酸入りアルコール飲料、ソフトドリンクなどのノンアルコール飲料、ワインやフルーツジュースなどの非炭酸飲料など、大量の飲料を効率的に提供するために、飲料を提供する施設で一般的に使用されている。飲料ディスペンスシステムは、バーやレストラン、ホテルなどの業務用ユーザーによって主に使用されているが、最近では個人宅のプライベートユーザーによる使用も増えている。
【0004】
上述のDraughtMasterシステムのようないくつかの飲料ディスペンスシステムは、飲料を収容するための軽量で潰れることが可能な使い捨ての飲料タンク又は飲料ケグ(樽)と、飲料タンク又はケグからディスペンスヘッドのような吐出システムへ飲料を押し出すことを可能にするための加圧システムを使用する。潰れることが可能な飲料タンクは、典型的には、薄くて柔軟なプラスチック材料で作られており、プラスチックバッグの形態であることもある。潰れることが可能な飲料ケグを使用する飲料ディスペンスシステムは、飲料ケグを圧力室内に設置又は配置することができる。
【0005】
吐出操作を行うために、タップハンドルは通常、バーテンダーのような操作者の方向に傾けられ、これにより圧力室内に圧力が印加される。加えられた圧力により、飲料は、飲料ケグから、ディスペンスヘッドにつながる飲料吐出管に押し出される。タップハンドルは通常、タップバルブと連動しており、飲料の吐出操作を制御する。典型的には、タップハンドルは、店に取り付けられたドラフトタワーの一部であり、あるいは、例えばDraughtMasterのような小型の飲料ディスペンスシステムを使用する場合には、タップハンドルは、典型的には、飲料ディスペンスシステムのハウジングに取り付けられ、典型的には、ケグの前に取り付けられ、操作者が飲料を注ぐために簡単に使えるようにされる。
【0006】
バーやカフェのカウンターにスペースがない多くの場合、飲料ディスペンスシステムは、タップハンドルをケグの前ではなく、ケグの横、すなわちケグに対してタップハンドルが右又は左になる位置に置かなければならないことがある。このような場合、タップハンドルを操作者に対してずらすことができないため、従来の方法でタップハンドルを使用して飲料を吐出することが困難な場合がある。また、飲料ディスペンスシステムをカウンターの内側と外側の両方から、又はテーブルの異なる側から簡単に操作できることが望ましい場合もある。
【0007】
かかる要望に対処するためには、操作者にとって不快な作業姿勢でタップハンドルを使用しなければならず、操作者だけでなくタップハンドルにもさらなる負担がかかり、時間の経過とともに故障やタップハンドルの破損につながる可能性もある。更に、使いづらい作業姿勢でタップハンドルを操作することは、家庭や業務環境での事故を引き起こす可能性もある。
【0008】
従って、特定の飲料のためのタップハンドルが、どのような角度からでも快適かつ安全に操作することができ、その動作機構を交換又は変更することなく長期間にわたって確実に使用することができる、飲料ディスペンスシステムが必要とされている。
【摘要】
【0009】
従って、本開示の目的は、複数の角度から飲料の吐出を可能にする改良された飲料ディスペンスシステムを提供することである。
【0010】
上述の課題やその他の課題が、独立請求項に記載の特徴により解決される。更なる実装形態は、従属請求項や発明の詳細な説明、図面から明らかになるだろう。
【0011】
第1の捉え方によれば、飲料を吐出するための飲料吐出器アセンブリであって、ドラフトタワーによって支持されるか、飲料ディスペンスシステムの本体によって支持可能なディスペンスヘッドを備える、飲料吐出器アセンブリが提供される。前記ディスペンスヘッドは、前記ディスペンスヘッドを通る飲料の流れを制御するように構成されたバルブと、その開閉を制御するために前記バルブに結合されたタップハンドルとを備える。前記タップハンドルは、前記バルブが閉じている非吐出位置と、前記バルブが少なくとも部分的に開いている吐出位置との間を操作可能である。更に前記タップハンドルは、前記非吐出位置において、前記ディスペンスヘッドに対して前記タップハンドルの長手軸の周りに回転可能であると共に、前記バルブの前記吐出位置をとるために、前記非吐出位置から、互いに対向しない少なくとも2つの方向に傾動可能であるように構成される。
【0012】
この捉え方による飲料吐出器アセンブリは、飲料ディスペンスシステムを、特定の種類の飲料を吐出するために複数の角度から快適に操作することを可能にし、それによってユーザーの安全を確保するとともに、家庭環境又は職業環境において事故につながる可能性のある望ましくない作業姿勢を回避する。また、開示された方法で操作可能なタップハンドルは、不快な操作姿勢で生じうる偏心力や急激な力によって引き起こされる誤動作やタップハンドルの破損を防止することができる。
【0013】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記タップハンドルは、該タップハンドルが傾動可能にされる複数の操作角度と、前記複数の操作角度の間に位置する複数の非操作角度であって前記タップハンドルが傾動可能にされない複数の非操作角度との間で、前記長手軸の周りに回転可能に構成される。
【0014】
実施形態によっては、前記複数の操作角度は前記長手軸の周りに放射状に均等に配置されている。
【0015】
実施形態によっては、前記複数の非操作角度は、0°~180°の範囲、より好ましくは45°~90°の範囲をカバーする。
【0016】
実施形態によっては、前記複数の操作角度は、第1の操作角度と、前記第1の操作角度から実質的に90°に配置された第2の操作角度を含む。
【0017】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記タップハンドルは、前記非吐出位置と前記吐出位置との間を移行するために、前記タップハンドルの長手軸に垂直な枢動軸を中心に傾動するように構成される。
【0018】
実施形態によっては、前記枢動軸は、前記タップハンドルに配置されたニードルインサートである。
【0019】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記ディスペンスヘッドはアクチュエータ機構を備え、該アクチュエータ機構は前記タップハンドルと協働しうるように該タップハンドルに結合されると共に、前記バルブと協働しうるように該バルブに結合され、前記アクチュエータ機構は、前記非吐出位置と前記吐出位置との間の前記タップハンドルの動きを、前記バルブの閉状態と開状態との間で変化させるための動きに変換するように構成される。
【0020】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記アクチュエータ機構は、前記バルブを開閉するように構成されたバルブ係合要素と、前記枢動軸の周りの前記タップハンドルの傾動を前記バルブ係合要素の並進運動に変換するように構成された機械的リンク機構とを備える。
【0021】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記アクチュエータ機構はジョイント(関節)を介して前記タップハンドルに接続され、前記ジョイントは、前記バルブ係合要素に対する前記タップハンドルの前記長手軸周りの回転を可能にするための少なくとも1つの回転自由度を有する。
【0022】
実施形態によっては、前記ジョイントはピボットジョイントである。別の実施形態では、前記ジョイントはねじりジョイントである。
【0023】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記ディスペンスヘッドは、前記非吐出位置と前記吐出位置との間の前記タップハンドルの枢動運動を、前記バルブ係合要素の往復運動に変換する運動変換手段を備える。
【0024】
実施形態によっては、前記運動変換手段は、カム、クランク、偏心要素のいずれかである。前記偏心要素は偏心ディスクや偏心球などでありうる。
【0025】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記運動変換手段は、前記タップハンドル又は前記アクチュエータ機構の一部として構成され、前記タップハンドルと前記アクチュエータ機構とを前記枢動軸回りに枢動可能に結合するためのピボットピンを含む。
【0026】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記運動変換手段は、前記ピボットピンと係合するように構成されたヨークを含む。
【0027】
実施形態によっては、前記タップハンドルは交換可能なタップハンドルであり、前記ヨークの上部は前記タップハンドルのネジ穴に対応するネジ部を備える。これにより、タップハンドルは、ネジの向きに従う方向に回転させることにより容易に取り外すことができ、反対方向に回転させることにより必要に応じて新しいものを取り付けることができる。
【0028】
前記第1の捉え方の実装形態の別の例において、前記タップハンドルは湾曲面を備え、前記アクチュエータ機構は、一端が前記タップハンドルに固定され前記湾曲面から延びるケーブルを備え、前記湾曲面は、前記ケーブルが前記バルブ又は前記バルブ係合要素に接続された状態で、前記ディスペンスヘッドの接触面上に載るように配置される。
【0029】
実施形態によっては、前記ケーブルは、折り曲げ可能又は可撓性であるが、軸方向に張力を及ぼすことができるような(又は伝達することができるような)任意の物体であり、紐、ストラップ、ロープ、ワイヤ、コード、ライン、又はテザーのいずれかであってもよく、これら以外であってもよい。
【0030】
実施形態によっては、前記ケーブルは前記タップハンドルに固定的に組み込まれているか、又は埋め込まれている。別の実施形態では、前記ケーブルは前記タップハンドル内に動くことが可能なように組み込まれている。別の実施形態では、前記ケーブルは前記タップハンドルに着脱可能に組み込まれている。
【0031】
実施形態によっては、前記ケーブルの方向は前記タップハンドルの長手軸と同心である。
【0032】
実施形態によっては、前記タップハンドルは、タップハンドル窟で終端するタップハンドル穴を備え、前記タップハンドル穴の直径は前記タップハンドル窟よりも小さく、前記ケーブルは部分的に前記タップハンドル穴の中に配置され、前記ケーブルは、その一端で、前記タップハンドル窟内に回転可能に配置されたストッパー要素に接続される。
【0033】
実施形態によっては、前記ストッパー要素は、ノット、ボール、ディスク、又は少なくとも部分的に円筒形の物体であり、前記タップハンドル窟は、少なくとも部分的に円筒形の、好ましくは球形の内面を備え、その内部はストッパー要素の回転運動を許すが並進運動はできないように構成される。
【0034】
実施形態によっては、前記湾曲面はドーム状である。別の実施形態によっては、前記湾曲面は、操作し易い角度を提供するために一方向にのみ湾曲している。
【0035】
実施形態によっては、前記運動変換手段、前記ヨーク、又は前記タップハンドルの前記湾曲面は第1の平坦面を有し、前記第1の平坦面は、前記非吐出位置にある前記タップハンドルに機械的安定性を提供するために、前記ディスペンスヘッドの対応する第2の平坦面に当接するように構成される。
【0036】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記タップハンドル及び前記ケーブルは、前記タップハンドルが前記接触面に対して実質的に直角である前記非吐出位置から前記吐出位置へ前記タップハンドルを傾けることによって引き起こされる前記ケーブルの並進運動が前記バルブの開弁運動をもたらし、開口部を囲む前記接触面に対して直角以外の角度から前記直角に向かって前記タップハンドルを戻すことが前記バルブの閉弁運動をもたらすように構成される。
【0037】
実施形態によっては、前記バルブの開弁運動は並進運動である。別の実施形態によっては、前記バルブの開弁運動は回転運動である。
【0038】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記飲料吐出器アセンブリは弾性要素を更に備え、前記弾性要素は、前記タップハンドルと前記バルブとの間、又は前記タップハンドルと前記バルブ係合要素との間に配置され、前記タップハンドルを前記非吐出位置に向けて付勢するように構成される。
【0039】
実施形態によっては、前記弾性要素はヘリカルスプリングである。別の実施形態では、前記弾性要素はスプリングクリップである。別の実施形態では、前記弾性要素はねじりばねである。
【0040】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記バルブはバルブボディを備え、前記バルブボディはバルブニードルと協働するように構成されるバルブシートを有し、前記バルブボディは前記バルブニードルに対して相対的に移動するように構成され、それによって前記バルブの開閉を制御する。
【0041】
実施形態によっては、前記バルブは、飲料を受け取る人に飲料を吐出するための注ぎ口を更に備え、前記バルブニードルは前記注ぎ口の中に配置され、前記バルブボディは、前記注ぎ口に対して相対的に移動するように構成され、それによって前記バルブの開閉を制御する。
【0042】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記バルブは保持要素を備え、前記保持要素は、前記バルブボディが前記ディスペンスヘッド内にないときに、前記バルブニードルを前記バルブシートに接触した状態に保ち、それによって前記バルブを閉状態に保持するように構成される。
【0043】
第2の捉え方によれば、第1の捉え方の実施形態のいずれか1つによる飲料飲料吐出器アセンブリを備える飲料ディスペンスシステムが提供される。前記飲料ディスペンスシステムは、飲料を収容するための少なくとも1つのケグを受容するように構成される。ここで前記少なくとも1つのケグは、飲料出口を有するクロージャーを有する。
【0044】
前記飲料ディスペンスシステムは、前記飲料出口に接続するケグ接続端と、吐出端とを有する少なくとも1つの飲料吐出管を受容するように構成される。前記バルブは前記吐出端で前記飲料管に接続されている。
【0045】
前記第2の捉え方の実装形態の一例において、前記ケグ、前記バルブ、前記飲料管の少なくとも1つは交換可能である。
【0046】
実施形態によっては、前記飲料管は、対応するケグと一緒に交換される。
【0047】
前記第2の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記飲料ディスペンスシステムは、前記少なくとも1つのケグの少なくとも一部を受容するための受容部と、前記受容部から少なくとも部分的に取り外し可能な蓋部とを備え、前記受容部は前記蓋部と共に、前記少なくとも1つのケグを加圧するための圧力室として機能する密封可能な筐体を画定する。
【0048】
実施形態によっては、前記飲料ディスペンスシステムは、前記密閉可能な筐体内の前記少なくとも1つのケグを加圧するためのコンプレッサを備え、前記コンプレッサは好ましくはエアコンプレッサである。
【0049】
実施形態によっては、前記少なくとも1つの交換可能なケグは潰れることが可能なケグであり、前記密閉可能な筐体を加圧すると少なくとも部分的に潰れるようにできている。
【0050】
実施形態によっては、前記飲料管は、前記吐出端に配置される飲料管コネクタを備え、前記バルブは、バルブシート及びバルブコネクタを備えるバルブボディを備え、前記バルブコネクタは前記バルブボディを前記飲料管コネクタに接続するように構成される。
【0051】
実施形態によっては、前記飲料管コネクタは、前記飲料管の吐出端の周囲に設けられる円形フランジを備えると共に環状溝を有し、前記環状溝は、前記飲料管コネクタが、前記バルブボディのバルブコネクタの対応する円周凹部と協働することを可能にする。
【0052】
実施形態によっては、前記少なくとも1つのケグは、外殻の内部に飲料バッグを備える2層型のケグであり、コンプレッサからの加圧流体が、前記外殻と前記飲料バッグの間の内部空間に流入しうるように構成されている。
【0053】
実施形態によっては、前記飲料ディスペンスシステムは、前記少なくとも1つのケグ及びその中に収容された飲料を冷却するための冷却装置を備える。
【0054】
実施形態によっては、前記飲料はビール、炭酸麦芽飲料(ノンアルコールビールを含む)、サイダーである。
【0055】
これらの捉え方及び他の捉え方は、以下に説明される実施例により更に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
以下、図面に示される例示的な実施形態を参照しつつ、様々な側面や実施形態、実装例を詳細に説明する。
【
図1】ある実施形態による、タップハンドルを備える飲料吐出器アセンブリのディスペンスヘッドの概略断面図である。
【
図2】ある実施形態による、タップハンドルを備える飲料吐出器アセンブリのディスペンスヘッドの詳細な断面を示す。
【
図3】ある実施形態による、飲料吐出器アセンブリのディスペンスヘッドの一部の詳細な断面を示す。
【
図4】ある実施形態による、飲料吐出器アセンブリのディスペンスヘッドの3次元切断正面図である。
【
図5】別の実施形態による、タップハンドルを備える飲料吐出器アセンブリのディスペンスヘッドの概略断面図である。
【
図6】ある実施形態による、飲料吐出器アセンブリと交換可能なケグとを備える飲料ディスペンスシステムの側面図である。
【
図7】ある実施形態による、飲料吐出器アセンブリ及びタップハンドルを備える飲料ディスペンスシステムの正面図である。
【
図8】ある実施形態による、飲料吐出器アセンブリ及びタップハンドルを備える飲料ディスペンスシステムの上面図である。
【
図9】別の実施形態による、タップハンドル及び交換可能なケグを有する飲料ディスペンスシステムの概略断面図である。
【
図10】別の実施形態による、タップハンドル及び交換可能なケグを有する飲料ディスペンスシステムの概略断面図である。
【
図11】別の実施形態による、飲料吐出器アセンブリのディスペンスヘッドの一部の断面を示す図である。
【
図12】いくつかの実施形態における、ヨークと交換可能なタップハンドルとの間のネジ接続を実施するための例を示す。
【詳細説明】
【0057】
図1は、本開示の一実施形態による、飲料を提供するための飲料吐出器アセンブリ1のディスペンスヘッド2を図示する。吐出される飲料は、例えばビール、ノンアルコールビールを含む炭酸麦芽ベースの飲料、又はサイダーであってもよい。
【0058】
ディスペンスヘッド2と共に使用するのに適した例示的な飲料吐出器アセンブリ1が、
図6から
図10に図示されている。ディスペンスヘッド2は、
図6に示すように、ドラフトタワー5によって支持される場合もあり、
図10に示すように、飲料ディスペンスシステムの本体6によって支持される場合もある。
図10のような実施形態の場合、ドラフトタワーを使用する代わりに、飲料タンクを保持するハウジングにディスペンスヘッド2を直接取り付けられてもよい。
【0059】
ディスペンスヘッド2は、ドラフトタワー5又は本体から離れる向きの前面と、対向する後面と、バルブキャビティ(バルブ空洞)とを有する。バルブキャビティは、好ましくはディスペンスヘッド2の注ぎ口の近傍に、より好ましくはディスペンスヘッド2の前面に配置され、バルブ8を受容するように構成されている。バルブ8は、ディスペンスヘッド2に固定されていてもよいし、使用後に交換可能なバルブ8であってもよい。
【0060】
ディスペンスヘッド2はまた、バルブ8の開閉を制御するため、ひいては最終的に飲料管9からの飲料の流れを制御するために、バルブ8を操作できるようにバルブ8に接続されるタップハンドル10を備える。
図1、
図5、
図6、
図7、及び
図10に示すように、タップハンドル10は、バルブ8が閉じている非吐出位置P1と、バルブ8が少なくとも部分的に開いている吐出位置P2との間で操作可能であってもよい。吐出位置P2では、飲料は、ディスペンスヘッド2を通って飲料吐出管9から吐出することができる。特に、後で詳しく示すように、タップハンドル10は、吐出位置P2を取るために、非吐出位置P1から、互いに対向しない少なくとも2つの方向に傾動可能であるように構成される。
【0061】
非吐出位置P1では、タップハンドル10は実質的に垂直である。吐出位置P2は、タップハンドル10の角度が長手軸11に対して0~90°の間である状態を含む。なお、長手軸11はタップハンドル10の垂直位置で定義される。
【0062】
これを達成するための1つのソリューションが
図1に示されている。タップハンドル10は、非吐出位置P1において、ディスペンスヘッド2に対して回転可能に構成されており、タップハンドル10の長手軸11を中心に回転可能に構成されている。それによって、複数の方向において、タップハンドル10を吐出位置P2に傾けることができる。これにより、飲料ディスペンスシステムを、操作者の場所に依存することなく、快適に操作することができ、使用者の安全が確保され、ひいては家庭や職業環境において事故につながる可能性のある望ましくない作業姿勢を回避することができる。また、開示された方法で操作可能なタップハンドル10は、そのような操作が可能でない場合に不快な操作位置で生じうる偏心力又は急激な力によって引き起こされうる誤動作も防止することができる。
【0063】
ディスペンスヘッド2は、当該ディスペンスヘッドで供給される飲料に関する情報を表示するために、上部に配置された飲料ディスプレイを更に備えることができる。
【0064】
ディスペンスヘッド2は、タップハンドル10と協働しうるように当該タップハンドル10に結合される。またディスペンスヘッド2はアクチュエータ機構13を備える。アクチュエータ機構13は、タップバルブ8と協働しうるように当該タップバルブ8に結合される。アクチュエータ機構13は、非吐出位置P1と吐出位置P2との間のタップハンドル10の姿勢変化、すなわち傾動を、バルブ8を閉状態と開状態との間で遷移させるための動きに変換するように構成されている。
【0065】
アクチュエータ機構13は、バルブ8を開閉するように構成されたバルブ係合要素14と、枢動軸12の周りのタップハンドル10の傾動をバルブ係合要素14の並進運動に変換し、バルブ8の開閉を可能にするように構成された機械的リンク機構15とを備えてもよい。
【0066】
ディスペンスヘッド2は、非吐出位置P1と吐出位置P2との間のタップハンドル10の枢動を、バルブ係合要素14の往復運動に変換するための、代替的又は付加的な運動変換手段3を備えてもよい。実施形態によっては、運動変換手段3は、カム(例えば
図1,2に示すもの)若しくはクランクであり、又は、偏心ディスクや偏心球体(例えば
図5に示すもの)のような偏心要素である。
【0067】
運動変換手段3は、所望の構成に応じて、タップハンドル10又はアクチュエータ機構13の一部として構成してもよい。
【0068】
バルブ8は更に、後に詳述するように、飲料の提供を受ける者に飲料を吐出するための注ぎ口17を備えてもよい。
【0069】
図2は、本開示の実施形態による、タップハンドル10を備える飲料吐出器アセンブリ1のディスペンスヘッド2の詳細な断面を示す。今後紹介する実施形態において、既に説明又は図示した構成や特徴と同様の構成及び特徴については、以前に使用したものと同じ符号を付している。
【0070】
図2に示すように、タップハンドル10は、非吐出位置P1と吐出位置P2との間を移動するために、タップハンドル10の長手軸11に垂直な枢動軸12を中心に傾動するように構成されることができる。枢動軸12は、タップハンドル10に針挿入部(
図3に示すピボットピン4など)を用いて構成してもよい。たた、このようなタップハンドルのために適切な枢動軸を提供する、既知の任意のソリューションを使用してもよい。
【0071】
本実施形態において、ディスペンスヘッド2は、システムの本体6とは別体である適切なドラフトタワー5に設置されてもよい。ディスペンスヘッド2は、飲料管9の少なくとも一部を収容する。飲料管9は遠位端(ケグ接続端)39(図示せず)で飲料タンク32(これも図示せず)に取り付けられている。飲料管9の吐出端38はディスペンスヘッド2の中に位置しており、バルブ8に接続している。それによって、バルブ8の開位置において注ぎ口17から飲料が吐出される。この点については後に詳述する。
【0072】
図3は、本開示の実施形態による、ディスペンスヘッド2の内部のクローズアップした詳細な断面を示す。ここで運動変換手段3は、タップハンドル10とアクチュエータ機構13とを枢動軸12の周りに枢動可能に結合するためのピボットピン4と、ピボットピン4に係合するように構成されたヨーク21とを備える。
【0073】
アクチュエータ機構13はジョイント(関節)7を介してタップハンドル10に接続される。ジョイント7は、バルブ係合要素14に対するタップハンドル10の長手軸11周りの回転を可能にするための少なくとも1つの回転自由度を有する。一例では、ジョイント7はピボットジョイントである。別の例では、ジョイント7はねじりジョイントである。
【0074】
図3に更に示すように、飲料吐出器アセンブリ1は、タップハンドル10とバルブ8又はバルブ係合要素14との間に配置された弾性要素20を備えることができる。(明示的に記載されていなくても、他の実施形態においても同様である。)弾性要素20は、タップハンドル10を非吐出位置P1に向けて付勢するように構成されている。図示された実施形態において、この弾性要素20はヘリカルスプリング(らせん状のばね)である。このヘリカルスプリングは、機械的リンク機構15の周囲に配置され、一端がバルブ係合要素14に接し、他端がディスペンスヘッド2の内壁に接する。別の実施形態によっては、弾力要素20はスプリングクリップや、ねじりばねであってもよい。当業者には明らかなように、周知の他の弾性要素を使用してもよい。
【0075】
図3にはバルブ8が詳細に示されている。図示されるように、バルブ8はバルブボディ16を備えてもよい。バルブボディ16はバルブニードル19と協働するように構成されるバルブシート18を有する。バルブボディ16はバルブニードル19に対して相対的に移動するように構成され、それによってバルブ8の開閉を制御する。バルブニードル19自体は、前述の注ぎ口17に配置されてもよい。この場合、バルブボディ16が注ぎ口17に対して相対的に移動し、それによってバルブ8の開閉を制御するように構成される。
【0076】
注ぎ口17はバルブボディ16と一体の部品であってもよい。注ぎ口17が、飲料吐出器アセンブリ1から吐出される飲料の最後の接触点であるように、注ぎ口17は、ディスペンスヘッド2の外側に延出してもよい。
【0077】
図4は、上述の特徴を別の角度から説明するための、本開示の実施形態によるディスペンスヘッド2の3次元断面モデルを示す。上の実施形態と同様に、既に説明又は図示した構成や特徴と同様の構成及び特徴については、以前に使用したものと同じ符号を付している。
図4に示すように、バルブ8は保持要素31を備えてもよい。保持要素31は、バルブボディ16がディスペンスヘッド2の中にないときに、バルブニードル19をバルブシート18に接触した状態に保ち、それによってバルブ8を閉状態に保持するように構成される。また保持要素31は、バルブ係合要素14を介して引っ張り力が加えられたときにバルブ8が開くことを可能にする。保持要素31は、本明細書では、バルブボディ16に設けられた対応する溝に係合するラッチとして図示されているが、当業者には明らかなように、他のソリューションも可能である。
【0078】
この例示的実施形態において、タップハンドル10の運動変換手段3は、第1の平坦面29を有する。第1の平坦面29は、非吐出位置P1にあるタップハンドル10に機械的安定性を提供するために、ディスペンスヘッド2の対応する第2の平坦面30に当接するように構成される。
【0079】
図4に示すように、飲料管9は、その吐出端38に飲料管コネクタ51を有してもよい。前述のようにバルブ8はバルブボディ16を有するが、このバルブボディ16は、飲料管コネクタ51に結合するバルブコネクタ52を有してもよい。これにより、交換時に飲料管9をバルブ8から容易に着脱することができる。
【0080】
実施形態によっては、
図4に示すように、飲料管コネクタ51は、飲料管9の吐出端38の周囲に設けられる円形フランジを備えると共に環状溝を有する。この環状溝は、飲料管コネクタ51が、バルブボディ16のバルブコネクタ52の対応する円周凹部と協働することを可能にする。
【0081】
前述のように、アクチュエータ機構13はジョイント(関節)7を介してタップハンドル10に接続されてもよい。ジョイント7は、バルブ係合要素14に対するタップハンドル10の長手軸11周りの回転を可能にするための少なくとも1つの回転自由度を有する。このジョイント7は、リンク機構15と一体の円形ディスクであってもよい。そして、バルブ係合要素14の対応する円周凹部内で当該円形ディスクが回転するように構成されてもよい。
【0082】
図5は、別の実施形態による、タップハンドル10を備える飲料吐出器アセンブリのディスペンスヘッドの概略断面図である。この実施形態において、タップハンドル10は湾曲面22を有する。この代替実施形態において、アクチュエータ機構13は、一端がタップハンドル10に固定され、湾曲面22から延びるケーブル23を有する。
【0083】
これを達成するために、タップハンドル10は、タップハンドル窟27で終端するタップハンドル穴26を有してもよい。タップハンドル穴26の直径は、タップハンドル窟27の直径よりも小さい。ケーブル23はタップハンドル穴26内に配置されてもよい。またケーブル23は、タップハンドル窟27内に回転可能に配置されたストッパー要素28に一端が接続されていてもよい。
【0084】
ストッパー要素28は、ノット、ボール、ディスク、又は少なくとも部分的に円筒形の物体であってもよい。タップハンドル窟は、少なくとも部分的に円筒形の、好ましくは球形の内面を備えてもよく、その内部はストッパー要素28の回転運動を許すが並進運動はできないように構成されてもよい。
【0085】
実施形態によっては、湾曲面22はドーム状の面である。実施形態によっては、湾曲面22は、操作角度Aを提供するために、一方向にのみ湾曲している。
【0086】
湾曲面22は、ディスペンスヘッド2の接触面24上に配置される。ケーブル23はバルブ8又はバルブ係合要素14に接続され、共に動作する。この構成は比較的簡単な構成であり、可動部品が少なく、故障時の交換や修理が容易で安価な回転可能なタップハンドル10を提供できる。
【0087】
ケーブル23は、折り曲げ可能又は可撓性であるが、軸方向に張力を及ぼすことができるような(又は伝達することができるような)任意の物体であってもよく、紐、ストラップ、ロープ、ワイヤ、コード、ライン、又はテザーのいずれかであってもよく、これら以外であってもよい。
【0088】
実施形態によっては、ケーブル23は、タップハンドル1に固定的に組み込まれているか、又は埋め込まれている。別の実施形態では、ケーブル23はタップハンドル1で動くことが可能なように組み込まれている。別の実施形態では、ケーブル23はタップハンドル1に着脱可能に組み込まれている。
【0089】
図5に示すように、最適な構成において、ケーブル23の方向はタップハンドル10の長手軸11と同心であってもよい。
【0090】
前に紹介した実施形態と同様に、タップハンドル10を非吐出位置P1から吐出位置P2に傾けると、湾曲面22と接触面24の構成により、ケーブル23に引っ張り力が生じる。これは、バルブ係合要素14の上方への並進(垂直)運動に変換され、ひいてはバルブ8の開放運動に変換される。
【0091】
特に、
図5に示すように、タップハンドル10及びケーブル23は、タップハンドル10が接触面24に対して実質的に直角である非吐出位置P1から吐出位置P2へタップハンドル10を傾けることによって引き起こされるケーブル23の並進運動がバルブ8の開弁運動をもたらし、開口部を囲む接触面に対して直角以外の角度から直角に向かってタップハンドル10を戻すことがバルブ8の閉弁運動をもたらすように構成される。
【0092】
先に説明した実施形態と同様に、この実施形態も、タップハンドル10を非吐出位置P1に向けて付勢するように構成された弾性要素20を備えることができる。弾性要素20はタップハンドル10とバルブ8又はバルブ係合要素14との間に配置され、タップハンドル10が手から離れると、バルブ8の閉弁運動をもたらす。
【0093】
図示された実施形態において、弾性要素20はヘリカルスプリング(らせん状のばね)である。このヘリカルスプリングはケーブル23を囲むように配置され、一端がバルブ係合要素14に接し、他端がディスペンスヘッド2の内壁に接する。実施形態によっては、弾力要素20はスプリングクリップや、ねじりばねであってもよい。当業者には明らかなように、周知の他の弾性要素を使用してもよい。
【0094】
図6は、本開示の実施形態による、飲料吐出器アセンブリ1を備える飲料ディスペンスシステム50の側面図である。飲料ディスペンスシステム50は、飲料を収容するための少なくとも1つのケグ32を受容するように構成される。ケグ32は、
図9に示されるように、飲料出口34を有するクロージャー33を備える。
【0095】
前述のように、飲料ディスペンスシステム50は、飲料出口34に接続するケグ接続端39と、吐出端38とを有する少なくとも1つの飲料管9とを備える。
【0096】
ディスペンスヘッド2のバルブ8は、吐出端38で飲料管9に接続される。
【0097】
ケグ32、バルブ8、及び飲料管9のいずれか又は全部が交換可能であってもよい。すなわち、ケグ32から飲料が空になったときに、ケグ32と一緒に交換されるものであってもよい。実施形態によっては、飲料管9は対応するケグ32と一緒に交換される。
【0098】
図6に更に示されるように、蓋45として画定される、飲料ディスペンスシステム本体6の上部を、受容部44として画定される本体6の下部から少なくとも部分的に分離してもよい。それによって、交換可能なケグ32などの飲料容器を本体6から取り外して交換することが可能になる。
【0099】
これら2つの部品が、耐圧接続部、例えばバヨネットマウント(bayonet mount)を用いて接続されると、圧力室として機能する耐圧密閉可能な筐体47が確立される。なお、ここでは、「内部チャンバ」及び「圧力室」という用語は、互いに言い換え可能に使われている。本体のハウジングは、金属又は硬質プラスチックなどの耐圧材料で作られる。バヨネットマウントとは、1つ又は複数の放射状ピンを備えた円筒状の雄側と、対応するL字型スロット、及び2つの部品を一緒にロックしておくためのバネを備えた雌側受容部とからなる、この分野でよく知られた締結機構を指す。
【0100】
システムに使用されるケグ32はブロー成形されたものでもよく、受容部44及び蓋45によって実現される筐体47の内部空間に形状及び容積を適合させることができる。これにより、ケグ32と飲料ディスペンスシステム50の両方の大量生産が可能になる。飲料ディスペンスシステム50の圧力ハウジング及び対応するケグ32は、様々サイズで準備されてもよい。
【0101】
ケグ32は、空のケグ32から新しいケグ32に交換した後、リサイクル可能であってもよいし、使い捨てであってもよい。実施形態によっては、ケグ32は潰れることが可能なケグ32であり、密封可能な筺体47を加圧すると少なくとも部分的に潰れるように構成されている。
【0102】
図6に示すように、受容部44と蓋45は、ケグ32を出し入れするために分離可能に構成されている。受容部44と蓋45の分離は、ドラフトタワー5の底部に配置されたヒンジ(図示されていない)を中心に、ドラフトタワー5を前傾させ、それによって受容部44と蓋45を耐圧接続で結合させるロック手段を解除することによって、行われてもよい。ドラフトタワー5を傾けることは、更に、圧力解放手段の係合に依存してもよい。圧力解放手段は、例えばドラフトタワー5の前側に配置された圧力解放ボタンであってもよい。圧力解放ボタンは、圧力室内の圧力解放のきっかけとなり、それによって、受容部44と蓋45とによって形成された圧力密封可能な筐体47内の圧力を飲料ディスペンスシステムの外部環境と等しくすることによって、受容部44からの蓋45の分離を可能にする。
【0103】
実施形態によっては、受容部44と蓋45は、蓋45が本体6に、例えばヒンジを介して接続されたままであるように、部分的にのみ分離可能である。密封可能な筐体47は、2~100リットル、好ましくは5~50リットル、より好ましくは10~25リットルの容積を画定してもよい。上記の容積は、圧力室の典型的な容積を構成する。飲料容器は、圧力室内にぴったりと収まるよう、やや小さめに作られている。
【0104】
実施形態によっては、飲料ディスペンスシステム50は、蓋45の代わりとして機能する追加のハウジング部品を有してもよい。そのような追加のハウジング部品は追加の容積を有し、圧力室として機能する密閉可能な筐体47を確立するために受容部44に結合可能である。このようにして、同じベース本体6を、サイズの異なる別のハウジング部品と共に使用することができ、飲料ディスペンスシステムを別の飲料タンクサイズ、例えば5リットル、10リットル又は20リットルに変更することができる。追加ハウジング部品は、例えばネジ止めにより、使用者が交換することができる。
【0105】
図7は、本開示のある実施形態による、飲料吐出器アセンブリ1及びタップハンドル10を備える飲料ディスペンスシステム50の正面図である。この実施形態は、
図6の実施形態に対応し、非吐出位置P1と吐出位置P2との間で変化するために、前に図示・説明したものと同様の方法で動作する。この実施形態においても、既に説明又は図示した構成や特徴と同様の構成及び特徴については、以前に使用したものと同じ符号を付している。
【0106】
図7に示すように、タップハンドル10は、飲料ディスペンスシステム50の対称面の外側にある平面において、非吐出位置P1から吐出位置P2まで傾けることができる。すなわちタップハンドル10は、バルブ8を開き、注ぎ口17を通して飲料を吐出するために側方に傾けることができる。タップハンドル10の操作角度Aに関する更なる詳細は、
図8に関して以下に開示される。
【0107】
図8は、ある実施形態による、飲料吐出器アセンブリ1とタップハンドル10とを備えた飲料ディスペンスシステムの上面図である。タップハンドル10は、操作角度Aと非操作角度Bとの間で長手軸11を中心に回転可能に構成されている。操作角度Aでは、タップハンドル10は傾動可能であり、その位置を非吐出位置P1から吐出位置P2に変更することができる。しかし、非操作角度Bでは、タップハンドル10は傾動不能であり、すなわち非吐出位置P1にロックされるように構成されている。図に示すように、互いに対向しない少なくとも2つの操作角度Aがあり(すなわち、0°より大きく180°より小さい角度範囲に少なくとも2つの操作角度Aがあり)、非操作角度Bはこれらの操作角度Aの間の範囲をカバーする。
【0108】
実施形態によっては、前記操作角度には、第1の操作角度A1と、第1の操作角度A1から実質的に90°の方向に配置された第2の操作角度A2とが含まれる。実施形態によっては、前記操作角度には第3の操作角度A3も含まれる。第3の操作角度A3は、第1の操作角度A1から実質的に90°に配置されるが、第2の操作角度A2とは反対方向に配置される。操作角度Aは、長手軸11の周りに放射状に均等に配置されてもよい。
【0109】
非操作角度Bは、0°より大きく180°未満の角度範囲をカバーする。(すなわち0°及び180°はカバーされない。)好ましくは45°より大きく90°未満の範囲をカバーする。
【0110】
このような構成により、タップハンドル10が所定の角度でのみ操作可能となり、誤って吐出位置P2に傾き、それにより飲料が意図せず吐出されることを避けることができる。
【0111】
実施形態によっては、ディスペンスヘッド2は、バネのような第2の弾性要素(図示せず)を備えると共に、操作角度A1、A2及び/又はA3に対応するカット又は溝が配置されたワッシャを備えることができる。このようなワッシャは、タップハンドル10とアクチュエータ機構13との間に配置される。このワッシャは、タップハンドル10がワッシャに配置された切れ目又は溝と一直線上にあるときにのみタップハンドル10を傾けることを可能にし、そうでなければタップハンドル10を傾けることができない。それにより、飲料を操作角度Aにおいてのみ吐出することを可能にする。
【0112】
図9は、別の実施形態による、タップハンドル及び交換可能なケグを有する飲料ディスペンスシステムの概略断面を示す。
図9に示す実施形態は
図6-8の実施形態に対応し、非吐出位置P1と吐出位置P2との間で状態変更するために、前に図示・説明したものと同様の方法で動作する。この実施形態においても、既に説明又は図示した構成や特徴と同様の構成及び特徴については、以前に使用したものと同じ符号を付している。
【0113】
システムは、飲料を収容するための交換可能なケグ32を有してもよい。ケグ32は、飲料出口34を備えたクロージャー33を有する。飲料管9は、この飲料出口34から、例えばドラフトタワー5の後側に沿ってディスペンスヘッド2まで延びている。
図3及び
図4に詳細に示すように、交換可能な飲料管9は、交換可能なバルブ8に接続するための吐出端38を有する。
【0114】
飲料ディスペンスシステムの本体6は、受容部(レセプタクル)44と蓋45とを備える。受容部44は、ケグ32が逆さまにされた状態で、ケグ32の少なくとも一部を受容するように設計され、またそれを可能とする形状を有している。ケグ32の当該一部は、好ましくは、ケグ32においてクロージャー33を備える小さな部分である。蓋45は、少なくとも1つのケグ32が受容部44に受容されたとき、ケグ32の少なくとも一部、好ましくはより大きい部分を覆うように構成される。
【0115】
受容部44の底部には、ケグ32の少なくとも一部を収容するように設計されたケグクロージャ空間が設けられてもよい。ケグ空間は、交換可能なケグ32の少なくとも1種類のクロージャー33を受容し、また交換可能な飲料管9を通すためのカプラを備える。このカプラは、飲料タンク(例えば交換可能ケグ32)の飲料出口34及び飲料容器に収容された飲料にアクセスするためのアクセスポイントを形成する。上記カプラは、飲料ディスペンスシステムを交換可能な飲料管9又は固定された飲料管にそれぞれ適合させるために、交換可能であってもよい。
【0116】
適切なケグ32のクロージャー33は、ケグクロージャ空間に挿入可能であり、密封される圧力密着嵌合でカプラに固定されてもよい。好ましくは、クロージャー33は、例えばネジ式、バヨネット式などの手法によってカプラに固定される。
【0117】
交換可能な飲料管9のケグ接続端39は、カプラの貫通孔に密封嵌合してもよく、密封性の接合部分として機能し、ケグ32の飲料出口34と接続してもよい。
【0118】
飲料管9を交換可能に構成した場合、当該飲料管9は、ケグ32を受容部44に取り付ける前に、カプラの貫通孔に挿入され案内されてもよい。このとき、飲料管9のケグ接続端部39がカプラに当接し、密封性を保った状態でカプラ41に収まる。カプラ41は、ケグ32を受容部44に取り付けた際に飲料出口34に接続するように位置決めされている。飲料管9はケグ32と一緒に提供されてもよく、別個のアイテムとして、例えばクリック接続機構を使用して、使用直前にクロージャー33に取り付けられてもよい。実施形態によっては、飲料管9はケグのクロージャー33に恒久的に取り付けられてもよい。
【0119】
飲料ディスペンスシステム50が常に特定のタイプのケグ32と共に使用される場合、カプラは、ケグクロージャ空間40内に恒久的に設置されてもよい。あるいは、ユーザーにいくつかのタイプのカプラを提供し、ユーザーが現場でカプラのタイプを変更できるようにしてもよい。それによって飲料ディスペンスシステムは、消費される特定の飲料に応じて異なるタイプのケグ32を使うように変更されうる。
【0120】
圧力入口は、圧力媒体を受け入れ、ケグ32の外壁と密封筐体47の内壁との間の間隙に圧力媒体が届くように構成されうる。間隙は、通常、飲料容器と圧力室との間の密な嵌合を可能にするために、可能な限り小さく、例えば数ミリメートル幅にされる。圧力入口は、例えば受容部44、蓋45又はカプラ41の一部を形成することができ、実施形態によっては一方向バルブ及び/又は過圧逃がしバルブを備えてもよい。圧力媒体は、典型的には空気であるが、CO2、N2、水などの任意の流体を用いることが可能である。
【0121】
図9に描かれるように、飲料ディスペンスシステムは、間隙に圧力媒体を供給するために、圧力入口に選択的に接続可能なコンプレッサ43及び/又はガスボンベを有してもよい。システムをよりモジュール化するために、圧力入口及び飲料ディスペンスシステムは、様々な加圧装置と互換性があってもよい。コンプレッサ43は、主電源又はバッテリー電源のいずれかが利用可能な場合に使用され、コンプレッサ43に電力を供給して、外部から大気空気を取り込んで加圧し、加圧した空気を圧力室の間隙に注入することによって圧力室を加圧してもよい。ガスボンベは、主電源が利用できない場合、及び/又は電池が不便な場合に使用さる。ガスボンベには、空気、窒素、二酸化炭素などの加圧ガスがあらかじめ充填されている。
【0122】
圧力室は熱的に断熱されていてもよい。断熱材は、少なくとも1つのケグ32とその中に収容された飲料を冷却するための冷却装置49と組み合わせて使用することができる。あるいは、例えば機内持ち込み時の重量を節約するために、冷却装置49を使用せず、代わりに断熱材を予め冷却された飲料容器と組み合わせて使用することもできる。
【0123】
図10は、本開示の代替的な実施形態による飲料吐出器アセンブリ1を描いている。この実施形態において、ディスペンスヘッド2は、飲料ディスペンスシステムの本体6に直接取り付けられている。
【0124】
この実施形態のタップハンドル10は、
図1-5で紹介した実施形態と同様の形で動作するが、飲料吐出器アセンブリ1はドラフトタワー5を有さず、代わりに、ディスペンスヘッド2は、交換可能なケグ32を収容するように構成された本体6に直接支持される。交換可能なケグ32は、開示されたすべての実施形態で同じであることができ、飲料出口34を備えたクロージャー33を有する。(交換可能な)飲料管9は、飲料出口34から本体6を通って、ディスペンスヘッド2まで延在するようにされてもよい。
【0125】
図10に描かれる代替的実施形態において、ケグ32は、外殻36内に飲料が充填された袋35を有してもよい。そして、少なくとも1つのケグ32を加圧するために、コンプレッサ43からの加圧流体が、外殻36と袋35との間の空間37に加えられてもよく、それによって、交換可能な飲料管9を通ってディスペンスヘッド2へに達する飲料の流れが発生する。
【0126】
図11は、容易に交換可能なタップハンドル10のための可能なソリューションを備えたディスペンスヘッド2の内部の詳細な断面を示す。このソリューションは、先に説明したどの実施形態にも実装することができる。このような交換可能なタップハンドル10は、前述したような回転可能な実施形態と組み合わせると有用である。というのも、設置状況に鑑みて多用されるであろう傾動方向に応じてタップハンドル10を交換することができるからである。
【0127】
ここで、運動変換手段3は、交換可能なタップハンドル10とアクチュエータ機構13とを枢動軸12の周りに枢動可能に結合するためのピボットピン4と、ピボットピン4に係合するように構成されたヨーク21とを備える。
【0128】
ヨーク21の上部は、タップハンドル10のネジ穴42に対応するネジ部40を備える。このようにして、タップハンドル10は、ネジの向きに従う方向(図示された方向は単なる例である)に回転させることによって容易に取り外すことができ、反対方向に回転させることによって必要に応じて新しいものを取り付けることができる。
【0129】
図12Aから
図12Cは、ヨーク21と交換可能なタップハンドル10との間のネジ接続を実施するための異なる代替例を示しており、主な違いは、枢動軸12回りの傾動をどのように可能にするかである。
【0130】
図12Aの例では、ピボットピン4は、ヨーク21上のカバーの後ろに隠れるように実装される。この場合、ピボットピン4は、ヨークのアーチに嵌まる大きな円筒形断面の要素として実装することができる。
【0131】
図12Bの例では、ピボットピン4は、カバーの後ろに部分的にのみ隠れるようにされる。この例では、ピボットピン4の小さい円筒形断面の端部が見える。このためピボットピン4は、傾動及び吐出に必要な力に応じて手動で調節可能である。
【0132】
図12Cの例では、ピボットピン4は、カバーの後ろに部分的にしか隠れない形で実装される。この例では、ピボットピン4の更に小さな円筒形断面の端部が見える。この場合も手動でも調整できる可能性がある。
【0133】
上に紹介した全ての飲料ディスペンスシステム50は、主電源を含む第1の電源ユニットと、バッテリー電源を含む第2の電源ユニットとを有してもよく、実施形態によっては、太陽光発電電源を含む第3の電源ユニットを更に有してもよい。システムのモジュール性を更に高めるために、様々な電源と互換性を持たせてもよい。屋内に固定設置する場合、主電源、例えばAC115V又はAC230Vの家庭用電源が、システムに実質的に無制限の電力を提供するので好ましい。このような電源は、冷却ユニットと加圧ユニットの両方、及び照明などの他の機能に電力を供給する。バッテリーは、モバイル機器に使用する場合に有利である。バッテリーは、例えば、主電源と電力変換器を使用することで充電可能とすることができる。太陽光発電は、飲料ディスペンスシステムに直接電力を供給するために使用することができるが、直射日光が当たらない場合の太陽電池の出力には限りがあるため、ほとんどの場合、充電式電池と組み合わせて使用する補助電源ユニットと見なされる。
【0134】
発明の様々な捉え方や実装形態が、いくつかの実施例と共に説明されてきた。しかし、本願の明細書や図面、特許請求の範囲を検討すれば、当業者は、特許請求の範囲に記載される発明を実施するにおいて、説明された実施例に加えて多くのバリエーションが存在することを理解し、また具現化することができるであろう。特許請求の範囲に記載される「備える」「有する」「含む」との語句は、記載されていない要素やステップが存在することを排除しない。特許請求の範囲において記載される要素の数が複数であると明示されていなくとも、当該要素が複数存在することを除外しない。特許請求の範囲に記載されるいくつかの要素の機能は、単一のプロセッサやその他のユニットによって遂行されてもよい。いくつかの事項が別々の従属請求項に記載されていても、これらを組み合わせて実施することを排除するものではなく、組み合わせて実施して利益を得ることができる。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光記憶媒体又は固体媒体などの適切な媒体に記憶又は配布されてもよいが、インターネット又は他の有線又は無線電気通信システムを介してなど、他の形態で配布されてもよい。
【0135】
特許請求の範囲で使用されている符号は発明の範囲を限定するものと解釈されてはならない。特に言及されない限り、図面は明細書と共に読まれることが意図されており、本願による開示の全体の一部である。明細書中で、「水平」「縦」「左」「右」「上」「下」との用語や、これらの形容詞形や副詞形(例えば「水平に」「右方向に」「上方向に」等)の用語は、単に、読者が見る方向に図示された構造の向きを表すに過ぎない。同様に、「内側方向に」や「外側方向に」との用語は、状況によって長手軸や回転軸に対する面の方向を一般的に表す。
【国際調査報告】