(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-13
(54)【発明の名称】ベルトプーリの離脱検出システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B65G 43/02 20060101AFI20250306BHJP
【FI】
B65G43/02 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024552221
(86)(22)【出願日】2023-01-18
(85)【翻訳文提出日】2024-09-02
(86)【国際出願番号】 US2023011037
(87)【国際公開番号】W WO2023172358
(87)【国際公開日】2023-09-14
(32)【優先日】2022-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508181663
【氏名又は名称】レイトラム,エル.エル.シー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】モルダー,ヨリック
(72)【発明者】
【氏名】ハイテジェマ-ブルーフ,スヴェン-エリック
【テーマコード(参考)】
3F027
【Fターム(参考)】
3F027AA04
3F027DA25
3F027EA01
3F027EA09
3F027FA01
(57)【要約】
歯付きプーリからモジュール式多関節コンベヤベルトの離脱をレーザビームで検出するシステムおよび方法である。レーザ送信器とレーザ検出器が、歯付きプーリに巻かれたモジュール式コンベヤベルトの両側に配置されている。レーザビームが、プーリと完全に噛み合った状態で進むベルトの半径方向外側の構造と断続的に交差するラインに沿って、レーザ送信器からレーザ検出器に向けられる。ベルトが磨耗して伸びたり、ベルトとプーリの間に異物が挟まったりすると、ベルトはプーリより高く走行し始め、長い時間レーザビームを遮断し、プーリからベルトが脱離していることを示す位置となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯付きプーリからのモジュール式コンベヤベルトの離脱を検出する方法であって、
回転軸を有するプーリの外周の一部に巻き付けられ、プーリの歯に係合するベルトモジュールの連結された列によって構成されたモジュール式コンベヤベルトを作動させるステップと、
前記モジュール式コンベヤベルトが前記プーリに完全に係合しているときに、前記プーリの外周の巻き付けられた部分の周りを関節運動するベルトモジュールの半径方向外側のベルト構造によってのみレーザビームが遮断されるように、前記回転軸から半径方向距離を置いて前記回転軸に平行なビーム線に沿って片側から前記モジュール式コンベヤベルトの幅を横切ってレーザビームを照射するステップと、
前記半径方向距離でビーム線に沿ってレーザビームを維持するステップと、
前記モジュール式コンベヤベルトの反対側でレーザビームを検出し、当該レーザビームがベルト構造によって遮断されていないことを示す第1のレベルと、前記レーザビームがベルト構造によって遮断されていることを示す第2のレベルとを有する検出信号を生成するステップと、
前記検出信号が前記第2のレベルで所定期間継続した場合に、前記モジュール式コンベヤベルトのプーリから離脱したと判定するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記所定期間は、前記プーリが1プーリピッチ進むのに要する時間以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モジュール式コンベヤベルトの前記プーリからの離脱が検出されたときに、アラーム表示を行うステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記半径方向外側のベルト構造は、前記列が連結されるヒンジの構造を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記半径方向外側のベルト構造は、前記列が連結されるヒンジに近接するベルトローラの前端部および後端部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記モジュール式コンベヤベルトがベルトピッチを有し、前記検出信号が、前記ベルト構造に対応して前記第1のレベルと第2のレベルとの間で切り替わり、前記ベルトピッチに対応する繰り返し周期で繰り返されるパルスパターンを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ベルトピッチを前記繰り返し周期で除算することにより、前記モジュール式コンベヤベルトの速度を推定するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
歯付きプーリからのモジュール式コンベヤベルトの離脱を検出するシステムであって、
レーザビームをビームラインに沿って送信するレーザ送信器と、
レーザビームを検出するために前記ビームラインに沿って前記レーザ送信器から間隔をあけて配置されたレーザ検出器と、
コンベヤフレームと、
回転軸を中心に回転するように前記コンベヤフレームに回転可能に取り付けられ、プーリの一部に巻き付けられる前記モジュール式コンベヤベルトに係合する歯を有するプーリとを具え、
前記モジュール式コンベヤベルトが前記プーリに完全に噛み合っているときに、前記プーリの巻き付け部分の周囲で関節運動する前記モジュール式コンベヤベルトの半径方向外側のベルト構造によってのみ前記レーザビームが遮断されるように、前記レーザ送信器と前記レーザ検出器が前記コンベヤフレーム内に、前記回転軸からある半径方向距離だけ離れた位置で前記ビームラインが前記回転軸と平行になるように配置され、
前記レーザ検出器が、レーザビームが前記ベルト構造によって遮断されていないことを示す第1のレベルと、レーザビームが前記ベルト構造によって遮断されていることを示す第2のレベルとを有する検出信号を生成し、
前記検出信号が第2のレベルに所定期間継続した場合に、前記検出信号は前記モジュール式コンベヤベルトが前記プーリから離脱したと示すことを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記所定期間は、前記プーリが1プーリピッチ進むのに要する時間以上である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記レーザ検出器からの検出信号を受信し、前記検出信号から前記モジュール式コンベヤベルトが前記プーリから外れたか否かを判定するプログラム命令を実行するプログラマブルプロセッサを具える、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
アラームインジケータを具え、前記プログラマブルプロセッサが、前記モジュール式コンベヤベルトが前記プーリから外れたと判定したときに、前記アラームインジケータにアラーム信号を送信するプログラム命令を実行する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記モジュール式コンベヤベルトがベルトピッチを有し、前記検出信号が、前記ベルト構造に対応して前記第1のレベルと第2のレベルとの間で切り替わり、前記ベルトピッチに対応する繰り返し周期で繰り返されるパルスパターンを示し、前記プログラマブルプロセッサが、前記ベルトピッチを前記繰り返し周期で除算することによって前記モジュール式コンベヤベルトの速度を推定する、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記半径方向外側のベルト構造は、前記列が連結されるヒンジの構造を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記半径方向外側のベルト構造は、前記列が連結されるヒンジに近接するベルトローラの前端部および後端部を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
歯付きプーリからのモジュール式コンベヤベルトの離脱を検出する方法において、
回転軸を有するプーリの外周の一部に巻き付けられ、プーリの歯に係合するベルトモジュールの連結された列によって構成されたモジュール式コンベヤベルトであって、前記モジュール式コンベヤベルトが公称ベルトピッチを有し、前記プーリは公称プーリピッチを有するモジュール式コンベヤベルトを作動させるステップと、
前記ベルトピッチと前記プーリピッチとの差が所定の最大距離よりも小さいときに、前記プーリの外周の巻き付けられた部分の周りを関節運動するベルトモジュールの半径方向外側のベルト構造によってのみレーザビームが遮断されるように、前記回転軸から半径方向距離を置いて前記回転軸に平行なビーム線に沿って片側から前記モジュール式コンベヤベルトの幅を横切ってレーザビームを照射するステップと、
前記半径方向距離でビーム線に沿ってレーザビームを維持するステップと、
前記モジュール式コンベヤベルトの反対側でレーザビームを検出し、当該レーザビームがベルト構造によって遮断されていないことを示す第1のレベルと、前記レーザビームがベルト構造によって遮断されていることを示す第2のレベルとを有する検出信号を生成するステップと、
前記検出信号が前記第2のレベルで所定時間継続した場合に、ベルトの伸びによって前記モジュール式コンベヤベルトのプーリから離脱したと判定するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記所定の最大距離は前記公称ベルトピッチより3%大きい請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に動力駆動ベルトコンベヤに関し、具体的には、ベルトプーリの離脱を検出するためにレーザを用いるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モジュール式コンベヤベルトは、1つまたは複数の剛性ベルトモジュールの列をヒンジ接合部においてヒンジロッドで連結して構成される。ベルトが、ドライブおよびアイドルスプロケット、ドラム、またはプーリの周りに巻かれる。スプロケット、ドラム、プーリの外周の歯が、ベルトの駆動構造にポジティブに噛み合う。モジュール式コンベヤベルトがスプロケット、ドラム、プーリの周りを進むと、ヒンジジョイントで関節運動し、多角形の形状になる。噛み合った各列が部分的に多角形の一辺を形成する。
【0003】
新しいコンベヤベルトの公称ベルトピッチは、連続するヒンジジョイント間の距離によって定義される。円形の外周を持つ新しいスプロケット、ドラム、またはプーリの公称プーリピッチは、連続する歯の間の円弧の長さで定義される。新しいコンベヤでは、ベルトピッチとプーリピッチは等しいか、ほぼ等しい。新しいベルトを歯付きプーリに巻くと、ベルトは外周を取り巻き、ポジティブに噛み合う。コンベヤベルトが磨耗すると、ヒンジロッドの変形やヒンジジョイントのヒンジアイの凹みにより、ベルトが伸びる傾向がある。プラスチック製のモジュール式コンベヤベルトでは、ベルトの伸びが必然的に発生する。
【0004】
ベルトが伸びると、ベルトのピッチがプーリのピッチを超える。ピッチの差が十分に大きくなると、細長いコンベヤベルトはプーリの歯に乗り上げるようになる。最終的にはベルトが持ち上がり、プーリの歯から外れてスキップし、ベルトの動きがぎくしゃくするようになる。
【0005】
ベルトとプーリの間に挟まった異物も、ベルトとプーリの歯合が外れる一般的な原因となる。挟まった異物によってベルトがプーリに密着しなくなり、ベルトがプーリの歯より高くなり、最終的に外れて歯をスキップしてしまう。
【0006】
ベルトプーリの離脱をレーザシステムで検出するものがある。レーザ送信器がコンベヤベルトの片側に沿って配置され、プーリに巻き付けられたベルトの半径方向外側にビームラインに沿ってレーザビームを照射する。ベルトコンベヤの反対側には、レーザビームのラインに沿ってレーザ検出器が配置される。ベルトと歯付きプーリが完全に噛み合っていると、レーザビームは遮断されない。しかし、ベルトが外れるとレーザビームが遮断され、離脱を示す。この検出方式の問題点は、レーザ送信器と検出器の適切な位置決めのためにベルトを外す必要があり、ベルトを損傷する可能性があることである。もう一つの問題は、単一の、非反復的なイベントを検出し、そのイベントをノイズから区別することが難しい場合があることである。
【発明の概要】
【0007】
歯付きプーリからのモジュール式コンベヤベルトの離脱を検出する方法は、(a)回転軸を有するプーリの外周の一部に巻き付けられ、プーリの歯に係合するベルトモジュールの連結された列によって構成されたモジュール式コンベヤベルトを作動させるステップと、(b)前記モジュール式コンベヤベルトが前記プーリに完全に係合しているときに、前記プーリの外周の巻き付けられた部分の周りを関節運動するベルトモジュールの半径方向外側のベルト構造によってのみレーザビームが遮断されるように、前記回転軸から半径方向距離を置いて前記回転軸に平行なビーム線に沿って片側から前記モジュール式コンベヤベルトの幅を横切ってレーザビームを照射するステップと、(c)前記半径方向距離でビーム線に沿ってレーザビームを維持するステップと、(d)前記モジュール式コンベヤベルトの反対側でレーザビームを検出し、当該レーザビームがベルト構造によって遮断されていないことを示す第1のレベルと、前記レーザビームがベルト構造によって遮断されていることを示す第2のレベルとを有する検出信号を生成するステップと、(e)前記検出信号が前記第2のレベルで所定時間継続した場合に、前記モジュール式コンベヤベルトのプーリから外れたと判定するステップとを含む。
【0008】
歯付きプーリからのモジュール式コンベヤベルトの離脱を検出するシステムは、ビームラインに沿ってレーザビームを送信するレーザ送信器と、前記ビームラインに沿って前記レーザ送信器から間隔をあけて配置され、レーザビームを検出するレーザ検出器を具える。コンベヤフレームに回転自在に取り付けられたプーリが、回転軸を中心に回転し、前記プーリの一部に巻き付けられたモジュール式コンベヤベルトと噛み合う歯を具える。前記レーザ送信器と前記レーザ検出器は、前記回転軸から半径方向距離だけ離れた位置で前記ビームラインが前記回転軸と平行になるように前記コンベヤフレーム内に配置され、前記モジュール式コンベヤベルトがプーリに完全に係合しているときに、前記プーリの巻き付け部分の周囲で関節運動する前記モジュール式コンベヤベルトの半径方向外側のベルト構造によってのみレーザビームが遮断される。前記レーザ検出器は、レーザビームが前記ベルト構造によって遮断されていないことを示す第1のレベルと、レーザビームが前記ベルト構造によって遮断されていることを示す第2のレベルの検出信号を生成する。前記検出信号が第2のレベルで所定時間継続した場合に、この検出信号は前記モジュール式コンベヤベルトがプーリから外れたことを示す。
【0009】
歯付きプーリからのモジュール式コンベヤベルトの離脱を検出する別の方法は、(a)回転軸を有するプーリの外周の一部に巻き付けられ、プーリの歯に係合するベルトモジュールの連結された列によって構成されたモジュール式コンベヤベルトであって、前記モジュール式コンベヤベルトが公称ベルトピッチを有し、前記プーリは公称プーリピッチを有するモジュール式コンベヤベルトを作動させるステップと、(b)前記ベルトピッチと前記プーリピッチとの差が所定の最大距離よりも小さいときに、前記プーリの外周の巻き付けられた部分の周りを関節運動するベルトモジュールの半径方向外側のベルト構造によってのみレーザビームが遮断されるように、前記回転軸から半径方向距離を置いて前記回転軸に平行なビーム線に沿って片側から前記モジュール式コンベヤベルトの幅を横切ってレーザビームを照射するステップと、(c)前記半径方向距離でビーム線に沿ってレーザビームを維持するステップと、(d)前記モジュール式コンベヤベルトの反対側でレーザビームを検出し、当該レーザビームがベルト構造によって遮断されていないことを示す第1のレベルと、前記レーザビームがベルト構造によって遮断されていることを示す第2のレベルとを有する検出信号を生成するステップと、(e)前記検出信号が前記第2のレベルで所定時間継続した場合に、ベルトの伸びによって前記モジュール式コンベヤベルトのプーリから外れたと判定するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、ベルトプーリ離脱検出システムの一例を示す側面図である。
【
図3】
図3は、
図1の検出システムと係合したコンベヤベルトとの側面図である。
【
図4】
図4は、
図3の検出システムの部分拡大図であり、コンベヤベルトの突出特徴部(salient features)がレーザビームを断続的に遮断し、信号の時間グラフに示される係合検出信号を生成する様子を示す。
【
図5】
図5は、
図3と同様の側面図であるが、コンベヤベルトが外れた状態であり、対応する離脱検出信号の時間グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ベルトプーリの離脱を検出するシステムを
図1に示す。スプロケット、ドラム、または歯付きプーリ10が、回転軸14を中心に回転するようにシャフト12に取り付けられている。本願で用いられる「プーリ」とは、スプロケットやドラムも含む意味で使用される。シャフト12の端部は、コンベヤフレーム18に取り付けられたベアリングブロック16に支持されている。プーリ10の一部に、モジュール式コンベヤベルト20が巻かれている。この例では、コンベヤベルト20はローラトップベルトであり、ベルトローラ22がベルトの外面24を越えて突き出る突出部分(salient portions)を有する。プーリ10は、プーリの外周28に一定間隔で離間した歯26の形状の駆動要素を具える。この一定の間隔によって、プーリのピッチが定義される。
【0012】
モジュール式コンベヤベルト20は、ヒンジロッド34によってヒンジ接合部32で端と端を接合された一連のベルトモジュール列30で構成されている。プーリ10に巻き付けられると、コンベヤベルト20はヒンジジョイント32で関節運動し、プーリの巻き付け領域に沿って多角形セグメントを形成する。プーリの歯26は、コンベヤベルト20の駆動構造にポジティブに噛み合い、駆動プーリの場合はベルトを能動的に駆動し、アイドルプーリの場合はベルトを受動的に案内する。連続するヒンジジョイント32間の距離によってベルトピッチが定義される。プーリ10とベルト20が新品の場合、そのピッチ(プーリの公称ピッチとベルトの公称ピッチ)は基本的に等しい。プーリ10とベルト20の間に異物が挟まっていない限り、ベルトとプーリの完全な噛み合いが維持される。しかしながら、使用しているうちにコンベヤベルト20が摩耗して伸び始め、ベルトピッチがプーリピッチより大きくなる。ピッチの差が公称ピッチの約3%など一定量を超える場合、またはコンベヤベルト20とプーリ10の間に異物が挟まった場合、コンベヤベルトはプーリの歯26の上をシャフトの回転軸14から半径方向に離れた位置で高く走行する。ベルト20の片側でコンベヤフレーム18に取り付けられたレーザ送信器36が、ベルトの反対側でフレームに取り付けられたレーザ検出器38に向けて、ベルトの幅を横切ってレーザビームを照射する。レーザ検出器38は、レーザビームが遮断されていないことを示す第1のレベルと、レーザビームが遮断されていることを示す第2のレベルの2値の検出信号を生成する。
【0013】
ベルトの伸び検出システムの主な電気部品のブロック図を
図2に示す。プログラマブルコンピュータやプログラマブルロジックコントローラのようなプログラマブルプロセッサ40が、プログラムメモリに格納されたプログラム命令を実行し、コマンドライン42を介してレーザ送信器36に発信コマンドを発行して発信させる。あるいは、レーザ送信器36は、電力が供給されている限り、永続的に励起されてもよい。送信器36は、ビームラインに沿ってコンベヤベルトの幅を横切ってレーザビーム44を照射する。レーザ検出器38はコンベヤベルトのビームライン反対側に取り付けられ、レーザビームを検出し、2値検出信号48をプログラマブルプロセッサ40に送る。プログラム命令を実行するプロセッサ40がベルトの離脱を検出すると、改善措置を講じることができるように、音声アラーム、ライト、ビデオディスプレイなどのアラームインジケータ52にアラーム信号50を送信する。
【0014】
図3は、歯付きプーリ10に完全に噛み合ったコンベヤベルト20に対するレーザシステムの位置関係を示している。レーザ検出器38の中央のドットで示されたレーザビームライン54は、プーリの回転軸14からある半径方向距離56に固定されている。(
図3では明確のためレーザ送信器を省略している)。点線の円58は、プーリの回転軸14からビームライン54の半径方向距離56に等しい半径を有し、プーリ10に巻かれたコンベヤベルト20の半径方向外側のベルト構造において交差し、ここでレーザビームが遮断される。
【0015】
ベルト20とプーリが完全に噛み合っている場合にレーザビームを遮断する半径方向外側のベルト構造を、
図4に拡大して示す。点線の円58の半径方向外側の構造がレーザビームを遮断する。この例では、その構造は、先行するベルト列のローラ22Aの後端部分と、関節運動するヒンジジョイント構造32と、後続のベルト列のローラ22Bの先端部分とを含んでいる。ヒンジ接合部32は、多角形状に巻かれたベルトセグメントの角部を形成し、ローラを除いてモジュール本体の残りの部分よりも半径方向外側にある。これらの遮断部分からの矢印は、レーザ検出器によって生成される2値検出信号60の時間グラフ上に対応する影響を指す。高いレベルは、レーザビームがレーザ検出器への到達を妨げられている時間を示す。検出信号に示される3つのパルスパターンが、ベルトやプーリが1ピッチ移動する時間に等しい規則的な繰り返し周期で繰り返される。コンベヤベルト20とプーリが噛み合っている限り、2値検出信号60の3パルスパターンが周期的に繰り返される。
【0016】
ベルトピッチを事前に知っていれば、プロセッサは検出信号60からベルト20の速度を推定することができる。プロセッサは、ベルトピッチを3パルスパターンの繰り返し周期で割ってベルト速度を計算する。この繰り返し周期は、例えば、検出信号60の対応するパルスの連続する立ち上がりエッジ間の差として測定することができる。そして、プロセッサは、繰り返し周期の個々の測定値または個々のベルト速度の計算値を平均化またはフィルタリングして、より滑らかにフィルタリングされたベルト速度の推定値を得ることができる。
【0017】
図3のローラ22が完全に噛み合ったコンベヤベルト20では、
図4の3パルス検出信号60が得られるが、他のコンベヤベルトでは異なるパルスパターンの特徴となり得る。例えば、ローラのないベルトでは、各ピッチ間隔中に検出信号で1つのパルスしか生成されない場合がある。その場合、この単一のパルスは関節運動するヒンジ接合部がレーザビームを遮ることによってのみ発生する。より大きな直径のローラや、半径方向外側に大きく延在する他の構造を持つベルトでは、レーザ送信器とレーザ検出器をプーリの回転軸のさらに外側、さらには関節ヒンジ接合部の外側に配置してもよい。
【0018】
図3は、コンベヤベルト20が下側の戻り路から上側の搬出路に戻るアイドルプーリ10を示す。ベルトの張力が大きく、駆動モータやギアによって取り付け位置が制限されるため、駆動プーリよりもアイドルプーリの方が離脱を検出しやすい。ただし、状況によっては、駆動プーリにレーザシステムを取り付けることが実行可能な代替案となり得る。
【0019】
図5は、摩耗によるベルトの伸びや、ベルトとプーリの間に挟まった異物のために、コンベヤベルト20がプーリ10から外れた状態を示す。離脱したベルト20は、プーリの回転軸14から半径方向に離れた位置で、プーリの歯26より高く走行する。この場合、ベルトがプーリから離脱して歯をスキップしたときに、レーザビームがレーザ検出器38に到達するのを半径方向内側のベルト構造が遮断する。得られる2値検出信号の時間グラフ60は、3パルス信号から平坦な線に変化する。プログラマブルプロセッサが平坦な線を所定期間検出した場合、ベルト20がプーリ10から外れたと判断する。この事態が発生すると、プロセッサはアラームを設定し得る。この所定期間は、ベルトとプーリが1プーリピッチを移動するのにかかる時間以上とすることができる。
【国際調査報告】