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特表2025-506784浅い接合拡散エミッタの結晶シリコン太陽電池の製造方法及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-13
(54)【発明の名称】浅い接合拡散エミッタの結晶シリコン太陽電池の製造方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
   H10F 10/14 20250101AFI20250306BHJP
   H10F 10/00 20250101ALI20250306BHJP
【FI】
H01L31/06 300
H01L31/04 440
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024549678
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-08-22
(86)【国際出願番号】 CN2022128187
(87)【国際公開番号】W WO2023179021
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】202210297638.0
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517366220
【氏名又は名称】横店集団東磁股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】任勇
(72)【発明者】
【氏名】何悦
(72)【発明者】
【氏名】任海亮
(72)【発明者】
【氏名】郭▲帥▼
(72)【発明者】
【氏名】王在▲髪▼
(72)【発明者】
【氏名】李▲増▼▲彪▼
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251BA11
5F251CB11
5F251CB12
5F251CB18
5F251CB20
5F251CB21
5F251CB24
5F251CB29
5F251DA03
5F251FA06
5F251FA10
5F251GA14
(57)【要約】
本願は、浅い接合拡散エミッタの結晶シリコン太陽電池の製造方法及びその使用を提供する。前記製造方法は拡散プロセス及び連鎖酸化プロセスを含み、前記拡散プロセスは低温拡散及び高温ドライブインを含み、前記連鎖酸化プロセスは高温連鎖酸化を含む。本願は、まず、拡散プロセスの最適化により、深さが0.15umの低ドーピング拡散浅い接合を製造し、また、高温連鎖酸化の光子熱活性化放射エネルギーを利用して拡散層の表面に一定のドーズ量濃度のドーピングを形成することにより、その後の銀ペーストと合金オーミック接触を形成するミスマッチ問題を解決して、最終的に、高い光電変換効率の向上を得た。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散プロセス及び連鎖酸化プロセスを含み、
前記拡散プロセスは、低温拡散及び高温ドライブインを含み、前記連鎖酸化プロセスは、高温連鎖酸化を含む、浅い接合拡散エミッタの結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記拡散プロセスは、ボートへの進入、第1昇温、第1恒温、真空安定化、真空漏れ検出、酸化、第1低温拡散源導入、第2低温拡散源導入、第2昇温、第2恒温、高温ドライブイン、第1降温、補充拡散、パージ、PSG堆積反応、酸化反応、第2降温、窒素ガス充填及びボートからの排出を順に行うことを含み、
好ましくは、前記低温拡散は、一定の温度で固定源の拡散を行うことを含み、
前記固定源は、オキシ塩化リンであり、
好ましくは、前記低温拡散は、第1低温拡散源導入及び第2低温拡散源導入を含み、
前記第1低温拡散源導入の温度は770~790℃であり、
前記第1低温拡散源導入の時間は220~260sであり、
前記第1低温拡散源導入の小窒素流量は1000~1100sccmであり、
前記第1低温拡散源導入の酸素流量は450~550sccmであり、
前記第1低温拡散源導入の大窒素流量は0sccmであり、
前記第1低温拡散源導入の炉管圧力は50~60mbarであり、
前記第2低温拡散源導入の温度は790~810℃であり、
前記第2低温拡散源導入の時間は190~230sであり、
前記第2低温拡散源導入の小窒素流量は1100~1200sccmであり、
前記第2低温拡散源導入の酸素流量は550~650sccmであり、
前記第2低温拡散源導入の大窒素流量は0sccmであり、
前記第2低温拡散源導入の炉管圧力は50~60mbarである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記高温ドライブインは、高温で結晶シリコン表面のリン源をシリコン基体内へドライブインすることを含み、
前記高温ドライブインの時間は350~370sであり、
前記高温ドライブインの温度は800~900℃であり、
前記高温ドライブインの小窒素流量は750~850sccmであり、
前記高温ドライブインの酸素流量は0sccmであり、
前記高温ドライブインの大窒素流量は950~1050sccmであり、
前記高温ドライブインの炉管圧力は50~60mbarである、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記PSG堆積反応の温度は700~800℃であり、
前記PSG堆積反応の時間は700~800sであり、
前記PSG堆積反応中にオキシ塩化リンを導入し、
前記PSG堆積反応の小窒素流量は1250~1350sccmであり、
前記PSG堆積反応の酸素流量は550~650sccmであり、
前記PSG堆積反応の大窒素流量は0sccmであり、
前記PSG堆積反応の炉管圧力は55~65mbarである、請求項2または3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記第1昇温及び第1恒温で、炉管に真空引き処理を行い、
好ましくは、前記第1恒温時に、小窒素を導入して管路をパージし、前記パージの流量は450~550sccmであり、
好ましくは、前記真空安定化中に圧力が安定した後、全てのガスの導入を閉じて炉管の圧力を50~60mbarに保持し、
好ましくは、前記酸化は、結晶シリコンウェハーの表面に一層の酸化シリコン層の成長保護を行うことを含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第2昇温の到達温度は830~870℃であり、
前記第2昇温で、残っているオキシ塩化リンを除去するために窒素ガスを導入し、
前記第2昇温で、大窒素流量は950~1050sccmであり、
好ましくは、前記第2恒温で、残っているオキシ塩化リンをさらに反応させるために酸素を導入し、
前記第2恒温で、酸素流量は550~650sccmである、請求項2~5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第1降温の温度は750~810℃であり、
好ましくは、前記補充拡散は、高温ドライブインによる結晶シリコンウェハーの局所領域のドーピングが低すぎるという欠陥を修復するために用いられ、
好ましくは、前記パージは炉管内に残ったオキシ塩化リンを除去し、
好ましくは、前記酸化反応は、PSG堆積反応に導入されたオキシ塩化リンを除去し、
好ましくは、前記第2降温は、結晶シリコンウェハーの格子転位を修復するために用いられ、
好ましくは、前記窒素ガス充填は、炉管の常圧状態を回復するために用いられる、請求項2~6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記連鎖酸化プロセスは高温連鎖酸化を含み、
前記高温連鎖酸化の温度は660~670℃であり、
前記高温連鎖酸化の時間は1~5minであり、
前記高温連鎖酸化の酸素流量は95~105slmであり、
前記高温連鎖酸化の窒素ガス流量は5~15slmである、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記製造方法は、
テクスチャリングプロセス、前記拡散プロセス、レーザドーピングプロセス、前記連鎖酸化プロセス、PSG除去プロセス、アルカリ裏面研磨プロセス、アニールプロセス、ALDパッシベーションプロセス、表面PECVDプロセス、裏面PECVDプロセス、レーザグルービングプロセス、スクリーン印刷プロセス及び電気注入プロセスをプロセス順に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
太陽光発電の分野に応用される、請求項1~9のいずれか一項に記載の浅い接合拡散エミッタの結晶シリコン太陽電池の製造方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、太陽光発電の技術分野に関し、結晶シリコン太陽電池の製造分野に関し、特に浅い接合拡散エミッタの結晶シリコン太陽電池の製造方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
非再生可能エネルギーが徐々に枯渇し、地球温暖化がますます深刻化しているため、再生可能エネルギーを主とするエネルギーシステムを確立し、環境にやさしい持続可能な発展を実現することは世界共通認識となっている。現在、世界では、130余りの国と地域が相次いで「カーボンニュートラル」に向けた目標を表明しており、さらに、一部の国では気候変動による危機及び挑戦に効果的に対応するために、立法の形式で「カーボンニュートラル」の責任を明確にしている。現在、世界の再生可能エネルギーの浸透度は依然として低位にあり、広い発展空間を有している。その中で、太陽光発電の経済的優位性は明らかであり、発電原価は石炭発電より低くなっており、今後も低下し続け、発展の潜在力は侮れない。
【0003】
その上で、太陽電池の光電変換効率を向上させることが特に重要となる。現在、従来の高効率電池は、拡散エミッタの接合深さが、基本的には0.2um~0.3um程度であり、短波に対する吸収損失が明らかである。従来の拡散プロセス方式により、0.1um~0.2umの拡散浅い接合を製作しようとすると、拡散シート抵抗が非常に高く、表面濃度が低くなり、この場合、スクリーン工程の合金オーミックコンタクトに問題が発生し、太陽電池の光電変換効率が無効になることを非常に引き起こしやすい。したがって、現在、従来の太陽エネルギー製造プロセスにより拡散浅い接合を得ることは、非常に困難である。
【0004】
CN103943719Aでは、予備酸化と低温-高温-低温の変温拡散を結合する方式を用いてリンのドーピング濃度を制御する方法を開示している。当該方法は、予備酸化と低温-高温-低温の3ステップの変温拡散過程を含み、当該プロセスは、温度勾配を最適化することにより、リンのドーピング濃度勾配を精密に制御し、良好なPN接合及びシート抵抗の均一性を取得し、太陽電池の変換効率を向上させることができる。当該発明は主に拡散プロセスの最適化により調整を行うことを述べており、変温拡散方式によりリンのドーピング濃度を制御する方法を中心に説明しているが、拡散の単一工程の最適化に限定されており、ECV曲線の拡散分布の最適化のみを実現している。
【0005】
CN105280484Aでは、結晶シリコンの高効率かつ高シート抵抗電池シートの拡散プロセスであって、主に(1)炉に入るステップ、(2)低温酸化ステップ、(3)低温ガス反応堆積ステップ、(4)昇温不純物再分布ステップ、(5)高温ガス反応堆積ステップ、(6)降温不純物再分布ステップ、(7)低温ガス反応堆積ステップ、(8)低温不純物再分布ステップ、(9)炉から取り出すステップを含む拡散プロセスを開示している。CN103943719Aと同様に、拡散の単一工程の最適化に限定されており、太陽エネルギーの光電変換効率をさらに改善・突破する必要がある。
【0006】
CN204905275Uでは、連鎖酸化法に基づいて太陽電池の耐PID効果を向上させる装置を開示している。この装置は、主にオゾン発生器、圧縮空気輸送管路及び混合器を含み、オゾン発生器のオゾン出口がオゾン輸送管路により混合器に接続され、圧縮空気が圧縮空気輸送管路により混合器に接続され、混合器が混合ガス輸送管路により混合ガス出力端に接続され、混合ガス出力端がガス均一分布板の吸気口に接続されている。ガス均一分布板内が中空であり、その一端に吸気口が開設され、下端壁に複数の排気孔が均一に開設されている。ガス均一分布板が電池シート製造デバイスのエッチング装置とPECVD装置との間のシリコンウェハー搬送レールの上方に取り付けられ、排気孔がシリコンウェハー搬送レールに正対している。オゾン発生器にオゾンの発生量を制御する装置が取り付けられる。当該実用新案は、窒化ケイ素フィルムを堆積する前にシリコンウェハー表面に酸化ケイ素フィルムを速やかに成長させ、太陽電池の耐PID効果を向上させ、その使用寿命を延長することができる。しかし、この特許の考え方は、太陽電池の使用信頼性のみを考慮したものであり、高温方式で太陽電池の光電変換効率を改善・向上させるものではない。
【0007】
現在、従来の太陽電池の光電変換効率はボトルネックに近づいており、プロセスの細部の更なる最適化によって改善・突破を得ることは、技術者らが日々考えている難題となっており、新たなブレークスルーポイントを探す必要がある。
【発明の概要】
【0008】
以下は、本発明で詳細に説明する事項の概要である。本概要は、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0009】
本願は、浅い接合拡散エミッタの結晶シリコン太陽電池の製造方法及びその使用を提供することを目的とする。
【0010】
本願の目的を達成するために、本願は、以下の技術案を講じた。
【0011】
本願は、拡散プロセス及び連鎖酸化プロセスを含む浅い接合拡散エミッタの結晶シリコン太陽電池の製造方法を提供することを第1の目的とする。
【0012】
前記拡散プロセスは、低温拡散及び高温ドライブインを含み、前記連鎖酸化プロセスは、高温連鎖酸化を含む。
【0013】
本願は、拡散プロセスのDOE実験により、影響因子となる温度、時間、流量、配合等を分析し、拡散プロセスのECV曲線を変更する重要な因子が、表面濃度、エミッタ接合深さ、相補誤差分布及びガウス分布のドーピングプロファイル曲線を含むことを判明させた。次に、高温連鎖酸化の原理を理解し、実験中に表面ドーピングへの影響を模索した。最後に、結晶シリコン太陽電池の太陽光発電の原理と結び付けて、拡散プロセスと連鎖酸化プロセスを結合することにより、0.15um程度の拡散エミッタ接合を製造し、かつ高い表面ドーピング濃度で、良好なオーミック合金コンタクトを実現し、短波スペクトル吸収を向上させ、太陽電池の光電変換効率を向上させるという進歩性がある出願を完成した。
【0014】
本願は、まず、拡散プロセスの最適化により、深さが0.15umの低ドーピング拡散浅い接合を製造し、また、高温連鎖酸化の光子熱活性化放射エネルギーを利用して拡散層の表面に一定のドーズ量濃度のドーピングを形成することにより、その後の銀ペーストと合金オーミック接触を形成するミスマッチ問題を解決する。最終的に、高い光電変換効率の向上を得た。
【0015】
本願の好ましい技術案として、前記拡散プロセスは、ボートへの進入、第1昇温、第1恒温、真空安定化、真空漏れ検出、酸化、第1低温拡散源導入、第2低温拡散源導入、第2昇温、第2恒温、高温ドライブイン、第1降温、補充拡散、パージ、PSG堆積反応、酸化反応、第2降温、窒素ガス充填及びボートからの排出を順に行うことを含む。
【0016】
好ましくは、前記低温拡散は、一定の温度で固定源の拡散を行うことを含む。
【0017】
好ましくは、前記固定源は、オキシ塩化リンである。
【0018】
好ましくは、前記低温拡散は、第1低温拡散源導入及び第2低温拡散源導入を含む。
【0019】
好ましくは、前記第1低温拡散源導入の温度は、770~790℃であり、ここで、前記温度は、770℃、772℃、774℃、776℃、778℃、780℃、782℃、784℃、786℃、788℃又は790℃等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0020】
好ましくは、前記第1低温拡散源導入の時間は、220~260sであり、ここで、前記時間は、220s、225s、230s、235s、240s、245s、250s、255s又は260s等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0021】
好ましくは、前記第1低温拡散源導入の小窒素流量は、1000~1100sccmであり、ここで、前記小窒素流量は、1000sccm、1020sccm、1040sccm、1060sccm、1080sccm又は1100sccm等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0022】
好ましくは、前記第1低温拡散源導入の酸素流量は、450~550sccmであり、ここで、前記酸素流量は、450sccm、460sccm、470sccm、480sccm、490sccm、500sccm、510sccm、520sccm、530sccm、540sccm又は550sccm等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0023】
好ましくは、前記第1低温拡散源導入の大窒素流量は0sccmである。
【0024】
好ましくは、前記第1低温拡散源導入の炉管圧力は、50~60mbarであり、ここで、前記炉管圧力は、50mbar、51mbar、52mbar、53mbar、54mbar、55mbar、56mbar、57mbar、58mbar、59mbar又は60mbar等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0025】
好ましくは、前記第2低温拡散源導入の温度は、790~810℃であり、ここで、前記温度は、790℃、792℃、794℃、796℃、798℃、800℃、802℃、804℃、806℃、808℃又は810℃等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0026】
好ましくは、前記第2低温拡散源導入の時間は、190~230sであり、ここで、前記時間は、190s、195s、200s、205s、210s、215s、220s、225s又は230s等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0027】
好ましくは、前記第2低温拡散源導入の小窒素流量は、1100~1200sccmであり、ここで、前記小窒素流量は、1100sccm、1120sccm、1140sccm、1160sccm、1180sccm又は1200sccm等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0028】
好ましくは、前記第2低温拡散源導入の酸素流量は、550~650sccmであり、ここで、前記酸素流量は、550sccm、560sccm、570sccm、580sccm、590sccm、600sccm、610sccm、620sccm、630sccm、640sccm又は650sccm等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0029】
好ましくは、前記第2低温拡散源導入の大窒素流量は0sccmである。
【0030】
好ましくは、前記第2低温拡散源導入の炉管圧力は、50~60mbarであり、ここで、前記炉管圧力は、50mbar、52mbar、54mbar、56mbar、58mbar又は60mbar等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0031】
本願は、低温拡散時に、800℃程度で固定の源量(オキシ塩化リン)を導入し、すなわち、固定源の拡散を行い、このときの拡散分布曲線は、相補誤差分布を満たす。
【0032】
本願の好ましい技術案として、前記高温ドライブインは、高温で結晶シリコン表面のリン源をシリコン基体内へドライブインすることを含む。
【0033】
好ましくは、前記高温ドライブインの時間は、350~370sであり、ここで、前記時間は、350s、352s、354s、356s、358s、360s、362s、364s、366s、368s又は370s等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0034】
好ましくは、前記高温ドライブインの温度は、800~900℃であり、ここで、前記温度は、800℃、810℃、820℃、830℃、840℃、850℃、860℃、870℃、880℃、890℃又は900℃等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0035】
好ましくは、前記高温ドライブインの小窒素流量は、750~850sccmであり、ここで、前記小窒素流量は、750sccm、760sccm、770sccm、780sccm、790sccm、800sccm、810sccm、820sccm、830sccm、840sccm又は850sccm等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0036】
好ましくは、前記高温ドライブインの酸素流量は0sccmである。
【0037】
好ましくは、前記高温ドライブインの大窒素流量は、950~1050sccmであり、ここで、前記大窒素流量は、950sccm、960sccm、970sccm、980sccm、990sccm、1000sccm、1010sccm、1020sccm、1030sccm、1040sccm又は1050sccm等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0038】
好ましくは、前記高温ドライブインの炉管圧力は、50~60mbarであり、ここで、前記炉管圧力は、50mbar、51mbar、52mbar、53mbar、54mbar、55mbar、56mbar、57mbar、58mbar、59mbar又は60mbar等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0039】
本願は、源量の導入を停止した後に850℃程度まで昇温し始め、一定の条件下で、ドーピング源量を固定する高温ドライブインを行い、すなわち恒量源の拡散を行い、このときの拡散分布曲線は、ガウス分布を満たす。
【0040】
本願の好ましい技術案として、前記PSG堆積反応の温度は、700~800℃であり、ここで、前記温度は、700℃、710℃、720℃、730℃、740℃、750℃、760℃、770℃、780℃、790℃又は800℃等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0041】
好ましくは、前記PSG堆積反応の時間は、700~800sであり、ここで、前記時間は、700s、710s、720s、730s、740s、750s、760s、770s、780s、790s又は800s等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0042】
好ましくは、前記PSG堆積反応中にオキシ塩化リンを導入する。
【0043】
好ましくは、前記PSG堆積反応の小窒素流量は、1250~1350sccmであり、ここで、前記小窒素流量は、1250sccm、1260sccm、1270sccm、1280sccm、1290sccm、1300sccm、1310sccm、1320sccm、1330sccm、1340sccm又は1350sccm等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0044】
好ましくは、前記PSG堆積反応の酸素流量は、550~650sccmであり、ここで、前記酸素流量は、550sccm、560sccm、570sccm、580sccm、590sccm、600sccm、610sccm、620sccm、630sccm、640sccm又は650sccm等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0045】
好ましくは、前記PSG堆積反応の大窒素流量は0sccmである。
【0046】
好ましくは、前記PSG堆積反応の炉管圧力は、55~65mbarであり、ここで、前記炉管圧力は、55mbar、56mbar、57mbar、58mbar、59mbar、60mbar、61mbar、62mbar、63mbar、64mbar又は65mbar等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0047】
本願の好ましい技術案として、前記第1昇温及び第1恒温で、炉管に真空引き処理を行う。
【0048】
好ましくは、前記第1恒温時に、小窒素を導入して管路をパージし、前記パージの流量は、450~550sccmであり、ここで、前記流量は、450sccm、460sccm、470sccm、480sccm、490sccm、500sccm、510sccm、520sccm、530sccm、540sccm又は550sccm等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0049】
好ましくは、前記真空安定化中に圧力が安定した後、全てのガスの導入を閉じて炉管の圧力を50~60mbarに保持し、ここで、前記圧力は、50mbar、51mbar、52mbar、53mbar、54mbar、55mbar、56mbar、57mbar、58mbar、59mbar又は60mbar等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0050】
好ましくは、前記酸化は、結晶シリコンウェハーの表面に一層の酸化シリコン層の成長保護を行うことを含む。
【0051】
本願の好ましい技術案として、前記第2昇温の到達温度は、830~870℃であり、ここで、前記到達温度は、830℃、835℃、840℃、845℃、850℃、855℃、860℃、865℃又は870℃等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0052】
好ましくは、前記第2昇温で、残っているオキシ塩化リンを除去するために窒素ガスを導入する。
【0053】
好ましくは、前記第2昇温で、大窒素流量は、950~1050sccmであり、ここで、前記大窒素流量は、950sccm、960sccm、970sccm、980sccm、990sccm、1000sccm、1010sccm、1020sccm、1030sccm、1040sccm又は1050sccm等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0054】
好ましくは、前記第2恒温で、残っているオキシ塩化リンをさらに反応させるために酸素を導入する。
【0055】
好ましくは、前記第2恒温で、酸素流量は、550~650sccmであり、ここで、前記酸素流量は、550sccm、560sccm、570sccm、580sccm、590sccm、600sccm、610sccm、620sccm、630sccm、640sccm又は650sccm等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0056】
本願の好ましい技術案として、前記第1降温の温度は、750~810℃であり、ここで、前記温度は、750℃、760℃、770℃、780℃、790℃、800℃又は810℃等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0057】
本願において、第1降温は、補充拡散の設定温度とする。
【0058】
好ましくは、前記補充拡散は、高温ドライブインによる結晶シリコンウェハーの局所領域のドーピングが低すぎるという欠陥を修復するために用いられる。
【0059】
好ましくは、前記パージは、炉管内に残ったオキシ塩化リンを除去する。
【0060】
好ましくは、前記酸化反応は、PSG堆積反応に導入されたオキシ塩化リンを除去する。
【0061】
好ましくは、前記第2降温は、結晶シリコンウェハーの格子転位を修復するために用いられる。
【0062】
好ましくは、前記窒素ガス充填は、炉管の常圧状態を回復するために用いられる。
【0063】
本願の好ましい技術案として、前記連鎖酸化プロセスは、高温連鎖酸化を含む。
【0064】
好ましくは、前記高温連鎖酸化の温度は、660~670℃であり、ここで、前記温度は、660℃、662℃、664℃、666℃、668℃又は670℃等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0065】
好ましくは、前記高温連鎖酸化の時間は、1~5minであり、ここで、前記時間は、1min、2min、3min、4min又は5min等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0066】
好ましくは、前記高温連鎖酸化の酸素流量は、95~105slmであり、ここで、前記酸素流量は、95slm、96slm、97slm、98slm、99slm、100slm、101slm、102slm、103slm、104slm又は105slm等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0067】
好ましくは、前記高温連鎖酸化の窒素ガス流量は、5~15slmであり、ここで、前記窒素ガス流量は、5slm、6slm、7slm、8slm、9slm、10slm、11slm、12slm、13slm、14slm又は15slm等であってもよく、挙げられている数値に限定されず、その数値範囲内の他の挙げられていない数値も同様に用いられてもよい。
【0068】
本願は、低温拡散源量の制御及び高温ドライブイン時間の制御により、本願の拡散曲線ドーピングプロファイルを作成する。拡散曲線の表面ドーピング濃度が低いと、その後の合金オーミックコンタクトの失効を引き起こすため、高温連鎖酸化を導入して表面ドーピングを活性化する必要がある。
【0069】
高温連鎖酸化炉は、昇温速度が非常に速く、保温時間が非常に短い熱処理方式である。昇温速度は10~100℃/sに達することができる。一般的に赤外線ハロゲンランプを用いて加熱し、加熱時に電流が大きく、電力が大きい。ハロゲンランプの加熱過程において、大量の高エネルギー電子を放出し、高エネルギー電子がシリコンウェハーに衝突すると、照射された電子と格子が相互作用し、格子内の原子の位置を破壊し、原子に変位効果を起こし、同時に正孔―格子間原子対を形成する。同時に、リンの拡散には格子間型拡散及び置換型拡散の二種類があり、高エネルギー電子の衝突はリン拡散の難しさを低減する。連鎖酸化デバイスは、赤外線ハロゲンランプを用いて加熱し、シリコンウェハーの表面に固定源が存在する場合に、拡散増強機構をトリガし、リン源の再分布をもたらす。
【0070】
上記原理の紹介によれば、高温連鎖酸化の異なる温度条件を試したところ、温度が高いほど、光子熱活性化放射の能力が強くなり、有効拡散活性化ドーピング能力が高くなり、薄層シート抵抗の変化が大きくなり、異なる連鎖酸化温度に対応するシート抵抗の変化差について、その差が大きいほど、活性化ドーピング能力が強くなることを発見した。したがって、本願は、高温光子熱活性化放射を用いてリンドーピングを活性化する。
【0071】
本願の好ましい技術案として、前記製造方法は、プロセス順に以下のプロセスを含む。
【0072】
テクスチャリングプロセス、前記拡散プロセス、レーザドーピングプロセス、前記連鎖酸化プロセス、PSG除去プロセス、アルカリ裏面研磨プロセス、アニールプロセス、ALDパッシベーションプロセス、表面PECVDプロセス、裏面PECVDプロセス、レーザグルービングプロセス、スクリーン印刷プロセス及び電気注入プロセス。
【0073】
本願では拡散プロセス及び連鎖酸化プロセス以外のプロセスはいずれも一般的なプロセス手段を採用し、その説明は省略する。
【0074】
本願の第2の目的は、第1の目的に記載の浅い接合拡散エミッタの結晶シリコン太陽電池の製造方法の応用を提供することであり、前記製造方法は太陽光発電の分野に応用される。
【0075】
従来技術に比べて、本願は、以下の有益な効果を有する。
【0076】
本願で製造された太陽電池の変換率は、従来の太陽電池に比べて0.1%向上した。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】本願に係る具体的な実施形態におけるリン拡散不純物分布ECVのグラフである。
図2】本願に係る具体的な実施形態における二つの条件での拡散不純物分布ECVのグラフある。
図3】本願に係る具体的な実施形態における連鎖酸化炉の構造図である。
図4】本願に係る具体的な実施形態における高温連鎖酸化ドーピングのグラフ(有/無PSG層)である。
図5】本願に係る具体的な実施形態における太陽電池のプロセスのフローチャートである。
図6】本願に係る具体的な実施形態におけるドーピングプロファイルのグラフである。
図7】本願に係る実施例1および比較例1のQE量子効率図である。
図8】本願に係る実施例1および比較例1のECVドーピング濃度分布のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下、具体的な実施形態によって本願の技術案をさらに説明する。当業者であれば、前記実施例は、本願を理解することに役立つためのものに過ぎず、本願を具体的に限定するためのものと見なすべきではないことを理解すべきである。
【0079】
本願は、拡散プロセス及び連鎖酸化プロセスを含む浅い接合拡散エミッタの結晶シリコン太陽電池の製造方法を提供する。
【0080】
前記拡散プロセスは、低温拡散及び高温ドライブインを含み、前記連鎖酸化プロセスは、高温連鎖酸化を含む。
【0081】
本願は、拡散プロセスのDOE実験により、影響因子となる温度、時間、流量、配合等を分析し、拡散プロセスのECV曲線を変更する重要な因子が、表面濃度、エミッタ接合深さ、相補誤差分布及びガウス分布のドーピングプロファイル曲線を含むことを判明させた。次に、高温連鎖酸化の原理を理解し、実験中に表面ドーピングへの影響を模索した。最後に、結晶シリコン太陽電池の太陽光発電の原理と結び付けて、拡散プロセスと連鎖酸化プロセスを結合することにより、0.15um程度の拡散エミッタ接合を製造し、かつ高い表面ドーピング濃度で、良好なオーミック合金コンタクトを実現し、短波スペクトル吸収を向上させ、太陽電池の光電変換効率を向上させるという進歩性がある出願を完成した。
【0082】
本願は、まず、拡散プロセスの最適化により、深さが0.15umの低ドーピング拡散浅い接合を製造し、また、高温連鎖酸化の光子熱活性化放射エネルギーを利用して拡散層の表面に一定のドーズ量濃度のドーピングを形成することにより、その後の銀ペーストと合金オーミック接触を形成するミスマッチ問題を解決する。最終的に、高い光電変換効率の向上を得た。
【0083】
さらに、前記拡散プロセスは、ボートへの進入、第1昇温、第1恒温、真空安定化、真空漏れ検出、酸化、第1低温拡散源導入、第2低温拡散源導入、第2昇温、第2恒温、高温ドライブイン、第1降温、補充拡散、パージ、PSG堆積反応、酸化反応、第2降温、窒素ガス充填及びボートからの排出を順に行うことを含む。
【0084】
さらに、前記低温拡散は、一定の温度で固定源の拡散を行うことを含む。
【0085】
さらに、前記固定源は、オキシ塩化リンである。
【0086】
さらに、前記低温拡散は、第1低温拡散源導入及び第2低温拡散源導入を含む。
【0087】
さらに、前記第1低温拡散源導入の温度は770~790℃である。
【0088】
さらに、前記第1低温拡散源導入の時間は220~260sである。
【0089】
さらに、前記第1低温拡散源導入の小窒素流量は1000~1100sccmである。
【0090】
さらに、前記第1低温拡散源導入の酸素流量は450~550sccmである。
【0091】
さらに、前記第1低温拡散源導入の大窒素流量は0sccmである。
【0092】
さらに、前記第1低温拡散源導入の炉管圧力は50~60mbarである。
【0093】
さらに、前記第2低温拡散源導入の温度は790~810℃である。
【0094】
さらに、前記第2低温拡散源導入の時間は190~230sである。
【0095】
さらに、前記第2低温拡散源導入の小窒素流量は1100~1200sccmである。
【0096】
さらに、前記第2低温拡散源導入の酸素流量は550~650sccmである。
【0097】
さらに、前記第2低温拡散源導入の大窒素流量は0sccmである。
【0098】
さらに、前記第2低温拡散源導入の炉管圧力は50~60mbarである。
【0099】
本願では、低温拡散時に、本願で限定した温度で固定源量(オキシ塩化リン)を導入し、すなわち、固定源の拡散を行い、このときの拡散分布曲線は、相補誤差分布を満たす。低温拡散(相補誤差分布)及び高温ドライブイン(ガウス分布)でリン拡散ドーピングの不純物分布曲線を構成する。
【0100】
ここで、リン拡散ドーピングの不純物分布曲線は、図1に示すように、図中のIはPSG層ドーピングであり、SEレーザドーピングを促進する一方、高温連鎖熱酸化により、熱光子放射がドーピングを活性化することができる。IIは表層ドーピングであり、高濃度ドーピングは格子不整合によるデッド層をもたらし、短波応答を低減させる一方、低濃度ドーピングは、その後のスクリーンのオーミックコンタクト伝導に影響を与える。IIIは接合深さ曲線であり、スラリーのオーミックコンタクトに影響を与える一方、光吸収に関連する。
【0101】
さらに、前記高温ドライブインは、高温で結晶シリコン表面のリン源をシリコン基体内へドライブインすることを含む。
【0102】
さらに、前記高温ドライブインの時間は350~370sである。
【0103】
さらに、前記高温ドライブインの温度は800~900℃である。
【0104】
さらに、前記高温ドライブインの小窒素流量は750~850sccmである。
【0105】
さらに、前記高温ドライブインの酸素流量は0sccmである。
【0106】
さらに、前記高温ドライブインの大窒素流量は950~1050sccmである。
【0107】
さらに、前記高温ドライブインの炉管圧力は50~60mbarである。
【0108】
さらに、前記PSG堆積反応の温度は700~800℃である。
【0109】
さらに、前記PSG堆積反応の時間は700~800sである。
【0110】
さらに、前記PSG堆積反応中にオキシ塩化リンを導入する。
【0111】
さらに、前記PSG堆積反応の小窒素流量は1250~1350sccmである。
【0112】
さらに、前記PSG堆積反応の酸素流量は550~650sccmである。
【0113】
さらに、前記PSG堆積反応の大窒素流量は0sccmである。
【0114】
さらに、前記PSG堆積反応の炉管圧力は55~65mbarである。
【0115】
本願は、低温拡散源量の制御及び高温ドライブイン時間の制御により、本願の拡散曲線ドーピングプロファイルを作成する。図2に示すように、本願は0.15um程度の浅いエミッタを得るが、同時に、当該拡散曲線の表面ドーピング濃度が低いと、その後の合金オーミックコンタクトの失効を引き起こすため、高温連鎖酸化を導入して表面ドーピングを活性化しなければならないことがわかった。
【0116】
さらに、前記連鎖酸化プロセスは酸化チャンバへの進入、高温連鎖酸化及び酸化チャンバからの排出を含む。
【0117】
さらに、前記高温連鎖酸化の温度は660~670℃である。
【0118】
さらに、前記高温連鎖酸化の時間は1~5minである。
【0119】
さらに、前記高温連鎖酸化の酸素流量は95~105slmである。
【0120】
さらに、前記高温連鎖酸化の窒素ガス流量は5~15slmである。
【0121】
本願では、図3に示すような連鎖酸化炉を用いて加熱し、加熱時に電流が大きく、電力が大きい。ハロゲンランプの加熱過程において、大量の高エネルギー電子を放出し、高エネルギー電子がシリコンウェハーに衝突すると、照射された電子と格子が相互作用し、格子内の原子の位置を破壊し、原子に変位効果を起こし、同時に正孔-格子間原子対を形成する。同時に、リンの拡散には格子間型拡散及び置換型拡散の二種類があり、高エネルギー電子の衝突はリン拡散の難しさを低減する。連鎖酸化デバイスは、赤外線ハロゲンランプを用いて加熱し、シリコンウェハーの表面に固定源が存在する場合に、拡散増強機構をトリガし、リン源の再分布をもたらす。
【0122】
本願では、実験により、図1-IのPSGドーピング層は、連鎖酸化条件での表面リン活性化ドーピング源であり、PSG層を残す連鎖酸化とPSG層を除去する連鎖酸化は、表面濃度に異なる変化が発生したことを発見した。図4に示すように、PSG層を残す場合とPSG層を除去する場合は、高温連鎖酸化後のECVドーピング曲線試験において、異なる表面ドーピング濃度を示したが、PSG層を残す高温連鎖酸化後のドーピング曲線は、表層ドーピングが合金オーミックコンタクトに影響を与えることを解決しようとする重要な要素である。
【0123】
さらに、前記製造方法は、図5に示すように、プロセス順に以下のプロセスを含む。
【0124】
テクスチャリングプロセス、前記拡散プロセス、レーザドーピングプロセス、前記連鎖酸化プロセス、PSG除去プロセス、アルカリ裏面研磨プロセス、アニールプロセス、ALDパッシベーションプロセス、表面PECVDプロセス、裏面PECVDプロセス、レーザグルービングプロセス、スクリーン印刷プロセス及び電気注入プロセス。
【0125】
本願における浅い接合拡散エミッタの結晶シリコン太陽電池の製造方法をさらに理解するために、以下の実施例及び比較例を用いて説明する。
【0126】
実施例1
本実施例は浅い接合拡散エミッタの結晶シリコン太陽電池の製造方法を提供する。
【0127】
前記製造方法は、図5に示すように、プロセス順に以下のプロセスを含む。
テクスチャリングプロセス、拡散プロセス、レーザドーピングプロセス、連鎖酸化プロセス、PSG除去プロセス、アルカリ裏面研磨プロセス、アニールプロセス、ALDパッシベーションプロセス、表面PECVDプロセス、裏面PECVDプロセス、レーザグルービングプロセス、スクリーン印刷プロセス及び電気注入プロセス。
【0128】
ここで、拡散プロセスは以下のステップを含む。
(1)拡散を必要とする結晶シリコンウェハーを、炉管に進入される石英ボートに整然と挿入するステップ、
(2)結晶シリコンウェハーを高温石英炉管の中に送り込み、時間を630s、温度を770℃、導入する窒素ガスの流量を2000sccm、圧力を常圧に近い1000mbarに設定するボートへの進入ステップ、
(3)炉管が設定の温度まで昇温するのを待ち、時間を60s、温度を770℃、窒素ガスの流量を2000sccm、炉管の真空圧力を700mbarに設定し、炉管に対して一回の予備真空引き動作を行う第1昇温ステップ、
(4)炉管が設定された温度±5℃範囲内で安定するのを待ち、かつ炉管に対して真空引き動作を行い、時間を180s、温度を770℃、導入する窒素ガスの流量を2000sccm、炉管圧力を55mbarに設定し、かつ小窒素の一部(オキシ塩化リンは閉とする)を早期に導入して管路のパージを行い、流量を500sccmに設定する第1恒温ステップ、
(5)炉管内が設定真空圧力まで引き出されるのを待ち、時間を60s、温度を770℃に設定し、全てのガスの導入を閉じ込め、炉管圧力を55mbarに設定する真空安定化ステップ、
(6)炉管に亀裂またはシール不良の状況が発生し真空圧力に上昇変動が発生するか否かを確認し、時間を60s、温度を770℃に設定し、全てのガスの導入を閉じ込め、炉管圧力を55mbarに設定する真空漏れ検出ステップ、
(7)ドーピング拡散を行う前に、その後のオキシ塩化リンの反応過程において結晶シリコンウェハーの表面に腐食影響を与えることを防止するため、結晶シリコンウェハー表面に一層の酸化シリコン層の成長保護を行う必要があり、時間を300s、温度を775℃、小窒素流量を500sccm(オキシ塩化リンは閉とする)、酸素流量を900sccm、大窒素流量を0sccm、炉管圧力を55mbarに設定する酸化ステップ、
(8)775℃の温度で、一回目のオキシ塩化リン拡散ドーピング反応が行われて、時間を240s、温度を775℃、小窒素流量を1050sccm(オキシ塩化リンは開とする)、酸素流量を500sccm、大窒素流量を0sccm、炉管圧力を55mbarに設定する第1低温拡散源導入ステップ、
(9)変温拡散により酸化層中のドーピングリン源を活性化して拡散反応をさらに均一にするように、温度を795℃に調整し、二回目のオキシ塩化リン拡散ドーピング反応が行われて、時間を210s、温度を795℃、小窒素流量を1150sccm(オキシ塩化リンは開とする)、酸素流量を600sccm、大窒素流量を0sccm、炉管圧力を55mbarに設定する第2低温拡散源導入ステップ、
(10)その後の高温ドーピングドライブイン反応を完了するように、温度を795℃から850℃まで上昇させる過程であって、同時に大量の窒素ガスを導入して残留したオキシ塩化リンの一部を除去し、安全上のリスクを回避し、時間を300s、温度を850℃、小窒素流量を800sccm(オキシ塩化リンは閉とする)、酸素流量を0sccm、大窒素流量を1000sccm、炉管圧力を55mbarに設定する第2昇温ステップ、
(11)温度が設定温度まで上昇した後、恒温で一定の時間で安定させる必要があり、同時に一定量の酸素ガスを導入して、残留したオキシ塩化リンを反応させ、安全上のリスクを回避し、時間を240s、温度を850℃、小窒素流量を500sccm(オキシ塩化リンは閉とする)、酸素流量を600sccm、大窒素流量を500sccm、炉管圧力を55mbarに設定する第2恒温ステップ、
(12)設定高温に達した後、かつ炉管内に反応ガスがないことを確保した後、高温でのドーピングドライブイン動作を行い、結晶シリコン表層のリン源をシリコン基体内にドライブインするステップについては、時間及び温度が重要であり、拡散エミッタの接合深さに直接影響を与え、そして時間を360s、温度を850℃、小窒素流量を800sccm(オキシ塩化リンは閉とする)、酸素流量を0sccm、大窒素流量を1000sccm、炉管圧力を55mbarに設定する高温ドライブインステップ、
(13)補充拡散の設定温度として、温度を800℃程度まで低下させて、時間を1380s、温度を790℃、小窒素流量を800sccm(オキシ塩化リンは閉とする)、酸素流量を0sccm、大窒素流量を1000sccm、炉管圧力を55mbarに設定する第1降温ステップ、
(14)高温ドライブインによる結晶シリコンウェハーの局所領域のドーピングが低すぎるという現象を修復し、時間を90s、温度を790℃、小窒素流量を1300sccm(オキシ塩化リンは開とする)、酸素流量を600sccm、大窒素流量を0sccm、炉管圧力を60mbarに設定する補充拡散ステップ、
(15)拡散が完了した後、炉管内に残ったオキシ塩化リンを窒素ガスと真空引きにより除去しきれて、時間を120s、温度を780℃、小窒素流量を800sccm(オキシ塩化リンは閉とする)、酸素流量を0sccm、大窒素流量を1000sccm、炉管圧力を60mbarに設定するパージステップ、
(16)その後のレーザ局所ドーピングに十分なリン源を提供する一方で、本特許の重要な発見である、その後の高温連鎖酸化に合わせてリン源を活性化して表面の高ドーピングを形成することができる役割を有するステップであって、時間を760s、温度を750℃、小窒素流量を1300sccm(オキシ塩化リンは開とする)、酸素流量を600sccm、大窒素流量を0sccm、炉管圧力を60mbarに設定するPSG堆積反応ステップ、
(17)大量の酸素ガスを導入して、炉管内に残ったオキシ塩化リンを十分に反応させて、その後の炉ドアを開けることによる漏れのリスクを回避し、時間を180s、温度を700℃、小窒素流量を500sccm(オキシ塩化リンは閉とする)、酸素流量を1500sccm、大窒素流量を0sccm、炉管圧力を60mbarに設定する酸化反応ステップ、
(18)拡散完了後の結晶シリコンウェハーに変温過程を持たせることを目的として温度を非常に低い値に設定し、この過程が結晶格子の変位を促進し、一部の高温拡散による格子転位現象を修復し、拡散エミッタの品質をさらに改善する降温ステップであって、時間を360s、温度を700℃、小窒素流量を1000sccm(オキシ塩化リンは閉とする)、酸素流量を0sccm、大窒素流量を0sccm、炉管圧力を60mbarに設定する第2降温ステップ、
(19)その後、炉ドアを開けて結晶シリコンウェハーを取るために準備するように、炉管に大量の窒素ガスを導入して、炉管の常圧状態を回復し、時間を240s、温度を700℃、小窒素流量を1000sccm(オキシ塩化リンは閉とする)、酸素流量を0sccm、大窒素流量を3000sccm、炉管圧力を1000mbarに設定する窒素ガス充填ステップ、及び、
(20)炉ドアを開けて石英ボートを取り、拡散プロセスフロー全体を終了し、時間を630s、温度を750℃、小窒素流量を0sccm、酸素流量を0sccm、大窒素流量を2000sccm、炉管圧力を1000mbarに設定するボートからの排出ステップ。
【0129】
ここで、連鎖酸化プロセスは以下のステップを含む。
(1)載置ケースを置くステップであって、結晶シリコンウェハーを入れた載置ケースを自動化ローダーの上に置くステップ、
(2)酸化チャンバに入る準備を行い、載置ケースから結晶シリコンウェハーを押し出し、連鎖酸化炉チャンバの前のコンベアベルトに整列するステップ、
(3)高温酸化炉チャンバ内に入り、ベルト速度を3.8m/min、赤外線ハロゲンランプ温度を665℃、導入する酸素の流量を100slm、窒素ガス流量を10slmに設定するステップ、
(4)酸化チャンバから出て、高温連鎖酸化活性化を完了したシリコンウェハーは、コンベアベルトにより、全体が仕込み端に配列され、載置ケース内に搬送されるのを待つステップ、及び、
(5)載置ケースに入れ、酸化活性化を完了した結晶シリコンウェハーをコンベアベルトから載置ケース内に順に押し込み、マウントを完了した後、その後のPSG除去工程に送り込むステップ。
【0130】
実施例2
本実施例では、拡散プロセスにおけるステップ(8)を以下のステップに置き換えた:770℃の温度で、一回目のオキシ塩化リン拡散ドーピング反応を行い、時間を260s、温度を770℃、小窒素流量を1000sccm(オキシ塩化リンは開とする)、酸素流量を450sccm、大窒素流量を0sccm、炉管圧力を50mbarに設定する第1低温拡散源導入ステップ。
拡散プロセスにおけるステップ(9)を以下のステップに置き換えた:変温拡散により酸化層中のドーピングリン源を活性化して拡散反応をさらに均一にするように、温度を790℃に調整し、二回目のオキシ塩化リン拡散ドーピング反応を行い、時間を230s、温度を790℃、小窒素流量を1100sccm(オキシ塩化リンは開とする)、酸素流量を550sccm、大窒素流量を0sccm、炉管圧力を50mbarに設定する第2低温拡散源導入ステップ。
拡散プロセスにおけるステップ(12)を以下のステップに置き換えた:設定高温に達した後、かつ炉管内に反応ガスがないことを確保した後、高温でのドーピングドライブイン動作を行い、結晶シリコン表層のリン源をシリコン基体内にドライブインするステップについては、時間及び温度が重要であり、拡散エミッタの接合深さに直接影響を与え、そして時間を370s、温度を800℃、小窒素流量を750sccm(オキシ塩化リンは閉とする)、酸素流量を0sccm、大窒素流量を950sccm、炉管圧力を50mbarに設定する高温ドライブインステップ。
拡散プロセスにおけるステップ(16)を以下のステップに置き換えた:その後のレーザ局所ドーピングに十分なリン源を提供する一方で、本特許の重要な発見である、その後の高温連鎖酸化に合わせてリン源を活性化して表面の高ドーピングを形成することができる役割を有するステップであって、時間を800s、温度を700℃、小窒素流量を1250sccm(オキシ塩化リンは開とする)、酸素流量を550sccm、大窒素流量を0sccm、炉管圧力を55mbarに設定するPSG堆積反応ステップ。
連鎖酸化プロセスにおけるステップ(3)を以下のステップに置き換えた:高温酸化炉チャンバ内に入り、ベルト速度を3.8m/min、赤外線ハロゲンランプ温度を660℃、導入する酸素の流量を95slm、窒素ガス流量を5slmに設定するステップ。
【0131】
他の条件は、実施例1と同様である。
【0132】
実施例3
本実施例では、拡散プロセスにおけるステップ(8)を以下のステップに置き換えた:790℃の温度で、一回目のオキシ塩化リン拡散ドーピング反応を行い、時間を220s、温度を790℃、小窒素流量を1100sccm(オキシ塩化リンは開とする)、酸素流量を550sccm、大窒素流量を0sccm、炉管圧力を60mbarに設定する第1低温拡散源導入ステップ。
拡散プロセスにおけるステップ(9)を以下のステップに置き換えた:変温拡散により酸化層中のドーピングリン源を活性化して拡散反応をさらに均一にするように、温度を810℃に調整し、二回目のオキシ塩化リン拡散ドーピング反応を行い、時間を190s、温度を1200℃、小窒素流量を650sccm(オキシ塩化リンは開とする)、酸素流量を650sccm、大窒素流量を0sccm、炉管圧力を60mbarに設定する第2低温拡散源導入ステップ。
拡散プロセスにおけるステップ(12)を以下のステップに置き換えた:設定高温に達した後、かつ炉管内に反応ガスがないことを確保した後、高温でのドーピングドライブイン動作を行い、結晶シリコン表層のリン源をシリコン基体内にドライブインするステップについては、時間及び温度が重要であり、拡散エミッタの接合深さに直接影響を与え、そして時間を350s、温度を900℃、小窒素流量を850sccm(オキシ塩化リンは閉とする)、酸素流量を0sccm、大窒素流量を1050sccm、炉管圧力を60mbarに設定する高温ドライブインステップ。
拡散プロセスにおけるステップ(16)を以下のステップに置き換えた:その後のレーザ局所ドーピングに十分なリン源を提供する一方で、本特許の重要な発見である、その後の高温連鎖酸化に合わせてリン源を活性化して表面の高ドーピングを形成することができる役割を有するステップであって、時間を700s、温度を800℃、小窒素流量を1350sccm(オキシ塩化リンは開とする)、酸素流量を650sccm、大窒素流量を0sccm、炉管圧力を65mbarに設定するPSG堆積反応ステップ。
連鎖酸化プロセスにおけるステップ(3)を以下のステップに置き換えた:高温酸化炉チャンバの内入り、ベルト速度を3.8m/min、赤外線ハロゲンランプ温度を670℃、導入する酸素の流量を105slm、窒素ガス流量を15slmに設定するステップ。
【0133】
他の条件は、実施例1と同様である。
【0134】
実施例4
本実施例では、拡散プロセスにおけるステップ(8)の第1低温拡散源導入ステップの温度を700℃に置き換えた以外、他の条件は、実施例1と同様である。
【0135】
実施例5
本実施例では、拡散プロセスにおけるステップ(12)の高温ドライブインステップの温度を950℃に設定した以外、他の条件は、実施例1と同様である。
【0136】
実施例6
本実施例では、高温連鎖酸化プロセスにおける赤外線ハロゲンランプ温度を、665℃から700℃に置き換えた以外、他の条件は、実施例1と同様である。
【0137】
実施例7
本実施例では、拡散プロセスにおけるステップ(9)の第2低温拡散源導入ステップを除く以外、他の条件は、実施例1と同様である。
【0138】
実施例8
本実施例では、拡散プロセスにおけるステップ(16)のPSG堆積反応ステップを除く以外、他の条件は、実施例1と同様である。
【0139】
比較例1
本比較例では、連鎖酸化を通常の高温管式酸化に置き換えた以外、他の条件は、実施例1と同様である。
【0140】
比較例2
本比較例では、拡散プロセスにおけるステップ(12)の高温ドライブインステップを除く以外、他の条件は、実施例1と同様である。
【0141】
比較例3
本比較例では、連鎖酸化ステップを常温連鎖酸化ステップに置き換えた以外、他の条件は、実施例1と同様である。
【0142】
本願の実施例1及び比較例1において数回の量産を行い、結果を表1に示す。
【表1】
【0143】
上記の表から分かるように、本願により浅い接合拡散エミッタを製造することにより、結晶シリコン太陽電池の変換効率が0.1%向上し、主に開放電圧Uoc及び短絡電流Iscを向上させた。
【0144】
ここで、本願における実施例1と比較例1のドーピングプロファイル曲線を図6に示し、量子効率QEグラフを図7に示し、ECV(電食)ドーピング濃度分布グラフを図8に示す。図7の量子効率QEグラフから分かるように、300nm~500nmの短波スペクトル応答について、実施例1は比較例1より明らかに高かった。図8から分かるように、本願の実施例1の接合深さは0.15umであり、表面濃度は1.0×1021cm-3であり、いずれも比較例1より優れている。
【0145】
実施例1~8及び比較例1~3における太陽電池を生産ラインで生産し、試験結果を表2に示す。
【表2】
【0146】
上記の表から分かるように、実施例1~3の効率向上は明らかであり、かつ効率が0.1%程度向上し、結果が一致している。実施例4では、第1低温拡散源導入の温度を低い温度に置き換え、実施例5では、拡散プロセスにおける高温ドライブインの温度を向上させ、実施例6では、高温連鎖酸化の温度をさらに向上させ、実施例7では、第2低温拡散源導入プロセスを除き、実施例1に比べて、実施例4~6の光変換効率はいずれも低下した。比較例1では連鎖酸化を高温管式酸化に置き換え、比較例2では高温ドライブインステップを除き、比較例3では高温連鎖酸化を常温連鎖酸化に置き換え、太陽電池の光変換効率がさらに低下することが観察された。
【0147】
以上の内容は、本願の具体的な実施形態に過ぎないが、本願の保護範囲は、これに限定されないことを出願人より声明する。当業者であれば、当業者が本出願に開示された技術的範囲内で、容易に想定できる変更又は置換は、いずれも本出願の保護範囲及び開示範囲内に入ることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散プロセス及び連鎖酸化プロセスを含み、
前記拡散プロセスは、低温拡散及び高温ドライブインを含み、前記連鎖酸化プロセスは、高温連鎖酸化を含む、浅い接合拡散エミッタの結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記拡散プロセスは、ボートへの進入、第1昇温、第1恒温、真空安定化、真空漏れ検出、酸化、第1低温拡散源導入、第2低温拡散源導入、第2昇温、第2恒温、高温ドライブイン、第1降温、補充拡散、パージ、PSG堆積反応、酸化反応、第2降温、窒素ガス充填及びボートからの排出を順に行うことを含み、
好ましくは、前記低温拡散は、一定の温度で固定源の拡散を行うことを含み、
前記固定源は、オキシ塩化リンであり、
好ましくは、前記低温拡散は、第1低温拡散源導入及び第2低温拡散源導入を含み、
前記第1低温拡散源導入の温度は770~790℃であり、
前記第1低温拡散源導入の時間は220~260sであり、
前記第1低温拡散源導入の小窒素流量は1000~1100sccmであり、
前記第1低温拡散源導入の酸素流量は450~550sccmであり、
前記第1低温拡散源導入の大窒素流量は0sccmであり、
前記第1低温拡散源導入の炉管圧力は50~60mbarであり、
前記第2低温拡散源導入の温度は790~810℃であり、
前記第2低温拡散源導入の時間は190~230sであり、
前記第2低温拡散源導入の小窒素流量は1100~1200sccmであり、
前記第2低温拡散源導入の酸素流量は550~650sccmであり、
前記第2低温拡散源導入の大窒素流量は0sccmであり、
前記第2低温拡散源導入の炉管圧力は50~60mbarである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記高温ドライブインは、高温で結晶シリコン表面のリン源をシリコン基体内へドライブインすることを含み、
前記高温ドライブインの時間は350~370sであり、
前記高温ドライブインの温度は800~900℃であり、
前記高温ドライブインの小窒素流量は750~850sccmであり、
前記高温ドライブインの酸素流量は0sccmであり、
前記高温ドライブインの大窒素流量は950~1050sccmであり、
前記高温ドライブインの炉管圧力は50~60mbarである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記PSG堆積反応の温度は700~800℃であり、
前記PSG堆積反応の時間は700~800sであり、
前記PSG堆積反応中にオキシ塩化リンを導入し、
前記PSG堆積反応の小窒素流量は1250~1350sccmであり、
前記PSG堆積反応の酸素流量は550~650sccmであり、
前記PSG堆積反応の大窒素流量は0sccmであり、
前記PSG堆積反応の炉管圧力は55~65mbarである、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記第1昇温及び第1恒温で、炉管に真空引き処理を行い、
好ましくは、前記第1恒温時に、小窒素を導入して管路をパージし、前記パージの流量は450~550sccmであり、
好ましくは、前記真空安定化中に圧力が安定した後、全てのガスの導入を閉じて炉管の圧力を50~60mbarに保持し、
好ましくは、前記酸化は、結晶シリコンウェハーの表面に一層の酸化シリコン層の成長保護を行うことを含む、請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第2昇温の到達温度は830~870℃であり、
前記第2昇温で、残っているオキシ塩化リンを除去するために窒素ガスを導入し、
前記第2昇温で、大窒素流量は950~1050sccmであり、
好ましくは、前記第2恒温で、残っているオキシ塩化リンをさらに反応させるために酸素を導入し、
前記第2恒温で、酸素流量は550~650sccmである、請求項2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第1降温の温度は750~810℃であり、
好ましくは、前記補充拡散は、高温ドライブインによる結晶シリコンウェハーの局所領域のドーピングが低すぎるという欠陥を修復するために用いられ、
好ましくは、前記パージは炉管内に残ったオキシ塩化リンを除去し、
好ましくは、前記酸化反応は、PSG堆積反応に導入されたオキシ塩化リンを除去し、
好ましくは、前記第2降温は、結晶シリコンウェハーの格子転位を修復するために用いられ、
好ましくは、前記窒素ガス充填は、炉管の常圧状態を回復するために用いられる、請求項2に記載の製造方法。
【請求項8】
前記連鎖酸化プロセスは高温連鎖酸化を含み、
前記高温連鎖酸化の温度は660~670℃であり、
前記高温連鎖酸化の時間は1~5minであり、
前記高温連鎖酸化の酸素流量は95~105slmであり、
前記高温連鎖酸化の窒素ガス流量は5~15slmである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記製造方法は、
テクスチャリングプロセス、前記拡散プロセス、レーザドーピングプロセス、前記連鎖酸化プロセス、PSG除去プロセス、アルカリ裏面研磨プロセス、アニールプロセス、ALDパッシベーションプロセス、表面PECVDプロセス、裏面PECVDプロセス、レーザグルービングプロセス、スクリーン印刷プロセス及び電気注入プロセスをプロセス順に含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
太陽光発電の分野に応用される、請求項1~9のいずれか一項に記載の浅い接合拡散エミッタの結晶シリコン太陽電池の製造方法の使用。
【国際調査報告】