(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-21
(54)【発明の名称】深さ調整可能オートインジェクタ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20250313BHJP
A61M 5/315 20060101ALI20250313BHJP
【FI】
A61M5/20 510
A61M5/315 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024553406
(86)(22)【出願日】2023-03-08
(85)【翻訳文提出日】2024-09-13
(86)【国際出願番号】 US2023014768
(87)【国際公開番号】W WO2023172592
(87)【国際公開日】2023-09-14
(32)【優先日】2022-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マニオン,マドリン・アン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルストレーム,リチャード・リー
(72)【発明者】
【氏名】カーレ・セルベルグ,ペーター・ダン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066DD13
4C066EE06
4C066EE14
4C066FF05
4C066GG01
4C066GG12
4C066GG15
4C066GG20
4C066HH02
4C066JJ09
4C066NN01
(57)【要約】
薬物送達デバイスは、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸とを有するハウジングと、ハウジングの近位端又はその近くでハウジング内に少なくとも部分的に配置された注入アセンブリであって、針又はカニューレを含む注入アセンブリと、ハウジングと摺動可能に結合されたシールドと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置された駆動アセンブリと、シールド及び/又はハウジングと動作可能に結合された深さアジャスタとを含む。シールドは、少なくとも近位端がハウジングの近位端を越えてある距離だけ延びる延出位置と、後退位置とに配置可能である。駆動アセンブリは、注入アセンブリ及びシールドと動作可能に結合され、且つ注入アセンブリを介して薬剤を送達するように係合可能である。シールド及び/又はハウジングと結合されたとき、深さアジャスタは、シールドが後退位置に配置可能になることを防止又は阻止するように適合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングであって、近位端と、遠位端と、前記ハウジングの前記近位端と前記遠位端との間に延びる長手方向軸とを有するハウジングと、
前記ハウジングの前記近位端又はその近くで前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された注入アセンブリであって、針又はカニューレを含む注入アセンブリと、
前記ハウジングと摺動可能に結合されたシールドであって、前記シールドの少なくとも近位端が前記ハウジングの前記近位端を越えてある距離だけ延びる延出位置と、後退位置とに配置可能であるシールドと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、且つ前記注入アセンブリ及び前記シールドと動作可能に結合された駆動アセンブリであって、前記注入アセンブリを介して薬剤を送達するように係合可能である駆動アセンブリと、
前記シールド又は前記ハウジングの少なくとも一方と動作可能に結合された深さアジャスタと
を含む薬物送達デバイスであって、前記深さアジャスタが前記シールド又は前記ハウジングの少なくとも一方と結合されるとき、前記深さアジャスタは、前記シールドが前記後退位置に配置可能になることを防止又は阻止するように適合される、薬物送達デバイス。
【請求項2】
前記深さアジャスタは、前記シールドの一部を受け入れるための開口部と、本体とを有するカラーを含み、前記カラーの前記本体は、前記シールドと前記ハウジングとの間の相対移動を防止又は阻止するために、前記シールドの一部及び前記ハウジングの一部に係合するように適合される、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項3】
前記シールドの前記近位端は、前記カラーの一部に係合する隆起部を含む、請求項2に記載の薬物送達デバイス。
【請求項4】
前記本体は、約1mm~約5mmの厚さを有する、請求項2又は3に記載の薬物送達デバイス。
【請求項5】
前記深さアジャスタは、異なる厚さを有する複数の深さアジャスタ間で選択可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項6】
前記深さアジャスタは、前記シールドの一部に選択的に係合する回転可能なノブを含む、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項7】
前記回転可能なノブは、前記ハウジングのねじ付き部材上に配置される、請求項6に記載の薬物送達デバイス。
【請求項8】
前記回転可能なノブは、前記シールドの前記一部との係合点を調整するための少なくとも1つのリニアステップを含む、請求項6又は7に記載の薬物送達デバイス。
【請求項9】
ハウジングであって、近位端と、遠位端と、前記ハウジングの前記近位端と前記遠位端との間に延びる長手方向軸とを有するハウジング、
前記ハウジングの前記近位端又はその近くで前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された注入アセンブリであって、針又はカニューレを含む注入アセンブリ、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、且つ前記注入アセンブリと動作可能に結合された駆動アセンブリであって、前記注入アセンブリを介して薬剤を送達するように係合可能である駆動アセンブリ
を含む薬物送達デバイスであって、
前記ハウジングは、1)第1の構成を有する第1のシールド、又は2)前記第1のシールドの前記第1の構成と異なる第2の構成を有する第2のシールドの少なくとも一方を摺動可能に受け入れるように適合され、
前記第1のシールドは、その近位端から前記針又はカニューレを第1の長さだけ延出させるように適合され、及び前記第2のシールドは、その近位端から前記針又はカニューレを第2の長さだけ延出させるように適合される、薬物送達デバイス。
【請求項10】
前記第1のシールドは、第1の全長を有し、及び前記第2のシールドは、前記第1の全長と異なる第2の全長を有する、請求項9に記載の薬物送達デバイス。
【請求項11】
前記第1のシールドは、第1の厚さを有するリップを有する近位端を含み、及び前記第2のシールドは、前記第1の厚さと異なる第2の厚さを有するリップを有する近位端を含む、請求項9に記載の薬物送達デバイス。
【請求項12】
薬物送達デバイスを組み立てるためのプラットフォームシステムであって、
ハウジングであって、近位端と、遠位端と、前記ハウジングの前記近位端と前記遠位端との間に延びる長手方向軸とを有するハウジングと、
前記ハウジングの前記近位端又はその近くで前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された注入アセンブリであって、針又はカニューレを含む注入アセンブリと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、且つ前記注入アセンブリと動作可能に結合された駆動アセンブリであって、前記注入アセンブリを介して薬剤を送達するように係合可能である駆動アセンブリと、
前記注入アセンブリの一部の相対移動を少なくとも部分的に制限するために、前記薬物送達デバイスの一部と結合するように適合された選択可能な深さ調整構成要素群と
を含み、前記薬物送達デバイスは、前記薬物送達デバイスの少なくとも1つの所望の特性を用いて、前記選択可能な深さ調整構成要素群から第1の深さ調整構成要素を識別及び選択し、且つ前記第1の深さ調整構成要素を前記ハウジング、前記注入アセンブリ又は前記駆動アセンブリの少なくとも1つと結合することによって組み立てられる、プラットフォームシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの所望の特性は、所望の注入深さを含む、請求項12に記載のプラットフォームシステム。
【請求項14】
前記選択可能な深さ調整構成要素群は、複数のシールドを含み、前記複数のシールドのそれぞれは、異なる構成を有する、請求項12又は13に記載のプラットフォームシステム。
【請求項15】
前記複数のシールドのそれぞれは、異なる全長を有する、請求項14に記載のプラットフォームシステム。
【請求項16】
前記複数のシールドのそれぞれは、前記ハウジングの一部に係合するように適合されたリップを含み、前記複数のシールドの各リップは、異なる厚さを有する、請求項14に記載のプラットフォームシステム。
【請求項17】
前記選択可能な深さ調整構成要素群は、前記デバイスの一部と動作可能に結合された複数の深さアジャスタを含む、請求項12又は13に記載のプラットフォームシステム。
【請求項18】
前記複数の深さアジャスタのそれぞれは、異なる厚さを有する本体を有するカラーを含む、請求項17に記載のプラットフォームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2022年3月11日に出願された米国仮特許出願第63/319,049号明細書に対する優先権が主張され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、薬物送達デバイスに関し、より具体的には、薬物送達デバイスの調整可能な特徴に関する。
【背景技術】
【0003】
患者に液剤を送達するために、インジェクタなどの薬物送達デバイスが使用される。薬物送達デバイスは、作動されると、例えばプレフィルドシリンジ(「PFS」)などの内部リザーバ内に保存された薬物を、針、カニューレ又は他の送達部材を通して患者に排出する。ペン型オートインジェクタ又はオンボディ型インジェクタなどのいくつかの薬物送達デバイスは、注入針又は何らかの他の手段によってある期間にわたって薬物を送達するために、患者の皮膚に隣接して配置され得る。薬物送達デバイスは、患者の腹部、大腿、腕又は患者の体の何らかの他の部分の組織の近傍に配置され得る。
【0004】
そのようなデバイスを使用する場合、送達部材は、皮下又は筋肉内への薬物送達を行うために、所望の深さで挿入される。小児及び他の患者は、成長し続けるため、特定の薬物の適切な送達深さは、変化する可能性がある。例えば、小児の皮膚は、成人よりも薄いことが多く、そのため、皮下の深さは、それほど深くない。様々な年齢及びサイズの小児に適応するデバイスは、一部には、高い開発コストと、成長するにつれて変化する小児のサイズに対処するために多様なデバイスが必要であることとに起因して、通常使用されない。更に、成人用デバイスは、その針刺入深さが増すことで、デバイスが場合により薬物を望ましくない深さまで送達する可能性があるため、小児の患者に使用されないことが多い。したがって、小児には、より患者に優しい特徴を組み込む可能性のあるオートインジェクタなどのデバイスではなく、通常、プレフィルドシリンジで薬物が投与される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、既存のデバイス及び手法の有利な代替案を具現化し、本明細書で言及される課題又は必要性の1つ以上に対処し得る深さ調整可能オートインジェクタ及び対応する手法について説明する。
【0006】
第1の態様によれば、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸とを有するハウジングと、ハウジングの近位端又はその近くでハウジング内に少なくとも部分的に配置された注入アセンブリであって、針又はカニューレを含む注入アセンブリと、ハウジングと摺動可能に結合されたシールドと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置された駆動アセンブリと、シールド及び/又はハウジングと動作可能に結合された深さアジャスタとを含む薬物送達デバイスが提供される。シールドは、少なくとも近位端がハウジングの近位端を越えてある距離だけ延びる延出位置と、後退位置とに配置可能である。駆動アセンブリは、注入アセンブリ及びシールドと動作可能に結合され、且つ注入アセンブリを介して薬剤を送達するように係合可能である。シールド及び/又はハウジングと結合されたとき、深さアジャスタは、シールドが後退位置に配置可能になることを防止又は阻止するように適合される。
【0007】
いくつかの例では、深さアジャスタは、シールドの一部を受け入れるための開口部と、本体とを有するカラーを含む。カラーの本体は、シールドとハウジングとの間の相対移動を防止又は阻止するために、シールドの一部及びハウジングの一部に係合し得る。いくつかの例では、シールドの近位端は、カラーの一部に係合する隆起部を含む。更に、いくつかの例では、本体は、約1mm~約5mmの厚さを有し得る。いくつかの手法では、深さアジャスタは、異なる厚さを有する複数の深さアジャスタ間で選択可能である。
【0008】
これら及び他の例では、深さアジャスタは、シールドの一部に選択的に係合する回転可能なノブを含む。更に、回転可能なノブは、ハウジングのねじ付き部材上に配置され得る。いくつかの例では、回転可能なノブは、シールドの一部との係合点を調整するための少なくとも1つのリニアステップを含み得る。
【0009】
第2の態様によれば、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸とを有するハウジングと、ハウジングの近位端又はその近くでハウジング内に少なくとも部分的に配置された注入アセンブリであって、針又はカニューレを含む注入アセンブリと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、且つ注入アセンブリと動作可能に結合された駆動アセンブリとを含む薬物送達デバイスが提供される。駆動アセンブリは、注入アセンブリを介して薬剤を送達するように係合可能である。ハウジングは、1)第1の構成を有する第1のシールド、又は2)第1のシールドの第1の構成と異なる第2の構成を有する第2のシールドの少なくとも一方を摺動可能に受け入れるように適合される。第1のシールドは、その近位端から針又はカニューレを第1の長さだけ延出させるように適合され、及び第2のシールドは、その近位端から針又はカニューレを第2の長さだけ延出させるように適合される。
【0010】
第3の態様によれば、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸とを有するハウジングと、ハウジングの近位端又はその近くでハウジング内に少なくとも部分的に配置された注入アセンブリであって、針又はカニューレを含む注入アセンブリと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、且つ注入アセンブリと動作可能に結合された駆動アセンブリとを含む、薬物送達デバイスを組み立てるためのプラットフォームシステムが提供される。駆動アセンブリは、注入アセンブリを介して薬剤を送達するように係合可能である。システムは、注入アセンブリの一部の移動を少なくとも部分的に制限するために、薬物送達デバイスの一部と結合するように適合された選択可能な深さ調整構成要素群を更に含む。薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスの少なくとも1つの所望の特性を用いて、選択可能な深さ調整構成要素群から第1の深さ調整構成要素を識別及び選択し、且つ第1の深さ調整構成要素をハウジング、注入アセンブリ又は駆動アセンブリの少なくとも1つと結合することによって組み立てられる。
【0011】
上記の必要性は、特に図面と併せて検討した場合、以下の詳細な説明に記載される深さ調整可能オートインジェクタの提供を通して少なくとも部分的に満たされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】様々な実施形態による例示的な薬物送達デバイスの断面図を示す。
【
図2】様々な実施形態による、例示的な深さアジャスタが結合された
図1の例示的な薬物送達デバイスを示す。
【
図3】様々な実施形態による
図2の例示的な薬物送達デバイスを示す。
【
図4】様々な実施形態による、いくつかの異なる例示的な深さアジャスタが結合された
図2及び
図3の例示的な薬物送達デバイスを示す。
【
図5】様々な実施形態による
図2~
図4の例示的な深さアジャスタの正面図を示す。
【
図6】様々な実施形態による
図2~
図5の例示的な深さアジャスタの例示的な側面図を示す。
【
図7】様々な実施形態による別の例示的な深さアジャスタの正面図を示す。
【
図8】様々な実施形態による
図7の別の例示的な深さアジャスタの例示的な側面図を示す。
【
図9】様々な実施形態による、ノブの形態の別の深さアジャスタを有する例示的な薬物送達デバイスを示す。
【
図10】様々な実施形態による
図9の例示的な薬物送達デバイスの断面図を示す。
【
図11】様々な実施形態による、異なる構成を有するノブの形態の別の深さアジャスタを有する
図9の例示的な薬物送達デバイスの断面図を示す。
【
図12】様々な実施形態による、第1の特徴を有するシールドの形態の第1の例示的な深さ調整機構を有する例示的な薬物送達デバイスを示す。
【
図13】様々な実施形態による
図12の例示的な薬物送達デバイスの断面図を示す。
【
図14】様々な実施形態による、第2の特性を有するシールドの形態の第2の例示的な深さ調整機構を有する例示的な薬物送達デバイスの断面図を示す。
【
図15】様々な実施形態による、第3の特徴を有するシールドの形態の第3の例示的な深さ調整機構を有する例示的な薬物送達デバイスの断面図を示す。
【
図16】様々な実施形態による、第4の特徴を有するシールドの形態の第4の例示的な深さ調整機構を有する例示的な薬物送達デバイスの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
当業者であれば、図中の要素が簡略化及び明確化のために描かれており、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを理解するであろう。例えば、図中の要素のいくつかの要素の寸法及び/又は相対位置は、本発明の様々な実施形態の理解を向上させるのに役立つように他の要素に対して誇張されている場合がある。また、商業的に実現可能な実施形態で有用又は必要である、一般的であるが、十分に理解されている要素は、これらの様々な実施形態の図をあまり妨げないようにするために示されないことが多い。更に、特定の行為及び/又はステップは、特定の発生順序で記載されるか又は示される場合があることが認識されるであろうが、当業者であれば、順序に関するこのような特定性が実際には必要ないことを理解するであろう。本明細書で使用する用語及び表現は、本明細書で異なる特定の意味が別途明記される場合を除き、上述の技術分野の当業者がそのような用語及び表現で認識する通常の技術的意味を有することも理解されるであろう。
【0014】
一般的に、これらの様々な実施形態に従い、例えばオートインジェクタなどの薬物送達デバイスの挿入深さを調整するシステム及び手法が提供される。本明細書中に記載されるシステム及び手法は、約1mm~約15mmの範囲の挿入深さ調整可能性を提供し得る。更に、いくつかの例では、そのようなシステムは、所望の薬物投与プロファイルに基づいて(例えば、患者の年齢、体重、体格指数及び/又は他の因子に基づいて)使用者が迅速に選択することができるいくつかの深さ調整構成要素が提供され得るキットとして提供され得る。そのようなシステムは、有利には、構成要素の顕著な再設計及び/又は構成要素の改変を必要としない可能性があるため、既存の薬物送達デバイスを所望のように容易且つ迅速に後付けすることができる。
【0015】
薬物送達デバイスは、本明細書では薬剤又は薬物製品とも呼ばれ得る薬物を送達する。薬物は、ペプチド、ペプチボディ又は抗体等の様々な生物学的物質であり得るが、これらに限定されない。薬物は、流体又は液体形態であり得るが、本開示は、特定の状態に限定されない。薬物送達デバイスの様々な実現形態及び構成が可能である。例えば、本開示は、単回使用の使い捨てインジェクタの形態の薬物送達デバイスについて説明する。他の実施形態では、薬物送達デバイスは、複数回使用の再利用可能インジェクタとして構成され得る。薬物送達デバイスは、患者による自己投与又は介護者若しくは正式に訓練された医療提供者(例えば、医師又は看護師)による投与のために操作可能であり得る。更に、薬物送達デバイスは、オートインジェクタ又はペン型インジェクタの形態をとり得、そのため、薬物送達又は投与の期間にわたって使用者の手に保持され得る。
【0016】
図、特に
図1~
図7を参照すると、本明細書で薬剤又は製剤とも称され得る薬物を送達するための薬物送達デバイス10が提供される。薬物は、ペプチド、ペプチボディ又は抗体等の様々な生物学的物質であり得るが、これらに限定されない。薬物は、流体又は液体形態であり得るが、本開示は、特定の状態に限定されない。特定の液体製剤では、薬物は、およそ(例えば、±10%)1~13センチポアズ(cP)、およそ(例えば、±10%)1~30cP、およそ(例えば、±10%)1~60cPの粘度又は他の好適な粘度プロファイルを有し得る。他の例も可能である。
【0017】
薬物送達デバイス10の様々な実現形態及び構成が可能である。例えば、本開示は、薬物送達デバイス10が単回使用の使い捨て式インジェクタの形態であることについて説明する。他の実施形態では、薬物送達デバイス10は、複数回使用の再利用可能なインジェクタとして構成され得る。薬物送達デバイス10は、患者による自己投与又は介護者若しくは正式に訓練された医療提供者(例えば、医師又は看護師)による投与のために操作可能である。更に、示される例では、薬物送達デバイス10は、オートインジェクタ又はペン型インジェクタの形態をとり、そのため、薬物送達又は投与の期間にわたって使用者の手に保持され得る。
【0018】
薬物送達デバイス10は、外部ケーシング又はハウジング12を含む。いくつかの実施形態では、ハウジング12は、人が片手でインジェクタ10を把持することが可能であるように寸法決め及び寸法設定され得る。ハウジング12は、円筒形状などの略細長形状を有し得、近位端12aと遠位端12bとの間で長手方向軸「A」に沿って延び得る。薬物送達デバイス10は、注入アセンブリ15及び駆動アセンブリ30を更に含む。注入アセンブリ15及び駆動アセンブリ30は、それぞれハウジング12内に少なくとも部分的に配置され得る。注入アセンブリ15は、針又はカニューレの形態の送達部材16を含む。送達部材16の挿入端16aがハウジング12の外側に(即ちその長さを越えて)延びることを可能にするために、開口部14が近位端12aに形成され得る。
【0019】
注入アセンブリ15は、薬物貯蔵容器23を更に含み得、薬物貯蔵容器23は、ハウジング12の内部空間内に配置され得、薬物24を収容するように構成される。薬物貯蔵容器23は、例えば、製造業者によって予め充填され、薬物貯蔵容器23が薬物送達デバイス10の残りの部分と組み合わされる場所に出荷され得る。ハウジング12は、例えば、製造業者によって薬物貯蔵容器23を予め装填され得るか、又は代わりに薬物送達デバイス10の使用前に使用者によって薬物貯蔵容器23が装填され得る。薬物貯蔵容器23は、内部ボア又はリザーバを画定する剛性壁を含み得る。壁は、ガラス製又はプラスチック製であり得る。ストッパ又は類似デバイスの近位への移動により、薬物貯蔵容器23のリザーバから送達部材16に薬物24が排出され得る。薬物貯蔵容器23の遠位端は、プランジャが薬物貯蔵容器23内に延びてストッパを近位方向に押すことを可能にするために開放していてもよい。駆動アセンブリ30を作動すると、プランジャは、近位方向に移動し、ストッパを近位方向に駆動し得る。
【0020】
送達部材16は、薬物貯蔵容器23のリザーバと流体連通して接続されるか又は接続されるように動作可能である。送達部材16の近位端は、送達部材16の挿入端16aを画定し得る。挿入端16aは、送達部材16の挿入中に挿入端16aが患者の皮膚及び皮下組織を穿刺することを可能にする他の尖った形状の鋭利な先端部を含み得る。送達部材16は、中空であり、且つ内部通路を有し得る。薬物が送達部材16から流れ出て患者内に入ることを可能にするために、1つ以上の開口部が挿入端16aに形成され得る。
【0021】
本実施形態では、薬物貯蔵容器23は、プレフィルドシリンジであり、送達部材16のための固定式の中空の金属製針を有する。ここでは、針は、薬物貯蔵容器23の壁に対して固定され、薬物貯蔵容器23のリザーバと恒久的に流体連通する。他の実施形態では、薬物貯蔵容器23は、針のないカートリッジであり得、したがって最初に送達部材16と流体連通しなくてもよい。そのような実施形態では、送達部材16の遠位端が薬物貯蔵容器23の開口部を覆う隔壁を貫通し、それにより薬物貯蔵容器23のリザーバと流体連通を確立するように、薬物貯蔵容器23は、薬物送達デバイス10の操作中に送達部材16の遠位端に向かって又はその逆に移動し得る。
【0022】
薬物貯蔵容器23がハウジング12内に設置されると、ハウジング12に対して移動しないように、薬物貯蔵容器23はハウジング12に対して固定され得る。このように、送達部材16の挿入端16aは、送達前、送達中及び送達後の状態でハウジング12の開口部14を通して恒久的に延び得る。代替的実施形態では、薬物送達デバイス10の動作中に薬物貯蔵容器23がハウジング12に対して移動することが可能であるように、薬物貯蔵容器23はハウジング12に移動可能に結合され得る。そのような特定の代替的実施形態では、送達部材16の挿入端16aは、送達前状態でハウジング12の開口部14の内側に後退され得る。続いて、注入デバイス10の操作中、送達部材16の挿入端16aは、患者への挿入のために、ハウジング12の開口部14を通して展開され得る。この動きは、いくつかの実施形態では、薬物貯蔵容器23がハウジング12に対して近位方向に駆動された結果であり得る。
【0023】
前述したように、薬物送達デバイス10は、ハウジング12内に部分的に又は完全に配置された駆動アセンブリ30を更に含み得る。一般に、駆動アセンブリ30は、エネルギーを貯蔵し、使用者による駆動アセンブリ30の作動時に又は使用者による駆動アセンブリ30の作動に応答して、そのエネルギーを解放又は出力して、注入アセンブリ15(即ち、送達部材16、薬物貯蔵容器23等)を駆動して、薬物24を、送達部材16を通して薬物貯蔵容器23から患者に排出するように構成され得る。この例では、駆動アセンブリ30は、機械的ポテンシャルエネルギーを保存するように構成されるが、駆動アセンブリ30の代替的実施形態は、異なるように、例えば駆動アセンブリ30が電気的又は化学的ポテンシャルエネルギーを保存するように構成され得る。駆動アセンブリ30の作動時、駆動アセンブリ30は、ポテンシャルエネルギーを、プランジャ及び他の構成要素を移動させるための運動エネルギーに変換することができる。
【0024】
いくつかの例では、駆動アセンブリ30は、例えば回転式付勢部材などの付勢部材と、付勢部材と係合してその機械的ポテンシャルエネルギーを解放するために用いられる追加的構成要素とを含み得る。いくつかの実現形態では、回転式付勢部材は、最初に付勢状態で保持されるねじりばね(例えば、スパイラルねじりばね、螺旋ねじりばねなど)であり得る。付勢状態では、回転式付勢部材は、ねじられるか又は巻かれ、そのような追加的構成要素により、ねじられた又は巻かれた構成に保持され得る。解放されると、回転式付勢部材は、その自然な長さ又は形状に戻ろうとし、その結果、構成要素を回転させる付勢力を作用し、これによりしたがって回転運動を、プランジャを近位方向に駆動するための直線運動に変換し得る。代替的実施形態は、回転式付勢部材と異なるエネルギー源を利用し得る。特定の代替的実施形態は、例えば、解放されるとプランジャの移動方向に力を出力する、直線的付勢部材(例えば、螺旋圧縮ばね、螺旋引張りコイルばねなど)を利用し得る。付勢部材に加えて又はその代わりに、他の実施形態は、プランジャに結合された電動モータ及び/又はソレノイド並びに駆動列若しくは動力伝達装置を含む電気機械的構成;又はプランジャを推進するか若しくはストッパに直接的に作用して、ストッパを、薬物貯蔵容器23を通して移動させてそこから薬物24を排出するために、加圧ガス若しくは流体を生成若しくは放出する構成のいずれか1つ又はこれらの構成の組み合わせを含み得る。薬物貯蔵容器23及び/又は送達部材16がハウジング12に対して移動可能である実施形態では、駆動アセンブリ30は、作動時に、送達部材16の挿入端16aが患者に挿入されるように、薬物貯蔵容器23及び/又は送達部材16を近位方向に駆動し得る。したがって、特定の実施形態では、駆動アセンブリ30は、送達部材16を患者に挿入すること及び薬物24を薬物貯蔵容器23から排出することの両方に必要な駆動力を提供し得る。
【0025】
薬物送達デバイス10は、薬物送達デバイス10が注入を投与するために使用されていないときに送達部材16の挿入端16aとの接触を防止するためのガード機構を更に含み得る。ガード機構は、開口部14に隣接してハウジング12の近位端12aに移動可能に配置されたシールド60を含み得る。シールド60は、中空の略円筒状又は管状の形状を有し得る。シールド60は、ハウジング12内に収容された遠位端を有し得、シールド60の近位端60aがハウジング12の開口部14を通して延びる延出位置と、シールド60の近位端をハウジング12の開口部14中に完全に又は部分的に後退させる後退位置との間でハウジング12に対して移動するように構成され得る。少なくとも延出位置では、シールド60は、送達部材16の挿入端16aを越えて延び、挿入端16aを取り囲み得る。いくつかの実施形態では、シールド60を後退位置に向けて移動させることにより、送達部材16の挿入端16aを露出させることができる。更に、いくつかの実施形態では、シールド60は、シールド60がハウジング12に対して直線方向に並進することができるように、ハウジング12及び/又は駆動機構30に結合され得る。
【0026】
シールド60の近位端は、皮膚接触部分62を含み得る。シールド60の遠位端は、アクティベータ部分又は係合部分64を含み得る。いくつかの例では、アクティベータ部分64と皮膚接触部分62は、単一のモノリシック構造を画定するように一体形成され得る。シールド60の少なくとも皮膚接触部分62は、中空の略円筒状又は管状の形状を有し得、いくつかの実施形態では、薬物送達デバイス10の長手方向軸Aを中心とし得る。シールド60のアクティベータ部分64は、切り抜かれた又は凹設された領域であり得る。
【0027】
延出位置から後退位置へのシールド60の移動は、注入部位で患者の皮膚に皮膚接触部分62を押し付けることによって達成され得る。送達部材16が送達前又は貯蔵状態でハウジング12の開口部14から突出する例では、この移動は、送達部材16の挿入端16aの患者の皮膚への挿入をもたらし得る。
【0028】
デバイス10は、例えば、シールド60に近位方向に付勢力を作用させることにより、シールド60を延出位置に向けて付勢又は押勢し得るガード付勢部材(不図示)など、任意の数の追加的構成要素を含み得ることが理解されるであろう。いくつかの例では、ガード付勢部材は、圧縮ばねの形態である。他の例では、ガード付勢部材は、ねじりばねの形態又はばねの他の形態であり得る。いずれにしても、使用者は、シールド60を十分な力で注入部位に押し付けることにより、この付勢力に打ち勝つことができる。注入が完了し、薬物送達デバイス10が注入部位から離されると、ガード付勢部材は、シールド60を延出位置に戻し、それにより送達部材16の挿入端16aを覆い得る。
【0029】
シールド60は、シールド60が延出位置から後退位置に移動するときに駆動アセンブリ30と相互作用するように構成され得る。この相互作用は、駆動アセンブリ30を作動させて、プランジャを駆動するのに必要なエネルギーを出力して、薬物24を薬物貯蔵容器23から排出し、且つ/又は送達部材16の挿入端16aを患者の皮膚内に挿入し得る。いくつかの実施形態では、延出位置から後退位置へのシールド60の移動は、回転式付勢部材を付勢状態から解放し、それにより回転式付勢部材が消勢し、プランジャを駆動して、薬物24を薬物貯蔵容器23から排出することを可能にする。シールド60が、患者の皮膚に押し付けられた結果として延出位置から後退位置に移動すると、シールド60のアクティベータ部分64は、駆動アセンブリ30に係合して、回転式付勢部材を解放し、プランジャを近位方向に駆動する。
【0030】
特に、シールド60が後退位置に完全に移動すると、送達部材16は、皮膚接触部分62から最大距離で延出する及び/又は突出する。いくつかの例では、この距離は、約10mm~15mmであり得るが、他の例も可能である。しかしながら、一部の患者(例えば、小児)の所望の送達部位は、この最大値よりも浅い深さ(例えば、約3mm~8mm)の可能性がある。
【0031】
比較的浅い深さでの薬物送達を達成するために、薬物送達デバイス10は、深さアジャスタ70を更に含む。
図2~
図8の図示例では、深さアジャスタ70は、開口部72と本体74とを有するカラーの形態である。深さアジャスタ70の本体74は、例えば、約1mm~15mmなど、任意の数の所望の厚さを有し得る。カラー70の開口部72は、シールド60の一部に動作可能に係合し得、且つ/又はそれを受け入れ得るため、シールド60と共にハウジング12に対して移動可能であり得る。他の例(不図示)では、深さアジャスタ70は、ハウジング12と動作可能に結合され得る。
図5~
図8に示されるように、深さアジャスタ70は、任意の数の断面形状(例えば、略円形の部材、C字形の部材など)を有し得る。
【0032】
シールド60は、カラー70の本体74に係合し得、且つ/又はそれを保持し得る当接面又は隆起部68を更に画定し得る。更に、本体74の反対端は、ハウジング12の近位端12aに係合し得る。このように配置されることで、
図2に示されるように、カラー70は、シールド60が後退位置まで完全に移動するのを防止又は阻止するためのくさびとして機能する。シールド60が後退位置まで完全に移動するのを防止又は阻止することにより、送達部材16の全長よりも短い長さを露出させて、患者に挿入することができ、したがって、送達部材16は、患者内により浅い深さで延出する。これは、小児などの特定の患者にとって望ましい可能性がある。これら及び他の実現形態では、カラー70の本体74の厚さは、送達部材16が到達し得る深さの減少に直接的に相関する。例えば、カラー70の本体74が厚さ約5mmである場合、得られる送達部材16の挿入可能長さは約5mm減少する。
【0033】
前述したように、深さアジャスタ70は、任意の数の配置及び/又は厚さを有し得る。いくつかの例では、キット又はシステムは、異なる厚さを有する複数の深さアジャスタ70を含むデバイス10を備え得る。例えば、キットは、約1mmの厚さを有する第1の深さアジャスタ70と、約2mmの厚さを有する第2の深さアジャスタ70と、約3mmの厚さを有する第3の深さアジャスタ70などを含み得る。いくつかの例では、それぞれ異なる深さアジャスタ70は、使用者が深さアジャスタ70の厚さを迅速に識別することを可能にするために、例えば色、質感、文字などの異なる視覚的特徴を有し得る。このように構成されることで、使用者(例えば、プライマリケア医又はデバイス10での投与を担う他の人)が、デバイス10で患者の所望の送達深さに適切に投与するのに適した所望の1つ又は複数の深さアジャスタ70をキットから選択し得る。
図4に示されるように、いくつかの例では、複数の深さアジャスタ70は、送達部材16が延出し得る全体的な距離を低減するために、シールド60と所望のように結合され得る。
【0034】
図9~
図11を参照すると、薬物送達デバイス10と共に使用するための別の深さアジャスタ170が提供され得る。これらの例では、深さアジャスタ170は、いくつかのステップ172を有する回転可能なノブの形態である。回転可能なノブ170は、ハウジング12と結合され得るか、又はそうでなければハウジング12上に配置され得る。例えば、ハウジング12は、切り抜き部を含み得、切り抜き部を通して回転可能なノブ170の一部を延出させることができる。いくつかの例では、ハウジング12は、回転可能なノブ170の対応するねじ付き部分に係合するねじ付き領域を含み得る。
図10及び11に示されるように、シールド60が延出位置にある間、シールド60の一部(例えば、係合部分64)は、回転可能なノブ170から距離を置いて配置され得る。しかしながら、薬物投与プロセスを開始するためにシールド60の皮膚接触部分62を使用者の皮膚に押し付けると、シールド60の係合部分64は、回転可能なノブ及び指定したステップ172に接触することができ、したがってシールド60の軸方向の動きを制限する。その結果、長さが減少した送達部材16が露出し、したがって薬物を送達するときに患者内により浅い深さで延出する。
【0035】
使用者は、薬物投与中に異なるステップ172をシールドに係合させるために、回転可能なノブ170を選択的に回転させ得る。
図10に示されるように、ステップ172は、略凹状配置で配置され、別の回転可能なノブ170’を示す
図11では、ステップ172’は、略凸状配置で配置される。いくつかの例(不図示)では、回転可能なノブ170は、送達部材16が挿入される深さの識別を支援するためのいくつかの異なる視覚インジケータを含み得る。
【0036】
図12~
図14を参照すると、薬物送達デバイス10は、送達部材16の挿入深さを調整するための更に別の代替的な機構を備える。これらの例では、別のシールド260、260’が設けられる。これらのシールド260、260’は、シールド60と類似の特徴を有し得るため、特に詳細には説明しない。シールド260、260’のそれぞれは、送達部材16を異なる深さに挿入させる異なる構成を有し得る。より具体的には、
図13に示されるシールド260は、第1の厚さを有するリップ266を含み、
図14に示されるシールド260’は、第2の厚さを有するリップ266’を含む。これらのリップ266、266’は、送達部材16を各々のシールド260、260’から様々な長さで延出させる。特に、
図13に示されるリップ266は比較的広く、したがって、送達部材16の挿入深さを最大値からより少ない量で減少させる
図14に示される比較的狭いリップ266’と比較して、送達部材の挿入深さを最大値からより大きい量で減少させる。深さアジャスタ70と同様に、異なる厚さのリップを有する任意の数のシールドを有するキット又はシステムが提供され得ることが理解されるであろう。
【0037】
図15及び
図16を参照すると、薬物送達デバイス10は、送達部材16の挿入深さを調整するための更に別の代替的な機構を備える。これらの例では、別のシールド360、360’が設けられる。これらのシールド360、360’は、シールド60、260、260’と類似の特徴を有し得るため、特に詳細には説明しない。シールド360、360’のそれぞれは、送達部材16を異なる深さに挿入させる異なる構成を有し得る。より具体的には、
図15に示されるシールド360は、第1の全長を有し、
図16に示されるシールド360’は、第2の全長を有する。これらの異なる長さは、送達部材16を各々のシールド360、360’から様々な長さで延出させる。特に、
図15に示されるシールド360の長さは比較的長く、したがって、シールド360は、送達部材16の挿入深さを最大値からより少ない量で減少させる
図16に示される比較的短いシールド360’と比較して、送達部材の挿入深さを最大値からより大きい量で減少させる。深さアジャスタ70及びシールド260、260’と同様に、異なる長さを有する任意の数のシールドを有するキット又はシステムが提供され得ることが理解されるであろう。
【0038】
いくつかの例では、薬物送達デバイス10を組み立てるためのプラットフォームシステム又はキットが提供され得る。プラットフォームシステムは、注入アセンブリの一部の相対移動を制限するためにデバイス10と結合する選択可能な深さ調整構成要素群を含む。デバイス10は、薬物送達デバイスの任意の数の所望の特性(例えば、所望の注入深さなど)を用いて、選択可能な深さ調整構成要素群から第1の所望の深さ調整構成要素を識別及び選択し、且つ第1の深さ調整構成要素をハウジング、注入アセンブリ又は駆動アセンブリの少なくとも1つと結合することによって組み立てられる。例えば、選択可能な深さ調整構成要素群は、異なる深さアジャスタ70、異なる回転可能なノブ170及び/又は異なるシールド260、260’、360、360’を含み得る。所望の深さ調整構成要素が深さアジャスタ70及び/又は回転可能なノブ170の一方である例では、デバイス10は、シールド60を更に含むが、所望の深さ調整構成要素がシールド260、260’、360、360’の1つである例では、デバイスでこれらのシールドがシールド60に取って代わることが理解されるであろう。深さ調整構成要素の任意の組み合わせを必要に応じて一緒に使用し得ることが理解される。このように構成されることで、使用者(例えば、プライマリケア医又はデバイス10での投与を担う他の人)が、デバイス10で患者に適切に投与するのに適した所望の深さアジャスタ70を選択し得る。
【0039】
いくつかの例では、本明細書中に記載される深さ調整構成要素は、貯蔵ユニットの移動を制限する構成要素とも結合され得、デバイス12内の異なる位置に配置され得る。例えば、深さ調整構成要素は、プランジャ深さも制限し得る。そのような例では、異なる長さを有する様々なプランジャロッドが必要に応じて設けられ得る。
【0040】
上記の説明は、薬物送達デバイスに関連する様々なデバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム及び使用方法について説明している。デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、方法又は薬物送達デバイスは、以下に特定される薬物並びにそれらのジェネリック及びバイオシミラー均等品を含むが、それらに限定されない薬物を更に含み得るか又はそれと共に使用され得る。薬物という用語は、本明細書で使用される場合、他の類似の用語と交換可能に使用することができ、伝統的及び非伝統的な薬剤、栄養補助食品、サプリメント、生物製剤、生物学的活性剤及び組成物、大分子、バイオシミラー、生物学的均等物、治療用抗体、ポリペプチド、タンパク質、小分子及びジェネリック薬剤を含む任意の種類の薬剤又は治療用材料を指すために使用され得る。非治療的な注入可能材料も含まれる。薬物は、液体形態、凍結乾燥形態又は凍結乾燥形態から再構成されたものであり得る。以下の薬物の例示的なリストは、網羅的又は限定的であると考えるべきではない。
【0041】
薬物は、リザーバ内に収容される。いくつかの場合、リザーバは、治療のために薬物が充填又は予め充填される一次容器である。一次容器は、バイアル、カートリッジ又はプレフィルドシリンジであり得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのリザーバは、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子を充填され得るか、又はデバイスは、それらと共に使用され得る。そのようなG-CSF製剤として、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、PEG化フィルグラスチム、PEG化G-CSF、PEG化hu-Met-G-CSF)及びNeupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)、UDENYCA(登録商標)(ペグフィルグラスチム-cbqv)、Ziextenzo(登録商標)(LA-EP2006;ペグフィルグラスチム-bmez)又はFULPHILA(ペグフィルグラスチム-bmez)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
他の実施形態では、薬物送達デバイスは、液体又は凍結乾燥形態であり得る赤血球造血刺激因子製剤(ESA)を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。ESAは、赤血球造血を刺激する任意の分子である。いくつかの実施形態では、ESAは、赤血球造血刺激タンパク質である。本明細書で使用される場合、「赤血球造血刺激タンパク質」とは、例えば、受容体に結合し、受容体の二量化を引き起こすことにより、エリスロポエチン受容体の活性化を直接的又は間接的に引き起こす任意のタンパク質を意味する。赤血球造血刺激タンパク質としては、エリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化させるエリスロポエチン及びその変異体、類似体若しくは誘導体;エリスロポエチン受容体に結合し、この受容体を活性化させる抗体;又はエリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化させるペプチドが挙げられる。赤血球造血刺激タンパク質としては、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファHexal、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンイオタ、エポエチンオメガ、エポエチンデルタ、エポエチンゼータ、エポエチンシータ及びエポエチンデルタ、PEG化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン並びにそれらの分子又は変異体又は類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
特定の例示的なタンパク質の中には、その融合物、断片、類似体、変異体又は誘導体を含む、下記で説明する特定のタンパク質がある。完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に完全ヒト化モノクローナル抗体を含む、(RANKL特異抗体、ペプチボディなどとも称される)OPGL特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;ミオスタチン特異的ペプチボディを含む、ミオスタチン結合タンパク質、ペプチボディ、関連タンパク質など;特にIL-4及び/又はIL-13の受容体への結合によって媒介される活性を阻害する、IL-4受容体特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;インターロイキン1-受容体1(「IL1-R1」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;Ang2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;NGF特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;CD22特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など、特にヒト-マウスモノクローナルhLL2カッパ鎖に結合したヒト-マウスモノクローナルhLL2ガンマ鎖二硫化物の二量体、例えば、エプラツズマブ(CAS登録番号501423-23-0)のヒトCD22特異完全ヒト化抗体などのヒトCD22特異IgG抗体を特に含むが、それに限定されない、ヒト化及び完全ヒトモノクローナル抗体を含むが、それに限定されない、ヒト化及び完全ヒト抗体などであるが、それに限定されないヒトCD22特異抗体;抗IGF-1R抗体を含むが、それに限定されないIGF-1受容体特異抗体、ペプチボディ及び関連タンパク質など;B7RP特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体を含むが、それに限定されない、B7RP-1の最初の免疫グロブリン様ドメインのエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体を含むが、それに限定されない、B7RP-1と活性化T細胞上のその天然の受容体であるICOSとの相互作用を阻害するものを含むが、それに限定されないB-7関連タンパク質1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など(「B7RP-1」並びにB7H2、ICOSL、B7h及びCD275とも称される);例えば145c7など、HuMax IL-15抗体及び関連タンパク質を含むが、それらに限定されない、特にヒト化モノクローナル抗体などのIL-15特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;ヒトIFNガンマ特異抗体を含むが、それに限定されず、且つ完全ヒト抗IFNガンマ抗体を含むが、それに限定されないIFNガンマ特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;TALL-1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など、並びに他のTALL特異結合タンパク質;副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;トロンボポエチン受容体(「TPO-R」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)を中和する完全ヒトモノクローナル抗体などのHGF/SF:cMet軸(HGF/SF:c-Met)を標的とするものを含む、肝細胞増殖因子(「HGF」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;TRAIL-R2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、タンパク質など;TGF-ベータ特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;アミロイド-ベータタンパク質特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;c-Kit及び/又は他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質を含むが、それらに限定されない、c-Kit特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;OX40L及び/又はOX40受容体の他のリガンドと結合するタンパク質を含むが、それに限定されない、OX40L特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA);Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、エリスロポエチン[30-アスパラギン、32-スレオニン、87-バリン、88-アスパラギン、90-スレオニン]、ダルベポエチンアルファ、新しい赤血球造血刺激タンパク質(NESP);Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ又はエリスロポエチン);GLP-1、Avonex(登録商標)(インターフェロンベータ-1a);Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体);Betaseron(登録商標)(インターフェロン-ベータ);Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体);Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ);Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ);MLN0002(抗α4β7 mAb);MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb);Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬);Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ);Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1);Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン);Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb);Kanjinti(商標)(トラスツズマブ-anns)抗HER2モノクローナル抗体、Herceptin(登録商標)のバイオシミラー又は乳癌若しくは胃癌治療のためのトラスツズマブを含有する別の製品;Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン);Humira(登録商標)(アダリムマブ);Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(登録商標)(デノスマブ)、Prolia(登録商標)(デノスマブ)、RANKリガンドに対する免疫グロブリンG2ヒトモノクローナル抗体、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Nplate(登録商標)(ロミプロスチム)、リロツムマブ、ガニツマブ、コナツムマブ、ブロダルマブ、溶液中のインスリン;Infergen(登録商標)(インターフェロンアルファコン-1);Natrecor(登録商標)(ネシリチド;遺伝子組換え型ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP);Kineret(登録商標)(アナキンラ);Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF);LymphoCide(登録商標)(エプラツズマブ、抗CD22 mAb);Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムマブ、抗BlyS mAb);Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体);Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ);Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン);Raptiva(登録商標)(エファリズマブ);Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP 870);Soliris(商標)(エクリズマブ);ペキセリズマブ(抗補体C5);Numax(登録商標)(MEDI-524);Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ);Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ);Trabio(登録商標)(レルデリムマブ);TheraCim hR3(ニモツズマブ);Omnitarg(ペルツズマブ、2C4);Osidem(登録商標)(IDM-1);OvaRex(登録商標)(B43.13);Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ);カンツズマブメルタンシン(huC242-DM1);NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ);Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン-11);Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体);Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ);Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体);Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP lIb/Ilia受容体モノクローナル抗体);Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb);Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ);Mvasi(商標)(ベバシズマブ-awwb);Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20 mAb);Tarceva(登録商標)(エルロチニブ);Roferon-A(登録商標)-(インターフェロンアルファ-2a);Simulect(登録商標)(バシリキシマブ);Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ);Synagis(登録商標)(パリビズマブ);145c7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7,153,507号明細書を参照);Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb);Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌(B.anthracis)防御抗原mAb);ABthrax(商標);Xolair(登録商標)(オマリズマブ);ETI211(抗MRSA mAb);IL-1 trap(ヒトIgG1のFc部分及び両IL-1受容体成分(I型受容体及び受容体補助タンパク質)の細胞外ドメイン);VEGF trap(IgG1 Fcと融合したVEGFR1のIgドメイン);Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ);Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2Rα mAb);Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン);Zetia(登録商標)(エゼチマイブ);Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig);抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ);抗CD23 mAb(ルミリキシマブ);BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF拮抗薬);CNTO 148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb);HGS-ETR1(マパツズマブ;ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb);HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb);HuMax-EGFR(ザルツムマブ);M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb);MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb及びVEGFR-1(IMC-18F1);抗BR3 mAb;抗C.ディフィシル(C.difficile)毒素A並びに毒素B C mAb MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388);抗CD22 dsFv-PE38コンジュゲート(CAT-3888及びCAT-8015);抗CD25 mAb(HuMax-TAC);抗CD3 mAb(NI-0401);アデカツムマブ;抗CD30 mAb(MDX-060);MDX-1333(抗IFNAR);抗CD38 mAb(HuMax CD38);抗CD40L mAb;抗Cripto mAb;抗CTGF特発性肺線維症第I期フィブロゲン(FG-3019);抗CTLA4 mAb;抗エオタキシン1 mAb(CAT-213);抗FGF8 mAb;抗ガングリオシドGD2 mAb;抗ガングリオシドGM2 mAb;抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029);抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001);抗HepC mAb(HuMax HepC);抗IFNα mAb(MEDI-545、MDX-198);抗IGF1R mAb;抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam);抗IL12 mAb(ABT-874);抗IL12/IL23 mAb(CNTO 1275);抗IL13 mAb(CAT-354);抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC);抗IL5受容体mAb;抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO 95);抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100);BMS-66513;抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307);抗メソテリンdsFv-PE38コンジュゲート(CAT-5001);抗PD1mAb(MDX-1106(ONO-4538));抗PDGFRα抗体(IMC-3G3);抗TGFβ mAb(GC-1008);抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2);抗TWEAK mAb;抗VE
GFR/Flt-1 mAb;及び抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3)。
【0045】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ロモソズマブ、ブロソズマブ、BPS 804(Novartis)、Evenity(商標)(ロモソズマブ-aqqg)、閉経後の骨粗鬆症及び/又は骨折治癒の治療のためのロモソズマブを含有する別の製品などであるが、それらに限定されないスクレロスチン抗体並びに他の実施形態ではヒトプロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合するモノクローナル抗体(IgG)を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。このようなPCSK9特異抗体としては、Repatha(登録商標)(エボロクマブ)及びPraluent(登録商標)(アリロクマブ)が挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、薬物送達デバイスは、リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、モテサニブ二リン酸塩、ブロダルマブ、ヴィデュピプラント又はパニツムマブを収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのリザーバには、OncoVEXGALV/CD;OrienX010;G207、1716;NV1020;NV12023;NV1034;及びNV1042を含むが、それらに限定されない、黒色腫又は他の癌の治療のためのIMLYGIC(登録商標)(タリモジーンラハーパレプベック)又は別の腫瘍溶解性HSVが充填され得るか、又はそれと共にデバイスを使用し得る。いくつかの実施形態では、薬剤送達デバイスは、TIMP-3などであるが、それらに限定されないメタロプロテイナーゼの内在性組織阻害剤(TIMP)を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Aimovig(登録商標)(エレヌマブ-aooe)、抗ヒトCGRP-R(カルシトニン遺伝子関連ペプチド1型受容体)又は片頭痛の治療のためのエレヌマブを含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。エレヌマブ並びにCGRP受容体及び他の頭痛標的を標的とする二重特異性抗体分子などであるが、それらに限定されないヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体の拮抗的抗体も本開示の薬物送達デバイスを用いて送達され得る。加えて、BLINCYTO(登録商標)(ブリナツモマブ)などであるが、それらに限定されない二重特異性T細胞誘導(BiTE(登録商標))分子を本開示の薬物送達デバイスにおいて又はそれと共に使用することができる。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、アペリン又はその類似体などであるが、それらに限定されないAPJ大分子アゴニストを収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、治療的有効量の抗胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)又はTSLP受容体抗体は、本開示の薬物送達デバイスにおいて又はそれと共に使用される。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Avsola(商標)(インフリキシマブ-axxq)、抗TNFαモノクローナル抗体、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ)(Janssen Biotech,Inc.)のバイオシミラー又は自己免疫疾患の治療用のインフリキシマブを含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Kyprolis(登録商標)(カルフィルゾミブ)、(2S)-N-((S)-1-((S)-4-メチル-1-((R)-2-メチルオキシラン-2-イル)-1-オキソペンタン-2-イルカルバモイル)-2-フェニルエチル)-2-((S)-2-(2-モルホリノアセトアミド)-4-フェニルブタンアミド)-4-メチルペンタンアミド又は多発性骨髄腫の治療用のカルフィルゾミブを含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Otezla(登録商標)(アプレミラスト)、N-[2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-2,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-1H-イソインドール-4-イル]アセトアミド又は様々な炎症性疾患の治療のためのアプレミラストを含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Parsabiv(商標)(エテルカルセチドHCl、KAI-4169)又は血液透析を受ける慢性腎臓病(KD)の患者などの二次性副甲状腺機能亢進症(sHPT)の治療のためのエテルカルセチドHClを含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ABP 798(リツキシマブ)、Rituxan(登録商標)/MabThera(商標)のバイオシミラー候補又は抗CD20モノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、非抗体VEGF拮抗薬などのVEGF拮抗薬及び/又はアフリベルセプトなどのVEGFトラップ(IgG1のFcドメインに縮合した、VEGFR1からのIgドメイン2及びVEGFR2からのIgドメイン3)を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ABP 959(エクリズマブ)、Soliris(登録商標)のバイオシミラー候補又は補体タンパク質C5に特異的に結合するモノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ICOSL及びBAFF活性を同時に遮断する新しい二重特異性抗体-ペプチドコンジュゲートであるロジバフスプアルファ(旧AMG 570)を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、心臓の収縮機構を直接的に標的化するオメカムチブメカルビル、小分子選択的心筋ミオシン活性化因子若しくはミオトロープ又は小分子選択的心筋ミオシン活性化因子を含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ソトラシブ(旧AMG510として知られる)、KRASG12C小分子阻害剤又はKRASG12C小分子阻害剤を含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)の作用を阻害するテゼペルマブ、ヒトモノクローナル抗体又はTSLPの作用を阻害するヒトモノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、インターロイキン-15(IL-15)に結合するヒトモノクローナル抗体であるAMG 714又はインターロイキン-15(IL-15)に結合するヒトモノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Lp(a)としても知られるリポタンパク質(a)を減らすAMG 890、低分子干渉RNA(siRNA)又はリポタンパク質(a)を減らす低分子干渉RNA(siRNA)を含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ABP 654(ヒトIgG1カッパ抗体)、Stelara(登録商標)のバイオシミラー候補若しくはヒトIgG1カッパ抗体を含有し、且つ/又はヒトサイトカインインターロイキン(IL)-12及びIL-23のp40サブユニットに結合する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Amjevita(商標)又はAmgevita(商標)(旧ABP501)(mab抗TNFヒトIgG1)、Humira(登録商標)のバイオシミラー候補又はmab抗TNFヒトIgG1を包含する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 160又は半減期延長(HLE)抗前立腺特異的膜抗原(PSMA)×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 119又はデルタ様リガンド3(DLL3)CAR T(キメラ抗原受容体T細胞)細胞療法を含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 119又はデルタ様リガンド3(DLL3)CAR T(キメラ抗原受容体T細胞)細胞療法を含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 133又は胃抑制ポリペプチド受容体(GIPR)アンタゴニスト及びGLP-1Rアゴニストを含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 171又は増殖分化因子15(GDF15)類似体を含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 176又は骨髄細胞白血病1(MCL-1)の小分子阻害剤を含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 199又は半減期延長(HLE)二重特異性T細胞エンゲージャーコンストラクト(BiTE(登録商標))を含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 256又はプログラム細胞死-1(PD-1)陽性細胞でインターロイキン21(IL-21)経路を選択的に活性化するように設計された抗PD-1×IL21ムテイン及び/若しくはIL-21受容体アゴニストを含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 330又は抗CD33×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 404又は固形腫瘍を有する患者のための治療として調査されているヒト抗プログラム細胞死-1(PD-1)モノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 427又は半減期延長(HLE)抗fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 430又は抗Jagged-1モノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 506又は固形腫瘍のための治療として研究されている多重特異性FAP×4-1BB標的化DARPin(登録商標)生物製剤を含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 509又は二価T細胞エンゲージャーを含有し及びXmAb(登録商標)2+1技術を使用して設計される別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 562又は半減期延長(HLE)CD19×CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、エファバリューキンアルファ(以前はAMG 592)又はIL-2ムテインFc融合タンパク質を含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 596又はCD3×上皮増殖因子受容体vIII(EGFRvIII)BiTE(登録商標)(二重特異性T細
胞エンゲージャー)分子を含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 673又は半減期延長(HLE)抗ヒトCD33×抗抗ヒトCD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 701又は半減期延長(HLE)抗B細胞成熟抗原(BCMA)×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 757又は半減期延長(HLE)抗デルタ様リガンド3(DLL3)×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 910又は半減期延長(HLE)上皮細胞タイトジャンクション構成タンパク質クローディン18.2×CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。
【0046】
薬物送達デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム及び方法を例示的な実施形態の観点から説明したが、これらは、例示的な実施形態に限定されない。詳細な説明は、単に例示として解釈されるべきであり、本開示の考え得る全ての実施形態を説明しているわけではない。現在の技術又は本特許の申請日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多くの代替実施形態を実施することができるが、このような実施形態は、依然として、本明細書に開示される本発明を定義する請求項の範囲内に入る。
【0047】
当業者であれば、本明細書で開示される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に対する多様な修正形態、変更形態及び組み合わせがなされ得、そうした修正形態、変更形態及び組み合わせが本発明の概念の範囲内にあると解釈されることを理解するであろう。
【国際調査報告】