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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-11
(54)【発明の名称】耐食性合金鉄筋及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 38/00 20060101AFI20250304BHJP
   C21D 8/08 20060101ALI20250304BHJP
   C22C 38/50 20060101ALI20250304BHJP
   B21B 3/00 20060101ALI20250304BHJP
   B22D 11/00 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
C22C38/00 301Y
C21D8/08 A
C22C38/50
B21B3/00 D
B22D11/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024550611
(86)(22)【出願日】2023-01-18
(85)【翻訳文提出日】2024-08-26
(86)【国際出願番号】 CN2023072767
(87)【国際公開番号】W WO2023246096
(87)【国際公開日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】202210708417.8
(32)【優先日】2022-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524290233
【氏名又は名称】江蘇省沙鋼鋼鉄研究院有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】524256941
【氏名又は名称】江▲蘇▼沙▲鋼▼▲鋼▼▲鉄▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】524256952
【氏名又は名称】江▲蘇▼沙▲鋼▼集▲団▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 煥徳
(72)【発明者】
【氏名】麻 ▲ハン▼
(72)【発明者】
【氏名】蒋 金洋
(72)【発明者】
【氏名】王 鳳娟
(72)【発明者】
【氏名】張 宇
(72)【発明者】
【氏名】白 鴻国
(72)【発明者】
【氏名】楊 曉偉
(72)【発明者】
【氏名】張 海
(72)【発明者】
【氏名】陳 兆毅
【テーマコード(参考)】
4K032
【Fターム(参考)】
4K032AA01
4K032AA04
4K032AA05
4K032AA11
4K032AA12
4K032AA16
4K032AA22
4K032AA23
4K032AA26
4K032AA29
4K032AA32
4K032AA35
4K032AA36
4K032BA02
4K032CA02
4K032CA03
4K032CC04
(57)【要約】
本願は、耐食性合金鉄筋及びその製造方法を提供する。耐食性合金鉄筋は、C:0.05~0.25重量%、Si:1.05~2重量%、Mn:0.3~1.5重量%、Cr:0.5~2.5重量%、Ni:0.05~1重量%、O:0.001~0.005重量%、S:0.001~0.0035重量%、Ti:0.005~0.1重量%、Al:0.005~0.1重量%、V:0.005~0.03重量%、Nb:0.005~0.03重量%を含み、残部はFe及び不可避的な不純物である。その製造方法は、順次に行われる製錬、精錬、連続鋳造、圧延、及び冷却の工程を含む。本願は、Si、Ti、Al、及びMnなどの元素でCr含有量の低下による耐食性の低下を補い、耐食性合金鉄筋の生産コストを大幅に削減させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
C:0.05~0.25重量%、Si:1.05~2重量%、Mn:0.3~1.5重量%、Cr:0.5~2.5重量%、Ni:0.05~1重量%、O:0.001~0.005重量%、S:0.001~0.0035重量%、Ti:0.005~0.1重量%、Al:0.005~0.1重量%、V:0.005~0.03重量%、Nb:0.005~0.03重量%を含み、残部はFe及び不可避的な不純物であり、
前記Si及びMnの含有量は2≦Si/Mn≦5を満たし、Si及びCrの含有量は0.75≦Si/Cr≦1.5を満たし、Ti及びAlの含有量は0.02%≦Ti+Al≦0.2%を満たす、ことを特徴とする耐食性合金鉄筋。
【請求項2】
前記Siの含有量は1.2~1.8%であり、
及び/又は、前記Mnの含有量は0.4~1%であり、
及び/又は、前記Crの含有量は0.85~2%である、ことを特徴とする請求項1に記載の耐食性合金鉄筋。
【請求項3】
前記Siの含有量は1.35~1.65%であり、
及び/又は、前記Mnの含有量は0.45~0.75%であり、
及び/又は、前記Crの含有量は1.35~1.75%である、ことを特徴とする請求項2に記載の耐食性合金鉄筋。
【請求項4】
前記Cの含有量は0.05~0.15%である、ことを特徴とする請求項1に記載の耐食性合金鉄筋。
【請求項5】
前記Cの含有量は0.07~0.12%である、ことを特徴とする請求項4に記載の耐食性合金鉄筋。
【請求項6】
前記Tiの含有量は0.01~0.075%であり、
及び/又は、前記Alの含有量は0.01~0.075%である、ことを特徴とする請求項1に記載の耐食性合金鉄筋。
【請求項7】
順次に行われる製錬、精錬、連続鋳造、圧延、及び冷却の工程を含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の耐食性合金鉄筋の製造方法。
【請求項8】
前記耐食性合金鉄筋を製造する原料には、フェロシリコン合金及びシリコンマンガン合金が含まれ、フェロシリコン合金とシリコンマンガン合金との質量比は(2~5):1である、ことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記連続鋳造工程では、引抜き速度は2.5~3.5m/minであり、
及び/又は、前記冷却工程では、冷却床に移した鉄筋の温度は820℃~1000℃であり、
及び/又は、前記圧延工程は、連続鋳造ビレットを加熱して、粗圧延、仕上げ圧延を行うステップを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
前記連続鋳造ビレットを加熱する温度は1150~1250℃であり、前記粗圧延温度は1000~1120℃であり、前記仕上げ圧延温度は1000℃以上である、ことを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2022年6月22日に中国特許庁に提出された、出願番号が202210708417.8、発明の名称が「耐食性合金鉄筋及びその製造方法」の中国特許出願の優先権を主張しており、そのすべての内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本願は、鉄筋の技術分野に関し、具体的には、耐食性合金鉄筋及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
鉄筋コンクリート構造は最も重要な構造であるが、その耐久性不足が業界の難題となっている。耐食性合金鉄筋は、一般的な鉄筋の外観、機械的特性、加工性や耐食性を兼ね備えており、鉄筋コンクリート構造物の耐久性不足の問題を解決する重要な手段となっている。しかし、既存の耐食性合金鉄筋には依然としていくつかの課題があり、その普及を十分に進めることが困難である。
【0004】
例えば、特許CN112375995Aは、400MPaグレードの耐食性鉄筋及びその生産方法を開示し、前記400MPaグレードの耐食性鉄筋の成分は、Cr:9.5~10.4質量%、Mo:1.0~1.2質量%、Mn:0.3~0.6質量%、Ni:0.01~1質量%、Cu:0.01~0.5質量%、C≦0.014質量%、N≦0.004質量%、Nb:0.01~0.05質量%、Si:0.2~0.6質量%であり、残部はFe及び不可避的な不純物である。上記耐食性鉄筋の微細構造はベイナイト及びフェライトであり、極低炭素高合金耐食性鉄筋に属し、優れた機械的特性及び耐食性を有する。
【0005】
しかし、上記の耐食性鉄筋合金元素中のCr及びMoの含有量が高いため、その生産コストは高く、耐食性鉄筋の使用が大幅に制限されてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願が解決しようとする技術的課題は、耐食性鉄筋合金元素中のCr及びMoの含有量が高いため、その生産コストは高く、耐食性鉄筋の使用が大幅に制限されてしまうという従来技術の欠陥を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本願は、耐食性合金鉄筋を提供し、C:0.05~0.25重量%、Si:1.05~2重量%、Mn:0.3~1.5重量%、Cr:0.5~2.5重量%、Ni:0.05~1重量%、O:0.001~0.005重量%、S:0.001~0.0035重量%、Ti:0.005~0.1重量%、Al:0.005~0.1重量%、V:0.005~0.03重量%、Nb:0.005~0.03重量%を含み、残部はFe及び不可避的な不純物であり、
前記Si、Mnの含有量は2≦Si/Mn≦5を満たし、Si及びCrの含有量は0.75≦Si/Cr≦1.5を満たし、Ti及びAlの含有量は0.02重量%≦Ti+Al≦0.2重量%を満たす。
【0008】
任意選択的に、前記Siは1.2~1.8%であり、
及び/又は、前記Mnは0.4~1%であり、
及び/又は、前記Crは0.85~2%である。
【0009】
任意選択的に、前記Siは1.35~1.65%であり、
及び/又は、前記Mnは0.45~0.75%であり、
及び/又は、前記Crは1.35~1.75%である。
【0010】
任意選択的に、前記Cは0.05~0.15%である。
【0011】
任意選択的に、前記Cは0.07~0.12%である。
【0012】
任意選択的に、前記Tiは0.01~0.075%であり、
及び/又は、前記Alは0.01~0.075%である。
【0013】
本願はまた、順次に行われる製錬、精錬、連続鋳造、圧延、及び冷却の工程を含む、前述耐食性合金鉄筋の製造方法を提供する。
【0014】
任意選択的に、前記耐食性合金鉄筋を製造する原料には、フェロシリコン合金及びシリコンマンガン合金が含まれ、フェロシリコン合金とシリコンマンガン合金との質量比は(2~5):1である。
【0015】
任意選択的に、前記連続鋳造工程では、引抜き速度は2.5~3.5m/minであり、
及び/又は、前記冷却工程では、冷却床に移した鉄筋の温度は820℃~1000℃であり、
及び/又は、前記圧延工程は、連続鋳造ビレットを加熱して、粗圧延、仕上げ圧延を行うステップを含む。
【0016】
任意選択的に、前記連続鋳造ビレットを加熱する温度は1150~1250℃であり、前記粗圧延温度は1000~1120℃であり、前記仕上げ圧延の温度は1000℃以上である。
【発明の効果】
【0017】
本願の技術的解決手段は、以下の利点を有する。
【0018】
1.本願に係る耐食性合金鉄筋では、本願の処方におけるSi、Mn、Cr、Al、及びTiを総合的に設計し、Si、Ti、Al、及びMnなどの元素でCr含有量の低下による耐食性の低下を補うことによって、Mo元素を処方に配合せずにCr元素の含有量を大幅に低減させる場合にも、機械的特性と耐食性に優れた耐食性合金鉄筋が得られ、耐食性合金鉄筋の生産コストが大幅に削減される。
【0019】
2.本願に係る耐食性合金鉄筋は、本願の化学組成設計に基づいて、耐食性合金鉄筋の優れた耐食性を実現するだけでなく、耐食性合金鉄筋は、優れた機械的特性を持ち、生産コストが低く、実際の生産及び加工に適している。
【0020】
3.本願に係る耐食性合金鉄筋は、本願の化学組成設計スキームを前提として、製造方法における製錬技術及び制御圧延・制御冷却工程と組み合わせることにより、合金元素による強化作用を発揮することやフェライト+パーライト多相組織を得ることが確保され、耐食性合金鉄筋の耐食性と機械的特性が確保されるとともに、生産の難易度や生産コストも低減される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の実施例は、本願をよりよく理解するために提供されたものであり、前述の最良の実施形態に限定されるものではなく、本願の内容及び保護範囲を制限するものではなく、本願の示唆又は本願と他の従来技術の特徴を組み合わせて得られた、本願と同一又は類似する如何なる製品も、本願の保護範囲内に入る。
【0022】
実施例に具体的な実験手順又は条件が明記されていない場合は、当分野の文献に記載された通常の実験手順の操作又は条件に従って実行すればよい。使用した試薬又は器具はメーカーが明記されておらず、いずれも市販を通じて入手できる通常の試薬製品である。
【0023】
本願におけるフェロシリコン合金は、粒子径が10~30mmであり、主な成分が、Si:75重量%、S:0.002重量%、C:0.01重量%、Al:0.1重量%、Ti:0.01重量%、P:0.02重量%であり、残りが鉄及び不純物であり、青海百通高純材料有限公司から購入した。
【0024】
本願におけるシリコンマンガン合金は、粒子径が10~30mmであり、主要な成分が、Mn:83重量%、Si:1.94重量%、C:0.65重量%、P:0.15重量%、S:0.005重量%であり、残りが鉄及び不純物であり、寧夏翼通実業有限公司から購入した。
【0025】
本願におけるフェロクロム合金は、粒子径が30~50mmであり、主要な成分が、Cr:60重量%、Si:0.87重量%、C:0.14重量%、S:0.002重量%、P:0.034重量%であり、残りが鉄及び不純物であり、天津浩元金属材料有限公司から購入した。
【0026】
本願におけるフェロチタン合金は、粒子径が10~30mmであり、主要な成分が、Si:1.85重量%、S:0.014重量%、C:0.04重量%、Al:1.35重量%、Ti:32.94重量%、P:0.042重量%、Mn:1.57重量%であり、残りが鉄及び不純物であり、錦州海シィン金属材料有限公司から購入した。
【0027】
本願におけるフェロニオブ合金は、粒子径が5~30mmであり、主要な成分が、Nb:65.92重量%、Si:1.97重量%、C:0.12重量%、Al:0.94重量%、S:0.018重量%、P:0.258重量%であり、残りが鉄及び不純物であり、北京高科新材料科技有限公司から購入した。
【0028】
本願におけるバナジウム窒素合金は、粒子径が5~10mmであり、主要な成分が、V:77.69重量%、S:0.075重量%、C:5.53重量%、N:14.1重量%、P:0.045重量%であり、残りが鉄及び不純物であり、江蘇潤豊合成科技有限公司から購入した。
【0029】
本願におけるニッケルは、ニッケル含有量99.9重量%、残りが鉄及び不純物元素であり、江蘇国燕特鋼有限公司から購入したニッケルプレートとして加えられる。
【0030】
本願におけるアルミニウムは、アルミニウムの含有量が99.5重量%であり、残りが鉄及び不純物元素であり、許昌聖通金属材料有限公司から購入したアルミニウム粒子として加えられる。
実施例1
【0031】
本願は、C:0.07重量%、Si:1.35重量%、Mn:0.45重量%、Cr:1.35重量%、Ni:0.05重量%、O:0.001重量%、S:0.001重量%、Ti:0.01重量%、Al:0.01重量%、V:0.005重量%、Nb:0.005重量を含み、残りがFe及び不可避的な不純物であり、
ここで、Si及びMnの含有量はSi/Mn=3を満たし、Si及びCrの含有量はSi/Cr=1を満たし、Ti及びAlの含有量はTi+Al=0.02%を満たす、耐食性合金鉄筋を提供する。
上記の耐食性合金鉄筋の製造方法は、以下のステップを含む。
製錬工程:フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、フェロシリコン合金、シリコンマンガン合金、ニッケルプレート、及びアルミニウム粒子を1610℃で製錬し、溶鋼を得た。フェロシリコン合金とシリコンマンガン合金との質量比は3.3:1であり、フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、及びシリコンマンガン合金の質量比は3.3:0.05:0.1:0.05:1であり、ニッケルプレートの添加量は60kgであり、アルミニウム粒子の添加量は25kgであり、シリコンマンガン合金の添加量は750kgである。
精錬工程:溶鋼にアルゴンガスを導入して、続いて1550℃で40min精錬した。
連続鋳造工程:精錬後の溶鋼を連続鋳造機で連続鋳造ビレットにし、連続鋳造のときに、引抜き速度を3m/minに設定した。得られた連続鋳造ビレットの断面サイズは140mmである。
圧延工程:連続鋳造工程で得られた連続鋳造ビレットを100minかけて1190℃に加熱し、その後、粗圧延温度を1035℃、仕上げ圧延温度を1000℃に設定して圧延し、直径14mmの鉄筋を得た。
冷却工程:圧延工程で得られた鉄筋を920℃に冷却した後、冷却床に移して冷却し、空冷し、冷却床の搬送速度を2m/minとした。
実施例2
【0032】
本願は、C:0.1重量%、Si:1.5重量%、Mn:0.55重量%、Cr:1.5重量%、Ni:0.5重量%、O:0.003重量%、S:0.0025重量%、Ti:0.05重量%、Al:0.05重量%、V:0.015重量%、Nb:0.015重量を含み、残りがFe及び不可避的な不純物であり、
ここで、Si及びMnの含有量はSi/Mn=2.7を満たし、Si及びCrの含有量はSi/Cr=1を満たし、Ti及びAlの含有量はTi+Al=0.1%を満たす、耐食性合金鉄筋を提供する。
上記の耐食性合金鉄筋の製造方法は、以下のステップを含む。
製錬工程:フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、フェロシリコン合金、シリコンマンガン合金、ニッケルプレート、及びアルミニウム粒子を1630℃で製錬し、溶鋼を得た。フェロシリコン合金とシリコンマンガン合金との質量比は3.1:1であり、フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、及びシリコンマンガン合金の質量比は3.1:0.15:0.5:0.15:1であり、ニッケルプレートの添加量は600kgであり、アルミニウム粒子の添加量は130kgであり、シリコンマンガン合金の添加量は920kgである。
精錬工程:溶鋼にアルゴンガスを導入して、続いて1555℃で40min精錬した。
連続鋳造工程:精錬後の溶鋼を連続鋳造機で連続鋳造ビレットにし、連続鋳造のときに、引抜き速度を2.7m/minに設定した。得られた連続鋳造ビレットの断面サイズは140mmである。
圧延工程:連続鋳造工程で得られた連続鋳造ビレットを110minかけて1210℃に加熱し、その後、粗圧延温度を1025℃、仕上げ圧延温度を1010℃に設定して圧延し、直径25mmの鉄筋を得た。
冷却工程:圧延工程で得られた鉄筋を930℃に冷却した後、冷却床に移して冷却し、空冷し、冷却床の搬送速度を1.5m/minとした。
実施例3
【0033】
本願は、C:0.12重量%、Si:1.65重量%、Mn:0.75重量%、Cr:1.75重量%、Ni:1重量%、O:0.005重量%、S:0.0035重量%、Ti:0.075重量%、Al:0.075重量%、V:0.03重量%、Nb:0.03重量を含み、残りがFe及び不可避的な不純物であり、
ここで、Si及びMnの含有量はSi/Mn=2.2を満たし、Si及びCrの含有量はSi/Cr=0.94を満たし、Ti及びAlの含有量はTi+Al=0.15%を満たす、耐食性合金鉄筋を提供する。
上記の耐食性合金鉄筋の製造方法は、以下のステップを含む。
製錬工程:フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、フェロシリコン合金、シリコンマンガン合金、ニッケルプレート、及びアルミニウム粒子を1635℃で製錬し、溶鋼を得た。フェロシリコン合金とシリコンマンガン合金との質量比は2.5:1であり、フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、及びシリコンマンガン合金の質量比は2.7:0.3:0.8:0.3:1であり、ニッケルプレートの添加量は1200kgであり、アルミニウム粒子の添加量は250kgであり、シリコンマンガン合金の添加量は1250kgである。
精錬工程:溶鋼にアルゴンガスを導入して、続いて1515℃で50min精錬した。
連続鋳造工程:精錬後の溶鋼を連続鋳造機で連続鋳造ビレットにし、連続鋳造のときに、引抜き速度を2.6m/minに設定した。得られた連続鋳造ビレットの断面サイズは140mmである。
圧延工程:連続鋳造工程で得られた連続鋳造ビレットを110minかけて1210℃に加熱し、その後、粗圧延温度を1025℃、仕上げ圧延温度を1010℃に設定して圧延し、直径32mmの鉄筋を得た。
冷却工程:圧延工程で得られた鉄筋を880℃に冷却した後、冷却床に移して冷却し、空冷し、冷却床の搬送速度を1.1m/minとした。
実施例4
【0034】
本願は、C:0.05重量%、Si:1.2重量%、Mn:0.4重量%、Cr:0.85重量%、Ni:0.05重量%、O:0.001重量%、S:0.001重量%、Ti:0.005重量%、Al:0.025重量%、V:0.005重量%、Nb:0.005重量を含み、残りがFe及び不可避的な不純物であり、
ここで、Si及びMnの含有量はSi/Mn=3を満たし、Si及びCrの含有量はSi/Cr=1.41を満たし、Ti及びAlの含有量はTi+Al=0.03%を満たす、耐食性合金鉄筋を提供する。
上記の耐食性合金鉄筋の製造方法は、以下のステップを含む。
製錬工程:フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、フェロシリコン合金、シリコンマンガン合金、ニッケルプレート、及びアルミニウム粒子を1600℃で製錬し、溶鋼を得た。フェロシリコン合金とシリコンマンガン合金との質量比は3.5:1であり、フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、及びシリコンマンガン合金の質量比は2.5:0.05:0.05:0.05:1であり、ニッケルプレートの添加量は60kgであり、アルミニウム粒子の添加量は70kgであり、シリコンマンガン合金の添加量は670kgである。
精錬工程:溶鋼にアルゴンガスを導入して、続いて1540℃で30min精錬した。
連続鋳造工程:精錬後の溶鋼を連続鋳造機で連続鋳造ビレットにし、連続鋳造のときに、引抜き速度を3m/minに設定した。得られた連続鋳造ビレットの断面サイズは140mmである。
圧延工程:連続鋳造工程で得られた連続鋳造ビレットを120minかけて1230℃に加熱し、その後、粗圧延温度を1070℃、仕上げ圧延温度を1050℃に設定して圧延し、直径28mmの鉄筋を得た。
冷却工程:圧延工程で得られた鉄筋を920℃に冷却した後、冷却床に移して冷却し、空冷し、冷却床の搬送速度を1.2m/minとした。
実施例5
【0035】
本願は、C:0.15重量%、Si:1.8重量%、Mn:0.9重量%、Cr:2重量%、Ni:1重量%、O:0.005重量%、S:0.0035重量%、Ti:0.1重量%、Al:0.1重量%、V:0.03重量%、Nb:0.03重量を含み、残りがFe及び不可避的な不純物であり、
ここで、Si及びMnの含有量はSi/Mn=2を満たし、Si及びCrの含有量はSi/Cr=0.9を満たし、Ti及びAlの含有量はTi+Al=0.2%を満たす、耐食性合金鉄筋を提供する。
上記の耐食性合金鉄筋の製造方法は、以下のステップを含む。
製錬工程:フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、フェロシリコン合金、シリコンマンガン合金、ニッケルプレート、及びアルミニウム粒子を1639℃で製錬し、溶鋼を得た。フェロシリコン合金とシリコンマンガン合金との質量比は2:1であり、フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、及びシリコンマンガン合金の質量比は2.5:0.3:1.2:0.3:1であり、ニッケルプレートの添加量は1200kgであり、アルミニウム粒子の添加量は30kgであり、シリコンマンガン合金の添加量は1500kgである。
精錬工程:溶鋼にアルゴンガスを導入して、続いて1560℃で45min精錬した。
連続鋳造工程:精錬後の溶鋼を連続鋳造機で連続鋳造ビレットにし、連続鋳造のときに、引抜き速度を2.5m/minに設定した。得られた連続鋳造ビレットの断面サイズは140mmである。
圧延工程:連続鋳造工程で得られた連続鋳造ビレットを90minかけて1150℃に加熱し、その後、粗圧延温度を1000℃、仕上げ圧延温度を1000℃に設定して圧延し、直径10mmの鉄筋を得た。
冷却工程:圧延工程で得られた鉄筋を820℃に冷却した後、冷却床に移して冷却し、空冷し、冷却床の搬送速度を2.2m/minとした。
実施例6
【0036】
本願は、C:0.05重量%、Si:1.05重量%、Mn:0.3重量%、Cr:0.8重量%、Ni:0.05重量%、O:0.001重量%、S:0.001重量%、Ti:0.025重量%、Al:0.005重量%、V:0.005重量%、Nb:0.005重量を含み、残りがFe及び不可避的な不純物であり、
ここで、Si及びMnの含有量はSi/Mn=3.5を満たし、Si及びCrの含有量はSi/Cr=1.31を満たし、Ti及びAlの含有量はTi+Al=0.03%を満たす、耐食性合金鉄筋を提供する。
上記の耐食性合金鉄筋の製造方法は、以下のステップを含む。
製錬工程:フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、フェロシリコン合金、シリコンマンガン合金、ニッケルプレート、及びアルミニウム粒子を1650℃で製錬し、溶鋼を得た。フェロシリコン合金とシリコンマンガン合金との質量比は3.8:1であり、フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、及びシリコンマンガン合金の質量比は2.6:0.05:0.3:0.05:1であり、ニッケルプレートの添加量は60kgであり、アルミニウム粒子の添加量は20kgであり、シリコンマンガン合金の添加量は500kgである。
精錬工程:溶鋼にアルゴンガスを導入して、続いて1550℃で35min精錬した。
連続鋳造工程:精錬後の溶鋼を連続鋳造機で連続鋳造ビレットにし、連続鋳造のときに、引抜き速度を2.5m/minに設定した。得られた連続鋳造ビレットの断面サイズは140mmである。
圧延工程:連続鋳造工程で得られた連続鋳造ビレットを100minかけて1180℃に加熱し、その後、粗圧延温度を1020℃、仕上げ圧延温度を1000℃に設定して圧延し、直径18mmの鉄筋を得た。
冷却工程:圧延工程で得られた鉄筋を860℃に冷却した後、冷却床に移して冷却し、空冷し、冷却床の搬送速度を1.4m/minとした。
実施例7
【0037】
本願は、C:0.25重量%、Si:2重量%、Mn:1重量%、Cr:2.5重量%、Ni:1重量%、O:0.005重量%、S:0.0035重量%、Ti:0.1重量%、Al:0.1重量%、V:0.03重量%、Nb:0.03重量を含み、残りがFe及び不可避的な不純物であり、
ここで、Si及びMnの含有量はSi/Mn=2を満たし、Si及びCrの含有量はSi/Cr=0.8を満たし、Ti及びAlの含有量はTi+Al=0.2%を満たす、耐食性合金鉄筋を提供する。
上記の耐食性合金鉄筋の製造方法は、以下のステップを含む。
製錬工程:フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、フェロシリコン合金、シリコンマンガン合金、ニッケルプレート、及びアルミニウム粒子を1600℃で製錬し、溶鋼を得た。フェロシリコン合金とシリコンマンガン合金との質量比は2.2:1であり、フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、及びシリコンマンガン合金の質量比は3:0.3:1.1:0.3:1であり、ニッケルプレートの添加量は1200kgであり、アルミニウム粒子の添加量は250kgであり、シリコンマンガン合金の添加量は1665kgである。
精錬工程:溶鋼にアルゴンガスを導入して、続いて1540℃で40min精錬した。
連続鋳造工程:精錬後の溶鋼を連続鋳造機で連続鋳造ビレットにし、連続鋳造のときに、引抜き速度を2.7m/minに設定した。得られた連続鋳造ビレットの断面サイズは140mmである。
圧延工程:連続鋳造工程で得られた連続鋳造ビレットを120minかけて1250℃に加熱し、その後、粗圧延温度を1120℃、仕上げ圧延温度を1100℃に設定して圧延し、直径22mmの鉄筋を得た。
冷却工程:圧延工程で得られた鉄筋を1000℃に冷却した後、冷却床に移して冷却し、空冷し、冷却床の搬送速度を1.45m/minとした。
実施例8
【0038】
本願は、C:0.1重量%、Si:1.05重量%、Mn:0.35重量%、Cr:0.75重量%、Ni:0.15重量%、O:0.0025重量%、S:0.0025重量%、Ti:0.03重量%、Al:0.03重量%、V:0.01重量%、Nb:0.01重量を含み、残りがFe及び不可避的な不純物であり、
ここで、Si及びMnの含有量はSi/Mn=3を満たし、Si及びCrの含有量はSi/Cr=1.4を満たし、Ti及びAlの含有量はTi+Al=0.06%を満たす、耐食性合金鉄筋を提供する。
上記の耐食性合金鉄筋の製造方法は、以下のステップを含む。
製錬工程:フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、フェロシリコン合金、シリコンマンガン合金、ニッケルプレート、及びアルミニウム粒子を1620℃で製錬し、溶鋼を得た。フェロシリコン合金とシリコンマンガン合金との質量比は3.3:1であり、フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、及びシリコンマンガン合金の質量比は2.1:0.1:0.3:0.1:1であり、ニッケルプレートの添加量は180kgであり、アルミニウム粒子の添加量は250kgであり、シリコンマンガン合金の添加量は585kgである。
精錬工程:溶鋼にアルゴンガスを導入して、続いて1545℃で40min精錬した。
連続鋳造工程:精錬後の溶鋼を連続鋳造機で連続鋳造ビレットにし、連続鋳造のときに、引抜き速度を3.5m/minに設定した。得られた連続鋳造ビレットの断面サイズは140mmである。
圧延工程:連続鋳造工程で得られた連続鋳造ビレットを100minかけて1200℃に加熱し、その後、粗圧延温度を1020℃、仕上げ圧延温度を1000℃に設定して圧延し、直径16mmの鉄筋を得た。
冷却工程:圧延工程で得られた鉄筋を880℃に冷却した後、冷却床に移して冷却し、空冷し、冷却床の搬送速度を1.6m/minとした。
実施例9
【0039】
本願は、C:0.25重量%、Si:1.5重量%、Mn:0.3重量%、Cr:1重量%、Ni:0.05重量%、O:0.001重量%、S:0.001重量%、Ti:0.1重量%、Al:0.05重量%、V:0.005重量%、Nb:0.005重量を含み、残りがFe及び不可避的な不純物であり、
ここで、Si及びMnの含有量はSi/Mn=5を満たし、Si及びCrの含有量はSi/Cr=1.5を満たし、Ti及びAlの含有量はTi+Al=0.15%を満たす、耐食性合金鉄筋を提供する。
上記の耐食性合金鉄筋の製造方法は、以下のステップを含む。
製錬工程:フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、フェロシリコン合金、シリコンマンガン合金、ニッケルプレート、及びアルミニウム粒子を1650℃で製錬し、溶鋼を得た。フェロシリコン合金とシリコンマンガン合金との質量比は5:1であり、フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、及びシリコンマンガン合金の質量比は3.3:0.05:1.1:0.05:1であり、ニッケルプレートの添加量は60kgであり、アルミニウム粒子の添加量は125kgであり、シリコンマンガン合金の添加量は500kgである。
精錬工程:溶鋼にアルゴンガスを導入して、続いて1560℃で60min精錬した。
連続鋳造工程:精錬後の溶鋼を連続鋳造機で連続鋳造ビレットにし、連続鋳造のときに、引抜き速度を3.1m/minに設定した。得られた連続鋳造ビレットの断面サイズは140mmである。
圧延工程:連続鋳造工程で得られた連続鋳造ビレットを120minかけて1230℃に加熱し、その後、粗圧延温度を1060℃、仕上げ圧延温度を1000℃に設定して圧延し、直径22mmの鉄筋を得た。
冷却工程:圧延工程で得られた鉄筋を1000℃に冷却した後、冷却床に移して冷却し、空冷し、冷却床の搬送速度を1.45m/minとした。
実施例10
【0040】
本願は、C:0.05重量%、Si:1.86重量%、Mn:0.93重量%、Cr:2.48重量%、Ni:1重量%、O:0.005重量%、S:0.0035重量%、Ti:0.005重量%、Al:0.015重量%、V:0.03重量%、Nb:0.03重量を含み、残りがFe及び不可避的な不純物であり、
ここで、Si及びMnの含有量はSi/Mn=2を満たし、Si及びCrの含有量はSi/Cr=0.75を満たし、Ti及びAlの含有量はTi+Al=0.02%を満たす、耐食性合金鉄筋を提供する。
上記の耐食性合金鉄筋の製造方法は、以下のステップを含む。
製錬工程:フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、フェロシリコン合金、シリコンマンガン合金、ニッケルプレート、及びアルミニウム粒子を1600℃で製錬し、溶鋼を得た。フェロシリコン合金とシリコンマンガン合金との質量比は2.2:1であり、フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、及びシリコンマンガン合金の質量比は3.0:0.3:0.2:0.3:1であり、ニッケルプレートの添加量は1200kgであり、アルミニウム粒子の添加量は325kgであり、シリコンマンガン合金の添加量は1550kgである。
精錬工程:溶鋼にアルゴンガスを導入して、続いて1540℃で30min精錬した。
連続鋳造工程:精錬後の溶鋼を連続鋳造機で連続鋳造ビレットにし、連続鋳造のときに、引抜き速度を2.8m/minに設定した。得られた連続鋳造ビレットの断面サイズは140mmである。
圧延工程:連続鋳造工程で得られた連続鋳造ビレットを90minかけて1180℃に加熱し、その後、粗圧延温度を1020℃、仕上げ圧延温度を1000℃に設定して圧延し、直径22mmの鉄筋を得た。
冷却工程:圧延工程で得られた鉄筋を950℃に冷却した後、冷却床に移して冷却し、空冷し、冷却床の搬送速度を1.45m/minとした。
比較例1
【0041】
本願は、C:0.1重量%、Si:2.15重量%、Mn:0.3重量%、Cr:1重量%、Ni:0.05重量%、O:0.001重量%、S:0.0035重量%、Ti:0.08重量%、Al:0.07重量%、V:0.005重量%、Nb:0.005重量を含み、
Si及びMnの含有量はSi/Mn=7.17を満たし、Si及びCrの含有量はSi/Cr=2.15を満たし、Ti及びAlの含有量はTi+Al=0.15%を満たす、耐食性合金鉄筋を提供する。
上記の耐食性合金鉄筋の製造方法では、実施例8と比較して、製錬ステップではフェロシリコン合金とシリコンマンガン合金との質量比は6.5:1であり、フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、及びシリコンマンガン合金の質量比は3.6:0.05:0.8:0.05:1であり、ニッケルプレートの添加量は60kgであり、アルミニウム粒子の添加量は180kgであり、シリコンマンガン合金の添加量は500kgである点のみは相違する。
比較例2
【0042】
本願は、C:0.1重量%、Si:1.5重量%、Mn:1.65重量%、Cr:1重量%、Ni:0.05重量%、O:0.001重量%、S:0.0035重量%、Ti:0.08重量%、Al:0.07重量%、V:0.005重量%、Nb:0.005重量を含み、
Si及びMnの含有量はSi/Mn=0.91を満たし、Si及びCrの含有量はSi/Cr=1.5を満たし、Ti及びAlの含有量はTi+Al=0.15%を満たす、耐食性合金鉄筋を提供する。
上記の耐食性合金鉄筋の製造方法では、実施例8と比較して、製錬ステップではフェロシリコン合金とシリコンマンガン合金との質量比は0.8:1であり、フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、及びシリコンマンガン合金の質量比は0.6:0.05:0.8:0.05:1であり、ニッケルプレートの添加量は60kgであり、アルミニウム粒子の添加量は180kgであり、シリコンマンガン合金の添加量は2750kgである点のみは相違する。
比較例3
【0043】
本願は、C:0.1重量%、Si:1.5重量%、Mn:0.3重量%、Cr:3重量%、Ni:0.05重量%、O:0.001重量%、S:0.0035重量%、Ti:0.08重量%、Al:0.07重量%、V:0.005重量%、Nb:0.005重量を含み、
Si及びMnの含有量はSi/Mn=5を満たし、Si及びCrの含有量はSi/Cr=0.5を満たし、Ti及びAlの含有量はTi+Al=0.15%を満たす、耐食性合金鉄筋を提供する。
上記の耐食性合金鉄筋の製造方法では、実施例8と比較して、製錬ステップではフェロシリコン合金とシリコンマンガン合金との質量比は4.5:1であり、フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、及びシリコンマンガン合金の質量比は10:0.05:0.8:0.05:1であり、ニッケルプレートの添加量は60kgであり、アルミニウム粒子の添加量は180kgであり、シリコンマンガン合金の添加量は500kgである点のみは相違する。
比較例4
【0044】
本願は、C:0.1重量%、Si:1.5重量%、Mn:0.3重量%、Cr:1重量%、Ni:0.05重量%、O:0.001重量%、S:0.0035重量%、Ti:0.15重量%、Al:0.07重量%、V:0.005重量%、Nb:0.005重量を含み、
Si及びMnの含有量はSi/Mn=5を満たし、Si及びCrの含有量はSi/Cr=1.5を満たし、Ti及びAlの含有量はTi+Al=0.22%を満たす、耐食性合金鉄筋を提供する。
上記の耐食性合金鉄筋の製造方法では、実施例8と比較して、製錬ステップではフェロシリコン合金とシリコンマンガン合金との質量比は4.5:1であり、フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、及びシリコンマンガン合金の質量比は3.3:0.05:1.55:0.05:1であり、ニッケルプレートの添加量は60kgであり、アルミニウム粒子の添加量は180kgであり、シリコンマンガン合金の添加量は500kgである点のみは相違する。
比較例5
【0045】
本願は、C:0.1重量%、Si:1.5重量%、Mn:0.3重量%、Cr:1重量%、Ni:0.05重量%、O:0.001重量%、S:0.0035重量%、Ti:0.08重量%、Al:0.15重量%、V:0.005重量%、Nb:0.005重量を含み、
Si及びMnの含有量はSi/Mn=5を満たし、Si及びCrの含有量はSi/Cr=1.5を満たし、Ti及びAlの含有量はTi+Al=0.22%を満たす、耐食性合金鉄筋を提供する。
上記の耐食性合金鉄筋の製造方法では、実施例8と比較して、製錬ステップではフェロシリコン合金とシリコンマンガン合金との質量比は4.5:1であり、フェロクロム合金、フェロニオブ合金、フェロチタン合金、バナジウム窒素合金、及びシリコンマンガン合金の質量比は3.3:0.05:0.8:0.05:1であり、ニッケルプレートの添加量は60kgであり、アルミニウム粒子の添加量は380kgであり、シリコンマンガン合金の添加量は500kgである点のみは相違する。
試験例1
【0046】
実施例及び比較例で製造された耐食性合金鉄筋の機械的特性は、国家規格GB/T228.1-2010金属材料引張試験第1部:室温試験方法に従ってテストし、引張強さ・降伏強さ比(すなわち、引張強さ/降伏強さ)を計算し、テスト結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
表1のデータからわかるように、本願では、各元素の割合の条件を満たしている場合にのみ、降伏強さ≧430MPa、破断後伸び≧20.5%、引張強さ・降伏強さ比≧1.26、及び最大総伸び≧10.6%を確保し、処方にMo元素を添加せずにCr元素の含有量を大幅に低減させる場合にも、優れた機械的特性を得ることができる。
試験例2
【0048】
ツァイス光学顕微鏡を用いて、実施例及び比較例で製造された耐食性合金鉄筋の組織タイプを200倍拡大視野で観察し、その中のフェライトの体積割合を算出し、試験結果を表2に示す。
試験例3
【0049】
作用電極、参照電極、対極システムを備えた電気化学ワークステーションを用いて、実施例及び比較例で製造された耐食性合金鉄筋の表面の不動態皮膜破壊の臨界塩素イオン濃度値をテストし、HRB400モデルの鉄筋と比較し、臨界塩素イオン濃度値の向上倍率を計算した。具体的なテスト方法は次のとおりである。テストサンプルを飽和水酸化ナトリウム溶液に48h浸漬し、その後、電気化学ワークステーションに入れ、作用電極として使用した。24hごとに0.01mol/Lの塩化ナトリウム溶液を電気化学ワークステーションの溶液に加え、電圧/電流-塩素イオン濃度曲線をテストした。電流又は電圧が急激に変化する場合、対応する塩素イオン濃度値が臨界塩素イオン濃度値となる。計算式は、向上倍数=耐食性合金鉄筋の臨界塩素イオン濃度値/HRB400鉄筋の臨界塩素イオン濃度値である。テスト結果を表2に示す。上記のHRB400モデルの鉄筋の成分及び成分の配合比は、C:0.24%、Si:0.40%、Mn:1.40%、V:0.025%、P≦0.04%、S≦0.04%である。
試験例4
【0050】
実施例及び比較例で製造された耐食性合金鉄筋の耐塩素塩腐食性をそれぞれテストし、HRB400モデルの鉄筋と比較し、耐塩素塩腐食性の向上倍数を算出した。具体的なテスト方法は次のとおりである。各実施例及び比較例の耐食性合金鉄筋の一端を長さ100mmで切断し、旋盤を用いて旋削加工を行って直径8mmの試験片を製造し、この試験片を温度35℃、湿度80%で腐食溶液に入れて塩水噴霧腐食試験を実施した。テスト用の腐食溶液は、塩化物塩濃度が5wt%の塩化ナトリウム溶液であり、そのpH値が7.0であり、テスト時間が14日間である。腐食前後のテストサンプルの重量を電子微量天秤でテストした。計算式は、向上倍数=耐食性合金鉄筋の腐食前後の重量変化値/HRB400の腐食前後の重量変化値である。テスト結果を表2に示す。上記のHRB400モデルの鉄筋の成分及び成分の配合比は、C:0.24%、Si:0.40%、Mn:1.40%、V:0.025%、P≦0.04%、S≦0.04%である。
【0051】
【表2】

【0052】
上記表2の結果から、本願に係る耐食性合金鉄筋では、微細組織タイプに占めるフェライトの割合が53~73%に達し、HRB400と比較して、臨界塩素イオン濃度値は2.1倍以上向上し、耐塩素塩腐食性は2.7倍以上向上し、総合的な性能は大幅に向上することが分かった。
【0053】
表1と表2のデータから、本願の組成比では、機械的特性と耐食性を両立させることができ、総合的な性能が優れていることが判明した。また、本願の組成処方にはMo元素が無く、Cr元素の含有量が大幅に低減され、コストが大幅に削減される。
【0054】
明らかに、上記の実施例は、単に明確に説明するための例であり、実施形態を限定するものではない。当業者にとっては、上記の説明に基づいて、他の異なる形の変化又は変更が行われてもよい。ここでは、すべての実施形態を網羅的に取り上げる必要もなく、また、不可能なことである。そして、そこから引き出された自明な変化又は変更は、依然として本発明の保護範囲にある。
【国際調査報告】