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特表2025-508018高温安定性硬化性ボンディング組成物
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  • 特表-高温安定性硬化性ボンディング組成物 図1A
  • 特表-高温安定性硬化性ボンディング組成物 図1B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-21
(54)【発明の名称】高温安定性硬化性ボンディング組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/14 20060101AFI20250313BHJP
   C08F 230/08 20060101ALI20250313BHJP
   B32B 27/26 20060101ALI20250313BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20250313BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20250313BHJP
【FI】
C08F290/14
C08F230/08
B32B27/26
B32B15/08 Q
B32B17/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024553159
(86)(22)【出願日】2023-02-22
(85)【翻訳文提出日】2024-09-05
(86)【国際出願番号】 IB2023051630
(87)【国際公開番号】W WO2023170501
(87)【国際公開日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】63/318,055
(32)【優先日】2022-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】リ,ナイチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,ラルフ アール.
(72)【発明者】
【氏名】野田 一樹
【テーマコード(参考)】
4F100
4J100
4J127
【Fターム(参考)】
4F100AA37C
4F100AB11B
4F100AG00D
4F100AH06A
4F100AK25A
4F100AK49A
4F100AK52A
4F100AT00E
4F100BA01
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA10D
4F100CA02A
4F100CA17A
4F100CA23C
4F100JA06
4F100JB13A
4F100JB14A
4F100JJ03A
4F100JJ06C
4F100JK06
4F100JL14A
4F100JN01D
4F100YY00A
4F100YY00C
4J100AL67R
4J100AM55P
4J100AM55Q
4J100BA81R
4J100CA05
4J100JA44
4J127AA03
4J127AA04
4J127BB041
4J127BB081
4J127BB221
4J127BC031
4J127BC151
4J127BD291
4J127BG101
4J127BG10Y
4J127BG381
4J127BG38Y
4J127CB301
4J127EA05
4J127EA13
4J127FA37
4J127FA38
(57)【要約】
硬化性ボンディング組成物は、フリーラジカル重合性ビスマレイミド樹脂と、重合性シロキサン系剥離剤と、任意選択の熱又は紫外線フリーラジカル開始剤と、を含む。その硬化性組成物は、コーティング可能な組成物である。硬化すると、その硬化した組成物は高温安定性であり、等温TGA(熱重量分析)で測定した場合、少なくとも300℃の温度かつ1時間で重量減少が2.5%以下であり、少なくとも300℃かつ1時間の曝露後に剥離によって剥離可能なままである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性ボンディング組成物であって、
少なくとも1つのフリーラジカル重合性ビスマレイミド樹脂と、
少なくとも1つの重合性シロキサン系剥離剤と、
任意選択の熱又は紫外線フリーラジカル開始剤と、
を含み、
前記硬化性組成物は、100%固体であるか又は溶媒希釈された、コーティング可能な組成物であり、硬化すると、その硬化した組成物は高温安定性であり、等温TGA(熱重量分析)によって測定した場合、少なくとも300℃の温度かつ1時間で重量減少が2.5%以下であり、少なくとも300℃かつ1時間の曝露後に剥離によって剥離可能なままである、硬化性ボンディング組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのフリーラジカル重合性ビスマレイミド樹脂が、複数のビスマレイミドの混合物を含む、請求項1に記載の硬化性ボンディング組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つのシロキサン系剥離剤が、シロキサン(メタ)アクリレート、シロキサン水素化物、又はシロキサンマレイミドを含む、請求項1に記載の硬化性ボンディング組成物。
【請求項4】
前記フリーラジカル重合性ビスマレイミド樹脂が、少なくとも1つの構造1の化合物:
【化1】
(式中、Rは、アルキレン基、芳香族基、ヘテロ原子含有基、シロキサン基、1つ以上のポリイミド連結、又はこれらの組み合わせを含有する二価の連結基を含む)
を含む、請求項1に記載の硬化性ボンディング組成物。
【請求項5】
Rがポリイミド基を含有するオリゴマー基を含む、請求項4に記載の硬化性ボンディング組成物。
【請求項6】
前記硬化性組成物が溶媒を更に含む、請求項1に記載の硬化性ボンディング組成物。
【請求項7】
硬化すると、その硬化した組成物が高温安定性であり、等温TGA(熱重量分析)によって測定した場合、少なくとも350℃の温度かつ1時間で重量減少が4.5%以下であり、少なくとも350℃かつ1時間の曝露後に、剥離によって又は化学溶媒洗浄によって、剥離可能なままである、請求項1に記載の硬化性ボンディング組成物。
【請求項8】
被加工基材と;
前記基材と接触している接合層であって、硬化した硬化性ボンディング組成物を含み、
前記硬化した硬化性ボンディング組成物は:
少なくとも1つのフリーラジカル重合性ビスマレイミド樹脂と、
少なくとも1つの重合性シロキサン系剥離剤と、
任意選択の熱又は紫外線フリーラジカル開始剤と、
を含み、前記硬化性組成物は、100%固体であるか又は溶媒希釈された、コーティング可能な組成物であり、硬化すると、その硬化した組成物は高温安定性であり、等温TGA(熱重量分析)によって測定した場合、少なくとも300℃の温度かつ1時間で重量減少が2.5%以下であり、少なくとも300℃かつ1時間の曝露後に剥離によって剥離可能のままである、接合層と;
前記接合層の下に配置された、光吸収剤及び熱分解性材料を含む光熱変換層と;
前記光熱変換層の下に配置された光透過性支持体と;
を含む、積層体。
【請求項9】
前記基材が脆性材料である、請求項8に記載の積層体。
【請求項10】
前記基材がシリコンウエハである、請求項8に記載の積層体。
【請求項11】
前記光吸収剤がカーボンブラックを含む、請求項8に記載の積層体。
【請求項12】
前記光熱変換層が透明フィラーを更に含む、請求項8に記載の積層体。
【請求項13】
前記光吸収剤がカーボンブラックであり、前記光熱変換層中のカーボンブラックと透明フィラーとの総量が、光熱変換層の体積に基づいて5~70体積%である、請求項12に記載の積層体。
【請求項14】
前記光吸収剤がカーボンブラックであり、前記光熱変換層中のカーボンブラックと透明フィラーとの総量が、フィラー体積濃度の80%以上である、請求項12に記載の積層体。
【請求項15】
前記支持体がガラスである、請求項8に記載の積層体。
【請求項16】
前記接合層と前記光熱変換層との間に、第1の中間層を更に含む、請求項8に記載の積層体。
【請求項17】
前記第1の中間層が多層光学フィルムである、請求項16に記載の積層体。
【請求項18】
第2の中間層が、前記光熱変換層と前記光透過性支持体との間に設けられ、前記第2の中間層及び前記光透過性支持体が、別の接合層を介して接合されている、請求項16に記載の積層体。
【請求項19】
積層体を製造するための方法であって、
光吸収剤、及び熱分解性材料又は熱分解性材料の前駆体としてのモノマー又はオリゴマーを含有する光熱変換層前駆体を、光透過性支持体上にコーティングすることと;
前記光熱変換層前駆体を固化又は硬化するまで乾燥させて、前記光透過性支持体上に光熱変換層を形成することと;
硬化性ボンディング組成物を、被加工基材又は前記光熱変換層に適用して接合層を形成することであって、前記硬化性ボンディング組成物は、
少なくとも1つのフリーラジカル重合性ビスマレイミド樹脂と、
少なくとも1つの重合性シロキサン系剥離剤と、
任意選択の熱又は紫外線フリーラジカル開始剤と、
を含み、前記硬化性組成物は、100%固体であるか又は溶媒希釈された、コーティング可能な組成物であり、硬化すると、その硬化した組成物は高温安定性であり、等温TGA(熱重量分析)によって測定した場合、少なくとも300℃の温度かつ1時間で重量減少が2.5%以下であり、少なくとも300℃かつ1時間の曝露後に剥離によって剥離可能のままである、接合層を形成することと;
前記被加工基材と前記光熱変換層とを、前記接合層を介して、減圧下で接合させて、積層体を形成することと、を含む、方法。
【請求項20】
前記硬化したボンディング組成物が、少なくとも350℃かつ1時間の曝露後に、剥離によって又は化学溶媒洗浄によって、剥離可能なままである、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
高温安定性硬化性ボンディング組成物(curable bonding composition)、硬化性ボンディング組成物を用いて調製された積層体(laminate bodies)、及び積層体を調製するための方法が本明細書に開示される。
【0002】
いくつかの実施形態では、硬化性ボンディング組成物は、少なくとも1つのフリーラジカル重合性ビスマレイミド樹脂と、少なくとも1つの重合性シロキサン系剥離剤と、任意選択の熱又は紫外線フリーラジカル開始剤と、を含む。硬化性組成物は、100%固体であるか又は溶媒希釈された、コーティング可能な組成物である。硬化すると、その硬化した組成物は高温安定性であり、等温TGA(熱重量分析)で測定した場合、少なくとも300℃の温度かつ1時間で重量減少が2.5%以下であり、少なくとも300℃かつ1時間の曝露後に剥離によって剥離可能なままである。
【0003】
本明細書では積層体も開示する。いくつかの実施形態では、積層体は、被加工基材と、基材と接触する接合層と、接合層の下に配置された、光吸収剤及び熱分解性材料を含む光熱変換層と、光熱変換層の下に配置された光透過性支持体と、を含む。接合層は、上記の硬化したボンディング組成物である。
【0004】
積層体を調製するための方法も開示される。いくつかの実施形態では、その方法は、光吸収剤、及び熱分解性材料又は熱分解性材料の前駆体としてのモノマー若しくはオリゴマーを含有する光熱変換層前駆体を、光透過性支持体上にコーティングすることと、光熱変換層前駆体を固化又は硬化するまで乾燥させて、光透過性支持体上に光熱変換層を形成することと、硬化性ボンディング組成物を、被加工基材又は光熱変換層に適用して接合層を形成することと、被加工基材と光熱変換層とを、接合層を介して、減圧下で接合させて、積層体を形成することと、を含む。接合層は、上記の硬化したボンディング組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本出願は、添付の図面と共に、本開示の様々な実施形態についての以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解され得る。
【0006】
図1A】本開示の積層体の実施形態の断面図である。
図1B】本開示の別の積層体の実施形態の断面図である。
【0007】
以下の例示された実施形態の説明においては、本開示を実施することが可能な様々な実施形態を実例として示す添付の図面を参照する。本開示の範囲から逸脱することなく実施形態を利用することが可能であり、構造上の変更が行われ得る点は理解されるべきである。これらの図は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図面で使用されている同様の番号は、同様の構成要素を示す。しかしながら、所与の図における構成要素を示すための番号の使用は、同じ番号で示されている別の図内の構成要素を限定することを意図していないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
接着剤及びボンディング組成物の使用は、幅広い用途で増加している。接着剤の最も一般的な用途は、結合であり、すなわち、1つの基材をもう1つの基材に接着させることである。多くの場合、接着剤は、恒久的に又は少なくとも長期間接着するように設計され、接着剤は、最終物品に組み込まれる。例としては、ディスプレイ画面上に使用されるフィルムの各層を結合させる光学接着剤から、自動車にバンパーを固定する構造用接着剤までに及ぶ。
【0009】
一方、物品を恒久的に又は長期間接着させるように設計されていない特殊な種類の接着性物品もあり、むしろ「加工用」物品と記載される。これは、接着剤が、構成要素を一時的に保持するか、又は構成要素に一時的な保護層を提供して、1つのプロセス又は一連のプロセスが実施できるようにすることを意味する。加工工程後、接着性物品は取り外される。典型的に、接着性物品の取り外しは、残留物を全く残さないか、又は容易に除去可能な残留物を残すことが望ましい。接着剤加工用物品の簡単な例は、マスキングテープである。塗料が幅木に付着することなく、壁を塗装したい場合、幅木に壁/幅木の界面でマスキングテープを貼る。次いで、壁を塗装する。マスキングテープは、幅木に塗料が付着するのを防ぐように機能する。マスキングテープは、残留物を残さず、取り外される。
【0010】
現在の産業ニーズ、特に、電子光学産業、並びに消費財及び他の物品の製造におけるニーズは、上記の単純な例と比べて、その要件がはるかにより複雑で特殊になっている。例示的な例は、半導体ウエハのプロセスである。ウエハは、典型的には、様々な加工工程が行われる小さな物品である。多くの場合、加工用接着剤は、これらのプロセスが実施される間に、ウエハを保持するために使用される。これらの工程の多くは、研磨及び研削などの激しい物理的プロセス、並びに高温に対する曝露を伴う。したがって、これらの工程中にウエハを所定の位置にしっかりと保持する加工用接着剤が必要である。加工工程が完了したら、ウエハは、加工用物品から取り外し可能である必要がある。このような加工用接着剤は、様々な要件を有し、これらの要件は、強く保持するが容易に除去されるなど、明らかに相反している。
【0011】
本明細書では、少なくとも1つのフリーラジカル重合性ビスマレイミド樹脂と、少なくとも1つの重合性シロキサン系剥離剤と、任意選択の熱又は紫外線フリーラジカル開始剤と、を含む、硬化性ボンディング組成物が開示される。硬化性組成物は、100%固体であるか又は溶媒希釈された、コーティング可能な組成物であり、硬化すると、その硬化した組成物は高温安定性であり、等温TGA(熱重量分析)によって測定した場合、少なくとも300℃の温度かつ1時間で重量減少が2.5%以下であり、少なくとも300℃かつ1時間の曝露後に剥離によって剥離可能なままである。
【0012】
被加工基材と、基材と接触している接合層であって、上記の硬化した硬化性ボンディング組成物を含む、接合層と、接合層の下に配置された、光吸収剤及び熱分解性材料を含む光熱変換層と、光熱変換層の下に配置された光透過性支持体と、を含む、積層体も開示する。このような積層体を調製するための方法も開示される。
【0013】
「接着剤」及び「ボンディング組成物」という用語は、互換的に使用され、結合(bonding、ボンディング)に有用なポリマー組成物を指す。
【0014】
本明細書で使用される用語「硬化」は、重合を指す。硬化という用語は、当該技術分野において広く使用され、架橋又は加硫を指す場合がある。本開示では、硬化は、単に重合を意味し、架橋と同義ではないが、架橋を含み得る。
【0015】
本明細書で使用される「シロキサン」及び「シロキサン系」という用語は、シロキサン単位を含有するポリマー又はポリマーの単位を指す。用語シリコーン又はシロキサンは、互換的に用いられ、ジアルキル又はジアリールシロキサン(-SiRO-)繰り返し単位を有する単位を指す。
【0016】
2つの層を指すとき、本明細書で使用する場合、用語「隣接する」は、2つの層が互いに近接しており、それらの間に介在する開放空間がないことを意味する。これらは、互いに直接接触していてもよい(例えば、一緒に積層されてもよい)、又は介在層が存在してもよい。
【0017】
用語「ポリマー」及び「高分子」は、本明細書において、化学における一般的な使用法と整合するように使用される。ポリマー及び高分子は、多くの繰り返しサブユニットから構成される。本明細書で使用する場合、用語「高分子」は、複数の繰り返し単位を有するモノマーに結合した基を説明するために使用される。用語「ポリマー」は、重合反応から形成された得られた材料を説明するために使用される。
【0018】
「100%固体の組成物」という用語は、溶媒を本質的に含まない、又は溶媒を含まない組成物を指す。
【0019】
「solvent-diluted、溶媒希釈された、溶媒希釈の」という用語は、粘度を低下させ、組成物のコーティング性を増加させるために溶媒を添加した組成物を指す。
【0020】
用語「アルキル」は、飽和炭化水素であるアルカンの基である一価の基を指す。アルキルは、直鎖、分枝鎖、環状、又はこれらの組み合わせであってもよく、典型的には、1個~20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1個~18個、1個~12個、1個~10個、1個~8個、1個~6個、又は1個~4個の炭素原子を含有する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、及びエチルヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
用語「アリール」は、芳香族及び炭素環である一価の基を指す。アリールは、芳香環に接続している又は縮合している、1個~5個の環を有し得る。その他の環構造は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組み合わせであってもよい。アリール基の例としては、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、アントリル、ナフチル、アセナフチル、アントラキノニル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、ペリレニル、及びフルオレニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
「アルキレン」という用語は、アルカンのラジカルである二価の基を指す。アルキレンは、直鎖、分枝鎖、環状又はこれらの組み合わせであってもよい。アルキレンは、多くの場合、1個~20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキレンは、1個~18個、1個~12個、1個~10個、1個~8個、1個~6個、又は1個~4個の炭素原子を含有する。アルキレンのラジカル中心は、同一の炭素原子上にあってもよく(すなわちアルキリデン)、異なる炭素原子上にあってもよい。
【0023】
用語「フリーラジカル重合性」及び「エチレン性不飽和」は、互換的に使用され、フリーラジカル重合機構を介して重合できる炭素-炭素二重結合を含有する反応性基を指す。
【0024】
本明細書では、少なくとも1つのフリーラジカル重合性ビスマレイミド樹脂と、少なくとも1つの重合性シロキサン系剥離剤と、任意選択の熱又は紫外線フリーラジカル開始剤と、を含む、硬化性ボンディング組成物が開示される。硬化性組成物は、コーティング可能な100%固体の組成物であり、硬化すると、その硬化した組成物は高温安定性であり、等温TGA(熱重量分析)によって測定した場合、少なくとも300℃の温度かつ1時間で重量減少が2.5%以下であり、少なくとも300℃かつ1時間の曝露後に剥離によって剥離可能なままである。
【0025】
硬化性組成物は、少なくとも1つのフリーラジカル重合性ビスマレイミド樹脂を含む。広範囲のフリーラジカル重合性ビスマレイミド樹脂が好適である。いくつかの実施形態では、フリーラジカル重合性ビスマレイミド樹脂は、少なくとも1つの構造1の化合物:
【化1】
(式中、Rは、アルキレン基、芳香族基、ヘテロ原子含有基、シロキサン基、1つ以上のポリイミド連結、又はこれらの組み合わせを含有する二価の連結基を含む)
を含む。
【0026】
広範囲のフリーラジカル重合性ビスマレイミド樹脂が、市販されている。例としては、Designer Molecules製のBMI-689、BMI-1500、BMI-1700、BMI-3000、及びBMI-5000が挙げられる。例示的な構造を以下に(a)~(d)として示す。
【化2】
【0027】
いくつかの実施形態では、フリーラジカル重合性ビスマレイミド樹脂は、少なくとも1つの構造1の化合物を含み、式中、Rはポリイミド基を含有するオリゴマー基を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、フリーラジカル重合性ビスマレイミド樹脂は、少なくとも1つの構造1の化合物を含み、式中、Rは、シロキサン系基を含む。このタイプのビスマレイミド樹脂の1つの利点は、シロキサン基の存在が、硬化したボンディング組成物の剥離性を助けることができる点である。このような樹脂の例としては、米国特許第4,923,997号に記載されているような以下に示す化合物1が挙げられる:
【化3】
【0029】
化合物1において、R’はアルケニレン基又はアルキレン基であり、R”は独立して炭化水素基又はハロ炭化水素基であり、nは整数である。
【0030】
多くの実施形態では、少なくとも1つのフリーラジカル重合性ビスマレイミド樹脂は、複数のビスマレイミドの混合物を含む。樹脂を組み合わせて使用することにより、コーティング可能な100%固体のボンディング組成物の粘度を制御する際の柔軟性、並びに硬化したコーティング可能な組成物の最終特性を制御する能力が提供される。
【0031】
硬化性ボンディング組成物はまた、少なくとも1つの重合性シロキサン系剥離剤も含み、これは、シロキサン系剥離剤が、ビスマレイミド樹脂又は上記の樹脂の組み合わせと共重合可能であることを意味している。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシロキサン系剥離剤は、シロキサン(メタ)アクリレート、シロキサン水素化物、又はシロキサンマレイミドを含む。
【0032】
多種多様なシロキサン(メタ)アクリレートが、Evonik IndustriesからTEGO Rad 2300、TEGO Rad 2250、TEGO Rad 2100、及びTEGO Rad 2500の商品名で市販されている。これらの化合物は、類似しており、以下に示す化合物2の一般構造を有する:
【化4】
TEGO Rad 2300の場合、mは、1~5であり、nは、アクリレート基対メチル基の比が1:20~1:50であるような値である。TEGO Rad 2100及びTEGO Rad 2500の場合、nは、10~20の範囲であり、mは、0.5~5である。別の市販のシロキサン(メタ)アクリレートは、Allnex製のシリコーンジアクリレートであるEBECRYL 350である。
【0033】
シロキサン水素化物の例としては、Gelest製のHMS-301メチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端、シリコーン水素化物が挙げられる。
【0034】
シロキサンマレイミドの例としては、例えば、上に示した化合物1が挙げられる。
【0035】
硬化性組成物のフリーラジカル硬化は、電子ビーム(E-ビーム)又はガンマ線照射への曝露によって達成することができる。E-ビーム又はガンマ線照射の使用は、開始剤の使用を要件としない。Eビーム硬化及びガンマ線硬化の様々な手順が公知である。硬化は、使用される特定の装置に依存し、当業者は、特定の装置、形状、及びライン速度、並びに他の十分に理解されたプロセスパラメータのための線量較正モデルを定義することができる。
【0036】
市販の電子線生成装置は容易に入手できる。本明細書に記載の例では、放射プロセスは、Model CB-300電子線生成装置(Energy Sciences,Inc.(Wilmington、MA)から入手可能)で実施した。市販のガンマ線照射装置には、医療用途のための製品のガンマ線照射滅菌に多くの場合使用される装置が含まれる。
【0037】
いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、少なくとも1つの開始剤を更に含み得る。少なくとも1つの開始剤は、フリーラジカル開始剤である。開始剤は、熱開始剤であっても光開始剤であってもよい。多くの実施形態では、開始剤は熱開始剤である。熱開始剤は、加熱するとフリーラジカルを発生させる種である。多くの可能な熱フリーラジカル開始剤は、ビニルモノマー重合の技術分野において既知であり、使用することができる。本明細書で有用な典型的な熱フリーラジカル重合開始剤は、フリーラジカルを生成する有機過酸化物(有機パーオキシド)、有機ヒドロパーオキシド、及びアゾ基開始剤である。有用な有機パーオキシドとしては、ベンゾイルパーオキシド、ジ-t-アミルパーオキシド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、及びジ-クミルパーオキシドなどの化合物が挙げられるが、これらに限定されない。有用な有機ヒドロパーオキシドとしては、t-アミルヒドロパーオキシド及びt-ブチルヒドロパーオキシドなどの化合物が挙げられるが、これらに限定されない。有用なアゾ基開始剤としては、VAZO 52(2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル))、VAZO 64(2,2’-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル))、VAZO 67(2,2’-アゾビス(2-メチルブタンニトリル))、及びVAZO 88(2,2’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル))などの、DuPont製のVAZO化合物が挙げられるが、これらに限定されない。追加の市販の熱開始剤としては、例えば、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なLUPERSOL 130(2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3)、並びにArkema,Inc.(King of Prussia,PA)から入手可能なLUPEROX 101(2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルパーオキソキシ)ヘキサン)及びLUPEROX 231(1,1-ビス(tertブチルパーオキシド)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン)、並びにUnited Initiatorsから入手可能なUN3114(BCHPC)(ジ(4-(tertブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート)が挙げられる。
【0038】
いくつかの実施形態では、開始剤は、光開始剤を含んでいてもよく、これは、開始剤が、光、典型的には紫外(UV)光により活性化されることを意味している。好適なフリーラジカル光開始剤の例としては、BASF(Charlotte,NC)から市販されているDAROCURE 4265、IRGACURE 651、IRGACURE 1173、IRGACURE 819、LUCIRIN TPO、LUCIRIN TPO-L、及びIGM Resinsから入手可能なOMNIRAD 819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド)が挙げられる。
【0039】
所望の温度及び変換率まで重合を行うために、典型的には、十分な量の開始剤が使用される。使用される光開始剤の総量は、典型的には、総モノマー含有量に基づいて、約0.01重量%~約5.0重量%の範囲、又は約0.1重量%~約2.0重量%の範囲である。使用される熱開始剤の総量は、典型的には、総モノマー含有量に基づいて、約0.1重量%~約5.0重量%の範囲、又は約0.5重量%~約4.0重量%の範囲である。
【0040】
硬化性ボンディング組成物の多くの実施形態は、100%固体である。所望に応じて、特に、粘度によってコーティングが難しくなり、又は過度に遅くなる場合、硬化性組成物は、溶媒希釈されてもよく、すなわち、硬化性ボンディング組成物は溶媒を更に含む。多種多様な溶媒が好適であるが、エーテル及びアセテートが特に好適である。好適な溶媒の例としては、PGMEA(プロピルグリコールモノメチルエーテルアセテート)及びPGME(プロピルグリコールモノメチルエーテル)が挙げられる。
【0041】
典型的には、硬化の前に、溶媒は、コーティングされた組成物から乾燥によって除去される。乾燥は、高温に曝露することによって促進することができる。溶媒が使用され、硬化の前に乾燥される場合、乾燥の温度は、任意の熱開始剤が使用される場合、その開始剤の活性化温度未満である。
【0042】
上述したように、ボンディング組成物は、様々な特性を有しているため、広範囲のプロセスでの使用に好適である。望ましい特性の中で、その硬化した組成物は高温安定性であり、等温TGA(熱重量分析)で測定した場合、少なくとも300℃の温度かつ1時間で重量減少が2.5%以下である。多くのプロセスは、硬化した接着剤を少なくとも300℃の温度に1時間曝露することを伴うので、これは望ましい。高温安定性は、硬化した接着剤が、少なくとも300℃かつ1時間の曝露後に剥離によって剥離可能なままであることを更に特徴とする。
【0043】
300℃は、ボンディング組成物が耐えるには非常に極端な条件であるが、いくつかの実施形態では、条件は更に極端である。例えば、いくつかの実施形態では、その硬化した組成物は高温安定性であり、等温TGA(熱重量分析)で測定した場合、少なくとも350℃の温度かつ1時間で重量減少が4.5%以下である。この安定性は、硬化した接着剤組成物が、少なくとも350℃かつ1時間の曝露後に、剥離によって又は化学溶媒洗浄によって、剥離可能なままであることを更に特徴とする。この更に極端な一連の条件では、硬化した接着剤組成物のいくらかの残留物が後に残る場合があり、剥離による除去に加えて化学溶剤洗浄の使用が必要である。
【0044】
被加工基材と、基材と接触している接合層であって、上記の硬化された硬化性ボンディング組成物を含む、接合層と、接合層の下に配置された、光吸収剤及び熱分解性材料を含む光熱変換層と、光熱変換層の下に配置された光透過性支持体と、を含む、積層体も開示される。このような積層体を調製するための方法、及び、例えば、ウエハを加工するためのこのような積層体の使用は、米国特許第7,534,498号で考察されている。
【0045】
本発明のボンディング組成物は、米国特許第7,534,498号で開示されている方法を使用して、米国特許第7,534,498号で考察されている装置で使用するのに好適である。ボンディング組成物は、上記で詳細に記載されており、少なくとも1つのフリーラジカル重合性ビスマレイミド樹脂と、少なくとも1つの重合性シロキサン系剥離剤と、任意選択の熱又は紫外線フリーラジカル開始剤と、を含む。上述したように、本発明のボンディング組成物は、硬化性組成物がコーティング可能な100%固体の組成物であり、硬化すると、その硬化した組成物は高温安定性であり、等温TGA(熱重量分析)によって測定した場合、少なくとも300℃の温度かつ1時間で重量減少が2.5%以下であり、少なくとも300℃かつ1時間の曝露後に剥離によって剥離可能なままであるので、使用するのに特に好適である。
【0046】
多種多様な被加工基材が、好適である。多くの実施形態では、基材は脆性材料である。脆性材料の例としては、ケイ素及びガリウムヒ素などの半導体ウエハ、並びに水晶ウエハ、サファイア及びガラスが挙げられる。
【0047】
積層体はまた、上述の接合層の下に配置された光熱変換層も含む。光熱変換層は、光吸収剤及び熱分解性材料を含む。レーザー光などの形態で光熱変換層に適用される放射エネルギーは、光吸収剤によって吸収され、熱エネルギーに変換される。発生した熱エネルギーは光熱変換層の温度を急激に上昇させ、その温度は光熱変換層中の熱分解性材料の熱分解温度に達し、材料の熱分解を引き起こす。熱分解により発生したガスは、光熱変換層中に空隙層(例えば、空気の空間)を形成し、光熱変換層を2つの部分に分割し、それにより支持体と基材とを分離すると考えられる。
【0048】
広範な材料が、光熱変換層における使用に好適である。いくつかの実施形態では、光吸収剤は、カーボンブラック、グラファイト粉末、微細粒子金属粉末、例えば、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、亜鉛及びテルル、金属酸化物粉末、例えば、黒色酸化チタン、又は染料若しくは顔料を含む。いくつかの実施形態では、光吸収剤はカーボンブラックであり、光熱変換層中のカーボンブラックと透明フィラーとの総量は、光熱変換層の体積に基づいて5~70体積%である。
【0049】
米国特許第7,534,498号に記載されている熱分解性樹脂を含む広範囲の熱分解性材料が、好適である。
【0050】
いくつかの実施形態では、光熱変換層は透明フィラーを更に含む。透明フィラーは、熱分解性材料の熱分解の結果として空隙層の形成により光熱変換層が分離した場合に、光熱変換層が再接着するのを防止するように機能する。好適な透明フィラーの例としては、シリカ、タルク及び硫酸バリウムが挙げられる。いくつかの実施形態では、光吸収剤はカーボンブラックであり、光熱変換層中のカーボンブラックと透明フィラーとの総量は、フィラー体積濃度の80%以上である。
【0051】
積層体は、光透過性支持体も含む。広範囲の光透過性支持体が好適である。光透過性支持体は、レーザー光などの光を透過すると同時に、被加工基材を平坦な状態に保つ表面を提供し、加工中に基材を破損させない材料である。特に好適な光透過性支持体はガラスである。
【0052】
積層体はまた、追加の任意選択の層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、積層体は、接合層と光熱変換層との間に、第1の中間層を更に含む。好適な第1の中間層の例としては、多層光学フィルムが挙げられる。積層体はまた、第2の中間層を含んでもよく、第2の中間層は、光熱変換層と光透過性支持体との間に置かれ、第2の中間層及び光透過性支持体は、第2の接合層(典型的には、感圧接着剤などの接着剤層)を介して接合される。典型的には、第2の中間層は、光熱変換層に適用され硬化されるコーティング可能な硬化性材料である。
【0053】
積層体を製造するための方法も開示される。いくつかの実施形態では、その方法は、光吸収剤、及び熱分解性材料又は熱分解性材料の前駆体としてのモノマー若しくはオリゴマーを含有する光熱変換層前駆体を、光透過性支持体上にコーティングすることと、光熱変換層前駆体を固化又は硬化するまで乾燥させて、光透過性支持体上に光熱変換層を形成することと、硬化性ボンディング組成物を、被加工基材又は光熱変換層に適用して接合層を形成することであって、硬化性ボンディング組成物は上記で詳細に説明されている、接合層を形成することと、被加工基材と光熱変換層とを、接合層を介して、減圧下で接合させて、積層体を形成することと、を含む。
【0054】
上述したように、いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、コーティング可能な100%固体の組成物であり、硬化すると、その硬化した組成物は高温安定性であり、等温TGA(熱重量分析)によって測定した場合、少なくとも300℃の温度かつ1時間で重量減少が2.5%以下であり、少なくとも300℃かつ1時間の曝露後に剥離によって剥離可能なままである。他の実施形態では、硬化性組成物は、硬化すると、硬化したボンディング組成物は、少なくとも350℃かつ1時間の曝露後に、剥離によって又は化学溶媒洗浄によって、剥離可能なままである。
【0055】
本開示の積層体を利用する加工工程は、例えば、米国特許第7,534,498号に記載されている。
【0056】
本開示は、図面を参照することによってより完全に理解され得る。図は、本開示の積層体の実施形態の断面図である。図1Aは、被加工基材2、硬化した接合層3、光化学変換層4、及び光透過性支持体5を含み、この順に積層された積層体1を示している。これらの層の各々は、上で詳細に考察されている。
【0057】
図1Bは、被加工基材2、硬化した接合層3、第1の中間層6、光化学変換層4、第2の中間層9、第2の接合層3、及び光透過性支持体5を含み、この順に積層された積層体1の代替実施形態を示している。これらの層の各々は、上で詳細に考察されている。
【実施例
【0058】
これらの実施例は、単に例示する目的のためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書の実施例及び他の箇所における全ての部、百分率、比などは、別途指示がない限り、重量に基づくものである。以下の略語が使用される:cm=センチメートル、RPM=毎分の回転数、kg=キログラム、cPs=センチポアズ、min=分、hr=時間、mJ=ミリジュール。
【表1】
【0059】
試験方法
熱重量分析(TGA)
接着剤サンプルのTGA分析を、Nガス保護下で行って、300又は350℃かつ1時間後での重量減少を測定した。300℃又は350℃かつ1時間での接着剤サンプルの重量減少を、TA instrument製のTGA(954000.901)を使用して測定した。温度上昇速度は10℃/分であった。
【0060】
90度剥離力試験
接着剤の90度剥離力は、Imass SP-2100(Imass,Inc.)を使用して測定した。試験条件は、ロードセル容量:5kg、速度:12インチ/分(30cm/分)、遅延:2秒、試験時間:2秒又は5秒、サンプル幅:0.5インチ(13cm)であり、剥離力はニュートンで表した。
【0061】
実施例/比較例
実施例1~6及び比較例CE1及びCE2:
サンプル調製
UV硬化配合物の調製:
以下の表1に記載の成分を使用して接着剤配合物を調製した。成分を遮光プラスチック混合容器に添加した。容器内の混合物を、90℃のオーブンで20分間加熱した。混合物を手で混合し、そして真空高速ミキサー:DAC 800.2 VAC-P(FlackTek Inc,Landrum,SC)を、2000rpm、10torrの真空で3分間使用して再び混合した。
【0062】
熱硬化配合物の調製:
接着剤配合物は、以下の表1に記載した成分(熱開始剤を除く)を使用して調製した。成分をプラスチック混合容器に添加した。容器内の混合物を、90℃のオーブンで20分間加熱した。混合物を手で混合し、そして真空高速ミキサー:DAC 800.2 VAC-P(FlackTek Inc,Landrum,SC)を、2000rpm、10torrの真空で3分間使用して再び混合した。混合し、混合物を冷却した後、熱開始剤を添加し、最初に手で混合し、次いで高速混合プロセスを再び1500rpmで繰り返した。
【0063】
スピンコーティング:
接着剤を、直径100mmのシリコンウエハ上に、第1の条件:1200rpmで20秒間、第2の条件:2000rpmで40秒間の条件にてスピンコーティングした。
【0064】
UV又は熱硬化:
上記のスピンコーティングされた接着剤及びウエハは、熱(150~220℃で1~1.5時間)又はUV(2400mJ/cm)のいずれかで硬化させた。
【0065】
ベーキングプロセス:
上記の硬化した接着剤及びウエハを、Nガスで保護されたホットプレート(Model 10,Brewer science,Inc.)上に置き、温度を6℃/分の上昇速度で300℃まで上昇させ、300℃で1時間ベーキング(焼成)した後、ホットプレートの温度を室温まで冷却した。
【0066】
試験
配合物を、TGA重量減少及び90度剥離接着力(初期及びベーキングプロセス後)について試験した。結果を以下の表2に示す。
【表2】
【表3】
図1A
図1B
【国際調査報告】