(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-13
(54)【発明の名称】処置方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/5517 20060101AFI20250306BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20250306BHJP
A61P 25/32 20060101ALI20250306BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20250306BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20250306BHJP
【FI】
A61K31/5517
A61P25/08
A61P25/32
A61P25/00
A61P25/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024553787
(86)(22)【出願日】2023-03-09
(85)【翻訳文提出日】2024-11-08
(86)【国際出願番号】 US2023014908
(87)【国際公開番号】W WO2023172685
(87)【国際公開日】2023-09-14
(32)【優先日】2022-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500478097
【氏名又は名称】アリーナ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221534
【氏名又は名称】藤本 志穂
(72)【発明者】
【氏名】パラスランプリア,ドリー
(72)【発明者】
【氏名】オレヴィッロ,チャドウィック ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ペレラ,フィリップ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB11
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA06
4C086ZA15
(57)【要約】
(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミド(化合物1)、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、処置を必要とする個体に処方および/または投与することを含む、5-ヒドロキシトリプタミン(HT)
2C受容体関連障害を処置する方法を提供する。
(1)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミド(化合物1)、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、処置を必要とする個体に処方および/または投与することを含む、5-ヒドロキシトリプタミン(HT)
2C受容体関連障害を処置する方法であって、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、最適化用量が投与されるまで、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の漸増を含む用量調節スキームによって投与される、方法。
【請求項2】
(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミド(化合物1)、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、処置を必要とする個体に処方および/または投与することを含む、てんかんを処置する方法であって、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、最適化用量が投与されるまで、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の漸増を含む用量調節スキームによって投与される、方法。
【請求項3】
(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミド(化合物1)、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、重症度の低下を必要とする個体に処方および/または投与することを含む、てんかん発作の重症度を低下させる方法であって、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、最適化用量が投与されるまで、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の漸増を含む用量調節スキームによって投与される、方法。
【請求項4】
(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミド(化合物1)、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、処置を必要とする個体に処方および/または投与することを含む、発作性障害を処置する方法であって、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、最適化用量が投与されるまで、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の漸増を含む用量調節スキームによって投与される、方法。
【請求項5】
発作性障害が、てんかん、全般強直間代発作を伴うてんかん、ミオクロニー欠神を伴うてんかん、前頭葉てんかん、側頭葉てんかん、ランドウ・クレフナー症候群、ラスムッセン症候群、ドラベ症候群、ドゥーゼ症候群、CDKL5障害、乳児スパズム(ウエスト症候群)、若年性ミオクロニーてんかん(JME)、ワクチン関連脳症、難治小児てんかん(ICE)、レノックス・ガストー症候群(LGS)、レット症候群、大田原症候群、CDKL5障害、小児欠神てんかん、本態性振戦、急性反復発作、良性ローランドてんかん、てんかん重積、難治てんかん重積、超難治てんかん重積(SRSE)、PCDH19小児てんかん、薬物離脱誘発発作、アルコール離脱誘発発作、発作活動の増加およびブレークスルー発作より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミド(化合物1)、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、処置を必要とする個体に処方および/または投与することを含む、発達性てんかん性脳症(DEE)および他の難治てんかんを処置する方法であって、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、最適化用量が投与されるまで、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の漸増を含む用量調節スキームによって投与される、方法。
【請求項7】
DEEが、レノックス・ガストー症候群、ドラベ症候群、ドゥーゼ症候群(ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん(EM AS))、ウエスト症候群(乳児スパズム)、ランドウ・クレフナー症候群、および素因性障害、例えばCDKL5脳症またはCHD2脳症より選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
DEEが、大田原症候群、レノックス・ガストー症候群、ドラベ症候群、ドゥーゼ症候群、ウエスト症候群、ランドウ・クレフナー症候群、結節性硬化症、CDKL5脳症、CHD2脳症、早期ミオクロニー脳症、遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん、ミオクロニー脱力発作を伴うてんかんおよび睡眠時持続性棘徐波を示すてんかん性脳症より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
治療有効量の(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミド(化合物1)、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、処置を必要とする個体に処方および/または投与することを含む、発作性障害を処置する方法であって、治療有効量の化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、約6~12mgである、方法。
【請求項10】
発作性障害が、てんかん、全般強直間代発作を伴うてんかん、ミオクロニー欠神を伴うてんかん、前頭葉てんかん、側頭葉てんかん、ランドウ・クレフナー症候群、ラスムッセン症候群、ドラベ症候群、ドゥーゼ症候群、CDKL5障害、乳児スパズム(ウエスト症候群)、若年性ミオクロニーてんかん(JME)、ワクチン関連脳症、難治小児てんかん(ICE)、レノックス・ガストー症候群(LGS)、レット症候群、大田原症候群、CDKL5障害、小児欠神てんかん、本態性振戦、急性反復発作、良性ローランドてんかん、てんかん重積、難治てんかん重積、超難治てんかん重積(SRSE)、PCDH19小児てんかん、薬物離脱誘発発作、アルコール離脱誘発発作、発作活動の増加およびブレークスルー発作より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
投与が、けいれん性/運動発作および他の発作型の頻度の改善をもたらす、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
投与が、下記:
観察される計数可能な運動発作の頻度;
総発作数;
非けいれん性発作の頻度;
てんかん重積のエピソード数;
レスキュー薬の使用頻度;および/または
計数可能な運動発作のない日数
の1つ以上の改善をもたらす、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
投与が、被験者/介護者および治験医の臨床全般印象度-改善度(CGI-I)、治験医の臨床全般印象度-重症度(CGI-S)、および/または小児てんかんにおける55項目のクオリティ・オブ・ライフ質問票(QOLCE-55)の改善をもたらす、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
投与が、CGI-Iおよび/またはCGI-Sにおいてベースラインから少なくとも1ポイントの変化をもたらす、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
投与前に、個体が、安定したASM処置を受けている間に4週間当たり、平均4回以上の観察される/計数可能な運動発作を伴う処置抵抗性の計数可能な運動発作を有している、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
個体が、DEEを有するが、ドラベ症候群またはレノックス・ガストー症候群を有しない、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
投与前に、個体が、
5歳以下での非誘発発作の発症の既往歴;
発達遅延の既往歴;
全般焦点合併てんかん型または複数の全般てんかん型の既往歴;
遅いまたは乱れた脳波の既往歴;および/または
特発性全般てんかんの既往歴なし
を有している、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
個体が、ドラベ症候群を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
投与前に、個体が、
3~12か月齢の間にそれ以外は健康な乳児において発作の発症;
全般強直間代発作または一側間代発作または両側間代発作いずれかの発作の既往歴;
正常な初期の発達;および/または
発達遅延の既往歴
を有している、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
投与前に、個体が、
別の発作型の出現;
暖かい温度で誘発される発作、および/または病気またはワクチンによる熱、熱い風呂、高レベルの活動および突然の温度変化に関連する発作への長時間曝露、および/または
強い自然光および/または蛍光灯によって誘発される発作
を有している、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
投与前に、個体が、ドラベ症候群の診断と一致する遺伝子検査結果を有している、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
個体が、レノックス・ガストー症候群を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
投与前に、個体が、
強直発作または強直/脱力発作の既往歴;
全般強直間代発作、強直-脱力発作、脱力発作、強直発作、ミオクロニー発作または転倒発作を含むがこれらに限定されない、2タイプ以上の全般てんかん;
8歳未満での発作の既往歴;
発達遅延の既往歴;
レノックス・ガストー症候群の診断基準を報告する以前の脳波図(2.5ヘルツ以下の発作間欠期の遅い棘徐波パターンを伴う異常な発作間欠期の脳波背景活動、または発作間欠期の全般性突発性高速活動);および/または
安定したASM処置を受けている間に4週間当たり平均4回以上の転倒発作の観察
を有している、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
用量調節スキームが、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、約5日間、6mgの化合物1を1日3回に相当する初期用量で処方および/または投与すること、ならびに個体が初期用量に忍容性を示し、かつ個体が十分な反応を示さない場合、用量を増加させることを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
増加させた用量が、9mgの化合物1を1日3回に相当する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
用量調節スキームが、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、増加させた用量で約5日間投与することをさらに含む、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
個体が増加させた用量に忍容性を示さない場合、最適化用量が初期用量である、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
個体が増加させた用量に忍容性を示し、かつ個体が十分な反応を示す場合、最適化用量が増加させた用量である、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
最適化用量の化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を個体に投与することをさらに含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
個体が増加させた用量に忍容性を示すが、個体が十分な反応を示さない場合、方法が用量を増加させることをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
さらに増加させた用量が、約12mgの化合物1を1日3回に相当する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
個体がさらに増加させた用量に忍容性を示さない場合、最適化用量が増加させた用量である、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
個体がさらに増加させた用量に忍容性を示し、かつ個体が十分な反応を示す場合、最適化用量がさらに増加させた用量である、請求項30または31に記載の方法。
【請求項34】
最適化用量の化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を個体に投与することをさらに含む、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
方法が、運動失調、歩行障害、言語障害、発声、認知障害、異常な運動活動、臨床発作、潜在性発作、筋緊張低下、筋緊張亢進、よだれ、口を動かす行動、前兆、けいれん、反復運動、異常な感覚、発作の頻度および発作の重症度より選択される少なくとも1つの症状の改善を提供する、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の漸減をさらに含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、化合物1のHCl塩である、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発達性てんかん性脳症(DEE)は、稀な神経発達障害の異質なグループである。それらは、しばしば難治性であり、脳波異常、時間の経過とともに悪化し得る発達遅延または退行、場合によっては早期死亡を伴う、早期発症の発作を特徴とする。これらの障害は、一般的に小児期および思春期に診断されるが、病因、発作型、脳波パターン、認知障害および予後は様々である。国際抗てんかん連盟は最近、この定義を、てんかん発症前に発達遅延を引き起こす可能性のある障害に拡大し、DEEという用語を用いて、このより広い集団を包含するようになった。
【0002】
5-HT2受容体アゴニストは、様々な運動発作および発作性障害に対して有効な処置であることが示されている。具体的には、5-HT2C、5-HT2Bおよび5-HT2Aの混合受容体アゴニストである、低用量フェンフルラミン(Fintepla(登録商標))が最近、ドラベ症候群の処置に対して承認され(米国食品医薬品(FDA)が2020年6月にラベル承認)、第3相試験においてレノックス・ガストー症候群の患者における転倒発作の頻度を減少させる点でプラセボより優れていることが示された。しかしながら、Fintepla(登録商標)は、5-HT2B受容体アゴニスト活性を有するセロトニン作動薬と心臓弁膜症との関連性のため、心臓モニタリングを必要とする枠組み警告を受けた。
【0003】
DEEの安全かつ効果的な処置に対する大きなアンメットニーズが存在する。5-HT2C受容体に関連する疾患および障害の処置に対する代替化合物も必要なままである。本明細書に記載の化合物は、これらのニーズを満たし、関連する利点も提供する5-HT2C受容体アゴニストである。本開示は、このニーズを満たし、関連する利点も提供する。
【発明の概要】
【0004】
(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミド(化合物1)、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、処置を必要とする個体に処方および/または投与することを含む、5-ヒドロキシトリプタミン(HT)2C受容体関連障害を処置する方法であって、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、最適化用量が投与されるまで、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の漸増を含む用量調節スキームによって投与される、方法を提供する。
【0005】
また、(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミド(化合物1)、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、処置を必要とする個体に処方および/または投与することを含む、てんかんを処置する方法であって、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、最適化用量が投与されるまで、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の漸増を含む用量調節スキームによって投与される、方法を提供する。
【0006】
また、(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミド(化合物1)、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、重症度の低下を必要とする個体に処方および/または投与することを含む、てんかん発作の重症度を低下させる方法であって、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、最適化用量が投与されるまで、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の漸増を含む用量調節スキームによって投与される、方法を提供する。
【0007】
また、(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミド(化合物1)、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、処置を必要とする個体に処方および/または投与することを含む、発作性障害を処置する方法であって、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、最適化用量が投与されるまで、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の漸増を含む用量調節スキームによって投与される、方法を提供する。
【0008】
また、(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミド(化合物1)、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、処置を必要とする個体に処方および/または投与することを含む、発達性てんかん性脳症(DEE)および他の難治てんかんを処置する方法であって、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、最適化用量が投与されるまで、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の漸増を含む用量調節スキームによって投与される、方法を提供する。
【0009】
本明細書で開示する発明のこれらおよび他の態様を、特許開示が進むにつれてより詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で用いる以下の用語および語句は、それらが用いられる文脈が他を指す場合を除き、一般的に以下に示す意味を有する。
【0011】
化合物1:本明細書で用いる「化合物1」は、(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミドを意味する。
【化1】
化合物1
化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物は、強力かつ選択的な5-ヒドロキシトリプタミン(HT)
2C受容体アゴニストであり、5-HT
2C受容体のリガンド結合部位に対して5-HT
2Aおよび5-HT
2Bのものより高い選択性を示す。化合物1は、ヒト5-HT
2C受容体にて44nMの結合親和性を示し、これまでに開発されたFintepla(登録商標)(低用量フェンフルラミン)などのアンタゴニストと比較して、5-HT
2C受容体に対して5-HT
2Aおよび5-HT
2Bより227倍超の選択性を示す。
【0012】
化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の使用方法は、米国特許第10,392,390号(出典明示によりすべての目的のためにその全体として本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0013】
けいれん性/運動発作:本明細書で用いる「けいれん性/運動発作」は、直間代、強直、転倒に至る強直-脱力、焦点運動、てんかん性スパズム、転倒に至るミオクロニー脱力および発作を指す。非けいれん性発作は、ミオクロニー発作、欠神発作、非定型欠神発作または脱力発作、および観察可能な運動要素を伴わない焦点発作を含む。
【0014】
けいれん性/運動発作のない日:本明細書で用いる「けいれん性/運動発作のない日」は、日誌データが入手可能であり、けいれん性/運動発作が報告されなかった日を指す。
【0015】
転倒発作:本明細書で用いる用語「転倒発作」は、転倒、怪我、椅子でのへたり込みまたは頭部の地面での打撲につながるか、あるいは発作(attack)またはひきつけ(spell)時の対象体の体位によって転倒または怪我につながる可能性のある、全身、体幹または頭部を含む発作を指す。
【0016】
アゴニスト:本明細書で用いる用語「アゴニスト」は、5-HT2Cセロトニン受容体などの受容体と相互作用して活性化し、受容体に特徴的な生理学的または薬理学的反応を開始する部分を指す。
【0017】
投与:本明細書で用いる「投与」は、個体が化合物を取り込むように、化合物または他の治療(therapy)、改善(remedy)もしくは処置を提供することを意味する。
【0018】
経口または経口的に:本明細書で用いる「経口」または「経口的に」は、消化管に沿った経路または様式により化合物または組成物を個体に投与することを指す。経腸投与経路の例としては、固形(例えば錠剤)または液体(例えばシロップ剤)の形態を飲み込む経口投与;舌下(舌下吸収);経鼻空腸または胃瘻チューブ(胃へ);十二指腸内投与;および直腸投与(例えば、消化管の下部腸管内で化合物または組成物を放出および吸収するための坐剤)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
処方:本明細書で用いる「処方」は、薬物または他の治療(therapy)、改善(remedy)もしくは処置の使用を指示、許可または推奨することを意味する。いくつかの実施態様において、医療従事者は、化合物、投与レジメンまたは他の処置の使用を個体に口頭で助言、推奨または許可し得る。この場合、医療従事者は、化合物、投与レジメンまたは処置の処方箋を提供してもよく、または提供しなくてもよい。また、医療従事者は、推奨される化合物または処置を提供してもよく、または提供しなくてもよい。例えば、医療従事者は、化合物を提供せずに、その化合物をどこで入手できるかを個体に助言し得る。いくつかの実施態様において、医療従事者は、化合物、投与レジメンまたは処置の処方箋を個体に提供し得る。例えば、医療従事者は、書面または口頭で処方箋を個体に提供し得る。処方箋は、紙、または電子媒体、例えばコンピューターファイル、例えば携帯型コンピューターデバイスに書き得る。例えば、医療従事者は、化合物、投与レジメンまたは処置の処方箋を紙または電子媒体に変換し得る。さらに、処方箋は、薬局または調剤薬局に電話(口頭)、ファックス(書面)またはインターネットを介して電子的に提出し得る。いくつかの実施態様において、化合物または処置のサンプルを個体に与え得る。本明細書で用いる場合、化合物のサンプルを与えることは、化合物の暗黙の処方を構成する。世界中の様々な医療システムは、化合物または処置を処方および/または投与するための様々な方法を使用しており、これらの方法は本開示に包含される。
【0020】
処方箋は、例えば個体の名前および/または識別情報、例えば生年月日を含み得る。また、例えば、処方箋は、薬剤名、薬剤の強度、用量、投与頻度、投与経路、処方される数または量、リフィル数、医師名、医師の署名などを含み得る。さらに、例えば、処方箋は、DEA番号および/または州番号を含み得る。
【0021】
医療従事者は、例えば、本明細書に記載の状態の処置のために化合物(薬物)を処方または投与し得る医師、看護師、ナース・プラクティショナーまたは他の関連医療専門家を含み得る。また、医療従事者は、例えば保険提供者を含む、化合物または薬物を個体に推奨、処方、投与、または投与の阻止をし得る者も含み得る。
【0022】
予防する、予防することまたは予防:本明細書で用いる用語「予防する」、「予防すること」または「予防」は、特定の障害の予防、または特定の障害に関連する1つ以上の症状の発生もしくは発症などであり、必ずしも障害の完全な予防を意味するものではない。例えば、用語「予防する」、「予防すること」および「予防」は、最終的に疾患または状態の少なくとも1つの症状が発現する可能性があるが、まだ発現していない個体に対して、予防的(prophylactic)または防止的(preventative)に治療を施すことを意味する。このような個体は、その後の疾患の発生と相関することが知られている危険因子に基づいて特定し得る。あるいは、予防的手段として、危険因子を事前に特定することなく予防的治療を施し得る。少なくとも1つの症状の発症を遅らせることも、防止(prevention)または予防(prophylaxis)とみなし得る。
【0023】
処置する、処置することまたは処置:本明細書で用いる用語「処置する」、「処置すること」または「処置」は、疾患または状態の少なくとも1つの症状をすでに発現している個体、または疾患または状態の少なくとも1つの症状を以前に発現していた個体に対する治療の実施を意味する。例えば、「処置」は、疾患または状態の症状を軽減、緩和または改善すること、更なる症状を予防すること、症状の根本的な代謝的原因を改善すること、疾患または状態を抑制すること、例えば、疾患または状態の進行を阻止すること、疾患または状態を緩和すること、疾患または状態の退行を引き起こすこと、疾患または状態によって引き起こされる状態を緩和すること、または疾患または状態の症状を停止させることを含み得る。例えば、ある障害に関して「処置すること」という用語は、その特定の障害に関連する1つ以上の症状の重症度を軽減することを意味する。したがって、障害を処置することは、必ずしも障害に関連するすべての症状の重症度の軽減を意味せず、また、必ずしも障害に関連する1つ以上の症状の重症度の完全な軽減を意味しない。
【0024】
忍容性を示す:本明細書で用いる場合、ある用量の化合物を個体に投与しても、許容できない有害事象または許容できない有害事象の組合せが生じない場合、その個体はその用量の化合物に「忍容性を示す」という。当業者は、忍容性は主観的な尺度であり、ある個体にとって忍容性であるものが、別の個体にとっては忍容性ではない可能性があることを理解する。例えば、ある個体は頭痛に耐えられない場合があるのに対し、第2の個体は頭痛に耐えられるが嘔吐には耐えられない場合があり、一方、第3の個体は、頭痛のみ、または嘔吐のみには耐えられるが、頭痛と嘔吐の組合せは、それぞれの重症度が単独で経験する場合よりも軽度であっても、耐えられない場合がある。
【0025】
不忍容:本明細書で用いる「不忍容」は、用量の減少または投薬の中止につながる重大な毒性および/または忍容性の問題を意味する。本明細書において、「不忍容」は「忍容できない」という用語と置き換えることができる。
【0026】
有害事象:本明細書で用いる「有害事象」は、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物での処置に関連する望ましくない医学的事象である。一実施態様において、有害事象は、白血球減少、便秘、下痢、悪心、腹痛、好中球減少、嘔吐、背痛および月経障害より選択される。一実施態様において、有害事象は、心ブロック、例えば第1度房室ブロックである。一実施態様において、有害事象は、急性心拍数低下である。一実施態様において、有害事象は、FEV1が80%未満、FVCなどの肺機能検査所見の異常である。一実施態様において、有害事象は、黄斑浮腫である。
【0027】
処置を必要とするおよびそれを必要とする:本明細書において、処置に言及する場合の「処置を必要とする」および「それを必要とする」は、介護者(例えば、医師、看護師、ナース・プラクティショナーなど)によってなされる、個体が処置を必要とするかまたは処置から利益を得るだろうという判断を意味するために相互交換可能に用いられる。この判断は、介護者の専門知識の範囲内であるが、本発明の化合物によって処置可能な疾患、状態または障害の結果として、個体が罹患している、または罹患するだろうという知識を含む、様々な要因に基づいてなされる。したがって、本発明の化合物は、保護的または予防的に使用し得て;あるいは、本発明の化合物は、疾患、状態または障害を軽減、抑制または改善するために使用し得る。
【0028】
個体:本明細書で用いる「個体(individual)」は、あらゆるヒトを意味する。いくつかの実施態様において、ヒト個体は、「対象体」または「患者」と称される。
【0029】
用量:本明細書で用いる「用量」は、ある特定の時点で疾患または障害を処置または予防するために個体に与えられる、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の量を意味する。
【0030】
治療有効量:本明細書において、薬剤、化合物、薬物、組成物または組合せの「治療有効量」は、対象体または患者(例えば、ヒト対象体または患者)への投与時に何らかの望ましい治療効果をもたらす無毒性かつ有効な量である。対象体に対する正確な治療有効量は、例えば、対象体の身体サイズおよび健康状態、状態の性質および程度、投与のために選択された治療薬または治療薬の組合せ、ならびに当業者に知られている他の変数に依存し得る。所与の状況に対する有効量は、日常的な実験によって決定され、臨床医の判断の範囲内である。いくつかの実施態様において、治療有効量は、標準用量である。
【0031】
医薬組成物:本明細書で用いる「医薬組成物」は、少なくとも1つの活性成分、例えば化合物1(化合物1の塩を含むがこれに限定されない)を含む組成物を意味し、これにより、組成物は、特定される有効な結果について調査が可能である。当業者は、当業者のニーズに基づいて活性成分が所望の有効な結果を有するかを決定するのに適切な技術を理解および認識する。
【0032】
本発明による化合物は、所望により、無機酸および有機酸を含む医薬的に許容される無毒性の酸から製造される、医薬的に許容される酸付加塩を含む、医薬的許容される塩として存在し得る。代表的な酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、エチレンスルホン酸、ジクロロ酢酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、シュウ酸、p-トルエンスルホン酸など、例えばBerge et al., Journal of Pharmaceutical Sciences, 66:1-19 (1977)(出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に記載される医薬的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
酸付加塩は、化合物合成の直接生成物として得られ得る。あるいは、遊離塩基を適切な酸を含む適切な溶媒に溶解し、溶媒を蒸発させるか、または塩と溶媒を分離することによって塩を単離し得る。本発明の化合物は、当業者に公知の方法を用いて、標準的な低分子量溶媒と溶媒和物を形成し得る。
【0034】
化合物1に言及するときに、用語「医薬的に許容される塩、溶媒和物および水和物」または用語「医薬的に許容される塩、溶媒和物または水和物」を用いるとき、それは化合物1の医薬的に許容される溶媒和物および/または水和物、化合物1の医薬的に許容される塩、ならびに化合物1の医薬的に許容される塩の医薬的に許容される溶媒和物および/または水和物を包含することが理解される。また、塩である化合物1に言及するときに、用語「医薬的に許容される溶媒和物および水和物」または用語「医薬的に許容される溶媒和物または水和物」を用いるとき、それはこの塩の医薬的に許容される溶媒和物および/または水和物を包含することが理解される。
【0035】
本明細書に記載の投与形態は、活性成分として、化合物1、または医薬的に許容される塩またはその溶媒和物もしくは水和物のいずれかを含み得ることは、当業者には明らかである。さらに、化合物1およびその塩の様々な水和物および溶媒和物は、医薬組成物の製造における中間体として使用される。本明細書で言及したもの以外で、適切な水和物および溶媒和物を製造および同定するための典型的な手順は、当業者に周知であり;例えば、K.J. Guillory, "Generation of Polymorphs, Hydrates, Solvates, and Amorphous Solids," in: Polymorphism in Pharmaceutical Solids, ed. Harry G. Britain, Vol. 95, Marcel Dekker, Inc., New York, 1999の第202~209頁参照。したがって、本開示の一態様は、熱重量分析(TGA)、TGA-質量分析、TGA-赤外分光法、粉末X線回折(XRPD)、カールフィッシャー滴定、高解像度X線回折などの当技術分野で公知の方法によって単離および特性評価され得る化合物1および/またはその医薬的に許容される塩の水和物および溶媒和物を処方および/または投与する方法に関する。溶媒和物と水和物を日常的に識別するための迅速かつ効率的なサービスを提供する営利団体がいくつかある。これらのサービスを提供する企業の例としては、Wilmington PharmaTech(Wilmington、DE)、Avantium Technologies(Amsterdam)およびAptuit(Greenwich、CT)が挙げられる。
【0036】
整数を本明細書の方法で用いる場合、用語「約」を整数の前に挿入し得る。
【0037】
本明細書全体を通じて、文脈上他に必要でない限り、用語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」や「含む(comprising)」などの変形は、記載するステップまたは要素または整数またはステップもしくは要素もしくは整数のグループが含まれることを意味するが、その他のステップまたは要素または整数または要素もしくは整数のグループが除外されることを意味するものではないと理解される。
【0038】
本明細書全体を通じて、他に明確に断らない限りまたは文脈上他に必要でない限り、単一のステップ、物質の組成物、ステップのグループ、または物質の組成物のグループへの言及は、それらのステップ、物質の組成物、ステップのグループ、または物質の組成物のグループの1つおよび複数(すなわち、1つ以上)を包含するものとみなされる。
【0039】
本明細書に記載する各実施態様は、他に明確に断らない限り、他のすべての実施態様に準用される。
【0040】
当業者は、本明細書に記載の発明は、具体的に記載するもの以外の変更および改変の影響を受け得ることを理解する。本発明には、このようなすべての変更および改変が含まれることが理解される。本発明は、他に明確に断らない限り、本明細書で言及または示されるすべてのステップ、特徴、組成物および化合物を、個別または集合的に、また、当該ステップまたは特徴のあらゆる組合せまたは任意の2つ以上も含む。
【0041】
本発明は、例示目的のみを意図しており、本明細書に記載する特定の実施態様によって範囲が限定されるものではない。機能的に同等の生成物、組成物および方法は、明らかに、本明細書に記載する本発明の範囲内である。
【0042】
明確にするために、別個の実施態様の文脈で記載している本発明の特定の特徴は、単一の実施態様において組み合わせて提供することもできることが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施態様の文脈で記載している本発明の様々な特徴は、別々に、または任意の適切なサブ組合せで提供することもできる。例えば、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を処方および/または投与することを記載する方法は、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を処方することを記載する一つの方法と、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を投与することを記載する他の方法の2つの方法に分離し得る。また、例えば、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を処方することを記載する方法と、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を投与することを記載する発明の別個の方法は、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を処方および/または投与することを記載する単一の方法に組み合わせ得る。
【0043】
方法
(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミド(化合物1)、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、処置を必要とする個体に処方および/または投与することを含む、5-ヒドロキシトリプタミン(HT)2C受容体関連障害を処置する方法であって、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、最適化用量が投与されるまで、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の漸増を含む用量調節スキームによって投与される、方法を提供する。
【0044】
また、(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミド(化合物1)、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、処置を必要とする個体に処方および/または投与することを含む、てんかんを処置する方法であって、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、最適化用量が投与されるまで、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の漸増を含む用量調節スキームによって投与される、方法を提供する。
【0045】
また、(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミド(化合物1)、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、重症度の低下を必要とする個体に処方および/または投与することを含む、てんかん発作の重症度を低下させる方法であって、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、最適化用量が投与されるまで、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の漸増を含む用量調節スキームによって投与される、方法を提供する。
【0046】
また、(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミド(化合物1)、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、処置を必要とする個体に処方および/または投与することを含む、発作性障害を処置する方法であって、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、最適化用量が投与されるまで、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の漸増を含む用量調節スキームによって投与される、方法を提供する。
【0047】
いくつかの実施態様において、発作性障害は、てんかん、全般強直間代発作を伴うてんかん、ミオクロニー欠神を伴うてんかん、前頭葉てんかん、側頭葉てんかん、ランドウ・クレフナー症候群、ラスムッセン症候群、ドラベ症候群、ドゥーゼ症候群、CDKL5障害、乳児スパズム(ウエスト症候群)、若年性ミオクロニーてんかん(JME)、ワクチン関連脳症、難治小児てんかん(ICE)、レノックス・ガストー症候群(LGS)、レット症候群、大田原症候群、CDKL5障害、小児欠神てんかん、本態性振戦、急性反復発作、良性ローランドてんかん、てんかん重積、難治てんかん重積、超難治てんかん重積(SRSE)、PCDH19小児てんかん、薬物離脱誘発発作、アルコール離脱誘発発作、発作活動の増加およびブレークスルー発作より選択される。
【0048】
また、(R)-N-(2,2-ジフルオロエチル)-7-メチル-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[6,7,l-hi]インドール-8-カルボキサミド(化合物1)、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、処置を必要とする個体に処方および/または投与することを含む、発達性てんかん性脳症(DEE)および他の難治てんかんを処置する方法であって、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物が、最適化用量が投与されるまで、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の漸増を含む用量調節スキームによって投与される、方法を提供する。
【0049】
いくつかの実施態様において、DEEは、レノックス・ガストー症候群、ドラベ症候群、ドゥーゼ症候群(ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん(EM AS))、ウエスト症候群(乳児スパズム)、ランドウ・クレフナー症候群、および素因性障害、例えばCDKL5脳症またはCHD2脳症より選択される。
【0050】
いくつかの実施態様において、DEEは、大田原症候群、レノックス・ガストー症候群、ドラベ症候群、ドゥーゼ症候群、ウエスト症候群、ランドウ・クレフナー症候群、結節性硬化症、CDKL5脳症、CHD2脳症、早期ミオクロニー脳症、遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん、ミオクロニー脱力発作を伴うてんかんおよび睡眠時持続性棘徐波を示てんかん性脳症より選択される。
【0051】
いくつかの実施態様において、個体は、知的能力障害、自閉スペクトラム症および/または行動障害などの併発状態を有する。
【0052】
いくつかの実施態様において、方法は、運動失調、歩行障害、言語障害、発声、認知障害、異常な運動活動、臨床発作、潜在性発作、筋緊張低下、筋緊張亢進、よだれ、口を動かす行動、前兆、けいれん、反復運動、異常な感覚、発作の頻度および発作の重症度より選択される少なくとも1つの症状の改善を提供する。
【0053】
いくつかの実施態様において、投与は、けいれん性/運動発作および他の発作型の頻度の改善をもたらす。いくつかの実施態様において、投与は、下記:
観察される計数可能な運動発作の頻度;
総発作数;
非けいれん性発作の頻度;
てんかん重積のエピソード数;
レスキュー薬の使用頻度;および/または
計数可能な運動発作のない日数
の1つ以上の改善をもたらす。
【0054】
いくつかの実施態様において、投与は、被験者/介護者および治験医の臨床全般印象度-改善度(Clinical Global Impression of Improvement、CGI-I)、治験医の臨床全般印象度-重症度(Global Impression of 重症度、CGI-S)、および/または小児てんかんにおける55項目のクオリティ・オブ・ライフ質問票(55-item Quality of Life in Childhood Epilepsy Questionnaire、QOLCE-55)の改善をもたらす。いくつかの実施態様において、投与は、CGI-Iおよび/またはCGI-Sにおいてベースラインから少なくとも1ポイントの変化をもたらす。
【0055】
いくつかの実施態様において、投与前に、個体は、安定したASM処置を受けている間に4週間当たり、平均4回以上の観察される/計数可能な運動発作を伴う処置抵抗性の計数可能な運動発作を有している。
【0056】
いくつかの実施態様において、個体は、DEEを有するが、ドラベ症候群またはレノックス・ガストー症候群を有しない。
【0057】
個体が、DEEを有するが、ドラベ症候群またはレノックス・ガストー症候群を有しない、いくつかの実施態様において、個体は、
5歳以下での非誘発発作の発症の既往歴;
発達遅延の既往歴;
全般焦点合併てんかん型または複数の全般てんかん型の既往歴;
遅いまたは乱れた脳波の既往歴;および/または
特発性全般てんかんの既往歴なし
を有している。
【0058】
いくつかの実施態様において、個体は、ドラベ症候群を有する。
【0059】
個体がドラベ症候群を有するいくつかの実施態様において、投与前に、個体は、
3~12か月齢の間にそれ以外は健康な乳児において発作の発症;
全般強直間代発作または一側間代発作または両側間代発作いずれかの発作の既往歴;
正常な初期の発達;および/または
発達遅延の既往歴
を有している。
【0060】
個体がドラベ症候群を有するいくつかの実施態様において、投与前に、個体は、
別の発作型の出現;
暖かい温度で誘発される発作、および/または病気またはワクチンによる熱、熱い風呂、高レベルの活動および突然の温度変化に関連する発作への長時間曝露、および/または
強い自然光および/または蛍光灯によって誘発される発作
を有している。
【0061】
個体がドラベ症候群を有するいくつかの実施態様において、投与前に、個体は、ドラベ症候群の診断と一致する遺伝子検査結果を有している。
【0062】
いくつかの実施態様において、個体は、レノックス・ガストー症候群を有する。
【0063】
個体がレノックス・ガストー症候群を有するいくつかの実施態様において、投与前に、個体は、
強直発作または強直/脱力発作の既往歴;
全般強直間代発作、強直-脱力発作、脱力発作、強直発作、ミオクロニー発作または転倒発作を含むがこれらに限定されない、2タイプ以上の全般てんかん;
8歳未満での発作の既往歴;
達遅延の既往歴;
レノックス・ガストー症候群の診断基準を報告する以前の脳波図(2.5ヘルツ以下の発作間欠期の遅い棘徐波パターンを伴う異常な発作間欠期の脳波背景活動、または発作間欠期の全般性突発性高速活動);および/または
安定したASM処置を受けている間に4週間当たり平均4回以上の転倒発作の観察
を有している。
【0064】
いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、1日あたり、丁度または約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71または72mgより選択される。いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、1日あたり、丁度または約9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57、60、63、66、69、または72mgより選択される。いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、1日9mgである。いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、1日18mgである。いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、1日36mgである。いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、1日54mgである。いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、1日72mgである。
【0065】
いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、3mg TIDである。いくつかの実施態様において、用量は、3mg TIDである。いくつかの実施態様において、用量は、6mg TIDである。いくつかの実施態様において、用量は、9mg TIDである。いくつかの実施態様において、用量は、12mg TIDである。いくつかの実施態様において、用量は、9mg TIDである。いくつかの実施態様において、用量は、18mg TIDである。いくつかの実施態様において、用量は、9mg TIDである。いくつかの実施態様において、用量は、24mg TIDである。
【0066】
いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、1日9mgに漸増される。いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、1日18mgに漸増される。いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、1日36mgに漸増される。いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、1日54mgに漸増される。いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、1日72mgに漸増される。
【0067】
いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、1日あたり、丁度または約54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17mgに漸減される。いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、1日54mgに漸減される。いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、1日36mgに漸減される。いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、1日18mgに漸減される。いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、1日9mgに漸減される。
【0068】
いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量を、最適化用量が投与されるまで、5日ごとに3mg TIDずつ増加させる。いくつかの実施態様において、最適化用量は、3mg TIDである。いくつかの実施態様において、最適化用量は、6mg TIDである。いくつかの実施態様において、最適化用量は、9mg TIDである。いくつかの実施態様において、最適化用量は、12mg TIDである。
【0069】
いくつかの実施態様において、用量調節スキームは、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、約5日間、6mgの化合物1を1日3回に相当する初期用量で処方および/または投与すること、ならびに個体が初期用量に忍容性を示し、かつ個体が十分な反応を示さない場合、用量を増加させることを含む。
【0070】
いくつかの実施態様において、増加させた用量は、9mgの化合物1を1日3回に相当する。
【0071】
いくつかの実施態様において、用量調節スキームは、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を、増加させた用量で約5日間投与することをさらに含む。
【0072】
いくつかの実施態様において、個体が増加させた用量に忍容性を示さない場合、最適化用量は初期用量である。
【0073】
いくつかの実施態様において、個体が増加させた用量に忍容性を示し、かつ個体が十分な反応を示す場合、最適化用量は増加させた用量である。
【0074】
いくつかの実施態様において、用量調節スキームは、最適化用量の化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を個体に投与することをさらに含む。
【0075】
いくつかの実施態様において、個体が増加させた用量に忍容性を示すが、個体が十分な反応を示さない場合、方法は用量を増加させることをさらに含む。
【0076】
いくつかの実施態様において、さらに増加させた用量は、約12mgの化合物1を1日3回に相当する。
【0077】
いくつかの実施態様において、個体がさらに増加させた用量に忍容性を示さない場合、最適化用量は増加させた用量である。
【0078】
いくつかの実施態様において、個体がさらに増加させた用量に忍容性を示し、かつ個体が十分な反応を示す場合、最適化用量はさらに増加させた用量である。
【0079】
いくつかの実施態様において、用量調節スキームは、最適化用量の化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を個体に投与することをさらに含む。
【0080】
いくつかの実施態様において、例えば、個体が化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の最適化用量に忍容性を示さないとき、方法は、漸減スキームをさらに含む。いくつかの実施態様において、漸減スキームは、個体に投与される化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量を、1日当たり、丁度または約1、2、3、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12mgずつ減少させることを含む。いくつかの実施態様において、漸減スキームは、個体に投与される化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量を1回減少させること含む。いくつかの実施態様において、漸減スキームは、個体に投与される化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量を2回以上減少させること含む。いくつかの実施態様において、漸減スキームは、個体に投与される化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量を、個体が化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を投与されなくなるまで、5日ごとに3mg TIDずつ減少させることを含む。
【0081】
いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、観察される副作用に対処するために漸減される。いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用量は、離脱誘発副作用のリスクを最小限にするために漸減される。
【0082】
いくつかの実施態様において、個体は、抗けいれん薬または抗発作薬も投与されている。いくつかの実施態様において、個体は、発作間欠期てんかん様発射を抑制するのに有効な抗けいれん薬(例えば、ベンゾジアゼピン、バルプロ酸およびラモトリジン)も投与されている。いくつかの実施態様において、個体は、免疫調節治療(例えば、コルチコステロイド、静脈内免疫グロブリン(IVIG)、プラスマフェレシス)も投与されている。いくつかの実施態様において、個体は、ケトン食も投与されている。
【0083】
また、標準的用量の化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物、所望により1つ以上の医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。また、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物、所望により1つ以上の医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。担体は、製剤の他の成分と適合性があり、それを受け取るものに過度に有害ではないという意味で「許容可能」でなければならない。
【0084】
いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物は、未加工のまたは純粋な化学物質として、例えばカプセル製剤中の粉末として投与される。
【0085】
いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物は、1つ以上の医薬的に許容される担体をさらに含む医薬組成物として製剤化される。
【0086】
医薬組成物は、適切な任意の方法によって、典型的には、活性化合物を液体もしくは細かく砕かれた固体担体またはその両方と必要な割合で均一に混合し、その後、必要に応じて、得られた混合物を所望の形状に成形することによって、製造され得る。
【0087】
従来の添加剤、例えば結合剤、賦形剤、許容される湿潤剤、打錠滑沢剤および崩壊剤を、経口投与用の錠剤またはカプセル剤で用い得る。本明細書に記載の化合物は、当業者に周知の技術を用いて医薬組成物に製剤化され得る。本明細書で言及したもの以外の適切な医薬的に許容される担体は当該技術分野で公知であり、例えばRemington, The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, 2000, Lippincott Williams & Wilkins, (Editors: Gennaro et al.)参照。
【0088】
いくつかの実施態様において、化合物1、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物は、経口投与に適した方法で製剤化される。
【0089】
経口投与のために、医薬組成物は、例えば錠剤またはカプセル剤の形態であり得る。医薬組成物は、好ましくは、特定の量で活性成分を含有する投与単位の形態で作られる。このような投与単位の例は、従来の添加物、例えばラクトース、マンニトール、コーンスターチまたはバレイショデンプン;結合剤、例えば結晶セルロース、セルロース誘導体、アカシア、コーンスターチまたはゼラチン類;崩壊剤、例えばコーンスターチ、バレイショデンプンまたはカルボキシメチルセルロースナトリウム;および滑沢剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウムを含む、カプレット剤、錠剤、散剤、顆粒剤または懸濁剤である。固形形態の製剤としては、散剤、錠剤、丸剤、カプレット剤、カシェ剤、坐剤および分散性顆粒剤が挙げられる。固形担体は、希釈剤、着香剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤またはカプセル化物質としての機能し得る1つ以上の物質であり得る。
【0090】
散剤において、担体は、細かく砕かれた個体であり、細かく砕かれた活性成分との混合物である。
【0091】
錠剤において、活性成分は、必要な結合能力を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状およびサイズに圧縮される。
【0092】
散剤および錠剤は、様々な割合量の活性化合物を含み得る。散剤および錠剤中の代表的な量は、0.5~約90%の活性化合物であり得る。しかしながら、当業者は、この範囲以外の量が必要なときを知っている。散剤および錠剤の適切な担体としては、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどが挙げられる。用語「製剤(preparation)」は、活性化合物と、活性化合物が担体と共にまたは伴わずに、担体に囲まれ、故にそれと結合しているカプセルを提供する担体としてのカプセル化材料の製剤(formulation)を含む。同様に、カシェ剤およびロゼンジが含まれる。錠剤、散剤、カプレット剤、丸剤、カシェ剤およびロゼンジ剤は、経口投与に適した固体形態として用いられ得る。
【0093】
経口投与の場合、医薬組成物は、胃瘻チューブまたは経皮内視鏡的胃瘻チューブを介した投与に適した形態であり得る。
【0094】
医薬製剤は、好ましくは単位投与形態である。このような形態では、製剤は、適切な量の活性成分を含む単位用量に分割される。単位投与形態は、包装された製剤であり得て、包装は、個別の量の製剤、例えば包装された錠剤またはカプレット剤を含む。また、単位投与形態は、カプセル剤または錠剤そのものであってもよく、あるいはこれらのいずれかを適切な数を包装した形態であってもよい。
【0095】
更なる実施態様は、以下の実施例に記載する実施態様を含むが、これはいかなる意味においても限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0096】
実施例1:健常な被験者での単回漸増用量試験
健常な被験者での単回漸増用量試験を実施し、健常な被験者に投与された化合物1(「試験薬物」)の単回用量の薬物動態(PK)、薬力学(PD)、安全性および忍容性を評価した。
【0097】
試験薬物は、ヒト5-HT2c受容体に対する44nMの低ナノモル結合親和性と、5-HT2aおよび5-HT2bに対する200倍を超える選択性を有する、強力で選択性の高い5-HT2cスーパーアゴニストである。試験薬物は、発達性てんかん性脳症(DEE)の処置のために開発されている。
【0098】
これは、年齢が18~55歳で、ボディマス指数(BMI)が18.5~30.0kg/m2である健常成人における、無作為化二重盲検プラセボ対照単回漸増用量試験であった。被験者を、空腹状態下で、1、3、6、12または24mgのカプセル製剤で粉末の単回用量を投与されるように無作為に分けた。各コホートは、6名の実薬被験者と2名のプラセボ被験者で構成された。連続的な血漿および尿のPK、およびプロラクチンのサンプルを72時間まで採取した。安全性を、インフォームドコンセントの署名からフォローアップ来院まで継続的に評価した。
【0099】
平均年齢35.0歳、BMI24.0kg/m2の40名の女性被験者が登録された。試験薬物は急速に吸収され、投与後1~1.5時間でピーク血漿濃度に達した。消失半減期は、約5~7時間であった。ピークおよび総曝露は用量と共に増加したが、特に高用量では、増加は用量比例よりわずかに大きいと考えられる。投与された用量の5%未満(<5%)が腎臓から排出された。したがって、代謝が主なクリアランス経路であると考えられる。
【0100】
絶食条件下で単回投与後の平均PKパラメーター(SD)を以下に示す。
【表1】
【0101】
プロラクチンは用量および濃度依存的に2時間以内に増加し、6mg用量と12mg用量の間では用量比例より大きな増加がみられた。試験薬物を投与された被験者のプロラクチンレベルは用量間で大きなばらつきがあり、かなりの重複があったが、2時間での平均%CFBは用量依存的に増加し、6mg用量と12mg用量の間では用量比例より大きな増加がみられた。投与後24時間までに、プロラクチンレベルは6mg用量レベルでのみベースラインに戻った。プラセボおよび1mg用量群では、2時間で最初に低下し、その後24時間でより高いプロラクチン濃度がみられたが、これは日内変動とデータのばらつきの結果である可能性がある。
【0102】
最も多い治療中に発現した有害事象は、頭痛、体位性めまいおよび悪心であり、その重症度は軽度から中等度であった。
【0103】
要約すると、試験薬物は、単回経口用量の試験薬物PIC製剤を投与した後、全身循環に急速に吸収された。ピーク血漿濃度は、単回経口用量として1~24mgを投与した後、1.02~1.54時間の中央値Tmax範囲で観察された。試験薬物の平均半減期は、1~24mgの用量群で4.67~6.66時間の範囲であった。用量の5%未満が腎経路により排出されたため、排出の大部分は代謝によって生じたと考えられる。
【0104】
実施例2:健常な被験者での複数回漸増用量試験
健常な被験者における試験薬物の無作為化二重盲検プラセボ対照複数回漸増用量試験を実施して、試験薬物の複数回用量のPK、PD、安全性、忍容性を評価した。
【0105】
この試験では、年齢が18~55歳で、BMIが18.5~30.0kg/m2の健康成人を2群に登録した。一方の群の被験者は、14日間にわたり、用量調節なしでカプセル入り粉末を1日3回(8時間ごと)投与され、もう一方の群の被験者は、3日間の用量調節で最高用量を投与された。PKサンプリング日に、被験者は朝の投与前に一晩絶食した。連続的な血漿およびプロラクチンのサンプルを1日目および14日目に採取し、尿サンプルを14日目に採取した。安全性を、インフォームドコンセントの署名からフォローアップ来院まで継続的に評価した。
【0106】
血漿および尿中濃度時間データを、非コンパートメント法を用いて分析し、次の重要なPKパラメーターを示す:Cmax、Tmax、AUCtau、Ctrough、Cav、Vss/F、CL/F、Racc,Cmax、Racc,AUC、T1/2。濃度時間データおよびPKパラメーターを、記述頭頸を用いて要約した。トラフ血漿濃度をプロットして、定常状態を視覚的に評価した。
【0107】
プロラクチン血清濃度を、時点、用量および部位により要約した。プロラクチン値のベースラインからの絶対値およびパーセントの変化を計算し、1日目の投与前の値をベースライン値とみなした。観察されたプロラクチンのデータ、時間に対するベースラインからの絶対値およびパーセントの変化をプロットした。
【0108】
43名の被験者(16M、27F)が登録された。試験薬物は急速に吸収された。TIDで複数回投与すると、顕著な蓄積が生じた。18mg TIDまでの用量では、ほとんどの場合、10日目までに定常状態を達成した。定常状態では、用量の約30%が48時間で腎経路により排出された(非漸増群)。
【0109】
コホートごとの薬物動態パラメーターの要約を以下に示す。
【表2-1】
【表2-2】
【0110】
プロラクチンは用量および濃度依存的に増加し、第1の用量後により大きい増加がみられた。
【0111】
3名の被験者は有害事象のため中止した。治療中に発現した有害事象(TEAE)の大部分は、軽度から中等度であった。最も多いものは、頭痛、傾眠、めまい、体位性めまい、排尿切迫感および起立性低血圧であった。被験者3名で発生した5件のTEAE(すべて試験薬物の投与中止後)は重篤であった。試験薬物24mg TIDによる処置を中止した後、1件の重篤な有害事象が報告され、セロトニン作動薬の突然の中止と一致した。この被験者は3件の重篤なTEAEを占めた。このデータは、発達性およびてんかん性脳症、および他の発作性疾患の更なる発達を裏付けている。
【0112】
要約すると、試験薬物は、試験薬物粉末のカプセル製剤の第1用量の投与後および複数回経口用量の投与後に、全身循環に急速に吸収された。第1および最後の用量後のピーク血漿濃度は、Tmaxの中央値が1.00~2.00時間の間に生じた。
【0113】
ほとんどの被験者は、非用量調節パートにおいて10日間の投与後、定常状態であった。
【0114】
TIDレジメンでの複数回投与は、用量依存的な蓄積をもたらした。AUCtauの蓄積割合は、パートCでは3mgから18mgまで1.75から3.79に増加し、12/24mg用量調節レジメンでは3.25であった。Cmaxの蓄積割合は、パートCでは3mgから18mgまで1.55から3.37に増加し、12/24mgの用量調節レジメンでは2.79とわずかに低下した。
【0115】
定常状態での試験薬物平均半減期は、すべての用量群で一定しており、4.81~6.50時間の範囲であった。
【0116】
定常状態では、用量が3~18mg TID投与レジメンを通して用量の20.9%~32.3%が、48時間で腎経路によって排出された12/24mg TID用量調節レジメンでは、用量の12.3%のみが、48時間で腎経路によって排出された。
【0117】
2時間後のベースラインのプロラクチンレベルからの平均パーセント変化は、用量が3mgから12mgに増加するにつれて増加し、その後は横ばいになった。データは極めてばらつきがあった。
【0118】
実施例3:
第1b/2a相無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間用量漸増試験を実施して、発達性てんかん性脳症の被験者における試験薬物の安全性、忍容性、薬物動態、薬力学および探索的有効性を調べる。
【0119】
試験についての目的および評価項目は以下を含み得る:
【表3-1】
【表3-2】
【0120】
試験は、以下の期間からなる:
・スクリーニング(7日間)/ベースライン(28日間)
・パート1:無作為化および漸増(15日間)
・パート2:維持(60日間)
・パート3:漸減/減量(最大15日間)
・フォローアップ(漸減完了後30日間)
【0121】
忍容性を示す場合、15日間の漸増期間後に12mg TIDの標的最高用量に到達する。二重盲検処置期間は、パート1の無作為化および漸増(15日間)およびパート2の維持(60日間)からなる。
【0122】
パート1:漸増(1~15日目)
漸増期間中に、被験者は、12mg TIDまたは最大忍容用量まで漸増される。漸増期間中の計画された試験薬物またはプラセボの用量漸増ステップは、6mg TID(1~5日目)、9mg TID(6~10日目)および12mg TID(11~15日目)または一致するプラセボTIDである。12mg TIDへの漸増に忍容性を示さない被験者は、用量を9mg TIDに減らし得る。9mg TID Dへの漸増に忍容性を示さない被験者は、用量を6mg TIDに減らし得る。
【0123】
パート2:維持(16~75日目)
6mg TID、9mg TIDまたは12mg TIDの試験薬物のいずれかの用量への漸増、またはプラセボTIDを完了した後、被験者は、60日間の維持期間これらの用量で維持する。維持期間中に、被験者が漸増期間から割り当てられた用量レベルに忍容性を示さない場合、中止される。
【0124】
パート3:漸減/減量(76~80/85/90日目)
漸減/減量期間中に、被験者が試験薬物またはプラセボを服用しなくなるまで、以下のように試験薬物を5日間ごとに3mg TIDずつ減らす:
12mg用量:15日間の漸減/減量期間
・76~80日目(1回目の5日間の減量)=9mgの試験薬物TIDまたはプラセボTID
・81~85日目(2回目の5日間の減量)=6mgの試験薬物TIDまたはプラセボTID
・86~90日目(3回目の5日間の減量)=3mg TIDまたはプラセボTID
9mg用量:10日間の漸減/減量期間
・76~80日目(1回目の5日間の減量)=6mgの試験薬物TIDまたはプラセボ
・81~85日目(2回目の5日間の減量)=3mgの試験薬物TIDまたはプラセボTID
6mg用量:5日間の漸減/減量期間
・76~80日目=3mgの試験薬物TIDまたはプラセボTID
【0125】
1日の総用量は36mgを超えない。
【0126】
以下の組入れ基準をすべて満たし、除外基準のいずれも満たさない被験者は、この試験に参加する資格がある。
【0127】
組入れ基準は以下を含み得る:
・スクリーニング時の年齢が18歳超から65未満で、ボディマス指数(BMI)が35kg/m2未満かつ18kg/m2超の成人男性または女性。
・ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、および他のDEEを含み、そして、被験者/介護者の報告および治験医の評価に基づき、安定した抗発作薬(ASM)処置を受けている間に、スクリーニング前12週間中の4週間当たり平均4回以上の処置抵抗性の計数可能な運動発作を示す、DEEの診断。
a. DEEを有すると特徴付けられるが、ドラベ症候群またはレノックス・ガストー症候群を有しない被験者は、被験者/介護者の履歴および治験医の評価に基づき、以下のすべてを有する:
i. 5歳以下での非誘発発作の発症の既往歴。
ii. 発達遅延の既往歴。
iii. 全般焦点合併てんかん型または複数の全般てんかん型の既往歴。
iv. 遅いまたは乱れた脳波の既往歴。
v. 特発性全般てんかんの既往歴なし。
vi. 被験者/介護者の報告および治験医の評価に基づき、安定したASM処置を受けている間に、スクリーニング前12週間中の4週間当たり平均4回以上の運動発作が観察され、計数可能である。
b. ドラベ症候群を有すると特徴付けられる被験者は、以下のすべてを満たさなければならない:
i. 3~12か月齢の間にそれ以外は健康な乳児において発作の発症。
ii. 全般強直間代発作または一側間代発作または両側間代発作いずれかの発作の既往歴。
iii. 初期の発達は正常であった。
iv. 発達遅延の既往歴。
v. 別の診断の欠如。
vi. 被験者/介護者の報告および治験医の評価に基づき、安定したASM処置を受けている間に、スクリーニング前12週間中の4週間当たり平均4回以上の運動発作が観察され、計数可能である。
そして以下の少なくとも1つ:
vii. 第1の発作型の後、ミオクロニー、全般強直間代、強直、脱力、欠神および/または焦点発達性を含む別の発作型の出現。
viii. 暖かい温度で誘発される発作、および/または病気またはワクチンによる熱、熱い風呂、高レベルの活動および突然の温度変化に関連する発作への長時間曝露、および/または強い自然光および/または蛍光灯ならびに特定の視覚パターンによって誘発される発作。
ix. ドラベ症候群の診断と一致する遺伝子検査結果(病原性、病原性の可能性が高い、意義不明の変異、または決定的ではないが別の診断を裏付ける可能性は低い)。
c. レノックス・ガストー症候群を有すると特徴付けられる被験者は、以下を満たさなければならない:
i. 強直発作または強直/脱力発作の既往歴。
ii. スクリーニング前の6か月以上で、全般強直間代発作、強直-脱力発作、脱力発作、強直発作、ミオクロニー発作または転倒発作を含むがこれらに限定されない、2タイプ以上の全般てんかん。転倒発作は、転倒、怪我、椅子でのへたり込みまたは頭部の地面での打撲につながるか、あるいは発作またはひきつけ時の対象体の体位によって転倒または怪我につながる可能性のある、全身、体幹または頭部を含む発と定義される。
iii. 8歳未満での発作の既往歴。
iv. 発達遅延の既往歴。
v. レノックス・ガストー症候群の診断基準を報告する以前の脳波図の文書(2.5ヘルツ以下の発作間欠期の遅い棘徐波パターンを伴う異常な発作間欠期の脳波背景活動、または発作間欠期の全般性突発性高速活動)。
vi. 被験者/介護者の報告および治験医の評価に基づき、安定したASM処置を受けている間に、スクリーニング前12週間中の4週間当たり平均4回以上の転倒発作が観察される。
・スクリーニング前の4週間以上で、安定用量で1~4個のASMを服用しており、被験者または被験者の法的代理人が試験期間中、レジメンを安定して維持する意思がある。
・てんかんに対するすべての投薬または介入(ケトン食および迷走神経刺激を含む)は、スクリーニング前の4週間安定していなければならず、試験期間中安定なままであることが予想される。
・Gチューブ/PEGチューブ(存在する場合)は、スクリーニング前の少なくとも3か月間設置され、機能している必要がある。経鼻胃管は許可されない。
【0128】
無作為化組入れ基準は以下を含み得る:
・28日間のベースライン期間中に4回以上の運動発作が観察され計数可能であり、最初の14日間に最低2回および次の14日間に2回であり、28日間のベースライン期間中に連続した21日間超で発作を有しない、安定したベースラインである。
・被験者、親または保護者が、治験医の意見において、ベースライン期間中に日誌の記入を遵守している(すなわち、少なくとも80%遵守しているが、欠落日数が合計5日以内である)。
・試験薬物の投与を担う被験者、親または介護者が、試験薬物を正しく投与する方法を理解していることを示す。
【0129】
以下の基準のいずれかに該当する場合、対象体は試験から除外され得る:
・スクリーニング前の3か月以内に人工呼吸器を必要とするてんかん重積の処置のために医療機関に入院した。
・現在または以前に特発性全般てんかん。
・スクリーニング前の6か月以内に迷走神経刺激装置が埋め込まれた、および/またはスクリーニング前の1か月以内に設定が変更された、および/または試験中に変更が予想される。
・スクリーニング来院の6か月以内にケトン食を開始したか、スクリーニング来院の1か月以内に変更されたか、または試験期間中に変更が予想される。
・スクリーニング前の過去1か月(30日間)以内にナトリウム遮断薬、フェニトイン、ホスフェニトイン、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン、エスリカルバゼピン、ラモトリジン、ラコサミド、ルフィナミド、ビガバトリン、チアギャビン、プレガバリンおよびギャバペンチンを用いたドラベ症候群の対象体。
・フェルバメートを現在使用(被験者がスクリーニング前の12か月以上、安定した用量のフェルバメートを服用しており、肝機能および血液学的臨床検査が安定している場合を除く)。
・トピラメートを現在使用(被験者がスクリーニング前の12か月以上、安定した用量のトピラマートを服用しており、体重が安定している場合を除く)。
・フェンフルラミンを使用していた。
・月経周辺期の発作の増悪の明確なパターンがある。
・C-SSRSに基づいて自殺行動のリスクがあると見なされる。被験者が無作為化前の過去6か月間に自殺の意図(念慮項目4または5)があった場合、または過去1年間に自殺行動または未遂があった場合は、被験者を除外し、資格のあるメンタルヘルス専門家(MHP)によるリスク評価を行う必要がある。被験者が発達状態によりC-SSRSを完了できない場合は、権限のある代理人がC-SSRSを完了し得る。治験医はまた臨床判断を用い得るが、その場合はそれをソース文書に文書化しなければならない。
・PHQ-9スコアが9を超えるか、質問9に肯定的な回答をする。
・過去1年以内に、精神障害の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第5版に従った中等度または重度のうつ病、神経性やせ症または過食症の現在または最近の病歴。
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎またはC型肝炎の感染に陽性である。なお、B型肝炎ワクチン接種を受けたことがあり(B型肝炎表面抗体陽性)、過去のB型肝炎感染の他のマーカーが陰性である(例えば、B型肝炎コア抗体陰性)被験者は対象となる。また、C型肝炎抗体陽性の被験者も、定量的ポリメラーゼ連鎖反応によるC型肝炎ウイルス量が陰性である限り、対象となる。
・治験医の意見において、スクリーニング時に異常かつ臨床的に重大な12誘導ECGがある(例えば、第2度または第3度の心ブロック、または男性の場合は450ミリ秒を超える、女性の場合は470ミリ秒を超える補正QT間隔(QTc))。異常ではあるが臨床的に重大ではないECGがある被験者の参加は、治験医または適切な資格を有する代理人の署名により承認され、文書化されなければならない。
・仰臥位または座位の血圧が収縮期血圧で140mmHgを超えるか、または拡張期血圧で90mmHgを超える、あるいは収縮期血圧で90mmHg未満、または拡張期血圧で60mmHg未満である。
・起立性低血圧の兆候または病歴がある。
・仰臥位または座位から起立後3分以内に、持続的に心拍数が30回/分超増加する。
・磁気共鳴画像によって示された進行性神経変性の病歴。
・中等度または重度の腎機能障害がある。
・緑内障の病歴。
・膀胱流出閉塞、尿閉、尿道狭窄、膀胱頸部拘縮、膀胱憩室または膀胱結石を含む、重大な下部尿路病変の既往歴。
・再発性尿路感染症(UTI)の既往歴(過去12か月間に2回以上のUTIが記録されている)、または現在UTIを呈する。
・スクリーニング時に臨床的に重大な基礎肝疾患を示唆する異常な臨床検査結果がある。被験者のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)および/またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)が正常上限値(ULN)の2.5倍を超え、および/またはビリルビン上昇がULNの2倍を超える場合は、医療モニターに相談する必要がある。
・中枢作用性食欲抑制薬;モノアミン酸化酵素阻害薬;セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害薬、セロトニン再取り込み阻害薬を含む、臨床的に相当量のセロトニン作動薬または拮抗薬特性を有する中枢作用性化合物;アトモキセチン、ボルチオキセチン、または他の中枢作用性ノルアドレナリン作動薬または減量促進を目的とした薬物での併用治療を受けている。
・試験中に、CYP1A2の狭治療指数基質の使用。
・CYP1A2の強力または中等度の阻害薬および他の禁止される薬物/薬物クラスの併用。
・試験薬物の初回投与からフォローアップまでの、試験薬物によって曝露が変化する可能性のある薬物の併用。ガイダンスについては最新の治験薬概要書を参照。
・試験薬物の初回投与前の30日以内およびフォローアップ来院までのグレープフルーツジュース、グレープフルーツ、セビリアオレンジ、セントジョーンズワート、またはこれらを含む製品の使用。
・エピディオレックス以外のカンナビジオール製剤の使用。
・テトラヒドロカンナビノールを含むが、処方どおりに服用した他の規制薬物を除く尿薬物検査で陽性。
・不安定で臨床的に重大な神経(試験対象の疾患以外)、精神、心血管、肺、肝臓、腎臓、代謝、胃腸、泌尿器、免疫、造血もしくは内分泌疾患、または被験者の参加能力に影響を与えるか、もしくは試験結果を潜在的に混乱させる可能性のある他の異常。
・肺動脈性高血圧症、心血管疾患または脳血管疾患、例えば心臓弁膜症、心筋梗塞または脳卒中の現在または過去の病歴がある。
【0130】
試験薬物およびプラセボ用量をTIDで投与し、そのたびに120mLの非炭酸水で洗い流す必要がある。用量は食事に関係なく投与し得る。ケトン食を行っている被験者は、安定した食習慣を維持する必要があり、食事は、医学的に必要で文書化されない限り試験中変更してはならない。Gチューブ/PEGチューブにより試験薬物を投与されている被験者には、他の薬物または経腸栄養は同時に投与してはならない。
【0131】
可能な場合、PKサンプリング日に被験者は試験薬物の投与後、約1時間直立(座位、立位または歩行)のままでいることが推奨される。
【0132】
以下の薬物および製剤は、スクリーニング来院(来院1)からフォローアップ来院終了(来院10)まで除外される:
・フェンフルラミン
・ロルカセリン
・ドラベ症候群が既知または疑われる被験者の発作を悪化させ得る薬物、例えば、ナトリウム遮断薬、フェニトイン、ホスフェニトイン、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン、エスリカルバゼピン、ラモトリジン、ラコサミド、ルフィナミド、ビガバトリン、チアギャビン、プレガバリンおよびギャバペンチン
・中枢作用性食欲抑制薬;モノアミン酸化酵素阻害薬;セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害薬、セロトニン再取り込み阻害薬を含む、臨床的に相当量のセロトニン作動薬または拮抗薬特性を有する中枢作用性化合物;アトモキセチン、ボルチオキセチン、または他の中枢作用性ノルアドレナリン作動薬または減量促進を目的とした薬物
【0133】
被験者に、試験期間中、アルコールまたは薬物、例えば大麻を摂取しないよう指導する必要がある。被験者に、治験医に相談することなく、OTC製品を含むあらゆる薬物を服用しないよう指示しなければならない。
【0134】
試験薬物またはプラセボは、液体として経口またはGチューブ/PEGチューブによって投与される。詳細な指示は、別の文書で被験者/介護者に提供される。
【0135】
各被験者および/または介護者は、試験薬物を経口またはGチューブ/PEGチューブによってTID投与し、そのたびに120mLの非炭酸水で洗い流すように指示される。1日3回の投与は少なくとも6時間間隔で投与する必要がある。例えば、推奨される投与スケジュールはとしては、朝の用量を起床時、遅くとも午前8時までに、昼の用量を午後3時頃、夜の用量を就寝時、午後10時以降に投与する。用量は食事の有無にかかわらず投与し得る。Gチューブ/PEGチューブにより試験薬物を投与されている被験者には、他の薬物または経腸栄養は同時に投与してはならない。
【0136】
有効性評価
発作頻度
発作頻度を、プラセボに対する試験薬物の抗発作活性の探索的尺度として定量化する。連続変数として用いる場合、発作頻度は、有効性の感度の高い尺度と考えられる。
【0137】
処置前の段階において、既存の治療は安定しており、ベースラインの発作頻度および発作型を、28日間にわたって24時間ごとに日誌に記録する。
【0138】
二重盲検処置期間(パート1および2)中、発作頻度および発作型を、75日間の二重盲検処置期間全体にわたって、1日24時間ごとに電子日誌(e日誌)に記録する。
【0139】
試験を通して、主要介護者または被験者の両方ではなくいずれか一方のみが電子日誌に発作情報を入力し得る。電子日誌は、前日分を含めて毎日の初めに記入することが期待されるが、必要に応じて、発作日誌の記入は発作発生後3日以内に完了してもよい。
【0140】
臨床全般印象度-改善度
処置による全般的な改善レベルを、臨床全般印象度-改善度(CGI-I)を用いて評価する。この尺度は、SoAに記載されている来院時に親/介護者および治験医が記入する。CGI-Iの7段階尺度は次のとおりである:「極めて改善した」(1);「大いに改善した」(2);「わずかに改善した」(3);「変化なし」(4);「わずかに悪化した」(5);「大いに悪化した」(6);「極めて悪化した」(7)。可能な限り、試験を通して同じ評価者がそれぞれの尺度を記入する必要がある。
【0141】
臨床全般印象度-重症度
臨床全般印象度-重症度(CGI-S)は、SoAに記載されている来院時に治験医が評価する。CGI-Sは臨床医が次の質問をする:「この特定の集団に対するあなたの総合的な臨床経験を考慮すると、患者は現時点どの程度の病気であるか?」これは7段階の尺度で評価される:1=正常、全く病気ではない、2=病気の境界、3=軽度の病気、4=中等度の病気、5=著明な病気、6=重度の病気、7=最も重篤な病気の患者の1人。可能な限り、試験を通して同じ評価者がそれぞれの尺度を記入する必要がある。
【0142】
小児てんかんにおけるクオリティ・オブ・ライフ質問票
小児てんかんにおける55項目のクオリティ・オブ・ライフ質問票(QOLCE-55)は、小児における生活機能と幸福に対するてんかんの影響を測定する55項目の質問票である;しかしながら、この尺度は、患者が報告するクオリティ・オブ・ライフの尺度を記入できない可能性のあるDEE関連認知障害を有する若年成人に使用されている。QOLCE-55は4つの領域を含む:認知機能(22項目)、感情機能(17項目)、社会機能(7項目)および身体機能(9項目)。質問票は、被験者の親/介護者が記入する必要がある。より高いスコアは、より良好なクオリティ・オブ・ライフおよび/またはより高い幸福を示す。可能な限り、試験を通して同じ評価者がそれぞれの尺度を記入する必要がある。
【0143】
本開示は、上記の例を参照して説明されているが、改変および変更が本開示の精神および範囲内で包含されることが理解される。上記の様々な実施態様を組み合わせて、更なる実施態様を提供し得る。本明細書で言及され、および/またはアプリケーションデータシートに記載されるすべての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物は、その全体として出典明示により本明細書の一部とする。実施態様の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願および刊行物の概念を採用して更なる実施態様を提供するために、変更し得る。
【0144】
これらおよび他の変更は、上記の詳細な説明に照らして、実施態様に対して行い得る。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を本明細書および特許請求の範囲に開示される特定の実施態様に限定するものとして解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が有する同等物の全範囲とともに、すべての可能な実施態様を含むものとして解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示によって限定されるものではない。
【国際調査報告】