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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-13
(54)【発明の名称】ドリルの貫通の検出
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20250306BHJP
【FI】
A61B17/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024551644
(86)(22)【出願日】2023-02-28
(85)【翻訳文提出日】2024-08-29
(86)【国際出願番号】 EP2023055040
(87)【国際公開番号】W WO2023165990
(87)【国際公開日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】102022104782.2
(32)【優先日】2022-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521389815
【氏名又は名称】エースクラップ・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Aesculap AG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】リーデル,セリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】カーラー,トーマス-エルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ジラー,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】アイヒャー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリス,ロビン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL04
4C160LL09
4C160LL11
4C160NN01
(57)【要約】
本開示は、手術用ドリル(2)を介して骨に穿孔する際にドリルの貫通及び/又は貫通傾向を検出するように構成された検出装置であって、圧電加速度信号を生成するための少なくとも1つの、特に単軸の、圧電加速度センサ(22)と、貫通及び/又は貫通傾向に特徴的な信号又は信号変動を識別するように設けられた評価ユニットと、を備える検出装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出装置が形成された手術用ドリル(2)であって、
前記手術用ドリル(2)を介して骨に穿孔する際のドリルの貫通及び/又は貫通傾向を検出するように構成され、圧電加速度信号を生成するための少なくとも1つの、特に単軸の、圧電加速度センサ(22)と、
前記貫通及び/又は貫通傾向に特徴的な信号又は信号変動を識別するように設けられた評価ユニットと、
を備える、手術用ドリル(2)。
【請求項2】
前記圧電加速度センサ(22)は、アナログ信号として前記評価ユニットに送信される構造体伝搬音信号を検出する、請求項1に記載の手術用ドリル(2)。
【請求項3】
前記評価ユニットは、少なくとも1つの増幅器、特に10以上の利得を有する増幅器、及び/又は、フィルタ、特にn次のバターワースフィルタ又はバンドパスフィルタを備える、請求項1又は2に記載の手術用ドリル(2)。
【請求項4】
前記評価ユニットは、少なくとも20000Hzのサンプリングレート、特に約25600Hzのサンプリングレートでアナログ信号をサンプリングするアナログデジタルコンバータを備える、請求項3に記載の手術用ドリル(2)。
【請求項5】
前記評価ユニットは、好ましくはマイクロコントローラを備え、フーリエ変換、特に短時間フーリエ変換を介して、信号をスペクトログラム(40)、好ましくはメルスペクトログラムに変換する、請求項3又は4に記載の手術用ドリル(2)。
【請求項6】
前記評価ユニットは、好ましくは「バウンディングボックスの原理」を介して、AI学習済ネットワークで前記スペクトログラム(40)を評価し、前記スペクトログラム(40)が点灯したときに前記ドリルの貫通又は前記ドリルの貫通傾向を識別する、請求項5に記載の手術用ドリル(2)。
【請求項7】
前記AI学習済ネットワークは、互換性のある検出装置からデータを供給されるクラウドネットワークである、請求項6に記載の手術用ドリル(2)。
【請求項8】
前記圧電加速度センサ(22)は、10000Hzまでの測定周波数範囲において最高の感度を有する、請求項1~7のいずれか1つに記載の手術用ドリル(2)。
【請求項9】
前記圧電加速度センサ(22)は、前記手術用ドリル(2)の駆動部(16)に直接金属接続によって接続されている、請求項1~8のいずれか1つに記載の手術用ドリル(2)。
【請求項10】
前記評価ユニットの増幅器及び/又はフィルタは、前記回路基板(24)上に形成され、前記回路基板(24)は、前記圧電加速度センサ(22)の近傍において、前記手術用ドリル(2)内に/又は前記手術用ドリル(2)上に、好ましくは気密封止されて形成されている、請求項1~9のいずれか1つに記載の手術用ドリル(2)。
【請求項11】
前記評価ユニットは、前記手術用ドリルの外部に設けられたベースユニット(6)内に完全に又は部分的に形成されている、請求項1~10のいずれか1つに記載の手術用ドリル(2)。
【請求項12】
手術用ドリル(2)を介して骨に穿孔する際のドリルの貫通及び/又は貫通傾向を検出するように構成された検出装置であって、
圧電加速度信号を発生するための少なくとも1つの、特に単軸の、圧電加速度センサ(22)と、
前記貫通及び/又は貫通傾向に特徴的な信号又は信号変動を識別するように設けられた評価ユニットと、
を備える、検出装置。
【請求項13】
手術用ドリル(2)の予め決められた動作状態を検出する方法であって、
前記手術用ドリル(2)上又は前記手術用ドリル(2)内に配置される、特に単軸の、圧電加速度センサ(22)を用いて圧電加速度信号を生成するステップと、
前記圧電加速度信号を評価ユニットに送信するステップと、
前記予め決められ動作状態に特徴的な信号又は信号変動を識別するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記圧電加速度信号は、前記評価ユニットにおいて評価され、
前記圧電加速度信号をフィルタ、好ましくはn次バターワースフィルタ又はバンドパスフィルタでフィルタリングするステップと、
前記圧電加速度信号を増幅器、好ましくは10以上の利得を有する増幅器で増幅するステップと、
アナログデジタル変換器で前記圧電加速度信号をサンプリングするステップと、
(デジタル)圧電加速度信号を、好ましくはフーリエ変換、特に好ましくは短時間フーリエ変換により、スペクトログラム(40)に変換するステップと、
AI学習済ネットワークで、「バウンディングボックスの原理」によりスペクトログラム(40)を評価するステップと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記予め決められた動作状態を検出するために骨用ドリル(2)上又は骨用ドリル(2)内に配置される、特に単軸の、圧電加速度センサ(22)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、骨に穿孔する際の動作状況として、貫通及び/又は貫通傾向を検出する、手術用ドリルのための動作状況検出装置、及び動作状態/動作状況、特に、手術用ドリルの貫通又は貫通傾向(すなわち、ドリルから背を向けた骨の側におけるドリルの貫通の切迫性)を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
手術用ドリルは、日常の外科手術において重要な役割を担っている。手術用ドリルは、例えば、整形外科において、負傷又は骨折した骨に金属プレートを固定するためのねじ穴を予め開けるために使用される。更に、脳神経外科では、安全トレパン及びクラニオトームによるトレパネーション(穿頭術)及びクラニオトミー(開頭術)にも使用される。よく行われる手術(OP)は、脊髄の弛緩(除圧)である。骨増殖は、ドリルの助けを借りて除去され、神経への圧迫が軽減される。更に、健康な骨の腫瘍組織を切除するために、神経脊髄外科や口腔顎顔面外科の腫瘍手術でも手術用ドリルが使用されている。更に重要な用途として、聴覚管の隣に人工内耳を挿入するためのチャンネル及びベアリングの穿孔がある。
【0003】
このような手術は、ドリルで削られる骨の裏側には傷つきやすい健康な組織、場合によっては神経経路や血管が通っているため、患者にとってリスクが高い。このような損傷は、患者に大きなダメージを与える可能性がある。ドリルの必要/正確な刺入深度は、計算できず、推定するしかない。研究によると、皮質へのドリルは、平均して6.33mm深すぎる。脊髄、特に脳への損傷は不可逆的であるため、OPの安全性、すなわち患者の安全性は、外科医の経験に決定的に依存する。
【発明の概要】
【0004】
従って、本開示の目的は、骨に穿孔する際に深すぎる穿孔を防止し、骨の後方に位置する組織をドリルによる貫通又は損傷から保護して、患者の安全性を高める装置を提供することにある。
【0005】
この目的は、請求項1~11のいずれか1つに記載の手術用ドリルによって解決される。また、この目的は、請求項12に記載の手術状況検出装置によっても解決される。
【0006】
更に、本開示の目的は、手術用ドリルの予め決められた動作状態を確実に検出する方法を提供することにある。
【0007】
この目的は、請求項13又は請求項14に記載の方法、及び請求項15によって解決される。
【0008】
具体的には、骨への深すぎる穿孔を防止するという目的は、手術用ドリルを介した骨への穿孔中にドリルの貫通及び/又は貫通傾向を検出するように構成された検出装置であって、圧電加速度信号を発生するための少なくとも1つの、特に単軸の、圧電加速度センサと、圧電加速度センサから受信する信号における貫通及び/又は貫通傾向に特徴的な信号又は信号変動を識別するように構成された評価ユニットと、を備える検出装置によって解決される。
【0009】
換言すれば、手術用ドリル内又は手術用ドリルには、好ましくは力嵌め方式で固定されるように、検出装置が設けられている。検出装置は、圧電加速度センサを備えている。圧電加速度センサは、慣性振動マスに一側が接続された圧電振動子(例えば石英)又はセラミックを備えている。ドリルの(ボディ)振動が圧電加速度センサに作用すると、マスが圧電振動子を押圧する。圧電振動子は、振動マスによって引き起こされる力に反応し、圧電振動子内で電荷が移動する。このようにして、振動が圧電加速度信号に変換される。このようにして生成された圧電加速度信号は、評価ユニットによって評価される。評価ユニットは、特性信号及び/又は特性信号の変動に基づいて、貫通又は貫通傾向を検出する。
【0010】
特性信号は、例えば、最大振幅、瞬時振幅、実効値、振動速度、振動経路等である。
【0011】
更に言い換えると、検出装置は、評価ユニットを備え、ドリルの材料遷移、又は、ドリル、特にドリル先端の材料遷移傾向を検出するように構成される。
【0012】
従って、本開示の核心は、検出装置の評価ユニットにより、手術用ドリルの振動に起因して検出装置の圧電加速度センサにより生成される貫通及び/又は貫通傾向に特徴的な信号又は信号変動を識別することにある。
【0013】
このような検出装置により、骨への深すぎる穿孔、特に貫通及び/又は貫通傾向を検出することが可能となり、骨の後方に位置する組織の損傷を防止することができる。これにより、手術医が安心すると同時に、エラー及び/又は誤った評価が抑えられるため、患者の安全性が向上する。更に、穿孔深さに関するX線画像を分析する必要がないため、手術をより効率的に行うことができる。
【0014】
第1態様において、検出装置は、評価ユニットが貫通及び/又は貫通傾向に特徴的な信号又は信号変動を識別したときに、穿孔停止信号を出力するように構成されてもよい。
【0015】
換言すれば、検出装置は、手術用ドリルの駆動部への電力供給及び/又は(駆動)空気供給を遮断してもよい。代替的又は付加的に、手術用ドリルの駆動シャフトがブレーキによって固定されてもよい。
【0016】
更に、代替的又は付加的に、検出装置は、評価ユニットが貫通及び/又は貫通傾向に特徴的な信号又は信号変動を識別したときに、アラーム信号を出力するように構成されてもよい。アラーム信号は、例えばディスプレイ上の表示、警告灯の点灯などの形態の光学信号、例えば警告音の形態の音響信号、及び/又は、例えば振動の形態の触覚信号であってもよい。
【0017】
更なる態様において、圧電加速度センサは、アナログ(加速度)信号として評価ユニットに送信される構造体伝搬音信号を検出してもよい。
【0018】
言い換えれば、圧電加速度センサは、固体ボディ内を有限の速度で伝播する振動や波を検出し、それらをアナログ信号に変換してもよい。固体ボディは、特に、ドリル又はドリルの構成部品及び/又はドリルビットである。アナログ信号は、その後、好ましくはケーブルなどによって評価ユニットに送信される。
【0019】
構造体伝搬音の検出は、環境影響、特に手術室内の雑音、例えば機械のビープ音、声、動作に起因する雑音、過大な雑音などの形態による検出結果への影響を低減することができる。このようにして、手術室の特に慌ただしい状況において手術医を支援することができ、深すぎる穿孔を効果的に抑えることができ、医師は、医師がいる環境とは無関係に、検出結果を信頼することができる。
【0020】
更なる態様において、検出装置の評価ユニットは、少なくとも1つの増幅器、特に10より大きい/等しい利得を有する増幅器、及び/又は、フィルタ、特にn次バターワースフィルタ又はバンドパスフィルタを備えてもよい。
【0021】
言い換えれば、圧電加速度センサによって出力されるアナログ信号は、評価ユニットに設けられた増幅器によって増幅され、及び/又は、評価ユニットに設けられたフィルタによってフィルタリングされてもよい。すなわち、増幅器は、アナログ信号を比例電圧に変換して増幅してもよい。その後のハイパスフィルタリング又はローパスフィルタリングにより、干渉信号成分が抑制/フィルタリングされてもよい。
【0022】
更なる態様において、評価ユニットは、少なくとも20000Hzのサンプリングレート、特に約25600Hzのサンプリングレートでアナログ信号をサンプリングするアナログデジタル変換器を備えてもよい。
【0023】
言い換えれば、アナログ信号の「サンプリング」を行ってもよい。更に言い換えれば、アナログ信号の波形の振幅を、異なる(定義された)時点で読み出してもよい。これらの離散的な振幅値は、配列又はベクトルに格納される。ナイキストシャノンの定理によれば、アナログ信号のサンプリングレート/サンプリング周波数は、デジタル化される信号の最高周波数の2倍以上でなければならない。そうでなければ、エイリアシング効果が発生する可能性がある。信号の評価は、デジタル化によって改善することができる。
【0024】
更に言い換えれば、アナログデジタル変換器と圧電加速度センサとは、特にサンプリングレートの点で互いに一致させてもよい。
【0025】
更なる態様において、好ましくはマイクロコントローラを備えた評価ユニットは、フーリエ変換、特に短時間フーリエ変換を介して、信号をスペクトログラムに、好ましくはメルスペクトログラムに変換してもよい。
【0026】
言い換えれば、好ましくはこの目的のために設けられたマイクロコントローラを備えた評価ユニットは、好ましくは連続時間信号の形で存在する信号を、その離散周波数成分に分解してもよい。ここで、周波数特性が時間と共に変化する信号も、短時間フーリエ変換で処理してもよい。まず、ウィンドウとそのパラメータであるウィンドウサイズ及びステップサイズとが定義される。このウィンドウは、信号上でシフトされる。各ウィンドウについてフーリエ変換が計算され、スペクトルが形成される。スペクトルをつなげてスペクトログラムが生成される。スペクトログラムは、予め決められた時間間隔における一連のスペクトルの重ね合わせである。従って、スペクトログラムから、時間経過に伴う周波数の分布とその強度とを読み取ることができる。このような信号の変換により、信号を光学的に評価可能にすることができる。
【0027】
更なる態様において、評価ユニットは、好ましくは「バウンディングボックスの原理」を介して、AI学習済ネットワークでスペクトログラムを評価し、スペクトログラムが点灯したときにドリルの貫通又はドリルの貫通傾向を識別することができる。
【0028】
言い換えれば、評価ユニットは、機械学習を介して学習されたネットワークを用いてスペクトログラムを評価してもよい。ここで、好ましくは、スペクトログラムは、光学的に評価される。特に、「バウンディングボックスの原理」が用いられる。「バウンディングボックスの原理」においては、少なくとも1つの矩形、好ましくは、それぞれがラベルを備える複数の矩形が、スペクトログラム上に配置される。各矩形は、左上隅の座標と右下隅の座標によって特徴付けられる。ラベルは、3つのクラスに分けられる。ここでは、第1のクラスは「待機」、第2のクラスは「穿孔」、第3のクラスは「貫通」である。背景には、更にクラスゼロを使用してもよい。クラス「待機」においては、基本周波数のみを見ることができる。クラス「穿孔」において、周波数分割を見ることができる。クラス「貫通」においては、スペクトログラムは、再びほぼ待機状態に戻り、ドリルがまだ骨から完全に離れていないため、高調波がまだ含まれている。「貫通」のラベルが貼られた矩形は、ドリルの実際の貫通の前に始まる。貫通及び/又は貫通傾向の指標として、特に基本周波数に対する少なくとも1つの高調波における点灯が使用される。スペクトログラムにおける点灯は、信号における高振幅の発生が増加することによって引き起こされる。ネットワークは、学習データに基づいて学習させることができる。更に、ネットワークは、継続的に更に学習することができ、その結果、本発明に係る検出装置を備えた手術用ドリルの使用により、識別を改善することができる。
【0029】
「バウンディングボックスの原理」による光学分析は、特にロバストな分析方法である。貫通及び/又は貫通傾向の信頼性の高い識別は、学習データに基づいて学習され、使用中に継続的に学習し続けるネットワークによって達成することができる。
【0030】
スペクトログラムは、多数のフーリエ変換の重ね合わせを表し、貫通中の周波数及び振幅の大きさに関する正確な情報を提供する。これらの特徴は、AIによって学習され、貫通中の周波数スペクトルの広がりの値も含まれる。その結果、基本周波数やその高調波、回転速度の±の値が得られる。ドリルの基本周波数及びそれぞれの回転速度は既知であるため、フーリエ変換の変化はAIによって定義された領域にある限り検出することができる。
【0031】
更なる態様において、AI学習済ネットワークは、互換性のある検出装置からデータを供給されるクラウドネットワークであってもよい。
【0032】
言い換えれば、AIによって学習されたネットワークは、貫通及び/又は貫通傾向の検出/識別のために、複数の互換性のある検出装置によって使用されるネットワークであってもよい。
【0033】
このようにして、スペクトログラムの計算負荷の高い解析が、対応するコンピュータによって集中的に実施され、例えば病院などの現場での投資コストを削減することができる。更に、貫通及び/又は貫通傾向の識別は、複数の互換性のある検出装置からの複数のデータを束ねることによって、かなり改善される。更に、クラウドネットワークは、冗長性が経済的に意味のある方法で実施され得るという利点を提供し、これにより故障安全性が向上する。
【0034】
更なる態様において、圧電加速度センサは、10000Hzまでの測定周波数範囲において最高の感度を有することができる。
【0035】
更に、骨への深すぎる穿孔を抑えるという目的は、上記の一態様に係る検出装置が形成された手術用ドリルによって解決される。
【0036】
換言すれば、手術用ドリルを介して骨への穿孔中にドリルの貫通及び/又は貫通傾向を検出するように構成された検出装置は、圧電加速度信号を生成するための少なくとも1つの、特に単軸の、圧電加速度センサと、手術用ドリルにおける貫通及び/又は貫通傾向に特徴的な信号又は信号変動を識別するために設けられる評価ユニットと、を少なくとも備えている。
【0037】
一態様において、圧電加速度センサは、直接金属接続によって手術用ドリルの駆動部に接続することができる。
【0038】
言い換えれば、圧電加速度センサは、手術用ドリルの駆動部に直接又は少なくとも1つの好ましくは金属ホルダを介して機械的に接続されてもよい。駆動部は、例えば電気モータやタービンであってもよい。ホルダは、金属製であることに加え、手術用ドリルの材料要件を満たしながら、構造体伝播音を可能な限り少ない損失で、減衰することなく伝導する他の材料も考えられる。
【0039】
直接接続することで、圧電加速度センサが既に低い加速度及び/又は加速度の変化を検出できることが保証される。更に、このようにすることで、例えばノイズに起因して手術用ドリルの外部から導入される振動の影響を確実にフィルタリングすることができる。
【0040】
更なる態様において、評価ユニットの増幅器及び/又はフィルタは、圧電加速度センサの直近において、手術用ドリル内に/又は手術用ドリル上に、好ましくは気密封止された回路基板上に形成され得る。
【0041】
換言すれば、構成部品を有する好ましくは密閉シールされたプリント回路基板が、手術用ドリル内/上に形成されてもよい。前記構成部品は、フィルタ及び/又は増幅器を形成してもよい。プリント回路基板は、圧電加速度センサの直近に形成されてもよい。増幅器の利得/出力は、好ましくは少なくとも10であってよい。フィルタは、信号を所望の信号範囲に制限することができ、例えば、ドリルやその回転自体によって引き起こされる干渉信号から独立していてもよい。
【0042】
圧電加速度センサから増幅器及び/又はフィルタへの伝送における損失は、圧電加速度センサと増幅器及び/又はフィルタとの間の近接によって最小化される。このようにして、検出装置の検出結果を向上させることができる。
【0043】
更なる態様において、評価ユニットは、手術用ドリルの外部に設けられたベースユニット(制御ユニット)内に完全に又は部分的に形成されてもよい。
【0044】
換言すれば、フィルタ及び/又は増幅器は、手術用ドリル/手術用ドリルのハンドピース内/上に形成されてもよい。例えば、アナログデジタル変換器及び1以上のマイクロコントローラ等の更なる構成要素は、ベースユニットにおいて手術用ドリルのハンドピースの外部に形成されてもよい。ハンドピースとベースユニットとは、ケーブル及び/又はホースによって互いに接続されてもよい。ベースユニットは、ケーブルを介して、ハンドピース内に形成されている構成部品に電気エネルギを供給してもよい。
【0045】
このようにして、手術用ドリルのハンドピースを特にコンパクトに構成することができ、操作者の取り扱いが容易になる。特に、フィルタ及び/又は増幅器がハンドピース内に/又はハンドピース上に形成されている場合、圧電加速度センサの生の信号が適切な形態(増幅、フィルタ)でベースユニットに送信されることが保証される。ベースユニットにおいて、信号は、アナログデジタル変換器によってサンプリングされた後、マイクロコントローラによって、好ましくは短時間フーリエ変換を介して、スペクトログラムに変換される。これらのスペクトログラムは、その後、好ましくはベースユニットに形成された通信ユニットによって、AI学習済ネットワークに送信される。AI学習済ネットワークは、クラウドベースであってもよい。また、スペクトログラムは、ベースユニット内で、好ましくは、メモリ及びデータ処理機能を備えたマイクロコントローラを更に介して評価されてもよい。このようにして、複数のハンドピースをベースユニットで形成できるように、モジュール設計を実施することもできる。これにより、コストが低減され、治療に適合した異なるハンドピースによって治療の範囲が拡大される。
【0046】
更なる態様において、複数の圧電加速度センサが、手術用ドリルのハンドピースに形成されてもよい。
【0047】
更なる態様において、複数の圧電加速度センサは、手術用ドリルのハンドピース内に互いに間隔を空けて形成されてもよい。
【0048】
更に、手術用ドリルの予め決められた動作状態を確実に検出する方法を提供するという目的は、外科用(骨)ドリルの予め決められた動作状態を検出する方法であって、
骨ドリル上又は骨ドリル内に配置される、特に単軸の、圧電加速度センサを用いて圧電加速度信号を生成するステップと、
加速度信号を評価ユニットに送信するステップと、
予め決められた動作状態に特徴的な信号又は信号変動を識別するステップと、
を含む、方法によって解決される。
【0049】
上述した方法により、手術用ドリルの故障を早期に検出することが可能になる。従って、例えば、手術用ドリルのドリルのベアリングの故障を検出することができる。更に、例えば手術用ドリルにおけるドリルの不適切なクランプによるドリルの非円形走行を検出することができる。故障が検出された場合、手術用ドリルを停止させ、及び/又は音響的又は触覚的なアラーム信号を出力することができる。予め決められた動作状態は、例えば、正常状態と故障状態又は材料遷移であってもよい。
【0050】
一態様において、加速度信号は、評価ユニットにおいて評価され、
加速度信号をフィルタ、好ましくはn次バターワースフィルタ又はバンドパスフィルタでフィルタリングするステップと、
増幅器、好ましくは10以上の利得を有する増幅器で加速度信号を増幅するステップと、
アナログデジタル変換器で加速度信号をサンプリングするステップと、
(デジタル)加速度信号を、好ましくはフーリエ変換、特に好ましくは短時間フーリエ変換によってスペクトログラムに変換するステップと、
AI学習済ネットワークで「バウンディングボックスの原理」を介してスペクトログラムを評価するステップと、
を含む。
【0051】
更に、本開示は、予め決められた動作状態を検出するために骨用ドリル上又は骨用ドリル内に配置される、又は配置される予定の、特に単軸の、圧電加速度センサの使用に関する。
【0052】
ここで、予め決められた動作状態に特徴的なそのような信号又は信号変動の識別は、例えば、信号パターン又は変動パターンを、最も単純な実施形態におけるマッチングのために予め記憶された特定のパターンと比較することによっても実施され得る、ことを再度指摘する。代替的又は追加的に、絶対的又は相対的な信号値/振幅/デューティサイクル/信号持続時間などを特定の動作状態に割り当てることも考えられる。最終的には、画像検出アルゴリズムに匹敵する検出アルゴリズムを提供することが原理的には可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】第1ハンドピースとベースユニットとを備える手術用ドリルの説明図である。
図2】第2ハンドピースの説明図である。
図3】第2ハンドピースの拡大図である。
図4】第1ハンドピース用のスリーブの説明図である。
図5】圧電加速度センサの説明図である。
図6】検出振動のグラフ及びスペクトログラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本開示の実施形態を、関連する図に基づいて以下に説明する。
【0055】
図1は、第1構成例の第1ハンドピース4とベースユニット6とを備える手術用ドリル2を示している。第1ハンドピース4は、ケーブル8によってベースユニット6に接続されている。
【0056】
図2は、第2構成例の第2ハンドピース10を示している。図3は、第2ハンドピース10の拡大図である。以下、図2及び図3に基づいて第2ハンドピースについてより詳細に説明する。第2ハンドピース10は、ケーブル8によってベースユニット6に接続されている。第2ハンドピース10は、ピストルグリップの形態のハンドル部12を備えている。ハンドル部12は、第2ハンドピース10を確実に案内できるように、例えば医師などの施術者が把持できるように提供及び構成されている。操作ノブ14は、ハンドル部12の前側に形成されている。操作ノブ14は、例えば、手術用ドリルの回転方向や回転速度を操作するために使用することができる。ハンドル部12のケーブル8から離れた側の端部には、電気駆動部16が形成されている。換言すれば、電気駆動部16は、第2ハンドピース10のハンドル部12よりも上側に形成されている。電気駆動部16の前側には、ドリル20を受け入れるように構成されたバーチャック18が形成されている。ここで、バーチャック18は、ハンドル部12及び操作ノブ14を越えて突出している。駆動部16とバーチャック18とは、好ましくは、直接又は歯車機構(図示せず)を介して接続される。圧電加速度センサ22は、駆動部16に直接接続されて形成される。換言すれば、圧電加速度センサ22は、駆動部16に直接金属接続されている。更に言い換えれば、圧電加速度センサ22は、駆動部16と直接接触する。あるいは、圧電加速度センサ22が金属接続部材を介して駆動部16に接続されることも考えられる。このようにして、手術用ドリルの構造体伝播音、特に駆動部16の構造体伝播音を圧電加速度センサ22で直接受信することができる。圧電加速度センサ22は、検出された加速度信号をフィルタ及び増幅器に転送する。フィルタ及び増幅器は、気密封止されたプリント回路基板24に形成されている。ここで、圧電加速度センサ22と気密封止されたプリント基板24とは、手術用ドリル2のハンドピース10内に互いに近接して収容されている。圧電加速度センサ22と気密封止されたプリント回路基板24とは、センサケーブル26に接続されている。ここに示す実施形態において、圧電加速度センサ22と気密封止されたプリント回路基板24とは、ハンドピース10のハンドル部12に完全に受け入れられている。
【0057】
図4は、特に第1ハンドピース4についての第1構成例の代替例を示している。具体的には、図4は、保持スリーブ28を示している。この保持スリーブ28は、第1ハンドピース4に取り付けられ、保持スリーブ28の長手方向、特に中心方向にドリル20を受け入れ、任意に案内するように構成されている。保持スリーブ28は、溝付き保持部30と締結部32とを備えている。締結部32は、圧電加速度センサ22(この構成例では図示せず)を受け入れるように構成されている。圧電加速度センサ22は、特に、固定化合物、接着剤、ラッチ機構、又は同様の固定手段を介して保持スリーブ28の締結部32上に固定されてもよい。すなわち、圧電加速度センサ22は、保持スリーブ28上に物質的に接着又は力嵌め方式で固定されてもよい。ここでは、圧電加速度センサ22と保持スリーブ28との直接的な接続に主眼を置いている。すなわち、保持スリーブ28の振動が圧電加速度センサ22に減衰することなくできるだけ直接的に伝達されるように、圧電加速度センサ22は、保持スリーブ28に固定されている。図2及び図3の第2構成例とは対照的に、第1構成例の圧電加速度センサ22は、第1ハンドピース4の外側に構成されている。この構成例において、圧電加速度センサ22と気密封止されたプリント基板24とは、好ましくは、閉塞された識別素子(図示せず)内に構成される。図4に示す構成例は、例えば後付けソリューションとしても考えられる。
【0058】
図5は、圧電加速度センサ22を概略的に示している。圧電加速度センサ22は、耐震マス34と圧電振動子/圧電セラミック36とを備えている。圧電加速度センサ22は、圧電加速度センサ22に作用する機械的振動加速度aを電圧測定信号Uに変換するように構成されている。換言すれば、振動が、圧電加速度センサ22に作用し、耐震マス34を圧電振動子36に押し付ける。圧電振動子36のような圧電素子は、作用する力に対して振動子内の電荷移動qで反応する。このようにして、圧電加速度センサ22に作用する振動加速度が電荷に変換される。この電荷は、作用する力に比例する。耐震マス34と圧電振動子36とは、ローパス動作と線形周波数範囲とを有するバネ-マス系を形成する。
【0059】
手術用ドリル2の検出装置の動作モードを以下に説明する。骨に穿孔する際、ドリル20と骨との相互作用により、手術用ドリル2に振動が発生する。これらの振動は、特に手術用ドリル2の駆動部16で発生する。圧電加速度センサ22は、駆動部16の振動を検出し、センサケーブル26でアナログ電圧信号を、気密封止されたプリント回路基板24上にあるフィルタ及び増幅器に送信する。アナログ電圧信号は、干渉する信号部分をフィルタリングするために、フィルタによってフィルタリングされる。これは、例えば、ハイパスフィルタリング又はローパスフィルタリングで行われる。増幅器において、信号は、好ましくは少なくとも10倍に増幅される。このようにして前処理された信号(図6の38)は、ハンドピース10をベースユニット6に接続するケーブル8を介してベースユニット6に送信される。
【0060】
前処理された信号38の評価を図6に基づいて以下に説明する。
【0061】
気密封止されたプリント基板24のフィルタ及び増幅器によって前処理された信号38は、WAV形式で存在する。信号38は、圧電加速度センサによって検出された加速度を時間t(ここでは秒)にわたってマッピングしたものである。この信号は、ベースユニット6に形成されたアナログデジタル変換器によってベースユニット6内でサンプリングされ、続いてマイクロコントローラによって周波数成分に分解される。周波数成分への分解は、定義された時間ウィンドウにわたって短時間フーリエ変換を実行することによって行われる。スペクトログラム40の形で得られる最終信号は、横軸を時間t(ここでは秒)、縦軸を周波数f(ここではヘルツ)、振幅を輝度として表している。本開示においては、よりよく説明するために、スペクトログラム40を反転して示す。換言すると、実際のスペクトログラムにおいては暗い領域がここでは明るく示され、実際のスペクトログラムにおいては明るい領域がここに示されたスペクトログラム40では暗く示されている。スペクトログラム40は、その後、ベースユニット6に含まれるマイクロコントローラを介して、又はAIを介して学習されたネットワークを介して評価される。当該評価は、「バウンディングボックスの原理」に従って行われる。すなわち、スペクトログラム40は、グラフィカルに評価される。AI学習済ネットワークは、スペクトログラム40上に異なるラベルの付いた矩形を配置する。AI学習済ネットワークは、例えばスペクトログラム40の明るさに基づいて矩形を配置する。使用されるラベルは「待機L」、「穿孔B」、「貫通D」である。この場合、矩形は、重なっていてもよい。
【0062】
貫通及び/又は貫通傾向の検出は、スペクトログラム40の照明Aに基づいてAI学習済ネットワークによって実行される。既に上述したように、照明Aは、本開示では、より良く説明するために色を反転して示されている。また、ハンドピース10の基本周波数GFは、スペクトログラム40において明確に見ることができる。スペクトログラム40における照明Aは、信号における高振幅の発生が増加していることを表す。AI学習済ネットワークは、スペクトログラム40のこのような光学的変化を検出するように学習されている。貫通が検出されると、AI学習済ネットワークは、例えば、モータ停止コマンド又はアラームを出力することができる。アラームは、警告音の形態の音響アラームであってもよいし、閃光等の形態の光学アラームであってもよいし、ハンドピース4,10の振動の形態の触覚アラームであってもよい。
【0063】
要約すると、圧電加速度センサ22は、手術用ドリル2の駆動部16の振動加速度を検出する。これらの振動加速度は、ハンドピース4,10内又はハンドピース4,10上のフィルタ及び増幅器によって前処理され、その後、ベースユニット6内のアナログデジタル変換器によってサンプリングされる。その後、信号は、マイクロコントローラによってスペクトログラム40に変換される。スペクトログラム40は、最終的にAI学習済ネットワークによって分析/評価され、スペクトログラム40の光学的変化に基づいて貫通又は貫通傾向が検出される。
【符号の説明】
【0064】
2 手術用ドリル
4 第1ハンドピース
6 ベースユニット
8 ケーブル
10 第2ハンドピース
12 ハンドル部
14 操作ノブ
16 駆動部
18 バーチャック
20 ドリル
22 圧電加速度センサ
24 プリント基板
26 センサケーブル
28 保持スリーブ
30 保持部
32 締付部
34 耐震マス
36 圧電振動子
38 (前処理済み)信号
40 スペクトログラム
L アイドル
B 学習
D 貫通
A 照明
GF 基準周波数
t 時間
f 周波数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-09-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出装置が形成された手術用ドリルであって、
前記手術用ドリルを介して骨に穿孔する際のドリルのブレークスルー及び/又はブレークスルー傾向を検出するように構成され、圧電加速度信号を生成するための少なくとも1つの圧電加速度センサと
前記ブレークスルー及び/又はブレークスルー傾向に特徴的な信号又は信号変動を識別するように設けられた評価ユニットと、
を備える、手術用ドリル。
【請求項2】
前記圧電加速度センサは、アナログ信号として前記評価ユニットに送信される構造体伝搬音信号を検出する、請求項1に記載の手術用ドリル。
【請求項3】
前記評価ユニットは、少なくとも1つの増幅器、及び/又は、フィルタを備える、請求項1に記載の手術用ドリル。
【請求項4】
前記評価ユニットは、少なくとも20000Hzのサンプリングレートでアナログ信号をサンプリングするアナログ-デジタルコンバータを備える、請求項3に記載の手術用ドリル。
【請求項5】
前記評価ユニットは、フーリエ変換を介して、信号をスペクトログラムに変換する、請求項3に記載の手術用ドリル。
【請求項6】
前記評価ユニットは、AIで訓練されたネットワークで前記スペクトログラムを評価し、前記スペクトログラムが点灯したときに前記ドリルのブレークスルー又は前記ドリルのブレークスルー傾向を識別する、請求項5に記載の手術用ドリル。
【請求項7】
前記AIで訓練されたネットワークは、互換性のある検出装置からデータを供給されるクラウドネットワークである、請求項6に記載の手術用ドリル。
【請求項8】
前記圧電加速度センサは、10000Hzまでの測定周波数範囲において最高の感度を有する、請求項1に記載の手術用ドリル。
【請求項9】
前記圧電加速度センサは、前記手術用ドリルの駆動部に直接金属接続によって接続されている、請求項1に記載の手術用ドリル。
【請求項10】
前記評価ユニットの増幅器及び/又はフィルタは、前記回路基板上に形成され、前記回路基板は、前記圧電加速度センサの近傍において、前記手術用ドリル内に/又は前記手術用ドリル上に形成されている、請求項1に記載の手術用ドリル。
【請求項11】
前記評価ユニットは、前記手術用ドリルの外部に設けられたベースユニット内に完全に又は部分的に形成されている、請求項1に記載の手術用ドリル。
【請求項12】
手術用ドリルを介して骨に穿孔する際のドリルのブレークスルー及び/又はブレークスルー傾向を検出するように構成された検出装置であって、
圧電加速度信号を発生するための少なくとも1つの圧電加速度センサと
前記ブレークスルー及び/又はブレークスルー傾向に特徴的な信号又は信号変動を識別するように設けられた評価ユニットと、
を備える、検出装置。
【請求項13】
手術用ドリルの予め決められた動作状態を検出する方法であって、
前記手術用ドリル上又は前記手術用ドリル内に配置される圧電加速度センサを用いて圧電加速度信号を生成するステップと、
前記圧電加速度信号を評価ユニットに送信するステップと、
前記予め決められ動作状態に特徴的な信号又は信号変動を特定するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記圧電加速度信号は、前記評価ユニットにおいて評価され、
前記圧電加速度信号をフィルタでフィルタリングするステップと、
前記圧電加速度信号を増幅器で増幅するステップと、
アナログデジタル変換器で前記圧電加速度信号をサンプリングするステップと、
(デジタル)圧電加速度信号をスペクトログラムに変換するステップと、
AIで訓練されたネットワークで、「バウンディングボックスの原理」によりスペクトログラムを評価するステップと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記予め決められた動作状態を検出するために骨用ドリル上又は骨用ドリル内に配置される圧電加速度センサの使用。
【国際調査報告】