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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-18
(54)【発明の名称】燃料電池用バイポーラプレート
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0258 20160101AFI20250311BHJP
   H01M 8/2465 20160101ALI20250311BHJP
   H01M 8/0206 20160101ALI20250311BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/2465
H01M8/0206
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024539503
(86)(22)【出願日】2022-12-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2022088004
(87)【国際公開番号】W WO2023126475
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】21218388.3
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22200384.0
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521239440
【氏名又は名称】サイドロゲン エナジー ピーティーイー.リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Sydrogen Energy Pte. Ltd.
【住所又は居所原語表記】28 Ayer Rajah Crescent, #02-02/03, Ayer Rajah Industrial Estate, Singapore 139959, Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100182084
【弁理士】
【氏名又は名称】中道 佳博
(72)【発明者】
【氏名】シ,シュ
(72)【発明者】
【氏名】リム,ケヴィン チー クアン
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126DD05
5H126EE06
5H126EE11
5H126EE22
5H126EE31
5H126EE35
5H126EE42
5H126GG02
5H126GG08
5H126JJ03
(57)【要約】
水素燃料電池ユニットが複数の同一バイポーラプレートから製造される。各バイポーラプレートは、鋼でなる単一のシートから打ち抜きされ、ta-Cでコーティングされたものであり、当該ユニットは、順に、(i)正面および背面を備える第1のバイポーラプレートであって、背面がユニットのアノードである、第1のバイポーラプレートと、(ii)第1の膜電極アセンブリと、(iii)正面および背面を備える第2のバイポーラプレートであって、正面がユニットのカソードであり背面がユニットのアノードであり、第1の膜電極アセンブリが、第1のバイポーラプレートと第2のバイポーラプレートとの間にあり、第1のバイポーラプレートの背面と第1の膜電極アセンブリとの間には水素を流すために流路が設けられ、第2のバイポーラプレートの正面と第1の膜電極アセンブリとの間には酸素を流すために流路が設けられている、第2のバイポーラプレートと、(iv)第2の膜電極アセンブリと、(v)正面および背面を備える第3のバイポーラプレートであって、正面が該ユニットのカソードであり、第2の膜電極アセンブリが、第2のバイポーラプレートと第3のバイポーラプレートとの間にあり、第2のバイポーラプレートの背面と第2の膜電極アセンブリとの間には水素を流すために流路が設けられ、第3のバイポーラプレートの正面と第2の膜電極アセンブリとの間には酸素を流すために流路が設けられている、第3のバイポーラプレートとを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素燃料電池ユニットであって、順に、
(i)正面および背面を有する第1のバイポーラプレートであって、該背面が該ユニットのアノードである、第1のバイポーラプレートと、
(ii)第1の膜電極アセンブリと、
(iii)正面および背面を有する第2のバイポーラプレートであって、該正面が該ユニットのカソードであり該背面が該ユニットのアノードであり、
該第1の膜電極アセンブリが、該第1のバイポーラプレートと該第2のバイポーラプレートとの間にあり、該第1のバイポーラプレートの該背面と該第1の膜電極アセンブリとの間には水素を流すための流路が設けられ、該第2のバイポーラプレートの該正面と該第1の膜電極アセンブリとの間には酸素を流すための流路が設けられている、第2のバイポーラプレートと、
(iv)第2の膜電極アセンブリと、
(v)正面および背面を有する第3のバイポーラプレートであって、該正面が該ユニットのカソードであり、
該第2の膜電極アセンブリが、該第2のバイポーラプレートと該第3のバイポーラプレートとの間にあり、該第2のバイポーラプレートの該背面と該第2の膜電極アセンブリとの間には水素を流すための流路が設けられ、該第3のバイポーラプレートの該正面と該第2の膜電極アセンブリとの間には酸素を流すための流路が設けられている、第3のバイポーラプレートと、を備え、
該バイポーラプレートが酸素を流すために酸素流路を備え、隣接するプレートの該酸素流路が該プレート全体にわたって分岐および合流を繰り返す、水素燃料電池ユニット。
【請求項2】
隣接するプレートの前記酸素流路が、該プレートにわたって十文字のパターンで分岐および合流する、請求項1に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項3】
前記酸素流路が規則的(つまり反復)パターンで分岐および合流する、請求項1または2に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項4】
各酸素流路が、入口および出口、ならびに該入口と該出口との間の導管を備え、該燃料電池内の隣接するプレートの酸素導管が、前記燃料電池ユニットの一部であるスタックに保持された場合に該隣接するプレートが入れ子状にならないように、全長にわたって垂直に整列されていない、先行する請求項のいずれかに記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項5】
前記膜電極アセンブリが、前記酸素流路の中に落下しないように、前記バイポーラプレート間の定位置で固定されている、請求項4に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項6】
前記プレートが水素を流すための流路を備え、各流路が入口および出口を有し、前記燃料電池の隣接するプレートの水素流路の該各入口および出口が垂直に整列されている、先行する請求項のいずれかに記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項7】
前記水素流路がその入口と出口との間に導管をさらに備え、前記燃料電池の隣接するプレートの流路の該導管が、その長さ全体に沿って垂直に整列されていない、先行する請求項のいずれかに記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項8】
前記酸素流路の各々が入口および出口を有し、前記燃料電池の隣接するプレートの酸素流路の該各入口および出口が垂直に整列されている、先行する請求項4に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項9】
前記バイポーラプレートが、互いに実質的に横断する水素流路および酸素流路を備える、先行する請求項のいずれかに記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項10】
酸素流路が前記バイポーラプレートの窪みによって形成され、横断する水素流路が、該窪みにおける該酸素流路を形成するノッチを含むか、またはその逆であって、水素流路が前記バイポーラプレートの窪みによって形成され、横断する酸素流路が、該窪みにおける、水素流路を形成するノッチを含む、請求項9に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項11】
プレートを垂直に上下に積み重ねた場合、任意のプレートの水平断面(すなわち、プレートの中心を通り、プレートを積層する垂直方向に対して直交する平面に沿った断面)が、水素流路および酸素流路の両方を通る、先行する請求項のいずれかに記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項12】
前記第1のバイポーラプレートおよび/または前記第2のバイポーラプレートおよび/または前記第3のバイポーラプレートが、プレートを積層する垂直方向(すなわち、該プレートの該平面に対して直交する方向)において該プレートの中心を通る線に対して回転対称でない、先行する請求項のいずれかに記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項13】
前記第1のバイポーラプレートおよび/または前記第2のバイポーラプレートおよび/または前記第3のバイポーラプレートが回転対称でないことが、前記酸素流路の形状によるものである、請求項12に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項14】
前記第1のバイポーラプレートおよび/または前記第2のバイポーラプレートおよび/または前記第3のバイポーラプレートが2つまたはそれ以上のマニホールド開口部を備え、各プレート上の該マニホールド開口部が回転対称である、請求項12または13に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項15】
前記マニホールド開口部の前記回転対称が2回回転対称である、請求項14に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項16】
前記第1のバイポーラプレート、前記第2のバイポーラプレート、および前記第3のバイポーラプレートのそれぞれが同じデザインである、先行する請求項のいずれかに記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項17】
隣接するバイポーラプレートが互いに対して180度回転されている、請求項16に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項18】
各バイポーラプレートの前記背面(すなわちアノード側)に隣接して、アノードガスケットが設けられており、各バイポーラプレートの前記正面(すなわちカソード側)に隣接して、カソードガスケットが設けられている、先行する請求項のいずれかに記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項19】
各バイポーラプレートの前記背面に隣接する全てのアノードガスケットが同一である、請求項18に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項20】
各バイポーラプレートの前記正面に隣接する全てのカソードガスケットが同一である、請求項18または19に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項21】
燃料電池ユニット用のバイポーラプレートであって、プレートを積層する垂直方向(すなわち、該プレートの平面に対して直交する方向)において該プレートの中心を通る線に対して回転対称でなく、該バイポーラプレートが、先行する請求項のいずれかに記載の前記第1のバイポーラプレート、前記第2のバイポーラプレート、および/または前記第3のバイポーラプレートのいずれかに適している、バイポーラプレート。
【請求項22】
金属または合金、例えば鋼でなる単一のシートから打ち抜きされる、請求項21に記載のバイポーラプレート。
【請求項23】
前記バイポーラプレートが溶接接合部を有していない、請求項21または22に記載のバイポーラプレート。
【請求項24】
前記回転対称でないことが前記酸素流路の形状によるものである、請求項21から23のいずれかに記載のバイポーラプレート。
【請求項25】
前記バイポーラプレートが、2つまたはそれ以上のマニホールド開口部を備え、各プレート上の該マニホールド開口部が回転対称である、請求項23から24のいずれかに記載のバイポーラプレート。
【請求項26】
前記マニホールド開口部の前記回転対称が2回回転対称である、請求項25に記載のバイポーラプレート。
【請求項27】
バイポーラプレートの製造方法であって、
(i)金属または合金のシートを提供する工程と、
(ii)該シートに打ち抜きして、複数の水素流路および複数の酸素流路を備えるバイポーラプレートを形成する工程と、
を含み、
該バイポーラプレートを使用して、請求項1から20のいずれかに記載の水素燃料電池ユニットを形成することが可能である、方法。
【請求項28】
前記方法が溶接工程を含まない、請求項27に記載のバイポーラプレートの製造方法。
【請求項29】
水素燃料電池の製造方法であって、
(i)正面および背面を有し、該背面がアノードである、第1のバイポーラプレートと、正面および背面を有し、該正面がカソードであり該背面がアノードである、第2のバイポーラプレートとを提供する工程と、
(ii)該第1のバイポーラプレートと該第2のバイポーラプレートとの間に第1の膜電極アセンブリを配置する工程であって、
該第1の膜電極アセンブリが該第1のバイポーラプレートと該第2のバイポーラプレートとの間にある場合、該第1のバイポーラプレートの該背面と該第1の膜電極アセンブリとの間には水素を流すために流路が設けられており、該第2のバイポーラプレートの該正面と該第1の膜電極アセンブリとの間には酸素を流すために流路が設けられている、工程と、
(iv)正面および背面を有し、該正面がカソードである、第3のバイポーラプレートを提供する工程と、
(v)該第2のバイポーラプレートと該第3のバイポーラプレートとの間に第2の膜電極アセンブリを配置する工程と、
を含み、
該第2の膜電極アセンブリが、該第2のバイポーラプレートと該第3のバイポーラプレートとの間にある場合、該第2のバイポーラプレートの該背面と該第2の膜電極アセンブリとの間には、水素を流すために流路が設けられ、該第3のバイポーラプレートの該正面と該第2の膜電極アセンブリとの間には、酸素を流すために流路が設けられる、方法。
【請求項30】
前記バイポーラプレートが全て同一のデザインを有しており、隣接するプレートが互いに対して180度回転されている、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素燃料電池(特にPEM燃料電池)で使用するためのバイポーラプレート、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気候変動の影響に対する意識の高まりから、水素といった、代替的な「脱化石」エネルギー源に関する研究が増加している。水素の電気化学的酸化、典型的には触媒的酸化により水を生成して電力を生産する水素燃料電池が開発されている。
【0003】
広く使用されている水素燃料電池は、プロトン交換膜(PEM)燃料電池であり、プロトンが膜を通過することを許容する一方で電子および反応物(例えば、水素および酸素ガス)に対しては障壁として機能する半透膜を備えている。PEM燃料電池は、エネルギー変換率が高い点、環境に優しい点、および運転温度が低い点を含む、多数の利点を有している。
【0004】
PEM燃料電池内の各電池が生成する電圧は比較的低いので、複数のPEM電池を直列接続して、出力電圧を上昇させることが可能である。このマルチセルアセンブリは、燃料電池スタックと呼ばれることもある。隣接しあうPEM電池を、一方のPEM電池のカソードが他方のPEM電池のアノードに接続されるように接続することにより、一方のPEM電池から隣接するPEM電池に電気を導通させるバイポーラプレートが効率良く形成される。カソードプレートおよびアノードプレートのそれぞれ、したがって、バイポーラプレートの各半体は、通常、その表面に、反応物または冷却剤を供給可能な流路も含んでいる。水素燃料電池の中核部品として、バイポーラプレートは、電流の伝導、膜電極の支持、反応ガスの均一な輸送と分離、および急速冷却のための冷却剤の循環を含む、多くの重要な機能を有する。
【0005】
隣接しあうPEM電池が接続されると、これらの隣接しあうセルの2つの別々のプレート(アノードおよびカソード)からバイポーラプレートが形成される。これらのプレートは、通常、溶接されている。これに関連して多くの課題が存在する。特に、溶接部位における酸化および腐食により、バイポーラプレートの効率が低下し得る。それでもなお、バイポーラプレートは、複数のセルが直列接続されている場合が、この分野では一般的である。
【0006】
US第2020/212470号は、複数のフロープレートアセンブリが積み重ねられた構成で配置された燃料電池ユニットであって、隣接するフロープレートアセンブリが互いに対してオフセット角度で配置された燃料電池ユニットを開示している。
【0007】
DE第10 2020 207353号は、燃料電池システム用のバイポーラプレートであって、プレートは、第1の流路構造を通る冷却剤の流れと第2の流路構造を通る冷却剤の流れとが異なるように並べられた、燃料電池システム用のバイポーラプレートを開示している。
【0008】
US第2015/325876号は、第1の供給構造および第2の供給構造をそれぞれ有する第1の流路構造および第2の流路構造を有するアノード/カソードのスタックを含む燃料電池を開示している。
【0009】
US第4292 379号は、反応分布の偏りを緩和するための燃料電池システムを開示している。
【0010】
US第2019/169759号は、連結管によって分離された、相互接続された固体酸化物電気化学ガスセパレータ(SOEGS)セルのスタックを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、公知の燃料電池スタックに関連する課題を改善すること、または公知の燃料電池スタックに対する、および隣接する燃料電池間のバイポーラプレートに対する代替手段を提供することにある。特定の実施形態の一目的は、燃料電池スタック用の改善されたバイポーラプレートを提供すること、ならびに1つまたはそれ以上の改善されたバイポーラプレートを組み込んだ燃料電池スタック、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、水素燃料電池ユニットであって、順に、
(i)正面および背面を備える第1のバイポーラプレートであって、該背面が該ユニットのアノードである、第1のバイポーラプレートと、
(ii)第1の膜電極アセンブリと、
(iii)正面および背面を備える第2のバイポーラプレートであって、該正面が該ユニットのカソードであり該背面が該ユニットのアノードであり、
該第1の膜電極アセンブリが該第1のバイポーラプレートと該第2のバイポーラプレートとの間にあり、該第1のバイポーラプレートの該背面と該第1の膜電極アセンブリとの間には水素を流すために流路が設けられ、該第2のバイポーラプレートの該正面と該第1の膜電極アセンブリとの間には酸素を流すために流路が設けられている、第2のバイポーラプレートと、
(iv)第2の膜電極アセンブリと、
(v)正面および背面を備える第3のバイポーラプレートであって、該正面が該ユニットのカソードであり、
該第2の膜電極アセンブリが該第2のバイポーラプレートと該第3のバイポーラプレートとの間にあり、該第2のバイポーラプレートの該背面と該第2の膜電極アセンブリとの間には水素を流すために流路が設けられ、該第3のバイポーラプレートの該正面と該第2の膜電極アセンブリとの間には酸素を流すために流路が設けられている、第3のバイポーラプレートと、を備える、水素燃料電池ユニットを提供する。
【0013】
好ましくは、バイポーラプレートは、酸素を流すための流路を備え、隣接するプレートの酸素流路はプレート全体にわたって、例えば、十文字のパターンで分岐および合流を繰り返している。
【0014】
本発明はまた、バイポーラプレートの製造方法であって、
(i)金属または合金のシートを提供する工程と、
(ii)該シートに打ち抜きして、複数の水素流路および複数の酸素流路を含むバイポーラプレートを形成する工程と、を含み、
該バイポーラプレートを使用して、本発明に係る水素燃料電池ユニットを形成することが可能な、方法を提供する。
【0015】
さらに、本発明は、水素燃料電池の製造方法であって、
(i)正面および背面を有し、背面がアノードである第1のバイポーラプレートと、正面および背面を有し、正面がカソードであり背面がアノードである第2のバイポーラプレートとを提供する工程と、
(ii)該第1のバイポーラプレートと該第2のバイポーラプレートとの間に第1の膜電極アセンブリを配置する工程であって、
該第1の膜電極アセンブリが該第1のバイポーラプレートと該第2のバイポーラプレートとの間にある場合、該第1のバイポーラプレートの該背面と該第1の膜電極アセンブリとの間には水素を流すために流路が設けられ、該第2のバイポーラプレートの該正面と該第1の膜電極アセンブリとの間には酸素を流すために流路が設けられる、工程と、
(iv)正面および背面を有し、該正面がカソードである第3のバイポーラプレートを提供する工程と、
(v)該第2のバイポーラプレートと該第3のバイポーラプレートとの間に第2の膜電極アセンブリを配置する工程と、
を含み、
該第2の膜電極アセンブリが、該第2のバイポーラプレートと該第3のバイポーラプレートとの間にある場合、該第2のバイポーラプレートの該背面と該第2の膜電極アセンブリとの間には水素を流すために流路が設けられ、該第3のバイポーラプレートの該正面と該第2の膜電極アセンブリとの間には酸素を流すために流路が設けられる、方法を提供する。
【0016】
全てのプレートは、同一のデザインを有していることが可能であり、各プレートは、金属または合金のシートから打ち抜きされたものであり、隣接するプレートは、互いに対して180度回転されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】燃料電池スタック内の公知のバイポーラプレートを示す。
図2】バイポーラプレートを形成する公知のアノードプレートおよびカソードプレートの構成要素を示す。
図3】本発明のバイポーラプレートを上方かつ側方から見た図である。
図4】本発明のバイポーラプレートの一方側を上から見た平面図である。
図5】本発明の2つの別々のバイポーラプレートの流路を上から見た図であり、一方のプレートが他方のプレートのすぐ上に積み重ねられ、両方のプレートは同じ形状および構成を有し、一方のバイポーラプレートが他方に対して180度回転されている。
図6図4のバイポーラプレートを上から見た図であり、プロトン交換膜が最上部にあり、バイポーラプレートのアノード側をシールしている。
図7図4のバイポーラプレートを上から見た図であり、プレート上のアノードガスケットを示している。
図8図4のバイポーラプレートを上から見た図であり、プレート上のカソードガスケットを示している。
図9】本発明のバイポーラプレートのスタックの一部を上方かつ側方から見た図であり、空気流路を示すスタックの断面が確認できる。
図10】燃料電池スタックの中心部における、図9の一部と同じ方向のより詳細な断面を示す。
図11図9および図10に対して直交する方向における燃料電池スタックの断面図であり、水素流路を示している。
図12図11と同じ方向に切断した、燃料電池スタックの縁部のより詳細な断面を示す。
図13】本発明のバイポーラプレートの代替的な実施形態を上から見た平面図である。
図14図13に示される実施形態の2つの別々のバイポーラプレートの流路を上から見た図であり、一方のプレートが他方のプレートのすぐ上に積み重ねられ、両方のプレートは同じ形状および構成を有し、一方のバイポーラプレートが他方に対して180度回転されている。
図15A】本発明のバイポーラプレートの他の実施形態を上から見た平面図である。
図15B】本発明のバイポーラプレートの他の実施形態を上から見た平面図である。
図16】酸素マニホールドと共に使用するための、閉鎖されたカソードを有する本発明のバイポーラプレートの他の実施形態を上から見た平面図である。
図17A】酸素マニホールドと共に使用するための、閉鎖されたカソードを有する本発明のバイポーラプレートのさらなる実施形態を上から見た平面図である。
図17B】酸素マニホールドと共に使用するための、閉鎖されたカソードを有する本発明のバイポーラプレートのさらなる実施形態を上から見た平面図である。
図18】本発明のバイポーラプレートのスタックを備える燃料電池を上方かつ側方から見た図である。
図19図18の燃料電池スタックの分解図である。
図20図18および図19の燃料電池スタックの中心を通る断面を上方かつ側方から見た図であり、流路を示している。
図21】水素マニホールドに接続するための導管を示す、図20と同じ方向のより詳細な断面を示す。
図22図20と同じ方向の同様の断面であって、周囲ガスケットの断面を示す。
図23図20図22と同じ方向の、周囲ガスケットのより詳細な部分断面を示す。
図24図20図23に対して直交する方向において、図18の燃料電池スタックの中心を通る断面を上方かつ側方から見た図であり、水素流路を示す。
図25図24と同様の方向であるが、側方から見た、水素流路および周囲ガスケットを示すより詳細な断面を示している。
図26図24と同じ方向の同様の断面であるが、カソードガスケットのさらなる部分を示している。
図27図26と同様の方向であるが、側方から見た、カソードガスケットのさらなる部分のより詳細な部分断面図である。
図28】本発明のバイポーラプレートの代替的なさらなる実施形態を上方かつ側方から見た図である。
図29図28のバイポーラプレートを上から見た平面図である。
図30図28のバイポーラプレートのアノード側を上から見た平面図であり、アノードガスケットを示す。
図31図28のバイポーラプレートのカソード側を上から見た平面図であり、カソードガスケットを示す。
図32a図32a、図32b、および図32cは、図28図31に示される本発明の実施形態のアノードガスケット、カソードガスケット、および端部プレートガスケットをそれぞれ示す。
図32b図32a、図32b、および図32cは、図28図31に示される本発明の実施形態のアノードガスケット、カソードガスケット、および端部プレートガスケットをそれぞれ示す。
図32c図32a、図32b、および図32cは、図28図31に示される本発明の実施形態のアノードガスケット、カソードガスケット、および端部プレートガスケットをそれぞれ示す。
図33図28のバイポーラのアノードガスケット特徴部の(図29の線Aに沿った)断面を示す。
図34図28に係るバイポーラプレートのスタックを縁部から見た(図29の線Aに平行な)図である。
図35図28のバイポーラプレートの水素入口流路の(図29の線Bに沿った)断面である。
図36図28のバイポーラプレートの中心を通る(図29の線Cに沿った)断面である。
図37図37図40は、図33図36のカラー図であるが、それ以外は同等である。
図38図37図40は、図33図36のカラー図であるが、それ以外は同等である。
図39図37図40は、図33図36のカラー図であるが、それ以外は同等である。
図40図37図40は、図33図36のカラー図であるが、それ以外は同等である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
したがって、本発明の水素燃料電池ユニットは、順に、
(i)正面および背面を備える第1のバイポーラプレートであって、該背面が該ユニットのアノードである、第1のバイポーラプレートと、
(ii)第1の膜電極アセンブリと、
(iii)正面および背面を備える第2のバイポーラプレートであって、該正面が該ユニットのカソードであり該背面が該ユニットのアノードであり、
該第1の膜電極アセンブリが、該第1のバイポーラプレートと該第2のバイポーラプレートとの間(例えば第1のバイポーラプレートの背面と第2のバイポーラプレートの正面との間)にあり、該第1のバイポーラプレートの該背面と該第1の膜電極アセンブリとの間には水素を流すために流路が設けられ、該第2のバイポーラプレートの該正面と該第1の膜電極アセンブリとの間には酸素を流すために流路が設けられている、第2のバイポーラプレートと、
(iv)第2の膜電極アセンブリと、
(v)正面および背面を備える第3のバイポーラプレートであって、該正面が該ユニットのカソードであり、
該第2の膜電極アセンブリが、該第2のバイポーラプレートと該第3のバイポーラプレートとの間(例えば、第2のバイポーラプレートの背面と第3のバイポーラプレートの正面との間)にあり、該第2のバイポーラプレートの該背面と該第2の膜電極アセンブリとの間には水素を流すために流路が設けられ、該第3のバイポーラプレートの該正面と該第2の膜電極アセンブリとの間には酸素を流すために流路が設けられている、第3のバイポーラプレートとを備える、水素燃料電池ユニットを提供する。
【0019】
これらのプレートは、水素を流すための流路(水素流路ともいう)を含み、各流路は入口と出口を有する。燃料電池ユニット内の隣接するプレートの水素流路の各入口および出口は、好適にはプレートの垂直の積層において垂直に整列させることが可能である。このため、1つのスタックにおいてプレート間のガスケットのデザインが簡単になる。例えば、各プレートのカソード側で同じガスケットを全体的に使用することができる(例えば、プレートのカソード側の水素入口および出口をシールして、カソード側での水素の流れを阻止する)。
【0020】
各水素流路はさらに、その入口と出口との間に導管を含む。燃料電池内の隣接するプレートの導管または流路は、好ましくは、その長さ全体に沿って垂直に整列されていない。したがって、隣接するプレートは、保持される際、例えば固定される際に、燃料電池の一部であるスタックの中に入れ子状にならない。隣接するプレートの互いに当接する部分は、膜電極アセンブリを隣接するプレート間で保持し、水素流路と酸素流路とをシールすることを支援して、それぞれの流路が互いに分離された状態を維持する。また、流路がその長さの一部に沿って整列しないことは、隣接するプレートがスタック内で互いを支持し、膜をプレート間でシールされた状態で保持することを意味している。
【0021】
以下により詳細に説明する例に示されるように、隣接するプレートの水素流路は、それぞれの入口が垂直に整列しており、その後、水素流路はプレート全体にわたって分岐および合流し、最終的に垂直に整列された出口で合流する。水素流路は、(隣接するプレートの入口および出口が垂直に整列しているか否かに関係なく)プレート全体にわたって、例えば十文字のパターンで分岐および合流を繰り返し得る。好ましい実施形態では、隣接するプレートの水素流路は、規則的なパターンで分岐および合流し得る。
【0022】
これらのプレートは、酸素を流すための流路(酸素流路ともいう)を含み、各流路は入口と出口を有する。燃料電池ユニット内の隣接するプレートの酸素流路の各入口および出口は、独立して、好適にはプレートの垂直の積層において垂直に整列させることが可能である。ここでも、各プレートのアノード側で同じガスケットを使用できるので、ガスケットのデザインが簡単になる(例えば、プレートのアノード側の酸素入口および出口をシールして、アノード側での酸素の流れを阻止する)。
【0023】
各酸素流路はさらに、その入口と出口との間に導管を含む。燃料電池内の隣接するプレートの酸素流路の導管は、その長さ全体に沿って垂直に整列されていない。ここでも、これによって、隣接するプレートが入れ子状になることを阻止され、膜電極アセンブリをプレート間でのシールによる係合においてしっかりと保持することが支援される。隣接するプレートは、この部分的な非整列の結果として、スタック内で互いをより良好に支持することができ、水素流路の一部と酸素流路の一部の両方が整列しないことが好ましい。
【0024】
以下により詳細に説明される例に示されるように、隣接するプレートの酸素流路は、それぞれの入口が垂直に整列しており、その後、酸素流路はプレート全体にわたって分岐および合流し、最終的に垂直に整列された出口に合流する。酸素流路は、(隣接するプレートの流入口および流出口が垂直に整列しているか否かに関係なく)プレート全体にわたって、例えば十文字のパターンで分岐および合流を繰り返し得る。好ましい実施形態では、隣接するプレートの酸素流路は、規則的な(すなわち反復的な)パターンで分岐および合流し得る。
【0025】
以下の実施例を参照すると、水素流路および酸素流路は、1つのプレートの窪みと、そのプレートと隣接するプレートとの間に保持された膜電極アセンブリとの組み合わせによって規定され得ることは理解されよう。
【0026】
以下の例により詳細に示されるように、バイポーラプレートは、互いに実質的に横断する水素流路および酸素流路を含み得る。例えば、水素流路は、プレートを横切って実質的に左から右へ延び得るが、酸素流路は、プレートを横切って実質的に後ろから前へ延びるか、またはその逆に延びる。好適には、大部分の水素流路は、大部分の酸素流路に対して実質的に横断している。具体的な実施形態では、全ての水素流路が、全ての酸素流路に対して実質的に横断している。
【0027】
本発明の利点は、各プレートを単一のシートから打ち抜きすることが可能であり、実際にバイポーラプレートを形成するために、各アノード側およびカソード側を溶接または他の方法で接続する必要がない点である。代わりに、本発明の打ち抜きされた各プレートは、それ自体でバイポーラプレートを形成する。
【0028】
水素流路および酸素流路は、1つのプレート、好ましくは打ち抜きされたプレートと膜電極アセンブリとの界面によって形成される。ここで、膜は2つのプレートの間で保持される。プレート上の突起が、膜に対してシール係合して保持され、プレート上の窪みが、窪みと膜との間に流路を形成する。
【0029】
本発明の実施形態によれば、横断する流れについては、水素流路および酸素流路が互いに交差している。酸素流路は、好適には、バイポーラプレートの窪みによって形成することが可能であり、横断する水素流路は、同時に、酸素流路を形成する窪みの中にノッチを含むことが可能である。ノッチは、その地点で酸素流路の高さを下げ、ノッチと膜との間の反対側に水素流路を形成する。またその逆も可能である。したがって、水素流路はバイポーラプレートの窪みによって形成されることが可能であり、横断する酸素流路は水素流路を形成する窪みの中にノッチを含むことが可能である。
【0030】
本発明の実施形態において、水素流路と酸素流路とを交差させることの1つの効果は、上述のように、バイポーラプレートを一枚の材料シートから打ち抜きで形成可能である点である。以下の例に示すように、プレートを垂直に上下に積層させた場合、プレートの水平断面(すなわち、各プレートの中心部を通り、プレートの積層の垂直方向に対して直交する平面)は、当該断面が水素流路および酸素流路の両方を通るようにすることができる。これは、公知の水素燃料電池スタックには当てはまらない。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、水素燃料電池ユニットの全てのプレート、例えば第1、第2、および第3のバイポーラプレートの各々は、同一のデザインを有している。これは、プレートを打ち抜きによって製造可能であるだけでなく、1つの打ち抜き機しか必要としないことを意味している。隣接するプレートは、隣接するプレートが互いに対して(好適にはプレートの平面に対して直交する軸に対して)180度回転した状態でスタックに配置されるのが好都合である。非対称のプレートデザインは、プレートを効果的に積層させて、水素流路および酸素流路を形成できる一方で、隣接するプレートの流路を入れ子状にせず、十分なプレート間接触を保持してプレート間で膜を把持し、水素側と酸素側とを分離した状態で保持するシール流路を形成可能であることを意味している。
【0032】
このような実施形態では、バイポーラプレートは、積層の垂直方向においてプレートの中心を通る線(つまり、プレートの平面に対して直交する平面の中心部を通る線)に対して回転対称でない。したがって、隣接するバイポーラプレートを互いに対して180度回転させることによって、プレートの窪みは整列せず、これは、プレートが入れ子状にならないことを意味している。好ましい実施形態では、回転対称でないことは、酸素流路の形状によるものである。
【0033】
バイポーラプレートが全体的に回転対称でない実施形態において、プレートの特定の特徴部と要素との間には回転対称性があってもよい。例えば、各プレートのマニホールド開口部は回転対称であってもよい。好ましくは、各バイポーラプレートのマニホールド開口部は、2回回転対称である。つまり、任意のバイポーラプレートを、第1の位置から、プレートの積層の垂直方向においてプレートの中心を通る線に対して180度回転させて、第2の位置まで移動させると、第1の位置のマニホールド開口部の位置と第2の位置のマニホールド開口部の位置とがマップする。このような回転対称性により、隣接するプレートのマニホールド開口部が垂直に整列することが可能になり、マニホールドを形成する。
【0034】
これとは無関係に、バイポーラプレート上の水素流路および/または酸素流路の入口および出口が回転対称(例えば2回回転対称)であってもよい。好ましくは、各バイポーラプレート上の水素流路および/または酸素流路の入口および出口は、2回回転対称であってもよい。つまり、任意のバイポーラプレートを、第1の位置から、プレートの積層の垂直方向においてプレートの中心を通る線に対して180度回転させて、第2の位置まで移動させると、第1の位置における各バイポーラプレートの水素流路および/または酸素流路の入口および出口の位置は、第2の位置における入口および出口の位置とマップする。このような回転対称性により、上述のように、隣接するプレートが互いに対して180度回転したプレートスタックにおいて、水素流路および/または酸素流路の入口および出口を垂直に整列させることが可能になる。
【0035】
本発明の代替的な実施形態では、異なる打ち抜き機を使用して隣接するバイポーラプレートを形成する(例えば、第1および第3のバイポーラプレートは同じ打ち抜き機を使用して打ち抜きされ、第2のバイポーラプレートは異なる打ち抜き機を使用して打ち抜きされる)。2つ(またはそれ以上)の打ち抜き機を使用する場合、隣接するプレートを回転させて隣接するプレートの流路が入れ子状になるのを防ぐ必要はない。これらの実施形態では、好ましくは2つのバイポーラプレートデザインがあり、隣接するプレートの水素流路および/または酸素流路は、その長さ全体に沿って整列しないので、隣接するプレートが入れ子状になることが阻止される。
【0036】
バイポーラプレートデザインが2つあるこのような実施形態では、特定の特徴部または要素は、両方のデザインにおいて同じ位置で維持されることが好ましい。例えば、マニホールド開口部、および独立して、水素流路および/または酸素流路の入口および出口は、両方のデザインにおいて同じ位置にあることが好ましい。
【0037】
ここで、本発明の燃料電池ユニット用のバイポーラプレートも提供される。当該バイポーラプレートは、プレートの積層の垂直方向(すなわち、プレートの平面に対して直交する方向)においてプレートの中心を通る線に対して回転対称性を有していない。好適には、バイポーラプレートは、上述の水素燃料電池ユニットにおける第1のバイポーラプレート、第2のバイポーラプレート、および/または第3のバイポーラプレートのいずれかである。
【0038】
好ましい実施形態では、回転対称性を有さないことは、酸素流路の形状によるものである。上述のように、バイポーラプレートが全体的に回転対称でない実施形態であっても、プレートの特定の特徴部と要素との間には回転対称性があってもよい。例えば、上述のように、バイポーラプレート上のマニホールド開口部の間に、または独立して、水素流路および/または酸素流路の入口と出口との間に、回転対称性があってもよい。特定の要素の回転対称性は、2回回転対称であり得る。すなわち、要素は、360度の各回転につき、それ自体に2回マップする。好ましい実施形態では、バイポーラプレートは2つまたはそれ以上のマニホールド開口部を備え、マニホールド開口部は回転対称である。マニホールド開口部の回転対称は、2回回転対称であることが特に好ましい。
【0039】
バイポーラプレートは、好ましくは、金属または合金、例えば、鋼、チタン、またはアルミニウム、またはその合金から成る単一のシートから打ち抜きされていることが好ましい。このシートは、例えば、ta-Cでコーティングされていてもよい。好ましくは、バイポーラプレートは、溶接接合部を有しておらず、つまり、バイポーラプレートの形成に溶接工程はない。
【0040】
ここで、バイポーラプレートの製造方法が提供される。この方法は、
(i)金属または合金のシートを提供する工程と、
(ii)該シートに打ち抜きして、複数の水素流路および複数の酸素流路を含むバイポーラプレートを形成する工程と、を含み、
バイポーラプレートを使用して、いずれかの実施形態および好ましい実施形態または特徴の組み合わせを含む、本発明に係る水素燃料電池ユニットを製造することが可能である。
【0041】
この方法は、好ましくは、溶接工程を含まない。
【0042】
さらに、本発明によって、水素燃料電池の製造方法が提供される。この方法は、
(i)正面および背面を有し、該背面がアノードである第1のバイポーラプレートと、正面および背面を有し、該正面がカソードであり該背面がアノードである第2のバイポーラプレートとを用意する工程と、
(ii)該第1のバイポーラプレートと該第2のバイポーラプレートとの間に第1の膜電極アセンブリを配置する工程であって、
該第1の膜電極アセンブリが該第1のバイポーラプレートと該第2のバイポーラプレートとの間(例えば、第1のバイポーラプレートの背面と第2のバイポーラプレートの正面との間)にある場合、該第1のバイポーラプレートの該背面と該第1の膜電極アセンブリとの間には水素を流すために流路が設けられ、該第2のバイポーラプレートの該正面と該第1の膜電極アセンブリとの間には酸素を流すために流路が設けられる、工程と、
(iv)正面および背面を有し、該正面がカソードである第3のバイポーラプレートを提供する工程と、
(v)該第2のバイポーラプレートと該第3のバイポーラプレートとの間に第2の膜電極アセンブリを配置する工程と、
を含み、
該第2の膜電極アセンブリが、該第2のバイポーラプレートと該第3のバイポーラプレートとの間(例えば、第2のバイポーラプレートの背面と第3のバイポーラプレートの正面との間)にある場合、該第2のバイポーラプレートの該背面と該第2の膜電極アセンブリとの間には水素を流すために流路が設けられ、該第3のバイポーラプレートの該正面と該第2の膜電極アセンブリとの間には酸素を流すために流路が設けられる、方法を提供する。
【0043】
水素燃料電池を製造する好ましい方法は、本明細書の他の箇所に記載されている本発明の1つまたはそれ以上または全ての任意または好ましい特徴を含んでいる。
【0044】
これらの方法では、バイポーラプレートは全て同じデザインであり、隣接するプレートは互いに対して180度回転されていることが好ましい。
【0045】
水素燃料電池ユニットの製造方法は、
(i)金属または合金のシートを提供する工程と、
(ii)該シートに型打ちして、複数の水素流路および複数の酸素流路を含むバイポーラプレートを形成する工程と、
(iii)工程(i)および(ii)を少なくとも1回繰り返して行い、複数の同様のバイポーラプレートを提供する工程と、
(iv)複数の同様のバイポーラプレートを、隣接するプレートが互いに対して180度回転した状態でスタックに配置する工程と、を含む。
【0046】
水素燃料電池ユニットのさらなる製造方法は、
(i)複数の水素流路および複数の酸素流路をそれぞれ含む、複数の同様のバイポーラプレートを提供する工程と、
(ii)複数の同様のバイポーラプレートを、隣接するプレートが互いに対して180度回転した状態でスタックに配置する工程と、を含む。
【0047】
したがって、バイポーラプレートを使用して、上述のようないずれかの実施形態および好ましい実施形態または特徴の組み合わせを含む、本発明に係る水素燃料電池ユニットを製造することが可能である。例示的なスタックは、スタックにおいて5またはそれ以上、特に10またはそれ以上のバイポーラプレートを含む。
【0048】
ガスケットは、水素燃料電池において従来公知であり、本発明において、隣接するプレート間で好適に使用されて、燃料電池の水素側と酸素側との間の漏れを防止し、水素燃料電池で従来公知なように、水素流路入口および出口と水素マニホールドとの間をシールし、電流コレクタに対するスタックの上部および底部プレートをシールする。酸素マニホールドを含めることは任意であり、実際に存在する場合は、ガスケットを使用して、酸素流路の入口と出口とを酸素マニホールドに対してシールすることが可能である。
【0049】
好ましい実施形態では、全てのバイポーラプレートのカソード側で第1のガスケット(カソードガスケットと呼ぶ)を使用し、全てのバイポーラプレートのアノード側で第2のガスケット(アノードガスケットと呼ぶ)を使用することが可能である。好ましくは、全てのカソードガスケットは同じであり(すなわち、同じ形状を有しており)、全てのアノードガスケットは同じである(すなわち、同じ形状を有している)。いくつかの実施形態では、アノード電流コレクタに第3のガスケットが必要とされ、カソード電流コレクタに第4のガスケットが必要とされる場合がある。他の好ましい実施形態では、第1のガスケット(すなわち、全てのプレートのカソード側で使用されるガスケット)をカソード電流コレクタに使用し、第2のガスケット(すなわち、全てのプレートのアノード側で使用されるガスケット)をアノード電流コレクタに使用してもよい。端部プレート用に別のガスケットが必要となる場合もある。
【0050】
したがって、これらの方法は、好適には、水素マニホールドを追加する工程、電流コレクタを追加する工程、それぞれの構成要素の間にガスケットを配置する工程、プレート、ガスケット、および他の構成要素を一緒に固定する工程を含む。
【0051】
本発明の実施形態の単一のプレートであるバイポーラプレートは、隣接するプレート間の溶接を必要としない。その結果、従来溶接されたプレートで生じる酸化や腐食が回避される。
【0052】
単一のバイポーラプレートは、従来よりも薄くすることができ、必要とされる材料はより少なくなる。溶接されたスタックに匹敵する出力の水素燃料電池スタックの全体の寸法および/または重量を減らすことができる。
【0053】
単一のバイポーラプレートは、スタックの層ごとに向きが異なるだけで、全て同じデザインを有することが可能である。プレート製造およびスタック構築の複雑さが軽減される。単一の打ち抜き機でスタック内の全プレートを製造することが可能である。
【0054】
本発明の実施形態で使用される単一のプレートは、内部ガスケットおよびMEAを使用すれば、容易かつ確実に互いにシールされることがわかった。
【0055】
本発明を、添付の図面を参照して説明する。
【0056】
参考までに、図1および図2を参照すると、公知のバイポーラプレートアセンブリは、ガス拡散層3によって離間され交互に配置されたバイポーラプレート1と膜電極アセンブリ(MEA)2とを含む。公知の各バイポーラプレート1は、バイポーラプレートを形成するために、実際には、第1のセルのアノードシート5、隣接するセルのカソードシート6、および溶接線7を含んでいる。したがって、アノードシート5およびカソードシート6が溶接されてバイポーラプレートを形成しており、その両側にガスケット8が設けられている。
【0057】
図3および図4を参照すると、本発明のバイポーラプレート10が、2つの面を有する単一の打ち抜きされた鋼プレートとして形成されており、一方の面は、燃料電池スタックの真ん中において、アノード側11を形成しアノード側11として使用され、他方の面は、カソード側12を形成しカソード側12として使用される。すなわち、スタックの上部および底部に配置されるプレートは、アノードかカソードのいずれかである。本発明のバイポーラプレートはさらに、各端部に、プレートのスタックの上部および底部にある水素マニホールド(ここでは図示せず、以下の図に示す)にプレートのスタック内でシール接続するための貫通した開口部14を有している。この開口部は、Hが入口マニホールド(図示せず)からスタック内のプレートのアノード側に沿って、H流路16を介して出口マニホールド(図示せず)まで流れることを可能にする。水素は、プレートを縦向きに流れ、ガスケット流路18において保持された隣接するプレートの間のガスケット(ここでは図示せず、以下の図に示す)とプロトン交換膜(図示せず)とによって、漏れが阻止される。水素は、バイポーラプレートのカソード側にのみ設けられるガスケットのさらなる部分(ここでは図示せず、以下の図に示す)によって、バイポーラプレートのカソード側のHマニホールド開口部14から流れ出ることが阻止される。したがって、水素は、アノード側の流路に流入することが可能であるが、カソード側の流路には流入しない。本発明のバイポーラプレートはさらに、空気流路17をプレートのカソード側12に有している。空気流路17を通って、空気がカソード側を横方向にプレートの幅20を流れる。(横向きの)空気流は、実質的には(縦向きの)水素流に対して直交(横断)する。プレートだけを(つまり、ガスケットや膜が無い状態で)見ると、バイポーラプレートのアノード側とカソード側との間には(向き以外)違いがないが、図4はバイポーラプレートのアノード側11として表示した。
【0058】
図5は、上下に重ねられた、本発明の2つのバイポーラプレート10を示しており、上のバイポーラプレートは部分的に透明(単に図示の目的)であり、下のプレートの水素流路(参照番号は付されていないが、図4を参照のこと)ならびに空気流路17aおよび17bが図から確認できる。プレートの向きは交互になっており、すなわち、燃料電池スタック内の隣接するバイポーラプレートは、プレートの表面に直交する、プレートの中心線を中心に180度回転している。流路は、隣接するバイポーラプレートの空気流路17が完全に整列しないように、つまり全長にわたって整列しないように意図的に設計されており、すなわち、図5を見れば、上部プレートの空気流路17aは、その縁部、すなわち入口と出口において垂直に整列しているが、その後、反対方向に十文字に交差し、その経路は分岐および合流を繰り返し、下部プレートの空気流路17bと完全には整列してないことが分かる。このプレートは、隣接するプレート(すなわち、1つのプレートが次のプレートに対して回転されている隣接するプレート)の空気流路が意図的に部分的に整列しないように設計されており、隣接するプレートの流路が互いに嵌合しない、または「入れ子」状にならないようになっている。そのため、膜(図示せず)が隣接するプレート間で固定され、一方のプレートの下面と他方のプレートの上面とが接する箇所で固定されることが可能になり、膜が空気流路17に落ち込んだり、空気流路17に押し込まれたりして、空気流の減少および/またはシール性の低減を生じさせ得ることを排除できる。
【0059】
湾曲した流路の形状も、重要である。空気流路が直線でないのは、燃料電池スタックが部分的に収縮/崩壊することを防ぐためである。本発明のバイポーラプレートの燃料電池スタック内に交互に配置されたバイポーラプレートは、180度回転されている。したがって、隣接するプレート上で空気流路は平行ではないので、プレートは、入れ子状態になり得ない。これは、一方のプレートから次のプレートまでの支持を提供するために重要であるとともに、隣接するプレート上の流路が互いに押し合うことによって、空気流路および水素流路が遮断されないようにするために重要である。隣接するプレート間の部分的に非平行な流路はまた、プロトン交換膜とアノードおよびカソードの両ガスケットを、隣接するプレート間でしっかりと固定することを可能にし、Hがセルの外に漏れるのを防ぐとともに燃料電池内でHと空気とが混合するのを防ぐ。
【0060】
図6は、本発明のバイポーラプレートのアノード側11に配置された膜20を示している。この膜は、両側のガスケット流路18(ここではガスケットが設けられている)の間でバイポーラプレートの幅を横切って延び、バイポーラプレートの両端のHマニホールド開口部14の間をバイポーラプレートの長さを横切って延びている。この膜は、Hが、Hマニホールド(図示せず)からプレートを縦方向に水素流路(図示せず)を通って流れ出て、バイポーラプレートの他方の端部のHマニホールド開口部の中に入ることを可能にする。この際に、Hは、漏出することも隣接するバイポーラプレートのカソード側に漏入することもない。
【0061】
図7および図8は、それぞれ、本発明のバイポーラプレートのアノード側およびカソード側におけるガスケットを示している。アノードガスケット22は、ガスケット流路18内でバイポーラプレートの外側を通っている。これによって、Hの漏れを防ぎ、HがH流路を通って流れることを可能にする。カソードガスケット23は、Hがバイポーラプレートのカソード側において、Hマニホールド流路から流出することを防ぐさらなる部分23aを含む。
【0062】
図9および図10は、図4に示されるような線Aに沿った燃料電池スタックの断面を示すものである。スタック内に複数のバイポーラプレート10が確認できる。それぞれの下側はカソード側12であり、上側はアノード側11である。スタックの上部に、燃料電池スタック内の各バイポーラプレートのアノード側に取り付けられた膜20が確認できる。各プレートのアノード側では、アノードガスケット22が空気の流れを防いでいるが、各プレートのカソード側では、空気流路17が開口しており空気の流れを可能にしている。燃料電池スタックの隣接するバイポーラプレートにおける空気流路は、その全長にわたって整列しているわけではないことは、他の箇所でも指摘されているが、図9では見やすくするために、流路が整列している位置の断面を示す。
【0063】
図11および図12は、図9の断面に対して直交する燃料電池スタックの断面であって、図4に示される線Bに沿った断面を示している。スタック内に多数のバイポーラプレート10が確認できる。それぞれの下側はカソード側12であり、上側はアノード側11である。スタックの上部に、燃料電池スタック内の各バイポーラプレートのアノード側に取り付けられた膜20が確認できる。カソードガスケットのさらなる部分23a(断面はこの部分に沿ったものである)は、各プレートのカソード側においてHが流れることを防いでいるが、H流路16は、スタック内の各バイポーラプレート10のアノード側において水素が流れることを許容している。図12はさらに、ガスケット流路18におけるアノードガスケット22を示している。これは、バイポーラプレートのアノード側11に沿って空気が流れることを防ぐためのものである。
【0064】
図11および図12におけるH流路16は、各バイポーラプレート10の厚みを貫通して延びていない。これは、H流路16が、(図9および図10に示される)直交する空気流路17を遮断することを防ぐためである。空気流路17は、各流路が深さdを有するようにバイポーラプレートに打ち抜きされ、その後、直交するH流路が、深さdでバイポーラプレートに打ち抜きされる。H流路の深さdは、空気流路の深さdよりも小さい。空気流路とH流路とが交差する位置(バイポーラプレートの対向面)において、空気流路は、ノッチを有しており、深さd-dまで狭くなっている。この配置により、空気および水素は、互いに交差する方向に、各バイポーラプレートの対向面でそれぞれの流路をほぼ直交する方向に同時に流れることが可能になる。
【0065】
図13に示されるバイポーラプレートは、本発明の代替的な実施形態である。図3図8を参照して説明した上記のバイポーラプレートと同様に、図13のバイポーラプレート30は、打ち抜きされた後に、交互にプレートを180度回転させたものである。この回転により、空気流路38が整列することを阻止し、カソードおよびアノードガスケット(図示せず)ならびにプロトン交換膜(図示せず)を、隣接するプレート間で固定可能になる。図13のバイポーラプレートは、図3図8のバイポーラプレートとは、打ち抜きされた空気流路の形状が異なる点で異なる。それ以外では、図13のバイポーラプレートの特徴は、図3図8のバイポーラプレートの特徴と同じであるかまたは対応するものである。
【0066】
図14は、本発明の、上下に積層させた2つのバイポーラプレート30を示している。上のバイポーラプレートは部分的に透明であり(図示の目的でのみ)、下のプレートの水素流路(符号は付されていないが、図13の符号36を参照のこと)および空気流路38bが、図中で確認できる。プレートの向きは交互になっており、すなわち、燃料電池スタック内の隣接するバイポーラプレートは、プレートの表面に対して直交する、プレートの中心線を中心に180度回転されている。流路は、隣接するバイポーラプレートの空気流路38が完全に整列しないように意図的に設計されており、すなわち図14を見れば、上部プレートの空気流路38aは、その縁部、すなわち入口と出口において垂直に整列しているが、その後、反対方向に十文字に交差し、その経路は分岐と合流とを繰り返し、下部プレートの空気流路38bと完全には整列してないことが分かる。このプレートは、隣接するプレート(すなわち、1つのプレートが次のプレートに対して回転されている)の空気流路が意図的に部分的に整列しないように設計されており、隣接するプレートの流路が互いに嵌合しない、または「入れ子」状にならないようになっている。そのため、膜(図示せず)は、隣接するプレート間で固定され、一方のプレートの下面と他方のプレートの上面とが接する箇所で固定されることが可能になり、膜が空気流路38に落ち込んだり押し込まれたりして、空気流の減少および/またはシール性の低減を生じさせ得ることを排除できる。
【0067】
図15aおよび図15bに示されるバイポーラプレートは、本発明の代替的な実施形態である。(例えば、図5および図13を参照して)上述したように、図3図8および図13で説明した種類のバイポーラプレートを打ち抜きし、その後180度回転させて、空気流路が整列しないようにする。図15aおよび図15bに示される実施形態では、バイポーラプレートを積み重ねる際に、これらを回転させる必要はない。(図15aに示される)バイポーラプレート50と(図15bに示される)バイポーラプレート60とを形成するために、異なる打ち抜き機を使用した。したがって、バイポーラプレート50および60を交互に配置して燃料電池スタックを形成する場合、どのプレートも回転させる必要はない。空気流路57および67のパターン以外は、これらのバイポーラプレートは、図3図8に示されるものと同じ原理に従った流路を有している。各バイポーラプレートの上面は、アノード側51、61であり、下面は、カソード側(図示せず)である。各バイポーラプレート50、60の両側に開口部54、64があり、水素マニホールド(図示せず)をプレートのアノード側の水素流路56、66に接続している。さらに、図15aおよび図15bでは、それぞれ、アノードガスケット52、62が収容されたガスケット流路58、68が設けられている。隣接するプレートは入れ子状になっておらず、MEAを隣接するプレートの間でシールして保持可能である。
【0068】
図16のバイポーラプレートは、本発明の代替的なさらなる実施形態である。図16のバイポーラプレート80は、閉鎖されたカソードを有しており、これは、カソードを酸素マニホールドに接続可能であることを意味している。図3図8および図13a~図13bに示される本発明のバイポーラプレートは、いずれも、開放されたカソードを有しており、これは空気流路がシールされていないことを意味している。図16には、閉鎖されたカソードを備える実施形態が示されている。これは、空気流路87がシールされており、空気が空気マニホールド(図示せず)に接続する開口部94から空気流路の中を通ることを意味している。閉鎖されたカソードの配置により、純酸素または酸素を追加した空気を空気流路87に通すことも可能になる。空気開口部94が設けられていることに加えて、閉鎖されたカソードの配置を有するバイポーラプレート80はさらに、異なる形状のガスケット流路88を有し、異なる形状のアノードガスケット82と、閉鎖されたカソードの配置が必要とするカソードガスケット(図示せず)とを補完する。アノードガスケット82およびカソードガスケットは、空気開口部94をシールするためにさらなる部分を有している。
【0069】
図17aおよび図17bは、閉鎖されたカソードを備える本発明のバイポーラプレートの代替的な一配置を示している。(図15aおよび図15bに示される)バイポーラプレート50および60と同様に、(図17aおよび図17bに示される)バイポーラプレート100および110は、積層時に回転させる必要はない。その代わり、2つのバイポーラプレート100および110を形成するために、2つの別々の打ち抜き機を使用する。燃料電池スタックを形成する際に、これらのバイポーラプレートを交互に配置して、隣接するプレート上の空気流路107および117が整列することを防ぐ。空気流路107、117の形状以外は、バイポーラプレート100および110は、同一であり、図16に示されるバイポーラプレート80と同じ特徴を有している。
【0070】
図18および図19を参照すると、本発明のバイポーラプレートを備える燃料電池スタックが示されている。この燃料電池スタックは、開放されたカソード(例えば、図3から図8図13および図15に示されるようなカソード)を備えるバイポーラプレートを特徴とする。燃料電池スタックは、バイポーラプレート120のスタックを備え、バイポーラプレートのスタッフの両端部に、電流コレクタプレート123および端部プレート121が設けられている。燃料電池スタックはまた、多数の異なるガスケット、特にバイポーラプレートのスタッフ内のアノードガスケット128およびカソードガスケット(図示せず)、電流コレクタガスケット127、および各端部における端部プレートガスケット129を特徴とする。ボルト124により、2つの端部プレート121が一括して保持され、スタッフを圧縮して、様々なガスケット127、128、および129と、スタッフ内のバイポーラプレート/端部プレートとの間のシールを確保し、水素流路と空気流路との間からガスが漏れることを防いでいる。水素入口125が示されている。これを通って、水素が制御されて水素マニホールドの中に注入されると共に、各バイポーラプレートの開口部(図示せず)および水素流路(図示せず)を通って注入される。追加的に絶縁層126が、スタッフの各側においてコレクタプレートと端部プレートとの間に設けられている。
【0071】
図20および図21は、空気流路130を示す図18および図19の燃料電池スタックの中心を通る断面を示している。この断面では、水素が燃料電池スタックのバイポーラプレートのアノード側の水素流路に出入りする際に通る、バイポーラプレート120の水素マニホールド131および開口部132を確認できる。燃料電池スタックからの水素の漏れを防ぐカソードガスケット136が確認できるとともに、スタッフ内のバイポーラプレートのカソード側に沿って水素が流れることを防ぐ、カソードガスケットのさらなる部分136aも確認できる。アノードガスケット137はさらに、水素開口部132の外側を通っており、燃料電池スタックからの水素の漏れを防止する一方で、水素が各バイポーラプレートのアノード側に沿った水素流路を通ることを可能にする。
【0072】
図22および図23は、図20および図21と同じ方向における燃料電池スタックのさらなる断面を示しているが、この断面は、周囲ガスケットを通るものであり、燃料電池スタックの中心を通るものではない。アノードガスケット135が、空気がバイポーラプレート120のアノード側に入ることを防いでいる。バイポーラプレートのスタックとスタックの各面における電流コレクタプレート123との間に、膜および電流コレクタガスケット127および138が設けられており、水素がバイポーラプレートのスタックから漏れ出すことを防いでいる。さらに、燃料電池スタックの電流コレクタ123と端部プレート120との間に、端部プレートガスケット129が設けられている。
【0073】
図24および図25は、同じ燃料電池スタックの中心部を通り、図20図23の断面に対して直交する方向における断面を示している。水素流路140が示されており、水素は、この水素流路を、燃料電池スタック内の各バイポーラプレートのアノード側に沿って通る。さらに、空気がバイポーラプレートのアノード側142(これらの図の上側)に入ることを防ぐアノードガスケット128が確認できる。水素がバイポーラプレートのカソード側(これらの図の下側)に入ることを防ぐカソードガスケット143も確認できる。さらに、各バイポーラプレート間に、水素が一方のバイポーラプレートのアノード側から隣接するバイポーラプレートのカソード側に流れるのを防ぐ膜が設けられている。
【0074】
図26および図27は、図24および図25と同じ方向における燃料電池スタックのさらなる断面を示しているが、この断面は、水素開口部に隣接するカソードガスケットのさらなる部分136aを通るものである。カソードガスケットのさらなる部分136aは、水素が、バイポーラプレートのカソード側に入ることを防ぐ。さらに、空気がバイポーラプレートのアノード側に入ることを防ぐアノードガスケット135が確認できる。これらのガスケットは、各バイポーラプレートの間のプロトン交換膜と組み合わせることにより、燃料電池スタック内で空気と水素とを確実に分離する点で重要である。
【0075】
図28図40は、本発明の代替的な実施形態を示している。まず、図28および図29を参照すると、バイポーラプレート200が、2つの面を有する単一の打ち抜きされたプレートとして形成されている。上述の実施形態と同じように、第1の面はアノード側211であり、他方の側はカソード側212である。バイポーラプレートは、各端部に開口部214を有しており、多数のプレートをシールして積み重ねる際に、水素マニホールドを形成する。水素は、入口マニホールド(図示せず)から、水素入口流路216aを通って、(例えば、空気流路のノッチとして形成された)主水素流路216bおよび(プレートのカソード側の空気流路の結果として形成された)アノード谷部221を経由し、水素出口流路216cを通って、出口マニホールド(図示せず)に流れることが可能である。本実施形態の水素入口および出口流路は、バイポーラプレートの一方側に配置されているが、これらは、バイポーラプレートの一方側に配置される代わりに、開口部214の幅に沿って均一に分散されていてもよい。水素は、バイポーラプレートのカソード側にある水素マニホールドをシールするカソードガスケット(図示せず)により、プレートのアノード側だけを流れることが可能である。
【0076】
本実施形態のバイポーラプレートはさらに、空気流路217を有している。これを通って、空気(したがって酸素)がプレートのカソード側212を水素流にほぼ直交する方向に流れることが可能である。アノードガスケット特徴部220とアノードガスケット(ここでは図示しないが、以下の図に示される)との相互作用により、バイポーラプレートのアノード側での空気の流れが阻止される。アノードガスケット特徴部は、バイポーラプレートの打ち抜きされた部分であり、バイポーラプレートのアノード側に隆起したプロファイルを有する部分である。アノードガスケット特徴部は、アノード谷部221に接続されていない。したがって、アノードガスケットがアノードガスケット特徴部220とMEA(図示せず)との間で圧縮されると、アノード側がシールされ、バイポーラプレートのアノード側での空気の流れが阻止される。
【0077】
積層時に、プレートは交互に180度回転され、隣接するプレート間で空気流路が積み重ならないようになっており、MEA(図示せず)が隣接するプレート間で保持されることが可能になる。
【0078】
図30および図31は、本発明のバイポーラプレートのアノード側およびカソード側にそれぞれ配置されたアノードガスケットおよびカソードガスケットを示している。これらの図は、アノードガスケット、カソードガスケット、および端部プレートガスケットを順に示す図32a~図32cと組み合わせて理解されたい。上述のように、プレートのアノード側211のアノードガスケット特徴部(ここでは図示しないが、上の図に示されている)とMEA(図示せず)との間で、アノードガスケット230がシールされている。アノードガスケットは、連続した厚さでループ状になっている。
【0079】
カソードガスケット235が、プレートのカソード側212とMEA(図示せず)との間でシールされ、水素がプレートのカソード側の開口部214から流れ出ないようになっている。カソードガスケットは、水素入口/出口流路216a,216cを補完する形状を有している。ここに示されるような好ましい実施形態では、水素入口流路216aと水素出口流路216cとの間には、回転対称性がある。そのため、プレートの両端部の開口部214に、同じカソードガスケット235を使用可能である。
【0080】
水素マニホールド(図示せず)をシールするために、端部プレートガスケット237が燃料電池スタック(図示せず)の一方または両方の端部に設けられていてもよい。例えば、水素マニホールド入口および出口が燃料電池スタックの同じ側に配置される場合、開口部(図示せず)をシールするために、燃料電池スタックの同じ側の電流コレクタプレートと端部プレートとの間に2つの端部プレートガスケット237が必要となる。この例では、燃料電池スタックの反対側の電流コレクタプレートと端部プレートとの間に、端部プレートガスケットは必要ない。別の実施形態では、水素マニホールドの入口および出口が燃料電池スタックの対向する両側に設けられていてもよく、この場合、開口部をシールするために、燃料電池スタックの両側の電流コレクタプレートと端部プレートとの間に、1つの端部プレートガスケットが必要になることが想定される。
【0081】
図33(および対応するカラー図37)は、隣接する2つのバイポーラプレート200のアノードガスケット特徴部の断面を示す(断面は図29の線Aに沿ったものである)。この図において、各プレートの上側はアノード側211であり、各プレートの下側はカソード側212である。各バイポーラプレートのカソード側には、空気流路217が確認できる。空気流路はバイポーラプレートのカソード側とMEA238とに境を接している。アノードガスケット特徴部220が設けられ、これらは、各バイポーラプレートのアノード側211とアノードガスケット230との間をシールし、したがってバイポーラプレートのアノード側に空気が入ることを防いでいる。
【0082】
図34(および対応するカラー図38)は、図33の断面と同じ方向から燃料電池スタックの縁部を見た図であるが、アノードガスケット特徴部を切断したものではない。したがって、アノードガスケット特徴部220がシールされてアノード谷部221に接続されていないので、アノードガスケット特徴部がアノードガスケット230に接触し、アノード側211(この図では各プレートの上側)を空気からシール可能であることが確認できる。空気流路217がカソード側212(この図では各プレートの下側)において確認でき、各プレートのカソード側で酸素を含む空気が流れることを可能にする。
【0083】
図35(および対応するカラー図39)は、隣接する2つのバイポーラプレート200の水素入口流路の断面を示す(断面は図29の線Bに沿ったものである)。各バイポーラプレートに水素入口流路216aが確認できる。水素入口流路は、各バイポーラプレートのアノード側(この図では上側)とMEA238との間に形成されている。カソードガスケット235が水素入口流路の形状に対応する形状を有し、プレートのカソード側とMEA238との間でシールされていることによって、水素が各バイポーラプレートのカソード側(この図では下側)に入ることが妨げられる。各バイポーラプレートのアノードガスケット特徴部220と、2つのバイポーラプレート間のアノードガスケット230も確認できる。
【0084】
図36(および対応するカラー図40)は、2つのバイポーラプレート200の中心を通る、図29の線Cに沿った断面を示す。各バイポーラプレートのアノード側(この図の上側)に水素流路216bが確認できる。MEA238は、これらの2つのバイポーラプレートの間に配置されていることが確認できる。この断面はバイポーラプレートの縁部を切断したものであるため、各プレート上には、アノードガスケット特徴部220およびアノードガスケット230が確認できる。
【0085】
使用時には、水素が水素マニホールドに送り込まれ、その後、燃料電池スタックの片側の開口部を通る。続いて、水素はH流路を通ってスタック内の各バイポーラプレートのアノード側に沿って流れる。反対側には、出口マニホールドがあり、未使用の水素を再循環させることができる。水素は、カソードガスケットによって、各プレートのカソード側の流路に入ることが阻止される。アノードを通過する間に、Hは触媒(MEAの一部またはMEAに組み込まれたもの)上でHイオン(プロトン)に変換される。その後、プロトンはプロトン交換膜を通過し、カソード触媒上で酸素および電子と結合して水を生成する。水素からHイオンへの変換によって生成された電子が、外部回路(図示せず)を通って電流コレクタに達し、そこで電気が収集される。燃料電池スタックの各端部に電流コレクタが設けられている。
【0086】
空気の流れは、受動的に起こり得る。制御された水素の流れと同時に、ファンが、空気を各バイポーラプレートのカソード側のほぼ直交する空気流路を通して送り込むことが可能である。空気はアノードガスケットによって、各プレートのアノード側に入ることが阻止される。空気の流れによって酸素がカソードに供給され、この酸素は、カソード触媒(図示せず)上の電子と結合することによってO2-イオンに変換される。O2-イオンがHイオンと結合することによって生成された水は、空気流路内の水蒸気として燃料電池から排出される。
【0087】
本発明の燃料電池スタックの各バイポーラプレート間には、膜交換アセンブリ(MEA)が設けられている。MEAは、当該技術分野において従来公知のものであり、通常、第1のガス拡散層(GDL)、アノード触媒、プロトン交換膜、カソード触媒、および第2のガス拡散層(GDL)を、この順に含む。これらの各層は、当該技術分野において従来公知のものである。本発明の燃料電池スタックでは、(MEAのアノード触媒に隣接した)第1のGDLは、第1のバイポーラプレート10のアノード側に隣接し、(同じMEAのカソード触媒に隣接した)第2のGDLは、第2のバイポーラプレートのカソード側に隣接することになる。MEAの他の配置も公知であり、本発明のバイポーラプレートと共に使用することができ、例えば、GDL層および触媒層を一つの層に組み合わせることができる。
【0088】
プレートおよびスタックを作製する際には、1つの打ち抜き機を使用して複数のプレートを作製し、隣接する各プレートを前のプレートに対して180度回転させ、隣接するプレート間にMEAを配置し、隣接するプレートをガスケットで互いにシールすることができる。あるいは、2つの異なる打ち抜き機を使用し、それぞれの打ち抜き機で作られたバイポーラプレートを交互に積層させることも可能である。2つの異なる打ち抜き機を使用することで、隣接するプレートを回転させる必要がなくなる。2つの異なる打ち抜き機を使用することのさらなる利点は、カソードの流れ場を均一にすることが可能な点であり、1つの打ち抜き機を使用した場合に必然的に生じるバイポーラプレートの中心部の未使用スペースを排除することができる。プレートの面にある流路により、水素および酸素用のシールされた流路が形成され、ガスケットとプレート間で圧縮されたMEAとにより、水素流路および酸素流路が分離された状態で維持され、水素流路はシールされた状態で維持される。これによって、各流路間の漏れが阻止される。プレートのスタックは、クランプまたは外側の燃料スタック本体によってしっかりと保持される。電流コレクタが、スタックのアノード端部およびカソード端部にそれぞれ取り付けられている。水素流路をシールすることで、スタックの一端に1つの水素入口、他端に1つの水素出口が形成される。水素マニホールドが入口および出口の両方に取り付けられてシールされることによって、燃料電池において従来公知であるように、水素流路を通る水素の流れが制御可能となるが、これは、本発明の一部ではない。
【0089】
図示される実施形態では、(空気に含まれる)酸素は、プレートのカソード側の酸素流路(空気流路)に自由に流入してこれを通るが、水素がアノード側にアクセスすることは、マニホールドおよびガス流入制御システムを介して制御され、燃料電池は発電するように動作する。水素流路とは、水素を含むまたは水素から成るガスの流路を差し、酸素流路とは、(特に空気中の)酸素含むまたは酸素から成るガスの流路を指すことは理解されよう。
【0090】
他の実施形態では、酸素(または空気)の流入および水の排出を制御するために、酸素マニホールド(空気マニホールド)も設けられている。この代替実施形態では、酸素マニホールドおよび酸素流路はどちらも、マニホールドによってシールされ、ガス流は、それぞれのガス入口と出口における弁によって制御される。
【0091】
したがって、本発明は、バイポーラプレートと、当該プレートを含む水素燃料電池ユニットと、これを製造する方法とを提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32a
図32b
図32c
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素燃料電池ユニットであって、順に、
(i)正面および背面を有する第1のバイポーラプレートであって、該背面が該ユニットのアノードである、第1のバイポーラプレートと、
(ii)第1の膜電極アセンブリと、
(iii)正面および背面を有する第2のバイポーラプレートであって、該正面が該ユニットのカソードであり該背面が該ユニットのアノードであり、
該第1の膜電極アセンブリが、該第1のバイポーラプレートと該第2のバイポーラプレートとの間にあり、該第1のバイポーラプレートの該背面と該第1の膜電極アセンブリとの間には水素を流すための流路が設けられ、該第2のバイポーラプレートの該正面と該第1の膜電極アセンブリとの間には酸素を流すための流路が設けられている、第2のバイポーラプレートと、
(iv)第2の膜電極アセンブリと、
(v)正面および背面を有する第3のバイポーラプレートであって、該正面が該ユニットのカソードであり、
該第2の膜電極アセンブリが、該第2のバイポーラプレートと該第3のバイポーラプレートとの間にあり、該第2のバイポーラプレートの該背面と該第2の膜電極アセンブリとの間には水素を流すための流路が設けられ、該第3のバイポーラプレートの該正面と該第2の膜電極アセンブリとの間には酸素を流すための流路が設けられている、第3のバイポーラプレートと、を備え、
該バイポーラプレートが酸素を流すために酸素流路を備え、隣接するプレートの該酸素流路が該プレート全体にわたって分岐および合流を繰り返し、
該バイポーラプレートが水素を流すために水素流路をさらに備え、該水素流路および該酸素流路が、互いに実質的に横断し、
該酸素流路が該バイポーラプレートの窪みによって形成され、横断する水素流路が、該窪みにおける該酸素流路を形成するノッチを含むか、またはその逆であって、水素流路が該バイポーラプレートの窪みによって形成され、横断する酸素流路が、該窪みにおける、水素流路を形成するノッチを含む、水素燃料電池ユニット。
【請求項2】
隣接するプレートの前記酸素流路が、該プレートにわたって十文字のパターンで分岐および合流する、請求項1に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項3】
前記酸素流路が規則的パターンで分岐および合流する、請求項1または2に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項4】
各酸素流路が、入口および出口、ならびに該入口と該出口との間の導管を備え、該燃料電池内の隣接するプレートの酸素導管が、前記燃料電池ユニットの一部であるスタックに保持された場合に該隣接するプレートが入れ子状にならないように、全長にわたって垂直に整列されていない、先行する請求項のいずれかに記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項5】
前記膜電極アセンブリが、前記バイポーラプレート間の定位置で固定されている、請求項4に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項6】
前記プレートが水素を流すための流路を備え、各流路が入口および出口を有し、前記燃料電池の隣接するプレートの水素流路の該各入口および出口が垂直に整列されている、先行する請求項のいずれかに記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項7】
前記水素流路がその入口と出口との間に導管をさらに備え、前記燃料電池の隣接するプレートの流路の該導管が、その長さ全体に沿って垂直に整列されていない、先行する請求項のいずれかに記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項8】
前記酸素流路の各々が入口および出口を有し、前記燃料電池の隣接するプレートの酸素流路の該各入口および出口が垂直に整列されている、先行する請求項に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項9】
プレートを垂直に上下に積み重ねた場合、任意のプレートの水平断面が、水素流路および酸素流路の両方を通る、先行する請求項のいずれかに記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項10】
前記第1のバイポーラプレートおよび/または前記第2のバイポーラプレートおよび/または前記第3のバイポーラプレートが、プレートを積層する垂直方向において該プレートの中心を通る線に対して回転対称でない、先行する請求項のいずれかに記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項11】
前記第1のバイポーラプレートおよび/または前記第2のバイポーラプレートおよび/または前記第3のバイポーラプレートが回転対称でないことが、前記酸素流路の形状によるものである、請求項10に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項12】
前記第1のバイポーラプレートおよび/または前記第2のバイポーラプレートおよび/または前記第3のバイポーラプレートが2つまたはそれ以上のマニホールド開口部を備え、各プレート上の該マニホールド開口部が回転対称である、請求項10または11に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項13】
前記マニホールド開口部の前記回転対称が2回回転対称である、請求項12に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項14】
前記第1のバイポーラプレート、前記第2のバイポーラプレート、および前記第3のバイポーラプレートのそれぞれが同じデザインである、先行する請求項のいずれかに記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項15】
隣接するバイポーラプレートが互いに対して180度回転されている、請求項14に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項16】
各バイポーラプレートの前記背面に隣接して、アノードガスケットが設けられており、各バイポーラプレートの前記正面(すなわちカソード側)に隣接して、カソードガスケットが設けられている、先行する請求項のいずれかに記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項17】
各バイポーラプレートの前記背面に隣接する全てのアノードガスケットが同一である、請求項に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項18】
各バイポーラプレートの前記正面に隣接する全てのカソードガスケットが同一である、請求項16または17に記載の水素燃料電池ユニット。
【請求項19】
燃料電池ユニット用のバイポーラプレートであって、プレートを積層する垂直方向において該プレートの中心を通る線に対して回転対称でなく、該バイポーラプレートが、先行する請求項のいずれかに記載の前記第1のバイポーラプレート、前記第2のバイポーラプレート、および/または前記第3のバイポーラプレートのいずれかに適している、バイポーラプレート。
【請求項20】
金属または合金、例えば鋼でなる単一のシートから打ち抜きされる、請求項19に記載のバイポーラプレート。
【請求項21】
前記バイポーラプレートが溶接接合部を有していない、請求項19または20に記載のバイポーラプレート。
【請求項22】
前記回転対称でないことが前記酸素流路の形状によるものである、請求項19から21のいずれかに記載のバイポーラプレート。
【請求項23】
前記バイポーラプレートが、2つまたはそれ以上のマニホールド開口部を備え、各プレート上の該マニホールド開口部が回転対称である、請求項21から22のいずれかに記載のバイポーラプレート。
【請求項24】
前記マニホールド開口部の前記回転対称が2回回転対称である、請求項23に記載のバイポーラプレート。
【請求項25】
バイポーラプレートの製造方法であって、
(i)金属または合金のシートを提供する工程と、
(ii)該シートに打ち抜きして、複数の水素流路および複数の酸素流路を備えるバイポーラプレートを形成する工程と、
を含み、
該バイポーラプレートを使用して、請求項1から18のいずれかに記載の水素燃料電池ユニットを形成することが可能である、方法。
【請求項26】
前記方法が溶接工程を含まない、請求項25に記載のバイポーラプレートの製造方法。
【請求項27】
水素燃料電池の製造方法であって、
(i)正面および背面を有し、該背面がアノードである、第1のバイポーラプレートと、正面および背面を有し、該正面がカソードであり該背面がアノードである、第2のバイポーラプレートとを提供する工程と、
(ii)該第1のバイポーラプレートと該第2のバイポーラプレートとの間に第1の膜電極アセンブリを配置する工程であって、
該第1の膜電極アセンブリが該第1のバイポーラプレートと該第2のバイポーラプレートとの間にある場合、該第1のバイポーラプレートの該背面と該第1の膜電極アセンブリとの間には水素を流すために流路が設けられており、該第2のバイポーラプレートの該正面と該第1の膜電極アセンブリとの間には酸素を流すために流路が設けられている、工程と、
(iv)正面および背面を有し、該正面がカソードである、第3のバイポーラプレートを提供する工程と、
(v)該第2のバイポーラプレートと該第3のバイポーラプレートとの間に第2の膜電極アセンブリを配置する工程と、
を含み、
該第2の膜電極アセンブリが、該第2のバイポーラプレートと該第3のバイポーラプレートとの間にある場合
該第2のバイポーラプレートの該背面と該第2の膜電極アセンブリとの間には、水素を流すための流路が設けられ、
該第3のバイポーラプレートの該正面と該第2の膜電極アセンブリとの間には、酸素を流すための流路が設けられ、そして
前記水素を流すための流路および前記酸素を流すための流路が互いに実質的に横断し、
該バイポーラプレートが水素を流すための水素流路および酸素を流すための酸素流を備え、該水素流路および該酸素流路が互いに実質的に横断し、
該酸素流路が該バイポーラプレートの窪みによって形成され、横断する水素流路が、該窪みにおける該酸素流路を形成するノッチを含むか、またはその逆であって、水素流路が該バイポーラプレートの窪みによって形成され、横断する酸素流路が、該窪みにおける、水素流路を形成するノッチを含む、方法。
【請求項28】
前記バイポーラプレートが全て同一のデザインを有しており、隣接するプレートが互いに対して180度回転されている、請求項27に記載の方法。
【国際調査報告】