IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラニ セラピューティクス, エルエルシーの特許一覧

特表2025-507815治療用製剤を胃腸管内部に送達するための摂取可能なデバイス、アセンブリ、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-21
(54)【発明の名称】治療用製剤を胃腸管内部に送達するための摂取可能なデバイス、アセンブリ、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20250313BHJP
   A61M 31/00 20060101ALI20250313BHJP
【FI】
A61M37/00
A61M31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024551651
(86)(22)【出願日】2023-03-07
(85)【翻訳文提出日】2024-10-28
(86)【国際出願番号】 US2023014670
(87)【国際公開番号】W WO2023172527
(87)【国際公開日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】63/317,798
(32)【優先日】2022-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514002891
【氏名又は名称】ラニ セラピューティクス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イムラン,ミール
【テーマコード(参考)】
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C066AA02
4C066AA05
4C066BB01
4C066CC01
4C066CC06
4C066CC07
4C066DD12
4C066DD13
4C066HH02
4C267AA71
4C267BB37
4C267BB42
4C267CC20
4C267CC23
4C267GG16
4C267GG43
(57)【要約】
治療用製剤を被験者の胃腸(GI)管の管腔壁内又は周囲組織内に送達するための摂取可能なデバイスは、筐体と、支持体と、アームと、送達アセンブリと、伸張器と、アクチュエータと、解除手段とを含む。支持体は、筐体内に配置され、デバイスの長手方向軸を画定する。送達アセンブリは、アームに結合された送達構造と、送達構造内に配置された治療用製剤とを含む。伸張器は、支持体又は送達アセンブリの少なくとも一方に結合される。伸張器は、長手方向軸に沿って延伸し、管腔壁に対して送達構造を実質的に整列させる構造である。アクチュエータは、送達アセンブリに結合される。解除手段は、アクチュエータに結合され、GI管内の状態に応答して作動され、アクチュエータの作動を引き起こす。解除手段が作動されると、アクチュエータは、送達アセンブリが長手方向軸から外側に管腔壁に向かって延伸し、治療用製剤を送達構造から管腔壁内又は周囲組織内に送達するように、アームを支持体に対して枢動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用製剤を被験者の胃腸管(GI管)の管腔壁内又は周囲組織内に送達するための摂取可能なデバイスであって、
筐体と、
前記筐体内に配置され、長手方向軸を画定する支持体と、
前記支持体に枢動可能に結合されたアームと、
前記支持体に結合され、
前記アームに結合された送達構造と、
前記送達構造に配置された前記治療用製剤と、を備えた送達アセンブリと、
前記支持体又は前記送達アセンブリの少なくとも一方に結合され、前記送達構造を前記管腔壁に対して実質的に整列させるように前記長手方向軸に沿って延伸するように構成された伸張器と、
前記送達アセンブリに結合されたアクチュエータと、
前記アクチュエータに結合され、前記アクチュエータを作動させるように前記GI管内の状態に応答して作動するように構成された解除手段と、
前記解除手段の作動に応答して、前記アクチュエータは、前記送達アセンブリが前記長手方向軸から前記管腔壁に向かって外側に延伸し、前記治療用製剤を前記送達構造から前記管腔壁内又は前記周囲組織内に送達するように、前記アームを前記支持体に対して枢動させる、
デバイス。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記長手方向軸に沿って軸力を発生させて前記アームを枢動させるように構成された、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記長手方向軸を中心とする回転力を発生させて前記アームを枢動させるように構成された、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記支持体は、互いに移動可能に結合されて伸縮構成を画定する複数のセクションを含み、前記解除手段が作動されると、前記支持体が前記長手方向軸に沿って軸方向に延伸するように前記複数のセクションが互いに対して相対的に移動する、請求項1~3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記送達アセンブリ及び前記伸張器に結合され、前記解除手段が作動されたとき、前記アクチュエータが実質的に同時に、前記送達アセンブリを前記長手方向軸から離れるように外側に伸張させ、前記伸張器を前記長手方向軸に沿って伸張させる、請求項1~3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記筐体が内部を画定し、前記支持体、前記アーム、前記送達アセンブリ、前記伸張器、前記アクチュエータ、及び前記解除手段が、前記内部内に配置される、請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記筐体が、第1のセグメントと第2のセグメントとを含むカプセルとして構成され、前記第1のセグメントが前記第2のセグメントに着脱可能に結合されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記アクチュエータ、前記支持体、又は前記伸張器の少なくとも1つが、前記第1及び第2のセグメントを押し広げる構造である、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記解除手段が第1の解除手段であり、前記アクチュエータが第1のアクチュエータであり、前記送達構造が、前記治療用製剤を能動的に送達するための第2のアクチュエータに作動可能に結合された第2の解除手段をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第2の解除手段は、前記第1のアクチュエータが前記送達アセンブリを前記支持体から離れるように外側に伸張させた後に、前記第2のアクチュエータが前記送達構造から前記治療用製剤を前記GI管腔壁内又は前記周囲組織内に排出させるように構成された、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第2の解除手段は、前記第2の解除手段を作動させるように、前記送達アセンブリの移動に応答して、前記GI管腔内の流体に選択的に曝露される、請求項9又は10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第2の解除手段は、前記第2の解除手段を作動させるように、前記送達アセンブリの移動に応答して選択的に移動される、請求項9又は請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第1の解除手段が第1の分解速度を有し、前記第2の解除手段が第2の分解速度を有し、前記第2の分解速度が前記第1の分解速度より小さい、請求項9、10、又は11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記送達構造が、前記アームに結合されたホルダと、前記ホルダに結合された容器とを含み、前記治療用製剤が前記容器内に配置される、請求項1~13のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記容器が、本体と、第1のシールと、第2のシールと、を含み、前記本体が、第1の開放端と、前記第1の開放端に対向する第2の開放端と、前記治療用製剤を収容するための内部を画定する側壁と、を含み、前記第1のシールが、前記内部が実質的に密封されるように、前記第1の開放端で結合され、前記第2のシールが、前記第2の開放端で結合される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記ホルダが、その内部部分内に配置された突出部を含み、前記容器が、前記突出部に隣接する前記ホルダの内部部分に摺動可能に結合され、少なくとも部分的に配置され、前記送達構造が、前記送達アセンブリが前記長手方向軸から離れて外側に延伸することに応答して、前記容器が前記管腔壁に接触するとき、前記容器が前記突出部に向かって内側に移動して、前記突出部が前記治療用製剤を前記容器から前記管腔壁に排出させるように構成される、請求項14又は15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記ホルダがピストンチャンバを画定し、前記送達構造が前記ピストンチャンバ内に摺動可能に配置されたピストンを含む、請求項14又は15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記ホルダが反応チャンバをさらに画定し、前記送達構造が点火器と、装薬と、電気回路とをさらに含み、前記点火器及び前記装薬が前記反応チャンバ内に配置され、前記電気回路が前記点火器に作動可能に結合され、前記点火器が前記電気回路から受信した信号に応答して前記装薬に点火して、前記反応チャンバ内に力を発生させて前記ピストンに前記容器から前記治療用製剤を前記管腔壁内に排出させる、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記ホルダが反応チャンバをさらに画定し、前記送達構造が、前記反応チャンバ内に配置された第1の反応剤と、前記ピストンの下方の前記ピストンチャンバ内に配置された第2の反応剤と、前記ホルダに結合された解除機構とをさらに含み、前記解除機構の作動時に、前記反応チャンバが前記ピストンチャンバと流体的に結合して前記第1の反応剤を前記第2の反応剤と混合し、前記ピストンに前記容器から前記治療用製剤を前記管腔壁内に排出させる力を発生させるように化学反応を起こさせる、請求項17に記載のデバイス。
【請求項20】
前記送達構造が、前記ピストンに結合されたばねと、前記ばねに結合された解除機構とをさらに含み、前記解除機構の作動時に、前記ばねが拡張して前記ピストンに前記治療用製剤を前記容器から前記管腔壁内に排出させる、請求項17に記載のデバイス。
【請求項21】
前記送達構造が、前記管腔壁に対して前記送達構造を一時的に保持するための保持特徴を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項22】
はさみ機構を画定するために十字状に互いに枢動可能に結合された複数のアームをさらに含み、前記アームが前記複数のアームのうちの1つである、請求項1~21のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記アクチュエータがばねを含み、前記ばねが前記解除手段によって圧縮された状態に保持され、前記解除手段の作動時に前記ばねが前記長手方向軸に沿って拡張して前記アームを前記支持体に対して枢動させる、請求項1~22のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項24】
前記アクチュエータは、前記伸張器として機能するように構成された膨張可能部材を含み、前記膨張可能部材は、その中に配置された複数の反応体を含み、前記反応体は、前記解除手段によって一時的に互いに分離され、前記解除手段が前記膨張可能部材に結合され、前記解除手段が作動すると、前記複数の反応体が混合して前記膨張可能部材内で化学反応を起こし、前記膨張可能部材を膨張させるガスを発生させ、それによって前記アームを前記支持体に対して枢動させる、請求項1~22のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記アクチュエータが、ピストンチャンバを画定するハウジングを含み、前記支持体が、前記ピストンチャンバ内に摺動可能に配置されたピストンを含む、請求項1~22のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記ハウジングが反応チャンバをさらに画定し、前記アクチュエータが、点火器と、前記反応チャンバ内に配置された装薬と、前記点火器に作動可能に結合された電気回路とをさらに含み、前記解除手段の作動時に、前記電気回路が、前記点火器に前記装薬を点火させる信号を発生し、前記反応チャンバ内に力を発生させて、前記ピストンと前記支持体とを前記ハウジングに対して前記長手方向軸に沿って移動させ、それによって前記アームを前記支持体に対して枢動させる、請求項25記載のデバイス。
【請求項27】
前記アクチュエータが、前記ピストンチャンバ内に配置されたハイドロゲルをさらに含み、前記解除手段が前記ハウジングに結合され、前記ハウジングが、前記チャンバとGI管腔環境との間に流体経路を提供するための複数の開口部を含み、前記解除手段の作動時に、前記GI管腔環境からの流体が、前記複数の開口部のうちの1つ以上を通って前記チャンバに入り、前記ハイドロゲルを前記チャンバ内で膨張させて前記ピストンと前記支持体とを移動させ、それによって前記アームを前記支持体に対して枢動させる、請求項25に記載のデバイス。
【請求項28】
前記アクチュエータが、電気接点を有する回転モータを含み、前記支持体が、前記回転モータに回転可能に結合されたねじ部を含み、前記解除手段が、前記電気接点の上に配置され、前記解除手段の作動時に、前記電気接点を横切って電気短絡が生じ、前記モータが前記支持体を前記モータに対して相対的に回転させ、前記支持体が前記長手方向軸に沿って並進し、それによって前記アームが前記支持体に対して相対的に枢動する、請求項1~22のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項29】
前記送達アセンブリが第1の送達アセンブリであり、前記デバイスが、前記支持体に結合された第2の送達アセンブリをさらに備える、請求項1~28のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項30】
被験者の胃腸(GI)管の管腔壁内又は周囲組織内に治療用製剤を送達するための送達アセンブリであって、
枢動可能アームを介して支持体に結合されるように構成された送達構造と、
前記送達構造内に配置され、少なくとも1つの治療剤を含む治療用製剤と、を備え、
前記送達アセンブリは、前記送達構造が前記管腔壁の表面に隣接して配置されるか又は接触するように、前記支持体から離れて外側に延伸するように構成され、
前記送達アセンブリは、前記治療用製剤を前記送達構造から前記管腔壁内又は前記周囲組織内に排出する、送達アセンブリ。
【請求項31】
前記送達構造が、前記アームに結合するためのホルダと、前記ホルダに結合された容器とを含み、前記容器がその中に前記治療用製剤を収容するように構成された、請求項30に記載の送達アセンブリ。
【請求項32】
前記容器が、本体と、第1のシールと、第2のシールとを含み、前記本体が、第1の開放端と、前記第1の開放端に対向する第2の開放端と、前記治療用製剤を収容するための内部を画定する側壁とを含み、前記内部が実質的に密封されるように、前記第1のシールが、前記第1の開放端で結合され、前記第2のシールが、前記第2の開放端で結合される、請求項31に記載の送達アセンブリ。
【請求項33】
前記ホルダが、その内部部分内に配置された突出部を含み、前記容器が、前記突出部に隣接する前記ホルダの前記内部部分に摺動可能に結合され、少なくとも部分的に配置され、前記送達アセンブリが前記長手方向軸から外側に離れるように延伸することに応答して前記容器が前記管腔壁に接触するとき、前記容器が前記突出部に向かって内側に移動して前記突出部が前記治療用製剤を前記容器から前記管腔壁に排出させるように構成された、請求項31又は32に記載の送達アセンブリ。
【請求項34】
前記ホルダがピストンチャンバを画定し、前記送達構造が前記ピストンチャンバ内に摺動可能に配置されたピストンを含む、請求項31又は32に記載の送達アセンブリ。
【請求項35】
前記ホルダが反応チャンバをさらに画定し、前記送達構造が点火器と、装薬と、電気回路とをさらに含み、前記点火器及び前記装薬が前記反応チャンバ内に配置され、前記電気回路が前記点火器に動作可能に結合され、前記点火器が、前記電気回路から受信した信号に応答して前記装薬を点火し、前記反応チャンバ内に力を発生させて前記ピストンに前記治療用製剤を前記容器から前記管腔壁に排出させるように、請求項34に記載の送達アセンブリ。
【請求項36】
前記ホルダが反応チャンバをさらに画定し、前記送達構造が、前記反応チャンバ内に配置された第1の反応剤と、前記ピストンの下方の前記ピストンチャンバ内に配置された第2の反応剤と、前記ホルダに結合された解除機構とをさらに含み、前記解除機構の作動時に、前記反応チャンバが前記ピストンチャンバと流体結合して前記第1の反応剤を前記第2の反応剤と混合し、前記ピストンに前記治療用製剤を前記容器から前記管腔壁に排出させる力を発生させるように化学反応を起こさせる、請求項34に記載の送達アセンブリ。
【請求項37】
前記送達構造が、前記ピストンに結合されたばねと、前記ばねに結合された解除機構とをさらに含み、前記解除機構の作動時に、前記ばねが拡張して前記ピストンに前記治療用製剤を前記容器から前記管腔壁に排出させる、請求項34に記載の送達アセンブリ。
【請求項38】
前記送達構造が、前記送達構造を前記管腔壁に対して一時的に保持するための保持特徴を含む、請求項30~37のいずれか1項に記載の送達アセンブリ。
【請求項39】
被験者の胃腸(GI)管の管腔壁内又は周囲組織内に治療用製剤を送達する方法であって、請求項1~29のいずれか1項に記載の前記摂取可能なデバイスを前記被験者に経口投与することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年3月8日に出願された米国仮出願第63/317,798号の利益及び優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
一般的に言えば、薬剤のような治療薬は、摂取又は非経口注射(例えば、皮下、筋肉内、静脈内)によって被験者に投与され、所望の治療効果を提供することができる。しかし、これらの投与経路にはいくつかの欠点がある。例えば、大きな(macro:マクロ)分子のようないくつかの治療薬は、被験者の胃腸(GI)管(消化管)でこれらの分子が酵素的に分解されるため、摂取による送達には適さない。他のタイプの治療薬は、GI管内での忍容性が低く、全身への取り込みが少ない。非経口注射の場合、被験者は投与に伴う痛みや不便さを経験し、コンプライアンスやQOLに大きな影響を与える可能性がある。
【0003】
したがって、上記の欠点の1つ以上に対処する、治療薬をGI管に送達するための改良されたデバイス、アセンブリ、及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施形態は、一般に、被験者のGI管腔壁内又は周囲組織内(例えば、腹膜又は腹膜腔)に1つ又は複数の治療薬を効果的に送達するための、摂取可能なデバイス、アセンブリ、及び方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、被験者のGI管の管腔壁内又は周囲組織内に治療用製剤を送達するための摂取可能なデバイスは、筐体と、支持体と、アームと、送達アセンブリと、伸張器(extender:エクステンダ)と、アクチュエータと、解除手段(release:放出手段)とを含む。支持体は、筐体内に配置され、デバイスの長手方向軸を画定する。送達アセンブリは、アームに結合された送達構造(delivery structure:送達構造体)と、送達構造内に配置された治療用製剤とを含む。伸張器は、支持体又は送達アセンブリの少なくとも一方に結合される。伸張器は、管腔壁に対して送達構造を実質的に整列させるように長手方向軸に沿って延伸する構造である。アクチュエータは、送達アセンブリに結合されている。解除手段は、アクチュエータに結合され、アクチュエータの作動を引き起こすようにGI管内の状態に応答して作動される。1つ以上の実施形態において、解除手段が作動されると、アクチュエータは、送達アセンブリが長手方向軸から外側に管腔壁に向かって延伸し、治療用製剤を送達構造から管腔壁内に送達するように、アームを支持体に対して枢動させる。
【0006】
別の態様において、治療用製剤を被験者のGI管の管腔壁内又は周囲組織内に送達するための送達アセンブリは、送達構造と、治療用製剤とを含む。送達構造は、アームに結合される構造であり、その中に治療用製剤を含む。送達アセンブリは、送達構造が管腔壁の表面に隣接して又は接触して配置されるように、支持体から離れるように外側に延伸する構造である。送達アセンブリは、送達構造から管腔壁内に治療用製剤を排出するように構成される。
【0007】
別の態様において、被験者のGI管の管腔壁内又は周囲組織内に治療用製剤を送達する方法は、被験者に摂取可能なデバイスを投与する工程を含み、摂取可能なデバイスは、筐体と、支持体と、アームと、送達アセンブリと、伸張器と、アクチュエータと、解除手段と、を含む。支持体は、デバイスの長手方向軸を画定する。アームは、支持体に枢動可能に結合される。送達アセンブリは、アームに結合された送達構造と、送達構造内に配置された治療用製剤とを含む。伸張器は、支持体又は送達アセンブリの少なくとも一方に結合される。アクチュエータは、送達アセンブリに結合されている。解除手段はアクチュエータに結合されている。アクチュエータは、解除手段の作動に応じて作動する。伸張器は、長手方向軸に沿って延伸し、アクチュエータの作動時に管腔壁に対して送達構造を整列させる。アームは、送達アセンブリが管腔壁に向かって長手方向軸から離れるように外側に延伸するように支持体に対して枢動する。治療用製剤は、送達構造から管腔壁内又は周囲組織内に排出される。
【0008】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、アクチュエータは、アームを枢動(pivot)させるために長手方向軸に沿って軸力を発生させるように構成される。
【0009】
前述の態様の1つ以上の実施形態では、アクチュエータは、アームを枢動させるために長手方向軸を中心とする回転力を発生させるように構成される。
【0010】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、支持体は、伸縮構成を画定するように互いに移動可能に結合された複数のセクションを含み、解除手段が作動されると、支持体が長手方向軸に沿って軸方向に延伸するように複数のセクションが互いに対して相対的に移動する。
【0011】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、アクチュエータは、解除手段が作動されると、アクチュエータが実質的に同時に、送達アセンブリを長手方向軸から離れるように外側に伸張させ、伸張器を長手方向軸に沿って伸張させるように、送達アセンブリ及び伸張器に結合される。
【0012】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、筐体は内部を画定し、支持体、アーム、送達アセンブリ、伸張器、アクチュエータ、及び解除手段は、内部の中に配置される。
【0013】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、筐体は、第1のセグメントと、第2のセグメントとを含むカプセルとして構造化され、第1のセグメントは、第2のセグメントに取り外し可能に結合される。アクチュエータ、支持体、又は伸張器の少なくとも1つは、第1及び第2のセグメントを押し広げる(push apart:押されて離れる)ように構成される。
【0014】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、解除手段は第1の解除手段であり、アクチュエータは第1のアクチュエータである。送達構造は、治療用製剤を能動的に送達するための第2のアクチュエータに作動可能に連結された第2の解除手段をさらに含む。第2の解除手段は、第1のアクチュエータが送達アセンブリを支持体から離れるように外側に伸張させた後に、第2のアクチュエータが治療用製剤を送達構造からGI管腔壁内又は周囲組織内に排出させるように構成されている。
【0015】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、第2の解除手段は、第2の解除手段を作動するように送達アセンブリの動きに応答して、GI管腔内の流体に選択的に曝露される。
【0016】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、第2の解除手段は、第2の解除手段を作動させるように、送達アセンブリの移動に応答して、選択的に移動される。
【0017】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、第1の解除手段は第1の分解速度を有し、第2の解除手段物は第2の分解速度を有し、第2の分解速度は第1の分解速度より小さい。
【0018】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、送達構造は、アームに結合されたホルダと、ホルダに結合された容器とを含み、容器は、その中に治療用製剤を収容するように構成される。
【0019】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、容器は、本体と、第1のシールと、第2のシールと、を含む。本体は、第1の開放端と、第1の開放端の反対側の第2の開放端と、治療用製剤を収容するための内部を画定する側壁とを含む。第1のシールは第1の開放端で結合され、第2のシールは第2の開放端で結合され、内部が実質的に密封される。
【0020】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、ホルダは、ホルダの内部部分の中に配置された突出部を含む。容器は、突出部に隣接したホルダの内部部分に、摺動可能に結合され、少なくとも部分的に配置される。送達構造は、送達アセンブリが長手方向軸から離れて外側に延伸することに応答して容器が管腔壁に接触すると、容器が突出部に向かって内側に移動し、突出部が治療用製剤を容器から管腔壁内に排出させるように構成される。
【0021】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、ホルダは、ピストンチャンバを確定し、送達構造は、ピストンチャンバ内に摺動可能に配置されたピストンを含む。
【0022】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、ホルダは、反応チャンバをさらに画定し、送達構造は、点火器と、装薬(charge)と、電気回路と、をさらに含む。点火器及び装薬は、反応チャンバ内に配置される。電気回路は、点火器に作動的に結合される。点火器は、電気回路から受信した信号に応答して装薬に点火し、反応チャンバ内に力を発生させてピストンが治療用製剤を容器から管腔壁に排出させる。
【0023】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、ホルダはさらに反応チャンバを画定し、送達構造はさらに、反応チャンバ内に配置された第1の反応物と、ピストンの下方のピストンチャンバ内に配置された第2の反応物と、ホルダに結合された解除機構と、をさらに含む。解除機構が作動すると、反応チャンバはピストンチャンバと流体的に結合し、第1の反応剤を第2の反応剤と混合して化学反応を起こし、ピストンに治療用製剤を容器から内腔壁に排出させる力を発生させる。
【0024】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、送達構造は、ピストンに結合されたばねと、ばねに結合された解除機構と、をさらに含む。解除機構が作動すると、ばねが伸張してピストンに治療用製剤を容器から管腔壁に排出させる。
【0025】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、送達構造は、管腔壁に対して送達構造を一時的に保持するための保持特徴を含む。
【0026】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、デバイスは、はさみ(scissor)機構を画定するために十字形に一緒に枢動可能に結合された複数のアームをさらに含み、アームは複数のアームのうちの1つである。複数のアームのうちの1つ以上は、支持体に摺動可能に結合されてもよい。
【0027】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、アクチュエータはばねを含む。ばねは、解除主手段によって圧縮された状態に保持され、解除手段の作動時にばねが長手方向軸に沿って伸張してアームを支持体に対して枢動させる。
【0028】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、アクチュエータは拡張可能部材を含む。拡張可能部材は、伸張器としても機能する。拡張可能部材は、その中に配置された複数の反応体を含み、反応体は、解除手段によって一時的に互いに分離される。解除手段は、拡張可能部材に結合され、解除手段の作動時に複数の反応体が混合して拡張可能部材内で化学反応を起こし、拡張可能部材を膨張させるガスを発生させ、それによってアームを支持体に対して枢動させる。
【0029】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、アクチュエータは、ピストンチャンバを画定するハウジングを含み、支持体は、ピストンチャンバ内に摺動可能に配置されたピストンを含む。
【0030】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、ハウジングは、反応チャンバをさらに画定し、アクチュエータは、点火器と、反応チャンバ内に配置された装薬と、点火器に動作可能に結合された電気回路と、をさらに含む。解除手段の作動時に、電気回路は、点火器に装薬を点火させる信号を発生し、反応チャンバ内に力を発生させて、ピストンと支持体とをハウジングに対して長手方向軸に沿って移動させ、それによりアームを支持体に対して枢動させる。
【0031】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、アクチュエータは、ピストンチャンバ内に配置されたハイドロゲルをさらに含む。解除手段はハウジングに結合される。ハウジングは、チャンバとGI管腔環境との間に流体経路を提供するための複数の開口部を含む。解除手段が作動すると、GI管腔環境からの流体が複数の開口部のうちの1つ以上を通ってチャンバ内に入り、チャンバ内でハイドロゲルを膨張させてピストンと支持体とを移動させ、それによりアームを支持体に対して枢動させる。
【0032】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、アクチュエータはモータを含む。モータは回転モータであり、支持体は回転モータに回転可能に結合されたねじ部を含む。解除手段は、モータの電気接点上に配置され、解除手段の作動時に、電気接点を横切って電気的短絡が生じ、モータが支持体をモータに対して相対的に回転させ、支持体が長手方向軸に沿って並進し、それによりアームが支持体に対して相対的に枢動する。
【0033】
前述の態様の1つ以上の実施形態において、デバイスは、支持体に枢動可能に結合された複数の送達アセンブリをさらに備える。
【0034】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、例示として提供されるものであり、本開示又は特許請求の範囲を限定することなく、特許請求の範囲に記載の本開示のさらなる説明を提供することを意図している。他の目的、利点、及び新規な特徴は、以下の図面の簡単な説明及び本開示の詳細な説明から当業者には容易に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、摂取可能なデバイスの一実施形態をブロック図で示したものである。
図2A図2Aは、カプセル形態の摂取可能なデバイスの一実施形態の断面を示す。デバイスは、治療用製剤を送達するためにデバイスがGI管内の所望の位置に到達する前の第1の状態で示されている。
図2B図2Bは、図2AのデバイスがGI管内の所望の位置に到達した後の第2の状態における図2Aのデバイスを示す。
図3A図3Aは、ばねの形態のアクチュエータを含む摂取可能なデバイスの一実施形態の断面を示す。デバイスは、治療用製剤を送達するためにデバイスがGI管内の所望の位置に到達する前の第1の状態で示されている。
図3B図3Bは、デバイスがGI管内の所望の位置に到達した後の第2の状態における図3Aのデバイスを示す。
図4A図4Aは、膨張可能部材の形態のアクチュエータを含む摂取可能なデバイスの実施形態の断面を示す。デバイスは、治療用製剤を送達するためにデバイスがGI管内の所望の位置に到達する前の第1の状態で示されている。
図4B図4Bは、デバイスがGI管内の所望の位置に到達した後の第2の状態における図4Aのデバイスを示す。
図5A図5Aは、ピストンの形態のアクチュエータ、点火器、及び装薬を含む摂取可能なデバイスの実施形態の断面を示す。デバイスは、治療用製剤を送達するためにデバイスがGI管内の所望の位置に到達する前の第1の状態で示されている。
図5B図5Bは、デバイスがGI管内の所望の位置に到達した後の第2の状態における図5Aのデバイスの断面を示す。
図6A図6Aは、回転モータの形態のアクチュエータを含む摂取可能なデバイスの一実施形態の断面を示す。デバイスは、治療用製剤を送達するためにデバイスがGI管内の所望の位置に到達する前の第1の状態で示されている。
図6B図6Bは、デバイスがGI管内の所望の位置に到達した後の第2の状態における図6Aのデバイスを示す。
図7A図7Aは、ピストン形状のアクチュエータとハイドロゲルを含む摂取可能なデバイスの一実施形態の断面を示す。デバイスは、治療用製剤を送達するためにデバイスがGI管内の所望の位置に到達する前の第1の状態で示されている。
図7B図7Bは、デバイスがGI管内の所望の位置に到達した後の第2の状態における図7Aのデバイスを示す。
図8A図8Aは、枢動可能アームを含む摂取可能なデバイスの一実施形態の断面を示す。デバイスは、治療用製剤を送達するためにデバイスがGI管内の所望の位置に到達する前の第1の状態で示されている。
図8B図8Bは、デバイスがGI管内の所望の位置に到達した後の第2の状態における図8Aのデバイスを示す。
図9A図9Aは、枢動可能アーム及び移動可能くさびを含む摂取可能なデバイスの一実施形態の断面を示す。デバイスは、治療用製剤を送達するためにデバイスがGI管内の所望の位置に到達する前の第1の状態で示されている。
図9B図9Bは、デバイスがGI管内の所望の位置に到達した後の第2の状態における図9Aのデバイスを示す。
図10A図10Aは、治療用製剤をGI管の管腔壁内に送達するための突出部を含む送達構造の一実施形態の断面を示す。送達構造は、治療用製剤を送達する前の第1の状態で示されている。
図10B図10Bは、突出部が送達構造から管腔壁内に治療用製剤を排出した後の第2の状態における図10Aの送達構造を示す。
図11A図11Aは、治療用製剤をGI管の管腔壁内に能動的に送達するための、ピストン、点火器、及び装薬を含む送達構造の実施形態の断面を示す。送達構造は、治療用製剤を送達する前の第1の状態で示されている。
図11B図11Bは、ピストンが送達構造から管腔壁内に治療用製剤を排出した後の第2の状態における図11Aの送達アセンブリを示す。
図12A図12Aは、治療用製剤をGI管の管腔壁内に能動的に送達するためのばね及びピストンを含む送達構造の実施形態の断面を示す。送達構造は、治療用製剤を送達する前の第1の状態で示されている。
図12B図12Bは、ピストンが送達構造から管腔壁内に治療用製剤を排出した後の第2の状態における図12Aの送達構造を示す。
図13A図13Aは、治療用製剤をGI管の管腔壁内に能動的に送達するための複数の反応体及びピストンを含む送達構造の実施形態の断面を示す。送達構造は、治療用製剤を送達する前の第1の状態で示されている。
図13B図13Bは、ピストンが送達構造から管腔壁内に治療用製剤を排出した後の第2の状態における図13Aの送達構造を示す。
図14A図14Aは、複数の送達アセンブリを含む摂取可能なデバイスの正面断面図である。デバイスは、治療用製剤を送達するためにデバイスがGI管内の所望の位置に到達する前の第1の状態で示されている。
図14B図14Bは、図14Aのデバイスが所望の位置に到達した後の第2の状態を示している。
図15図15は、摂取可能なデバイスの経口投与により、被験者のGI管の管腔壁内又は周囲組織内に治療用製剤を送達する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示の摂取可能なデバイス、アセンブリ、及び方法の詳細を説明する前に、読者の便宜のためにいくつかの慣例を示す。
【0037】
本開示において使用される場合、用語「例えば(e.g.,)」、「例えば(such as)」、「例として(for example)」、「一例として(for an example)」、「別の例として(for another example)」、「の例(example of)」、「例として(by way of example)」、及び「など(etc.)」は、1つ又は複数の非限定的な例(複数可)のリストが先行又は後続することを示し、リストされていない他の例も本開示の範囲内であることを理解されたい。
【0038】
本明細書で使用される場合、単数形の用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「前記(the)」は、文脈上明らかに指示がない限り、複数形の言及を含む場合がある。また、単数形の用語は、明示的に記述されていない限り、「1つだけ(one and only one)」を意味するものではなく、「1つ以上(one or more)」を意味するものである。
【0039】
本明細書で使用される場合、「A/B」の形、又は「A及び/又はB」の形の語句は、(A)、(B)、又は(A及びB)を意味し、「A、B、又はCの少なくとも1つ」の形の語句は、(A)、(B)、(C)、(A及びB)、(A及びC)、(B及びC)、又は(A、B、及びC)を意味する。
【0040】
「実施形態において(in one embodiment)」又はその変形(例えば、「別の実施形態において(in another embodiment)」又は「一実施形態において(in one embodiment)」)という用語は、本明細書において、1つ以上の実施形態における使用を指し、いかなる場合も、本開示の範囲を、図示及び/又は記載される実施形態のみに限定しない。したがって、ある実施形態に関して本明細書で図示及び/又は説明される構成要素は、省略することができる又は別の実施形態(例えば、本明細書で図示及び説明される別の実施形態、又は本開示の範囲内であって本明細書で図示及び/又は説明されない別の実施形態)で使用することができる。
【0041】
本明細書において、用語「成分(component)」とは、総体として、議論の対象となるデバイス、組成物、又はシステムを構成する1つ又は複数の項目のセットの1つの項目を指す。成分は、固体、粉末、ゲル、プラズマ、流体、気体、又は他の構成であってもよい。例えば、デバイスは、一緒に組み立てられてデバイスを構成する複数の固体の構成要素を含むことがあり、デバイス内に配置される流体構成要素をさらに含むことがある。別の例として、組成物は、単一の成分、又は組成物を作るために一緒に混合される2つ以上の成分を含むことができる。組成物は、流体、スラリー、粉末、又は固体(例えば、錠剤又はマイクロ錠剤のような凝縮形態又は連結形態)の形態であってもよい。デバイス又はシステムは、1つ以上の組成物及び/又は1つ以上の他の構成要素を含んでもよい。
【0042】
用語「設計(design)」又はその文法的変形(例えば、「設計する(designing)」又は「設計された(designed)」)は、本明細書において、例えば、公差(例えば、構成要素の公差及び/又は製造公差)の推定値、及び遭遇すると予想される環境条件(例えば、温度、湿度、外部又は内部の周囲圧力、外部又は内部の機械的圧力、外部又は内部の機械的圧力による応力、又は体内に導入される場合、生理学、体内化学、生物学的組成)の推定値に基づいて意図的に組み込まれた特性を指す、例えば、温度、湿度、外部又は内部の周囲圧力、外部又は内部の機械的圧力、外部又は内部の機械的圧力による応力、製品の年数、又は保存可能期間、あるいは体内に導入される場合は、生理学、体内化学、体液又は組織の生物学的組成、体液又は組織の化学組成、pH、種、食餌、健康、性別、年齢、家系、疾患、又は組織損傷)、送達前及び/又は送達後の実際の許容誤差及び環境条件が特性に影響を及ぼす可能性があるため、同一の設計を有する異なる構成要素、デバイス、組成物、又はシステムが、これらの特性に関して異なる実際の値を有してもよいことを理解されたい。設計には、製造前又は製造後の変化や修正も含まれる。
【0043】
用語「構成された(structured)」又はその文法的変形(例えば、「構造(structure)」又は「構造化(structuring)」)は、本明細書において、そのような概念又は設計が書面に記載されているか否かにかかわらず、概念又は設計又はその変形もしくは修正(そのような変形又は修正が製造前、製造中、又は製造後のいずれに生じるかを問わない)にしたがって、製造される構成要素、デバイス、組成物、又はシステムを指す。
【0044】
本明細書において、「身体(body)」という用語は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、動物体を指す。
【0045】
本明細書において、「被験者(subject)」という用語は、本開示の実施形態が送達される、又は送達されることが意図される身体を指す。例えば、ヒトに関して、被験者は、医療専門家の治療を受けている患者であってもよい。用語「個体(individual)」、「被験者(subject)」、及び「患者(patient)」は、本明細書において互換的に使用され得、任意の個体動物(animalia)、被検体(例えば、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、又はヒト)を指す。特定の実施形態において、被験者、個体、又は患者はヒトである。
【0046】
用語「流体(fluid)」とは、本明細書では液体又は気体を指し、水分及び湿度を包含する。「流体環境(fluidic environment)」という用語は、本明細書では、1つ以上の流体が存在する環境を指す。
【0047】
用語「摂取(ingest)」又はその文法的変形(例えば、「摂取する(ingesting)」、「摂取(ingestion)」、又は「摂取された(ingested)」)は、本明細書において、嚥下による又は胃に沈着させる他の手段(例えば、内視鏡による胃への沈着又はポートを介した胃への沈着)によるかにかかわらず、胃への取り込みを指す。
【0048】
用語「分解(degrade)」又はその文法的変形(例えば、「分解する(degrading)」、「分解した(degraded)」、「分解可能(degradable)」、及び「分解(degradation)」)は、本明細書では、溶解、化学分解(生分解を含む)、分解、化学修飾、機械的分解、又は崩壊などによる、弱体化、部分的分解、又は完全分解を指し、これには限定されないが、溶解、崩れ、変形、萎み、又は収縮も包含される。「非分解性(non-degradable)」という用語は、予想される環境において、少なくとも予想される期間、分解が最小限であること、又は、ある許容可能な設計割合の範囲内であることを意味する。
【0049】
用語「分解速度(degradation rate)」又はその文法的変形(例えば、「分解の速度(rate of degradation)」)は、本明細書において、材料が分解する速度を指す。特定の実施態様における材料の設計された分解速度は、標的送達部位において予想される条件下(例えば、生理学的条件下)で材料が分解すると予想される速度によって定義することができる。特定の実施態様のための設計された分解時間は、完全な分解までの設計された時間、又は設計目的(例えば、突破(breach))を達成するのに十分な部分的分解までの設計された時間を指すことができる。したがって、例えば、設計された分解時間は、構成要素に特有であること、及び/又は、標的送達部位で予想される条件に特有であることができる。設計分解時間は短くても長くてもよく、おおよその時間、最大時間、又は最小時間で定義することができる。
【0050】
本明細書において、「実質的に(substantially)」という用語は、例えば製造工程や組立工程から生じ得る小さなばらつきを説明し、考慮するために使用される。例えば、数値とともに使用される場合、この用語は±10%以下の数値の変動を指すことができる。
【0051】
本明細書において「管腔(lumen)」という用語は、管状構造の内部空間を指す。体内の管腔の例としては、動脈、静脈、臓器内の管腔などが挙げられる。
【0052】
「管腔壁(lumen wall)」という用語は、管腔の壁を意味し、管腔壁には、管腔の内周から外周までのすべての層が含まれ、例えば、体内の管腔に関しては、粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜、管腔の外壁、構成する血管や組織などが含まれる。
【0053】
本明細書において、「GI管(gastrointestinal tract)」又は「GI管(GI tract)」という用語は、例えば、口、咽頭、食道、胃、幽門、小腸、盲腸、大腸、結腸、直腸、肛門、及びそれらの間の弁又は括約筋を含む、身体の摂取/排出システムを指す。
【0054】
「GI管腔(GI lumen)」という用語は、一般にGI管のあらゆる管腔(例えば、食道、胃、小腸、大腸、結腸の管腔)を指し、「GI管腔壁(GI lumen wall)」という用語はGI管腔の管腔壁を指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、「備える(comprising)」、「備える(comprise)」、「備える(comprises)」、「含む(includes)」、及び「含む(including)」という用語は、組成物及び方法が言及された要素を含むが、他の要素を排除しないことを意味することが意図される。
【0056】
本明細書において、薬物に関する「治療有効量(therapeutically effective amount)」という語句は、そのような治療を必要とする対象において、薬物が投与される特定の薬理学的効果を提供する薬物の用量を意味する。治療有効量の投薬は、たとえ当業者によって治療有効量とみなされたとしても、個々の対象において目標とする状態を治療するのに常に有効であるとは限らないことが強調される。当業者は、特定の被験者を治療するために必要に応じて、標準的な慣行に従って、治療有効量とみなされるものを調整することができる。治療有効量は、例えば、被験者の年齢及び体重、及び/又は被験者の全体的な健康状態、及び/又は治療される被験者の状態の重症度に基づいて変化することができる。
【0057】
概して図を参照すると、本明細書に開示されるのは、治療用製剤を被験者のGI管の管腔壁又はその周囲組織(例えば、腹膜又は腹膜腔)に送達するための摂取可能なデバイス、アセンブリ、及び方法に関する実施形態である。摂取可能なデバイスは、有利には、送達までGI管の少なくとも一部内で治療用製剤を分解から一時的に保護する構造である。管腔壁又は周囲組織への送達は、治療用製剤の1つ以上の治療剤の全身的取り込みを可能にする。様々なタイプの治療剤について以下に説明するが、そのような治療剤の例としては、通常は摂取による送達に適さない高分子が挙げられる。このようにして、開示された摂取可能なデバイス、アセンブリ及び方法は、従来の経口及び非経口投与経路に関連する欠点の多くに対処する。
【0058】
図1は、本開示の1つ以上の実施形態による摂取可能なデバイス100の一例をブロック図で示す。摂取可能なデバイス100は、筐体102と、任意の外側コーティング(外被)104と、解除手段108と、アクチュエータ110と、支持体115と、送達アセンブリ120と、治療用製剤125と、送達構造128と、伸張器130と、を含む。1つ以上の実施形態において、支持体115は、送達アセンブリ120、アクチュエータ110、又は伸張器130のうちの少なくとも1つの一部を形成することができる。
【0059】
非限定的な実施例によれば、筐体102(又は任意選択で筐体102及び/又は外側コーティング104)は、以下により詳細に記載されるように、治療用製剤125の送達のために被験者のGI管内の所望の位置で分解することができる。以下により詳細に記載されるように、筐体102及び/又は外側コーティング104の少なくとも部分的な分解に応答して、解除手段108を作動させてアクチュエータ110を作動させることができる。次いで、アクチュエータ110は、被験者のGI管腔壁に対して送達構造128を位置合わせするように、支持体115又は伸張器130の少なくとも一方を軸方向に伸張させることができる。アクチュエータ110は、実質的に同時に、又は伸張器130を作動させた後に、送達アセンブリ120をGI管腔壁に向かって外側に移動させ、送達構造128から管腔壁内又は周囲組織内に治療用製剤125を送達させ、そこで治療用製剤125の1つ又は複数の治療剤を全身摂取のために被験者の血流中に排出することができる。
【0060】
筐体(Enclosure)102及び/又は外側コーティング104は、摂取可能なデバイス100の摂取を可能にし、摂取可能なデバイス100の内容物を被験者のGI管の1つ以上の部分内での分解から一時的に保護するように構成される。筐体102は、嚥下可能なカプセル(例えば、サイズ00カプセル、サイズ000カプセル、又は他のサイズのカプセル)、又は被験者による摂取に適し、摂取可能なデバイス100の1つ以上の構成要素を収容又は含有することができる任意の他の構造体など、様々な異なる形態及び形状をとることができる。1つ又は複数の実施形態において、筐体102は、筐体102を画定するために互いに結合(例えば、圧入)された2つ又は複数のセグメントを含む。例えば、筐体102は、筐体102を画定するために圧入配置で第2のセグメントと少なくとも部分的に重なる第1のセグメントを含むカプセルとして構成されてもよい。第1及び第2のセグメントは、例えば、内力(例えば、支持体115、送達アセンブリ120、及び/又は伸張器130の伸張による)の印加によって2つのセグメントの分離を可能にするように、着脱可能に結合されてもよい。解除手段108、アクチュエータ110、支持体115、送達アセンブリ120、治療用製剤125、送達構造128、及び伸張器130はそれぞれ、筐体102の内部に収容されるように構造化されている。解除手段108は、任意に、筐体102の外側部分など、筐体102の内部の外側に配置されてもよい。他の実施形態では、外側コーティング104は、それ自体が、筐体102を介さずに、その中に解除手段108、アクチュエータ110、支持体115、送達アセンブリ120、治療用製剤125、送達構造128、及び伸張器130のうちの1つ以上を収容/分解から保護するための容器又は保護層として機能してもよい。
【0061】
1つ以上の実施形態において、筐体102(又は任意選択で筐体102及び/又は外側コーティング104)は、特定の条件下で分解することができる。さらに、筐体102の異なる部分は、治療用製剤125を送達するためのGI管内の標的部位に応じて、異なる条件下又は異なる分解速度で分解するように構造化することができる。例えば、筐体102の一部又は全部は、水中(例えば、体内などの周囲環境における湿度又は水分の形態の水の存在下)で分解する材料、及び/又は特定の閾値以上又は特定の範囲内(例えば、GI管の所望の位置又は部分に関連するpHレベル)のpHレベルを有する溶液に曝露されたときに分解する材料で構成することができる。他の実施形態において、筐体102は、温度閾値に応答して分解する。他の実施形態において、筐体102は、実質的に非分解性であるか、又は実質的に非分解性の部分を含む。
【0062】
外側コーティング104は、任意に、筐体102の一部又は全部を覆う。他の実施形態では、外側コーティング104は、筐体102を介さずに、解除手段108、アクチュエータ110、支持体115、送達アセンブリ120、治療用製剤125、送達構造128、及び伸張器130のうちの1つ以上を直接覆う。これらの実施形態では、外側コーティング104は、別個の筐体102なしで、摂取可能なデバイス100の1つ以上の構成要素をGI管内での分解から一時的に保護するための保護層として機能することができる。外側コーティング104は、単層又は複数の層を含むことができる。様々な層は、同じ材料で形成されてもよいし、異なる材料の組み合わせで形成されてもよい。外側コーティング104の一例は、水中で所定の速度で分解する腸溶性被膜、及び/又は特定の閾値を超えるpHレベルもしくは特定の範囲内のpHレベルを有する溶液に曝されたときに分解する腸溶性被膜などである。外側コーティング104の別の例は、保護コーティング(例えば、ワックス)であり、例えば、流体又は組織(例えば、身体組織又は流体)との接触から筐体102の外側表面の一部を保護するコーティングなどである。
【0063】
1つ以上の実施形態において、筐体102及び/又は外側コーティング104の分解により、流体(例えば、胃内又は腸内の体液)が筐体102/外側コーティング104の内部に入り、解除手段108を作動することができる。あるいは、解除手段108は筐体102の外側部分に位置し、外側コーティング104の分解により、解除手段108が筐体102の表面に露出して、解除手段108の作動を促進することができる。あるいは、解除手段108は、外側コーティング104のない筐体102の一部上に位置し、解除手段108は、筐体102とは異なる速度で、及び/又はGI管内の異なる条件下で分解する構造であってもよい。筐体102及び/又は外側コーティング104は、例えば、支持体115、送達アセンブリ120、又は伸張器130の少なくとも1つが筐体102内に力を加えることによって筐体102を押し広げることができるように、筐体102及び/又は外側コーティング104の局所的分解のための1つ又は複数の分解領域を画定することができる。例えば、外側コーティング104は、筐体102の選択された部分(例えば、端部間の筐体102の中間部分)を露出させるために、筐体102の特定の領域(例えば、筐体102の端部)にのみ選択的に塗布されることができ、それによって、筐体102の他の領域よりも速い速度で分解することができ、かつ/又は早く分解することができる筐体102の領域を画定する。筐体102のこの制御された分解は、それによって送達構造128からGI管腔壁への治療用製剤125の送達を可能にするために、筐体102のより一貫した分離を可能にすることができる(例えば、送達構造128の展開のために筐体102の分離された部分の間に実質的に妨げられない領域を形成することによる)。
【0064】
解除手段108は、化学的、機械的、電気的、電気機械的、電気化学的、化学機械的、又は電気機械的-化学的構造である。1つ以上の実施形態において、解除手段108は、GI管内の状態に応答して作動(例えば、分解、放出、移動、開口)されるように構成される。例えば、解除手段108は、解除手段108がGI管内の液体と接触すると分解するように、水中で分解する構造であってもよい。別の例として、解除手段108は、特定のpHレベル以上、又はGI管内の場所に関連するpHレベルの範囲内(例えば、胃内のpH、腸内のpH)で分解するように構成されてもよい。これらの実施形態及び他の実施形態において、解除手段108は、腸溶性材料などの生分解性材料から作製されてもよい。追加的に又は代替的に、解除手段108は、ラッチ、クリップ、カバー、プラグ、コーティング、又はGI管内の状態(例えば、pH)に応答して動く、開く、又は他の方法で放出する任意の他の構造として構成されてもよい。解除手段108は、単一の材料又は材料の組み合わせから形成されてもよい。解除手段108は、1つ又は複数の構成要素を含むことができる。複数の構成要素が解除手段108に含まれる実施形態では、構成要素は、同位置(例えば、同軸)に配置されてもよく、又は互いに物理的に分離されてもよい。
【0065】
解除手段108は、解除手段108の作動時に、アクチュエータ110が、送達構造128からGI管腔壁内に治療用製剤125を送達するために、伸張器130を軸方向に伸張できるように、及び/又は送達アセンブリ120を外側に伸張できるように、アクチュエータ110に結合される。1つ以上の実施形態において、解除手段108は、筐体102/外側コーティング104の内部内に配置される。他の実施形態では、解除手段108は、筐体102の一部(例えば、外面)上に配置される。
【0066】
摂取可能なデバイス100は、摂取可能なデバイス100の様々な構成要素の連続的な作動を引き起こすために、異なる条件下で作動し、及び/又は異なる速度で作動する複数の解除手段(例えば、解除手段108及び/又は他の解除機構)を含むことができる。1つ以上の実施形態では、摂取可能なデバイス100は、解除手段108の作動後の摂取可能なデバイス100の構成要素の動きに応答して、1つ又は複数の追加の解除機構を選択的に露出させ、及び/又は作動させるように構造化することができる。例えば、摂取可能なデバイス100は、アクチュエータ110に関連する第1の解除手段(例えば、解除手段108)と、送達構造128の作動機構などの送達アセンブリ120の構成要素に関連する第2の解除手段(例えば、解除機構)とを含むことができる。この実施例では、第1の解除手段は、第2の解除手段よりも早く、及び/又は速い速度で作動するように構成することができ、その結果、第1の解除手段の作動によって、アクチュエータ110は、第2の解除手段の作動に先立って、送達アセンブリ120の1つ又は複数の構成要素をGI管腔壁に対して所望の位置に移動させることができる。追加的に又は代替的に、送達アセンブリ120の移動(例えば、1つ又は複数のアームの枢動可能な移動)は、第2の解除手段を作動させるように第2の解除手段を露出又は移動させることができる。次いで、第2の解除手段の作動は、送達アセンブリ120がGI管腔壁に近接して配置されるとき、送達構造128に治療用製剤125をGI管腔壁に能動的に送達させることができる。
【0067】
別の実施例によれば、第1の解除手段は第1のアクチュエータに関連付けられ、第2の解除手段は第2のアクチュエータに関連付けることができる。第1のアクチュエータは、伸張器130に結合され、第2のアクチュエータは、送達アセンブリ120に結合され、第1の解除手段の作動が、第2の解除手段の作動の前に、伸張器130を伸張させ、送達構造128をGI管腔壁に対して相対的に整列させることができる。次いで、第2の解除手段の作動により、第2アクチュエータが、送達構造128からGI管腔壁内に治療用製剤125を送達するために、送達アセンブリ120の1つ以上の構成要素をGI管腔壁に対して相対的に移動させることができる。
【0068】
アクチュエータ110は、化学的、機械的、電気的、電気機械的、電気化学的、化学機械的、又は電気機械化学的構造である。1つ以上の実施形態において、アクチュエータ110は、解除手段108の作動に応答して、伸張器130、送達アセンブリ120、又は支持体115のうちの少なくとも1つを作動させる構造である。アクチュエータ110は、伸張器130を軸方向に伸張させて、送達構造128をGI管腔壁に対して相対的に整列させる構造であってもよい。追加的に又は代替的に、アクチュエータ110は、送達構造128をGI管腔壁に近接して移動させて、治療用製剤125を送達構造128から管腔壁内に送達させるように、送達アセンブリ120の1つ又は複数の構成要素を枢動させる構造であってもよい。追加的又は代替的に、アクチュエータ110は、支持体115を、支持体115によって規定される長手方向軸に沿って軸方向に伸張、調節、及び/又は移動させるようにする構造であってもよい。アクチュエータ110は、支持体115、送達アセンブリ120、又は伸張器130の任意の組み合わせの実質的に同時の作動を引き起こす構造であってもよい。アクチュエータ110は、1つ以上の構成要素を含んでもよい。複数の構成要素がアクチュエータ110に含まれる実施形態では、構成要素は、同位置に配置されてもよく、互いに物理的に分離されてもよい。1つ以上の実施形態において、摂取可能なデバイス100は、複数のアクチュエータ(例えば、アクチュエータ110を含む)又は作動機構を含んでもよい。例えば、摂取可能なデバイス100は、伸張器130、送達アセンブリ120、及び送達構造128のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに関連する別個のアクチュエータを含んでもよい。
【0069】
支持体115は、筐体102内のアクチュエータ110、送達アセンブリ120、治療用製剤125、送達構造128、又は伸張器130の少なくとも1つを保持し、構造的支持を提供するための機械的構造である。1つ以上の実施形態において、支持体115は、アクチュエータ110、送達アセンブリ120、又は伸張器130のうちの少なくとも1つの一部を形成することができる。支持体115は、概して細長い部材であり、摂取可能なデバイス100の長手方向軸を画定する1つ以上のセクションを含んでもよい。1つ以上のセクションを含む実施形態では、セクションは、例えば、アクチュエータ110の作動に応答して支持体115が軸方向に伸張可能な(例えば、伸縮可能な)配置を画定するように、移動可能に(例えば、摺動可能に)結合されてもよい。支持体115は、例えば、送達アセンブリ120及び/又は伸張器130の作動を引き起こすために、摂取可能なデバイス100の他の構成要素に対して移動可能であってもよい。支持体115は、1つ又は複数の構成要素を含んでもよい。複数の構成要素が支持体115に含まれる実施形態では、構成要素は、同位置(例えば、同軸)に配置されてもよいし、物理的に互いに離間していてもよい。
【0070】
送達アセンブリ120は、化学的、機械的、電気的、電気機械的、電気化学的、化学機械的、又は電気機械化学的構造体である。1つ以上の実施形態において、送達アセンブリ120は、支持体115に枢動可能に結合された1つ以上のアームを介して支持体115に結合される。アームは、デバイス100及び/又は送達アセンブリ120の一部を形成してもよい。送達アセンブリ120は、治療用製剤125を収容し、治療用製剤125をGI管腔壁内に送達するための送達構造128をさらに含む。送達アセンブリ120の1つ以上の構成要素は、アクチュエータ110の作動に応答して支持体115に対して枢動し、治療用製剤125の送達のために1つ以上のアームを介して送達アセンブリ120を支持体115からGI管腔壁に向かって外向きに延出させるように構成される。例えば、1つ以上の実施形態において、デバイス100は、はさみ機構を画定するために十字形に一緒に枢動可能に結合された複数のアームを含む。他の実施形態では、デバイス100は、支持体115に枢動可能に結合された単一の枢動可能アームを含む。枢動可能アームは、支持体115上の単一の枢動軸を中心に支持体115から離れる方向に枢動するように構成される。送達アセンブリ120の1つ以上の構成要素は、支持体115に対する送達アセンブリ120の並進移動を可能にするために、支持体115に移動可能に結合されてもよい。摂取可能なデバイス100は、1つ以上の送達アセンブリ120を含んでもよい。送達アセンブリ120は、1つ以上の構成要素を含んでもよい。複数の構成要素が送達アセンブリ120に含まれる実施形態では、構成要素は、同位置に配置されてもよいし、互いに物理的に分離されてもよい。
【0071】
治療用製剤125は、製剤が治療、診断、又は他の生物学的目的のために意図されている1つ以上の成分を含む製剤である。治療用製剤125は、液体形態、粉末形態、又は錠剤もしくはマイクロ錠剤のような凝縮形態もしくは連結形態であり得る。治療用製剤125の成分は、例えば、薬理学的に活性な薬剤などの治療剤(例えば、薬剤、タンパク質、ペプチドなど、薬物、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、抗体、オリゴヌクレオチド)、DNA又はSiRNA転写物、細胞、細胞毒性剤、ワクチン又は他の予防剤、栄養補助剤、血管拡張剤、又は血管収縮剤、送達増強剤、遅延剤、賦形剤、診断剤、又は美容強化のための物質などである。治療用製剤125は、治療有効量の治療薬、又は被験者において所望の治療効果を達成するための適切な量の他の成分を含むことができる。摂取可能なデバイス100は、GI管腔壁への送達のために各送達アセンブリ120に配置された1つ以上の治療用製剤125を含んでもよい。1つ以上の治療用製剤125を含む実施形態では、各治療用製剤125は、特定の治療効果を提供するように、同じ成分を含んでもよいし、異なる成分(例えば、異なる薬理学的活性剤)を含んでもよい。
【0072】
1つ以上の実施形態において、治療用製剤125は、治療用製剤125をGI管腔壁に挿入するための構造を含む。例えば、治療用製剤125は、治療用製剤125の1つ以上の成分をその中に含むための空洞を画定する生分解性構造を含んでもよい。生分解性構造体は、治療用製剤125をGI管腔壁内又は周囲組織内に穿刺して挿入するためのテーパ状端部(例えば、スパイク、槍形、又は他の方法で尖った端部)をさらに含んでもよい。追加的に又は代替的に、治療用製剤125は、生分解性構造体の表面上にコーティングとして堆積(例えば、浸漬、噴霧)することができる。生分解性構造体は、GI管腔壁の組織内又はGI管腔壁を取り囲む組織内で分解して、治療用製剤125の治療剤を生分解性構造体から被験者の血流中に排出することができる。例えば、生分解性構造体は、生分解性ポリマ(例えば、ポリエチレンスグリコール(PEG))、セルロース、及び/又はマルトースなどの糖から構成することができる。他の実施形態において、治療用製剤125は、それ自体、別個の生分解性構造体なしで、GI管腔壁を貫通するためのテーパ状端部を有する定形構造体に形成することができる。これらの実施形態において、治療用製剤125は、GI管腔壁又はその周囲組織を穿刺し、そこに挿入され、そこで治療用製剤125の1つ以上の治療剤が被験者の血流中に排出することができる、規定された形状及び十分な剛性を有する剛性又は半剛性構造体である。摂取可能なデバイス100は、上述した様々な形態の治療用製剤125のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを含んでもよいことが理解されるべきである。
【0073】
治療用製剤125は、被験者において所望の治療効果を達成するためにGI管腔壁内に送達するための治療用製剤125を実質的に保存するために、密封容器内に収容される。1つ以上の実施形態において、密封容器は、治療用製剤125をその中に収容するための内部を画定する本体と、管腔壁内への送達前にGI管腔内で治療用製剤125が分解しないように一時的に保護するように内部を実質的に密封するために本体に結合された1つ又は複数の分解可能なシール(例えば、箔、フィルム)とを含んでもよい。密封容器は、送達アセンブリ120の送達構造128の一部を形成する。治療用製剤125は、送達構造128からGI管腔壁内に送達するために、密封容器の分解可能なシールを穿刺して貫通するように構成される。
【0074】
送達構造128は、化学的、機械的、電気的、電気機械的、電気化学的、化学機械的、又は電気機械的-化学的構造である。送達構造128は、送達アセンブリ120の一部を形成する。送達構造128は、治療用製剤125を含む密封容器を保持する構造である。1つ以上の実施形態において、送達構造128は、密封容器からGI管腔壁に治療用製剤125を送達する構造であってもよい。例えば、送達構造128は、突出部を有するホルダを含むことができる。密封容器は、送達アセンブリ120が作動したときに、密封容器が管腔壁によって突出部に対して押し戻されて容器の分解性シールを穿刺し、突出部が治療用製剤125を容器からGI管腔壁に排出させるような十分な力でGI管腔壁に接触するように、突出部に隣接してホルダに移動可能に(例えば、摺動可能に)結合されてもよい。換言すれば、送達構造128は、GI管腔壁との接触からの戻り力に依存するため、別個の解除/作動機構なしで治療用製剤125を送達する。
【0075】
追加的又は代替的に、送達構造128は、別個の作動機構を使用して、密封容器からGI管腔壁に治療用製剤125を送達する構造であってもよい。例えば、送達構造128は、別個の作動機構(例えば、ばね、ピストン、点火器/装薬、ガス)と、治療用製剤125が容器からGI管腔壁に排出されるように治療用製剤125の表面に能動的に力を印加するために作動機構をトリガするための対応する解除機構と、を含むことができる。解除機構は、解除手段108と順次作動する構造であってもよい。例えば、解除機構は、送達アセンブリ120の移動に応答して(例えば、解除機構を消化管流体に選択的に曝露することによって)作動される構造であってもよい。追加的に又は代替的に、解除機構は、送達アセンブリ120が作動した後に解除機構の作動を引き起こすために、解除手段108とは異なる分解速度を有してもよい。1つ以上の実施形態において、送達構造128は、GI管腔壁への治療用製剤125の送達を容易にするために送達構造128をGI管腔壁に対して一時的に保持するための保持特徴(例えば、フック、バーブ(barb))をさらに含んでもよい。
【0076】
摂取可能なデバイス100は、治療用製剤125をGI管腔壁内に送達するための様々な送達構造128のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを含んでもよいことが理解されるべきである。
【0077】
伸張器130は、化学的、機械的、電気的、電気機械的、電気化学的、化学機械的、又は電気機械化学的構造である。伸張器130は、調節可能な構造である。1つ以上の実施形態において、伸張器130は、支持体115に結合され、GI管腔壁に対する送達アセンブリ120の位置合わせを助けるように、支持体115によって画定される長手方向軸に沿って少なくとも軸方向に伸張する(例えば、拡張する、伸張する、膨張する)ように構成される。例えば、伸張器130は、長手方向軸が被験者のGI管腔の長手方向軸と実質的に整列するように、支持体115によって画定される長手方向軸に沿って軸方向に伸張し、それによって、アクチュエータ110の作動時に送達構造128がGI管腔壁に対して実質的に直交するように配向されることを可能にすることができる。GI管腔壁に対する送達構造128の実質的に直交する配置は、管腔壁組織内への治療用製剤125の十分な浸透を促進するのに役立つことができる。伸張器130は、アクチュエータ110の作動に応答して、又は別個のアクチュエータに応答して伸張することができる。伸張器130は、1つ以上の構成要素を含んでもよい。複数の構成要素が伸張器130に含まれる実施形態では、構成要素は、同位置に配置されてもよいし、互いに物理的に分離されてもよい。
【0078】
摂取可能なデバイス100の1つ又は複数の構成要素(例えば、カプセル102、解除手段108、アクチュエータ110、支持体115、送達アセンブリ120、送達構造128、伸張器130)は、例えば、治療用製剤125の送達後に被験者の腸管の残りの部分を通過できるように、そのような構成要素の分解を促進するために、1つ又は複数の生分解性材料から形成されるか、又は他の方法で含むことができる。摂取可能なデバイス100の様々な構成要素と共に使用するのに適することができる生分解性材料の例としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ラクチド、グリコリド、乳酸、グリコール酸、パー-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、及びこれらの混合物及びコポリマが挙げられる。
【0079】
前述の説明は、摂取可能なデバイス100の概要である。図2A図15を参照した以下の説明は、治療用製剤125をGI管腔壁内に送達するための摂取可能なデバイス100の様々な特徴及び態様の例に関する。これらの例は、摂取可能なデバイス100を例示するものであり、摂取可能なデバイス100を限定するものではない。
【0080】
図2Aを参照すると、カプセル形態の摂取可能なデバイス100’の側断面図が、治療用製剤125を送達するために摂取可能なデバイス100’がGI管内の所望の位置に到達する前の第1の状態で図示されている。摂取可能なデバイス100’は、その中に配置された構成要素なしで示されているが、摂取可能なデバイス100’は、その中に配置された解除手段108、アクチュエータ110、支持体115、送達アセンブリ120、治療用製剤125、送達構造128、又は伸張器130のうちの少なくとも1つを含んでもよいことが理解されるべきである。図2Aに示すように、摂取可能なデバイス100’は、概して円筒形の本体と、第1のセグメント102a’及び第2のセグメント102b’によって画定された半球形の端部とを有する嚥下可能カプセルとして構成された筐体102’(筐体102の一実施形態)を含む。第1のセグメント102a’は、第1のセグメント102a’が第2のセグメント102b’に部分的に重なる配置で、第2のセグメント102b’に着脱可能に結合される。第1のセグメント102a’は、第2のセグメント102b’に圧入されてもよい。第1のセグメント102a’と第2のセグメント102b’は、2つのセグメント102a’と102b’の間の外側の継ぎ目に沿って一緒にシールされてもよい。第1のセグメント102a’及び第2のセグメント102b’は、協働して、その中に解除手段108、アクチュエータ110、送達アセンブリ120、治療用製剤125、送達構造128、及び伸張器130のうちの1つ以上を収容するための内部102c’を画定する。筐体102’は、筐体102’内に配置されたアクチュエータ(例えば、アクチュエータ110)の作動を引き起こすように構造化することができる、第1のセグメント102a’の一部を通って延伸する任意の解除手段108’(解除手段108の一実施形態)を含む。摂取可能なデバイス100’は、筐体102’の外面上に配置され、解除手段108’及び筐体102’をGI管の1つ以上の部分を通して分解から一時的に保護する外側コーティング104’をさらに含む。
【0081】
図2Bを参照すると、摂取可能なデバイス100’は、摂取可能なデバイス100’が、外側コーティング104’及び/又は筐体102’の分解をトリガするためにGI管内の所望の位置に到達した第2の状態で示されている。例えば、外側コーティング104’の1つ又は複数の部分、及び/又は筐体102’の1つ又は複数の部分は、胃又は腸(例えば、小腸)内の所望の位置に関連する閾値pH値、又はpH値の範囲内で分解して、治療用製剤125を被験者の管腔壁内に送達するように構造化することができる。解除手段108’は、治療用製剤125の送達のための送達構造128の整列を誘発するように、外側コーティング104’及び/又は筐体102’と同じ条件下又は異なる条件下で分解するように構造化することができる。例えば、解除手段108’の分解は、アクチュエータ110の作動を引き起こし、それによって、伸張器130又は送達アセンブリ120の少なくとも一方を伸張させることができる。これに応答して、支持体115、送達アセンブリ120、又は伸張器130のうちの少なくとも1つは、図2Bにブロック矢印で一般的に表されるように、第2のセグメント102b’から第1のセグメント102a’の軸方向の分離を引き起こすか、又はそれを補助することができる。第2のセグメント102b’からの第1のセグメント102a’の分離は、有利なことに、GI管腔壁への治療用製剤125の送達を容易にするように、送達構造128の整列(上で議論されたように)及び送達アセンブリ120の作動(例えば、送達構造128の展開のための実質的に妨げられない領域を形成することによって)を容易にするのに役立つことができる。
【0082】
ここで図3Aを参照すると、ばね210(アクチュエータ110の一実施形態)の形態のアクチュエータを含む摂取可能なデバイス200の側断面図が示されている。摂取可能なデバイス200は、治療用製剤125をGI管腔壁内に送達するために摂取可能なデバイス200がGI管腔内の所望の位置に到達する前の第1の状態で図示されている。摂取可能なデバイス200は、筐体202(筐体102の実施形態)及び外側コーティング204(外側コーティング104の実施形態)を含む。筐体202は、第2のセグメント202bに着脱可能に結合された第1のセグメント202aを有するカプセルとして構成される。
【0083】
摂取可能なデバイス200は、筐体202の内部に配置された支持体215(支持体115の一実施形態)をさらに含む。支持体215は、摂取可能なデバイス200の概ね長手方向軸201を画定する。支持体215は、第1の支持部214と、第2の支持部216と、を含む。第1の支持部214は、概ね伸縮自在に配置されるように第2の支持部216に移動可能に結合される。図示の例では、第1の支持部214は部分的に第2の支持部216の上に配置され、第2の支持部216に摺動可能に結合されている。第1の支持部214と第2の支持部216は、相補的な形状を有するか、相対的な並進(例えば、摺動)運動を可能にするために互いに相補的な部分を含む。第1の支持部214は、第1の支持部第1の端部214a及び第1の支持部第2の端部214bを画定する。同様に、第2の支持部216は、第2の支持部第1の端部216a及び第2の支持部第2の端部216bを画定する。第1の支持部214は、その外面に配置された突出部214cをさらに含む。突出部214cは、ばね210の膨張時にばね210と係合するための係合面を画定しており、その詳細については後述の段落で説明する。
【0084】
図3Aを再度参照すると、ばね210は、第1の支持部214の外側部分上に配置されている。ばね210は、コイルばねとして示されているが、ばね210は、任意のタイプのばね(例えば、らせん状)、又はばねと同様に機能することができる任意の他のタイプのバイアス部材であってもよいことが理解されるべきである。図3Aに示される位置において、ばね210は、ばね210に結合された解除手段208(解除手段108の実施形態)によって圧縮状態に保持される。例えば、解除手段208は、ばね210の1つ以上のコイルを圧縮状態で保持するために、ばね210の少なくとも一部、又は全部を取り囲むことができる。摂取可能なデバイス200は、第2の支持部216に摺動可能に結合された摺動可能部材217をさらに含む。摺動可能部材217は、ハブ、スリーブ、ピストン、突出部、歯車、又は第2の支持部216に移動可能に結合することができる任意の他の特徴であってよい。例えば、第2の支持部216は、摺動可能部材217を移動可能に受けるスロット、チャネル、外面、又は他の相補的な特徴を含んでいてもよい。図3Aに示す第1の状態では、摺動可能部材217は第1の支持部第2の端部214bに隣接して配置されている。第2の支持部216の少なくとも一部は、第2の支持部216に対する摺動可能部材217の摺動移動を許容するように構成される。摺動可能部材217及び第2の支持部216は、相対的な摺動運動を可能にするために十分に低い摩擦係数を有する1つ又は複数の材料から構成することができる。
【0085】
第1の支持部214又は第2の支持部216の少なくとも一方は、2つのセクション間の相対的な軸方向移動量を制限し、それらが互いに完全に分離するのを防止するための停止機能を含むことができる。
【0086】
摂取可能なデバイス200は、支持体215に枢動可能に結合された送達アセンブリ220(送達アセンブリ120の実施形態)をさらに含む。図3Aに示す実施形態では、摂取可能なデバイス200は、支持体215の反対側に配置された2つの送達アセンブリ220を含むが、摂取可能なデバイス200は、他の実施形態に従って、1つ以上、2つ以上、3つ以上、又は4つ以上の送達アセンブリ220を含んでもよいことが理解されるべきである。デバイス200は、複数のアーム222a~222dを十字形に枢動可能に結合して、後述するように、治療用製剤125を管腔壁内に送達するために被験者のGI管腔壁に向かって長手方向軸201から離れるように外側に延伸するように構成されたはさみ機構(はさみリフトに類似する)の複数の十字部220a、220bを画定する。アーム222a~222dは、実質的に直線状の部材として示されているが、アーム222a~222dは、他の実施形態に従って、実質的に非直線状であってもよく、又は実質的に非直線状の部分を含んでもよい。
【0087】
図3Aに示すように、デバイス200は、枢動可能に結合された2つの十字部220a、220bを含む。第1の十字部220aは、第1のピボットジョイント224aによって、第2の支持部第1の端部216aにおいて、又はその近傍において、第2の支持部216に枢動可能に結合された第1のアーム222aを含む。第1の十字部220aは、第2のピボットジョイント224bによって摺動可能部材217に枢動可能に結合された第2のアーム222bをさらに含む。第1のアーム222a及び第2のアーム222bは、互いに対して十字形に配置され、各アーム222a、222bの両端部の間の位置で第3のピボットジョイント224cによって枢動可能に結合され、第1の十字部220aを画定する。第2の十字部220bは、第1の十字部220aの遠位端、又はその近傍で、第1の十字部220aに枢動可能に結合される。例えば、第2の十字部220bは、第4のピボットジョイント224dによって第1のアーム222aの端部に枢動可能に結合された第3のアーム222cを含む。第2の十字部220bは、第5のピボットジョイント224eによって第2のアーム222bの端部に枢動可能に結合された第4のアーム222dをさらに含む。第3のアーム222c及び第4のアーム222dは、互いに対して十字形に配置され、各アーム222c、222dの端部の間の位置で第6のピボットジョイント224fによって枢動可能に結合され、第2の十字部220bを画定する。ピボットジョイント224a~224fはそれぞれ、ピン、ボール・ソケットジョイント、ヒンジ、又はそれぞれのアーム222a~222dの間の相対的な枢動可能な動きを可能にすることができる他の(受動的又は能動的)ジョイントとして構成されてもよい。上述したように、デバイス200は、任意の数の十字部(例えば、十字部220a、220b、及び十字部220a、220bと同様であるか、又は十字部220a、220bに代わる追加的な十字部又は少数の十字部)を含むことができる。
【0088】
送達アセンブリ220は、第7及び第8のピボットジョイント224g、224hそれぞれによって、第2の十字部220bの遠位端、又はその近傍において、第2の十字部220bに枢動可能かつ摺動可能に結合されたプラットフォーム226をさらに含む。例えば、ピボットジョイント224g、224hはそれぞれ、ピン、ボール・ソケットジョイント、ヒンジ、又は他のジョイントとして構成されてもよく、プラットフォーム226は、ピボットジョイント224g、224hと係合して、プラットフォーム226に対する第2の十字部220bの摺動可能かつ枢動可能な移動を可能にするための、1つ又は複数のレール、チャネル、スロット、又は他の相補的な特徴を含んでもよい。プラットフォーム226は概ね平面であり、プラットフォーム226に結合されるか、又はプラットフォーム226と一体的に形成される送達構造128に支持を提供する構造である。送達構造128及び治療用製剤125は、図3A~3Bにブロック図式で示されているが、送達構造128は、その中に1つ又は複数の治療用製剤125を収容し、送達構造128から治療用製剤125を管腔壁内又は周囲組織内に排出する構造である。送達構造128の種々の実施形態の詳細については、図10A~13Bを参照して後述する。
【0089】
図3Bを参照して後述するように、アーム222a~222dは、送達構造128からGI管腔壁内への治療用製剤125の送達を容易にするように、各送達アセンブリ220が折り畳まれた状態(図3Aに示される)から伸張した状態(図3Bに示される)まで調節するように、互いに対して及びプラットフォーム226に対して相対的に枢動するように構成される。各送達アセンブリ220は、送達構造128がGI管腔壁に接触するまで外側に伸張するように構成されてもよい。追加的に又は代替的に、送達アセンブリ220は、例えば、アーム222a~222dのサイズ(例えば、長さ)の選択、各送達アセンブリ220に含める十字部の数の選択、及び/又はばね210の選択(例えば、ばねの硬さ、ばねの移動量。)によって、特定の距離、又は複数の距離の範囲内で、支持体215から外側に延伸するように構成されてもよい。
【0090】
図3Aを再度参照すると、摂取可能なデバイス200は、支持体215及び摺動可能部材217に結合された伸張器230(伸張器130の実施形態)をさらに含む。伸張器230は、長手方向軸201に沿って軸方向に延伸するように構成されており、被験者のGI管腔内で摂取可能なデバイス200を方向付け、GI管腔壁に対してほぼ垂直な態様で治療用製剤125の送達を容易にする。例えば、伸張器230は、それぞれのピボットジョイント234a~234iによってジグザグパターンで一緒に枢動可能に結合された複数のフレーム部材232a~232hを含み、拡張可能なワイヤフレーム又は骨格様構造を画定する。ピボットジョイント234a~234iは、上述したピボットジョイント224a~224fと同様の構造とすることができる。伸張器230は、任意の数のフレーム部材を含むことができる。伸張器230は、任意の適切な断面形状(例えば、円形、三角形、五角形、六角形)を有する概ね細長い構造を画定することができる。追加的又は代替的に、伸張器230は、(蛇腹又はアコーディオンに類似した)膨張することができる1つ又は複数の協心した側面を含む中空の一体構造であってもよい。伸張器230は伸張器第1の端部230aと、伸張器第2の端部230bとを画定する。伸張器第1の端部230aは、第1の支持部第1の端部214aにおいて、又は第1の支持部第1の端部214aの近傍において、第1の支持部214に結合されている。伸張器第2の端部230bは、(例えば、第2のピボットジョイント224bを介して)摺動可能部材217に結合されている。伸張器230は、解除手段208及びアクチュエータ210の上に配置されて示されているが、解除手段208は、解除手段208の作動(例えば、GI管内の流体との接触による分解)を可能にするために、伸張器230の1つ以上の開口部からアクセス可能であってもよいことが理解されるべきである。
【0091】
ここで図3Bを参照すると、摂取可能なデバイス200が、送達構造128から被験者のGI管腔壁に治療用製剤125を送達するために、被験者のGI管腔内の所望の位置に到達した後の第2の状態で示されている。図3Bに示されるように、筐体202及び/又は外側コーティング204は、摂取可能なデバイス200がGI管内の所望の位置に到達した結果として部分的に(そして完全にであってもよい)分解され、これは、例えば、筐体202及び/又は外側コーティング204の分解をトリガするための選択された又は閾値のpH値と関連付けられる。その結果、GI管内の流体は、解除手段208を作動(例えば、分解)するように、解除手段208に接触するために筐体202の内部に到達することが許容される。解除手段208の作動に応答して、ばね210は、圧縮状態(図3Aに示される)から拡張状態(図3Bに示される)に解除される。長手方向軸201に沿ったばね210の拡張は、第1の支持部214及び第2の支持部216を軸方向に互いに離れるように移動させ、それによって支持体215の軸方向の長さを延長させる。さらに、ばね210の膨張により、摺動可能部材217は、第2の支持部216に沿って第2の支持部第1の端部216aに向かって軸方向に並進(例えば、摺動)する。例えば、ばね210の膨張時に、ばね210の一端は、第1の支持部214上の突出部214cに接触して、第1の支持部214を第2の支持部216から軸方向に押しやる。ばね210の第2の反対側の端部は、摺動可能部材217に接触して、摺動可能部材217を第2の支持部216に沿って第2の支持部第1の端部216aに向かって押しつける。
【0092】
摺動可能部材217の第2の支持部第1の端部216aに向かう軸方向移動と、第1の支持部214の第2の支持部216から離れる軸方向移動も、伸張器230を長手方向軸201に沿って軸方向に延在させる。例えば、伸張器第1の端部230aは、第1の支持部214に対して軸方向に固定された位置にある。伸張器第2の端部230bは、摺動可能部材217に結合されている。したがって、摺動可能部材217の第2の支持部第1の端部216aに向かう並進運動と、第1の支持部214の第2の支持部216から離れる軸方向運動とによって、伸張器230は、長手方向軸201に沿って2方向に軸方向に延伸する。図3Bに示すように、第1の支持部214及び/又は伸張器230の軸方向移動は、有利には、カプセル202の第1及び第2のセグメント202a、202bを押し広げて、それによって、GI管腔壁に向かって送達構造128を展開するための実質的に妨げられない領域を形成するのを助けることができる。さらに、伸張器230の伸張及び支持体215の伸張は、伸張器230及び支持体215が作動される管腔内の特定の位置において、長手方向軸201をGI管腔の長手方向軸と実質的に整列させるのに役立つ。長手方向軸201をGI管腔の長手方向軸と実質的に一致させることは、有利なことに、治療用製剤125のGI管腔壁への送達を容易にするのに役立つように、送達構造128をGI管腔壁に対して実質的に直交するように方向付けるのに役立つことができる。
【0093】
長手方向軸201に沿った摺動可能部材217の軸方向移動は、さらに、各送達アセンブリ220がGI管腔壁に向かって長手方向軸201から離れるように外側に延伸するように、アーム222a~222dを互いに対して枢動させる。例えば、図3Bに示されるように、摺動可能部材217を介して第2のアーム222bが第1のアーム222aに向かって並進運動することにより、第1のアーム222aが支持体215に対して固定された軸方向位置にあるので、第2のアーム222bが第2のピボットジョイント224bを中心に枢動し、第1のアーム222aが第1のピボットジョイント224aを中心に枢動する。この動きは、第3のアーム222c及び第4のアーム222dを互いに対して相対的に枢動させ、プラットフォーム226に対して相対的に枢動/並進運動させ、それによって、各送達アセンブリ220を長手方向軸201から離れて外向きに(例えば、横方向に)伸張させる。各送達アセンブリ220の外方への伸張により、各送達構造128は、治療用製剤125の送達のためにGI管腔壁に隣接して(又は係合するように)配置される(例えば、図10A~13B及び関連する考察を参照のこと)。送達構造128からの治療用製剤125の送達後、摂取可能なデバイス200の残りの部分(例えば、送達アセンブリ220、ばね210、支持体215、送達構造128、及び伸張器230)は、分解及び/又はGI管の残りの部分を通過して、被験者の肛門から出ることができる。
【0094】
前述の説明から分かるように、単一の解除手段208の作動により、アクチュエータ210は、支持体215及び伸張器230を長手方向軸201に沿って軸方向に(双方向矢印236によって示されるように)実質的に同時に伸張させ、各送達アセンブリ220を長手方向軸201から外側に(一方向矢印238によって示されるように)伸張させる。単一の解除手段及びアクチュエータに頼ることは、支持体215、送達アセンブリ220、及び伸張器230の一貫した作動を可能にし、治療用製剤125の送達のための送達構造128の一貫した整列及び展開を達成するのに役立つ。さらに、単一の解除手段を使用することにより、摂取可能なデバイス200の構成要素の数が減少し、それによりデバイスの組立時間及びコストが低減される。他の実施形態によれば、例えば、支持体215、送達アセンブリ220、及び伸張器230を順次作動させるために、デバイス200に(解除手段208に加えて)複数の解除手段を含めることが有利であり得る。
【0095】
参照を容易にするために、支持体215の上方(又は下方)の特定の構成要素は、図3A~3Bにおいて参照数字の引出線で示されているが、支持体215の下方(又は上方)の同様の構成要素については参照数字の引出線は示されていない(例えば、アーム222a~222d、ピボットジョイント224a~224h、プラットフォーム226、伸張器230及びその端部230a、230b、フレーム部材232a~232h、ピボットジョイント234a~234i)に対する引出線が示されているが、支持体215の上方及び下方に位置する同様の構成要素は同様の引出線によって参照されることが理解されるべきである。
【0096】
次に図4Aを参照すると、拡張可能部材310(アクチュエータ110の実施形態)の形態のアクチュエータを含む摂取可能なデバイス300の側断面図が示されている。以下により詳細に説明するように、拡張可能部材310は、デバイスの伸張器330(伸張器130の実施形態)としても機能する。摂取可能なデバイス300は、治療用製剤125をGI管腔壁内又は周囲組織内に送達するために、摂取可能なデバイス300がGI管腔内の所望の位置に到達する前の第1の状態で図示されている。摂取可能なデバイス300は、筐体302(筐体102の実施形態)及び外側コーティング304(外側コーティング104の実施形態)を含む。筐体302は、第2のセグメント302bに着脱可能に結合された第1のセグメント302aを有するカプセルとして構成されている。
【0097】
摂取可能なデバイス300は、筐体302の内部に配置された支持体315(支持体115の一実施形態)をさらに含む。支持体315は、摂取可能なデバイス300の概ね長手方向軸301を画定する。支持体315は、第1の支持部314と、第2の支持部316と、を含む。第1の支持部314は、第2の支持部316に移動可能に結合され、概ね伸縮自在に配置される。図示の例では、第1の支持部314は部分的に第2の支持部316内に配置され、第2の支持部316に摺動可能に結合されている。第1の支持部314と第2の支持部316は、相補的な形状を有するか、相対的な並進(例えば、摺動)運動を可能にするために互いに相補的な部分を含む。第1の支持部314は、第1の支持部第1の端部314a及び第1の支持部第2の端部314bを画定する。同様に、第2の支持部316は、第2の支持部第1の端部316a及び第2の支持部第2の端部316bを画定する。第1の支持部314は、第1の支持部314の外側側面部分から第1の支持部第1の端部314aまで延伸するチャネル314cを含む。解除手段318は、チャネル314cを一時的に塞ぐように第1の支持部第1の端部314aに結合されている。チャネル314c及び解除手段318は、以下でさらに詳細に説明するように、拡張可能部材310を収縮させるための収縮弁を集合的に画定する。
【0098】
図4Aを再度参照すると、拡張可能部材310は、第1の端部で第1の支持部314に結合され、第1の端部の反対側に位置する第2の端部で摺動可能部材317に結合されている。摺動可能部材317は、第2の支持部316に移動可能に結合され、長手方向軸301に沿って第2の支持部316に対して軸方向に相対的に並進(例えば、摺動)する構造である。拡張可能部材310は、膨張可能な風船として示されているが、拡張可能部材310は、アコーディオン又は蛇腹に類似した、膨張可能な1つ又は複数の協心した側面を有する別のタイプの膨張可能構造など、異なる構造であってもよい。拡張可能部材310は、支持体315の少なくとも一部又は全部を実質的に取り囲んでいる。拡張可能部材310の少なくとも一部は、筐体302の内部における拡張可能部材310の適合性を向上させるために、膨張前に、図4Aに示す第1の状態で折り畳まれるか、又は他の方法で配置することができる。
【0099】
摂取可能なデバイス300は、拡張可能部材310に結合された解除手段308(解除手段108の実施形態)をさらに含む。解除手段308は、拡張可能部材310の第1のチャンバ310a及び第2のチャンバ310bを一時的に画定するように、拡張可能部材310に結合される。第1のチャンバ310aは第2のチャンバ310bから一時的に分離され、実質的に密閉される。例えば、解除手段308は、拡張可能部材310の外側部分に配置され、一時的に別個の第1及び第2のチャンバ310a、310bを画定するように拡張可能部材310の一部(例えば、対向する側部)を挟み、折り畳み、又は圧縮するバンド、クリップ、又は他の構造としてもよい。第1のチャンバ310aは、その中に含まれる第1の反応物、例えば酸(例えば、クエン酸)を含む。第2のチャンバ310bは、その中に含まれる第2の反応物、例えば炭酸塩(例えば、炭酸水素カリウム)を含む。拡張可能部材310は、可撓性材料(例えば、HPMC)の1つ以上の層で構成され、拡張可能部材310の内部での第1の反応物と第2の反応物の混合によって引き起こされる化学反応に応じて拡張可能部材310の膨張を可能にする。拡張可能部材310はさらに、チャネル314cと流体連通する開口部310cを含み、拡張可能部材310を収縮させるための収縮バルブの一部として機能する。
【0100】
図4Aを再度参照すると、摂取可能なデバイス300は、支持体315に枢動可能に結合された送達アセンブリ320(送達アセンブリ120の実施形態)をさらに含む。図4Aに示される実施形態では、摂取可能なデバイス300は、支持体315の反対側に配置された2つの送達アセンブリ320を含むが、摂取可能なデバイス300は、他の実施形態に従って、1つ以上、2つ以上、3つ以上、又は4つ以上の送達アセンブリ320を含んでもよいことが理解されるべきである。送達アセンブリ320は、図3A~3Bの送達アセンブリ220と同様の構造である。したがって、簡潔にするために、送達アセンブリ320の構造及び機能に関する追加の詳細については、図3A~3Bに関する送達アセンブリ220の説明を参照する。
【0101】
図4Aに示されるように、複数のアーム322a~322dは、ピボットジョイント324a~324fによって、各送達アセンブリ320を十字状に支持体315に枢動可能に結合し、図3A~3Bの送達アセンブリ220を参照して先に議論されたように、はさみ機構(はさみリフトに類似する)の第1及び第2の十字部320a、320bを画定する。これは、図3A~3Bの送達アセンブリ220を参照して前述したように、治療用製剤125をGI管腔壁内に送達するために、被験者のGI管腔壁に向かって長手方向軸301から外向きに延伸するように構成されている。デバイス300は、他の実施形態に従って、2つよりも多い、又は少ない十字部を含むことができる。第1のアーム322aは、第2の支持部316の第1の端部316a又はその近傍で、第2の支持部316に枢動可能に結合される。第2のアーム322bは、摺動可能部材317に枢動可能に結合されている。デバイス300は、ピボットジョイント324g~324hによって第2の十字部320bに枢動可能かつ摺動可能に結合されたプラットフォーム326をさらに含む。その中に1つ又は複数の治療用製剤125を含む送達構造128が、プラットフォーム326に結合されるか、又はプラットフォーム326と一体的に形成される。
【0102】
ここで図4Bを参照すると、摂取可能なデバイス300が、送達構造128からGI管腔壁に治療用製剤125を送達するために、摂取可能なデバイス300が被験者のGI管腔内の所望の位置に到達した第2の状態で示されている。図4Bに示されるように、筐体302及び/又は外側コーティング304は、摂取可能なデバイス300がGI管内の所望の位置に到達した結果として部分的に(又は完全に)分解され、これは、例えば、筐体302及び/又は外側コーティング304の分解をトリガするための選択された又は閾値のpH値と関連付けられる。筐体302及び/又は外側コーティング304の少なくとも部分的分解の結果として、GI管内の流体は、解除手段308を作動(例えば、分解)するように解除手段308に接触するために筐体302の内部に到達することが許容される。解除手段308の作動により、第1及び第2のチャンバ310a、310bは流体連通状態になり、これにより第1の反応物が第2の反応物と混合して化学反応を起こし、ガス319(例えば、二酸化炭素ガス(CO))が形成され、拡張可能部材310が長手方向軸301から離れて軸方向に外側に膨張する。長手方向軸301に沿った拡張可能部材310の膨張により、第1の支持部314が第2の支持部316から軸方向に離れ、それにより支持体315の軸方向長さが延伸する(双方向矢印332で示す)。さらに、拡張可能部材310の拡張により、摺動可能部材317が第2の支持部316に沿って第2の支持部第1の端部316aに向かって軸方向に並進(例えば、摺動)する。例えば、拡張可能部材310の拡張時、拡張可能部材310の第1の端部は、第1の支持部314を第2の支持部316から軸方向に遠ざける。拡張可能部材310の第2は、摺動可能部材317を第2の支持部316に沿って第2の支持部第1の端部316aに向かって軸方向に並進させる。
【0103】
図4Bに示すように、拡張可能部材310の軸方向及び/又は外向きの拡張は、有利には、カプセル302の第1及び第2のセグメント302a、302bを押し広げて、それによってGI管腔壁に向かって送達構造128を展開するための実質的に妨げられない領域を形成するのを補助するのに役立つことができる。さらに、拡張可能部材310の拡張及び支持体315の対応する軸方向拡張は、拡張可能部材310及び支持体315が作動されるGI管腔内の位置において、長手方向軸301をGI管腔の長手方向軸と実質的に整列させるのに役立つ。このようにして、拡張可能部材310は、摂取可能なデバイス300の伸張器330(伸張器130の実施形態)として効果的に機能することができる。さらに、長手方向軸301をGI管腔の長手方向軸と実質的に整合させることは、有利には、送達構造128からの治療用製剤125の送達を容易にするように、送達構造128をGI管腔壁に対して実質的に直交するように配向させるのに役立つことができる。
【0104】
長手方向軸301に沿った摺動可能部材317の軸方向移動はまた、各送達アセンブリ320がGI管腔壁に向かって長手方向軸301から離れるように外側に延伸するように、それぞれのアーム322a~322dを相対的に枢動させる(一方向矢印334によって示されるように)。例えば、摺動可能部材317を介して第2のアーム322bが第1のアーム322aに向かって並進運動することにより、第1のアーム322aが支持体315に対して固定位置にあるので、第2のアーム322bが第2のピボットジョイント324bを中心に枢動し、第1のアーム322aが第1ピボットジョイント324aを中心に枢動する。この動きは、今度は、第3のアーム322c及び第4のアーム322dを、同様に、互いに対して、及びプラットフォーム326に対して相対的に枢動させ、それによって、各送達アセンブリ320を、長手方向軸301から離れて外側に伸張させる。各送達アセンブリ320の外方への伸張により、送達構造128は、治療用製剤125の送達のためにGI管腔壁に隣接して(又は係合するように)配置される(例えば、図10A~13B及び関連する考察を参照されたい)。
【0105】
送達構造128からの治療用製剤125の送達中及び/又は送達後、収縮弁は、拡張可能部材310が膨張して腸管の残りの部分を通るデバイス300の通過を容易にするのを助けることができるように、拡張可能部材310に含まれるガス319がチャネル314cを通って第1の支持部第1の端部314aを通ってデバイスから出ることを可能にする構造である。例えば、解除手段318は、チャネル314cを一時的に遮断するように第1の支持部第1の端部314aに結合される。解除手段318は、拡張可能部材310に含まれるガス319の多くの部分を排出する前に、拡張可能部材310の拡張及び治療用製剤125の送達のための送達アセンブリ320の拡張を可能にするのに十分な時間を確保するために、特定の速度で、又は特定のpH値で分解するように構成することができる。追加的又は代替的に、解除手段318は、拡張可能部材310内の圧力(例えば、閾値の圧力値)に応答して分解、移動、又は開放する構造であってもよい。追加的又は代替的に、拡張可能部材310は、ガス319が拡張可能部材310から出るように拡張可能部材310内の内圧に応答して開くフラップ又は他の構造などの収縮弁をそれ自体含んでもよい。摂取可能なデバイス300の残りの部分(例えば、送達アセンブリ320、拡張可能部材310、支持体315)は、分解及び/又はGI管の残りの部分を通過して、被験者の肛門から出ることができる。
【0106】
次に図5Aを参照すると、ハウジング414内に摺動可能に配置されたピストン415cの形態のアクチュエータ410(アクチュエータ110の一実施形態)を含む摂取可能なデバイス400の側断面図が示されている。図示の実施形態では、アクチュエータ410は、ピストン415cを作動させるためにハウジング414内に配置された装薬417及び点火器418をさらに含む。他の実施形態(図示せず)では、アクチュエータ410は、ピストン415cを作動させるためのガス(例えば、CO)を生成するために化学反応を起こすためにハウジング414内に配置された1つ以上の反応物を含むことができる。図5Aに示すように、摂取可能なデバイス400は、治療用製剤125をGI管腔壁内又は周囲組織内に送達するために、摂取可能なデバイス400がGI管腔内の所望の位置に到達する前の第1の状態で図示されている。摂取可能なデバイス400は、筐体402(筐体102の実施形態)及び外側コーティング404(外側コーティング104の実施形態)を含む。筐体402は、第2のセグメント402bに着脱可能に結合された第1のセグメント402aを有するカプセルとして構成されている。
【0107】
摂取可能なデバイス400は、筐体402の内部に配置された支持体415(支持体115の一実施形態)をさらに含む。支持体415は、摂取可能なデバイス400の概ね長手方向軸401を画定する。支持体415は、支持体第1の端部415aと反対側に位置する支持体第2の端部415bとを含む。支持体415はさらに、支持体415に結合された、又は支持体415と一体的に形成されたピストン415cを含む。ピストン415cは、支持体第1の端部及び第2の端部415a、415bの間に位置する。以下により詳細に議論されるように、支持体415は、アクチュエータ410の作動時にピストン415cを介してハウジング414に対して移動可能である。
【0108】
ハウジング414は、ハウジング第1の開口部414a’を有するハウジング第1の端部414aと、ハウジング第2の開口部414b’を有するハウジング第2の端部414bとを画定する。ハウジング414はさらに、ピストンチャンバ414c及び反応チャンバ414dを含む内部を画定する。ピストンチャンバ414cは、長手方向軸401に沿って軸方向に延伸するハウジング414の内壁部分によって画定される。反応チャンバ414dは、ピストンチャンバ414cに隣接して配置されたハウジング414の内壁部分によって画定される。反応チャンバ414dは、その中に配置された装薬417及び点火器418を含む。装薬417は、点火器418に隣接して、及び/又は点火器418に接触して配置される。装薬417は、ニトロセルロース(例えば、ニトロセルロースシート)又は他の可燃性材料もしくは材料の組合せからなる組成物のような可燃性材料であってよい。点火器418は、電気信号(例えば、電流)の受信に応答して、装薬417を点火するのに十分な熱、火花、火炎、又は他のエネルギーを発生させるためのコイル(図示の通り)、導電性ワイヤ又はフィラメント(例えば、タングステンフィラメント)、又は他の構造であってもよい。
【0109】
ハウジング414は、ハウジング414の周囲部分に結合された電気接点416をさらに含む。電気接点416は、点火器418及び電気回路419(図5Aにブロック図式で示す。図5Aに示される第1の状態において電気接点416がGI管内の流体と接触するのを一時的に防止するために、電気接点416の各々の外側部分に、コーティング又はカバーの形態の解除手段408(解除手段108の実施形態)が適用される。後述するように、電気回路419は、解除手段408がもはや電気接点416を覆わなくなった後にGI管からの流体が電気接点416間の空間に入るときに生じる電気接点416間の低抵抗に応答して信号(例えば、電流)を生成するように構成される。電気回路419はさらに、生成された信号に応答して、点火器418が装薬417の燃焼を開始するように構成される。
【0110】
例えば、電気回路419は、ハウジング414に結合された電源(例えば、電池)及び1つ又は複数のエネルギー蓄積部品(例えば、コンデンサ)を含むことができる。電気回路419は、トランジスタ、電気スイッチ、抵抗器、又は他の構成要素などの1つ又は複数の追加の電気構成要素をさらに含んでもよい。電気回路419は、電気接点416がGI管内の流体によって短絡され、電源からの電流がエネルギー貯蔵部品に流れることを可能にするような構造であってもよい。十分な量の電流がエネルギー貯蔵部品に蓄積されると、エネルギー貯蔵部品は、点火器418を横切って電気回路419を通して蓄積されたエネルギーを放電することができ、それにより点火器418が装薬417の燃焼を開始する。
【0111】
あるいは、電気回路419は、GI管内の状態を感知するためにハウジング414に結合された1つ以上のセンサを含むことができる。電気回路419は、感知された状態に応答して処理回路のメモリに記憶された命令を実行して点火器418に装薬417の燃焼を開始させるためのプロセッサを含む処理回路をさらに含むことができる。例えば、1つ以上のセンサは、ハウジング414に結合されてもよく、GI管内の状態(例えば、pH値、温度、電解値)を感知して対応する信号を生成する構造であってもよい。プロセッサは、信号を受信し、処理回路のメモリに記憶された情報に基づいてエネルギー貯蔵部品に貯蔵された電流を放電し、それによって点火器418の起動を引き起こすことができる。
【0112】
図5Aを再度参照すると、支持体415は、ピストン415cがピストンチャンバ414c内に摺動可能に配置されるように、少なくとも部分的にハウジング414内に配置され、ハウジング414に移動可能に結合されている。ピストン415cは、ハウジング414の内面に摺動可能に結合され、(例えば、1つ以上のピストンリング、シールを介して)シール可能に係合することができる。図5Aに示される第1の状態において、支持体415は、支持体第1の端部415aがハウジング第1の端部414aに隣接してハウジング414の外側に配置され、支持体第2の端部415bがハウジング414及びハウジング第2の端部414bの外側に配置されるように、ハウジング第1の開口部414a’及びハウジング第2の開口部414b’を通って延伸する。ハウジング414は、ピストンチャンバ414c及び反応チャンバ414d内に実質的に流体密なシールを形成するように支持体415と密封係合するための、ハウジング第1の開口部414a’及びハウジング第2の開口部414b’における1つ以上のシールを含んでもよい。ハウジング414、接点416、装薬417、点火器418、及び/又は電気回路419は、集合的にアクチュエータ410を規定することができる。以下で議論されるように、ピストン415cは、反応チャンバ414d内の装薬417の点火に応答して、ピストンチャンバ414c内で軸方向に移動する。
【0113】
図5Aを再度参照すると、摂取可能なデバイス400は、支持体415に枢動可能に結合された送達アセンブリ420(送達アセンブリ120の実施形態)をさらに含む。図5Aに示される実施形態では、摂取可能なデバイス400は、支持体415の反対側に配置された2つの送達アセンブリ420を含むが、摂取可能なデバイス400は、他の実施形態に従って、1つ以上、2つ以上、3つ以上、又は4つ以上の送達アセンブリ420を含んでもよいことが理解されるべきである。送達アセンブリ420は、図3A~3Bの送達アセンブリ220と同様の構造である。したがって、簡潔にするために、送達アセンブリ420の構造及び機能に関する追加の詳細については、図3A~3Bに関する送達アセンブリ220の説明を参照する。
【0114】
図5Aに示すように、デバイス400は、ピボットジョイント424a~424hによって十字状に枢動可能に結合された複数のアーム422a~422dをさらに含み、図3A~3Bを参照して先に論じたように、治療用製剤125をGI管腔壁内に送達するために被験者のGI管腔壁に向かって長手方向軸401から離れるように外側に延伸するように構成されたはさみ機構(はさみリフトに類似)の第1及び第2の十字部420a、420bを画定する。デバイス400は、他の実施形態に従って、2つの十字部より多いか又は少ないセクションを含むことができる。第2のアーム422bは、ハウジング414に枢動可能に結合されている。第1のアーム422aは、支持体第2の端部415b又はその近傍で支持体415に枢動可能に結合されている。デバイス400は、第2の十字部420bの端部に枢動可能かつ摺動可能に結合されたプラットフォーム426をさらに含む。その中に1つ以上の治療用製剤125を含む送達構造128が、各プラットフォーム426に結合されるか、又は各プラットフォーム426と一体的に形成される。
【0115】
摂取可能なデバイス400は、支持体415及びハウジング414に結合された伸張器430(伸張器130の実施形態)をさらに含む。伸張器430は、GI管腔壁に対して実質的に垂直な態様で治療用製剤125の送達を促進するために、被験者のGI管腔内で摂取可能なデバイス400を方向付けるのを助けるように、長手方向軸401に沿って軸方向に延伸するように構成されている。例えば、伸張器430は、複数のフレーム部材432a~432hをピボットジョイント434a~434iによってジグザグパターンで枢動可能に結合して、拡張可能なワイヤフレーム又は骨格のような構造を画定する。伸張器430は、任意の適切な断面形状(例えば、円形、三角形、五角形、六角形)を有する概ね細長い構造を画定することができる。追加的に又は代替的に、伸張器430は、膨張可能な1つ又は複数の協心した側面(蛇腹又はアコーディオンに類似)を含む中空の一体構造であってもよい。伸張器第1の端部430aは支持体第1の端部415aに結合されている。伸張器第2の端部430bはハウジング414に結合されている。
【0116】
次に図5Bを参照すると、摂取可能なデバイス400が、送達構造128から治療用製剤125を被験者のGI管腔壁内に送達するために、被験者のGI管腔内の所望の位置に到達した後の第2の状態で示されている。図5Bに示されるように、筐体402及び/又は外側コーティング404は、摂取可能なデバイス400がGI管内の所望の位置に到達した結果として部分的に(又は完全に)分解され、これは、例えば、筐体402及び/又は外側コーティング404の分解をトリガするための選択された又は閾値のpH値と関連付けられる。筐体402及び/又は外側コーティング404の少なくとも部分的分解の結果として、GI管内の流体は、解除手段408を作動(例えば、分解)するように解除手段408に接触するために筐体402の内部に到達することが許容される。解除手段408の作動に応答して、電気接点416は、電気回路419を通る電流の流れを可能にするように電気接点416を横切る電気短絡を引き起こすために、GI管内の体液に曝される。電気回路419から発生する電流は、反応チャンバ414d内に燃焼力を発生させるために点火器418に装薬417を点火させるのに十分である。反応チャンバ414d内で発生した力は、ピストン415c、従って支持体415を、長手方向軸401に沿ってハウジング第1の端部414aに向かって軸方向に移動させる(双方向矢印436で示されるように)。支持体415のこの軸方向移動は、伸張器第1の端部430aが支持体第1の端部415aに対して固定された軸方向位置にあり、伸張器第2の端部430bがハウジング414に結合されているので、(双方向矢印436で示されるように)伸張器430をハウジング414から離れる方向に軸方向に伸張させる。
【0117】
図5Bに示すように、伸張器430の軸方向の伸張は、有利には、カプセル402の第1及び第2のセグメント402a、402bを押し広げて、それによって、GI管腔壁に向かって送達構造128を展開するための実質的に妨げられない領域を形成するのを補助するのに役立つことができる。さらに、伸張器430の軸方向伸張は、伸張器430が作動されるGI管腔内の位置において、長手方向軸401をGI管腔の長手方向軸と実質的に整列させるのに役立つ。長手方向軸401をGI管腔の長手方向軸と実質的に整列させることは、送達構造128からの治療用製剤125の送達を容易にするように、送達構造128をGI管腔壁に対して実質的に直交するように方向付けるのに役立つことができる。
【0118】
ハウジング414に対する長手方向軸401に沿った支持体415の軸方向移動はまた、各送達アセンブリ420が長手方向軸401からGI管腔壁に向かって外側に延伸するように、(一方向矢印438で示すように)それぞれのアーム422a~422dを相対的に枢動させる。例えば、ハウジング414に対する長手方向軸401に沿った支持体415の並進運動は、第1のアーム422aが支持体415上の固定位置にあり、第2のアーム422bがハウジング414に結合されているので、第2のアーム422bを第2のピボットジョイント424bを中心に枢動させ、第1のアーム422aを第1のピボットジョイント424aを中心に枢動させる。これにより、第3のアーム422c及び第4のアーム422dが、同様に、互いに対して、及びプラットフォーム426に対して相対的に枢動し、それにより、各送達アセンブリ420が、長手方向軸401から離れて外側に伸張する。各送達アセンブリ420の外方への伸張により、送達構造128は、管腔壁内への治療用製剤125の送達のためにGI管腔壁に隣接して(又は係合するように)配置される(例えば、図10A~13B及び関連する考察を参照のこと)。送達構造128からの治療用製剤125の送達後、摂取可能なデバイス400の残りの部分(例えば、送達アセンブリ420、ハウジング414、支持体415、及び伸張器430のうちの1つ以上)は、分解及び/又はGI管の残りの部分を通過して被験者の肛門から出ることができる。
【0119】
参照を容易にするために、支持体415の上方(又は下方)にある特定の構成要素が図5A~5Bに参照数字の引出線で示されているのに対し、支持体415の下方(又は上方)にある同様の構成要素については参照数字の引出線が示されていないが、支持体415の上方及び下方に位置する同様の構成要素は同様の引出線で参照されることが理解されるべきである。
【0120】
図6Aを参照すると、モータ510(アクチュエータ110の一実施形態)の形態のアクチュエータを含む摂取可能なデバイス500の側断面図が示されている。図示の実施形態では、モータ510はスクリュー型回転モータである。他の実施形態(図示せず)では、モータ510はリニアモータである。図6Aに示すように、摂取可能なデバイス500は、治療用製剤125をGI管腔壁内に送達するために摂取可能なデバイス500がGI管腔内の所望の位置に到達する前の第1の状態で図示されている。摂取可能なデバイス500は、筐体502(筐体102の実施形態)及び外側コーティング504(外側コーティング104の実施形態)を含む。筐体502は、第2のセグメント502bに着脱可能に結合された第1のセグメント502aを有するカプセルとして構成される。
【0121】
摂取可能なデバイス500は、筐体502の内部に配置された支持体515(支持体115の一実施形態)をさらに含む。支持体515は、摂取可能なデバイス500の概ね長手方向軸501を画定する。支持体515は、支持体第1の端部515aと、支持体第1の端部515aの反対側に位置する支持体第2の端部515bとを含む。支持体515はさらに、第1及び第2の端部515a、515bの間に位置する外側ねじ部515cを含む。ねじ部515cは、支持体515の少なくとも一部、又は支持体515の全長に沿って延伸することができる。ねじ部515cは、支持体515がモータ510を通って延伸し、モータ510に対して移動可能であるように、モータ510に螺合(ねじ結合)される。以下により詳細に説明するように、支持体515は、モータ510の作動時にモータ510に対するねじ部515cの回転運動を介して長手方向軸501に沿って並進する構造である。他の実施形態(図示せず)では、支持体515は、ラックとして機能するリニアギアを含み、モータ510は、長手方向軸501に沿ってモータ510に対して支持体515を並進させるためにリニアギアに回転可能に結合されるピニオンとして機能する回転ギアを含む。
【0122】
図6Aを再度参照すると、モータ510は、モータハウジング510aと回転可能シャフト510bとを含むスクリュー型回転モータである。モータ510は、電気モータ(例えば、マイクロ直流(DC)モータ、同期又は非同期モータ、マイクロ交流(AC)モータ、ステッピングモータ、又はサーボモータ)、ナノモータ、磁気モータ、又はカプセル502内に収容可能な他の任意のタイプのマイクロスケール回転モータであってもよい。回転可能シャフト510bは、モータ510の作動時にモータハウジング510aに対して回転可能である。回転可能シャフト510bは中空であり、支持体515が回転可能シャフト510bにねじ結合できるように、支持体515の外側ねじ部515cと相補的な内側ねじ部を含む。モータハウジング510aは、電気接点516と、電気接点516に動作可能に結合された電気回路519(ブロック図で示す)とを含む。図6Aに示される第1の状態において、GI管内の流体との接触を一時的に防止するために、電気接点516上に、コーティング、又はカバーの形態の解除手段508(解除手段108の実施形態)が配置される。例えば、解除手段508は、電気接点516の外側部分を実質的に覆う分解可能なコーティング又は材料の層であってもよい。例えば、電気回路519は、モータ510に結合された電源(例えば、バッテリ)と、回転可能シャフト510bを回転させるように電気的短絡に応答してモータ510を作動させる電流を供給するための1つ以上の追加の電気部品とを含むことができる。
【0123】
なおも図6Aを参照すると、摂取可能なデバイス500は、支持体515に枢動可能に結合された送達アセンブリ520(送達アセンブリ120の実施形態)をさらに含む。図6Aに示される実施形態では、摂取可能なデバイス500は、支持体515の反対側に配置された2つの送達アセンブリ520を含むが、摂取可能なデバイス500は、他の実施形態に従って、1つ以上、2つ以上、3つ以上、又は4つ以上の送達アセンブリ520を含んでもよいことが理解されるべきである。送達アセンブリ520は、図3A~3Bの送達アセンブリ220と同じ構造である。したがって、簡潔にするために、送達アセンブリ520の構造及び機能に関する追加の詳細については、図3A~3Bに関する送達アセンブリ220の説明を参照する。
【0124】
図6Aに示すように、デバイス500は、それぞれのピボットジョイント524a~524hによって十字形に枢動可能に結合された複数のアーム522a~522dをさらに含み、図3A~3Bを参照して先に論じたように、治療用製剤125を送達するために被験者のGI管内の管腔壁に向かって長手方向軸501から離れるように外側に延伸するように構成されたはさみ機構(はさみリフトに類似)の第1及び第2の十字部520a、520bを画定する。デバイス500は、他の実施形態に従って、2つの十字部より多いか又は少ないセクションを含むことができる。第1のアーム522aは、第1のピボットジョイント524aによって第1の回転可能部材517aに枢動可能に結合される。第1の回転可能部材517aは、支持体515に回転可能に結合されているが、支持体第2の端部515b又はその近傍で支持体515に対して軸方向に固定されている。第2のアーム422bは、第2の回転可能部材517bを介して支持体515に枢動可能に結合される。第2の回転可能部材517bは、支持体515に移動可能に(例えば、摺動可能に)結合され、支持体515が第2の回転可能部材517bに対して相対的に並進及び回転できるように構成される。第1の回転可能部材517a及び第2の回転可能部材517bは、ブッシング、回転ベアリング、スリーブ、又は同様の構成要素として構成されてもよい。デバイス500は、第2の十字部520bの端部に枢動可能かつ摺動可能に結合されたプラットフォーム526をさらに含む。その中に1つ以上の治療用製剤125を含む送達構造128が、各プラットフォーム526に結合されるか、又は各プラットフォーム526と一体的に形成される。
【0125】
摂取可能なデバイス500は、支持体515及びモータハウジング510aに結合された伸張器530(伸張器130の実施形態)をさらに含む。伸張器530は、GI管腔壁に対して実質的に垂直な態様で治療用製剤125の送達を容易にするために、被験者のGI管腔内で摂取可能なデバイス500を方向付けるのを助けるように、長手方向軸501に沿って軸方向に延伸するように構造化されている。例えば、伸張器530は、それぞれのピボットジョイント534a~534iによってジグザグパターンで枢動可能に結合された複数の直線状フレーム部材532a~532hを含み、拡張可能なワイヤフレーム又は骨格様構造を画定する。伸張器230は、任意の適切な断面形状(例えば、円形、三角形、五角形、六角形)を有する概ね細長い構造を画定することができる。追加的又は代替的に、伸張器530は、(蛇腹又はアコーディオンに類似した)拡張可能な1つ又は複数の協心した側面を含む中空の一体構造であってもよい。伸張器第1の端部530aは、第3の回転可能部材517cに結合されており、この第3の回転可能部材517cは、支持体第1の端部515a又はその近傍で支持体515に回転可能に結合されている。第3の回転可能部材517cは、第1及び第2の回転可能部材517a、517bと同様の構造であってもよい。伸張器第2の端部530bは、第2の回転可能部材517bに(例えば、第2のピボットジョイント524bを介して)結合されている。伸張器530は、解除手段508及びモータ510の上に配置されて示されているが、解除手段508は、解除手段508の作動(例えば、GI管内の流体との接触による分解)を可能にするために、伸張器530の1つ以上の開口部を通してアクセス可能であってもよいことが理解されるべきである。
【0126】
ここで図6Bを参照すると、摂取可能なデバイス500が、送達構造128から被験者のGI管腔壁に治療用製剤125を送達するために、被験者のGI管腔内の所望の位置に到達したときの第2の状態にある摂取可能なデバイス500が示されている。図6Bに示されるように、筐体502及び/又は外側コーティング504は、摂取可能なデバイス500がGI管内の所望の位置に到達した結果として部分的に(又は完全に)分解され、これは、例えば、筐体502及び/又は外側コーティング504の分解をトリガするための選択された又は閾値のpH値と関連付けられる。筐体502及び/又は外側コーティング504の少なくとも部分的な分解の結果として、GI管内の流体は、解除手段508を作動(例えば、分解)するように解除手段508に接触するために筐体502の内部に到達することが許容される。解除手段508の作動に応答して、GI管内の流体は、電気回路519を通って電流が流れるように、電気接点516を横切って電気的短絡を生じる。電気回路519からの電流は、モータ510を作動させて、長手方向軸501を中心に回転可能シャフト510aを回転させる回転力を発生させるのに十分である(回転矢印536によって示されるように)。回転可能シャフト510bのこの回転運動は、ねじ部515とのねじ係合を介して、長手方向軸401を中心に支持体515を回転させ、長手方向軸401に沿って軸方向に移動させる。支持体515のこの軸方向移動は、伸張器第1の端部530aがモータハウジング510aに対して固定された軸方向位置にあり、伸張器第2の端部530bが支持体515上の固定された軸方向位置で支持体第1の端部515aに回転可能に結合されているので、伸張器530がモータ510から軸方向に離れるように延伸させる。
【0127】
図6Bに示されるように、伸張器530の軸方向の伸張は、有利には、(双方向矢印538によって示されるように)カプセル502の第1及び第2のセグメント502a、502bを押し広げるのに役立ち、それによって、GI管腔壁に向かって送達構造128を展開するための実質的に妨げられない領域を形成するのに役立つことができる。さらに、伸張器530の軸方向の伸張は、伸張器530が作動されるGI管腔内の位置において、長手方向軸501をGI管腔の長手方向軸と実質的に整列させるのに役立つことができる。長手方向軸501をGI管腔の長手方向軸と実質的に整列させることは、送達構造128から管腔壁への治療用製剤125の送達を容易にするように、送達構造128をGI管腔壁に対して実質的に直交するように方向付けるのに有利に役立つことができる。
【0128】
モータ510に対する長手方向軸501に沿った支持体515の軸方向移動はまた、各送達アセンブリ520が長手方向軸501からGI管腔壁に向かって外側に延伸するように、(一方向矢印539で示すように)それぞれのアーム522a~522dを相対的に枢動させる。例えば、モータ510に対する長手方向軸501に沿った支持体515の並進運動は、第2のアーム522bが第2の回転可能部材517bを介して支持体515に対して相対的に並進することができ、第1のアーム522aが第1の回転可能部材517aを介して支持体515に対して軸方向に固定されているので、第2のアーム522bが第2のピボットジョイント524bを中心に枢動し、第1のアーム522aが第1のピボットジョイント524aを中心に枢動するようにする。これにより、今度は、第3のアーム522c及び第4のアーム522dが、同様に、互いに対して、及びプラットフォーム526に対して相対的に枢動し、それにより、各送達アセンブリ520が、長手方向軸501から離れて外側に伸張する。各送達アセンブリ520の外方への伸張により、送達構造528は、管腔壁内への治療用製剤125の送達のためにGI管腔壁に隣接して(又は係合するように)配置される(例えば、図10A~13B及び関連する考察を参照されたい)。送達構造128からの治療用製剤125の送達後、摂取可能なデバイス500の残りの部分(例えば、送達アセンブリ520、モータ510、支持体515、及び伸張器530のうちの1つ以上)は、分解及び/又はGI管の残りの部分を通過して、被験者の肛門から出ることができる。
【0129】
参照を容易にするために、支持体515の上方(又は下方)にある特定の構成要素が図6A~6Bに参照数字の引出線で示されているのに対し、支持体515の下方(又は上方)にある同様の構成要素については参照数字の引出線が示されていないが、支持体515の上方及び下方に位置する同様の構成要素は同様の引出線で参照されることが理解されるべきである。
【0130】
ここで図7Aを参照すると、ハウジング614内に摺動可能に配置されたピストン615cの形態のアクチュエータ610(アクチュエータ110の一実施形態)を含む摂取可能なデバイス600の側断面図が示されている。図示の実施形態では、アクチュエータ610は、ピストン615cを作動させるためにハウジング614内に配置されたハイドロゲル618をさらに含む。図7Aに示すように、摂取可能なデバイス600は、治療用製剤125をGI管腔壁内に送達するために摂取可能なデバイス600がGI管腔内の所望の位置に到達する前の第1の状態で図示されている。摂取可能なデバイス600は、筐体602(筐体102の実施形態)及び外側コーティング604(外側コーティング104の実施形態)を含む。筐体602は、第2のセグメント602bに着脱可能に結合された第1のセグメント602aを有するカプセルとして構成される。
【0131】
摂取可能なデバイス600は、筐体602の内部に配置された支持体615(支持体115の一実施形態)をさらに含む。支持体615は、摂取可能なデバイス600の概ね長手方向軸601を画定する。支持体615は、支持体第1の端部615aと、支持体第1の端部615aの反対側に位置する支持体第2の端部615bとを含む。支持体615は、支持体615に結合された、又は支持体615と一体的に形成されたピストン615cをさらに含む。ピストン615cは、支持体第1及び第2の端部615a、615bの間に位置する。以下により詳細に議論されるように、支持体615は、アクチュエータ610の作動時にピストン615cを介してハウジング614に対して移動可能である。
【0132】
ハウジング614はアクチュエータ610の一部を形成することができる。ハウジング614は、ハウジング第1の開口部614a’を有するハウジング第1の端部614aと、ハウジング第2の開口部614b’を有するハウジング第2の端部614bとを画定する。ハウジング614はさらに、ピストンチャンバ614cを含む内部を画定する。ピストンチャンバ614cは、長手方向軸601に沿って軸方向に延伸するハウジング614の内面によって規定される。ハイドロゲル618は、ピストンチャンバ614c内のハウジング第2の開口部614b付近のピストン615cの前面に、ピストン615cに隣接して、及び/又はピストン615cに接触して配置される。図示の実施形態では、ハイドロゲル618は、治療用製剤125の送達のためのGI管内の特定の場所に関連する閾値pH値、又はpH値の範囲を有するGI管内の流体などのGI管内の刺激に応答してピストンチャンバ614c内で膨潤又は膨張するように構成された三次元ポリマである。例えば、ハイドロゲル618は、pH応答性である1つ又は複数の高分子電解質を含んでもよい。加えて、又は代替的に、ハイドロゲル618は、温度、光、イオン強度、又はGI管(例えば、小腸)内の特定の場所に関連する他のタイプの刺激に応答性である1つ以上のポリマを含んでもよい。ハイドロゲル618は、フィルム、ゲル、又はピストンチャンバ614c内に配置することができる様々な形状及び構成を有する他の物理的構造の形態であってもよい。
【0133】
ハウジング614は、ハウジング614の外周に沿って配置された複数の開口部614d~614gをさらに含む。開口部614d~614gは、互いに間隔を空けて配置され、ハウジング614の軸方向の長さに沿って分布している。開口部614d~614gは、GI管腔環境からピストンチャンバ614cへの流体経路を提供し、ハイドロゲル618の漸進的な作動を引き起こすように構造化されている。図7Aに示す第1の状態において、ハイドロゲル618に隣接するハウジング第2の端部614bに最も近い位置にある第1の対の開口部614dは、解除手段608(解除手段108の一実施形態)によって一時的に遮断される。解除手段608は、第1の対の開口部618dを一時的に遮断するためのプラグ又は類似の構造として構成された分解性解除手段であってもよい。以下で議論されるように、解除手段608の作動(例えば、GI管内の流体との接触による分解)の際に、GI管腔環境からの流体は、ピストンチャンバ614cに入ることが許容され、ハイドロゲル618に接触してハイドロゲル618を膨張させ、それによってピストン615cをハウジング第1の端部614aに向かって長手方向軸601に沿って軸方向に移動させる。以下により詳細に議論されるように、ハイドロゲル618の初期膨張によりピストン615cが第1の端部614aに向かって軸方向に移動するにつれて、伸張器630(伸張器130の実施形態)に結合されるか又は伸張器630と一体的に形成されたカバー636がハウジング414から遠ざかり、開口部614e~614gを漸進的に露出させて、GI管腔環境からの追加の流体がハイドロゲル618に接触することを可能にし、それによりピストンチャンバ614c内でハイドロゲル618の漸進的な作動を引き起こす。あるいは、カバー636は支持体615に結合されてもよい。
【0134】
依然として図7Aを参照すると、支持体615は、ピストン615cがピストンチャンバ614c内に摺動可能に配置されるように、ハウジング614内に配置され、ハウジング614に移動可能に結合されている。ピストン615cは、ハウジング第2の端部614b近傍のハイドロゲル618の前に配置される。ピストン615cは、ハウジング414の内面に摺動可能に結合され、(例えば、1つ以上のピストンリング、シールを介して)密封可能に係合することができる。支持体615は、図7Aに示される第1の状態において、支持体第1の端部615aがハウジング第1の端部614aに隣接してハウジング614の外側に配置され、支持体第2の端部615aがハウジング第2の端部614bの近くでハウジング614の外側に配置されるように、ハウジング第1の開口部614a及びハウジング第2の開口部614bを通って延伸する。ハウジング614は、ピストンチャンバ614c内に実質的に流体密なシールを形成するために支持体615と密封係合するための1つ以上のシールをハウジング第1の開口部614a’及びハウジング第2の開口部614b’に含むことができる。ハウジング614、ピストン615c、及び/又はハイドロゲル618は、集合的にアクチュエータ610を規定することができる。
【0135】
図7Aを再度参照すると、摂取可能なデバイス600は、支持体615及びハウジング614に枢動可能に結合された送達アセンブリ620(送達アセンブリ120の実施形態)をさらに含む。図7Aに示される実施形態では、摂取可能なデバイス600は、支持体615の反対側に配置された2つの送達アセンブリ620を含むが、摂取可能なデバイス600は、他の実施形態に従って、1つ以上、2つ以上、3つ以上、又は4つ以上の送達アセンブリ620を含んでもよいことが理解されるべきである。送達アセンブリ620は、図3A~3Bの送達アセンブリ220と同様の構造である。したがって、簡潔にするために、送達アセンブリ620の構造及び機能に関する追加の詳細については、図3A~3Bに関する送達アセンブリ220の説明を参照する。
【0136】
図7Aに示すように、デバイス600は、それぞれのピボットジョイント624a~624hによって十字形に枢動可能に結合された複数のアーム622a~622dをさらに含み、図3A~3Bを参照して先に論じたように、治療用製剤125をGI管腔壁内に送達するために被験者のGI管腔壁に向かって長手方向軸601から離れるように外側に延伸するように構成されたはさみ機構(はさみリフトに類似)の第1及び第2の十字部620a、620bを画定する。デバイス600は、他の実施形態に従って、2つの十字部より多いか又は少ないセクションを含むことができる。第1のアーム622aは、支持体第2の端部615b又はその近傍で支持体615に枢動可能に結合される。第2のアーム622bは、ハウジング第2の端部614b又はその近傍でハウジング614に枢動可能に結合される。デバイス600は、第2の十字部620bの端部に枢動可能かつ摺動可能に結合されたプラットフォーム626をさらに含む。その中に1つ以上の治療用製剤125を含む送達構造628が、各プラットフォーム626に結合されているか、又は各プラットフォーム626と一体的に形成されている。
【0137】
摂取可能なデバイス600は、支持体615及びハウジング614に結合された伸張器630(伸張器130の実施形態)をさらに含む。伸張器630は、長手方向軸601に沿って軸方向に延伸するように構造化されており、GI管腔壁に対して実質的に垂直な態様で治療用製剤125の送達を促進するのに役立つことができる被験者のGI管腔内に摂取可能なデバイス600を方向付けるのに役立つようになっている。例えば、伸張器630は、それぞれのピボットジョイント634a~634i(例えば、ピン、ボール・ソケットジョイント、ばねジョイント)によってジグザグパターンで枢動可能に結合された複数の直線フレーム部材632a~632hを含み、拡張可能なワイヤフレーム又は骨格のような構造を画定する。伸張器630は、任意の適切な断面形状(例えば、円形、三角形、五角形、六角形)を有する概ね細長い構造を画定することができる。追加的又は代替的に、伸張器630は、(蛇腹又はアコーディオンに類似した)拡張可能な1つ又は複数の協心した側面を含む中空の一体構造であってもよい。伸張器第1の端部630aはハウジング614に結合されている。伸張器第2の端部630bは支持体第1の端部615aに結合されている。
【0138】
カバー636は、伸張器630に結合されているか、又は伸張器630と一体的に形成されている。カバー636は、GI管腔環境からの流体がピストンチャンバ614cに入るのを防ぐために、カバー636が開口部614e~614gを一時的に塞ぐように、ハウジング614の一部を覆って配置される。カバー636は、スリーブ又は他のタイプのカバーとして構造化することができる。カバー636は、開口部614e~614gを選択的に露出させ、GI管腔環境からの流体がピストンチャンバ614cに入ることを可能にするように、伸張器630の軸方向移動に応答してハウジング614に対して相対的に移動するように構成される。追加的に又は代替的に、カバー636は、支持体615の軸方向移動がカバー636をハウジング614に対して直接に移動させるように、支持体615に結合することができる。このようにして、カバー636は、ハイドロゲル618の漸進的な作動を可能にすることができる。
【0139】
次に図7Bを参照すると、摂取可能なデバイス600は、送達構造128から治療用製剤125を被験者のGI管腔壁内に送達するために、摂取可能なデバイス600が被験者のGI管腔内の所望の位置に到達した第2の状態で示されている。図7Bに示すように、筐体602及び/又は外側コーティング604は、摂取可能なデバイス600がGI管内の所望の位置に到達した結果として部分的に(又は完全に)分解され、これは、例えば、筐体602及び/又は外側コーティング604の分解をトリガするための選択された又は閾値のpH値と関連付けられる。筐体602及び/又は外側コーティング604の少なくとも部分的な分解の結果として、GI管内の流体は、解除手段608を作動(例えば、分解)するように解除手段608に接触するために筐体602の内部に到達することが許容される。解除手段608の作動に応答して、GI管内の流体は、ハイドロゲル618の初期膨張又は膨潤を引き起こすように、ハイドロゲル618に隣接して配置された第1の開口部614dを介してピストンチャンバ614に入ることが許される。ハイドロゲル618の膨張は、ピストン615cを長手方向軸601に沿ってハウジング第1の端部614aに向かって軸方向に移動させ、それによって支持体615をハウジング614に対して同じ方向に軸方向に移動させる。ピストン615cがハウジング第1の端部614aに向かって軸方向に移動すると、伸張器630が軸方向に延伸し、カバー636がハウジング614から遠ざかり、GI管腔環境からの追加の流体がピストンチャンバ614cに入り、ハイドロゲル618に接触するのを可能にするためにハウジング614上の追加の開口部614e~614gを露出させる。ピストンチャンバ614cに入る付加的な流体は、ハイドロゲル618の漸進的膨張とそれに続く支持体615の軸方向移動を引き起こす。
【0140】
図7Bに示されるように、伸張器630の軸方向伸張は、有利には、(双方向矢印636によって示されるように)カプセル602の第1及び第2のセグメント602a、602bを押し広げて、それによって、GI管腔壁に向かって送達構造628を展開するための実質的に妨げられない領域を形成するのを助けることができる。さらに、伸張器630の軸方向伸張は、伸張器630が作動されるGI管腔内の位置において、長手方向軸601をGI管腔の長手方向軸と実質的に整列させるのに役立つことができる。長手方向軸601をGI管腔の長手方向軸と実質的に整列させることは、送達アセンブリ620をGI管腔壁に対して実質的に直交するように方向付けるのに役立つことができ、これは、送達構造628からの治療用製剤125の送達を容易にすることができる。
【0141】
ハウジング614に対する長手方向軸601に沿った支持体615の軸方向移動はまた、(一方向矢印638によって示されるように)各送達アセンブリ620が長手方向軸601からGI管腔壁に向かって外側に延伸するように、それぞれのアーム622a~622dを相対的に枢動させる。例えば、ハウジング614に対する長手方向軸601に沿った支持体615の軸方向移動は、第1のアーム422aが移動可能支持体615に結合され、第2のアーム622bがハウジング614上の固定された軸方向位置にあるので、第2のアーム622bを第2のピボットジョイント624bを中心に枢動させ、第1のアーム622aを第1のピボットジョイント624aを中心に枢動させる。これは、今度は、第3のアーム622c及び第4のアーム622dを、同様に、互いに対して、及びプラットフォーム626に対して相対的に枢動させ、それによって、各送達アセンブリ620を、長手方向軸601から離れるように外側に伸張させる。各送達アセンブリ620の外方への伸張により、送達構造628は、治療用製剤125の送達のためにGI管腔壁に隣接して(又は係合するように)配置される(例えば、図10A~13B及び関連する考察を参照されたい)。送達構造628からの治療用製剤125の送達後、摂取可能なデバイス600の残りの部分(例えば、送達アセンブリ620、ハウジング614、支持体615、及び伸張器630のうちの1つ以上)は、分解及び/又はGI管の残りの部分を通過して、被験者の肛門から出ることができる。
【0142】
参照を容易にするために、支持体615の上方(又は下方)にある特定の構成要素が図7A~7Bに参照数字の引出線で示されているのに対し、支持体615の下方(又は上方)にある同様の構成要素については参照数字の引出線が示されていないが、支持体615の上方及び下方に位置する同様の構成要素は同様の引出線で参照されることが理解されるべきである。
【0143】
概して図8A~9Bを参照すると、送達アセンブリ120の追加的又は代替的実施形態が、送達アセンブリ720、820の形態で示されている。送達アセンブリ720、820は、ピボットジョイント(例えば、ピン、ヒンジ、ボール・ソケット、ばねジョイント)によって規定されるピボット軸を中心に支持体に対して相対的に枢動するように構成された枢動可能なアームを介して支持体に結合されるように構造化されている、送達アセンブリ720、820は、図3A~7Bを参照して先に説明した解除手段、アクチュエータ、及び/又は伸張器のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせと組み合わせて、先の実施形態のいずれかで使用することができる。このように、各デバイスの対応する解除手段108、アクチュエータ110、及び伸張器130は、図8A~9Bにブロック図形式で描かれている。
【0144】
ここで図8Aを参照すると、枢動可能アーム722の形態の送達アセンブリ720(送達アセンブリ120の実施形態)を含む摂取可能なデバイス700の側断面図が示されている。図8Aに示すように、摂取可能なデバイス700は、治療用製剤125をGI管腔壁内に送達するために摂取可能なデバイス700がGI管腔内の所望の位置に到達する前の第1の状態で図示されている。摂取可能なデバイス700は、筐体702(筐体102の実施形態)及び外側コーティング704(外側コーティング104の実施形態)をさらに含む。筐体702は、第2のセグメント702bに着脱可能に結合された第1のセグメント702aを有するカプセルとして構成される。
【0145】
摂取可能なデバイス700は、支持体715(支持体115の一実施形態)をさらに含む。支持体715は、摂取可能なデバイス700の概ね長手方向軸701を画定する概ね細長い部材である。支持体715は、支持体第1の端715aと、支持体第1の端715aの反対側に位置する支持体第2の端部715bとを含む。支持体715は、図3A~7Bの実施形態を参照して先に説明した支持体115の構造構成のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを有することができる。
【0146】
摂取可能なデバイス700は、支持体715に枢動可能に結合された送達アセンブリ720(送達アセンブリ120の実施形態)をさらに含む。図8Aに示す実施形態では、摂取可能なデバイス700は、支持体715の反対側に配置された2つの送達アセンブリ720を含むが、摂取可能なデバイス700は、他の実施形態に従って、1つ以上、2つ以上、3つ以上、又は4つ以上の送達アセンブリ720を含んでもよいことが理解されるべきである。各送達アセンブリ720は、枢動可能アーム722を含む。枢動可能アーム722は、実質的に直線状の部材として示されているが、枢動可能アーム722は、他の実施形態に従って、実質的に非直線状となるように構成されてもよく、又は実質的に非直線状の部分を含んでもよい。枢動可能アーム722の第1の端部は、第1のピボットジョイント724aを介して、支持体第2の端部715b又はその近傍で支持体715に枢動可能に結合されている。枢動可能アーム722の第2の反対側の端部は、第2のピボットジョイント724bによって、その中に1つ以上の治療用製剤125を含む送達構造728に枢動可能に結合されている。送達構造728は、図8A~8Bにブロック図形式で示されているが、送達構造728の様々な実施形態は、図10A図13Bを参照して後述される。
【0147】
依然として図8Aを参照すると、各送達アセンブリ720は、枢動可能アーム722の両端間の第3のピボットジョイント724cを介して第1の端部で枢動可能アーム722に枢動可能に結合されたリブ723をさらに含む。リブ723は、実質的に直線状の部材であるが、リブ723は、他の実施形態によれば、実質的に非直線状であるか、又は実質的に非直線状の部分を含む構造であってもよい。リブ723は、第4のピボットジョイント724dによって摺動可能部材725に枢動可能に結合された反対側の第2の端部を含む。様々なピボットジョイント724a~724dは、本明細書で先に説明した他のピボットジョイントのいずれかと同様の構造であってよい。摺動可能部材725は、長手方向軸701に沿って支持体715に対して相対的に並進(例えば、摺動)可能なハブ、スリーブ、ブッシング、又は他の同様の構造であってもよい。摂取可能なデバイス700は、アクチュエータ710の作動によって、摺動可能部材725が、支持体715に対して長手方向軸701に沿って軸方向に、支持体第2の端部715bに向かって相対的に並進し、それによって、各送達アセンブリ720が、第1のピボット軸724aを中心に枢動し、送達構造128から治療用製剤125を送達するために、支持体715からGI管腔壁に向かって外側に延伸するようになるように構成される。
【0148】
例えば、図8Bを参照すると、摂取可能なデバイス700が、送達構造128からGI管腔壁に治療用製剤125を送達するために被験者のGI管腔内の所望の位置に到達したときの第2の状態にあることが示されている。図8Bに示されるように、筐体702及び/又は外側コーティング704は、摂取可能なデバイス700がGI管内の所望の位置に到達した結果として部分的に(又は完全に)分解され、これは、例えば、筐体702及び/又は外側コーティング704の分解をトリガするための選択された又は閾値のpH値と関連付けられる。筐体702及び/又は外側コーティング704の少なくとも部分的分解の結果として、GI管内の流体は、解除手段108を作動(例えば、分解)するように解除手段108に接触するために筐体702の内部に到達することが許容される。解除手段108の作動に応答して、アクチュエータ110は、伸張器130を長手方向軸701に沿って軸方向に伸張させ、摺動可能部材725を(一方向矢印736によって示されるように)支持体第2の端部715bに向かって長手方向軸701に沿って軸方向に並進させるように作動される。この摺動可能部材725の軸方向移動により、各リブ723が摺動可能部材725に対して、及びそれぞれの枢動可能アーム722に対して相対的に枢動し、それにより、枢動可能アーム722が第1のピボットジョイント724a(回転矢印738により示される)を中心に枢動し、傘の機能と同様に、支持体115から離れて外側に延伸する。枢動可能アーム722の外方への動きは、送達構造728をGI管腔壁に隣接して(又は接触して)位置決めさせ、管腔壁への治療用製剤125の送達を可能にする(例えば、図10A~13B及び関連する考察を参照されたい)。さらに、枢動可能アーム722の外方への動きは、(双方向矢印739によって示されるように)カプセル702の第1及び第2のセグメント702a、702bの分離を補助することができる。
【0149】
ここで図9Aを参照すると、枢動可能アーム822の形態の送達アセンブリ820(送達アセンブリ120の実施形態)を含む摂取可能なデバイス800の側断面図が示されている。図9Aに示すように、摂取可能なデバイス800は、治療用製剤125をGI管腔壁内に送達するために摂取可能なデバイス800がGI管腔内の所望の位置に到達する前の第1の状態で図示されている。摂取可能なデバイス800は、筐体802(筐体102の実施形態)及び外側コーティング804(外側コーティング104の実施形態)をさらに含む。筐体802は、第2のセグメント802bに着脱可能に結合された第1のセグメント802aを有するカプセルとして構成される。
【0150】
摂取可能なデバイス800は、支持体815(支持体115の実施形態)をさらに含む。支持体815は、摂取可能なデバイス800の概ね長手方向軸801を画定する概ね細長い部材である。支持体815は、支持体第1の端部815aと、支持体第1の端部815aの反対側に位置する支持体第2の端部815bとを含む。支持体815は、図3A~7Bを参照して先に説明した支持体115の構造的構成のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを有することができる。
【0151】
摂取可能なデバイス800は、支持体815に枢動可能に結合された送達アセンブリ820(送達アセンブリ120の実施形態)をさらに含む。図9Aに示される実施形態では、摂取可能なデバイス800は、支持体815の反対側に配置された2つの送達アセンブリ820を含むが、摂取可能なデバイス800は、他の実施形態に従って、1つ以上、2つ以上、3つ以上、又は4つ以上の送達アセンブリ820を含んでもよいことが理解されるべきである。各送達アセンブリ820は、枢動可能アーム822を含む。枢動可能アーム822は、実質的に直線状の部材として示されているが、枢動可能アーム822は、他の実施形態に従って、実質的に非直線状であってもよく、又は実質的に非直線状の部分を含んでもよい。枢動可能アーム822の第1の端部は、第1のピボットジョイント824aを介して、支持体第2の端部815b又はその近傍で支持体815に枢動可能に結合されている。枢動可能アーム822の反対側の第2の端部は、第2のピボットジョイント824bによって、その中に1つ以上の治療用製剤125を含む送達構造128に枢動可能に結合されている。送達構造128及び治療用製剤125は、図9A~9Bにブロック図式で示されているが、送達構造128及び治療用製剤125の様々な実施形態は、図10A~13Bを参照して後述する。
【0152】
図9Aを再度参照すると、摂取可能なデバイス800は、支持体815に移動可能に結合されたウェッジ825をさらに含む。ウェッジ825は、概して錐形形状を有し、ウェッジが長手方向軸801に沿って支持体815に対して相対的に並進できるように、支持体815の表面に対して移動可能(例えば、摺動可能)である。以下でさらに詳細に議論されるように、摂取可能なデバイス800は、アクチュエータ810の作動によって、ウェッジ825が、支持体815に対して長手方向軸801に沿って軸方向に、支持体第2の端部815bに向かって並進し、それによって、各送達アセンブリ820が、第1のピボット軸824aを中心に枢動し、治療用製剤125を送達するために支持体815からGI管腔壁に向かって外側に延伸するように構成される。
【0153】
例えば、図9Bを参照すると、摂取可能なデバイス800が、送達構造828から被験者のGI管腔壁内に治療用製剤125を送達するために、被験者のGI管腔内の所望の位置に到達したときの第2の状態で示されている。図9Bに示されるように、筐体802及び/又は外側コーティング804は、摂取可能なデバイス800がGI管内の所望の位置に到達した結果として部分的に(又は完全に)分解され、これは、例えば、筐体802及び/又は外側コーティング804の分解をトリガするために選択された又は閾値のpH値と関連付けられる。筐体802及び/又は外側コーティング804の少なくとも部分的な分解の結果として、GI管内の流体は、解除手段108を作動(例えば、分解)するように解除手段108に接触するために筐体802の内部に到達することが許容される。解除手段108の作動に応答して、アクチュエータ110は、伸張器130を長手方向軸801に沿って軸方向に伸張させ、(一方向矢印836によって示されるように)ウェッジ825を長手方向軸801に沿って支持体815に対して支持体第2の端部815bに向かって軸方向に並進させるように作動させられる。ウェッジ825は、それによって、枢動可能アーム722に接触し、枢動可能アーム722を押して、(回転矢印838によって示されるように)第1のピボットジョイント724aを中心に枢動可能アーム722を枢動させ、傘の機能と同様に、支持体815から離れて外側に伸張させることができる。くさび825の錐体形状は、有利には、くさび825が支持体第2の端部815bに向かって軸方向に移動する際に、枢動可能アーム722を外向きに押すように機能することができる。枢動可能アーム822の外方への移動は、送達構造828をGI管腔壁に隣接して(又は接触して)位置決めさせ、管腔壁への治療用製剤125の送達を可能にする(例えば、図10A~13B及び関連する考察を参照されたい)。さらに、枢動可能アーム822の外方への移動は、(双方向矢印839によって示されるように)カプセル802の第1及び第2のセグメント802a、802bの分離を補助することができる。
【0154】
送達アセンブリ720、820の各々は、治療用製剤125の送達を容易にするために管腔壁に対して送達構造128の向きを変えるためにGI管腔壁と係合するための、各送達構造128に結合された、又は各送達構造128と一体的に形成された保持特徴(例えば、フック、バーブ、鋭利な突出部)を含んでもよい。例えば、各送達構造128の保持機能は、管腔壁の組織と係合して、管腔壁に対して送達構造128を一時的に保持することができる。送達構造128の一時的保持は、送達構造128を、それぞれ第2のピボットジョイント724b、824bを介して枢動可能アーム722、822に対してピボットさせ、それによって、摂取可能なデバイス700、800がGI管を通って移動する際に(例えば、GI管腔の蠕動作用を介して)、送達構造128を管腔壁に対して相対的に再配向させることができる。送達構造128は、送達構造128からの排出時に治療用製剤125をGI管腔壁に実質的に直交する方向に送達できるように再配向することができる。さらに、送達構造128の一時的な保持は、治療用製剤125を管腔壁に排出するのに十分な時間を提供するのに役立つことができる。
【0155】
概して図10A図13Bを参照すると、送達構造128の様々な実施形態が示されている。以下の段落で説明される様々な送達構造は、本明細書で先に説明された送達アセンブリ120の実施形態(例えば、送達アセンブリ220、320、420、520、620、720、820)のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせと共に使用することができることが理解されるべきである。例えば、本明細書で説明される様々な送達構造は、プラットフォーム(例えば、プラットフォーム226、326、426、526、626)に結合することができるか、又はプラットフォームと一体的に形成することができる。他の実施形態では、様々な送達構造は、枢動可能アーム(例えば、枢動可能アーム722、822)に枢動可能に直接結合されてもよい。さらに、以下の送達構造は、単一の治療用製剤がその中に配置された状態で描かれているが、様々な送達構造は、GI管腔壁内又は周囲組織内に送達するための複数の治療用製剤を含む構造であってもよい。
【0156】
以下の実施形態では、治療用製剤125は、容器のシールを貫通してGI管腔組織に浸透するためのテーパ状端部を有する細長い部材として構成される。治療用製剤125のテーパ状端部とは反対側の第2の端部は、容器から治療用製剤125を排出するために送達構造128の作動機構/第2のアクチュエータ(例えば、突出部、ピストン)と係合するための係合面を画定する。係合面は、概して平面であってもよいし、作動機構から治療用製剤125への力の伝達を容易にするように、作動機構の一部と相補的な形状の構造を含んでもよい。治療用製剤125は、他の実施形態に従って異なる構造であってもよく、以下の説明に限定されないことが理解されるべきである。
【0157】
図10Aは、本開示における送達アセンブリ120の1つ以上の実施形態において使用するための送達構造140(送達構造128の実施形態)の側断面図を示す。送達構造140は、ホルダ142、容器144、及び容器144内に配置された治療用製剤145(治療用製剤125の実施形態)を含む。送達構造140は、治療用製剤145をGI管腔壁内に送達するためにGI管腔内の所望の位置に到達する前の第1の状態で示されている。後述するように、送達構造140は、治療用製剤145を容器144からGI管腔壁内に送達する構造である。例えば、送達構造140は、治療用製剤145を能動的に送達するための別個のアクチュエータを使用する代わりに、治療用製剤145を管腔壁に排出するために送達構造140に加えられる外力に依存する。
【0158】
なおも図10Aを参照すると、ホルダ142は、内部142cを画定する周壁142aを含む。ホルダ142はさらに、内部142c内で周壁142aの下部内部部分から延伸する突出部142bを含む。突出部142bは、突出部142bの側面を取り囲む周方向開口部142c’を画定するように、内部142c内に定寸され位置決めされる。ホルダ142はさらに、容器144を貫通して内部142cに収容するための、突出部142bの反対側の開放端142dを含む。突出部142bは、以下でさらに詳細に議論されるように、そこからGI管腔壁に治療用製剤145を排出するために容器142のシールを貫通するためのテーパ状(例えば、尖った)端部を含む。突出部142bは、突出部142bが内部142c内に配置されるように、開放端142dより下の高さまで延伸する。ホルダ142は、周壁142aの内側側部から内側に延伸する1つ以上のナブ(Nubs)142e、又は他の構造的特徴をさらに含む。ナブ142eは、容器144との干渉嵌合を提供し、容器144をホルダ142に対して所定の位置に一時的に保持する構造である。
【0159】
容器144は、その中に治療用製剤145を収容し、GI管内での分解から治療用製剤145を一時的に保護する構造である。容器144はさらに、ホルダ142に移動可能に結合される構造である。容器144は、内部144a’、第1の開放端144a’’、及び第1の開放端144a’’の反対側に位置する第2の開放端144a’’’を画定する本体144aを含む。治療用製剤145は、内部144a’内に配置される。第1のシール144bは、第1の開放端144a’’において本体144aに結合され、第2のシール144cは、第2の開放端144a’’’において本体144aに結合され、内部144a’が流体から実質的に密封されて、治療用製剤145を分解から一時的に保護するようになっている。第1のシール144b及び第2のシール144cは、突出部142b及び治療用製剤145がそこを穿刺/貫通することを可能にするように、貫通可能な材料から形成される。例えば、第1及び第2のシール144b、144cは、本体144aに(例えば、接着剤を使用して)結合されるアルミニウム箔のような穿刺可能なフィルムであり得る。
【0160】
本体144aは、周壁142aの内側側部に移動可能に(例えば、摺動可能に)結合される。容器144は、第2のシール144cが突出部142bのテーパ状端部に隣接して配置されるように、少なくとも部分的に内部142cに配置される。容器144は、第1のシール144bが図10Aに示す第1の状態において送達構造140の最も外側の部分を画定するように、開口部142dを通ってホルダ142から外側に延伸する。ナブ142eは、容器144上の相補的特徴(例えば、凹部、開口部、突出部)と係合して、干渉状態を介して容器144をホルダ142に対して所定の位置に一時的に保持することができる。後述するように、容器144は、GI管腔壁との接触に応じてホルダ142に対して相対的に移動(例えば、摺動)して、容器144からGI管腔壁内に治療用製剤145を送達するように構成される。
【0161】
例えば、図10Bを参照すると、送達構造140が、送達アセンブリ120の外方への伸張を介してGI管腔壁に接触するように移動されるとき(一方向矢印146によって示されるように、アクチュエータ110の作動時に)、送達構造140が第2の状態にあることが示されている。GI管腔壁に接触する容器144からの戻り力は、容器144とホルダ142のナブ142eとの間の干渉状態を克服するのに十分であり、容器144が突出部142bに向かって内部142c内で内方に移動されるようになっている。容器144のこの内方への移動により、突出部142bが第2のシール144cを貫通し、治療用製剤145の係合面に接触し、それにより治療用製剤145が容器144から第1のシール144bを通ってGI管腔壁内又は周囲組織内に排出され、そこで治療用製剤145の1つ又は複数の治療剤が被験者の血流中に排出することができる。容器144は、容器144から治療用製剤145を排出するために容器144内の突出部142bの十分な移動を可能にするために、周方向開口部142c’内に少なくとも部分的に適合するように構成される。このようにして、送達構造140は、治療用製剤145をGI管腔壁内又は周囲組織内に送達することができる。
【0162】
図11Aは、本開示における送達アセンブリ120の1つ以上の実施形態において使用するための送達構造240(送達構造128の実施形態)の側断面図を示す。送達構造240は、ホルダ242と、容器244と、容器244内に配置された治療用製剤245(治療用製剤125の実施形態)と、ピストン246を含む作動機構(例えば、第2のアクチュエータ)と、を含む。作動機構は、ピストン246を動かす力を発生させるための点火器247、装薬248、及び電気回路260(ブロック図式で示す)をさらに含む。送達構造240は、治療用製剤245をGI管腔壁内に送達するためにGI管腔内の所望の位置に到達する前の第1の状態で示されている。後述するように、送達構造240は、作動機構によって、治療用製剤245を容器244からGI管腔壁に能動的に送達する構造である。1つ以上の実施形態において、送達構造240の作動機構は、図5A図5Bを参照して上述したアクチュエータ410と同様の構造であり得る。
【0163】
例えば、ホルダ242は、開放端242d’を画定する周壁242aと、反応チャンバ242bと、ピストンチャンバ242cと、容器部分242dを含む内部と、を含む。反応チャンバ242bは、周壁242aの下部内面によって画定される。ピストンチャンバ242cは反応チャンバ242bの上方に位置し、ピストン246を摺動可能に受容するように構成される。容器部分242dは、開放端242d’に隣接してピストンチャンバ242cの上方に位置する。反応チャンバ242bは、その中に配置された点火器247及び装薬248を含む。装薬248は、点火器247に隣接して、及び/又は点火器247に接触して配置される。装薬248は、ニトロセルロース(例えば、ニトロセルロースシート)又は他の可燃性材料もしくは材料の組合せからなる組成物のような可燃性材料であってよい。点火器247は、コイル(図示の通り)、導電性ワイヤ又はフィラメント(例えば、タングステンフィラメント)、又は電流を受けることに応答して装薬248を点火するのに十分な熱、火花、火炎、又は他のエネルギーを発生させるための他の構造であってもよい。ホルダ242は、周壁242aに結合された電気接点249をさらに含む。電気接点249は、点火器247及び電気回路260に動作可能に結合される。図11Aに示される第1の状態において、電気接点249がGI管内の流体と接触するのを一時的に防止するために、コーティング又はカバーの形態の解除機構249’(例えば、第2の解除手段)が、ホルダ242の外側部分において電気接点249の各々に適用される。後述するように、電気回路260は、解除機構249’が作動した(例えば、分解した)ときにGI管内の体液との接触に基づいて接点249間に生じる電気的短絡に応答して信号(例えば、電流)を生成するように構成される。電気回路260はさらに、点火器247が生成された信号に応答して装薬248の燃焼を開始するように構成される。
【0164】
電気回路260は、図5A図5Bを参照して上述した電気回路419と同様の構造であってよい。例えば、電気回路260は、ホルダ242に結合された電源(例えば、バッテリ)及び1つ又は複数のエネルギー蓄積構成要素(例えば、キャパシタ)を含んでもよい。電気回路260は、1つ以上の追加の電気部品をさらに含むことができる。電気回路260は、接点249を横切る電気的短絡によって、電源からの電流がエネルギー蓄積部品によって蓄積されるような構造であってもよい。十分な量の電流がエネルギー蓄積部品に蓄積されると、エネルギー蓄積部品は、電気回路260を介して、点火器247を横切って蓄積されたエネルギーを放電することができ、それにより、点火器247が装薬248の燃焼を開始させる。
【0165】
あるいは、電気回路260は、GI管内の状態を感知するための1つ以上のセンサと、感知された状態に応答して処理回路のメモリに記憶された命令を実行して点火器247に装薬248の燃焼を開始させるためのプロセッサを含む処理回路とを含むことができる。例えば、1つ以上のセンサは、ホルダ242に結合され、GI管内の状態(例えば、pH値、温度、電解値)を感知して信号を生成する構造であってもよい。プロセッサは、信号を受信し、処理回路のメモリに記憶された情報に基づいてエネルギー貯蔵部品に貯蔵された電流を放電し、それによって点火器247の起動を引き起こすことができる。例えば、情報は、閾値pH値、pH値の範囲、閾値温度、温度の範囲、又はGI管内の状態に関連する他の情報を含んでもよい。
【0166】
電気回路260は、アクチュエータ110による送達アセンブリ120の作動に対して適切な時間に点火器247の作動を引き起こすように構成されてもよく、治療用製剤245をGI管腔壁への送達のために(例えば、分解から)実質的に保存して、被験者において所望の治療効果を達成できるようにする。例えば、電気回路260は、治療用製剤245が容器244から管腔壁に排出される前に、送達アセンブリ120がGI管腔壁の外側に延伸することを可能にするのに十分な時間、点火器247に信号を送るのを遅延させるタイマーを含むことができる。あるいは、電気回路260は、送達アセンブリ120の作動のタイミングに関連することができる一定量の装薬を蓄積した後に点火器247に電流を放電するように構成されたコンデンサを含んでもよい。
【0167】
デバイスのアクチュエータ110に関連する電気回路(例えば、電気回路419、519)を含む実施形態では、電気回路260は省略することができ、作動機構(例えば、点火器247)は、代わりに、アクチュエータ110に関連する電気回路に動作可能に結合することができる。これらの実施形態において、アクチュエータ110に関連する電気回路は、送達構造240がGI管腔壁に接触して、又は隣接して配置された後に、治療用製剤245のGI管腔壁への送達を確実にするために、送達アセンブリ120の作動に対して適切な時間に点火器247に信号を送るように構造化することができる。
【0168】
依然として図11Aを参照すると、ピストン246は、反応チャンバ242bに隣接するピストンチャンバ242c内に摺動可能に配置されている。ピストン246は、ピストンチャンバ242cを画定する周壁242aの内面に摺動可能に結合され、(例えば、1つ以上のピストンリング、シールを介して)シール可能に係合することができる。ピストン246は、ピストンチャンバ242cの内面と係合するシャフト246aと、シャフト246aから容器部分242dに向かって延伸する端部246bとを含む。端部246bは、容器部分242d内に結合された容器244のシールを貫通するのに十分なテーパ構造(例えば、尖った)を有する。端部246bはさらに、容器244からGI管腔壁内に治療用製剤245を排出するために、治療用製剤245の係合面に接触するための構造を有する。後述するように、ピストン246は、反応チャンバ242b内の装薬248の点火に応答して、ピストンチャンバ242c内で容器部分242dに向かって軸方向に移動し、治療用製剤245をGI管腔壁の中に送り出す。
【0169】
容器244は、容器部分242d内の固定位置でホルダ242に結合される。例えば、ホルダ242は、容器部分242d内に容器244を保持するための1つ以上のスナップ機能、バヨネット機能、又は他の機能を含むことができる。容器244は、上述した容器144と同じ構造であるが、移動可能である代わりにホルダ242に対して固定されている。そのため、同様の参照数字は、実施形態間で同様の特徴を指す(例えば、本体144aは本体244aと等価である)。容器244は、その中に治療用製剤245を含み、GI管内での分解から治療用製剤245を一時的に保護する構造である。容器244は、第2のシール244cがピストン246の端部246bに隣接して位置し、第1シールの244bが開口部242d’に隣接して位置するように、ホルダ242に対して配置される。
【0170】
ここで図11Bを参照すると、送達構造240が、送達アセンブリ120の外方への拡張を介して(アクチュエータ110の作動時に)GI管腔壁に隣接して、又は接触して移動されるとき、送達構造240は、第2の状態に示される。図11Bに示される第2の状態において、GI管腔内の体液は、解除機構249’を作動(例えば、分解)させるように、解除機構249’に到達することが許容される。解除機構249’の作動に応答して、GI管内の体液は、電気回路260を通って電流が流れるように、電気接点249を横切って電気的短絡を生じる。電気回路260に発生する電流は、GI管腔壁への送達のための治療用製剤245の実質的な保存を確実にするために、送達アセンブリ120の作動に対して適切な時間に、反応チャンバ242b内に燃焼力を発生させるために、点火器247に装薬248を点火させるのに十分である。例えば、送達アセンブリ120の作動に対する治療用製剤245の送達のタイミングは、解除機構249’の構造(例えば、分解速度)、(上で議論されたように)電気回路260の構造、点火器247の構造、装薬248の構造/量、及び/又はピストン24の構造6(例えば、移動量、ピストンチャンバ内の抵抗)など、多くの因子によって制御することができる。追加的に又は代替的に、解除機構249’の作動は、送達アセンブリ120の移動/伸張が解除機構249’を露出させて解除機構249’の作動を可能にするように、送達アセンブリ120の構成要素によって(例えば、1つ以上の枢動可能アームによって)解除機構249’を一時的にブロックすることによって制御することができる。
【0171】
図11Bを再度参照すると、反応チャンバ242bで発生した力は、ピストンチャンバ242c内でピストン246を第1のシール244bに向かって移動させる。ピストン246のこの移動は、端部246bに第1のシール244bを貫通させ、治療用製剤245の係合面に接触させ、(一方向矢印270によって示されるように)それによって治療用製剤245を容器244から第2のシール244cを通ってGI管腔壁内又は周囲組織内に排出させるのに十分であり、そこで治療用製剤245の1つ又は複数の治療剤が続いて被験者の血流中に排出することができる。このようにして、送達構造240は、治療用製剤245をGI管腔壁内又は周囲組織内に能動的に送達することができる。
【0172】
図12Aは、本開示における送達アセンブリ120の1つ以上の実施形態において使用するための送達構造340(送達構造128の実施形態)の側断面図を示す。送達構造340は、ホルダ342と、容器344と、容器344内に配置された治療用製剤345(治療用製剤125の実施形態)と、ピストン346及びばね347の形態のバイアス部材を含む作動機構(例えば、第2のアクチュエータ)と、を含む。送達構造340は、治療用製剤345をGI管腔壁内に送達するためにGI管腔内の所望の位置に到達する前の第1の状態で示されている。後述するように、送達構造340は、ばね347の作動によって、治療用製剤345を容器344からGI管腔壁に能動的に送達する構造である。
【0173】
ホルダ342は、開放端342c’を画定する周壁342aと、ピストンチャンバ342b及び容器部分342cを含む内部とを含む。ピストンチャンバ342bは、周壁342aの下部内面から容器部分342cまで延びている。ピストンチャンバ342bは、その中にピストン346を摺動可能に受け入れるように構成される。容器部分342cは、開放端342c’に隣接してピストンチャンバ342bの上方に位置する。ばね347及びピストン346は、図12Aに示される第1の状態において、ばね347が周壁342aの下側内面とピストン346の一部との間に圧縮状態で保持されるように、ピストンチャンバ342b内に配置される。ピストン346は、ピストンチャンバ342bを画定する周壁342aの内面に摺動可能に結合され、(例えば、1つ以上のピストンリング、シールを介して)密封可能に係合することができる。
【0174】
例えば、ピストン346は、シャフト346aと、シャフト346aから延伸するピストン部346bとを含む。ピストン部346bは、ピストンチャンバ342bの内面と移動可能に係合する。ピストン部346bはさらに、容器344のシールを貫通し、治療用製剤345の係合面と係合するためのテーパ状(例えば、尖った)端部346b’を含む。シャフト346aは、ばね347がピストン部346bの下面に接触するように、ばね347を通って周壁342aの開口部342dに配置されて示されている。解除機構348(例えば、第2の解除)が、開口部342dにおいてシャフト346aに結合され、ピストン346をホルダ342に対して相対的な位置に一時的に保持し、それによって、図12Aに示される第1の状態においてばね347を圧縮する。解除機構348は、GI管内の流体との接触に応答して分解してピストン346の解放を引き起こすための分解可能な材料から構成することができる。追加的に又は代替的に、解除機構348は、GI管内の状態(例えば、温度、pH値)に応答してピストン346を解除することができるラッチ、クリップ、又は他の構造として構成されてもよい、後述するように、ばね347は、解除機構348の作動に応答して拡張し、ピストン346を容器344に向かって移動させて、治療用製剤345をGI管腔壁内に送達させる構造である。
【0175】
容器344は、容器部分342c内の固定位置でホルダ342に結合される。例えば、ホルダ342は、容器344を容器部分342c内に保持するための1つ以上のスナップ機能、バヨネット機能、又は他の機能を含むことができる。容器344は、上述した容器244と同じ構造である。このように、同様の参照数字は、実施形態間で同様の特徴を指す(例えば、本体244aは本体344aと等価である)。容器344は、その中に治療用製剤345を含み、GI管内での分解から治療用製剤345を一時的に保護する構造である。容器344は、第2のシール344cがピストン346の端部346bに隣接して位置し、第1のシール344bが開口部342c’に隣接して位置するように、ホルダ342に対して配置される。
【0176】
次に図12Bを参照すると、送達構造340は、送達構造340が送達アセンブリ120の外向きの伸張を介してGI管腔壁に隣接して又は接触して移動されるとき(アクチュエータ110の作動時)である第2の状態で示される。図12Bに示される第2の状態では、GI管腔内の流体は、解除機構348を作動(例えば、分解及び/又は解除)させるように解除機構348に到達することが許容される。解除機構348の作動に応答して、ばね347のバイアス力は、解除機構348によるピストン346の保持力に勝って、ばね347が膨張し、ピストンチャンバ342b内のピストン346を容器344に向かって移動させることを可能にする。このピストン346の移動は、端部346b’が第1のシール344bを貫通し、治療用製剤345の係合面に接触し、(一方向矢印370によって示されるように)それによって治療用製剤345を容器344から第2のシール344cを通ってGI管腔壁内又は周囲組織内に排出させるのに十分であり、そこで治療用製剤345の1つ又は複数の治療剤が被験者の血流中に排出することができる。
【0177】
ばね347の作動は、GI管腔壁への送達のための治療用製剤345の実質的な保存を確実にするために、送達アセンブリ120の作動に対して適切なタイミングにすることができる。例えば、送達アセンブリ120の作動に対する治療用製剤345の送達のタイミングは、解除機構348の構造(例えば、分解速度)、ばね347の構造(例えば、ばね定数、ばねのサイズ、ばねの長さ)、及びピストン346又はピストンチャンバ342bの構造(例えば、ピストンの移動量、ピストンチャンバ内の抵抗)など、多数の因子によって制御することができる。追加的に又は代替的に、解除機構248の作動は、送達アセンブリ120の移動/伸張が解除機構248を露出及び/又は移動させて解除機構248の作動を可能にするように、デバイス100の構成要素によって(例えば、1つ以上の枢動可能アームによって)解除機構248を一時的に遮断することによって制御することができる。
【0178】
図13Aは、本開示における送達アセンブリ120の1つ以上の実施形態において使用するための送達構造440(送達構造128の実施形態)の側断面図を示す。送達構造440は、ホルダ442と、容器444と、容器444内に配置された治療用製剤445(治療用製剤125の実施形態)と、ピストン446を含む作動機構(例えば、第2のアクチュエータ)と、を含む。作動機構は、ピストン446を動かすための気体を生成するために一緒に混合されるように、ホルダ442のそれぞれのチャンバ内に配置された第1の反応物449a及び第2の反応物449bをさらに含む。送達構造440は、治療用製剤445をGI管腔壁内に送達するためにGI管腔内の所望の位置に到達する前の第1の状態で示されている。後述するように、送達構造440は、作動機構によって、治療用製剤445を容器444からGI管腔壁に能動的に送達する構造である。
【0179】
ホルダ442は、開放端442d’を画定する周壁442aと、反応チャンバ442bと、ピストンチャンバ442cと、容器部分442dを含む内部と、を含む。反応チャンバ442bは、周壁442aの下部内面によって画定され、その中に配置された第1の反応物449a(例えば、炭酸水素カリウム)を含む。ピストンチャンバ442cは反応チャンバ442bの上方に位置し、ピストン446を摺動可能に収容するように構成される。ピストン446は、ピストンチャンバ442cを画定する周壁442aの内面と摺動可能に係合するピストン部446aを含む。ピストン446はさらに、容器444のシールを貫通し、治療用製剤445の係合面と係合するためのテーパ状(例えば、尖った)端部446aを含む。
【0180】
ピストンチャンバ442cはさらに、反応チャンバ442bに隣接してピストン446の下に配置された第2の反応物449b(例えば、クエン酸)を含む。容器部分442dは、開放端442d’に隣接してピストンチャンバ442cの上方に配置される。反応チャンバ442bは導管448によってピストンチャンバ442cに流体的に結合される。しかしながら、図12Aに示される第1の状態において、導管448は、反応チャンバ442bとピストンチャンバ442cとの間の流体の流れを一時的に遮断するために、それに結合された解除機構447(例えば、第2の解除手段)を含む。例えば、導管448は可撓性チューブ(例えば、シリコーンチューブ)であってもよく、解除機構447はクリップ、ラッチ、又は導管448を通る流体の流れを一時的に遮断するピンチバルブとして機能する他の構造であってもよい。解除機構447は、GI管内の流体との接触に応答して分解する分解性材料から構成することができる。追加的に又は代替的に、解除機構447は、ラッチ、クリップ、又は導管448から移動する、さもなければ解除することができる他の構造として構造化することができる。あるいは、解除機構447は、GI管内の状態及び/又はデバイス100の構成要素の動き(例えば、1つ以上のアームの枢動可能な動き)に応答して反応チャンバ442bとピストンチャンバ442cとを選択的に流体連通させるように、ホルダ442に対して相対的に移動可能な別のタイプの弁部材として構成されてもよい。ホルダ442は、GI管腔環境から解除機構447への流体経路を提供するための1つ以上の開口部450をさらに含む。後述するように、解除機構447は導管448を解除して第1の反応物449aが反応チャンバ442bからピストンチャンバ442cに流れ、第1の反応物449aが第2の反応物449bと混合してピストン446を容器444に向かって移動させるのに十分な圧力を有するガス(例えば、CO)を生成できるようにするように構成される。
【0181】
容器444は、容器部分442d内の固定位置でホルダ442に結合される。例えば、ホルダ442は、容器444を容器部分442d内に保持するための1つ以上のスナップ機能、バヨネット機能、又は他の機能を含むことができる。容器444は、上述した容器244と同じ構造である。このように、同様の参照数字は、実施形態間で同様の特徴を指す(例えば、本体244aは本体444aと等価である)。容器444は、その中に1つ以上の治療用製剤445を含み、GI管内での分解から治療用製剤445を一時的に保護する構造である。容器444は、第2のシール444cがピストン446の端部446bに隣接して位置し、第1のシール444bが開口部442d’に隣接して位置するように、ホルダ442に対して位置決めされる。
【0182】
図13Bを参照すると、送達構造440が、送達アセンブリ120の外方への拡張を介して(アクチュエータ110の作動時に)GI管腔壁に隣接して、又は接触して移動させられるとき、送達構造440は第2の状態に示される。図13Bに示される第2の状態において、GI管腔内の流体は、解除機構447を作動(例えば、分解及び/又は解除)させるように、解除機構447に到達することが許容される。解除機構447の作動に応答して、導管448は少なくとも部分的に、又は完全に開かれて、第1の反応物449aが反応チャンバ442bからピストンチャンバ442cに流入して第2の反応物449bと混合してガス(例えば、CO)を発生させるのに十分な圧力を有し、発生したガスはピストンチャンバ445内でピストン446を容器444に向かって移動させる。このピストン446の移動は、端部446bが第1のシール444bを貫通し、治療用製剤445の係合面に接触するのに十分であり、それによって治療用製剤445を容器444から第2のシール444cを通して(一方向矢印460で示されるように)GI管腔壁内又は周囲組織内に排出し、そこで治療用製剤445の1つ以上の治療剤がその後被験者の血流中に排出することができる。
【0183】
容器444からの治療用製剤445の送達は、GI管腔壁への送達のための治療用製剤445の実質的な保存を確実にするために、送達アセンブリ120の作動に対して適切なタイミングにすることができる。例えば、送達アセンブリ120の作動に対する治療用製剤445の送達のタイミングは、解除機構447の構造(例えば、分解速度)、導管448の構造(例えば、長さ、内径)、反応物449a、449bの量又は種類、及びピストン446又はピストンチャンバ442cの構造(例えば、ピストン移動量、ピストンチャンバ内の抵抗)などの多数の因子によって制御することができる。追加的に又は代替的に、解除機構447の作動は、送達アセンブリ120の移動/伸張が解除機構447を露出及び/又は移動させて解除機構447の作動を可能にするように、デバイス100の構成要素(例えば、1つ以上の枢動可能アーム)によって解除機構447を一時的にブロックすることによって制御することができる。
【0184】
図14Aは、摂取された後に被験者のGI管の管腔内に位置する摂取可能なデバイス900(摂取可能なデバイス100の一実施形態)の正面断面図を示す。摂取可能なデバイス900は、治療用製剤をGI管腔壁内に送達するためにGI管腔内の所望の位置に到達する前の第1の状態で示されている。図14Aの正面図に示すように、摂取可能なデバイス900は、筐体902(筐体102の実施形態)と、筐体902内に配置された支持体915(支持体115の実施形態)と、支持体915に結合され、支持体915の周囲に周方向に配置された複数の送達アセンブリ920(送達アセンブリ120の実施形態)とを含む。支持体915は、円形の断面形状を有するように示されているが、支持体915は、任意の適切な断面形状(例えば、楕円体、三角形、四角形、五角形、六角形)を有してもよいことが理解されるべきである。摂取可能なデバイス900は、4つの送達アセンブリ920を含むように示されているが、摂取可能なデバイス900は、他の実施形態に従って、4つよりも多い又は少ない送達アセンブリ920を含んでもよい。送達アセンブリ920は、互いに対して等距離に配置されているが、他の実施形態に従って異なる間隔に配置されてもよい。送達アセンブリ920の各々は、GI管腔壁内に送達するための1つ以上の治療用製剤925(治療用製剤125の一実施形態)をその中に含む送達構造928(送達構造128の一実施形態)を含む。
【0185】
図14Bを参照すると、摂取可能なデバイス900が、送達構造928から腸壁への治療用製剤925の送達のために、この例では小腸であるGI管内の所望の位置に到達したときの第2の状態で示されている。図14Bに示すように、筐体902は、摂取可能なデバイス900が小腸に到達した結果として、少なくとも部分的に(又は完全に)分解され、これは、例えば、筐体902の分解をトリガするために小腸に関連する選択された又は閾値のpH値と関連する。筐体902の少なくとも部分的な分解の結果、小腸内の流体は、筐体902の内部に到達して、解除手段を作動(例えば、分解)するように、デバイスのアクチュエータ(図示せず)に関連付けられた解除手段(図示せず)に接触することが許容される。解除手段の作動に応答して、アクチュエータは、送達アセンブリ920を、送達構造928が治療用製剤925を腸壁内又はその周囲組織(例えば、腹膜又は腹膜腔)内に送達できるように、支持体915から腸壁に向かって外向きに伸張させ、治療用製剤925の1つ又は複数の治療剤が続いて被験者の血流中に排出することができる。
【0186】
図15を参照すると、摂取可能なデバイス100を用いて治療用製剤125を被験者のGI管腔壁内又は周囲組織内に送達する方法1000が図式的に示されている。第1のステップ1001において、摂取可能なデバイス100は、摂取可能なデバイス100を嚥下することによって被験者に経口投与される。第2のステップ1002において、筐体102及び/又は外側コーティング104は、摂取可能なデバイス100が被験者のGI管(例えば、胃、小腸)内の所望の位置に到達した結果として、少なくとも部分的に(又は完全に)分解され、これは、例えば、筐体102の分解をトリガするための選択された又は閾値のpH値と関連付けられる。第3のステップ1003において、GI管内の流体は、解除手段108を作動し、アクチュエータ110をトリガするように、解除手段108に接触するために筐体102の内部に到達することが許容される。第4のステップ1004において、アクチュエータ110は、支持体115によって画定された長手方向軸に沿って伸張器130を軸方向に伸張させ、長手方向軸をGI管腔の長手方向軸と実質的に整列させる。第5のステップ1005において、アクチュエータ110は、さらに、送達アセンブリ120がGI管腔壁に向かって支持体115から離れるように外側に延伸するように、1つ以上のアームを枢動させる。1つ以上の実施形態において、ステップ1005は、ステップ1004と実質的に同時に実行される。他の実施形態では、ステップ1005はステップ1004の後に実行される。第6のステップ1006において、送達構造128は、送達アセンブリ120が外側に伸張されたときに送達構造128がGI管腔壁に接触するのに応答して、別個の作動機構なしに治療用製剤125をGI管腔壁内又は周囲組織内に(例えば、送達構造140を用いて)排出する。追加的に又は代替的に、送達構造128は、送達構造128に関連する別個の解除機構及び作動機構に応答して、治療用製剤125をGI管腔壁内又は周囲組織内に能動的に排出する(例えば、送達構造240、340、440を使用して)。治療用製剤125は、その後、管腔壁又はその周囲組織で分解して、所望の治療効果を提供するように、被験者の血流中に1つ以上の治療剤を排出することができる。
【0187】
前述の様々な実施形態の説明は、例示及び説明の目的で提示されたものである。本発明を開示された正確な形態に限定することを意図したものではない。多くの変更、変形及び改良が当業者には明らかであろう。例えば、デバイスの実施形態は、様々な小児及び新生児の用途ならびに様々な獣医学的用途にサイズ及び他の方法で適合させることができる。また、当業者は、本明細書に記載される特定のデバイス及び方法に対する多数の等価物を認識するか、又は日常的な実験以上のことを行わずに確認できるであろう。このような等価物は、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0188】
本開示を、その特定の実施形態を参照して説明及び図示したが、これらの説明及び図示は、本開示を限定するものではない。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の真の精神及び範囲から逸脱することなく、実施形態内で様々な変更を行うことができ、同等の構成要素を置換することができることを明確に理解することができる。また、1つの実施形態からの構成要素、特性、又は行為を、他の実施形態からの1つ又は複数の構成要素、特性、又は行為と容易に組み替え又は置換して、本発明の範囲内で多数の追加の実施形態を形成することができる。さらに、他の構成要素と組み合わされるものとして図示又は説明されている構成要素は、様々な実施形態において、単独の構成要素として存在することができる。さらに、構成要素、特性、構成要素、特徴、ステップなどを能動的に説明する場合、本発明の実施形態は、その構成要素、値、特性、構成要素、特徴、ステップなどを除外することを具体的に想定している。図示は必ずしも縮尺通りに描かれているとは限らない。本開示における芸術的描写と実際のデバイスとの間には、製造工程における変数などに起因する区別が存在することができる。特に図示されていない本開示の他の実施形態が存在することができる。本明細書及び図面は、制限的なものではなく例示的なものとみなされる。特定の状況、材料、物質組成、方法、又はプロセスを、本開示の目的、精神、及び範囲に適合させるために、修正を行うことができる。このような改変はすべて、本明細書に添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。本明細書において開示される方法は、特定の順序で実行される特定の操作を参照して記載されてきたが、これらの操作は、本開示の教示から逸脱することなく、等価な方法を形成するために組み合わされ、サブ分割され、又は再順序付けすることができることが理解することができる。したがって、本明細書において特に示されない限り、操作の順序及びグループ分けは、本開示の限定ではない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
【国際調査報告】