(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-11
(54)【発明の名称】介入MRIのための医療機器
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20250304BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20250304BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
A61M25/06 550
A61M25/00 620
A61B5/055 390
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024569191
(86)(22)【出願日】2023-02-07
(85)【翻訳文提出日】2024-10-04
(86)【国際出願番号】 US2023062094
(87)【国際公開番号】W WO2023150775
(87)【国際公開日】2023-08-10
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524297391
【氏名又は名称】ポール, ジュニア., ラム, エイチ.
【氏名又は名称原語表記】PAUL, Jr., Ram, H.
(71)【出願人】
【識別番号】524297302
【氏名又は名称】チェンバース, ショーン, ディー.
【氏名又は名称原語表記】CHAMBERS, Sean, D.
(71)【出願人】
【識別番号】524297313
【氏名又は名称】フィアノット, ニール
【氏名又は名称原語表記】FEARNOT, Neal
(71)【出願人】
【識別番号】524297335
【氏名又は名称】クリーガー, ジョシュア, エフ.
【氏名又は名称原語表記】KRIEGER, Joshua, F.
(71)【出願人】
【識別番号】524297368
【氏名又は名称】ロール, ジェシー
【氏名又は名称原語表記】ROLL, Jesse
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【氏名又は名称】海老 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【氏名又は名称】伊藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】ポール, ジュニア., ラム, エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】チェンバース, ショーン, ディー.
(72)【発明者】
【氏名】フィアノット, ニール
(72)【発明者】
【氏名】クリーガー, ジョシュア, エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ロール, ジェシー
【テーマコード(参考)】
4C096
4C267
【Fターム(参考)】
4C096AA18
4C096AD19
4C096BA06
4C096FC20
4C267AA15
4C267BB14
4C267BB15
4C267BB16
4C267BB40
4C267BB44
4C267GG22
4C267GG23
4C267GG31
(57)【要約】
本開示は、医療機器、MRI下での介入的治療の施行方法、及び、医療機器の製造方法に関する。例示的な医療機器は、長尺部材、補強部材、及びマーカを含む。長尺部材は、近位端、遠位端、及び、外面及びルーメンを画定する内面を有する周壁を有する。補強部材は、周壁内に配設され、長尺部材の長さに沿って延在し、第1の材料から形成され、第1の感受率を有する。マーカは、長尺部材に取り付けられ、第2の材料から形成され、第1の感受率とは異なる第2の感受率を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端、遠位端、並びに、外面及びルーメンを画定する内面を有する周壁を有する長尺部材と、
前記長尺部材の長さに沿って延在し、第1の材料から形成されて、第1の感受率を有する、前記周壁内に配設された補強部材と、
前記長尺部材に取り付けられ、第2の材料から形成されて、前記第1の感受率とは異なる第2の感受率を有するマーカと
を備える、
医療機器。
【請求項2】
前記第1の材料及び前記第2の材料が同じである、
請求項1に記載の医療機器。
【請求項3】
前記第1の材料及び前記第2の材料が異なる、
請求項1に記載の医療機器。
【請求項4】
前記第1の材料が常磁性材料を備え、
前記第2の材料が強磁性材料を備える、
請求項3に記載の医療機器。
【請求項5】
前記第1の材料が、1重量%以下の鉄を含有する合金を備え、
前記第2の材料が、少なくとも50重量%の鉄を含有する合金を備える、
請求項3に記載の医療機器。
【請求項6】
前記第1の材料がコバルトクロム合金を備え、
前記第2の材料がステンレス合金を備える、
請求項3に記載の医療機器。
【請求項7】
前記第1の材料がニッケルコバルト合金を備え、
前記第2の材料がステンレス合金を備える、
請求項3に記載の医療機器。
【請求項8】
前記第2の材料が、304Vのステンレス鋼及び316LVMステンレス鋼のうちの1つを備える、
請求項7に記載の医療機器。
【請求項9】
前記補強部材がコイルを備える、
請求項1に記載の医療機器。
【請求項10】
前記補強部材がメッシュを備える、
請求項1に記載の医療機器。
【請求項11】
前記マーカがバンドを備える、
請求項1に記載の医療機器。
【請求項12】
前記マーカが捩れリングを備える、
請求項1に記載の医療機器。
【請求項13】
前記マーカが前記周壁内に配設される、
請求項1に記載の医療機器。
【請求項14】
前記マーカが前記補強部材より遠位に配設される、
請求項1に記載の医療機器。
【請求項15】
前記マーカが第1のマーカを備え、
第3の材料から形成されて、前記第1の感受率とは異なる第3の感受率を有する第2のマーカをさらに備える、
請求項1に記載の医療機器。
【請求項16】
前記第1のマーカが、前記補強部材より遠位に配設される、
請求項15に記載の医療機器。
【請求項17】
前記第2のマーカが、前記補強部材より遠位に配設される、
請求項15に記載の医療機器。
【請求項18】
近位端、遠位端、並びに、外面及びルーメンを画定する内面を有する周壁を有する長尺部材と、
前記周壁内に配設され、前記長尺部材の長さに沿って延在し、第1の磁気感受率を有する第1の材料から形成された補強部材と、
前記補強部材より遠位に前記周壁内に配設され、前記第1の材料とは異なる、前記第1の磁気感受率より大きい第2の磁気感受率を有する第2の材料から形成されたマーカと
を備える、
医療機器。
【請求項19】
前記第2の材料が、304Vのステンレス鋼及び316LVMステンレス鋼のうちの1つを備える、
請求項18に記載の医療機器。
【請求項20】
近位端、遠位端、並びに、外面及びルーメンを画定する内面を有する周壁を有する長尺部材と、
前記周壁内に配設されたコイルを備え、前記長尺部材の長さに沿って延在し、第1の磁気感受率を有する第1の材料から形成された補強部材と、
前記補強部材より遠位に前記周壁内に配設され、前記第1の材料とは異なる、前記第1の磁気感受率より大きい第2の磁気感受率を有する第2の材料から形成されたマーカと
を備える、
医療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に医療機器の分野に関する。より詳細には、本開示は、磁気共鳴イメージング(MRI)下での治療を施行において有益な介入用医療機器、MRI下での介入的治療の施行方法、及び、医療機器の製造方法に関する。本明細書に記載の特定の例は、イントロデューサシースに関する。
【背景技術】
【0002】
MRI下で行われる介入処置には、X線誘導介入に対していくつかの利点がある。たとえば、患者は電離放射線に暴露されない。また、MRIは介入処置中に組織及び流体の流れを特徴付けることを可能にする。少なくともこれらの理由から、介入用MRIの使用はますます広く受け入れられつつあり、MRI下で施行可能な処置の数も全体的に増加している。
【0003】
しかしながら、現行技術では、MRI下での使用に適した介入用医療機器の数は限定的にすぎず、それが引き続き介入的MRI処置の利用の増大を阻む一因となっている。その結果、患者は介入MRIテクノロジの恩恵をまだ十分に受けておらず、実際、特定の治療のための、あまり便利ではなく、おそらく効果的でもない選択肢しかないことが多い。
【0004】
たとえば、介入MRIがなければ、いくつかの病気に対処するために、初期検査から治療までのクリニカルパスで複数のイメージングモダリティを使用することが必要となる。実践的レベルでは、このような複数のイメージングモダリティの使用によって、患者は何度も医療機関に出向かなければならない可能性がある。前立腺がんの治療に対する従来の方式がよい例であり、可視化、生検、及び治療は患者が3回、別の日に医療機関を訪れて行われる。1回目の訪問では、磁気共鳴スキャナを使ってスキャンが行われ、前立腺及び異常があればその異常を示す画像が生成される。その後、患者はいったん医療機関から帰り、画像の精査を持つ。異常があると、患者は再び医療機関を訪れ、異常の見られた組織の標本の生検を完了できるようにする。ソフトウェアを使って磁気共鳴画像が処置用超音波と結合され、生検を行う際のガイダンスが提供される。この融合により、診断用磁気共鳴画像の価値が低下する。その後、患者は再び医療機関から帰り、生検標本が精査され、さらなる治療が必要(たとえば、精査の結果、前立腺がんの診断が陽性の場合)か否かが判断されるのを待つ。さらなる治療が必要である場合、患者は3度目の医療機関訪問を行い治療を受けなければならない。このような3回の患者の訪問が完了するまでには何カ月もかかることが多く、患者は迅速な治療を受けられず、患者にとっても、関係する医療提供者にとっても、治療に関わる全体的な費用が嵩む。さらに、ソフトウェアを使って磁気共鳴画像と超音波画像といった複数のイメージングモダリティからの画像を結合することは、画像の重ね合わせや又はアラインメントの問題及び組織の圧迫による変位といった欠陥を伴う。最終的に、現在の治療方式のこのような欠点によって、治療の全体的な効果が制限される可能性がある。介入MRIには、これらの欠点を克服する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、新規で改善された、MRI下での治療の施行において有益な介入用医療機器、MRI下での介入的治療の施行方法、及び、医療機器の製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
選択された例の簡単な概要
本明細書では、MRI下での治療の施行において有益な介入用医療機器、MRI下での介入的治療の施行方法、及び、医療機器の製造方法のさまざまな例を説明する。
【0007】
例示的な医療機器は、近位端、遠位端、並びに、外面及びルーメンを画定する内面を有する周壁を有する長尺部材と、長尺部材の長さに沿って延在し、第1の材料から形成されて、第1の感受率を有する、周壁内に配設された補強部材と、長尺部材に取り付けられ、第2の材料から形成されて、第1の感受率とは異なる第2の感受率を有するマーカとを備える。
【0008】
別の例示的な医療機器は、近位端、遠位端、並びに、外面及びルーメンを画定する内面を有する周壁を有する長尺部材と、長尺部材の長さに沿って延在し、第1の感受率を有する第1の材料から形成された、周壁内に配設された補強部材と、補強部材より遠位に周壁内に配設され、第1の材料とは異なる、第1の感受率より大きい第2の感受率を有する第2の材料から形成されたマーカとを備える。
【0009】
別の例示的な医療機器は、近位端、遠位端、並びに、外面及びルーメンを画定する内面を有する周壁を有する長尺部材と、周壁内に配設されたコイルを備え、長尺部材の長さに沿って延在し、第1の感受率を有する第1の材料から形成された補強部材と、補強部材より遠位に周壁内に配設され、第1の材料とは異なる、第1の感受率より大きい第2の感受率を有する第2の材料から形成されたマーカとを備える。
【0010】
別の例示的な医療機器は、近位端、遠位端、並びに、外面及びルーメンを画定する内面を有する周壁を有する長尺部材と、周壁内に配設され、長尺部材の長さに沿って延在し、第1の磁気感受率を有する第1の材料から形成された補強部材と、長尺部材に取り付けられ、第1の磁気感受率より大きい第2の磁気感受率を有する第2の材料から形成されたマーカとを備える。
【0011】
別の例示的な医療機器は、近位端、遠位端、並びに、外面及びルーメンを画定する内面を有する周壁を有する長尺部材と、周壁内に配設され、長尺部材の長さに沿って延在し、第1の磁気感受率を有する第1の材料から形成された補強部材と、補強部材より遠位に周壁内に配設され、第1の材料とは異なる、第1の磁気感受率より大きい第2の磁気感受率を有する第2の材料から形成されたマーカとを備える。
【0012】
別の例示的な医療機器は、近位端、遠位端、並びに、外面及びルーメンを画定する内面を有する周壁を有する長尺部材と、周壁内に配設されたコイルを備え、長尺部材の長さに沿って延在し、第1の磁気感受率を有する第1の材料から形成された補強部材と、補強部材より遠位に周壁内に配設され、第1の材料とは異なる、第1の磁気感受率より大きい第2の磁気感受率を有する第2の材料から形成されたマーカとを備える。
【0013】
別の例示的な医療機器は、近位端、遠位端、並びに、外面及びルーメンを画定する内面を有する周壁を有する長尺部材と、周壁内に配設されたメッシュを備え、長尺部材の長さに沿って延在し、第1の磁気感受率を有する第1の材料から形成された補強部材と、補強部材より遠位に周壁内に配設され、第1の材料とは異なる、第1の磁気感受率より大きい第2の磁気感受率を有する第2の材料から形成されたマーカとを備える。
【0014】
MRI下で介入的治療を施行するさまざまな例示的な方法も含まれる。
【0015】
医療機器を製造するさまざまな例示的な方法が説明される。
【0016】
これらの及び他の例示的な介入用医療機器、MRI下での介入的治療の施行方法、並びに、医療機器の製造方法は、選択された例の詳細な説明、下記、及び参照用図面を確認することによってさらに理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】
図1に示される医療機器の拡大断面図である。
【
図3】
図1に示される医療機器の遠位端の拡大断面図である。
【
図4】
図1に示される管状医療機器のラインA-Aに沿った断面図である。
【
図5】
図1に示される管状医療機器のラインB-Bに沿った断面図である。
【
図6】
図1に示される管状医療機器のラインC-Cに沿った断面図である。
【
図7】
図1に示される管状医療機器のラインD-Dに沿った断面図である。
【
図8】例示的なイントロデューサシースの側面図である。
【
図9】別の例示的な医療機器の側面図であり、医療機器の遠位部の拡大図を含む。
【
図10】先行技術の医療機器及びある実施形態による医療機器の磁気共鳴画像である。
【
図11】先行技術の医療機器及びある実施形態による医療機器の磁気共鳴画像である。
【
図12】先行技術の医療機器及びある実施形態による医療機器の磁気共鳴画像である。
【
図13】先行技術の医療機器及びある実施形態による医療機器の磁気共鳴画像である。
【
図14】実施形態による3つの医療機器の磁気共鳴画像である。
【
図15】介入的治療を施行する例示的な方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
選択された例の簡単な詳細説明
以下の詳細な説明と添付の図面は、さまざまな例示的な介入用医療機器、イメージング方法、MRI下での介入的治療の施行方法、及び医療機器の製造方法を説明し、図解する。これらの例の説明及び図解は、当業者が介入用医療機器を製造、使用し、イメージング方法、MRI下での介入的治療の施行方法、及び介入用医療機器の製造方法を実行できるようにするために提供される。これらは本発明又はその保護の範囲を一切限定するものではない。本発明は、さまざまな方法で実践又は実行することができ、本明細書で説明及び図解される例は網羅的とはみなされない。
【0019】
本明細書で使用される場合、「取り付けられる」という用語は、1つの部材が他の部材に、これらの部材が、これらの部材を取り付けられた形態で含む製品の意図された使用に従って行われている使用中に互いに完全には分離されないように固定されることを指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「円周」という用語は、本体、要素、又は特徴物の外側の包囲境界を指し、本体、要素、又は特徴物について、いかなる構造的構成も付与しない。
【0021】
本明細書で使用される場合、「磁気感受率」という用語は、材料が印加磁界においてどれだけ磁化されるかに関する材料の固有特性を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「マーカ」という用語は、第2の材料上の第1の材料の、第1の材料がMRI下で目に見え、MRI下で第2の材料から区別できるような離散的堆積物、介入用機器の、第1の材料が第2の材料に第1及び第2の材料の組合せがMRI下で目に見え、MRI下で第2の材料から区別できるように組み込まれた部分、並びに、介入用機器の、介入用機器の一部を形成する材料が、MRI下で目に見え、MRI下で介入用機器のそれ以外の部分から区別できるように操作された部分を指す。
【0023】
本明細書で使用される場合、マーカに関する「受動的」という用語は、エネルギ供給されないか、又は磁気共鳴スキャナの電磁界によってのみエネルギ供給されるマーカを指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、「感受率」という用語は、「磁気」の直後にないときは、外部磁界に影響を与える要素の能力を指す。感受率は、要素のサイズ、密度、幾何学的構成、体積、及び他の物性を含む要素のさまざまな特性、並びに、要素が形成される材料の磁気感受率に依存する。
【0025】
本明細書で使用される場合、「治療」という用語は、患者の身体の一部の上又は中で行われる医療処置を指す。治療の例としては、血管内のある部位への薬剤の送達、血管の局所的環境内の、加熱又は冷却等による変調、及び患者の体内のある部位からの組織又は組織の一部の除去(すなわち、生検)を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、「ワイヤ」という用語は、材料のストランド又はロッドを指す。用語は、任意の特定の断面形状、組成、物性、又は参照される要素が作られた製造方法必要としない。
【0027】
図1、2、3、4、5、6、及び7は、例示的な医療機器100を示す。医療機器100は、近位端112と、遠位端114と、近位端112と遠位端114との間で延在する長手方向軸102と、近位端112から遠位端114まで延在する長さ104とを有する長尺部材110を含む。長尺部材110は、外面118とルーメン122を画定する内面120とを有する周壁116を有する。ルーメン122は、近位端112上の近位側開口124から遠位端114上の遠位側開口126まで延在する。補強部材128は、周壁116内に配設され、長尺部材110の長さ106に沿って延在する。補強部材128は、第1の感受率を有する第1の材料から形成される。マーカ130は、長尺部材110に取り付けられ、第1の感受率とは異なる第2の感受率を有する第2の材料から形成される。第1及び第2の材料は、同じ又は異なる可能性がある。よって、第1及び第2の材料は、同じ又は異なる磁気感受率を有する可能性がある。
【0028】
長尺部材110は、補強部材128を製造中に周壁116内に配設できるようなポリマー材料から形成される。任意のポリマー材料を使用することができ、当業者は、トルク性及び押込性などの、医療機器の所望の任意の所望の取扱い及び性能特性を含む、さまざまな検討事項に基づいて、特定の実施形態による医療機器における長尺部材のための好適なポリマー材料を選択することができるであろう。好適なポリマー材料の例は、ポリアミド材料などの熱成形可能なポリマー材料を含むが、これに限定されるものではない。これらのポリマー材料は、少なくとも、熱成形又は熱収縮プロセス中に、融解し、要素間及び要素のまわりを流れるそれらの能力のために、望ましいと考えられる。ナイロンは、少なくとも、その入手のしやすさ及び適切に特徴付けられた性質のために、特に有利であると考えられる。
【0029】
長尺部材110は、任意の好適な形態を有することができ、当業者は、医療機器の用途及び医療機器が配置されることが意図される任意の血管の性質を含む、いくつかの検討事項に基づいて、特定の実施形態による医療機器のための好適な形態を選択することができるであろう。示された例において、長尺部材110は、遠位側開口126が近位側開口124の直径と同じ直径を有するような、外面118に沿ったテーパ134を画定する遠位部132を含む。たとえば、周壁116の厚さは、遠位部132にわたって徐々に小さくなる可能性があり、一方、ルーメン122の内径は、遠位部132にわたって連続的である。代替的に、長尺部材110は、遠位側開口126が近位側開口124の直径より小さい直径を有するような、外面118及び内面120の両方に沿ってテーパ134を画定する遠位部132を含むことができる。同じく代替的に、長尺部材110は、その長さに沿って略連続的な外径及び内径を有することができる。
【0030】
長尺部材は、任意の好適な軸方向長さを有することができ、当業者は、医療機器の用途及び医療機器が配置されることが意図される任意の血管の性質を含む、さまざまな検討事項に基づいて、特定の実施形態による医療機器のための好適な長さを選択することができるであろう。本発明による医療機器における長尺部材に好適と考えられる長さの例は、100センチメートルに等しい、100センチメートルより大きい、100センチメートルより小さい、又は、約100センチメートル、110センチメートル、120センチメートル、130センチメートル、140センチメートル、240センチメートル、250センチメートル、260センチメートル、270センチメートル、280センチメートル、約50センチメートル~約350センチメートル、約100センチメートル~約280センチメートル、約120センチメートル~約260センチメートル、及び、特定の実施形態による医療機器に好適と考えられる任意の他の長さを含むが、これらに限定されるものではない。
【0031】
図2及び4に最も良く示されているように、補強部材128は、補強部材128が長尺部材110の厚さの中に完全に配設されるように、且つ、補強部材128の一部が長尺部材110の外面118又は内面120のいずれかの任意の部分を破らないように、長尺部材110の周壁116の厚さの中に埋め込まれる。補強部材128は、ルーメン122のまわりで、長尺部材110の軸方向長さ106に沿って延在する。補強部材128は、第1の感受率を有する金属又は合金から形成され、マーカ130の磁気感受率より小さい磁気感受率を有する。
【0032】
補強部材128は、ルーメン122のまわりで、長尺部材110の軸方向長さ106に沿って所望の延長部を提供する、長尺部材110に対する任意の好適な構造的構成を有することができる。当業者は、医療機器の任意の所望の取扱特性を含む、さまざまな検討事項に基づいて、特定の実施形態による医療機器における補強部材のための望ましい構造的構成を選択することができるであろう。示される実施形態において、補強部材110は、厚さ136を有し、ルーメン122のまわりで、長尺部材110の軸方向長さ106に沿って延在するコイル138に形成されるワイヤ135を備える。コイル138の隣接するターンは、隙間140によって分離される。しかし、特定の実施形態による医療機器の補強部材は、他の別の構造的構成を有することができる。たとえば、補強部材は、中断されたコイル、その軸方向長さに沿って可変ピッチを有するコイル、その軸方向長さに沿って可変直径を有するコイル、及び、これらの構造的構成の組合せを形成することができる。
図2Aは、補強部材128’がワイヤ部材135’のメッシュ138’を備える代替的な長尺部材110’を示す。
図2に示される実施形態と同様に、補強部材128’は、補強部材128’が長尺部材110’の厚さの中に完全に配設されるように、周壁116’の厚さの中に埋め込まれ、メッシュ138’の一部が長尺部材110’の外面118’又は内面120’から飛び出すことはない。また、
図2に示される実施形態と同様に、補強部材128’は、長尺部材110’のルーメン122’のまわりで延在する。補強部材のための好適な構造的構成の他の例は、六角形状又は八角形状セルなどの複数のセルを形成する二次構造、或いは、補強部材が長尺部材のルーメンのまわりで(たとえば、部分的に、完全に)延在する編組された材料を備え、長尺部材の周壁の厚さの中に(たとえば、完全に)埋め込まれたものを含むがこれらに限定されるものではない。
【0033】
補強部材128は、マーカ130の感受率とは異なる感受率を有する。したがって、補強部材128は、マーカ130の感受率と比較しての所望の相対感受率を提供する任意の金属、合金、又は他の材料から形成することができる。当業者は、医療機器におけるマーカの組成を含む、さまざまな検討事項に基づいて、特定の実施形態による医療機器における補強部材のための好適な材料を選択することができるであろう。本発明による医療機器の補強部材及びマーカのための材料、特性、及び構造的構成の好適な組合せは、以下に詳細に記載される。補強部材のための好適な材料の例は、チタン、合金、たとえば、コバルトクロム合金などの、1重量%以下の鉄を含有する合金、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマー材料、及び、他の材料を含むがこれらに限定されるものではない。
【0034】
補強部材128は、長尺部材110の任意の軸方向長さに沿って延在することができ、当業者は、医療機器の任意の所望の取扱特性を含む、さまざまな検討事項に基づいて、特定の実施形態による医療機器のために好適な軸方向長さを選択することができるであろう。
図1に最も良く示されているように、例示的な医療機器100の補強部材128は、長尺部材110の軸方向の全長104より小さい軸方向長さ106に沿って延在する。長尺部材110の近位部142は、近位端112を含み、補強部材128がない。すなわち、補強部材128は、終了し、長尺部材110の近位部142まで延在しない。同様に、長尺部材110の遠位部132は、遠位端114を含み、補強部材128がない。よって、補強部材128は、終了し、長尺部材110の遠位部132まで延在しない。マーカ130を補強部材128の遠位端から軸方向に切り離すことは、有利であると考えられる。これらの要素のこの軸方向の分離は、これらの要素を形成する材料の相対感受率の点で、望ましいイメージング特性を提供し、さらに、補強部材を含む長尺部材の他の部分に与えられる有利な取扱特性を犠牲にすることなく、補強部材を含む長尺部材の部分に対して、遠位端に望ましい剛性を提供する。よって、
図1に最も良く示されているように、長尺部材110の遠位部132は、補強部材128がない。しかしながら、代替的に、マーカは、本明細書に記載されるように、マーカを形成する材料、又は、マーカを形成する材料の一部が、補強部材の残りの部分を形成する材料の感受率とは異なる感受率を有するように、補強部材の一部として形成することができる(たとえば、取り付けられる、同じ材料から形成される)。
【0035】
特定の実施形態による医療機器の補強部材のための好適な軸方向長さの例は、医療機器の長尺部材の軸方向長さの100%、医療機器の長尺部材の軸方向長さの約100%、医療機器の長尺部材の軸方向長さの100%未満、医療機器の長尺部材の軸方向長さの約95%、医療機器の長尺部材の軸方向長さの約90%、医療機器の長尺部材の軸方向長さの約85%、及び、医療機器の長尺部材の軸方向長さの約80%を含むがこれらに限定されるものではない。特定の実施形態による医療機器の補強部材のための好適な軸方向長さの他の例は、医療機器の長尺部材の軸方向長さの約50%~約100%、医療機器の長尺部材の軸方向長さの約60%~約95%、医療機器の長尺部材の軸方向長さの約70%~約95%、医療機器の長尺部材の軸方向長さの約80%~約95%、及び、医療機器の長尺部材の軸方向長さの約90%~約95%を含むがこれらに限定されるものではない。
【0036】
図1及び6に最も良く示されているように、マーカ130は、マーカ130が長尺部材110の厚さの中に完全に配設されるように、且つ、マーカ130の一部が長尺部材110の外面118又は内面120のいずれかの任意の部分を破らないように、長尺部材110の周壁116の厚さの中に埋め込まれる。例示される実施形態において、マーカ130は、長尺部材110のルーメン122のまわりで延在する。マーカ130は、受動的なマーカであり、金属又は合金から形成され、補強部材128の感受率とは異なる感受率を有する。
【0037】
マーカ130は、任意の構造的構成を有することができ、当業者は、医療機器がMRIなどのイメージングモダリティとともに使用されるときの任意の所望の視覚化特性を含む、さまざまな検討事項に基づいて、特定の実施形態による医療機器のために好適な構造的構成を選択することができるであろう。好適な構成の例は、リング、ストリップ、プラグ、捩れバンド、捩れリング、互いに取り付けられた複数のバンド、互いに取り付けられた複数のリング、及び、他の構成を含むがこれらに限定されるものではない。
図1及び6に示されるような材料の周状バンドは、特に有利であると考えられる。また、医療機器は任意の数のマーカを含むことができ、当業者は、医療機器がMRIなどのイメージングモダリティとともに使用されるときの任意の所望の視覚化パターンを含む、さまざまな検討事項に基づいて、特定の実施形態による医療機器のためのマーカの好適な数を選択することができるであろう。好適な数の例は、1、1より多い、2、複数、3、3より多い、4、5、6、7、8、9、10、及び10より多い、を含むがこれらに限定されるものではない。
【0038】
マーカ130は、補強部材128に対する任意の好適な位置に配設することができ、当業者は、医療機器がMRIなどのイメージングモダリティとともに使用されるときの任意の所望の視覚化パターンを含む、さまざまな検討事項に基づいて、特定の実施形態による医療機器における補強部材に対するマーカのための好適な位置を選択することができるであろう。
図1に最も良く示されているように、例示的な医療機器100のマーカ130は、長尺部材110の遠位部132において、補強部材128より遠位に位置付けられる。好適な位置の他の例は、マーカが補強部材に重なるような補強部材を含む長尺部材の軸部の中、補強部材より近位である長尺部材の軸部の中、長尺部材の遠位端、長尺部材の近位端、及び、複数のマーカによるこれらの位置の組合せを含むがこれらに限定されるものではない。
【0039】
マーカ130は、補強部材128の磁気感受率とは異なる感受率を有する。したがって、マーカは、補強部材128の感受率と比較しての所望の相対感受率を提供する任意の金属、合金、又は他の材料から形成することができる。当業者は、医療機器における補強部材の組成を含む、さまざまな検討事項に基づいて、特定の実施形態による医療機器におけるマーカのための好適な材料を選択することができるであろう。本発明による医療機器の補強部材及びマーカのための材料の好適な組合せは、以下に詳細に記載される。マーカのための好適な材料の例は、チタン、ニッケル、及び他の金属などの金属、304Vステンレス鋼及び316LVMステンレス鋼を含むステンレス合金などの合金、強磁性材料、常磁性材料、少なくとも50重量%の鉄を含有する合金、粉末形態のものなどの強磁性及び常磁性化合物、タンタル粉末、硫酸バリウム、オキシ塩化ビスマス、タングステン、酸化鉄ナノ粒子、官能性マグネタイト、ガドリニウム、フェライト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼粉末、316ステンレス鋼、タングステン、ビスマス、及び他のものなどの別の材料が配合されたナイロン、並びに、特定の実施形態に好適と考えられる任意の他の材料を含むがこれらに限定されるものではない。医療機器の長尺部材の周壁にマーカを組み込むことの代わりに、代替の実施形態は、内面又は外面などの長尺部材の表面上に配設されたマーカを含むことができる。たとえば、マーカを、医療機器の長尺部材の内面又は外面上に印刷又は接着することができる。たとえば、医療機器の補強部材の磁気感受率より大きい磁気感受率を有する材料を含有するインク、たとえば、磁性粒子を含有するインク、酸化鉄ナノ粒子を含有するインク、又は、リン脂質に結合された酸化鉄ナノ粒子を含有するインクは、長尺部材の外面及び/又は内面上に印刷して、ある実施形態による医療機器においてマーカを形成することができる。また、マーカは、化学気相蒸着などの他の好適なプロセスによって表面上に配設することができる。同じく代替的に、医療機器における補強部材の磁気感受率より大きい磁気感受率を有する材料を含むテープ、たとえば、磁気テープは、長尺部材の外面又は内面に接着し、ある実施形態による医療機器においてマーカを形成することができる。特定の実施形態による医療機器に含むマーカの選択は、医療機器が使用されることが意図される磁界の強さにも基づくことができる。たとえば、マーカを含む医療機器は、1つ又は複数の磁界の強さ(0.55T、1.5T、又は3.0T)を利用するMRI下で、1つ又は1つより多い介入処置を完了するために利用することができる。材料は、これらの予想される磁界の強さ、及び、特定の材料から形成されて、特定の構造的構成を有するマーカによって生成される予想される視覚的アーチファクトに基づいて、ある実施形態による医療機器におけるマーカのために選択することができる。
【0040】
本発明による医療機器の補強部材は、医療機器におけるマーカの感受率とは異なる感受率を有する。よって、本発明による医療機器のマーカは、医療機器における補強材の感受率とは異なる感受率を有する。これらの要素に関する感受率のこの相対関係を提供するこれらの要素のための材料の任意の組合せは、本発明による医療機器の性能にきわめて重要であると考えられ、特定の実施形態による医療機器において使用することができる。実際、補強部材及びマーカは、これらの要素の感受率の相対関係が提供される限り、同じ又は異なる材料から形成することができる。いくつかの実施形態において、異なる磁気感受率を有する異なる材料が、補強部材及びマーカのために使用される。これらの実施形態において、補強部材及びマーカは、異なる感受率を有し、異なる磁気感受率を有する材料から形成される。これらの実施形態に関して、当業者は、特定の実施形態による医療機器におけるこれらの要素の一方のための材料を、これらの要素の他方の組成、及び、医療機器のための任意の所望の性能特性又はイメージング特性を含む、さまざまな検討事項に基づいて、選択することができるであろう。補強部材及びマーカのための異なる材料の好適な組合せの例は、補強部材のための第1の材料及びマーカのための第2の異なる材料、たとえば、補強部材のための常磁性材料及びマーカのための強磁性材料、補強部材のための1重量%以下の鉄を含有する合金及びマーカのための少なくとも50重量%の鉄を含有する合金、補強部材のためのコバルトクロム合金及びマーカのためのステンレス鋼、並びに、補強部材のためのMP35Nなどのニッケルコバルト合金及びマーカのための304Vのステンレス鋼又は316LVMステンレス鋼のなどのステンレス鋼を含むがこれらに限定されるものではない。他の実施形態において、補強部材及びマーカは、同じ材料から形成される。これらの実施形態において、補強部材及びマーカは異なる感受率を有するが、補強部材及びマーカは同じ磁気感受率を有する。たとえば、示される実施形態において、補強部材128及びマーカ130は、同じ材料から形成することができ、補強部材128及びマーカ130に同じ磁気感受率を与える。これらの要素128、130に異なる感受率を提供するために、一方は、加工硬化させることができる、又は、他方の感受率とは異なる感受率を提供するいくつかの方法で操作することができる。
【0041】
補強部材のための好適な材料の例は、チタンなどの金属、合金、たとえば、ステンレス鋼、ニッケル含有合金、コバルト含有合金、コバルトクロム合金などの1重量%以下の鉄を含有する合金、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマー材料、ガラス繊維などを含むがこれらに限定されるものではない。
【0042】
医療機器100は、追加の任意選択の構成要素を含むことができる。たとえば、ライナー、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの滑性フルオロポリマーから形成されるライナーを、周壁の内面120上に配設することができる。また、ハンドル、コネクタ、又は他の構成要素を長尺部材110の近位端112に取り付けて、使用中の医療機器100の取扱いを支援する、又は、カテーテルなどの他の医療機器との医療機器100の使用を容易にすることができる。
【0043】
本発明による医療機器は、特定の医療機器の用途に応じて、さまざまな構成をとることができる。
図1、2、3、4、5、6、及び7に示される医療機器は、1つの例示的な構成である。
図8は、別の例示的な医療機器200を示す。医療機器200は、ヒトなどの動物の血管における、別の介入用医療機器、たとえば、カテーテル、ステント、ステントグラフト、弁、フィルタ、コイル、ビーズ或いは粒子などの塞栓術デバイスの配置、送達、又は展開に役立つイントロデューサシースである。医療機器200は、以下に詳述することを除いて、上述の医療機器100と類似している。よって、医療機器200は、近位端212と、遠位端214と、近位端212と遠位端214との間で延在する長手方向軸202と、近位端212から遠位端214まで延在する長さ204とを有する長尺部材210を含む。長尺部材210は、外面218とルーメン222を画定する内面220とを有する周壁216を有する。ルーメン222は、近位端212上の近位側開口(図には示されていない)から遠位端214上の遠位側開口226まで延在する。補強部材228は、周壁216内に配設され、長尺部材210の長さ206に沿って延在する。補強部材228は、第1の感受率を有する第1の材料から形成される。第1のマーカ230は、長尺部材210に取り付けられ、第2の感受率を有する第2の材料から形成される。第2のマーカ250は、長尺部材210に取り付けられ、第3の感受率を有する第3の材料から形成される。第1、第2、及び第3の材料は、同じ又は異なる可能性がある。第2及び第3の感受率は同じ又は異なる可能性があるが、それぞれ、第1の感受率とは異なる。先細遠位端を有するダイレータは、たとえば、従来のワイヤガイド(図示せず)を越えて、血管アクセス部位にアクセスして、拡張するために、長尺部材210のルーメン222を通して、長手方向に配設することができる。
【0044】
この例では、コネクタハブ270は、長尺部材210の近位端212のあたりに取り付けられる。コネクタハブ270は、医療機器200の使用中、コネクタハブ270を通しての流体の逆流を防ぐために、従来のシリコーンディスク(図には示されていない)を含んでもよい。コネクタハブ270は、ポリマー管274及びルアーロックコネクタなどの他の構成要素が従来の方法でそれを通して流体を導入及び吸引するために接続することができるサイドアーム272も含む。
【0045】
この例では、医療機器200は、第1のマーカ230及び第2のマーカ250を含む。第1のマーカ230及び第2のマーカ250のそれぞれは、補強部材228より遠位に配設される。そのそれぞれが補強部材228の感受率とは異なる感受率を有する複数のマーカのこの位置決めは有利であると考えられるが、それは、少なくとも、医療機器200の使用中、血管の治療点に又はその近くに、且つ、補強部材より遠位に最終的に位置付けられる医療機器200の軸方向長さ上の位置にマーカを位置付けるためである。MRIなどのイメージングモダリティとともに使用されるとき、この位置決めは、相対感受率とともに、医療機器200の遠位部232の配置の確認のために使用することができる望ましいイメージングアーチファクトを提供する。
【実施例】
【0046】
図9は、長尺部材310と、MP35Nニッケルコバルトから形成されたコイルを備える補強部材328と、補強部材328より遠位に配設されて、304Vステンレス鋼の周方向リングを備えるマーカ330とを含む例示的な医療機器300を示す。
【0047】
図10及び
図11のそれぞれは、ステンレス鋼コイルを備える補強部材を有する先行技術の医療機器(両図の左側)、及び、
図9に示される医療機器300(両図の右側)からの磁気共鳴画像におけるアーチファクトを示す。
図10は、ファントム溶液としての硫酸銅において、1.5Tのスピンエコー画像化シーケンスの下でとられた画像である。
図11は、ファントム溶液としての硫酸銅において、3Tのスピンエコー画像化シーケンスの下でとられた画像である。
【0048】
図12及び
図13のそれぞれは、ステンレス鋼コイルを備える補強部材を有する先行技術の医療機器(両図の左側)、及び、
図9に示される医療機器300(両図の右側)からの磁気共鳴画像におけるアーチファクトを示す。
図12は、ファントム溶液としての硫酸銅において、1.5Tの勾配再集束エコー(GRE)画像化シーケンスの下でとられた画像である。
図13は、ファントム溶液としての硫酸銅において、3Tの勾配再集束エコー(GRE)画像化シーケンスの下でとられた画像である。
【0049】
図14は、本発明の実施形態による第1、第2、及び第3の例示的な医療機器からの磁気共鳴画像におけるアーチファクトを示す。第1の例示的な医療機器は、MP35Nニッケルコバルトから形成されたコイルと、補強部材より遠位に配設されて、304Vステンレス鋼の周状バンドを備える単一のマーカとを備える。第2の例示的な医療機器は、MP35Nニッケルコバルトから形成されたコイルと、補強部材より遠位に配設されて、304Vステンレス鋼の捩れ周状バンドを備える単一のマーカとを備える。第3の例示的な医療機器は、MP35Nニッケルコバルトから形成されたコイルと、補強部材より遠位に配設されて、316LVMステンレス鋼の周状バンドを備える単一のマーカとを備える。
【0050】
図15は、MRI下で介入的治療を施行する例示的な方法400の略図である。
【0051】
最初のステップ410は、ヒトなどの動物の血管内の第1の位置へと、医療機器のマーカが血管内の第2の位置に配設されるまで、医療機器の遠位端を進めることを含む。別のステップ412は、磁気共鳴スキャナを使用して血管内の第2の位置を含む血管の一部をスキャンすることを含む。別のステップ414は、画像が血管の一部の中のマーカの存在を示すアーチファクトを含むような血管の一部の磁気共鳴画像を取得することを含む。別のステップ416は、マーカの存在によって生成された画像におけるアーチファクトを見ることを含む。別のステップ418は、血管に関するアーチファクトの位置に基づいて、医療機器を操作することを含む。別のステップ420は、血管から医療機器を抜去することを含む。
【0052】
医療機器の遠位端を進めるステップ410は、本明細書に記載の例示的な医療機器の任意のものなどの、本発明の実施形態による医療機器を使用して施行される。よって、医療機器は、ルーメンを画定する長尺部材と、長尺部材の周壁内に配設され、第1の磁気感受率を有する金属又は合金を備える補強部材と、長尺部材の周壁内に配設された又はそれ以外の方法で取り付けられた、第1の磁気感受率より大きい第2の磁気感受率を有する金属又は合金を備える少なくとも1つのマーカとを含む。
【0053】
ステップ412は、勾配再集束エコーイメージング、スピンエコーイメージング、定常状態プレセッションを有するトゥルーファーストイメージング、FLASH(fast low flip angle shot)スポイルグラディエントエコーイメージング、0.55T、1.5T、3T、約0.055T~1.5T、及び、1T未満の磁界などの磁界の強さ、スライス厚、フリップ角、視野、分解能、勾配磁場、並びに、特定の実施形態に好適と考えられる任意の他の画像パラメータなどの、任意の好適な数及びタイプの磁気共鳴画像パラメータを有する磁気共鳴スキャナを使用して、血管の一部をスキャンすることによって実現することができる。
【0054】
ステップ414は、ステップ412で使用された磁気共鳴スキャナから磁気共鳴画像を取得することによって実現することができる。
【0055】
ステップ416は、ステップ414で取得された磁気共鳴画像を精査し、医療機器のマーカの存在に基づいて画像におけるアーチファクトを特定することによって実現することができる。
【0056】
ステップ418は、介入的治療を施行する方法400の所望の臨床転帰を達成する、又はその達成に寄与する方法で行われる。よって、医療機器を操作するステップ418の性質は、医療機器及び所望の臨床転帰の性質に依存するであろう。このステップのために行うことができる好適な行為の例は、医療機器を身体通路内で軸方向に前進させること、医療機器を身体通路内で回転させること、医療機器の長尺部材のルーメンを通して別の医療機器を前進させること、医療機器の長尺部材のルーメン内の位置から別の医療機器を展開すること、及び、医療機器の一部を軸方向に引き戻して、別の医療機器又は別の医療機器の一部を血管内で半径方向に拡張できるようにすることを含むがこれらに限定されるものではない。代替的実施形態において、ステップ418は、介入用医療機器の操作が望まれない場合、方法400から省くことができる。
【0057】
血管から医療機器を引き戻すステップ420は、医療機器の遠位端が血管内にもはや配置されていないところまで医療機器を血管から軸方向に後退させることによって行われる。
【0058】
磁気共鳴スキャニングにより行われるステップのいずれも、任意の好適な磁気共鳴スキャナを使用して実現することができ、これはたとえば、従来の磁気共鳴スキャナ、0.55Tの磁界、1.5Tの磁界、3Tの磁界、約0.055T~1.5Tの磁界、1T未満の磁界を利用する磁気共鳴スキャナ、及び特定の実施形態に好適であると考えられる任意の他の磁気共鳴スキャナである。
【0059】
医療機器の製造方法は、第1の材料から形成されて、長尺部材の周壁内で第1の感受率を有する補強部材を配設することと、第2の材料から形成されて、第1の感受率とは異なる第2の感受率を有するマーカを長尺部材の周壁に取り付けることとを含む。第1の材料及び第2の材料は、同じ又は異なる可能性がある。よって、第1の材料及び第2の材料は、同じ又は異なる磁気感受率を有する可能性がある。1つの例示的な方法において、第1及び第2の材料は同じであり、マーカを加工硬化させるさらなるステップは、マーカ及び補強部材に異なる感受率を提供するために含まれる。
【0060】
当業者であれば、本開示の教示全体を参照すれば、本明細書で説明され、図解された例に対するさまざまな改良及び変更を考案できること、並びに、本明細書で説明され、図解された1つの例のさまざまな要素及び特徴を、他の例のさまざまな要素及び特徴と、本発明の範囲から逸脱することなく組み合わせることができることがわかるであろう。したがって、本明細書で開示される要素及びステップの特定の配置は、本発明者が単に発明の例を説明し、図解するために選択したにすぎず、添付の特許請求の範囲及びそのあらゆる等価物の全範囲により付与される本発明又はその保護の範囲を限定しようとするものではない。
【国際調査報告】