(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-11
(54)【発明の名称】回転エンコーダを備えた電気モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 11/215 20160101AFI20250304BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20250304BHJP
H02K 7/102 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
H02K11/215
H02K11/33
H02K7/102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024569672
(86)(22)【出願日】2023-02-13
(85)【翻訳文提出日】2024-10-10
(86)【国際出願番号】 FR2023050191
(87)【国際公開番号】W WO2023152457
(87)【国際公開日】2023-08-17
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524303751
【氏名又は名称】イーズィー-ホイール
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・ガルド
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ・ジュアン
【テーマコード(参考)】
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
5H607BB01
5H607BB14
5H607CC03
5H607CC07
5H607DD03
5H607DD08
5H607DD19
5H607EE07
5H607EE10
5H607HH01
5H607HH09
5H611AA01
5H611BB01
5H611PP07
5H611QQ03
5H611RR02
5H611TT01
5H611UA04
5H611UA08
(57)【要約】
本発明は、ロータ(2)を担持する駆動シャフト(5)と、モータに固定されている電子基板(3、3´)上の前記モータのステータの巻線相(20)に電力を供給しかつ制御するためのデバイスと、1つ以上の角度エンコーダと、を含む電気モータ(1)であって、前記角度エンコーダは、前記電子基板上に配置されているセンサ(7、7´)と、駆動シャフト上にセンサに対向して配設されている角度符号化素子(6)と、を含み、前記電子基板は、前記巻線を制御するためのパワーエレクトロニクス(33)と、前記巻線の相を計算し制御するユニット(34)と、を含む、電気モータ(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ(2)を担持するモータシャフト(5)と、モータに固定されている電子回路基板(3、3´)上の前記モータのステータの巻線相(20)に電力を供給しかつ制御するためのデバイスと、1つ以上の角度エンコーダと、を備える電気モータ(1)であって、前記角度エンコーダは、前記電子回路基板上に配置されているセンサ(7、7´)と、前記モータシャフト上に前記センサに対向して配設されている角度符号化素子(6)と、を含むこと、および前記電子回路基板は、前記巻線を制御するためのパワーエレクトロニクス(33)と、前記巻線の相を計算し制御するためのユニット(34)と、を含むことを特徴とする、電気モータ(1)。
【請求項2】
前記電子回路基板(3)を前記モータシャフトが貫通する、請求項1に記載の電気モータ。
【請求項3】
前記電子回路基板は、前記モータシャフト(5)が貫通する、後面と呼ばれる、モータケーシング(21)の面(21a)上に固定されている、取外し可能かつ交換可能なフランジ(4)内に配置され、前記フランジは、前記モータシャフト(5)が貫通する穴部が設けられた底部(41)と、前記電子回路基板の外周を取り囲む境界部(42)と、を含み、前記センサは、前記モータシャフト(5)によって担持されている前記角度符号化素子(6)に対向して配置されている、請求項1または2に記載の電気モータ。
【請求項4】
前記角度符号化素子(6)は、多電磁石および磁場センサのセンサ(7、7´)である、請求項1、2、または3に記載の電気モータ。
【請求項5】
前記フランジに固定された後部キャップ(8)を備え、前記後部キャップと前記フランジとは、前記電子回路基板を受容するための空間を包囲するハウジング(4、8)を形成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項6】
前記フランジは、前記電子回路基板の前記ハウジングを分離し、かつ、密封状態にするために、前記多極磁石と1つ以上の前記センサとの間に配設されている、前記モータシャフト(5)と共通の軸を有する非磁性円筒形壁(9)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項7】
前記モータシャフト(5)は、前記後部キャップ(8)の開口部を貫通するセグメント(5a)によって延長されて、少なくとも1つの補完設備機器のための支持体を作り出す、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項8】
前記補完設備機器は、前記電子回路基板によって連結され(12)、かつ、制御されるディスク(11)と1つ以上のキャリパ(10)とを含む電気機械ブレーキ(10、11)であり、前記キャリパは、ブロックの前記後部キャップ(8)上に取り付けられており、前記ディスクは、前記貫通セグメント(5a)上に取り付けられている、請求項7に記載の電気モータ。
【請求項9】
前記モータシャフトの貫通のための穴部と、前記穴部の外縁に配設されている1つ以上の角度エンコーダセンサと、を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気モータのための電子回路基板。
【請求項10】
前記フランジにおいて前記ステータの電源ワイヤを一体にグループ化するコネクタ(43)に接続されるように適合されている、前記ステータの前記巻線の電源を接続するためのピン(32)を備える、請求項9に記載の電子回路基板。
【請求項11】
前記モータが1つ以上のホイールを駆動する操作デバイスの管理システムと通信するための通信構成要素(37)を備える、請求項9または10に記載の電子回路基板。
【請求項12】
前記基板は、前記通信構成要素を通じて外部コンピュータに、速度情報、モータの位置増分、およびモータの回転方向の計算結果を供給するようにプログラムされる、請求項11に記載の電子回路基板。
【請求項13】
請求項1から8のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの電気モータと、請求項9から12のいずれか一項に記載の電子回路基板と、を備える、転動車両。
【請求項14】
請求項9から12のいずれか一項に記載の基板が備え付けられた、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気モータを組み立て、かつ較正する方法であって、前記モータの組立ておよび前記電子回路基板の組立て後に、
a. 前記角度符号化素子(6)を前記モータシャフト(5)上に固定するステップと、前記センサ(7)が備え付けられた前記基板(3)を、前記モータ上のその最終機械的位置に固定するステップであり、前記基板の前記センサ(7)に対する前記磁石(6)の相対角度位置が、任意かつ未知である、固定するステップと、
b. 完全な回転の間に、定められた回転場を生成する、定められた三相電圧の印加と同時に、前記モータの前記ステータ(20)を制御することにより回転磁場を印可することによって、前記ロータ(2)を強制的に回転させるステップと、
c. 前記シャフトの前記強制された回転の間に、前記磁石によって誘発された前記磁場の状態を前記センサ(7)を用いて測定するステップと、前記センサによって測定された前記磁場の前記状態と、前記ステータに印加された前記場による前記モータの前記回転において与えられる位置と、の間の角度偏差を前記計算ユニット(34)によって判定するステップと、
を含み、
前記測定された状態と前記与えられた位置との間の前記偏差は、前記基板内の固定メモリ内に格納され、モータ/エンコーダ/基板組立体の較正データを構成する、ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気モータ、特に、ロボット化された操作デバイスのホイールなどのホイールを駆動する電気モータの制御の分野に関し、回転エンコーダが設けられた電気モータに関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールを駆動する電気モータは、例えば電池のような直流源によって電力を供給されるモータ制御電子機器によって制御されるモータであり得る。モータの回転を正確に制御するという目的のために、モータのロータの回転の位置および速度を知ることが有益である。一般に、回転エンコーダは、モータのシャフト上に取り付けられた回転部と、この情報をモータ制御装置へ戻すためのセンサと、を備える。
【0003】
エンコーダのセンサは、一般に、モータに固定されており、モータ内に配設されているモータ制御電子機器に、ワイヤによって連結されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に、ロボット化された操作デバイスでは、モータおよびその制御電子機器をよりコンパクトにすること、組立体の動作をより確実にすること、および、この組立体の修復性を平易にすることが望ましい。本開示は、このために、モータ回転エンコーダのセンサを前記電子機器内に組み込むことを提案しており、電子機器はモータ上に追加される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本開示は、ロータを担持するモータシャフトと、モータに固定されている電子回路基板上の前記モータのステータの巻線相に電力を供給しかつ制御するためのデバイスと、1つ以上の角度エンコーダと、を備える電気モータであって、前記角度エンコーダは、前記電子回路基板上に配置されているセンサと、モータシャフト上に該センサに対向して配設されている角度符号化素子と、を含み、前記電子回路基板は、前記巻線を制御するためのパワーエレクトロニクスと、前記巻線の相を計算し制御するためのユニットと、を含む、電気モータ、を提案する。
【0006】
これは、コンパクトでありかつ容易に設置され得るブロックを作り出すことを可能にすると同時に、基板が可能性のある修復のために除去されることを可能にする。
【0007】
次の段落に記載されている特徴は、任意選択で、互いに独立して、または互いに組み合わせて実施され得る。
【0008】
第1の実施形態によれば、電子回路基板をモータシャフトが貫通する。代替的実施形態によれば、電子回路基板はシャフトの端部に対向する。
【0009】
電子回路基板は、前記モータシャフトが貫通する、後面と呼ばれるモータケーシングの面上に固定されている、除去可能な交換可能なフランジ内に配置されていることが有利であり、前記フランジは、前記モータシャフトが貫通する穴部と、電子回路基板の外周を取り囲んでいる境界部と、が設けられた底部を含み、前記センサは、前記モータシャフトによって担持されている前記角度符号化素子に対向して、配置されている。
【0010】
角度符号化素子は、埃または塵が測定を妨害することを回避する、多極磁石および磁場センサのセンサであることが有利である。
【0011】
後部キャップがフランジに固定されることが可能であり、該後部キャップと該フランジとは、前記電子回路基板を受容するための空間を包囲するハウジングを形成する。したがって、モータに固定されている該基板およびモータシャフトは保護される。
【0012】
フランジは、前記電子回路基板のハウジングを分離し、かつ、密封状態にするために、多極磁石と1つ以上のセンサとの間に配設されている、モータシャフトと共通の軸を有する非磁性円筒形壁を含み得る。
【0013】
モータシャフトは、後部キャップの開口部を貫通するセグメントによって延長されて、少なくとも1つの補完設備機器のための支持体を作り出すことができる。
【0014】
前記補完設備機器は、ディスクと、前記電子回路基板によって連結され、かつ、制御される1つ以上のキャリパと、を含む電気機械ブレーキとすることができ、前記キャリパは、ブロックの後部キャップ上に取り付けられており、前記ディスクは、前記貫通セグメント上に取り付けられている。
【0015】
また、本開示は、前記モータシャフトおよび前記穴部の外縁に配設されている1つ以上の角度エンコーダセンサ用の貫通孔を含む、前述されている電気モータ用の電子回路基板に関する。
【0016】
電子回路基板は、フランジにおいてステータの電源ワイヤをグループ化するコネクタに接続されるように適合されている、ステータの巻線用の電源接続ピンを含み得る。したがって、基板はモータ電源ケーブルに容易に接続される。
【0017】
電子回路基板は、前記モータが1つ以上のホイールを駆動する操作デバイスの管理システムと通信するための通信構成要素を含み得る。
【0018】
基板は、前記通信構成要素によって、外部コンピュータに、速度情報、モータの位置増分、およびモータの回転方向の計算結果を供給するようにプログラムされ得る。
【0019】
また、本開示は、少なくとも、前述の請求項のいずれか一項に記載のモータと電子回路基板とを含む、転動車両(rolling vehicle)に関する。
【0020】
最後に、本開示は、記載されているように基板が備え付けられたモータを組み立て、較正する方法であって、モータの組立ておよび電子回路基板の組立て後に、
- 角度符号化素子をモータシャフト上に固定するステップと、センサを備え付けられた基板を、モータ上のその最終的な機械的位置内に固定するステップであり、基板のセンサに対する磁石の相対角度位置が任意かつ未知である、固定するステップと、
- 完全な回転の間に、定められた回転場を作り出す、定められた三相電圧の印加と同時に、モータのステータの制御により回転磁場を印可することによって、ロータを強制的に回転させるステップと、
- シャフトの強制された回転中に磁石によって誘発された磁場の状態をセンサによって測定するステップと、センサによって測定された磁場の前記状態とステータに印加される場によってモータの回転において与えられる位置との間の角度偏差を計算ユニットによって判定するステップと、
を含み、
前記測定された状態と与えられた位置との間の偏差は、基板内の固定メモリ内に格納され、モータ/エンコーダ/基板組立体の較正データを構成する、
方法、に関する。
【0021】
他の特徴、詳細、および利点は、以下の詳細な説明を読み、添付図面を分析すれば、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】補完的実施形態による概略横断面側面図である。
【
図3】フランジ内に電子回路基板が備え付けられたモータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで、縦断面において概略的に示す
図1を参照する。電気モータ1が、モータシャフト5上のロータ2と、電子スイッチを備えた制御デバイスによって、その巻線20が電力を供給されるステータと、を含む。BLDCモータの略語で知られているブラシレス直流モータタイプのそのようなモータは、変換器によって制御され、直流モータに相当する。
【0024】
モータは、知られているように、モータ制御電子機器においてモータの巻線相に電力を供給しかつそれを制御するためのデバイスのプログラム可能なコンピュータによって独立して制御される、3つのMOSFETまたはIGBT電力ハーフブリッジを備えた電力スイッチングシステムによって、その相が電力を供給される、ブラシレス三相モータであり得る。
【0025】
モータの回転を正確に制御するという目的のために、モータのロータの回転の位置および速度を知ることが有用である。一般に、回転エンコーダがモータのシャフト上に取り付けられおり、この情報をモータ制御装置に戻す。本開示の例では、特に
図1、
図2および
図5において、該エンコーダは、制御駆動デバイスの電子機器によって直接、モータの速度および角度位置に関する情報を得ることを可能にするセンサに対向して、モータシャフト5上に取り付けられた、ここでは環状多極磁石、例えば
図4に示されている12対の極6a、6bを有する磁石、で構成されている角度符号化素子6に対向して、モータ制御電子回路基板3の直上にある磁気センサ7の統合によって、作り出される。
【0026】
図1および
図2によれば、基板3は、シャフト5が貫通する開口部を含み、センサは該開口部の外縁に存在し、
図5によれば、基板3´はシャフトの端部に対向して配置されており、センサ7´は、角度符号化素子6に対向して、基板のいわゆる底面上に配置されている。
【0027】
電子回路基板3は、例によれば、モータシャフトの軸に対して直角にフランジ4内に取り付けられている。該フランジは、モータの後端部と呼ばれる軸端部に、モータケーシング21の面21a上に配設されており、モータの後端部と電子回路基板との間の界面を作り出す。フランジは、モータの後壁21a上に固定されている底壁41と、境界部42と、を含み、フランジは、電子回路基板3が中でしっかりと固定されかつモータシャフトに対して配置される容器を形成する。
【0028】
角度エンコーダのセンサ7は、ここでは、例えばホール効果センサなどの磁場センサであり、前記基板を貫通するモータシャフト5上にそれ自体が配置されている環状多極磁石6に対向して、前記電子回路基板上に配置されている。
【0029】
センサは磁場センサタイプであり、特にホール効果センサとすることができる。
図3に示されているようにモータシャフト上の多極磁石の周囲に120°で分布されている3つのセンサは、操作デバイスのホイールを駆動するための手段としてのモータの動作の十分な精度を可能にする。
【0030】
光学センサと光学エンコーダホイールとを含む光学エンコーダを用いた解決策、または歯状エンコーダホイールと磁気センサとを用いた解決策も、本開示の状況において考えられる。
【0031】
本開示のデバイスは、エンコーダの電子機能、制御機能、およびセンサ機能の全てを単一の機械的組立体内で組み合わせて、モータ制御ブロックを形成するという利点を有する。この制御ブロックの要素はモータとは別に組み立てられることが可能であり、モータ制御ブロックは、例えば生産ラインの終わりにモータ上に直接配設されるであろう、モジュール機能ブロックになる。いくつかのモータ制御ブロックのバージョンが、同一モータのために提案されることが可能であり、前記制御ブロックの容易な交換はデバイスのメンテナンスを容易にする。
【0032】
図1の例によれば、モータの電気相ケーブルは、フランジ上に取り付けられており、かつ電子回路基板から来る接続ピン32を受容するコネクタ43経由で接続されて、モータ制御ブロックまたは電子回路基板の取付けおよび交換を容易にする。これらのケーブルは、
図2に示されているように、電子回路基板3に直接接続されることが可能である。
【0033】
図2は、後部キャップ8がフランジに固定されている実施形態を示し、この後部キャップとフランジとは、外部の攻撃から前記電子回路基板を保護する、電子回路基板を受容するための空間を包囲するハウジングを形成する。
【0034】
また、多極磁石と1つ以上のセンサとの間に配設されている、モータシャフト5と共通の軸を有する非磁性円筒形壁9を設けることが可能であり、それにより、前記電子回路基板のハウジングを密封状態にしかつ電子回路基板をさらによりよく保護することが可能になる。
【0035】
さらに
図2の変形形態によれば、モータシャフトは、後部キャップ8の開口部を貫通するセグメント5aによって延長されて、電子回路基板によって連結され制御されるディスク11と、1つ以上のキャリパ10と、を含む電気機械ブレーキとすることができる少なくとも1つの補完設備機器の支持体を作り出すことができる。
【0036】
この例では、キャリパは制御ブロックの後部キャップ8上に取り付けられており、ディスクは前記貫通セグメント5a上に取り付けられている。
【0037】
図3は、モータの後部における、フランジ4内での電子回路基板3の取付けを示し、この基板は、例えば、ねじ38によってフランジのスペーサ43上に固定されている。
【0038】
基板は、多極磁石6が貫通することを可能にする穴部31を含み、センサ7a、7b、7cは該穴部の外縁に、前記磁石の周囲に配設されている。
【0039】
電子回路基板は、モータの相を制御するために、パワーエレクトロニクス33と、モータおよび較正データを制御するためのプログラムならびにランダムアクセスメモリ36を含む、例えばアップデートされ得るEEPROMタイプの、固定メモリ35と関連する、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラなどの計算ユニット34と、をさらに含む。基板は、通信構成要素37、例えばCANまたはEthernetタイプの、フィールドバスを管理するための構成要素、またはさらには計算ユニットにかつ図示されていないアンテナに連結されているWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、さらには5Gなどの無線リンク、または本開示の1つ以上のモータを含む操作装置などの1つの回転する機器のホイールを駆動して、電子回路基板が、遠く離れているかもしくは埋め込まれている、前記1つの回転する機器の管理システムと通信することを可能にするために、該1つの回転する機器上で電子回路基板を制御コンピュータと連結する、有線リンク構成要素を含む可能性がある。
【0040】
1つの重要な態様によれば、図示のデバイスは、モータの多極磁石と巻線との間の機械的角度位置設定を含まない。電子回路基板がモータ上に組み立てられると、ロータの角度位置を知りかつロータに対するステータの相を制御するために、自己較正手順が実施され、それはモータ始動トルクを最大にするために重要である。
【0041】
自己較正手順は、センサ電子組立体と、位置情報を与える手段、多極磁石、エンコーダホイール等をその軸上に支持するモータと、のペアリング後に、生産ラインの出力時において、または製品の第1の試運転の間に実施される。
【0042】
この手順では、
モータの組立ておよび電子回路基板の組立て後、
- 角度符号化素子6は、例えば接着によって、モータシャフト上へ固定され、基板3はモータ上のその最終機械的位置内に配設される。これらの作業後、基板のセンサ7に対する符号化素子、例えば多極磁石、の相対角度位置は任意かつ未知である。
【0043】
次に、ロータ2は、定められた回転場を作り出す定められた三相電圧の印加と同時に、モータのステータ20を制御することにより磁場を印可することによって、回転させられ、モータの位置はこのように1回の完全な回転の間に与えられる。
【0044】
シャフトの強制された回転の間、センサ7は磁石により誘発された磁場の状態を測定し、計算ユニット34は、センサによって測定された前記状態と、ステータに印可された場によるモータの回転において与えられた位置と、の間の角度偏差を判定する。
【0045】
前記測定された状態と前記与えられた位置との間の偏差は基板内の固定メモリ35内に格納され、モータ/エンコーダ/基板組立体の較正データを構成する。
【0046】
手順は完全に自動化され、1つ以上のセンサによって受信された信号の成形および正規化を可能にするパラメータの決定によって、機械的組立てに関連する変化を克服することを可能にする。
【0047】
手順は、次いで、センサからの情報をモータのロータの位置と相互に関連付けることを可能にし、モータの制御に使用される回転磁場の生成に関するこのセンサからの情報の使用を可能にする。
【0048】
図3の例によれば、エンコーダデバイスは、6つの組換え状態、すなわちモータの基本制御に関して72°の相対位置、をもたらす12対の極を有する環状多極磁石に対向して、120°だけオフセットされた3つの論理センサ7a、7b、7cを含む。しかし、極の対の数はより高い精度ではより多い可能性がある。より高い精度を得るために、正弦/余弦において90°で配設されている2つのアナログセンサ71a、71bが多極磁石に対向して追加されることが可能であるか、または論理センサの数が増やされることが可能である。電子回路基板の直上でのセンサの配置は、該センサと前記基板との間に電気的結合ケーブルを有することを回避し、詳細には振動に対抗して、取付けをより頑丈にする。
【0049】
相当な安全動作を必要とする用途では、また、並列で追加の冗長センサ、冗長測定値を供給するセンサ、または安全コントローラを備えた安全エンコーダを使用することが可能である。
【0050】
モータのゼロ回転点が望ましい場合には、センサ、例えば追加の磁気センサ、が金属シャフト上のピンまたは溝部に対向して配設され得る。
【0051】
本発明は、図示されている例に限定されず、詳細には、電子回路基板は、よりよい修復性のために、モジュールに分割され得る。
【符号の説明】
【0052】
1 電気モータ
2 ロータ
3、3´ モータ制御電子回路基板
4 フランジ
5 モータシャフト
5a セグメント、貫通セグメント
6 角度符号化素子、環状多極電磁石
6a、6b 極
7、7´ 磁気センサ
7a、7b、7c 論理センサ
8 後部キャップ
9 非磁性円筒形壁
10 キャリパ、電子機械ブレーキ
11 ディスク、電子機械ブレーキ
12 連結(されている)
20 巻線、ステータ
21 モータケーシング
21a (モータケーシングの)面、(モータの)後壁
31 穴部
32 接続ピン
33 パワーエレクトロニクス
34 計算ユニット
35 固定メモリ
36 ランダムアクセスメモリ
37 通信構成要素
38 ねじ
41 (フランジの)底壁
42 (フランジの)境界部
43 コネクタ、スペーサ
71a、71b アナログセンサ
【国際調査報告】