(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-21
(54)【発明の名称】MnSO4溶液の精製
(51)【国際特許分類】
C01G 45/10 20060101AFI20250313BHJP
【FI】
C01G45/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024555316
(86)(22)【出願日】2023-03-07
(85)【翻訳文提出日】2024-11-13
(86)【国際出願番号】 IB2023052117
(87)【国際公開番号】W WO2023175443
(87)【国際公開日】2023-09-21
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ZA
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524346091
【氏名又は名称】イノベイティブ・マンガニーズ・テクノロジーズ・エスエー・(ピーティーワイ)・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド・プレトリウス
【テーマコード(参考)】
4G048
【Fターム(参考)】
4G048AA02
4G048AB02
4G048AC06
4G048AE05
(57)【要約】
MnSO4溶液(34)の精製方法(10)は、(i)不純物としてMnSO4溶液中に存在する全てのMg2+カチオン及びCa2+カチオンと反応してCaF2及びMgF2を生成するのに必要なフッ化物アニオンに基づき算出される、化学量論的に過剰量であるフッ化物アニオン(36)の存在下で、及び(ii)硫化物アニオン(52)の存在下で、MnSO4溶液から不純物を析出させる工程(12)を含む。析出は、4超のpHで実現することができ、キャリア媒体としての精製されたMnSO4溶液、並びに、MnS、MnF2、CaF2及びMgF2を含む懸濁した析出物を含むスラリー又はサスペンション(54)を製造する。スラリー又はサスペンションは、精製されたMnSO4溶液(56)と析出物(58)とに分離された後(20)、析出物(58)は固相反応でMnSO4以外のSO4塩(62)と反応して(24)MnS及びMnF2から再生されたMnSO4を製造する。再生されたMnSO4は、精製されたMnSO4溶液(34)に再利用される(76)ことによりMn損失を低減させ、MnSO4収率を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MnSO
4溶液の精製方法であって、
(i)不純物としてMnSO
4溶液中に存在する全てのMg
2+カチオン及びCa
2+カチオンと反応してCaF
2及びMgF
2を生成するのに必要なフッ化物アニオンに基づき算出される、化学量論的に過剰量であるフッ化物アニオンの存在下で、及び
(ii)硫化物アニオンの存在下で、
4超のpHで、MnSO
4溶液から不純物を析出させる工程と、
キャリア媒体としての精製されたMnSO
4溶液、並びに、MnS、MnF
2、CaF
2及びMgF
2を含む懸濁した析出物を含むスラリー又はサスペンションを製造する工程と、
スラリー又はサスペンションを前記精製されたMnSO
4溶液と前記析出物とに分離する工程と、
固相反応で析出物をMnSO
4以外のSO
4塩(硫酸塩)と反応させてMnS及びMnF
2から再生されたMnSO
4を製造する工程と、
再生されたMnSO
4を精製されたMnSO
4溶液に再利用することによりMn損失を低減させ、MnSO
4収率を向上させる工程
とを含む、方法。
【請求項2】
MnSO
4溶液が浸出貴液である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
MnSO
4溶液に塩基を添加することでpHを確実に4超にする工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
MnSO
4溶液から不純物を析出させる間、pHが5から8の間、又は5から7の間に調節される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
化学量論的に過剰量であるフッ化物アニオンが、化学量論的に過剰量である水溶性フッ化物塩又はフッ化水素酸をMnSO
4溶液に添加することにより生産される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
化学量論的に過剰量であるフッ化物アニオンが、化学量論的に過剰量である水溶性フッ化物塩を添加することにより生産される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
水溶性フッ化物塩がNH
4F・HFである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
硫化物アニオンが、MnS、(NH
4)
2S、H
2S(気体)及びそれらの2種又は3種の混合物からなる群から選択される硫化物アニオンの供給源をMnSO
4溶液に添加することにより生産される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
硫化物アニオンの供給源がMnSである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
MnSO
4溶液から不純物を析出させる工程が、まずフッ化物アニオンの供給源をMnSO
4溶液に添加する工程の後、MnSO
4溶液に塩基を添加することでpHを確実に4超にした後、MnSO
4溶液に硫化物アニオンの供給源を添加する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
フッ化物アニオンが、MnSO
4溶液中に存在する全てのMg
2+カチオン及びCa
2+カチオンと反応してCaF
2及びMgF
2を生成するのに必要なフッ化物アニオンに基づき算出される化学量論量の少なくとも6倍、又は化学量論量の少なくとも7倍である化学量論的に過剰な量でMnSO
4溶液中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
固相反応で析出物をMnSO
4以外のSO
4塩と反応させる工程が、析出物を(NH
4)
2SO
4又はNH
4HSO
4と反応させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
析出物のSO
4塩との固相反応により生じた排出ガスの一部を凝結させて排出ガスからNH
4F・HFを凝結させて回収する工程と、
フッ化物アニオンの供給源として作用させるための、排出ガスから回収されたNH
4F・HFを再利用することにより、MnSO
4溶液からCa不純物及びMg不純物を析出させる化学量論的に過剰量であるフッ化物アニオンを準備する工程
とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
析出物とSO
4塩との間の固相反応が、375℃から525℃の範囲内、又は400℃から500℃の範囲内、又は425℃から475℃の範囲内の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
再生されたMnSO
4が、再利用MnSO
4溶液としてMnSO
4溶液に再利用される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はMnSO4溶液の精製に関する。具体的には、本発明はMnSO4溶液の精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
純度の高いMnSO4溶液、すなわちCa、Co、Fe、Mg、Ni及びZn等の特定の低レベルの混入物、並びに最小限のMn濃度を有するMnSO4溶液は、例えば電気化学セル及び電池における使用のために商業的に重要である。MnSO4溶液を精製するための各種方法が存在するものの、それらは取り扱いが煩雑であり、高価である傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】南アフリカ仮特許出願第2022/05305号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のMnSO4溶液の精製方法よりも取り扱いが煩雑でなく、より経済的なMnSO4溶液の精製方法が所望されうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、MnSO4溶液の精製方法であって、
(i)不純物としてMnSO4溶液中に存在する全てのMg2+カチオン及びCa2+カチオンと反応してCaF2及びMgF2を生成するのに必要なフッ化物アニオンに基づき算出される、化学量論的に過剰量であるフッ化物アニオンの存在下で、及び
(ii)硫化物アニオンの存在下で、
4超のpHで、MnSO4溶液から不純物を析出させる工程と、
キャリア媒体としての精製されたMnSO4溶液、並びに、MnS、MnF2、CaF2及びMgF2を含む懸濁した析出物を含むスラリー又はサスペンションを製造する工程と、
スラリー又はサスペンションを前記精製されたMnSO4溶液と前記析出物とに分離する工程と、
固相反応で析出物をMnSO4以外のSO4塩(硫酸塩)と反応させてMnS及びMnF2から再生されたMnSO4を製造する工程と、
再生されたMnSO4を精製されたMnSO4溶液に再利用することによりMn損失を低減させ、MnSO4収率を向上させる工程
とを含む、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【発明を実施するための形態】
【0007】
MnSO4溶液は、浸出貴液であってもよい。
【0008】
MnSO4溶液は、不純物としてCa、Co、Fe、Mg、Ni及びZnが混入したものであってもよい。他の混入物は、Cu、K、Na、Si、Al、Sr及びPbを含みうる。
【0009】
本発明の一実施形態では、MnSO4溶液は、焙煎方法及び浸出方法、例えば、南アフリカ仮特許出願第2022/05305号に開示されたマンガン含有鉱石からマンガンを取り出すための焙煎方法及び浸出方法により得られる浸出液である。
【0010】
通常、方法は、MnSO4溶液に塩基を添加することでpHを確実に4超にする工程を含む。
【0011】
塩基は、NH4OH、例えば25%NH4OH溶液であってもよい。有利には、本発明の方法では、NH4OHの添加の結果として形成されたアンモニウム塩は、下流で分解されて処理可能なガスを生成する。
【0012】
好ましくは、MnSO4溶液から不純物を析出させる間、pHは、約5から約8の間、より好ましくは約5から約7の間に調節される。
【0013】
化学量論的に過剰量であるフッ化物アニオンは、化学量論的に過剰量であるフッ化物アニオンの供給源、例えば水溶性フッ化物塩又はフッ化水素酸の添加によりMnSO4溶液中に生産されうる。好ましくは、化学量論的に過剰量であるフッ化物アニオンは、化学量論的に過剰量である水溶性フッ化物塩、例えば、通常フッ化水素酸よりも危険性が低いため、NH4F・HFを添加することにより生産される。
【0014】
通常、方法は、MnSO4溶液からの不純物の析出中にMnSO4溶液を掻き混ぜる工程を含む。
【0015】
MnSO4溶液から不純物を析出させる工程は、まずフッ化物アニオンの供給源を添加する工程の後、MnSO4溶液に塩基を添加することでpHを確実に4超にする工程を含んでもよい。
【0016】
通常、主にCaカチオン及びMgカチオンは、一部のMnF2に加え、フッ化物アニオンの供給源(すなわちCaF2やMgF2)を添加する工程の後に、析出物の主成分(すなわち最も濃度の高い成分)を構成するMnF2と共にMnSO4溶液から析出する。しかし、不純物としてMnSO4溶液中に存在し、不溶性フッ化物を形成する他のカチオン、例えば不溶性Na2SiF6を形成するNaも析出しうる。
【0017】
硫化物アニオンは、硫化物アニオンの供給源をMnSO4溶液に添加することにより生産されうる。硫化物アニオンの供給源は、MnS、(NH4)2S、H2S(気体)及びそれらの2種又は3種の混合物からなる群から選択することができる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、硫化物アニオンの供給源はMnSである。
【0019】
通常、硫化物アニオンの供給源は、MnSO4溶液に塩基を添加する工程の後にMnSO4溶液に添加される。このように、通常、本発明の少なくとも1種の実施形態では、MnSO4溶液から不純物を析出させる工程は、まずフッ化物アニオンの供給源をMnSO4溶液に添加する工程の後、MnSO4溶液に塩基を添加することでpHを確実に4超にした後、MnSO4溶液に硫化物アニオンの供給源を添加する工程を含む。
【0020】
MnSは、約2から約0.0001モルMnS/MnSO4溶液リットルの間の濃度の、好ましくは約1から約0.0005モルMnS/MnSO4溶液リットルの間の濃度の、より好ましくは約0.1から約0.001モルMnS/リットルの間のMnSO4溶液の濃度の、例えば約0.06モルMnS/MnSO4溶液リットルのMnSO4溶液に添加することができる。
【0021】
スラリー又はサスペンションを前記精製されたMnSO4溶液と前記析出物とに分離する工程は、あらゆる従来又は好適な固液分離技術、例えば濾過、重力分離、又はサイクロン分離等を使用して実現することができる。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、スラリー又はサスペンションは、濾過により前記精製されたMnSO4溶液と前記析出物とに分離される。有利には、MnSは、MnSO4溶液からCaF2及びMgF2の小さな粒子を濾過するための濾過助剤、及びMnSO4溶液からCo、Fe、Ni、Cu及びZn等の遷移元素を析出させるための析出剤として作用する。
【0023】
通常、フッ化物アニオンの存在下でのMnSO4溶液からの不純物の析出は、室温及び常圧で実現することができる。
【0024】
硫化物アニオンの存在下でのMnSO4溶液からの不純物の析出は、約5℃から約100℃の範囲内、好ましくは約30℃から約80℃の範囲内、より好ましくは約50℃から約70℃の範囲内、例えば約60℃の温度で実現することができる。
【0025】
したがって、方法は、MnSO4溶液への塩基の添加の後にMnSO4溶液を加熱する工程、及び硫化物アニオンの供給源、例えばMnSを加熱されたMnSO4溶液に添加する工程を含んでもよい。
【0026】
フッ化物アニオンは、MnSO4溶液中に存在する全てのMg2+カチオン及びCa2+カチオンと反応してCaF2及びMgF2を生成するのに必要なフッ化物アニオンに基づき算出される化学量論量の6倍、好ましくは化学量論量の少なくとも7倍である化学量論的に過剰な量で存在していてもよい。
【0027】
フッ化物アニオンは、通常、MnSO4溶液中に存在する全てのMg2+カチオン及びCa2+カチオンと反応してCaF2及びMgF2を生成するのに必要なフッ化物アニオンに基づき算出される化学量論量の9倍以下である化学量論的に過剰な量で存在しうる。
【0028】
固相反応で析出物をMnSO4以外のSO4塩と反応させる工程は、析出物を乾燥させる工程を含んでもよい。
【0029】
固相反応で析出物をMnSO4以外のSO4塩と反応させる工程は、析出物を粉砕して粒径を小さくする工程を含んでもよい。
【0030】
析出物は、D90が約1000μm未満、好ましくは約500μm未満、より好ましくは約250μm未満、例えば106μm未満である粒度分布となるように粉砕してもよい。
【0031】
通常、析出物は、D10が少なくとも10μmである粒度分布となるように粉砕される。
【0032】
固相反応で析出物をMnSO4以外のSO4塩と反応させる工程は、析出物を(NH4)2SO4又はNH4HSO4と反応させる工程を含んでもよい。
【0033】
SO4塩は、D90が約1000μm未満、好ましくは約500μm未満、より好ましくは約250μm未満、例えば106μm未満である粒度分布を有していてもよい。
【0034】
通常、SO4塩は、D10が少なくとも10μmである粒度分布を有する。
【0035】
析出物とSO4塩との間の固相反応は、約375℃から約525℃、好ましくは約400℃から約500℃、より好ましくは約425℃から約475℃の間の範囲内、例えば約450℃の温度で実施してもよい。
【0036】
SO4塩が(NH4)2SO4である場合、又はそれを含む場合、析出物中に存在するMnF2は、下記の通り、反応1にしたがって(NH4)2SO4と反応してもよい。
MnF2(固体)+(NH4)2SO4(固体)→MnSO4(固体)+NH4F・HF(気体)+NH3(気体)…(1)
【0037】
SO4塩が(NH4)2SO4である場合、又はそれを含む場合、析出物中に存在するMnSは、下記の通り、反応2にしたがって(NH4)2SO4と反応してもよい。
MnS(固体)+4(NH4)2SO4(固体)→MnSO4(固体)+4SO2(気体)+4H2O(気体)+8NH3(気体)…(2)
【0038】
方法は、析出物のSO4塩との固相反応により生じた排出ガスの一部を凝結させて排出ガスからNH4F・HFを凝結させて回収する工程、及び冷却された排出ガスを製造する工程を含んでもよい。
【0039】
排出ガスは、約240℃未満、好ましくは約200℃未満、より好ましくは約150℃未満、例えば約100℃の温度で一部を凝結させることができる。
【0040】
通常、排出ガスは、少なくとも約25℃の温度で一部が凝結する。
【0041】
方法は、フッ化物アニオンの供給源として作用させるための、排出ガスから回収されたNH4F・HFを再利用することにより、MnSO4溶液からCa不純物及びMg不純物を析出させる化学量論的に過剰量であるフッ化物アニオンを準備する工程を含んでもよい。
【0042】
方法は、排出ガスを吸収剤、例えば水でスクラブして冷却された排出ガスからNH3(気体)を取り出す工程を含んでもよい。
【0043】
方法は、冷却された排出ガスを脱硫化するためにSO2スクラバー内で冷却された排出ガスをスクラブする工程を含んでもよい。或いは、冷却された排出ガスからNH3(気体)を取り出すために採用されるNH3スクラバーもSO2スクラバーとして作用しうる。
【0044】
再生されたMnSO4は、再利用MnSO4溶液としてMnSO4溶液に再利用されてもよい。
【0045】
方法は、このように再生されたMnSO4を水に溶解させて再利用MnSO4溶液を生成する工程を含んでもよい。不溶性廃棄物流を生じることがあるが、プロセスから抜き出して廃棄してもよい。この廃棄物流は、上記プロセスにおいてAl、Ca、Co、Fe、K、Mg、Na、Ni及びZnの濃度の増大を防止又は制御するためのブリード流として作用しうる。
【0046】
再生されたMnSO4を水に溶解させて再利用MnSO4溶液を生成する工程は、室温で水を使用して実現することができる。
【0047】
再生されたMnSO4を水に溶解させて再利用MnSO4溶液を生成する工程は、掻き混ぜて実現することができる。
【0048】
本発明は、下記ラボ実験及びMnSO4溶液を精製するための本発明による方法の一実施形態を示す単一の図面を参照しながら、以下で例により説明される。
【0049】
ラボ実験
MnSO4溶液を精製するための本発明の方法の各種態様を調査するために複数のラボ実験を実施した。
【0050】
材料
Table 1(表1)に示した下記分析結果を有する4リットル容量のMnSO4浸出貴液を実験で使用した。
【0051】
【0052】
フッ化物の析出
浸出貴液から主にCaカチオン及びMgカチオンを析出させるためにフッ化物の析出を使用した。他のカチオンも不溶性フッ化物の析出物、例えばNa2SiF6として析出する。なお、MnF2も析出する。
【0053】
MnF2はCaF2及びMgF2よりも溶解性が約100倍高いものの、HF又はNH4F・HF等のフッ化物アニオンの供給源由来のフッ化物アニオンの化学量論量での添加は、驚くべきことに電池グレード仕様に沿うMnSO4溶液を与えない。平衡が存在しており、問題なく極めて純度の高いMnSO4溶液とするためには、MnSO4溶液中に存在する全てのMg2+カチオン及びCa2+カチオンと反応してCaF2及びMgF2を生成するのに必要なフッ化物アニオンに基づき算出される化学量論量の少なくとも6倍、好ましくは7倍のフッ化物アニオンを要することが確実となった。二フッ化アンモニウム(NH4F・HF)は、HF溶液よりも危険性が少ないため、フッ化物アニオンの供給源として選択された。しかし、HFと同じように、NH4F・HFは割に合わないため、NH4F・HFの消費量及び損失量は最小限にするべきである。更に平衡のため、前述の通りMnF2も一部析出し、Mnの損失及びMnSO4の低収率化につながる。高価な試薬の使用、危険性を有するフッ化物廃棄物の生成及びMn値の収率損失は、全て少なくともいくつかの再利用の形態の実施により軽減することができる。
【0054】
フッ化物の添加のための計算
第1の工程は、下記の通り、4リットルのMnSO4溶液中のMg及びCaのモル量を算出することであった。
Ca=0.593g=0.014825モル
Mg=1.755g=0.072モル
合計モル(Ca+Mg)=0.08705モル/リットルPLS。
【0055】
そして、化学量論的に過剰な量である7倍に基づき必要とされるNH4F・HFの量は、下記の通り算出された。
必要なNH4F・HF添加量=7x0.08705モル/リットルx57g/モルNH4F・HFx4リットル=138.93g
【0056】
実験
まず4リットルの浸出貴液を5リットルプラスチックポリプロペンビーカー内に移した。これに138.93gのNH4F・HFを撹拌しながら添加した。pHは約6又は7から約3に降下した。このpHでは、析出は発生しなかった。この溶液に、195mlのNH4OH(25%)溶液を撹拌しながらpHが5に到達するまでゆっくり添加し、サスペンションを生成させた。2時間撹拌した後、サスペンションを濾過した。得られた析出物又はフィルターケーキを洗浄して、湿潤フィルターケーキ中に捕捉されたMnSO4を再利用した。その後、洗浄されたフィルターケーキを150℃で乾燥させて、78.5gのフッ化物残渣を得た。洗浄されたフッ化物の析出物又はフィルターケーキ、すなわち残渣の分析結果は、Table 2(表2)に提示されている。
【0057】
【0058】
フッ化物の析出が、MnSO4浸出貴液から大部分のCa及びMgを除去したものの、濾過後、浸出貴液(すなわち濾液)の残りが依然50ppm超のCaレベル及びMgレベルを含有するため、濾液が、Ca及びMgが50ppm未満であり、最少Mn濃度が32%であることを要する電池グレード仕様に沿わないことが見出された。この理由は、MgF2及びCaF2の析出粒子の一部が、通常のラボ条件下で濾過するにはあまりに小さいからである。本発明の一部として提示されたこの課題への解決策は、CaF2及びMgF2の小さな粒子を濾過するための濾過助剤として作用し、また、Co、Fe、Ni、Cu及びZn等の遷移元素を析出させるための析出剤としても作用するMnSの添加である。
【0059】
硫化物の析出
フッ化物の析出物が平衡を形成するのと同じように、硫化物の析出物も平衡を形成する。実験的に、約0.06モルのMnS/リットルのMnSO4浸出貴液は、残留Ca及びMgの除去を補助するための濾過助剤として作用するのに十分であることが見出された。また、下記計算から理解できる通り、全ての遷移元素を析出させるのに十分でもある。
【0060】
遷移元素の計算
4リットル浸出貴液中の遷移元素のモル:
Co=0.0983g=0.0017モル/リットル
Fe=0.0139g=0.00025モル/リットル
Ni=0.0554g=0.00095モル/リットル
Zn=0.0023g=0.000034モル/リットル
【0061】
浸出貴液4リットルあたりの遷移元素の合計モル=0.011736モル
【0062】
Na2S(60%)及び電池グレードのMnSO4の反応を経由して新たに析出したMnSを調製し、MnS析出物及びNa2SO4(aq)のサスペンションを製造した。MnS析出物をサスペンションから濾過し、あらゆるNa2SO4混入物から洗浄した。
【0063】
合計で0.24モルの新たに析出した湿潤MnSを4リットルの浸出貴液の残りに添加し、60℃に加熱した。この温度で2時間撹拌した後、黒色の析出物を濾過してフィルターケーキを形成させた。フィルターケーキを洗浄して捕捉されたMnSO4を取り出して再利用した後、150℃で乾燥させ、54gの硫化物残渣を得た。Table 3(表3)は、硫化物の析出物の分析結果を提示する。浸出貴液1リットルあたりのMnSの量は、上記量を減らすために更に最適化することができると考えられる。
【0064】
【0065】
最終の、精製されたMnSO4溶液は、Table 4(表4)に示した通りの分析結果を有していた。
【0066】
【0067】
Table 4(表4)の最終行は、電池グレードのMnSO4・H2Oに許容されうるCa、Co、Fe、Mg、Ni及びZnの最大不純物レベルである。Table 4(表4)の3行目は、フッ化物及び硫化物の析出後のCa、Co、Fe、Mg、Ni及びZn不純物のレベルである。
【0068】
試薬の再利用
Table 1(表1)から、浸出貴液のMn量の合計は下記の通りに算出されうる。
4リットルx127.6g/l=510.4g Mn。
【0069】
フッ化物の析出物及び硫化物の析出物に失われたMn単位も、下記の通りに算出することができる。
フッ化物の析出物:78.5gx37.7%=29.6g=出発MnSO4溶液の5.8%。
硫化物の析出物:54gx49.5%=27g=出発MnSO4溶液の5.3%。
【0070】
フッ化物の析出物及び硫化物の析出物を106μmになるまで別々に乾式粉砕した。67.2gのフッ化物の析出物に、110gの(NH4)2SO4-106μmを添加し、ブレンドし、3Cr12ステンレス鋼チューブ内で450℃で焼成した。チューブからの焼結生成物を温度で3時間浸漬し、室温で冷却した後、101.6gの白色のケーキを得た。この生成物のほぼ全てが水に可溶であることが見出された。
【0071】
MnF2及び(NH4)2SO4は、下記固相反応にしたがって、焼成されたチューブ内で反応した。
MnF2(固体)+(NH4)2SO4(固体)=MnSO4(固体)+NH4F・HF(気体)+NH3(気体)
【0072】
NH4F・HFは昇華し、約240℃未満、例えば100℃未満で凝結させて利用可能なフッ化物のおおよそ90から99%を収集することが可能である。
【0073】
NH3(気体)はスクラブすることができ、MnSO4(固体)のほぼ全てをMnSO4浸出貴液に再利用し戻すことができる。
【0074】
20gの硫化物の析出物に対して130g(NH4)2SO4-106μmを添加し、ブレンドし、3Cr12ステンレス鋼チューブ内で450℃で焼成した。チューブからの焼結生成物を温度で3時間浸漬し、室温で冷却した後、29.6gの白色のケーキを得た。この生成物のほぼ全てが水に可溶であることが見出された。
【0075】
MnS及び(NH4)2SO4は、下記固相反応にしたがって、焼成されたチューブ内で反応した。
MnS(固体)+4(NH4)2SO4(固体)=MnSO4(固体)+4SO2(気体)+4H2O(気体)+8NH3(気体)
【0076】
両方の焼結生成物由来の白色のケーキのサンプル10gを50mlの水に溶解させ、濾過し、分析した。分析結果はTable 5(表5)に提示されている。
【0077】
【0078】
後述される通り、Table 5(表5)に示した分析結果に基づき、フッ化物の析出物及び硫化物の析出物の(NH4)2SO4との固相反応から得られるMnSO4溶液は、実験の最初に使用され、Mn値を回復させるためのMnSO4浸出貴液への再利用に好適である。
【0079】
単一の図面を参照すると、参照番号10は、MnSO4溶液を精製するための本発明による方法を全体的に示している。プロセス10は連続プロセスであり、フッ化物析出容器14、pH調整容器16及び硫化物析出容器18を備える析出段階12を含む。プロセス10は更に、第1のフィルター20、乾燥及び粉砕段階22、ロータリーキルン24、溶解容器26、第2のフィルター28、冷却凝結装置30、及び、排出ガススクラバー32を備える。
【0080】
MnSO4溶液供給ライン34は、フッ化物析出容器14につながり、また、NH4F・HF供給ライン36が合流する。フッ化物析出容器14には、撹拌機38が設けられている。
【0081】
溶液移送ライン40は、フッ化物析出容器14からpH調整容器16へとつながり、それにも撹拌機42が設けられている。NH4OH溶液供給ライン44は、pH調整容器16内につながる一方で、サスペンション移送ライン46は、pH調整容器16から硫化物析出容器18につながる。
【0082】
硫化物析出容器18には、撹拌機48、水蒸気加熱コイル50及びMnS供給ライン52が設けられている。
【0083】
サスペンション移送ライン54は、硫化物析出容器18から第1のフィルター20をつなぎ、それには、精製されたMnSO4溶液引き抜きライン56及びフィルターケーキ移送ライン58が設けられている。フィルターケーキ移送ライン58は、乾燥及び粉砕段階22につながり、それには、ロータリーキルン24につながる粉砕された析出物引き抜きライン60が設けられている。粉砕された析出物引き抜きライン60には、(NH4)2SO4供給ライン62が合流する。
【0084】
ロータリーキルン24は、排出ガス引き抜きライン64及び焼結された析出物引き抜きライン66が設けられた焼成キルンであり、それは溶解容器26につながる。
【0085】
溶解容器26には、撹拌機68及び水供給ライン70が設けられている。
【0086】
サスペンション引き抜きライン72は、溶解容器26から第2のフィルター28をつなぎ、それには固体廃棄物流引き抜きライン74及びMnSO4溶液供給ライン34と合流するMnSO4溶液再利用ライン76が設けられている。
【0087】
プロセス10は、貴であるMnSO4の浸出溶液、又は、不純物としてとりわけCa、Co、Fe、Mg、Ni及びZnが混入した他のMnSO4溶液を精製するために使用される。
【0088】
貴であるMnSO4の浸出溶液は、MnSO4溶液供給ライン34により、フッ化物析出容器14内に供給される。フッ化物アニオンの供給源、すなわちNH4F・HFは、NH4F・HF供給ライン36により、フッ化物析出容器14内に供給され、撹拌機38は2つの供給流を完全に混合するために使用され、良好に混合された溶液を製造する。十分量のNH4F・HFは、貴であるMnSO4の浸出溶液中に不純物として存在する全てのMg2+カチオン及びCa2+カチオンと反応するのに必要なフッ化物アニオンの7倍に等しい、フッ化物析出容器14内に存在するフッ化物アニオンが確実に化学量論的に過剰量となるようにNH4F・HF供給ライン36により供給される。
【0089】
フッ化物析出容器14内で視認可能なフッ化物は析出しないものの、良好に混合された溶液のpHは、約6又は7から約3に降下する。pHが約3のこの良好に混合された溶液は、その後、溶液移送ライン40によりpH調整容器16に移送され、ここで、塩基、すなわち25%NH4OH水溶液の形態での十分量のNH4OHが、NH4OH溶液供給ライン44によりpH調整容器16に供給されてpH調整容器16の溶液のpHを約5に上昇させる。pH調整容器16中のpHが高いと、CaF2、MgF2、及び、望ましくないMnF2等のフッ化物が析出し始める。撹拌機42は、確実にサスペンションを生成してpH調整容器16内で維持させるために使用される。pH調整容器は、平均滞留時間が約2時間となる程度の大きさを有し、その後、掻き混ぜられたサスペンションは、サスペンション移送ライン46によりpH調整容器16から硫化物析出容器18に移送される。
【0090】
粒状のMnSはMnS供給ライン52により硫化物析出容器18内に供給され、硫化物析出容器18の内部のサスペンションは撹拌機48により掻き混ぜられ、水蒸気加熱コイル50により約60℃に加熱される。硫化物析出容器18内では、Ca、Mg、Co、Fe、Ni及びZnの硫化物を含む硫化物が析出する。このように、CaS析出物及びMgS析出物は、pH調整容器16内で形成されるCaF2析出物及びMgF2析出物も含まれる。
【0091】
粒状のMnSは、サスペンション移送ライン46により硫化物析出容器18中に供給されるサスペンション1リットルあたり約0.06モルのMnSの比率で硫化物析出容器18中に供給される。
【0092】
硫化物析出容器18は、平均滞留時間が約2時間となる程度の大きさを有し、その後、懸濁した黒色の析出物を含む掻き混ぜられたサスペンションは、サスペンション移送ライン54により第1のフィルター20に移送され、ここで、サスペンションは、精製されたMnSO4引き抜きライン56により引き抜かれる精製されたMnSO4溶液又は濾液と析出物又はフィルターケーキとに分離され、それはMnF2、CaF2及びMgF2並びに、MnS、CaS及びMgS並びに遷移金属硫化物及び/又はフッ化物を含み、それはフィルターケーキ移送ライン58により除去される。有利には、MnSは、MnSO4溶液から析出した小さいCaF2及びMgF2を濾過するための濾過助剤として作用する一方で、Co、Fe、Ni、Cu及びZn等の遷移元素の析出剤としても作用しうる。
【0093】
もし所望する場合又は必要である場合、フィルターケーキは、従来の様式で水を用いて洗浄することができ(図示せず)、例えば、フッ化物析出容器14に、又はフィルター20に、又は溶解容器26に再利用されたフィルターケーキ洗浄水を用いて捕捉されたMnSO4を取り出すことができる。
【0094】
乾燥及び粉砕段階22では、フィルターケーキ又は析出物は、従来の様式、例えば約150℃で乾燥された後、通常、D90粒度分布が約106μm未満となるように乾式粉砕により粉砕される。乾燥した、粉砕された析出物は、粉砕された析出物引き抜きライン60により引き抜かれ、焼成ロータリーキルン24に供給される。D90が約106μm未満である粒度分布を有する粒状の(NH4)2SO4もまた、(NH4)2SO4供給ライン62によりロータリーキルン24に供給される。
【0095】
ロータリーキルン24では、乾燥した、粉砕された析出物及び粒状の(NH4)2SO4が完全に混ぜ合わされ、約450℃の高温に加熱され、一方では乾燥した、粉砕された析出物中に存在するMnF2及びMnSと、他方では(NH4)2SO4との、MnSO4(固体)を製造するための前述の通りの反応(1)及び反応(2)による固相反応につながる。
【0096】
高温で適度な長時間、例えば約3時間後、固体材料、すなわちMnSO4(固体)を含む焼結された析出物は、焼結された析出物引き抜きライン66によりロータリーキルン24から引き抜かれ、溶解容器26に供給される。水もまた、撹拌機68により掻き混ぜられた溶解容器26内で生成して得られたサスペンションと共に水供給ライン70により溶解容器26内に供給される。再利用MnSO4溶液は、水にMnSO4(固体)を溶解させた結果として溶解容器26の内部に生成する。
【0097】
再利用MnSO4溶液を含むサスペンションは、サスペンション引き抜きライン72により溶解容器26から引き抜かれ、第2のフィルター28に供給され、ここで不溶性不純物は再利用MnSO4溶液から分離され、固体廃棄物流引き抜きライン74により引き抜かれる。再利用MnSO4溶液は、第2のフィルター28からMnSO4溶液供給ライン34にMnSO4溶液再利用ライン76により移送される。
【0098】
ロータリーキルン24からの排出ガスは排出ガス引き抜きライン64により引き抜かれ、冷却されて冷却凝結装置30内で一部が凝結される。冷却凝結装置30内では、約90℃の温度で排出ガスの一部を凝結させるためにプラント冷却水が使用される。冷却凝結装置30からの凝結したNH4F・HFは、NH4F・HF再利用ライン78により移送されてNH4F・HF供給ライン36と合流する。この手法で、プロセス10に添加された約90%のフッ化物アニオンが回収され、フッ化物析出容器14に再利用される。
【0099】
冷却凝結装置30からの冷却された排出ガスは、冷却された排出ガスライン80により排出ガススクラバー32に移送され、それは冷却された排出ガスからNH3(気体)及びSO2(気体)をスクラブするための水供給ライン82により供給された水を利用する。スクラブされた排出ガスは、排出ガススクラバー32からベントライン84により大気に排出される一方で、過剰量のアンモニア性スクラブ溶液は、スクラバー溶液引き抜きライン86により引き抜かれる。
【0100】
連続プロセスとして説明されたものの、理解されうる通り、プロセス10はバッチベースで、又はセミバッチベースで操作してもよい。例えば、フッ化物析出容器14、pH調整容器16及び硫化物析出容器18は、バッチベースで操作される単一の容器に組み合わせてもよい。
【0101】
プロセス10では、説明された通り、非常に大きな割合のフッ化物アニオンが有利に再利用される。Mn損失を抑制し、かつMnを再利用するプロセス工程を含むことにより(例えばロータリーキルン24、溶解容器26及び第2のフィルター28により)、プロセス10は、説明された通り、MnSO4の収率を上昇させる。有利には、本発明の方法は、貴であるMnSO4の浸出溶液から1ppm未満のCo、Fe、Ni及びZn、並びに15ppm未満のCa及びMgを有する電池グレードのMnSO4溶液を製造することを可能とする。
【符号の説明】
【0102】
10 プロセス
12 析出段階
14 フッ化物析出容器
16 pH調整容器
18 硫化物析出容器
20 第1のフィルター
22 粉砕段階
24 ロータリーキルン
26 溶解容器
28 第2のフィルター
30 冷却凝結装置
32 排出ガススクラバー
34 MnSO4溶液供給ライン
36 NH4F・HF供給ライン
38 撹拌機
40 溶液移送ライン
42 撹拌機
44 NH4OH溶液供給ライン
46 サスペンション移送ライン
48 撹拌機
50 水蒸気加熱コイル
52 MnS供給ライン
54 サスペンション移送ライン
56 精製されたMnSO4引き抜きライン
58 フィルターケーキ移送ライン
60 粉砕された析出物引き抜きライン
62 (NH4)2SO4供給ライン
64 排出ガス引き抜きライン
66 焼結された析出物引き抜きライン
68 撹拌機
70 水供給ライン
72 サスペンション引き抜きライン
74 固体廃棄物流引き抜きライン
76 MnSO4溶液再利用ライン
78 NH4F・HF再利用ライン
80 冷却された排出ガスライン
82 水供給ライン
84 ベントライン
86 スクラバー溶液引き抜きライン
【国際調査報告】