(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-13
(54)【発明の名称】ゾーン作動式インラインデュアルスタックローラベルトコンベヤ
(51)【国際特許分類】
B65G 17/24 20060101AFI20250306BHJP
B65G 39/20 20060101ALI20250306BHJP
【FI】
B65G17/24 A
B65G39/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547865
(86)(22)【出願日】2023-01-09
(85)【翻訳文提出日】2024-09-27
(86)【国際出願番号】 US2023010416
(87)【国際公開番号】W WO2023158527
(87)【国際公開日】2023-08-24
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508181663
【氏名又は名称】レイトラム,エル.エル.シー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】フォーニー,マシュー エル.
(72)【発明者】
【氏名】コヴァックス,ジョセフ エフ.
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル,アンジェラ ロンゴ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンツェル,ジョン イー.
(72)【発明者】
【氏名】スパイサー,クリストファー ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ブラン,ジェームズ エル.
(72)【発明者】
【氏名】マクラクラン,ギルバート ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】クライン,リチャード エム.
(72)【発明者】
【氏名】ボグル,デビッド ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
3F033
3F034
【Fターム(参考)】
3F033GA01
3F033GB08
3F033GE04
3F033GE07
3F034JA09
3F034JB05
(57)【要約】
上側および下側のインラインローラが積み重ねて配置され、選択的に回転するように作動されるコンベヤベルトを備えるベルトコンベヤである。作動時には、物品を支持する上側ローラが、搬送路内の上昇したベアリング面を進む下側ローラとの接触により回転する。非作動時には、上側ローラが、制動パッドによって制動され、下側ローラが、下降したベアリング面との接触から外れる。ベルトローラは、個別に制御可能なローラ作動アセンブリのマトリックスによって作動および作動停止され、それぞれがローラ作動ゾーンを規定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤベルトであって、
底面と、
複数のクレードルであって、各々が少なくとも1のローラセットを支持する複数のクレードルとを備え、前記ローラセットが、
前記底面の下方に突出する突出部分を有する下側ローラと、
搬送物品の支持面を形成する上側ローラのペアとを備え、
前記下側ローラおよび前記上側ローラが、ベルト移動方向に対して垂直な軸上で回転可能であり、
前記下側ローラが前記上側ローラと接触しているときに、前記下側ローラの一方向への回転により、前記上側ローラが逆方向に回転し、
各クレードルは、前記上側ローラが第1の高さレベルにある第1の位置から第2の位置まで平行移動可能であり、前記第2の位置では、前記上側ローラがより高い第2の高さレベルにあり、前記下側ローラと接触することを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項2】
請求項1に記載のコンベヤベルトにおいて、
前記上側ローラが、前記下側ローラよりも軸方向に長いことを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項3】
請求項1に記載のコンベヤベルトにおいて、
前記下側ローラの直径が、前記上側ローラの直径よりも大きいことを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項4】
請求項1に記載のコンベヤベルトにおいて、
前記上側ローラの各々が、2つの外側部分の間に中央部分を有し、前記中央部分の直径が、前記外側部分の直径よりも小さく、前記下側ローラが、前記中央部分に接触することを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項5】
請求項1に記載のコンベヤベルトにおいて、
前記上側ローラが回転する回転軸を規定する軸を含み、前記クレードルが、前記軸の端部を保持する端部サポートを含むことを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項6】
請求項1に記載のコンベヤベルトにおいて、
前記クレードルの各々が、互いに軸方向に間隔を空けて配置された2つのローラセットを含むことを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項7】
請求項1に記載のコンベヤベルトにおいて、
前記クレードルが、前記クレードルから遠位端まで吊り下げられた脚部のペアを有し、前記脚部に形成されたスロットが、前記遠位端の上方のスロット下部まで延び、前記下側ローラが、前記下側ローラの回転軸を規定する軸を有し、その端部が、前記下側ローラの両側の前記スロット内に受け入れられていることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項8】
請求項7に記載のコンベヤベルトにおいて、
前記脚部の遠位端にタブが設けられ、前記タブと係合して前記クレードルを前記コンベヤベルトに保持する保持構造が、前記コンベヤベルトに設けられていることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項9】
請求項1に記載のコンベヤベルトにおいて、
前記上側ローラのペアが前記クレードルとともに移動し、前記下側ローラが、前記クレードルとともにまたは前記クレードルに対して相対的に移動可能であることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項10】
請求項1に記載のコンベヤベルトにおいて、
前記クレードルが前記第1の位置にあるときに、前記クレードル内に延びて前記上側ローラと接触し、それにより前記上側ローラの回転を抑制する制動面を備えることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項11】
請求項10に記載のコンベヤベルトにおいて、
間隔を空けて配置されたヒンジ要素を両端部に有する1または複数のベルトモジュールの一連の列であって、隣接する列の交互に配置されたヒンジ要素を通って延びるヒンジロッドによって互いに連結されたベルトモジュールの一連の列を備え、前記制動面が、前記ベルトモジュールの個々のベルトモジュールに形成され、前記クレードルが、個々のベルトモジュールに支持されていることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項12】
請求項1に記載のコンベヤベルトにおいて、
前記底面が、ベルト移動方向に延びる離間したレーンにおいてスカラップ状となっていることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項13】
コンベヤベルトモジュールであって、
ベースと、前記ベースにスライド可能に取り付けられたローラアセンブリとを備え
前記ベースが、第1の端部から第2の端部まで長さ方向に延び、第1の側部から第2の側部まで幅方向に横に延び、前記ベースが、
底面および上部デッキと、
前記第1の端部に沿って間隔を空けて配置された第1のヒンジ要素、および前記第2の端部に沿って間隔を空けて配置された第2のヒンジ要素と、
前記底面および前記上部デッキに開口するキャビティと、
前記上部デッキ上のボスとを含み、
前記ローラアセンブリが、
少なくとも1ペアの横に並んだローラベッド、および前記ローラベッドの両端部にある端部サポートを有するクレードルと、
前記ローラベッド内の上側ローラと、
前記キャビティ内に配置され、前記底面の下方に延びる突出部分を有し、下側ローラ軸を有する下側ローラと、
前記端部サポートによって支持され、前記上側ローラを通って横方向に延び、前記上側ローラの横方向の回転軸を規定する上側ローラ軸とを含み、
前記クレードルが、前記ローラベッドに前記ボスのための開口部をさらに含み、
前記下側ローラを上昇させると、前記下側ローラが前記上側ローラを押圧して、前記クレードルを前記上部デッキから離れるように押し上げ、その結果、前記ボスが前記開口部を通って前記ローラベッド内に延びることはなく、また、前記下側ローラの一方向の回転により、前記上側ローラが逆方向に回転し、
前記下側ローラを下降させると、前記クレードルが前記上部デッキ上に載ることができ、前記ボスが、前記開口部を通って前記ローラベッド内に延びて、前記上側ローラに当接し、それにより前記上側ローラを回転しないように制動することを特徴とするコンベヤベルトモジュール。
【請求項14】
請求項13に記載のコンベヤベルトモジュールにおいて、
前記ベースが、前記底面と前記上部デッキとの間の位置で前記キャビティの横方向の両側から突出するストッパを含み、前記底面から前記ストッパまで延びるチャネルを形成し、
前記クレードルが、前記クレードルから前記キャビティを通って前記底面に向かって下方に延び、前記下側ローラを挟む脚部のペアを含み、各脚部が、
遠位端およびスロットであって、前記スロットが、前記ローラベッドから前記遠位端の手前のスロット座部まで下方に延び、前記下側ローラ軸の端部が、前記キャビティの横方向の両側で前記スロット内にあり、それにより前記下側ローラに横方向の回転軸を提供する、遠位端およびスロットと、
前記脚部の遠位端で前記下側ローラから横方向に離れるように延び、前記クレードルを前記ベースに固定するために前記ストッパによって係合可能なタブとを備え、
前記脚部は、前記タブが前記ストッパから前記底面へ前記チャネルに沿って可動範囲を有するように十分に長いことを特徴とするコンベヤベルトモジュール。
【請求項15】
請求項13に記載のコンベヤベルトモジュールにおいて、
前記ヒンジ要素から上方に延びて、前記ベースの第1および第2の端部において横方向に延びるセグメント壁を形成し、それにより前記上側ローラアセンブリを長さ方向に囲む壁セグメントを含むことを特徴とするコンベヤベルトモジュール。
【請求項16】
請求項13に記載のコンベヤベルトモジュールにおいて、
前記下側ローラの直径が、前記上側ローラの直径よりも大きいことを特徴とするコンベヤベルトモジュール。
【請求項17】
請求項13に記載のコンベヤベルトモジュールにおいて、
幅方向における前記下側ローラの軸長さが、幅方向における前記上側ローラの軸長さよりも短いことを特徴とするコンベヤベルトモジュール。
【請求項18】
請求項13に記載のコンベヤベルトモジュールにおいて、
前記上側ローラの各々が、外側部分により挟まれた中央部分を有し、前記外側部分の直径が、前記中央部分の直径よりも大きいことを特徴とするコンベヤベルトモジュール。
【請求項19】
請求項18に記載のコンベヤベルトモジュールにおいて、
前記下側ローラが、前記上側ローラの中央部分に接触することを特徴とするコンベヤベルトモジュール。
【請求項20】
請求項13に記載のコンベヤベルトモジュールにおいて、
2つの下側ローラを含み、前記ベースが、前記2つの下側ローラのための、2つの横方向に離間したストッパ、ボスおよびキャビティを有し、前記上側ローラアセンブリが、2つの横方向に離間したクレードルを含むことを特徴とするコンベヤベルトモジュール。
【請求項21】
ローラ作動アセンブリであって、
アクチュエータベースと、
前記アクチュエータベースにスライド可能に取り付けられたベアリングユニットであって、
第1の端部から第2の端部まで第1の方向に長さ方向に延びる上部ベアリング面を有するベアリングブロックのペアと、
前記ベアリングブロックのペアに接続され、前記上部ベアリング面のレベルより下方に上面を有する中間部分とを含む、ベアリングユニットと、
前記アクチュエータベースに取り付けられるとともに、前記ベアリングユニットに結合され、前記ベアリングユニットを下降位置と上昇位置との間で移動させるアクチュエータとを含むことを特徴とするローラ作動アセンブリ。
【請求項22】
請求項21に記載のローラ作動アセンブリにおいて、
前記アクチュエータが、前記アクチュエータベースと前記ベアリングユニットとの間に配置された空気圧アクチュエータであることを特徴とするローラ作動アセンブリ。
【請求項23】
請求項21に記載のローラ作動アセンブリにおいて、
前記ベアリングユニットの中間部分の上面の上方で、前記アクチュエータベースに固定的に取り付けられた摩耗ストリップサポートを含むことを特徴とするローラ作動アセンブリ。
【請求項24】
請求項23に記載のローラ作動アセンブリにおいて、
前記摩耗ストリップサポートから前記ベアリングユニットの中間部分の上面まで延び、前記ベアリングユニットを下降位置に向けて下方に付勢するバネを含むことを特徴とするローラ作動アセンブリ。
【請求項25】
請求項21に記載のローラ作動アセンブリにおいて、
前記ベアリングブロックが、前記第1の方向に前記第1の端部および前記第2の端部から延びるベーンを有し、前記第1の端部から延びるベーンが、前記第2の端部から延びるベーンからオフセットされており、それにより、それらベーンを隣接するローラ作動アセンブリのベーンと交互に配置することができることを特徴とするローラ作動アセンブリ。
【請求項26】
コンベヤであって、
コンベヤベルトと、前記コンベヤベルトの下方に配置された複数のローラ作動アセンブリと、摩耗ストリップとを備え、
・前記コンベヤベルトが、
底面と、
ベルト移動方向に延びるレーンに配置された複数のローラアセンブリであって、前記ローラアセンブリの各々が、
前記底面の下方に突出する突出部分を有する下側ローラと、
搬送物品の支持面を形成する上側ローラのペアとを含み、
前記下側ローラおよび前記上側ローラが、前記ベルト移動方向に対して垂直な軸上で回転可能であり、
前記下側ローラが前記上側ローラと接触しているときに、前記下側ローラが一方向に回転することによって、前記上側ローラが逆方向に回転する、複数のローラアセンブリと、
前記上側ローラのペアを支持するクレードルとを備え、
前記クレードルおよび前記下側ローラが、垂直方向に移動可能であり、
・前記複数のローラ作動アセンブリの各々が、前記ローラアセンブリのレーンの1または複数に関連付けられ、さらに、
前記ローラアセンブリのレーンの1または複数において前記下側ローラの下方で前記ベルト移動方向に長さ方向に延びる1または複数のベアリング面と、
連続するレーンの前記下側ローラ間のコンベヤの底面の下方に配置された摩耗ストリップサポートと、
前記1または複数のベアリング面を、関連するレーンの下側ローラと接触しない下降位置から、前記コンベヤベルトが前記ベルト移動方向に進むに際に関連するレーンの下側ローラが一方向に回転して前記上側ローラを逆方向に回転させることができる面を提供する上昇位置まで移動させるアクチュエータとを備え、
・前記摩耗ストリップが、連続するレーンの下側ローラ間の前記コンベヤベルトの底面に接触するように、前記摩耗ストリップサポート上で支持されることを特徴とするコンベヤ。
【請求項27】
請求項26に記載のコンベヤにおいて、
前記複数のローラ作動アセンブリが、独立して作動され、レーンに対応する縦列と、当該コンベヤの幅にわたって延びる横列の二次元マトリックスに配置されていることを特徴とするコンベヤ。
【請求項28】
請求項26に記載のコンベヤにおいて、
物品検出システムと、前記物品検出システムから物品のサイズおよび位置の情報を受信し、前記コンベヤベルト上の物品の位置および物品の下方の前記ローラ作動アセンブリとの関係を特定し、前記ローラ作動アセンブリを選択的に作動または作動停止させるプログラム命令を実行するプロセッサとを備えることを特徴とするコンベヤ。
【請求項29】
請求項26に記載のコンベヤにおいて、
前記ローラ作動アセンブリの各々が、2つのベアリング面を含み、各々が前記ローラアセンブリの別個のレーンに関連付けられていることを特徴とするコンベヤ。
【請求項30】
請求項26に記載のコンベヤにおいて、
前記ローラ作動アセンブリが、前記ベアリング面の両端部から前記ベルト移動方向に長さ方向に延びるベーンを有し、一方の端部から延びるベーンが、第2の端部から延びるベーンからオフセットされ、それにより隣接するローラ作動アセンブリのベーンと交互に配置することができることを特徴とするコンベヤ。
【請求項31】
コンベヤベルトであって、
底面と、
前記底面に開口する複数のキャビティと、
前記キャビティの各々に取り付けられ、前記底面の下方に突出する突出部分を有し、前記キャビティに沿って移動可能な下側ローラと、
複数のクレードルであって、各々が2以上のローラセットを支持する複数のクレードルとを備え、前記2以上のローラセットの各々が、
搬送物品の支持面を形成する上側ローラのペアを含み、
前記下側ローラおよび前記上側ローラが、ベルト移動方向に対して垂直な横方向に延びる軸上で回転可能であり、
前記2以上のローラセットが、当該コンベヤベルトの幅にわたって横方向に間隔を空けて配置され、
前記ローラセットの各々が、前記下側ローラの1つと関連付けられ、
前記下側ローラが関連するローラセットの上側ローラと接触しているときに、前記下側ローラが一方向に回転することにより、前記上側ローラが反対方向に回転し、
前記クレードルの各々が、前記上側ローラが第1の高さレベルにある第1の位置から、前記上側ローラがより高い第2の高さレベルにあり、前記下側ローラと接触する第2の位置まで平行移動可能であることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項32】
請求項31に記載のコンベヤベルトにおいて、
前記下側ローラが回転するように取り付けられた軸を含み、前記軸の端部が、前記クレードル内で前記クレードルに対して相対的に移動自在に支持されていることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項33】
コンベヤベルトであって、
底面と、
前記底面に開口する複数のキャビティと、
複数のクレードルであって、各々が1または複数のローラセットを支持する複数のクレードルとを備え、前記1または複数のローラセットの各々が、
搬送物品の支持面を形成する上側ローラのペアと、
前記キャビティの1つから前記底面の下方に突出する突出部分を有し、前記キャビティに沿って移動可能な下側ローラと、
前記下側ローラが回転するように取り付けられた下側ローラ軸であって、その端部が前記クレードルに対して相対的に移動自在に前記クレードルに受け入れられる、下側ローラ軸とを備え、
前記下側ローラおよび前記1または複数の上側ローラが、ベルト移動方向に対して垂直な横方向に延びる軸上で回転可能であり、
前記下側ローラが前記上側ローラと接触しているときに、前記下側ローラの一方向への回転により、前記上側ローラが反対方向に回転し、
前記クレードルの各々が、前記上側ローラが第1の高さレベルにある第1の位置から、前記上側ローラがより高い第2の高さレベルにあり、前記下側ローラと接触する第2の位置まで平行移動可能であることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項34】
請求項33に記載のコンベヤベルトにおいて、
前記クレードルが、前記キャビティ内に延び、前記下側ローラ軸の端部を受け入れる対向する垂直スロットを形成する脚部のペアを有することを特徴とするコンベヤベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、動力駆動コンベヤに関し、より詳細には、作動可能なスタックローラを有するベルトコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの搬送アプリケーションでは、搬送方向に間隔を空けて物品を配置する必要がある。連続する搬送物品間の隙間を小さくすることができれば、スループットを向上させることができる。また、しばしば、横に並んで進む物品を搬送方向に離して、それらが衝突することなく下流で合流できるようにすることも重要である。また、一部のアプリケーションでは、下流の処理が可能になるまで、バックラインの圧力が低い状態で物品を蓄積することが重要となる。米国特許第7,311,192号に記載されているような、作動式インラインローラとポップアップフライトを備えたレジストレーションベルトは、設定された間隔を空けて物品を配置するために使用される。しかしながら、それらのレジストレーションベルトは、フライトの位置によって固定される物品間隔に制限されている。それらは、連続する物品間の隙間を動的に調整することはできず、また、横に並んだ物品を分離することもできない。さらに、レジストレーションベルト上の物品は、作動ローラによってフライトに対して前方に押し出され、ベルトとともに移動するため、ベルト上の物品の滞留時間は、ベルトの長さとその速度に依存する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の特徴を具体化するコンベヤベルトの一態様は、複数のクレードルを備え、各々が少なくとも1のローラセットを支持する。各ローラセットは、ベルトの底面よりも下方に突出する突出部分を有する下側ローラと、搬送物品の支持面を形成する上側ローラのペアとを含む。下側ローラおよび上側ローラは、ベルト移動方向に垂直な軸上で回転可能である。下側ローラが上側ローラと接触しているときに、下側ローラが一方向に回転することにより、上側ローラが反対方向に回転する。各クレードルは、上側ローラが第1の高さレベルにある第1の位置から、上側ローラがより高い第2の高さレベルにあり、下側ローラと接触する第2の位置まで平行移動可能である。
【0004】
本発明の特徴を具体化するコンベヤベルトモジュールの一態様は、ベースと、ベースにスライド可能に取り付けられたローラアセンブリとを備える。ベースは、第1の端部から第2の端部まで長さ方向に延び、第1の側部から第2の側部まで幅方向に横に延びている。ベースは、底面および上部デッキと、第1の端部に沿って間隔を空けて配置されたヒンジ要素の第1のセットおよび第2の端部に沿って間隔を空けて配置されたヒンジ要素の第2のセットと、底面および上部デッキに開口するキャビティと、上部デッキ上に設けられたボスとを含む。ローラアセンブリは、少なくとも1ペアの横に並んだローラベッド、およびローラベッドの両端部に設けられた端部サポートを有するクレードルと、ローラベッド内の上側ローラと、キャビティ内に配置され、底面の下方に延びる突出部分を有し、下側ローラ軸を有する下側ローラとを含む。上側ローラ軸は、端部サポートによって支持され、上側ローラを通って横方向に延び、上側ローラのための横方向の回転軸を規定する。さらに、クレードルは、ボスのための開口部をローラベッドに含む。下側ローラを上昇させると、下側ローラが上側ローラを押圧して、クレードルが上部デッキから離れるように上昇し、その結果、ボスが開口部を通ってローラベッド内に延びることはなく、また、下側ローラの一方向の回転により、上側ローラが逆方向に回転する。また、下側ローラを下降させると、クレードルが上部デッキ上に載ることができ、ボスが、開口部を通ってローラベッド内に延びて、上側ローラに当接し、上側ローラが回転しないように制動することができる。
【0005】
本発明の特徴を具体化するローラ作動アセンブリの一態様は、アクチュエータベースと、アクチュエータベースにスライド可能に取り付けられたベアリングユニットとを備える。ベアリングユニットは、第1の端部から第2の端部まで第1の方向に長さ方向に延びる上部ベアリング面を有するベアリングブロックのペアと、ベアリングブロックのペアに接続され、上部ベアリング面のレベルの下方に上面を有する中間部分と、ベアリングユニットの中間部分の上面の上方でアクチュエータベースに固定的に取り付けられた摩耗ストリップサポートとを含む。アクチュエータベースに取り付けられるとともに、ベアリングユニットに結合されたアクチュエータが、ベアリングユニットを下降位置と上昇位置との間で移動させる。
【0006】
本発明の特徴を具体化するコンベヤの一態様は、コンベヤベルトと、コンベヤベルトの下方に配置された複数のローラ作動アセンブリとを備える。コンベヤベルトは、底面と、ベルト移動方向に延びるレーンに配置された複数のローラアセンブリとを含む。ローラアセンブリの各々は、底面の下方に突出する突出部分を有する下側ローラと、搬送物品の支持面を形成する上側ローラのペアとを含む。下側ローラおよび上側ローラは、ベルト移動方向に垂直な軸上で回転可能である。下側ローラが上側ローラと接触しているときに、下側ローラが一方向に回転することにより、上側ローラが反対方向に回転する。また、コンベヤベルトは、上側ローラのペアを支持するクレードルも含む。クレードルおよび下側ローラは、垂直方向に平行移動可能である。ローラ作動アセンブリはコンベヤベルトの下方に配置されている。ローラアクチュエータアセンブリの各々は、ローラアセンブリの1または複数のレーンに関連付けられ、また、ローラアクチュエータアセンブリの各々は、ローラアセンブリのレーンの1または複数の下側ローラの下方でベルト移動方向に長さ方向に延びる1または複数のベアリング面と、連続するレーンの下側ローラ間のコンベヤの底面の下方に配置された摩耗ストリップサポートと、1または複数のベアリング面を、関連するレーンの下側ローラと接触しない下降位置から、コンベヤベルトがベルト進行方向に進む際に関連するレーンの下側ローラが一方向に回転して上側ローラを逆方向に回転させることができる面を提供する上昇位置まで移動させるアクチュエータとを含む。摩耗ストリップサポートに支持された摩耗ストリップは、連続するレーンの下側ローラの間でコンベヤベルトの底面に接触する。
【0007】
コンベヤベルトの別の態様は、底面と、底面に開口する複数のキャビティと、複数のクレードルとを備える。下側ローラは、各キャビティに取り付けられ、底面の下方に突出する突出部分を有する。下側ローラは、キャビティに沿って平行移動可能である。各クレードルは、2以上のローラセットを支持する。各ローラセットは、搬送物品の支持面を形成する上側ローラのペアを含む。下側ローラおよび上側ローラは、ベルト移動方向に垂直な横方向に延びる軸上で回転可能である。2以上のローラセットは、コンベヤベルトの幅にわたって横方向に間隔を空けて配置されている。各ローラセットは、下側ローラの1つと関連している。下側ローラが、関連するローラセットの上側ローラと接触しているときに、一方向に回転すると、上側ローラが逆方向に回転する。各クレードルは、上側ローラが第1の高さレベルにある第1の位置から、上側ローラがより高い第2の高さレベルにあり、下側ローラと接触する第2の位置まで平行移動可能である。
【0008】
さらに、コンベヤベルトの別の態様は、底面と、底面に開口する複数のキャビティと、複数のクレードルとを備える。クレードルの各々は、1または複数のローラセットを支持し、ローラセットの各々は、搬送物品の支持面を形成する1または複数の上側ローラと、キャビティの1つから底面の下方に突出する突出部分を有する下側ローラとを含む。下側ローラは、キャビティに沿って平行移動可能である。下側ローラは、下側ローラ軸に回転可能に取り付けられている。下側ローラ軸の端部は、クレードルに対して相対的に移動自在に受け入れられる。下側ローラおよび1または複数の上側ローラは、ベルト移動方向に垂直な横方向に延びる軸上で回転可能である。下側ローラが上側ローラと接触しているときに、下側ローラが一方向に回転することにより、上側ローラが反対方向に回転する。各クレードルは、上側ローラが第1の高さレベルにある第1の位置から、上側ローラがより高い第2の高さレベルにあり、下側ローラと接触する第2の位置まで平行移動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の特徴を具体化したコンベヤベルトモジュールの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のコンベヤベルトモジュールの分解図である。
【
図3】
図3は、
図1のコンベヤベルトモジュールの底面図である。
【
図4】
図4は、
図1のコンベヤベルトモジュールの正面図である。
【
図5】
図5は、
図1のようなコンベヤベルトモジュールのローラクレードルの斜視図であり、上側ローラおよび下側ローラの1つが取り外された状態を示している。
【
図7】
図7は、
図1の線分VII-VIIに沿った断面図であるが、ローラが上昇位置にある。
【
図8】
図8は、
図1のようなモジュールで構成されたコンベヤベルトの一部の斜視図である。
【
図10】
図10は、
図8のようなコンベヤベルト用のコンベヤの搬送路の等角図であり、ローラ作動アセンブリを示している。
【
図15】
図15は、
図8のコンベヤベルトの切断側面図であり、その上側ローラが、下降したベアリング面によって作動停止している状態を示している。
【
図16】
図16は、
図15と同様の切断側面図であるが、ローラが、上昇したベアリング面によって作動している状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1~
図4は、本発明の特徴を具体化したコンベヤベルトモジュールを示している。モジュール20は、1または複数(この場合2つ)のローラアセンブリ24が取り付けられたベース22を備える。ローラアセンブリ24は、定位置にスナップ留めされ、垂直方向の移動範囲が限られている。各ローラアセンブリ24は、2つのローラセット64をそれぞれ支持するクレードル26を有し、各々が、垂直に積み重ねられた、横に並んだ上側ローラ28のペアおよび下側ローラ30を含む。しかしながら、1つのローラセットまたは3以上のローラセットを有するクレードルも可能であろう。また、1つの上側ローラが下側ローラと垂直方向に並んでいるか、または僅かにずれているローラセットを有するクレードルも可能である。この態様では、ベース22およびクレードル26が熱可塑性材料で作られているが、他の態様では、金属または他の材料で作ることも可能である。上側ローラ28は、クレードル26のローラベッド32内に平行に配置されている。上側ローラ軸34は、上側ローラ28のボア36を通って延びている。上側ローラ軸34は、各ローラベッド32の軸方向端部で端部サポート38によって支持されている。軸34は、ローラが長さ方向68に回転するように、モジュール20の幅方向40に平行な上側ローラ28の横方向の回転軸を規定する。積み重ねられた各ローラセット64の下側ローラ30は、クレードル26の底面から下方に延びる脚部44のペア間において、上側ローラベッド32の下方で下側ローラ軸42に吊り下げられている。脚部44の遠位端46はタブ48で終端となる。下側ローラ30の軸方向長さは、上側ローラ28の軸方向長さよりも短く、下側ローラの直径は、この態様では上側ローラの直径よりも大きい。しかしながら、他のベルト形状では、上側ローラの直径が下側ローラの直径と少なくとも同じ大きさである他の態様も可能である。
【0011】
クレードル26は、ベース22の底面52および上部デッキ54に開口するキャビティ50を介して脚部44を挿入することにより、ベース22にスナップ留めされる。キャビティ50の横方向に対向する側面から横方向に突出するストッパ56の形態の保持構造によりタブ48が保持された状態で定位置にスナップ留めされるまで、クレードル26が取り付けられる際に、両側の脚部44の遠位端46が互いに向かって曲がる。脚部44の端部のタブ48およびストッパ56は、クレードル26をベース22に保持する保持構造を構成する。ストッパ56は、底面52と上部デッキ54との間に配置されている。チャネルは、ストッパ56とベースの底面52との間のキャビティ50の横方向の両側に形成されている。脚部44は、ストッパ56からベース22の底面52まで下方に延びるチャネル内でタブ48に可動範囲を与えるのに十分な長さを有する。
【0012】
クレードル26がベース22の定位置にスナップ留めされると、下側ローラ30とその軸42がキャビティ50内に降ろされる。下側ローラ軸42の端部は、
図5にも示すように、脚部44の対向する面のスロット58を下方に移動する。スロット58は、下側ローラ軸42を入れるために上部が開いている。スロット58は、脚部44の遠位端46のスロット座部60で終端となる。スロット58内の下側ローラ軸42は、脚部44を広げた状態に保ち、それによりクレードル26をベース22に確実に保持する。下側ローラ軸42は、スロット58に沿ってスロット座部60から上方に垂直に移動可能である。上側ローラ軸34と同様に、下側ローラ軸42は、上側ローラ28の回転軸に平行で、かつ幅方向40に平行な横方向の回転軸を規定する。また、上側ローラ28と同様に、下側ローラ30は、モジュールの長さ方向68に平行に回転するインラインローラである。代替的には、下側ローラ軸のスロットは、クレードルの脚部のチャネルではなく、ベースに形成することもできる。脚部は、下側ローラキャビティから横方向に間隔を空けて配置されたベース内の専用の開口部を通って延びる。この態様の保持構造は、介在するベース構造によってローラキャビティから分離される。
【0013】
下側ローラ30が取り付けられた後、上側ローラ28がそのローラベッド32上に置かれる。その後、上側ローラ軸34がローラボア36および端部サポート38を介して挿入されて、上側ローラ28がクレードル24の定位置に保持される。スロット58に沿ってクレードル24に対して相対的に移動あるいは浮動することができる下側ローラ30とは異なり、上側ローラ28はそうすることができず、端部サポート38に保持された軸34によってクレードル内の定位置に実質的に固定される。上側ローラ28がクレードル24に対して僅かだけ移動する自由度は、上側ローラ軸34とボア36の直径の僅かな差によるものである。上側ローラ軸34の中間にあるバンプ61は、横方向に隣接する上側および下側ローラセット64の端部サポート38間の間隙62に存在し、軸が定位置から外れるのを防止する。バンプ61の代わりに、ローレットまたは軸の熱変形などの他の軸保持機能を使用することもできる。
【0014】
図1および
図3に示すように、コンベヤベルトモジュール20は、下側ローラキャビティ50から横方向に間隔をおいて底面52に形成されたスカラップ部分66を有する。コンベヤベルトモジュール20は、第1の端部70から第2の端部72まで長さ方向68に延びている。ヒンジ要素の第1および第2のセット74、76は、ベース22の第1および第2の端部70、72に沿って横方向に間隔を置いて配置されている。モジュール20の各端部70、72のヒンジ要素74、76には、横方向に整列したロッド穴78が形成されている。壁セグメント80は、ヒンジ要素74、76から上方に延びて、ベース22に対してローラアセンブリ24を長さ方向68に囲むセグメント壁を各端部70、72に沿って形成する。上部デッキ54上の隆起パッド82は、クレードル26が下降したときに上側ローラ28を制動する制動面を提供する。
図4に示すように、下側ローラ30の突出部分は、コンベヤベルトモジュール20の底面52の下方に延びている。
【0015】
図6は、下降位置にあるローラアセンブリ24を示し、上側ローラ28が下降した高さレベルにある。ローラアセンブリ24の下降位置では、上側ローラ28は、
図5にも示すように、クレードル26の開口部84を通って延びる制動パッド82上に載っている。上側ローラ28の上にあるパッケージ、小包、箱、トレイまたはバッグなどの搬送物品の重量により、クレードル26内の上側ローラが制動パッド82に対して下方に押し下げられる。上側ローラ28の上に搬送物品がなくても、その重量だけで、制動パッド82に僅かな制動接触を及ぼす。パッド82と上側ローラ28との接触により、ローラの回転が防止される。下側ローラ30は、下方からの接触がなく、その最下位置にあり、その軸42の端部が重力によりスロット58の座部60上に載っている。クレードル26は上部デッキ54の上に載っている。制動された上側ローラ28の上に載っている物品は、モジュール20とともに前進する。上側ローラ28が摩耗すると、その直径が減少し、ローラアセンブリ24の下降位置で制動パッド82との接触を失い始める。そのような接触の喪失は、上側ローラ28を交換する必要があることを示している。
【0016】
図7は、下側ローラが上昇したベアリング面86に接触することによって、下降位置よりも高い高さレベルの上昇位置にあるローラアセンブリ24を示している。下側ローラ30は上方に押し上げられ、その軸42の端部がスロット58(
図5)を上方に移動する。下側ローラ30がスロット58に沿ってクレードル20に対して上方に移動すると、上側ローラ28を押して、上側ローラがクレードル20とともに上方に上昇する。上昇したクレードル26の下方にある制動パッド82は、上側ローラ28に接触しない。ローラアセンブリ24が上昇位置にある状態では、モジュール20が移動方向90に駆動されて下側ローラ30がベアリング面86に沿って転がる際に、下側ローラが第1の方向88に回転することにより、上側ローラ28が反対方向89に回転する。上側ローラ28の上にある物品は、移動方向90の反対側に押され、モジュール20から外れる。下側ローラ30と上側ローラ28との効果的な係合のために、それらローラの外面はゴムやエラストマーなどの高摩擦材料で作られている。代替的には、下側ローラの外周面と、下側ローラに係合する上側ローラの部分が、滑ることなく確実に係合するために、歯車状の表面とすることもできる。
【0017】
図8および
図9は、
図1のようなコンベヤベルトモジュール20で構成されたコンベヤベルト92の一部を示している。ベルト92は、ベルトモジュール20の一連の列94を含み、それら列94は両端で、そのヒンジ要素74の第1のセットがヒンジジョイント96において隣接する列のヒンジ要素76の第2のセットと交互に配置された状態で配置されている。交互に配置されたヒンジ要素74、76の整列された穴78は、列94を互いに結合し、ベルト92が関節運動できるヒンジジョイント96を形成するヒンジロッド(図示せず)のための横方向の通路を形成する。
図8に示すように、上側ローラは、コンベヤベルト92の幅方向にわたって間隔を空けて配置されたレーン98に配置されている。
図9に示すように、下側ローラ30も、コンベヤベルト92の底面52の幅にわたって間隔を空けて配置されたレーン99に配置されている。底面52のスカラップ部分66も、下側ローラレーン99から横方向にオフセットされたレーン100に配置されている。
【0018】
図10には、
図8のコンベヤベルト92のための搬送路およびローラ作動配置が示されている。搬送路は、ベルト移動方向104と平行に搬送路に沿って延びる横方向に間隔を置いた直線状の摩耗ストリップ102によって特徴付けられている。摩耗ストリップは、下側ローラ間のレーンでコンベヤベルトをその底面に沿って支持する。二次元マトリックスに配置されたローラ作動アセンブリ106はそれぞれ、摩耗ストリップ102の1つを挟む上向きベアリング面108、109のペアを有する。マトリックスの一列を
図11に拡大して示している。マトリックスの配置は、搬送路の長さ方向に沿って延びるローラ作動レーン103を形成する。ローラ作動レーン103は、コンベヤベルトの関連する下側ローラレーン99(
図9)と一致しており、それにより、ローラ作動アセンブリ106が作動したときに、下側ローラ30(
図9)がベアリング面108、109に乗ることができる。各ローラ作動アセンブリ106は、コンベヤの個別に制御されるローラ作動ゾーンを規定する。一緒に作動するローラ作動アセンブリ106の連続するグループは、コンベヤ上により大きなローラ作動ゾーンを規定する。
図10は、搬送路が、コンベヤベルトの端部からの/端部への確実な移行のために、両端部に小径のノーズローラ110、111を有することも示している。
図9のコンベヤベルト92のスカラップ部分66のレーン100は、ノーズローラ110、111と整列している。他のコンベヤ構成も可能である。例えば、搬送路の端部のスプロケットまたはノーズバーをコンベヤベルト92とともに使用することができる。
【0019】
図12~
図14は、ローラ作動アセンブリ106の更なる詳細を示している。各アセンブリ106は、アクチュエータベース114にスライド可能に取り付けられたベアリングユニット112を含む。ベース114は、固定具116を用いてコンベヤフレーム(図示せず)に取り付け可能である。ベアリングユニット112は、ベルト移動方向104(
図10)に長さ方向に延びる2つのベアリングブロック118、119を有する。ベアリングユニット112は中実であってもよいが、軽量化のために、内部のセルまたはポケットを囲む補強壁で大部分をハニカム状にすることもできる。アクチュエータベース114から立ち上がるガイド107は、下降位置にあるベアリングユニット112の内部ポケットの2つの中に延び、ベアリングユニットを位置合わせした状態に保持する。ベアリング面108、109は、ベアリングブロック118、119の上部を形成する。ベアリングユニット112は、摩耗寿命を延ばすためにナイロンやUHMWなどの材料で作ることができる。ベアリングユニット112の中間部分120は、ベアリングブロック118、119の対向する側面に接続されている。中間部分120の上面122は、上部ベアリング面108、109の下方に位置する。摩耗ストリップサポート124は、ネジ126によってアクチュエータベース114に固定的に取り付けられている。フィン128が摩耗ストリップサポート124から上方に延びている。分割ステムを有するT字形の摩耗ストリップ102(
図11)が、2つのベアリングブロック118、119の間でフィン128に取り付けられる。摩耗ストリップサポート124の底面から下方に延びるV字形の突起129は、ベアリングユニット112を上昇させて位置決めする際に、中間部分120の上面122に開口する対応するV字形の凹部に受け入れられる。フィン128のノッチ130は、バンパ(図示せず)を一方または他方の位置に入れて、摩耗ストリップセグメントの端部を規定する。各ベアリングブロックは、両端に垂直ベーン132、133を有する。一方の端部のベーン132は、他方の端部のベーン133から横方向にオフセットされており、隣接するローラ作動アセンブリ106のベーンが、
図10のように交互に配置されることができる。隣接するローラ作動アセンブリ106のベアリングユニット112が上昇位置にあるとき、交互に配置されたベーン132、133は、平坦なベアリング面の重なりを形成する。重なり合う交互に配置されたベーン132、133は、上昇した隣接するベアリング面の間に平坦な表面のブリッジを形成する。コンベヤベルトが隣接するローラ作動アセンブリ106間の境界部分で引っ掛かるのを防止するために、ベーン132、133の上部先端角部134が面取りされている。
【0020】
ベアリングユニット112は、アクチュエータベースに取り付けられたアクチュエータ136によって、固定アクチュエータベース114および摩耗ストリップサポート120に対して垂直方向に移動可能である。アクチュエータ136は、空気圧で作動するブラダとして示されており、ベアリングユニット112の底部に結合されている。ブラダアクチュエータ136が、
図14のように、バルブ(図示せず)を介して圧縮空気源からそのニップル138を介して膨張すると、ベアリング面108、109が搬送路上に支持されたコンベヤベルトの下側ローラと接触する上昇位置にベアリングユニット112を押し上げながら、バネ140を伸張させる。バネは、静止摩耗ストリップサポートの底面に上端座部141を有し、中間部分120の凹部の盲端に下端座部143を有する。ブラダアクチュエータ136が収縮すると、バネ140が、下降位置に向けてベアリングユニット112を下方に付勢し、下降位置では、ベアリング面108、109が下げられて、バネが弛緩するとコンベヤベルトの下側ローラと接触しなくなる。アクチュエータ136は空気圧で作動するブラダとして説明したが、ベアリングユニット112を昇降させるために、液圧式または電磁式などの他のアクチュエータを使用することもできる。
【0021】
図15および
図16は、ベルトローラ28、30を作動停止および作動させたコンベヤベルト92の動作を示している。
図15において、ベアリングユニット112は、その上部ベアリング面108が、下側ローラ30の下端のレベルより下方にあって下側ローラと接触しない下降した作動停止位置に示されており、下側ローラ軸がスロット座部60(
図5)上に載っている状態にある。上側ローラ28に載っている搬送物品142の重量により、上側ローラが制動パッド82に下方に押し付けられる。上側ローラ28の回転が阻止されるため、物品142はベルト92に対して相対的に移動せず、よってベルト92とともにベルト移動方向104に進む。
【0022】
ベアリングユニット112が、
図16のようにアクチュエータによってその上昇した作動位置まで上昇すると、下側ローラ30は、ベアリングユニット112の上部ベアリング面108に沿って移動する。上部ベアリング面108のレベルは、ベルト支持摩耗ストリップの上面のレベルより僅かに下である。代替的には、コンベヤベルトが下側ローラ位置に凹状チャネルまたはスカラップを有する場合、上部ベアリング面108は摩耗ストリップの上面よりも高いレベルに設けられる。ベアリングユニット112の上向きの力により、下側ローラ30がスロット58(
図5)に沿って上方に押し上げられ、上側ローラ28と接触する。コンベヤベルト92がベルト移動方向104に進むと、下側ローラ30が図示のように回転し、それにより上側ローラ28も図示のように逆方向に回転する。上側ローラの接線速度はベルト移動方向104と反対であるため、搬送される物品142は、同じ速度でコンベヤベルト92に対して後方に移動し、そのため、コンベヤ上の定位置に留まる。そのようにして、物品は、バックライン圧力がなく、搬送経路を遮る物理的障壁がない状態で、長時間であってもコンベヤベルト92の上に滞留することができる。また、アクチュエータの作動を停止させ、バネと重力により物品の下方にあるベアリングユニット112を急速に下降させることによって、物品を適切なタイミングで前方に素早く加速させることができる。
【0023】
図8に示すように、各上側ローラ28は、外側部分146のペアに挟まれた中央部分144を有する。中央部分144の直径は、外側部分146の直径よりも小さい。中央部分144は、ローラ作動アセンブリが上昇した作動位置にあるときに、下側ローラに接触する上側ローラ28の部分である。下側ローラと上側ローラ28の中央部分144との間に滑りがない場合、下側ローラの頂部と上側ローラの中央部分との接線速度は、大きさが互いに等しく、ベルト速度に等しく、方向が反対である。上側ローラ28の直径の大きい外側部分146の接線速度は、直径の小さい中央部分の接線速度よりも大きい。下側ローラと上側ローラ28またはベアリング面との間の滑りは一般的な動作状態であるため、外側部分146の僅かに大きい直径と、それに伴う外側部分の接線速度の増加により、ベルト速度に対するローラ速度が滑りによって低下することが補償される。滑りの補償がなければ、搬送される物品は、滞留したり、ゆっくりと許容範囲内で後方に移動したりする代わりに、搬送路に沿って前方にクリープする可能性がある。作動ローラ作動ゾーンにおける前方へのクリープは、物品が作動ゾーンから非作動ゾーンに前方に進み、コンベヤベルトによって下流に不適切に運ばれる可能性があるため、許容することができない。一方、作動ゾーンにおける後方へのクリープは、物品が後方に後退したとしても、一旦作動ゾーンの上流端部に到達すれば、非作動ローラにより、物品がさらに後方にクリープして隣接する上流の非作動ゾーンを通過することが防止されるため、許容することができる。上側ローラおよび下側ローラが、確実な係合のために歯車状の表面を有する場合、上側ローラの歯車状の中央部分の直径は、外側部分の直径より小さくする必要はない。
【0024】
図17および
図18は、
図8のコンベヤベルト92および
図10のローラ作動アセンブリ106を使用したコンベヤ150を示している。コンベヤベルト92は、コンベヤフレーム152に取り付けられている。上部搬送路154は、
図10の摩耗ストリップ102によって形成されている。搬送路154内のローラ作動アセンブリ106は、コンベヤ150に入る物品の外形(長さおよび幅)を検出するパッケージ検出システム156の下流でベルト92の下方にある。コンベヤベルト92は、搬送路154の端部にあるノーズローラ110、111を通過する。コンベヤベルト92は、出口ノーズローラ111の直後の下側ベルト戻り部にあるモータ駆動スプロケット158によって駆動される。アイドル戻りローラ160は、戻り時にベルト92を支持して案内する。
【0025】
カメラ、距離計または光学検出器を含み得る物品検出システム156は、ベルト92上の物品のサイズおよび形状を判定し、必要に応じて物品の集団をベルト上に再配置することができる。例えば、横に並んだ物品を分離しなければならない場合、横に並んだ物品の1つの下方にあるローラ作動アセンブリ106を作動させて、その物品を滞留させることができる一方、制動されて作動停止されたローラの上にある他の物品は、搬送路154に沿ってベルト移動方向104に進むことができる。同様に、連続する物品の間に隙間を設けることができる。
【0026】
図19は、
図17および
図18のコンベヤとともに使用可能な制御システムのブロック図を示している。プログラマブルコントローラまたは他のプログラマブル処理デバイスなどのプロセッサ160は、物品検出システム156から情報を受け取り、その情報からプロセッサは各物品のサイズ、形状および位置を特定する。例えば、駆動軸に取り付けられたシャフトエンコーダ162からのベルト速度情報とともに、プロセッサ160は、いつでも、プログラムメモリに格納されたプログラム命令を実行して、ベルト上の物品の位置とその物品の下にあるローラ作動アセンブリとの関係を特定する。物品の位置が分かったら、プロセッサ160は、各ローラ作動ゾーンにおけるローラ作動アセンブリのアクチュエータ136の各々を個別に選択的に作動または作動停止させる更なる命令を実行し、それに応じて、そのゾーンを通過するベルトローラを作動または作動停止させる。また、プロセッサは、そのモータ駆動装置164を制御することによって、コンベヤベルトの速度を調整することもできる。
【0027】
なお、「上部」、「下部」、「上方」、「下方」、「上側」、「下側」という用語は、水平搬送路上のコンベヤベルトおよびローラ作動アセンブリの向きを指し、絶対的な限定的意味で使用されているのではなく、説明の補助として相対的な意味で使用されている。
【国際調査報告】