(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-26
(54)【発明の名称】頭蓋骨開口部に頭蓋骨弁を固定するためのインプラント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/28 20060101AFI20250318BHJP
【FI】
A61F2/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024550763
(86)(22)【出願日】2023-02-06
(85)【翻訳文提出日】2024-10-22
(86)【国際出願番号】 EP2023052850
(87)【国際公開番号】W WO2023160999
(87)【国際公開日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】102022202037.5
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ハーゲン
(72)【発明者】
【氏名】ヤナ ケンマーリン
(72)【発明者】
【氏名】エリック ドロスト
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ オンケン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ノンネマン
(72)【発明者】
【氏名】ティナ シュヴァルツ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス プレイル
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA01
4C097CC03
4C097CC05
4C097SC10
(57)【要約】
本発明は、頭蓋骨開口部において頭蓋骨弁を固定するためのインプラントに関し、当該インプラントは、頭蓋骨開口部の軸方向に沿って延びる縦軸と、頭蓋骨開口部の径方向に沿って延びる横軸と、骨弁に力を伝達するように設計された第1部分と、頭蓋骨開口部を取り囲む頭蓋骨に力を伝達するように設計された第2部分であって、第1部分および/または第2部分は、骨弁の外周と頭蓋骨の内周との間に形成された環状間隙内に配置されるように設計される第2部分と、メカニズムであって、第1部分と第2部分とに作動的に接続され、メカニズムによって第1部分と第2部分との間の、横軸上に投影される横方向スぺースを少なくとも拡大することができ、その結果、第1部分を骨弁に対して径方向内向きに押圧し、第2部分を頭蓋骨に対して径方向外向きに押圧することができる、メカニズムと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭蓋骨開口部(B)に頭蓋の骨弁(D)を固定するためのインプラント(100、200、300、400、500)であって、
前記頭蓋骨開口部(B)の軸方向(A)に沿って延びる縦軸(X)と、
前記頭蓋骨開口部(B)の径方向(R)に沿って延びる横軸(Y)と、
前記骨弁(D)に力を伝達するように設計された第1部分(101、201、301、401、501)と、
前記頭蓋骨開口部(B)を取り囲む頭蓋骨(K)に力を伝達するように設計された第2部分(102、202、302、402、502)であって、
前記第1部分(101、201、301、401、501)および/または前記第2部分(102、202、302、402、502)は、前記骨弁(D)の外周(DA)と前記頭蓋骨(K)の内周(KI)との間に形成された環状間隙(S)内に配置されるように設計される、前記第2部分と、
メカニズム(103、203、303、403、503)であって、前記第1部分(101、201、301、401、501)と前記第2部分(102、202、302、402、502)とに作動的に接続され、前記メカニズム(103、203、303、403、503)によって前記第1部分(101、201、301、401、501)と前記第2部分(102、202、302、402、502)との間の、前記横軸(Y)上に投影される横方向スぺース(Q)を少なくとも拡大することができ、その結果、前記第1部分(101、201、301、401、501)を前記骨弁(D)に対して前記径方向(R)内向きに押圧し、前記第2部分(102、202、302、402、502)を前記頭蓋骨(K)に対して前記径方向(R)外向きに押圧することができる、前記メカニズムと、
を備えるインプラント(100、200、300、400、500)。
【請求項2】
前記メカニズム(103、203、403、503)は、前記第1部分(101、201、401、501)および/または前記第2部分(102、202、402、502)を前記横軸(Y)に沿って並進変位させるように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載のインプラント(100、200、400、500)。
【請求項3】
前記メカニズム(303)は、前記縦軸(X)周りに前記第1部分(301)および/または前記第2部分(302)を回転変位させるように設計されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のインプラント(300)。
【請求項4】
前記第1部分(101、201、301、401、501)が、前記骨弁(D)の前記外周(DA)に径方向において当接して支えるように設計された第1接触面を有すること、および/または、前記第2部分(102、202、302、402、502)が、前記頭蓋骨の前記内周(KI)に径方向において当接して支えるように設計された第2接触面を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のインプラント(100、200、300、400、500)。
【請求項5】
前記第1部分(101、501)は、接合面(106、511)を有し、
前記接合面(106、511)は、前記骨弁(D)の前記外周(DA)に径方向に延びるボア(H)に挿入されるように設計されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のインプラント(100、500)。
【請求項6】
支持部(220、320、420)が存在し、
前記支持部(220、320、420)は、縦軸(X)に沿って前記第1部分(201、301、401)および前記第2部分(202、302、402)の上方に配置されるとともに、前記頭蓋骨(K)の外面(KF)および前記骨弁(D)の外面(DF)を支持するように設計されている下面(221、321、421)を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のインプラント(200、300、400)。
【請求項7】
前記支持部(220)は、取り外し可能な接合接続手段、特にバヨネット締めによって前記インプラント(200)の残りの部分に接続されていることを特徴とする、請求項6に記載のインプラント(200)。
【請求項8】
少なくとも1つのマンドレル部(223、323、423)が存在し、
前記マンドレル部(223、323、423)は、前記横軸(Y)に沿って延びており、一端においては前記第1部分(201、301、401)を越えて突出し、前記骨弁(D)の前記外周(DA)に径方向に突き刺さるように設計されたマンドレル先端部(224、324、424)を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のインプラント(200、300、400)。
【請求項9】
前記メカニズム(203)は少なくとも1つのクランプ要素(208)と円錐要素(207)とを有し、
前記クランプ要素(208)は、前記横軸(Y)に沿って移動可能に取り付けられ、内側円錐面(210)と、前記第1部分(201)または前記第2部分(202)を形成する端面(211)とを有し、
前記円錐要素(207)は、前記縦軸(X)に沿って移動可能に取り付けられ、前記内側円錐面(210)と相互作用する外側円錐面(214)を有し、
前記クランプ要素(208)は、前記円錐要素(207)の移動によって、前記横軸(Y)に沿って変位可能であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のインプラント(200)。
【請求項10】
前記メカニズム(203)は、さらなるクランプ要素(209)を有し、
前記さらなるクランプ要素(209)は、前記円錐要素(207)の移動によって、前記横軸(Y)に沿って反対方向に変位可能であることを特徴とする、請求項9に記載のインプラント(200)。
【請求項11】
前記円錐要素(207)は、ねじ山(216)を有し、
前記ねじ山(216)は、前記縦軸(X)に沿ったねじ込み移動のために相補的な相手側ねじ山(217)に螺合されることを特徴とする、請求項9または10に記載のインプラント(200)。
【請求項12】
前記メカニズム(303)は、前記縦軸(X)に沿って配向された回転軸(G)と、前記回転軸(G)周りに移動可能に取り付けられ、前記回転軸(G)に対して偏心した輪郭(311)を有する偏心要素(308)とを有し、
前記輪郭(311)の異なる部分が、前記第1部分(301)および前記第2部分(302)を形成し、
前記偏心要素(308)の回転によって、前記輪郭(311)が、前記骨弁(D)の前記外周(DA)と前記頭蓋骨(K)の前記内周(KI)との間にクランプされることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のインプラント(300)。
【請求項13】
シャフト要素(307)が存在し、その一端に前記偏心要素(308)が配置され、その他端にツール嵌合要素(319)が配置され、
前記ツール嵌合要素(319)は、前記回転軸(G)周りに向けられたトルクを加えるように設計されていることを特徴とする、請求項12に記載のインプラント(300)。
【請求項14】
前記ツール嵌合要素(319)は、前記縦軸(X)に関して、前記インプラント(300)の上面端を形成し、所定の破断部(317)を介して前記シャフト要素(307)に接続されることを特徴とする、請求項13に記載のインプラント(300)。
【請求項15】
前記偏心要素(308)は、少なくとも、前記第1部分(301)を形成する第1ブレード部(309)と、前記回転軸(G)に対してオフセットされ、前記第2部分(302)を形成する第2ブレード部(310)とを有し、
前記ブレード部(309、310)はそれぞれ、縦の広がりを有して前記回転軸(G)から径方向に突出しており、互いに反対を向いた刃先(312、313)を有することを特徴とする、請求項12から14のいずれか一項に記載のインプラント(300)。
【請求項16】
前記メカニズム(403)は圧力要素(408)とばね要素(407)とを有し、
前記圧力要素(408)は、前記第1部分(401)または前記第2部分(402)を形成する第1端面(409)と、第2端面(410)との間で、前記横軸(Y)に沿って延びており、かつ前記横軸(Y)に沿って移動可能に取り付けられており、
前記ばね要素(407)は、少なくとも間接的に前記第2端面(410)に支持されており、
前記圧力要素(408)は、前記ばね要素(407)によって前記横軸(Y)に沿ってばね力で付勢されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のインプラント(400)。
【請求項17】
ロック要素(417)が存在し、
前記ロック要素(417)は、前記ロック要素(417)が前記ばね要素(407)のばね力に抗して前記横軸(Y)に関して前記圧力要素(408)を固定するロック位置と、前記圧力要素(408)が前記横軸(Y)に沿って自由に移動する解放位置との間で、前記圧力要素(408)に対して変位可能であることを特徴とする、請求項16に記載のインプラント(400)。
【請求項18】
前記メカニズム(503)は、第1筒要素(508)と第2筒要素(509)とを有し、これらの縦軸(L1、L2)は同軸であるとともに前記横軸(Y)に対して平行に延びており、
前記第1筒要素(508)は、プロファイル加工された第1筒側面(510)と、前記第1部分(501)を形成する第1表面(511)とを有し、
前記第2筒要素(509)は、相補的なプロファイルを有する第2筒側面(512)と、前記第2部分(502)を形成する第2表面(513)とを有し、
前記第1筒側面(510)と前記第2筒側面(512)とは、前記筒要素(508、509)の異なる軸方向相対位置において、前記横軸(Y)に沿って形状嵌合および/または圧力嵌合である接続(V)を形成するように互いに接続可能であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のインプラント(500)。
【請求項19】
前記第2表面(513)は、前記第2筒要素(509)の端面の表面であり、前記頭蓋骨(K)の前記内周(KI)に径方向において当接して支えるように設計されており、
前記第1表面(511)は、前記第1筒要素(508)の外側の側面であり、前記骨弁(D)の前記外周(DA)において径方向に延びるボア(H)内に挿入されるように設計されていることを特徴とする、請求項18に記載のインプラント(500)。
【請求項20】
前記第1筒側面(510)が内側の側面であり、前記第2筒側面(512)が外側の側面であることを特徴とする、請求項18または19に記載のインプラント(500)。
【請求項21】
前記第1筒側面(510)および前記第2筒側面(512)はそれぞれ、ラッチ形状(R1、R2)のプロファイルを有し、一方を他方に一方の側でラッチできるように、前記横軸(Y)に沿って互いにラッチされることを特徴とする、請求項18から20のいずれか一項に記載のインプラント(500)。
【請求項22】
前記第1筒側面(510)および前記第2筒側面(512)はそれぞれ、ねじ山形状(R1a、R2a)のプロファイルを有し、前記横軸(Y)に沿ったねじ込み移動のために互いに螺合されていることを特徴とする、請求項18から20のいずれか一項に記載のインプラント(500)。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか一項に記載の少なくとも2つのインプラント(100、200、300、400、500)を備える、インプラントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭蓋骨開口部に頭蓋骨弁を固定するためのインプラントに関する。
【0002】
脳に対する神経外科的処置は一般に、頭蓋骨の開口部を通して行われる。このような頭蓋骨開口部の形成は開頭術とも呼ばれる。開頭術では、頭蓋骨の骨の一部が、例えば穿頭術によって頭蓋骨から分離される。分離された部分は、骨弁または骨断片とも呼ばれる。手術が終わると、骨弁は事前に作られた頭蓋骨開口部に再配置され、固定される。
【0003】
骨弁を固定するために、クランプシステムと呼ばれる形態のインプラントが知られている。例えば、ドイツのツットリンゲンにあるAesculap AGのCranioFix(登録商標)2という名称のクランプシステムが知られている。この公知のクランプシステムは、上部ディスク要素、下部ディスク要素、および2つのディスク要素を互いに移動可能に接続するロッド要素を有する。ロッド要素は、上端と下端との間の縦軸に沿って延びており、上部ディスク要素は上端に取り付けられ、下部ディスク要素は下端に取り付けられている。骨弁を固定するには、まず下部ディスク要素を硬膜外腔に配置し、ロッド要素を頭蓋骨開口部の軸方向とほぼ平行に配置する。骨弁を頭蓋骨開口部内に再位置決めし、その内側を下部ディスク要素上に配置する。ここで、ロッド要素は頭蓋骨の内側から、骨弁と周囲の頭蓋骨との間に形成された環状間隙を通って頭蓋骨外側に延びる。最終的な固定のために、上部ディスク要素をロッド要素に沿って、つまり頭蓋骨開口部の軸方向に、下部ディスク要素に近づけながら移動させる。このために、ねじ止め機構またはラッチ機構が設けられる。最終的な固定状態において、2つのディスク要素は、頭蓋骨開口部の軸方向において、骨弁の外側に固定的に、および骨弁のおよびその周囲の頭蓋骨の内側に固定的に押し付けられる。
【発明の概要】
【0004】
公知のクランプシステムに関しては、様々な側面が不利であると考えられる:硬膜外腔に下部ディスク要素を配置すると、ある条件下では硬膜を刺激し、最悪の場合には硬膜外血腫を引き起こす可能性がある。これは、ディスク要素を軸方向にクランプすることにより、硬膜に意図しない圧力がかかり、最終的に硬膜外血腫を引き起こす危険性があるためである。硬膜に意図しない圧縮力が加わるのを避けるため、CranioFix2では、ロッド要素を保持するための特別なツールが提供されている。他にツールが必要になると、全体として取り回しがより困難になり得る。さらに、固定後、上部のディスク要素は頭蓋骨の外側に永久的に残ることとなる。これは特に、例えば前頭部の開頭術など、美容的に重要な部位では不利である。上側および下側のディスク要素は、満足のいく固定のために、頭蓋骨および骨弁上にできるだけ平らに配置されなければならないので、頭蓋骨がかなり湾曲していたり、厚さに勾配があったりする場合には、固定が不可能であったり、満足のいく固定ができなかったりすることが多い。また、湾曲が大きいと、上部のディスク要素が頭蓋骨の外側に突出することになり、その結果、美容上の結果が不十分であったり、頭皮が炎症を起こしたりすることがある。
【0005】
本発明の目的は、先行技術を凌駕する利点を提供する、冒頭で述べたタイプのインプラントを提供することである。特に、先行技術に含まれる欠点を少なくとも部分的に克服または軽減することである。
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有するインプラントを提供することにより達成される。従属請求項は、有利な構成に関する。特許請求の範囲の文言は、明示的な参照により本明細書に組み込まれる。
【0007】
頭蓋骨開口部に頭蓋の骨弁を固定するための本発明によるインプラントは、頭蓋骨開口部の軸方向に沿って延びる縦軸と、頭蓋骨開口部の径方向に沿って延びる横軸と、骨弁に力を伝達するように設計された第1部分と、頭蓋骨開口部を取り囲む頭蓋骨に力を伝達するように設計された第2部分であって、第1部分および/または第2部分は、骨弁の外周と頭蓋骨の内周との間に形成された環状間隙に配置されるように設計される、第2部分と、メカニズムであって、第1部分と第2部分とに作動的に接続され、このメカニズムによって第1部分と第2部分との間の、横軸上に投影される横方向スペースを少なくとも拡大することができ、その結果、第1部分を骨弁に対して径方向内向きに押圧し、第2部分を頭蓋骨に対して径方向外向きに押圧することができる、メカニズムと、を備える。本発明による解決策は、頭蓋骨開口部の向きに対して径方向の固定を可能にする。そのため、インプラントによる固定のために加えられる力は、一部分については骨弁に対して、他の部分については取り囲む頭蓋骨に対して、径方向に作用する。言い換えれば、加えられる力は、頭蓋骨または骨弁の平面内で作用し、例えば、それらの厚さ方向には作用しない。これは、軸方向での固定を提供する先行技術から公知の解決策とは対照的である。径方向での固定は、硬膜への意図しない圧縮力の適用とそれに伴うリスクを回避する。径方向への力の印加、すなわち平面内で作用する力の印加は、頭蓋骨の再生の改善をもたらすと想定される。本発明による解決策の場合、固定に必要な力の印加は、第1部分と第2部分との間の横軸上に投影された横方向スペースの変更、より具体的には拡大によって行われる。横軸は頭蓋骨開口部の径方向に沿って延び、好ましくは平行に配置されるので、投影された横方向スペースの拡大は、骨弁と頭蓋骨の両方に対し上記した径方向の接触圧力をかける。その結果、環状間隙はインプラントの領域で拡大され、このことは必然的に、インプラントと正反対側にある頭蓋骨開口部側の環状間隙の減少をもたらす。そのため、インプラントと正反対側では、骨弁とそれを取り囲む頭蓋骨が互いに押し付けられ、最終的にはインプラントの作用によって固定される。ここで生じる骨と骨との接触は、再生の向上に寄与する。特に、骨弁の円周方向に間隔をあけて複数のインプラントを使用する場合には、このような骨同士の接触は絶対に必要というわけではない。第1部分と第2部分とに作動的に接続されたメカニズムは、少なくとも上記の部分間の投影された横方向スぺースを拡大するように設計されている。横方向スぺースの拡大は、広げて離すこと(spreading apart)または広げて離す動作とも呼ぶことができる。本発明の異なる構成は、広げて離す動作を発生させるための異なるメカニズムを有する。例えば、広げて離す動作は、2つの部分の並進運動および/または回転運動、特に相対運動によってもたらすことができる。骨弁に力を伝達するために、第1部分は、本発明の異なる構成において異なる形態を有する。ある1つの構成では、第1部分は、好ましくは直接的に、骨弁の外周に作用する。さらなる構成では、第1部分は、骨弁の外周において径方向に延びるボア内に挿入される。第2部分についても同様である。このメカニズムは、外科医が手作業で作動させるように設計されていることが好ましい。作動は、純粋に手作業で、またはこれに適したツールを用いて行うことができる。インプラントの縦軸と横軸は、互いに直交するように配置される。頭蓋の骨弁を固定するため、および/またはその固定状態において、縦軸は、頭蓋骨開口部の軸方向に沿って、好ましくは平行に配置される。この場合の横軸は、頭蓋骨開口部の径方向に沿って、好ましくはこれと平行に配向される。好ましい構成では、メカニズムはさらに、投影された横方向スペースを縮小するように設計されている。投影された横方向スペースの縮小は、予め行われた固定の容易な分離を可能にする。これにより、再手術が容易になる。
【0008】
本発明の1つの構成では、メカニズムは、第1部分および/または第2部分を横軸に沿って並進変位させるように設計されている。従って、上記の広げて離す動作を発生させるために、2つの部分の少なくとも一方が横軸に沿って並進変位される。ある1つの構成では、メカニズムは、第1部分の横軸に沿った変位を許容し、第2部分は、横軸に関して固定される。さらなる構成では、メカニズムは、横軸に沿った第2部分の変位を許容し、第1部分は、横軸に関して固定される。さらなる構成において、メカニズムは横軸に沿って両方の部分の変位を許容し、この場合、これらの部分は互いに反対方向に変位する。
【0009】
本発明のさらなる構成では、メカニズムは、第1部分および/または第2部分が縦軸周りに回転変位するように設計されている。広げて離す動作を発生させるために、この構成では、2つの部分の少なくとも一方が縦軸周りに回転変位する。1つの構成では、メカニズムは第1部分の回転変位を許容し、第2部分は縦軸及び/又は横軸に関して固定される。さらなる構成において、メカニズムは第2部分の回転変位を許容し、第1部分は縦軸および/または横軸に関して固定される。本発明のさらなる構成において、メカニズムは、縦軸周りの両部分の回転変位、好ましくは同一方向の回転変位をもたらす。
【0010】
本発明のさらなる構成では、第1部分は、骨弁の外周に径方向に当接して支える(bear against)ように設計された第1接触面を有する。代替的にまたは追加的に、第2部分は、頭蓋骨の内周に径方向において当接して支えるように設計されている第2接触面を有する。したがって、本発明のこの構成では、力は、関連する部分と、関連する骨構造、すなわち骨弁または取り囲む頭蓋骨のそれぞれの周面との間の好ましくは直接的な接触ペアリングを介して伝達される。これにより、特に、それぞれの骨構造の特別な準備または加工、特にボアなどの導入なしに行うことが可能になる。骨弁は通常、概して円形の形状を有する。頭蓋骨開口部の形状も同様である。その結果、骨弁の外周の曲率は通常凸状である。したがって、頭蓋骨開口部を取り囲む頭蓋骨の曲率は凹形である。第1接触面および/または第2接触面は、好ましくは、それに応じて相補的な曲率を有する。これにより、第1接触面が、骨弁の外周に、その表面積全体にわたって可能な限り当接して支えること、および/または第2接触面が、頭蓋骨の内周に、その表面積全体にわたって可能な限り当接して支えることが可能になる。
【0011】
本発明のさらなる構成では、第1部分は接合面を有し、この接合面は、骨弁の外周において径方向に延びるボア内に挿入されるように設計されている。上記のボアは、別個の動作ステップで骨弁内に径方向に形成されてもよく、第1部分を少なくとも部分的に受容する役割を果たす。第1部分は筒形であり、その形状はボアと相補的であり、好ましくは円形の断面を有する。接合面は、好ましくは、第1部分の少なくとも1つの外側側面および/または端面の表面を備える。位置決めおよび/または事前固定の目的のために、第1部分は、ボアの軸方向に差し込まれる。ここで確立された形状嵌合および/または圧力嵌合により、第1部分が骨弁の外周から不注意に滑り落ちることが防止される。第1部分、より具体的にはその接合面のボアへの挿入は、それだけではまだ固定を確立しないことを認識することが重要である。固定は、第1部分がボア内に挿入された後、上記の広げて離す動作の適用、すなわち、第1部分と第2部分との間の投影される横方向スペースの拡大を介して行われる。
【0012】
本発明のさらなる実施形態では、支持部が存在し、この支持部は、縦軸に沿って第1部分および第2部分の上方に配置されるとともに、頭蓋骨の外面および骨弁の外面を支持するように設計されている下面を有する。支持部は、固定中にインプラントの位置決めを容易にし、硬膜外腔への不用意な軸方向変位を防止する役割を果たす。支持部の下面は、骨頭蓋の外面に対向しており、および/または縦軸に沿って配向される。異なる構成において、支持部は異なる形状を有し、特にプレート形状、ディスク形状および/またはリング形状が考えられる。支持された状態では、下面は、環状間隙の一方の側では骨弁の外面に、環状間隙の反対側では頭蓋骨の外面に載る。支持部は、一方の側の骨弁と他方の側の頭蓋骨との間で横軸に沿って延びている。
【0013】
本発明のさらなる構成では、支持部は、取り外し可能な接合接続手段、特にバヨネット締め(bayonet closure)によってインプラントの残りの部分に接続されている。この構成により、固定完了後に支持部を取り除くことができる。この目的のために、支持部とインプラントの少なくとも1つのさらなる構成要素および/または部分との間の上記の取り外し可能な接合接続が形成される。上記の取り外し可能な接合接続は、好ましくはバヨネット締めである。固定が完了した後に支持部を取り外すことにより、縦軸に関してインプラントの構造的な高さを低くすることが可能になる。特に、支持部が頭蓋骨の外側に永久的に残るとその結果、美容上、医療上、および/またはその他の悪影響が生じるが、支持部は永久的には残らない。
【0014】
本発明のさらなる構成では、少なくとも1つのマンドレル部が存在し、このマンドレル部は、横軸に沿って延びており、一端においては第1部分を越えて突出し、骨弁の外周に径方向に突き刺さるように設計されたマンドレル先端部を有する。マンドレル部は、骨弁とインプラントの事前固定に使用される。事前固定のために、骨弁とインプラントは、頭蓋骨開口部から離れた状態で、マンドレル部を用いて手作業で差し込まれる。このため、マンドレル先端部は、骨弁に径方向に突き刺さるように設計されている。このように事前に固定された状態で、頭蓋の骨弁とインプラントを一緒に頭蓋骨開口部に再配置することができる。実際に固定を行うのはこの後である。骨弁の外周にうまく突き刺さるようにするため、マンドレル先端部は横軸に沿って第1部分を超えて突出している。異なる構成では、マンドレル部の数が異なる。複数のマンドレル部は、特に、固定される骨弁が複数の遊離骨片から形成される場合に有利である。これらの遊離骨片は、前記複数のマンドレル部によってまとめてインプラントに予め固定することができる。
【0015】
本発明のさらなる構成では、メカニズムは、少なくとも1つのクランプ要素と円錐要素とを有し、クランプ要素は横軸に沿って移動可能に取り付けられ、内側円錐面と、第1部分または第2部分を形成する端面とを有し、円錐要素は、縦軸に沿って移動可能に取り付けられ、内側円錐面と相互作用する外側円錐面とを有し、クランプ要素は、円錐要素の移動によって、横軸に沿って変位可能である。クランプ要素は、端面が第1部分または第2部分のいずれを形成するかに応じて、骨弁または取り囲む頭蓋骨に力を伝達する役割を果たす。横軸に沿ったクランプ要素の変位は、円錐要素の縦軸方向の移動によって引き起こされる。内側円錐面および外側円錐面は、縦軸および/または横軸に対して傾斜しており、互いに摺動可能に載置されている。その結果、円錐要素の縦軸方向の変位はクランプ要素の横方向の変位を引き起こす。円錐要素は、好ましくは直接的または間接的な手作業での作動用に設計されている。その結果、縦軸に沿って円錐要素を変位させるために必要な力またはトルクの印加は、手作業で、またはこれに適したツールを使用して、円錐要素に直接的または間接的に加えることができる。
【0016】
本発明のさらなる構成では、メカニズムはさらなるクランプ要素を有し、このさらなるクランプ要素は、円錐要素の移動によって、横軸に沿って反対方向に変位可能である。さらなるクランプ要素の基本的な機能および構成に関しては、クランプ要素に関連して述べたことが適用される。クランプ要素の端面が第1部分を形成する場合、さらなるクランプ要素の端面は第2部分を形成し、またはその逆も同様である。クランプ要素とさらなるクランプ要素は、好ましくは、インプラントの円周方向に互いに180°オフセットされている。
【0017】
本発明のさらなる構成では、円錐要素は、ねじ山を有し、このねじ山は、縦軸に沿ったねじ込み移動のために相補的な相手側ねじ山に螺合される。従って、クランプ要素に力と動きを伝達するために、円錐要素は縦軸に沿ってねじのように動かすことができる。好ましくは、ねじ山は内ねじであり、相補的な相手側ねじ山は外ねじである。相補的な相手側ねじ山は縦軸に対して静止している。ねじ込み移動のための取り付けにより、縦軸周りのトルクの印加は、縦軸周りの回転変位と縦軸に沿った並進変位をもたらす。換言すれば、この構成では、円錐要素は、縦軸に沿って、頭蓋骨内側の方向にねじを外すことができ、および/または頭蓋骨外側の方向にねじ込むことができる。代替構成では、ねじ込み移動のための円錐要素の取り付けの代わりに、ラッチ移動のための円錐要素の取り付けが提供される。
【0018】
本発明のさらなる構成では、メカニズムは、縦軸に沿って配向された回転軸と、回転軸周りに移動可能に取り付けられ、回転軸に対して偏心した輪郭を有する偏心要素とを有し、輪郭の異なる部分が第1部分および第2部分を形成し、偏心要素の回転によって、輪郭が、骨弁の外周と頭蓋骨の内周との間にクランプされる。第1部分および第2部分は、好ましくは、回転軸に対して偏心要素上で互いに正反対の位置に配置される。異なる構成では、偏心した輪郭は異なる形状を有し、例えば、最も広い意味では、非円形、楕円形、細長い形状などである。回転軸は、好ましくは、縦軸に平行に配向される。回転軸周りに偏心要素を回転させると、第1部分および第2部分がそれぞれの骨構造に対して当接して支えるようになる。偏心要素をさらに回転させると、偏心した輪郭により、第1部分は、一方の側で骨弁に対して径方向に押圧され、第2部分は、他方の側で取り囲む頭蓋骨に対して径方向に押圧される。その結果、偏心要素が環状間隙内にクランプされ、骨弁の外周と頭蓋骨の内周との間の径方向スペースが偏心要素の領域で拡大され、したがって、インプラントと正反対側の環状間隙の領域が縮小され、最後に完全に閉じられて、骨弁と取り囲む頭蓋骨との間の骨と骨との接触が確立される。
【0019】
本発明のさらなる構成では、シャフト要素が存在し、その一端に偏心要素が配置され、他端にツール嵌合要素が配置され、ツール嵌合要素は回転軸周りに向けられたトルクを加えるように設計されている。シャフトは、縦軸に沿って、好ましくは縦軸に平行に延びている。ツール嵌合部は、シャフト要素の第1端部に配置され、偏心要素は、シャフト要素の第2端部に配置される。偏心要素とツール嵌合要素は、シャフト要素によって互いに接続され、その結果、ツール嵌合要素の回転は、シャフト要素と偏心要素の対応する回転をもたらす。異なる構成では、ツール嵌合要素は異なる形状を有し、ツールの嵌め込みのために設計される。例えば、ツール嵌合要素は、六角ソケット、六角ヘッド、十字型ヘッドスロットまたはスロットを有してもよい。
【0020】
本発明のさらなる構成では、ツール嵌合要素は、縦軸に関して、インプラントの上面端を形成し、所定の破断部を介してシャフト要素に接続される。所定の破断部は、規定された機械的負荷の作用下で破断する。これにより、固定が完了した後、ツール嵌合要素をシャフト要素から所定の方法で剪断および/または破断することが可能になる。この構成では、ツール嵌合要素がインプラントの上面端を形成するため、縦軸に関するインプラントの構造的高さが低減される。特に、固定が完了した後、ツール嵌合要素が骨頭蓋の外側に永久的に残ると、その結果、美容上、医療上、および/またはその他の悪影響が生じるであろうが、ツール嵌合要素は永久的には残らない。所定の破断部は、縦軸に関してツール嵌合要素とシャフト要素との間に配置される。シャフト要素と比較して、所定の破断部は、耐荷重が低減された断面を有する。その結果、1回の機械的負荷により、所定の破断部の領域で局所的に高い機械的応力が発生し、最終的に局所的な機械的破壊に至る。
【0021】
本発明のさらなる構成において、偏心要素は、少なくとも、第1部分を形成する第1ブレード部と、回転軸に対してオフセットされ、第2部分を形成する第2ブレード部とを有し、ブレード部はそれぞれ、縦の広がりを有して回転軸から径方向に突出しており、互いに反対を向いた刃先を有する。本発明のこの構成において、偏心要素は、偏心した、最も広い意味で細長い輪郭を有する。この輪郭は、第1ブレード部と第2ブレード部とによって部分的に形成されている。偏心要素がクランプされると、ブレード部、より具体的には、それらの刃先が、それぞれ、関連する骨構造を貫通する。具体的には、第1ブレード部の刃先は骨弁の外周に入り込む。第2ブレード部の刃先は、頭蓋骨の内周に入り込む。その結果、特に確実な固定が達成される。異なる構成では、ブレード部の数が異なる。例えば、1つの構成では、複数のブレード部が同一平面内のペアを構成して、縦軸に関して1つずつ重なって配置されている。
【0022】
本発明のさらなる構成において、メカニズムは、圧力要素とばね要素とを有し、圧力要素は、第1部分または第2部分を形成する第1端面と、第2端面との間で、横軸に沿って延びてり、かつ横軸に沿って移動可能に取り付けられており、ばね要素は、少なくとも間接的に第2端面に支持されており、圧力要素は、ばね要素によって横軸に沿ってばね力で付勢されている。圧力要素の向きおよびばね要素の配置に応じて、圧力要素の第1端面は第1部分または第2部分のいずれかを形成する。その結果、圧力要素は、ばね要素によって、骨弁に対して、または取り囲む頭蓋骨に対して、押圧することができる。ばね要素のばね力は横軸に沿って作用する。固定目的のために、圧力要素は、例えば手作業で、横軸に沿ってばね力に抗して変位させることができ、その結果、第1部分と第2部分との間の投影される横方向スペースを小さくすることができる。事前位置決めが完了した後、圧力要素に対する手作業による押圧を解除することができ、その結果、ばねが圧力要素を対応する骨構造に押し付ける。別の構成では、圧力要素は、横軸に関して後側端部位置でばね力に抗して解放可能にロックされる。ロックが解除された後、ばね力は、対応する骨構造に対して横軸に沿って圧力要素を押し付ける。
【0023】
本発明のさらなる構成では、ロック要素が存在し、このロック要素は、ロック要素がばね要素のばね力に抗して横軸に対して圧力要素を固定するロック位置と、圧力要素が横軸に沿って自由に移動する解放位置との間で、圧力要素に対して変位可能である。ロック位置と解放位置との間でのロック要素の変位は、好ましくは手作業で行われる。ロック位置では、ロック要素の一部が、圧力要素の一部に取り外し可能に形状嵌合および/または圧力嵌合可能に接続される。解放位置の方向への変位は、ロック要素と圧力要素との間の上記の接続を分離する。接続が分離された後、圧力要素は横軸に沿って自由に動くことができ、その結果、その構成に応じて、ばね力によって、第1端面が関連する骨構造(骨弁または頭蓋骨)に押し付けられる。
【0024】
本発明のさらなる構成において、メカニズムは、第1筒要素と第2筒要素とを有し、これらの縦軸は同軸であるとともに横軸に対して平行に延びており、第1筒要素は、プロファイル加工された第1筒側面と、第1部分を形成する第1表面とを有し、第2筒要素は、相補的なプロファイルを有する第2筒側面と、第2部分を形成する第2表面とを有し、第1筒側面と第2筒側面とは、筒要素の異なる軸方向相対位置において、横軸に沿って形状嵌合および/または圧力嵌合である接続を形成するように互いに接続可能である。軸方向の相対位置が異なると、第1表面と第2表面との間に異なる横方向スペースが生じる。言い換えれば、第1筒要素と第2筒要素は、横軸に沿って互いに接合される。この場合、第1筒要素は第2筒要素に挿入され、プロファイル加工された第1筒側面は外側の側面となり、プロファイル加工された第2筒側面は内側の側面となる。さらなる構成では、第2筒要素は第1筒要素に挿入され、この場合、プロファイル加工された第1筒側面は内側の側面となり、プロファイル加工された第2筒側面は外側の側面となる。いずれの場合も、2つの筒要素の一方は一種のブッシュとして機能し、残りの筒要素は一種のボルトやピン等として機能する。筒側面上に存在するプロファイルは、それぞれラッチ形状またはねじ山形状にすることができる。したがって、1つの構成では、接続はラッチ接続であり、さらなる構成では、それはねじ止め接続である。後者の構成では、2つの筒要素は、横方向スペースを広げるために互いにねじが外されているが、もちろん、互いに完全には外れていない。ラッチ接続の構成では、横方向スペースを広げるために一方の側でラッチされる。
【0025】
本発明のさらなる構成では、第2表面は、第2筒要素の端面の表面であり、頭蓋骨の内周に径方向において当接して支えるように設計され、第1表面は、第1筒要素の外側の側面であり、骨弁の外周において径方向に延びるボア内に挿入されるように設計される。この構成では、インプラントはまず、事前固定の目的で骨弁に接合される。この目的のため、第1筒要素の外側の側面が、骨弁に設けられた径方向のボアに差し込まれる。この場合、第1筒要素は、径方向ボアに、緩く挿入することも、圧力嵌合的に、形状嵌合的におよび/または一体的に挿入することもできる。事前固定が完了したら、インプラントを取り付けた頭蓋の骨弁を頭蓋骨開口部に配置することができる。実際の固定では、2つ筒要素を横軸に沿って相対的に変位させる。これは、例えば上述のラッチ接続やねじ止め接続によって行われる。相対的な変位は横方向スペースの拡大をもたらし、その結果、環状間隙はインプラントの領域で拡大し、正反対の側で縮小し、最終的には完全に閉じて、骨弁と取り囲む頭蓋骨との間に骨と骨との接触を形成する。
【0026】
本発明のさらなる構成では、第1筒側面は外側の側面であり、第2筒側面は内側の側面である。したがって、この構成では、第1筒要素は第2筒要素内に挿入される。筒要素の反対側の端面の表面の間、すなわち第1部分と第2部分との間の横方向スペースを変更するために、第1筒要素を第2筒要素内に向かってさらに軸方向に変位させるか、またはそこから出る方向に軸方向に変位させることができる。
【0027】
本発明のさらなる構成では、第1筒側面および第2筒側面はそれぞれ、ラッチ形状のプロファイルを有し、一方を他方に一方の側でラッチできるように、横軸に沿って互いにラッチされる。第1筒側面のラッチ形状は、第2筒側面のラッチ形状を補完し、その逆も同様である。一方が他方に一方の側でラッチできるというのは、ラッチ形状間に形成されるラッチ接続が、横軸に沿った一方向に常に形態嵌合的に作用し、その結果、この方向への横方向移動が完全に阻止されることを意味する。ラッチ接続は、反対方向にもラッチすることができ、その結果、2つの筒要素は、異なる軸方向の相対位置において互いに接続することができる。
【0028】
本発明のさらなる構成では、第1筒側面および第2筒側面はそれぞれ、ねじ山形状のプロファイルを有し、横軸に沿ったねじ込み移動のために互いに螺合されている。
【0029】
本発明はまた、上記の説明による少なくとも2つのインプラントを有するインプラントシステムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明のさらなる利点および特徴は、特許請求の範囲および図面によって例示される本発明の好ましい例示的実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【
図1】患者の頭蓋骨の頭蓋骨開口部を骨弁で閉じている状態の、患者の頭部を模式的に高度に簡略化した斜視図。
【
図2】頭蓋骨開口部の領域における
図1による頭蓋骨の概略的に簡略化した断面図。骨弁は図示されてない。
【
図4】頭蓋骨開口部に骨弁を固定するための本発明によるインプラントの一実施形態を有する、
図2および3によって示される領域を示す図。
【
図5】本発明によるインプラントのさらなる実施形態の概略斜視図。
【
図6】
図5によるインプラントの縦断面における概略図。
【
図8】
図5から7によるインプラントの概略側面図。
【
図9】
図5から8によるインプラントを90°回転させたさらなる側面図。
【
図10】
図5から
図9によるインプラントを使用した第1の術中状況を概略的に高度に簡略化した図。
【
図11】
図1から
図9によるインプラントを使用した第2の術中状況を示す図。
【
図12】断面XII-XIIに沿った概略断面図において
図11による第2の術中状況を示す図。
【
図17】本発明によるインプラントのさらなる実施例の概略斜視図。
【
図25】
図17から
図21によるインプラントの第3変形例の概略斜視図。インプラントの個々の構成要素および/または部分は図示されていない。
【
図30】本発明によるインプラントのさらなる実施形態の概略斜視図。
【
図36】第1筒要素および第2筒要素を有する、本発明によるインプラントのさらなる実施形態の概略斜視図。
【
図37】
図36によるインプラントの第1筒要素の概略斜視図。
【
図38】
図36によるインプラントの第2筒要素の概略斜視図。
【
図41】
図36から
図39によるインプラントを使用した術中状況を概略的に高度に簡略化した図。
【
図42】
図36から
図39によるインプラントの第1変形例の概略的に高度に簡略化した側面図。
【
図43】
図36から
図39によるインプラントの第2変形例の概略的に高度に簡略化した側面図。
【
図46】
図36から
図39によるインプラントとピンを使用したさらなる術中状況を示す概略図。
【発明の詳細な説明】
【0031】
図1によれば、患者の頭部は頭蓋骨開口部Bを有し、この頭蓋骨開口部Bは、骨外面CAから患者の頭蓋骨Cを貫通し頭蓋骨内面CIまで延びている(
図2)。頭蓋骨開口部Bはその軸方向Aに沿って頭蓋骨Cを貫通し延びている。頭蓋骨開口部Bは、その径方向Rに沿って、頭蓋骨Kによって囲まれている。
【0032】
頭蓋骨開口部は、原則として、事故または他の何らかの意図しない動作によって引き起こされる可能性がある。本ケースでは、頭蓋骨開口部Bは開頭手術の結果であり、患者の脳に対する神経外科的処置のために外科的に作製された入り口として機能する。
【0033】
このような開頭手術の間、頭蓋骨Cは、骨弁Dを機械的に分離することによって開かれる。これは、たとえば穿孔術(trepanation)によって実行できる。ここで、骨弁Dは頭蓋骨Cから分離され、環状間隙Sを形成する。環状間隙Sは開頭間隙とも呼ばれる。骨弁Dは、骨部分、骨断片または骨セグメントとも呼ばれることがある。
【0034】
骨弁Dが分離された後、骨弁Dを頭蓋骨の残りの部分から一時的に取り除いて実際の頭蓋骨開口部Bを形成することができる。脳に対する処置が完了した後、骨弁Dは開口部Bに再位置決めされ固定される。
【0035】
図4によれば、頭蓋骨開口部Bに頭蓋骨弁Dを固定するためのインプラント100が提供される。インプラント100は、縦軸X、横軸Y、第1部分101、第2部分102およびメカニズム103を有する。
【0036】
縦軸Xは、頭蓋骨開口部Bの軸方向Aに沿って延びる。縦軸Xと直交に配向される横軸Yは、頭蓋骨開口部Bの径方向Rに沿って延びる。縦軸Xおよび横軸Yの前記配置は、
図4によって示される構成に関連し、この構成では、骨弁Dは、インプラント100によって固定されている。
【0037】
第1部分101は、骨弁Dに力を伝達するように設計されている。したがって、第1部分101は骨弁Dの方を向いている。
【0038】
第2部分102は、頭蓋骨開口部Bを取り囲む頭蓋骨Kに力を伝達するように設計されている。従って、第2部分は頭蓋骨Kの方を向いている。
【0039】
メカニズム103は、第1部分101および第2部分102に動作可能に接続され、第1部分101と第2部分102との間の、横軸Yに投影された横方向スペースQを変更するように設計されている。横方向スぺースQの拡大の結果、第1部分101は、径方向R内側に骨弁Dに対して押圧され、第2部分102は、径方向R外側に頭蓋骨Kに対して押圧され得る。一方の側における第1部分101と骨弁Dとの間、および他方の側における第2部分102と頭蓋骨Kとの間の力の伝達は、径方向Rに沿って行われ、したがってそれは、径方向固定とも呼ばれ得る。
【0040】
骨弁Dを固定するために、インプラント100が軸方向Aに沿って環状間隙Sに導入される。第1部分101が径方向R内側、すなわち骨弁Dに向かう方向に配向される。第2部分102が径方向R外側、すなわち頭蓋骨Kに向かう方向に配向される。この後、メカニズム103を横方向スペースQを拡大するために作動させる。この作動は、ツールを利用してまたは純粋に手作業で、直接的にまたは間接的に、実行することができる。メカニズムの作動により、上述した横方向スペースQの拡大が引き起こされる。横方向スぺースQの拡大により、第1部分101は骨弁Dに対して径方向R内側に作用し、反対に、第2部分102は骨弁Kに対して径方向R外側に作用する。その結果、環状間隙Sが局所的に、すなわち、インプラント100の領域において拡大する。この環状間隙Sの局所的な拡大によって、必然的に径方向Rにおいてインプラント100の正反対側にある骨弁Dの側で環状間隙Sが局所的に減少する。この領域では、骨弁Dはインプラント100の径方向Rの作用によって頭蓋骨Kに押し付けられる。これによって、骨と骨との接触が確立され、骨弁Dは径方向Rにクランプされることによって開口部Bに固定される。
【0041】
原則的には、固定に使用するインプラントは1つで十分である。しかし、複数のインプラントを使用することも可能であることは自明である。複数のインプラントを使用する場合は、環状間隙Sに周方向に互いに間隔をあけて配置する。次に、複数のインプラントは、その投影された横方向スぺースQの拡大により、骨弁Dと取り囲む頭蓋骨Kの間で径方向にクランプされる。複数のインプラントで固定することについては、のちにより詳細に記載する。
【0042】
異なる実施形態では、メカニズムは異なる形態をとる。横方向スぺースQを拡大するための、すなわち2つの部分間を広げる動作または広げて離す動作を発生させるための、非常に多様な構造が考えられる。例えば、ねじやねじ山の原理、シザージョイントメカニズム、くさび、円錐および/またはクランプメカニズム、ラッチメカニズム、偏心メカニズムなどに基づくメカニズムが考えられる。この場合、メカニズムによってもたらされる横方向スぺースQの拡大は、第1部分および/または第2部分の並進変位および/または回転変位に基づくことができる。例えば、第2部分は横軸Yに関して静止しつつ第1部分は横軸Yに沿って径方向内側に変位してもよく、あるいはその逆であってもよい。同じことが、縦軸X周りの回転変位にも準用される。
【0043】
2つの部分とそれぞれの関連する骨構造、すなわち、一方の側の骨弁Dと他方の側の頭蓋骨Kとの間の力の伝達は、直接的または間接的に行うことが可能である。直接的とは、それぞれの部分と対応する骨構造との間に直接的な接触が確立されることを意味する。間接的とは、それぞれの部分とそれぞれの関連する骨構造D、Kとの間に、インプラントのさらなる構成部品または要素を配置できることを意味する。
【0044】
ここで、骨弁Dへの力の伝達は、一部分についてはその外周DAに作用させることができる。代替的または追加的に、
図4に破線で示すように、骨弁Dに形成されたボアHを介して力を伝達することができる。同様のことが、頭蓋骨Kへの力の伝達にも適用される。このことは、力の一部分については頭蓋骨Kの内周KIに伝達することができることを意味する。力を伝達するために、頭蓋骨Kに径方向Rにボア等を設けることも基本的に考えられる。
【0045】
図4によるインプラント100の場合、力は骨構造のそれぞれの周面に直接伝達される。その結果、第1部分101は第1接触面104を有する。この第1接触面は、骨弁Dの外周DAに径方向において(直接的に)当接して支えるように設計されている。第2部分102は、第2接触面105を有する。この第2接触面は、頭蓋骨Kの内周KIに径方向において(直接的に)当接して支えるように設計されている。第1接触面104の符号を付していない法線方向は、本実施例では、横軸Yと平行に径方向内側を向いている。第2接触面105の符号を付していない法線方向は、本実施例では横軸Yに平行に径方向外側を向いている。その結果、接触面104、105は互いに反対側に配向される。
【0046】
図4に関連して、第1部分101は接合面106を有する。特に接合面106は、骨弁DがボアHを有する場合に効果を発揮する。この場合、部分101は、より具体的には、接合面106はボアHに挿入されることができる。この場合、力は、外周DAではなく、ボアHの符号を付していない壁を介して伝達される。
【0047】
図4によるインプラント100の場合、第1部分101、第2部分102およびメカニズム103は、環状間隙S内に全体が配置される。インプラント100の全体が、径方向R、したがって横方向Yに関して、骨弁Dの外周DAと頭蓋骨Kの内周KIとの間に配置される。インプラント100の全体が、軸方向A、したがって縦軸Xに関して、頭蓋骨外面CAと頭蓋骨内面CIとの間に配置される。その結果、インプラント100は、縦軸Xに沿って環状間隙Sから上方または下方に突出しない。
【0048】
図5から
図16は、本発明によるインプラント200のさらなる実施形態を示し、
図13から
図16は、この実施形態の変形例に関する。
【0049】
図5から
図9に関して、インプラント200は、縦軸X、横軸Y、第1部分201、第2部分202およびメカニズム203を有する。メカニズム203は、円錐セグメント207、第1クランプ要素208および第2クランプ要素209を有する。
【0050】
2つのクランプ要素208、209はそれぞれ、横軸Yに沿って移動可能に取り付けられている。
【0051】
第1クランプ要素208は、第1内側円錐面210および第1端面211を有する。第1内側円錐面210は縦軸Xに対して内側にあり、第1端面211はそれに対応して外側にある。第1端面211は、骨弁Dの外周DAに径方向において当接して支えるように設計されており、この点で、第1接触面204として機能する。したがって、第1クランプ要素208および/またはその第1端面211は、インプラント200の第1部分201を形成する。
【0052】
第2クランプ要素209は、第2内側円錐面212と第2端面213とを有する。第2端面213は縦軸Xに対して外側にあり、第2内側円錐面212は内側にある。第2端面213は、頭蓋骨Kの内周KIに径方向において当接して支えるように設計されており、したがって第2接触面205として機能する。したがって、第2クランプ要素209および/またはその第2端面213は、インプラント200の第2部分202を形成する。
【0053】
円錐要素207は縦軸Xに沿って移動可能に取り付けられ、2つの内側円錐面210、212と摺動可能に相互作用する外側円錐面214を有する。円錐要素207は、縦軸Xに対して、図示しない上端位置と下端位置(
図6)との間で変位可能である。上端位置では、2つのクランプ要素208、209は、横軸Yに沿って互いに向かって、縦軸に対して内側に移動される。したがって、上端位置では、第1接触面204と第2接触面205との間に、より詳細には図示されていない第1横方向スぺースが存在する。クランプ要素207が上端位置から下端位置に向かう方向に縦方向に変位すると(
図6)、クランプ要素208、209が横方向スぺースQの拡大とともに横軸Yに沿って外側に変位する効果がある。この過程で、円錐要素207の縦方向の動きは、外側円錐面214と2つの内側円錐面210、212との相互作用を介して、クランプ要素208、209のそれぞれの横方向の動きに変換される。伝達比は、円錐面210、212、214のそれぞれの傾斜または円錐の角度を適合させることにより、構造的に変更することができる。
【0054】
本実施例のインプラント200は、2つのクランプ要素208、209を受容および/または移動可能に取り付けるためのハウジング215を有する。ハウジング215は、断面が円形の中空筒形状を有し、横方向Yの両側に、クランプ要素208、209が導入される符号を付していない受容開口部が設けられている。受容開口部はポケットとも呼ばれ得る。
【0055】
図示の実施形態では、円錐要素207は縦軸Xに沿ってねじ込み移動するように取り付けられている。この目的のために、円錐要素207はねじ山216を有し、このねじ山は相補的で静止した相手側ねじ山217に螺合されている。この場合、ねじ山216は内ねじである。相手側ねじ山217はそれに応じて外側ねじ山である。図示の実施形態では、相手側ねじ山217は、縦軸Xに平行な、より具体的には縦軸Xと同軸の縦軸方向延在部を有するねじ付きロッド218に形成されている。ねじ付きロッド218は、縦軸Xに関して、その下面端でハウジング215に固定されている。
【0056】
図示の実施形態では、円錐要素207は、これに適したツールによって力及び/又はトルクが加えられるように設計され、対応するツール嵌合部219を有する。ツール嵌合部219は、縦軸Xに沿って円錐要素207の符号を付していない上面から凹んでおり、本実施例では円筒形の断面形状を有する。ツール嵌合部219は、円周方向に互いに180°オフセットされている。
【0057】
2つのクランプ要素208、209を広げて離すために、すなわち(投影された)横方向スぺースを拡大するために、上記のツールはツール嵌合部219に着脱可能に接続され、縦軸Xの周りに向けられたトルクが加えられる。トルクの作用の下で、円錐要素207はねじ付きロッド218に沿って下方にねじ込むことができ、その結果、クランプ要素208、209はハウジング215から出ていくように移動し、この点で広がる。
【0058】
図示の実施形態では、インプラント200は支持部220も有しており、この支持部220は縦軸Xに沿って2つのクランプ要素208、209および円錐要素207の上方に配置されている。この点において、支持部220は、第1部分201および第2部分202の上方に配置されている。支持部220は下面221を有し、この下面は、一方の側で頭蓋骨Kの外面KFに対してインプラント200を支持し、他方の側で骨弁Dの外面DFに対してインプラント200を支持するように設計されている(
図2参照)。下面221は、端面211、213と直交するように配向される。支持部220により、環状間隙S内でのインプラント200の位置決めが容易になる。この支持部により、環状間隙S内への過度に深い侵入や、それに伴うリスク、例えば硬膜の圧力に関連した刺激など、最悪の場合硬膜外血腫を伴う可能性があるが、それらが回避される。
【0059】
図示の実施形態では、支持部220は、取り外し可能な接合接続手段、より具体的にはバヨネット締めによってインプラント200の他の部分に接続されている。この場合、バヨネット締めは、支持部220の符号を付していない内周とハウジング215の上面の形状との間に形成される。バヨネット締めの代わりに、例えば、従来のねじ接続などを設けることもできる。別の方法として、プラグ式取り付け接続やラッチ接続も考えられる。取り外し可能な接合接続により、固定完了後に支持部220をハウジング215から分離して取り外すことが可能になる。支持部220を取り外した後、インプラント200(の残りの部分)は縦方向Xに関して環状間隙S内に全体が配置される。これは美容上および医療上の利点がある。
【0060】
図示の実施形態では、支持部220は円板状であり、円周方向に互いに180°オフセットされた2つのツール嵌合部222を有する。ツール嵌合部222は、前記バヨネット締めを取り外し及び/又は接続するためのツールを取り付けるためのものである。ツール嵌合部222は、代替的にまたは追加的に、インプラント200を骨弁Dに予め固定するためのボアホールとして使用してもよい。
【0061】
本実施例では、インプラント200はマンドレル部223も有する。マンドレル部223は、横軸Yに沿って延びており、一端が第1部分201、すなわち本実施例では第1クランプ要素208を越えて突出するマンドレル先端部224を有する。このマンドレル先端部は、骨弁Dの外周DAに径方向に突き刺さるように設計されている。マンドレル部223は、より詳細には図示しない方法で、マンドレル先端部224から離れた端部においてハウジング215に固定されている。マンドレル部223は、インプラント200を骨弁Dに予め固定する役割を果たす。この目的のために、マンドレル先端部224は骨弁Dに径方向に突き刺さる。これは好ましくは、骨弁Dが開口部B内に再配置される前に行われる。
【0062】
図10から
図12は、インプラント200を使用した第1術中状況(
図10)および第2術中状況(
図11および
図12)を示している。第1術中状況は骨弁Dの固定前の状態を示し、第2術中状況は最終的に固定された状態を示す。示された状況例は、複数の構造的に同一のインプラント、具体的には、インプラント200、第2インプラント200’および第3インプラント200’’の使用を意図している。インプラント200、200’、200’’はインプラントシステムを形成する。本実施例では、インプラント200、200’、200’’は、骨弁Dの円周方向に約120°オフセットするように環状間隙S内に配置される。事前固定の目的で、インプラント200、200’’、200’’のそれぞれのマンドレル部は、既に説明した方法で骨弁Dの外周DAに差し込まれる。インプラント200、200’、200’’が骨弁Dに差し込まれた後、または骨弁Dに差し込み取付された後、この点で事前固定された配置が頭蓋骨開口部Bに一緒に(再)配置される。この後、
図10に図示された状況になる。
【0063】
実際の固定のために、図示の例では第1インプラント200が拡張される。すなわち、そのクランプ要素208、209は、既に説明した円錐要素207の作動を介して、開口部Bの径方向Rに広げて離される。その結果、骨弁Dは、第1インプラント200と正反対側の開口部B側で、取り囲む頭蓋骨Kに押し付けられる。さらなるインプラント200’、200’’は、本実施例では、広義の追加固定の役割を果たす。
【0064】
他のすべての点において、
図11および
図12は、インプラント200、200’、200’’のそれぞれの支持部が、固定が完了した後に取り外されることを示している。その結果、インプラント200、200’、200’’は頭蓋骨外面CAより上方に突出しない。
【0065】
第1クランプ要素208の第1接触面204および第2クランプ要素209の第2接触面205が湾曲していることも、
図11に関して明らかである。同じことが、さらなるインプラント200’、200’’にも当てはまる。上記の湾曲により、表面領域全体にわたって可能な限り接触を確立することが可能になり、したがって可能な限り大きな接触力を伝達することが可能になる。
【0066】
図11に示す状況では、インプラント200、200’、200’’はそれぞれ、環状間隙Sのボアホールと呼ばれる部分に配置されている。ボアホールは通常、穿孔術中に形成され、これに適したツールを使用して互いに接続される。このボアホールの接続が、実際の環状または開頭間隙Sを形成する。接触面204、205の曲率半径は、本実施例では、それぞれボアホールの半径に一致させる。接触面204、205の曲率半径は、実施形態によって異なり、6~20mmの範囲である。
【0067】
図13から
図16は、
図5から
図9によるインプラント200の変形例を示している。それらの機能および/または構造は、インプラント200の機能および構造とほぼ同一である。したがって、繰り返しを避けるために、変形例間の重要な相違点のみを以下に説明する。機能的に同一の構成要素および/または部分については個別に説明しない。その代わりに、インプラント200に関連して開示された内容を明示的に参照する。
【0068】
インプラント200aは、クランプ要素の形状が異なる。その端面211a、213aにはそれぞれプロファイル225aが設けられている。プロファイル225aは、それぞれの接触表面積を拡大する役割を果たす。プロファイル225aは、縦軸Xに平行に延びており、それぞれの端面211a、213aの径方向内側に凹んだ複数の溝を有する。プロファイル225aの異なる形状も考えられることは言うまでもない。図示しない変形例では、プロファイルは、ハニカム、スパイク、または最も広い意味で粗面化された表面によって形成される。
【0069】
重量を軽減するために、インプラント200aのクランプ要素は、ポケットとも呼ばれ得るそれぞれのクリアランス226aも有する。クリアランス226aはそれぞれ、端面211a、213aから横軸Yに沿ってそれぞれのクランプ要素の内側に凹んでいる。
【0070】
対照的に、
図14によるインプラント200bは、1つのクランプ要素209bのみを有する。この変形例では、横軸Yに沿って第2クランプ要素209bの反対側に位置するハウジング215bのエッジ領域が第1部分201bとして作用する。
【0071】
図15によるインプラント200cは、2つのマンドレル部223cを備える。マンドレル部223cは、横軸Yに沿って互いに反対側へ外側に突出している。2つのマンドレル部223cを有する変形例は、特に、骨弁が複数の、特に断片化されたセグメントから構成される場合に有利である。骨弁を形成するセグメントまたは断片は、マンドレル部223cを使用して、いわば「ジグソーパズルのように組み戻す」ことができる。
【0072】
図16による変形例では、インプラント200dは順に、第1クランプ要素208dおよび第2クランプ要素209dを有する。この変形例では、クランプ要素208d、209dは塑性変形可能な塊から製造され、円錐要素の作用下でインプラント200dのハウジングから横方向に押し出される。塑性変形可能な塊は、パテなどの一種であってもよい。
【0073】
インプラント200の特徴およびインプラント200a、200b、200c、200dに関して説明した特徴は、図に示されていない特徴のさらなる組合せを提供するために組み合わせることができることは言うまでもない。
【0074】
図17から
図29は、本発明によるインプラント300のさらなる実施形態を示し、
図23から
図29は、この実施形態の変形例に関する。
【0075】
インプラント300は、縦軸X、横軸Y、第1部分301、第2部分302、およびメカニズム303を有する。第1部分301は、同様に、骨弁Dに力を伝達するように設計されている。従って、第2部分302は、頭蓋骨Kに力を伝達するように設計されている。
【0076】
メカニズム303は、上記で説明した実施形態および/または変形例とは対照的に、第1部分301および第2部分302の回転変位のために設計されている。
【0077】
メカニズム303は回転軸Gと偏心要素308を有する。
【0078】
図示の実施形態では、回転軸Gは幾何学的な意味での軸であり、縦軸Xに平行に、より具体的には縦軸Xと同軸に配向される。
【0079】
偏心要素308は、回転軸Gに対して移動可能に取り付けられ、回転軸Gに対して偏心した輪郭311を有する。偏心した輪郭311の異なる部分が、第1部分301および第2部分302を形成する。回転軸G周りの偏心要素308の回転が、第1部分301と第2部分302との間の、横軸Yに投影された横方向スぺースの変更をもたらす。その結果、偏心要素308、より具体的にはその輪郭311は、回転軸G周りの回転を介して環状間隙S内にクランプされることができ、その結果、第1部分301は骨弁Dに対して径方向に押圧され、第2部分302は頭蓋骨Kに対して径方向に押圧される。
【0080】
2つの部分301、302は、回転軸Gから互いに反対方向に外側に突出している。特に
図17から
図19に示す輪郭311の形状は、純粋に例示にすぎないことはここで言うまでもない。本質的なことは、輪郭311の偏心、すなわち輪郭311が回転軸Gに対して回転対称でないことだけである。
【0081】
図示の実施形態では、インプラント300はシャフト要素307も有し、このシャフト要素は、符号を付していない第1端部と符号を付していない第2端部との間で回転軸Gに沿って直線状に延びている。偏心要素308は、シャフト要素307の第2端部に配置され、それに固定的に接続されている。ツール嵌合要素319は、第1端部に配置され、シャフト要素307に固定的に接続されている。
【0082】
ツール嵌合要素319は、回転軸G周りのトルクを加えるように設計されており、図示の実施形態では六角ソケットである。
【0083】
図示の実施形態では、ツール嵌合要素319は、インプラント300の縦軸Xに対して上端面を形成する。偏心要素308は、この点で、下端面を形成する。
【0084】
インプラント300は、インプラント200と同様に板状の支持部320を有する。支持部320の機能は支持部220の機能と実質的に同様であるため、繰り返しを避けるために、この点に関して開示されている内容を明示的に参照されたい。
【0085】
インプラント300はまた、2つのマンドレル部323を有し、これらのマンドレル部323はそれぞれ、一端にマンドレル先端部324を備える。他端では、マンドレル部323はそれぞれ支持部320に固定的に接続されている。その機能および構成の点で、マンドレル部323は、インプラント200のマンドレル部223と実質的に同一である。この点に関して上記で述べたことを明示的に参照されたい。
【0086】
シャフト要素307は、支持部320に相対回転可能に取り付けられている。さらに、シャフト要素307は、偏心要素308およびツール嵌合要素319と、支持部320上で縦軸Xに関して形状嵌合的に固定されている。このため、支持部320には、支持部320の上面から下面まで延びる符号を付していない貫通孔が形成されている。
【0087】
図示の実施形態では、偏心要素308は、第1ブレード部309と第2ブレード部310とを有する。第1ブレード部309は、いわば第1部分301を形成する。第2ブレード部310は、いわば第2部分302を形成する。
【0088】
本実施例の第1ブレード部309は第1刃先312を有し、第2ブレード部310は第2刃先313を有する。刃先312、313は互いに反対向きに配向されている。
【0089】
偏心要素308が環状間隙Sにクランプされているとき、ブレード部309、310は、それぞれの刃先312、313を前にして、それぞれの関連する骨構造、すなわち骨弁Dまたは頭蓋骨Kを貫通する。刃先312、313による貫通により、固定が改善される。
【0090】
図示の実施形態では、ツール嵌合要素319は、所定の破断部317(
図21参照)を介してシャフト要素307に接続されている。所定の破断部317は、シャフト要素307に対して耐荷重が低減された断面を有する。その結果、固定が完了した後、ツール嵌合要素319は、追加のトルクの印加によって、規定された方法で、シャフト要素307から剪断され、取り外されることができる。これにより、インプラント300が頭蓋骨外面CAの環状間隙Sから過度に突出することが回避される。これにより、美容上および医療上の利点が得られる。
【0091】
図22は、インプラント300を使用した術中状況を示しており、複数のインプラントで形成されたインプラントシステムが使用されている。このインプラントシステムは、構造的に同一の複数のインプラント300、300’、300’’から構成されている。他のすべての点では、繰り返しを避けるために、
図10から
図12に関連して与えられた説明を参照されたい。これらの図に関連して説明したことは、
図22にも適用される。
【0092】
図23から
図29は、インプラント300の異なる変形例300aから300fを示している。これらの変形例の構造および機能は、インプラント300と実質的に同一である。機能的に同一の構成要素および/または部分については個別に説明しない。その代わりに、インプラント300に関連した本開示を明示的に参照されたい。
【0093】
インプラント300aは、ツール嵌合部319aの構成が異なる。ツール嵌合部319aは、ドライバを嵌合するために設計されている。この点で、スロットと呼ぶことも可能である。ツール嵌合部319とは対照的に、ツール嵌合部319aは縦軸Xに関して支持部を越えて突出していない。
【0094】
図24によるインプラント300bは、第1にマンドレル部がない点で異なっており、第2に偏心要素308bの構成の点で異なっている。インプラント300bの場合、支持部320bには事前固定用のボアホール322bが設けられている。ボアホール322bは支持部320bの上面から下面まで延びている。事前固定の目的で、支持部は、ボア322bのうちの1つを通って延びるねじによって骨弁Dに事前固定することができる。
【0095】
偏心要素308bは、複数の第1ブレード部と複数の第2ブレード部とを有し、これらの第1ブレード部は、シャフト要素の第2端部から第1端部に向かう方向の縦軸Xに関して1つずつ重なって配置されている。この点で、下側第1ブレード309a、中間第1ブレード309a’および上側第1ブレード309a’’と呼ぶこともできる。従って、偏心要素308bは、下側第2ブレード310a、中間第2ブレード310a’および上側第2ブレード310a’’を有する。本実施例における3つのブレードペアが互いの上に配置される代わりに、ブレードペアが多くても少なくてもよいことは言うまでもない。
【0096】
図25による変形例では、インプラント300cの1つの構成要素、具体的にはシャフト要素307cのみが図示されている。シャフト要素307cが偏心要素と共に回転軸G周りに固定方向とは逆方向に不用意に回転するのを避けるために、シャフト要素307cはその第1端の領域にねじ山325cを有する。ねじ山325cは、図面には詳しく示されていないが、支持部に形成された相手側ねじ山に螺合される。この相手側ねじ山は、例えば、止めナットなどの形態であってもよい。
【0097】
図26による変形例では、インプラント300dは、トルクを加えるためのツール嵌合部の代わりに、ばね要素326dを有する。ばね要素326dは、一端が第1締結部327dに固定され、他端が第2締結部328dに固定されている。第1締結部327dは、支持部320dに割り当てられて固定的に接続されている。第2締結部328dは、シャフト要素307dに割り当てられて固定的に接続されている。
図26によって示される構成では、ばね要素326dは付勢され、縦軸X周りのトルクをシャフト要素307dに加える。ここで、シャフト要素307dを付勢された状態に維持する、図面には詳細に示されていないロック装置が存在する。このロック装置は、第1状態と第2状態との間で移行可能である。ロック装置の第1状態では、シャフト要素307dは支持部302dに対して回転に関して固定されている。第2状態では、回転に関して移動が可能になる。回転に関して移動が可能になった後、ばね要素326dは、シャフト要素307d、ひいては偏心要素308dの回転軸Gを中心とした回転をもたらす。これにより偏心要素308dが環状間隙S内にクランプおよび/または押し込まれる。
【0098】
図27による変形例では、インプラント300および以前の変形例300aから300dとは対照的に、インプラント300eは、支持部320eとシャフト要素307eとの間に耐トルク性の接続部を有する。その結果、支持部320eおよびシャフト要素307eは、回転軸Gを中心として常に連動して回転する。支持部320eおよびシャフト要素307eは、圧力嵌合によって、形状嵌合によって、および/または一体的に接続されていてもよい。一体に連続している設計も考えられる。インプラント300eの場合、ツール嵌合部319eは支持部320eの上面に固定的に配置されている。
【0099】
図28および
図29による変形例では、インプラント307fは、キャビティソケットの原理に基づく対応するボアホール設計を有する。
【0100】
図30から
図35は、本発明によるインプラント400のさらなる実施形態を示し、
図34および
図35は、この実施形態の変形例に関する。
【0101】
図30から
図32によれば、インプラント400は、縦軸X、横軸Y、第1部分401、第2部分402およびメカニズム403を有する。
【0102】
頭蓋骨開口部Bの軸方向A及び径方向Rに対する縦軸X及び横軸Yの向きに関しては、前の実施形態に関連して述べたことが適用される。
【0103】
第1部分401は、同様に、骨弁Dに力を伝達するように設計されている。第2部分402は、それに応じて、頭蓋骨Kに力を伝達するように設計されている。メカニズム403は、より詳細に説明される方法で第1部分401および第2部分402に動作可能に接続され、これら2つの部分の間の横方向スぺースを変更することを可能にする。
【0104】
具体的には、メカニズムは圧力要素408とばね要素407を有する。
【0105】
圧力要素408は、第1端面409と第2端面410との間で横軸Yに沿って延びている。さらに、圧力要素408は、横軸Yに沿って移動可能に取り付けられている。
【0106】
ばね要素407は、力の伝達のために圧力要素の第2部分410に対して一端で支持されている。他端では、ばね要素407は少なくとも間接的に第1部分401に動作可能に接続されている。図示の実施形態では、圧力要素408、より具体的にはその第1端面409は、第2部分402を形成し、および/または第2接触面405として機能する。
【0107】
ばね要素407は、横軸Yに沿って圧力要素408に付勢する役割を果たす。圧力要素408は、上記の付勢によって横軸Yに沿って、径方向Rに関して外側に押され、このようにして頭蓋骨Kに押し付けられることができる(
図33参照)。
【0108】
図30から
図32は、圧力要素408の外側端部位置を示す。この外側端部位置では、圧力要素408は、横軸Yに沿ったばね要素407の作用下での力の印加により外側に変位させられる。図には示されていないが、内側端部位置では、圧力要素408は横軸Yに沿って内側に変位し、ばね要素407はその軸方向に沿って押圧され、これにより付勢される。
【0109】
上記の付勢をロックするために、本実施例ではロック要素417が設けられている。ロック要素417は、ロック位置と解放位置との間で圧力要素408に対して相対的に変位することができる。ロック位置では、圧力要素408は、(付勢された)ばね要素407のばね力に対抗するロック要素417によって、横軸Yに関して固定される。解放位置では、圧力要素408は自由に動くことができ、したがって、ばね要素407は、圧力要素408を外側端部位置に向かう方向に変位させることができる。
【0110】
図示の実施形態では、ロック要素417は、第1端面418と第2端面419との間で縦軸Xに沿って延びている。第2端面419は、横軸Yに沿ったロック位置において圧力要素408の相補的な形状嵌合部427と形状嵌合的に相互作用する形状嵌合部422を有する。図示の実施形態においては、形状嵌合部422は、縦軸Xに沿って第2端面419から突出する突起である。従って、相補的な形状嵌合部427は、縦軸Xに沿って圧力要素408に形成される凹部である。ロック位置において、突起は凹部内に挿入され、その結果、圧力要素408は、横方向においてロック要素417上に形状嵌合的に保持される。
【0111】
解放位置に変位させるために、ロック要素417は軸方向に、および
図32の図面平面に対して、上方に変位させられる。その結果、形状嵌合部422は相補的な形状嵌合部427から引き抜かれる。図示の実施形態では、ロック要素417は、解放位置への変位後に完全に取り除くことができる(
図33参照)。ここで、ロック要素417は、手作業による作動を意図している。解放位置に向かう方向に変位させるために、操作者は、例えば一方の手の親指と人差し指との間で、第1端面418の領域においてロック要素417を把持することができる。
【0112】
事前固定の目的で、インプラント400は、マンドレル先端部424を有するマンドレル部423を有する。マンドレル部423の機能および構成は、先の実施形態と実質的に同一であり、したがって、そこで述べたことは、本実施例においても適用される。
【0113】
頭蓋骨外面CAで支持するために、支持部420も存在する。その下面421は、環状間隙Sにインプラント400を位置決めする目的で、骨弁Dの外面DFおよび頭蓋骨の外面KFの両方で支持される。他のすべての点では、先の実施形態の支持部220、320に関連して述べたことが明示的に参照される。
【0114】
図示の実施形態では、インプラント400はハウジング415も有する。本実施例のハウジング415は、特に、ばね要素407、圧力要素408およびロック要素417を受容および/または取り付ける役割を果たす。さらに、第1部分401は、横軸Yに沿って第1端面409と正反対側のハウジング415側に配置および/または形成されている。ハウジング415の当該部分は、この点で、第1接触面404として機能する。
【0115】
本実施例におけるハウジング415は、第1受容クリアランス428及び第2受容クリアランス429を有する。
【0116】
第1受容クリアランス428は、横軸Yに沿って延びており、ばね要素407及び圧力要素408を受容する役割を果たす。図示の実施形態では、第1受容クリアランス428は筒形の、より具体的には円筒形の断面を有する。圧力要素408の形状は、それに合わせられており、それに応じて相補的に筒形、より具体的には円筒形である。第1受容クリアランス428は、一端が閉じ、他端が開いている。圧力要素408は、第1受容クリアランス428の他端の符号を付していない開口を通って突出する。圧力要素408は、第1受容クリアランス428内で横軸Yに沿って摺動可能に案内される。ばね要素407は、第1受容クリアランス428の一端においてハウジング415の符号を付していない壁に支持されている。当該壁は、いわば第1部分401を形成する。
【0117】
第2受容クリアランス429は、縦軸Xに沿って支持部420の上面から第1受容クリアランス428内に延びている。第2受容クリアランス429は、ロック要素417の第2端419を受容する役割を果たす。この点で、ロック要素417は、第2受容クリアランス429内で縦軸Xに沿って摺動可能に案内される。
【0118】
第1受容クリアランス428は、径方向ボアと呼ぶ事もできる。
【0119】
第2受容クリアランス429は、軸方向ボアと呼ぶ事もできる。
【0120】
図示の実施形態では、マンドレル部423及び支持部420は、ハウジング415上に一体に形成されている。その代わりに、上記の部分が別個の部品の形態であってもよいことは言うまでもない。
【0121】
図示の実施形態では、ハウジング415も円筒形の基本形状を有し、その軸方向は縦軸Xに平行に延びている。ハウジング415の円筒形の構成により、第1部分401はそれに応じて凸状に湾曲している。これにより、骨弁Dの外周DAとの接触が改善される。
【0122】
図33は、インプラント400を使用した術中状況を示しており、この状況では、骨弁Dは既に完全に固定されている。これは、少なくとも1つのさらなる構造的に同一のインプラント400’を用いて行われる。繰り返しを避けるため、
図12に関連して述べたことを参照する。
【0123】
【0124】
繰り返しを避けるため、インプラント400aおよび400bとインプラント400との本質的な相違点のみを以下に説明する。その他の点については、インプラント400に関連して上記で述べたことを明示的に参照する。
【0125】
図34による変形例では、インプラント400aは、骨弁Dの外周DAに径方向に延びるボアHに予め固定するように設計されている(
図4参照)。
【0126】
したがって、第1部分401aは、上記のボアホールHに挿入するための接合面406aを備えている。この点に関して、ハウジング415aを参照することができ、このハウジング415aの筒形の外周は、接合面406aおよびいわば第1部分401aを形成する。ハウジング415aは、一部分でばね要素407aおよび圧力要素408aを受容し、他の部分でロック要素417aを受容するための、符号を付していない受容クリアランスを有する。
【0127】
その他の点では、ロック要素417aは
図34のロック位置にある。従って、圧力要素408aは、ばね要素407aのばね力に抗して、横軸Yに関してその内側端部位置に固定されている。
【0128】
図35による変形例では、インプラント400bにはマンドレル部がない。その代わりに、事前固定の目的で、支持部420bに貫通孔430bが形成されている。
【0129】
事前固定の目的で、インプラント400bは骨弁Dにねじ留めされる。
【0130】
貫通孔430bは、このために必要なねじを受ける役割を果たす。
【0131】
【0132】
図36から
図39に関して、インプラント500は、縦軸X、横軸Y、第1部分501、第2部分502およびメカニズム503を有する。
【0133】
頭蓋骨開口部Bの軸方向A及び径方向Rに対する縦軸X及び横軸Yの向きに関しては、先の実施形態に関連して述べたことが適用される。
【0134】
第1部分501は、骨弁Dに力を伝達するように設計されている。
【0135】
第2部分502は、頭蓋骨開口部Bを取り囲む頭蓋骨Kに力を伝達するように設計されている。
【0136】
2つの部分501,502に動作可能に接続されたメカニズム503は、基本的に先の実施形態と同様に、2つの部分501,502の間の横方向スぺースを拡大するように設計されている。この点で、2つの部分501,502は、この実施形態でも、メカニズム503によって、一方の側では骨弁Dに押し付けられ、他方の側では頭蓋骨Kに押し付けられることができる。
【0137】
この実施形態では、メカニズム503は、第1筒要素508(
図37)と第2筒要素509(
図38)とを有する。
【0138】
第1筒要素508は第1縦軸L1を有し、第2筒要素509は第2縦軸L2を有する。2つの縦軸L1,L2は、互いに同軸に、かつ横軸Yに沿って、具体的には同様に同軸に配向されている。
【0139】
第1筒要素508は、プロファイル加工された第1筒側面510と、第1表面511とを有する。第1表面511は、第1部分501を形成し、及び/又は第1部分501として機能する。
【0140】
第2筒要素509は、プロファイル加工された第2筒側面512と、第2表面513とを有する。第2表面513は、第2部分502として機能し、及び/又は第2部分502を形成する。
【0141】
図示の実施形態では、第2表面513は、第2筒要素509の端面の表面である。この第2表面は、頭蓋骨Kの内周KIに径方向において当接して支えるように設計されている。第1表面511は、第1筒要素508の外側の側面であり、骨弁Dの外周DAにおいて径方向に延びるボアHに挿入されるように設計されている(
図4を参照)。
【0142】
図示の実施形態では、プロファイル加工された第1筒側面510は、第1筒要素508の内側の側面である。図示の実施形態では、プロファイル加工された第2筒側面512は、第2筒要素509の外側の側面である。従って、図示の実施形態では、第1筒要素508は中空の筒であり、ブッシュとも呼ぶことができ、第2筒要素509はボルト、ピンなどとも称することができる。さらなる実施形態では、代わりに逆の関連付けが行われ、第1筒要素はボルトの形をしており、第2筒要素はブッシュの形をしている。
【0143】
使用準備の整った組立状態(
図36および
図39)では、第1筒要素508と第2筒要素509は、互いに軸方向にプラグ取り付けされている。より具体的には、第2筒要素509は第1筒要素508に軸方向に差し込まれている。この点で、プロファイル加工された第1筒側面510とプロファイル加工された第2筒側面512は、横軸Yに沿って形状嵌合および/または圧力嵌合の接続Vを形成する(
図39)。
【0144】
上記の接続Vは、2つの筒要素508、509の様々な軸方向相対位置において確立することができ、その結果、最終的に第1部分501と第2部分502との間の横方向スぺースを変更することができる。
【0145】
図示の実施形態では、上記の接続Vはラッチング接続である。従って、第1筒側面510及び第2筒側面512はそれぞれ、ラッチ形状R1、R2でプロファイルされており、それらは第1ラッチ形状R1及び第2ラッチ形状R2とも呼ぶことができる。
【0146】
図示の実施形態では、第1ラッチ形状R1は、複数の周方向溝514を有し、これらの周方向溝は、第1縦軸L1に沿って互いに間隔をあけて配置され、第1筒要素508の径方向において第1筒要素508の内側の側面でそれぞれ凹んでいる(
図39)。
【0147】
図示の実施形態では、第2筒要素509の第2ラッチ形状R2は、第2筒要素509の周方向に180°オフセットした2つのラッチ突起515を有する。その形状は周方向溝514にぴったりあう。本実施例では、ラッチ突起515は、第2表面513から離れた第2筒要素509の端部に配置されている。
【0148】
図39に示すように、2つのラッチ形状R1、R2は、本実施例では、ラッチ接続Vが横軸Yに沿って一方の側でラッチ可能なように構成されている。その結果、図示の実施形態では、横方向スぺースを拡大することのみが可能であり、縮小することはできない。言い換えれば、第1筒要素508と第2筒要素509は引き出すことはできるが、押し込むことはできない。
【0149】
図41は、インプラント500を用いて骨弁Dを固定する術中状況を示している。事前固定を目的として、インプラント500はまず、第1筒要素508を前側にした状態でボアHに挿入される。図示の実施形態では、第1筒要素508は、その外側の側面上に、第1縦軸L1に沿って互いに間隔をあけて配置され、各々が円周上に延びる複数の突起516を有する、符号を付していないプロファイルを有する。これらの突起は、事前固定の改良に役立ち、一種の歯止めを形成する。事前固定が完了した後、インプラント500とともに骨弁Dを開口部Bに挿入する。ラッチ接続Vを一方の側でラッチすることにより、第2部分502、この場合は第2筒要素509の端面の表面513が、頭蓋骨Kの内周KIに当接して支えることになる。
【0150】
このために必要な横軸Yに沿った引張力は、本実施例では引張りアイ517を介して加えられる。本実施例では、引張りアイ517は、端面513の領域に配置された横方向ボアである。第2筒要素509に引張力を加えるために、例えばこれに適したツールを引張りアイ517に導入することができる。
【0151】
ラッチ接続V上でのラッチを容易にするため、図示の実施形態では、第2筒要素509は縦方向スリット518を有する。縦方向スリット518は、一端が第2筒要素509の軸方向に延び、ラッチ突起515の弾力的な径方向の移動を可能にする。この点に関して、
図40には若干の変更が示されており、この場合、変更された縦方向スリット518eを有する第2筒要素509eが設けられている。縦方向スリット518eは、その閉じた端部に拡幅部519eを有する。拡幅部519eは、引張りアイ517eの領域に配置され、貫通孔と同様の方法でこれと平行に延びている。拡幅部519eは、ラッチ突起の適切な弾力的な移動を補助する。
【0152】
図41に関しては、骨弁Dが複数のインプラント500、500’、500’’によって固定されていることも示されている。複数の、特に構造的に同一のインプラントによるこのような固定は有利であるが、必須ではない。原理的には、骨弁Dを単一のインプラントだけで固定することも考えられる。
【0153】
図42から
図45は、インプラント500の変形例を示している。示された変形例の機能および構成は、インプラント500と実質的に同一である。繰り返しを避けるため、本質的な相違点のみを以下に説明する。機能的および構造的に同一の部分および/または部分については個別に説明しない。その代わりに、インプラント500に関連して述べたことを明示的に参照する。
【0154】
図42による変形例では、インプラント500aはラッチ接続Vの代わりにねじ込み接続Vaを備えている。すなわち、第1筒要素508aおよび第2筒要素509aは、横軸Yに沿ってねじ込み移動するように互いに螺合されている。この目的のために、第1筒要素508aは第1ねじ形状R1aを有する。第2筒要素509aは、相補的な第2ねじ形状R2aを有する。この場合、第1ねじ形状R1aは内ねじである。第2ねじ形状R2aは外ねじである。
【0155】
図43による変形例は、インプラント500bがボアHにねじ込まれることを提供する。この目的のために、外側の側面511bは、図面には詳細に示されていない外ねじ530bを有する。外ねじ530bは、好ましくは、セルフタッピングねじおよび/またはセルフボーリングねじである。
【0156】
図44による変形例では、インプラント500cは変更されたラッチ接続Vcを有する。ラッチ接続Vcは、第2筒要素509cの端面に配置された径方向カラー514cと、第1筒要素508cの内側の側面に配置されたばね要素515cとの間に形成されている。ばね要素515cは、筒要素508c、509cの径方向において外向きに弾力的に可撓性である。
【0157】
図45による変形例では、簡略化して言えば、第1筒要素508dと第2筒要素509dに、一方ではブッシュ形状を、他方ではボルト形状を、逆に割り当てている。従って、インプラント500dは、ボルト状の第1筒要素508dとブッシュ状の第2筒要素509dとを有する。第1筒要素508dは、骨弁DのボアHに挿入されるように設計され、その外側の側面511dに複数のアンカー要素516dを有する。第2筒要素509dは、一端に第1筒要素508dが差し込まれ、それにラッチされる。このため、外側の側面511dは少なくとも部分的に第1ラッチングプロファイルR1dを有する。第2筒要素509dの符号を付していない内側の側面は、相補的な第2ラッチングプロファイルR2dを有する。第2筒要素509dの端面513dには、符号を付していない歯止めが設けられている。これにより、頭蓋骨の内周KIとの接触が改善される。
【0158】
図46は、第1インプラント500、構造的に同一のさらなるインプラント500’およびピン600を用いて骨弁Dが固定される、さらなる術中状況を示す。ピン600は、
図47に詳細に示されており、その外側の側面に第1歯止めZ1と第2歯止めZ2が設けられている。第1歯止めZ1は、骨弁DのボアH’’(
図46参照)におけるピンの固定を向上させる役割を果たす。第2歯止めZ2は、周囲の頭蓋骨Kに形成された符号を付していないボアにおけるピン600の固着を改善する役割を果たす。
【0159】
図48は、代替的に構成されたピン600aを示す。ピン600aは、その軸方向の両側の端面が尖っている。尖った端面により、ピン600aを骨弁Dの外周DAおよび頭蓋骨の内周KIの両方に押し込むことが可能になる。これにより、ピン600とは対照的に、頭蓋骨Kおよび/または骨弁Dにボアを開けることを省略することが可能になる。
【手続補正書】
【提出日】2025-01-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭蓋骨開口部(B)に頭蓋の骨弁(D)を固定するためのインプラント(100、200、300、400、500)であって、
前記頭蓋骨開口部(B)の軸方向(A)に沿って延びる縦軸(X)と、
前記頭蓋骨開口部(B)の径方向(R)に沿って延びる横軸(Y)と、
前記骨弁(D)に力を伝達するように設計された第1部分(101、201、301、401、501)と、
前記頭蓋骨開口部(B)を取り囲む頭蓋骨(K)に力を伝達するように設計された第2部分(102、202、302、402、502)であって、
前記第1部分(101、201、301、401、501)および/または前記第2部分(102、202、302、402、502)は、前記骨弁(D)の外周(DA)と前記頭蓋骨(K)の内周(KI)との間に形成された環状間隙(S)内に配置されるように設計される、前記第2部分と、
メカニズム(103、203、303、403、503)であって、前記第1部分(101、201、301、401、501)と前記第2部分(102、202、302、402、502)とに作動的に接続され、前記メカニズム(103、203、303、403、503)によって前記第1部分(101、201、301、401、501)と前記第2部分(102、202、302、402、502)との間の、前記横軸(Y)上に投影される横方向スぺース(Q)を少なくとも拡大することができ、その結果、前記第1部分(101、201、301、401、501)を前記骨弁(D)に対して前記径方向(R)内向きに押圧し、前記第2部分(102、202、302、402、502)を前記頭蓋骨(K)に対して前記径方向(R)外向きに押圧することができる、前記メカニズムと、
を備えるインプラント(100、200、300、400、500)。
【請求項2】
前記メカニズム(103、203、403、503)は、前記第1部分(101、201、401、501)および/または前記第2部分(102、202、402、502)を前記横軸(Y)に沿って並進変位させるように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載のインプラント(100、200、400、500)。
【請求項3】
前記メカニズム(303)は、前記縦軸(X)周りに前記第1部分(301)および/または前記第2部分(302)を回転変位させるように設計されていることを特徴とする、請求項
1に記載のインプラント(300)。
【請求項4】
前記第1部分(101、201、301、401、501)が、前記骨弁(D)の前記外周(DA)に径方向において当接して支えるように設計された第1接触面を有すること、および/または、前記第2部分(102、202、302、402、502)が、前記頭蓋骨の前記内周(KI)に径方向において当接して支えるように設計された第2接触面を有することを特徴とする、請求項
1に記載のインプラント(100、200、300、400、500)。
【請求項5】
前記第1部分(101、501)は、接合面(106、511)を有し、
前記接合面(106、511)は、前記骨弁(D)の前記外周(DA)に径方向に延びるボア(H)に挿入されるように設計されていることを特徴とする、請求項
1に記載のインプラント(100、500)。
【請求項6】
支持部(220、320、420)が存在し、
前記支持部(220、320、420)は、縦軸(X)に沿って前記第1部分(201、301、401)および前記第2部分(202、302、402)の上方に配置されるとともに、前記頭蓋骨(K)の外面(KF)および前記骨弁(D)の外面(DF)を支持するように設計されている下面(221、321、421)を有することを特徴とする、請求項
1に記載のインプラント(200、300、400)。
【請求項7】
前記支持部(220)は、取り外し可能な接合接続手段、特にバヨネット締めによって前記インプラント(200)の残りの部分に接続されていることを特徴とする、請求項6に記載のインプラント(200)。
【請求項8】
少なくとも1つのマンドレル部(223、323、423)が存在し、
前記マンドレル部(223、323、423)は、前記横軸(Y)に沿って延びており、一端においては前記第1部分(201、301、401)を越えて突出し、前記骨弁(D)の前記外周(DA)に径方向に突き刺さるように設計されたマンドレル先端部(224、324、424)を有することを特徴とする、請求項
1に記載のインプラント(200、300、400)。
【請求項9】
前記メカニズム(203)は少なくとも1つのクランプ要素(208)と円錐要素(207)とを有し、
前記クランプ要素(208)は、前記横軸(Y)に沿って移動可能に取り付けられ、内側円錐面(210)と、前記第1部分(201)または前記第2部分(202)を形成する端面(211)とを有し、
前記円錐要素(207)は、前記縦軸(X)に沿って移動可能に取り付けられ、前記内側円錐面(210)と相互作用する外側円錐面(214)を有し、
前記クランプ要素(208)は、前記円錐要素(207)の移動によって、前記横軸(Y)に沿って変位可能であることを特徴とする、請求項
1に記載のインプラント(200)。
【請求項10】
前記メカニズム(203)は、さらなるクランプ要素(209)を有し、
前記さらなるクランプ要素(209)は、前記円錐要素(207)の移動によって、前記横軸(Y)に沿って反対方向に変位可能であることを特徴とする、請求項9に記載のインプラント(200)。
【請求項11】
前記円錐要素(207)は、ねじ山(216)を有し、
前記ねじ山(216)は、前記縦軸(X)に沿ったねじ込み移動のために相補的な相手側ねじ山(217)に螺合されることを特徴とする、請求項
9に記載のインプラント(200)。
【請求項12】
前記メカニズム(303)は、前記縦軸(X)に沿って配向された回転軸(G)と、前記回転軸(G)周りに移動可能に取り付けられ、前記回転軸(G)に対して偏心した輪郭(311)を有する偏心要素(308)とを有し、
前記輪郭(311)の異なる部分が、前記第1部分(301)および前記第2部分(302)を形成し、
前記偏心要素(308)の回転によって、前記輪郭(311)が、前記骨弁(D)の前記外周(DA)と前記頭蓋骨(K)の前記内周(KI)との間にクランプされることを特徴とする、請求項
1に記載のインプラント(300)。
【請求項13】
シャフト要素(307)が存在し、その一端に前記偏心要素(308)が配置され、その他端にツール嵌合要素(319)が配置され、
前記ツール嵌合要素(319)は、前記回転軸(G)周りに向けられたトルクを加えるように設計されていることを特徴とする、請求項12に記載のインプラント(300)。
【請求項14】
前記ツール嵌合要素(319)は、前記縦軸(X)に関して、前記インプラント(300)の上面端を形成し、所定の破断部(317)を介して前記シャフト要素(307)に接続されることを特徴とする、請求項13に記載のインプラント(300)。
【請求項15】
前記偏心要素(308)は、少なくとも、前記第1部分(301)を形成する第1ブレード部(309)と、前記回転軸(G)に対してオフセットされ、前記第2部分(302)を形成する第2ブレード部(310)とを有し、
前記ブレード部(309、310)はそれぞれ、縦の広がりを有して前記回転軸(G)から径方向に突出しており、互いに反対を向いた刃先(312、313)を有することを特徴とする、請求項1
2に記載のインプラント(300)。
【請求項16】
前記メカニズム(403)は圧力要素(408)とばね要素(407)とを有し、
前記圧力要素(408)は、前記第1部分(401)または前記第2部分(402)を形成する第1端面(409)と、第2端面(410)との間で、前記横軸(Y)に沿って延びており、かつ前記横軸(Y)に沿って移動可能に取り付けられており、
前記ばね要素(407)は、少なくとも間接的に前記第2端面(410)に支持されており、
前記圧力要素(408)は、前記ばね要素(407)によって前記横軸(Y)に沿ってばね力で付勢されていることを特徴とする、請求項
1に記載のインプラント(400)。
【請求項17】
ロック要素(417)が存在し、
前記ロック要素(417)は、前記ロック要素(417)が前記ばね要素(407)のばね力に抗して前記横軸(Y)に関して前記圧力要素(408)を固定するロック位置と、前記圧力要素(408)が前記横軸(Y)に沿って自由に移動する解放位置との間で、前記圧力要素(408)に対して変位可能であることを特徴とする、請求項16に記載のインプラント(400)。
【請求項18】
前記メカニズム(503)は、第1筒要素(508)と第2筒要素(509)とを有し、これらの縦軸(L1、L2)は同軸であるとともに前記横軸(Y)に対して平行に延びており、
前記第1筒要素(508)は、プロファイル加工された第1筒側面(510)と、前記第1部分(501)を形成する第1表面(511)とを有し、
前記第2筒要素(509)は、相補的なプロファイルを有する第2筒側面(512)と、前記第2部分(502)を形成する第2表面(513)とを有し、
前記第1筒側面(510)と前記第2筒側面(512)とは、前記筒要素(508、509)の異なる軸方向相対位置において、前記横軸(Y)に沿って形状嵌合および/または圧力嵌合である接続(V)を形成するように互いに接続可能であることを特徴とする、請求項
1に記載のインプラント(500)。
【請求項19】
前記第2表面(513)は、前記第2筒要素(509)の端面の表面であり、前記頭蓋骨(K)の前記内周(KI)に径方向において当接して支えるように設計されており、
前記第1表面(511)は、前記第1筒要素(508)の外側の側面であり、前記骨弁(D)の前記外周(DA)において径方向に延びるボア(H)内に挿入されるように設計されていることを特徴とする、請求項18に記載のインプラント(500)。
【請求項20】
前記第1筒側面(510)が内側の側面であり、前記第2筒側面(512)が外側の側面であることを特徴とする、請求項1
8に記載のインプラント(500)。
【請求項21】
前記第1筒側面(510)および前記第2筒側面(512)はそれぞれ、ラッチ形状(R1、R2)のプロファイルを有し、一方を他方に一方の側でラッチできるように、前記横軸(Y)に沿って互いにラッチされることを特徴とする、請求項1
8に記載のインプラント(500)。
【請求項22】
前記第1筒側面(510)および前記第2筒側面(512)はそれぞれ、ねじ山形状(R1a、R2a)のプロファイルを有し、前記横軸(Y)に沿ったねじ込み移動のために互いに螺合されていることを特徴とする、請求項1
8に記載のインプラント(500)。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか一項に記載の少なくとも2つのインプラント(100、200、300、400、500)を備える、インプラントシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0159
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0159】
図48は、代替的に構成されたピン600aを示す。ピン600aは、その軸方向の両側の端面が尖っている。尖った端面により、ピン600aを骨弁Dの外周DAおよび頭蓋骨の内周KIの両方に押し込むことが可能になる。これにより、ピン600とは対照的に、頭蓋骨Kおよび/または骨弁Dにボアを開けることを省略することが可能になる。
以下、本明細書で開示する技術の特徴を列挙する。
(項目1)
頭蓋骨開口部(B)に頭蓋の骨弁(D)を固定するためのインプラント(100、200、300、400、500)であって、
前記頭蓋骨開口部(B)の軸方向(A)に沿って延びる縦軸(X)と、
前記頭蓋骨開口部(B)の径方向(R)に沿って延びる横軸(Y)と、
前記骨弁(D)に力を伝達するように設計された第1部分(101、201、301、401、501)と、
前記頭蓋骨開口部(B)を取り囲む頭蓋骨(K)に力を伝達するように設計された第2部分(102、202、302、402、502)であって、
前記第1部分(101、201、301、401、501)および/または前記第2部分(102、202、302、402、502)は、前記骨弁(D)の外周(DA)と前記頭蓋骨(K)の内周(KI)との間に形成された環状間隙(S)内に配置されるように設計される、前記第2部分と、
メカニズム(103、203、303、403、503)であって、前記第1部分(101、201、301、401、501)と前記第2部分(102、202、302、402、502)とに作動的に接続され、前記メカニズム(103、203、303、403、503)によって前記第1部分(101、201、301、401、501)と前記第2部分(102、202、302、402、502)との間の、前記横軸(Y)上に投影される横方向スぺース(Q)を少なくとも拡大することができ、その結果、前記第1部分(101、201、301、401、501)を前記骨弁(D)に対して前記径方向(R)内向きに押圧し、前記第2部分(102、202、302、402、502)を前記頭蓋骨(K)に対して前記径方向(R)外向きに押圧することができる、前記メカニズムと、
を備えるインプラント(100、200、300、400、500)。
(項目2)
前記メカニズム(103、203、403、503)は、前記第1部分(101、201、401、501)および/または前記第2部分(102、202、402、502)を前記横軸(Y)に沿って並進変位させるように設計されていることを特徴とする、項目1に記載のインプラント(100、200、400、500)。
(項目3)
前記メカニズム(303)は、前記縦軸(X)周りに前記第1部分(301)および/または前記第2部分(302)を回転変位させるように設計されていることを特徴とする、項目1または2に記載のインプラント(300)。
(項目4)
前記第1部分(101、201、301、401、501)が、前記骨弁(D)の前記外周(DA)に径方向において当接して支えるように設計された第1接触面を有すること、および/または、前記第2部分(102、202、302、402、502)が、前記頭蓋骨の前記内周(KI)に径方向において当接して支えるように設計された第2接触面を有することを特徴とする、項目1から3のいずれか一項に記載のインプラント(100、200、300、400、500)。
(項目5)
前記第1部分(101、501)は、接合面(106、511)を有し、
前記接合面(106、511)は、前記骨弁(D)の前記外周(DA)に径方向に延びるボア(H)に挿入されるように設計されていることを特徴とする、項目1から4のいずれか一項に記載のインプラント(100、500)。
(項目6)
支持部(220、320、420)が存在し、
前記支持部(220、320、420)は、縦軸(X)に沿って前記第1部分(201、301、401)および前記第2部分(202、302、402)の上方に配置されるとともに、前記頭蓋骨(K)の外面(KF)および前記骨弁(D)の外面(DF)を支持するように設計されている下面(221、321、421)を有することを特徴とする、項目1から5のいずれか一項に記載のインプラント(200、300、400)。
(項目7)
前記支持部(220)は、取り外し可能な接合接続手段、特にバヨネット締めによって前記インプラント(200)の残りの部分に接続されていることを特徴とする、項目6に記載のインプラント(200)。
(項目8)
少なくとも1つのマンドレル部(223、323、423)が存在し、
前記マンドレル部(223、323、423)は、前記横軸(Y)に沿って延びており、一端においては前記第1部分(201、301、401)を越えて突出し、前記骨弁(D)の前記外周(DA)に径方向に突き刺さるように設計されたマンドレル先端部(224、324、424)を有することを特徴とする、項目1から7のいずれか一項に記載のインプラント(200、300、400)。
(項目9)
前記メカニズム(203)は少なくとも1つのクランプ要素(208)と円錐要素(207)とを有し、
前記クランプ要素(208)は、前記横軸(Y)に沿って移動可能に取り付けられ、内側円錐面(210)と、前記第1部分(201)または前記第2部分(202)を形成する端面(211)とを有し、
前記円錐要素(207)は、前記縦軸(X)に沿って移動可能に取り付けられ、前記内側円錐面(210)と相互作用する外側円錐面(214)を有し、
前記クランプ要素(208)は、前記円錐要素(207)の移動によって、前記横軸(Y)に沿って変位可能であることを特徴とする、項目1から8のいずれか一項に記載のインプラント(200)。
(項目10)
前記メカニズム(203)は、さらなるクランプ要素(209)を有し、
前記さらなるクランプ要素(209)は、前記円錐要素(207)の移動によって、前記横軸(Y)に沿って反対方向に変位可能であることを特徴とする、項目9に記載のインプラント(200)。
(項目11)
前記円錐要素(207)は、ねじ山(216)を有し、
前記ねじ山(216)は、前記縦軸(X)に沿ったねじ込み移動のために相補的な相手側ねじ山(217)に螺合されることを特徴とする、項目9または10に記載のインプラント(200)。
(項目12)
前記メカニズム(303)は、前記縦軸(X)に沿って配向された回転軸(G)と、前記回転軸(G)周りに移動可能に取り付けられ、前記回転軸(G)に対して偏心した輪郭(311)を有する偏心要素(308)とを有し、
前記輪郭(311)の異なる部分が、前記第1部分(301)および前記第2部分(302)を形成し、
前記偏心要素(308)の回転によって、前記輪郭(311)が、前記骨弁(D)の前記外周(DA)と前記頭蓋骨(K)の前記内周(KI)との間にクランプされることを特徴とする、項目1から8のいずれか一項に記載のインプラント(300)。
(項目13)
シャフト要素(307)が存在し、その一端に前記偏心要素(308)が配置され、その他端にツール嵌合要素(319)が配置され、
前記ツール嵌合要素(319)は、前記回転軸(G)周りに向けられたトルクを加えるように設計されていることを特徴とする、項目12に記載のインプラント(300)。
(項目14)
前記ツール嵌合要素(319)は、前記縦軸(X)に関して、前記インプラント(300)の上面端を形成し、所定の破断部(317)を介して前記シャフト要素(307)に接続されることを特徴とする、項目13に記載のインプラント(300)。
(項目15)
前記偏心要素(308)は、少なくとも、前記第1部分(301)を形成する第1ブレード部(309)と、前記回転軸(G)に対してオフセットされ、前記第2部分(302)を形成する第2ブレード部(310)とを有し、
前記ブレード部(309、310)はそれぞれ、縦の広がりを有して前記回転軸(G)から径方向に突出しており、互いに反対を向いた刃先(312、313)を有することを特徴とする、項目12から14のいずれか一項に記載のインプラント(300)。
(項目16)
前記メカニズム(403)は圧力要素(408)とばね要素(407)とを有し、
前記圧力要素(408)は、前記第1部分(401)または前記第2部分(402)を形成する第1端面(409)と、第2端面(410)との間で、前記横軸(Y)に沿って延びており、かつ前記横軸(Y)に沿って移動可能に取り付けられており、
前記ばね要素(407)は、少なくとも間接的に前記第2端面(410)に支持されており、
前記圧力要素(408)は、前記ばね要素(407)によって前記横軸(Y)に沿ってばね力で付勢されていることを特徴とする、項目1から8のいずれか一項に記載のインプラント(400)。
(項目17)
ロック要素(417)が存在し、
前記ロック要素(417)は、前記ロック要素(417)が前記ばね要素(407)のばね力に抗して前記横軸(Y)に関して前記圧力要素(408)を固定するロック位置と、前記圧力要素(408)が前記横軸(Y)に沿って自由に移動する解放位置との間で、前記圧力要素(408)に対して変位可能であることを特徴とする、項目16に記載のインプラント(400)。
(項目18)
前記メカニズム(503)は、第1筒要素(508)と第2筒要素(509)とを有し、これらの縦軸(L1、L2)は同軸であるとともに前記横軸(Y)に対して平行に延びており、
前記第1筒要素(508)は、プロファイル加工された第1筒側面(510)と、前記第1部分(501)を形成する第1表面(511)とを有し、
前記第2筒要素(509)は、相補的なプロファイルを有する第2筒側面(512)と、前記第2部分(502)を形成する第2表面(513)とを有し、
前記第1筒側面(510)と前記第2筒側面(512)とは、前記筒要素(508、509)の異なる軸方向相対位置において、前記横軸(Y)に沿って形状嵌合および/または圧力嵌合である接続(V)を形成するように互いに接続可能であることを特徴とする、項目1から8のいずれか一項に記載のインプラント(500)。
(項目19)
前記第2表面(513)は、前記第2筒要素(509)の端面の表面であり、前記頭蓋骨(K)の前記内周(KI)に径方向において当接して支えるように設計されており、
前記第1表面(511)は、前記第1筒要素(508)の外側の側面であり、前記骨弁(D)の前記外周(DA)において径方向に延びるボア(H)内に挿入されるように設計されていることを特徴とする、項目18に記載のインプラント(500)。
(項目20)
前記第1筒側面(510)が内側の側面であり、前記第2筒側面(512)が外側の側面であることを特徴とする、項目18または19に記載のインプラント(500)。
(項目21)
前記第1筒側面(510)および前記第2筒側面(512)はそれぞれ、ラッチ形状(R1、R2)のプロファイルを有し、一方を他方に一方の側でラッチできるように、前記横軸(Y)に沿って互いにラッチされることを特徴とする、項目18から20のいずれか一項に記載のインプラント(500)。
(項目22)
前記第1筒側面(510)および前記第2筒側面(512)はそれぞれ、ねじ山形状(R1a、R2a)のプロファイルを有し、前記横軸(Y)に沿ったねじ込み移動のために互いに螺合されていることを特徴とする、項目18から20のいずれか一項に記載のインプラント(500)。
(項目23)
項目1から22のいずれか一項に記載の少なくとも2つのインプラント(100、200、300、400、500)を備える、インプラントシステム。
【国際調査報告】