(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-21
(54)【発明の名称】蒸気発生器の流れ調整装置
(51)【国際特許分類】
G21C 15/02 20060101AFI20250313BHJP
G21D 1/00 20060101ALI20250313BHJP
F22B 37/30 20060101ALI20250313BHJP
F22B 1/16 20060101ALI20250313BHJP
【FI】
G21C15/02
G21D1/00 S
F22B37/30 C
F22B1/16 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024555009
(86)(22)【出願日】2023-03-15
(85)【翻訳文提出日】2024-11-11
(86)【国際出願番号】 US2023064375
(87)【国際公開番号】W WO2023178135
(87)【国際公開日】2023-09-21
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521219442
【氏名又は名称】ウェスティングハウス エレクトリック カンパニー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】WESTINGHOUSE ELECTRIC COMPANY LLC
【住所又は居所原語表記】1000 Westinghouse Drive, Suite 141, Cranberry Township, Pennsylvania 16066 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリード テイラー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ディー. バー
(57)【要約】
原子力発電所の蒸気発生器内の流体の流れを調整するための装置および方法が開示される。流れ調整装置は、アレイ状に配置された複数の入口開口部と、アレイ状に配置された複数の出口開口部とを画定する外側包囲部を含む。複数のバッフルプレートが外側ハウジング内に画定される。バッフルプレートは、入口開口部および出口開口部と流体連通する流れチャネルを画定し、交互方向の流路を形成する。流れチャネルは、複数の入口開口部から流体の流れを受け取り、入口開口部からの流体の流れを、流れチャネルを通って交互方向に誘導し、流体の流れに旋回と摩擦圧力損失を与え、出てくる流体の流れを、出口開口部を通って蒸気発生器のチューブレーン領域に誘導する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電所の蒸気発生器に使用される流れ調整装置であって、前記流れ調整装置は、
アレイ状に配置された複数の入口開口部と、アレイ状に配置された複数の出口開口部とを画定する外側包囲部と、
前記外側ハウジング内に画定された複数のバッフルプレートと、を備え、
前記バッフルプレートが、前記入口開口部および前記出口開口部と流体連通する流れチャネルを画定し、
前記流れチャネルが、交互方向の流路を形成し、
前記流れチャネルは、
前記複数の入口開口部から流体の流れを受け取り、
前記入口開口部からの前記流体の流れを、前記流れチャネルを通って交互方向に誘導して、前記流体の流れに旋回と摩擦圧力損失を与え、
流れ出る流体の流れを、前記出口開口部を通って前記蒸気発生器のチューブレーン領域に誘導する、流れ調整装置。
【請求項2】
前記外側包囲部が、前記蒸気発生器のチューブ支持プレートに構造的に取り付けられている、請求項1に記載の流れ調整装置。
【請求項3】
前記外側包囲部が、前記外側包囲部を前記蒸気発生器の前記チューブ支持プレートに構造的に取り付けるためのねじ留め具を備える、請求項2に記載の流れ調整装置。
【請求項4】
前記外側包囲部が、水圧膨張により前記チューブ支持プレートに構造的に取り付けられている、請求項2に記載の流れ調整装置。
【請求項5】
前記外側包囲部が、干渉嵌合によって前記チューブ支持プレートに構造的に取り付けられている、請求項2に記載の流れ調整装置。
【請求項6】
前記外側包囲部が、前記外側包囲部の前記チューブ支持プレートへの取り付けを方向付け、支え、または容易にするための位置合わせ特徴または支持特徴を備える、請求項2に記載の流れ調整装置。
【請求項7】
前記位置合わせ特徴が、支持ピン、支持入口チューブ、または適合する孔を備える、請求項6に記載の流れ調整装置。
【請求項8】
前記支持特徴は、前記外側包囲部上の接触面を備える、請求項6に記載の流れ調整装置。
【請求項9】
前記外側包囲部によって画定された前記複数の入口開口部は、前記チューブ支持プレートによって画定された適合する流孔と位置合わせまたは結合するように構成されている、請求項1に記載の流れ調整装置。
【請求項10】
原子力発電所の蒸気発生器のチューブレーン領域における局所的な水圧抵抗を増大させる方法であって、前記方法は、
外側包囲部によって画定された複数の入口開口部から流体の流れを受け取ることであって、前記入口開口部がアレイ状に配置され、前記入口開口部が前記蒸気発生器の前記チューブレーン領域と流体連通している、前記受け取ることと、
前記入口開口部からの前記流体の流れを、前記外側ハウジング内に画定された複数のバッフルプレートによって画定された流れチャネルを通して交互方向に誘導することと、
前記流れチャネルを通る前記流体の流れに旋回と摩擦圧力損失を与えることと、
流れ出る流体の流れを、複数の出口開口部を通って前記蒸気発生器の前記チューブレーン領域に誘導することであって、前記複数の出口開口部が前記外側包囲部によって画定され、前記複数の出口開口部がアレイ状に配置されている、前記誘導することと、を含む、方法。
【請求項11】
前記外側包囲部を前記蒸気発生器のチューブ支持プレートに構造的に取り付けることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ねじ留め具を用いて前記外側包囲部を前記蒸気発生器の前記チューブ支持プレートに構造的に取り付けることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
水圧膨張により前記外側包囲部を前記蒸気発生器の前記チューブ支持プレートに構造的に取り付けることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
干渉嵌合により前記外側包囲部を前記蒸気発生器の前記チューブ支持プレートに構造的に取り付けることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記外側包囲部を前記チューブ支持プレートに位置合わせすることにより、前記外側包囲部を前記蒸気発生器の前記チューブ支持プレートに構造的に取り付けることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
支持ピン、支持入口チューブ、または適合する孔を用いて、前記外側包囲部を前記チューブ支持プレートと位置合わせすることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記外側包囲部上の接触面を用いて、前記外側包囲部を前記チューブ支持プレートと位置合わせすることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記外側包囲部によって画定された前記複数の入口開口部を、前記チューブ支持プレートによって画定された適合する流孔と位置合わせすることまたは結合することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年3月15日に出願され、「FLOW CONDITIONING DEVICE FOR STEAM GENERATOR」と題する米国仮出願第63/269,363号の米国特許法第119条(e)に基づく利益および優先権を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、蒸気発生器で使用するための流れ調整装置に向けられている。より詳細には、本開示は、原子力発電の蒸気発生器で使用するための流れ調整装置に向けられている。より詳細には、本開示は、蒸気発生器のチューブレーン領域に配置されたチューブ支持プレートに構造的に取り付けられた流れ調整装置に向けられている。
【0003】
現在の原子力発電所用の蒸気発生器の設計では、チューブレーン領域で流速が速くなる。流速が速いため、チューブレーン領域では、ドリル加工されたプレート流孔付近のチューブ支持プレートで、チューブの振動や摩耗が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような問題に対処するため、ブローチ加工チューブ支持プレート設計と共に使用する新規な流れ調整装置を本明細書で開示する。流れ調整装置は、蒸気発生器のチューブレーン領域に配置され、パフォーマンス性能および構成において他の既知の設計とは異なる。流れ調整装置は、蒸気発生器チューブバンドルの短半径のU字に曲げられたチューブ部近傍の流体状態を改善する。流れ調整装置は、流体の流れ抵抗を増加させ、流体の流速を減少させ、チューブレーン領域におけるチューブ支持プレートの振動および摩耗を減少させる。このような、ブローチ加工チューブ支持プレート設計と共に使用する流れ調整装置を以下に開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
様々な実施態様において、本開示は、原子力発電所の蒸気発生器に使用される流れ調整装置を提供し、流れ調整装置は、アレイ状に配置された複数の入口開口部と、アレイ状に配置された複数の出口開口部とを画定する外側包囲部と、外側ハウジング内に画定された複数のバッフルプレートと、を備え、バッフルプレートが、入口開口部および出口開口部と流体連通する流れチャネルを画定し、流れチャネルが、交互方向の流路を形成し、流れチャネルは、複数の入口開口部から流体の流れを受け取り、入口開口部からの流体の流れを、流れチャネルを通って交互方向に誘導して、流体の流れに旋回と摩擦圧力損失を与え、流れ出る流体の流れを、出口開口部を通って蒸気発生器のチューブレーン領域に誘導する。
【0006】
様々な実施態様において、本開示は、原子力発電所の蒸気発生器のチューブレーン領域における局所的な水圧抵抗を増大させる方法を提供し、方法は、外側包囲部によって画定された複数の入口開口部から流体の流れを受け取ることを含む。入口開口部がアレイ状に配置され、入口開口部が蒸気発生器のチューブレーン領域と流体連通している。流体の流れは、入口開口部から、外側ハウジング内に画定された複数のバッフルプレートによって画定された流れチャネルを通して交互方向に誘導される。流れチャネルは、流れチャネルを通る流体の流れに旋回と摩擦圧力損失を与える。流れ出る流体の流れは、出口開口部を通って蒸気発生器のチューブレーン領域に誘導される。複数の出口開口部が外側包囲部によって画定され、複数の出口開口部はアレイ状に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書に記載された様々な態様は、組織および操作方法の両方に関して、そのさらなる目的および利点とともに、以下の添付図面と併せて以下の説明を参照することにより、最もよく理解され得る。
【0008】
【
図1】本開示の一態様による蒸気発生器の正面図であり、チューブレーン領域のドリル加工された流孔近傍のチューブ支持プレートの磨耗を緩和する流れ調整装置の、提案されたハードウェア実装の配置を含む。
【0009】
【
図2】
図1に示した提案されたハードウェア実装の流れ調整装置の配置の拡大図である。
【0010】
【
図3】本開示の一態様による、流れ調整装置の覆い設置位置の第1の詳細図を示す。
【0011】
【
図4】本開示の一態様による、
図3に示す流れ調整装置の覆い設置位置の第2の詳細図を示す。
【0012】
【
図5】本開示の一態様による、
図3および
図4に示す流れ調整装置の断面図を示す。
【0013】
【
図6】本開示の一態様による、
図3~5に示される流れ調整装置の概略図である。
【0014】
対応する参照文字は、複数の図を通して対応する部分を示す。本明細書に記載された例示は、一態様において、様々な開示された実施形態を例示するものであり、かかる例示は、いかなる様式においても、その範囲を限定するものとして解釈されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
原子力発電の蒸気発生器のチューブレーン領域に配置された流れ調整装置の様々な態様を詳細に説明する前に、例示的な実施例は、添付の図面および説明に示された部品の構造および配置の詳細に適用または使用が限定されないことに留意されたい。例示的な実施例は、他の態様、変形例および修正例において実施または組み込まれ得、様々な方法で実施または実行され得る。さらに、別段の指示がない限り、本明細書で採用された用語および表現は、読者の便宜のために例示的な実施例を説明する目的で選択されたものであり、態様の表現、および/または実施例の限定を目的とするものではなく、以下に説明する他の態様、態様の表現、および/または実施例のいずれか1つまたは複数と組み合わせることができる。
【0016】
一部の大型蒸気発生器の設計では、トップチューブ支持プレートの「ドリル加工プレート」流孔タイプの構成では、チューブレーン領域の流体流速を設計要件を満たすために必要なレベルまで低減するには、十分な水圧抵抗が得られないことが研究により判明している。チューブレーン領域の流れを完全に遮断する(流孔とスロットを完全になくす)ことは、チューブバンドル内に渦や淀みゾーンなどの望ましくない問題を生じさせる可能性があると判断された。以下の説明では、ブローチ加工チューブ支持プレートに取り付けられ、局所的な水圧抵抗を増加させ、蒸気発生器のチューブレーン領域における流体流速を減少させる流れ調整装置を開示している。
【0017】
次に、本開示の一態様による蒸気発生器300の正面図である
図1に説明を転じる。蒸気発生器300は、提案されたハードウェア実装の流れ調整装置320(FCD)を含み、チューブレーン領域のドリル加工された流孔近傍のチューブ支持プレート308(TSP)交差部におけるチューブ摩耗を緩和する。提案されたハードウェア実装のFCD320の位置を示す詳細部314が
図2に示されている。チューブレーン領域330を流れる流体の水圧抵抗を増大させるためのFCD320の様々な態様が、本明細書において1~6を参照して説明される。
【0018】
ここで
図1および
図2を参照すると、蒸気発生器300は、蒸気分離器302、給水入口ノズル304、チューブバンドル306、および複数のTSP308を含む。蒸気発生器300はまた、一次入口ノズル310および一次出口ノズル(図示せず)を含む。特に詳細部314を参照すると、蒸気発生器300は、複数のTSP308の上方のチューブレーンと一列にあるハンドホールアクセスポート316をさらに含む。図示の実施例では、ハンドホールアクセスポート316は、TSP10(「K」プレート)の上方のチューブレーンと一列に配置されている。FCD320は、蒸気発生器300のチューブレーン領域において、U字に曲がったチューブ322の中心に配置され、U字に曲がったチューブ322は防振バー324と呼ばれる追加のU字に曲がった支持体によって支えられる。
【0019】
図3および
図4は、本開示の一態様によるFCD320の第1図および第2図を示す。
図3および
図4を参照すると、FCD320は上部TSP308に取り付けられている。チューブレーン領域330は、一列にあるハンドホールアクセスポート316を介してアクセスされる。ハンドホールアクセスポート316は、ラッパー栓で閉じられてもよいが、これは開示の明瞭化のために図示されていない。また、チューブレーン領域330を画定するU字に曲がったチューブ322の第1列と第2列も示されている。チューブバンドル306の他のU字チューブ322は、開示を明瞭にするために図示されていない。FCD320は、TSP308に構造的に取り付けられ、チューブレーン領域330のドリル加工プレート流孔332および流れスロット334の上に配置されている。
【0020】
TSP308のチューブレーン領域330(
図5~6でも後述する)は、多くの場合、TSP308の残りの部分(ブローチ加工領域)よりも低い水圧抵抗をもたらし、一般に、チューブレーン領域330においてより高い局所流体速度となる。最上部のTSP308のチューブレーン領域を出る流体速度は、チューブバンドル306の低列のU字に曲がったチューブ322部のU字に曲がった部分に近似している。
【0021】
図1~
図6を参照すると、ドリル加工プレート流孔332(
図3~
図6)近傍のチューブレーン領域330におけるTSP308近傍の高い流体流速を緩和するために、本開示は、ハードウェア実装されたFCD320を提供し、チューブバンドル306の低半径のU字に曲がったチューブ322部近傍の流れ調整を改善する。開示されたFCD320は、低半径のU字に曲がったチューブ322の近傍における流体の流れを完全に遮断するのではなく、流体の流れ抵抗を増加させ、流体の流速を低下させ、意図しない流れの異常によるリスクを最小化し、インターフェースシステム、ハードウェア、分析等への影響を最小化する。一態様において、開示されたFCD320は、例えば、本明細書においてハンドホールアクセスポート316と呼ばれる二次側方検査ポートなどの既存の圧力境界貫通部を通して導入される。FCD320の導入により、蒸気発生器300の製造中に、大幅な分解/再加工を必要とすることなく修正を行うことができる。
【0022】
図5は、本開示の一態様によるFCD320の断面図を示す。FCD320は、チューブレーン領域330のドリル加工プレート流孔332と流体連通する入口開口部336を含む。入口開口部336は、ドリル加工プレート流孔332からの流体の流れを受け取り、バッフルプレート346(
図6に概略的に示される)によって画定される内部チャネルまたは通路を通って交互の方向に流体の流れを誘導する。バッフルプレート346によって画定された内部チャネルによって流体の流れを再度方向づけることにより、流体の流れに旋回および摩擦圧力損失を与え、流体流速を減少させる。流体の流れは、内部バッフルプレート346によって出口開口部337に誘導され、出口開口部337は、流れ出る流体の流れを蒸気発生器300のチューブレーン領域330に導く。内部バッフルプレート346は、TSP308の残りの部分(ブローチ加工領域)にわたって流体の流れの水圧抵抗を増加させ、通常、チューブレーン領域330の局所的な流体速度を低下させる。
【0023】
図6は、本開示の一態様による、
図3~5に示すFCD320の概略図である。FCD320は、ねじ留め具などの機械的留め具342、または任意の他の適切な機械的留め具によってTSP308に構造的に取り付けられた外側包囲部340を含む。FCD320は、ねじボルトなどの機械的留め具、または他の任意の適切な機械的留め具を使用して、TSP308に構造的に接続される。
【0024】
さらに
図6を参照すると、チューブレーン領域330において、TSP308はプレートを貫通してドリル加工された流孔332を画定し、矢印で示すような流体流路344を提供する。流体は流孔332を通って流れ、入口開口部336を通って受け取られる。内部フローバッフルプレート346は、入口開口部336と流体連通しており、流入する流体の流れをFCD320内に誘導するように規則正しいアレイ状に配置されている。内部バッフルプレート346は、出口開口部337を通ってチューブレーン領域330へと流体の流れを誘導する。矢印によって示された流体流路344は、流体の流れの水圧抵抗を増加させ、出口開口部337から出る流体の流れの速度を低下させる。
【0025】
さらに
図6を参照すると、FCD320は、原子力蒸気発生器300のチューブバンドル306における局所的な水圧抵抗を目標に調整するために適合および構成され得る。一態様では、FCD320は、1つまたは複数の機能部品の堅固な構造から形成されてもよく、外側包囲部340、内部フローバッフルプレート346、およびTSP308に構造的に取り付けるためのねじ留め具342を備える。外側包囲部340は、流入する流体の流れをFCD320に導く、規則的なアレイ状に配置された複数の入口開口部336を画定する。バッフルプレート346と規則的なアレイ状に配置された複数の入口開口部336は、矢印によって示された流体流路344によって示されるように、交互方向の流れチャネルまたは通路を形成し、流体の流れに旋回と摩擦圧力損失を与える。外側包囲部340によって画定された複数の入口開口部336は、規則的なアレイ状に配置され、所望の速度の大きさと方向でチューブバンドル306内に流れ出る流れを誘導する。一態様では、FCD320はTSP308に構造的に取り付けられてもよい。しかし、別の態様では、FCD320は、様々な取り付け構成を使用して蒸気発生器300に構造的に取り付けられてもよい。
【0026】
別の態様では、FCD320の外側包囲部340は、FCD320のTSP308への取り付けを方向付け、支え、または容易にするように設計された位置合わせ特徴または支持特徴を含んでいてもよい。様々な態様において、位置合わせ特徴は、支持ピン、支持入口チューブまたは適合する孔を含んでもよい。様々な態様において、支持特徴は外側包囲部340上の接触面を含んでもよい。
【0027】
別の態様では、FCD320の外側包囲部340によって画定された複数の入口開口部336は、TSP308によって画定された適合する流孔332と位置合わせまたは結合するように構成されている。
【0028】
さらに別の態様では、ねじ留め具342を使用することに加えて、またはその代わりに、水圧膨張タイプの設計または干渉嵌合タイプの設計などの代替の取り付け方法を使用して、FCD320をTSP308に取り付けてもよい。
【0029】
ここで
図1~
図6を参照すると、本明細書で説明するTSP308のチューブレーン領域330は、矢印によって示される増加した流体流路344のために、TSP308の残りの部分(ブローチ加工領域)よりも高い水圧抵抗を提供するように構成される。この結果、一般に、チューブレーン領域330における局所的な流体速度が低くなる。上部TSP308のチューブレーン領域330を出る流体速度は、低列のU字に曲がったチューブ322のU字に曲げられた部分に近似している。局所的なチューブギャップ速度は、「有効速度」と呼ばれる。チューブの「臨界速度」は、流体弾性振動の開始時の速度として定義される。チューブレーン領域330における追加の水圧抵抗は、低列のU字に曲がったチューブ322のU字に曲がった部分の有効速度を低下させる。
【0030】
この目的のために特別に設計されたFCD320を使用することで、さらなる水圧抵抗を達成することができる。FCD320は、好ましくは、機械的ハードウェア(すなわち、ねじ付きボルト)を使用して上部TSP308(TSP308の上部)に取り付けられるが、他の適切かつ適格の構造取り付け技術も可能である。FCD320は、望ましい局所流体速度を満たすのに十分な微少損失を組み込むことによって、局所チューブレーン領域330の水圧抵抗を増加させる。微少損失には、摩擦、旋回、流れる場所(すなわち、入口と出口)の変化が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0031】
一態様では、FCD320は、好ましくは、蒸気発生器300の工場での初期製造中に設置されるが、現場において、完全に組み立てられた蒸気発生器300に設置するように設計されてもよい。
【0032】
一態様では、FCD320は、蒸気発生器300の全体的な熱流体性能(すなわち、蒸気圧力、循環比)に対する影響が低く、上部TSP308の領域における低列のU字に曲がったチューブ322のU字に曲がった部分に対するチューブギャップ速度に対して目標とする影響を与えるように設計される。
【0033】
一態様では、
図3-6に示すように、FCD320は、チューブレーン領域330で上部TSP308にボルト止めされるチャネル内部に、ドリル加工オフセットプレートを採用している。
【0034】
図1~
図6を参照すると、本明細書で説明するFCD320は、設計構成、製造方法、取り付け、および全体的な水圧抵抗において、チューブレーン領域に「ドリル加工」された流孔およびスロットを有する既存または公知のチューブ支持プレート設計とは異なる。本明細書で説明するFCD320の設計は、「ドリル加工プレート」設計と比較して、より高い局所的な流れ抵抗を提供し、改善された流れの「調整」をもたらし、全体的な熱流体動作特性に大きな影響を与えることなく、蒸気発生器300のチューブレーン領域330において目標とする速度を達成する。
【0035】
様々な態様において、FCD320は、例えばPWR型原子炉用の蒸気発生器など、原子力発電産業で使用される様々な蒸気発生器に設置することができる。
【0036】
本明細書に記載された主題の様々な追加的態様は、以下の番号付けされた実施例に記載されている。
【0037】
実施例1:原子力発電所の蒸気発生器に使用される流れ調整装置であって、流れ調整装置は、アレイ状に配置された複数の入口開口部と、アレイ状に配置された複数の出口開口部とを画定する外側包囲部と、外側ハウジング内に画定された複数のバッフルプレートと、を備え、バッフルプレートが、入口開口部および出口開口部と流体連通する流れチャネルを画定し、流れチャネルが、交互方向の流路を形成し、流れチャネルは、複数の入口開口部から流体の流れを受け取り、入口開口部からの流体の流れを、流れチャネルを通って交互の方向に誘導して、流体の流れに旋回と摩擦圧力損失を与え、出てくる流体の流れを、出口開口部を通って蒸気発生器のチューブレーン領域に誘導する、流れ調整装置。
【0038】
実施例2:外側包囲部が蒸気発生器のチューブ支持プレートに構造的に取り付けられている、実施例1に記載の流れ調整装置。
【0039】
実施例3:外側包囲部が、外側包囲部を蒸気発生器のチューブ支持プレートに構造的に取り付けるためのねじ留め具を備える、実施例1~2のいずれか1つに記載の流れ調整装置。
【0040】
実施例4:外側包囲部は、水圧膨張によりチューブ支持プレートに構造的に取り付けられている、実施例1~2のいずれか1つに記載の流れ調整装置。
【0041】
実施例5:外側包囲部が、干渉嵌合によってチューブ支持プレートに構造的に取り付けられている、実施例1~2のいずれか1つに記載の流れ調整装置。
【0042】
実施例6:外側包囲部が、外側包囲部のチューブ支持プレートへの取り付けを方向付け、支え、または容易にするための位置合わせ特徴または支持特徴を備える、実施例1~2のいずれか1つに記載の流れ調整装置。
【0043】
実施例7:位置合わせ特徴が、支持ピン、支持入口チューブ、または適合する孔を含む、実施例6に記載の流れ調整装置。
【0044】
実施例8:支持特徴は、外側包囲部上の接触面を含む、実施例6に記載の流れ調整装置。
【0045】
実施例9:外側包囲部によって画定された複数の入口開口部は、チューブ支持プレートによって画定された適合する流孔と位置合わせまたは結合するように構成されている、実施例1~8のいずれか1つに記載の流れ調整装置。
【0046】
実施例10:原子力発電所の蒸気発生器のチューブレーン領域における水圧抵抗を増大させる方法であって、方法は、外側包囲部によって画定された複数の入口開口部から流体の流れを受け取ることであって、入口開口部がアレイ状に配置され、入口開口部が蒸気発生器のチューブレーン領域と流体連通している、受け取ることと、入口開口部からの流体の流れを、外側ハウジング内に画定された複数のバッフルプレートによって画定された流れチャネルを通して交互方向に誘導することと、流れチャネルを通る流体の流れに旋回と摩擦圧力損失を与えることと、流れ出る流体の流れを、出口開口部を通って蒸気発生器のチューブレーン領域に誘導することであって、複数の出口開口部が外側包囲部によって画定され、複数の出口開口部がアレイ状に配置されている、誘導することと、を含む、方法。
【0047】
実施例11:外側包囲部を蒸気発生器のチューブ支持プレートに構造的に取り付けることをさらに含む、実施例10の方法。
【0048】
実施例12:ねじ留め具を用いて外側包囲部を蒸気発生器のチューブ支持プレートに構造的に取り付けることをさらに含む、実施例10~11のいずれか1つに記載の方法。
【0049】
実施例13:水圧膨張により外側包囲部を蒸気発生器のチューブ支持プレートに構造的に取り付けることをさらに含む、実施例10~11のいずれか1つに記載の方法。
【0050】
実施例14:干渉嵌合により外側包囲部を蒸気発生器のチューブ支持プレートに構造的に取り付けることをさらに含む、実施例10~11のいずれか1つに記載の方法。
【0051】
実施例15:外側包囲部をチューブ支持プレートに位置合わせすることにより、外側包囲部を前記蒸気発生器のチューブ支持プレートに構造的に取り付けることをさらに含む、実施例10~11のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
実施例16:支持ピン、支持入口チューブ、または適合する孔を用いて、外側包囲部を前記チューブ支持プレートと位置合わせすることをさらに含む、実施例15に記載の方法。
【0053】
実施例17:外側包囲部上の接触面を用いて、外側包囲部をチューブ支持プレートと位置合わせすることをさらに含む、実施例15の方法。
【0054】
実施例18:外側包囲部によって画定された複数の入口開口部を、チューブ支持プレートによって画定された適合する流孔と位置合わせすることまたは結合することをさらに含む、実施例10~17のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
いくつかの形態が図示され、記載されているが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限または限定することは、出願人の意図ではない。これらの形態に対する多数の修正、変形、変更、置換、組み合わせ、および等価物が実施されてもよく、本開示の範囲から逸脱することなく当業者は思いつくであろう。さらに、記載された形態に関連する各要素の構造は、要素によって実行される機能を提供するための手段として代替的に記載されることができる。また、特定のコンポーネントについて材料が開示されている場合、他の材料を使用してもよい。したがって、前述の説明および添付の特許請求の範囲は、そのような修正、組み合わせ、および変形を、開示された形態の範囲内に入るものとしてすべて網羅することが意図されていることを理解されたい。また、添付の特許請求の範囲は、そのような修正、変形、変更、置換、修正、および等価物のすべてを網羅することを意図している。
【0056】
1つまたは複数のコンポーネントは、本明細書において、「構成される」、「構成可能である」、「動作可能である/動作する」、「適合される/適合可能である」、「できる」、「適合可能である/適合されている」等と称されることがある。当業者であれば、文脈上特段要求されない限り、「構成される」は、一般に、活性状態のコンポーネントおよび/または非活性状態のコンポーネントおよび/または待機状態のコンポーネントを包含できることを認識するであろう。
【0057】
当業者であれば、一般的に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、概して「オープン」な語として意図されることを認識するであろう(例えば、「含む」という語は、「~を含むが、~に限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という語は、「少なくとも~を有する」と解釈されるべきであり、「含む」という語は、「~を含むが、~に限定されない」と解釈されるべきである)。当業者であればさらに、導入される請求項の記載の特定の数が意図される場合、そのような意図は当該請求項に明示的に記載され、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが理解されよう。例えば、理解の一助として、以下の添付の特許請求の範囲には、特許請求の範囲の記載を導入するために「少なくとも1つ」及び「1つまたは複数の」という導入句が使用されている場合がある。しかしながら、このようなフレーズの使用は、たとえ同じ請求項が導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つ」および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」によって導入される請求項の記載が、そのように導入された請求項の記載を含むいかなる特定の請求項をも、そのような記載を1つのみ含む請求項に限定することを意図すると解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は、通常、「少なくとも1つの」又は「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)。請求項の記載を導入するために使用される定冠詞も同様である。
【0058】
さらに、導入される請求項の記載の特定の数が明示的に述べられている場合であっても、当業者であれば、そのような記載は通常、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることを認識するであろう(例えば、他の修飾語を伴わない「2つの記載」という素の記載は、通常、少なくとも2つ、又は2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つなど」に類似する慣例が使用される場合、一般的に、このような構成は、当業者が慣例を理解する意味を意図している(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aだけ、Bだけ、Cだけ、AとB、AとC、BとC、および/またはAとBとCを有するシステムなどを含むが、これらに限定されない)。「A、B、またはCのうちの少なくとも1つなど」に類似する慣例が使用される場合、一般的に、そのような構成は、当業者が慣例を理解する意味を意図している(例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aだけ、Bだけ、Cだけ、AとB、AとC、BとC、および/またはAとBとCを有するシステムなどを含むが、これらに限定されない)。当業者にはさらに理解されるであろうが、明細書、特許請求の範囲、または図面のいずれにおいても、2つ以上の選択的な語句を提示する離接語および/または離接句は通常、文脈から別段の指示がない限り、その語句のうちの1つ、その語句のいずれか、またはその語句の両方を含む可能性を想定していると理解されるべきである。例えば、「A又はB」という表現は、通常、「A」又は「B」、又は「A及びB」の可能性を含むものと理解される。
【0059】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者であれば、そこに記載された動作は一般的に任意の順序で実行され得ることを理解するであろう。また、請求項の記載はシーケンスで示されているが、様々な動作は記載されている順序以外の順序で実行されてもよく、または同時に実行されてもよいことが理解されるべきである。そのような代替順序の例としては、文脈から別段の指示がない限り、重複順序、インターリーブ順序、中断順序、並び替え順序、漸進順序、予備順序、補足順序、同時順序、逆順序、または他の変形順序が挙げられる。さらに、「~に応じて」、「~に関して」、または他の過去形の形容詞などの語は、文脈から別段の指示がない限り、一般に、このような変形を除外することを意図していない。
【0060】
「一態様」、「1つの態様」、「一例示」、「1つの例示」などへの言及は、その態様に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの態様に含まれることを意味することに留意されたい。したがって、本明細書の様々な箇所において「一態様において」、「1つの態様において」、「一例示において」、および「1つの例示において」という表現が現れるが、これらは必ずしもすべてが同じ態様を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つまたは複数の態様において適切に組み合わせられてもよい。
【0061】
本開示において言及されている、および/または出願データシートに記載されている特許出願、特許、非特許文献、またはその他の開示資料は、組み込まれた資料が本明細書と矛盾しない限り、参照により本明細書に組み込まれる。そのため、必要な範囲において、本明細書に明示的に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれる矛盾する資料に優先する。参照により本書に組み込まれるとされる資料またはその一部であっても、本書に記載された既存の定義、記述、またはその他の開示資料と矛盾するものは、その組み込まれた資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれる。
【0062】
要約すると、本明細書に記載された概念を採用することによって生じる多数の利点が記載されてきた。1つまたは複数の形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提示されたものである。網羅的または開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示に照らして、変更または変形が可能である。1つまたは複数の形態は、原理および実際の適用を説明するために選択および記載され、それによって当業者が、想定される特定の用途に適するように、様々な形態を、様々な変更を伴って利用することを可能にする。ここに提出される特許請求の範囲は、全体的な範囲を規定することを意図している。
【国際調査報告】