(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-11
(54)【発明の名称】下肢の損傷を軽減するための手段および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20250304BHJP
【FI】
A61B5/11 230
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024549239
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2024-10-16
(86)【国際出願番号】 US2022017034
(87)【国際公開番号】W WO2023158438
(87)【国際公開日】2023-08-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524308790
【氏名又は名称】ホーマー,ボン エム
【氏名又は名称原語表記】HOMER, Von M.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】ホーマー,ボン エム
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB14
4C038VB34
4C038VC09
(57)【要約】
運動中の下肢遠位部における内部および外部の働きを研究するためのセンサの利用について説明される。慣性計測ユニット(IMU)と筋電図(EMG)センサを組み合わせて、足首の神経筋の働きとトルクを計算し、圧力マットを用いた足底の圧力とトルクの測定値と比較する。その後、画像追跡データは、ビデオで記録された動きから実際の距離の動きを予測する機械学習モデルにも通知される。そして、ユーザが自身の動きのシミュレーションなどを確認できるモバイルアプリケーションが開発される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下肢の損傷のリスクを検出する方法およびシステムであって、前記方法は、
(a)特定の筋活動中における特定の筋肉に接続された少なくとも1つの関節の関節変位を決定することと、
(b)前記特定の筋活動中における前記特定の筋肉の神経筋の働きを決定することと、
(c)前記関節および特定の筋肉の神経筋の安定性を決定することと、
(d)前記特定の筋肉の前記神経筋の働きおよび神経筋の安定性および前記特定の筋肉に接続された前記関節の特定された関節変位の数値表現を決定することと、
を含む、方法およびシステム。
【請求項2】
前記神経筋の働きは、少なくとも1つのセンサによって決定され、前記少なくとも1つのセンサは、特定の筋肉の遠心性および求心性の作用を測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
特定の筋肉の前記遠心性および求心性の作用は、特定の筋活動中に特定の筋肉によって生成される電位によって決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記関節変位は、少なくとも1つのセンサによって決定され、前記少なくとも1つのセンサは、特定の筋活動中の体の動きおよび骨格フレームの向きを測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記向きは、特定の筋活動中の特定の力、角速度および骨格の位置を計算することによって決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサは、モーションキャプチャデバイスである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記神経筋の安定性は、特定の筋活動から得られる一連のベクトル計算によって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記神経筋の働き、関節変位および神経筋の安定性の前記数値表現は、特定の筋活動から得られる一連のベクトル計算によって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
特定の筋肉の前記神経筋の働き、関節変位および神経筋の安定性の前記数値表現は、少なくとも1つのデータシーケンスとして受信され、前記データシーケンスは、履歴データベースに保持される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
特定の筋肉の神経筋の働きおよび関節変位の前記数値表現からの相違は、前記数値表現と少なくとも1つの他のデータシーケンスとの間で計算され、前記少なくとも1つの他のデータシーケンスは、少なくとも1つの特定の筋活動に関する神経筋の働き、関節変位または神経筋の安定性を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
特定の筋肉の前記神経筋の働き、関節変位および神経筋の安定性の前記数値表現は、所定の筋活動の範囲内での神経筋損傷のリスクの確率を決定する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
神経筋損傷のリスクの前記確率は、前記相違が数値表現を超えると宣言される、請求項12に記載の方法。
【請求項13】
下肢の損傷のリスクを検出するシステムであって、前記システムは、
1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサと結合されたデータストアと、前記データストアは、命令を格納し、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに
特定の筋活動中における特定の筋肉に接続された少なくとも1つの関節の関節変位データを受信することと、
前記特定の筋活動中における前記特定の筋肉の神経筋の働きのデータを受信することと、
受信した関節変位データおよび受信した神経筋の働きのデータに基づいて前記関節および前記特定の筋肉の神経筋の安定性を特定することと、
前記関節および前記特定の筋肉の前記神経筋の安定性の数値表現を生成することと、
を含む動作を実行させる、システム。
【請求項14】
前記特定の筋肉の前記神経筋の働き、前記関節変位および前記神経筋の安定性の前記数値表現は、少なくとも1つのデータシーケンスとして受信され、前記データシーケンスは、履歴データベースに保持される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムは、前記少なくとも1つのデータシーケンスを分類するように構成され、前記システムは、前記少なくとも1つのデータシーケンスを学習データセットとして使用するようにそれぞれ学習される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムは、前記数値表現と少なくとも1つの他のデータシーケンスの第2セットとの間の相違を計算するように構成され、少なくとも1つの他のデータシーケンスの前記第2セットは、少なくとも1つの特定の筋活動に関する神経筋の働き、関節変位または神経筋の安定性を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、前記数値表現と少なくとも1つの他のデータシーケンスの前記第2セットとの間の計算された相違を分析し、前記計算された相違に基づいて筋活動基準を生成する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
取り出された筋活動基準は、神経筋損傷のリスクを低減するように向けられる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
プログラムを格納する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記プログラムは、プロセッサに
特定の筋活動中における特定の筋肉に接続された少なくとも1つの関節の関節変位データを受信することと、
前記特定の筋活動中における前記特定の筋肉の神経筋の働きのデータを受信することと、
受信された関節変位データおよび受信された神経筋の働きのデータに基づいて前記関節および前記特定の筋肉の神経筋の安定性を特定することと、
前記関節および前記特定の筋肉の前記神経筋の安定性の数値表現を生成することと、
を実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記特定の筋肉の前記神経筋の働き、前記関節変位および前記神経筋の安定性の前記数値表現は、少なくとも1つのデータシーケンスとして受信され、前記データシーケンスは、履歴データベースに保持される、請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して整形外科学に関し、より具体的には、下肢遠位部の損傷のリスクを軽減するための手段および方法に関する。
【0002】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2020年12月20日に出願された米国仮特許出願第62/951,969の利益を主張し、その開示全体が本件明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
アスリートの負傷のうち、下肢の負傷が50パーセントより多くを占めている。下肢の損傷の大部分は足首の損傷と靭帯の捻挫であるが、ふくらはぎの筋肉の内側腓腹筋の損傷も含まれ得る。これらの傷害は、負傷者の自然な歩行に直接的な影響を及ぼす。体の筋肉はさまざまな方法で収縮し、体の特定の部分を動かしたり安定させたりする。人間の自然な歩行には、筋肉によって生成され、地面から反射されたエネルギーを身体に伝達して変換する「ショックアブソーバ」が備わっている。地面から反射されたエネルギーは、さまざまな形態のエネルギー(熱や力など)に変換され、下肢の関節全体の動きに作用し影響を与えるさまざまな層の組織や筋肉によって処理される。足を通じた体の配置の変化は、動きの効率に影響を与える。下肢が損傷するとこの影響運動が妨げられ、完全に回復することはほとんどなく、歩行が損なわれて運動能力が低下する。
【0004】
神経筋の働き(neuromuscular effort)を定量化することは、個人の傷害の傾向を判断するのに非常に役立つ。当該技術分野では、外因的要因と内因的要因の両方が、個人の損傷、特に下半身の四肢の損傷に対する傾向を決定する上で役割を果たすという一般的な合意がある。外的リスク要因には、競技レベル、スキルレベル、靴の種類、足首のサポート器具、競技面などが含まれるが、これらに限定されない。内的リスク要因には、年齢、性別、月経周期(女性のみ)、過去の損傷および不十分なリハビリテーション、体格、四肢の優位性、柔軟性(全般的な関節の緩み、足首および膝の緩み、筋肉の硬直、可動域を含む)、四肢の周囲の長さ、筋力、姿勢の安定性、解剖学的アライメント、足の形態、有酸素運動能力などが含まれるが、これらに限定されない。
【0005】
従来、整形外科学研究者、臨床医、運動トレーナーは、足の機能をより深く理解することで下肢の怪我のリスクを軽減する方法を模索してきた。当該技術分野では、ルート理論(Rootian Theory)、組織ストレス理論(Tissue Stress Theory)、好適運動経路理論(Preferred Movement Pathway Theory)など、検証済みのパフォーマンステストがいくつか知られている。ルート理論は、足の機能と足の病状をアライメントに基づいて体系的に分類したもので、矯正器具を使用して異常なアライメントを調整し、足の怪我を予防および治療することを提唱している。組織ストレス理論は、足と下肢の構造要素内で作用するストレスの病理学的大きさに重点を置いている。逆に、好適運動経路理論では、筋肉が望ましい経路で動くようにするために、下肢遠位部の機能におけるアライメントとストレスの両方の影響に重点を置いている。残念ながら、これらの理論は広く受け入れられているものの、下肢損傷のリスクを測定する目的で内部および外部の筋肉の働きや関節のトルクと変位を決定するものではない。
【0006】
この問題を解決するための試みが行われたが、成功していない。一つの例示的な試みが米国特許第7,582,064B2号に見られ、これは、概して、足の評価のためのシステムおよび方法を開示している。この開示は、概して、足の変位と、下肢損傷の傾向との関連相関を評価する方法を教示するが、この開示は、下肢損傷のリスクを測定する目的で内部および外部の筋肉の働きや関節のトルクおよび変位を決定するものではない。
【0007】
別の試みは、米国特許第9,829,493B2号に見られ、これは、概して、関節損傷のリスクを評価するための方法および装置を開示している。この開示は、概して、関節損傷のリスクを軽減するための介入を可能にする方法を特定するためのテストキットおよび方法を教示しているが、この開示は生体力学的運動パターンを強調しており、下肢損傷のリスクを測定する目的で内部および外部の筋肉の働きや関節のトルクおよび変位を決定するものではない。
【0008】
さらに別の試みは、米国特許第6,192,329B1号に見られ、これは、概して、子供の損傷リスクを評価するための方法および装置を開示している。この開示は、損傷のリスクを評価するためにコンピュータと物理的な解剖学的モデルを考慮しているが、下肢損傷のリスクを測定する目的で内部および外部の筋肉の働きや関節のトルクおよびと変位を決定するものではない。
【0009】
米国特許第9,008,784A1号および米国特許出願第2018/0028109A1号などの他の開示では、下肢の損傷、特に膝の損傷のリスクを防ぐための膝装具などのウェアラブルデバイスが教示されている。しかし、これらの開示は物理的なデバイスの使用に限定されており、実際の損傷リスクを測定するものではない。
【0010】
下肢損傷のリスクを測定するために、関連技術において様々な試みがなされてきたが、成功していない。したがって、下肢損傷のリスクを測定するために、特定の環境(すなわち、矯正器具、靴、装具、または義肢)内で人が下肢の神経筋安定性をどれだけ効率的に維持しているかを判断するためのより効果的な手段が必要である。
【発明の概要】
【0011】
本開示において、すべての実施形態は、多くの想定される実施形態の例示的かつ非限定的なものとして提供されることを理解されたい。さらに、「である(is)」、「できる(can)」、「する(will)」などの用語は、「できる(may)」、「提供できる(may provide for)」、「本発明では、できると考えられる(it is contemplated that the present invention may)」などの用語の同義語として使用され、互換性がある。
【0012】
さらに、慣性計測ユニット(「IMU」)、筋電図センサ、神経筋、疲労、矯正器具、下肢など、名前でリストされているすべての要素は、そのような要素のすべての同等物を含むか網羅することを意味する。本明細書で名付けられている各要素については、そのような同等物が想定される。
【0013】
要約の目的で、本発明の特定の態様、利点、および新規な特徴が本明細書で提供される。こうした態様、利点、または新規な特徴のすべてが、特定の実施形態で提供されるわけではないことを理解されたい。したがって、開示された主題は、教示または示唆されるすべての態様、利点、または新規な特徴を達成することなく、1つの態様、利点、または新規な特徴または特徴のグループを達成または最適化するように具体化または実行され得る。
【0014】
既知の技術に固有の前述の欠点を考慮して、本発明は、内部および外部の関節の働きに関係する相関する生理学的要因を特定し、特定の環境(すなわち、矯正器具、靴、装具、または義肢)内で人が下肢の神経筋の安定性をどれだけ効率的に維持しているかを判断するための、より効果的な手段および方法に関する。本発明の全体的な目的は、より詳細には後述するが、下肢の損傷のリスクを測定し、軽減することである。
【0015】
本発明の新規であると考えられる特徴は、明細書の結論部分において特に指摘され、明確に主張されている。非限定的な例として、本発明は、内部および外部の関節の働きに関係する相関する生理学的因子を特定し、特定の環境(すなわち、矯正器具、靴、装具、または義肢)内で人が下肢の神経筋の安定性をどれだけ効率的に維持しているかを判断するための新規な手段および方法を提供する。本発明のこれらの特徴、態様、および利点、ならびにその他の特徴、態様、および利点は、以下の図面および詳細な説明を参照することでよりよく理解されるであろう。
【0016】
本発明は、下肢損傷の予測に関する。IMU、コンピュータビジョン、EMGセンサ、および新しい損傷予測アルゴリズムを利用することで、個人は内部および外部の関節の働きに関係する主要な相関生理学的要因を特定し、下肢の損傷のリスクを測定できるようになる。
【0017】
本発明の一態様によれば、以下の式で観察される足首の力とトルクの両方を知るために使用される地面反力を計算するための筋活動相関方法が提供される。
【数1】
ここで、M
Gは、EMGによって読み取られた筋活動であり、MVCは、評価前に測定された最大揮発性収縮であり、Wは、個々の被験者の体重である。
【0018】
本発明の別の態様によれば、筋活動相関方法は、個々の被験者の足首のトルクを計算する。この方法では、まず筋活動と地面からの反力との間の関係を確立し、IMUからの位置情報とEMGで測定された筋活動または収縮を使用する。個々の被験者の足首に作用するトルク力の合計分析は、地面との接触点、足首の関節、および足の重心に関してIMUを考慮し、次のように行われる。
【数2】
ここで、mは、足の質量であり、ω
1は、足の角加速度ベクトルであり、r
c1/s1は、IMUから足の重心を指すベクトルであり、a
s1は、センサの角加速度ベクトルであり、F
Gは、地面反力ベクトルである。
【0019】
本発明の別の態様によれば、以下の式で観察される力ベクトルを利用して、個々の被験者の足首におけるモーメント安定性を計算するための筋活動相関方法が提供される。
【数3】
ここで、M
Aは、足首のモーメントベクトルであり、M
Gは、地面と足との間の接触点のモーメントベクトルであり、J
1は、足の重心についての足の慣性テンソルであり、r
c1/Gおよびr
c1/Aはそれぞれ、地面の接触点から足の重心を指すベクトルと、足首から足の重心を指すベクトルを表す。本発明の当該側面では、M
Gは、地面と足の接触点では動きに抵抗がないので、ゼロであるとみなす。
【0020】
本発明のさらなる態様によれば、MVCがIMUセンサとEMGセンサ間の読み取りの周波数と一致するため、IMUセンサとEMGセンサからのデータが同時に測定される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
当業者であれば、以下で説明する図面は説明のみを目的としていることが分かるであろう。図面は、いかなる意味においても本教示の範囲を制限することを意図するものではない。
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の少なくとも1つの実施形態に関する第1の実験の過程で収集されたデータのグラフ描写である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の少なくとも1つの実施形態に関する第1の実験の過程で収集されたデータのグラフ描写である。
【
図2B】
図2Bは、本発明の少なくとも1つの実施形態に関する第1の実験の過程で収集されたデータのグラフ描写である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の少なくとも1つの実施形態に関する第1の実験の過程で収集されたデータのグラフ描写である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の少なくとも1つの実施形態に関する第1の実験の過程で収集されたデータのグラフ描写である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の少なくとも1つの実施形態に関する第1の実験の過程で収集されたデータのグラフ描写である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の少なくとも1つの実施形態に関する第1の実験の過程で収集されたデータのグラフ描写である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の少なくとも1つの実施形態に関する第2の実験の過程で収集されたデータのグラフ描写である。
【
図5B】
図5Bは、本発明の少なくとも1つの実施形態に関する第2の実験の過程で収集されたデータのグラフ描写である。
【
図6】
図6は、本発明の少なくとも1つの実施形態の斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の少なくとも1つの実施形態に関する第3の実験の過程で収集されたデータのグラフ描写である。
【
図8】
図8は、本発明の少なくとも1つの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(略語と定義)
IMU:本明細書および当該技術分野で従来使用される用語「IMU」は、加速器、ジャイロスコープ、および場合によっては磁力計を組み合わせて、物体の特定の力、角速度、および場合によっては物体の向きを測定して報告する電子デバイスである慣性測定ユニットを指す。IMUは、動作/モーションキャプチャ技術とも呼ばれる。
【0024】
EMG:本明細書で使用される用語「EMG」または「筋電図検査」は、筋電計と呼ばれる機器を使用して実行される、骨格筋によって生成される電気活動を評価および記録するために使用される電気診断医学技術を指す。
【0025】
センサ:本明細書で使用される用語「センサ」は、IMUおよびEMGと互換的に使用され(つまり、IMUセンサまたはEMGセンサ)、個々の被験者が筋活動を行っているときなど、筋肉が動いたときに個々の被験者の筋肉によって生成される小さな電気信号を測定するデバイスを指す。
【0026】
圧力マット:本明細書で使用される用語「圧力マット」は、任意の2つの嵌合面または接触面間の圧力分布を測定する装置を指す。本明細書で使用される圧力マットは、特定の筋活動中に個々の被験者が発散する足底圧力および力を測定するために使用される。
【0027】
足底圧力:本明細書で使用される用語「足底圧力」は、特定の筋活動中に足と足の支持面の間に作用する圧力場を指す。
【0028】
求心性収縮:本明細書で使用される用語「求心性収縮」は、必要な筋肉の動きによって筋肉が短縮(または収縮)しながら、個々の被験者の筋肉に緊張を引き起こす筋肉活性化の一種を指す。
【0029】
統計分析ソフトウェア:本明細書で使用される用語「統計分析ソフトウェア」は、統計に基づくデータの収集と分析を支援し、パターンと傾向に関する科学に基づく洞察を提供するツールを指す。
【0030】
地面反力:本明細書で使用される用語「地面反力」は、動作の反対方向に作用する力である。例えば、人がジャンプする場合、彼または彼女が地面を蹴って空中に飛び上がるときに、地面に対して下向きの反力が働く。
【0031】
パリティプロット:本明細書で使用される用語「パリティプロット」は、実験データと表形式のデータとを比較する散布図のグラフを指し、ここで、「x」は表形式のデータであり、「y」は対応する実験値である。
【0032】
動作マッピング:本明細書で使用される用語「動作マッピング」は、筋肉の動きと特定の活動との間の相関を指す。
【0033】
神経筋の安定性:本明細書で使用される用語「神経筋の安定性」は、重力に対抗して骨格系に安定性を与えるために主に使用される筋収縮の定型パターンの反復性末梢神経系形成を指す。例えば、筋骨格系の静的および動的に変化する直立姿勢である人間の姿勢は、末梢神経系によって駆動される一貫した「神経筋の安定性」の直接的な結果である。
【0034】
数値表現:本明細書で使用される用語「数値表現」は、筋活動に関する関連ベクトルから収集された生理学的変数の筋活動または神経筋測定に直接関連する定量的な値を指す。
【0035】
内側腓腹筋または腓腹筋:本明細書で使用される用語「内側腓腹筋」は、人間の下腿の後部に位置し、膝からかかとまで伸びる腓腹筋の内側頭を指し、総称して「ふくらはぎの筋肉」とも呼ばれる。本明細書で言及されているように、内側腓腹筋は外側腓腹筋頭よりも損傷のリスクが高い。
【0036】
カーフレイズ:本明細書で使用される用語「カーフレイズ」は、下腿の腓腹筋、後脛骨筋、腓骨筋、ヒラメ筋を鍛える方法である。本明細書で言及されているように、実行される特定の動作は、足底屈曲または足首伸展である。
【0037】
コンピュータビジョンまたはコンピュータビジョン技術:本明細書で使用されている用語「コンピュータビジョン」または「コンピュータビジョン技術」は、コンピュータがデジタル画像やビデオから高度な理解を得て、入力データを活用して特定の結果を予測する方法を扱う学際的な科学分野である。コンピュータビジョン技術は、動作/モーションキャプチャ技術とも呼ばれる。
【0038】
本明細書において、身体の下肢に位置する骨、筋肉、または腱を指す単語および用語は、当該技術分野で知られている通常の意味を有するものとする。
【0039】
本発明は、下肢損傷のリスクを測定して低減するために、特定の環境(すなわち、矯正器具、靴、装具、または義肢)内で人が下肢の神経筋安定性をどれだけ効率的に維持しているかを判断するための新しい、より効果的な手段を提供することにより、従来技術の限界を克服する。
【0040】
本開示で指定されるすべての寸法は、例示のみを目的としており、限定することを意図するものではない。さらに、これらの図に示されている比率は必ずしも縮尺通りではない。本開示を参照して当業者に理解されるように、本開示で開示される実施形態または実施形態の要素の実際の寸法および比率は、その意図される用途によって決定される。
【0041】
図面および関連する説明は、本発明の想定される実施形態を説明するために提供されており、本発明の範囲を制限するものではないことを理解されたい。本明細書における「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを示すことを意図している。本明細書の様々な箇所に「一実施形態では」または「実施形態」という語句が出現するが、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0042】
図面全体を通じて、参照符号は参照要素間の対応を示すために再利用される。また、各参照符号の第1の桁は、要素が最初に出現する図面を示す。
【0043】
本開示で使用される用語「含む(comprise)」、および「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、および「含んだ(comprised)」などの用語の変形は、文脈上別途要求される場合を除き、他の付加物、成分、整数、またはステップを除外することを意図するものではない。
【0044】
以下の記載では、実施形態を完全に理解できるように具体的な詳細を示す。しかしながら、当業者であれば、これらの具体的な詳細がなくても実施形態を実施できることは理解するであろう。実施形態を不明瞭にしないために、よく知られた特徴、要素、または技術は詳細に示されない場合がある。
【0045】
本発明の教示の態様は、以下の実施例を参照してさらに理解できるが、以下の実施例は本発明の教示の範囲をいかなる形でも限定するものと解釈されるべきではない。
【0046】
この研究の前提は、下肢損傷のリスクを確認する従来の方法では、特定の環境内で人が神経筋の安定性をどのように維持するかを効率的に判断できないということである。
【0047】
本明細書で概して開示される実験結果は、対象者の下肢損傷のリスクを正確、適切、かつ効率的に測定する潜在性を有する方法をテストするために実施されたものである。
【0048】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、下肢の損傷のリスクを検出し、そのリスクを軽減する方法およびシステムを開示する。独立変数と従属変数は、個々の被験者の筋肉の運動範囲、ひいては下半身の四肢損傷のリスクの可能性に関係する。独立変数は、個々の被験者の体重および筋肉の構成を含み得る。従属変数は、選択された身体活動、または各筋活動が実行される選択された時間間隔であってもよい。
【0049】
本発明は、筋活動の独立変数と従属変数との間の相関(「筋活動相関(Muscle Activity Correlation)」)を特定する。具体的には、筋活動相関は、内部および外部の関節動作に関係する主要な相関生理学的要因を特定し、個々の被験者が受ける可能性のある下肢損傷のリスクの度合いを決定する。
【0050】
筋活動相関に影響を与える独立変数と従属変数の分析は、まず特定の筋活動に対する地面反力を計算することによって行われる。地面反力の計算は、特定の筋活動中の足首の力とトルクの両方を特定する。
【数4】
ここで、M
Gは、EMGによって読み取られた筋活動であり、MVCは、評価前に測定された最大揮発性収縮であり、Wは、個々の被験者の体重である。
【0051】
本発明の好ましい実施形態では、制御された環境において個々の被験者の筋肉の動きと活動を観察し、制御され指定された筋活動中に、関心対象の筋肉および/または筋肉群に接続された、個々の被験者の関節の関節変位を決定できる。
【0052】
個々の被験者の足首に作用するトルク力の合計分析では、地面との接触点、足首の関節、足の重心に関連してIMUを考慮し、特定の筋活動中に関心対象の筋肉および/または筋肉群に接続された関節の関節変位を決定し、次のように観察できる。
【数5】
ここで、mは、足の質量であり、ω
1は、足の角加速度ベクトルであり、r
c1/s1は、IMUから足の重心を指すベクトルであり、a
s1は、センサの角加速度ベクトルであり、F
Gは、地面反力ベクトルである。関節変位は、IMUとモーションキャプチャ技術によって決定され、IMUおよび/またはモーションキャプチャ技術は、特定の筋活動中の体の動きおよび骨格フレームの向きを測定する。具体的には、骨格の向きは、特定の筋活動中の特定の力、角速度、および骨格の位置によって決まる。
【0053】
また、筋活動相関では、特定の筋活動中の個々の被験者の神経筋の働き、および関心対象の筋肉および/または筋肉群の神経筋安定性と関節変位を決定し、個々の被験者の下肢損傷のリスクを測定する。
【0054】
足首のモーメントベクトルM
Aおよび地面と足の接触点のモーメントベクトルM
Gは、地面反力データF
Gと組み合わされて、力ベクトルを利用して個々の被験者の足首のモーメント安定性を計算することで、個々の被験者の神経筋の働きを決定するために使用される。
【数6】
ここで、M
Aは、足首のモーメントベクトルであり、M
Gは、地面と足との間の接触点のモーメントベクトルであり、J
1は、足の重心についての足の慣性テンソルであり、r
c1/Gおよびr
c1/Aはそれぞれ、地面の接触点から足の重心を指すベクトルと、足首から足の重心を指すベクトルを表す。本発明の当該態様では、M
Gは、地面と足の接触点では動きに抵抗がないので、ゼロであるとみなす。
【0055】
神経筋の働きは、特定の筋活動中の、関心対象の筋肉および/または筋肉群の遠心性および求心性の作用を考慮に入れる。
【0056】
図1に示すように、個々の被験者が市販の圧力マットを使用している間、および個々の被験者がEMGに接続されている間に、特定の時間間隔での特定の活動セット中に、筋活動相関の測定値が観察される。
図1に示す筋活動相関の測定値は、EMGセンサが被験者の前脛骨筋の中心と被験者の内側および外側腓腹筋の中心に同時に接続されている間に、被験者が市販の圧力マットの上に立っているときに被験者から収集された遠心性収縮および求心性収縮データを識別する。
図1に示すように、圧力マットの測定値とEMG測定値の出力は、ユーザの立位の力のデータまたは地面反力データのパーセンテージとして表示される。
【0057】
図2Aと
図2Bに示すように、圧力マットおよびEMGからの力データ出力は、個々の被験者のスクワット動作およびカーフレイズ動作と比較される。示されているグラフ描写では、X軸は、内側腓腹筋の筋活動(最大揮発性収縮によって測定)および個々の被験者の体重を使用して計算された地面反力であり、Y軸は、圧力マットを使用して測定された地面反力である。パリティプロットを使用して比較すると、
図2Bに示すように、圧力マットおよびEMGからの力出力は、カーフレイズを実行するために使用される主な筋肉(内側腓腹筋)の測定と、長腓骨筋、後脛骨筋、前脛骨筋などの他の筋肉群の影響の減少により、カーフレイズの予測間の類似性が大幅に高くなることを示す。
【0058】
力の割合と筋活動との相関、つまり、カーフレイズなどの特定の動作中に筋肉が活動すると、足底圧も増加するという相関関係は、
図1、
図2A、
図2Bに見られ、個々の被験者の神経筋の働きを特定するものとしてまとめることができる。
【0059】
図3Aと
図3Bに注目すると、
図2Bのデバイスピーク測定値のグラフ描写が示されている。確認者は、
図3Aが圧力マットによって取得された完全な重量分率データセットを示し、
図3Bが特定の動作の期間中にEMGによって取得された完全な重量分率データセットを示していると認識できる。また、確認者は、
図3Aと
図3Bのデバイスピーク測定値の縦線が、統計分析ソフトウェアによって計算されたピークの位置を示していることを認識できる。具体的には、
図3Aのピークは、被験者が1つの完全な反復運動の間に静止して立っているときを表し、
図3Bのピークは、被験者がカーフレイズの最も高い位置にいたときを表す。
【0060】
トルクは、足の下で発生する力と筋肉の収縮とに関連して関節が経験する変化の速度である。
図4Aおよび
図4Bに示す実施形態では、y軸は、圧力マットによって測定された地面反力を使用して計算されたトルク値を示す。x軸トルクはy軸と同様に計算されるが、地面反力は個々のユーザの医学的腓腹筋の筋活動と個々のユーザの体重を使用して計算される。
【0061】
図1、
図2Aと2B、
図3Aと3B、および
図4Aと4Bは、市販の圧力マットではなくEMG計算を使用して個々の被験者の神経筋の働きを決定することの精度を示しており、
図5Aと5Bは、個々の被験者の神経筋の安定性を示す。
【0062】
神経筋の安定性は、特定の筋活動から得られる
、
および
のベクトル計算を分析することによって決定される。個々の被験者の神経筋の働きと神経筋の安定性の分析(総称して「動作マッピング分析」)により、個々の被験者に最も大きな潜在的な損傷リスクをもたらす特定の動作が特定される。また、データは筋肉疲労の閾値と損傷のリスクを証明する。
【0063】
図5Aおよび5Bに示すように、IMUからの位置データと、EMGによって測定された筋肉の活動または収縮を組み合わせることで、筋活動と地面からの反力の関係が確立される。
【0064】
力の割合と筋活動との相関を強化するため、また交換可能な代替IMUとして、コンピュータビジョンアルゴリズム(総称して「動作キャプチャ技術」)を利用して、定められたエクササイズおよび物理的目標中の個々の被験者の動作に関連する視覚データをキャプチャ、処理、分析する。
【0065】
個別に見ると、EMGと動作キャプチャ技術はどちらも、神経筋の働きと神経筋の安定性に関する即時のフィードバックを個々の被験者に提供する手段である。
図6に示すように、IMUセンサを胴体、腰下部、左右の大腿部、左右の足首、左右のすねに配置し、EMGセンサを被験者の左右の内側腓腹筋と左右の外側腓腹筋に同時に配置した場合、センサは連携して動作し、単独の神経筋の働きまたは一連の神経筋の働きの中の各関節間のリアルタイムの変位を決定する。
【0066】
本発明の好ましい実施形態では、EMGセンサとIMUセンサの融合により、
図7に示すように単一の信号で、筋肉の働きと圧力の量がそれぞれ同時に同じ速度で増加していることを示す証拠として、正確な身体と筋肉の位置の測定値、および単独の神経筋の働きが得られる。
【0067】
図7に示す実施形態では、EMGと、IMUなどの動作キャプチャ技術を融合することで(「センサフュージョン」)、多数のサンプルデータにわたって一貫した精度のピーク振幅が得られる。また、センサフュージョンにより、個々の被験者の動き、関節、手足の骨格追跡(図示せず)が可能になる。
【0068】
本発明の好ましい実施形態では、特定の筋活動から得られた
、
および
のベクトル計算から得られたデータは、数値を割り当てられ、神経筋の安定性に基づいてベースラインの数値表現が決定される。当該予測コンピュータモデルは、関心対象の選択筋肉および/または筋肉群の神経筋の働き、関節変位、および神経筋の安定性の閾値を決定するように生成およびカスタマイズされ、これにより、所定の筋活動の範囲内での神経筋損傷のリスクの確率が決定される。
【0069】
予測コンピュータモデルは、個々の被験者のベースライン数値表現と、神経筋の働き、関節変位、または神経筋の安定性から得られた追加のデータポイントとの相違を分析して、特定の筋活動基準を生成し、所定の筋活動の範囲内での神経筋損傷のリスクの確率を低減するように、さらにカスタマイズされる。EMGセンサの助けを借りずに神経筋損傷のリスクを軽減するように神経筋損傷のリスクの確率および筋活動基準を生成する機械学習予測コンピュータモデルを作成することにより、本発明は、神経筋損傷のリスクを評価および/または決定するためにEMGセンサの継続的な使用に依存する従来技術とは区別される。
【0070】
別の好ましい実施形態では、センサフュージョンからの骨格追跡データの測定値により、本発明のアルゴリズムは、個々の被験者の以前のセンサフュージョンデータの測定値および関節変位データに基づいて、筋肉の動きと損傷のリスクを予測できるようになる。このデータを、
図8に示すように、モバイルアプリケーションと組み合わせて使用すると、個々の被験者が、怪我のリスクを軽減する特殊なアルゴリズムベースのエクササイズやアクティビティを決定できるようになる。これらのアルゴリズムベースのエクササイズは、提示されたデータに基づいて個々の被験者に最適化された動きを表す。
(結論、影響および範囲)
【0071】
本発明はある程度詳細に説明されているが、本開示は例示としてなされたものであり、他のバージョンも可能であることが理解される。上記の説明は、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を加えることができるため、上記の説明に含まれる、または添付の図面に示されるすべての事項は、例示的なものであり、限定的な意味で使用されるものではないことが意図されている。添付の請求項の趣旨および範囲は、本開示に含まれる好ましいバージョンの説明に限定されるべきではない。
【0072】
特許請求の範囲、要約書、図面を含む本明細書に開示されているすべての特徴、および開示されている方法またはプロセスのすべてのステップは、少なくとも一部の特徴および/またはステップが相互に排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせることができる。特許請求の範囲、要約書、図面を含む明細書に開示されている各特徴は、明示的に別段の記載がない限り、同一、同等、または類似の目的を果たす代替の特徴に置き換えることができる。したがって、明示的に別途記載されていない限り、開示された各特徴は、一般的な一連の同等または類似の特徴の一例にすぎない。
【0073】
特定の機能を実行するための「手段」または特定の機能を実行するための「ステップ」を明示的に記載していない特許請求の範囲の要素は、米国法35条§112で特定されている「手段」または「ステップ」の条項として解釈されるべきではない。
【0074】
本発明は、詳細に示され説明された多数の実施形態に関連して開示されているが、当業者には様々な変更が容易に明らかであるはずである。
【手続補正書】
【提出日】2025-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の下肢の損傷のリスクを検出する方
法であって、前記方法は、
(a)特定の筋活動中における特定の筋肉に接続された少なくとも1つの関節の関節変位
値を
測定することと、
(b)
1つ以上のモーメントベクトルおよび地面反力データから、前記特定の筋活動中における前記特定の筋肉の神経筋
活動値を
算出することと、
(c)
1つ以上のモーメントベクトルおよび足首のトルク力データから、前記
少なくとも1つの関節および
前記特定の筋肉の神経
筋安定性
値を
算出することと、
(d)
(i)前記関節変位値、(ii)前記神経筋活動値および(iii)前記神経筋安定性値から、前記特定の筋肉に接続された前記
少なくとも1つの関節
の数値表現を決定することと、
を含
み、
前記数値表現は、下肢の損傷の前記リスクに関連付けられる、
方
法。
【請求項2】
前記神経筋
活動値は、少なくとも1つのセンサ
からの測定から決定され、前記少なくとも1つのセンサは、
前記特定の筋肉の遠心性
の作用および求心性の作用
の1つ以上を測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特定の筋肉の前記遠心性および求心性の作用は、
前記特定の筋活動中に
おける前記特定の筋肉によって生成される電位
から決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記関節変位
値は、少なくとも1つのセンサ
からの測定を用いて決定され、前記少なくとも1つのセンサは、
前記特定の筋活動中の体の動きおよび骨格フレームの向きを
決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記向き
測定は、
前記特定の筋活動中の特定の力、角速度および骨格の位置
の計算
を用いて決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサは、モーションキャプチャデバイスである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記神経筋の安定性
を決定するために使用される前記1つ以上のモーメントベクトルおよび足首のトルク力データは、
前記特定の筋活動から得られる一連のベクトル計算
を用いて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記神経筋
活動値、関節変位
値および神経筋の安定性の前記数値表現は、
前記特定の筋活動から得られる一連のベクトル計算
を用いて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
特定の筋肉の前記神経筋
活動値、関節変位
値および神経筋の安定性の前記数値表現は、少なくとも1つのデータシーケンスとして
生成され、前記データシーケンスは、履歴データベースに保持される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記特定の筋肉の
測定された神経筋
活動値、関節変位
値および神経筋の安定性から決定される前記数値表現
と、少なくとも1つの他のデータソースから決定される数値表現の間の差異が計算され、前記少なくとも1つの他のデータ
ソースは、
前記少なくとも1つの特定の筋活動に関する
、1つ以上の他の被験者から取得される神経筋
活動値、関節変位
値または神経筋の安定性
の1つ以上を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
特定の筋肉の前記神経筋
活動値、関節変位
値および神経筋の安定性の前記数値表現
の間の前記差異は、
前記特定の筋活動についての神経筋損傷
を含む下肢の損傷のリスクの確率を決定する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記差異がしきい値を超えると、神経筋損傷のリスクの前記確率は、
決定される、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
下肢の損傷のリスクを検出するシステムであって、前記システムは、
1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサと結合されたデータストアと、
を備え、前記データストアは、命令を格納し、前記命令は、前記
1つ以上のプロセッサ
の少なくとも1つによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに
特定の筋活動中における特定の筋肉に接続された少なくとも1つの関節の関節変位
値を測定することと、
1つ以上のモーメントベクトルおよび地面反力データから、前記特定の筋活動中における前記特定の筋肉の神経筋
活動値を算出することと、
1つ以上のモーメントベクトルおよび足首のトルク力データから、決定された関節変位
値および
決定された神経筋
活動値に基づいて前記
少なくとも1つの関節および前記特定の筋肉の神経筋の安定性を
算出することと、
前記関節および前記特定の筋肉
についての数値表現を生成することと、
下肢の損傷についてのリスクに関連付けられたリスク値を、生成された数値表現に割り当てることと、
を含む
1つ以上の動作を実行させる、システム。
【請求項14】
前記特定の筋肉
についての前記数値表現は、少なくとも1つのデータシーケンスとして
生成され、前記
少なくとも1つのデータシーケンスは、履歴データベースに
格納され、
選択的に、前記システムは、前記少なくとも1つのデータシーケンスを分類するように構成され、前記システムは、前記少なくとも1つのデータシーケンスを学習データセットとして使用するようにそれぞれ学習され、および/または
前記システムは、前記数値表現と少なくとも1つの他のデータシーケンスの第2セットとの間の差異を計算するように構成され、少なくとも1つの他のデータシーケンスの前記第2セットは、少なくとも1つの特定の筋活動に関する神経筋活動値、関節変位値または神経筋の安定性に基づく数値表現を含み、
選択的に、前記システムは、前記数値表現と少なくとも1つの他のデータシーケンスの前記第2セットとの間の計算された差異を分析し、前記計算された差異に基づいて筋活動基準を生成し、
選択的に、取り出された筋活動基準は、神経筋損傷を含む下肢の損傷の前記リスクを低減するように向けられる、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
プログラムを格納する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記プログラムは、プロセッサに
特定の筋活動中における特定の筋肉に接続された少なくとも1つの関節の関節変位データを受信することと、
前記特定の筋活動中における前記特定の筋肉の
1つ以上のモーメントベクトルおよび地面反力データから算出された神経筋
活動データを受信することと、
1つ以上のモーメントベクトルおよび足首のトルク力データを用いて、受信された関節変位データおよび受信された神経筋
活動データに基づいて前記
少なくとも1つの関節および前記特定の筋肉の神経筋の安定性を
決定することと、
前記
少なくとも1つの関節および前記特定の筋肉の前記神経筋の安定性の数値表現を生成すること
であって、前記数値表現は、下肢の損傷についてのリスクに関連付けられる、生成することと、
を実行させ
、および/または
前記特定の筋肉の前記神経筋活動データ、前記関節変位データおよび前記神経筋の安定性の前記数値表現は、少なくとも1つのデータシーケンスとして受信され、前記データシーケンスは、履歴データベースに保持される、
非一時的コンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】