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特表2025-507255排泄物の潜血を検出する組成物、その調製方法および使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-18
(54)【発明の名称】排泄物の潜血を検出する組成物、その調製方法および使用
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
G01N33/543 521
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543052
(86)(22)【出願日】2023-04-25
(85)【翻訳文提出日】2024-07-25
(86)【国際出願番号】 CN2023090486
(87)【国際公開番号】W WO2024108892
(87)【国際公開日】2024-05-30
(31)【優先権主張番号】202211466586.1
(32)【優先日】2022-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524269848
【氏名又は名称】上海佩格医院管理有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI PEIGE HOSPITAL MANAGEMENT CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Room 4235,Building 2,No.588 Zixing Road Minhang District,Shanghai 201100 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】王 曦
(72)【発明者】
【氏名】郭 維学
(72)【発明者】
【氏名】任 平俊
(72)【発明者】
【氏名】肖 菲
(72)【発明者】
【氏名】呉 賽
(72)【発明者】
【氏名】李 敏
(57)【要約】
【課題】本願は、排泄物の潜血を検出する組成物、その調製方法および使用を提供する。
【解決手段】前記組成物は、重量部で、有機溶剤20~80部、増粘剤0.01~50部、ベンジジン0.01~2部、過酸化物0.01~5部、EDTA-2Na 0.001~0.5部、および水10~80部を含む。本願に係る組成物は、排泄物の潜血状況を迅速かつ効果的に検出することができ、変色速度が速く、色の保持時間が長く、感度が高い。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量部で、有機溶剤20~80部、増粘剤0.01~50部、ベンジジン0.01~2部、過酸化物0.01~5部、EDTA-2Na 0.001~0.5部、および水10~80部を含む、
排泄物の潜血を検出する組成物。
【請求項2】
前記組成物は、重量部で、有機溶剤40~60部、増粘剤10~40部、ベンジジン0.5~1.5部、過酸化物1~4部、EDTA-2Na 0.1~0.3部、および水30~60部を含み、
前記有機溶剤は、エタノール、ベンゼン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、メタノール、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、または四塩化炭素のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記有機溶剤は、エタノールとアセトンとの組み合わせを含む、
請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記増粘剤は、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースナトリウム、またはヒドロキシメチルセルロースのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ベンジジンは、4,4’-ジアミノビフェニル、テトラメチルベンジジン、または3,3’-ジヒドロキシベンジジンのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ベンジジンは、3,3’-ジヒドロキシベンジジンとテトラメチルベンジジンとの組み合わせを含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記過酸化物は、無機過酸化物および/または有機過酸化物を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記過酸化物は、無機過酸化物と有機過酸化物との組み合わせを含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記無機過酸化物は、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化カルシウム、または過酸化バリウムのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
請求項7または8に記載の組成物。
【請求項10】
前記無機過酸化物は過酸化水素を含む、
請求項7~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記有機過酸化物は、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、またはt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
請求項7~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記有機過酸化物はクメンハイドロパーオキサイドを含む、
請求項7~9、11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物は、重量部で、pH調整剤0.01~5部を更に含み、
好ましくは、前記pH調整剤は、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、または塩酸のいずれか1種を含み、
好ましくは、前記組成物は、重量部で、澱粉1~80部を更に含み、
好ましくは、前記澱粉は、コーンスターチ、エンドウ豆澱粉、緑豆澱粉、糊化澱粉、メチロール澱粉、架橋澱粉、マルトデキストリン、酸化澱粉、エステル化澱粉、またはエーテル化澱粉のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の排泄物の潜血を検出する組成物の調製方法であって、
ベンジジンと過酸化物と有機溶剤とを混合させて有機相を取得するステップ(1)と、
増粘剤とEDTA-2Naと水とを混合させて水相を取得するステップ(2)と、
水相と有機相とを混合させ、前記排泄物の潜血を検出する組成物を取得するステップ(3)と、を含み、
ステップ(1)、ステップ(2)が優先順位を区別しない、
調製方法。
【請求項15】
ステップ(2)に記載の増粘剤とEDTA-2Naと水とを混合させて水相を取得するステップは、pH調整剤と混合させることを更に含み、
好ましくは、ステップ(3)に記載の水相と有機相とを混合させるステップは、澱粉と混合させることを更に含む、
請求項14に記載の調製方法。
【請求項16】
請求項1~13のいずれか1項に記載の排泄物の潜血を検出する組成物の、潜血検出装置の製造における使用。
【請求項17】
前記潜血検出装置は、検出試験紙、検出プレート、試薬キット、または検出管のいずれか1種を含む、
請求項16に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、疾患検出分野に属し、具体的には、排泄物の潜血を検出する組成物、その調製方法および使用に関し、特に、感度が高い排泄物の潜血を検出する組成物、その調製方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
排泄物中の血液は、よく見られる病理症状である。糞便中の血液を引き起こす可能性がある原因は、痔、潰瘍性大腸炎、上部消化管出血、下部消化管出血、血液系疾患、肛門破裂、消化管腫瘍等を含むが、これらに限定されない。尿中の血液を引き起こす可能性がある原因は、泌尿器系粘膜損傷、泌尿器系結石、腎炎、泌尿器系腫瘍等を含むが、これらに限定されない。以上の病態による消化器系および泌尿器系の出血は、見える血液および潜血という2種の場合を含む。排泄物中の肉眼で見える血液は、注意を引きやすいが、大部の疾患の初期症状は排泄物の潜血である。排泄物に見える血液がある場合、病態が既に重症となる可能性があるため、定期的な潜血検出は、泌尿器系および消化器系の疾患に対して早期スクリーニング効果を果たすことができる。
【0003】
CN114354948Aは、便潜血検出の半定量方法を開示し、前記便潜血検出の半定量方法のステップは、以下のとおりである。希釈されたサンプルをスポッティング装置により金コロイド検出カード上のスポッティング孔内に滴下し、定性的な陰性および陽性が初歩的に現れた後に写真を撮り、機器読み取りディスプレイ上の定性結果を読み取り、定性結果を読み取った後、同じスポッティング孔内に一定量の3,3,5,5-テトラメチルベンジジン指示溶液を滴下してから、一定量の過酸化水素溶液を滴下し、3,3,5,5-テトラメチルベンジジン指示溶液および過酸化水素溶液を滴下してしばらく反応させた後、金コロイド検出カードには半定量結果が示し、再び写真を撮って半定量結果を読み取る。該発明は、便潜血検出の半定量結果を増加し、手動操作を減少し、手動作業量を低減し、臨床検査における便潜血検出の欠陥を解決し、人工再検の作業を大幅に減らし、検出結果の正確性を確保する。
【0004】
CN103175965Aは、便潜血検出キットを開示し、便潜血検出試験紙ストリップ、または試験紙カード、サンプル処理管、または採便ミキサーおよびサンプリングロッドを含み、前記試験紙ストリップまたは試験紙カードは、抗Hb1モノクローナル抗体によって被覆された検出領域(T)と、ヒツジ抗マウスポリクローナル抗体によって被覆された品質制御領域(C)と、抗Hb2モノクローナル抗体によって被覆された金コロイドとを含む。上記試薬キットの製造方法は、処理液の配合、試薬キットの製造、金コロイド複合体の調製、金属のスプレー、切断、組み立て、切断、包装等のステップを含む。該便潜血検出キットは、特異性が良く、感度が高く、検出が迅速で、簡単で、飲食および薬剤による制限がない。
【0005】
潜血検出は、泌尿器系および消化器系の疾患に対して早期スクリーニング効果を果たすことができる。従って、検出しやすく、いかに感度が高い潜血検出方法または試薬を提供するかは、早急に解決すべき問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
関連技術の不足に対し、本願は、排泄物の潜血を検出する組成物、その調製方法および使用を提供し、特に、感度が高い排泄物の潜血を検出する組成物、その調製方法および使用を提供する。本願に係る組成物は、排泄物の潜血状況を迅速かつ効果的に検出することができ、変色速度が速く、色の保持時間が長く、感度が高い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、以下の技術案を講じる。
【0008】
態様1において、本願の実施例は、
重量部で、有機溶剤20~80部、増粘剤0.01~50部、ベンジジン0.01~2部、過酸化物0.01~5部、EDTA-2Na 0.001~0.5部、および水10~80部を含む、
排泄物の潜血を検出する組成物を提供する。
【0009】
ここで、有機溶剤の部数は、20部、30部、40部、50部、60部、70部、または80部等であってもよく、増粘剤の部数は、0.01部、0.1部、0.5部、1部、5部、10部、15部、20部、25部、30部、35部、40部、45部、または50部等であってもよく、ベンジジンの部数は、0.01部、0.1部、0.5部、1部、1.5部、または2部等であってもよく、過酸化物の部数は、0.01部、0.1部、0.5部、1部、1.5部、2部、2.5部、3部、3.5部、4部、4.5部、または5部等であってもよく、EDTA-2Naの部数は、0.001部、0.01部、0.1部、0.2部、0.3部、0.4部、または0.5部等であってもよく、水の部数は、10部、20部、30部、40部、50部、60部、70部、または80部等であってもよいが、以上に列挙された数値に限定されず、上記数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0010】
上記組成物は、特定の成分を選択することにより、排泄物の潜血状況を効果的に検出することができ、変色速度が速く、色の保持時間が長く、感度が高い。
【0011】
一実施例において、前記組成物は、重量部で、有機溶剤40~60部、増粘剤10~40部、ベンジジン0.5~1.5部、過酸化物1~4部、EDTA-2Na 0.1~0.3部、および水30~60部を含む。
【0012】
一実施例において、前記有機溶剤は、エタノール、ベンゼン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、メタノール、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、または四塩化炭素のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、例えば、エタノールとアセトンとの組み合わせ、エタノールとトルエンとの組み合わせ、またはメタノールとエタノールとの組み合わせ等であるが、以上に列挙された組み合わせに限定されず、上記組み合わせ範囲内の他の列挙されていない組み合わせも同様に適用される。
【0013】
一実施例において、前記有機溶剤は、エタノールとアセトンとの組み合わせを含む。
【0014】
一実施例において、前記増粘剤は、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースナトリウム、またはヒドロキシメチルセルロースのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、例えば、キサンタンガムとグアーガムとの組み合わせ、グアーガムとペクチンとの組み合わせ、またはペクチンとポリアクリル酸ナトリウムとの組み合わせ等であるが、以上に列挙された組み合わせに限定されず、上記組み合わせの範囲内の他の列挙されていない組み合わせも同様に適用される。
【0015】
一実施例において、前記ベンジジンは、4,4’-ジアミノビフェニル、テトラメチルベンジジン、または3,3’-ジヒドロキシベンジジンのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、例えば、4,4’-ジアミノビフェニルとテトラメチルベンジジンとの組み合わせ、テトラメチルベンジジンと3,3’-ジヒドロキシベンジジンとの組み合わせ、または4,4’-ジアミノビフェニルと3,3’-ジヒドロキシベンジジンとの組み合わせ等であるが、以上に列挙された組み合わせに限定されず、上記組み合わせ範囲内の他の列挙されていない組み合わせも同様に適用される。
【0016】
一実施例において、前記ベンジジンは、3,3’-ジヒドロキシベンジジンとテトラメチルベンジジンとの組み合わせを含む。
【0017】
上記した特定のベンジジンの組み合わせは、組成物の技術的効果を更に向上させ、変色速度を加速し、色の保持時間を延長し、検出感度を更に向上させることができる。
【0018】
一実施例において、前記過酸化物は、無機過酸化物および/または有機過酸化物を含む。
【0019】
一実施例において、前記過酸化物は、無機過酸化物と有機過酸化物との組み合わせを含む。
【0020】
一実施例において、前記無機過酸化物は、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化カルシウム、または過酸化バリウムのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、例えば、過酸化水素と過炭酸ナトリウムとの組み合わせ、過炭酸ナトリウムと過酸化カリウムとの組み合わせ、または過酸化カリウムと過酸化カルシウムとの組み合わせ等であるが、以上に列挙された組み合わせに限定されず、上記組み合わせ範囲内の他の列挙されていない組み合わせも同様に適用される。
【0021】
一実施例において、前記無機過酸化物は過酸化水素を含む。
【0022】
一実施例において、前記有機過酸化物は、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、またはt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、例えば、クメンハイドロパーオキサイドとジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドとの組み合わせ、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドとt-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートとの組み合わせ、またはt-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートとt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートとの組み合わせ等であるが、以上に列挙された組み合わせに限定されず、上記組み合わせ範囲内の他の列挙されていない組み合わせも同様に適用される。
【0023】
一実施例において、前記有機過酸化物はクメンハイドロパーオキサイドを含む。
【0024】
上記した特定の過酸化物およびその組み合わせは、組成物の技術的効果を効果的に向上させ、変色速度を加速し、色の保持時間を延長し、検出感度を更に向上させることができる。
【0025】
一実施例において、前記組成物は、重量部で、pH調整剤0.01~5部を更に含み、例えば、0.01部、0.1部、0.5部、1部、1.5部、2部、2.5部、3部、3.5部、4部、4.5部、または5部等であるが、以上に列挙された数値に限定されず、上記数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0026】
一実施例において、前記pH調整剤は、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、または塩酸のいずれか1種を含む。
【0027】
一実施例において、前記組成物は、重量部で、澱粉1~80部を更に含み、例えば、1部、10部、20部、30部、40部、50部、60部、70部、または80部等であるが、以上に列挙された数値に限定されず、上記数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0028】
一実施例において、前記澱粉は、コーンスターチ、エンドウ豆澱粉、緑豆澱粉、糊化澱粉、メチロール澱粉、架橋澱粉、マルトデキストリン、酸化澱粉、エステル化澱粉、またはエーテル化澱粉のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。例えば、コーンスターチとエンドウ豆澱粉との組み合わせ、エンドウ豆澱粉と緑豆澱粉との組み合わせ、または緑豆澱粉と糊化澱粉との組み合わせ等であるが、以上に列挙された組み合わせに限定されず、上記組み合わせ範囲内の他の列挙されていない組み合わせも同様に適用される。
【0029】
上記澱粉は使用者のニーズに応じて加えることができ、組成物を液体から固体に作製することにより、異なるシーンに適用することができる。
【0030】
態様2において、本願の実施例は、上述した排泄物の潜血を検出する組成物の調製方法を提供する。前記調製方法は、
ベンジジンと過酸化物と有機溶剤とを混合させて有機相を取得するステップ(1)と、
増粘剤とEDTA-2Naと水とを混合させて水相を取得するステップ(2)と、
水相と有機相とを混合させ、前記排泄物の潜血を検出する組成物を取得するステップ(3)と、を含み、
ステップ(1)、ステップ(2)が優先順位を区別しない。
【0031】
一実施例において、ステップ(2)に記載の増粘剤とEDTA-2Naと水とを混合させて水相を取得するステップは、pH調整剤と混合させることを更に含む。
【0032】
一実施例において、ステップ(3)に記載の水相と有機相とを混合させるステップは、澱粉と混合させることを更に含む。
【0033】
態様3において、本願の実施例は、上述した排泄物の潜血を検出する組成物の、潜血検出装置の製造における使用を更に提供する。
【0034】
一実施例において、前記潜血検出装置は、検出試験紙、検出プレート、試薬キット、または検出管のいずれか1種を含む。
【発明の効果】
【0035】
関連技術と比べ、本願は、以下のような有益な効果を備える。
【0036】
本願は、排泄物の潜血を検出する組成物を提供し、特定のベンジジンおよび過酸化物を選択することにより、排泄物の潜血状況を効果的に検出することができ、変色速度が速く、色の保持時間が長く、感度が高い。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本願で採用される技術手段およびその効果を更に説明するために、以下、本願の好ましい実施例を参照しながら本願の技術案について更に説明するが、本願は、実施例の範囲内に限定されるものではない。
【0038】
[実施例1]
本実施例は、排泄物の潜血を検出する組成物を提供し、調製原料は、重量部で、
エタノール30部、アセトン20部、キサンタンガム25部、3,3’-ジヒドロキシベンジジン0.5部、テトラメチルベンジジン0.5部、過酸化水素1部、クメンハイドロパーオキサイド1部、EDTA-2Na 0.25部、水50部、クエン酸2.5部であった。
【0039】
調製方法は、以下のとおりである。
【0040】
(1)エタノールと、3,3’-ジヒドロキシベンジジンと、テトラメチルベンジジンと、過酸化水素と、クメンハイドロパーオキサイドとを混合撹拌させて有機相を取得した。
【0041】
(2)水と、キサンタンガムと、EDTA-2Naと、クエン酸とを混合させて水相を取得した。
【0042】
(3)水相と有機相とを混合撹拌させ、前記の排泄物の潜血を検出する組成物を取得した。
【0043】
[実施例2]
本実施例は、排泄物の潜血を検出する組成物を提供し、調製原料は、重量部で、
エタノール40部、ペクチン10部、テトラメチルベンジジン0.5部、クメンハイドロパーオキサイド1部、EDTA-2Na 0.1部、水30部、クエン酸0.1部であった。
【0044】
調製方法は、実施例1を参照した。
【0045】
[実施例3]
本実施例は、排泄物の潜血を検出する組成物を提供し、調製原料は、重量部で、
エタノール60部、グアーガム40部、4,4’-ジアミノビフェニル1.5部、過酸化水素4部、EDTA-2Na 0.3部、水60部、クエン酸5部であった。
【0046】
調製方法は、実施例1を参照した。
【0047】
[実施例4]
本実施例は、排泄物の潜血を検出する組成物を提供し、調製原料は、重量部で、
エタノール20部、ペクチン0.01部、テトラメチルベンジジン0.01部、クメンハイドロパーオキサイド0.01部、EDTA-2Na 0.001部、水10部、クエン酸0.1部であった。
【0048】
調製方法は、実施例1を参照した。
【0049】
[実施例5]
本実施例は、排泄物の潜血を検出する組成物を提供し、調製原料は、重量部で、
エタノール80部、グアーガム50部、4,4’-ジアミノビフェニル2部、過酸化水素5部、EDTA-2Na 0.5部、水80部、クエン酸5部であった。
【0050】
調製方法は、実施例1を参照した。
【0051】
[実施例6]
本実施例は、排泄物の潜血を検出する組成物を提供し、調製原料は、3,3’-ジヒドロキシベンジジンを加えず、減少分をテトラメチルベンジジンに配分した以外、残りが実施例1に一致した。
【0052】
調製方法は、実施例1を参照した。
【0053】
[実施例7]
本実施例は、排泄物の潜血を検出する組成物を提供し、調製原料は、テトラメチルベンジジンを加えず、減少分を3,3’-ジヒドロキシベンジジンに配分した以外、残りが実施例1に一致した。
【0054】
調製方法は、実施例1を参照した。
【0055】
[実施例8]
本実施例は、排泄物の潜血を検出する組成物を提供し、調製原料は、3,3’-ジヒドロキシベンジジンを等量の4,4’-ジアミノビフェニルに置き換えた以外、残りが実施例1に一致した。
【0056】
調製方法は、実施例1を参照した。
【0057】
[実施例9]
本実施例は、排泄物の潜血を検出する組成物を提供し、調製原料は、過酸化水素を加えず、減少分をクメンハイドロパーオキサイドに配分した以外、残りが実施例1に一致した。
【0058】
調製方法は、実施例1を参照した。
【0059】
[実施例10]
本実施例は、排泄物の潜血を検出する組成物を提供し、調製原料は、クメンハイドロパーオキサイドを加えず、減少分を過酸化水素に配分した以外、残りが実施例1に一致した。
【0060】
調製方法は、実施例1を参照した。
【0061】
[実施例11]
本実施例は、排泄物の潜血を検出する組成物を提供し、調製原料は、過酸化水素を等量の過炭酸ナトリウムに置き換えた以外、残りが実施例1に一致した。
【0062】
調製方法は、実施例1を参照した。
【0063】
[実施例12]
本実施例は、排泄物の潜血を検出する組成物を提供し、調製原料は、クメンハイドロパーオキサイドを等量のt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートに置き換えた以外、残りが実施例1に一致した。
【0064】
調製方法は、実施例1を参照した。
【0065】
[実施例13]
本実施例は、排泄物の潜血を検出する組成物を提供し、調製原料は、エタノールを含まず、減少分をアセトンに配分した以外、残りが実施例1に一致した。
【0066】
調製方法は、実施例1を参照した。
【0067】
[実施例14]
本実施例は、排泄物の潜血を検出する組成物を提供し、調製原料は、アセトンを含まず、減少分をエタノールに配分した以外、残りが実施例1に一致した。
【0068】
調製方法は、実施例1を参照した。
【0069】
[実施例15]
本実施例は、排泄物の潜血を検出する組成物を提供し、調製原料は、エタノールを含まず、減少分をトルエンに配分した以外、残りが実施例1に一致した。
【0070】
調製方法は、実施例1を参照した。
【0071】
[効果試験]
実施例1~15に係る排泄物の潜血を検出する組成物をそれぞれ試験紙に含浸させた後、乾燥して検出試験紙を取得し、その後、サンプル(正常人体の新鮮な血液を水で10000倍に希釈したもの)について検出を行い、変色時間および色の保持時間を記録した。結果は、以下のとおりである。
【0072】
【表1】
【0073】
以上のデータにより、本願に係る製品は、変色時間が短く、色の保持時間が長いという利点を有し、サンプルを迅速に検出できることが分かった。実施例1~5を比較すると、本願は、各原料の使用量を制御することにより、製品の効果を効果的に高めることができることが分かった。実施例1、6~8を比較すると、本願は、特定のベンジジンの組み合わせを選択することにより、変色時間を効果的に短縮し、色の保持時間を延長することができることが分かった。実施例1、9~12を比較すると、本願は、特定の過酸化物およびその組み合わせを選択することにより、変色時間を効果的に短縮し、色の保持時間を延長することができることが分かった。実施例1、13~15を比較すると、本願は、特定の有機溶剤の組み合わせを選択することにより、変色時間を効果的に短縮し、色の保持時間を延長することができることが分かった。
【0074】
その後、上記試験紙で異なるヘモグロビン濃度の被検サンプルをそれぞれ検出し、試験紙の検出限界を分析した。結果は、以下のとおりである。
【0075】
【表2】
【0076】
以上のデータにより、本願に係る組成物は、感度が高いという特徴を持ち、含有量が極めて低いヘモグロビンを効果的に検出できることが分かった。実施例1~5を比較すると、本願は、各原料の使用量を制御することにより、製品の効果を効果的に高めることができることが分かった。実施例1、6~8を比較すると、本願は、特定のベンジジンの組み合わせを選択することにより、検出限界を効果的に低減させ、検出感度を向上させることができることが分かった。実施例1、9~12を比較すると、本願は、特定の過酸化物およびその組み合わせを選択することにより、検出限界を効果的に低減させ、検出感度を向上させることができることが分かった。実施例1、13~15を比較すると、本願は、特定の有機溶剤の組み合わせを選択することにより、検出限界を効果的に低減させ、検出感度を向上させることができることが分かった。
【0077】
本願は、上記実施例により、本願の排泄物の潜血を検出する組成物、その調製方法および使用について説明する。しかし、本願は上記の実施例に限定されるものではなく、すなわち、本願は上記実施例に依存して実施しなければならないことを意味するものではないことを、出願人より声明する。当業者であれば、本願に対するいかなる改良、本願の製品の各原料に対する等価的な置換および補助成分の追加、具体的な形態の選択等は、全て本願の保護範囲および開示範囲内に含まれることを理解すべきである。
【0078】
以上、本願の好ましい実施形態を詳細に説明した。しかし、本願は、上記実施形態における具体的な内容に限定されるものではない。本願の技術的思想の範囲内で、本願の技術案に対して様々な簡単な変形を行うことができる。これらの簡単な変形は、全て本願の特許請求の範囲に属している。
【0079】
なお、上記具体的な実施形態に説明した各具体的な技術的特徴は、矛盾がない限り、いかなる適切な形態で組み合わせることができる。必要がない重複を回避するために、本願では、様々な可能な組み合わせの形態については特に説明しない。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量部で、有機溶剤20~80部、増粘剤0.01~50部、ベンジジン0.01~2部、過酸化物0.01~5部、EDTA-2Na 0.001~0.5部、および水10~80部を含む、
排泄物の潜血を検出する組成物。
【請求項2】
前記組成物は、重量部で、有機溶剤40~60部、増粘剤10~40部、ベンジジン0.5~1.5部、過酸化物1~4部、EDTA-2Na 0.1~0.3部、および水30~60部を含み、
前記有機溶剤は、エタノール、ベンゼン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、メタノール、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、または四塩化炭素のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記有機溶剤は、エタノールとアセトンとの組み合わせを含む、
請求項に記載の組成物。
【請求項4】
前記増粘剤は、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースナトリウム、またはヒドロキシメチルセルロースのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
請求項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ベンジジンは、4,4’-ジアミノビフェニル、テトラメチルベンジジン、または3,3’-ジヒドロキシベンジジンのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
請求項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ベンジジンは、3,3’-ジヒドロキシベンジジンとテトラメチルベンジジンとの組み合わせを含む、
請求項に記載の組成物。
【請求項7】
前記過酸化物は、無機過酸化物および/または有機過酸化物を含む、
請求項に記載の組成物。
【請求項8】
前記過酸化物は、無機過酸化物と有機過酸化物との組み合わせを含む、
請求項に記載の組成物。
【請求項9】
前記無機過酸化物は、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化カルシウム、または過酸化バリウムのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
請求項に記載の組成物。
【請求項10】
前記無機過酸化物は過酸化水素を含む、
請求項に記載の組成物。
【請求項11】
前記有機過酸化物は、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、またはt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
請求項に記載の組成物。
【請求項12】
前記有機過酸化物はクメンハイドロパーオキサイドを含む、
請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物は、重量部で、pH調整剤0.01~5部を更に含み、
好ましくは、前記pH調整剤は、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、または塩酸のいずれか1種を含み、
好ましくは、前記組成物は、重量部で、澱粉1~80部を更に含み、
好ましくは、前記澱粉は、コーンスターチ、エンドウ豆澱粉、緑豆澱粉、糊化澱粉、メチロール澱粉、架橋澱粉、マルトデキストリン、酸化澱粉、エステル化澱粉、またはエーテル化澱粉のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
請求項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の排泄物の潜血を検出する組成物の調製方法であって、
ベンジジンと過酸化物と有機溶剤とを混合させて有機相を取得するステップ(1)と、
増粘剤とEDTA-2Naと水とを混合させて水相を取得するステップ(2)と、
水相と有機相とを混合させ、前記排泄物の潜血を検出する組成物を取得するステップ(3)と、を含み、
ステップ(1)、ステップ(2)が優先順位を区別しない、
調製方法。
【請求項15】
ステップ(2)に記載の増粘剤とEDTA-2Naと水とを混合させて水相を取得するステップは、pH調整剤と混合させることを更に含み、
好ましくは、ステップ(3)に記載の水相と有機相とを混合させるステップは、澱粉と混合させることを更に含む、
請求項14に記載の調製方法。
【請求項16】
請求項1~13のいずれか1項に記載の排泄物の潜血を検出する組成物の、潜血検出装置の製造における使用。
【請求項17】
前記潜血検出装置は、検出試験紙、検出プレート、試薬キット、または検出管のいずれか1種を含む、
請求項16に記載の使用。
【国際調査報告】