(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-21
(54)【発明の名称】溶融加工可能なセルロースエステル組成物、それから製造される溶融物および溶融成形物品
(51)【国際特許分類】
C08L 1/10 20060101AFI20250313BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20250313BHJP
【FI】
C08L1/10
C08L67/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547858
(86)(22)【出願日】2023-02-14
(85)【翻訳文提出日】2024-10-11
(86)【国際出願番号】 US2023062548
(87)【国際公開番号】W WO2023158999
(87)【国際公開日】2023-08-24
(32)【優先日】2022-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】アマルプリ,ゴウラヴ
(72)【発明者】
【氏名】ドネルソン,マイケル・ユージン
(72)【発明者】
【氏名】シャンカー,ラーフル
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AB021
4J002CF142
4J002ED036
4J002ED066
4J002EH046
4J002EH096
4J002EW046
4J002FD026
4J002GC00
4J002GG00
(57)【要約】
溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が記載される。本発明の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、(i)セルロースエステル;(ii)可塑剤;および(iii)スルホン化イソフタル酸材料またはその塩を含む。セルロースアセテート溶融物および溶融成形物品もまた記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)セルロースエステル;(ii)可塑剤;および(iii)芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーを含む、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
【請求項2】
前記可塑剤が、前記溶融加工可能な可塑化セルロースアセテート組成物の総重量に基づいて、1重量%~40重量%の量で存在する、請求項1に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
【請求項3】
前記芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーが、前記溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の総重量に基づいて、重量で0.1wt%~50.0wt%の量で存在する、請求項1または2に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
【請求項4】
前記芳香族スルホネート繰り返し単位が、前記ポリマー中に1モル%~50モル%の量で存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
【請求項5】
前記セルロースエステルが、セルロースアセテートを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
【請求項6】
前記ポリマーが、スルホン化ポリエステルを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
【請求項7】
前記スルホン化ポリエステルが、式:
【化1】
[式中、Mは、Li、Na、Ca、K、ZnおよびMgからなる群から選択されるカチオンである]
の芳香族スルホネート繰り返し単位を含む、請求項6に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
【請求項8】
前記スルホン化ポリエステルが、-60~100℃のガラス転移温度、0.05~0.80dL/gの固有粘度のうちの1つまたは複数によって特徴付けられる、請求項6または7に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
【請求項9】
前記スルホン化ポリエステルが、35~38℃のガラス転移温度、0.32~0.40dL/gの固有粘度、2mg KOH/g未満の酸価、10mg KOH/g未満のヒドロキシル価のうちの1つまたは複数によって特徴付けられる、請求項6または7に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
【請求項10】
前記スルホン化ポリエステルが、51~55℃のガラス転移温度、0.29~0.37dL/gの固有粘度、2mg KOH/g未満の酸価、10mg KOH/g未満のヒドロキシル価、および814.8kg/m
3(6.8ポンド/ガロン)のかさ密度のうちの1つまたは複数によって特徴付けられる、請求項6または7に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
【請求項11】
芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーを含まない、溶融加工可能なセルロースエステル組成物と比べて、10%~150%、または30%~150%、または50%~150%、または70%~150%、または90%~150%、または110%~150%の範囲である歪み硬化度(「SH」)を示し、SHが、本明細書に開示される手順により決定される、請求項1から10のいずれか一項に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
【請求項12】
芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーを含まない、溶融加工可能なセルロースエステル組成物と比べて、10%~50%、または20%~50%、または30%~50%、または40%~50%の範囲である最大面積延伸比(「最大ADR」)を示し、最大ADRが、本明細書に開示される手順により決定される、請求項1から11のいずれか一項に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物を含むかまたはこれから形成されるかまたはこれを使用して調製される、セルロースエステル溶融物。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物または請求項13に記載のセルロースエステル溶融物を含むかまたはこれから形成されるかまたはこれを使用して調製される、溶融成形物品。
【請求項15】
射出成形物品である、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
圧縮成形物品である、請求項14に記載の物品。
【請求項17】
押出物品である、請求項14に記載の物品。
【請求項18】
異形押出物品である、請求項14に記載の物品。
【請求項19】
熱成形物品である、請求項14に記載の物品。
【請求項20】
請求項1から12のいずれか一項に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物または請求項13に記載のセルロースエステル溶融物から形成されるかまたはこれを使用して調製される発泡体を含む、物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
廃棄物処理、詳細には、許容される時間的制限内で生分解できるとは考えられないプラスチックまたはポリマーなどの大量の消費者製品の廃棄物処理に関して、世界的に周知の問題がある。これらの種類の廃棄物を、再利用、再使用または他の場合は流通もしくは埋め立てごみ処理における廃棄物量の低減を通して、新たな製品に組み込むという社会的な要望がある。これは、使い捨てのプラスチック物品/材料に関して特に当てはまる。
【0002】
ストロー、食事用器具類、持ち帰り用カップ、ビニール袋などの使い捨てのプラスチックの環境運命に関する消費者感情が世界的な傾向となっているため、先進国と発展途上国の両方において、プラスチック禁止が世界中で考慮/規定されている。例えば、米国のみにおいても、禁止は買い物ビニール袋からストロー、食事用器具類、およびクラムシェル容器にまで及んでいる。他国は、EU全体にわたり、禁止され、使用が制限されるか、または生産者責任の拡大が命じられる予定の10種の使い捨て物品のリストによって例示されるように、さらに極端な措置をとっている。結果として、産業界の指導者、ブランド所有者、および小売り業者は、今後、堆肥化可能および/または生分解性の材料を実行するという意欲的な確約をした。
【0003】
このような使い捨て物品の製造における、生分解性、崩壊性および/または堆肥化可能な材料の使用は、環境的観点から非常に望ましいが、物品製造業者にとっては特別な問題を提示する。このような物品の大部分は、歴史的に、ポリスチレンなどの非-生分解性、化石燃料-ベースの材料を使用して製造され、キャスト、押出および射出成形などの溶融加工技術を利用しており、材料は流動可能な形態に溶融され、加工され、冷却されて、機能性物品を形成する。既存の製造システムにおいて、セルロースアセテートを含む一部のセルロースエステルなどの生分解性の原材料を利用することは、著しい装置の入れ替え、修正または改良の費用をかけなければ困難な場合がある。さらに、セルロースエステルなどの生分解性の材料を使用することによって必要とされ得る加工条件における変化は、効率および材料の収率に悪影響を及ぼす可能性がある。加えて、セルロースエステル組成物を有用な物品に変換するための溶融加工ステップは、色形成、可塑剤などの組成成分の損失およびポリマーの分子量の損失をもたらし得る温度に配合物を加熱する必要があり、これら全ては、最終物品の熱安定性、靭性、可撓性および他の性能パラメータに影響を与える。また、生分解が一般に表面駆動型の現象であるため、生分解と堆肥化可能性の標準を満足するという要望によって、物品強度に望ましい厚さが決定的に制限される場合がある。
【0004】
意図された使用のための適切な性能および溶融加工特性を有し、かつ堆肥化可能性および/または生分解性である使い捨て消費者製品に対する、未だ対処されていない市場必要性が依然として存在する。
【0005】
また、そのような特性を有し、再生可能な、再利用され、および/または再使用される材料の有意な含有量も有する製品を提供することは有益である。
【発明の概要】
【0006】
出願人らは、予期しなかったことだが、ある特定の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、溶融成形された生分解性物品および生分解性物品成分の製造における使用に関し、予期せぬ加工可能性および物品特性の利点を有し、驚くほど有利であることを発見した。
【0007】
一態様では、本発明は、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物を対象とする。本発明の溶融加工可能なセルロースアセテート組成物は、(i)セルロースエステル;(ii)可塑剤;および(iii)芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーを含む。
【0008】
別の態様では、本発明は、特に溶融成形物品の形成に有用なセルロースエステル溶融物を対象とする。本発明のセルロースエステル溶融物は、(i)セルロースアセテート;(ii)可塑剤;および(iii)芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーを含む。
【0009】
さらに別の態様では、本発明は、溶融成形された生分解性物品を対象とする。本発明の溶融成形された生分解性物品は、(i)セルロースエステル;(ii)可塑剤;および(iii)芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーを含む溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物、または(i)セルロースエステル;(ii)可塑剤;および(iii)芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーを含むセルロースエステル溶融物を含み、これらから形成され、またはこれらを使用して調製される。
【0010】
さまざまな相互に関連する態様および実施形態では、本発明は、一般に、発泡性組成物を含む溶融加工可能な組成物;溶融物;発泡体;溶融成形物品を含む物品、ならびに溶融加工可能な組成物および関連する発泡性組成物を含み、これらから形成されるかまたは調製される物品を対象とする。1つの態様または実施形態を記載するために使用される要素または特色が、他の実施形態の記載において、適用可能でありかつ有用であり得ることを、当業者は認識し理解するであろう。非限定的な例では、本発明の組成物の文脈で明示されたセルロースエステルの記載はまた、本発明の溶融物、組成物(押出され、成形され、熱成形されるかまたは発泡性の組成物を含む)および物品の文脈におけるセルロースエステルの記載においても、適用可能でありかつ有用である。したがって、本発明の一態様または一実施形態の要素または特色に関連する記載および開示は、他の態様または実施形態におけるこれらの要素または特色を記載し裏付けるために明白に依拠される。
【0011】
以下のさまざまな態様および実施形態では、本発明はセルロースアセテートを含むセルロースアセテート組成物として詳細に記載される。しかしながら、そのような特有の実施形態に関連する記載がまた、セルロースエステルを含むセルロースエステル組成物をより広く対象とする実施形態を記載し裏付けるためにも、明白に依拠されることが理解されよう。
【0012】
本出願はまた、さまざまな態様において、付加的な組成物、溶融物、物品、および方法を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の態様では、本発明は、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物を対象とする。本発明の溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、(i)セルロースエステル;(ii)可塑剤;および(iii)芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーを含む。
【0014】
本発明のセルロースエステルは一般に、1種または複数のカルボン酸のセルロースエステルを含むと記載することができ、例えば本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,929,229号に記載されており、その内容および開示は本明細書に参照により組み込まれる。セルロースエステルの非限定的な例は、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、いわゆる混合酸エステル、例えばセルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートブチレートなど、ならびにこれらの組合せを含む。1つまたは複数の実施形態では、セルロースエステルは、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、またはセルロースアセテートブチレートおよびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0015】
1つまたは複数の実施形態では、セルロースエステルは、セルロースアセテートを含み、セルロースアセテートから本質的になるかまたはセルロースアセテートからなる。1つまたは複数の実施形態では、セルロースアセテートは、溶融加工可能な可塑化セルロースアセテート組成物中に、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の総重量に基づいて、50重量%~97重量%または55重量%~95重量%または60重量%~90重量%の量で存在し得る。本発明に有用であり得るセルロースアセテートは一般に、構造:
【0016】
【0017】
[式中、R1、R2、およびR3は、水素またはアセチルからなる群から独立して選択される]
の繰り返し単位を含む。セルロースエステルに関して、置換レベルは、通例、置換度(DS)によって表され、これは無水グルコース単位(AGU)当たりの非-OH置換基の平均数である。一般に、従来のセルロースは、セルロースアセテートが置換される各AGU単位に3個のヒドロキシル基を含有し;したがって、セルロースアセテートDSは、ゼロ~3の間の値を有する。天然セルロースは、パルプ化および精製の後でさえ、250~5,000の重合度を有する大きな多糖であり、したがって最大DSが3.0であるという仮定はほぼ正確である。DSは統計的平均値であるため、1という値が、全てのAGUが1個の置換基を有することを保証するものではない。一部のセルロースアセテートでは、非置換の無水グルコース単位を有するセルロースアセテートもあり、2個の置換基を有するものもあり、3個の置換基を有するものもあり、典型的には、DS値は非整数である。合計DSは、無水グルコース単位当たりの全ての置換基の平均数と定義される。AGUセルロースアセテート当たりの置換度はまた、例えば、ヒドロキシルまたはアセチルなどの特定の置換基を指す。実施形態では、nは、25~250、または25~200、または25~150、または25~100、または25~75の範囲の整数である。本発明の実施形態に有用なセルロースアセテートは、1.0~2.5の範囲の置換度を有する。一部の実施形態では、セルロースアセテートは、少なくとも約1.0、1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45または1.5および/または約2.5、2.45、2.4、2.35、2.3、2.25、2.2、2.15、2.1、2.05、2.0、1.95、1.9、1.85、1.8または1.75以下の平均置換度を有し得る。一部の実施形態では、セルロースアセテートは、0.7~2.9、または1.1~2.7、または1.1~2.6、または1.1~2.5、または2.0~2.6、または1.7~2.6の平均置換度を有し得る。
【0018】
本発明の実施形態では、セルロースアセテートは、少なくとも2個の無水グルコース環を有し、セルロースアセテートは、少なくとも50~5,000個までの無水グルコース環を有するか、または少なくとも50個~150個未満の無水グルコース環を有する。1分子当たりの無水グルコース単位の数は、セルロースアセテートの重合度(DP)と定義される。実施形態では、セルロースアセテートは、フェノール/テトラクロロエタンの60/40重量の溶液100ml中の0.25グラムの試料に関して、25℃の温度で測定して、約0.2~約3.0デシリットル/グラム、または約0.5~約1.8、または約1~約1.5の固有粘度(IV)を有し得る。実施形態では、一部の実施形態に有用なセルロースアセテートは、約1~約2.5、または1~2.2未満、または1~1.5未満のDS/AGUを有し得て、置換エステルはアセチルである。一部の実施形態に有用なセルロースアセテートは、セルロースジアセテートおよびセルローストリアセテートを含み得る。
【0019】
本発明に有用なセルロースエステル、詳細にはセルロースアセテートは、生分解性であり得る。用語「生分解性」は、一般に、有機分子の生物学的変換および消費を指す。生分解性は材料自体の内在的な特性であり、材料セルロースアセテートは、それが曝される特定の条件に応じて、異なる程度の生分解性を示す。用語「崩壊性」は、ある特定の条件に曝された場合、より小さい断片に物理的に解離する材料の傾向を指す。崩壊は、材料自体、同様に試験される物品の物理的大きさと立体配置の両方に依存する。生態毒性は、植物寿命に対する材料の影響を測定し、材料の重金属含有量は、標準的試験法で述べられた手順に準拠して決定される。本発明の溶融加工可能な組成物および溶融物は、1つまたは複数の実施形態では、生分解性であってもよい。
【0020】
本発明のセルロースエステルは、当技術分野で公知の任意の方法によって生成され得る。一般に、セルロースエステルを生成するプロセスの例は、Kirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第5版、5巻、Wiley-Interscience、New York(2004)、394~444頁に教示されている。セルロースアセテートを生成する出発材料であるセルロースは、さまざまなグレードで、かつ綿リンター、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、トウモロコシ繊維および他の農業源、ならびに中でもバクテリアセルロースからなどの供給源から入手され得る。
【0021】
セルロースアセテートを生成する一つの方法は、セルロースと適当な有機酸、酸無水物、およびセルロース触媒とを混合することによるセルロースのエステル化である。セルロースは、次にセルローストリエステルに変換される。次に、エステル加水分解は、水-酸混合物をセルローストリエステルに添加することによって実施され、次に、セルロースアセテートは濾過され、任意のゲル粒子または繊維を除去する。次にこの混合物に水を添加し、セルロースエステルを沈殿させる。セルロースエステルは、次に水で洗浄され、反応副生成物を除去し、続いて脱水および乾燥され得る。
【0022】
加水分解されるセルローストリエステルは、3つのアセチル置換基を有する。これらのセルロースエステルは、当業者に公知の多くの方法によって調製され得る。例えば、セルロースエステルは、H2SO4などのセルロース触媒の存在下で、カルボン酸と無水物の混合物中で、セルロースの不均一アシル化によって調製され得る。セルローストリエステルはまた、LiCl/DMAcまたはLiCl/NMPなどの適切な溶媒に溶解したセルロースの均一アシル化によって調製されてもよい。
【0023】
当業者は、セルローストリエステルという商業用語が、アシル基で完全には置換されていないセルロースエステルも包含することを理解するであろう。例えば、セルローストリアセテートは、Eastman Chemical Company、Kingsport、TN、U.S.A.から市販されており、典型的には、約2.85~約2.99のDSを有する。
【0024】
セルロースのトリエステルへのエステル化後、アシル置換基の一部は、加水分解によるかまたは加アルコール分解によって除去され、第2級セルロースエステルを与え得る。前述したように、利用される特定の方法に応じて、アシル置換基の分布はランダムまたは非ランダムであってもよい。第2級セルロースエステルはまた、加水分解を用いず、制限量のアシル化試薬を使用することによって直接調製されてもよい。このプロセスは、反応が、セルロースを溶解する溶媒中で実行される場合に特に有用である。これらの方法の全ては、本発明で有用なセルロースエステルを生じる。
【0025】
一実施形態では、または言及した実施形態のいずれかと組み合わせて、本発明のセルロースアセテートは、セルロースジアセテートである。セルロースジアセテートは、溶媒としてNMPを使用し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定して、ASTM D6474に準拠してポリスチレンMn換算し、約10,000~約100,000のポリスチレン換算数平均分子量(Mn)を有し得る。本明細書に記載の本発明の他の態様または実施形態では、本発明の溶融加工可能な生分解性のセルロースアセテート組成物は、溶媒としてNMPを使用し、ASTM D6474に準拠し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定して、10,000~90,000;または10,000~80,000;または10,000~70,000;または10,000~60,000;または10,000~60,000未満;または10,000~55,000未満;または10,000~50,000;または10,000~50,000未満;または10,000~45,000未満;または10,000~40,000;または10,000~30,000;または20,000~60,000未満;または20,000~55,000未満;または20,000~50,000;または20,000~50,000未満;または20,000~45,000未満;または20,000~40,000;または20,000~35,000;または20,000~30,000;または30,000~60,000未満;または30,000~55,000未満;または30,000~50,000;または30,000~50,000未満;または30,000~45,000未満;または30,000~40,000;または30,000~35,000のポリスチレン換算数平均分子量(Mn)を有するセルロースジアセテートを含む。実施形態では、セルロースアセテートは、溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を使用し、ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して測定してポリスチレン換算し、100,000以下、または90,000以下の数平均分子量(Mn)を有し得る。一部のセルロースアセテートでは、生分解性のセルロースアセテートは、少なくとも約10,000、少なくとも約20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、または45,000および/または約100,000以下、95,000以下、90,000以下、85,000以下、80,000以下、75,000以下、70,000以下、65,000以下、60,000以下、または50,000以下のMnを有し得る。
【0026】
最も一般的な市販の第2級セルロースエステルは、最初の酸触媒されたセルロースの不均一アシル化によって調製され、セルローストリエステルを形成する。セルローストリエステルの対応するカルボン酸中の均一溶液が得られた後、セルローストリエステルは、次に、所望の置換度が得られるまで、加水分解が施される。単離後、ランダムな第2級セルロースエステルが得られる。すなわち、各ヒドロキシルにおける相対置換度(RDS)は、ほぼ等しい。
【0027】
本発明の実施形態では、セルロースアセテートは、再利用材料、例えば、再利用プラスチック含有合成ガス源から得られた反応物を用いて、セルロースをセルロースエステルに変換することによって調製され得る。実施形態では、そのような反応物は、例えば本明細書で論じられる、セルロースのエステル化またはアシル化反応で使用される有機酸および/または酸無水物を含むセルロース反応物であってもよい。
【0028】
本発明のセルロースアセテートは、組成物、溶融物および有用な物品への下流加工に望ましい任意の物理的形態で生成されてもよい。1つまたは複数の実施形態では、生分解性の溶融安定性セルロースアセテートは、粉末の形態である。1つまたは複数の実施形態では、生分解性の溶融安定性のセルロースアセテートは、フレークまたはペレットの形態である。
【0029】
1つまたは複数の実施形態では、溶融加工可能なセルロースアセテート組成物は、少なくとも1種の再利用セルロースアセテートを含む。1つまたは複数の実施形態では、再利用セルロースアセテートは、再利用含有材料、例えば、再利用プラスチック含有合成ガスに由来する無水グルコース単位(AU)上に少なくとも1つの置換基を含む。再利用セルロースアセテートおよびそれらの製造方法は、例えば、本譲受人のPCT出願公開WO2020/242921;WO2021/061918A1;WO2021/092296A1および米国特許出願公開第2020/0247910号に記載されており、全て明白に参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
本発明の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物がセルロースアセテートを含む実施形態では、本組成物は、1種または複数の付加的なセルロースエステルをさらに含んでもよい。そのような付加的なセルロースエステルの非限定的な例は、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、およびいわゆる混合酸エステル、例えばセルロースアセテートプロピオネート(CAP)およびセルロースアセテートブチレート(CAB)などを含む。本発明の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物がセルロースアセテートを含む実施形態では、付加的なセルロースエステルは、置換度(DS)、ガラス転移温度、固有粘度、酸価、ヒドロキシル価、かさ密度、分子量などの1つまたは複数の特徴によって、第1のセルロースアセテートとは異なる第2のセルロースアセテートを含んでもよい。
【0031】
セルロースエステルは、組成物の総重量に基づいて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物中に1重量%~99重量%の量で存在し得る。1つまたは複数の実施形態では、セルロースエステルは、組成物の総重量に基づいて、少なくとも50重量%の量で存在する。当業者は、組成物中のセルロースエステルの量が、結晶体、靭性、伸び、接着性、溶融強度係数などの所望の組成物目標特性を限定されることなく含む、多様な要因に基づいて変化し得ることを理解されよう。1つまたは複数の実施形態では、セルロースエステルは、前記組成物の総重量に基づいて、少なくとも50重量%の量で存在する。1つまたは複数の実施形態では、セルロースエステルは、前記組成物の総重量に基づいて、70重量%までの量で存在する。1つまたは複数の実施形態では、セルロースエステルは、前記組成物の総重量に基づいて、60重量%までの量で存在する。1つまたは複数の実施形態では、セルロースエステルは、生分解性の組成物中に、組成物の総重量に基づいて30重量%まで、または組成物の総重量に基づいて20重量%まで、または組成物の総重量に基づいて10重量%までの量で存在する。
【0032】
本発明の溶融加工可能なセルロースアセテート組成物は、可塑剤をさらに含む。可塑剤は、単独または2種以上の組合せで使用されてもよい。可塑剤は、例えば、組成物中に存在するセルロースアセテートの溶融温度、ガラス転移温度(Tg)および/または溶融粘度を低減させ得る加工助剤として一般に説明され得る。
【0033】
実施形態では、可塑剤は生分解性の可塑剤である。生分解性の可塑剤の一部の例は、トリアセチン、トリプロポイニン、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、ポリエチレングリコール、Benzoflex(商標)可塑剤シリーズなどのベンゾエート含有可塑剤、ポリ(ブチルスクシネート)などのポリ(アルキルスクシネート)、ポリエーテルスルホン、アジペート系可塑剤、Paraplex(商標)可塑剤シリーズなどのダイズ油エポキシド、スクロース系可塑剤、ジブチルセバケート、トリブチリン、Resoflex(商標)シリーズの可塑剤、トリフェニルホスフェート、グリコレート、ポリエチレングリコールエステルおよびエーテル、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジイルビス(2-メチルプロパノエート)、ポリカプロラクトンならびにこれらの組合せを含む。1つまたは複数の実施形態では、可塑剤は、再利用含有物を有する可塑剤を含む。再利用含有物を有する可塑剤は一般に、本発明の譲受人に譲渡されたWO2021092321A1に記載されており、その内容および開示は明白に本明細書に参照により組み込まれる。
【0034】
実施形態では、可塑剤は食品適合可塑剤である。用語「食品適合」とは、可塑剤が、少なくとも1つの(国または地域の)食品安全規制機関(または組織)によって、使用が許可されるかまたは安全と認識されている、適用可能な食品添加物および/または食品接触の規定との適合を示すことを意味する。食品適合材料は、CFR食品添加物規制21条(21CFR Food Additive Regulations)に列記される材料または他にはUS FDAによって一般に安全とみなされている(Generally Recognized as Safe)(GRAS)材料を含み得る。実施形態では、食品適合可塑剤はトリアセチンである。実施形態では、考慮され得る食品適合可塑剤の例は、トリアセチン、トリエチルシトレート、ポリエチレングリコール、安息香酸エステル(例えばBenzoflex)、プロピレングリコール、アセチル化トリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、ポリマー可塑剤(例えばAdmex)、トリプロピオニン、トリブチリン、Saciflex、ポロクサマーコポリマー、ポリエチレングリコールエステルおよびエーテル(例えばPEGスクシネート)、アジピン酸エステル(例えばジイソブチルアジペート)、ポリビニルピロリドン、グリセリントリベンゾエートおよびこれらの組合せを含み得る。1つまたは複数の実施形態では、可塑剤は、トリアセチン、300~1000Daの重量平均分子量の平均を有するポリエチレングリコールおよびこれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0035】
本発明の溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、可塑化され得る。したがって、可塑剤が可塑化量で存在し得る。語句「可塑化量」は、溶融加工可能なセルロースエステル組成物中に存在するセルロースエステルを可塑化して、溶融物の形成および溶融物の溶融加工を促進して有用な溶融成形物品とするのに十分な可塑剤の量を含む。当業者は、「可塑化量」を構成し得る可塑剤の固有の量が、例えば組成物中に存在するセルロースエステルの独自性および量ならびに他の添加剤または成分の独自性などの多数の要因に依存し得ることを理解されよう。例えば、組成物中の適合性のポリマー、溶媒、および発泡剤などの特定の加工助剤の存在は、セルロースアセテートを可塑化するのに必要な可塑剤量を低減することができる。
【0036】
実施形態では、可塑剤は、従来の溶融加工装置において、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、溶融加工され(または熱成形され)、有用な物品、例えば使い捨てプラスチック物品になることを可能にするのに十分な量で存在し得る。可塑剤の量は、したがって、組成物から物品を作製するのに使用される熱加工または溶融加工の種類を含む要因に基づいて変化し得る。非限定的な加工例は、異形押出およびシート押出などの押出;射出成形;圧縮成形;吹込成形;熱成形などを含む。したがって、組成物を含むかまたは組成物から形成されるかまたは組成物を使用して調製され得る物品は、異形押出物品およびシート押出物品などの押出物品;射出成形物品;圧縮成形物品;吹込成形物品;熱成形物品などを含み得る。
【0037】
実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、可塑剤(本明細書に記載)を、全て溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の総重量に基づいて、1wt%~40wt%、または5wt%~40wt%、または5wt%~30wt%、または10wt%~40wt%、または13wt%~40wt%、または15wt%~50wt%または15wt%~40wt%、または17wt%~40wt%、または20wt%~40wt%、または25wt%~40wt%、または5wt%~35wt%、または10wt%~35wt%、または13wt%~35wt%、または15wt%~35wt%、または15wt%超~35wt%、または17wt%~35wt%、または20wt%~35wt%、または5wt%~30wt%、または10wt%~30wt%、または13wt%~30wt%、または15wt%~30wt%、または15wt%超~30wt%、または17wt%~30wt%、または5wt%~25wt%、または10wt%~25wt%、または13wt%~25wt%、または15wt%~25wt%、または15wt%超~25wt%、または17wt%~25wt%、または5wt%~20wt%、または10wt%~20wt%、または13wt%~20wt%、または15wt%~20wt%、または15wt%超~20wt%、または17wt%~20wt%、または5wt%~17wt%、または10wt%~17wt%、または13wt%~17wt%、または15wt%~17wt%、または15wt%超~17wt%、または5wt%~17wt%未満、または10wt%~17wt%未満、または13wt%~17wt%未満、または15wt%~17wt%未満の量で含み得る。
【0038】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本出願の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーを含まない、溶融加工可能なセルロースエステル組成物と比べて、10%~150%、または30%~150%、または50%~150%、または70%~150%、または90%~150%、または110%~150%、または10%~130%、または30%~130%、または50%~130%、または70%~130%、または90%~130%、または110%~130%、または10%~110%、または30%~110%、または50%~110%、または70%~110%、または90%~110%、10%~90%、または30%~90%、または50%~90%、または70%~90%、10%~70%、または30%~70%、または50%~70%、10%~50%、または30%~50%、10%~30%の範囲である歪み硬化度(「SH」)を示し、SHは、本明細書に開示される手順により決定される(すなわち、86~88ページ)。この実施形態の1つのクラスでは、芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーは、本明細書に開示され、記載されるスルホン化ポリエステルである。
【0039】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本出願の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーを含まない、溶融加工可能なセルロースエステル組成物と比べて、10%~50%、または20%~50%、または30%~50%、または40%~50%、または30%~40%、または20%~40%、または20%~30%、または10%~40%、または10%~30%、または10%~20%の範囲である最大面積延伸比(「最大ADR」)を示し、最大ADRは、本明細書に開示される手順により決定される(すなわち、85~86ページ)。この実施形態の1つのクラスでは、芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーは、本明細書に開示され、記載されるスルホン化ポリエステルである。
【0040】
溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーを含む。語句「芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマー」とは、以下に例示されるペンダントスルホネート基を有する少なくとも1つの芳香族部分:
【0041】
【0042】
[式中、Rは芳香族構造を含有する残基であり、Mは1価のカチオンである]
を含む材料を説明することが意図される。1つまたは複数の実施形態では、Rは、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基およびナフタレン残基からなる群から選択される。1つまたは複数の実施形態では、Mは、Li、Na、Ca、K、ZnおよびMgからなる群から選択される。
【0043】
用語「ポリマー」とは、繰り返し単位を含むかまたは繰り返し単位から形成され、かつフェノール/テトラクロロエタン溶媒の60/40重量部溶液中で、20℃において、100mLの溶媒中に0.5gの材料の濃度で測定して、以下、「Ih.V」と略記される、少なくとも0.1dL/gの固有粘度を有する材料を含むことが意図される。
【0044】
1つまたは複数の実施形態では、芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーは、前記溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の総重量に基づいて、重量により、0.1wt%~50wt%または0.1wt%~10wt%、または0.1wt%~20wt%または0.1wt%~30wt%または0.1wt%~40wt%または1wt%~50wt%または1wt%~10wt%、または1wt%~20wt%または1wt%~30wt%または1wt%~40wt%または10wt%~50wt%または10wt%~20wt%または10wt%~30wt%または10wt%~40wt%または20wt%~50wt%または20wt%~30wt%または20wt%~40wt%または30wt%~50wt%または30wt%~40wt%または40wt%~50wt%の量で存在する。
【0045】
1つまたは複数の実施形態では、芳香族スルホネート繰り返し単位は、ポリマー中に、1モル%~50モル%の量で存在する。1つまたは複数の実施形態では、芳香族スルホネート繰り返し単位は、ポリマー中に、1モル%~10モル%、または1モル%~20モル%、または1モル%~30モル%、または1モル%~40モル%、または10モル%~20モル%、または10モル%~30モル%または10モル%~40モル%、または10モル%~50モル%、または20モル%~30モル%、または20モル%~40モル%、または20モル%~50モル%、または30モル%~40モル%、または30モル%~50モル%、または40モル%~50モル%、または15モル%~25モル%の量で存在する。
【0046】
1つまたは複数の実施形態では、芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーは、式:
【0047】
【0048】
[式中、Mは、Li、Na、Ca、K、ZnおよびMgからなる群から選択される1価のカチオンである]
の繰り返し単位を含むポリマーであってもよい。
【0049】
1つまたは複数の実施形態では、芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーは、スルホン化ポリエステルであってもよい。1つまたは複数の実施形態では、スルホン化ポリエステルは、式
【0050】
【0051】
[式中、Mは、Li、Na、Ca、K、ZnおよびMgからなる群から選択される1価のカチオンである]
の繰り返し単位を含んでもよい。
【0052】
スルホン化ポリエステルは、直鎖、非晶質のポリエステルであり、典型的には、界面活性剤またはアミンなどの他の親水性種の助力なしに、水などの極性媒体中に分散することができる。この極性媒体分散性は、ポリマー鎖に結合したスルホネート置換基のイオン性に起因し得る。スルホン化ポリエステルの例はまた、疎水性原料の水性媒体における分散の助力となり得る。
【0053】
本発明に基づいて有用であり得る例示的なスルホン化ポリエステルは、ジカルボン酸モノマー残基、スルホモノマー残基、およびジオールモノマー残基を含むモノマー残基から調製され得る。スルホモノマーは、ジカルボン酸、ジオール、またはヒドロキシカルボン酸であってもよい。したがって、用語「モノマー残基」とは、本明細書で使用される場合、ジカルボン酸、ジオール、またはヒドロキシカルボン酸の残基を意味する。「繰り返し単位(repeating unit)」または「繰り返し単位(repeat unit)」とは、本明細書で使用される場合、カルボニルオキシ基を通して結合した2つのモノマー残基を有する有機構造を意味する。本発明のスルホン化ポリエステルは、酸残基(100モル%)およびジオール残基(100モル%)のほぼ等しいモル比率を含有し得て、これは繰り返し単位の総モル数が100モル%に等しくなるように、ほぼ等しい比率で反応する。
【0054】
一実施形態では、または言及した実施形態のいずれかと組み合わせて、スルホモノマー残基は、例えば、スルホイソフタル酸ナトリウム(5-SSIPA)、5-ソジオスルホイソフタル酸ジメチル、またはこれらのエステルから誘導されるスルホイソフタレート部分の塩を含む。スルホイソフタレート部分はまた、他の金属スルホイソフタル酸およびそのエステルからも誘導され得る。例えば、以下の関連する金属Mは、Na+、Li+、またはK+などの1価のカチオンであり得る。
【0055】
【0056】
スルホイソフタレート部分の塩。
スルホイソフタレート部分に加えて、スルホン化ポリマーは、グリコールモノマー、ジカルボン酸モノマー、および/またはジアミンモノマーのうちの1つまたは複数の残基を含み得る。スルホン化ポリマーの例は、スルホン化ポリエステル、スルホポリアミド、およびスルホン化ポリエステルアミドを含む。
【0057】
一実施形態では、または言及した実施形態のいずれかと組み合わせて、本明細書に記載のスルホン化ポリエステルは、以下の構造式:
【0058】
【0059】
[式中、Aはジカルボン酸繰り返し単位であり、Gはグリコール繰り返し単位である]
を含む。ジカルボン酸繰り返し単位Aの例は、テレフタル酸、イソフタル酸および/または1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(1,4-CHDA)を含むが、これらに限定されない。グリコール繰り返し単位Gの例は、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、ネオペンチルグリコール(NPG)、および/または1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)およびテトラメチルシクロブタンジオール(TMCD)を含むが、これらに限定されない。以下は、例示的なモノマー残基である:
【0060】
【0061】
一実施形態では、または言及した実施形態のいずれかと組み合わせて、スルホン化ポリマーまたはスルホン化ポリエステルは、少なくとも2kダルトン(Da)の平均分子量(MW)を有する直鎖ポリマーであり得る。一実施形態では、または言及した実施形態のいずれかと組み合わせて、スルホン化ポリマーまたはスルホン化ポリエステルは、2~15kDa、4~15kDa、5~15kDa、5~12kDa、または7~10kDaの平均MWを有し得る。
【0062】
1つまたは複数の実施形態では、本明細書に記載のスルホン化ポリエステルは、フェノール/テトラクロロエタン溶媒の60/40重量部溶液中で、20℃において、100mLの溶媒中の0.5gのスルホン化ポリエステルの濃度で測定して、以下、「Ih.V」と略記される、少なくとも0.1dL/g、例えば少なくとも0.2、少なくとも0.3dL/g、または少なくとも0.4dL/g、および最大で0.5dL/gの固有粘度を有し得る。1つまたは複数の実施形態では、本明細書に記載のスルホン化ポリエステルは、フェノール/テトラクロロエタン溶媒の60/40重量部溶液中で、20℃において、100mLの溶媒中の0.5gのスルホン化ポリエステルの濃度で測定して、0.10~0.60dL/gの固有粘度を有し得る。
【0063】
例示的なスルホン化ポリエステルは、-60~60℃のガラス転移温度、Tgを有する。ガラス転移温度(Tg)は、ガラス状ポリマーが、加熱時に溶融/ゴム状になる温度であり、冷却時にはその逆になる温度である。さまざまな実施形態では、スルホン化ポリエステルは、30℃~120℃;30℃~100℃;40℃~90℃;40℃~80℃;50℃~70℃;35℃~65℃;40℃~60℃;35℃~55℃;40℃~50℃;45℃~60℃;35℃~45℃;50℃~65℃;50℃~55℃;35℃~40℃;45℃~50℃;または55℃~65℃の範囲であるガラス転移温度、Tgを有し得る。一部の実施形態では、スルホン化ポリエステルは、35℃超、40℃超、45℃超、50℃超、もしくは55℃超、または60℃未満、55℃未満、50℃未満、45℃未満、もしくは40℃未満のTgを有し得る。
【0064】
本開示で提供されるモル百分率は、酸残基の総モル数、ジオール残基の総モル数、または繰り返し単位の総モル数に基づき得る。例えば、ジカルボン酸、ジオール、またはヒドロキシカルボン酸であり得るスルホモノマーを、総繰り返し単位に基づいて30モル%含有するスルホン化ポリエステルは、100モルの繰り返し単位ごとに30モルのスルホモノマー残基があることを意味する。同様に、スルホイソフタル酸部分を含む、ジカルボン酸スルホモノマーを、総酸残基に基づいて30モル%含有するスルホン化ポリエステルは、スルホン化ポリエステルが、100モルの酸残基ごとに30モルのスルホモノマー残基を含有することを意味する。
【0065】
用語「ポリエステル」は、本明細書で使用される場合、「ホモポリエステル」と「コポリエステル」の両方を包含し、二官能性カルボン酸と二官能性ヒドロキシル化合物との重縮合によって調製される合成ポリマーを意味する。本明細書で使用される場合、用語「スルホン化ポリエステル」とは、スルホイソフタル酸部分を含むスルホモノマーを含む任意のポリエステルを意味する。典型的には、二官能性カルボン酸はジカルボン酸であり、二官能性ヒドロキシル化合物は例えばグリコールおよびジオールなどの2価アルコールである。あるいは、スルホン化ポリエステルは、ヒドロキシ酸モノマー、例えばp-ヒドロキシ安息香酸を含有し、二官能性ヒドロキシル化合物は、例えばヒドロキノンなどの2つのヒドロキシ置換基を持つ芳香核であってもよい。用語「残基」とは、本明細書で使用される場合、対応するモノマーと関連する重縮合反応を通して、ポリマーに組み込まれる任意の有機構造を意味する。したがって、ジカルボン酸残基は、ジカルボン酸モノマーもしくはその関連する酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物、またはこれらの混合物から誘導され得る。したがって、本明細書で使用される場合、ジカルボン酸という用語は、高分子量ポリエステルを作製するためのジオールとの重縮合プロセスにおいて有用な、ジカルボン酸およびその関連する酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物、またはこれらの混合物を含むジカルボン酸の任意の誘導体を含むことが意図される。
【0066】
本開示のスルホン化ポリエステルは、1つまたは複数のジカルボン酸残基を含む。スルホモノマーの種類および濃度に応じて、ジカルボン酸残基は、酸残基の60モル%~100モル%を構成し得る。ジカルボン酸残基の濃度範囲の他の例は、60モル%~95モル%、および70モル%~95モル%である。使用され得るジカルボン酸の例は、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、またはこれらの酸の2種以上の混合物を含む。したがって、好適なジカルボン酸は、コハク酸;グルタル酸;アジピン酸;アゼライン酸;セバシン酸;フマル酸;マレイン酸;イタコン酸;1,3-シクロヘキサンジカルボン酸;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸;ジグリコール酸;2,5-ノルボルナンジカルボン酸;フタル酸;テレフタル酸;1,4-ナフタレンジカルボン酸;2,6-ナフタレンジカルボン酸;ジフェン酸;4,4’-オキシジ安息香酸;4,4’-スルホニルジ安息香酸;およびイソフタル酸を含む。ジカルボン酸残基の例は、イソフタル酸、テレフタル酸、および1,4-シクロヘキサンジカルボン酸であるか、またはジエステルが使用される場合は、ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、およびジメチル-1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートであり、イソフタル酸およびテレフタル酸の残基が例示的である。ジカルボン酸メチルエステルは、詳細な例の実施形態であり;エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなどのより高次のアルキルエステルを含むことも許容される。加えて、芳香族エステル、詳細にはフェニルもまた利用されてもよい。
【0067】
スルホン化ポリエステルは、2つの官能基および芳香族環または脂環式環に結合した1つまたは複数のスルホネート基を有する少なくとも1種のスルホモノマーの残基(ここで当該官能基はヒドロキシル、カルボキシル、またはこれらの組合せである)を、総繰り返し単位に基づいて、4モル%~40モル%含む。スルホモノマー残基に関する濃度範囲の付加的な例は、総繰り返し単位に基づいて、4モル%~35モル%、8モル%~30モル%、および8モル%~25モル%である。スルホモノマーは、スルホネート基を含有するジカルボン酸またはそのエステル、スルホネート基を含有するジオール、またはスルホネート基を含有するヒドロキシ酸であってもよい。用語「スルホネート」は、構造「-SO3」を有するスルホン酸のアニオンを指し、用語「スルホン酸塩」は、構造「-SO3M」を有するスルホン酸の塩であり、式中、Mはスルホン酸塩のカチオンである。スルホン酸塩のカチオンは、Li+、Na+、K+などの金属イオンであり得る。あるいは、スルホン酸塩のカチオンは、例えば、米国特許第4,304,901号に記載されるような窒素塩基などの非金属であってもよい。窒素系カチオンは、脂肪族、脂環式、または芳香族の化合物であり得る窒素含有の塩基から誘導される。そのような窒素含有の塩基の例は、アンモニア、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、モルホリン、およびピペリジンを含む。窒素系スルホン酸塩を含有するモノマーは、典型的には、ポリマーを溶融状態にするのに必要な条件において熱安定性ではないため、窒素系スルホン酸塩の基を含有するスルホン化ポリエステルを調製するための本開示の方法は、必要量のスルホネート基を含有するポリマーを、水中でそのアルカリ金属塩の形態で分散させ、散逸させるかまたは溶解させ、次にアルカリ金属カチオンを窒素系カチオンと交換することである。
【0068】
スルホモノマー残基の例は、スルホン酸塩の基が、芳香族もしくは脂環式のジカルボン酸またはその残基に結合しているモノマー残基を含み、例えば、ベンゼン;ナフタレン;ジフェニル;オキシジフェニル;スルホニルジフェニル;およびメチレンジフェニル、または例えば、シクロヘキシル;シクロペンチル;シクロブチル;シクロヘプチル;およびシクロオクチルなどの脂環式環などから誘導されるジカルボン酸または残基などを含む。本開示で使用され得るスルホモノマー残基の他の例は、スルホフタル酸、スルホテレフタル酸、スルホイソフタル酸の金属スルホン酸塩、またはこれらの組合せである。使用され得るスルホモノマーの他の例は、5-ソジオスルホイソフタル酸およびそのエステルでありうる。スルホモノマー残基が、5-ソジオスルホイソフタル酸に由来する場合は、典型的なスルホモノマー濃度範囲は、酸残基の総モル数に基づいて、4モル%~35モル%、8モル%~30モル%、および約8モル%~25モル%である。
【0069】
スルホン化ポリエステルの調製に使用されるスルホモノマーは公知の化合物であり、当技術分野で周知の方法を使用して調製され得る。例えば、スルホネート基が芳香環に結合しているスルホモノマーは、ピロ硫酸を用いて芳香族化合物をスルホン化し、対応するスルホン酸を得て、続いて例えば酢酸ナトリウムのような金属酸化物または塩基と反応させて、スルホン酸塩を調製することによって調製され得る。さまざまなスルホモノマーの調製手順は、例えば、米国特許第3,779,993号;同第3,018,272号;および同第3,528,947号に記載されている。
【0070】
ポリマーが分散形態である場合、例えば、スルホン酸ナトリウム塩を使用し、かつナトリウムを亜鉛などの異なるイオンと置き換えるイオン交換法を使用して、スルホン化ポリエステルを調製することも可能である。ナトリウム塩が通例、ポリマー反応物溶融相中でより可溶性である限り、この種類のイオン交換手順は、2価塩を用いてポリマーを調製するより、概して優れている。
【0071】
スルホン化ポリエステルは、脂肪族、脂環式、および/またはアラルキルグリコールを含み得る1つまたは複数のジオール残基を含む。例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびポリアルキレングリコールを含む。他の好適なグリコールは、6~20個の炭素原子を有する脂環式グリコールおよび3~20個の炭素原子を有する脂肪族グリコールを含む。そのようなグリコールの詳細な例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2,4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-イソブチル-l,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエタノール、2,2,4-トリメチル-l,6-ヘキサンジオールチオジエタノール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4-テトラ-メチル-l,3-シクロブタンジオール、およびp-キシリレンジオールである。スルホン化ポリエステルはまた、グリコールの混合物を含み得る。
【0072】
ジオールはまた、多官能性アルコール(ポリオール)を含む。ポリオールの例は、ネオペンチルグリコール;ブチレングリコール;1,4-ブタンジオール、ヘキシレングリコール;1,6-ヘキサンジオール;ジエチレングリコールまたはトリエチレングリコールなどのポリグリコールなど;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどのトリオールなど;およびペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトールなどの他のより高官能性アルコールなどを含む。ジオール残基は、構造
H-(OCH2-CH2)n-OH
を有するポリ(エチレングリコール)の残基を、総ジオール残基に基づいて、25モル%~100モル%含んでもよく、
式中、nは2~500の範囲の整数である。より低分子量のポリエチレングリコールの非限定的な例は、例えば、式中、nは2~6であり、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびテトラエチレングリコールである。これらのより低分子量のグリコールのうち、ジエチレングリコール、およびトリエチレングリコールが代表例である。より高分子量のポリエチレングリコール(本明細書で「PEG」と略記される)は、式中、nは7~500であり、Dow Chemical Company(以前のUnion Carbide)の製品である、CARBOWAX(登録商標)の名称で公知の市販製品を含むが、これに限定されない。典型的には、PEGは、例えば、ジエチレングリコールまたはエチレングリコールなどの他のジオールと組み合わせて使用される。7より大きく500までの範囲であるnの値に基づいて、分子量は、300より大きく22,000g/molまでの範囲であり得る。分子量とモル%はたがいに反比例し;詳細には、分子量が増加すると、所定の親水性度を達成するために、モル%は減少する。例えば、1000g/molの分子量を有するPEGは、総ジオールの10モル%まで構成し得るが、一方、10,000g/molの分子量を有するPEGは、典型的には、総ジオールの1モル%未満のレベルで組み込まれ得ると考えることが、この概念の例示となる。
【0073】
特定の二量体、三量体、および四量体のジオールは、プロセス条件を変化させることによって制御され得る副反応に起因して、インサイチュで形成され得る。例えば、さまざまな量のジエチレン、トリエチレン、およびテトラエチレングリコールは、重縮合反応が酸性条件下で実行される場合に容易に起こる酸触媒脱水反応によって、エチレングリコールから形成され得る。緩衝溶液の存在は当業者に周知であり、反応混合物に添加されて、これらの副反応進行を遅らせ得る。しかしながら、緩衝剤が省略され、二量体化、三量体化、および四量体化の反応の進行が可能となった場合、付加的な組成の許容が可能である。
【0074】
本開示のスルホン化ポリエステルは、総繰り返し単位に基づいて、3つ以上の官能基を有する分岐モノマーの残基を0モル%~25モル%含み得て、官能基は、ヒドロキシル、カルボキシル、またはこれらの組合せである。分岐モノマーの非限定的な例は、1,1,1-トリメチロールプロパン、1,1,1-トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリトリトール、エリトリトール、トレイトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、トリメリト酸無水物、ピロメリト酸二無水物、ジメチロールプロピオン酸、またはこれらの組合せである。分岐モノマー濃度範囲のさらなる例は、0モル%~20モル%および0モル%~10モル%である。分岐モノマーの存在は、本開示のスルホン化ポリエステルに、レオロジー、溶解度、および引張特性を適応させる能力などの多くの可能な利益をもたらし得る。例えば、一定の分子量において、分岐スルホン化ポリエステルは、直鎖の類似体と比較して、重合後の架橋反応を促進し得る末端基のより大きい濃度も有する。しかしながら、高濃度の分岐剤で、スルホン化ポリエステルはゲル化され易い場合がある。
【0075】
例示的なスルホン化ポリエステルの化学構造は、以下に提供される。
【0076】
【0077】
本発明に好適な市販のスルホン化ポリエステルの例は、Eastman Chemical Company (Kingsport、Tennessee)から入手可能な、Eastman AQ(商標)55SポリマーおよびEastman AQ(商標)38Sポリマーを含む。Eastman AQ(商標)55Sポリマーは、平均して以下の特性を有する:51~55℃のガラス転移温度、0.29~0.37dL/gの固有粘度、2mg KOH/g未満の酸価、10mg KOH/g未満のヒドロキシル価、および814.8kg/m3(6.8ポンド/ガロン)のかさ密度。Eastman AQ(商標)38Sポリマーは、平均して以下の特性を有する:35~38℃のガラス転移温度、0.32~0.40dL/gの固有粘度、2mg KOH/g未満の酸価、10mg KOH/g未満のヒドロキシル価、および778.9kg/m3(6.5ポンド/ガロン)のかさ密度。
【0078】
他の好適なスルホン化ポリエステルもまた企図される。例えば、好適なスルホン化ポリエステルは、米国特許第8,580,872号;同第7,923,526号、同第5,369,211号;同第6,171,685号;同第7,902,094号;同第6,162,890号;および米国特許出願公開第2014/0357789号に開示され、記載されて、そのそれぞれの内容および開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
1つまたは複数の実施形態では、本発明の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、1種または複数の任意選択の添加剤を含んでもよい。添加剤の非限定的な例は、UV吸収剤、酸化防止剤、エポキシ化ダイズ油などの酸捕捉剤、ラジカル捕捉剤、エポキシ化油およびこれらの充填剤、添加剤、バイオポリマー、安定剤の組合せ、ならびに/または匂い調節剤ワックス、相溶化剤、生分解促進剤、染料、顔料、着色剤、光沢調整剤、滑剤、酸化防止剤、粘度調節剤、抗真菌剤、防曇剤、熱安定剤、衝撃調節剤、抗菌剤、軟化剤、加工助剤、離型剤、およびこれらの組合せを含む。同じ種類の化合物または材料が、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物中の成分の、複数の範疇として同定されるかまたは複数の範疇に含まれる場合があることに留意されたい。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)は、可塑剤として、または可塑剤として機能しない添加剤として機能することができ、例えば、より低分子量のPEGが可塑化効果を有し、より高分子量のPEGが親水性ポリマーとして機能するが可塑化効果を伴わない場合の、親水性ポリマーまたは生分解促進剤などである。
【0080】
実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、少なくとも1種の充填剤を含む。実施形態では、充填剤は、組成物を含み、組成物から調製されるかまたは形成される物品の生分解性および/または堆肥化可能性を高める種類のものであり、そのための量で存在する。実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は:炭水化物(糖および塩)、セルロース系充填剤および有機充填剤(木粉、木繊維、麻、セルロース炭素、石炭粒子、グラファイト、およびデンプン)、ミネラルおよび無機充填剤(炭酸カルシウム、タルク、シリカ、二酸化チタン、ガラス繊維、ガラス球、ホウ窒化物(boronitride)、アルミニウム三水和物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、アルミナ、およびクレイ)、食品廃棄物または副生成物(卵殻、蒸留穀物残渣、およびコーヒーの出しがら)、乾燥剤(例えば硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム)、またはこれらの組合せ(例えば、混合物)から選択される少なくとも1種の充填剤を含む。実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、着色添加剤としても機能する少なくとも1種の充填剤を含む。実施形態では、着色添加充填剤は:炭素、グラファイト、二酸化チタン、不透明化剤、染料、顔料、トナーおよびこれらの組合せから選択され得る。実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、安定剤または難燃剤としても機能する少なくとも1種の充填剤を含む。
【0081】
実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、任意選択で、生分解性ポリマー(セルロースアセテート以外)をさらに含む。実施形態では、他の生分解性ポリマーは、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAおよびPHB)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトンポリマー(PCL)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリエチレンスクシネート(PES)、ポリビニルアセテート(PVA)、ポリブチレンスクシネート(PBS)およびコポリマー(ポリブチレンスクシネート-co-アジペート(PBSA)など)、セルロースエステル、セルロースエーテル、デンプン、タンパク質、これらの誘導体、およびこれらの組合せから選択され得る。実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、2種以上の生分解性ポリマーを含んでもよい。実施形態では、生分解性ポリマー(セルロースアセテート以外)は、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の総重量に基づいて、0.1~50wt%未満、または1~40wt%、または1~30wt%、または1~25wt%、または1~20wt%の量で存在する。実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、生分解性ポリマー(セルロースアセテート以外)を、セルロースエステルに生分解性ポリマーを加算した合計量に基づいて、0.1~50wt%未満、または1~40wt%、または1~30wt%、または1~25wt%、または1~20wt%の量で含有する。実施形態では、生分解性ポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して、屈折率検出器およびポリスチレン標準を用いて塩化メチレンの溶媒を利用して測定して、10,000~1,000,000、または50,000~1,000,000、または100,000~1,000,000、または250,000~1,000,000、または500,000~1,000,000、または600,000~1,000,000、または600,000~900,000、または700,000~800,000、または10,000~500,000、または10,000~250,000、または10,000~100,000、または10,000~50,000の範囲の重量平均分子量(Mw)を有するPHAを含む。実施形態では、PHAは、ポリヒドロキシブチレート-co-ヒドロキシヘキサノエーを含み得る。
【0082】
特定の実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、任意選択で少なくとも1種の安定剤を含む。一般に、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物、およびそれらを含むかまたはそれらから形成されるかまたはそれらを使用して調製される物品にとって、堆肥化可能および/または生分解性であることが望ましい場合があるが、ある特定の量の安定剤が添加され、選択された貯蔵寿命または例えば、光曝露、酸化安定性、もしくは加水分解安定性に対する安定性を提供し得る。さまざまな実施形態では、安定剤は、UV吸収剤、酸化防止剤(アスコルビン酸、BHT、BHAなど)、他の酸およびラジカル捕捉剤、エポキシ化油、例えばエポキシ化ダイズ油、またはこれらの組合せを含んでもよい。
【0083】
酸化防止剤(AO)は、一次酸化防止剤、および二次酸化防止剤を含むいくつかのクラスに分類され得る。一次酸化防止剤は、本質的にフリーラジカル停止剤(捕捉剤)として機能することが一般に公知である。二次酸化防止剤は、ヒドロペルオキシド(ROOH)がアルコキシラジカルおよびヒドロキシラジカルに解離する前に、非反応性生成物に解離することが一般に公知である。二次酸化防止剤は、フリーラジカル捕捉剤(一次酸化防止剤)と組み合わせて使用されて、相乗的阻害効果を達成することが多く、かつ二次AOは、フェノール型の一次AOの寿命を延ばすために使用される。
【0084】
「一次酸化防止剤」は、水素移動を介してペルオキシドラジカルと反応し、ラジカルをクエンチすることによって作用する酸化防止剤である。一次酸化防止剤は、一般に、立体障害フェノールおよび第2級芳香族アミンにおけるなどの反応性ヒドロキシ基またはアミノ基を含有する。一次酸化防止剤の例は、BHT、Irganox(商標)1010、1076、1726、245、1098、259、および1425;Ethanox(商標)310、376、314、および330;Evernox(商標)10、76、1335、1330、3114、MD 1024、1098、1726、120.2246、および565;Anox(商標)20、29、330、70、IC-14、および1315;Lowinox(商標)520、1790、22IB46、22M46、44B25、AH25、GP45、セルロースアセテート22、CPL、3 HD98、TBM-6、およびWSP;Naugard(商標)431、PS48、SP、および445;Songnox(商標)1010、1024、1035、1076 CP、1135LQ、1290PW、1330FF、1330PW、2590PW、および3114FF;ならびにADK Stab AO-20、AO-30、AO-40、AO-50、AO-60、AO-80、およびAO-330を含む。
【0085】
「二次酸化防止剤」は、ヒドロペルオキシド解離剤であることが多い。ヒドロペルオキシド解離剤は、ヒドロペルオキシドと反応し、それらをラジカルではない非反応性かつ熱安定性の生成物に解離させることによって作用する。それらは、一次酸化防止剤と関連して使用されることが多い。二次酸化防止剤の例は、有機リン系(例えば、ホスフィット、ホスホニット)および有機イオウ系の化合物を含む。これらの化合物のリン原子およびイオウ原子は、ペルオキシドと反応して、ペルオキシドをアルコールに変換する。二次酸化防止剤の例は、Ultranox 626、Ethanox(商標)368、326、および327;Doverphos(商標)LPG11、LPG12、DP S-680、4、10、S480、S-9228、S-9228T;Evernox(商標)168および626;Irgafos(商標)126および168;Weston(商標)DPDP、DPP、EHDP、PDDP、TDP、TLP、およびTPP;Mark(商標)CH302、CH55、TNPP、CH66、CH300、CH301、CH302、CH304、およびCH305;ADK Stab2112、HP-10、PEP-8、PEP-36、1178、135A、1500、3010、C、およびTPP;Weston 439、DHOP、DPDP、DPP、DPTDP、EHDP、PDDP、PNPG、PTP、PTP、TDP、TLP、TPP、398、399、430、705、705T、TLTTP、およびTNPP;Alkanox 240、626、626A、627AV、618F、および619F;ならびにSongnox(商標)1680FF、1680PW、および6280FFを含む。
【0086】
実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、少なくとも1種の安定剤を含み、安定剤は、1種または複数の二次酸化防止剤を含む。実施形態では、安定剤は、1種または複数の二次酸化防止剤から選択される第1の安定剤成分、および1種または複数の一次酸化防止剤、クエン酸またはこれらの組合せから選択される第2の安定剤成分を含む。
【0087】
実施形態では、安定剤は、1種または複数の二次酸化防止剤を、組成物の総重量に基づいて、重量パーセントで0.01~0.8、または0.01~0.7、または0.01~0.5、または0.01~0.4、または0.01~0.3、または0.01~0.25、または0.01~0.2、または0.05~0.8、または0.05~0.7、または0.05~0.5、または0.05~0.4、または0.05~0.3、または0.05~0.25、または0.05~0.2、または0.08~0.8、または0.08~0.7、または0.08~0.5、または0.08~0.4、または0.08~0.3、または0.08~0.25、または0.08~0.2の範囲の量で含む。この実施形態の1つのクラスでは、安定剤は、ホスフィット化合物である二次酸化防止剤を含む。この実施形態の1つのクラスでは、安定剤は、ホスフィット化合物である二次酸化防止剤およびDLTDPである別の二次酸化防止剤を含む。
【0088】
このクラスの1つのサブクラスでは、安定剤は、1種または複数の一次酸化防止剤を含む第2の安定剤成分を、組成物の総重量に基づいて、一次酸化防止剤の合計量の重量パーセントで、0.05~0.7、または0.05~0.6、または0.05~0.5、または0.05~0.4、または0.05~0.3、または0.1~0.6、または0.1~0.5、または0.1~0.4、または0.1~0.3の範囲の量でさらに含む。このクラスの1つのサブクラスでは、安定剤は、クエン酸を含む第2の安定剤成分を、組成物の総重量に基づいて、クエン酸の合計量の重量パーセントで、0.05~0.2、または0.05~0.15、または0.05~0.1の範囲の量でさらに含む。このクラスの1つのサブクラスでは、安定剤は、1種または複数の一次酸化防止剤およびクエン酸を含む第2の安定剤成分を、本明細書に開示される量でさらに含む。このクラスの1つのサブクラスでは、安定剤は、組成物の総重量に基づいて、0.1wt%未満の一次酸化防止剤を含むか、または一次酸化防止剤を含まない。このクラスの1つのサブクラスでは、安定剤は、組成物の総重量に基づいて、0.05wt%未満の一次酸化防止剤を含むか、または一次酸化防止剤を含まない。
【0089】
実施形態では、用途に応じて、例えば使い捨ての食品接触用途に応じて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、少なくとも1種の匂い調節添加剤を含んでもよい。実施形態では、用途および溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物に使用される成分に応じて、好適な匂い調節添加剤は:バニリン、Pennyroyal M-1178、アーモンド、シンナミル、香辛料、香辛料抽出物、揮発性有機化合物または小分子、およびPlastidorから選択され得る。一実施形態では、匂い調節添加剤はバニリンであり得る。実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、匂い調節添加剤を、組成物の総重量に基づいて、0.01~1wt%、または0.1~0.5wt%、または0.1~0.25wt%、または0.1~0.2wt%の量で含んでもよい。匂い調節添加剤に関する機序は、マスキング、捕捉、補完またはこれらの組合せを含んでもよい。
【0090】
上で論じたように、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、他の任意選択の添加剤を含んでもよい。実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、少なくとも1種の相溶化剤を含んでもよい。実施形態では、相溶化剤は、非反応性の相溶化剤または反応性の相溶化剤のいずれかであり得る。相溶化剤は、セルロースエステルまたは別の成分が所望の小粒度に到達する能力を高め、組成物中の選択された成分の分散を改善し得る。そのような実施形態では、所望の配合に応じて、セルロースエステルは、分散体の連続相または不連続相のいずれかに存在し得る。実施形態では、使用される相溶化剤は、セルロースエステルと別の成分、例えば他の生分解性ポリマーとの間の界面の相互作用/結合を修正することによって、組成物の機械的特性および/または物理的特性を改善し得る。
【0091】
実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、相溶化剤を、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の重量に基づいて、約1~約40wt%、または約1~約30wt%、または約1~約20wt%、または約1~約10wt%、または約5~約20wt%、または約5~約10wt%、または約10~約30wt%、または約10~約20wt%の量で含む。
【0092】
実施形態では、所望ならば、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、例えば、加水分解補助剤のような生分解剤および/または解離剤を含んでもよく、または任意の意図的な分解促進添加剤が組成物に添加されるかもしくは組成物に含有されてもよく、セルロースアセテートの製造中またはその製造後のいずれかに添加され、セルロースアセテートと共に溶融されるかまたは溶媒ブレンドされて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の生分解性および/またはそれを含むかもしくはそれを使用して形成されるかもしくは調製される物品の堆肥化可能性および/または崩壊性を促進する。実施形態では、添加剤は、酸性または塩基性の残留物を放出することによって加水分解を促進し、および/または光(UV)分解または酸化分解を加速し、ならびに/または堆肥および土壌培地中の選択的な微生物コロニーの成長を促進して、崩壊および生分解を補助し得る。分解の促進に加えて、これらの添加剤は、物品の加工可能性の改善または所望の物品の機械的特性の改善などの付加的な機能を有し得る。
【0093】
可能な解離剤の一組の例は、無機カルボネート、合成カルボネート、霞石閃長岩、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、珪藻土、天然または合成のシリカ、焼成クレイなどを含む。実施形態では、これらの添加剤が組成物マトリックス中で良好に分散することが望ましい場合がある。添加剤は、単独または2種以上の組合せで使用されてもよい。
【0094】
可能な解離剤の別の一組の例は、酸化解離剤として使用される芳香族ケトンであり、ベンゾフェノン、アントラキノン、アントロン、アセチルベンゾフェノン、4-オクチルベンゾフェノンなどを含む。これらの芳香族ケトンは、単独または2種以上の組合せで使用されてもよい。
【0095】
他の例は、コバルトまたはマグネシウムの塩、例えば、コバルトもしくはマグネシウムの脂肪族カルボン酸(C12~C20)塩、またはステアリン酸コバルト、オレイン酸コバルト、ステアリン酸マグネシウム、およびオレイン酸マグネシウムなどの酸化解離剤として使用される遷移金属化合物を含み;またはアナターゼ型二酸化チタン、もしくは二酸化チタンが使用されてもよい。ルチル型とアナターゼ型の両方の結晶構造が同じ粒子中に存在する混合相二酸化チタン粒子が使用されてもよい。光活性剤の粒子は、BET表面積法によって測定されて、相対的に大きい表面積、例えば約10~約300平方メートル/g、または20~200平方メートル/gを有し得る。光活性剤は、所望ならば、可塑剤に添加されてもよい。これらの遷移金属化合物は、単独または2種以上の組合せで使用されてもよい。
【0096】
酸化解離剤として使用され得る希土類化合物の例は、周期律表3A族に属する希土類、およびそれらの酸化物を含む。それらの詳細な例は、セリウム(Ce)、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)、希土類の酸化物、水酸化物、希土類硫酸塩、希土類硝酸塩、希土類酢酸塩、希土類塩化物、希土類カルボン酸塩などを含む。それらのより詳細的な例は、酸化セリウム、硫酸セリウム、硫酸アンモニウムセリウム、硝酸アンモニウムセリウム、酢酸セリウム、硝酸ランタン、塩化セリウム、硝酸セリウム、水酸化セリウム、オクチル酸セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化スカンジウムなどを含む。これらの希土類化合物は、単独または2種以上の組合せで使用されてもよい。
【0097】
1つまたは複数の実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、コバルト、マンガンおよび鉄などの遷移金属を含有する遷移金属塩または化学的触媒を含む、生分解性を高めるための分解促進(pro-degradant)機能を有する添加剤を含む。好適な遷移金属塩は、酒石酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、クエン酸塩および塩化物を含む。添加剤は、さらに、フリーラジカル捕捉系、ならびにチョーク、タルク、シリカ、ケイ灰石、デンプン、綿、再生利用ボール紙および植物由来物質などの1種または複数の無機充填剤または有機充填剤をさらに含んでもよい。添加剤はまた、酵素、細菌培養物、膨潤剤、CMC、糖または他のエネルギー源を含んでもよい。添加剤はまた、ヒドロキシルアミンエステルおよびチオ化合物を含んでもよい。
【0098】
特定の実施形態では、他の可能な生分解剤および/または解離剤は、膨潤剤および崩壊剤を含んでもよい。膨潤剤は、水を吸収した後に体積を増加させ、周囲のマトリックスに圧力を及ぼす親水性材料であり得る。崩壊剤は、水性環境において、マトリックスが、より小片へと解体するのを促進する添加剤であり得る。例として、ミネラル、および架橋ポリマーまたは変性ポリマーを含むポリマー、および膨潤性ヒドロゲルを含む。実施形態では、本組成物は、ラポナイトおよびベントナイトなどの水膨潤性ミネラルまたはクレイおよびこれらの塩;ポリ(アクリル酸)および塩、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(エチレングリコール)、およびポリ(ビニルアルコール)などの親水性ポリマー;多糖およびガム、例えば、デンプン、アルギネート、ペクチン、キトサン、サイリウム、キサンタンガム;グアーガム、ローカストビーンガム;ならびに変性ポリマー、例えば架橋PVPなど、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン状デンプン、クロスカルメロースナトリウム;またはこれらの添加剤の組合せを含んでもよい。
【0099】
実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物を含み、これらを使用して作製されるかまたは調製される組成物または物品の解離または分解を増加させ得るpH-塩基性添加剤を含んでもよい。酸化解離剤として使用され得るpH-塩基性添加剤の例は、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、ΖnOおよび塩基性Al2O3を含む。実施形態では、少なくとも1種の塩基性添加剤は、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、NaHCO3、Na2CO3、K2CO3、ΖnO KHCO3または塩基性Al2O3であり得る。一態様では、アルカリ土類金属酸化物、ΖnOおよび塩基性Al2O3は、塩基性添加剤として使用され得る。実施形態では、異なるpH-塩基性添加剤の組合せ、またはpH-塩基性添加剤と他の添加剤との組合せが使用されてもよい。実施形態では、pH-塩基性添加剤は、1wt%の水の混合物/溶液中で測定して、7.0より大きく10.0まで、または7.1~9.5、または7.1~9.0、または7.1~8.5、または7.1~8.0の範囲のpHを有する。
【0100】
酸化解離剤として使用され得る有機酸添加剤の例は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、安息香酸、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、バレレート、シトレート、タルタレート、オキサレート、マレート、マレイン酸、マレエート、フタル酸、フタレート、ベンゾエート、およびこれらの組合せを含む。
【0101】
他の親水性ポリマーまたは生分解促進剤の例は、グリコール、ポリグリコール、ポリエーテル、およびポリアルコールまたは他の生分解性ポリマー、例えばポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリジオキサン、ポリオキサレート、ポリ(a-エステル)、ポリカルボネート、ポリ酸無水物、ポリアセタール、ポリカプロラクトン、ポリ(オルトエステル)、ポリアミノ酸、ポリ(ブチレン)コハク酸、ポリ(エチレン)コハク酸などの脂肪族ポリエステル、デンプン、再生セルロース、またはPBATなどの脂肪族-芳香族ポリエステルを含んでもよい。
【0102】
実施形態では、着色剤の例は、カーボンブラック、赤色酸化鉄または青色酸化鉄などの酸化鉄、二酸化チタン、二酸化ケイ素、赤色カドミウム、炭酸カルシウム、カオリンクレイ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム;ならびに有機顔料、例えばアゾおよびジアゾおよびトリアゾ顔料、縮合アゾ、アゾレーキ、ナフトール顔料、アントラピリミジン、ベンズイミダゾロン、カルバゾール、ジケトピロロピロール、フラバンスロン、インジゴイド顔料、イソインドリノン、イソインドリン、イソビオラントロン、金属錯体顔料、オキサジン、ペリレン、ペリノン、ピラントロン、ピラゾロキナゾロン、キノフタロン、トリアリールカルボニウム顔料、トリフェンジオキサジン、キサンテン、チオインジゴ、インダンスロン、イソインダントロン、アントアントロン、アントラキノン、イソジベンザントロン、トリフェンジオキサジン、キナクリドンおよびフタロシアニン系、特に銅フタロシアニンおよびその核ハロゲン化誘導体、ならびにまた酸、塩基性および媒染染料のレーキ、およびイソインドリノン顔料、同様に植物および野菜の染料、ならびに他の入手可能な着色剤または染料を含んでもよい。
【0103】
実施形態では、表面のつやを調整する光沢調整剤および充填剤は、シリカ、タルク、クレイ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどを含んでもよい。
【0104】
好適な難燃剤は、シリカ、金属酸化物、ホスフェート、カテコールホスフェート、レゾルシノールホスフェート、ボレート、無機水和物、および芳香族ポリハロゲン化物を含んでもよい。
【0105】
溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物を含み、それを使用して形成されるかまたは調製される物品が、堆肥化可能性、崩壊性および/または生分解性であることは望ましいが、ある特定の量の抗真菌剤、抗菌薬、または抗菌剤が添加され、選択された貯蔵寿命、有用な耐用年数または安定性を提供し得る。そのような薬剤は、ポリエン系抗真菌剤(例えば、ナタマイシン、リモシジン、フィリピン、ナイスタチン、アムホテリシンB、カジシン、およびハマイシン)、ミコナゾールなどのイミダゾール系抗真菌剤(WellSpring Pharmaceutical CorporationからMICELLULOSE ACETATETIN(商標)として入手可能)、ケトコナゾール(McNeil consumer HealthcareからNIZORAL(登録商標)として市販)、クロトリマゾール(MerckからLOTRAMIN(登録商標)およびLOTRAMIN AF(登録商標)として市販ならびにBayerからCASTEN(登録商標)として入手可能)、エコナゾール、オモコナゾール、ビホナゾール、ブトコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール(OrthoDematologicsからERTACZO(登録商標)として市販)、スルコナゾール、およびチオコナゾール;フルコナゾール、イトラコナゾール、イサブコナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、テルコナゾール、およびアルバコナゾールなどのトリアゾール系抗真菌剤、チアゾール系抗真菌剤(例えば、アバファンギン)、アリルアミン系抗真菌剤(例えば、テルビナフィン(Novartis Consumer Health、Inc.からLAMISIL(登録商標)として市販)、ナフチフィン(Merz PharmaceuticalsからNAFTIN(登録商標)として市販)、およびブテナフィン(MerckからLOTRAMIN ULTRA(登録商標)として市販)、エキノカジン系抗真菌剤(例えば、アニデュラファンギン、カポファンギン、およびミカファンギン)、ポリゴジアル、安息香酸、シクロピロックス、トルナフテート(例えば、MDS Consumer Care、Inc.からTINACTIN(登録商標)として市販)、ウンデシレン酸、フルシトシン、5-フルオロシトシン、グリセオフルビン、ハロプロジン、カプリル酸、およびこれらの任意の組合せを限定されることなく含む。
【0106】
使用され得る溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物のメルトフローインデックスまたは粘度を修正するという目的を有する粘度調節剤は、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、ならびにグリセリンを含む。
【0107】
実施形態では、組成物に含まれ得る他の成分は、剥離剤または滑剤(例えば脂肪酸、ジステアリン酸エチレングリコール)、粘着防止剤またはスリップ剤(例えば1種または複数の脂肪酸エステル、ステアリン酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛)、およびワックス)、防曇剤(例えば界面活性剤)、熱安定剤(例えばエポキシ安定剤、エポキシ化ダイズ油(ESBO)の誘導体、アマニ油、およびヒマワリ油)、帯電防止剤、発泡剤、殺生物剤、衝撃調節剤、または強化繊維として機能し得る。2つ以上の成分が組成物に存在してもよい。付加的な成分が、組成物において2つ以上の機能を果たし得ることに留意されたい。組成物に対するあらゆる特定の添加剤(または成分)の異なる(または特異的な)機能性は、その物理的特性(例えば、分子量、溶解度、溶融温度、Tgなど)および/または組成物全体におけるそのような添加剤/成分の量に依存し得る。例えば、ポリエチレングリコールは、ある分子量では可塑剤として機能し、または別の分子量では親水性剤として(可塑化効果をほとんど持たないかまたは全く持たない)機能し得る。
【0108】
実施形態では、所望ならば、香料が添加されてもよい。香料の例は、香辛料、香辛料抽出物、ハーブ抽出物、精油、芳香塩、揮発性有機化合物、揮発性小分子、ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、酢酸エチル、酪酸エチル、酢酸イソアミル、酪酸ペンチル、ペンタン酸ペンチル、酢酸オクチル、ミルセン、ゲラニオール、ネロール、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、リナロール、ネロリドール、リモネン、ショウノウ、テルピネオール、アルファ-イオノン、ツジョン、ベンズアルデヒド、オイゲノール、イソオイゲノール、シンナムアルデヒド、エチルマルトール、バニラ、バニリン、シンナミルアルコール、アニソール、アネトール、エストラゴール、チモール、フラネオール、メタノール、ローズマリー、ラベンダー、柑橘類、フリージア、アプリコットの花、グリーン、モモ、ジャスミン、ローズウッド、パイン、タイム、ツノマタゴケ、ジャコウ、ベチベルソウ、ミルラ、カシス、ベルガモット、グレープフルーツ、アカシア、トケイソウ、ビャクダン、トンカ豆、マンダリン、ネロリ、スミレの葉、クチナシ、レッドフルーツ、イラン-イラン、キンゴウカン、ミモザ、トンカ豆、ウッド、アンバーグリス、ラッパズイセン、ヒヤシンス、スイセン、クロスグリのつぼみ、アイリス、ラズベリー、スズラン、ビャクダン、ベチベルソウ、シーダーウッド、ネロリ、イチゴ、カーネーション、オレガノ、ハチミツ、シベット、ヘリオトロープ、キャラメル、クマリン、パチョリ、デューベリー、ヘロニアル、コリアンダー、ピメントベリー、ラブダナム、カッシー、アルデヒド、ラン、アンバー、アヤメ、チュベローズ、パルマローザ、シナモン、ナツメグ、コケ、エゴノキ、パイナップル、ジギタリス、チューリップ、フジ、クレマチス、アンバーグリス、ガム、樹脂、シベット、プラム、カストリウム、シベット、ミルラ、ゼラニウム、ローズバイオレット、ジョンキル、スパイシーカーネーション、ガルバナム、プチグレン、アイリス、スイカズラ、コショウ、ラズベリー、ベンゾイン、マンゴー、ココナッツ、ヘスペリデス、カストリウム、キンモクセイ、ムースドシェーヌ、ネクタリン、ミント、アニス、シナモン、アヤメ、アプリコット、プルメリア、マリーゴールド、ローズオットー、スイセン、トルバルサム、乳香、アンバー、オレンジの花、バーボンベチバー、オポパナックス、ホワイトムスク、パパイヤ、砂糖菓子、ジャックフルーツ、蜜柑、ハスの花、ミュゲ、クワの実、アブサン、ショウガ、ネズの実、ニオイベンゾイン、シャクヤク、スミレ、レモン、ライム、ハイビスカス、ホワイトラム、バジル、ラベンダー、バルサミコ、フォーチティエン、キンモクセイ、カロカルンデ、ホワイトオーキッド、カラーリリー、白バラ、ルブラムリリー、タゲテス、アンバーグリス、ツタ、グラス、パラゴムノ、スペアミント、クラリセージ、コットンウッド、ブドウ、ブリンベル、ハス、シクラメン、ラン、グリシン、ティアレタヒチ、ジンジャーリリー、グリーンオスマンサス、トケイソウ、青バラ、ベーラム、カッシア、アフリカタゲテス、アナトリアンローズ、オーヴェルニュナルシス、ブリティッシュブルーム、ブリティッシュブルームチョコレート、ブルガリアローズ、チャイニーズパチョリ、チャイニーズガーデニア、カラブリアンマンダリン、コモロ島チュベローズ、セイロンカルダモン、カリビアンパッションフルーツ、ダマスケナローズ、ジョージアピーチ、ニワシロユリ、エジプトジャスミン、エジプトマリーゴールド、エチオピアシベット、ファルネジアンカッシー、ニオイアイリス、フレンチジャスミン、フレンチジョンキル、フレンチヒヤシンス、ギニアオレンジ、ガイアナカプア、グラースプチグレイン、グラースローズ、グラースチュベローズ、ハイチベチバー、ハワイパイナップル、イスラエルバジル、インドビャクダン、インド洋バニラ、イタリアンベルガモット、イタリアンアイリス、ジャマイカペッパー、メイローズ、マダガスカルイランイラン、マダガスカルバニラ、モロッコジャスミン、モロッコローズ、モロッコオークモス、モロッコオレンジブロッサム、マイソールビャクダン、オリエンタルローズ、ロシアンレザー、ロシアンコリアンダー、シシリアンマンダリン、南アフリカマリーゴールド、南アメリカトンカ豆、シンガポールパチョリ、スペインオレンジブロッサム、シチリアライム、レユニオン島ベチバー、トルコローズ、タイベンゾイン、チュニジアオレンジブロッサム、ユーゴスラビアオークモス、バーニジアシダーウッド、ユタヤロウ、西インドローズウッドなど、およびこれらの任意の組合せを含む。
【0109】
本明細書に記載のように、本発明の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、溶融加工可能であり、かつ溶融成形物品の形成に有用であり得る。したがって、別の態様では、本発明は、溶融加工可能なセルロースアセテート溶融物を対象とする。用語「溶融物」は、一般に、典型的には、組成物を、溶融流動を促進するのに十分な温度まで上げることによって作り出される(例えば溶媒を添加して、分散体、懸濁液または溶液を形成するのと対照的)、流動可能な、液体形態の組成物、時には本質的に粘性のある組成物を記載するために利用される。溶融物は、典型的には、溶融成形物品を生成するために、溶融加工に必要とされる形態である。本明細書で組成物を「溶融加工可能」と記載する際に、有用な溶融成形物品に加工可能である溶融物を、異形押出およびシート押出;射出成形;圧縮成形;吹込成形;熱成形などを限定されることなく含む、押出などの溶融プロセスを使用して形成することができる組成物を含むことが意図される。したがって、1つまたは複数の実施形態では、本発明は、溶融成形物品の形成に特に有用なセルローアセテート溶融物を対象とする。1つまたは複数の実施形態では、セルロースアセテート溶融物は、本発明の溶融加工可能なセルロースアセテート組成物を含み、それから調製されるか、またはそれから形成される。1つまたは複数の実施形態では、セルロースエステル溶融物は、(i)セルロースエステル;(ii)可塑剤;および(iii)スルホン化イソフタル酸材料を含む。
【0110】
本発明の溶融加工可能な組成物および溶融物の重要な一般的特色は、溶融成形物品の製造における加工可能性の予期されなかった改善である。この特色を実証する1つのパラメータは、溶融粘度であり得る。溶融粘度は、所定の温度および負荷でオリフィスを通る熱可塑性物質の押出速度を測定し、溶融加工中の装置の電力消費、トルクおよび圧力の重要な指標である。溶融粘度は、溶融された材料の流動を測定する手段を提供し、材料の一貫性および加工可能性を評価するために使用され得る。加工可能性を評価する代表的な方法は、メルトフローレート(MFR)、メルトボリュームフローレート(MVR)、細管レオメータなどの測定器具を使用する方法、溶融レオロジー、メルトフローインデックス(MFI;標準ASTM D1238およびISO1133に記載)、射出成形機を使用したバーフロー評価を含む。粘度は、ASTM D-4440に準拠して測定される。本発明に記載の配合物は、230℃および1rad/秒の剪断速度で測定した場合、3000ポアズ~500,000ポアズ程度の溶融粘度を有する。加工温度は、目的とする用途に基づいて、所望の流動挙動を得るように変更され得る。
【0111】
1つまたは複数の実施形態では、本発明の溶融加工可能な可塑化セルロースアセテート組成物は、発泡性組成物である。1つまたは複数の実施形態では、本発明の溶融加工可能な可塑化発泡性組成物は、(i)セルロースアセテート;(ii)可塑剤;(iii)スルホン化イソフタル酸材料;(iv)任意選択で少なくとも1種の造核剤;ならびに(v)物理的起泡剤、化学的起泡剤および担体ポリマーを含む化学的起泡組成物ならびにこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の起泡剤を含む。
【0112】
別の態様では、本発明は物品を対象とする。1つまたは複数の実施形態では、本物品は溶融成形物品である。本発明の物品は、セルロースエステル、可塑剤およびスルホン化イソフタル酸材料を含む溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物を含み、これから形成されるかまたはこれを使用して調製される。1つまたは複数の実施形態では、本物品は、例えば、異形押出物品およびシート押出物品などの押出物品;射出成形物品;圧縮成形物品;熱成形物品などの溶融成形物品であり得る。1つまたは複数の実施形態では、本発明の溶融成形物品は、成形された使い捨て食品接触物品であり得て、生分解性および/または堆肥化可能である物品(すなわち、本明細書で論じられる産業用または家庭用の堆肥化可能性の試験/基準のいずれか)を含む。実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、押出成形可能、成形可能、鋳造可能、熱成形可能であってもよく、または3-D印刷されたものであってもよい。「物品」は、本明細書で使用される場合、その全体と同様に、連結され、接着され、組み立てられ得るなどの物品の成分、要素またはその一部における物品を含むと定義される。実施形態では、本物品は環境的に非持続性である。「環境的に非持続性」とは、進んだ崩壊レベルに到達すると、自然の微生物集団による全消費が容易にできるようになる材料または物品を説明することを意味する。生分解性セルロースアセテートの分解は、最終的に二酸化炭素、水およびバイオマスへの変換をもたらす。
【0113】
実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(本明細書で論じられる)を含む物品は、3.81mm(150ミル)、または3.56mm(140ミル)、または3.30mm(130ミル)、または3.04mm(120ミル)、または2.79mm(110ミル)、または2.54mm(100ミル)、または2.29mm(90ミル)、または2.03mm(80ミル)、または1.78mm(70ミル)、または1.52mm(60ミル)、または1.27mm(50ミル)、または1.01mm(40ミル)、または0.76mm(30ミル)、または0.64mm(25ミル)、または0.51mm(20ミル)、または0.38mm(15ミル)、または0.25mm(10ミル)までの最大厚さを有するように提供され、生分解性および/または堆肥化可能であり得る。実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(本明細書で論じられる)を含む物品は、3.81mm(150ミル)、または3.56mm(140ミル)、または3.30mm(130ミル)、または3.04mm(120ミル)、または2.79mm(110ミル)、または2.54mm(100ミル)、または2.29mm(90ミル)、または2.03mm(80ミル)、または1.78mm(70ミル)、または1.52mm(60ミル)、または1.27mm(50ミル)、または1.01mm(40ミル)、または0.76mm(30ミル)、または0.64mm(25ミル)、または0.51mm(20ミル)、または0.38mm(15ミル)、または0.25mm(10ミル)までの最大厚さを有するように提供され、環境的に非持続性であり得る。
【0114】
実施形態では、本発明の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物、同様に溶融物および溶融成形物品は、再利用含有物を含んでもよい。1つまたは複数の実施形態では、再利用含有物は、生分解性のセルロースエステル再粉砕物を含む。用語「再粉砕物」は、粒子様または粉末様の形態まで粉砕され、すり潰され、押しつぶされ、粉々にされたなどの、再生利用物、スクラップ、成形業者からのスクラップなどの社内スクラップ、規格外または産業後の供給源から供給された材料を含むことが意図される。
【0115】
1つまたは複数の実施形態では、再利用含有物は、再利用セルロースアセテート上の1つまたは複数のアセチル基の供給源である、再利用材料に由来する反応物によって提供される。実施形態では、反応物は、再利用プラスチックに由来する。実施形態では、反応物は、再利用プラスチック含有合成ガスに由来する。「再利用プラスチック含有合成ガス」とは、本明細書において以下でさまざまな実施形態に、より完全に記載されるように、少なくともいくらかの含有量の再利用プラスチックを含有する供給原料を利用する、ガス合成操作から得られる合成ガスを意味する。実施形態では、再利用プラスチック含有合成ガスは、本明細書に記載の合成ガスを生成する任意のプロセスに従って作製され得て;本明細書に記載の合成ガス組成物または合成ガス組成物流のいずれかを含んでもよく、もしくはこれらからなってもよく;またはセルロースエステルが本明細書に記載の任意の供給原料組成物から作製されてもよい。
【0116】
実施形態では、供給原料(ガス合成操作用)は、1種または複数の微粒子化された化石燃料源および微粒子化された再利用プラスチックの組合せの形態であってもよい。一実施形態では、または言及した実施形態のいずれかでは、固体の化石燃料源は石炭を含み得る。実施形態では、供給原料は、酸化剤ガスと共にガス化炉に供給され、供給原料は合成ガスに変換される。
【0117】
実施形態では、再利用プラスチック含有合成ガスは、反応スキームにおいて少なくとも1種の化学的中間体を作製するために利用され、再利用セルロースエステルを作製する。実施形態では、再利用プラスチック含有合成ガスは、供給原料の成分(少なくとも1種のセルロースアセテート中間体を作製するために使用される)、または合成ガス、水素、一酸化炭素、もしくはこれらの組合せの他の供給源を含む反応物であってもよい。一実施形態では、または言及した実施形態のいずれかでは、セルロースアセテート中間体を作製するために使用される合成ガスの唯一の供給源は、再利用プラスチック含有合成ガスである。
【0118】
実施形態では、再利用含有合成ガス、例えば、再利用プラスチック含有合成ガスを使用して作製されるセルロースエステル中間体は、メタノール、酢酸、酢酸メチル、無水酢酸およびこれらの組合せから選択され得る。実施形態では、セルロースエステル中間体は、1つまたは複数の以下の反応における少なくとも1種の反応物または少なくとも1種の生成物であり得る:(1)合成ガスのメタノールへの変換;(2)合成ガスの酢酸への変換;(3)メタノールの酢酸への変換、例えば、メタノールをカルボニル化して酢酸を生成;(4)メタノールと酢酸からの酢酸メチルの生成;および(5)酢酸メチルの無水酢酸への変換、例えば、酢酸メチルおよびメタノールをカルボニル化して酢酸および酢酸無水物へと変換。
【0119】
実施形態では、再利用プラスチック含有合成ガスは、少なくとも1種のセルロース反応物を生成するために使用される。実施形態では、再利用プラスチック含有合成ガスは、少なくとも1種の再利用セルロースエステルを生成するために使用される。
【0120】
実施形態では、再利用プラスチック含有合成ガスは、無水酢酸を作製するために利用される。実施形態では、再利用プラスチック含有合成ガスを含む合成ガスは、最初にメタノールに変換され、次にこのメタノールは、無水酢酸を作製するための反応スキームで使用される。「RPS無水酢酸」は、再利用プラスチック含有合成ガスに由来する無水酢酸を指す。由来するとは、少なくとも一部の供給原料源材料(セルロースエステル中間体を作製するための任意の反応スキームで使用される)が、いくらかの含有量の再利用プラスチック含有合成ガスを有することを意味する。
【0121】
実施形態では、RPS無水酢酸は、セルロースアセテート中間体反応物としてセルロースのエステル化に利用され、上記でより十分に議論した再利用セルロースアセテートを調製する。実施形態では、RPS酢酸は反応物として利用され、セルロースアセテートまたはセルロースジアセテートを調製する。
【0122】
実施形態では、再利用セルロースエステルは、再利用プラスチック含有合成ガスに由来する無水酢酸を含むセルロース反応物から調製される。
実施形態では、再利用プラスチック含有合成ガスは、ガス化供給原料からのガス化生成物を含む。一実施形態では、ガス化生成物は、再利用プラスチックを含むガス化供給原料を使用するガス化プロセスによって生成される。実施形態では、ガス化供給原料は石炭を含む。
【0123】
実施形態では、ガス化供給原料は、石炭および再利用プラスチックを含む液体スラリーを含む。実施形態では、ガス化プロセスは、酸素の存在下での前記ガス化供給原料のガス化を含む。
【0124】
1つまたは複数の実施形態では、溶融加工可能なセルロースアセテート組成物は、1種または複数の化学的中間体に由来する無水グルコース単位(AGU)上に少なくとも1つの置換基を有する少なくとも1種のセルロースエステルを含み、そのうちの少なくとも1種は、少なくとも一部が再利用プラスチック含有合成ガスから得られる。
【0125】
実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物のセルロースエステルは、再生可能な供給源、例えば木材またはコットンリンターからのセルロースに由来するセルロースエステル、および再利用材料の供給源、例えば再利用プラスチックまたは再利用合成ガスに由来するセルロースアセテートを含む。したがって、実施形態では、生分解性であり、再生可能かつ再利用される含有物の両方を含有する、すなわち、再生可能かつ再利用される供給源から作製される、溶融加工可能な可塑化セルロースアセテート組成物が提供される。
【0126】
実施形態では、本発明の組成物、溶融物および/または溶融成形物品は、ある程度の分解または分解可能性を有し得る。分解の程度は、特定の環境条件への所与の期間の曝露にわたる、試料の重量損失によって特徴付けられ得る。一部のセルロースエステルでは、セルロースエステルは、土壌に60日間埋めた後、少なくとも約5、10、15、または20パーセントの重量損失を示し、および/または典型的な地方自治体の堆肥化装置に15日間の曝露後、少なくとも、約15、20、25、30、または35パーセントの重量損失を示す。しかしながら、分解速度は、特定の最終用途に応じて変化し得る。例示的な分解試験条件の程度は、米国特許第5,970,988号および同第6,571,802号に提供され、その内容および開示は本明細書に参照により組み込まれる。
【0127】
一部の実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成は、生分解性の使い捨て溶融成形物品の成分であるか、またはそれらの調製もしくは形成に使用され得る。本明細書に記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物が、さまざまな環境条件下での予想より良好な分解によって特徴付けられる、環境的な非持続性のレベルの上昇を示し得ることが見い出された。本明細書に記載の溶融成形物品は、産業用の堆肥化可能性、家庭用の堆肥化可能性、海洋生分解性および/または土壌生分解性に関する国際的な試験法および国際的機関によって設定された1つまたは複数の合格標準を満足し得るかまたは超える場合がある。
【0128】
「堆肥化可能な」材料と考えられるためには、以下の4つの基準を満足しなければならない:(1)材料は、管理された堆肥化条件下で、昇温下(58℃)で、ISO 14855-1(2012)に準拠した試験において、対照ポリマーに対して、絶対的90%生分解に相当するかまたは相対的90%生分解に相当する生分解要件に合格しなければならない、(2)好気的な堆肥化条件下で、ISO 16929(2013)に準拠して試験された材料は、90%崩壊に到達しなければならない;(3)試験材料は、ASTM D6400(2012)、EN 13432(2000)およびISO 17088(2012)によって規定された、揮発性固形物、重金属およびフッ素に関する全ての要件を満たさなければならない;(4)材料は、植物成長に悪影響を及ぼしてはならない。本明細書で使用される場合、用語「生分解性」は、一般に、有機分子の生物学的変換および消費を指す。生分解性は材料自体の内在的な特性であり、材料は、それが曝される特定の条件に応じて、異なる程度の生分解性を示し得る。用語「崩壊性」または語句「崩壊の程度」は、ある特定の条件に曝された場合、より小さい断片に物理的に解離する材料の傾向を指す。崩壊は、材料自体、同様に試験される物品の物理的大きさと立体配置の両方に依存する。生態毒性は、植物寿命に対する材料の影響を測定し、材料の重金属含有量は、標準的試験法で述べられた手順に準拠して決定される。
【0129】
1つまたは複数の実施形態では、本発明の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物、溶融物および/または溶融成形物品は、生分解性であり得る。1つまたは複数の実施形態では、本発明の溶融物は、生分解性であり得る。
【0130】
溶融加工可能なセルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、好気的な堆肥化条件下で、周囲温度(28℃±2℃)において、ISO 14855-1(2012)に準拠して試験した場合、50日以内の期間で少なくとも70パーセントの生分解を示し得る。場合によっては、(またはそれを含むかまたはそれから形成された物品)は、「家庭用堆肥化条件」とも呼ばれるこれらの条件下で試験した場合、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、または37日以内の期間で、少なくとも70パーセントの生分解を示し得る。これらの条件は、水性または嫌気条件下ではない場合がある。一部のセルロースアセテートでは、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、ISO 14855-1(2012)に準拠して、家庭用堆肥化条件下で、50日以内の期間で試験した場合、少なくとも約71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、または88パーセントの合計生分解を示し得る。これは、同様の試験条件を施したセルロースと比較した場合、少なくとも約95、97、99、100、101、102、または103パーセントの相対的な生分解を表し得る。
【0131】
「生分解性」と考えられるためには、家庭用堆肥化条件下で、フランス規準NF T 51-800およびオーストラリア標準AS 5810に準拠して、材料は、合計で少なくとも90パーセントの生分解を示すか(例えば、初期試料と比較して)、または参照品目と試験品目の両方が停滞状態に到達した後、好適な参照材料の最大分解の少なくとも90パーセントの生分解を示さなければならない。家庭用堆肥化条件下で、生分解の最大試験持続期間は、1年である。本明細書に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、14855-1(2012)に準拠して、家庭用堆肥化条件下で測定して、1年以内に少なくとも90パーセントの生分解を示し得る。一部のセルロースアセテートでは、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、14855-1(2012)に準拠して、家庭用堆肥化条件下で測定して、1年以内に少なくとも約91、92、93、94、95、96、97、98、99、または99.5パーセントの生分解を示し得るか、またはセルロースアセテート組成物(もしくは溶融物もしくは溶融成形物品)は、1年以内に100パーセントの生分解を示し得る。
【0132】
付加的に、または代替的に、本明細書に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、14855-1(2012)に準拠して、家庭用堆肥化条件下で、約350、325、300、275、250、225、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、または50日以内に、少なくとも約90パーセントの生分解を示し得る。一部の実施形態では、組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、ISO 14855-1(2012)に準拠して、家庭用堆肥化条件下で試験して、約70、65、60、または50日以内に、少なくとも約97、98、99、または99.5パーセントの生分解性であり得る。結果として、組成物(またはそれを含むかまたはそれから形成された物品)は、例えば、フランス標準NF T 51-800およびオーストラリア標準AS 5810に準拠して、家庭用堆肥化条件下で試験した場合、生分解性と考えられ得る。
【0133】
溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、好気的な堆肥化条件下で、58℃(±2℃)の温度において、ISO 14855-1(2012)に準拠して試験した場合、45日以内の期間で少なくとも60パーセントの生分解を示し得る。場合によっては、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、「産業用堆肥化条件」とも呼ばれるこれらの条件下で試験した場合、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、または27日以内の期間で、少なくとも60パーセントの生分解を示し得る。これらは、水性または嫌気条件下ではない場合がある。場合によっては、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、ISO 14855-1(2012)に準拠して、産業用堆肥化条件下で、45日の期間で試験した場合、少なくとも約65、70、75、80、85、87、88、89、90、91、92、93、94、または95パーセントの合計生分解を示し得る。これは、同様の試験条件を施した同じセルロースアセテート組成物(または溶融物または溶融成形物品)と比較した場合、少なくとも約95、97、99、100、102、105、107、110、112、115、117、または119パーセントの相対的な生分解を表し得る。
【0134】
「生分解性」と考えられるためには、産業用堆肥化条件下で、ASTM D6400およびISO 17088に準拠して、対照または絶対量と比較した場合、試験期間の最後までに、全品目において(または乾燥質量で1%超の量で存在する各構成要素に関して)、少なくとも90パーセントの有機炭素が、二酸化炭素に変換されなければならない。
【0135】
ヨーロッパ標準ED 13432(2000)に準拠して、材料は、合計で少なくとも90パーセントの生分解を示すか、または参照品目と試験品目の両方が停滞状態に到達した後、好適な参照材料の最大分解の少なくとも90パーセントの生分解を示さなければならない。産業用堆肥化条件下で、生分解性の最大試験持続期間は、180日である。本明細書に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、14855-1(2012)に準拠して、産業用堆肥化条件下で測定して、180日以内に少なくとも90パーセントの生分解を示し得る。場合によっては、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、14855-1(2012)に準拠して、産業用堆肥化条件下で測定して、180日以内に少なくとも約91、92、93、94、95、96、97、98、99、または99.5パーセントの生分解を示すか、またはセルロースアセテート組成物(もしくは溶融物もしくは溶融成形物品)は、180日以内に100パーセントの生分解を示し得る。
【0136】
付加的に、または代替的に、本明細書に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、14855-1(2012)に準拠して、産業用堆肥化条件下で測定して、約175、170、165、160、155、150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、または45日以内に、少なくとも90パーセントの生分解を示し得る。場合によっては、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、ISO 14855-1(2012)に準拠して、産業用堆肥化条件下で試験して、約65、60、55、50、または45日以内に、少なくとも約97、98、99、または99.5パーセントの生分解性であり得る。結果として、本明細書に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、ASTM D6400およびISO 17088に準拠して、産業用堆肥化条件下で試験した場合、生分解性と考えられ得る。
【0137】
溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、ISO 17556(2012)に準拠して、好気的な条件下で、周囲温度で測定して、土壌中で130日以内に少なくとも60パーセントの生分解を示し得る。場合によっては、組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、「土壌堆肥化条件」とも呼ばれるこれらの条件下で試験した場合、130、120、110、100、90、80、または75日以内の期間に、少なくとも60パーセントの生分解を示し得る。これらは、水性または嫌気条件下ではない場合がある。場合によっては、組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、ISO 17556(2012)に準拠して、土壌堆肥化条件下で195日の期間で試験した場合、少なくとも約65、70、72、75、77、80、82、または85パーセントの合計生分解を示し得る。これは、同様の試験条件を施した同じ組成物(または溶融物または溶融成形物品)と比較した場合、少なくとも約70、75、80、85、90、または95パーセントの相対的な生分解を表し得る。
【0138】
「生分解性」と考えられるためには、土壌堆肥化条件下で、VincotteのOK生分解性SOIL適合性マークおよびDIN CERTCOのDIN Gepruft土壌中の生分解性証明制度に準拠して、材料は、合計で少なくとも90パーセントの生分解を示すか(例えば、初期試料と比較して)、または参照品目と試験品目の両方が停滞状態に到達した後、好適な参照材料の最大分解の少なくとも90パーセントの生分解を示さなければならない。土壌堆肥化条件下で、生分解性の最大試験持続期間は、2年である。本明細書に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(またはそれを含むかそれから形成された物品)は、ISO 17556(2012)に準拠して、土壌堆肥化条件下で測定して、2年、1.75年、1年、9か月、または6か月以内に、少なくとも90パーセントの生分解を示し得る。場合によっては、組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、ISO 17556(2012)に準拠して、土壌堆肥化条件下で測定して、2年以内に、少なくとも約91、92、93、94、95、96、97、98、99、または99.5パーセントの生分解を示し得るか、または組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、2年以内に100パーセントの生分解を示し得る。
【0139】
付加的に、または代替的に、本明細書に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、17556(2012)に準拠して、土壌堆肥化条件下で測定して、約700、650、600、550、500、450、400、350、300、275、250、240、230、220、210、200、または195日以内に、少なくとも約90パーセントの生分解を示し得る。場合によっては、組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、ISO 17556(2012)に準拠して、土壌堆肥化条件下で試験して、約225、220、215、210、205、200、または195日以内に、少なくとも約97、98、99、または99.5パーセントの生分解性であり得る。結果として、本明細書に記載の組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、VincotteのOK生分解性SOIL適合性マークを受ける要件を満足し、DIN CERTCOのDIN Gepruft土壌中の生分解性証明制度の標準を満足し得る。
【0140】
一部の実施形態では、本発明のセルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、1、0.75、0.50、または0.25重量パーセント未満の生分解性不明の成分を含んでもよい。場合によっては、本明細書に記載の組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、生分解性不明の成分を含まない場合がある。
【0141】
産業用および/または家庭用の堆肥化条件下で生分解性であることに加えて、本明細書に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)はまた、家庭用および/または産業用の条件下で堆肥化可能であり得る。これまでに記載したように、材料は、生分解性、崩壊能力、重金属含有量、および生態毒性に関してEN 13432に明示された要件を満足するか、またはそれを超える場合、堆肥化可能と考えられる。本明細書に記載の組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、家庭用および/または産業用の堆肥化条件下で、十分な堆肥化可能性を示し、VincotteからのOK堆肥およびOK堆肥HOME適合性マークを受ける要件を満足し得る。
【0142】
場合によっては、本明細書に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、EN 13432(2000)によって設定された全ての要件を満たす揮発性固形物濃度、重金属およびフッ素の含有量を有し得る。加えて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、堆肥の質(化学的パラメータおよび生態毒性試験を含む)に悪影響を及ぼさない場合がある。
【0143】
場合によっては、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、ISO 16929(2013)に準拠して、産業用堆肥化条件下で測定して、26週間以内に少なくとも90パーセントの崩壊を示し得る。場合によっては、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、産業用堆肥化条件下で、26週間以内に、少なくとも約91、92、93、94、95、96、97、98、99、または99.5パーセントの崩壊を示し得るか、または溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、産業用堆肥化条件下で、26週間以内に100パーセント崩壊し得る。付加的に、または代替的に、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、ISO 16929(2013)に準拠して測定して、産業堆肥化条件下で、約26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、または10週間以内に、少なくとも90パーセントの崩壊を示し得る。場合によっては、本明細書に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、ISO 16929(2013)に準拠して測定して、産業用堆肥化条件下で、12、11、10、9、または8週間以内に、少なくとも97、98、99、または99.5パーセント崩壊し得る。
【0144】
一部の実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、ISO 16929(2013)に準拠して、家庭用堆肥化条件下で測定して、26週間以内に少なくとも90パーセントの崩壊を示し得る。場合によっては、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、家庭用堆肥化条件下で、26週間以内に、少なくとも約91、92、93、94、95、96、97、98、99、または99.5パーセントの崩壊を示し得るか、または組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、家庭用堆肥化条件下で、26週間以内に100パーセント崩壊し得る。付加的に、または代替的に、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、ISO 16929(2013)に準拠して測定して、家庭用堆肥化条件下で、約26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、または15週間以内に、少なくとも90パーセントの崩壊を示し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、ISO 16929(2013)に準拠して、家庭用堆肥化条件下で測定して、20、19、18、17、16、15、14、13、または12週間以内に、少なくとも97、98、99、または99.5パーセント崩壊し得る。
【0145】
実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.13、または0.25または0.38、または0.51、または0.64、または0.76、または0.89、または1.02、または1.14、または1.27、または1.40、または1.52mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に、90%を超える崩壊を示す。特定の実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.76、または0.89、または1.02、または1.14、または1.27、または1.40、または1.52mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に、90%を超える崩壊を示す。特定の実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.13、または0.25.または0.38、または0.51、または0.64、または0.76、または0.89、または1.02、または1.14、または1.27、または1.40、または1.52mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に、90、または95、または96、または97、または98、または99%を超える崩壊を示す。特定の実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.13、または0.25、または0.38、または0.51、または0.64、または0.76、または0.89、または1.02、または1.14、または1.27、または1.40、または1.52mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、8、または9、または10、または11、または12、または13、または14、または15、または16週間後に、90、または95、または96、または97、または98、または99%を超える崩壊を示す。
【0146】
一部の実施形態では、本明細書に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、光分解剤を実質的に含まない場合がある。例えば、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、組成物(または溶融物または溶融成形物品)の総重量に基づいて、約1、0.75、0.50、0.25、0.10、0.05、0.025、0.01、0.005、0.0025、もしくは0.001重量パーセント以下の光分解剤を含んでもよく、または溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物(または溶融物または溶融成形物品)は、光分解剤を含まなくてもよい。そのような光分解剤の例は、光酸化触媒として作用して任意選択で1種または複数の金属塩の存在によって増強される顔料、酸化可能な促進剤、およびこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。顔料は、コーティングまたは非コーティングされたアナターゼ型またはルチル型の二酸化チタンを含んでもよく、これらは単独で、または例えば、さまざまな種類の金属などの1つもしくは複数の増強成分と組み合わせて存在してもよい。光分解剤の他の例は、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾフェノンおよびその誘導体、アセトフェノンおよびその誘導体、キノン、チオキサントン、フタロシアニン、および他の光増感剤、エチレン-一酸化炭素コポリマー、芳香族ケトン-金属塩増感剤、ならびにこれらの組合せを含む。
【0147】
一態様では、本明細書に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物を含み、これらから形成されるかまたはこれらを使用して調製された、溶融成形された生分解性および/または堆肥化可能な物品が提供される。実施形態では、本物品は、本明細書に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物を含む成形可能な熱可塑性材料から作製される。
【0148】
実施形態では、溶融成形物品は、使い捨て食品接触物品である。本組成物を用いて作製され得るそのような物品の例は、カップ、トレー、多区画トレー、クラムシェル容器、フィルム、シート、トレーおよび蓋(例えば、熱成形された)、キャンディスティック、スターラー、ストロー、プレート、深皿、ポーションカップ、食品包装、液体運搬容器、固体またはゲルの運搬容器、および食事用器具類を含む。実施形態では、溶融成形物品は、園芸物品であり得る。溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物を用いて作製され得るそのような物品の例は、植木鉢、植物タグ、マルチフィルム、および農業用のグラウンドカバーを含む。
【0149】
別の態様では、統合プロセスによって調製される再利用セルロースエステルを含むセルロースエステル組成物が提供され、このプロセスは、以下の加工ステップ:(1)固体の化石燃料源および少なくともいくらかの含有量の再利用プラスチックを含有する供給原料を利用するガス合成操作において、再利用プラスチック含有合成ガスを調製するステップと;(2)前記合成ガスから少なくとも1種の化学的中間体を調製するステップと;(3)前記化学的中間体を反応スキームにおいて反応させて、再利用セルロースアセテートを調製するための少なくとも1種のセルロース反応物を調製し、および/または前記化学的中間体を、再利用セルロースアセテートを調製するための少なくとも1種のセルロース反応物に選択するステップと;ならびに(4)前記少なくとも1種のセルロース反応物を反応させて、前記再利用セルロースエステルを調製するステップとを含み、ここで、前記再利用セルロースエステルは、再利用プラスチック含有合成ガスに由来する無水グルコース単位(AGU)上に少なくとも1つの置換基を含む。
【0150】
実施形態では、加工ステップ(1)~(4)は、液体連通および/または気体連通の状態であるシステムにおいて(すなわち、液体連通と気体連通の組合せの可能性を含む)実行される。化学的中間体は、再利用プラスチック含有合成ガスから出発して再利用セルロースアセテートを生成する1つまたは複数の反応スキームにおいて、貯蔵容器に一時的に貯蔵され、後で統合プロセスシステムに再導入され得ることが理解されよう。
【0151】
実施形態では、少なくとも1種の化学的中間体は、メタノール、酢酸メチル、無水酢酸、酢酸、またはこれらの組合せから選択される。実施形態では、1種の化学的中間体はメタノールであり、メタノールは、無水酢酸である第2の化学的中間体を作製する反応スキームに使用される。実施形態では、セルロース反応物は無水酢酸である。
【0152】
実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、セルロースエステル、可塑剤組成物および安定剤組成物を含み、可塑剤組成物は1種または複数の食品グレードの可塑剤を含み、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の総重量に基づいて、5%~30%または5%~25%または5%~20%または5%~17%または5%~15%または5%~10%のwt%の量で存在する。存在する場合は、任意選択の安定剤組成物は、1種または複数の二次酸化防止剤を含み、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の総重量に基づいて、0.08~0.8、または0.08~0.7、または0.08~0.6wt%の量で存在する。
【0153】
実施形態では、可塑剤組成物は、トリアセチンを、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の総重量に基づいて、5~20wt%の量で含み;任意選択の安定剤組成物は、1種または複数の二次酸化防止剤を0.1~0.4、または0.1~0.3wt%の量で含み、かつ1種または複数の一次酸化防止剤を0.1~0.4、または0.2~0.4wt%の量で含み、ここで、wt%は溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の総重量に基づく。この実施形態の1つのクラスでは、1種または複数の二次酸化防止剤は、ホスフィット化合物(例えば、Weston 705TもしくはDoverphos S-9228T)、DLTDPまたはこれらの組合せを含み、1種または複数の一次酸化防止剤は、Irganox 1010、BHTまたはこれらの組合せを含む。実施形態では、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、射出成形中の通常サイクル後、40未満、もしくは35未満、もしくは30未満、もしくは25未満、もしくは20未満、もしくは15未満のb*を有し(実施例に記載);または射出成形中の倍化サイクル時間後、40未満、もしくは35未満、もしくは30未満、もしくは25未満、もしくは20未満のb*を有する。
【0154】
実施形態では、可塑剤組成物は、300~500ダルトンの平均分子量のポリエチレングリコールを、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の総重量に基づいて、5重量%~20重量%の量で含み;任意選択の安定剤組成物は、1種または複数の二次酸化防止剤を、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の総重量に基づいて、0.01~0.8、または0.1~0.5、または0.1~0.3、または0.1~0.2wt%の量で含む。この実施形態の1つのクラスでは、1種または複数の二次酸化防止剤は、ホスフィット化合物(例えば、Weston 705TもしくはDoverphos S-9228T)、DLTDPまたはこれらの組合せを含む。この実施形態の別のクラスでは、安定剤組成物は、1種または複数の一次酸化防止剤(例えば、Irganox 1010もしくはBHT)、クエン酸またはこれらの組合せをさらに含み、ここで1種または複数の一次酸化防止剤は、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の総重量に基づいて、0.1~0.5、または0.1~0.4wt%の量で存在し、クエン酸は、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の総重量に基づいて、0.05~0.2、または0.05~0.15wt%の量で存在する。
【0155】
実施形態では、可塑剤組成物は、300~500ダルトンの平均分子量のポリエチレングリコールを、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の総重量に基づいて、5重量%~20重量%または5重量%~17重量%または5重量%~16重量%または5重量%~15重量%の量で含み;任意選択の安定剤組成物は、1種または複数の二次酸化防止剤を、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の総重量に基づいて、0.1~0.5、または0.1~0.3、または0.1~0.2wt%の量で含む。
【0156】
本出願はまた、セルロースアセテート組成物も開示し、該組成物は:(1)2.2~2.6の範囲のアセチル置換度(「DSAc」)を有するセルロースアセテート、(2)300ダルトン~550ダルトンの平均分子量を有する、5~20wt%のポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコール組成物、および(3)スルホン化イソフタル酸材料を含み、ここで、本組成物は、溶融加工可能かつ生分解性であり、これを含み、これを使用して調製されるかまたはこれから形成される物品は生分解性である。
【0157】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本組成物は、300~500ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む。
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、350~550ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む。
【0158】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースアセテートは、GPCによって測定して、10,000~90,000ダルトンの範囲の数平均分子量(「Mn」)を有する。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースアセテートは、GPCによって測定して、30,000~90,000ダルトンの範囲の数平均分子量(「Mn」)を有する。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースアセテートは、GPCによって測定して、40,000~90,000ダルトンの範囲の数平均分子量(「Mn」)を有する。
【0159】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.38mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、6週間後に5%を超える崩壊を示し、かつ12週間後に90%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.38mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、6週間後に10%を超える崩壊を示し、かつ12週間後に90%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.38mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、6週間後に20%を超える崩壊を示し、かつ12週間後に90%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.38mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、6週間後に30%を超える崩壊を示し、かつ12週間後に90%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.38mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、6週間後に50%を超える崩壊を示し、かつ12週間後に90%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.38mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、6週間後に70%を超える崩壊を示し、かつ12週間後に90%を超える崩壊を示す。
【0160】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.76mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に30%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.76mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に50%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.76mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に70%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.76mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に90%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.76mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に95%を超える崩壊を示す。
【0161】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、充填剤、添加剤、バイオポリマー、安定剤、または匂い調節剤から選択される少なくとも1つの付加的な成分をさらに含む。
【0162】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、充填剤を、組成物の総重量に基づいて、1~60wt%の量でさらに含む。この実施形態の1つのクラスでは、充填剤は、炭水化物、セルロース充填剤、無機充填剤、食品副生成物、乾燥剤、アルカリ性充填剤、またはこれらの組合せである。
【0163】
このクラスの1つのサブクラスでは、充填剤は無機充填剤である。このサブクラスの1つのサブ-サブクラスでは、無機充填剤は炭酸カルシウムである。
このクラスの1つのサブクラスでは、充填剤は炭水化物である。このクラスの1つのサブクラスでは、充填剤はセルロース充填剤である。このクラスの1つのサブクラスでは、充填剤は食品副生成物である。このクラスの1つのサブクラスでは、充填剤は乾燥剤である。このクラスの1つのサブクラスでは、充填剤はアルカリ性充填剤である。
【0164】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、匂い調節添加剤を、組成物の総重量に基づいて0.001~1wt%の量でさらに含む。この実施形態の1つのクラスでは、匂い調節添加剤は、バニリン、Pennyroyal M-1178、アーモンド、シンナミル、香辛料、香辛料抽出物、揮発性有機化合物もしくは小分子、Plastidorまたはこれらの組合せである。このクラスの1つのサブクラスでは、匂い調節添加剤はバニリンである。
【0165】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、安定剤を、合計組成物に基づいて0.01~5wt%の量でさらに含む。この実施形態の1つのクラスでは、安定剤は、UV吸収剤、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、BHT、BHAなど)、酸捕捉剤、ラジカル捕捉剤、エポキシ化油(例えば、エポキシ化ダイズ油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ヒマワリ油)、または組合せである。
【0166】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、300~500ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、350~550ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む。
【0167】
本出願はまた、セルロースアセテート組成物を含み、これから形成されるかまたはこれを使用して調製される溶融成形物品などの物品も開示し、該セルロースアセテート組成物は:(1)2.2~2.6の範囲のアセチル置換度(「DSAc」)を有するセルロースアセテート、(2)300ダルトン~550ダルトンの平均分子量を有する、5~20wt%のポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコール組成物、および(3)スルホン化イソフタル酸材料を含み、ここで、本組成物は溶融加工可能でありかつ生分解性であり得る。
【0168】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品は、配向プロセス、押出プロセス、射出成形プロセス、吹込成形プロセス、または熱成形プロセスから形成される。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、配向プロセスから形成される。このクラスの1つのサブクラスでは、配向プロセスは、一軸伸張プロセスまたは二軸伸張プロセスである。
【0169】
この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、押出プロセスから形成される。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、射出成形プロセスから形成される。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、吹込成形プロセスから形成される。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、熱成形プロセスから形成される。このクラスの1つのサブクラスでは、本物品は、0.25mm(10ミル)~4.06mm(160ミル)の厚さのフィルムまたはシートを含み、これらから形成され、またはこれらを使用して調製される。
【0170】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品が澄んだまたは透明な物品である場合、本物品は、10%未満の濁度を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品が澄んだまたは透明な物品である場合、本物品は、8%未満の濁度を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品が澄んだまたは透明な物品である場合、本物品は、6%未満の濁度を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品が澄んだまたは透明な物品である場合、本物品は、5%未満の濁度を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品が澄んだまたは透明な物品である場合、本物品は、4%未満の濁度を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品が澄んだまたは透明な物品である場合、本物品は、3%未満の濁度を示す。一実施形態では、本物品が澄んだまたは透明な物品である場合、本物品は、2%未満の濁度を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品が澄んだまたは透明な物品である場合、本物品は、1%未満の濁度を示す。
【0171】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.76mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に30%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本組成物が、0.76mmの厚さを有するフィルムに形成された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に50%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.76mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に70%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.76mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に90%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物が、0.76mmの厚さを有するフィルムに溶融成形された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に95%を超える崩壊を示す。
【0172】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融成形物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に30%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融成形物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に50%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融成形物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に70%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融成形物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に80%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融成形物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に90%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融成形物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に95%を超える崩壊を示す。
【0173】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融成形物品は、0.8mm以下の厚さを有する。一実施形態では、溶融成形物品は、0.76mm以下の厚さを有する。
【0174】
本出願はまた、セルロースアセテート組成物を含む物品も開示し、該セルロースアセテート組成物は:(1)2.2~2.6の範囲のアセチル置換度(「DSAc」)を有するセルロースアセテート、(2)300ダルトン~550ダルトンの平均分子量を有する、13~23wt%のポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコール組成物、(3)スルホン化イソフタル酸材料;および(4)エポキシ化ダイズ油、二次酸化防止剤、または組合せから選択される、0.01~1.8wt%の添加剤を含み、本組成物は、溶融加工可能、生分解性、および崩壊性である。
【0175】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、添加剤は、0.01~1wt%、または0.05~0.8wt%、または0.05~0.5wt%、または0.1~1wt%で存在する。
【0176】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、添加剤は、0.1~1wt%、または0.1~0.5wt%、または0.5~1wt%、または0.3~0.8wt%で存在するエポキシ化ダイズ油である。
【0177】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、添加剤は、0.01~0.8wt%、または0.01~0.4wt%、または0.4~0.8wt%、または0.2~0.6wt%で存在する二次酸化防止剤である。
【0178】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物は、300~500ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本組成物は、350~550ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む。
【0179】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品は、配向プロセス、押出プロセス、射出成形プロセス、吹込成形プロセス、または熱成形プロセスから形成される。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、配向プロセスから形成される。このクラスの1つのサブクラスでは、配向プロセスは、一軸伸張プロセスまたは二軸伸張プロセスである。
【0180】
この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、押出プロセスから形成される。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、射出成形プロセスから形成される。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、吹込成形プロセスから形成される。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、熱成形プロセスから形成される。このクラスの1つのサブクラスでは、物品を形成するために使用されるフィルムまたはシートは、0.25mm(10ミル)~4.06mm(160ミル)の厚さである。
【0181】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本組成物が、0.76mmの厚さを有するフィルムに形成された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に30%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本組成物が、0.76mmの厚さを有するフィルムに形成された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に50%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本組成物が、0.76mmの厚さを有するフィルムに形成された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に70%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本組成物が、0.76mmの厚さを有するフィルムに形成された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に90%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本組成物が、0.76mmの厚さを有するフィルムに形成された場合、そのフィルムは、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に95%を超える崩壊を示す。
【0182】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に30%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に50%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に70%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に80%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に90%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に95%を超える崩壊を示す。
【0183】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品は、0.8mm以下の厚さを有する。一実施形態では、本物品は、0.76mm以下の厚さを有する。
1つまたは複数の実施形態では、本発明の溶融加工可能な可塑化セルロースアセテート組成物は、発泡性組成物である。1つまたは複数の実施形態では、本発明の溶融加工可能な可塑化発泡性組成物は、(i)セルロースアセテート;(ii)可塑剤;(iii)スルホン化イソフタル酸材料;(iv)任意選択で少なくとも1種の造核剤;ならびに(v)物理的起泡剤、化学的起泡剤および担体ポリマーを含む化学的起泡組成物ならびにこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の起泡剤を含む。
【0184】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、DMAを使用して、0.45MPaにおいて1Hzの振動数を用いて2%伸びで測定して、100℃を超える熱たわみ温度を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、DMAを使用して、0.45MPaにおいて1Hzの振動数を用いて2%伸びで測定して、102℃を超える熱たわみ温度を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、DMAを使用して、0.45MPaにおいて1Hzの振動数を用いて2%伸びで測定して、104℃を超える熱たわみ温度を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、DMAを使用して、0.45MPaにおいて1Hzの振動数を用いて2%伸びで測定して、106℃を超える熱たわみ温度を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、DMAを使用して、0.45MPaにおいて1Hzの振動数を用いて2%伸びで測定して、110℃を超える熱たわみ温度を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、DMAを使用して、0.45MPaにおいて1Hzの振動数を用いて2%伸びで測定して、115℃を超える熱たわみ温度を示す。
【0185】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、起泡剤は、炭酸水素ナトリウム、クエン酸またはこれらの組合せを含む。この実施形態の1つのクラスでは、起泡剤は炭酸水素ナトリウムを含む。この実施形態の1つのクラスでは、起泡剤はクエン酸を含む。
【0186】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、担体ポリマーは、ポリブチレンスクシネート、ポリカプロラクトン、またはこれらの組合せを含む。この実施形態の1つのクラスでは、担体ポリマーは、ポリブチレンスクシネートを含む。この実施形態の1つのクラスでは、担体ポリマーは、ポリカプロラクトンを含む。
【0187】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、可塑剤は、トリアセチン、トリエチルシトレート、またはPEG400を含む。
この実施形態の1つのクラスでは、可塑剤は、3~30wt%の範囲で存在する。この実施形態の1つのクラスでは、可塑剤は、3~30または3~25wt%の範囲で存在する。
【0188】
この実施形態の1つのクラスでは、可塑剤はトリアセチンを含む。
このクラスの1つのサブクラスでは、可塑剤は、3~30wt%の範囲で存在する。このクラスの1つのサブクラスでは、可塑剤は、3~30または3~25wt%の範囲で存在する。
【0189】
この実施形態の1つのクラスでは、可塑剤はトリエチルシトレートを含む。このクラスの1つのサブクラスでは、可塑剤は、3~30wt%の範囲で存在する。このクラスの1つのサブクラスでは、可塑剤は、3~30または3~25wt%の範囲で存在する。
【0190】
この実施形態の1つのクラスでは、可塑剤はPEG400を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、可塑剤は、3~30wt%の範囲で存在する。このクラスの1つのサブクラスでは、可塑剤は、3~30または3~25wt%の範囲で存在する。
【0191】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、造核剤は、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、またはこれらの組合せを含む。この実施形態の1つのクラスでは、造核剤は、2ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。この実施形態の1つのクラスでは、造核剤は、1.5ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。この実施形態の1つのクラスでは、造核剤は、1.1ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。
【0192】
この実施形態の1つのクラスでは、造核剤はケイ酸マグネシウムを含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、2ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、1.5ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、1.1ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。
【0193】
この実施形態の1つのクラスでは、造核剤は二酸化ケイ素を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、2ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、1.5ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、1.1ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。
【0194】
この実施形態の1つのクラスでは、造核剤は酸化マグネシウムを含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、2ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、1.5ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、1.1ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。
【0195】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、造核剤は、2ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。一実施形態では、造核剤は、1.5ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。造核剤は、1.1ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。
【0196】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、繊維をさらに含む。この実施形態の1つのクラスでは、繊維は、麻、靭皮、ジュート、亜麻、カラムシ、ケナフ、サイザル麻、タケ、または木材セルロース繊維を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、繊維は麻を含む。
【0197】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、光分解セルロース触媒をさらに含む。この実施形態の1つのクラスでは、光分解セルロース触媒は、二酸化チタン、または酸化鉄である。このクラスの1つのサブクラスでは、光分解セルロース触媒は二酸化チタンである。このクラスの1つのサブクラスでは、光分解セルロース触媒は酸化鉄である。
【0198】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、顔料をさらに含む。この実施形態の1つのクラスでは、顔料は、二酸化チタン、セルロースカーボンブラック、または酸化鉄である。このクラスの1つのサブクラスでは、顔料は二酸化チタンである。このクラスの1つのサブクラスでは、顔料はセルロースカーボンブラックである。このクラスの1つのサブクラスでは、顔料は酸化鉄である。
【0199】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は生分解性である。
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、異なるアセチル置換度を有する2種以上のセルロースアセテートを含む。
【0200】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、セルロースアセテートとは異なる生分解性ポリマーをさらに含む。
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、これまでに記載した発泡性組成物のいずれか1種から調製された物品があり、この物品は発泡体または発泡物品である。
【0201】
この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、3mmまでの厚さを有する。
この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、1つまたは複数のスキン層を有する。スキン層は、物品または発泡体の外面に見い出され得る。スキン層セルロースアセテートはまた、発泡体の中間にも見い出される。
【0202】
この実施形態の1つのクラスでは、本物品は生分解性である。
1つまたは複数の実施形態では、特に物品が発泡体または発泡物品である実施形態に関して、発泡体の密度は、遮水生、剛性および熱伝導性などのさまざまな物品の性能特性に影響を及ぼし得る限り、重要なパラメータである。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.9g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.9g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.8g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.8g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.7g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.7g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.6g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.6g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.5g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.5g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.4g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.4g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.3g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.3g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.2g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.2g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.1g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.1g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.05g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.05g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.2~0.9g/cm3の範囲の密度を有するか、または本物品は、0.2~0.9g/cm3の範囲の密度を有する発泡体を含む。1つまたは複数の実施形態では、本物品は、0.01~0.2g/cm3の密度を有するか、または本物品は、0.01~0.2g/cm3の密度を有する発泡体を含む。
【0203】
この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、産業用堆肥化可能または家庭用堆肥化可能である。このクラスの1つのサブクラスでは、本物品は産業用堆肥化可能である。このサブクラスの1つのサブ-サブクラスでは、本物品は、1.1mm未満の厚さを有する。このクラスの1つのサブクラスでは、本物品は家庭用堆肥化可能である。このサブクラスの1つのサブ-サブクラスでは、本物品は、1.1mm未満の厚さを有する。このサブクラスの1つのサブ-サブクラスでは、本物品は、0.8mm未満の厚さを有する。このサブクラスの1つのサブ-サブクラスでは、本物品は、0.6mm未満の厚さを有する。このサブクラスの1つのサブ-サブクラスでは、本物品は、0.4mm未満の厚さを有する。
【0204】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物が0.38mmの厚さを有する発泡体に形成される場合、その発泡体は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、6週間後に5%を超える崩壊を示し、かつ12週間後に90%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物が0.38mmの厚さを有する発泡体に形成される場合、その発泡体は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、6週間後に10%を超える崩壊を示し、かつ12週間後に90%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物が0.38mmの厚さを有する発泡体に形成される場合、その発泡体は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、6週間後に20%を超える崩壊を示し、かつ12週間後に90%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本組成物が0.38mmの厚さを有する発泡体に形成される場合、その発泡体は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、6週間後に30%を超える崩壊を示し、かつ12週間後に90%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物が0.38mmの厚さを有する発泡体に形成される場合、その発泡体は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、6週間後に50%を超える崩壊を示し、かつ12週間後に90%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物が0.38mmの厚さを有する発泡体に形成される場合、その発泡体は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、6週間後に70%を超える崩壊を示し、かつ12週間後に90%を超える崩壊を示す。
【0205】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物が0.76mmの厚さを有する発泡体に形成される場合、その発泡体は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に30%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物が0.76mmの厚さを有する発泡体に形成される場合、その発泡体は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に50%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物が0.76mmの厚さを有する発泡体に形成される場合、その発泡体は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に70%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物が0.76mmの厚さを有する発泡体に形成される場合、その発泡体は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に90%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物が0.76mmの厚さを有する発泡体に形成される場合、その発泡体は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に95%を超える崩壊を示す。
【0206】
1つまたは複数の実施形態では、本発明は:(i)セルロースアセテート;(ii)可塑剤;(iii)スルホン化イソフタル酸材料;(iv)任意選択で造核剤;および(v)起泡剤を含む発泡性組成物であり得る。1つまたは複数の実施形態では、発泡性組成物は、(1)2.2~2.6のアセチル置換度(DSAc)を有するセルロースアセテート;(2)5~40wt%の可塑剤;(3)0.1~3wt%の造核剤;および(4)0.1~15wt%の物理的起泡剤を含み得て、ここで、セルロースアセテート、可塑剤、造核剤および物理的起泡剤の比率は、発泡性組成物の総重量に基づく。起泡剤は、好ましくは物理的起泡剤である。
【0207】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、DMAを使用して、0.45MPaにおいて1Hzの振動数を用いて2%伸びで測定して、100℃を超える熱たわみ温度(HDT)を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、DMAを使用して、0.45MPaにおいて1Hzの振動数を用いて2%伸びで測定して、102℃を超える熱たわみ温度を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、DMAを使用して、0.45MPaにおいて1Hzの振動数を用いて2%伸びで測定して、104℃を超える熱たわみ温度を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、DMAを使用して、0.45MPaにおいて1Hzの振動数を用いて2%伸びで測定して、106℃を超える熱たわみ温度を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、DMAを使用して、0.45MPaにおいて1Hzの振動数を用いて2%伸びで測定して、110℃を超える熱たわみ温度を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、DMAを使用して、0.45MPaにおいて1Hzの振動数を用いて2%伸びで測定して、115℃を超える熱たわみ温度を示す。熱たわみ温度は、昇温下、定荷重での材料の歪み耐性の尺度である。例えば、ASTM D648およびISO 75の両方とも、試験材料の平衡化後、試験試料に関するHDT(熱たわみ温度)を測定する。簡潔に言えば、試験棒は、固有の厚さおよび幅で成形される。試験試料は、温度が一定速度で(通例、1分当たり2℃)上昇する油中に沈められる。両端近くで支持された試験棒の中点に荷重が加えられる。材料の棒が0.25mm変形する温度が、HDTとして記録される。
【0208】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、物理的起泡剤は、CO2、N2、非分岐もしくは分岐の(C2~6)アルカン、または任意のこれらの組合せを含む。この実施形態の1つのクラスでは、物理的起泡剤はCO2を含む。この実施形態の1つのクラスでは、物理的起泡剤はN2を含む。この実施形態の1つのクラスでは、物理的起泡剤は、非分岐または分岐の(C2~6)アルカンを含む。
【0209】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、物理的起泡剤は、0.1~0.5wt%で存在する。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、物理的起泡剤は、0.5~4wt%で存在する。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、物理的起泡剤は、0.3~4wt%で存在する。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、物理的起泡剤は、4~10wt%で存在する。
【0210】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、可塑剤は、トリアセチン、トリエチルシトレート、またはPEG400を含む。
この実施形態の1つのクラスでは、可塑剤は、3~30wt%の範囲で存在する。この実施形態の1つのクラスでは、可塑剤は、3~25wt%または3~20wt.%または3~15wt.%の範囲で存在する。
【0211】
この実施形態の1つのクラスでは、可塑剤はトリアセチンを含む。
このクラスの1つのサブクラスでは、可塑剤は、3~30wt%の範囲で存在する。このクラスの1つのサブクラスでは、可塑剤は、3~25wt%または3~20wt.%または3~15wt.%の範囲で存在する。
【0212】
この実施形態の1つのクラスでは、可塑剤はトリエチルシトレートを含む。このクラスの1つのサブクラスでは、可塑剤は、3~30wt%の範囲で存在する。このクラスの1つのサブクラスでは、可塑剤は、3~25wt%または3~20wt.%または3~15wt.%の範囲で存在する。
【0213】
この実施形態の1つのクラスでは、可塑剤はPEG400を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、可塑剤は、3~30wt%の範囲で存在する。このクラスの1つのサブクラスでは、可塑剤は、3~25wt%または3~20wt.%または3~15wt.%の範囲で存在する。
【0214】
発泡性組成物が造核剤を含む一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、造核剤は、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、またはこれらの組合せを含む。この実施形態の1つのクラスでは、造核剤は、2ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。この実施形態の1つのクラスでは、造核剤は、1.5ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。この実施形態の1つのクラスでは、造核剤は、1.1ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。
【0215】
この実施形態の1つのクラスでは、造核剤はケイ酸マグネシウムを含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、2ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、1.5ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、1.1ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。
【0216】
この実施形態の1つのクラスでは、造核剤は二酸化ケイ素を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、2ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、1.5ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、1.1ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。
【0217】
この実施形態の1つのクラスでは、造核剤は酸化マグネシウムを含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、2ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、1.5ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、造核剤は、1.1ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。
【0218】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、造核剤は、2ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。一実施形態では、造核剤は、1.5ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。造核剤は、1.1ミクロン未満の粒度中央値を有する微粒子組成物を含む。
【0219】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、繊維をさらに含む。この実施形態の1つのクラスでは、繊維は、麻、靭皮、ジュート、亜麻、カラムシ、ケナフ、サイザル麻、タケ、または木材セルロース繊維を含む。このクラスの1つのサブクラスでは、繊維は麻を含む。
【0220】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、光分解触媒をさらに含む。この実施形態の1つのクラスでは、光分解触媒は、二酸化チタン、または酸化鉄である。このクラスの1つのサブクラスでは、光分解触媒は二酸化チタンである。このクラスの1つのサブクラスでは、光分解触媒は酸化鉄である。
【0221】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、顔料をさらに含む。この実施形態の1つのクラスでは、顔料は、二酸化チタン、セルロースカーボンブラック、または酸化鉄である。このクラスの1つのサブクラスでは、顔料は二酸化チタンである。このクラスの1つのサブクラスでは、顔料はカーボンブラックである。このクラスの1つのサブクラスでは、顔料は酸化鉄である。
【0222】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は生分解性である。
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、異なるアセチル置換度を有する2種以上のセルロースアセテートを含む。
【0223】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、発泡性組成物は、セルロースアセテートとは異なる生分解性ポリマーをさらに含む。
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、これまでに記載した発泡性組成物のいずれか1種から調製された物品があり、この物品は発泡体または発泡物品である。1つまたは複数の実施形態では、発泡物品は、本発明の発泡体から形成されるかまたはこれを含む。
【0224】
この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、3mmまでの厚さまたは発泡体の厚さを有する。
この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、1つまたは複数のスキン層を有する。
【0225】
この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、生分解性、崩壊性および堆肥化可能の1つまたは複数であり得る溶融成形物品である。
この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.9g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.8g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.8g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.7g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.7g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.6g/cm3未満の密度を有する。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.5g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.5g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.4g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.4g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.3g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.3g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.2g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.2g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.1g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.1g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.05g/cm3未満の密度を有するか、または本物品は、0.05g/cm3未満の密度を有する発泡体を含む。この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、0.2~0.9g/cm3の範囲の密度を有する。
【0226】
この実施形態の1つのクラスでは、本物品は、産業用堆肥化可能または家庭用堆肥化可能である。このクラスの1つのサブクラスでは、本物品は産業用堆肥化可能である。このサブクラスの1つのサブ-サブクラスでは、本物品は、6mm未満の厚さを有する。このサブクラスの1つのサブ-サブクラスでは、本物品は、3mm未満の厚さを有する。このサブクラスの1つのサブ-サブクラスでは、本物品は、1.1mm未満の厚さを有する。このクラスの1つのサブクラスでは、本物品は家庭用堆肥化可能である。このサブクラスの1つのサブ-サブクラスでは、本物品は、6mm未満の厚さを有する。このサブクラスの1つのサブ-サブクラスでは、本物品は、3mm未満の厚さを有する。このサブクラスの1つのサブ-サブクラスでは、本物品は、1.1mm未満の厚さを有する。このサブクラスの1つのサブ-サブクラスでは、本物品は、0.8mm未満の厚さを有する。このサブクラスの1つのサブ-サブクラスでは、本物品は、0.6mm未満の厚さを有する。このサブクラスの1つのサブ-サブクラスでは、本物品は、0.4mm未満の厚さを有する。
【0227】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品は、6mm未満の厚さを有する。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品は、3mm未満の厚さを有する。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品は、1.1mm未満の厚さを有する。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品は、0.8mm未満の厚さを有する。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品は、0.6mm未満の厚さを有する。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本物品は、0.4mm未満の厚さを有する。
【0228】
本出願は:(a)(1)2.2~2.6のアセチル置換度(DSAc)を有するセルロースアセテート、(2)5~40wt%の可塑剤、および(3)0.1~3wt%の造核剤を含む非発泡性組成物を提供するステップと;(b)この非発泡性組成物を押出機中で溶融して、非発泡性組成物の溶融物を形成するステップと;(b)物理的起泡剤を非発泡性組成物の溶融物に注入して、溶融された発泡性組成物を調製するステップと
を含む、発泡性組成物を調製する方法を開示する。
【0229】
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、物理的起泡剤は、CO2、N2、または非分岐もしくは分岐の(C2~6)アルカンを含む。
一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本発泡体または発泡物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に30%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本発泡体または発泡物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に50%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本発泡体または発泡物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に70%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本発泡体または発泡物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に80%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本発泡体または物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に90%を超える崩壊を示す。一実施形態では、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本発泡物品は、本明細書に記載される崩壊試験プロトコルに準拠するかまたは代替のISO 16929(2013)に準拠して、12週間後に95%を超える崩壊を示す。
【0230】
本発明は、多数の驚くべき特徴を示し、多くの予期されなかった性能および加工パラメータを達成する。本発明の可塑化セルロースエステル組成物は、セルロースエステルの物理的な特性、特徴を維持しながら、改善された溶融強度および溶融粘度ならびに望ましい剪断減粘性を示し得る。さらなる特定の留意点は、面積(平面)延伸比における改善/増加であり、これは、フィルムなどの溶融成形された熱可塑性物質の用途における改善された伸張性およびより深い深さを有するカップなどの熱成形物品の形成へとつながる。
【0231】
本発明で見られた溶融強度は、例えば、吹込フィルム、押出吹込成形、熱成形および押出におけるたるみの最小化、ならびに発泡におけるセルサイズの調整などの、溶融強度が所望される発泡物品または発泡プロセスにおいて有用であり得る。興味深いことに、本発明の組成物はまた、歪み硬化が、芳香族スルホネート繰り返し単位を含まない対照より改善された。さらに、本発明の可塑化セルロースエステル組成物は、対照より改善されたチャー形成を示し、難燃性/耐燃性の利点を示唆している。驚いたことに、スルホイソフタル酸材料が水分散性であり得てさえも、70℃で2時間、水溶液に暴露された場合、10ppm未満のスルホイソフタル酸材料が移行することが観察された。最終的に、スルホイソフタル酸材料は水分散性であり得て、したがって、崩壊増強剤として役立ち、より高い堆肥化可能厚さを可能にし得る。本発明のこれらおよび他の利益および利点は、以下に明示される実施例において実証され、実施例は、本発明の実施形態の単なる例示として提供され、本発明の趣旨および範囲を限定することを意図するものではない。
詳細な実施形態
実施形態1.(i)セルロースエステル;(ii)可塑剤;および(iii)芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーを含む、溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
実施形態2.前記可塑剤が、前記溶融加工可能な可塑化セルロースアセテート組成物の総重量に基づいて、1重量%~40重量%の量で存在する、実施形態1に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
実施形態3.芳香族スルホネート繰り返し単位を含む前記ポリマーが、前記溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物の総重量に基づいて、重量で0.1wt%~50.0wt%の量で存在する、実施形態1または2に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
実施形態4.前記芳香族スルホネート繰り返し単位が、前記ポリマー中に1モル%~50モル%の量で存在する、実施形態1~3のいずれか1つに記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
実施形態5.前記セルロースエステルが、セルロースアセテートを含む、請求項1~4のいずれか1つに記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
実施形態6.前記芳香族スルホネート繰り返し単位が、スルホン化イソフタル酸残基またはその塩を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
実施形態7.前記ポリマーが、スルホン化ポリエステルを含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
実施形態8.前記スルホン化ポリエステルが、式:
【0232】
【0233】
[式中、Mは、Li、Na、Ca、K、ZnおよびMgからなる群から選択されるカチオンである]
の芳香族スルホネート繰り返し単位を含む、実施形態7に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
実施形態9.前記スルホン化ポリエステルが、-60~100℃のガラス転移温度、0.05~0.80dL/gの固有粘度のうちの1つまたは複数によって特徴付けられる、実施形態7に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
実施形態10.前記スルホン化ポリエステルが、35~38℃のガラス転移温度、0.32~0.40dL/gの固有粘度、2mg KOH/g未満の酸価、10mg KOH/g未満のヒドロキシル価のうちの1つまたは複数によって特徴付けられる、実施形態7に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
実施形態11.前記スルホン化ポリエステルが、51~55℃のガラス転移温度、0.29~0.37dL/gの固有粘度、2mg KOH/g未満の酸価、10mg KOH/g未満のヒドロキシル価、および814.8kg/m3(6.8ポンド/ガロン)のかさ密度のうちの1つまたは複数によって特徴付けられる、実施形態7に記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
実施形態12.芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーを含まない、溶融加工可能なセルロースエステル組成物と比べて、10%~150%、または30%~150%、または50%~150%、または70%~150%、または90%~150%、または110%~150%の範囲である歪み硬化度(「SH」)を示し、SHは、本明細書に開示される手順により決定される、実施形態1~11のいずれか1つに記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
実施形態13.芳香族スルホネート繰り返し単位を含むポリマーを含まない、溶融加工可能なセルロースエステル組成物と比べて、10%~50%、または20%~50%、または30%~50%、または40%~50%の範囲である最大面積延伸比(「最大ADR」)を示し、最大ADRは、本明細書に開示される手順により決定される、実施形態1~12のいずれか1つに記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物。
実施形態14.実施形態1~13のいずれか1つに記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物を含むかまたはこれから形成されるかまたはこれを使用して調製される、セルロースエステル溶融物。
実施形態15.実施形態1~13のいずれか1つに記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物または請求項14に記載のセルロースエステル溶融物を含むかまたはこれから形成されるかまたはこれを使用して調製される、溶融成形物品。
実施形態16.射出成形物品である、実施形態15に記載の物品。
実施形態17.圧縮成形物品である、実施形態15に記載の物品。
実施形態18.押出物品である、実施形態15に記載の物品。
実施形態19.異形押出物品である、実施形態15に記載の物品。
実施形態20.熱成形物品である、実施形態15に記載の物品。
実施形態21.実施形態1~13のいずれか1つに記載の溶融加工可能な可塑化セルロースエステル組成物または実施形態14に記載のセルロースエステル溶融物から形成されるかまたはこれを使用して調製される発泡体を含む、物品。
【実施例】
【0234】
以下の材料は、以下に明示される実施例の実行に利用され、材料の略語が括弧内に示される。実施例における全ての百分率は、別段の指示がない限り、組成物の総重量に基づく重量による。
【0235】
セルロースエステル(CE):置換度(DS)=2.52、230~250℃の融点およびTg=189℃を有するセルロースジアセテート(CDA)。Eastman Chemical CompanyからCA-398-30として市販されている
可塑剤:トリアセチン(TA)、ポリエチレングリコール400(PEG400)
芳香族スルホネート繰り返し単位を有するポリマー:水分散性、イオン性モノマーを有するスルホン化ポリエステル(SFP)、5~20wt%のスルホイソフタル酸SIPA;以下にSFP1、SFP2およびSFP3として列記される。SFP1およびSFP2は、Eastman Chemical CompanyからそれぞれAQ-38およびAQ-55として市販されており、本明細書の他の箇所に記載される。
【0236】
本発明の可塑化セルロースエステル組成物を、コンパウンディングを介してペレットに形成した。単一穴ダイおよびスクリュー設計を有する18mmのLeistritz2軸スクリュー押出機を使用してペレットを押出し、次に、それを後でフィルム押出に使用した。これらのペレットを、粉末(CA 398-30)、液体可塑剤(TA)およびペレットとして添加した上記のスルホン化ポリエステルうちの1種からなる原材料から作製した。可塑剤を、Witteギアポンプ、Hardy 4060調節器、および0.508mm(0.020インチ)の口径を有する射出器を備える液体射出ユニットによってゾーン2に供給した。コンパウンディングしたストランドを水トラフに通して、ConAirペレタイザーを使用してペレット化した。
【0237】
代表的な押出機条件を、以下の表1で詳細に示す。
【0238】
【0239】
組成の詳細を、以下の表2に明示する:
【0240】
【0241】
0.76mm(30ミル)厚さのフィルムを、3.8cm(1.5インチ)Killion押出機を使用して押出した。フィルム押出し条件の例は以下の通りである。
【0242】
【0243】
溶融レオロジー。上記の配合物C2およびA7からのフィルムを、次に溶融レオロジーによって分析し、溶融粘度を推定した。フィルム試料を、1mmのギャップを有する円形平行プレート形状を使用して、ARES-G2回転型レオメータで試験した。対数周波数掃引試験を、220℃の一定温度で、1~400rad/秒(5pt/decade)の範囲にわたり、10%の一定変形歪みを使用して実施した。一般に、低剪断速度は、コンパウンディングなどのプロセスに対応し得るが、一方、高剪断速度は、射出成形のようなプロセスに対応し得る。結果を以下の表4に示す。
【0244】
【0245】
剪断減粘を、粘度変化を角周波数変化で除算した比として定量化し、対照に対して、以下の表5に示す:
【0246】
【0247】
フィルム伸張/熱成形。選択フィルム(配合物C1、A1、A2、A5およびA6から)を、二軸フィルム伸張機で、異なる温度および歪み率で伸張した。より詳細には、フィルムを、二軸伸張機で、185℃において50%の歪み率および2×2伸張比を使用して伸張した。2×2延伸は、二軸伸張機を使用して、フィルム/シートの長さおよび幅に沿った2倍の伸張である。伸張後および伸張前のフィルム面積の比を、平面延伸比と称する。この試験で、平面延伸比4を利用する。
【0248】
目視観察から、試料C1からの対照フィルムは、著しい穴欠陥があった。試料A1、A2、A5およびA6からのフィルムは、穴欠陥サイズがないかまたは最低限を示し、詳細には、A6に関して目視で穴欠陥は見られなかった。このデータは、本発明の組成物および物品の伸張性における改善を例示する。
【0249】
プラグアシスト熱成形。伸張性をさらに判定するために、Comet(モデルC64S)を使用して、プラグアシスト熱成形実験を実行した。9個のキャビティを有する多数個取り金型を使用して、フィルムを熱成形した。各キャビティは、0.5増分で1.5~5.5の範囲の面積延伸比を模した異なる深さを有する。面積延伸比(「ADR」)または延伸比は、熱成形前の表面積に対する熱成形後の部品の表面積比である。プラグ速度を1.40cm/分(0.55インチ/分)で一定に保ち、それぞれの操作中に金型の温度を測定した。シート温度を、Tg(ガラス転移)+75℃に保った。
【0250】
【0251】
最大達成可能な延伸比の増加は、伸張性の増加と類似している。たるみの低減は、溶融強度の増加と類似している。配合物C2とA2とを比較すると、最大ADRは2.0から4.0へと増加し、たるみは、約161mmから約125mmへと低減した。同様に、配合物C3とA8とを比較すると、最大ADRは4.0から5.5へと増加し、たるみは同様かまたは約181mmから約187mmへとわずかに増加した。
【0252】
さらに伸張性を判定するために、真空専用熱成形機を使用して、異なる延伸比を有する多数個取り金型を用いて、熱成形実験を実行した。1.5~5.5の範囲の選択された平面延伸比でカップを有する金型を使用して、測定を行った。試料A1、A2、A5およびA6からの0.76mm(30ミル)フィルムを、以下の条件を使用して熱成形した:288℃(550°F)の炉温度、204℃(400°F)のシート温度、36秒のサイクル時間。
【0253】
熱成形を介して評価したフィルムの伸張性は、二軸伸張機を介して評価したフィルムの伸張性と概して同様であった。A1、A2、A5およびA6からのフィルムは、3.0および3.5の平面延伸比で非常に良好に伸張し、均一な材料分布であった(底面厚さ-0.48mm(19ミル))。フィルムはまた、4.0の平面延伸比でも成形品の形成に成功したが、材料分布は均一ではなかった(薄い底面)。試料C1からのフィルムは、3.0の最大平面延伸比で成形品の形成に成功し、より高い平面延伸比における試みは、材料分布の不良、より薄いフィルムによって示されるように失敗であり、穴形成の失敗さえあった。
【0254】
チャー形成。組成物C1およびA1~A6からのフィルム試料の一部を、加熱して重量損失を測定することによって、チャー形成に関して評価した。熱重量分析器(TGA)を使用して、試料を600℃まで20℃/分速で加熱し、重量損失を温度の関数として百分率で測定し、残存した重量をチャーと考える。結果を以下の表7に示す:
【0255】
【0256】
上記データは、試料A1~A6に関して、対照C1よりチャー形成において~1.5倍の増加を示した。スルホイソフタル酸材料の濃度が増加するにつれて、チャー形成におけるわずかな増加もまた全般に観察された。チャー形成の増加は、一般に難燃性組成物における有用性の指標となり得る。
【0257】
SFP移行。組成物C1、A1、A2およびA4~A6からのフィルムを、10%のEtOH水溶液に70℃で2時間浸漬した。ICP(誘導結合プラズマ)分光法を使用して、溶液中のイオウ(S)含有量を測定した。スルホイソフタル酸材料を含む組成物からのフィルムに関連する試験プロトコルから、試験溶液中のS含有量に有意な差異は観察されなかった(10ppm未満)。
【0258】
堆肥化可能性および崩壊。試料A1~A6を形成するのに利用したスルホイソフタル酸材料の試料(ペレット形態)を、70℃に維持した水溶液に2週間浸漬した。典型的には~60℃である産業用の堆肥化環境を全般に模倣するために、これらの条件を選択した。水処理前および水処理後に、NMP/0.3 LiBr溶媒を用いてゲル浸透クロマトグラフィーを介してペレット試料の分子量を測定し、PS当量を算出した。結果を以下の表8に示す。
【0259】
【0260】
試料は、選択された温度で有意に加水分解され(重量平均分子量における>60%の減少)、SFPが、典型的には3~6か月の測定期間を含むほとんどの産業用堆肥化の標準的試験内で産業的に堆肥化可能であることを示唆している。
【0261】
組成物の崩壊性を判定するために、試料C1、A2、A4およびA6の1.52mm(60ミル)フィルムプラークを、室温で1週間、脱イオン水に浸漬した。A2、A4およびA6からのプラークは著しい気泡形成を示し、一方、対照は目視での差異はなく、本発明の組成物からのフィルムが、産業用の堆肥化環境においてより早く崩壊することを示唆している。
熱成形
20wt%のPEG400(可塑剤)および1~10wt%のイオン性ポリマー添加剤(S112 スルホポリエステル)でコンパウンディングした0.76mm(30ミル)押出フィルムを、CometモデルC64S熱成形機中で、雄型プラグアシスト真空成形によって熱成形した。金型は、3×3グリッド中に9個の円筒型カップを配置した多数個取り金型であった。各カップは、直径が5.1cm(2インチ)で、一方、深さは0.64cm(1/4インチ)~5.7cm(2 1/4インチ)まで変化し、1.5~5.5の範囲の面積延伸比(ADR)をもたらす。雄型プラグは、雌金型と雄金型との間に100pmのクリアランスをもたらすように設計された。各押出シートを2面で締め、Tg+75℃の標的シート温度に加熱した。得られたシート表面温度(℃)、たるみ(mm)および最高面積延伸比(ADR)を、各試料に関して繰り返し記録し、平均して表9にまとめた。シート温度を、締め付枠の真上に位置するIR温度計を使用して、シート全体のいくつかの点で記録した。締め付枠の底部から、たるんでいるシートの最下点まで較正されたGoProカメラ装備を使用して、たるみを測定した。締め付枠が、締め付けられたシートと締め付枠の底部との間のおよそ125mmの初期隙間をカメラで見ることを妨げたため、締め付枠の底部より下でたるみが視認できなかったシートを、<125mmと記録した。本試験の目的上、最大ADRは、応力による白化、変色、裂け、または/穴などの目視による欠陥がなくカップが形成された鋳型腔内のADRとして定義して記録した。以下の表から、1~10wt%のイオン性ポリマー添加剤(S112 スルホポリエステル)の添加が、可塑剤(PEG400)のみを用いた試料と比較して、達成された最大ADR(「最大(Max)ADR」)を有意に増加させることは明らかである。
【0262】
【0263】
伸びレオロジーデータ
20wt%のPEG400(可塑剤)および1~10wt%のイオン性ポリマー添加剤(S112 スルホポリエステル)でコンパウンディングした0.76mm(30ミル)押出フィルム試料の一軸伸び流動特性を、噛み合い式歯車および低摩擦軸受を備える2つの逆回転ドラムからなる、Sentmanat Extensional Rheometer(SER)治具を備えたTA Instruments ARES-G2回転レオメータで特徴付けした。押出フィルムから、長さ76.2mm(3インチ)および幅12.7mm(0.5インチ)の標本を切り取り、所望の試験温度に設定した2つのドラムに、固定締め具を使用して両端を固定する。使用する試験温度を、熱成形温度と同様のTg+75℃に決定した。レオメータ駆動軸の回転はドラムを反対方向に回転させ、それによって標本フィルムの端部がドラム上に巻き付けられ、したがって、標本フィルムが、支持されていない伸展した長さにわたり均一に伸張されることとなる。標本フィルムは、破断点まで一定の速さで伸張され、レオメータのトルクおよび軸方向力のデータは伸展粘度に変換されて、これはHencky歪み(εH)または時間の関数としてプロットされる。伸長レオロジー試験は、歪み硬化特性の定量化を可能とし、これはポリマー材料の溶融強度および溶融伸展性の特徴への直接的洞察をもたらす。歪み硬化度(SH)を、以下の式:SH=ηE/3η0[式中、ηE(Pa.s)は、Hencky歪み(εH)の関数として伸び粘度曲線のピークから得られる見掛け伸び粘度である]を使用して決定した。η0は、回転レオメータで平行板治具を使用して、動的周波数掃引実験の手段によって測定されたゼロ-剪断粘度である。表10は、イオン性ポリマー添加剤(S112 スルホポリエステル)を伴う場合および伴わない場合の試料に関するη0、εH、ηEおよびSHの値を列記する。可塑剤(PEG400)のみの対照試料と比較した場合、1~10wt%のイオン性ポリマー添加剤(S112 スルホポリエステル)の添加が、歪み硬化度(SH)を有意に増加させることは明らかであり、これは熱成形から得られた最大ADRデータと良好に相関する。
【0264】
【国際調査報告】