(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-26
(54)【発明の名称】有機鋳型を使用しないモレキュラーシーブSSZ-122の合成
(51)【国際特許分類】
C01B 39/46 20060101AFI20250318BHJP
【FI】
C01B39/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024551662
(86)(22)【出願日】2023-02-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-29
(86)【国際出願番号】 IB2023051368
(87)【国際公開番号】W WO2023170488
(87)【国際公開日】2023-09-14
(32)【優先日】2022-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェイ、ダン
【テーマコード(参考)】
4G073
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA57
4G073BA63
4G073BA69
4G073BA75
4G073CZ05
4G073CZ41
4G073CZ50
4G073FB30
4G073FC12
4G073FC17
4G073FC25
4G073FC27
4G073FC30
4G073FD08
4G073GA01
4G073GA03
4G073GA14
4G073GB02
(57)【要約】
アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブSSZ-122を合成するための有機鋳型を使用しない合成プロセスを提供する。該プロセスは、(1)(a)ケイ素原子源、(b)アルミニウム原子源、(c)アルカリ金属[M]源、(d)水酸化物イオン源、(e)水、及び(f)種晶を含む反応混合物を調製すること、ならびに(2)該反応混合物を、該アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブの結晶を形成する上で十分な結晶化条件に供することを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SSZ-122の骨格構造を有するアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブを合成するための有機鋳型を使用しない合成プロセスであって、
(1)(a)ケイ素原子源、
(b)アルミニウム原子源、
(c)アルカリ金属またはアルカリ土類金属[M]源、
(d)水酸化物イオン源、
(e)水、及び
(f)種晶
を含む反応混合物を調製すること、ならびに
(2)前記反応混合物を、前記アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブの結晶を形成する上で十分な結晶化条件に供すること
を含む、前記プロセス。
【請求項2】
前記反応混合物が、モル比に関して、以下の組成を有する、請求項1に記載のプロセス:
【表1】
【請求項3】
前記反応混合物が、モル比に関して、以下の組成を有する、請求項1に記載のプロセス:
【表2】
【請求項4】
前記ケイ素原子源が、シリカのコロイド懸濁液、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、アルカリ金属ケイ酸塩、オルトケイ酸テトラアルキル、またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記アルミニウム原子源が、水和アルミナ、水酸化アルミニウム、アルカリ金属アルミン酸塩、アルミニウムアルコキシド、水溶性アルミニウム塩、またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ケイ素原子及び前記アルミニウム原子の両方の供給源がY型ゼオライトである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記アルカリ金属[M]が、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記アルカリ金属[M]が、ナトリウム、カリウム、またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記種晶が、BOG型骨格構造を有するモレキュラーシーブ材料を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記種晶が、boggsite、ITQ-47、SSZ-122、及びそれらの混合物からなる群から選択されるモレキュラーシーブを含む、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記ステップ(1)に従う反応混合物中の種晶の量が、前記ケイ素原子源中のSiO
2100重量%に基づいて、0.01~30重量%に及ぶ、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記ステップ(2)に従う結晶化条件が、温度100℃~200℃、及び結晶化時間約1日~21日を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記有機鋳型を使用しない合成が、焼成ステップを含まない、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
SSZ-122の骨格構造を有する有機鋳型を使用しない合成アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブであって、
アルカリ金属[M]を任意に含み、焼成されない、前記モレキュラーシーブ。
【請求項15】
SiO
2/Al
2O
3モル比の範囲20~100を有する、請求項14に記載の有機鋳型を使用しないアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【請求項16】
SiO
2/Al
2O
3モル比の範囲25~60を有する、請求項14に記載の有機鋳型を使用しないアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【請求項17】
M:SiO
2モル比の範囲が、0を超えて0.1までである、請求項14に記載の有機鋳型を使用しないアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【請求項18】
前記アルカリ金属[M]が、少なくともナトリウム及び/またはカリウムを含む、請求項14に記載の有機鋳型を使用しないアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【請求項19】
前記アルカリ金属[M]の少なくとも一部が、1つ以上のカチオン及び/またはカチオン性元素で置換される、請求項14に記載の有機鋳型を使用しないアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【請求項20】
前記カチオン及び/またはカチオン性元素が、H
+、NH
4
+、Sc、Zr、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載の有機鋳型を使用しないモレキュラーシーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モレキュラーシーブSSZ-122を調製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
モレキュラーシーブは、特徴的なX線回折(XRD)パターンによって示される規定の細孔構造を有する特徴的な結晶構造を有し、特定の化学組成を有する、商業的に重要なクラスの材料である。該結晶構造は、特定の型のモレキュラーシーブに特徴的な空洞及び細孔を画定する。
【0003】
モレキュラーシーブは、国際ゼオライト学会構造委員会によって、ゼオライト命名法に関するIUPAC委員会の規則に従って分類される。この分類に従って、固有の構造が確立されている骨格型のゼオライト及び他の結晶性のミクロ孔モレキュラーシーブに、固有の3文字コードが割り当てられており、これらは、例えば、“Atlas of Zeolite Framework Types”by Ch.Baerlocher,L.B.McCusker and D.H.Olson(Elsevier,Sixth Revised Edition,2007)に記載されている。
【0004】
BOG骨格型モレキュラーシーブは、10員環及び12員環の三次元チャンネル系を有する。BOG骨格型を有する材料としては、boggsite、ITQ-47、及びSSZ-122が挙げられる。
【0005】
モレキュラーシーブSSZ-122の組成及び特徴的なX線回折パターンが、米国特許出願公開第2022/0024775号に開示されており、これにはまた、1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウムカチオンを含む有機鋳型の存在下での該モレキュラーシーブの合成も記載されている。
【0006】
本開示によれば、SSZ-122が有機鋳型の非存在下で合成され得ることが判明した。
【発明の概要】
【0007】
1つの態様では、SSZ-122の骨格構造を有するアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブを合成するための有機鋳型を使用しない合成プロセスが提供され、該プロセスは、(1)(a)ケイ素原子源、(b)アルミニウム原子源、(c)アルカリ金属[M]源、(d)水酸化物イオン源、(e)水、及び(f)種晶を含む反応混合物を調製すること、ならびに(2)該反応混合物を、該アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブの結晶を形成する上で十分な結晶化条件に供することを含む。
【0008】
別の態様では、SSZ-122の骨格構造を有する有機鋳型を使用しない合成アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブが提供され、該モレキュラーシーブは、任意に、アルカリ金属[M]を含み、該モレキュラーシーブは、焼成されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1による合成されたままのSSZ-122材料の粉末X線回折(XRD)パターンを示す。
【0010】
【
図2】実施例1による合成されたままのSSZ-122材料の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
本開示で使用される「有機鋳型」という用語は、鋳型によるモレキュラーシーブ材料、好ましくは、BOG型骨格構造を有するモレキュラーシーブ材料、さらにより好ましくは、SSZ-122の合成に適した任意の考えられる有機材料を指定する。かかる有機鋳型としては、1-アダマンチル-3-プロピルイリミダゾリウムカチオンが挙げられる。
【0012】
本開示の意義の範囲内で、「有機鋳型を使用しない」合成プロセスは、そこで使用される材料が有機鋳型材料を実質的に含まない合成プロセスに関し、この場合、合成プロセスで使用される1つ以上の材料に含まれる1つ以上の有機鋳型の量に関して本開示で使用される「実質的に」は、0.001重量%以下の量の1つ以上の有機鋳型、例えば、それに関して0.0005重量%以下、または0.00001重量%以下、または0.000005重量%以下、またはさらに0.000001重量%以下を示す。該1つ以上の有機鋳型の量は、該合成プロセスで使用される材料のうちのいずれか1つに存在したとしても、本開示の意義の範囲内で、「不純物」または「微量」として表示される場合もある。さらに、「有機鋳型」及び「有機構造指向剤」という用語は、本開示では同義的に使用されることが留意される。
【0013】
「BOG」という用語は、国際ゼオライト学会構造委員会によって認識されているBOGのトポロジー型を指す。
【0014】
「SiO2/Al2O3モル比」という用語は、「SAR」と略される場合がある。
【0015】
反応混合物
モレキュラーシーブSSZ-122は、(1)(a)ケイ素原子源、(b)アルミニウム原子源、(c)アルカリ金属[M]源、(d)水酸化物イオン源、(e)水、及び(f)種晶を含む反応混合物を調製すること、ならびに(2)該反応混合物を、該アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブの結晶を形成する上で十分な結晶化条件に供することによって合成され得る。
【0016】
該反応混合物は、モル比に関して、表1に記載の範囲内の組成を有し得る。
【表1】
【0017】
ケイ素原子源の例としては、シリカのコロイド懸濁液、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、アルカリ金属ケイ酸塩、オルトケイ酸テトラアルキル(例えば、オルトケイ酸テトラエチル)、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0018】
アルミニウム原子源の例としては、水和アルミナ、水酸化アルミニウム、アルカリ金属アルミン酸塩、アルミニウムアルコキシド、及び水溶性アルミニウム塩(例えば、硝酸アルミニウム)、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0019】
アルミノケイ酸塩ゼオライト(例えば、Y型ゼオライト)等のケイ素原子とアルミニウム原子の組み合わせの供給源も使用することができる。該アルミノケイ酸塩ゼオライトは、ケイ素及びアルミニウムの単独のまたは主要な供給源として使用され得る。「主要な」という用語は、50モル%超、適切には、75モル%超、好ましくは、90モル%超を意味する。
【0020】
アルカリ金属[M]は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムから選択され得るが、より好ましくは、該アルカリ金属は、ナトリウム及び/またはカリウムであり、さらにより好ましくは、該アルカリ金属は、ナトリウムである。
【0021】
一般に、任意の考えられる水酸化物イオン源を使用することができ、該供給源は、好ましくは、金属水酸化物、特に、アルカリ金属[M]の水酸化物、好ましくは、水酸化ナトリウム及び/または水酸化カリウム、さらにより好ましくは、水酸化ナトリウムを含む。
【0022】
本開示のプロセスによれば、ステップ(1)で種晶が提供され、該種晶は、BOG型骨格構造を有するモレキュラーシーブ材料を含む。一般に、該種晶は、BOG型骨格構造を有する任意のモレキュラーシーブ材料を含み得るが、但し、BOG型骨格構造を有するモレキュラーシーブ材料がステップ(2)で結晶化されることを条件とする。いくつかの態様では、該種晶は、boggsite、ITQ-47、SSZ-122、及びそれらの混合物からなる群から選択されるモレキュラーシーブを含み、さらにより好ましくは、該種晶は、好ましくは、SSZ-122を含む。
【0023】
BOG型骨格構造を有するモレキュラーシーブ材料がステップ(2)で結晶化されるという条件で、ステップ(1)に従って任意の適量の種晶が該混合物に提供され得る。一般に、ステップ(1)に従って反応混合物に含まれる種晶の量は、該ケイ素原子源中のSiO2100重量%に基づいて、0.01~30重量%(例えば、0.1~20重量%、または0.5~10重量%)に及ぶ。
【0024】
本プロセスによれば、ステップ(1)で調製され、ステップ(2)で結晶化される反応混合物は、どの点でも、BOG型骨格構造を有するモレキュラーシーブ材料の合成に特異的に使用される有機構造指向剤、特に、特定のテトラアルキルアンモニウム塩及び/または関連する有機鋳型、例えば、1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウム塩を、不純物を超えて含むことはない。かかる不純物は、例えば、本プロセスで使用される種晶中になお存在する有機構造指向剤が原因となり得る。しかしながら、種晶材料に含まれる有機鋳型は、該種晶骨格内に捕捉されているため、本開示の意義の範囲内で構造配向剤として作用しない可能性があることから、該結晶化プロセスには関与しない可能性がある。
【0025】
該反応混合物成分は、複数の供給源によって供給され得る。同様に、2つ以上の反応混合物成分は、1つの供給源によって提供され得る。
【0026】
該反応混合物は、任意の考えられる手段によって調製され得るが、攪拌(agitation)による混合が好ましく、好ましくは、攪拌(stirring)による。該反応混合物は、バッチモード、連続モード、または半連続モードで調製され得る。
【0027】
該反応混合物は、溶液、コロイド分散液(コロイドゾル)、ゲル、またはペーストの形態であり得るが、ゲルが好ましい。
【0028】
結晶化及び合成後処理
該モレキュラーシーブの結晶化は、静的または攪拌条件下、約100~約200℃の温度に維持された対流式オーブンに配された、適切な反応容器、例えば、ポリプロピレンジャーまたはテフロン加工もしくはステンレス鋼オートクレーブにて、結晶化を引き起こす上で十分な期間(例えば、約1日から21日、または1日~14日、または1日から10日間)行われ得る。
【0029】
所望のモレキュラーシーブ結晶が形成された後、当該固体生成物は、標準的な分離技術、例えば、濾過または遠心分離によって該反応混合物から分離される。回収された結晶を水洗し、次いで、数秒~数分(例えば、気流乾燥の場合は5秒~10分)間または数時間(例えば、75℃~150℃でのオーブン乾燥の場合は4~24時間)乾燥し、合成したままのモレキュラーシーブ結晶を得る。該乾燥ステップは、大気圧で行っても真空下で行ってもよい。
【0030】
ステップ(2)で結晶化されたモレキュラーシーブは、任意に、少なくとも1つのイオン交換手順のステップに供され得る。本開示に従う「イオン交換」という用語は、通常、該モレキュラーシーブ材料に含まれる非骨格イオン性元素及び/または分子を指す。いくつかの態様では、該非骨格イオン性元素は、アルカリ金属[M]を含み、好ましくは、該モレキュラーシーブに含まれる。
【0031】
一般に、BOG型骨格構造を有するモレキュラーシーブ材料の合成に特異的に使用される有機構造指向剤を除いて、すべての可能なイオン性元素及び/または分子による任意の考えられるイオン交換手順を該モレキュラーシーブに対して行うことができる。いくつかの態様では、イオン性元素として、H+、NH4
+、Sc、Zr、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る少なくとも1つのカチオン及び/またはカチオン性元素が使用される。
【0032】
本開示のプロセスでは、焼成ステップを使用しないことが好ましい。一般に、焼成ステップは、ステップ(2)に従って結晶化されたモレキュラーシーブ材料を500℃を超える温度で加熱することを含む。いくつかの態様では、ステップ(2)に従って結晶化されたモレキュラーシーブは、後続のステップにおいて、450℃、または350℃、または300℃、または250℃、またはさらには200℃を超える温度に供されない。
【0033】
モレキュラーシーブの特性評価
本記載のプロセスによって得られる生成物は、SSZ-122の骨格構造を有する合成アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブである。
【0034】
本開示の意義の範囲内で、「有機鋳型を使用しない」モレキュラーシーブは、有機鋳型材料を実質的に含まないモレキュラーシーブに関し、この場合、該モレキュラーシーブに含まれる1つ以上の有機鋳型の量に関して本開示で使用される「実質的に」は、0.001重量%以下の量の1つ以上の有機鋳型、例えば、それに関して0.0005重量%以下、または0.00001重量%以下、または0.000005重量%以下、またはさらに0.000001重量%以下を示す。該1つ以上の有機鋳型の量は、該モレキュラーシーブに存在したとしても、本開示の意義の範囲内で、「不純物」または「微量」として表示される場合もある。
【0035】
本開示によれば、該モレキュラーシーブは、BOG型骨格構造を有するモレキュラーシーブ材料の合成に特異的に使用される有機構造指向剤、特に、特定のテトラアルキルアンモニウム塩及び/または関連する有機鋳型、例えば、1-アダマンチル-3-プロピルイミダゾリウム塩を、不純物を超えて含むことはない。かかる不純物は、例えば、本プロセスで使用される種晶中になお存在する有機構造指向剤が原因となり得る。
【0036】
該有機鋳型を使用しないモレキュラーシーブは、SiO2/Al2O3モル比少なくとも10(例えば、10~100、または10~60、または15~100、または15~60、または15~40、または20~100、または20~60、または20~40、または25~100、または25~60、または25~40)を有し得る。
【0037】
該有機鋳型を使用しないゼオライト材料がアルカリ金属[M]を非骨格元素として含む態様では、M:SiO2モル比は、0を超えて0.1までに及び得る。態様では、該モレキュラーシーブは、ナトリウム及び/またはカリウムを、非骨格元素として含む。
【0038】
いくつかの態様では、該モレキュラーシーブに任意に存在するアルカリ金属[M]の少なくとも一部は、少なくとも1つのカチオン及び/またはカチオン性元素によって置換される。該カチオン及び/またはカチオン性元素は、H+、NH4
+、Sc、Zr、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0039】
本プロセスによって得られるモレキュラーシーブ生成物の粉末XRDスペクトルは、BOG型骨格構造を有する他の材料と一致する。BOG骨格型モレキュラーシーブを代表する粉末XRDパターンは、“Collection of Simulated XRD Powder Patterns for Zeolites”by M.M.J.Treacy and J.B.Higgins(Elsevier,Fifth Revised Edition,2007)において参照することができる。本明細書に示す粉末XRDパターンは、標準的な技術によって特定した。放射線は、銅のK-アルファ/ダブレットであった。
【実施例】
【0040】
以下の例示的な実施例は非限定的であることを意図している。
【0041】
実施例1
SSZ-122の合成
50%NaOH溶液0.90g、脱イオン水5.00g、及びReheis F-2000水和アルミナ(53%Al2O3、47%H2O)0.096gをテフロンライナー内で混合した。得られたゲルを、アルミナが完全に溶解するまで攪拌した。次に、30%LUDOX(登録商標)HS-30コロイダルシリカ5.00gをこの溶液に添加した。そのゲルを均一になるまで攪拌した。次に、合成されたままのSSZ-122種晶0.15gをこの溶液に加え、ゲルをさらに攪拌した。次いでそのライナーにキャップをして、それをParr製スチールオートクレーブ反応器内に配置した。次いで、このオートクレーブを135℃で熱したオーブンに10日間置いた。その固体生成物を冷却した反応器から遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥した。
【0042】
得られた生成物を粉末XRD及びSEMで分析した。この生成物の粉末X線回折が
図1に示されており、この材料が純粋なSSZ-122モレキュラーシーブであることが示されている。SEM像は、
図2に示されており、均一な結晶領域を示している。
【0043】
ICP元素分析によれば、この生成物は、SiO2/Al2O3モル比26.3を有していた。
【0044】
実施例2
SSZ-122の合成
50%NaOH溶液0.80g、脱イオン水5.07g、及びReheis F-2000水和アルミナ(53%Al2O3、47%H2O)0.06gをテフロンライナー内で混合した。得られたゲルを、アルミナが完全に溶解するまで攪拌した。次に、30%LUDOX(登録商標)HS-30コロイダルシリカ5.00gをこの溶液に添加した。そのゲルを均一になるまで攪拌した。次に、合成されたままのSSZ-122種晶0.15gをこの溶液に加え、ゲルをさらに攪拌した。次いでそのライナーにキャップをして、それをParr製スチールオートクレーブ反応器内に配置した。次いで、このオートクレーブを135℃で熱したオーブンに10日間置いた。その固体生成物を冷却した反応器から遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥した。
【0045】
得られたゼオライト生成物を、粉末XRD及びSEMによって、純粋なSSZ-122モレキュラーシーブとして同定した。
【0046】
ICP元素分析によれば、この生成物は、SiO2/Al2O3モル比34.8を有していた。
【0047】
実施例3
SSZ-122の合成
50%NaOH溶液0.39g、脱イオン水8.51g、及びCBV720 Y型ゼオライト(SAR=30)粉末1.00gをテフロンライナー内で混合した。次に、合成されたままのSSZ-122種晶0.10gをこの溶液に加えた。得られたゲルを均一になるまで攪拌した。次いでそのライナーにキャップをして、それをParr製スチールオートクレーブ反応器内に配置した。次いで、このオートクレーブを135℃で熱したオーブンに7日間置いた。その固体生成物を冷却した反応器から遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥した。
【0048】
得られたゼオライト生成物を、粉末XRD及びSEMによって、純粋なSSZ-122モレキュラーシーブとして同定した。
【0049】
ICP元素分析によれば、この生成物は、SiO2/Al2O3モル比23.7を有していた。
【0050】
実施例4
焼成
合成したままの実施例1の生成物を、マッフル炉内で、1℃/分の速度で540℃に加熱した空気流下にて焼成し、540℃で5時間保持し、冷却した後、粉末XRDによって分析した。粉末XRDパターンにより、この材料が焼成後、安定したままであることが示された。
【0051】
実施例5
アンモニウムイオン交換
実施例4の焼成材料を、90℃の1N硝酸アンモニウム溶液10mL(ゼオライト1gあたり)で2時間処理した。この溶液を冷却し、デカントで分離し、同じプロセスを繰り返した。
【0052】
乾燥後の生成物(NH4-SSZ-122)を、吸着質としてNを使用し、BET法によりmicropore2容積分析に供した。このモレキュラーシーブは、0.19cm3/gのミクロ孔容積を示した。
【国際調査報告】