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特表2025-507451高圧ダイキャスティングのための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-18
(54)【発明の名称】高圧ダイキャスティングのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   C22C 1/10 20230101AFI20250311BHJP
   C22C 32/00 20060101ALI20250311BHJP
   B22D 17/00 20060101ALI20250311BHJP
   B22D 21/04 20060101ALI20250311BHJP
   B22D 21/00 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
C22C1/10 G
C22C32/00 Q
C22C32/00 V
C22C32/00 B
C22C32/00 Z
B22D17/00 C
B22D21/04
B22D21/00 B
B22D21/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024570592
(86)(22)【出願日】2023-02-15
(85)【翻訳文提出日】2024-09-18
(86)【国際出願番号】 US2023062677
(87)【国際公開番号】W WO2023159080
(87)【国際公開日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】63/268,049
(32)【優先日】2022-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524304806
【氏名又は名称】メタリー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リー, マデリン
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジャスミン
【テーマコード(参考)】
4K020
【Fターム(参考)】
4K020AC01
4K020AC02
4K020AC04
4K020AC07
4K020BB22
(57)【要約】
低ケイ素含有量の金属合金を用いる高圧ダイキャスティングのための方法およびシステムが記載される。金属合金は、高圧ダイキャスティングに適合する高い流動性および熱間割れ耐性を実現するようにナノ粒子で修飾され得る。ダイキャストされた金属部品は、高強度、高延性、ならびに高い熱伝導率および電気伝導率を有する。ダイキャストされた金属部品は、異なる色に関してアノード処理され得る。本発明は、一般に、低ケイ素含有量の金属合金を用いる高圧ダイキャスティングのための方法およびシステム、より詳細には、ナノ粒子で修飾された低ケイ素含有量金属合金を用いる高圧ダイキャスティングのための方法およびシステムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ダイキャスティングのための金属合金であって、
アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金、および亜鉛合金からなる群から選択される金属合金と、
前記金属合金に分散された少なくとも1種類のナノ粒子と
を含み、
前記金属合金が、4.0重量%未満のケイ素を含み、
前記金属合金が、高圧ダイキャスティングプロセスに適合する、金属合金。
【請求項2】
前記金属合金が、A201、AA2024、A206、AA2618、AA5083、AA6013、AA6061、AA6063、AA6069、AA7034、AA7050、AA7075、およびAA7068からなる群から選択される、請求項1に記載の金属合金。
【請求項3】
前記少なくとも1種類のナノ粒子が、金属酸化物、非金属酸化物、金属炭化物、非金属炭化物、金属ケイ化物、金属ホウ化物、金属窒化物、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の金属合金。
【請求項4】
前記少なくとも1種類のナノ粒子が、コア-シェル粒子の構造を有する、請求項1に記載の金属合金。
【請求項5】
前記ナノ粒子が、前記金属合金の30体積%未満を構成する、請求項1に記載の金属合金。
【請求項6】
前記ナノ粒子が、前記金属合金の0.1体積%~2体積%を構成する、請求項1に記載の金属合金。
【請求項7】
前記金属合金がAA6061を含み、前記ナノ粒子がTiCを含み、前記TiCナノ粒子が前記金属合金の1.0体積%を構成する、請求項1に記載の金属合金。
【請求項8】
前記高圧ダイキャスティングプロセスが、30MPa~100MPaの圧力を使用する、請求項1に記載の金属合金。
【請求項9】
前記高圧ダイキャスティングプロセスが、100MPa超の圧力を使用する、請求項1に記載の金属合金。
【請求項10】
前記高圧ダイキャスティングプロセスが、100℃/s~300℃/sの冷却速度で冷却するステップを含む、請求項1に記載の金属合金。
【請求項11】
高圧ダイキャスティングのための方法であって、
少なくとも1種類のナノ粒子で修飾された金属合金を用意するステップであり、前記金属合金が、4.0%未満のケイ素重量濃度を含む、ステップと、
前記金属合金を溶融し、ある圧力下でダイに溶融金属合金を充填するステップであって、前記圧力が前記高圧ダイキャスティングプロセスに適合する、ステップと、
前記ダイを冷却して前記溶融金属合金を固化するステップと
を含む、方法。
【請求項12】
ダイキャストされた金属合金を少なくとも1つの色に関してアノード処理するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属合金が、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金、および亜鉛合金からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記金属合金が、A201、AA2024、A206、AA2618、AA5083、AA6013、AA6061、AA6063、AA6069、AA7034、AA7050、AA7075、およびAA7068からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1種類のナノ粒子が、金属酸化物、非金属酸化物、金属炭化物、非金属炭化物、金属ケイ化物、金属ホウ化物、金属窒化物、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1種類のナノ粒子が、コア-シェル粒子の構造を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1種類のナノ粒子が、前記金属合金の30体積%未満を構成する、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記ナノ粒子が、前記金属合金の0.1体積%~2体積%を構成する、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記金属合金がAA6061を含み、前記ナノ粒子がTiCを含み、前記TiCナノ粒子が前記金属合金の1.0体積%を構成する、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
形成されたままのダイキャストされた金属合金が、30%に等しいまたはそれ未満の伸び、および500MPa超の極限引張強さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
ダイキャストされた金属合金が少なくとも0.2mmの厚さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
前記圧力が、30MPa~100MPaである、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
前記圧力が、100MPa超である、請求項11に記載の方法。
【請求項24】
前記ダイが、100℃/s~300℃/sの冷却速度で冷却される、請求項11に記載の方法。
【請求項25】
ダイキャストされた金属合金のポストプロセスをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項26】
前記ポストプロセスが、T5処理、自然時効処理、およびT6処理からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
金属合金と、
前記金属合金に分散された少なくとも1種類のナノ粒子と
を含む高圧ダイキャストされた金属部品であって、
前記金属合金が、4.0重量%未満のケイ素を含み、
前記金属部品が、高圧ダイキャスティングプロセスを介して製造され、
前記ダイキャストされた金属部品が、少なくとも0.2mmの厚さを有する、高圧ダイキャストされた金属部品。
【請求項28】
前記金属合金が、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金、および亜鉛合金からなる群から選択される、請求項27に記載のダイキャストされた金属部品。
【請求項29】
前記金属合金が、A201、AA2024、A206、AA2618、AA5083、AA6013、AA6061、AA6063、AA6069、AA7034、AA7050、AA7075、およびAA7068からなる群から選択される、請求項27に記載のダイキャストされた金属部品。
【請求項30】
前記少なくとも1種類のナノ粒子が、金属酸化物、非金属酸化物、金属炭化物、非金属炭化物、金属ケイ化物、金属ホウ化物、金属窒化物、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項27に記載のダイキャストされた金属部品。
【請求項31】
前記少なくとも1種類のナノ粒子が、コア-シェル粒子の構造を有する、請求項27に記載のダイキャストされた金属部品。
【請求項32】
前記ナノ粒子が、前記金属合金の30体積%未満を構成する、請求項27に記載のダイキャストされた金属部品。
【請求項33】
前記ナノ粒子が、前記金属合金の0.1体積%~2体積%を構成する、請求項27に記載のダイキャストされた金属部品。
【請求項34】
前記金属合金がAA6061を含み、前記ナノ粒子がTiCを含み、前記TiCナノ粒子が前記金属合金の1.0体積%を構成する、請求項27に記載のダイキャストされた金属部品。
【請求項35】
前記高圧ダイキャスティングプロセスが、30MPa~100MPaの圧力を使用する、請求項27に記載のダイキャストされた金属部品。
【請求項36】
前記高圧ダイキャスティングプロセスが、100MPa超の圧力を使用する、請求項27に記載のダイキャストされた金属部品。
【請求項37】
前記高圧ダイキャスティングプロセスが、100℃/s~300℃/sの冷却速度で冷却するステップを含む、請求項27に記載のダイキャストされた金属部品。
【請求項38】
前記金属部品が少なくとも1つの色に関してアノード処理される、請求項27に記載のダイキャストされた金属部品。
【請求項39】
金属合金のキャスト性を改善するための方法であって、
少なくとも1種類のナノ粒子を金属合金に組み込むステップ
を含み、
前記金属合金が、4.0重量%未満のケイ素を含み、
前記ナノ粒子が、前記金属合金の30体積%未満を構成し、
前記金属合金が、高圧ダイキャスティングプロセスに適合する、方法。
【請求項40】
前記金属合金が、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金、および亜鉛合金からなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記金属合金が、A201、AA2024、A206、AA2618、AA5083、AA6013、AA6061、AA6063、AA6069、AA7034、AA7050、AA7075、およびAA7068からなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1種類のナノ粒子が、金属酸化物、非金属酸化物、金属炭化物、非金属炭化物、金属ケイ化物、金属ホウ化物、金属窒化物、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも1種類のナノ粒子が、コア-シェル粒子の構造を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記ナノ粒子が、前記金属合金の0.1体積%~2体積%を構成する、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記金属合金がAA6061を含み、前記ナノ粒子がTiCを含み、前記TiCナノ粒子が前記金属合金の1.0体積%を構成する、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記高圧ダイキャスティングプロセスが、30MPa~100MPaの圧力を使用する、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記高圧ダイキャスティングプロセスが、100MPa超の圧力を使用する、請求項39に記載の方法。
【請求項48】
前記高圧ダイキャスティングプロセスが、100℃/s~300℃/sの冷却速度で冷却するステップを含む、請求項39に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、低ケイ素含有量の金属合金を用いる高圧ダイキャスティングのための方法およびシステム、より詳細には、ナノ粒子で修飾された低ケイ素含有量金属合金を用いる高圧ダイキャスティングのための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ダイキャストされた金属合金は、種々の産業における用途を有する。ダイキャストされた金属合金は、一般に、高い強度および延性の両方が必要である。金属合金はまた、高圧ダイキャスティングプロセスに適するように良好なキャスト性および熱亀裂耐性も有するべきである。伝統的には、高圧ダイキャスティングと適合するように金属合金の流動性を改善するために、ケイ素がアルミニウム合金などの金属合金に添加されてきた。しかしながら、高いケイ素含有量は、金属合金の延性、熱伝導率、電気伝導率、およびアノード処理能を悪化させることがある。高圧ダイキャスティングプロセスに適しながら妥協しない延性および伝導率を有する金属合金が望ましいことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の概要
ナノ粒子で修飾された低ケイ素含有量の金属合金を用いる高圧ダイキャスティングのための方法およびシステムが例示される。
【0004】
本発明の実施形態は、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金、および亜鉛合金からなる群から選択される金属合金、ならびに金属合金に分散した少なくとも1種類のナノ粒子を含む、高圧ダイキャスティングのための金属合金であって、金属合金が、4.0重量%未満のケイ素を含み、金属合金が、高圧ダイキャスティングプロセスに適合する、金属合金を含む。
【0005】
別の実施形態では、金属合金は、A201、AA2024、A206、AA2618、AA5083、AA6013、AA6061、AA6063、AA6069、AA7034、AA7050、AA7075、およびAA7068からなる群から選択される。
【0006】
追加の実施形態では、少なくとも1種類のナノ粒子は、金属酸化物、非金属酸化物、金属炭化物、非金属炭化物、金属ケイ化物、金属ホウ化物、金属窒化物、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0007】
さらなる実施形態では、少なくとも1種類のナノ粒子は、コア-シェル粒子の構造を有する。
【0008】
別の実施形態では、ナノ粒子は、金属合金の30体積%未満を構成する。
【0009】
なおさらなる実施形態では、ナノ粒子は、金属合金の0.1体積%~2体積%を構成する。
【0010】
なお別の実施形態では、金属合金はAA6061を含み、ナノ粒子はTiCを含み、TiCナノ粒子は金属合金の1.0体積%を構成する。
【0011】
再度さらなる実施形態では、高圧ダイキャスティングプロセスは、30MPa~100MPaの圧力を使用する。
【0012】
追加の実施形態では、高圧ダイキャスティングプロセスは、100MPa超の圧力を使用する。
【0013】
再度別の実施形態では、高圧ダイキャスティングプロセスは、100℃/s~300℃/sの冷却速度で冷却するステップを含む。
【0014】
さらなる実施形態は、高圧ダイキャスティングのための方法であって、
・少なくとも1種類のナノ粒子で修飾された金属合金を用意するステップであり、金属合金が、4.0%未満のケイ素重量濃度を含む、ステップと、
・金属合金を溶融し、ある圧力下でダイに溶融金属合金を充填するステップであって、圧力が高圧ダイキャスティングプロセスに適合する、ステップと、
・ダイを冷却して溶融金属合金を固化するステップと
を含む、方法を含む。
【0015】
なおさらなる実施形態では、方法は、ダイキャストされた金属合金を少なくとも1つの色に関してアノード処理するステップをさらに含む。
【0016】
別の実施形態では、金属合金は、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金、および亜鉛合金からなる群から選択される。
【0017】
追加の実施形態では、金属合金は、A201、AA2024、A206、AA2618、AA5083、AA6013、AA6061、AA6063、AA6069、AA7034、AA7050、AA7075、およびAA7068からなる群から選択される。
【0018】
なお別の実施形態では、少なくとも1種類のナノ粒子は、金属酸化物、非金属酸化物、金属炭化物、非金属炭化物、金属ケイ化物、金属ホウ化物、金属窒化物、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0019】
なおさらなる実施形態では、少なくとも1種類のナノ粒子は、コア-シェル粒子の構造を有する。
【0020】
追加の実施形態では、少なくとも1種類のナノ粒子は、金属合金の30体積%未満を構成する。
【0021】
再度別の実施形態では、ナノ粒子は、金属合金の0.1体積%~2体積%を構成する。
【0022】
さらなる実施形態では、金属合金はAA6061を含み、ナノ粒子はTiCを含み、TiCナノ粒子は金属合金の1.0体積%を構成する。
【0023】
再度別の実施形態では、形成されたままのダイキャストされた金属合金は、30%に等しいまたはそれ未満の伸び、および500MPa超の極限引張強さを有する。
【0024】
再度追加の実施形態では、ダイキャストされた金属合金は、少なくとも0.2mmの厚さを有する。
【0025】
なおさらなる実施形態では、圧力は、30MPa~100MPaである。
【0026】
なお別の実施形態では、圧力は、100MPa超である。
【0027】
別の実施形態では、ダイは、100℃/s~300℃/sの冷却速度で冷却される。
【0028】
再度さらなる実施形態では、方法は、ダイキャストされた金属合金のポストプロセスをさらに含む。
【0029】
追加の実施形態では、ポストプロセスは、T5処理、自然時効処理、およびT6処理からなる群から選択される。
【0030】
別の実施形態は、金属合金、ならびに金属合金に分散した少なくとも1種類のナノ粒子を含む、高圧ダイキャストされた金属部品であって、金属合金が、4.0重量%未満のケイ素を含み、金属部品が、高圧ダイキャスティングプロセスを介して製造され、ダイキャストされた金属部品が少なくとも0.2mmの厚さを有する、高圧ダイキャストされた金属部品を含む。
【0031】
さらなる実施形態では、金属合金は、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金、および亜鉛合金からなる群から選択される。
【0032】
追加の実施形態では、金属合金は、A201、AA2024、A206、AA2618、AA5083、AA6013、AA6061、AA6063、AA6069、AA7034、AA7050、AA7075、およびAA7068からなる群から選択される。
【0033】
再度別の実施形態では、少なくとも1種類のナノ粒子は、金属酸化物、非金属酸化物、金属炭化物、非金属炭化物、金属ケイ化物、金属ホウ化物、金属窒化物、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0034】
再度さらなる実施形態では、少なくとも1種類のナノ粒子は、コア-シェル粒子の構造を有する。
【0035】
なおさらなる実施形態では、ナノ粒子は、金属合金の30体積%未満を構成する。
【0036】
なお別の実施形態では、ナノ粒子は、金属合金の0.1体積%~2体積%を構成する。
【0037】
さらなる実施形態では、金属合金はAA6061を含み、ナノ粒子はTiCを含み、TiCナノ粒子は金属合金の1.0体積%を構成する。
【0038】
再度別の実施形態では、高圧ダイキャスティングプロセスは、30MPa~100MPaの圧力を使用する。
【0039】
なお別の実施形態では、高圧ダイキャスティングプロセスは、100MPa超の圧力を使用する。
【0040】
再度さらなる実施形態では、高圧ダイキャスティングプロセスは、100℃/s~300℃/sの冷却速度で冷却するステップを含む。
【0041】
追加の実施形態では、金属部品は、少なくとも1つの色に関してアノード処理される。
【0042】
別の実施形態は、金属合金のキャスト性を改善するための方法であって、少なくとも1種類のナノ粒子を金属合金に組み込むステップを含み、金属合金が、4.0重量%未満のケイ素を含み、ナノ粒子が、金属合金の30体積%未満を構成し、金属合金が、高圧ダイキャスティングプロセスに適合する、方法を含む。
【0043】
なおさらなる実施形態では、金属合金は、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金、および亜鉛合金からなる群から選択される。
【0044】
追加の実施形態では、金属合金は、A201、AA2024、A206、AA2618、AA5083、AA6013、AA6061、AA6063、AA6069、AA7034、AA7050、AA7075、およびAA7068からなる群から選択される。
【0045】
なお別の実施形態では、少なくとも1種類のナノ粒子は、金属酸化物、非金属酸化物、金属炭化物、非金属炭化物、金属ケイ化物、金属ホウ化物、金属窒化物、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0046】
さらなる実施形態では、少なくとも1種類のナノ粒子は、コア-シェル粒子の構造を有する。
【0047】
なおさらなる実施形態では、ナノ粒子は、金属合金の0.1体積%~2体積%を構成する。
【0048】
再度別の実施形態では、金属合金はAA6061を含み、ナノ粒子はTiCを含み、TiCナノ粒子は金属合金の1.0体積%を構成する。
【0049】
なお別の実施形態では、高圧ダイキャスティングプロセスは、30MPa~100MPaの圧力を使用する。
【0050】
再度追加の実施形態では、高圧ダイキャスティングプロセスは、100MPa超の圧力を使用する。
【0051】
再度なお別の実施形態では、高圧ダイキャスティングプロセスは、100℃/s~300℃/sの冷却速度で冷却するステップを含む。
【0052】
追加の実施形態および特徴は、一部には、以下の記載に示され、一部には、本明細書の検討により当業者に明らかとなるか、または本開示の実施によって習得されてもよい。本開示の性質および利点のさらなる理解は、本明細書の残りの部分および本開示の一部を形成する図面を参照することによって認識することができる。
【0053】
記載は以下の図面を参照してより完全に理解される。図面は、本発明の例示的な実施形態として提示されるのであり、本発明の範囲の完全な詳述として解釈されるべきではない。本特許または出願ファイルはカラーで作成された少なくとも1つの図面を含有することに留意すべきである。カラー図面を含む本特許または特許出願公開のコピーは、請求し、必要な費用を支払うことで特許庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1図1は、本発明の実施形態による高圧ダイキャスティングプロセスを例示する。
【0055】
図2A図2Aは、本発明の実施形態によるナノ粒子を含まない高圧ダイキャストされたAA6061部品を例示する。
【0056】
図2B図2Bは、本発明の実施形態による1.0体積%のTiCナノ粒子を含む高圧ダイキャストされたAA6061部品を例示する。
【0057】
図3図3A~3Bは、アノード処理後の1.0体積%のナノ粒子を含む有色ダイキャストされたAA6061部品を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0058】
発明の詳細な説明
ここで図面を見ると、低ケイ素含有量金属合金を使用する高圧ダイキャスティングのための方法およびシステムが記載される。多くの実施形態が、高圧ダイキャスティングプロセスのためのナノ粒子で修飾されたアルミニウム合金を含む(ただし、これらに限定されない)低ケイ素含有量金属合金を提供する。一部の実施形態によるダイキャスティングプロセスにより、高強度、高延性、および高熱伝導率の金属部品が製造される。ある特定の実施形態は、所望の色の部品を製造するようにアノード処理できる、ダイキャストされた金属部品を提供する。いくつかの実施形態は、ナノ粒子が、高圧下でアルミニウム合金の流動性を強化し、ダイキャスティング中のダイ固着および熱間割れを含む(ただし、これらに限定されない)課題を回避できることを示す。ある特定の実施形態によるナノ粒子で修飾された金属合金により、低いケイ素含有量を含有するかまたはケイ素含有量を含有しないダイキャストされた高性能金属合金が可能になる。低いケイ素含有量を有する高性能アルミニウム合金は、伝統的に、熱間割れなどの問題に起因してダイキャストするのが不可能である。一部の実施形態による低いケイ素含有量を有するダイキャストされた金属合金により、高強度、優れた延性および熱伝導率を有するアルミニウム合金の大量生産が可能になり得る。多くの実施形態は、低いケイ素含有量を有するアルミニウム合金により、カラフルな部品を提供するための良好なアノード処理能が可能になると考えられることを示す。多数の実施形態では、強度および延性の組合せにより、構造構成部品のためのダイキャストされた金属部品が可能になり得る。ある特定の実施形態では、良好な強度および延性に加えて、ダイキャストされたアルミニウム部品の高い熱伝導率により、ヒートシンクおよび熱交換器を含む(ただし、これらに限定されない)用途における効率的な熱管理が可能になり得る。
【0059】
通常、ナノ粒子は、溶融金属合金の粘度を増加させることがあり、これは、高圧ダイ充填およびダイキャスティング中の急速な冷却プロセスに理想的ではないことがある。しかしながら、多くの実施形態によるナノ粒子により、構造用途のための、約0重量%~約4.0重量%のケイ素含有量を有する高性能加工およびキャストアルミニウム合金を含む(ただし、これらに限定されない)高性能合金のダイキャスティングが可能になる。いくつかの実施形態は、ナノ粒子が、合金の流動性を強化し、同時に急速冷却中の熱間割れを排除できることを示す。ある特定の実施形態による金属合金の強化された流動性は、高圧下でのダイ充填プロセスに適合し得る。種々の実施形態では、ダイキャスティングプロセスのための圧力は、約30MPa~約100MPaの範囲、または約30MPa未満、または約100MPa超であり得る。容易に認識され得るように、種々の圧力のうちの任意のものを、本発明の種々の実施形態による特定の用途の要件のために適宜利用することができる。
【0060】
多くの実施形態は、熱間割れに抵抗性である金属合金が、高い冷却速度での冷却プロセスに耐え得ることを示す。いくつかの実施形態では、冷却速度は、約100℃/s~約300℃/s、または約100℃/s未満、または約300℃/s超であり得る。容易に認識され得るように、種々の冷却速度のうちの任意のものを、本発明の種々の実施形態による特定の用途の要件のために適宜利用することができる。
【0061】
ある特定の実施形態によるナノ粒子により改善された金属合金の流動性およびキャスト性により、約0.2mm~約0.5mmの厚さ、または約0.5mm超の厚さを有する金属部品をダイキャストすることが可能になる。
【0062】
いくつかの実施形態では、ダイキャストされた金属合金は、延性および/または約20%未満もしくはそれに等しい、または約30%未満もしくはそれに等しい伸びを有する。一部の実施形態では、ダイキャストされた金属合金は、約500MPa超またはそれに等しい強度を有し得る。ダイキャストされた金属合金の熱伝導率は、多数の実施形態によると、約230W/mw未満もしくはそれに等しい、または約230W/mw超であり得る。延性、強度および熱伝導率は、後加工なしの鋳放し(as cast)金属合金について測定される。
【0063】
いくつかの実施形態では、ダイキャストされた金属部品は、任意の所望の色を付加するためにアノード処理され得る。アノード処理される色の例としては、赤、青、ピンク、金、黄、緑、およびそれらの任意の組合せが挙げられる(ただし、これらに限定されない)。容易に認識され得るように、種々の色のうちの任意のものを、本発明の種々の実施形態による特定の用途の要件のために適宜利用することができる。
【0064】
本発明の目的で、「ダイキャスティング」という用語はまた、そうでないことが特記されている場合を除いて、「高圧ダイキャスティング」と解釈され得る。
【0065】
本発明の種々の実施形態による高圧ダイキャスティングプロセスが、以下でさらに論じられる。
高圧ダイキャスティング
【0066】
ダイキャスティングは、金属部品のための経済的な大量生産方法であり得る。ダイキャスティングプロセス中、溶融金属は、高い冷却速度(毎秒摂氏約数十度~毎秒摂氏約数百度の範囲)での固化の前に高圧下で型に射出され得る。印加圧力は、液圧または空気圧であり得る。この圧力は、キャスト成形品が固化するまで維持され得る。ダイとして知られる型は、高品質工具鋼から作製でき、幾何学的に複雑な部品を製造することができ、プロセスに高い精度および反復性を付与する。高圧ダイキャスティングにおけるダイの高圧充填により、溶融合金を素早く射出することが可能になり、高生産性の自動化プロセスが可能になり得る。
【0067】
重力ダイキャスティング(永久鋳型キャスティングとしても知られる)と比較して、溶融金属は、純粋に重力下で上から型に流し入れられる。重力ダイキャスティングは重力により型を充填するため、プロセスは比較的ゆっくりであり、したがって、大量生産の実行にあまり適していない場合がある。
【0068】
高圧ダイキャスティングは、高い寸法精度、滑らかなキャスト表面、二次機械加工操作の低減または排除、速い製造速度などを含む(ただし、これらに限定されない)利点を有し得る。しかしながら、高圧ダイキャスティングの1つの欠点は、プロセスが高い流動性を有する金属に限定されることである。射出プロセスが高圧(約30MPa~約100MPa)下であり、溶融合金が高い冷却速度(毎秒摂氏約数十~数百度)で固化されるため、低流動性溶融合金および/または高粘度溶融合金が型穴に詰まり、キャスト部品の精度に影響を及ぼすことがある。高い流動性に加えて、高圧ダイキャスティングに適した合金は、高圧および高冷却速度下で割れに対して良好な耐性を有するべきである。
【0069】
アノード処理は、適切な電解質中で、合金部品がアノードとして使用され、ステンレス鋼、クロムまたは伝導性電解質がカソードとして使用されるプロセスである。ある特定の電圧および電流条件下で、アノードが酸化して、被加工物の表面でアノード処理膜が得られる。硫酸アノード処理が、アノード処理および着色プロセスにおいて使用され得る。アノード処理は、ダイキャストされた合金に色および/または保護膜をもたらし得る。
高圧ダイキャスティングのための金属合金
【0070】
亜鉛合金、アルミニウム合金、銅合金およびスズ合金を含む(ただし、これらに限定されない)多種多様な金属合金を、高圧ダイキャスティングに使用することができる。アルミニウム合金は、その可塑性、耐腐食性および軽量に起因して、家電製品、自動車、航空宇宙、造船、および他の分野で幅広く使用されている。ダイキャストされたアルミニウム部品は、コンピューターデバイス、通信デバイス、家電製品、自動車、建物、窓、航空宇宙、およびスポーツを含む産業で幅広い用途が見出される。高圧ダイキャスティングは、多くの場合、金属では毎秒摂氏数十~数百度の高い冷却速度で操作されるため、合金の流動性および熱間割れ耐性が部品の完全性、とりわけ薄壁構造に重要であり得る。A201、AA2024、A206、AA2618、AA5083、AA6013、AA6061、AA6063、AA6069、AA7034、AA7050、AA7075およびAA7068を含む(ただし、これらに限定されない)伝統的な高性能アルミニウム合金は、良好な強度、延性、および疲労寿命、ならびにアノード処理能および熱伝導率を提供する。残念ながら、これらの合金は、低い流動性および熱間割れの課題に起因してダイキャスティングに適さない。
【0071】
Al-Si合金は、最も一般的なダイキャストされたアルミニウム合金のうちの1つである。ケイ素は、その結晶化の高熱に主に起因して、合金流動性を補助し得る。ケイ素が固化するにつれて、大量の熱が放出されて液体アルミニウムを再加熱し、溶融流動性を強化し得る。ダイキャストされた合金の場合、4.5重量%超(多くの場合、約8重量%~約13重量%の範囲)のケイ素含有量、ならびにFeおよび/またはMnを含む(ただし、これらに限定されない)適当な合金元素が、高い流動性および熱間割れ耐性を確実にするために添加される。したがって、ダイキャストアルミニウム合金およびダイキャスト部品は、一般に、約4.5重量%超のケイ素含有量を含有する。ダイキャスティングに適したAl-Si合金の例としては、AA360、A360、AA380、AA383、AA384、B390、AA413、A413、およびC443が挙げられる(ただし、これらに限定されない)。
【0072】
しかしながら、Al-Si合金中のケイ素相は、アノード処理後に灰色または黒色に見えると考えられ、アノード処理合金および/または部品は、暗い色に見えることがあり、これは、外観要件がある多くの用途において望ましくない可能性がある。ケイ素含有量の増加に伴って、アノード処理膜の色は明灰色から暗灰色から黒灰色に変化する。したがって、高いケイ素含有量を有するキャストアルミニウム合金は、アノード処理に適さないことがある。さらに、高含有量のケイ素、ならびにアルミニウムダイキャスト合金の流動性および熱間割れに取り組むために使用される他の元素は、ダイキャスティング後のアルミニウム合金の延性ならびに熱伝導率および/または電気伝導率を悪化させ得る。
【0073】
低ケイ素含有量のアルミニウム合金系がいくつか存在する。低いケイ素含有量を有するアルミニウム合金の一例としては、AA 518、Al-8MgなどのAl-Mg系が挙げられる。低ケイ素アルミニウム合金の別の例としては、Al-Mg-Si系が挙げられる。Al-Mg-Si系は、2重量%~5.5重量%のMg、1.5重量%~3重量%のSi、微量のMn、微量のFeを含み得、残部はAlである。Al-Mg-Si系合金の例としては、Magsimal-59、C446、Aural-11、Calypso 53、および54SMが挙げられる(ただし、これらに限定されない)。しかしながら、これらの低いケイ素含有量を有するアルミニウム合金は、低い流動性および高い割れ傾向に起因してダイキャストするのが困難であり得る。加えて、そのような合金は、壁厚、とりわけ薄壁に非常に繊細であり得る。さらに、低ケイ素アルミニウム合金は、添加剤として毒性のBeが必要であり得、熱間亀裂および応力腐食割れを受けやすい可能性がある。さらに、それらの熱伝導率は、合金含有量に起因して低くなり得る。
【0074】
North American Die Casting Association(NADCA)から複製した以下の表1は、高圧ダイキャスティングに使用される種々のAl-Si合金およびAl-8Mg合金の化学組成を含む。すべての単一値が、他に記述されない限り、最大組成パーセンテージである。
【表1】
【0075】
NADCAから複製した以下の表2は、高圧ダイキャスティングに使用されるアルミニウム合金の機械特性を含む。代表値は、製造キャスト成形品から切り出した標本ではなく別々のダイキャストされた標本についての「鋳放し」の特徴に基づく。
【表2】
【0076】
NADCAから複製した以下の表3は、高圧ダイキャスティングに使用されるマグネシウム合金、Zamakダイキャスト合金、およびZAダイキャスト合金の機械特性を含む。
【表3】
ナノ粒子で修飾された金属合金を用いる高圧ダイキャスティング
【0077】
多くの実施形態では、ナノ粒子で修飾された金属合金により、高性能金属合金のダイキャスティングが可能になり得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子で修飾されたアルミニウム合金は、低いケイ素含有量を有するかまたはケイ素を含有しない。一部の実施形態は、金属合金中の修飾ナノ粒子により、構造用途のための、低いケイ素含有量を有するアルミニウム合金を含む(ただし、これらに限定されない)高性能加工およびキャスト合金が可能になることを示す。ある特定の実施形態では、ナノ粒子で修飾された金属合金のケイ素含有量は、約0重量%~約4.0重量%である。容易に認識され得るように、約4.0重量%未満の種々のケイ素含有量のうちの任意のものを、本発明の種々の実施形態による特定の用途の要件のために適宜利用することができる。多くの実施形態は、ナノ粒子が、約4.0重量%超のケイ素含有量の添加なしに、合金の流動性(ダイ充填)を強化し、同時に高冷却速度下での熱間割れを排除できることを示す。
【0078】
いくつかの実施形態は、ナノ粒子で修飾され得る金属合金が、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、銀(Ag)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)を含む(ただし、これらに限定されない)少なくとも1つの金属元素、および前述の金属のうちの2つまたはそれよりも多くのものの合金、混合物または他の組合せ、Al合金、Mg合金、Zn合金、Ti-Al合金、Al-Mg合金、およびMg-Zn合金、ならびに他の元素との前述の金属のうちの1つまたは複数のものの合金、混合物または他の組合せ、例えば、鋼(例えば、鉄-炭素合金または鉄-クロム-炭素合金)を含むことを示す。容易に認識され得るように、種々の金属合金のうちの任意のものを、本発明の種々の実施形態による特定の用途の要件のために適宜利用することができる。多くの実施形態により、伝統的にはダイキャストするのが困難な合金系は、ナノ粒子による修飾後にダイキャスティングに好適となる。いくつかの実施形態では、アルミニウム合金、マグネシウム合金、および亜鉛合金は、高圧ダイキャスティングに適合するようにナノ粒子で修飾され得る。多数の実施形態は、ダイキャスティングのためのナノ粒子で修飾された合金系がまた、所望の機械性能、熱伝導率、および電気伝導率を有することを示す。合金系の例としては、A201、AA2024、A206、AA2618、AA5083、AA6013、AA6061、AA6063、AA6069、AA7034、AA7050、AA7075、およびAA7068が挙げられる(ただし、これらに限定されない)。容易に認識され得るように、種々の合金系のうちの任意のものを、本発明の種々の実施形態による特定の用途の要件のために適宜利用することができる。
【0079】
多くの実施形態は、ナノ粒子が金属合金マトリックスに均一に分散されることを示す。多数の実施形態は、ナノ粒子が作製され得る材料としては、セラミック、酸化物、窒化物、ホウ化物、炭化物および他の炭素系粒子、金属および金属合金、ならびにコア-シェル粒子が挙げられる(ただし、これらに限定さない)ことを示す。金属マトリックス中に分散され得るナノ粒子の種類の具体例としては、酸化アルミニウムナノ粒子、窒化アルミニウムナノ粒子、カーボンナノチューブ、炭化ケイ素ナノ粒子、窒化ケイ素ナノ粒子、炭化チタンナノ粒子、ホウ化チタンナノ粒子、炭窒化チタンナノ粒子、炭化タングステンナノ粒子、およびコア-シェル粒子が挙げられる。加えて、ナノ粒子は、コア材料およびコーティングを含むコア-シェル型ナノ粒子であり得る。例としては、SiOでコーティングされたSiCナノ粒子、およびニッケルまたは銀などの金属でコーティングされたセラミックナノ粒子が挙げられる(例えば、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれるLiらの米国特許第9,023,128B2号を参照されたい)。
【0080】
一部の実施形態では、ナノ粒子は1つまたは複数のセラミックを含み得るが、金属または他の伝導性材料を含む他のナノ粒子材料が企図される。好適なナノ粒子材料の例としては、金属酸化物(例えば、アルカリ土類金属酸化物、ポスト遷移金属酸化物、および遷移金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化チタン(TiO)、酸化イットリウム(Y)、アルミン酸マグネシウム(MgAl)、および酸化ジルコニウム(ZrO))、非金属酸化物(例えば、酸化ケイ素(SiO))、金属炭化物(例えば、遷移金属炭化物、例えば、炭化チタン(TiC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化クロム(Cr)、炭化ニッケル(NiC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化タングステン(WC)、および炭化ジルコニウム(ZrC))、非金属炭化物(例えば、炭化ケイ素(SiC))、金属ケイ化物(例えば、遷移金属ケイ化物、例えば、ケイ化チタン(TiSi))、金属ホウ化物(例えば、遷移金属ホウ化物、例えば、ホウ化チタン(TiB)、ホウ化ジルコニウム(ZrB)、ホウ化ハフニウム(HfB)、ホウ化バナジウム(VB)、およびホウ化タングステン(W))、金属窒化物(例えば、遷移金属窒化物)、コア-シェル粒子、金属(例えば、タングステン(W)などの元素形態の遷移金属)、前述のもののうちの2つまたはそれより多くのものの合金、混合物、または他の組合せ、ならびに他の元素との前述のもののうちの1つまたは複数のものの合金、混合物、または他の組合せが挙げられる。好適なナノ粒子材料の特定の例としては、遷移金属の存在によりファンデルワールス力を十分減少させる金属マトリックスのHamaker定数により近接するより大きなHamaker定数が付与され得る遷移金属含有セラミック、例えば、遷移金属炭化物、遷移金属ケイ化物、遷移金属ホウ化物、遷移金属窒化物、および他の非酸化物遷移金属含有セラミックが挙げられる(例えば、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれるLiらの米国特許第11,040,395B2号を参照されたい)。
【0081】
多くの実施形態では、ナノ粒子は、約500nm未満の平均直径を有し得る。一部の実施形態では、ナノ粒子は、約1nm~約500nm、約1nm~約400nm、約1nm~約300nm、約1nm~約200nm、約1nm~約100nm、約1nm~約70nm、約1nm~約50nm、約1nm~約30nmの平均直径を有し得る。いくつかの実施形態は、ナノ粒子のサイズ分布が、平均直径の最大約100%、最大約90%、最大約80%、最大約70%、最大約60%、または最大約50%である、平均直径に対する標準偏差を特徴とし得ることを示す。ある特定の実施形態では、ナノ粒子は、略球体または楕円体形状を有し得るが、ナノ粒子の他の形状および構成が企図される。
【0082】
多くの実施形態は、金属合金が、約0.1%~2%、約0.25%~2%、約0.5%もしくはそれよりも高い、約1%もしくはそれよりも高い、約2%もしくはそれよりも高い、約3%もしくはそれよりも高い、約5%もしくはそれよりも高い、約6%もしくはそれよりも高い、約7%もしくはそれよりも高い、約8%もしくはそれよりも高い、約9%もしくはそれよりも高い、約10%もしくはそれよりも高い、約15%もしくはそれよりも高い、約20%もしくはそれよりも高い、または約25%もしくはそれよりも高い、かつ最大約30%またはそれよりも高い範囲の体積パーセンテージでナノ粒子を含み得ることを示す。容易に認識され得るように、種々のナノ粒子濃度のうちの任意のものを、本発明の種々の実施形態による特定の用途の要件のために適宜利用することができる。
【0083】
いくつかの実施形態は、4%未満のケイ素含有量を有するアルミニウム合金を含む(ただし、これらに限定されない)ダイキャストされた金属合金が、望ましい機械特性、熱伝導率、および電気伝導率を示すことを示す。機械特性、熱伝導率、および電気伝導率は、後加工なしの鋳放し金属合金について測定される。一部の実施形態は、低い体積パーセンテージ(約0.1%~約2%)のナノ粒子が、伝統的にはキャストするのが困難または不可能なアルミニウム合金をダイキャストするために成功裏に適用できることを示す。そのような合金の例としては、自然時効のためのAA6061(Al-1.0Mg-0.6Si-0.25Cu)、AA6063(Al-0.7Mg-0.4Si)、A206(Al-4.5Cu-0.3Mg)、AA7075(Al-5.6Zn-2.6Mg-1.6Cu)、および修飾AA7075((Al-5.6Zn-2.6Mg-0.65Cu)が挙げられる(ただし、これらに限定されない)。いくつかの実施形態によるこれらのダイキャスト合金は、良好なダイキャスティング能を示すと共に、高い強度および良好な延性を実現する。強度および延性は、後加工なしの鋳放し合金について測定される。多くの実施形態では、ダイキャストされたAA6061および他の6000台アルミニウム合金は、他の市販のダイキャストされたAl-Si合金よりも良好な、延性および/または約30%未満もしくはそれに等しい、または約20%~約30%、または約20%未満もしくはそれに等しい、または約10%~約20%、または約10%未満もしくはそれに等しい伸び、ならびに約230W/mw未満もしくはそれに等しい、または約200W/mw~約230W/mw、または約100W/mw~約200W/mw、または約100W/mw未満もしくはそれに等しい熱伝導率を提供し得る(上記表2を参照されたい)。
【0084】
多くの実施形態は、7000シリーズアルミニウム合金の高圧ダイキャスティングを提供する。ダイキャストされた7000シリーズアルミニウム合金は、高強度アルミニウム合金のダイキャスティングの用途を広げ得る。修飾AA7075合金により、実施形態によるダイキャスティング後の自然時効による極度に高い強度を提供することが可能になり得る。
【0085】
一部の実施形態によるナノ粒子で修飾された金属合金の流動性および熱間割れ耐性の増加により、ダイキャストされた金属合金の低いケイ素含有量に起因して高圧ダイキャスティングプロセスを使用して薄壁構造の製造が可能になる。多くの実施形態は、約0.2mm~約0.5mm、または約0.5mm超もしくはそれに等しい厚さを有するダイキャストされた金属部品を製造する。
【0086】
一部の実施形態は、ダイキャストされた金属合金の熱伝導率が多孔度によって影響され得ることを示す。通常、アルミニウム部品の高圧ダイキャスティングは、約3%~約5%の多孔度を有する。ある特定の実施形態は、ダイキャストされた、ナノ粒子を注入された金属合金の多孔度が、異なる部品で様々であり得ることを示す。ダイキャストされた部品の多孔度は、真空ダイキャスティングまたはプロセス最適化において改善され得る。
【0087】
多くの実施形態は、ナノ粒子を有するダイキャストされた金属合金の良好なアノード処理能および品質を示す。伝統的には、ダイキャストされたアルミニウム合金は、高いSi含有量を有する。高Si含有量合金をアノード処理することにより、Siが際立ち、金属部品が灰色または黒色に変化し得る。したがって、高Si含有量合金は、アノード処理を介して様々な色を生成することができない場合がある。いくつかの実施形態では、ナノ粒子を有する金属合金は、4重量%未満のSi含有量を有し、種々の色の部品を製造するためにアノード処理され得る。色は、化学処理後に表面多孔質酸化物を着色するために使用される染料によって決定され得る。一部の実施形態は、任意の色をダイキャストされた金属合金に適用できることを示す。ナノ粒子を含む金属合金はまた、ケイ素の効果が低いまたはないことに起因して、種々の色に成功裏にアノード処理され得る。
【0088】
いくつかの実施形態は、ナノ粒子を含むダイキャストされた金属合金に後加工を適用し得るが、必須ではないことを示す。通常、高圧ダイキャストされた合金には、ブリスタリング効果に起因してどのような溶液処理も望まれない。一部の実施形態では、T5または自然時効を含む(ただし、これらに限定されない)後加工が適用され得る。ある特定の実施形態では、T6を含む(ただし、これらに限定されない)後加工が、低い多孔度を有するまたは多孔度を有さない(例えば、真空高圧ダイキャスティング後の)ダイキャストされた金属部品に適用され得る。容易に認識され得るように、種々の後加工処理のうちの任意のものを、本発明の種々の実施形態による特定の用途の要件のために適宜利用することができる。
【0089】
多くの実施形態は、ナノ粒子を注入された金属合金を用いる高圧ダイキャスティングプロセスを提供する。いくつかの実施形態では、アルミニウム合金、マグネシウム合金、および亜鉛合金を含む(ただし、これらに限定されない)金属合金は、約4重量%未満のケイ素含有量を有する。本発明の実施形態による高圧ダイキャスティングプロセスが、図1に例示されている。プロセス100は、金属および/またはナノ粒子を含む金属合金を用意すること101によって開始する。一部の実施形態では、ナノ粒子は、金属マトリックス中に均一に組み込まれ、分散され得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、金属合金中約0.1体積%~約2体積%を有し得る。ある特定の実施形態は、ナノ粒子が、金属酸化物(例えば、アルカリ土類金属酸化物、ポスト遷移金属酸化物および遷移金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化チタン(TiO)、酸化イットリウム(Y)、アルミン酸マグネシウム(MgAl)および酸化ジルコニウム(ZrO))、非金属酸化物(例えば、酸化ケイ素(SiO))、金属炭化物(例えば、遷移金属炭化物、例えば、炭化チタン(TiC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化クロム(Cr)、炭化ニッケル(NiC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化タングステン(WC)および炭化ジルコニウム(ZrC))、非金属炭化物(例えば、炭化ケイ素(SiC))、金属ケイ化物(例えば、遷移金属ケイ化物、例えば、ケイ化チタン(TiSi))、金属ホウ化物(例えば、遷移金属ホウ化物、例えば、ホウ化チタン(TiB)、ホウ化ジルコニウム(ZrB)、ホウ化ハフニウム(HfB)、ホウ化バナジウム(VB)およびホウ化タングステン(W))、金属窒化物(例えば、遷移金属窒化物)、コア-シェル粒子、金属(例えば、タングステン(W)などの元素形態の遷移金属)を含む(ただし、これらに限定されない)材料で作製され得ることを示す。以前の研究は、金属合金と混合されたナノ粒子の調製を詳細に記載している(例えば、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれるLiらのPCT出願第PCT/US20/27775号、Liらの米国特許第9,322,084B2号、Liらの米国特許第9,023,128B2号を参照されたい)。
【0090】
ナノ粒子と混合された金属は、溶融され、さらに合金化されて、ある特定の組成を有する溶融金属合金を形成すること102ができる。AA6061、AA6063、AA6069、AA2024、AA5083、AA7075、A206、A201、AA6013、AA2024、AA7034、AA7050、およびAA7068を含む(ただし、これらに限定されない)アルミニウム合金は、高圧ダイキャスティングのために調製され得る。多くの実施形態は、ナノ粒子と混合された金属合金が、そのような合金の機械特性、熱伝導率、およびアノード処理能を改善するために約4重量%未満のケイ素を有することを示す。
【0091】
型穴は、溶融金属合金を射出する前に用意すること103ができる。ダイ型の内部は、キャスト金属部品の離型を容易にするための潤滑剤層を噴霧され得る。溶融金属合金は、高圧下でダイ型に射出すること104ができる。多くの実施形態は、溶融金属合金を射出する圧力が、約30MPa~約100MPaの範囲であることを示す。ある特定の実施形態では、圧力は、約30MPa未満、または約100MPa超であり得る。一部の実施形態では、圧力は、100MPa超であり得る。圧力は、キャスト成形品が固化するまで維持される。次いで、ダイは、高冷却速度で冷却される105。いくつかの実施形態では、冷却速度は、溶融金属合金を固化するための約100℃/s~約300℃/sの範囲であり得る。多数の実施形態では、冷却速度は、約100℃/s未満、または約300℃/s超であり得る。ナノ粒子は、流動性および熱間割れ耐性を改善し、低いケイ素含有量を有する金属合金のダイへの固着を低減し得、したがって、4重量%未満のケイ素を含む合金を高圧射出プロセスおよび急速冷却プロセスに適合させる。金属合金が固化すると、金属部品を回収することができる(図示せず)。
【0092】
ダイキャストされた金属部品は、所望の色を付与するためにアノード処理すること106ができる。アノード処理は、必要に応じたものであり得る。金属合金における高いケイ素含有量は、アノード処理後に灰色または黒色に見えることがある。これと比較して、ナノ粒子で修飾された金属合金は、通常の8重量%~10重量%のケイ素と比較して4重量%未満のケイ素を有する。多くの実施形態による低ケイ素金属合金は、アノード処理後に灰色または黒色に見えない。したがって、ナノ粒子で修飾された金属合金を含むダイキャストされた金属部品は、赤、青、緑、黄、銀、金を含む(ただし、これらに限定されない)任意の選択色を付加するためにアノード処理され得る。
【0093】
本発明の実施形態によるダイキャストされたアルミニウム合金サンプルが、図2Aおよび図2Bに例示されている。図2Aは、ダイキャストされたAA6061合金試料を例示する。図2Aで使用されるAA6061合金は、ナノ粒子で修飾されていない。ダイキャストされた試料は、複数の割れ線201を示す。図2Bは、約1.0体積%のTiCナノ粒子で修飾されたダイキャストされたAA6061合金を例示する。ダイキャストされた試料は、滑らかな表面を有する。試料は、赤色を得るためにアノード処理される。
例示的な実施形態
【0094】
システムおよび方法の特定の実施形態について以下の節で論じられるが、これらの実施形態は例示として提供されるのであり、限定を意図されないことが理解される。
【実施例
【0095】
(実施例1)
AA6061合金の高圧ダイキャスティング
多くの実施形態は、高性能AA6061合金を含む(ただし、これらに限定されない)アルミニウム合金の高圧ダイキャスティングを提供する。いくつかの実施形態では、AA6061合金は、TiCナノ粒子を含む(ただし、これらに限定されない)約1.0体積%のナノ粒子で修飾され得る。以下の表4は、約1.0体積%のナノ粒子を含有するダイキャストされたAA6061合金の特性を列挙する。ナノ粒子修飾AA6061合金は、鋳放しで約205MPaの極限引張強さ、約125MPaの降伏強さ、約16%の伸び、および約140W/mk)の熱伝導率を有する。後加工により、機械特性がさらに改善し得る。T5処理後、AA6061合金は、約226MPaの極限引張強さ、約165MPaの降伏強さ、約10%の伸び、および約142W/mk)の熱伝導率を有する。T6処理後、AA6061合金は、約353MPaの極限引張強さ、約305MPaの降伏強さ、約9%の伸び、および約145W/mk)の熱伝導率を有する。
【表4】
【0096】
AA6061合金を含む(ただし、これらに限定されない)ダイキャストされたアルミニウム合金は、任意の選択色を付与するためにアノード処理され得る。本発明の実施形態による種々の色を示すAA6061のダイキャストされた部品が、図3A~3Dに例示される。図3A~3Dにおいて、ダイキャストされたAA6061部品は、約1.0体積%TiCナノ粒子を含有する。図3Aは、ダイキャストされた部品がアノード処理されて金色を有し得ることを示す。図3Bは、ダイキャストされたアルミニウム部品がアノード処理されて赤色を有し得ることを示す。図3Cは、ダイキャストされた部品がアノード処理されて銀色を有し得ることを示す。図3Dは、ダイキャストされた合金がアノード処理されて青色を有し得ることを示す。ダイキャストされた金属部品は、割れのない滑らかな表面を示す。
(実施例2)
A206合金の高圧ダイキャスティング
【0097】
いくつかの実施形態は、高性能A206合金を含む(ただし、これらに限定されない)アルミニウム合金の高圧ダイキャスティングを示す。A206合金の場合、ナノ粒子は、はるかに良好な流動性を可能にし、熱間割れを排除して、多くの実施形態に従ってこの伝統的にはダイキャストすることが困難な合金の信頼性の高いダイキャスティングが可能になる。ナノ粒子の添加によりまた、ダイ充填、部品の耐圧性、強度および延性が改善する。ナノ粒子を含むダイキャストされたA206合金は、最大約450MPaの強度、最大15%の伸びを提供し得る。
均等論
【0098】
本発明のこの記載は、例示および説明の目的で提示されている。網羅的であること、または本発明を記載される正確な形式に限定することは意図されず、多くの修正例および変形例が上記の教示に照らして可能である。実施形態は、本発明の原理、およびその実地応用を最良に説明するために選択および記載された。この記載により、当業者は、種々の実施形態において特定の使用に適した種々の修正により本発明を最良に利用および実施することが可能である。本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって定義される。
【0099】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈がそうでないことを明らかに記述していない限り、複数の参照を含む。単数形の対象物への参照は、そのように明らかに述べられていない限り、「1つかつ唯一」ではなく、「1つまたはそれより多く」を意味することが意図される。
【0100】
本明細書で使用される場合、「近似的に」および「約」という用語は、小さな変動を記載および説明するために使用される。事象または状況と併せて使用される場合、この用語は、事象または状況が正確に生じる例、および事象または状況が近似的に生じる例を指し得る。数値と併せて使用される場合、この用語は、その数値の±10%未満またはそれに等しい、例えば、±5%未満もしくはそれに等しい、±4%未満もしくはそれに等しい、±3%未満もしくはそれに等しい、±2%未満もしくはそれに等しい、±1%未満もしくはそれに等しい、±0.5%未満もしくはそれに等しい、±0.1%未満もしくはそれに等しい、または±0.05%未満もしくはそれに等しい変動の範囲を指し得る。
【0101】
さらに、量、比および他の数値は、場合により、本明細書において範囲形式で提示され得る。そのような範囲形式は、便利および簡潔さのために使用されることが理解され、範囲の限界を明らかに指定する数値を含むだけでなく、各数値および部分範囲が明らかに指定されているかのようにその範囲内に包含されるすべての個々の数値または部分範囲も含むと柔軟に理解されるべきである。例えば、約1~約200の範囲の比は、約1および約200の明らかに列挙された限界を含むだけでなく、約2、約3、および約4などの個々の比、ならびに約10~約50、約20~約100などの部分範囲も含むと理解されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
【国際調査報告】