(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-18
(54)【発明の名称】自己複製RNA及びその使用配列表 本出願は、電子形態の配列表とともに出願される。配列表の全内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
(51)【国際特許分類】
C12N 15/50 20060101AFI20250311BHJP
C12N 15/40 20060101ALI20250311BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20250311BHJP
A61K 39/215 20060101ALI20250311BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20250311BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20250311BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20250311BHJP
A61K 9/127 20250101ALI20250311BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20250311BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20250311BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20250311BHJP
A61K 31/711 20060101ALI20250311BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
C12N15/50 ZNA
C12N15/40
C12N15/63 Z
A61K39/215
A61P11/00
A61P31/14
A61P37/04
A61K9/127
A61K9/107
A61K9/51
A61K9/14
A61K31/711
A61K48/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547567
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 IB2022051021
(87)【国際公開番号】W WO2023148527
(87)【国際公開日】2023-08-10
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523296092
【氏名又は名称】セキラス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】アレン,ピラダ
(72)【発明者】
【氏名】デ・ソウザ,イヴナ
(72)【発明者】
【氏名】ウェン,インシア
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チェン
(72)【発明者】
【氏名】イ,チャングン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076AA19
4C076AA29
4C076AA65
4C076BB11
4C076CC06
4C076CC07
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4C084MA24
4C084MA38
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4C084ZB02
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4C085AA03
4C085BA71
4C085DD62
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA22
4C086MA24
4C086MA38
4C086MA43
4C086MA55
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZB02
4C086ZB09
4C086ZB33
(57)【要約】
本開示は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)由来の抗原をコードする自己複製RNA及びその使用に関する。具体的には、本開示は、サブゲノムプロモーターに作動可能に結合した抗原をコードするヌクレオチド配列を含む自己複製RNA又はモノシストロン性自己複製RNAを提供し、抗原は、SARS-CoV-2由来であり、抗原は、スパイク(S)タンパク質又はヌクレオカプシド(N)タンパク質である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブゲノムプロモーターに作動可能に結合した抗原をコードするヌクレオチド配列を含む自己複製RNAであって、前記抗原が、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)由来である、自己複製RNA。
【請求項2】
サブゲノムプロモーターに作動可能に結合した抗原をコードするヌクレオチド配列を含むモノシストロン性自己複製RNAであって、前記抗原が、SARS-CoV-2由来である、モノシストロン性自己複製RNA。
【請求項3】
前記抗原が、スパイク(S)タンパク質又はヌクレオカプシド(N)タンパク質である、請求項1又は2に記載の自己複製RNA。
【請求項4】
前記Sタンパク質が、配列番号1に示される配列によってコードされる、請求項3に記載の自己複製RNA。
【請求項5】
前記Sタンパク質が、変異Sタンパク質である、請求項3に記載の自己複製RNA。
【請求項6】
前記変異Sタンパク質が、
(i)S1/S2境界でフリン切断部位を欠き、配列番号18のヌクレオチド682~685に対応する残基でRRARからQQAAへの変異を含む、かつ/又は
(ii)S2’部位でフリン切断部位を欠く、かつ/又は
(iii)配列番号18のヌクレオチド614に対応する残基でDからGへの変異を含む、かつ/又は
(iv)配列番号18のヌクレオチド986及び987に対応する残基間で2つのプロリン残基の挿入を含む、請求項5に記載の自己複製RNA。
【請求項7】
前記変異Sタンパク質が、配列番号2~7及び/又は配列番号19~23のうちのいずれか1つに示される配列によってコードされる、請求項5又は6に記載の自己複製RNA。
【請求項8】
前記Nタンパク質が、配列番号8に示される配列によってコードされる、請求項3に記載の自己複製RNA。
【請求項9】
SGプロモーターが、配列番号9に示される配列によってコードされる、請求項1~8のいずれか一項に記載の自己複製RNA。
【請求項10】
前記自己複製RNAが、アルファウイルス由来である、請求項1~9のいずれか一項に記載の自己複製RNA。
【請求項11】
前記アルファウイルスが、セムリキ森林ウイルス(SFV)、シンドビスウイルス(SIN)、及びベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の自己複製RNA。
【請求項12】
前記RNAが、配列番号10~17のうちのいずれか1つに示される配列によってコードされる、請求項1~11のいずれか一項に記載の自己複製RNA。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の自己複製RNAを含む、免疫原性組成物。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の複数の自己複製RNAを含み、各自己複製RNAが、異なるポリペプチド抗原配列をコードする、請求項13に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の免疫原性組成物と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項16】
脂質ナノ粒子(LNP)、ポリマー微粒子、又は水中油型エマルジョンを更に含む、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記自己複製RNAが、LNP、ポリマー微粒子、又は水中油型エマルジョンにカプセル化、結合、又は吸着している、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
ワクチンとしての使用のための、請求項13若しくは14に記載の免疫原性組成物、又は請求項15~17のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
SARS-CoV-2感染症、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)、急性呼吸器疾患症候群(ARDS)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される疾患若しくは状態の治療又は予防又は進行を遅延することにおける使用のための、請求項13若しくは14に記載の免疫原性組成物、又は請求項15~17のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
対象において疾患若しくは状態を治療する、又は予防する、又は進行を遅延する方法であって、それを必要とする対象に、請求項13若しくは14に記載の免疫原性組成物、又は請求項15~17のいずれか一項に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【請求項21】
疾患若しくは状態を治療する、又は予防する、又は進行を遅延することを必要とする対象においてそれを実施するための医薬品の製造における、請求項1~12のいずれか一項に記載の自己複製RNA、又は請求項13又は14に記載の免疫原性組成物、又は請求項15~17のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項22】
前記疾患又は状態が、SARS-CoV-2感染症、COVID-19、ARDS、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項20に記載の方法、又は請求項21に記載の使用。
【請求項23】
対象において免疫応答を誘導する方法であって、それを必要とする対象に、請求項13若しくは14に記載の免疫原性組成物、又は請求項15~17のいずれか一項に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【請求項24】
前記免疫応答が、液性及び/又は細胞媒介性免疫応答である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
免疫応答を誘導することを必要とする対象においてそれを実施するための医薬品の製造における、請求項1~12のいずれか一項に記載の自己複製RNA、又は請求項13若しくは14に記載の免疫原性組成物、又は請求項15~17のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項26】
請求項1~12のいずれか一項に記載の自己複製RNAをコードするポリヌクレオチド。
【請求項27】
前記ポリヌクレオチドが、組換えDNAである、請求項26に記載のポリヌクレオチド。
【請求項28】
前記組換えDNAが、プラスミドである、請求項27に記載のポリヌクレオチド。
【請求項29】
前記プラスミドが、配列番号10~17のうちのいずれか1つに示される配列を含む、請求項28に記載のポリヌクレオチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)由来の抗原をコードする自己複製RNA及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2019年後半に、中国でヒトにおいて新規重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)が特定され、重度感染性コロナウイルス疾患2019(COVID-19)の原因となっている。2019年12月以降、このウイルスの世界的な拡散は、すべての国に広がっており、世界保健機関(WHO)は、2020年3月11日にアウトブレイクをパンデミックと宣言した。このウイルスによるヒト感染は、高い伝染率で広範な臨床スペクトルを示す。世界の感染数及び死亡率は上昇し続け、感染数は5400万人を超え、3500万人が回復、これまでに130万人超が死亡した。
【0003】
ワクチンは、この感染性疾患を予防する重要な健康介入である。このパンデミックでは、複数のワクチンの前例のない開発が見られ、これまでに200を超えるワクチンが開発され、30を超えるワクチンが臨床試験、複数のワクチンがフェーズ3にあった。ハムスターチャレンジモデルにおける組換えSARS-CoVタンパク質の早期研究は、このアプローチが免疫原性及び保護的であることを実証したので、開発されたワクチンの大部分は、免疫系を喚起してSARS-COV-2スパイクタンパク質(又はSタンパク質)を認識しようと試みている。
【0004】
しかしながら、現在、SARS-CoV-2に対する承認された治療及び/又は予防ワクチンはない。よって、SARS-CoV-2に対する具体的かつ効率的なワクチンを開発する必要性が残る。また、そのようなワクチンは、特にパンデミック中に、十分な量で、インフルエンザワクチンの製造に使用される現在の卵ベースの技法よりも迅速に産生することができることが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)抗原に対する自己複製RNAの発明者らの特定に基づく。
【0006】
本発明者らの発見は、SARS-CoV-2抗原に対する自己複製RNAの基礎を提供する。本発明者らによる発見はまた、SARS-CoV-2抗原に対するモノシストロン性自己複製RNAの基礎を提供する。更に、本発明者らによる発見は、対象における疾患若しくは障害(例えば、SARS-COV-2感染症、COVID-19、及び/又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療する、又は予防する、又は進行を遅延する方法の基礎を提供する。
【0007】
したがって、本開示は、サブゲノム(SG)プロモーターに作動可能に結合した抗原をコードするヌクレオチド配列を含む自己複製RNAを提供し、抗原は、SARS-CoV-2由来である。
【0008】
本開示はまた、SGプロモーターに作動可能に結合した抗原をコードするヌクレオチド配列を含むモノシストロン性自己複製RNAを提供し、抗原は、SARS-CoV-2由来である。
【0009】
一例では、抗原は、スパイク(S)タンパク質又はヌクレオカプシド(N)タンパク質である。一例では、抗原は、SARS-CoV-2株2019-nCoV/USA-WA1/2020由来のSARS-CoV-2 Nタンパク質又はSタンパク質である。
【0010】
一例では、抗原は、Sタンパク質である。例えば、Sタンパク質は、配列番号1に示される配列によってコードされる。
【0011】
別の例では、Sタンパク質は、変異Sタンパク質である。
【0012】
一例では、変異Sタンパク質は、受容体結合ドメインに変異を含む。例えば、変異は、S438F、N439K、N440K、L441I、K444R、V445A、V445I、G446V、G446S、N450K、L452R、L452P、L455F、K458N、N460T、D467V、I468F、I468T、I468V、E471O、I472V、A475V、G476S、S477G、S477I、S477N、S477R、T478I、P479L、P479L、P479S、N481D、N481H、V483F、V483A、E484D、E484K、E484K、E484O、G485S、Y489H、Y489D、Y489F、Y489C、Y489N、F490L、F490S、P491R、Q493L、S494P、Y495N、T500N、N501S、及びY505H、Y508Hからなる群から選択される。一例では、変異Sタンパク質は、N439K、N439L、L452R、S477N、T478I、V483A、及びE484Dからなる群から選択される受容体結合ドメインに変異を含む。
【0013】
一例では、変異Sタンパク質は、P337S、F338L、F338C、G339D、E340K、V341I、A344S、T345S、R346K、A348S、A348T、W353R、N354D、N354K、N354S、S359N、D364Y、V367F、S373L、V382L、P384L、P384S、T385A、T393P、V395I、F400C、R403K、R403S、D405V、R408I、Q414E、Q414K、Q414P、Q414R、T415S、K417R、K417N、I418V、Y421S、Y423C、Y423F、Y423S、D427Y、R509K、V510L、V511E、V512L、L518I、H519O、A520S、A520V、P521R、P521S、A522P、A522S、及びD614Gからなる群から選択される変異を含む。
【0014】
一例では、変異Sタンパク質は、L18F、D80A、T95I、Y144S、Y145N、D215G、P337S、F338L、F338C、G339D、E340K、V341I、A344S、T345S、R346K、A348S、A348T、W353R、N354D、N354K、N354S、S359N、D364Y、V367F、S373L、V382L、P384L、P384S、T385A、T393P、V395I、F400C、R403K、R403S、D405V、R408I、Q414E、Q414K、Q414P、Q414R、T415S、K417N、K417T、K417R、I418V、Y421S、Y423C、Y423F、Y423S、D427Y、S438F、N439K、N440K、L441I、K444R、V445A、V445I、G446V、G446S、N450K、L452R、L452P、L455F、K458N、N460T、D467V、I468F、I468T、I468V、E471O、I472V、A475V、G476S、S477G、S477I、S477N、S477R、T478I、T478K、P479L、P479S、N481D、N481H、V483F、V483A、E484D、E484K、E484K、E484O、G485S、Y489H、Y489D、Y489F、Y489C、Y489N、F490L、F490S、P491R、Q493L、S494P、Y495N、T500N、N501S、N501Y、Y505H、Y508H、R509K、V510L、V511E、V512L、L518I、H519O、A520S、A520V、P521R、P521S、A522P、A522S、A570D、D614G、P680H、P681H、A701V、T716I、及びD950Nからなる群から選択される変異を含む。
【0015】
一例では、変異Sタンパク質は、(i)S1/S2境界でフリン切断部位を欠き、配列番号18のヌクレオチド682~685に対応する残基でRRARからQQAAへの変異を含み、かつ/又は(ii)S2’部位でフリン切断部位を欠き、かつ/又は(iii)配列番号18のヌクレオチド614に対応する残基でDからGへの変異を含み、(iv)配列番号18のヌクレオチド986及び987に対応する残基間で2つのプロリン残基の挿入を含む。
【0016】
一例では、Sタンパク質は、S1/S2境界でフリン切断部位を欠き、配列番号18のヌクレオチド682~685に対応する残基でRRARからQQAAへの変異を含む。例えば、変異Sタンパク質は、配列番号2に示される配列によってコードされる。
【0017】
一例では、Sタンパク質は、S2’部位でフリン切断部位を欠く。
【0018】
一例では、Sタンパク質は、配列番号18のヌクレオチド614に対応する残基でDからGへの変異を含む。例えば、変異Sタンパク質は、配列番号7に示される配列によってコードされる。
【0019】
一例では、Sタンパク質は、配列番号18のヌクレオチド986及び987に対応する残基間で2つのプロリン残基の挿入を含む。
【0020】
一例では、Sタンパク質は、(i)S1/S2境界でフリン切断部位を欠き、配列番号18のヌクレオチド682~685に対応する残基でRRARからQQAAへの変異を含み、(ii)S2’部位でフリン切断部位を欠く。例えば、変異Sタンパク質は、配列番号5に示される配列によってコードされる。
【0021】
一例では、Sタンパク質は、(i)S1/S2境界でフリン切断部位を欠き、配列番号18のヌクレオチド682~685に対応する残基でRRARからQQAAへの変異を含み、(ii)配列番号18のヌクレオチド614に対応する残基でDからGへの変異を含む。例えば、変異Sタンパク質は、配列番号4に示される配列によってコードされる。
【0022】
一例では、Sタンパク質は、(i)S1/S2境界でフリン切断部位を欠き、配列番号18のヌクレオチド682~685に対応する残基でRRARからQQAAへの変異を含み、(ii)配列番号18のヌクレオチド986及び987に対応する残基間で2つのプロリン残基の挿入を含む。例えば、変異Sタンパク質は、配列番号3に示される配列によってコードされる。
【0023】
一例では、Sタンパク質は、(i)S1/S2境界でフリン切断部位を欠き、配列番号18のヌクレオチド682~685に対応する残基でRRARからQQAAへの変異を含み、(ii)S2’部位でフリン切断部位を欠き、(iii)配列番号18のヌクレオチド614に対応する残基でDからGへの変異を含む。例えば、変異Sタンパク質は、配列番号6に示される配列によってコードされる。
【0024】
一例では、Sタンパク質は、(i)S1/S2境界でフリン切断部位を欠き、配列番号18のヌクレオチド682~685に対応する残基でRRARからQQAAへの変異を含み、(ii)S2’部位でフリン切断部位を欠き、(iii)配列番号18のヌクレオチド986及び987に対応する残基間で2つのプロリン残基の挿入を含む。
【0025】
一例では、Sタンパク質は、(i)S2’部位でフリン切断部位を欠き、(ii)配列番号18のヌクレオチド614に対応する残基でDからGへの変異を含む。
【0026】
一例では、Sタンパク質は、(i)S2’部位でフリン切断部位を欠き、(ii)配列番号18のヌクレオチド986及び987に対応する残基間で2つのプロリン残基の挿入を含む。
【0027】
一例では、Sタンパク質は、(i)S2’部位でフリン切断部位を欠き、(ii)配列番号18のヌクレオチド614に対応する残基でDからGへの変異を含み、(iii)配列番号18のヌクレオチド986及び987に対応する残基間で2つのプロリン残基の挿入を含む。
【0028】
一例では、Sタンパク質は、(i)配列番号18のヌクレオチド614に対応する残基でDからGへの変異を含み、(ii)配列番号18のヌクレオチド986及び987に対応する残基間で2つのプロリン残基の挿入を含む。
【0029】
一例では、Sタンパク質は、(i)S1/S2境界でフリン切断部位を欠き、配列番号18のヌクレオチド682~685に対応する残基でRRARからQQAAへの変異を含み、(ii)S2’部位でフリン切断部位を欠き、(iii)配列番号18のヌクレオチド614に対応する残基でDからGへの変異を含み、(iv)配列番号18のヌクレオチド986及び987に対応する残基間で2つのプロリン残基の挿入を含む。
【0030】
一例では、Sタンパク質は、配列番号18のヌクレオチド501に対応する残基でNからYへの変異を含む。
【0031】
一例では、Sタンパク質は、配列番号18のヌクレオチド69及び70に対応する2つの残基の欠失を含む。
【0032】
一例では、Sタンパク質は、配列番号18のヌクレオチド144に対応する1つの残基の欠失を含む。
【0033】
一例では、Sタンパク質は、(i)配列番号18のヌクレオチド682~685に対応する残基でRRARからQQAAへの変異を含み、(ii)配列番号18のヌクレオチド69及び70に対応する2つの残基の欠失を含み、(iii)配列番号18のヌクレオチド144に対応する1つの残基の欠失を含み、(iv)配列番号18のヌクレオチド501に対応する残基でNからYへの変異を含み、(v)配列番号18のヌクレオチド614に対応する残基でDからGへの変異を含む。例えば、変異Sタンパク質は、配列番号19に示される配列によってコードされる。
【0034】
一例では、Sタンパク質は、配列番号18のヌクレオチド242~244に対応する3つの残基の欠失を含む。
【0035】
一例では、Sタンパク質は、配列番号18のヌクレオチド417に対応する残基でKからNへの変異を含む。
【0036】
一例では、Sタンパク質は、配列番号18のヌクレオチド484に対応する残基でEからKへの変異を含む。
【0037】
一例では、Sタンパク質は、(i)配列番号18のヌクレオチド682~685に対応する残基でRRARからQQAAへの変異を含み、(ii)配列番号18のヌクレオチド242~244に対応する3つの残基の欠失を含み、(iii)配列番号18のヌクレオチド417に対応する残基でKからNへの変異を含み、(iv)配列番号18のヌクレオチド484に対応する残基でEからKへの変異を含み、(v)配列番号18のヌクレオチド501に対応する残基でNからYへの変異を含み、(vi)配列番号18のヌクレオチド614に対応する残基でDからGへの変異を含む。例えば、変異Sタンパク質は、配列番号20に示される配列によってコードされる。
【0038】
一例では、Sタンパク質は、(i)配列番号18のヌクレオチド682~685に対応する残基でRRARからQQAAへの変異を含み、(ii)配列番号18のヌクレオチド69及び70に対応する2つ残基の欠失を含み、(iii)配列番号18のヌクレオチド242~244に対応する3つの残基の欠失を含み、(iv)配列番号18のヌクレオチド417に対応する残基でKからNへの変異を含み、(v)配列番号18のヌクレオチド484に対応する残基でEからKへの変異を含み、(vi)配列番号18のヌクレオチド501に対応する残基でNからYへの変異を含み、(vii)配列番号18のヌクレオチド614に対応する残基でDからGへの変異を含む。例えば、変異Sタンパク質は、配列番号21に示される配列によってコードされる。
【0039】
一例では、Sタンパク質は、配列番号18のヌクレオチド570に対応する残基でAからDへの変異を含む。
【0040】
一例では、Sタンパク質は、配列番号18のヌクレオチド680に対応する残基でPからHへの変異を含む。
【0041】
一例では、Sタンパク質は、配列番号18のヌクレオチド716に対応する残基でTからIへの変異を含む。
【0042】
一例では、Sタンパク質は、(i)配列番号18のヌクレオチド682~685に対応する残基でRRARからQQAAへの変異を含み、(ii)配列番号18のヌクレオチド69及び70に対応する2つ残基の欠失を含み、(iii)配列番号18のヌクレオチド144に対応する1つの残基の欠失を含み、(iv)配列番号18のヌクレオチド501に対応する残基でNからYへの変異を含み、(v)配列番号18のヌクレオチド570に対応する残基でAからDへの変異を含み、(vi)配列番号18のヌクレオチド614に対応する残基でDからGへの変異を含み、(vii)配列番号18のヌクレオチド680に対応する残基でPからHへの変異を含み、(viii)配列番号18のヌクレオチド716に対応する残基でTからIへの変異を含む。例えば、変異Sタンパク質は、配列番号22に示される配列によってコードされる。
【0043】
一例では、Sタンパク質は、配列番号18のヌクレオチド18に対応する残基でLからFへの変異を含む。
【0044】
一例では、Sタンパク質は、配列番号18のヌクレオチド80に対応する残基でDからAへの変異を含む。
【0045】
一例では、Sタンパク質は、配列番号18のヌクレオチド215に対応する残基でDからGへの変異を含む。
【0046】
一例では、Sタンパク質は、配列番号18のヌクレオチド701に対応する残基でAからVへの変異を含む。
【0047】
一例では、Sタンパク質は、(i)配列番号18のヌクレオチド682~685に対応する残基でRRARからQQAAへの変異を含み、(ii)配列番号18のヌクレオチド18に対応する残基でLからFへの変異を含み、(iii)配列番号18のヌクレオチド80に対応する残基でDからAへの変異を含み、(iv)配列番号18のヌクレオチド215に対応する残基でDからGへの変異を含み、(v)配列番号18のヌクレオチド242~244に対応する3つの残基の欠失を含み、(vi)配列番号18のヌクレオチド417に対応する残基でKからNへの変異を含み、(vii)配列番号18のヌクレオチド484に対応する残基でEからKへの変異を含み、(viii)配列番号18のヌクレオチド501に対応する残基でNからYへの変異を含み、(ix)配列番号18のヌクレオチド614に対応する残基でDからGへの変異を含み、(x)配列番号18のヌクレオチド701に対応する残基でAからVへの変異を含む。例えば、変異Sタンパク質は、配列番号23に示される配列によってコードされる。
【0048】
一例では、変異Sタンパク質は、(i)S1/S2境界でフリン切断部位を欠き、配列番号18のヌクレオチド682~685に対応する残基でRRARからQQAAへの変異を含み、かつ/又は(ii)S2’部位でフリン切断部位を欠き、かつ/又は(iii)配列番号18のヌクレオチド614に対応する残基でDからGへの変異を含み、かつ/又は(iv)配列番号18のヌクレオチド986及び987に対応する残基間で2つのプロリン残基の挿入を含み、かつ/又は(v)配列番号18のヌクレオチド501に対応する残基でNからYへの変異を含み、かつ/又は(vi)配列番号18のヌクレオチド69及び70に対応する2つの残基の欠失を含み、かつ/又は(vii)配列番号18のヌクレオチド144に対応する1つの残基の欠失を含み、かつ/又は(viii)配列番号18のヌクレオチド242~244に対応する3つの残基の欠失を含み、かつ/又は(ix)配列番号18のヌクレオチド417に対応する残基でKからNへの変異を含み、かつ/又は(x)配列番号18のヌクレオチド484に対応する残基でEからKへの変異を含み、かつ/又は(xi)配列番号18のヌクレオチド570に対応する残基でAからDへの変異を含み、かつ/又は(xii)配列番号18のヌクレオチド680に対応する残基でPからHへの変異を含み、かつ/又は(xiii)配列番号18のヌクレオチド716に対応する残基でTからIへの変異を含み、かつ/又は(xix)配列番号18のヌクレオチド18に対応する残基でLからFへの変異を含み、かつ/又は(xx)配列番号18のヌクレオチド80に対応する残基でDからAへの変異を含み、かつ/又は(xxi)配列番号18のヌクレオチド215に対応する残基でDからGへの変異を含み、かつ/又は(xxii)配列番号18のヌクレオチド701に対応する残基でAからVへの変異を含む。
【0049】
一例では、変異Sタンパク質は、配列番号2~7のうちのいずれか1つに示される配列によってコードされる。
【0050】
一例では、変異Sタンパク質は、配列番号2に示される配列によってコードされる。
【0051】
一例では、変異Sタンパク質は、配列番号3に示される配列によってコードされる。
【0052】
一例では、変異Sタンパク質は、配列番号4に示される配列によってコードされる。
【0053】
一例では、変異Sタンパク質は、配列番号5に示される配列によってコードされる。
【0054】
一例では、変異Sタンパク質は、配列番号6に示される配列によってコードされる。
【0055】
一例では、変異Sタンパク質は、配列番号7に示される配列によってコードされる。
【0056】
一例では、変異Sタンパク質は、配列番号2~7及び/又は19~23のうちのいずれか1つに示される配列によってコードされる。
【0057】
一例では、変異Sタンパク質は、配列番号19~23のうちのいずれか1つに示される配列によってコードされる。
【0058】
一例では、変異Sタンパク質は、配列番号19に示される配列によってコードされる。
【0059】
一例では、変異Sタンパク質は、配列番号20に示される配列によってコードされる。
【0060】
一例では、変異Sタンパク質は、配列番号21に示される配列によってコードされる。
【0061】
一例では、変異Sタンパク質は、配列番号22に示される配列によってコードされる。
【0062】
一例では、変異Sタンパク質は、配列番号23に示される配列によってコードされる。
【0063】
一例では、抗原は、Nタンパク質である。例えば、Nタンパク質は、配列番号8に示される配列によってコードされる。
【0064】
一例では、SGプロモーターは、天然SGプロモーターである。例えば、天然SGプロモーターは、由来し、かつ/又は基づく、RNAウイルス(例えば、アルファウイルス)に天然であるプロモーターである。一例では、天然SGプロモーターは、天然アルファウイルスSGプロモーターである。
【0065】
一例では、天然SGプロモーターは、最小SGプロモーターである。例えば、最小SGプロモーターは、転写の開始に必要な最小配列である。一例では、最小天然SGプロモーターは、49ヌクレオチド長である。一例では、最小限の天然SGプロモーターは、配列番号9に示される配列を含むか又はそれからなる配列によってコードされる。
【0066】
一例では、自己複製RNAは、アルファウイルス由来である。例えば、アルファウイルスは、セムリキ森林ウイルス(SFV)、シンドビスウイルス(SIN)、及びベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0067】
一例では、自己複製RNAは、セムリキ森林ウイルス(SFV)由来である。
【0068】
一例では、自己複製RNAは、シンドビスウイルス(SIN)由来である。
【0069】
一例では、自己複製RNAは、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)由来である。
【0070】
一例では、本開示は、配列番号10~17のうちのいずれか1つに示される配列によってコードされる自己複製RNAを提供する。
【0071】
一例では、本開示は、配列番号10(Co5)に示される配列によってコードされる自己複製RNAを提供する。
【0072】
一例では、本開示は、配列番号11(Co6)に示される配列によってコードされる自己複製RNAを提供する。
【0073】
一例では、本開示は、配列番号12(Co16)に示される配列によってコードされる自己複製RNAを提供する。
【0074】
一例では、本開示は、配列番号13(Co17)に示される配列によってコードされる自己複製RNAを提供する。
【0075】
一例では、本開示は、配列番号14(Co48)に示される配列によってコードされる自己複製RNAを提供する。
【0076】
一例では、本開示は、配列番号15(Co49)に示される配列によってコードされる自己複製RNAを提供する。
【0077】
一例では、本開示は、配列番号16(Co58)に示される配列によってコードされる自己複製RNAを提供する。
【0078】
一例では、本開示は、配列番号17(Co59)に示される配列によってコードされる自己複製RNAを提供する。
【0079】
一例では、本開示は、配列番号24(Co77)に示される配列によってコードされる自己複製RNAを提供する。
【0080】
一例では、本開示は、配列番号25(Co78)に示される配列によってコードされる自己複製RNAを提供する。
【0081】
一例では、本開示は、配列番号26(Co79)に示される配列によってコードされる自己複製RNAを提供する。
【0082】
一例では、本開示は、配列番号27(Co80)に示される配列によってコードされる自己複製RNAを提供する。
【0083】
一例では、本開示は、配列番号28(Co81)に示される配列によってコードされる自己複製RNAを提供する。
【0084】
本開示はまた、本開示の自己複製RNAを含む免疫原性組成物を提供する。例えば、本開示の組成物は、投与されるとき、対象において免疫応答を誘導することができる。例えば、組成物の投与は、液性及び/又は細胞媒介性免疫応答を誘導する。一例では、組成物は、対象において液性免疫応答を誘導する。例えば、液性免疫応答は、抗体媒介性免疫応答である。別の例では、組成物は、細胞媒介性免疫応答を誘導する。例えば、細胞媒介性免疫応答は、抗原特異的細胞毒性T細胞の活性化が含む。
【0085】
一例では、免疫原性組成物は、複数の自己複製RNAを含み、各自己複製RNAは、異なるポリペプチド抗原配列をコードする。例えば、異なるポリペプチド抗原配列は、同じウイルスの株由来である(例えば、同じSARS-CoV-2株由来の抗原をコードする)。一例では、異なるポリペプチド抗原配列は、同じウイルスの異なる株由来である(例えば、異なるSARS-CoV-2株由来の抗原をコードする)。一例では、異なるポリペプチド抗原配列は、異なるウイルス由来である(例えば、SARS-CoV-2由来の抗原及び無関係のウイルス、例えば、インフルエンザ由来の抗原をコードする)。
【0086】
本開示はまた、本開示の免疫原性組成物と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。本開示における使用に好適な薬学的に許容される担体は、当業者には明らかであり、かつ/又は本明細書に記載される。
【0087】
一例では、薬学的組成物は、脂質ナノ粒子(LNP)、ポリマー微粒子、及び水中油型エマルジョンを更に含む。例えば、自己複製RNAは、LNP、ポリマー微粒子、及び水中油型エマルジョンにカプセル化、結合、又は吸着している。
【0088】
一例では、薬学的組成物は、LNPを更に含む。例えば、自己複製RNAは、LNPにカプセル化される。別の例では、自己複製RNAは、LNPに結合している。更なる例では、自己複製RNAは、LNPに吸着している。
【0089】
一例では、薬学的組成物は、ポリマー微粒子を更に含む。例えば、自己複製RNAは、ポリマー微粒子にカプセル化される。別の例では、自己複製RNAは、ポリマー微粒子に結合している。更なる例では、自己複製RNAは、ポリマー微粒子に吸着している。
【0090】
一例では、薬学的組成物は、水中油型エマルジョンを更に含む。例えば、自己複製RNAは、水中油型エマルジョンにカプセル化される。別の例では、自己複製RNAは、水中油型エマルジョンに結合している。更なる例では、自己複製RNAは、水中油型エマルジョンに吸着している。更なる例では、自己複製RNAは、水中油型エマルジョンに再懸濁される。
【0091】
本開示はまた、ワクチンとしての使用のための本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を提供する。
【0092】
本開示は更に、本開示の自己複製RNAワクチンをコードするポリヌクレオチドを提供する。例えば、ポリヌクレオチドは、DNAである。一例では、本開示は、本開示の自己複製RNAワクチンをコードするDNAを提供する。
【0093】
本開示は、SARS-2-CoV-2感染症、COVID-19、ARDS、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される疾患若しくは状態の治療又は予防又は進行の遅延における使用のための本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を更に提供する。例えば、本開示は、SARS-2-CoV-2感染症、COVID-19、ARDS、及びそれらの組み合わせの治療における使用のための本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を提供する。一例では、本開示は、SARS-2-CoV-2感染症、COVID-19、ARDS、及びそれらの組み合わせの予防における使用のための本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を提供する。別の例では、本開示は、SARS-2-CoV-2感染症、COVID-19、ARDS、及びそれらの組み合わせの進行の遅延における使用のための本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を提供する。
【0094】
一例では、本開示は、COVID-19の治療又は予防又は進行の遅延における使用のための本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を提供する。例えば、本開示は、COVID-19の治療における使用のための本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を提供する。別の例では、本開示は、COVID-19の予防における使用のための本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を提供する。更なる例では、本開示は、COVID-19の進行の遅延における使用のための本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を提供する。
【0095】
一例では、本開示は、SARS-CoV-2感染症の治療又は予防又は進行の遅延における使用のための本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を提供する。例えば、本開示は、SARS-CoV-2感染症の治療における使用のための本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を提供する。別の例では、本開示は、SARS-CoV-2感染症の予防における使用のための本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を提供する。更なる例では、本開示は、SARS-CoV-2の進行の遅延における使用のための本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を提供する。
【0096】
一例では、本開示は、ARDSの治療又は予防又は進行の遅延における使用のための本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を提供する。例えば、本開示は、ARDSの治療における使用のための本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を提供する。別の例では、本開示は、ARDSの予防における使用のための本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を提供する。更なる例では、本開示は、ARDSの進行の遅延における使用のための本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を提供する。
【0097】
本開示は、対象において疾患若しくは状態を治療する、又は予防する、又は進行を遅延する方法であって、それを必要とする対象に、本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。一例では、本開示は、対象において疾患又は状態を治療する方法であって、それを必要とする対象に、本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。別の例では、本開示は、対象において疾患又は状態を予防する方法であって、それを必要とする対象に、本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。更なる例では、本開示は、対象において疾患又は状態の進行を遅延する方法であって、それを必要とする対象に、本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0098】
一例では、疾患若しくは状態を治療する、又は予防する、又は進行を遅延することを必要とする対象においてそれを実施するための医薬品の製造における、本開示の自己複製RNAの使用を提供する。例えば、疾患又は状態を治療することを必要とする対象においてそれを実施するための医薬品の製造における、本開示の自己複製RNAの使用を提供する。別の例では、疾患又は状態を予防することを必要とする対象においてそれを実施するための医薬品の製造における、本開示の自己複製RNAの使用を提供する。更なる例では、疾患又は状態の進行を遅延することを必要とする対象においてそれを実施するための医薬品の製造における、本開示の自己複製RNAの使用を提供する。
【0099】
一例では、対象は、疾患又は状態に罹患している。一例では、対象は、疾患又は状態に罹患していると診断されている。一例では、対象は、疾患又は状態のための治療を受けている。
【0100】
一例では、疾患又は状態は、SARS-CoV-2感染症、COVID-19、ARDS、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一例では、疾患又は状態は、SARS-CoV-2感染症である。別の例では、疾患又は状態は、COVID-19である。更なる例では、疾患又は状態は、ARDSである。一例では、ARDSは、SARS-CoV-2感染症及び/又はCOVID-19と関連している。例えば、疾患又は状態は、ARDSである。一例では、ARDSは、SARS-CoV-2感染症と関連している。別の例では、疾患又は状態は、ARDSである。一例では、ARDSは、COVID-19と関連している。
【0101】
本明細書に記載される任意の方法の一例では、本開示の自己複製RNAは、対象におけるSARS-CoV-2感染症、COVID-19、及び/又はARDSの発症前又は後に投与される。本明細書に記載される任意の方法の一例では、本開示の自己複製RNAは、対象におけるSARS-CoV-2感染症、COVID-19、及び/又はARDSの発症前に投与される。本明細書に記載される任意の方法の一例では、本開示の自己複製RNAは、対象におけるSARS-CoV-2感染症、COVID-19、及び/又はARDSの発症後に投与される。
【0102】
本明細書に記載される任意の方法の一例では、本開示の自己複製RNAは、対象におけるSARS-CoV-2感染症、COVID-19、及び/又はARDSの検出後に投与される。本明細書に記載される任意の方法の一例では、本開示の自己複製RNAは、SARS-CoV-2感染症の検出後に投与される。別の例では、本開示の自己複製RNAは、SARS-CoV-2感染症の検出後であるが、COVID-19の発症前に投与される。本明細書に記載される任意の方法の更なる例では、本開示の自己複製RNAは、COVID-19の検出後に投与される。本明細書に記載される任意の方法の一例では、本開示の自己複製RNAは、COVID-19の検出後であるが、ARDSの発症前に投与される。本明細書に記載される任意の方法の別の例では、本開示の自己複製RNAは、ARDSの検出後に投与される。
【0103】
一例では、対象は、COVID-19又はARDSを発症するリスクがある。例えば、対象は、COVID-19を発症するリスクがある。更なる例では、対象は、ARDSを発症するリスクがある。
【0104】
一例では、本開示の組成物は、SARS-CoV-2感染症、COVID-19、及び/又はARDSのうちの1つ以上の症状の重症度を低減するか又はその発症を予防するのに十分な量で投与される。SARS-CoV-2感染症、COVID-19、及び/又はARDSの症状は、当業者には明らかであり、かつ/又は本明細書に記載される。
【0105】
本開示は、対象おいて免疫応答を誘導する方法であって、それを必要とする対象に、本開示の自己複製RNA、免疫原性組成物、又は薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0106】
本開示はまた、免疫応答を誘導することを必要とする対象においてそれを実施するための医薬品の製造における、本開示の自己複製RNA、免疫原性組成物、又は薬学的組成物の使用を提供する。
【0107】
一例では、本開示の自己複製RNA、免疫原性組成物、又は薬学的組成物は、液性及び/又は細胞媒介性免疫応答を誘導する。一例では、組成物は、対象において液性免疫応答を誘導する。例えば、液性免疫応答は、抗体媒介性免疫応答である。例えば、中和抗体の産生である。別の例では、組成物は、細胞媒介性免疫応答を誘導する。例えば、細胞媒介性免疫応答は、抗原特異的細胞毒性T細胞の活性化が含む。例えば、T細胞は、CD4 T細胞及び/又はCD8 T細胞である。一例では、T細胞は、CD4 T細胞である。別の例では、T細胞は、CD8 T細胞である。更なる例では、T細胞は、CD4及びCD8 T細胞である。
【0108】
一例では、本開示の自己複製RNA、免疫原性組成物、又は薬学的組成物の投与は、CD4 T細胞媒介性免疫応答を誘導する。
【0109】
一例では、本開示の自己複製RNA、免疫原性組成物、又は薬学的組成物の投与は、CD8 T細胞媒介性免疫応答を誘導する。
【0110】
一例では、本開示の自己複製RNA、免疫原性組成物、又は薬学的組成物の投与は、CD4及びCD8 T細胞媒介性免疫応答を誘導する。
【0111】
一例では、CD4 T細胞媒介性免疫応答は、Th0、Th1、及び/又はTh2応答である。例えば、CD4 T細胞媒介性免疫応答は、Th0応答である。別の例では、CD4 T細胞媒介性免疫応答は、Th1応答である。更なる例では、CD4 T細胞媒介性免疫応答は、Th2応答である。一例では、CD4 T細胞媒介性免疫応答は、Th0及びTh1応答である。別の例では、CD4 T細胞媒介性免疫応答は、Th0及びTh2応答である。更なる例では、CD4 T細胞媒介性免疫応答は、Th1及びTh2応答である。別の例では、CD4 T細胞媒介性免疫応答は、Th0、Th1、及びTh2応答である。
【0112】
一例では、Th0応答サイトカインは、インターロイキン2(IL2+)及び/若しくは腫瘍壊死因子アルファ(TNFa+)を発現し、かつ/又はインターフェロンガンマ(IFNg-)、IL5-、及び/若しくはIL13-について陰性である。例えば、サイトカインは、IL2+である。別の例では、サイトカインは、TNFa+である。一例では、サイトカインは、IFNg-である。別の例では、サイトカインは、IL5-である。更なる例では、サイトカインは、IL13-である。
【0113】
一例では、Th1応答サイトカインは、インターフェロンガンマ(IFNg+)を発現し、かつ/又はIL5-及び/若しくはIL13-について陰性である。例えば、サイトカインは、IFNg+である。別の例では、サイトカインは、IL5-である。更なる例では、サイトカインは、IL13-である。
【0114】
一例では、Th2応答サイトカインは、IL5+及び/若しくはIL13+を発現し、かつ/又はIFNgについて陰性である。例えば、サイトカインは、IL5+である。更なる例では、サイトカインは、IL13+である。例えば、サイトカインは、IFNg-である。
【0115】
本開示はまた、本開示の自己複製RNAをコードするポリヌクレオチドを提供する。例えば、ポリヌクレオチドは、組換えDNAである。一例では、組換えDNAは、プラスミドである。一例では、プラスミドは、配列番号10~17のうちのいずれか1つに示される配列を含む。
【0116】
本開示はまた、対象において疾患若しくは障害(例えば、SARS-CoV-2感染症、COVID-19、及び/又はARDS)の治療又は予防又は進行を遅延することにおける使用のための説明書とともに包装された、任意に送達システム及び/又は薬学的に許容される担体若しくは希釈剤中の、本開示の少なくとも1つの自己複製RNAを含むキットを提供する。
【0117】
本開示はまた、疾患又は障害(例えば、SARS-CoV-2感染症、COVID-19、及び/又はARDS)に罹患しているか、又はそのリスクがある対象に、RNAを投与するための説明書とともに包装された、任意に送達システム及び/又は薬学的に許容される担体若しくは希釈剤中の、本開示の少なくとも1つの自己複製RNAを含むキットを提供する。
【0118】
一例では、本開示の自己複製RNA、免疫原性組成物、又は薬学的組成物は、バイアルで供給される。別の例では、本開示の自己複製RNA、免疫原性組成物、又は薬学的組成物は、シリンジで供給される。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【
図1】Co16によって誘導される抗原特異的T細胞を示す一連のグラフ表現である。(A)S1特異的CD4 T細胞、(B)S1特異的CD8 T細胞、(C)S2特異的CD4 T細胞、(D)S2特異的CD8 T細胞、及び(E)N特異的CD4 T細胞について、誘導される正味(抗原特異的)サイトカイン産生CD4及びCD8 T細胞%を示す。
【
図2】(A)参照Whuan配列、(B)アルファバリアント(B.1.1.7、UK株)、(C)ベータバリアント(B.1.351、南アフリカ株)、(D)ガンマバリアント(P.1、ブラジル株)、及び(E)デルタバリアント(B.1.617.2、インド株)に対する構築物の中和能力を示す一連のグラフ表現である。
【
図3】すべての構築物が(A)参照Whuan配列、(B)アルファバリアント(B.1.1.7、UK株)、(C)ベータバリアント(B.1.351、南アフリカ株)、(D)ガンマバリアント(P.1、ブラジル株)、及び(E)デルタバリアント(B.1.617.2、インド株)に対して高用量及び低用量で総Ig応答を生成したことを示す一連のグラフ表現である。
【
図4】すべての構築物がすべてのバリアントB細胞受容体特異的プローブと反応したS特異的B細胞を生成したことを示すグラフ表現である。非特異的対照(すなわち、ベイト及び陰性対照HA H1なし)は、低レベルのバックグラウンド結合を示した。
【
図5】すべての構築物がS1及びS2エピトープと反応する抗原特異的(A)CD4及び(B)CD8 T細胞を誘導したことを示す一連のグラフ表現である。
【表1-1】
【表1-2】
【発明を実施するための形態】
【0120】
一般
本明細書全体を通して、特に具体的に記載されないか、又は特に文脈が要求しない限り、単一のステップ、組成物、ステップの群、又は組成物の群への言及は、それらのステップ、組成物、ステップの群、又は組成物の群のうちの1つ及び複数(すなわち、1つ以上)を包含すると解釈されるものとする。
【0121】
当業者は、本開示が、具体的に記載されるもの以外の変形及び修飾を受けやすいことを理解するであろう。本開示は、すべてのそのような変形及び修飾を含むことを理解されたい。本開示はまた、個別に又は集合的に、本明細書において言及又は指示されるステップ、特徴、組成物、及び化合物のすべて、並びに当該ステップ又は特徴のうちの任意及びすべての組み合わせ又は任意の2つ以上を含む。
【0122】
本開示は、例示のみの目的を意図する、本明細書に記載される特定の例によって範囲において限定されるべきではない。機能的に等価な産物、組成物、及び方法は、明らかに本開示の範囲内である。
【0123】
本明細書における本開示の任意の例は、特に明記されない限り、本開示の任意の他の例に準用するものとする。別の言い方をすれば、本開示の任意の具体的な例は、本開示の任意の他の具体的な例と組み合わされ得る(相互に排他的な場合を除く)。
【0124】
具体的な特徴若しくは特徴の群又は方法若しくは方法ステップを開示する本開示の任意の例は、具体的な特徴若しくは特徴の群又は方法若しくは方法ステップを否定するための明示的な支持を提供すると解釈されるであろう。
【0125】
特に具体的に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者(例えば、細胞培養、分子遺伝学、免疫学、免疫組織化学、タンパク質化学、及び生化学)によって一般に理解されるものと同じ意味を有すると解釈されるものとする。
【0126】
特に示されない限り、本開示で利用される組換えタンパク質、細胞培養、及び免疫学的技法は、当業者に周知の、標準的な手順である。そのような技法は、J.Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning,John Wiley and Sons(1984),J.Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratory Press(1989),T.A.Brown (editor),Essential Molecular Biology:A Practical Approach,Volumes 1 and 2,IRL Press(1991),D.M.Glover and B.D.Hames(editors),DNA Cloning:A Practical Approach,Volumes 1-4,IRL Press(1995 and 1996),and F.M.Ausubel et al.(editors),Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience(1988,including all updates until present),Ed Harlow and David Lane(editors)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratory,(1988),and J.E.Coligan et al.(editors)Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons(including all updates until present)などの、ソースにおいて文献全体を通して記載及び説明される。
【0127】
「及び/又は」という用語、例えば、「X及び/又はY」は、「X及びY」又は「X若しくはY」のいずれかを意味することが理解され、両方の意味又はいずれかの意味の明示的な支持を提供すると解釈されるものとする。
【0128】
本明細書全体を通して、「comprise」という語、又は「comprises」若しくは「comprising」などの変形は、記載された要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群を含むことを意味するが、任意の他の要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群を除外することを意味しないと理解されるであろう。
【0129】
本明細書で使用される場合、「~に由来する」という用語は、特定の整数が特定のソースから得られ得るが、必ずしもそのソースから直接得られるとは限らないことを示すと解釈されるものとする。同様に、「~に基づく」という用語は、特定の整数が特定のソースから開発又は使用され得るが、必ずしもそのソースから直接開発又は使用されるとは限らないことを示すと解釈されるものとする。
【0130】
選択された定義
本明細書で使用される場合、「自己複製RNA」という用語は、異種RNA及びタンパク質の発現を可能にするように操作されたRNAウイルスに基づく構築物を指す。自己複製RNA(例えば、裸のRNAの形態)は、宿主細胞において増幅し、宿主細胞における所望の遺伝子産物の発現をもたらすことができる。
【0131】
本明細書で使用される場合、自己複製RNAに関して「モノシストロン性」という用語は、1つのポリペプチドをコードするRNAを指す。
【0132】
本明細書で使用される「裸の」という用語は、脂質、ポリマー、及びタンパク質などの、他の巨大分子を実質的に含まない核酸を指す。自己複製RNAなどの、「裸の」核酸は、細胞取り込みを改善するために他の巨大分子とともに製剤化されない。したがって、裸の核酸は、LNP、リポソーム、ポリマー微粒子、又は水中油型エマルジョンにカプセル化、吸収、又は結合していない。
【0133】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド配列」又は「核酸配列」という用語は、ホスホジエステルバックボーンに共有結合した一連の連続したヌクレオチド(又は塩基)を意味すると理解されるであろう。従来、配列は、特に指定されない限り、5’末端から3’末端まで提示される。
【0134】
本明細書で使用される場合、「抗原」という用語は、細胞及び/又は液性免疫応答を誘導、誘発、増強、又はブーストする1つ以上のエピトープを含有する分子又は構造を指す。抗原は、例えば、ウイルス、細菌、真菌、原虫、植物などの病原体由来、又は腫瘍由来のタンパク質及びペプチドを含むことができる。
【0135】
本明細書で使用される場合、「~に作動可能に結合した」という用語は、核酸の発現が要素によって制御又は調節されるように、核酸に対してサブゲノムプロモーターを配置することを意味する。
【0136】
本明細書で使用される場合、「サブゲノムプロモーター」(SG、「ジャンクション領域」プロモーターとしても知られる)という用語は、異種ヌクレオチド配列の発現を指示し、タンパク質発現を調節するプロモーターを指す。
【0137】
「ポリペプチド」又は「ポリペプチド鎖」という用語は、ペプチド結合によって結合した一連の連続したアミノ酸を意味すると理解されるであろう。例えば、タンパク質は、単一のポリペプチド鎖、すなわち、ペプチド結合によって結合した一連の連続したアミノ酸、又は互いに共有結合若しくは非共有結合した一連のポリペプチド鎖(すなわち、ポリペプチド複合体)を含むと解釈されるものとする。一連のポリペプチド鎖は、好適な化学結合又はジスルフィド結合を使用して共有結合することができる。非共有結合の例としては、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス力、及び疎水性相互作用が挙げられる。
【0138】
「組換え」という用語は、人工遺伝子組換えの産物を意味することが理解される。
【0139】
本明細書で使用される場合、「疾患」、「障害」、又は「状態」という用語は、正常な機能の破壊又は干渉を指し、任意の特定の状態に限定されるものではなく、疾患又は障害を含む。
【0140】
本明細書で使用される場合、疾患又は状態を発症する「リスクがある」対象は、検出可能な疾患又は疾患の症状を有していても、有していなくてもよく、本開示による治療の前に検出可能な疾患又は疾患の症状を示していても、有していなくてもよい。「リスクがある」とは、対象が、当該技術分野で既知であり、かつ/又は本明細書に記載される、疾患又は状態の発症と相関する測定可能なパラメータである、1つ以上のリスク因子を有することを示す。
【0141】
本明細書で使用される場合、「治療すること」、「治療する」、又は「治療」という用語は、本明細書に記載されるRNA又は組成物を投与して、それによって特定の疾患又は状態の少なくとも1つの症状を低減又は排除することを含む。
【0142】
本明細書で使用される場合、「予防すること」、「予防する」、又は「予防」という用語は、個体における特定の疾患又は状態の発生又は再発に関する予防を提供することを含む。個体は、疾患を発症する素因又はリスクがあるが、まだ疾患と診断されていない場合がある。
【0143】
本明細書で使用される場合、「~の進行を遅延すること」という用語は、個体における疾患若しくは状態及び/又は疾患若しくは状態の少なくとも1つの症状の進行を低減又は遅延することを含む。
【0144】
「有効量」は、所望の結果を達成するために、必要な投与量及び期間で、少なくとも有効な量を指す。例えば、所望の結果は、治療的又は予防的結果であり得る。有効量は、1回以上の投与で提供することができる。本開示のいくつかの例では、「有効量」という用語は、本明細書で以前に記載される疾患又は状態の治療を行うために必要な量を意味する。本開示のいくつかの例では、「有効量」という用語は、本明細書で以前に記載される疾患又は状態に関連する変化を行うために必要な量を意味する。有効量は、治療される疾患若しくは状態又は改変される因子に応じて、また、体重、年齢、人種的背景、性別、健康及び/又は身体状態、並びに治療される哺乳動物に関連する他の因子に応じて変動し得る。典型的には、有効量は、医療従事者によって日常的な試験及び実験を通して決定することができる比較的広い範囲(例えば、「投与量」範囲)内に該当するであろう。したがって、この用語は、本開示をRNAの特定の量、例えば、重量又は数に限定すると解釈されるものではない。有効量は、単回用量で、又は治療期間にわたって1回若しくは数回繰り返される用量で投与することができる。
【0145】
「治療有効量」は、少なくとも特定の疾患又は状態の測定可能な改善をもたらすために必要な最小濃度である。本明細書における治療有効量は、患者の疾患状態、年齢、性別、及び体重、並びに個体において所望の応答を誘発する本開示のRNAの能力などの因子に従って変動し得る。治療有効量はまた、治療上有益な効果がRNAの任意の毒性又は有害効果を上回るものである。
【0146】
本明細書で使用される場合、「予防有効量」という用語は、本明細書に記載される疾患又は障害の1つ以上の検出可能な症状の発症を予防又は阻害又は遅延するのに十分な量の本開示のRNAを意味すると解釈されるものとする。
【0147】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒト、例えば、哺乳動物を含む任意の動物を意味すると解釈されるものとする。例示的な対象としては、ヒト及び非ヒト霊長類が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、対象は、ヒトである。
【0148】
自己複製RNA
本開示は、自己複製RNA(レプリコンとしても知られる)を提供する。例えば、本開示は、モノシストロン性自己複製RNAを提供する。
【0149】
当業者は、本開示の自己複製RNAが、RNAウイルスのゲノムRNAに基づくことを理解するであろう。RNAは、陽性(+)鎖であるべきであり、ひいては介在する複製ステップ(例えば、逆転写)を必要とせずに、細胞への送達後に直接翻訳することができる。RNAの翻訳は、レプリカーゼ複合体(すなわち、RNA依存的RNAポリメラーゼ)を形成するために組み合わせる非構造タンパク質(NSP)の産生をもたらす。次いで、複合体は、元のRNAを増幅し、アンチセンス及びセンス転写物の両方を産生し、その後翻訳及び転写され得る複数の娘RNAの産生をもたらし、全体的なタンパク質発現を増強する。
【0150】
一例では、本開示の自己複製RNAは、RNAウイルスの非構造タンパク質、5’及び3’非翻訳領域(UTR)、並びに天然サブゲノムプロモーターを含む。
【0151】
一例では、自己複製RNAは、RNAウイルスの1つ以上の非構造タンパク質を含む。例えば、RNAは、ウイルスレプリカーゼ(又はウイルスポリメラーゼ)、ウイルスプロテアーゼ、ウイルスヘリカーゼ、及び他の非構造ウイルスタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子を含む。例えば、自己複製RNAは、ウイルスレプリカーゼ(又はウイルスポリメラーゼ)を含む。
【0152】
本開示における使用に好適なRNAは、5’非翻訳領域(5’ UTR)、3’非翻訳領域(3’ UTR)、及び/又はコード若しくは翻訳配列も含み得ることは、当業者には明らかであろう。加えて、RNAは、5’キャップ構造、鎖終端ヌクレオチド、ステムループ(例えば、ヒストンステムループ)、3’テーリング配列(例えば、ポリアデニル化シグナル又は1つ以上のポリAテール)を含み得る。別の例では、自己複製RNAは、RNAウイルスの5’末端UTR及び3’末端UTRを含む。当業者には、5’及び3’UTRという用語は、5’及び3’保存配列要素(CSE)という用語も包含することが明らかであろう。一例では、自己複製RNAは、5’末端CSE及び3’末端CSEを含む。
【0153】
本開示の自己複製RNAは、感染性ウイルス粒子の産生を誘導することはできない。例えば、本開示の自己複製RNAは、ウイルス粒子の産生に必要な構造タンパク質をコードするウイルス遺伝子を含まない。
【0154】
一例では、自己複製RNAは、アルファウイルスに由来するか、又は基づく。好適なアルファウイルスは、当業者には明らかであり、かつ/又は本明細書に記載される。
【0155】
別の例では、自己複製RNAは、アルファウイルス、例えば、陽性鎖RNAウイルス以外のウイルスに由来するか、又は基づく。本開示における使用に好適な陽性鎖RNAウイルスは、当業者には明らかであり、例えば、ピコルナウイルス、フラビウイルス、ルビウイルス、ペスチウイルス、ヘパシウイルス、カリシウイルス、又はコロナウイルスを含む。
【0156】
アルファウイルス
一例では、本開示の自己複製RNAは、アルファウイルスに由来する(又は基づく)。
【0157】
アルファウイルスは、トガウイルス科における唯一の属であり、陽性センス一本鎖RNAゲノムを有するエンベロープウイルスである。当業者は、アルファウイルスゲノムが、非構造的及び構造的な、2つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含むことを理解するであろう。第1のORFは、ウイルスRNAの転写及び複製に必要な4つの非構造タンパク質(NSP1、NSP2、NSP3、及びNSP4)をコードする。第2は、ヘテロダイマーとして会合する、3つの構造タンパク質:コアヌクレオカプシドタンパク質C、並びにエンベロープタンパク質P62及びE1をコードする。ウイルス膜アンカー表面糖タンパク質は、膜融合を通した受容体認識及び標的細胞への侵入の原因である。
【0158】
一例では、本開示の自己複製RNAは、ウイルスレプリカーゼ(又はウイルスポリメラーゼ)を含む。例えば、ウイルスレプリカーゼは、アルファウイルスレプリカーゼ、例えば、アルファウイルスタンパク質NSP4である。
【0159】
一例では、本開示の自己複製RNAは、1つ以上のアルファウイルス構造タンパク質(例えば、カプシド及び/又はエンベロープ糖タンパク質)をコードしない。例えば、自己複製RNAは、RNA含有アルファウイルスビリオン(すなわち、感染性ウイルス粒子)を産生することができない。
【0160】
一例では、自己複製RNAは、天然アルファウイルスSGプロモーターを含む。例えば、天然アルファウイルスSGプロモーターは、最小SGプロモーター(すなわち、転写の開始に必要な最小配列)であり、配列番号9に示される配列を含む。
【0161】
当業者は、本開示における使用に好適なアルファウイルスを認識しているであろう。例示的なアルファウイルスとしては、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE、例えば、トリニダードロバ、TC83CR)、セムリキ森林ウイルス(SFV)、シンドビスウイルス(SIN)、ロスリバーウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、チクングニアウイルス、S.A.AR86ウイルス、エバーグレーズウイルス、ムカンボウイルス、バーマ森林ウイルス、ミデルバーグウイルス、ピクスナウイルス、オニョンニョンウイルス、ゲタウイルス、サギヤマウイルス、ベバルウイルス、マヤロウイルス、ウナウイルス、アウラウイルス、ワタロアウイルス、バンバンキウイルス、キジラガチウイルス、ハイランドJウイルス、フォートモーガンウイルス、ヌドゥムウイルス、及びバギークリークウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。「アルファウイルス」という用語はまた、キメラアルファウイルス(例えば、Perri et al,(2003)J.Virol.77(19):10394-403によって記載される)を含み得、それらは2つ以上のアルファウイルス由来のゲノム配列を含有する。
【0162】
サブゲノムプロモーター
本開示は、SGプロモーターに作動可能に結合した抗原をコードするヌクレオチド配列を含む自己複製RNAを提供する。
【0163】
本開示における使用に好適なSGプロモーター(「ジャンクション領域」プロモーターとしても知られる)は、当業者には明らかであり、かつ/又は本明細書に記載される。
【0164】
一例では、SGプロモーターは、アルファウイルスSGプロモーターに由来するか、又は基づく。例えば、SGプロモーターは、天然アルファウイルスSGプロモーターである。一例では、天然SGプロモーターは、最小SGプロモーターである。例えば、最小SGプロモーターは、転写の開始に必要な最小配列である。
【0165】
5’非翻訳領域(5’UTR)
一例では、自己複製RNAは、RNAウイルスの5’-UTRを含む。
【0166】
本明細書で使用される場合、「5’-非翻訳領域」又は「5’-UTR」という用語は、翻訳開始配列(AUG)の5’末端に位置するmRNAの非コード領域を指す。
【0167】
一例では、5’UTRは、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)又はその修飾形態の5’UTRである。例えば、5’UTRは、配列番号29に示される配列を含む。
【0168】
一例では、5’UTRは、少なくとも1つのマイクロRNA結合部位、AUリッチ要素(ARE)、GCリッチ要素、ステムループ、及びそれらの組み合わせを含む。
【0169】
マイクロRNA結合部位
本明細書で使用される場合、「マイクロRNA結合部位」という用語は、マイクロRNA(miRNA)と相互作用、会合、又は結合するmiRNAのすべて又は1つの領域に十分な相補性を有するポリクレオチド内(例えば、DNA又はRNA転写物内)の配列を指す。
【0170】
本明細書で使用される場合、「マイクロRNA」又は「miRNA」という用語は、ポリヌクレオチドの5’UTRに結合し、(例えば、翻訳を阻害することによって)遺伝子発現を下方調節する19~25ヌクレオチド長の非コードRNAを指す。本開示の5’UTR中のマイクロRNA結合部位の存在は、5’-UTRの翻訳を阻害するように機能することができる。
【0171】
本開示における使用のための好適なmiRNAは、当業者には明らかであり、かつ/又は本明細書に記載される。
【0172】
一例では、miRNA結合部位は、組織特異的マイクロRNA又は生物学的プロセスを調節するものの結合部位を含む。例えば、肝臓(miR-122)、筋肉(miR-133、miR-206、miR-208)、内皮細胞(miR-17-92、miR-126)、骨髄細胞(miR-142-3p、miR-142-5p、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24、miR-27)、脂肪組織(let-7、miR-30c)、心臓(miR-id、miR-149)、腎臓(miR-192、miR-194、miR-204)、及び肺上皮細胞(let-7、miR-133、miR-126)のmiRNA。例えば、血管新生(miR-132)などの生物学的プロセスを調節するマイクロRNA。更なる例示的なmiRNA及びmiRNA結合部位は、米国特許出願第14/043,927号に開示されている。
【0173】
AUリッチ要素(ARE)
本明細書で使用される場合、「AUリッチ要素(ARE)」又は「AUリッチ要素(ARE)」という用語は、アデオニシン(A)及びウリジン(U)のストレッチを含むヌクレオチド配列の領域を指す。例示的なAREとしては、例えば、細胞質myc(c-myc)、筋芽細胞決定タンパク質1(myoD)、c-Jun、ミオゲニン、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、及び腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0174】
一例では、AREは、ヒト抗原R又は「HuR」(Elavl1としても知られる)特異的結合部位を含む。HuRは、mRNAの安定性を増加させるAREに結合することが知られている。
【0175】
GCリッチ要素
本明細書で使用される場合、「GCリッチ要素」という用語は、アデニン(A)及びチミン(T)/ウラシル(U)と比較して多量のグアニン(G)及び/又はシトシン(C)を有するヌクレオチド配列を指す。ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)中のGCリッチ要素の存在は、mRNAを安定させることができる。
【0176】
一例では、GCリッチ要素は、3、又は4、又は5、又は6、又は7、又は8、又は9、又は10、又は11、又は12、又は13、又は14、又は15、又は16、又は17、又は18、又は19、又は20、又は21、又は22、又は23、又は24、又は25、又は26、又は27、又は28、又は29、又は30ヌクレオチド長の配列を含む。
【0177】
一例では、GCリッチ要素は、30%~40%、又は40%~50%、又は50%~60%、又は60%~70%のシトシンを含む。例えば、GCリッチ要素は、30%~40%のシトシンを含む。例えば、GCリッチ要素は、40%~50%のシトシンを含む。例えば、GCリッチ要素は、50%~60%のシトシンを含む。例えば、GCリッチ要素は、60%~70%のシトシンを含む。
【0178】
一例では、GCリッチ要素は、30%、又は40%、又は50%、又は60%、又は70%のシトシンを含む。例えば、GCリッチ要素は、30%のシトシンを含む。例えば、GCリッチ要素は、40%のシトシンを含む。例えば、GCリッチ要素は、50%のシトシンを含む。例えば、GCリッチ要素は、60%のシトシンを含む。例えば、GCリッチ要素は、60%のシトシンを含む。例えば、GCリッチ要素は、70%のシトシンを含む。
【0179】
一例では、GCリッチ要素は、少なくとも50%のシトシンである。
【0180】
一例では、GCリッチ要素は、少なくとも60%のシトシンである。
【0181】
一例では、GCリッチ要素は、少なくとも70%のシトシンである。
【0182】
一例では、GCリッチ要素は、ヌクレオチド配列CCCCGGCGCCを含む。別の例では、GCリッチ要素は、ヌクレオチド配列CCCCGGCを含む。更なる例では、GCリッチ要素は、ヌクレオチド配列GCGCCCCGCGGCGCCCCGCGを含む。
【0183】
一例では、GCリッチ要素は、配列番号31~33に示されるヌクレオチド配列を含む。一例では、GCリッチ要素は、配列番号31に示されるヌクレオチド配列を含む。別の例では、GCリッチ要素は、配列番号32に示されるヌクレオチド配列を含む。更なる例では、GCリッチ要素は、配列番号33に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0184】
ステムループ
本明細書で使用される場合、「ステムループ」という用語は、ステムループを形成する2つの隣接した完全又は部分的逆相補性配列の分子内塩基対合を含むヌクレオチド配列を指す。ステムループは、一本鎖DNA中又は、より一般的には、RNA中に発生し得る。ステムループはまた、通常、連続した配列内のステム及び末端ループからなるヘアピン又はヘアピンループと称することができ、ステムは、ループをステムループ構造に構築する短い配列によって分離された2つの隣接した完全又は部分的逆相補性配列によって形成される。
【0185】
対合ステムループの安定性は、長さ、それが含有するミスマッチ又はバルジの数、及び対合領域のヌクレオチド組成によって決定される。
【0186】
一例では、ステムループのループは、3~10ヌクレオチド長である。例えば、ステムループのループは、3~8、又は3~7、又は3~6、又は4~5ヌクレオチド長である。
【0187】
一例では、ステムループのループは、4ヌクレオチド長である。
【0188】
一例では、ステムループは、ヒストンステムループである。例えば、ヒストンステムループは、配列番号34に設定されたヌクレオチド配列を含むか、又はそれからなる。
【0189】
Kozakコンセンサス配列
本明細書で使用される場合、「Kozakコンセンサス配列」という用語は、リボソームによって認識される開始コドン(翻訳開始コドンとも称される)を含有することによって遺伝子の翻訳を促進する真核生物遺伝子において特定されたヌクレオチド配列を指す。
【0190】
例示的なKozakコンセンサス配列は、当該技術分野で既知であり、かつ/又は本明細書に記載される。一例では、Kozakコンセンサス配列は、配列番号35に示される。別の例では、Kozakコンセンサス配列は、配列番号36に示される。一例では、Kozakコンセンサス配列は、ACCATGGである。別の例では、Kozakコンセンサス配列は、ACCATGである。
【0191】
3’非翻訳領域(3’-UTR)
一例では、自己複製RNAは、RNAウイルスの3’-UTRを含む。
【0192】
本明細書で使用される場合、「3’-UTR」という用語は、翻訳終結コドン(すなわち、終止コドン)の3’末端に位置するmRNAの領域を指す。
【0193】
一例では、3’UTRは、シンドビスウイルス(SINV)又はその修飾形態の3’UTRである。例えば、3’UTRは、配列番号30に示される配列を含む。
【0194】
一例では、本開示の3’-UTRは、少なくとも1つのマイクロRNA結合部位、AUリッチ要素(ARE)、GCリッチ要素、三重ヘリックス、ステムループ、1つ以上の停止コドン、又はそれらの組み合わせを更に含む。
【0195】
終止コドン
本明細書で使用される場合、「停止コドン」という用語は、リボソームによるタンパク質合成の停止をシグナル伝達するmRNA内のトリヌクレオチド配列を指す。
【0196】
一例では、本開示のポリヌクレオチドは、3’-UTRの5’末端で少なくとも1つの終止コドンを含む。例えば、終止コドンは、UAG、UAA、及びUGAから選択される。
【0197】
一例では、ポリヌクレオチドは、配列UGAUGAを含む2つの連続した終止コドンを含む。
【0198】
一例では、ポリヌクレオチドは、配列UAAUAGを含む2つの連続した終止コドンを含む。
【0199】
3’テーリング配列
本開示のRNAは、3’UTRの3’末端に位置する1つ以上の3’テーリング配列を含む。
【0200】
本明細書に記載されるように、「3’テーリング配列」又は「3’テーリング配列」という用語は、mRNAの3’末端に位置するmRNA又はヌクレオチド配列(例えば、ポリA配列)の3’末端への非コードヌクレオチドの付加を誘導するヌクレオチド配列(例えば、ポリアデニル化シグナル)を指す。当業者は、mRNAにおける3’テーリング配列及び/又は3’テーリング配列の産物が、mRNAを安定させ、かつ/又はmRNAの分解を防止するように機能することを理解するであろう。
【0201】
本明細書で使用される場合、本開示のポリA又はポリC配列に関する「中断リンカー」という用語は、ポリA又はポリC配列中の連続したアデノシン又はシトシンヌクレオチドのストレッチに結合し、これを中断する、単一ヌクレオチド又はヌクレオチド配列を指す。例えば、ポリA配列中の中断リンカーは、アデノシンヌクレオチド以外のヌクレオチドからなるか、又はそれを含む単一ヌクレオチド又はヌクレオチド配列である。例えば、ポリC配列中の中断リンカーは、シトシンヌクレオチド以外のヌクレオチドからなるか、又はそれを含む単一ヌクレオチド又はヌクレオチド配列である。
【0202】
一例では、1つ以上の3’テーリング配列は、ポリA配列、ポリアデニル化シグナル、G四重鎖、ポリC配列、ステムループ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0203】
ポリA配列
本明細書で使用される場合、「ポリA配列」という用語は、mRNAの3’末端に位置するアデニン(A)のヌクレオチド配列を指す。本開示の文脈では、ポリA配列は、mRNA又はDNA(例えば、ベクターの転写によってmRNAを生成するための鋳型として機能するDNAプラスミド)内に位置し得る。
【0204】
本開示における使用のための好適なポリA配列は、当業者には明らかであり、かつ/又は本明細書に記載される。一例では、ポリA配列は、任意の長さ(例えば、10~300)の連続した(すなわち、相次ぐ)アデノシンヌクレオチドを含む。例えば、ポリA配列は、36個の連続したアデノシンヌクレオチドを含む。一例では、ポリA配列は、配列番号37に示される配列を含む。
【0205】
一例では、ポリA配列は、1つ以上の中断リンカーによって分離された連続したアデノシンヌクレオチドを含む。一例では、ポリA配列は、中断リンカーを含まない連続したアデノシンヌクレオチドを含む。
【0206】
ポリアデニル化シグナル
本明細書で使用される場合、「ポリアデニル化シグナル」という用語は、ポリアデニル化を誘導するヌクレオチド配列を指す。ポリアデニル化は、典型的には、RNAへの(例えば、成熟mRNAを生成するための未熟mRNAへの)ポリA配列の付加であると理解される。ポリアデニル化シグナルは、ポリアデニル化されるポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の3’末端でヌクレオチド配列内に位置し得る。
【0207】
本開示における使用のための好適なポリアデニル化シグナルは、当業者には明らかであり、かつ/又は本明細書に記載される。
【0208】
一例では、ポリアデニル化シグナルは、アデニン及びウラシル/チミジンヌクレオチドからなるヘキサマーを含む。一例では、ヘキサマー配列は、AAUAAAを含むか、又はこれからなる。
【0209】
一例では、3’テーリング配列は、ポリアデニル化シグナルを含むが、ポリA配列を含まない。
【0210】
G四重鎖
本明細書で使用される場合、「G四重鎖」又は「G4」という用語は、4本鎖二次構造を形成するグアニン残基が豊富なヌクレオチド配列を指す。例えば、G四重鎖は、DNA及びRNAの両方においてGリッチ配列によって形成された4つのグアニンヌクレオチドの環状水素結合アレイである。
【0211】
一例では、3’テーリング配列は、ポリA配列及びG四重鎖を含む。例えば、3’テーリング配列は、ポリA-Gカルテットを産生するためにG四重鎖に結合したポリA配列を含む。
【0212】
ポリC配列
本明細書で使用される場合、「ポリC配列」という用語は、mRNAの3’末端に位置するシトシン(C)のヌクレオチド配列を指す。本開示の文脈では、ポリC配列は、mRNA又はDNA(例えば、ベクターの転写によってmRNAを生成するための鋳型として機能するDNAプラスミド)内に位置し得る。
【0213】
本開示における使用のための好適なポリC配列は、当業者には明らかであり、かつ/又は本明細書に記載される。
【0214】
一例では、1つ以上の3’テーリング配列は、各々10~300個の連続したシトシンヌクレオチドを含む、1つ以上のポリC配列を含む。例えば、1つ以上のポリC配列は、各々10~20、又は20~30、又は30~40、又は40~50、又は50~60、又は60~70、又は70~80、又は80~90、又は90~100、又は100~125、又は125~150、又は150~175、又は175~200、又は200~225、又は225~250、又は250~275、又は275~300個の連続したシトシンヌクレオチドを含む。例えば、1つ以上のポリC配列は、各々10、又は20、又は30、又は40、又は50、又は60、又は70、又は80、又は90、又は100、又は125、又は175、又は200、又は225、又は250、又は275、又は300個の連続したシトシンヌクレオチドを含む。
【0215】
一例では、1つ以上のポリC配列は、中断リンカーによって分離される。例えば、1つ以上の3’テーリング配列を含む第4のヌクレオチド配列は、5’から3’への順序で、連続したシトシンヌクレオチド、中断リンカー、及び更なる連続したシトシンヌクレオチドを含む。
【0216】
一例では、中断リンカーは、10~50、又は50~100、又は100~150ヌクレオチド長である。例えば、中断リンカーは、1、又は2、又は3、又は4、又は5、又は6、又は7、又は8、又は9、又は10、又は11、又は12、又は13、又は14、又は15、又は16、又は17、又は18、又は19、又は20、又は25、又は30、又は35、又は40、又は45、又は50、又は55、又は60、又は65、又は70、又は75、又は80、又は85、又は90、又は95、又は100、又は110、又は120、又は130、又は140、又は150ヌクレオチド長である。
【0217】
5’キャップ
一例では、自己複製RNAは、5’末端キャップ構造を含む。
【0218】
本明細書で使用される場合、「5’キャップ構造」という用語は、核輸出に関与するmRNAの5’末端での構造を指し、mRNAキャップ結合タンパク質(CBP)に結合する。5’キャップ構造は、CBPとポリ(A)結合タンパク質との会合を通してmRNAを安定させて、成熟mRNAを形成することが知られている。したがって、本開示のmRNAにおける5’キャップ構造の存在は、5’キャップを含まないmRNAと比較して、mRNAの安定性を更に増加させることができる。
【0219】
例示的な5’キャップ構造としては、例えば、アンチリバースキャップ類似体(ARCA)、N7,2’-0-ジメチル-グアノシン(mCAP)、イノシン、N1-メチル-グアノシン、2’フルオロ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、8-オキソ-グアノシン、2-アミノ-グアノシン、LNA-グアノシン、2-アジド-グアノシン、N6,2’-O-ジメチルアデノシン、7-メチルグアノシン(m7G)、キャップ1、及びキャップ2が挙げられる。
【0220】
典型的には、内因性mRNAは、mRNAの5’末端ヌクレオチドに結合した(5)’-ppp-(5)’-三リン酸結合を通してグアノシンで5’キャップされる。次いで、グアノシンキャップは、7mG(5’)ppp(5’)N,pN2p(キャップ0構造)を生成する7-メチルグアノシン(m7G)にメチル化することができ、Nは、mRNAの第1及び第2の5’末端ヌクレオチドを表す。キャップ0構造は、更に2’-O-メチル化して、7mG(5’)ppp(5’)NlmpNp(キャップ1)、及び/又は7mG(5’)-ppp(5’)NlmpN2mp(キャップ2)を産生することができる。
【0221】
一例では、本開示のポリヌクレオチドは、内因性キャップを含む。
【0222】
本明細書で使用される場合、「内因性キャップ」という用語は、細胞において合成された5’キャップを指す。例えば、内因性キャップは、天然5’キャップ又は野生型5’キャップである。例えば、内因性キャップは、キャップ0、キャップ1、又はキャップ2構造である。
【0223】
一例では、本開示のポリヌクレオチドは、内因性キャップの類似体(キャップ類似体とも称される)を含む。
【0224】
本明細書で使用される場合、内因性キャップ又は「キャップ類似体」の文脈における「その類似体」という用語は、合成5’キャップを指す。キャップ類似体を使用して、インビトロ転写反応において5’キャップmRNAを産生することができる。キャップ類似体は、ヌクレオチド(例えば、mRNAの5’末端ヌクレオチド)に化学的に(すなわち、非酵素的に)又は酵素的に合成及び/又は結合し得る。例示的なキャップ類似体は、市販されており、例えば、3″-O-Me-m7G(5′)ppp(5′)G、G(5′)ppp(5′)A、G(5′)ppp(5′)G、m7G(5′)ppp(5′)A、m7G(5′)ppp(5′)G(New England BioLabs)を含む。一例では、キャップ類似体は、N7,3’-O-ジメチル-グアノシン-5’-三リン酸-5’-グアノシン(すなわち、アンチリバースキャップ類似体(ARCA))である。
【0225】
一例では、5’キャップ構造は、非加水分解性キャップ構造である。非加水分解性キャップ構造は、mRNAのデキャッピングを防止し、mRNAの半減期を増加させることができる。
【0226】
一例では、非加水分解性キャップ構造は、α-チオ-グアノシンヌクレオチド、α-メチル-ホスホネート、セレノ-ホスフェート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される修飾ヌクレオチドを含む。一例では、修飾ヌクレオチドは、α-ホスホロチエート結合を通してmRNAの5’末端に結合している。修飾ヌクレオチドをmRNAの5’末端に結合する方法は、当業者には明らかであろう。例えば、Vaccinia Capping Enzyme(New England Biolabs)を使用する。
【0227】
抗原
本開示の自己複製RNAは、抗原(例えば、病原性抗原)をコードするヌクレオチド配列を含む。例えば、抗原は、対象において免疫応答を誘導することができる。
【0228】
一例では、本開示の自己複製RNAは、SARS-CoV-2由来の抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0229】
産生の方法
本開示の自己複製RNAの産生に好適な方法は、当業者には明らかであり、かつ/又は本明細書に記載される。
【0230】
一例では、自己複製RNAは、プラスミドDNAを使用して産生される。当業者は、プラスミドDNAが比較的安定であることを理解するであろう。簡潔には、有能な細菌細胞(例えば、Escherichia coli)細胞は、本開示の自己複製RNAをコードするDNAプラスミドで形質転換される。個々の細菌コロニーは、単離され、得られたプラスミドDNAは、E.coli培養物において増幅される。
【0231】
一例では、プラスミドDNAは、発酵後に単離される。例えば、プラスミドDNAは、市販のキット(例えば、Maxiprep DNAキット)、又は当業者に知られる他の日常的な方法を使用して単離される。単離後、プラスミドDNAは、制限消化によって(すなわち、制限酵素を使用して)線状化される。制限酵素は、例えば、フェノール/クロロホルム抽出及びエタノール沈殿を含む、当該技術分野で既知の方法を使用して除去される。
【0232】
一例では、mRNAは、RNAポリメラーゼ(例えば、T7 RNAポリメラーゼ)を使用して、線状化DNA鋳型からのインビトロ転写によって作製される。インビトロ転写後、DNA鋳型は、DNase消化によって除去される。当業者は、合成mRNAキャッピングが、mRNA処理を補正し、mRNAの安定化に寄与するために行われることを理解するであろう。一例では、mRNAは、酵素的に5’キャップされる。例えば、5’キャップは、キャップ0構造又はキャップ1構造である。一例では、5’キャップは、キャップ0構造であり、例えば、5’-キャップ(すなわち、キャップ0)は、5’-5’三リン酸架橋を介してmRNAの残部に接続した反転7-メチルグアノシンからなる。一例では、5’キャップは、キャップ1構造であり、例えば、5’-キャップ(すなわち、キャップ1)は、開始ヌクレオチドの2’O位置の追加のメチル化を有するキャップ0からなる。
【0233】
一例では、mRNAは、精製される。mRNAを精製するための様々な方法は、当業者には明らかであろう。例えば、mRNAは、塩化リチウム(LiCl)沈殿を使用して精製される。別の例では、mRNAは、接線流濾過(TFF)を使用して精製される。精製後、mRNAは、例えば、ヌクレアーゼフリー水に再懸濁される。
【0234】
組成物
本開示は、本開示の自己複製RNAを含む免疫原性組成物を提供する。
【0235】
本開示はまた、本開示の免疫原性組成物と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0236】
本開示の自己複製RNAが、裸のRNAとして、又は細胞への侵入を促進する脂質、ポリマー、若しくは他の送達システムと組み合わせて存在し得ることは、当業者には明らかであり、かつ/又は本明細書に記載される。
【0237】
送達システム
一例では、本開示の薬学的組成物は、LNP、ポリマー微粒子、及び水中油型エマルジョンを更に含む。例えば、自己複製RNAは、LNP、ポリマー微粒子、又は水中油型エマルジョンにカプセル化、結合、又は吸着している。
【0238】
脂質ナノ粒子
一例では、本開示の薬学的組成物は、LNPを更に含む。
【0239】
「脂質ナノ粒子」という用語は、水性体積が、非水性コア及び固体脂質ナノ粒子を有する両親媒性脂質二重層(例えば、単一、単層、又は複数、多層)ミセル様脂質ナノ粒子によってカプセル化され、固体脂質ナノ粒子が、脂質二重層を欠く、リポソーム又は小胞を含むがこれらに限定されない、任意の脂質組成物を指すことが明らかであろう。
【0240】
本開示における使用に好適な脂質ナノ粒子は、当業者には明らかであり、かつ/又は本明細書に記載される。脂質は、アニオン性、カチオン性、又は双性イオン性親水性ヘッド基を有することができる。
【0241】
一例では、脂質ナノ粒子は、PEG脂質、ステロール構造脂質、及び/又は中性脂質を含む。一例では、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質を更に含む。一例では、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質を含まない。
【0242】
一例では、LNPは、PEG脂質を含む。例えば、PEG-脂質は、PEG-c-DMG、PEG-DMG、PEG-DLPE、PEG-DMPE、PEG-DPPC、PEG-DSPE脂質、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0243】
一例では、LNPは、構造脂質を含む。例えば、構造脂質は、コレステロールフェコステロール、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール、トマチジン、トマチン、ウルソル酸、及びアルファ-トコフェロール、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0244】
一例では、LNPは、中性脂質を含む。本開示における使用のための例示的なリン脂質(アニオン性又は双性イオン性)としては、例えば、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、及びホスファチジルグリセロールが挙げられる。例えば、中性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(DUPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0ジエーテルPC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16 Lyso PC)、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(ME 16.0 PE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、及びスフィンゴミエリン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0245】
一例では、LNPは、カチオン性脂質を含む。例示的なカチオン性脂質としては、ジオレオイルトリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)、1,2-ジステアリルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(DSDMA)、1,2-ジオレイルオキシ-N,Nジメチル-3-アミノプロパン(DODMA)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(DLenDMA)、2,5-ビス((9z,12z)-オクタデカ-9,12,ジエン-1-イルオキシル)ベンジル-4-(ジメチルアミノ)ブトノエート(LKY750)が挙げられるが、これらに限定されない。一例では、リン脂質は、2,5-ビス((9z,12z)-オクタデカ-9,12,ジエン-1-イルオキシル)ベンジル-4-(ジメチルアミノ)ブトノエート(LKY750)である。例示的な双性イオン性脂質としては、アシル双性イオン性脂質及びエーテル双性イオン性脂質、例えば、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、及びドデシルホスホコリンが挙げられるが、これらに限定されない。脂質は、飽和又は不飽和であり得る。
【0246】
ポリマー微粒子
一例では、本開示の薬学的組成物は、ポリマー微粒子を更に含む。
【0247】
当業者は、様々なポリマーが、本開示の自己複製RNAをカプセル化又は吸着する微粒子を形成することができることを認識しているであろう。実質的に非毒性のポリマーの使用は、粒子が安全であることを意味し、生分解性ポリマーの使用は、粒子が長期持続を回避するために送達後に代謝することができることを意味することが明らかであろう。有用なポリマーはまた、薬学的グレード製剤の調製において補助するために、滅菌可能である。
【0248】
例示的な非毒性及び生分解性ポリマーとしては、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリラクトン(ポリカプロラクトンを含む)、ポリジオキサノン、ポリバレロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリシアノアクリレート、チロシン由来のポリカーボネート、ポリビニル-ピロリジノン又はポリエステル-アミド、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0249】
水中油型カチオン性エマルジョン
一例では、本開示の薬学的組成物は、水中油型カチオン性エマルジョンを更に含む。
【0250】
水中油型エマルジョンにおける使用に好適な油は、当業者には明らかであり、かつ/又は本明細書に記載される。例えば、エマルジョンは、例えば、動物(例えば、魚)又は植物源(例えば、堅果、種子、穀物)に由来する1つ以上の油を含む。当業者は、生体適合性及び生分解性油が優先的に使用されることを認識するであろう。例示的な動物油(すなわち、魚油)としては、タラ肝油、サメ肝油、及びクジラ油が挙げられる。例示的な植物油としては、ピーナッツ油、ココナッツ油、オリーブ油、大豆油、ホホバ油、サフラワー油、綿実油、ヒマワリ種子油、ゴマ種子油、トウモロコシ油が挙げられる。
【0251】
油に加えて、水中油型エマルジョンはまた、エマルジョンの形成及び安定化を促進するカチオン性脂質を含む。好適なカチオン性脂質は、当業者には明らかであり、かつ/又は本明細書に記載される。例示的なカチオン性脂質としては、1,2-ジオレオイルオキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロパン(DOTAP)、3’-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(DCコレステロール)、ジメチルジオクタデシル-アンモニウム(DDA)、1,2-ジミリストイル-3-トリメチル-アンモニウムプロパン(DMTAP)、ジパルミトイル[C16:0]トリメチルアンモニウムプロパン(DPTAP)、及びジステアロイルイルルチルアンモニウムプロパン(DSTAP)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0252】
いくつかの例では、水中油型エマルジョンはまた、非イオン性界面活性剤及び/又は双性イオン性界面活性剤を含む。当業者は、本開示における使用に好適な界面活性剤を認識しているであろう。例示的な界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(例えば、ポリソルベート20及びポリソルベート80)、並びにエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、及び/又はブチレンオキシド(BO)のコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0253】
薬学的に許容される担体
好適には、本開示の自己複製RNAの対象への投与のための組成物又は方法において、自己複製RNAは、当該技術分野で理解されるように、薬学的に許容される担体と組み合わされる。したがって、本開示の一例は、薬学的に許容される担体と組み合わされた本開示の自己複製RNA(及び任意の送達システム)を含む組成物(例えば、薬学的組成物)を提供する。
【0254】
一般的に、「担体」とは、任意の対象、例えば、ヒトに安全に投与され得る固体若しくは液体充填剤、結合剤、希釈剤、カプセル化物質、乳化剤、湿潤剤、溶媒、懸濁剤、コーティング、又は潤滑剤を意味する。特定の投与経路に応じて、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.N.J.USA,1991)に記載されるように、当該技術分野で知られる、様々な許容される担体が使用され得る。
【0255】
本開示の自己複製RNAは、予防的若しくは治療的処理のための、非経口、局所(topical)、経口、若しくは局所(local)投与、筋肉内投与、エアロゾル投与、又は経皮投与に有用である。一例では、自己複製RNAは、筋肉内、皮下、又は静脈内など、非経口的に投与される。例えば、自己複製RNAは、筋肉内に投与される。
【0256】
投与される自己複製RNAの製剤化は、選択される投与経路及び製剤(例えば、溶液、エマルジョン、カプセル)に従って変動するであろう。投与される自己複製RNAを含む適切な薬学的組成物は、生理学的に許容される担体中で調製することができる。溶液又はエマルジョンについて、好適な担体としては、例えば、生理食塩水及び緩衝媒体を含む、水性又はアルコール性/水溶液、エマルジョン、又は懸濁液が挙げられる。非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルのデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、又は固定油が挙げられる。当業者には、水、緩衝水、緩衝生理食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、デキストロース溶液、及びグリシンを含む、様々な適切な水性担体が知られている。静脈内ビヒクルは、添加剤、防腐剤、又は流体、栄養素、若しくは電解質補充剤を含むことができる(概して、Remington’s Pharmaceutical Science,16th Edition,Mack,Ed.1980を参照されたい)。組成物は、任意に、pH調整剤及び緩衝剤、並びに毒性調整剤、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、及び乳酸ナトリウムなどの生理学的条件に近似するために必要な薬学的に許容される補助物質を含有することができる。自己複製RNAは、液体段階で保存することができ、又は保存のために凍結乾燥し、当該技術分野公知の凍結乾燥及び再構成技法に従って使用前に好適な担体中で再構成することができる。
【0257】
選択された培地中の活性成分の最適濃度は、当業者に知られている手順に従って、経験的に決定することができ、所望の最終薬学的製剤に依存するであろう。
【0258】
製剤化時に、本開示の組成物は、投与製剤と適合性の方法で、かつ治療的/予防的に有効な量で投与されるであろう。本開示の分子の投与のための投与量範囲は、所望の効果を生成するのに十分な大きさのものである。例えば、組成物は、有効量の自己複製RNAを含む。一例では、組成物は、治療有効量の自己複製RNAを含む。別の例では、組成物は、予防有効量の自己複製RNAを含む。
【0259】
投与量は、有害な副作用を引き起こすほど大きくあるべきではない。一般に、投与量は、患者における年齢、状態、性別、及び疾患の程度で変動し、当業者によって決定され得る。投与量は、任意の合併症の事象において個々の医師によって調整され得る。
【0260】
投与量は、1日1回以上の用量投与で、1日又は数日にわたって、約0.1mg/kg~約300mg/kg、例えば、約0.2mg/kg~約200mg/kg、例えば、約0.5mg/kg~約20mg/kgで変動することができる。
【0261】
いくつかの例では、自己複製RNAは、後続(維持用量)よりも高い初期(又は負荷)用量で投与される。例えば、自己複製RNAは、約10mg/kg~約30mg/kgの初期用量で投与される。次いで、自己複製RNAは、約0.0001mg/kg~約10mg/kgの維持用量で投与される。維持用量は、7~35日毎、例えば、7日又は14日又は28日毎に投与され得る。
【0262】
いくつかの例では、用量漸増レジームが使用され、自己複製RNAは、後続の用量で使用されるよりも低い用量で初期に投与される。この投与量レジームは、対象が初期に有害事象に罹患している場合に有用である。
【0263】
治療に適切に応答していない対象の場合では、1週間に複数回の用量が投与され得る。代替的に、又は加えて、増加する用量が投与され得る。
【0264】
対象は、結合タンパク質の少なくとも約2回の曝露、例えば、約2~60回の曝露、より具体的には約2~40回の曝露、最も具体的には約2~20回の曝露などの、2回以上の曝露又は用量のセットを与えられることによって、自己複製RNAで再治療され得る。
【0265】
一例では、対象は、0日目に自己複製RNAの第1の用量で治療され、続いて21日目に自己複製RNAの第2の用量で治療される。例えば、第1及び第2の用量は、21日(又は3週間)あけて投与される。
【0266】
別の例では、対象は、0日目に自己複製RNAの第1の用量で治療され、続いて28日目に自己複製RNAの第2の用量で治療される。例えば、第1及び第2の用量は、28日(又は4週間)あけて投与される。
【0267】
一例では、任意の再治療は、疾患の徴候又は症状が戻ったときに与えられ得る。
【0268】
別の例では、任意の再治療は、定義された間隔で与えられ得る。例えば、後続の曝露は、例えば、約24~28週間又は48~56週間以上などの、様々な間隔で投与され得る。例えば、そのような曝露は、各々約24~26週間又は約38~42週間又は約50~54週間の間隔で投与される。
【0269】
治療に適切に応答していない対象の場合では、1週間に複数回の用量が投与され得る。代替的に、又は加えて、増加する用量が投与され得る。
【0270】
別の例では、有害反応を経験している対象について、初期(又は負荷)用量は、1週間の数日にかけて、又は多数の連続した日数にかけて分割され得る。
【0271】
本開示の方法による自己複製RNAの投与は、例えば、レシピエントの生理学的状態、投与の目的が治療的又は予防的であるか、及び当業者に既知の他の因子に応じて、連続的又は断続的であり得る。自己複製RNAの投与は、予め選択された期間にわたって本質的に連続的であり得るか、又は、例えば、状態の発症中若しくは後のいずれかで、一連の間隔をあけた用量であり得る。
【0272】
スクリーニングアッセイ
本開示の自己複製RNAを選択するための好適な方法は、当業者に利用可能である。アッセイは、例えば、血清学及び免疫応答を含む、RNAの効率及び有効性を評価するために実施され得る。
【0273】
抗原発現
一例では、自己複製RNAは、目的の遺伝子の発現について評価される。
【0274】
例えば、抗原発現は、目的の遺伝子に対する抗体を使用して検出される。一例では、抗原発現について陽性の細胞の数は、例えば、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって測定される。別の例では、平均蛍光強度(MFI)は、例えば、FACSを使用して決定される。更なる例では、RNAの単位質量当たりの特定の効力値又はトランスフェクション成功確率が計算される。
【0275】
マイクロ中和アッセイ
一例では、自己複製RNA(裸及び/又は製剤化)は、抗体応答について評価される。例えば、自己複製RNAは、マイクロ中和アッセイを使用して評価される。マイクロ中和アッセイを実施する方法は、当業者には明らかであろう。一例では、マイクロ中和アッセイは、短い形態のアッセイである。一例について、ウイルス蛍光フォーカスベースのマイクロ中和アッセイが実施される。別の例では、マイクロ中和アッセイは、長い形態のアッセイである。
【0276】
抗原特異的T細胞応答
一例では、自己複製RNAは、抗原特異的T細胞応答を誘導するその能力について評価される。抗原特異的T細胞応答の誘導を評価する方法は、当業者には明らかであり、かつ/又は本明細書に記載される。
【0277】
例えば、抗原特異的T細胞検出は、脾臓培養物で行われる。簡潔には、脾臓細胞培養物は、T細胞培地において確立され、細胞培養物は、抗原ペプチドで刺激されているか、又は刺激されていないかのいずれかである。一例では、抗原特異的T細胞応答は、フローサイトメトリーを使用して決定される。
【0278】
中和アッセイ
本開示の自己複製RNAは、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに結合するそれらの能力についてインビトロでスクリーニングされ得、Sタンパク質RBDのACE2への結合を中和する。好適なアッセイは、当業者には明らかであり、例えば、Veroマイクロ中和アッセイ、sVNTアッセイ、又は偽ウイルス中和アッセイ(例えば、HEK-293T細胞又はHeLa-ACE2細胞を使用する)を含む。
【0279】
一例では、中和アッセイは、Veroマイクロ中和アッセイである。簡潔には、SARS-Cov-2野生型ウイルスは、Vero細胞(すなわち、アフリカミドリザルから抽出された腎臓上皮細胞から単離されたVero系統)において継代される。試験タンパク質の2倍段階希釈物を、1時間にわたって100 TCID50(すなわち、組織培養感染性用量中央値)のSARS-CoV-2とインキュベートし、残留ウイルス感染性を、Vero細胞において評価し、例えば、5日目に、ウイルス性細胞障害効果を読み取る。中和抗体力価は、前述のように、Reed/Muench法を使用して計算される(Houser et al.,2016、Subbarao et al 2004)。
【0280】
一例では、中和アッセイは、代理中和試験(sVNT)である。簡潔には、プレートのウェルは、炭酸塩-重炭酸塩コーティング緩衝液(例えば、pH9.6)中のhACE2タンパク質でコーティングされる。試験タンパク質と予めインキュベートされたHRPコンジュゲートSARS-CoV-2及びHRPコンジュゲートSARS-CoV-RBDは、異なる濃度でhACE2に添加され、例えば、室温で1時間インキュベートされる。非結合HRPコンジュゲート抗原は、洗浄によって除去される。比色シグナルは、HRPと発色基質、例えば、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)との酵素反応で展開される。一例では、450nm及び570nmでの吸光度読み取り値が取得される。
【0281】
一例では、中和は、偽ウイルス中和アッセイである。簡潔には、SARS-2-スパイクタンパク質で偽型化されたHIVレポーターウイルスは、SARS-2-COV-2スパイクプラスミドの、ウイルスバックボーンプラスミド(例えば、pDR-NL Δenv FLUC)と一緒に、例えば、HEK-293T細胞への共トランスフェクションによって産生される。偽ウイルスは、トランスフェクション後に採取され、濾過によって清澄化される。相対ルシフェラーゼ単位感染用量(RLU)として報告される、ウイルスストック力価は、ウイルス感染の読み出しとしてルシフェラーゼ活性を測定するHela-hACE2細胞における限界希釈感染によって計算される。
【0282】
治療又は予防の方法
本開示は、ワクチンとして本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を使用する方法を提供する。
【0283】
本開示はまた、対象において疾患若しくは状態を治療する、又は予防する、又は進行を遅延する方法であって、本開示の免疫原性組成物又は薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。例えば、疾患又は状態は、SARS-CoV-2感染症、COVID-19、ARDS、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0284】
コロナウイルス疾患2019(COVID-19)
本開示は、例えば、COVID-19を治療する、又は予防する、又は進行を遅延する方法を提供する。
【0285】
本開示はまた、例えば、SARS-CoV-2感染症を治療する、又は予防する、又は進行を遅延する方法を提供する。本開示のいくつかの例では、対象は、SARS-CoV-2感染症を有するが、臨床的に診断されたCOVID-19を有さない。
【0286】
COVID-19は、SARS-CoV-2によって引き起こされる感染性疾患である。一般的な症状には、発熱、咳、疲労、息切れ、並びに嗅覚及び味覚の喪失が含まれる。症例の大部分は軽度の症状をもたらすが、一部はARDSに進行する。曝露から症状の発症までの時間は、典型的には約5日であるが、2~14日の範囲であり得る。現在、COVID-19のためのワクチンも特定の抗ウイルス治療もなく、管理は、症状の治療、支持療法、隔離、及び実験的措置を含む。
【0287】
よって、いくつかの例では、対象は、SARS-CoV-2感染症を有する。一例では、対象は、COVID-19、例えば、重度COVID-19を有する。特に、重度COVID-19は、多くの場合ARDSを引き起こす。本開示の方法は、重度COVID-19に罹患している対象においてARDSを治療する、又は予防する、又は進行を遅延するために使用することができる。
【0288】
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
本開示は、例えば、対象においてARDSを治療する、又は予防する、又は進行を遅延する方法を提供する。
【0289】
ARDSは、両側肺浸潤、重度低酸素血症、及び肺胞-毛細血管バリアの破壊(すなわち、肺血管漏出)を特徴とする生命を脅かす状態であり、非心原性肺浮腫を引き起こす。現在、有効な薬理学的療法はない。
【0290】
インフルエンザ及びコロナウイルス感染症を含む、感染性病因は、ARDSの主な原因である。したがって、本開示の一例では、ARDSは、コロナウイルス感染症と関連している。例えば、SARS-COV感染症である。一例では、ARDSは、SARS-CoV-2感染症と関連している。
【0291】
ARDSは、以下を含む、ベルリン定義に従って分類される:
(1)呼吸器症状の臨床的発作又は発症から1週間以内の提示、
(2)連続気道陽圧(CPAP)又は呼気終末陽圧(PEEP)の少なくとも5cmでの300mmHg以下のPaO2/FiO2比によって決定される、急性低酸素性呼吸不全であって、PaO2が、動脈血中の酸素の分圧であり、FiO2が、吸入酸素の画分である、急性低酸素性呼吸不全、
(3)浸出、凝固、又は無気肺によって完全に説明されない肺レントゲン写真上の両側の影、及び
(4)心不全又は体液過負荷によって完全に説明されない浮腫/呼吸不全。
【0292】
一例では、対象は、ARDSを有するか、又はこれに罹患している(すなわち、対象は、ARDSのベルリン定義を満たす)。例えば、対象は、治療を必要としている(すなわち、それを必要としている)。
【0293】
一例では、対象は、ARDSに関連する症状を有するか、又はこれに罹患している。ARDSに関連する症状、及びARDSを発症するリスクのある対象を特定する方法は、当業者には明らかであり、かつ/又は本明細書に記載される。例えば、対象は、以下の症状のうちの1つ以上又はすべてを有する:
a)毎分30回を超える呼吸頻度、
b)室内気で93%以下の酸素飽和度(SpO2)、
c)300mmHg未満の吸入酸素の画分に対する動脈酸素分圧の比(PaO2/FiO2)、
d)218未満のSpO2/FiO2比、及び
e)50%を超える量のレントゲン写真の肺浸潤。
【0294】
現在、ARDSは、関連する増加した死亡率によって、軽度、中等度、又は重度として分類される。ARDSの重症度は、以下のようにベルリン定義に従って分類することができる:
(i)軽度ARDS:少なくとも5cmのCPAP又はPEEP上の200~300mmHgのPaO2/FiO2、
(ii)中等度ARDS:少なくとも5cmのPEEP上の100~200mmHgのPaO2/FiO2、及び
(iii)重度ARDS:少なくとも5cmのPEEP上の100mmHg以下のPaO2/FiO2。
【0295】
一例では、ARDSは、軽度ARDSである。別の例では、ARDSは、中等度ARDSである。更なる例では、ARDSは、重度ARDSである。
【0296】
本開示の方法は、既存のARDSの治療に加えて、ARDSの発症を予防するために使用することができる。よって、一例では、対象は、ARDSを有さない。
【0297】
キット
本開示の別の例は、上述のような疾患若しくは障害の治療又は予防又は進行を遅延することに有用な、本開示の自己複製RNAを含有するキットを提供する。
【0298】
一例では、キットは、(a)任意に送達システム及び/又は薬学的に許容される担体若しくは希釈剤中の自己複製RNAを含む容器と、(b)対象において疾患又は障害(例えば、COVID-19又はARDS)を治療する、又は予防する、又は進行を遅延するための説明書を有する添付文書と、を含む。
【0299】
本開示のこの例によれば、添付文書は、容器上にあるか、又は容器に関連付けられている。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジなどが挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器は、本開示の疾患又は障害に有効である組成物を保持又は含有し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、静脈内溶液バッグ又は皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有するバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、自己複製RNAである。ラベル又は添付文書は、組成物が、治療に適した対象、例えば、インフルエンザ、インフルエンザウイルス感染症、SARS-CoV-2感染症、COVID-19、及び/又はARDSを発症しているか、又は発症しやすい対象を治療するために使用されることを示し、投与量及び治療の間隔、並びに任意の他の医薬品に関する特定のガイダンスが提供される。キットは、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル溶液、及び/又はデキストロース溶液などの、薬学的に許容される希釈剤緩衝液を含む追加の容器を更に含み得る。キットは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的及び使用者の観点から望ましい他の材料を更に含み得る。
【0300】
本開示は、以下の非限定的な実施例を含む。
【実施例】
【0301】
実施例1:自己複製RNAの生成
自己複製RNAをコードするDNA鋳型を、DNAプラスミドで形質転換された有能なEscherichia coli細胞において産生した。個々の細菌コロニーを単離し、得られたプラスミドDNAをE.coli培養物中で増幅した。発酵後、プラスミドDNAをMaxiprep DNAキットを使用して単離し、制限消化によって線状化した。次いで、フェノール/クロロホルム抽出及びエタノール沈殿を使用して、制限酵素を除去した。
【0302】
mRNAを、T7 RNAポリメラーゼを使用して、線状化DNA鋳型からのインビトロ転写によって作製した。その後、DNase消化によってDNA鋳型を除去した。酵素キャッピングをキャップ0で実施して、機能的mRNAを提供した。得られたmRNAを精製し、ヌクレアーゼフリー水に再懸濁した。
【0303】
自己複製RNAは、SARS-CoV-2株2019-nCoV/USA-WA1/2020からのスパイク(S)及びヌクレオカプシド(N)抗原を用いて調製した。以下の構築物を調製した:
・NSP1-4.SGP.S(wt)(Co5)
・NSP1-4.SGP.N(wt)(Co6)
・NSP1-4.SGP.S(RRAR→QQAA)(Co16)
・NSP1-4.SGP.S(RRAR→QQAA及び986P/987P)(Co17)
・NSP1-4.SGP.S(D614G)(Co48)
・NSP1-4.SGP.S(RRAR→QQAA及びD614G)(Co49)
・NSP1-4.SGP.S(RRAR→QQAA及びS2’)(Co58)
・NSP1-4.SGP.S(RRAR→QQAA、S2’及びD614G)(Co59)
【0304】
実施例2:自己複製RNAのインビトロ特徴分析
実施例1で産生された自己複製RNAを、目的の遺伝子の発現について評価した。
【0305】
非製剤化(裸の)又はLNP製剤化自己増幅mRNA構築物の2倍段階希釈物を、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞株にエレクトロポレート又はトランスフェクトした。17~19時間後、細胞を採取し、抗S又は抗N抗体を使用して、S又はN抗原発現のいずれかについて染色した。抗原発現について陽性の細胞数及び平均蛍光強度(MFI)をFACSによって測定した。データを分析して、特定の効力値(RNAの質量単位当たりのトランスフェクション成功確率)を計算した。
【0306】
非製剤化RNA及びLNPのインビトロ活性及び効力を、S及びN発現に基づいてFACによって決定し、以下の表1に示す:
【表2】
【0307】
抗体応答
抗体応答を評価するために、血清を試験終了時(すなわち、第1の42日後、又は最後の、第2のワクチン用量の21日後)に収集し、マイクロ中和アッセイ(表2)及びACE2結合(表3)によって試験した。
【0308】
すべての血清学的アッセイについて、血清を、受容体破壊酵素(RDE)としても知られるVibrio choleraeノイラミニダーゼ(Denka Seiken Co.Ltd.,Tokyo,Japan)で、同じように処理し、PBSで1:10の開始希釈物に希釈した。H5N1ウイルスに対するヒツジ血清(FDA/CBER Kensington lot nu.H5-Ag-1115)を陽性対照血清3アッセイとして使用した。
【0309】
マイクロ中和アッセイ
ウイルス蛍光フォーカスベースマイクロ中和(FFA MN)アッセイを、社内で開発されたプロトコルを使用して行った。RDE処理された試験マウス試料及び陽性対照血清を、熱不活性化し、PBSで1:40の開始希釈物に希釈し、中和培地(1%BSA(Rockland、BSA-30)、100U/mLペニシリン、及び100μg/mLストレプトマイシン(GIBCO)で補足された、最小必須培地D-MEM(GIBCOで構成される)中和培地中でU-Bottom 96ウェルプレート(BD Falcon)を使用して4倍段階希釈した。ウイルスを、中和培地中で約1,000~1,500蛍光フォーカス形成単位(FFU)/ウェル(20,000~30,000FFU/mL)に希釈し、希釈された血清に対して1:1の比で添加した。
【0310】
37℃、5%CO2で2時間インキュベーション後、MDCK 33016-PF細胞を含有するプレート(Half Area 96ウェルプレート、Corning)を、この混合物に接種し、37℃、5%CO2で一晩16~18時間にわたってインキュベートした。MDCK 33016-PF細胞は、細胞増殖培地(10%HyClone胎仔ウシ血清-FBS(Gibco)、100U/mLペニシリン、及び100μg/mLストレプトマイシンで補足された、D-MEMで構成される)中で6~8時間早く3.0E4/ウェル(3.0E6/プレート)として播種されていた。一晩のインキュベーション後、及び免疫染色前に、細胞をアセトン及びメタノールの低温混合物で固定した。
【0311】
このウイルスを、0.05%トゥイーン-20(Sigma)及び2%BSA(画分V、Calbiochem、2960、1194C175)を含有するPBS緩衝液に希釈されたスパイク(S)タンパク質に特異的なモノクローナル抗体及びAlexa Fluor 488ヤギ抗マウスIgG(H+L)Ab(Invitrogen cat.no.A11001)の室温での別個の1時間のインキュベーションを使用して視覚化した。Sタンパク質を、482及び536nmの励起及び発光波長でフルオレセインイソチオシアネート(FITC)蛍光フィルターセットを使用して、CTLイムノスポットアナライザー(Cellular Technology Limited、Shaker Heights、Cleveland、OH)によって定量化した。蛍光フォーカスを、カスタム分析モジュールを使用して、ソフトウェアImmunospot 7.0.12.1プロフェッショナルアナライザーDCの使用によって列挙した。データをこのソフトウェアによってExcelデータ分析スプレッドシートに連続して記録し、次いで60%フォーカス低減エンドポイントを(各プレートについて)ウイルス対照ウェルの平均フォーカス数から計算し、60%フォーカス低減中和力価を(各試料について)60%エンドポイントの直上及び直下のウェル間の線状補間によって計算した。
【表3】
【0312】
ACE2結合の阻害
ACE2結合の阻害も評価した。結果を表3に示す。
【表4】
【0313】
ACE2結合の阻害はまた、いずれの生ウイルス又は細胞も使用する必要なく中和抗体を検出する代理ウイルス中和試験(sVNT)を使用して評価した。ウイルススパイク(S)タンパク質及び宿主細胞受容体ACE2由来の受容体結合ドメイン(RBD)タンパク質を使用して、この試験は、ELISAプレートにおける直接的なタンパク質-タンパク質相互作用によるウイルス-宿主相互作用をよく模倣するように設計されている。高度に特異的な相互作用は、次いで、中和され、すなわち、従来のVNTと同じ方法で、動物血清中の特異的NAbによってブロックされる。
【0314】
【0315】
S及びNタンパク質抗体
Nタンパク質に特異的な抗体も、ELISAによって評価した。 結果を表4に示す。Sタンパク質に特異的な抗体も、ELISAによって評価した。結果を表5に示す。
【表6】
【表7】
【0316】
偽ウイルス中和
sVNTアッセイに加えて、偽ウイルス中和アッセイを使用して中和能力を評価した。偽ウイルスアッセイは、ウイルスの細胞への侵入を防止する構築物の能力を実証するために使用される。結果を表6に示す。
【表8】
【0317】
細胞媒介性免疫応答
自己複製RNA Co5、Co6、Co16(S(QQAA))、及びCo17(S(QQAA、PP)を、抗原特異的T細胞応答を誘導するそれらの能力について評価した。
【0318】
抗原特異的T細胞検出を脾臓培養物に実施した。簡潔には、脾臓細胞を解離溶液(autoMACSリンス溶液でのMACS BSAストック1:20)中で解離し、4E7細胞/mlで濃縮した。簡潔には、脾臓細胞培養物を、RPMI、NEAA、pen/strep、及びβMEを含有するT細胞培地中の96ウェルプレートにおいて確立し、37℃/5%CO2で培養した。抗CD28(クローン37.51、BD Biosciences #553294)及び抗CD107a(クローン#1D4B、Biolegend #121618)を各ウェルに添加した。細胞培養物は、刺激又は非刺激のいずれかであった。培養物N pep mix(CoV-2全長Nタンパク質のアミノ酸残基1~419に及ぶ)、S pep mix 1(CoV-2全長Sタンパク質のアミノ酸残基1~643に及ぶ)、S pep mix 2(CoV-2全長Sタンパク質のアミノ酸残基633~1273に及ぶ)を刺激するために、CoV-1 Sペプチド(CYGVSATKL)又はCoV-2 Sペプチド(CYGVSPTKL)を添加した。2時間の刺激後、ゴルジプラグ(ブレフェルジンA、BD Biosciences #555029を含む)を各ウェルに添加した。細胞を37℃で合計6時間インキュベートし、その後、細胞を4℃に移し、一晩保存した。
【0319】
抗原特異的T細胞応答を、フローサイトメトリーを使用して決定した。簡潔には、Fcブロック混合物(クローン2.4G2、BD Biosciences #553142)を各ウェルに添加し、続いて細胞外染色(Brilliant stain buffer plus(BD Biosciences #566385)、ICOS BV711(クローンC398.4A、Biolegend #313548)、CD44 BUV395(クローンIM7、BD Biosciences #740215)、CD3 BV786(クローン145-2C11、BD Biosciences #564379)、CD4 APC-H7(クローンGK1.5、BD Biosciences #560181)、CD8 AF700(クローン53-6.7、BD Biosciences #557959)、及び染色緩衝剤を含む)を添加した。細胞を、製造業者のプロトコルに従ってUltraComp eBeads(eBiosciences #01-222-42)で染色し、4℃で30分間インキュベートし、光から保護した。細胞を、染色緩衝液で洗浄し、遠心分離し、染色緩衝液に再懸濁し、フローサイトメーターを使用してデータを取得した。
【0320】
抗原特異的CD4及びCD8 T細胞応答を、N及びS構築物の両方に観察した。sa-mRNAワクチンによって誘発されたCD4 T細胞は、ほとんどがTh0(IL2+及び/又はTNFa+、IFNg-、IL5-、IL13-)及びTh1(IFNg+、IL5-、IL13-)であり、Th2(IL5+及び/又はIL13+、IFNg-)はほとんど又は全くなかった(
図1)。同様の頻度のS1及びS2反応性CD4 T細胞が見出されたが、CD8 T細胞については、S1反応性T細胞が、広範なサイトカイン表現型、3倍、2倍、及び単一のサイトカイン産生CD8+ T細胞でS2反応性T細胞に対して優勢であった。
【0321】
IgGサブクラス
生成された免疫応答のタイプ、すなわち、Th1対Th2タイプの応答を特徴分析するために、S特異的IgG1及びIgG2a IgGサブクラスをELISAによって評価した。IgG1とIgG2a応答との間にはほとんど差が観察されなかった(表7)。
【表9】
【0322】
実施例5:自己複製RNAでの免疫化の保護効果
免疫化の保護効果を評価するために、ハムスターを、1日目及び22日目に3μgのRNA/ハムスター又は0.3μgのRNA/ハムスターの用量のCo16で免疫化した。すべての動物に、SARS-CoV-2 USウイルスで第2の免疫化の28日後に鼻腔内でチャレンジし、4日後に屠殺し、肺及び鼻甲介で測定された感染性ウイルスについて肺及び鼻甲介を収集した。
【0323】
ハムスターでは、3.0及び0.3μgの用量は、中和力価GMTをそれぞれ394及び270として上昇させた。
【0324】
ウイルス感染からの肺の保護を評価するために、肺からの平均ウイルス回収を、Co16で免疫化されたハムスター及びPBSによって免疫化された対照ハムスターについて比較した。対照ハムスターからのウイルス力価は5,011,872 TCID50/gr.であったが、ワクチン接種されたハムスターからの平均ウイルス回収は、アッセイの定量限界を下回り、<20 TCID50/gr.、研究に含まれるすべてのワクチンで下気道の完全な保護を実証した。
【0325】
上気道の保護を評価するために、鼻甲介からのウイルス回収を、120,226,443 TCID50/gr.の対照ハムスターからの平均ウイルス回収で測定した。ウイルス力価は、それぞれ3.0及び0.3μgの用量でCo16で免疫化されたハムスターについて、104~105倍、1,995及び9,120 TCID50/gr.に低減した。これらの結果は、sa-mRNA Sが上気道におけるウイルス感染を有意に低減したことを実証した。
【0326】
実施例6:SARS-CoV-2への自己複製RNAでの二重投与
SARS-CoV-2 S及びN抗原は、免疫学的に交差反応しない。前臨床動物モデルにおける抗体免疫応答を評価するために、雌BALB/cマウスを、1μgの用量で0日目に、21日目に第2の用量で免疫化した。動物を42日目に屠殺し、血清を得て、中和抗体、及びSタンパク質のACE2受容体への結合を阻害する抗体について試験した。
【0327】
以下の第1~第2の用量組み合わせを評価した:
・PBS-Co6(N)
・PBS-Co16(S、RRAR→QQAA)
・Co6-Co6
・Co6-Co16
・Co6-PBS
・Co16-Co16
・Co16-Co6
・Co16-PBS
【0328】
S及びNタンパク質抗体
S及びNタンパク質に特異的な抗体を、42日目にELISAによって評価した。結果を表8に示す。
【表10】
【0329】
相同プライム/ブーストは、抗S応答に関しては異種プライムブーストよりも効果的であったが、異種プライムブーストは、抗N応答に関しては相同プライムブーストよりも効果的であった。加えて、S(すなわち、Co16)によるブーストは、PBSによるブーストと比較して、抗N応答を増加させる。
【0330】
ブーストの不在では、抗S抗体は、21日目から42日目まで増加した(データ図示せず)。
【0331】
ACE2結合の阻害
ACE2結合の阻害も評価した。結果を表9に示す。
【表11】
【0332】
マイクロ中和アッセイ
WTウイルス中和も評価した。結果を表10に示す。
【表12】
【0333】
細胞媒介性免疫応答
抗原特異的T細胞応答も評価した。CD4及びCD8 T細胞応答を、相同及び異種抗原の両方でのワクチン接種後に観察した。
【0334】
実施例6:自己複製RNAバリアントの生成
自己複製RNAを、SARS-CoV-2バリアント株、すなわち、UKアルファ株(B.1.1.7)、南アフリカベータ株(B.1.351)由来のスパイク(S)抗原を使用して調製した。以下の構築物を調製した:
・NSP1-4.SGP.S(RRAR→QQAA)(Co16)
・NSP1-4.SGP.S(RRAR→QQAA及びD614G)(Co49)
・NSP1-4.SGP.S(RRAR→QQAA、S2’(R815N)及びD614G)(Co59)
・NSP1-4.SGP.S(RRAR→QQAA、Δ69-70、ΔY144、N501Y、D614G)(Co77)
・NSP1-4.SGP.S(RRAR→QQAA、Δ242-244、K417N、E484K、N501Y、D614G)(Co78)
・NSP1-4.SGP.S(RRAR→QQAA、Δ69-70、Δ242-244、K417N、E484K、N501Y、D614G)(Co79)
・NSP1-4.SGP.S(RRAR→QQAA、Δ69-70、ΔY144、N501Y、A570D、D614G、P680H、T716I)(Co80)
・NSP1-4.SGP.S(RRAR→QQAA、L18F、D80A、D215G、Δ242-244、K417N、E484K、N501Y、D614G、A701V)(Co81)
【0335】
LNP製剤化RNAのインビトロ活性及び効力を、上述のように決定し、以下の表11に示す:
【表13】
【0336】
表12に示されるように、すべての構築物は、インビトロ活性及び効力を有する。
【表14】
【0337】
中和アッセイ
構築物の中和能力を決定するために、マイクロ中和アッセイを、参照Whuan配列、並びにアルファバリアント(B.1.1.7、UK株)、ベータバリアント(B.1.351、南アフリカ株)、ガンマバリアント(P.1、ブラジル株)、及びデルタバリアント(B.1.617.2、インド株)に対して行った。
【0338】
図2に示されるように、すべての構築物は、すべての株に対して免疫応答を生成した。
【0339】
ACE2結合の阻害
ACE2結合の阻害も評価した。結果を表13に示す。すべての構築物は、42日目にACE2結合を阻害した。
【表15】
【0340】
IgG ELISA
図3に示されるように、すべての構築物は、高用量及び低用量で総Ig応答を生成した。すべての構築物は、高度に交差反応的な応答を生成した。
【0341】
細胞媒介性免疫応答
バリアント構築物によって誘導されたB細胞の頻度を特徴分析した。
【0342】
図4及び表14に示されるように、すべての構築物は、すべてのバリアントB細胞受容体特異的プローブと反応したS特異的B細胞を生成した。非特異的対照(すなわち、ベイト及び陰性対照HA H1なし)は、低レベルのバックグラウンド結合を示した。
【0343】
抗原特異的T細胞応答を、上述のようにフローサイトメトリーを使用して決定した。ペプチドプール(上述のような)は、バリアント株ではなく、元のCoV-2株とマッチした。すべての構築物は、S1及びS2エピトープと反応する抗原特異的CD4及びCD8 T細胞を誘導した(
図5及び表14)。CD4 T細胞は、ほとんどがTh0(IL2+及び/又はTNFa+、IFNg-、IL5-、IL13-)及びTh1(IFNg+、IL5-、IL13-)であり、Th2(IL5+及び/又はIL13+、IFNg-)はほとんど又は全くなかった。
【表16】
【配列表】
【国際調査報告】