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特表2025-506571平行面を有する基板の表面品質を分析するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-11
(54)【発明の名称】平行面を有する基板の表面品質を分析するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/16 20060101AFI20250304BHJP
【FI】
G01B11/16 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024571262
(86)(22)【出願日】2023-02-16
(85)【翻訳文提出日】2024-10-16
(86)【国際出願番号】 EP2023053887
(87)【国際公開番号】W WO2023156519
(87)【国際公開日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】2201527
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524312096
【氏名又は名称】イマジン オプティック
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルヴェク,グザヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ルフォードゥ,ニコラ
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA65
2F065BB03
2F065BB13
2F065BB22
2F065CC19
2F065FF00
2F065GG02
2F065GG04
2F065GG07
2F065GG18
2F065HH03
2F065HH15
2F065JJ03
2F065JJ09
2F065JJ26
2F065LL10
2F065LL12
2F065LL22
(57)【要約】
本明細書は、基板(100)の表面品質を分析するための方法に関し、この方法は、前記基板の第1の面(A)に入射する第1の光ビーム(221)を放出することと、第1の面による第1のビームの反射によってもたらされる第1の反射ビーム(222a)および基板の第2の面(B)による反射によってもたらされる第2の反射ビーム(222b)の波面の組み合わせの特徴を示す第1の測定信号を少なくとも生成するために、波面分析手段(240)によって、第1の反射ビームと第2の反射ビームとを受け取ることと、第2の測定信号を生成するために、波面分析手段によって、第2の光ビームによる基板の透過によってもたらされる透過ビームを受け取ることと、第1および第2の測定信号から、第1の面および第2の面の変形をそれぞれ示す第1の信号および第2の信号を算出することと、を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行面を有する基板(100)の表面品質を分析するための方法であって、
放出手段の少なくとも1つの第1の光源(210、210a)によって、時間的コヒーレンスの低い少なくとも1つの第1の光ビーム(221)を放出し、前記少なくとも1つの第1の光ビームは、前記基板の第1の面(A)に入射し、前記基板は、前記第1の光ビームの少なくとも1つの波長に対して少なくとも部分的に透明であることと、
前記基板の前記第1の面(A)による前記少なくとも1つの第1の光ビームの反射によってもたらされる少なくとも1つの第1の反射ビーム(222a)、および、前記第1の光ビームの前記基板への第1の透過とその後の前記基板の第2の面(B)による反射に続く前記基板への第2の透過とによってもたらされる第2の反射ビーム(222b)の、各波面の組み合わせの特徴を示す、少なくとも1つの第1の測定信号を生成するために、波面分析手段の少なくとも1つの第1の波面アナライザ(240、240a)によって、前記少なくとも1つの第1の反射ビームおよび前記第2の反射ビームを受け取ることと、
前記放出手段によって放出される第2の光ビームの前記基板への少なくとも1つの第1の透過によってもたらされる少なくとも1つの第1の透過ビーム(223、223a)の波面の特徴を示す、第2の測定信号を生成するために、前記波面分析手段によって、前記少なくとも1つの第1の透過ビームを受け取ることと、
前記少なくとも1つの第1の測定信号および前記第2の測定信号から、第1の基準面に対する前記基板の前記第1の面の変形を示す少なくとも1つの第1の信号と、第2の基準面に対する前記基板の前記第2の面の変形を示す少なくとも1つの第2の信号とを算出することと、を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記少なくとも1つの第1の光ビームが、前記基板に対して実質的に垂直なように、前記基板に入射する、方法。
【請求項3】
請求項1および2のいずれかに記載の方法であって、
前記第2の光ビームは前記基板の前記第1の面(A)に入射し、前記方法は、前記第2の測定信号の生成のために、
前記第2の光ビームに対して実質的に垂直なように配置された基準ミラーを、位置決めすることをさらに含み、
前記第1の透過ビーム(223)は、前記第2の光ビームの前記基板への第1の透過と、前記基準ミラーによる反射と、前記基準ミラーによって反射されたビームの前記基板への第2の透過とによってもたらされ、
前記第1および第2の反射ビームならびに前記第1の透過ビームは、前記波面分析手段の前記第1の波面アナライザ(240)によって受け取られる、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記第1の光ビームおよび前記第2の光ビームが前記第1の光源によって放出される、方法。
【請求項5】
請求項1および2のいずれかに記載の方法であって、
前記第2の光ビームは、前記基板の前記第1の面(A)に入射し、
前記第1の透過ビーム(223、223a)は、前記第2の光ビームの前記基板への第1の透過によってもたらされ、
前記第1の透過ビームは、前記第1の波面アナライザとは別の前記波面分析手段の第2の波面アナライザ(240b)によって、受け取られる、方法。
【請求項6】
請求項1および2のいずれかに記載の方法であって、
前記第2の光ビーム(221b)は、前記第1の光源とは別の前記放出手段の第2の光源によって放出されて、前記基板の前記第2の面(B)に入射し、
前記第1の透過ビーム(223b)は、前記第2の光ビームの前記基板への第1の透過によってもたらされ、
前記第1の透過ビームは、前記測定分析手段の前記第1の波面アナライザ(240)によって受け取られる、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記第1の光源によって放出される前記第1の光ビームと、前記第2の光源によって放出される前記第2の光ビームとが、異なる波長および偏光の少なくとも一方を有し、前記方法はさらに、
前記第1の入射ビームの前記基板への第1の透過によってもたらされる第2の透過ビーム(223a)の波面の特徴を示す第3の測定信号を生成するために、前記第1の波面アナライザとは別の前記波面分析手段の第2の波面アナライザ(240b)によって、前記第2の透過ビームを受け取ることと、
前記基板内の屈折率の変動の特徴を示す信号を生成するために、前記第1の透過ビームの波面の特徴を示す前記第2の測定信号と、前記第2の透過ビームの波面の特徴を示す前記第3の測定信号と、を比較することと、を含む、方法。
【請求項8】
平行面を有する基板の表面品質を分析するためのシステムであって、
分析される前記基板を受けるように構成された少なくとも1つの第1の支持体と、
前記基板が少なくとも部分的に透明となる少なくとも1つの波長を有する時間的コヒーレンスの低い少なくとも1つの第1の光ビームを、放出するための、少なくとも1つの第1の光源を、含み、動作中に前記少なくとも1つの第1の光ビームが前記基板に入射するように構成される、放出手段と、
少なくとも1つの第1の波面アナライザ(240、240a)を含む波面分析手段であって、動作中に、
前記基板の第1の面(A)による前記少なくとも1つの第1の光ビームの反射によってもたらされる少なくとも1つの第1の反射ビーム(222a)、および、前記第1の光ビームの前記基板への第1の透過とその後の前記基板の第2の面(B)による反射に続く前記基板への第2の透過とによってもたらされる第2の反射ビーム(222a)の、各波面の組み合わせの特徴を示す、第1の測定信号を生成するために、前記第1の波面アナライザの分析表面において、前記少なくとも1つの第1の反射ビームおよび前記第2の反射ビームを受け取り、
前記放出手段によって放出される第2の光ビームの前記基板への少なくとも1つの第1の透過によってもたらされる少なくとも1つの第1の透過ビーム(223、223a)の波面の特徴を示す、第2の測定信号を生成するために、前記波面分析手段によって、前記少なくとも1つの第1の透過ビームを受け取るように構成される、前記波面分析手段と、
前記第1の測定信号および前記第2の測定信号から、第1の基準面に対する前記基板の前記第1の面の変形を示す少なくとも1つの第1の信号と、第2の基準面に対する前記基板の前記第2の面の変形を示す少なくとも1つの第2の信号と、を算出するように構成された処理ユニット(260)と、を含む、システム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、前記放出手段が、動作中に前記少なくとも1つの第1の光ビームが前記基板に対して実質的に垂直なように、前記基板に入射するように、構成される、システム。
【請求項10】
請求項8および9のいずれかに記載のシステムであって、前記第1の波面アナライザの前記分析表面は、分析される前記基板と実質的に光学的に共役する、システム。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか一項に記載のシステムであって、
動作中前記第2の光ビームに対して実質的に垂直なように配置される基準ミラーを、受けるように構成される、第2の支持体をさらに含み、動作中に、
前記第1の透過ビーム(223)は、前記基板への前記少なくとも1つの第1の入射ビームの第1の透過と、前記基準ミラーによる反射と、前記基準ミラーによって反射されたビームの前記基板への第2の透過とによってもたらされ、
前記第1および第2の反射ビームならびに前記第1の透過ビームは、前記波面分析手段の前記第1の波面アナライザ(240)によって、受け取られる、システム。
【請求項12】
請求項8~10のいずれかに記載のシステムであって、前記波面分析手段は、前記第1の波面アナライザとは別の第2の波面アナライザを含み、
前記放出手段は、動作中に前記第2の光ビームが前記基板の前記第1の面に入射するように構成され、前記第1の透過ビームは、前記第2の光ビームの前記基板への第1の透過によってもたらされ、
前記波面分析手段は、動作中に前記第1の透過ビームが前記波面分析手段の前記第2の波面アナライザによって受け取られるように構成される、システム。
【請求項13】
請求項8~12のいずれかに記載のシステムであって、前記少なくとも1つの第1の波面アナライザが、ハルトマンおよびシャックハルトマン波面アナライザ、横方向シフト干渉計、モアレデフレクトメータ、ならびにシュリーレン法に基づくデバイスの中から選択される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、平行面を有する基板の表面品質を分析するためのシステムおよび方法に関し、より具体的には、このような基板の表面の変形の分析に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書においては単純に「基板」と呼ばれる平行面を有する材料の表面のトポグラフィは、多くの分野に関連し、これらの材料は、たとえばコンピュータのハードディスク用のガラス基板、半導体産業用のシリコンフォトマスクおよびウェハ、モバイルデバイス用のフラットスクリーンおよびガラスディスプレイ、窓、X線望遠鏡の光学系、光学フィルタ、ビームスプリッタ、ならびに、保護ドームなどを含み得る。
【0003】
このような基板の表面の任意の変形は、それらの基板を用いるシステムにおいて歪みを引き起こすことがあるため、それらの変形を調査および定量化できることが重要である。
【0004】
基板の表面品質を分析するための非接触の光学的方法が知られている。基板の面の表面品質の分析においてほとんどの方法が遭遇する困難の1つは、特に、測定に用いられる光源のスペクトル帯において透明な基板の場合、他方の面(後面)による反射の影響である。
【0005】
たとえば総説論文の[参考文献1]などにおいて、後面における反射の影響を克服し得る薄い透明材料の表面品質を分析するためのさまざまな計測方法が記載されている。
【0006】
特に、後面からの反射を抑制するために後面に適切な屈折率を有するコーティングを施したり、前面に高反射性のコーティングを施したりすることが知られているが、これらの方法はコーティングの塗布および洗浄作業を必要とし、それら自体が表面変形を引き起こすおそれがある。
【0007】
[参考文献1]は、位相シフト干渉法も記載しており、ここでは基板の両面の反射による寄生干渉を避けるために、白色光源または低コヒーレンスの光源が用いられる。たとえばマイケルソン干渉計などを用いるこれらの方法は、実装が困難であり、変形が厚さよりもはるかに小さい基板に限定される。
【0008】
[参考文献1]において説明されるように、周波数を調節可能なレーザ源を用いた位相シフト干渉法も検討されてもよい。たとえば、3つの表面(基準面、基板の前面、および後面)に対する干渉測定が、2つの異なる波長で順次行われてもよく、その後に再び2つの波長で新たな干渉測定が行われるが、基板を裏返して後面が基準面に向くようにする。そして、材料の平面および平行表面の干渉の寄与、ならびに特に前面と基準面との間の干渉による寄与は、数学的に分離され得る。しかし、この方法は試料の操作を必要とし、試料は2セットの測定を行うために反転される必要があり、これは壊れやすく変形しやすい材料の場合に不都合なことがある。より一般的には、周波数変動源を用いる公知の方法が存在し、ここでは干渉信号のスペクトルのフーリエ解析によって、異なる面のプロファイルが抽出され得る。これらの方法は、いずれも多数のデータ取得を必要とするため、環境、特に振動の影響を非常に受けやすい。
【0009】
[参考文献1]は、シャッターによって後面からの反射を遮断することを可能にする、前面および後面からの反射の空間的分離のための方法も記載している。これらの方法は、たとえば斜照明または球形の照明を用いた干渉法(「斜入射干渉法」としても知られている)などを含む。しかし、これらの方法はコンポーネントのアライメントに対して非常に敏感である。
【0010】
干渉に基づく方法に加えて、[参考文献1]は、シャックハルトマン(Shack-Hartmann)波面アナライザを用いて薄い透明材料の面の光学的品質を分析するための方法を、紹介している。
【0011】
[参考文献1]から引用した図1に示されるように、シャックハルトマン波面アナライザは、マイクロレンズの配列20と、基本的検出器の配列30とを含む。たとえば平坦な基準波面などの基準波面がマイクロレンズ配列20に入射すると、各マイクロレンズ(20i、20j、...)は偏向を伴わずに波面の一部を捕捉して焦点を合わせ、各焦点の重心が、基本的検出器の配列30上に規則的に配置される。対照的に、図1に示されるように、波面10が平坦な基準波面に対して変形して入射するとき、マイクロレンズ(20i、20j、...)は、局所的にゼロでない傾斜を有する波面の各部分(10i、10j、...)を捕捉する。この結果として、基本的検出器配列30上の各焦点の重心が移動されることになる。このように決定された測定信号に基づき、移動の2次元マトリクスに従って、波面の局所的な傾斜のマトリクスを決定し、そこからたとえば局所的な傾斜の値の数値的な積分などによって、基準波面に対する各マイクロレンズにおいて測定される波面の値のマトリクスを導き出すことが可能である。分析される面の局所的な変形は波面の局所的な変形と正比例するため、こうしてシャックハルトマン測定信号に基づいて変形を決定することができる。
【0012】
上述の干渉技術と比較すると、シャックハルトマン波面アナライザを用いる計測方法、またはより一般的には、波面を直接分析する波面アナライザを実装するデバイスは、特に、時間的にインコヒーレントであるか、または時間的コヒーレンスが低い、通常レーザよりも安価な各光源を、用いることを可能にし、かつ、より制御されていない環境において動作することを可能にし、加えて、これらの解決策はコストがより低い。
【0013】
しかし、[参考文献1]において説明されるように、特に材料が少なくとも部分的に透明となる波長を含む光源を使用して作業をする場合、後面からの反射が前面の表面品質の測定に干渉することがある。よって、材料の透明領域のすべての波長をフィルタリングするためにスペクトルフィルタを設置すべきであること、または、分析される基板の材料により透過されることのない波長を有する光源を用いるべきであることが、提案されている。
【0014】
公開特許出願である[参考文献2]は、表面欠陥について測定される基板に対する、反射および透過の同時測定のための2つの波面アナライザ、この場合には横方向シフト干渉計(または「シヤリング干渉計」)の使用を記載している。シャックハルトマン波面アナライザと同様に、このような横方向シフト干渉計を用いて波面を直接測定し得る。横方向シフト干渉計は基準ビームとの干渉を用いず、波面の一次導関数に対して敏感である。反射測定は面のトポロジについての情報を提供し、透過測定は基板の厚さの変動についての情報を提供する。これら2つの測定を組み合わせて、基板の両面のトポロジについての情報を得ることができる。この方法は良好に機能するが、基板の一方の面の反射測定が第2の面からの反射に干渉されてはならないため、その実装は複雑である。この目的のために、基板材料が不透明すなわち吸収性である波長をこの反射測定に用いるべきであることが提案されている。これにより、たとえばUVまたは遠赤外域の波長などを選ぶことが必要になり、特殊なセンサおよび光学系を必要とするため、材料の選択およびコスト面での制約が生じる。
【0015】
本明細書の1つの目的は、[参考文献2]に記載されるデバイスおよび方法による制約を受けることなく、低い時間的コヒーレンスを有する1つ以上の光源の使用を可能にする波面アナライザを用いて、平行面を有する基板の2面の表面品質を分析するためのシステムおよび方法を提案することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本明細書において、「含む(comprise)」は、「含む(include)」または「含有する(contain)」と同じ意味を有し、かつ包括的またはオープンであり、記載または表現されていないその他の構成要素を除外しない。
【0017】
さらに、本明細書において、「約」または「実質的に」は、それぞれの値の上側または下側の10%の余裕(margin)、たとえば5%などの余裕と同義(同じ意味)である。
【0018】
第1の態様によると、本明細書は、平行面を有する基板の表面品質を分析するための方法であって、放出手段の少なくとも1つの第1の光源によって、時間的コヒーレンスの低い少なくとも1つの第1の光ビームを放出し、前記少なくとも1つの第1の光ビームは、前記基板に入射し、前記基板は、前記第1の入射光ビームの少なくとも1つの波長に対して少なくとも部分的に透明であることと、前記基板の第1の面による前記少なくとも1つの第1の光ビームの反射によってもたらされる少なくとも1つの第1の反射ビーム、および、前記第1の光ビームの前記基板への第1の透過とその後の前記基板の第2の面による反射に続く前記基板への第2の透過とによってもたらされる第2の反射ビームの、各波面の組み合わせの特徴を示す、少なくとも1つの第1の測定信号を生成するために、波面分析手段の少なくとも1つの第1の波面アナライザによって、前記少なくとも1つの第1の反射ビームおよび前記第2の反射ビームを受け取ることと、前記放出手段によって放出される第2の光ビームの前記基板への少なくとも1つの第1の透過によってもたらされる少なくとも1つの第1の透過ビームの波面の特徴を示す、第2の測定信号を生成するために、前記波面分析手段によって、前記少なくとも1つの第1の透過ビームを受け取ることと、前記少なくとも1つの第1の測定信号および前記第2の測定信号から、第1の基準面に対する前記基板の前記第1の面の変形を示す少なくとも1つの第1の信号と、第2の基準面に対する前記基板の前記第2の面の変形を示す少なくとも1つの第2の信号とを算出することと、を含む、方法に関する。
【0019】
本明細書において、「平行面を有する基板」とは、第1の面および第2の面を有する光学素子であって、それらの面に垂直な軸に沿って測定された2面間の距離が光学素子全体にわたって実質的に一定である、すなわち±10%未満の厚さの変動を有する光学素子を意味すると解釈される。平行面を有する基板は平坦であってもよく、その場合の前記各面間の角度は約5分(minutes of arc)未満である。本明細書において、平行面を有する基板の他の形状が考えられてもよく、それはたとえば保護ドームなどの湾曲した基板などである。
【0020】
本明細書において、低い時間的コヒーレンスを有する光ビームは、基板の各面における反射ビーム間の任意の干渉効果をなくすために十分に低い時間的コヒーレンスを有する光ビームであり、このような干渉効果は測定に問題を引き起こす可能性がある。この目的のために、実際には、第1の光ビームの時間的コヒーレンスの長さを、分析される平行面を有する基板の光学的厚さの約2倍未満にすることが有利であり、基板の光学的厚さは、基板の厚さと基板を作っている材料の平均屈折率とを掛け合わせたものである。第1の光ビームの時間的コヒーレンスは約100μm以下であるか、または有利には約10μm以下である。よって、たとえば、約10μm以下の時間的コヒーレンスを有する第1の光ビームによって、非常に薄い基板、すなわち数十ミクロンの厚さを有する基板の表面を分析できる。なお、第1の光ビームの時間的コヒーレンスの長さは、分析される基板に対する最小の厚さを設定するが、さらなる限定を課すことはない。たとえば、約10μm以下の時間的コヒーレンスを有する同じ光源によって、数十センチメートルの厚さを有する基板も分析され得る。
【0021】
実施形態の1つ以上の例によると、前記少なくとも1つの第1の光ビームおよび前記第2の光ビームは空間的にコヒーレントである。
【0022】
たとえばシャックハルトマン波面アナライザが用いられるとき、第1および第2の光ビームは、もたらされる反射または透過ビームがマイクロレンズ配列に入射して、焦点を生成するマイクロレンズのサイズよりも小さいサイズを有する焦点を生成するために十分な空間的コヒーレンスを有する。
【0023】
原則として、光ビームを生成する光源の空間的コヒーレンスが減少するとき、すなわち光源の角度サイズが増加するときに、波面アナライザの精度も減少することが知られている。したがって、光ビームの空間的コヒーレンスは、適用の要件に適合する精度によるアナライザの測定を可能にするために十分でなければならない。たとえば、シャックハルトマンセンサに対して上記で説明されたように、アナライザの空間内に伸長する光ビーム放出源の角度サイズがマイクロレンズの回折角未満であるときは、測定の精度が大きくは影響されないことが知られている。
【0024】
実施形態の1つ以上の例によると、低い時間的コヒーレンスを有する前記少なくとも1つの第1の光ビームの放出のための前記少なくとも1つの第1の光源は、白熱灯、発光ダイオード(LED:light emitting diode)、モノモードファイバにファイバ化されてもよいスーパールミネッセントダイオード(SLED:super-luminescent diode)、および、モノモードファイバにファイバ化されてもよい、自身のレーザ効果生成閾値未満で使用されるレーザダイオードの中から選択される光源である。
【0025】
本明細書において、基板が自身を通過するビームの少なくとも1つの波長に対して少なくとも部分的に透明であると言われるのは、前記波長における前記ビームの透過率が少なくとも10%に等しいか、または有利には少なくとも30%に等しいときである。
【0026】
たとえば[参考文献2]に記載される方法などの先行技術に記載される方法とは対照的に、本明細書においては、分析される基板に入射する第1の光ビームが基板によって少なくとも部分的に透過されることを確実にすることによって、基板の第1および第2の面によって反射されたビームの波面の組み合わせが、波面分析手段の前記少なくとも1つの第1の波面アナライザによって分析され得る。
【0027】
本明細書において、光ビームの「波面」という用語は、前記ビームを形成する電磁波と同じ位相を有する表面に適用される。よって、たとえば欠陥のない基板の平坦な表面が平坦な基準波によって照らされるときは、反射ビームの波面も平坦である。表面が平坦な基準面に対する局所的な変形を有するとき、反射ビームの波面は平坦な基準波面に対して変形する。よって本明細書において、波面分析は、必ずしもそうではないがたとえば平坦な波面などである基準波面に対する、前記波面の変形の測定である。たとえば、湾曲した基板の分析において、基準波面は球形波面であり得る。
【0028】
よって本明細書において、第1の測定信号と、第2の測定信号と、基板の第1および第2の表面の変形の特徴を示す信号とはマトリクス信号であり、すなわち値の2次元マトリクスで構成された信号である。
【0029】
本明細書における「波面アナライザ」は、分析されるビームと基準ビームとの干渉を利用する干渉技術とは対照的に、分析されるビームの波面を直接測定するためのデバイスを示す。このようなデバイスは一般的に、波面の局所的な傾斜(すなわち、波面の一次導関数)を決定することを可能にし、これは通常、1つ以上の光学素子のセットと、通常は2次元の検出器と、を含む波面センサを用いて光線の移動の角度の変動を分析することに基づいている。
【0030】
実施形態の1つ以上の例によると、波面分析手段の前記少なくとも1つの第1の波面アナライザは、たとえば[参考文献3]などに記載されるハルトマンおよびシャックハルトマン波面アナライザ、たとえば[参考文献4]などに記載される横方向シフト干渉計、たとえば[参考文献5]などに記載されるモアレデフレクトメータ、ならびに、たとえば[参考文献6]などに記載されるシュリーレン法に基づくデバイスの中から選択される。
【0031】
実施形態の1つ以上の例によると、前記少なくとも1つの第1の光ビームが、前記基板に対して実質的に垂直なように、前記基板に入射する。第1の光ビームが垂線に対して傾斜を付けて基板に入射する配置を想定することも可能であるが、実質的に垂直の入射は光学アセンブリを単純化し、特に厚い基板の場合に第1の反射ビームと第2の反射ビームとの間に任意の横方向シフトを導入することを回避することを可能にするため、実質的に垂直の入射が好ましい。
【0032】
実施形態の1つ以上の例によると、前記第2の光ビームは前記基板の前記第1の面に入射し、前記方法は、前記第2の測定信号の生成のために、前記第2の光ビームに対して実質的に垂直なように配置された基準ミラーを、位置決めすることをさらに含み、前記第1の透過ビームは、前記第2の光ビームの前記基板への第1の透過と、前記基準ミラーによる反射と、前記基準ミラーによって反射されたビームの前記基板への第2の透過とによってもたらされ、前記第1反射ビームは、前記波面分析手段の前記第1の波面アナライザによって受け取られる。
【0033】
このように記載される方法は、単一の波面アナライザおよび単一の光放出源によって実装されてもよく、第1の光ビームおよび第2の光ビームは同じ光源から放出され得る。
【0034】
基準ミラーは、平行または湾曲面を有する平坦な基板の分析を目的とする場合は平坦であってもよいし、曲率がゼロではない基板の分析を目的とする場合はたとえば球形などであってもよい。
【0035】
実施形態のいくつかの例によると、基準ミラーは取り外し可能に配置されてもよい。実施形態の他の例において、基準ミラーはたとえばシャッターなどを用いてマスク可能であってもよいし、ミラーにより反射されたビームが波面分析手段に受け取られないように、モータ駆動式または非モータ駆動式の回転システムによって方向を調整可能であってもよい。どちらの場合も、これによって、ミラーが存在しないか、またはマスクもしくは回転された場合の前記第1および第2の反射ミラーの波面の組み合わせの特徴を示す第1の測定信号を得ることと、基準ミラーが存在してマスクも回転もされないときの前記透過ビームの波面の特徴を示す第2の測定信号を得ることとが可能になる。
【0036】
実施形態の1つ以上の例によると、前記第2の光ビームは、前記基板の前記第1の面に入射し、前記第1の透過ビームは、前記第2の光ビームの前記基板への第1の透過によってもたらされ、前記第1の透過ビームは、前記第1の波面アナライザとは別の前記波面分析手段の第2の波面アナライザによって、受け取られる。
【0037】
このように記載される方法は、同一であっても異なっていてもよい2つの別個の波面アナライザを含む波面分析手段によって実施される。前記第1および第2の光ビームは同じ光源から同時に放出され得るため、前記第1および第2の反射ビームの波面の組み合わせの特徴を示す第1の測定信号と、前記透過ビームの波面の特徴を示す第2の測定信号とを、基準ミラーの操作なしに同時に得ることができる。
【0038】
実施形態の1つ以上の例によると、前記第2の光ビームは、前記第1の光源とは別の前記放出手段の第2の光源によって放出されて、前記基板の前記第2の面に入射し、前記第1の透過ビームは、前記第2の光ビームの前記基板への第1の透過によってもたらされ、 前記第1の透過ビームは、前記測定分析手段の前記第1の波面アナライザによって受け取られる。
【0039】
このように記載される方法は、2つの別個の放出源を含む放出手段によって実施され、これらの放出源は同一であるか、また
、異なる。この方法は、前記第1および第2の反射ビームの波面の組み合わせの特徴を示す第1の測定信号と、前記透過ビームの波面の特徴を示す第2の測定信号とを、基準ミラーの操作なしに得ることを可能にする。
【0040】
したがって、実施形態の1つ以上の例によると、異なる種類の放出源の場合、前記第1の光源によって放出される前記第1の光ビームと、前記第2の光源によって放出される前記第2の光ビームとが、異なる波長および偏光の少なくとも一方を有する。前記方法はさらに、前記第1の入射光ビームの前記基板への第1の透過によってもたらされる第2の透過ビームの波面の特徴を示す第3の測定信号を生成するために、前記第1の波面アナライザとは別の前記波面分析手段の第2の波面アナライザによって、前記第2の透過ビームを受け取ることと、
前記基板内の屈折率の変動の特徴を示す信号を生成するために、前記第1の透過ビームの波面の特徴を示す前記第2の測定信号と、前記第2の透過ビームの波面の特徴を示す前記第3の測定信号と、を比較することと、を含んでもよい。
【0041】
第2の態様によると、本明細書は、第1の態様による分析方法の実装のための、平行面を有する基板の表面品質を分析するためのシステムに関する。
【0042】
したがって、第2の態様によるシステムは、分析される前記基板を受けるように構成された少なくとも1つの第1の支持体と、前記基板が少なくとも部分的に透明となる少なくとも1つの波長を有する時間的コヒーレンスの低い少なくとも1つの第1の光ビームを、放出するための、少なくとも1つの第1の光源を、含み、動作中に前記少なくとも1つの第1の光ビームが前記基板に入射するように構成される、放出手段と、少なくとも1つの第1の波面アナライザを含む波面分析手段であって、動作中に、前記基板の第1の面による前記少なくとも1つの第1の光ビームの反射によってもたらされる少なくとも1つの第1の反射ビーム、および、前記第1の光ビームの前記基板への第1の透過とその後の前記基板の第2の面による反射に続く前記基板への第2の透過とによってもたらされる第2の反射ビームの、各波面の組み合わせの特徴を示す、第1の測定信号を生成するために、前記第1の波面アナライザの分析表面において、前記少なくとも1つの第1の反射ビームおよび前記第2の反射ビームを受け取り、前記放出手段によって放出される第2の光ビームの前記基板への少なくとも1つの第1の透過によってもたらされる少なくとも1つの第1の透過ビームの波面の特徴を示す、第2の測定信号を生成するために、前記波面分析手段によって、前記少なくとも1つの第1の透過ビームを受け取るように構成される、前記波面分析手段と、前記第1の測定信号および前記第2の測定信号から、第1の基準面に対する前記基板の前記第1の面の変形を示す少なくとも1つの第1の信号と、第2の基準面に対する前記基板の前記第2の面の変形を示す少なくとも1つの第2の信号と、を算出するように構成された処理ユニットと、を含む。
【0043】
実施形態の1つ以上の例によると、前記放出手段が、動作中に前記少なくとも1つの第1のビームが前記基板に対して実質的に垂直なように、前記基板に入射するように、構成される。
【0044】
実施形態の1つ以上の例によると、前記第1の波面アナライザの前記分析表面は、分析される前記基板と光学的に共役する。
【0045】
実施形態の1つ以上の例によると、システムは、動作中前記第2の光ビームに対して実質的に垂直なように配置される基準ミラーを、受けるように構成される、第2の支持体をさらに含み、動作中に、
前記第1の透過ビームは、前記基板への前記第2の入射ビームの第1の透過と、前記基準ミラーによる反射と、前記基準ミラーによって反射されたビームの前記基板への第2の透過とによってもたらされ、
前記第1および第2の反射ビームならびに前記第1の透過ビームは、前記波面分析手段の前記第1の波面アナライザによって、受け取られる。
【0046】
実施形態の1つ以上の例によると、前記波面分析手段は、前記第1の波面アナライザとは別の第2の波面アナライザを含み、前記放出手段は、動作中に前記第2の光ビームが前記基板の前記第1の面に入射するように構成され、前記第1の透過ビームは、前記第2の光ビームの前記基板への第1の透過によってもたらされ、前記波面分析手段は、動作中に前記第1の透過ビームが前記波面分析手段の前記第2の波面アナライザによって受け取られるように構成される。
【0047】
実施形態の1つ以上の例によると、波面分析手段の前記少なくとも1つの第1の波面アナライザは、たとえば[参考文献3]などに記載されるハルトマンおよびシャックハルトマン波面アナライザ、たとえば[参考文献4]などに記載される横方向シフト干渉計、たとえば[参考文献5]などに記載されるモアレデフレクトメータ、ならびに、たとえば[参考文献6]などに記載されるシュリーレン法に基づくデバイスの中から選択される。
【0048】
以下の図面によって示される説明に照らして、本発明のその他の利点および特徴が明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】上述の図1は、先行技術によるシャックハルトマンアナライザの原理を示す図である。
図2A】本明細書による基板の表面品質を分析するためのシステムの第1の例を用いて、本明細書による基板の表面品質を分析するための方法の例の第1のステップを示す図である。
図2B図2Aに示される基板の表面品質を分析するためのシステムを用いて、本明細書による基板の表面品質を分析するための方法の例の第2のステップを示す図である。
図3A図3Aは、本明細書による基板の表面品質を分析するための方法のステップにおける、シャックハルトマンアナライザによる第1および第2の反射ビームの波面の組み合わせの特徴を示す信号の測定を示す図である。
図3B図3Bは、図3Aに示される測定をより詳細に示す図である。
図4A図4Aは、第1の面が平坦な基準面に対する表面欠陥を有する場合、基板の第1の面から反射される平坦な波面が受ける変形の例を示す図である。
図4B図4Bは、第2の面が表面欠陥を有する場合、最初に図4Aに示される基板を透過し、次いで基板の第2の面から反射され、次いで基板を2回目に透過する平坦な波面が受ける変形の例を示す図である。
図4C図4Cは、図4Bに示される基板を透過し、次いで基準ミラーから反射されて基板を再び透過する平坦な波面が受ける変形の例を示す図である。
図5A】曲率がゼロではない基板を分析するために適合された、本明細書による基板の表面品質を分析するためのシステムの第2の例を用いて、本明細書による基板の表面品質を分析するための方法の例の第1のステップを示す図である。
図5B図5Aに示される基板の表面品質を分析するためのシステムを用いて、本明細書による基板の表面品質を分析するための方法の例の第2のステップを示す図である。
図6】本明細書による基板の表面品質を分析するためのシステムの第3の例を用いて、本明細書による基板の表面品質を分析するための方法の例のステップを示す図である。
図7】本明細書による基板の表面品質を分析するためのシステムの第4の例を用いて、本明細書による基板の表面品質を分析するための方法の例のステップを示す図である。
図8】本明細書による基板の表面品質を分析するためのシステムの第5の例を用いて、本明細書による基板の表面品質を分析するための方法の例のステップを示す図である。
図9図2Aおよび図2Bに示されるシステムによって得られた、基板の面の変形のマトリクスを表す実験画像を、示す図である。
図10A】傾斜角を有する基板への第1の光ビームの入射に対して適合された、本明細書による基板の表面品質を分析するためのシステムの第6の例を用いて、本明細書による基板の表面品質を分析するための方法の例の第1のステップを示す図である。
図10B図10Aに示される基板の表面品質を分析するためのシステムを用いて、本明細書による基板の表面品質を分析するための方法の例の第2のステップを示す図である。
図10C図10Aに示される基板の表面品質を分析するためのシステムを用いて、基板の表面品質を分析するための方法の実装に対する制限を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
より明確にするために、図面中の構成要素は縮尺どおりに示されていない。
【0051】
図2Aおよび図2Bは、基板の表面品質を分析するためのシステムの第1の例を用いて、実質的に平行な面を有する基板100の表面品質を分析するための方法の例の実施のための2つのステップを示す。この例における目的は、実質的に平行な面を有する平坦な基板の2つの表面の品質を分析することである。
【0052】
図2Aおよび図2Bに示され、200として参照される基板の表面品質を分析するためのシステムは、分析される基板100を受けるように構成された少なくとも1つの第1の支持体(図面には示さず)と、ミラー250(図2B)を受けるように構成された第2の支持体(図面には示さず)とを含む。ミラーは、たとえば取り外し可能に配置されるか、または、たとえばシャッターなどを用いてマスク可能であってもよいし、ミラーから後に反射される入射光ビームが波面分析手段に受け取られないように、たとえばモータ駆動式または非モータ駆動式の回転システムなどによって方向を調整可能であってもよい。
【0053】
システム200はさらに、基板100が少なくとも部分的に透明となる少なくとも1つの波長を有し時間的コヒーレンス低い光のための放出源210を含む光放出手段を含む。
【0054】
一般的に、光放出源210は、白熱灯、発光ダイオード(LED)、スーパールミネッセント発光ダイオード(SLED)、または、レーザ効果を生成するために自身の閾値未満で使用されるレーザダイオードを含んでもよい。
【0055】
光源の選択は、分析される基板に適合されてもよい。たとえば、スペクトルフィルタが分析されるとき、光放出源210は、干渉フィルタの透過スペクトル帯域から選択される波長を有するスーパールミネッセントダイオード(SLED)を含んでもよい。
【0056】
システム200は、波面を分析する手段をさらに含み、それは、図2Aおよび図2Bの例では、波面アナライザ240(たとえばシャックハルトマンアナライザなどであるがこれに限定されるものではない)を含む。
【0057】
システム200はさらに、波面アナライザ240によって送信された測定信号を処理するように構成された処理ユニット260を含み、かつディスプレイユニット(図示せず)を含んでもよい。
【0058】
一般的に、本明細書において言及される処理ユニットは1つ以上の物理的実体を含んでもよく、1つ以上のコンピュータのエレメントの組み合わせであってもよい。本明細書において、特に方法のステップを実施するための計算または処理ステップが言及されるとき、各計算または処理ステップはソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、マイクロコード、または、これらの技術の任意の適切な組み合わせによって実施されてもよいことが理解されるべきである。ソフトウェアが用いられるとき、各計算または処理ステップは、コンピュータプログラム命令またはプログラムコード命令によって実施されてもよい。これらの命令は、処理ユニットによって読取り可能な記憶媒体に格納または送信されてもよいし、これらの計算または処理ステップを実施するために処理ユニットによって実行されてもよいし、その両方であってもよい。
【0059】
この例において、光源210は第1の光ビーム221を放出する。この例において、放出手段は、動作中に光ビーム221が基板に対して実質的に垂直なように、基板に入射(垂直入射)するように構成される。垂直入射が好ましいが、第1の光ビームが垂線に対して角度を付けて入射するように分析システムが適合され得る。この種の例は図10A図10B、および図10Cに示される。
【0060】
図2Aおよび図2Bの例における目的は、平行面を有する実質的に平坦な基板を分析することであり、放出手段は、動作中に光ビームが実質的に平坦な波面を伴って基板に入射するように構成される。たとえば、放出手段は、光源210に加えて、光学素子215を出る光ビームが実質的に平行になることを可能にし、かつ、前記ビームのサイズが分析される基板のサイズに適合されることを可能にする光学レンズ211、212、215のセットと、偏向素子213、214とを含む。有利には、光学レンズのセットはさらに、分析される基板と、波面アナライザの分析平面、たとえばシャックハルトマンアナライザの場合はマイクロレンズの配列の平面との間に光学的共役が実質的に提供されることを可能にする。
【0061】
図2Aに示されるように、この例において実施される方法の第1のステップにおいて、第1の光ビーム221は、一方では、基板100の第1の面Aで反射されて第1の反射ビーム222aを形成し、他方では、基板を透過して基板100の第2の面Bで反射され、次いで基板を再び透過して第2の反射ビーム222bを形成する。
【0062】
以下に詳述されるように、波面分析手段は、第1の反射ビーム222aおよび第2の反射ビーム222bの波面の組み合わせの特徴を示す第1の測定信号を生成するために、波面アナライザ240の分析表面上に前記第1および第2の反射ビームを受け取るように構成される。
【0063】
図2Aおよび図2Bの例において、波面分析手段は、反射ビームを波面アナライザ240に向けるために、放出手段のものと共通の光学レンズ211、212、215のセットと、偏向素子213、214とを含む。システム200はさらに、放出手段および分析手段を分離するように構成された光学ビーム分割エレメント230を含む。光学素子230は、たとえばビーム分割プレートまたはビーム分割キューブなどを含む。
【0064】
この例において、光学レンズ211、212、215のセットおよび偏向素子213、214は、反射ビーム221aおよび221bならびに透過ビーム223のサイズを、波面アナライザ240の分析表面のサイズと、実質的に適合させることを可能にする。
【0065】
図2Bに示されるように、この例において実施される方法の第2のステップにおいては、基準ミラー250が設置される。
【0066】
ミラー250は、基板に入射する第2の光ビームが、基板を透過した後にミラー250に対して実質的に垂直なように、ミラー250に入射するようなやり方で配置される。この例において、第2の光ビームは第1の光ビームと同じ光源210から放出され、第1および第2のビームは同じ特性(コヒーレンスおよび波長)を有するため、第2の光ビームも221として参照されるが、第1および第2のビームは同時には放出されない。
【0067】
第2の入射ビームは、次いで最初に基板100を透過し、基準ミラー250に反射されて、基板100を再び透過する。この結果としてもたらされる透過ビーム223は、前記透過ビームの波面の特徴を示す第2の測定信号を生成するために、波面分析手段の波面アナライザ240に送られる。
【0068】
図3A図3B図4A図4B、および図4Cを用いて以下に記載されるように、次いで、処理ユニット260によって前記第1の測定信号および前記第2の測定信号に基づいて、第1の基準面に対する基板の第1の面Aの変形を示す少なくとも1つの第1の信号と、第2の基準面に対する基板の第2の面Bの変形を示す少なくとも1つの第2の信号とが算出され得る。
【0069】
なお、システム200の光学素子は製造欠陥を有することがあり、行われる測定の品質への干渉を回避するために、較正ステップにおいてこの製造欠陥が考慮され得る。較正を行う実際のやり方は、分析される基板100を取り除いた図2Bの構成において波面測定を行うことによってこれらの欠陥を測定するものである。このように測定された欠陥は、分析される基板100の存在する状態で行われる測定値(以下に詳述される)から差し引かれる。
【0070】
実用上、基準ミラー250の光学的品質は、分析される基板100の面AおよびBにおける変形測定の所望の精度に基づいて選択され得る。なぜなら、これらの測定の精度は基準ミラー250の光学的品質よりも高くなり得ないからである。
【0071】
計算の原理は以下に記載され、また、図3A図3B図4A図4B、および図4Cに示される。
【0072】
その原理はシャックハルトマン波面アナライザの例を考えて記載されるが、あらゆるタイプの波面アナライザ、すなわち測定ビームを基準ビームと干渉させることなく波面を直接測定できるあらゆるタイプの測定システムに適用可能である。これらのアナライザに共通する特徴は、波面の導関数に敏感であることである。
【0073】
よって、図3Aは、特にマイクロレンズの配列20および基本的検出器の配列30を有する、図1に示されるものと同一のシャックハルトマンアナライザを示す。
【0074】
平坦かつ実質的に平行な面を有する分析対象の基板の例を考慮して、この原理を説明する。よって、その目的は、平坦な基準面に対する基板の面AおよびBの変形を見つけることである。しかし、以下に詳述されるように、計算の原理は平行面を有する他の形状の基板にも適用され得る。
【0075】
図2Aおよび図2Bを用いて記載された方法の例の第1のステップにおいて、2つの反射ビーム222aおよび222bが生成され、これらのビームはそれぞれ基板の面AおよびBによる反射によってもたらされたものである。したがって図3Aに示されるように、波面アナライザは反射ビーム222aおよび222bの波面310aおよび310bのそれぞれを同時に受け取る。各波面310a、310bは、たとえば平坦な波面などの基準波面に対して変形していることがある。
【0076】
図3Aに示されるように、マイクロレンズの配列の各マイクロレンズ(20i、20j、...)は、波面310aの波面部分(310a,i、310a,j、...)を捕捉して焦点を合わせ、波面310bの波面部分(310b,i、310b,j、...)を捕捉して焦点を合わせる。
【0077】
図3Bに示されるように、この結果として、一方では、波面310aの波面部分(310a,i、310a,j、...)のマイクロレンズ(20i、20j、...)による焦点合わせによる焦点の部分(330a,i、330a,j,...)の重心の移動がもたらされ、他方では、波面310bの波面部分(310b,i、310b,j、...)のマイクロレンズ(20i、20j、...)による焦点合わせによる焦点(330b,i、330b,j,...)の重心の移動がもたらされる。
【0078】
実際には、基本的検出器の配列30が、各マイクロレンズに対する、焦点(330a,i、330b,i,...)および(330a,j、330b,j,...)のエネルギの和である、光エネルギの分布(330i、330j、...)を検出する。2つの焦点330a,iおよび330b,iのエネルギの和を得るためには、それらの焦点が干渉しないこと、および互いにインコヒーレントな2つのビームから生成されることを確実にすることである。実質的に平行な面を有する基板の2面での反射から生じる2つのビームの場合は、基板の光学的厚さの2倍未満のコヒーレンス長を有する照明源によって、このことが可能になる。
【0079】
実際的には、焦点(330a,i、330b,i,...)および(330a,j、330b,j,...)は重ね合わされるか、部分的に重ね合わされるか、または不連続であり得る。すべての場合に、公称の理論上の位置(たとえば、平坦な波面に由来する焦点の位置など)に対する結果として得られる光エネルギ分布(330i、330j、...)の移動は、反射ビーム222aおよび222bの波面の重み付き平均の局所的な傾斜を示す。
【0080】
基板上の複数の反射が無視されるとき、前記重み付き平均を確立するための重み付け係数は、ビーム222aに対しては面Aの反射係数Rであり、ビーム222bに対しては面Bの反射係数Rに基板を形成する材料の透過係数Tの2乗を掛け、かつ(1-R)の2乗を掛けたものであることが決定され得る。(1-R)は、一方では、空気と面Aとの界面において基板内に透過される照明ビームの割合であり、他方では、面Bから反射されて面Aと空気との界面において空気中に透過されるビームの割合である。
【0081】
こうして決定された、移動の2次元配列に対応する測定信号に基づいて、反射波面222aおよび222bの重み付き平均に対応する波面の局所的な傾斜のマトリクスを決定し、そこから各マイクロレンズにおいて測定される対応する波面の値のマトリクスを推定することが可能である。
【0082】
ここで図4A図4B、および図4Cを用いて、例示の目的で提供される非限定的な例において、平坦な基準面に対する面AおよびBの変形マトリクスαおよびβを決定し得るやり方のより詳細な説明が与えられる。
【0083】
図4Aおよび図4Bは、図2Aを参照して記載される方法の第1のステップに対応する。
【0084】
図4Aは、この例においては平坦な表面である基準面401に対する面Aの局所的な変形αを示す。
【0085】
面Aによる入射ビーム221の反射によってもたらされる反射ビーム222aは、光学経路の局所的な変動δを受ける。
[数1]
δ=2α
【0086】
図4Bは、基板100の両方の面AおよびBを示す。
【0087】
図4Bは、面Aの局所的な変形に加えて、この例においては平坦な表面である基準面402に対する面Bの局所的な変形βも示す。
【0088】
第1の光ビーム221による基板の透過に続く面Bからの反射によってもたらされる反射ビーム222bは、基板を再び透過する前に光学経路の局所的な変動δを受ける。
[数2]
δ=2[α-nα+nβ]
【0089】
ここでnは基板の材料の屈折率であり、それはこの例において実質的に一定と考えられる。
【0090】
面AおよびBの基準面に対する局所的な変形のために上記で説明したように局所的に変形した波面を有する反射ビーム222aおよび222bは、図3Aおよび図3Bに示されるように波面アナライザによって同時に受け取られる。
【0091】
この結果として、前記第1の反射ビーム222aおよび第2の反射ビーム222bの波面の重み付き平均の特徴を示すマトリクス形態の第1の測定信号Mがもたらされる。重み付け係数は、それぞれRおよびR*T*(1-Rである。
[数3]
【0092】
ここでRおよびRはそれぞれ一定であると仮定される面Aおよび面Bの反射係数であり、Tは一定であると仮定される基板材料の透過係数であり、αおよびβは面AおよびBの変形のマトリクスである。
【0093】
図4Cは、図2Bを参照して記載される
方法の第2のステップに対応する。
【0094】
この例において、第2の光ビームの基板への第1の透過と、光ビームに対して実質的に垂直なように配置されたミラー250による反射と、その後の基板への第2の透過とによってもたらされる透過ビーム223は、光学経路の局所的な変動δを受ける。
[数4]
δ=2(n-1)(β-α)
【0095】
面AおよびBの局所的な変形のために上記で説明したように局所的に変形した波面を有する透過ビーム223は、波面アナライザ240によって受け取られる。
【0096】
この結果として、透過ビームの波面の特徴を示すマトリクス形態の第2の測定信号Mがもたらされる。
[数5]
=2(n-1)(β-α)
測定値MおよびMから、それらの基準面に対する変形マトリクスαおよびβが推定され得る。
[数6]
および
[数7]
【0097】
なお、αおよびβは基準面に対する面AおよびBの変形であり、面AおよびB自体のプロファイルは、単に変形αおよびβをそれぞれの基準面に加えることによって、求めることができる。
【0098】
上記の計算において、Mの計算における基板内の複数の反射の影響は無視できるものと仮定される。これは、基板の面の反射係数が約10%以下のときは妥当である。なぜなら、この場合の測定値に対する複数の反射の影響は、波面アナライザが受け取る信号の1%未満だからである。
【0099】
反射係数が10%より大きい場合については、式[数3]において特に困難なく複数の反射を考慮に入れることができ、その結果かなり複雑に数式になるが、ここでは再現しない。
【0100】
加えてMは、この測定が基板の各面からの反射に由来するどの信号によっても乱されないという仮定に基づいて決定される。反射信号は透過信号よりもかなり弱いため、この仮定は通常は許容できる。ただし、基板を数度傾けて測定範囲外の反射を排除することで、Mの測定において反射信号を排除することができる。あるいは、透過ビームから生成される測定信号から反射信号を差し引くことができる。[数5]によって与えられる測定値Mの数式において反射の存在を特に困難なく考慮に入れることも可能であり、ここでもその結果Mのより複雑な数式がもたらされる。
【0101】
図5Aおよび図5Bは、基板の表面品質を分析するためのシステムの第2の例を用いて、平行面を有する基板100の表面品質を分析するための方法の例の実施のための2つのステップを示す。この例における目的は、平坦でない基板、つまり、少なくとも局所的にゼロ以外の曲率を有する基板の、表面の品質を分析することである。
【0102】
よって、図5Aおよび図5Bに示される例における目的は、平行面を有する基板100の面AおよびBの表面品質を分析することであり、ここで基板の面は実質的に一定の有限の曲率半径を有する。このような基板は、たとえば保護ドームなどである。このような基板の面の曲率半径は、通常、数センチメートルから数メートルの間である。
【0103】
表面品質を分析するためのシステム500は、図2Aおよび図2Bに示されるものと実質的に同一であり、ただ放出手段および波面分析手段に共通の光学素子は、光源210によって放出される第1の光ビーム221が、この例においては平坦でない基板の面に対して実質的に垂直なように基板100に入射するように適合されている。波面測定値を比較するための基準波面は、この例においては球形波面である。同様に、基板の面AおよびBの変形を分析するための基準面は、球形の基準面である。
【0104】
よって、この例における放出手段は、分析される基板100に対して光ビーム221がすべての点で実質的に垂直になるように光ビーム221を成形し、かつ、分析される基板と波面アナライザの分析表面との光学的共役を実質的に確立するための追加の光学レンズ216を含む。加えて、基準ミラー550の曲率半径および位置は、このミラーが光ビーム221に対してすべての点で実質的に垂直になるように選択される。
【0105】
実際には、光学素子216、215、230ならびにミラー213および214によって、波面アナライザ240が受け取る反射ビーム222aおよび222bの波面は、基板100の面AおよびBの変形による変形に関するものを除き、前述の例と同様に、実質的に平坦となる。なぜなら、光学素子216、215、230ならびにミラー213および214が、分析される基板の位置における球形の基準波面を変換して、前述の例と同様に波面アナライザにおける平坦な基準波面にするからである。したがって、面AおよびBの変形マトリクスを決定するために類似のプロセスが実行され得る。
【0106】
なお、波面アナライザにおいて球形波面を直接受け取ることも可能であり、その場合、波面アナライザにおける基準波面は球形となる。
【0107】
なお、システム500の光学素子は製造欠陥を有することがあり、行われる測定の品質への干渉を回避するために、較正ステップにおいてこの製造欠陥が考慮され得る。これを行う実際のやり方は、分析される基板100を取り除いた図5Bの構成において波面測定を行うことによって、これらの欠陥を測定するものである。このやり方で測定された欠陥は、分析される基板100の存在する状態で行われる測定値から差し引かれる。
【0108】
実用上、基準ミラー550の光学的品質は、分析される基板100の面AおよびBにおける変形測定の所望の精度に基づいて選択され得る。なぜなら、これらの測定の精度は基準ミラー550の光学的品質よりも高くなり得ないからである。
【0109】
図6は、基板の表面品質を分析するためのシステムの第2の例を用いて、本明細書による平行面を有する基板100の表面品質を分析するための方法の別の例の実施を示す。この例における目的は、平行面を有する平坦な基板100の表面の品質を分析することである。
【0110】
図6に示され、600として参照される基板の表面品質を分析するためのシステムは、分析される基板100を受けるように構成された支持体(図面には示さず)を含むが、以後に記載されるように、行われ得る較正工程のときを除いて、図2A図2B図5A図5Bに示される例と同様の基準ミラーは必要としない。
【0111】
システム600は、この例においては基板100が少なくとも部分的に透明となる少なくとも1つの波長を有する時間的コヒーレンスの低い光のための第1の放出源210aを含む光放出手段を含む。たとえば、光放出源210aは前述と同様に、白熱灯、LED、SLED、またはレーザ効果生成閾値未満で動作するレーザダイオードを含んでもよい。
【0112】
放出手段は、基板100が少なくとも部分的に透明となる少なくとも1つの波長を有する第2の放出源210bも含む。光源210aとは異なり、光源210bは短いコヒーレンス長を有する必要がないため、可能性が広くなる。よって、この光源210bは前述と同様に、白熱灯、LED、SLED、またはレーザ効果生成閾値未満で動作するレーザダイオードを含んでもよいし、実際にはそのレーザ効果生成閾値を超えて動作するレーザまたはレーザダイオードを含んでもよい。
【0113】
前述の光源は、空間的にコヒーレントであるという利点を有する。
【0114】
原則として、第1および第2の光ビームの放出のために、空間的にコヒーレントな光源が選択され得る。なぜなら、空間的にコヒーレントなビームによって、波面分析に対するより大きな測定精度が達成されるからである。
【0115】
たとえばシャックハルトマン波面アナライザが用いられるとき、第1および第2の光ビームは、結果として生じる反射ビームまたは透過ビームがマイクロレンズ配列に入射して焦点を生成するマイクロレンズのサイズよりも小さいサイズを有する焦点を生成するために十分な空間的コヒーレンスを、有してもよい。
【0116】
システム600はさらに、図6の例では、波面アナライザ240(たとえばシャックハルトマンアナライザなどであるがこれに限定されるものではない)を含む波面分析手段と、波面アナライザ240から放出される測定信号を処理するように構成される処理ユニット260とを含む。
【0117】
この例において、第1の光源210aは第1の光ビーム221aを放出する。放出手段は、動作中に第1の光ビーム221aが有利には基板に対して実質的に垂直なように基板の一方の面、この例においては面Aに、入射するように構成される。図6の例における目的は、平行面を有する実質的に平坦な基板を分析することであり、放出手段は、動作中に光ビームが実質的に平坦な波面を伴って基板に入射するように構成される。たとえば、先行する例と同様に、放出手段は、光源210aに加えて、光学レンズ211、212、215のセットおよび偏向素子213、214を含む。
【0118】
この例において、第2の光源210bは第2の光ビーム221bを放出する。放出手段は、動作中に第2の光ビーム221bが基板に対して実質的に垂直なように、基板の他方の面(たとえば、この例においては面Bであるが、必ずしもそうでなくてもよい)に入射するように構成される。図6の例における目的は、平行面を有する実質的に平坦な基板を分析することであり、放出手段は、動作中に第2の光ビームが実質的に平坦な波面を伴って基板に入射するように構成される。たとえば、放出手段は、光源210bに加えて、ビームを実質的に平行にしてそのサイズを分析対象の基板のサイズに適合させるための光学レンズ615のセットと、偏向素子613、614とを含む。
【0119】
図6に示されるように、この例において実施される方法の第1のステップにおいて、光源210aが始動され、第1の入射光ビーム221aは、一方では、基板100の第1の面Aで反射されて第1の反射ビーム222aを形成し、他方では、基板を透過して基板100の第2の面Bで反射され、基板100を再び透過して第2の反射ビーム222bを形成する。
【0120】
前述されたように、波面分析手段は、第1の反射ビーム222aおよび第2の反射ビーム222bの波面の組み合わせの特徴を示す第1の測定信号を生成するために、前記第1および第2の反射ビームを受け取るように構成される。
【0121】
図6の例において、波面分析手段は、先行する例と同様に、放出手段のものと共通の光学レンズ211、212、215のセットと偏向素子213、214とを含むことで、反射ビームが波面アナライザ240に向けられる。システム200はさらに、前述と同様に、放出手段および分析手段を分離するように構成された光学ビーム分割エレメント230を含む。
【0122】
この例において実施される方法の第2のステップにおいて、光源210bが始動される一方で光源210aはオフにされ、第2の光ビーム221bが基板100を透過する。この結果としてもたらされる透過ビーム223は、前記透過ビームの波面の特徴を示す第2の測定信号を生成するために、波面分析手段の波面アナライザ240に送られる。
【0123】
そして、図3A図3B図4A図4B、および図4Cを用いて上述されたように、処理ユニット260によって、前記第1の測定信号および前記第2の測定信号に基づいて、第1の基準面に対する基板の第1の面Aの変形を示す少なくとも1つの第1の信号と、第2の基準面に対する基板の第2の面Bの変形を示す少なくとも1つの第2の信号とが算出され得る。
なお、基板の通過が単純であるため、[数5]は次のようになる。
[数8]
=(n-1)(β-α)
【0124】
先行する例を参照して説明したように、システム600の光学素子は製造欠陥を有することがあり、行われる測定の品質への干渉を回避するために、較正ステップにおいてこの製造欠陥が考慮され得る。2つの較正ステップが実施され得る。これらは透過ビームに対する第1の較正ステップと、反射ビームに対する第2の較正ステップとである。透過ビームを較正するステップを実行する実際のやり方は、分析される基板100が取り除かれた、光源210bをオンにした(光源210aはオフの)図6の構成において波面測定を行うことによって、光学系の欠陥を測定するものである。そして、このやり方で測定されたこれらの欠陥は、分析される基板100の存在する状態で行われる透過測定値から差し引かれる。反射のビームを較正するステップは、図2Aおよび図2Bに対して記載される較正と同一であり、ここでは基板が基準ミラーに置き換えられる(光源210aはオンにされ、光源210bはオフにされる)。
【0125】
平坦な基板の分析の場合が示されているが、図6を用いて記載される方法は湾曲した基板の分析に適用され得る。この目的のために、たとえば光学素子615、614、613によって形成される放出源210bの像が、分析される基板の曲率の実質的中心に位置するように、光学素子615、614、613は特に適合されなければならない。
【0126】
図2A図2B図5A、および図5Bの実施形態の例と比較すると、たとえば図6に示されるようなシステムによって実施される基板の表面品質を分析するための方法はより高速であり得るが、それは、基準ミラーが較正工程に対してのみ有用であるため、測定自体のために基準ミラーを設置する必要がないからである。
【0127】
実施形態の例(図面には示さず)において、図6に記載されるシステムは、たとえば分離プレート、分離キューブ、またはダイクロイックプレートなどを用いて、第2の光源210bと並列に追加の光源を組み込んでもよい。この追加の光源は、光源210bに対して放出される第2の光ビームとは異なる波長および偏光の少なくとも一方を有する第3の光ビームを放出してもよい。この第3の光ビームは第2の透過ビームを生成し、かつ第1の透過ビームを生成する第2の光ビームと同一の光学経路をたどる。第2の透過ビームはアナライザ240によって受け取られ、前記第2の透過ビームの波面の特徴を示す第3の測定信号が生成される。第1の透過ビームの波面の特徴を示す第2の測定信号と、第2の透過ビームの波面の特徴を示す第3の測定信号との比較を用いて、基板内の屈折率の変動の特徴を示す信号が生成され得る。
【0128】
図7は、基板の表面品質を分析するためのシステムの第3の例を用いて、本明細書による平行面を有する基板100の表面品質を分析するための方法の別の例の実施を示す。この例において、第1および第2の方法のそれぞれを得るための方法の2つのステップは、同時に実行されてもよい。この例における目的は、実質的に平坦な平行面を有する基板100の表面の品質を分析することである。
【0129】
図7に示され、700として参照される基板の表面品質を分析するためのシステムは、分析される基板100を受けるように構成された支持体(図面には示さず)を含むが、以後に記載されるように、行われ得る較正のときを除いて、図2A図2B図5A図5Bに示される例と同様に基準ミラーは必要としない。
【0130】
システム700は、この例において、図2A図2B図5A、および図5Bの例と同様に、基板100が少なくとも部分的に透明となる少なくとも1つの波長を有する時間的コヒーレンスの低い光のための単一の放出源210を含む光放出手段を含む。たとえば、光放出源210は、前述と同様に、白熱灯、LED、SLED、またはレーザ効果生成閾値未満で動作するレーザダイオードを含んでもよい。
【0131】
システム700はさらに、図7の例においては、第1の波面アナライザ240aおよび第1の波面アナライザ240aとは別の第2の波面アナライザ240bを含む波面分析手段であって、これらのアナライザは、たとえばシャックハルトマンアナライザなどであるがこれに限定されるわけではない、波面分析手段と、波面アナライザ240aおよび240bにより放出される測定信号を処理するように構成される処理ユニット260とを含む。有利には、これらの波面アナライザは同一のタイプであるが、異なるタイプの波面アナライザも用いられ得る。
【0132】
この例において、光源210は第1の光ビーム221を放出する。放出手段は、動作中に第1の光ビーム221が基板に対して実質的に垂直なように基板の一方の面、この例においては面Aに、入射するように構成される。図7の例における目的は、実質的に平坦な平行面を有する基板を分析することであり、放出手段は、動作中に光ビームが実質的に平坦な波面を伴って基板に入射するように構成される。たとえば、先行する例と同様に、放出手段は光源210に加えて、光学レンズ211、212、215のセットおよび偏向素子213、214を含む。
【0133】
図7に示されるように、この例において実施される方法の第1のステップにおいて、光源210が始動され、第1の入射光ビーム221は、一方では、基板100の第1の面Aにより反射されて第1の反射ビーム222aを形成し、他方では、基板を透過し、そして、基板100の第2の面Bにより反射され、基板100を再び透過して第2の反射ビーム222bを形成する。
【0134】
前述されたように、波面分析手段は、第1の反射ビーム222aおよび第2の反射ビーム222bの波面の組み合わせの特徴を示す第1の測定信号を生成するために、前記第1および第2の反射ビームを受け取るように構成される。
【0135】
図7の例において、波面分析手段は、先行する例と同様に、放出手段のものと共通の光学レンズ211、212、215のセットと、偏向素子213、214とを含むことで、反射ビームが波面アナライザ240aに向けられ、かつ、分析される基板100と波面アナライザ240aの測定表面との光学的共役が実質的に確立される。システム700はさらに、前述と同様に、放出手段および波面アナライザ240aを分離するように構成された光学ビーム分割エレメント230を含む。
【0136】
この例において実施される方法の、第1のステップと同時に行われてもよい、第2のステップにおいて、前記透過ビームの波面の特徴を示す第2の測定信号を生成するために、第1の光ビーム221と一致してもよい第2の光ビームが基板を透過することによってもたらされる透過ビーム223が、波面分析手段の第2の波面アナライザ240bに送られる。
【0137】
図7の例において、波面分析手段は光学レンズ715、712のセットと、偏向素子714、713とを含むことで、透過ビーム223が波面アナライザ240bに向けられ、かつ、分析される基板100と波面アナライザ240bの測定表面との光学的共役が実質的に確立される。
【0138】
そして、図3A図3B図4A図4B、および図4Cを用いて上述されたように、処理ユニット260によって、前記第1の測定信号および前記第2の測定信号に基づいて、第1の基準面に対する基板の第1の面Aの変形を示す少なくとも1つの第1の信号と、第2の基準面に対する基板の第2の面Bの変形を示す少なくとも1つの第2の信号とが算出され得る。
【0139】
図6の例と同様に、第2の光ビームは基板を単純に透過するため、式[数8]が適用可能である。
【0140】
前述と同様に、システム700の光学素子は製造欠陥を有することがあり、行われる測定の品質への干渉を回避するために、較正ステップにおいてこの製造欠陥が考慮され得る。2つの較正ステップが提供され得る。これらは透過ビームに対する較正ステップと、反射ビームに対する較正ステップとである。透過ビームを較正するステップを実行する実際のやり方は、分析される基板100が取り除かれた、光源210をオンにした図7の構成において波面測定を行うことによって、アナライザ240bによって光学系の欠陥を測定するものである。そして、このやり方で測定されたこれらの欠陥は、分析される基板100の存在する状態で行われる透過測定値から差し引かれる。反射のビームを較正するステップは、図2Aおよび図2Bに対して記載される較正と同一であり、ここでは基板が基準ミラーに置き換えられる。
【0141】
平坦な基板の分析の場合が示されているが、図7を用いて記載される方法は、湾曲した基板の分析に適用され得る。この目的のために、分析される基板の表面上にビーム221が実質的に垂直なように到達し、かつ、分析される基板100と波面アナライザ240aの測定表面とに光学的共役が実質的に確立されることを確実にするために、たとえばビーム221のサイズが分析対象の基板のサイズに適合されるように光学素子211~215を適合させなければならない。光学素子715、714、および713も、たとえば分析される基板100における透過ビームのサイズをアナライザ240bの測定表面のサイズに適合させ、かつ、分析される基板100と波面アナライザ240bの測定表面との光学的共役を実質的に確立させるように、適合させなければならない。
【0142】
図2A図2B図5A、および図5Bの実施形態の例と比較すると、たとえば図7に示されるようなシステムによって実装される基板の表面品質を分析するための方法はより高速であり得るが、それは、基準ミラーが較正工程に対してのみ有用であるため、測定自体のために基準ミラーを設置する必要がないからである。さらに、2つの波面アナライザが存在することによって、第1および第2の反射ビーム221a、221bを透過ビーム223と共に光ビーム221から同時に生成することができるため、M1およびM2の測定が同時に行われ得る。
【0143】
図8は、図6の例と同様に、第1の放出源210aと、第1の放出源とは別の第2の放出源210bと、を有する放出手段を、含むシステム800を示す。加えてシステム800は、図7の例と同様に、第1の波面アナライザ240aと、第1の波面アナライザ240aとは別の第2の波面アナライザ240bと、を含む波面分析手段を含む。システム800はさらに、波面アナライザ240aおよび240bによって生成された測定信号を処理するように構成された処理ユニット260を含む。
【0144】
このようなシステムは、図7のシステムと同様の利点を有し、すなわち、第1の光源210aにより放出された単一の光ビーム221aが、第1の波面アナライザ240aによって検出される反射ビーム222aおよび222bを同時に生成して、前記第1および第2の反射ビームの波面の組み合わせの特徴を示す第1の測定信号を生成でき、かつ、第2の波面アナライザ240bによって検出される第1の透過ビーム223aを生成して、前記透過ビームの波面の特徴を示す第2の測定信号を生成することができる。
【0145】
先行する例と同様に、この目的のために、波面分析手段は、放出手段のものと共通の光学レンズ211、212、215のセットと、偏向素子213、214とを含んでもよく、それによって反射ビームが波面アナライザ240aに向けられ、かつ、分析される基板100と波面アナライザ240aの測定表面との光学的共役が実質的に確立される。システム800はさらに、前述と同様に、放出手段および波面アナライザ240aを分離するように構成された光学ビーム分割エレメント230を含んでもよい。加えて図8の例において、波面分析手段は光学レンズ815、812のセットと、偏向素子814、813とを含むことで、透過ビーム223aが第2の波面アナライザ240bに向けられ、かつ、分析される基板100と波面アナライザ240bの測定表面との光学的共役が実質的に確立される。
【0146】
さらに、この例において、第2の光源210bは、第1の光ビーム221aと異なる波長および偏光の少なくとも一方を有する第2の光ビーム221bを放出するように構成される。
【0147】
そして、この方法は、実施形態の一例において、第2の透過ビーム223bの波面の特徴を示す第3の測定信号を生成するために、第1の波面アナライザ240aによって、前記第2の光ビーム221bの基板への第1の透過によってもたらされる前記第2の透過ビームを受け取ることを含んでもよい。第1の透過ビームの波面の特徴を示す第2の測定信号と、第2の透過ビームの波面の特徴を示す第3の測定信号との比較を用いて、基板内の屈折率の変動の特徴を示す信号が生成され得る。
【0148】
図8に示されるように、放出手段は、必ずしもそうである必要はないがたとえば垂直入射などによって、第2の光ビーム221bを基板100に向けて送るために、分析手段と共通の光学素子811および812~815、ならびに、分離エレメント830を含んでもよい。
【0149】
たとえば先行する図面に関連して記載されるものなどの較正工程が行われてもよい。
【0150】
図9は、本明細書による方法によって得られた、平行面を有する平坦な基板の面の変形を示す実験画像を示す。
【0151】
より正確には、この例において、基板は、両面研磨によってもたらされた厚さ3mmの平坦な平行面を有する基板であり、2面のうちの一方(面A)が研磨不良を有する。
【0152】
分析に用いられたシステムは、図2Aおよび図2Bに示されるタイプのシステムである。放出源は、レーザ効果生成閾値未満で用いられたモノモードファイバに導入されたレーザダイオードであり、波面アナライザはシャックハルトマンアナライザである。
【0153】
変形マトリクスは、図2Aおよび図2Bを参照して説明されるように、第1および第2の反射ビームの波面の組み合わせの特徴を示す第1の測定信号Mと、透過ビームの波面の特徴を示す第2の測定信号Mとに基づいて、式[数6]および[数7]を用いて求められる。
【0154】
基板が分析され、平坦な基準面に対する面AおよびBの変形αおよびβのマトリクスが決定されて、図9の左側および右側の画像にそれぞれ示される。
【0155】
特に面Aにおいて、0.315μmのP-V(ピークバレー(peak to valley))振幅を有する研磨不良が観察される。一方の面のみに研磨不良を有するこの基板に対して予期されたように、面Bの測定は研磨不良を示さないことから、このテストはこの方法が明らかに2面を別々に測定できるようにすることを実証する。
【0156】
図2A図2B図6図7、および図8を用いて記載される実施形態の例において、分析される基板に対して実質的に垂直なように入射する第1の光ビームが考察された。
【0157】
これは有利な構成であるが、当業者であれば、特に、傾斜した基板の使用に好適な他の実施形態を、想定し得るであろう。
【0158】
よって図10Aは、垂線に対する傾斜角がゼロではない基板への第1の光ビームの入射に対して適合された、本明細書による基板の表面品質を分析するためのシステムの例を用いて、本明細書による基板の表面品質を分析するための方法の例の第1のステップを示す図を示し、図10Bは、基板の表面品質を分析するための方法の例の第2のステップを示す図を示す。この例においては、図2Aおよび図2Bの例と同様に、基準ミラー250が用いられる。
【0159】
この例における放出手段は2つの光放出源を含み、すなわちそれらは低い時間的コヒーレンスを有する第1の光ビーム221a(図10A)の放出のための光放出源210aと、第2の光ビーム221b(図10B)の放出のための光放出源210bとである。
【0160】
図10Aおよび図10Bに示されるように、放出手段は、第1の光源210aから放出される第1の光ビームおよび第2の光源210bから放出される第2の光ビームを基板100に向けるための、光学レンズ1013、1018、1017、1014のセットおよび偏向素子1011、1012、1016、1015も含む。
【0161】
この例において、分析手段が放出手段のものと共通の光学レンズ1014、1017、1018のセットと偏向素子1015、1016とを含むことで、反射ビーム222a、222bが第1の波面アナライザ240aに向けられ、かつ、分析される基板100と波面アナライザ240aの測定表面との光学的共役が実質的に確立される。分割素子230は、分析経路を放出経路から分離することを可能にする。
【0162】
図10Cに示されるように、図10Aおよび図10Bを参照して記載されるシステムは、特定の制限内で傾斜した基板を分析するために用いられ得る。特に、基板に対する垂線に対して第1の光ビーム221aの傾斜角θが大き過ぎるとき、特に厚い基板の場合には、その結果として、反射ビーム222bにおける面Bの欠陥のフットプリントと、透過ビームにおけるそれら欠陥のフットプリントとの間にdで示される空間的オフセットがもたらされることがあり、これは反射および透過における測定値からの面AおよびBの変形の計算を歪ませ得る。この分野の知識を有する当業者であれば、予想される面Bの欠陥の空間的周期および波面アナライザの空間的分解能に対してオフセットdが小さくなるように、基板の厚さに従って第1の光ビームの傾斜を制限するために光学アセンブリを適合させ得るであろう。
【0163】
特定数の例示的実施形態の形態で記載が行われたが、本明細書によるシステムおよび方法は、当業者には明らかな異なる変形、修正、および改善を包含し、これらの異なる変形、修正、および改善は、以下の請求項によって定義される本発明の範囲内にあるものとみなされる。
【参考文献】
【0164】
[参考文献1]Craig R. Forest et al., Metrology of thin transparent optics Shack-Hartmann wavefront sensing, Optical Engineering, 43(3), 2004, https://doi.org/10.1117/1.1645256.
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[参考文献3]Principles and History of Shack-Hartmann, Journal of Refractive Surgery Volume 17, September/October 2001.
[参考文献4]米国特許第6577403
[参考文献5]米国特許出願公開第2010/0310130
[参考文献6]米国特許出願公開第2005/0036153
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
【手続補正書】
【提出日】2024-12-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行面を有する基板(100)の表面品質を分析するための方法であって、
放出手段の少なくとも1つの第1の光源(210、210a)によって、時間的コヒーレンスの低い少なくとも1つの第1の光ビーム(221)を放出し、前記少なくとも1つの第1の光ビームは、前記基板の第1の面(A)に入射し、前記基板は、前記第1の光ビームの少なくとも1つの波長に対して少なくとも部分的に透明であることと、
前記基板の前記第1の面(A)による前記少なくとも1つの第1の光ビームの反射によってもたらされる少なくとも1つの第1の反射ビーム(222a)、および、前記第1の光ビームの前記基板への第1の透過とその後の前記基板の第2の面(B)による反射に続く前記基板への第2の透過とによってもたらされる第2の反射ビーム(222b)の、各波面の組み合わせの特徴を示す、少なくとも1つの第1の測定信号を生成するために、波面分析手段の少なくとも1つの第1の波面アナライザ(240、240a)によって、前記少なくとも1つの第1の反射ビームおよび前記第2の反射ビームを受け取ることと、
前記放出手段によって放出される第2の光ビームの前記基板への少なくとも1つの第1の透過によってもたらされる少なくとも1つの第1の透過ビーム(223、223a)の波面の特徴を示す、第2の測定信号を生成するために、前記波面分析手段によって、前記少なくとも1つの第1の透過ビームを受け取ることと、
前記少なくとも1つの第1の測定信号および前記第2の測定信号から、第1の基準面に対する前記基板の前記第1の面の変形を示す少なくとも1つの第1の信号と、第2の基準面に対する前記基板の前記第2の面の変形を示す少なくとも1つの第2の信号とを算出することと、を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記少なくとも1つの第1の光ビームが、前記基板に対して実質的に垂直なように、前記基板に入射する、方法。
【請求項3】
請求項1および2のいずれかに記載の方法であって、
前記第2の光ビームは前記基板の前記第1の面(A)に入射し、前記方法は、前記第2の測定信号の生成のために、
前記第2の光ビームに対して実質的に垂直なように配置された基準ミラーを、位置決めすることをさらに含み、
前記第1の透過ビーム(223)は、前記第2の光ビームの前記基板への第1の透過と、前記基準ミラーによる反射と、前記基準ミラーによって反射されたビームの前記基板への第2の透過とによってもたらされ、
前記第1および第2の反射ビームならびに前記第1の透過ビームは、前記波面分析手段の前記第1の波面アナライザ(240)によって受け取られる、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記第1の光ビームおよび前記第2の光ビームが前記第1の光源によって放出される、方法。
【請求項5】
請求項1および2のいずれかに記載の方法であって、
前記第2の光ビームは、前記基板の前記第1の面(A)に入射し、
前記第1の透過ビーム(223、223a)は、前記第2の光ビームの前記基板への第1の透過によってもたらされ、
前記第1の透過ビームは、前記第1の波面アナライザとは別の前記波面分析手段の第2の波面アナライザ(240b)によって、受け取られる、方法。
【請求項6】
請求項1および2のいずれかに記載の方法であって、
前記第2の光ビーム(221b)は、前記第1の光源とは別の前記放出手段の第2の光源によって放出されて、前記基板の前記第2の面(B)に入射し、
前記第1の透過ビーム(223b)は、前記第2の光ビームの前記基板への第1の透過によってもたらされ、
前記第1の透過ビームは、前記測定分析手段の前記第1の波面アナライザ(240)によって受け取られる、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記第1の光源によって放出される前記第1の光ビームと、前記第2の光源によって放出される前記第2の光ビームとが、異なる波長および偏光の少なくとも一方を有し、前記方法はさらに、
前記第1の入射ビームの前記基板への第1の透過によってもたらされる第2の透過ビーム(223a)の波面の特徴を示す第3の測定信号を生成するために、前記第1の波面アナライザとは別の前記波面分析手段の第2の波面アナライザ(240b)によって、前記第2の透過ビームを受け取ることと、
前記基板内の屈折率の変動の特徴を示す信号を生成するために、前記第1の透過ビームの波面の特徴を示す前記第2の測定信号と、前記第2の透過ビームの波面の特徴を示す前記第3の測定信号と、を比較することと、を含む、方法。
【請求項8】
平行面を有する基板の表面品質を分析するためのシステムであって、
分析される前記基板を受けるように構成された少なくとも1つの第1の支持体と、
前記基板が少なくとも部分的に透明となる少なくとも1つの波長を有する時間的コヒーレンスの低い少なくとも1つの第1の光ビームを、放出するための、少なくとも1つの第1の光源を、含み、動作中に前記少なくとも1つの第1の光ビームが前記基板に入射するように構成される、放出手段と、
少なくとも1つの第1の波面アナライザ(240、240a)を含む波面分析手段であって、動作中に、
前記基板の第1の面(A)による前記少なくとも1つの第1の光ビームの反射によってもたらされる少なくとも1つの第1の反射ビーム(222a)、および、前記第1の光ビームの前記基板への第1の透過とその後の前記基板の第2の面(B)による反射に続く前記基板への第2の透過とによってもたらされる第2の反射ビーム(222a)の、各波面の組み合わせの特徴を示す、第1の測定信号を生成するために、前記第1の波面アナライザの分析表面において、前記少なくとも1つの第1の反射ビームおよび前記第2の反射ビームを受け取り、
前記放出手段によって放出される第2の光ビームの前記基板への少なくとも1つの第1の透過によってもたらされる少なくとも1つの第1の透過ビーム(223、223a)の波面の特徴を示す、第2の測定信号を生成するために、前記波面分析手段によって、前記少なくとも1つの第1の透過ビームを受け取るように構成される、前記波面分析手段と、
前記第1の測定信号および前記第2の測定信号から、第1の基準面に対する前記基板の前記第1の面の変形を示す少なくとも1つの第1の信号と、第2の基準面に対する前記基板の前記第2の面の変形を示す少なくとも1つの第2の信号と、を算出するように構成された処理ユニット(260)と、を含む、システム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、前記放出手段が、動作中に前記少なくとも1つの第1の光ビームが前記基板に対して実質的に垂直なように、前記基板に入射するように、構成される、システム。
【請求項10】
請求項8および9のいずれかに記載のシステムであって、前記第1の波面アナライザの前記分析表面は、分析される前記基板と実質的に光学的に共役する、システム。
【請求項11】
請求項8~9のいずれか一項に記載のシステムであって、
動作中前記第2の光ビームに対して実質的に垂直なように配置される基準ミラーを、受けるように構成される、第2の支持体をさらに含み、動作中に、
前記第1の透過ビーム(223)は、前記基板への前記少なくとも1つの第1の入射ビームの第1の透過と、前記基準ミラーによる反射と、前記基準ミラーによって反射されたビームの前記基板への第2の透過とによってもたらされ、
前記第1および第2の反射ビームならびに前記第1の透過ビームは、前記波面分析手段の前記第1の波面アナライザ(240)によって、受け取られる、システム。
【請求項12】
請求項8~9のいずれかに記載のシステムであって、前記波面分析手段は、前記第1の波面アナライザとは別の第2の波面アナライザを含み、
前記放出手段は、動作中に前記第2の光ビームが前記基板の前記第1の面に入射するように構成され、前記第1の透過ビームは、前記第2の光ビームの前記基板への第1の透過によってもたらされ、
前記波面分析手段は、動作中に前記第1の透過ビームが前記波面分析手段の前記第2の波面アナライザによって受け取られるように構成される、システム。
【請求項13】
請求項8~9のいずれかに記載のシステムであって、前記少なくとも1つの第1の波面アナライザが、ハルトマンおよびシャックハルトマン波面アナライザ、横方向シフト干渉計、モアレデフレクトメータ、ならびにシュリーレン法に基づくデバイスの中から選択される、システム。
【国際調査報告】