(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-13
(54)【発明の名称】化粧用コンパクトのためのショック吸収インサート
(51)【国際特許分類】
A45D 33/00 20060101AFI20250306BHJP
【FI】
A45D33/00 615Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024550547
(86)(22)【出願日】2023-02-22
(85)【翻訳文提出日】2024-09-11
(86)【国際出願番号】 US2023063073
(87)【国際公開番号】W WO2023164511
(87)【国際公開日】2023-08-31
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン プトナム,パメラ
(72)【発明者】
【氏名】マッタロッチア,ギアンルカ
(72)【発明者】
【氏名】シャノン,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,チャン
(57)【要約】
【解決手段】 コンパクトケースは、1つ以上の製品ウェルを有して構成された製品パレットを備える。パレットは、ショック吸収インサートの上部に接続されて載置され、両方ともコンパクトのベース内に位置する。ショック吸収インサートは、1つ以上の突出部が延在する1つ以上のハブから構成された可撓性部材である。ショック吸収インサートは、衝撃中にエネルギーを吸収して消散させることができ、それによって製品ウェル内の製品内の製品が保護される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、ショック吸収インサートと、製品パレットとを備えるコンパクトケースであって、
前記ベースは、
閉鎖底部と、
内面を有する側壁と、
前記閉鎖底部及び前記内面によって画定される内部空間と、を備えており、
前記ショック吸収インサートは、
1つ以上のハブ、
1つ以上の可撓性脚部であって、各脚部が、
前記ハブのうちの1つに接続された近位端、及び
前記ベースの前記内面に接近する遠位端を有する、1つ以上の可撓性脚部、
各脚部の前記遠位端に位置する足部であって、各足部が前記内面に隣接して位置するようになっている、足部、を備えており、
前記製品パレットは、前記ショック吸収インサートの前記1つ以上のハブに接続され、
上面と、
底面と、
前記底面から下方に延在する1つ以上の製品ウェルと、を備えており、
前記製品パレットは、前記ショック吸収インサートの上部に載置され、両方とも前記ベースの前記内部空間内に位置する、コンパクトケース。
【請求項2】
前記可撓性脚部の数が少なくとも2本である、請求項1に記載のコンパクトケース。
【請求項3】
少なくとも1つの可撓性脚部が直線状又は曲線状である、請求項1に記載のコンパクトケース。
【請求項4】
少なくとも1つの可撓性脚部が正弦波状である、請求項3に記載のコンパクトケース。
【請求項5】
各ハブがチャネルを備えており、
前記製品パレットの前記底面が、前記ハブの前記チャネル内に下方に延在する延在部を備える、請求項1に記載のコンパクトケース。
【請求項6】
前記製品パレットが、外周を有し、前記製品パレットの前記外周と前記ベースの前記内面との間のクリアランスが、0.1mm~10mmである、請求項1に記載のコンパクトケース。
【請求項7】
前記ショック吸収インサートが、
前記1つ以上のハブに取り付けられた1つ以上のアームと、
1つ以上の垂直に配向された圧縮ばねであって、各圧縮ばねは、各圧縮ばねの位置が各圧縮ばねの関連付けられたアームによって前記ベースの前記閉鎖底部に対して固定されるように、前記アームのうちの1つに関連付けられている、圧縮ばねと、を更に備える、請求項1に記載のコンパクトケース。
【請求項8】
ベースと、ショック吸収インサートと、製品パレットとを備えるコンパクトケースであって、
前記ベースは、
閉鎖底部と、
内面を有する側壁と、
前記閉鎖底部及び前記内面によって画定される内部空間と、を備えており、
前記ショック吸収インサートは、
1つ以上のハブと、
前記1つ以上のハブに取り付けられた1つ以上のアームと、
1つ以上の垂直に配向された圧縮ばねであって、各圧縮ばねが前記アームのうちの1つに関連付けられている、圧縮ばねとを備えており、
前記製品パレットは、前記ショック吸収インサートの前記1つ以上のハブに接続され、
上面と、
底面と、
前記底面から下方に延在する1つ以上の製品ウェルと、を備えており、
前記製品パレットは、前記ショック吸収インサートの上部に載置され、両方とも前記ベースの前記内部空間内に位置する、コンパクトケース。
【請求項9】
前記アームの数が少なくとも2本である、請求項8に記載のコンパクトケース。
【請求項10】
各ハブがチャネルを備えており、
前記製品パレットの前記底面が、前記ハブの前記チャネル内に下方に延在する延在部を備える、請求項8に記載のコンパクトケース。
【請求項11】
前記製品パレットが、外周を有し、前記製品パレットの前記外周と前記ベースの前記側壁の前記内面との間のクリアランスが、0.1mm~10mmである、請求項8に記載のコンパクトケース。
【請求項12】
コンパクトケース内で使用するための組み合わせ製品パレット及びショック吸収インサートであって、
前記ショック吸収インサートは、
1つ以上のハブと、
1つ以上の可撓性脚部であって、各脚部が、
前記ハブのうちの1つに接続された近位端と、
遠位端と、を有する、1つ以上の可撓性脚部と、
各脚部の前記遠位端に位置する足部と、を有しており、
前記製品パレットは、前記ショック吸収インサートの前記1つ以上のハブに接続され、
上面と、
底面と、
前記底面から下方に延在する1つ以上の製品ウェルと、を備えており、
前記製品パレットは、前記ショック吸収インサートの上部に載置されている、組み合わせ製品パレット及びショック吸収インサート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良されたコンパクト容器、特に化粧品及びパーソナルケア製品に関連するタイプのコンパクトに関する。
【背景技術】
【0002】
化粧用コンパクトは、カラーメイクアップ製品、パーソナルケア製品、及び/又は製品を塗布するための器具などの他の物品のための携帯型保存容器である。典型的な製品は、圧縮又は成型粉末、ペースト、クリーム、又はケーキ様粘稠度の製品などの、固体又は半固体であり得る。コンパクトケースで提供され得る化粧品としては、ほお紅、アイシャドウ、ファンデーション、リップ製品などが挙げられる。
【0003】
コンパクトは、便利で機能的でありながら、視覚的に魅力的でもあるという点で多用途である。後者は、小売環境において重要な特徴である。化粧用コンパクトのいくつかの共通の特徴は、ベースと、ベースの内容物を保護するためにベースをふさぐカバーとを含む。ベース内には、1つ以上の化粧品又は関連物品を保持するための1つ以上の区画がある。そのような製品区画は、1つ以上のプラスチック若しくは金属パンとして、又はベース内に載置するプラットフォームとして実装されてもよい。カバーは、ベースに対して開位置及び閉位置を交互にとることができる。カバー及びベースの協働は、これら2つの間の気密シール、及びコンパクトの思いがけない開放を防止する締結機構を含むことができる。ベース及びカバーは、概ね同じ全体形状であり、円形、楕円形及び長方形が非常に一般的である。化粧用コンパクトは、通常、ハンドバッグに都合よく収まる大きさであり、使用時に手で保持される。また、カバーの内側が、コンパクトが開位置にあるときに使用され得る鏡を備えることは非常に一般的である。
【0004】
商業的な輸送及び流通において、化粧用コンパクトは、振動及び突然の衝撃などの潜在的に損傷を与える力を受ける場合がある。また、コンパクトは消費者によって持ち運ばれることが意図されているので、それらはハンドバッグの中であちこちに押しのけられるか、又は硬い表面上に落とされる。コンパクトは、損傷をほとんど又は全く受けずにこのひどい扱いに耐える責任だけでなく、内部の内容物を保護する責任も負う。このため、コンパクトは、硬質プラスチック及び金属のような中実の耐衝撃性材料で作られる傾向がある。しかし、衝撃及び振動の力がコンパクトを通して、コンパクトが保護しなければならない内容物に伝達される傾向があるという点で、トレードオフが存在する。これは、コンパクトの内容物が、1つ以上の硬い圧縮粉末を含み、亀裂が入ったり、砕けたりすることによって突然のショック又は反復振動に応答する傾向がある場合に、特に厄介である。これは、より柔らかい「感触」をユーザに提供し、指又はアプリケータ上へのより良好な製品の移りを提供するために、より少ない圧縮で製造される、より高品質の圧縮粉末に特に当てはまる。コンパクトがその内容物を保護することができない場合、消費者は満足しない。更に、亀裂が入ったり、砕けたりした化粧品は、製品の性能に悪影響を与える場合がある。例えば、砕けた製品は、アプリケータ(例えば、ブラシ又はパッド)上に不均一に載る場合がある。したがって、これは、使用者の皮膚上への製品の望ましくなく魅力的でない分散につながる可能性がある。コンパクト内の製品に到達する破壊的エネルギーを減衰させるためにいくつかの努力がなされてきたが、依然として改善が必要である。以下は、前述の懸念に対処するためになされた努力の例である。米国特許出願公開第2021/0289914号、同第2021/0289915号、同第2019/037998号、同第2008/0011320号、中国特許第213464117(U)号、同第213045846(U)号、同第211833263(U)号、台湾特許第201944934号、同第1688351号、日本出願公開第2012125497号、日本特許第5722022号、日本出願公開第2010246890号、同第2009148618号、日本特許第4950240号、日本出願公開第2004298257号、日本特許第4323196号、日本出願公開第2002223843号、日本特許第4683738号、特開平09299138号。これらのいずれも、本明細書に開示されるように、コンパクトの内容物を保護するショック吸収インサートと組み合わせた製品パレットを開示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、本明細書に説明されたタイプのコンパクト容器に使用するためのショック吸収インサートと組み合わせた製品パレットを提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、種々の衝撃及び振動によって引き起こされるコンパクトの内容物への損傷を低減又は排除することによってコンパクトの内容物を保護するショック吸収インサートと組み合わせた製品パレットを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、1つ以上の圧縮粉末製品のための改善された化粧用コンパクトを提供することであり、この改善は、圧縮粉末製品に損傷を与えることなくコンパクトが耐えることができる応力の程度において実現される。
【0008】
本発明の別の目的は、コンパクトの内容物への損傷を低減又は排除するために既存のコンパクトケースに容易に適合することができるショック吸収インサートと組み合わせた製品パレットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ショック吸収インサートと組み合わせた製品パレットを備える。パレットは、1つ以上の製品リザーバ又はウェルを備える。ショック吸収インサートは、衝撃又は振動のエネルギーを吸収して消散させることができる可撓性部材である。本発明はまた、ベースと、ベース内に配設されたショック吸収インサートと、ショック吸収インサートの上部に載置された製品パレットと、ベースの内容物を保護するためにベースをふさぐカバーとを備えるコンパクトケースである。ショック吸収インサートの別個の特徴は、側面衝撃及び底面衝撃に対処する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、従来のコンパクトのベース及びカバーを示す。
【
図2】
図2は、コンパクトのベースの2つの実施形態を示す。
【
図3】
図3は、コンパクトのベースの2つの実施形態を示す。
【
図4】
図4は、4つの製品ウェルを有する製品パレットを示す。パレットは、視覚化を容易にするためだけに透明として示されている。
【
図5】
図5は、湾曲した脚部を有するショック吸収インサートを示す。
【
図6】
図6は、コンパクトのベース内に配設された湾曲した脚部を有する膝吸収インサートを示す。
【
図7】
図7は、直線状脚部を有するショック吸収インサートを示す。
【
図8】
図8は、コンパクトのベース内に配設された直線状脚部を有する膝吸収インサートを示す。
【
図9】
図9は、正弦波状脚部を有するショック吸収インサートを示す。
【
図10】
図10は、コンパクトのベース内に配設された正弦波状脚部を有する膝吸収インサートを示す。
【
図11】
図11は、丸いコンパクトに適したショック吸収インサートを示す。
【
図12】
図12は、適切なショック吸収インサート又は長方形コンパクトを示す。
【
図13】
図13は、底部衝撃を緩和するように設計されたショック吸収インサートを示す。
【
図14】
図14は、製品プラットフォームとショック吸収インサートとの位置関係を示す。
【
図15】
図15は、コンパクトのベース内に配設された製品パレットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書全体を通して、「備える(comprise)、(comprises)」、「備えている(comprising)」などの用語は、対象の集合が具体的に列挙された対象に限定されないことを一貫して意味するものとする。
【0012】
本発明によるショック吸収インサートと組み合わせた製品パレットは、1つ以上の化粧品のためのコンパクトなどの容器内で使用されることが意図されている。以下の説明において、本発明の原理は、化粧用コンパクト容器において具体化される。しかしながら、本発明が化粧用コンパクトに限定されず、本発明の原理が他のタイプの容器において具現化され得ることが容易に明らかになるであろう。
【0013】
最も一般的なコンパクトは、コンパクトの高さよりも大きい横寸法(すなわち、幅及び深さ、又は直径)を有する。このタイプの化粧用コンパクトは、比較的平坦かつ平面的であり、本発明に関して説明するのが容易である。産業上の定義はないが、コンパクトの概念と一致して、多くの化粧用コンパクトが約30mm~約305mmの最大横寸法を有することが観察され得る。好ましくは、最大横寸法は、305mm未満、より好ましくは150mm未満、更により好ましくは100mm未満である。例えば、長方形のコンパクトでは、ベースの最大横寸法が、ベースのより長い辺を指す。円形のコンパクトでは、ベースの最大横寸法は、ベースの直径を指す。楕円形のコンパクトでは、ベースの最大横寸法は、ベースの長軸を指す。
【0014】
本発明の主な特徴は、ショック吸収インサートと組み合わせた製品パレットである。以下、化粧用コンパクトケース(10)におけるこの組み合わせの使用について説明する。そのようなケースは、典型的には、ベース(1)と、製品を保持することができる1つ以上のウェルを有して構成された製品パレット(2)と、ショック吸収インサート(3)と、カバー(4)とを備える。
【0015】
ベース
図1~
図3に示す実施形態を参照すると、コンパクト(10)のベース(1)は、側壁(1b)によって境界付けられた閉鎖底部(1a)を備える。内部空間(1c)は、コンパクトの閉鎖底部及び内面によって画定されている。内面は、側壁(1b、
図6参照)の内面(1d)、又はいくつかの二次側壁(1b’、
図3参照)の内面(1d’)であってもよい。以下の説明では、単純にするために側壁(1b)の内面(1d)に言及するが、他の内面でも同じくうまくいくであろう。内部空間の一般的な形状の例としては、円形、楕円形、正方形又は長方形が挙げられるが、このリストは網羅的ではない。内部空間は、製品パレット(2)及びショック吸収インサート(3)を収容するように設計されている。
【0016】
カバー
カバー(4)は、ベース(1)の内部空間(1c)の内容物を保護する。カバーは、ベース(1)に対して開位置及び閉位置をとることができる。閉位置では、カバーはベースの上部に、又はおそらくベースの上部のすぐ内側に位置し、ベースの内容物には通常、アクセスできない。この位置において、カバーはベースの内容物を保護し、化粧品の乾燥及び汚染の発生を減少させる。開構成では、ベース内に収容された化粧品は、通常、アクセス可能である。
【0017】
カバーは、締まり嵌め若しくはスナップ嵌め又はねじ係合によって、あるいは任意の他の既知の手段によってベースに取り外し可能に固定されてもよい。このような場合、コンパクト(10)は、カバーをベースから取り外すことによって開かれる。あるいは、カバーは、枢動係合でベースに固定されてもよく、それによってカバーが開位置と閉位置との間でベースに対して移動可能である。例えば、ベースからカバーへの取り付けは、当該技術分野において既知の任意の手段によって、ベース(1)とカバー(4)とを協働的に接合するヒンジ(4a)を備えてもよい。ベースに対するカバーの運動範囲は、0°(閉位置)から少なくとも約90°(開位置)であってもよい。このヒンジ式カバーが不注意に開くのを防止するために、カバーをベース上の閉位置に保持するための手段が設けられ得る。当技術分野で知られている例には、ベース及びカバーに関連付けられる協働ラッチ機構又は磁気要素が含まれる。ベース及びカバーは、通常、任意の適切な手段によって1つ以上のプラスチックでできているが、金属又は美的効果のために選択された材料の組み合わせであってもよい。このタイプのコンパクトは、圧縮粉末及びクリームなどの粘性製品を貯蔵するために適している。
【0018】
製品パレット
ここで説明される製品パレット(2)は、コンパクトでよく見られる1つ以上のパン又は一般にプラットフォームと呼ばれるものに取って代わる。
図4は、本発明による、製品パレットの一実施形態を示す。製品パレットは、ベース(1)の内部空間(1c)内に配設されるようなサイズを有する。製品パレットは、上面(2a)と、底面(2b)と、1つ以上の製品ウェル(2c)とを備える。製品パレットは外周(2d)を有する。好ましくは、製品パレットの外周の全体形状は、ベースの内部空間の全体形状に一致する。好ましくは、製品パレットの全体サイズは、内部空間のサイズよりもわずかに小さく、それによって製品パレットはベース(1)の内部空間(1c)内で自由に横方向に動くことができる。これは、コンパクトのベースに固定的に取り付けられたパン又は他の区画内に製品が配設される従来のコンパクトとは異なる。好ましい実施形態では、製品パレットの外周(2d)とベースの側壁(1b)の内面(1d)との間のクリアランスが、約0.1mm~10mmである。ベースは、製品パレットがベース内に一旦配設されると思いがけず落下し得ないように、製品パレットの上にかかる機構を備えてもよい。例えば、リップ又はエッジ(1e、
図2参照)は、製品パレット(2)の上にわずかにかかり得る。製品パレットをベース内に保持するためにどんな手段を使用しようとも、製品パレットがベースの内部空間内で自由に横方向に動くことができることが重要である。
【0019】
製品ウェル(2c)は、製品パレット(2)の底面(2b)から下方に延在し、消費者に提供される製品(P)を受容することができる。典型的には、異なるウェルは、異なる製品、又は同じ製品の異なる色合いなどの同じ製品の変形を収容する。
図15は、3つの充填されたウェル(各々が異なる製品を有する)及び1つの空きウェルを有する製品パレットを示す。ウェルの数は、製品パレットのサイズによって、及びショック吸収インサート(3)を収める必要性によって制限される。図では、製品ウェルは円形として示されているが、任意の断面形状を適宜使用することができる。典型的には、製品パレット(2)は、射出成形又は熱成形などの任意の適切な製造技術によってプラスチックから作製される。
【0020】
ショック吸収インサート
ショック吸収インサート(3)のいくつかの実施形態が
図5~
図13に示されている。ショック吸収インサートは、製品パレットがショック吸収インサートの上部に載置され、ショック吸収インサートに接続されるように、製品パレット(2)の下方でベース(1)の内部空間(1c)内に配設されるようなサイズを有する。ショック吸収インサートは、材料の固有の特性によって、若しくはインサートの特定の幾何学的形状によって、又はその両方によって、弾性挙動を呈することができる。ショック吸収インサートは、1つ以上の突出部が延在する1つ以上のハブ(3a)から構成される。
【0021】
ハブ
本発明によるショック吸収インサート(3)は、1つ以上のハブ(3a)から構成される。ショック吸収インサート(3)が2つ以上のハブを有する場合(
図12参照)、隣接するハブは、可撓性コネクタ(3h)によって接合されてもよい。一般に、1つ以上の突出部が各ハブから延在する。以下では、2つのタイプの突出部、すなわち、側面衝撃から保護する突出部と、底面衝撃から保護する突出部とを説明する。
【0022】
第1のタイプの突出部(側面衝撃)
図5及び
図6を参照すると、第1のタイプの突出部では、1つ以上の可撓性脚部(3c)が、ショック吸収インサート(3)の1つ以上のハブ(3a)から延在する。各脚部は、近位端(3d)及び遠位端(3e)を有する。近位端はハブに接続され、遠位端はベース(1)の側壁の内面(1d)に接近する。脚部は、可撓性圧縮部材として作用し、この可撓性圧縮部材の目的は、衝撃、特に側方衝撃の力を吸収するために屈曲又は座屈し、その後、元の形状に戻ることである。各ハブから延在する脚部の数は、吸収効果を最大化するように選択されてもよいが、典型的には、2~10本の脚部がある。好ましくは、脚部はハブの周りにほぼ等角度間隔で離間している。例えば、
図5、
図7、
図9及び
図11において、ショック吸収インサートは、1つの中央ハブ(3a)と、約90°離間した4本の脚部(3c)とを備える。あるいは、例えば、丸い内部空間を有するベースにおいては、有用なショック吸収インサート(3)は、約120°間隔で離間した3本の脚部を有し得る。
【0023】
脚部(3c)の全体的な形状を論じる際には、脚部の長さに沿った脚部の形状、及び脚部の断面形状について述べる。各脚部の断面形状に関しては、図は、一定の幅及び一定の高さを有する長方形断面を示す。しかし、この特徴は絶対的に必要というわけではなく、他の断面形状も有用である。各脚部の長さに沿った各脚部の形状に関して、最も単純な実施形態は、直線状脚部である(
図7~
図8参照)。しかしながら、無制限の数の異なる形状の脚部が、衝撃エネルギーを吸収するのに効果的であり得ることも考えられる。好ましくは、脚部は、その長さに沿って曲線状であり、曲線状脚部は、直線状脚部よりも容易に屈曲及び/又は圧縮し、より多くのショックを吸収することが期待される。また、各脚部は、特に内部空間の幾何学的形状が規則的でない場合、同一でなくてもよい。
【0024】
特に有用なのは、その形状が長さに沿って正弦曲線である可撓性脚部である。例えば、
図9に示す各脚部は、4つの完全なサイクルを有する正弦波であり、
図5に示す各脚部は、正弦波の1/2サイクルである。実際には、正弦波状脚部におけるサイクル数は、約2分の1から約20まで変化し得る。正弦波の振幅も考慮されるべきである。一般に、振幅が大きいほど、脚部はより容易に圧縮される。本発明者らはまた、脚部内の振幅が一定でなくてもよいことを企図する。任意の特定の用途に対して、各脚部における所望のサイクル数及び各サイクルの振幅は、試行錯誤によって決定され得る。正弦波状の可撓性脚部に類似しているのは、鋸歯状の可撓性脚部であり、これも有用である。
【0025】
各脚部(3c)の遠位端(3e)には、足部(3f)が位置する。好ましくは、各脚部及び足部は、約90°の角度で交わる。各足部は、ベース(1)の側壁(1b、1b’)の内面(1d、1d’)に直接隣接して位置する長さを有する。静止位置では、足部は、側壁の内面の形状に適合するように、直線状であっても(
図11にあるように)湾曲していてもよい。いくつかの実施形態では、ショック吸収インサート(3)の各足部は、脚部(3c)にいくらかの予荷重又は圧縮が存在するように、側壁の内面との一定の接触を維持する。予荷重の量は、小さく保たれるべきであり、それによって脚部が衝撃時に最大量のエネルギーを吸収できる。あるいは、好ましい実施形態では、ショック吸収インサート(3)は、脚部に予荷重がないように、側壁の内面によって画定される内部空間よりも非常にわずかに小さい。いずれの場合も、衝撃事象中に、ベースの圧縮は、側壁の内面とショック吸収インサートの足部との間の接触を強化する。この接触は、衝撃エネルギーの大部分をショック吸収インサートの足部に伝達するのに十分である。
【0026】
任意選択的に、脚部と足部との間の接触点に1つ以上のストラット(3g)が設けられてもよい(
図5参照)。このストラットは、ショック吸収インサート(3)が衝撃中に回転して定位置から外れる傾向に対抗することによって、ベース(1)の側壁(1b)の内面(1d)に対する足部の向きを維持するのを助ける。
【0027】
脚部(3c)及び足部(3f)の断面形状は、典型的には均一であるが、変化してもよい。材料及び密度に関して、脚部及び足部の断面は、均一に中実であってもよく、射出成形又は熱成形等の任意の好適な製造技術によってプラスチックから作製されてもよい。あるいは、(付加製造のような)より高度な製造方法が使用される場合、脚部及び足部は、エネルギーを吸収し、製品パレット(2)からエネルギーを消散させように設計された内部構造を有してもよい。
【0028】
側壁(1b)の内面(1d)の変形を引き起こす衝撃からのショック波は、最初に、衝撃部位に最も近い足部(3f)に伝達される。衝撃のエネルギーは、関連付けられた脚部(3c)を介してショック吸収インサート(3)の残りの部分に伝達される。可撓性脚部は、折り畳まれ、伸張する。このプロセスでは、衝撃エネルギーのかなりの部分が吸収され、ウェル(2c)内の製品に到達できる前に消散される。
【0029】
突出部-第2のタイプ
図13を参照すると、第2のタイプの突出部では、1つ以上のアーム(3i)が、ショック吸収インサート(3)の1つ以上のハブ(3a)から延在する。各アームは、ハブに取り付けられた近位端と、ハブから離れた遠位端とを有する。アームは、剛性又は可撓性であってもよいが、脚部(3c)とは異なり、アームの目的は、圧縮部材として作用することではない。むしろ、アームのうちのいくつか又は各々は、1つ以上の圧縮ばね(3j)を収める。ショック吸収インサートがベース(1)の内部空間(1c)内に配設されるときに、各圧縮ばねの位置がベースの閉鎖底部(1a)に対して固定されるように、1つ以上の圧縮ばねの各々が1つのアームに関連付けられている。圧縮ばねは、軸方向に加えられる圧縮力に抵抗するように設計された開放コイル螺旋ばねである。完全に圧縮されたときに最小の高さをとる円錐形圧縮ばねが好ましい。
【0030】
上述したように、各圧縮ばねの位置は、ベースの閉鎖底部(1a)に対して、各圧縮ばねの関連付けられたアーム(3i)によって固定される。例えば、圧縮ばねは、ショック吸収インサート(3)のアームの遠位端など、圧縮ばねの関連付けられたアーム(3i)の何らかの部分に物理的に取り付けられてもよい。これは、締まり嵌め、接着剤、アーム及び関連付けられた圧縮ばねを単一構成要素として一体成形すること、又は任意の他の既知の手段によって達成することができる。あるいは、圧縮ばねは、ばね自体が関連付けられたアームから物理的に分離されたままである一方で、ばねの側方運動を制限する継手(3m)内に配設されてもよい。例えば、
図13では、各アーム(3i)の遠位端は、リング(3m)として形成され、その中に関連付けられた圧縮ばねが配設されてもよい。
【0031】
圧縮ばね(3j)は、垂直に配向されており、それによって各ばねの底端部(3k)がベース(1)の閉鎖底部(1a)上に載置(又はそれによって支持される)。同時に、各ばねの上端(3l)は、製品パレット(2)の底面(2b)に軽く接触するか、ほぼ接触する。各ハブから延在するアームの数は、ばねの吸収効果を最大にするように選択され得る。ベース(1)の閉鎖底部(1a)の変形を引き起こす衝撃からのショック波は、ショック吸収インサート(3)の圧縮ばね(3j)によって緩和される。
【0032】
ショック吸収インサート(3)は、第1のタイプの突出部(脚部及び足部)若しくは第2のタイプの突出部(アーム及びばね)又は(
図13のような)両方を有してもよい。第1のタイプの突出部は、コンパクト(10)の側壁(1b)への衝撃の影響を緩和する際により効果的である。第2のタイプの突出部は、ベース(1)の閉鎖底部(1a)への衝撃の影響を緩和する際により効果的である。
【0033】
突出部のタイプにかかわらず、ショック吸収インサート(3)のハブ(3a)が製品パレット(2)への物理的接続を維持することが重要である。物理的接続は、衝撃エネルギーの全て又は大部分が製品パレットに伝達されないことを確実にする。同時に、ショック吸収インサートのハブと製品パレットとの間の接続は、可撓性脚部(3c)が衝撃の力を吸収し、その後それらの元の形状に戻ることを妨げない。ショック吸収インサートのハブと製品パレットとの間の接続は、締まり嵌め、超音波溶接、接着剤、熱かしめ、化学結合などの様々な既知の手段によって達成され得る。締まり嵌めの非限定的な一例がここで説明され、図面に示されている。製品パレット(2)の底面(2b)には、製品パレットの下に下向きに延在する1つ以上の延在部(2e)が設けられてもよい。例えば、
図4において、延在部は、製品パレットの下で下方に延在する挿入ピン(2e)として示されている。また、1つ以上のハブは、製品パレットの1つのピンを受容するためのチャネル(3b)を有する。各ピンのチャネルへの嵌合は、製品パレットのピンとショック吸収インサートのハブとの間の相対移動がほとんど又は全くないことを確実にするために十分にぴったりとした精密嵌合でなければならない。これは、衝撃エネルギーの全て又は大部分が製品パレットに伝達されないことが確実にする。各ピンをチャネル内に配置することにより、製品パレットをショック吸収インサート上に正確に位置決めすることも確実にする。いくつかの実施形態では、ピンは、製品ウェル(2c)の深さ以下の深さに達する。他の実施形態では、ピンはより長くてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、製品パレット(2)の製品ウェル(2c)は、ショック吸収インサート(3)の脚部(3c)及び/又はアーム(3i)の間に配置される(
図14参照)。他の実施形態では、製品ウェルを含む製品パレット全体が、ショック吸収インサートの上方に位置する。
【0034】
上述したように、製品パレット(2)及びショック吸収インサート(3)は、コンパクトのベースに固定して取り付けられていない。これは、製品パレットとショック吸収インサートとの組み合わせが、既存のコンパクトのベースを修正する必要なく、既存のコンパクトで使用するために設計され得ることを意味する。適切なサイズを有する製品パレットとショック吸収インサートとの組み合わせは、既存のベースに簡単に落とし込むことができる。更に、製品パレット及びショック吸収インサートの比較的単純な設計は、これらの部品が従来の大量射出成形によって比較的低コストで大量生産され得ることを意味する。
【国際調査報告】