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特表2025-508590生体サンプルを処理するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-26
(54)【発明の名称】生体サンプルを処理するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20250318BHJP
   C12M 1/02 20060101ALI20250318BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20250318BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/02 B
C12Q1/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024554734
(86)(22)【出願日】2023-03-08
(85)【翻訳文提出日】2024-09-11
(86)【国際出願番号】 CN2023080232
(87)【国際公開番号】W WO2023174117
(87)【国際公開日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】202210262700.2
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210747882.2
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】524340664
【氏名又は名称】蘇州艾博生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU ABOGEN BIOSCIENCES CO. , LTD.
【住所又は居所原語表記】B1-501, 218 Xinghu Ave., Biobay, Suzhou Industrial Park Suzhou, Jiangsu 215123, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100230640
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 望
(72)【発明者】
【氏名】燕 化遠
(72)【発明者】
【氏名】樊 祥臣
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA23
4B029AA27
4B029BB20
4B029DD06
4B029DG08
4B029GA08
4B029GB01
4B029GB02
4B029GB10
4B063QA20
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR90
4B063QS40
4B063QX10
(57)【要約】
本願は、生体サンプルを処理するためのシステムを提供し、生体サンプル処理の技術分野に関する。当該システムは、それを流した生体サンプルの温度を変化させるための温度調節部品と、温度調節部品にカップリングされるリアクターアレイと、を含む。当該リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、各リアクターは生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すように配置される。第1のリアクターから処理された生体サンプルの排出の完了と第1のリアクターの直後にある第2のリアクターからの処理された生体サンプルの排出の開始との間の時間間隔を所定の時間帯未満にするように、2つ又はそれ以上のリアクターで処理を交互に実行する。本願は、生体サンプルを処理するための方法を更に提供する。本願のシステムは、各反応の時間を加速するため、反応後の生体サンプルを排出する前の待ち時間を減少させる。幾つかの場合において、リアクターアレイを全体として、処理後の生体サンプルを中断なく、連続的に出力することを達成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体サンプルを処理するためのシステムであって、
それを流した生体サンプルの温度を変化させるように構成された温度調節部品と、
前記温度調節部品にカップリングされるリアクターアレイと、を含み、
前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、前記リアクターアレイにおける各リアクターは前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すように構成され、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力ポートを有し、
ここで、第1のリアクターからの前記処理された生体サンプルの排出の完了と第2のリアクターからの前記処理された生体サンプルの排出の開始との間の時間間隔を所定の時間帯未満にするように、前記2つ又はそれ以上のリアクターで前記処理を交互に実行し、前記第2のリアクターは前記リアクターアレイ内で前記第1のリアクターの直後にある、
システム。
【請求項2】
前記所定の時間帯は5分間未満である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記リアクターアレイにおける各リアクターの容積は5L以下である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記温度調節部品は、第1の時間帯内で前記生体サンプルの前記温度を第1の予め設定された温度に上昇させるように構成された第1の温度調節装置を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記生体サンプルは核酸を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの処理は核酸変性を含む、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターの内部を洗浄するように構成された洗浄装置を更に含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
生体サンプルを処理するための方法であって、
温度調節部品を用いて生体サンプルの温度を第1の予め設定された温度に変化させることと、
前記生体サンプルを前記温度調節部品からリアクターアレイに流すことと、
前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクター内で前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すことと、
処理された前記生体サンプルを前記リアクターアレイから前記温度調節部品に排出し、前記温度調節部品を用いて処理された前記生体サンプルの温度を第2の予め設定された温度に変化させることと、を含み、
前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力端を有し、
ここで、第1のリアクターからの前記処理された生体サンプルの排出の完了と第2のリアクターからの前記処理された生体サンプルの排出の開始との間の時間間隔を所定の時間帯未満にするように、前記2つ又はそれ以上のリアクターで前記処理を交互に実行し、前記第2のリアクターは前記リアクターアレイ内で前記第1のリアクターの直後にある、
方法。
【請求項9】
生体サンプルを処理するためのシステムであって、
それを流した生体サンプルの温度を変化させるように構成された温度調節部品と、
前記温度調節部品にカップリングされるリアクターアレイと、を含み、
前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、前記リアクターアレイにおける各リアクターは前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すように構成され、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力ポートを有し、
ここで、前記2つ又はそれ以上のリアクターにおける前記処理は、第1のリアクターにおける前記処理の完了と第2のリアクターにおける前記処理の完了との間の時間間隔を所定の時間帯未満にするように調整され、前記第2のリアクターは前記リアクターアレイ内で前記第1のリアクターの直後にある、
システム。
【請求項10】
生体サンプルを処理するための方法であって、
温度調節部品を用いて生体サンプルの温度を第1の予め設定された温度に変化させることと、
前記生体サンプルを前記温度調節部品からリアクターアレイに流すことと、
前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクター内で前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すことと、
処理された前記生体サンプルを前記リアクターアレイから前記温度調節部品に排出し、前記温度調節部品を用いて処理された前記生体サンプルの温度を第2の予め設定された温度に変化させることと、を含み、
前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力端を有し、
ここで、前記2つ又はそれ以上のリアクターにおける前記処理は、第1のリアクターにおける前記処理の完了と第2のリアクターにおける前記処理の完了との間の時間間隔を所定の時間帯未満にするように調整され、前記第2のリアクターは前記リアクターアレイ内で前記第1のリアクターの直後にある、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体サンプルを処理するシステム及び方法、特に複数のリアクターを含む処理システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実験室研究で使用される反応システムと工業生産で使用される反応システムは、リアクターの容量、反応時間、反応効率などのパラメータに対する要件が異なる。例えば、小規模な実験室研究では、核酸(例えば、DNA又はRNA)に対するmRNAキャッピング前の予備変性、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)又は逆転写反応を行う際に1.5mLの遠心分離管を使用することができるため、急速な昇温(例えば、金属浴又は水浴を使用すると、5分間以内に予め設定された温度に昇温することができる)及び降温(例えば、遠心分離管を氷又は低温環境に置くと、5分間以内に予め設定された温度に降温することができる)を達成する。しかし、昇温及び降温の速度はリアクターの容量の増加につれて顕著に低下するため、リアクター容量の増加につれて、実験室規模で達成される上記の急速な昇温及び降温の効果を達成することが困難である。例えば、TCU-ジャケット/加熱ブラケットを使用した従来の方法で温度を制御する可変温度リアクターシステムは通常、昇温又は降温を達成するのに30分間を必要とする。これは、反応システムに悪影響を及ぼし、例えば、降温時間が長すぎると、DNA又はRNAが二次構造を再形成し、反応効率に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0003】
一態様において、本開示は、生体サンプルを処理するためのシステムであって、それを流した生体サンプルの温度を変化させるように構成された温度調節部品と、前記温度調節部品にカップリングされるリアクターアレイと、を含み、前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、前記リアクターアレイにおける各リアクターは前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すように構成され、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力ポートを有し、ここで、第1のリアクターからの前記処理された生体サンプルの排出の完了と第2のリアクターからの前記処理された生体サンプルの排出の開始との間の時間間隔を所定の時間帯未満にするように、前記2つ又はそれ以上のリアクターで前記処理を交互に実行し、前記第2のリアクターは前記リアクターアレイ内で前記第1のリアクターの直後にある、システムを提供する。
【0004】
別の態様において、本開示は、生体サンプルを処理するための方法であって、温度調節部品を用いて生体サンプルの温度を第1の予め設定された温度に変化させることと、前記生体サンプルを前記温度調節部品からリアクターアレイに流すことと、前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクター内で前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すことと、処理された前記生体サンプルを前記リアクターアレイから前記温度調節部品に排出し、前記温度調節部品を用いて処理された前記生体サンプルの温度を第2の予め設定された温度に変化させることと、を含み、前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力端を有し、ここで、第1のリアクターからの前記処理された生体サンプルの排出の完了と第2のリアクターからの前記処理された生体サンプルの排出の開始との間の時間間隔を所定の時間帯未満にするように、前記2つ又はそれ以上のリアクターで前記処理を交互に実行し、前記第2のリアクターは前記リアクターアレイ内で前記第1のリアクターの直後にある、方法を提供する。
【0005】
別の態様において、本開示は、生体サンプルを処理するためのシステムであって、それを流した生体サンプルの温度を変化させるように構成された温度調節部品と、前記温度調節部品にカップリングされるリアクターアレイと、を含み、前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、前記リアクターアレイにおける各リアクターは前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すように構成され、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力ポートを有し、ここで、前記2つ又はそれ以上のリアクターにおける前記処理は、第1のリアクターにおける前記処理の完了と第2のリアクターにおける前記処理の完了との間の時間間隔を所定の時間帯未満にするように調整され、前記第2のリアクターは前記リアクターアレイ内で前記第1のリアクターの直後にある、システムを提供する。
【0006】
別の態様において、本開示は、生体サンプルを処理するための方法であって、温度調節部品を用いて生体サンプルの温度を第1の予め設定された温度に変化させることと、前記生体サンプルを前記温度調節部品からリアクターアレイに流すことと、前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクター内で前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すことと、処理された前記生体サンプルを前記リアクターアレイから前記温度調節部品に排出し、前記温度調節部品を用いて処理された前記生体サンプルの温度を第2の予め設定された温度に変化させることと、を含み、前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力端を有し、ここで、前記2つ又はそれ以上のリアクターにおける前記処理は、第1のリアクターにおける前記処理の完了と第2のリアクターにおける前記処理の完了との間の時間間隔を所定の時間帯未満にするように調整され、前記第2のリアクターは前記リアクターアレイ内で前記第1のリアクターの直後にある、方法を提供する。
【0007】
別の態様において、本開示は、生体サンプルを処理するためのシステムであって、それを流した生体サンプルの温度を変化させるように構成された温度調節部品と、前記温度調節部品にカップリングされるリアクターアレイと、を含み、前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力ポートを有し、ここで、前記2つ又はそれ以上のリアクターで前記処理を交互に実行し、前記リアクターアレイにおける各リアクターは、以下の予め設定された時間帯の時間以内で前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施するように配置される、システムを提供する。
【0008】
別の態様において、本開示は、生体サンプルを処理するための方法であって、温度調節部品を用いて生体サンプルの温度を第1の予め設定された温度に変化させることと、前記生体サンプルを前記温度調節部品からリアクターアレイに流すことと、前記2つ又はそれ以上のリアクター内で交互に前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すことと、前記少なくとも1つのリアクター内で以下の予め設定された時間帯の時間以内に前記生体サンプルに前記少なくとも1つの処理を施すことと、処理された前記生体サンプルを前記リアクターアレイから前記温度調節部品に排出し、前記温度調節部品を用いて処理された前記生体サンプルの温度を第2の予め設定された温度に変化させることと、を含み、前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力端を有する、方法を提供する。
【0009】
以下の詳細な説明に基づいて、本開示の他の態様や利点は、当業者にとって明らかになり、ここで、本開示の例示的な実施形態を示して説明する。本開示の内容は他の異なる実施形態を含んでもよく、また、一部の詳細は複数の明確な態様で変更され、これらの全ては本開示の内容から逸脱することないと理解される。対応的には、図面及び説明は自然に説明するためのものであり、限定するものではないと見なされる。
【0010】
本開示の新規特徴は添付の特許請求の範囲において具体的に記載される。本開示の原理が利用された例示的な実施形態で説明される以下の詳細な説明及び図面を参照することによって、本開示の特徴及び利点をより良く理解することができる。図面において、
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示にかかる生体サンプルを処理するためのシステムを示す模式図である。
図2】本開示にかかる生体サンプルを処理するためのシステムの例示的な実施例を示す模式図である。
図3A】本開示にかかる生体サンプルを処理するためのシステムの更なる例示的な実施例を示す模式図である。
図3B】本開示にかかる生体サンプルを処理するためのシステムのまた更なる例示的な実施例を示す模式図である。
図4】本開示にかかる生体サンプルを処理するための例示的な方法を示すフローチャートである。
図5】本開示により提供される生体サンプルを処理するための方法を実施するようにプログラムされた、又は他の方法で構成されたコンピュータシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に本開示の様々な実施形態を示して説明したが、当業者にとって明らかに、これらの実施形態は、例示的にのみ提供される。当業者であれば、本開示から逸脱することなく、多くの変化、変更及び置換を想到することができる。本明細書に記載される本開示の実施形態の様々な代替方法を使用できると理解されるべきである。
【0013】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つ」、「1種」及び「当該」は、文脈上で別段の説明がない限り、複数の引用対象を含む。例えば、「1つの細胞」という用語は、複数の細胞を含み、それらの混合物を含む。
【0014】
本明細書で使用されるように、「増幅」という用語は通常、核酸を生成する1つ又は複数のコピー又は「増幅された産物」を指す。「DNA増幅」という用語は通常、DNA分子を生成する1つ又は複数のコピー又は「増幅されたDNA産物」を指す。「逆転写増幅」という用語は通常、逆転写酵素の作用によりリボ核酸(RNA)のテンプレートからデオキシリボ核酸(DNA)を生成することを指す。
【0015】
本明細書で使用されるように、「変性」という用語は通常、二本鎖核酸のらせん構造の完全又は部分的な巻き戻しを指し、幾つかの場合において、一本鎖核酸の二次構造の巻き戻しを指す。変性は、病原体の細胞壁又はウイルスシェルの不活化、及び阻害剤タンパク質の不活化を含むことができる。変性が起こる条件は、「変性温度」及び「変性持続時間」を含み、「変性温度」は通常、変性が起こる温度を指し、「変性持続時間」は通常、変性が起こるのに割り当てる時間を指す。
【0016】
本明細書で使用されるように、「伸長」という用語は通常、テンプレート引導によりヌクレオチドを核酸に組み込むことを指す。伸長は、例えばポリメラーゼ又は逆転写酵素などの酵素の助けを借りて起こることができる。伸長が起こる条件は、「伸長温度」及び「伸長持続時間」を含み、「伸長温度」は通常、伸長が起こる温度を指し、「伸長持続時間」は通常、伸長が起こるのに割り当てる時間を指す。
【0017】
本明細書で使用されるように、「核酸」とい用語は通常、任意の長さのヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチド(dNTP)又はリボヌクレオチド(rNTP))又はそれらの類似体の重合形態を指す。核酸は、任意の三次元構造を持つことができ、任意の既知又は未知の機能を実行することができる。核酸の非限定的な実例は、DNA、RNA、遺伝子又は遺伝子断片のコード領域又は非コード領域、連鎖分析によって決定される1つ又は複数の遺伝子座、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、短鎖干渉RNA(siRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組換え核酸、分岐核酸、プラスミド、ベクター、単離された任意の配列のDNA、単離された任意の配列のRNA、核酸プローブ及びプライマーを含む。核酸は、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体などの、1つ又は複数の修飾ヌクレオチドを含むことができる。ヌクレオチド構造への修飾が存在する場合、核酸を組み立てる前又は後に行うことができる。核酸のヌクレオチド配列は、非ヌクレオチド成分によって中断される場合がある。核酸は重合後に、例えば、レポーター剤とのカップリング又は結合によって更に修飾することができる。
【0018】
本明細書で使用されるように、「プライマー伸長反応」という用語は通常、二本鎖核酸の変性、変性核酸の一本又は二本の鎖へのプライマーの結合、及びその後のプライマーの伸長を指す。
【0019】
本明細書で使用されるように、「標的核酸」という用語は通常、核酸分子の出発集団における特定のヌクレオチド配列を有する核酸分子を指し、その存在、量及び/又は配列、或いはそのうちの1つ又は複数の変化を測定する必要がある。標的核酸は、DNA、RNA及びそれらの類似体を含む任意のタイプの核酸であってもよい。本明細書で使用されるように、「標的リボ核酸(RNA)」は通常、RNAとする標的核酸を指す。本明細書で使用されるように、「標的デオキシリボ核酸(DNA)」は通常、DNAとする標的核酸を指す。
【0020】
本明細書で使用されるように、「生体サンプル」という用語は通常、対象の標的位置から採取した任意のサンプルを指す。生体サンプルの非限定的な実例は、対象の任意の解剖学的位置(組織、循環系、骨髄など)から得られる血液(又は、白血球、赤血球、血小板などの血液の成分)、対象の任意の解剖学的位置から得られる細胞、皮膚、心臓、肺、腎臓、呼気、骨髄、糞便、精液、膣液、腫瘍組織由来の間質液、乳房、膵臓、脳脊髄液、組織、咽頭綿棒、生検、胎盤液、羊水、肝臓、筋肉、平滑筋、膀胱、胆嚢、結腸、腸、脳、管腔液、痰、膿、微生物叢(micropiota)、胎便、母乳、前立腺、食道、甲状腺、血清、唾液、尿、胃液及び消化液、涙、眼部液体、汗液、粘液、耳垢、油、腺分泌物、脊髄液、毛髪、爪、皮膚細胞、血漿、鼻腔綿棒又は鼻咽頭洗浄液、脊髄液、臍帯血、及び/又は他の排泄物又は身体組織を含む。生体サンプルの非限定的な実例は、インビボ又はインビトロで合成されたタンパク質及び核酸分子を更に含む。生体サンプルの非限定的な実例は、人工的に合成された核酸分子を更に含む。
【0021】
本明細書で使用されるように、「リアクター」という用語は通常、生産又は実験中に反応物が化学的反応又は生物学的反応を受ける装置を指す。リアクターは、反応プロセス中の様々な条件パラメータ、例えば、圧力、温度、容積、滞留時間、各反応物の濃度、反応速度、熱伝導係数、撹拌速度などによって特徴づけることができる。リアクターの実例は、発酵タンク、インキュベートタンクなどを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0022】
図1は、本開示にかかる生体サンプルを処理するためのシステムの模式図である。幾つかの例示的な実施例において、生体サンプルを処理するためのシステムは、温度調節部品101と、温度調節部品101にカップリングされるリアクターアレイ102と、を含んでもよい。温度調節部品は、それを流した生体サンプルの温度を変化させるように構成される。リアクターアレイにおける各リアクターのために温度調節部品を単独で設置することができ、リアクターアレイにおける複数のリアクターのために温度調節部品を共通で設置することもできる。温度調節部品は、サンプル源(例えば、供給器)から生体サンプル(例えば、メッセンジャーリボ核酸(mRNA)を含んでもよい核酸を持つ液体原料)を受け取り、当該生体サンプルに第1の温度調節処理を行うことができる。温度調節部品は、リアクターアレイから所定処理後の生体サンプルを受け取り、当該所定処理後の生体サンプルに第2の温度調節処理を行うことができる。一実例において、第1の温度調節処理は加熱処理を含み、第2の温度調節処理は降温処理を含む。リアクターアレイは、温度調節部品の流体に連通し、温度調節部品から少なくとも1つの温度調節処理を施した生体サンプルを受け取ることができる。リアクターアレイにおける各リアクターにより、生体サンプルに少なくとも1つの処理(例えば、核酸変性)を施すことができる。選択的には、リアクターにおける反応後の生体サンプルを温度調節部品に戻して、更なる温度調節を行うことができる。一実例において、リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターはインキュベーターを含む。
【0023】
幾つかの実施例において、温度調節部品は、生体サンプルに対して加熱処理を行うための第1の温度調節装置1011と、生体サンプルに対して冷却処理を行うための第2の温度調節装置1012と、を含んでもよい。上記のように、リアクターアレイにおけるそれぞれのリアクターのために、単独の第1の温度調節装置及び単独の第2の温度調節装置を設置することができる。又は、リアクターアレイにおける複数のリアクターのために、共通の第1の温度調節装置及び共通の第2の温度調節装置を設置することもできる。一実例において、第1の温度調節装置は、第1の時間帯内で生体サンプルの温度を第1の予め設定された温度に上昇させるように構成される。当該第1の時間帯は、10秒、20秒、30秒、40秒、50秒、60秒、1分間、1.5分間、2分間、2.5分間、3分間、3.5分間、4分間、4.5分間、5分間、5.5分間、6分間、6.5分間、7分間、7.5分間、8分間、8.5分間、9分間、9.5分間、10分間、10.5分間、11分間、11.5分間、12分間、12.5分間、13分間、13.5分間、14分間、14.5分間、15分間、16分間、17分間、18分間、19分間、20分間、21分間、22分間、23分間、24分間、25分間、26分間、27分間、28分間、29分間又は30分間であってもよい。当該第1の時間帯は、上記に列挙された時間帯における任意の2つの時間帯の間の値であってもよい。一実例において、当該第1の時間帯は5分間以下である。当該第1の予め設定された温度は、少なくとも5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃又は90℃であってもよい。当該第1の予め設定された温度は、上記に列挙された温度における任意の2つの温度の間の値であってもよい。一実例において、第1の温度調節装置は、5分間以内で生体サンプルの温度を室温から少なくとも65℃に上昇させることができる。幾つかの場合において、第1の温度調節装置は、段階的な加熱により生体サンプルを加熱することができる。例えば、第1の温度調節装置は、直列接続されるように設置された複数の加熱モジュールを含んでもよく、各加熱モジュールは、生体サンプルを単独で加熱するように構成される。各加熱モジュールは、予め設定された時間帯内で生体サンプルの温度を初期温度から予め設定された温度差を上昇させるようにそれぞれ構成されてもよい。
【0024】
一実例において、第2の温度調節装置は、第2の時間帯内で生体サンプルの温度を第2の予め設定された温度に低下させるように構成される。当該第2の時間帯は、10秒、20秒、30秒、40秒、50秒、60秒、1分間、1.5分間、2分間、2.5分間、3分間、3.5分間、4分間、4.5分間、5分間、5.5分間、6分間、6.5分間、7分間、7.5分間、8分間、8.5分間、9分間、9.5分間、10分間、10.5分間、11分間、11.5分間、12分間、12.5分間、13分間、13.5分間、14分間、14.5分間、15分間、16分間、17分間、18分間、19分間、20分間、21分間、22分間、23分間、24分間、25分間、26分間、27分間、28分間、29分間又は30分間であってもよい。当該第2の時間帯は、上記に列挙された時間帯における任意の2つの時間帯の間の値であってもよい。一実例において、当該第2の時間帯は5分間以下である。当該第2の予め設定された温度は、少なくとも1℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃又は90℃であってもよい。当該第2の予め設定された温度は、上記に列挙された温度における任意のあ2つの温度の間の値であってもよい。一実例において、第2の温度調節装置は、5分間以内で生体サンプルの温度を少なくとも65℃から2~8℃に低下させることができる。幾つかの場合において、第2の温度調節装置は、段階的な降温により生体サンプルを降温することができる。例えば、第2の温度調節装置は、直列接続されるように設置された複数の降温モジュールを含んでもよく、各降温モジュールは、生体サンプルを単独で降温するように構成される。各降温モジュールは、予め設定された時間帯内で生体サンプルの温度を初期温度から予め設定された温度差を低下させるようにそれぞれ構成されてもよい。
【0025】
幾つかの実施例において、第1の温度調節装置は、加熱キャピラリー熱交換器などの管状熱交換器を含んでもよい。液体状態の熱伝導媒体を加熱し、加熱後の熱伝導媒体を第1の温度調節装置のキャピラリーに流す。生体サンプルがキャピラリーの管壁と接触する時に加熱される。幾つかの実施例において、第2の温度調節装置は、冷却キャピラリー熱交換器などの管状熱交換器を含んでもよい。液体状態の熱伝導媒体を冷却し、冷却後の熱伝導媒体を第2の温度調節装置のキャピラリーに流す。生体サンプルがキャピラリーの管壁と接触する時に冷却される。別の幾つかの実施例において、第1の温度調節装置は、抵抗加熱器(例えば、導体を流れる電流によって発生するジュール熱を熱源として)、輻射加熱器(例えば、赤外線輻射を熱源として)などの加熱装置又はそれらの組み合わせを含んでもよく、第2の温度調節装置は、熱電冷却器(例えば、Peltier効果を利用する)、ヒートシンク(例えば、金属フィン)、チューブ冷却器、プレート冷却器、空冷冷却器など又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0026】
温度調節部品の場合、第1の温度調節装置及び第2の温度調節装置の少なくとも1つの操作パラメータ(例えば、熱伝導媒体の流速、操作モードなど)を制御するために、その操作を制御する温度制御ユニット(TCU)を設置することができ、それにより上記第1の時間帯、第1の予め設定された温度、第2の時間帯、第2の予め設定された温度などのパラメータを制御する。例えば、幾つかの場合において、第1の温度調節装置又は第2の温度調節装置は、加熱又は冷却処理を連続的に実行することができ、別の幾つかの場合において、第1の温度調節装置又は第2の温度調節装置は、加熱又は冷却処理を間欠的に実行することができる。幾つかの実施例において、温度制御ユニットは、第1の温度調節装置の操作を制御するための第1の温度制御ユニットと、第2の温度調節装置の操作を制御するための第2の温度制御ユニットと、を含んでもよい。このようにして、第1の温度調節装置及び第2の温度調節装置を迅速的且つ精確的にそれぞれ制御することができる。温度調節部品は、コントロールパネル又はソフトウェアインタフェースなどのヒューマンインタフェースを含んでもよい。本開示にかかる生体サンプル処理システムの操作者は、当該ヒューマンインタフェースを介して温度調節部品の少なくとも1つの操作パラメータを設定、確認及び変更することができる。
【0027】
幾つかの実施例において、リアクターアレイ102は、第1のリアクター1021、第2のリアクター1022、及び場合により、第Nのリアクター102nなどの、2つ又はそれ以上のリアクターを含ンでもよい。リアクターアレイにおける2つ又は複数のリアクターは、同じ容量を有することができる。リアクターアレイにおける2つ又は複数のリアクターは、互いに異なる容量を有することもできる。リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターの容量は、100L、90L、80L、70L、60L、50L、40L、30L、25L、20L、15L、10L、9.5L、9.0L、8.5L、8.0L、7.5L、7.0L、6.5L、6.0L、5.5L、5.0L、4.5L、4.0L、3.5L、3.0L、2.9L、2.8L、2.7L、2.6L、2.5L、2.4L、2.3L、2.2L、2.1L、2.0L、1.9L、1.8L、1.7L、1.6L、1.5L、1.4L、1.3L、1.2L、1.1L、1.0L、0.9L、0.8L、0.7L、0.6L、0.5L、0.4L、0.3L、0.2L、0.1L、0.09L、0.08L、0.07L、0.06L、0.05L、0.04L、0.03L、0.02L又は0.01L以下であってもよい。リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターの容量は、上記に列挙された任意の2つの容量の間の値であってもよい。一実例において、リアクターの容量は1.5Lであってもよい。これらのリアクターは、互いに並列接続され、共通の管路又は単独の管路を介して温度調節部品の流体に連通し、それにより、生体サンプルを温度調節部品からリアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターに移す及び/又はリアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターから温度調節部品に移すことができる。これらのリアクターは、生体サンプルを独立的に受け取り、排出することができる。一実例において、リアクターアレイにおけるリアクターは、生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された生体サンプルを排出するように構成された出力ポートを有する。別の実例において、上記入力ポート及び出力ポートは同一のポートであってもよく、当該ポートは、時分割多重化により、第1の時間帯内で入力ポートとして使用され、第2の時間帯内で出力ポートとして使用される。
【0028】
生体サンプルの温度調節部品とリアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターとの間の移転は、ポンピングシステムによって達成することができる。ポンピングシステムは、(i)生体サンプルを生体サンプル源から温度調節部品に移す、(ii)生体サンプルを温度調節部品からリアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターに移す、及び(iii)生体サンプルをリアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターから温度調節部品に移すという操作の少なくとも1つを実行するように構成される。ポンピングシステムは少なくとも1つのポンプを含んでもよい。ポンプの実例は、遠心分離ポンプ、ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、ペリスタポンプ、ギアポンプなどを含むが、これらに限定されない。ポンピングシステムは、固定流量又は調整可能な流量で生体サンプルを移すことができる。ポンピングシステムにおける少なくとも1つのポンプのポンピング速度(例えば、単位時間内でポンプから排出する液体の体積)は、少なくとも0.001L/s、0.002L/s、0.003L/s、0.004L/s、0.005L/s、0.006L/s、0.007L/s、0.008L/s、0.009L/s、0.01L/s、0.02L/s、0.03L/s、0.04L/s、0.05L/s、0.06L/s、0.07L/s、0.08L/s、0.09L/s、0.1L/s、0.2L/s、0.3L/s、0.4L/s、0.5L/s、0.6L/s、0.7L/s、0.8L/s、0.9L/s、又は1L/sであってもよい。ポンピングシステムにおける少なくとも1つのポンプのポンピング速度は、上記に列挙された任意の2つの流量の間の値であってもよい。ポンピングシステムは、所定の又は調整可能な時間帯内で、(i)生体サンプルを生体サンプル源から温度調節部品に移す、(ii)生体サンプルを温度調節部品からリアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターに移す、及び(iii)生体サンプルをリアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターから温度調節部品に移すように構成されてもよい。当該時間帯は、多くとも30分間、25分間、20分間、15分間、14.5分間、14分間、13.5分間、13分間、12.5分間、12分間、11.5分間、11分間、10.5分間、10分間、9.5分間、9分間、8.5分間、8分間、7.5分間、7分間、6.5分間、6分間、5.5分間、5分間、4.5分間、4分間、3.5分間、3分間、2.5分間、2分間、1.5分間、1分間、30秒、10秒又は1秒であってもよい。当該時間帯は、上記に列挙された任意の2つの時間帯の間の値であってもよい。
【0029】
リアクターアレイにおけるリアクターは、生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すように構成される。幾つかの実施例において、当該少なくとも1つの処理は核酸変性を含んでもよい。本開示にかかる生体サンプルを処理するためのシステムにより処理された後の生体サンプルは、熱循環装置(例えばPCR熱循環器)に提供することで、サンプル中の目的の核酸を増幅して修飾し、増幅又は修飾産物を検出する。例えば、熱循環装置によって、本開示にかかる生体サンプルを処理するためのシステムにより処理された後の生体サンプルに対して昇温、降温操作を行い、生体サンプルを含む容器内の反応混合物に対してポリメラーゼ連鎖反応を行うことができる。別の幾つかの実施例において、当該少なくとも1つの処理は、核酸増幅を含んでもよい。例えば、増幅産物を生成するために、リアクターアレイの少なくとも1つのリアクターにおいて標的核酸を増幅することができる。標的核酸は、標的RNA又は標的DNAであってもよい。幾つかの実施形態において、標的RNAはウイルスRNAである。幾つかの実施形態において、標的DNAはウイルスDNAである。
【0030】
幾つかの実施例において、リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターは、生体サンプルに予め設定された処理時間帯内で少なくとも1つの処理を施すように構成される。当該予め設定された処理時間帯は、100分間、90分間、80分間、70分間、60分間、50分間、40分間、30分間、29分間、28分間、27分間、26分間、25分間、24分間、23分間、22分間、21分間、20分間、19分間、18分間、17分間、16分間、15分間、14分間、13分間、12分間、11分間、10分間、9分間、8分間、7分間、6分間、5分間、4分間、3分間、2分間、1分間、50秒、40秒、30秒、20秒、10秒又は1秒以下であってもよい。当該時間帯は、上記に列挙された任意の2つの時間帯の間の値以下であってもよい。一実例において、リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターは、生体サンプルに5分間以下の処理時間帯内で少なくとも1つの処理を完了するように構成される。
【0031】
幾つかの実施例において、リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターは、予め設定された処理温度で生体サンプルを処理するように構成される。幾つかの場合において、当該予め設定された処理温度は、温度調節部品から排出された温度調節処理後の生体サンプルの温度と同じであってもよい。別の幾つかの場合において、当該予め設定された処理温度は、温度調節部品から排出された温度調節処理後の生体サンプルの温度と異なってもよい。当該リアクターにおける生体サンプルの処理温度を調整するために、リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターに温度調整装置を設置することができる。例えば、リアクターにおける生体サンプルを加熱し、保温又は降温することで、リアクターにおける予め設定された反応温度を維持するように構成された加熱器をリアクターに設置することができる。一実例において、加熱器は、抵抗加熱器、輻射加熱器又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0032】
幾つかの実施例において、本開示にかかる生体サンプルを処理するためのシステムは、リアクターアレイにカップリングされるセンシングシステムを更に含む。センシングシステムは、リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターの少なくとも1つのパラメータを感知するように構成される。センシングシステムは少なくとも、リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターにおける生体サンプルの温度を測定するように構成された温度計を含んでもよい。センシングシステムは少なくとも、リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクター内の圧力を測定するように構成された圧力計を含んでもよい。センシングシステムは少なくとも、リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターにおける生体サンプルの重量を測定するように構成された計量器を含んでもよい。センシングシステムは少なくとも、pH値測定装置、濁度測定装置などのセンサを更に含んでもよい。センシングシステムによって測定されたリアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターの少なくとも1つのパラメータは、本開示にかかる生体サンプルを処理するためのシステムのコントローラーにリアルタイムに伝送され、設定された閾値と比較して、リアクター内の反応を監視して制御することができる。幾つかの実施例において、本開示にかかる生体サンプルを処理するためのシステムは、リアクターアレイにカップリングされる廃液容器を更に含む。廃液容器は、リアクターを洗浄した後の洗浄液などの、リアクターアレイからのリアクターの廃液を保存するために使用される。
【0033】
幾つかの実施例において、リアクターアレイにおける2つ又はそれ以上のリアクターの処理は調整し制御されて、第1のリアクター1021から所定処理された生体サンプルを排出する完了時間t1と第2のリアクター1022から所定処理された生体サンプルを排出する開始時間t2との間の時間間隔(t2~t1)が所定の時間帯未満であり、当該第2のリアクターはリアクターアレイ内で第1のリアクターの直後にある。当該所定の時間帯は、15分間、14分間、13分間、12分間、11分間、10分間、9分間、8分間、7分間、6分間、5分間、4.5分間、4分間、3.5分間、3分間、2.5分間、2分間、1.5分間、1分間、55秒、50秒、45秒、40秒、35秒、30秒、25秒、20秒、15秒、10秒、9秒、8秒、7秒、6秒、5秒、4秒、3秒、2秒又は1秒未満であってもよい。当該所定の時間帯は、上記に列挙された任意の2つの時間帯との間の値未満であってもよい。本開示に記載の「第1のリアクターから所定処理された生体サンプルを排出する完了時間と、第1のリアクターの直後にある第2のリアクターから所定処理された生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔が所定の時間帯未満である」ことは、リアクターアレイにおける各リアクターの容量、リアクターに予め設定された反応を完了するのに必要な時間(例えば、温度、圧力などのリアクターの反応環境パラメータの制御)、生体サンプルを各リアクターに完全に移すのに必要な時間(例えば、所定量の生体サンプルを温度調節部品からリアクター内に完全に移すのに必要な時間、これはポンピングシステムのポンピング速度に依存可能である)、生体サンプルを各リアクターから他の部品に完全に移すのに必要な時間(例えば、予め設定された反応が行われた生体サンプルをリアクターから完全に移出するのに必要な時間、これはポンピングシステムのポンピング速度に依存可能である)、リアクターに他の処理を行うのに必要な時間(例えば、毎回の反応終了後、リアクターの内部を洗浄するのに必要な時間)などのパラメータにおける少なくとも1つを調整して制御することで達成することができる。
【0034】
一実例において、図2に示すように、本開示にかかる生体サンプルを処理するためのシステムにおけるリアクターアレイは、C1及びC2である2つのリアクターを含んでもよい。処理される生体サンプルは、ポンピングシステム(例えば、ポンピングシステムにおけるM1)によって、生体サンプル源Hから温度調節部品における第1の温度調節装置EH1を介してこの2つのリアクターにそれぞれ移し(以下、「入力」とも呼ばれ)、この2つのリアクターに所定の反応を行う(以下、「反応」とも呼ばれ、例えばインキュベート)。反応完了後の生体サンプルは、ポンピングシステム(例えば、ポンピングシステムにおけるM2)によって、この2つのリアクターから、それぞれ温度調節部品における第2の温度調節装置EH2を介して生体サンプルコレクターEに移す(以下、「出力」とも呼ばれる)。第1の温度調節装置EH1は、例えば昇温装置であってもよく、当該昇温装置に温度コントローラーTCU1を設置することができる。第2の温度調節装置EH2は、例えば降温装置であってもよい。当該降温装置に温度コントローラーTCU2を設置することができる。
【0035】
一実施形態において、当該2つのリアクターに対する入力、反応及び出力操作の処理タイミングは表1に示される。
【0036】
【表1】
【0037】
一実例において、時間帯T0、T1、T2…はそれぞれ例えば5分間であってもよい。表1の操作タイミングから分かるように、T0及びT1の2つの初期時間帯を除いて、第1のリアクター及び第2のリアクターは、隣接するタイミングでそれぞれ「出力+入力」及び「反応」を繰り返す。第1のリアクター/第2のリアクター内で予め設定された反応(例えば、インキュベーション)を完了するのに必要な時間は5分間である。幾つかの場合において、インキュベーション完了後の生体サンプルを第1のリアクター/第2のリアクターから完全に移出するのに必要な時間を2.5分間とし、インキュベーション待ちの生体サンプルを第1のリアクター/第2のリアクターに完全に移入するのに必要な時間を2.5分間とするようにポンピングシステムを設定することができる。このようにして、第1のリアクター及び第2のリアクターでインキュベーションを交互に完了し、また、第1のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第2のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔は2.5分間である。言い換えれば、この場合において、リアクターアレイを全体として、2.5分間おきにインキュベートした生体サンプルを2.5分間出力する。別の幾つかの場合において、インキュベーション完了後の生体サンプルを第1のリアクター/第2のリアクターから完全に移出するのに必要な時間を3分間とし、インキュベーション待ちの生体サンプルを第1のリアクター/第2のリアクターに完全に移入するのに必要な時間を2分間とするようにポンピングシステムを設定することができる。このようにして、第1のリアクター及び第2のリアクターでインキュベーションを交互に完了し、また、第1のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第2のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔は2分間である。言い換えれば、この場合において、リアクターアレイを全体として、2分間おきにインキュベートした生体サンプルを3分間出力する。更なる場合において、インキュベーション完了後の生体サンプルを第1のリアクター/第2のリアクターから完全に移出するのに必要な時間を4分間とし、インキュベーション待ちの生体サンプルを第1のリアクター/第2のリアクターに完全に移入するのに必要な時間を1分間とするようにポンピングシステムを設定することができる。このようにして、第1のリアクター及び第2のリアクターでインキュベーションを交互に完了し、また、第1のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第2のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔は1分間である。言い換えれば、この場合において、リアクターアレイを全体として、1分間おきにインキュベートした生体サンプルを4分間出力する。
【0038】
別の実施形態において、当該2つのリアクターに対する入力、反応及び出力操作の処理タイミングは表2に示される。
【0039】
【表2】
【0040】
一実例において、時間帯T0、T1、T2…はそれぞれ例えば5分間であってもよい。表2の操作タイミングから分かるように、T0の初期時間帯を除いて、第1のリアクター及び第2のリアクターは、隣接するタイミングでそれぞれ「入力+反応」及び「出力」を繰り返す。幾つかの場合において、第1のリアクター/第2のリアクター内で予め設定された反応(例えば、インキュベーション)を完了するのに必要な時間は、例えば3分間であってもよい。インキュベーション待ちの生体サンプルを第1のリアクター/第2のリアクターに完全に移入するのに必要な時間を2分間とし、インキュベーション完了後の生体サンプルを第1のリアクター/第2のリアクターから完全に移出するのに必要な時間は5分間とするようにポンピングシステムを設定することができる。このようにして、第1のリアクター及び第2のリアクターでインキュベーションを交互に完了し、また、第1のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第2のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔はゼロである。言い換えれば、この場合において、リアクターアレイを全体として、インキュベーション後の生体サンプルを中断なく、連続的に出力する。例えば、T1から開始する各時間帯内で、第1のリアクター及び第2のリアクターは、反応後の生体サンプルを交互に排出する。
【0041】
一実例において、図2に示すように、本開示にかかる生体サンプルを処理するためのシステムは、核酸キャッピング前での予備変性の処理に使用することができる。
【0042】
一実例において、図3A又は図3Bに示すように、本開示にかかる生体サンプルを処理するためのシステムにおけるリアクターアレイは、C1、C2及びC3である3つのリアクターを含んでもよい。図3Aに示される実例において、3つのリアクターのそれぞれのために単独の生体サンプル源、単独のポンピングシステム及び単独の生体サンプルコレクターをそれぞれ設置する。例えば、リアクターC1のために、単独のポンプM3及びポンプM6を設置する。処理される生体サンプルは、ポンプM3によって、生体サンプル源H3から温度調節部品における第1の温度調節装置EH1を介してリアクターC1に移し(以下、「入力」とも呼ばれる)、リアクターC1で所定の反応を行う(以下、「反応」とも呼ばれ、例えばインキュベート)。反応完了後の生体サンプルは、ポンプM6によって、リアクターC1から温度調節部品における第2の温度調節装置EH6を介して生体サンプルコレクターE3に移す(以下、「出力」とも呼ばれる)。第1の温度調節装置EH1は、例えば昇温装置であってもよく、第2の温度調節装置EH6は、例えば降温装置であってもよい。温度調節装置EH1~EH6のために温度コントローラーTCU1~TCU6をそれぞれ設置することができる。図3Bに示される実例において、リアクターアレイの3つのリアクターのために共通の生体サンプル源、共通の入力ポンプ、単独の出力ポンプ及び単独の生体サンプルコレクターを設置する。例えば、リアクターC1のために、処理される生体サンプルは、共通の入力ポンプM1によって、共通の生体サンプル源Hから温度調節部品における第1の温度調節装置EH1を介してリアクターC1に移し、リアクターC1で所定の反応を行う。反応完了後の生体サンプルは、ポンプM4によって、リアクターC1から温度調節部品における第2の温度調節装置EH6を介して生体サンプルコレクターE3に移す。第1の温度調節装置EH1は、例えば昇温装置であってもよく、第2の温度調節装置EH6は、例えば降温装置であってもよい。温度調節装置EH1~EH6のために温度コントローラーTCU1~TCU6をそれぞれ設置することができる。図3A及び図3Bは、3つのリアクターのそれぞれのために単独の第1の温度調節装置及び単独の第2の温度調節装置を設置するように示したが、上記のように、3つのリアクターのために共通の第1の温度調節装置及び共通の第2の温度調節装置を設置することもでき、或いは、3つのリアクターの任意の2つのために共通の第1の温度調節装置及び共通の第2の温度調節装置を設置することもできる。
【0043】
一実施形態において、当該3つのリアクターに対する入力、反応及び出力操作の処理タイミングは表3に示される。
【0044】
【表3】
【0045】
一実例において、時間帯T0、T1、T2…はそれぞれ例えば5分間であってもよい。表3の操作タイミングから分かるように、T0及びT1の2つの初期時間帯を除いて、第1のリアクター、第2のリアクター及び第3のリアクターは、隣接するタイミングでそれぞれ「入力」、「反応」及び「出力」を繰り返す。第1のリアクター、第2のリアクター、第3のリアクター内で予め設定された反応(例えば、インキュベーション)を完了するのに必要な時間は5分間であってもよい。インキュベーション待ちの生体サンプルを第1のリアクター、第2のリアクター又は第3のリアクターに完全に移入するのに必要な時間を5分間とし、インキュベーション完了後の生体サンプルを第1のリアクター、第2のリアクター、第3のリアクターから完全に移出するのに必要な時間を5分間とするようにポンピングシステムを設定することができる。このようにして、第1のリアクター、第2のリアクター及び第3のリアクターでインキュベーションを交互に完了し、また、第1のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第2のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔はゼロであり、第2のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第3のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔はゼロであり、第3のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第1のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔はゼロである。言い換えれば、この場合において、リアクターアレイを全体として、インキュベーション後の生体サンプルを中断なく、連続的に出力する。例えば、T2から開始する各時間帯内で、第1のリアクター、第2のリアクター及び第3のリアクターは、反応後の生体サンプルを交互に排出する。
【0046】
一実施形態において、リアクターから前回の反応を完了した生体サンプルを排出した後、次回の生体サンプルの入力を行うために、リアクターの内部を洗浄する必要がある。リアクターの内部の洗浄は、液体又は気体(例えば、不活性気体)を使用したリアクターの内部の洗浄を含んでもよい。当該3つのリアクターに対する入力、反応、出力、洗浄操作の処理タイミングは表4に示される。
【0047】
【表4】
【0048】
一実例において、時間帯T0、T1、T2…はそれぞれ例えば5分間であってもよい。表4の操作タイミングから分かるように、T0及びT1の2つの初期時間帯を除いて、第1のリアクター、第2のリアクター及び第3のリアクター在隣接するタイミングでそれぞれ「入力」、「反応」及び「出力+洗浄」を繰り返す。第1のリアクター、第2のリアクター、第3のリアクター内で予め設定された反応(例えば、インキュベーション)を完了するのに必要な時間は5分間であってもよい。インキュベート待ちの生体サンプルを第1のリアクター~第3のリアクターのそれぞれに完全に移入するのに必要な時間を5分間とし、インキュベーション完了後の生体サンプルを第1のリアクター~第3のリアクターのそれぞれから完全に移出するのに必要な時間を4分間とするようにポンピングシステムを設定することができる。第1のリアクター~第3のリアクターのそれぞれを洗浄するのに必要な時間は1分間であってもよい。このようにして、第1のリアクター、第2のリアクター及び第3のリアクターでインキュベーションを交互に完了し、また、第1のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第2のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔は1分間であり、第2のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第3のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔は1分間であり、第3のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第1のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔は1分間である。言い換えれば、この場合において、リアクターアレイを全体として、1分間おきにインキュベートした生体サンプルを4分間出力する。
【0049】
別の実施形態において、リアクターから前回の反応を完了した生体サンプルを排出した後、次回の生体サンプルの入力を行うために、リアクターの内部を洗浄する必要がある場合、当該3つのリアクターに対する入力、反応、出力、洗浄操作の処理タイミングは更に表5に示される。
【0050】
【表5】
【0051】
一実例において、時間帯T0、T1、T2…はそれぞれ例えば5分間であってもよい。表5の操作タイミングから分かるように、T0及びT1の2つの初期時間帯を除いて、第1のリアクター、第2のリアクター及び第3のリアクターは、隣接するタイミングでそれぞれ「洗浄+入力」、「反応」及び「出力」を繰り返す。第1のリアクター、第2のリアクター、第3のリアクター内で予め設定された反応(例えば、インキュベーション)を完了するのに必要な時間は5分間であってもよい。インキュベート待ちの生体サンプルを第1のリアクター~第3のリアクターのそれぞれに完全に移入するのに必要な時間を4分間とし、インキュベーション完了後の生体サンプルを第1のリアクター~第3のリアクターのそれぞれから完全に移出するのに必要な時間を5分間とするようにポンピングシステムを設定することができる。第1のリアクター~第3のリアクターのそれぞれを洗浄するのに必要な時間は1分間であってもよい。このようにして、第1のリアクター、第2のリアクター及び第3のリアクターでインキュベーションを交互に完了し、また、第1のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第2のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔はゼロであり、第2のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第3のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔はゼロであり、第3のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第1のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔はゼロである。言い換えれば、この場合において、リアクターアレイを全体として、インキュベートした生体サンプルを連続的に出力する。
【0052】
更なる実施形態において、リアクターから前回の反応を完了した生体サンプルを排出した後、次回の生体サンプルの入力を行うために、リアクターの内部を洗浄する必要がある場合、当該3つのリアクターに対する入力、反応、出力、洗浄操作の処理タイミングは更に表6に示される。
【0053】
【表6】
【0054】
一実例において、時間帯T0、T1、T2…はそれぞれ例えば5分間であってもよい。从表6の操作タイミングから分かるように、T0及びT1の2つの初期時間帯を除いて、第1のリアクター、第2のリアクター及び第3のリアクターは、隣接するタイミングでそれぞれ「入力」、「反応」、「出力」及び「洗浄」を繰り返す。第1のリアクター、第2のリアクター、第3のリアクター内で予め設定された反応(例えば、インキュベーション)を完了するのに必要な時間は5分間であってもよい。インキュベート待ちの生体サンプルを第1のリアクター~第3のリアクターのそれぞれに完全に移入するのに必要な時間を5分間とし、インキュベーション完了後の生体サンプルを第1のリアクター~第3のリアクターのそれぞれから完全に移出するのに必要な時間を5分間とするようにポンピングシステムを設定することができる。第1のリアクター~第3のリアクターのそれぞれを洗浄するのに必要な時間は5分間であるか、又は5分間未満であってもよい。このようにして、第1のリアクター、第2のリアクター及び第3のリアクターでインキュベーションを交互に完了し、また、第1のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第2のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔はゼロであり、第2のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第3のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔はゼロであり、第3のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第1のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔は5分間である。言い換えれば、この場合において、リアクターアレイを全体として、5分間おきにインキュベートした生体サンプルを15分間連続的に出力する。
【0055】
表5及び表6の実例の説明を参照すると、追加処理(例えば、上記で説明した洗浄、又はリアクター内の反応環境パラメータの検出及び確認)を必要とする場合、当該追加処理を、「入力」、「反応」及び「出力」の3つの基本的な処理の何れか1つと組み合わせて処理するか、又は単独で処理することができ、本開示に記載の「第1のリアクターから所定処理された生体サンプルを排出する完了時間と、第1のリアクターの直後にある第2のリアクターから所定処理された生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔が所定の時間帯未満である」ことを達成する。
【0056】
一実例において、本開示にかかる生体サンプルを処理するためのシステムにおけるリアクターアレイは、4つのリアクターを含んでもよい。4つのリアクターのそれぞれのために単独の生体サンプル源、単独のポンピングシステム及び単独の生体サンプルコレクターをそれぞれ設置することができる。4つのリアクターのために共通の生体サンプル源、共通のポンピングシステム及び共通の生体サンプルコレクターを設置することもできる。一実施形態において、当該4つのリアクターに対する入力、反応及び出力操作の処理タイミングは表7に示される。
【0057】
【表7】
【0058】
一実例において、時間帯T0、T1、T2…はそれぞれ例えば5分間であってもよい。表7の操作タイミングから分かるように、T0~T2の3つの初期時間帯を除いて、第1のリアクター~第4のリアクターは、隣接するタイミングでそれぞれ「入力」、「1/2反応時間」、「全部反応時間」及び「出力」を繰り返す。第1のリアクター~第4のリアクター内で予め設定された反応(例えば、インキュベーション)を完了するのに必要な時間は10分間であってもよい。インキュベート待ちの生体サンプルを第1のリアクター~第4のリアクターのそれぞれに完全に移入するのに必要な時間を5分間とし、インキュベーション完了後の生体サンプルを第1のリアクター~第4のリアクターのそれぞれから完全に移出するのに必要な時間を5分間とするようにポンピングシステムを設定することができる。このようにして、第1のリアクター~第4のリアクターでインキュベーションを交互に完了し、また、第1のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第2のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔はゼロであり、第2のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第3のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔はゼロであり、第3のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と開始从第4のリアクター排出インキュベートした生体サンプル的時間との間の時間間隔はゼロであり、第4のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第1のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔はゼロである。言い換えれば、この場合において、リアクターアレイを全体として、インキュベーション後の生体サンプルを中断なく、連続的に出力する。例えば、T3から開始する各時間帯内で、第1のリアクター、第2のリアクター、第3のリアクター及び第4のリアクターは、反応後の生体サンプルを交互に排出する。
【0059】
一実例において、本開示にかかる生体サンプルを処理するためのシステムにおけるリアクターアレイは、5つのリアクターを含んでもよい。5つのリアクターのそれぞれのために単独の生体サンプル源、単独のポンピングシステム及び単独の生体サンプルコレクターをそれぞれ設置することができる。5つのリアクターのために共通の生体サンプル源、共通のポンピングシステム及び共通の生体サンプルコレクターを設置することもできる。一実施形態において、当該5つのリアクターに対する入力、反応及び出力操作の処理タイミングは表8に示される。
【0060】
【表8】
【0061】
一実例において、時間帯T0、T1、T2…はそれぞれ例えば2分間であってもよい。表8の操作タイミングから分かるように、T0~T3の3つの初期時間帯を除いて、第1のリアクター~第5のリアクターは、隣接するタイミングでそれぞれ「入力」、「1/3反応時間」、「2/3反応時間」、「全部反応時間」及び「出力」を繰り返す。第1のリアクター~第5のリアクター内で予め設定された反応(例えば、インキュベーション)を完了するのに必要な時間は6分間であってもよい。インキュベート待ちの生体サンプルを第1のリアクター~第5のリアクターのそれぞれに完全に移入するのに必要な時間を2分間とし、インキュベーション完了後の生体サンプルを第1のリアクター~第5のリアクターのそれぞれから完全に移出するのに必要な時間を2分間とするようにポンピングシステムを設定することができる。このようにして、第1のリアクター~第5のリアクターでインキュベーションを交互に完了し、また、第1のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第2のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔はゼロであり、第2のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第3のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔はゼロであり、第3のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と開始从第4のリアクター排出インキュベートした生体サンプル的時間との間の時間間隔はゼロであり、第4のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第5のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔はゼロであり、第5のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する完了時間と第1のリアクターからインキュベートした生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔はゼロである。言い換えれば、この場合において、リアクターアレイを全体として、インキュベーション後の生体サンプルを中断なく、連続的に出力する。例えば、T4から開始する各時間帯内で、第1のリアクター、第2のリアクター、第3のリアクター、第4のリアクター及び第5のリアクターは、反応後の生体サンプルを交互に排出する。
【0062】
上記の表1~表8で説明する例示的な実例を参照して分かるように、リアクターアレイにおける各リアクターでの予め設定された反応時間(例えば、反応の開始時間、終了時間)を調整することで、緊密に隣接する2つのリアクターでの予め設定された反応の完了時間の間の時間間隔を所定の時間帯未満にすることができる。例えば、各リアクター内で予め設定された反応を交互に実行し、反応後の生体サンプルを交互に排出することで、本開示に記載の「第1のリアクターから所定処理された生体サンプルを排出する完了時間と、第1のリアクターの直後にある第2のリアクターから所定処理された生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔が所定の時間帯未満である」ことを達成することができる。これは、リアクターアレイにおける各リアクターの容量、リアクター内で予め設定された反応を完了するのに必要な時間、生体サンプルを各リアクターに完全に移すのに必要な時間、生体サンプルを各リアクターから他の部品に完全に移すのに必要な時間、リアクター内で他の処理を行うのに必要な時間などのパラメータにおける少なくとも1つを調整して制御することで達成することができる。
【0063】
大容量リアクター(例えば、10L)を有する従来のシステムと比較して、本開示にかかる生体サンプルを処理するためのシステムは、2つ又はそれ以上の小容量のリアクター(例えば、1.5L)を有する。本開示にかかるシステムの各リアクター内で予め設定された反応を実行(例えば、開始及び完了)するタイミングは調整して制御されて、各リアクター内で予め設定された反応を交互に実行して完了し、反応後の生体サンプルを交互に排出する。システムでのインキュベーション反応を例として、少量の生体サンプルに対して昇温、降温操作を行うのに必要な時間は、多量の生体サンプルに対して同じ操作を行うのに必要な時間よりもはるかに小さいため、本開示にかかるシステムは、昇温-反応-降温という各循環の時間を加速するため、反応後の生体サンプルを排出する前の待ち時間を減少させる。幾つかの場合において、リアクターアレイを全体として、インキュベーション後の生体サンプルを中断なく、連続的に出力することを達成することができる。
【0064】
図4は、本開示にかかる生体サンプルを処理するための例示的な方法を示すフローチャートである。処理401において、温度調節部品を用いて生体サンプルの温度を第1の予め設定された温度に変化させる。これは、ポンピングシステムを用いて、処理される生体サンプルを生体サンプル源から温度調節部品の加熱装置に流すことで達成することができる。例えば、温度調節部品の加熱装置は、温度制御装置の制御下で所定の時間帯内(例えば、10秒未満)で処理される生体サンプルを第1の予め設定された温度(例えば、65℃)に加熱する。処理402において、加熱後の生体サンプルを温度調節部品からリアクターアレイに流す。リアクターアレイは、2つ又はそれ以上のリアクターを含んでもよく、これらのリアクターは並列接続されるように設置されてもよい。各リアクターは、生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された生体サンプルを排出するように構成された出力端を有する。幾つかの場合において、入力端及び出力端は同一のポートであってもよく、当該ポートは、時分割多重化により、第1の時間帯内で入力ポートとして使用され、第2の時間帯内で出力ポートとして使用される。
【0065】
処理403において、生体サンプルにリアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターで少なくとも1つの処理を施す。一実例において、当該少なくとも1つの処理はインキュベーションを含む。幾つかの場合において、リアクターの反応条件(例えば、リアクターの容量、温度、圧力など)を調整することで、生体サンプルが予め設定された時間帯未満の時間以内で当該少なくとも1つの処理を完了することができる。当該予め設定された時間帯は5分間以下であってもよい。処理404において、処理された生体サンプルをリアクターアレイから温度調節部品に排出し、また、温度調節部品を用いて処理された生体サンプルの温度を第2の予め設定された温度に変化させる。これは、ポンピングシステムを用いて処理された生体サンプルをリアクターから温度調節部品の降温装置に流すことで達成することができる。例えば、温度調節部品の降温装置は、温度制御装置の制御下で所定の時間帯内(例えば、10秒未満)で処理された生体サンプルの温度を第2の予め設定された温度(例えば、2~8℃)に低下させることができる。上記のように、リアクターアレイにおける各リアクター内で交互に反応し、反応後の生体サンプルを交互に排出することで、第1のリアクターから所定処理された生体サンプルを排出する完了時間と、第1のリアクターの直後にある第2のリアクターから所定処理された生体サンプルを排出する開始時間との間の時間間隔が所定の時間帯未満であることを達成することができる。幾つかの場合において、本開示の上記に記載されるように、リアクターアレイを全体として、インキュベーション後の生体サンプルを中断なく、連続的に出力することを達成することができる。
【0066】
図4に示される本開示にかかる生体サンプルを処理する例示的な方法は、コンピュータシステムによって実行することができる。本開示は、本開示の内容の方法を実行するようにプログラムされたコンピュータシステムを更に提供する。図5は、本開示により提供されるサンプルの収集方法又はサンプルの処理方法を実施するプログラム又は他の方法で構成されたコンピュータシステム501を示す。コンピュータシステムは、本開示の内容の方法の各態様を協調することができる。コンピュータシステム501は、ユーザーの電子機器又は電子機器に対するリモートポジショニングのコンピュータシステムであってもよい。電子機器は、モバイル電子機器であってもよい。
【0067】
コンピュータシステム501は、中央処理装置(CPU、本明細書において「プロセッサ」及び「コンピュータプロセッサ」とも呼ばれる)505を含み、それは、シングルコア又はマルチコアプロセッサ又は並列処理のための複数のプロセッサであってもよい。コンピュータシステム501は、メモリ又はメモリ位置510(例えば、ランダムアクセスメモリ、読取専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶ユニット515(例えば、ハードディスク)、1つ又は複数の他のシステムと通信するための通信インタフェース520(例えば、ネットワークアダプター)及び周辺機器525を更に含み、例えば、キャッシュメモリ、その他のメモリ、データストレージ及び/又は電子ディスプレイアダプターである。メモリ510、記憶ユニット515、インタフェース520及び周辺機器525は、マザーボードなどの通信バス(実線)を介してCPU505と通信する。記憶ユニット515は、データを記憶するためのデータ記憶ユニット(又はデータメモリバンク)であってもよい。コンピュータシステム501は、通信インタフェース520を助けてコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)530に操作可能にカップリングすることができる。ネットワーク530は、インターネット、インターネット及び/又はエクストラネット、或いはイントラネット及び/又は与インターネットと通信するエクストラネットであってもよい。幾つかの場合において、ネットワーク530は、電気通信及び/又はデータネットワークであってもよい。ネットワーク530は、クラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にする1つ又は複数のコンピュータサーバーを含んでもよい。幾つかの場合において、ネットワーク530は、コンピュータシステム501の助けを借りてピアツーピアネットワークを実装することができ、前記ピアツーピアネットワークにより、コンピュータシステム501にカップリングされるデバイスがクライアント又はサーバーとして機能することができる。
【0068】
CPU505は、プログラム又はソフトウェアで具体化できる一連の機器可読命令を実行することができる。命令は、メモリ510などの記憶場所に記憶することができる。命令はCPU505に向けられ、その後、本開示の内容の方法を実装するためにプログラム又は他の方法でCPU505を構成することができる。CPU505によって実行される操作の例は、取得、復号化、実行及び書き戻しを含んでもよい。
【0069】
CPU505は、集積回路などの回路の一部であってもよい。システム501の1つ又は複数の他の部品は回路内に含まれてもよい。幾つかの場合において、回路は専用集積回路(ASIC)である。
【0070】
記憶ユニット515は、ドライバー、ライブラリー及び保存されたプログラムなどのファイルを記憶することができる。記憶ユニット515は、ユーザーの好み及びユーザープログラムなどのユーザーデータを記憶することができる。幾つかの場合において、コンピュータシステム501は、イントラネット又はインターネットを介してコンピュータシステム501と通信するリモートサーバーに位置するなど、コンピュータシステム501の外部に位置する1つ又は複数の追加のデータ記憶ユニットを含んでもよい。
【0071】
コンピュータシステム501は、ネットワーク530を介して1つ又は複数のリモートコンピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム501は、ユーザーのリモートコンピュータシステムと通信することができる。リモートコンピュータシステムの例は、パーソナルコンピュータ(例えば、ポータブルPC)、タブレットPC又はタブレットコンピュータ(例えば、Apple(登録商標) iPad(登録商標)、Samsung(登録商標) Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標) iPhone(登録商標)、Android対応デバイス、Blackberry(登録商標))又はパーソナルデジタルアシスタントを含むを含む。ユーザーは、ネットワーク530を介してコンピュータシステム501にアクセスすることができる。
【0072】
本明細書に記載の方法は、コンピュータシステム501の電子記憶場所(例えばメモリ510又は電子記憶ユニット515)に記憶された機器(例えば、コンピュータプロセッサ)実行可能なコードによって実装することができる。機器実行可能又は機器可読コードは、ソフトウェアの形式で提供することができる。使用中に、コードはプロセッサ505によって実行することができる。幾つかの場合において、プロセッサ505がすぐにアクセスできるように、記憶ユニット515からコードを検索し、メモリ510に記憶することができる。幾つかの場合において、電子記憶ユニット515を省略し、機器実行可能な命令をメモリ510に記憶することができる。
【0073】
コードは、当該コードの実行に適したプロセッサを備えた機器に用いられるようにプリコンパイルされ、構成されることができ、或いは実行時にコンパイルされることもできる。コードはプログラミング言語の形式で提供することができ、プログラミング言語を選択することで、コードはプリコンパイル又はリアルタイムコンパイル(as-compiled)の方法で実行することができる。
【0074】
本明細書により提供されるシステム及び方法の各態様(例えば、コンピュータシステム501)は、プログラミングで具体化することができる。技術の各態様は、通常、機器可読媒体にロードされるか又は機器可読媒体のタイプで具体化される機器(又はプロセッサ)実行可能なコード及び/又は関連データ形式の「製品」又は「成果物」と見なすことができる。機器実行可能なコードは、メモリ(例えば、読取専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)又はハードディスクなどの電子記憶ユニットに記憶されることができる。「記憶」タイプの媒体は、様々な半導体メモリ、磁気テープドライブ、ディスクドライブなど、いつでもソフトウェアプログラミングに非一時的な記憶を提供することができるコンピュータ、プロセッサなどの任意又は全ての有形メモリ、或いはその関連するモジュールを含んでもよい。ソフトウェアの全て又は一部は、インターネット又は他の様々な電気通信ネットワークを介して通信する場合がある。例えば、このような通信により、ソフトウェアを1つのコンピュータ又はプロセッサから別のコンピュータ又はプロセッサにロードすることができ、例えば、管理サーバー又はホストからアプリケーションサーバーのコンピュータプラットフォームにロードすることができる。従って、ソフトウェア部品をロードすることができる別のタイプの媒体は、有線及び光地上線ネットワーク及び様々なエアリンク(air-link)を介してローカルデバイスの間の物理インタフェースで使用される光波、電波及び電磁波などの、光波、電波及び電磁波を含む。例えば、有線又は無線リンク、光リンクなど、そのような波をキャリアする物理部品もソフトウェアをロードする媒体と見なすことができる。本明細書で使用されるように、非一時的な有形「記憶」媒体に限定されない限り、コンピュータ又は機器「可読媒体」などの用語は、実行するためにプロセッサに命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。
【0075】
従って、コンピュータ実行可能なコードなどの機器可読媒体は、有形記憶媒体、キャリア媒体又は物理的伝送媒体を含むが、これらに限定されない様々な形式を使用することができる。不揮発性記憶媒体は、例えば、図面に示されるデータベースを実装するための任意のコンピュータ内の任意の記憶デバイスなどの、光ディスク又は磁気ディスクなどを含む。揮発性記憶媒体は、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリなどのダイナミックメモリを含む。有形の伝送媒体は、同軸ケーブル、銅線、及びコンピュータシステム内のバスを構成する電線を含む光フィバーを含む。キャリア伝送媒体は、電気信号、電磁信号、或いは無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成される音波又は光波などの音波又は光波の形式を使用することができる。従って、コンピュータ可読媒体の一般的な形式は、ソフトディスク、フロッピーディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVD又はDVD-ROM、任意の他の光学媒体、穴あきダンボール磁気テープ、穴あきパターンの任意の他の物理的記憶媒体、RAM、ROM、PROM及びEPROM、FLASH-EPROM、任意の他の記憶チップ又はカートリッジ、データ又は命令を伝送するキャリア、そのようなキャリアを搬送する電気ケーブル又はリンク、或いはコンピュータがプログラミングコード及び/又はデータを読み取り可能な任意の他の媒体を含む。これらの形式のコンピュータ可読媒体の多くは、実行するために1つ又は複数の命令の1つ又は複数の配列をプロセッサに伝送することに関与することができる。
【0076】
コンピュータシステム501は、電子ディスプレイ535を含むか、又はそれと通信することができる。電子ディスプレイ535は、測定条件及びプロトコルなどを提供するためのユーザーインタフェース(UI)540を含む。UIの例は、グラフィカルユーザーインタフェース(GUI)及びwebに基づいたユーザーインタフェースを含むが、これらに限定されない。
【0077】
本開示は、以下の例示的なものであるが、限定されるものではない実施形態を提供する。
【0078】
1.生体サンプルを処理するためのシステムであって、
それを流した生体サンプルの温度を変化させるように構成された温度調節部品と、
前記温度調節部品にカップリングされるリアクターアレイと、を含み、前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、前記リアクターアレイにおける各リアクターは前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すように構成され、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力ポートを有し、
ここで、第1のリアクターからの前記処理された生体サンプルの排出の完了と第2のリアクターからの前記処理された生体サンプルの排出の開始との間の時間間隔を所定の時間帯未満にするように、前記2つ又はそれ以上のリアクターで前記処理を交互に実行し、前記第2のリアクターは前記リアクターアレイ内で前記第1のリアクターの直後にある。
【0079】
2.前記所定の時間帯は5分間未満である、実施形態1に記載のシステム。
【0080】
3.前記所定の時間帯は1分間未満である、実施形態2に記載のシステム。
【0081】
4.前記所定の時間帯は30秒未満である、実施形態3に記載のシステム。
【0082】
5.前記2つ又はそれ以上のリアクターは互いに並列接続される、実施形態1に記載のシステム。
【0083】
6.前記リアクターアレイにおける各リアクターの容積は5L以下である、実施形態1に記載のシステム。
【0084】
7.前記リアクターアレイにおける各リアクターの容積は3L以下である、実施形態6に記載のシステム。
【0085】
8.前記リアクターアレイにおける各リアクターの容積は1.5L以下である、実施形態7に記載のシステム。
【0086】
9.前記温度調節部品は、第1の時間帯内で前記生体サンプルの前記温度を第1の予め設定された温度に上昇させるように構成された第1の温度調節装置を含む、実施形態1に記載のシステム。
【0087】
10.前記第1の時間帯は5分間以下である、実施形態9に記載のシステム。
【0088】
11.前記第1の時間帯は1分間以下である、実施形態10に記載のシステム。
【0089】
12.前記温度調節部品は、第2の時間帯内で前記生体サンプルの前記温度を第2の予め設定された温度に低下させるように構成された第2の温度調節装置を含む、実施形態9に記載のシステム。
【0090】
13.前記第2の時間帯は5分間以下である、実施形態12に記載のシステム。
【0091】
14.前記第2の時間帯は1分間以下である、実施形態13に記載のシステム。
【0092】
15.各前記リアクターは、予め設定された処理温度で前記生体サンプルを処理するように構成される、実施形態1に記載のシステム。
【0093】
16.各前記リアクターに温度調整装置を設置する、実施形態15に記載のシステム。
【0094】
17.前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターはインキュベーターを含む、実施形態1に記載のシステム。
【0095】
18.前記生体サンプルは核酸を含む、実施形態1に記載のシステム。
【0096】
19.前記少なくとも1つの処理は核酸変性を含む、実施形態18に記載のシステム。
【0097】
20.前記温度調節部品にカップリングされる生体サンプル源を更に含む、実施形態1に記載のシステム。
【0098】
21.(i)前記生体サンプルを生体サンプル源から前記温度調節部品に移す、(ii)前記生体サンプルを前記温度調節部品から前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターに移す、及び(iii)前記生体サンプルを前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターから前記温度調節部品に移すという操作の少なくとも1つを実行するように構成されたポンピングシステムを更に含む、実施形態1に記載のシステム。
【0099】
22.前記リアクターアレイにカップリングされるセンシングシステムを更に含み、前記センシングシステムは、前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターの少なくとも1つのパラメータを感知するように構成される、実施形態1に記載のシステム。
【0100】
23.前記少なくとも1つのパラメータは、前記少なくとも1つのリアクター内の温度、圧力、生体サンプルの重量における少なくとも1つを含む、実施形態22に記載のシステム。
【0101】
24.前記リアクターアレイにカップリングされる廃液容器を更に含み、前記廃液容器は、前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターからの廃液を保存するように構成される、実施形態1に記載のシステム。
【0102】
25.前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターの内部を洗浄するように構成された洗浄装置を更に含む、実施形態1に記載のシステム。
【0103】
26.前記洗浄装置は、気体又は液体を用いて前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターの内部を洗浄する、実施形態25に記載のシステム。
【0104】
27.生体サンプルを処理するための方法であって、
温度調節部品を用いて生体サンプルの温度を第1の予め設定された温度に変化させることと、
前記生体サンプルを前記温度調節部品からリアクターアレイに流すことと、
前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクター内で前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すことと、
処理された前記生体サンプルを前記リアクターアレイから前記温度調節部品に排出し、前記温度調節部品を用いて処理された前記生体サンプルの温度を第2の予め設定された温度に変化させることと、を含み、
前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力端を有し、
ここで、第1のリアクターからの前記処理された生体サンプルの排出の完了と第2のリアクターからの前記処理された生体サンプルの排出の開始との間の時間間隔を所定の時間帯未満にするように、前記2つ又はそれ以上のリアクターで前記処理を交互に実行し、前記第2のリアクターは前記リアクターアレイ内で前記第1のリアクターの直後にある。
【0105】
28.前記所定の時間帯は5分間未満である、実施形態27に記載の方法。
【0106】
29.前記所定の時間帯は1分間未満である、実施形態28に記載の方法。
【0107】
30.前記所定の時間帯は30秒未満である、実施形態29に記載の方法。
【0108】
31.前記2つ又はそれ以上のリアクターは互いに並列接続される、実施形態27に記載の方法。
【0109】
32.前記リアクターアレイにおける各リアクターの容積は5L以下である、実施形態27に記載の方法。
【0110】
33.前記リアクターアレイにおける各リアクターの容積は3L以下である、実施形態32に記載の方法。
【0111】
34.前記リアクターアレイにおける各リアクターの容積は1.5L以下である、実施形態33に記載の方法。
【0112】
35.温度調節部品を用いて生体サンプルの温度を第1の予め設定された温度に変化させることは、前記温度調節部品の第1の温度調節装置を用いて第1の時間帯内で前記生体サンプルの前記温度を第1の予め設定された温度に上昇させることを含む、実施形態27に記載の方法。
【0113】
36.前記第1の時間帯は5分間以下である、実施形態35に記載の方法。
【0114】
37.前記第1の時間帯は1分間以下である、実施形態36に記載の方法。
【0115】
38.前記温度調節部品を用いて処理された前記生体サンプルの温度を第2の予め設定された温度に変化させることは、前記温度調節部品の第2の温度調節装置を用いて第2の時間帯内で前記生体サンプルの前記温度を第2の予め設定された温度に低下させることを含む、実施形態35に記載の方法。
【0116】
39.前記第2の時間帯は5分間以下である、実施形態38に記載の方法。
【0117】
40.前記第2の時間帯は1分間以下である、実施形態39に記載の方法。
【0118】
41.前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクター内で前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すことは、予め設定された処理温度で前記生体サンプルを処理することを含む、実施形態27に記載の方法。
【0119】
42.各前記リアクターに温度調整装置が設置される、実施形態41に記載の方法。
【0120】
43.前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターはインキュベーターを含む、実施形態27に記載の方法。
【0121】
44.前記生体サンプルは核酸を含む、実施形態27に記載の方法。
【0122】
45.前記少なくとも1つの処理は核酸変性を含む、実施形態44に記載の方法。
【0123】
46.前記生体サンプルを生体サンプル源から前記温度調節部品に移すことを更に含む、実施形態27に記載の方法。
【0124】
47.ポンピングシステムを用いて、(i)前記生体サンプルを生体サンプル源から前記温度調節部品に移す、(ii)前記生体サンプルを前記温度調節部品から前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターに移す、及び(iii)前記生体サンプルを前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターから前記温度調節部品に移すという操作の少なくとも1つを実行することを更に含む、実施形態27に記載の方法。
【0125】
48.前記リアクターアレイにカップリングされるセンシングシステムを用いて、前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターの少なくとも1つのパラメータを感知することを更に含む、実施形態27に記載の方法。
【0126】
49.前記少なくとも1つのパラメータは、前記少なくとも1つのリアクター内の温度、圧力、生体サンプルの重量における少なくとも1つを含む、実施形態48に記載の方法。
【0127】
50.更に前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターからの廃液を前記リアクターアレイにカップリングされる廃液容器に保存する、実施形態27に記載の方法。
【0128】
51.洗浄装置を用いて前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターの内部を洗浄することを更に含む、実施形態27に記載の方法。
【0129】
52.前記洗浄装置は、気体又は液体を用いて前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターの内部を洗浄する、実施形態51に記載の方法。
【0130】
53.生体サンプルを処理するためのシステムであって、1つ又は複数のプロセッサと、コンピュータ実行可能な命令が記憶された不揮発性メモリと、を含み、前記コンピュータ実行可能な命令を実行する際に、前記1つ又は複数のプロセッサは方法を実行し、前記方法は、
温度調節部品を用いて生体サンプルの温度を第1の予め設定された温度に変化させることと、
前記生体サンプルを前記温度調節部品からリアクターアレイに流すことと、
前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクター内で前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すことと、
処理された前記生体サンプルを前記リアクターアレイから前記温度調節部品に排出し、前記温度調節部品を用いて処理された前記生体サンプルの温度を第2の予め設定された温度に変化させることと、を含み、
前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力端を有し、
ここで、第1のリアクターからの前記処理された生体サンプルの排出の完了と第2のリアクターからの前記処理された生体サンプルの排出の開始との間の時間間隔を所定の時間帯未満にするように、前記2つ又はそれ以上のリアクターで前記処理を交互に実行し、前記第2のリアクターは前記リアクターアレイ内で前記第1のリアクターの直後にある。
【0131】
54.コンピュータ実行可能な命令が記憶された不揮発性メモリであって、前記コンピュータ実行可能な命令は、
温度調節部品を用いて生体サンプルの温度を第1の予め設定された温度に変化させるように命令するモジュールと、
前記生体サンプルを前記温度調節部品からリアクターアレイに流すように命令するモジュールと、
前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクター内で前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すように命令するモジュールと、
処理された前記生体サンプルを前記リアクターアレイから前記温度調節部品に排出し、前記温度調節部品を用いて処理された前記生体サンプルの温度を第2の予め設定された温度に変化させるように命令するモジュールと、を含み、
前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力端を有し、
ここで、第1のリアクターからの前記処理された生体サンプルの排出の完了と第2のリアクターからの前記処理された生体サンプルの排出の開始との間の時間間隔を所定の時間帯未満にするように、前記2つ又はそれ以上のリアクターで前記処理を交互に実行し、前記第2のリアクターは前記リアクターアレイ内で前記第1のリアクターの直後にある。
【0132】
55.生体サンプルを処理するためのシステムであって、
それを流した生体サンプルの温度を変化させるように構成された温度調節部品と、
前記温度調節部品にカップリングされるリアクターアレイと、を含み、前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、前記リアクターアレイにおける各リアクターは前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すように構成され、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力ポートを有し、
ここで、前記2つ又はそれ以上のリアクターにおける前記処理は、第1のリアクターにおける前記処理の完了と第2のリアクターにおける前記処理の完了との間の時間間隔を所定の時間帯未満にするように調整され、前記第2のリアクターは前記リアクターアレイ内で前記第1のリアクターの直後にある。
【0133】
56.生体サンプルを処理するための方法であって、
温度調節部品を用いて生体サンプルの温度を第1の予め設定された温度に変化させることと、
前記生体サンプルを前記温度調節部品からリアクターアレイに流すことと、
前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクター内で前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すことと、
処理された前記生体サンプルを前記リアクターアレイから前記温度調節部品に排出し、前記温度調節部品を用いて処理された前記生体サンプルの温度を第2の予め設定された温度に変化させることと、を含み、
前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力端を有し、
ここで、前記2つ又はそれ以上のリアクターにおける前記処理は、第1のリアクターにおける前記処理の完了と第2のリアクターにおける前記処理の完了との間の時間間隔を所定の時間帯未満にするように調整され、前記第2のリアクターは前記リアクターアレイ内で前記第1のリアクターの直後にある。
【0134】
57.生体サンプルを処理するためのシステムであって、
それを流した生体サンプルの温度を変化させるように構成された温度調節部品と、
前記温度調節部品にカップリングされるリアクターアレイと、を含み、前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力ポートを有し、ここで、前記2つ又はそれ以上のリアクターで前記処理を交互に実行し、前記リアクターアレイにおける各リアクターは、以下の予め設定された時間帯の時間以内で前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施するように構成される。
【0135】
58.前記所定の時間帯は10分間未満である、実施形態57に記載のシステム。
【0136】
59.前記所定の時間帯は5分間未満である、実施形態58に記載のシステム。
【0137】
60.前記2つ又はそれ以上のリアクターは互いに並列接続される、実施形態57に記載のシステム。
【0138】
61.前記リアクターアレイにおける各リアクターの容積は5L以下である、実施形態57に記載のシステム。
【0139】
62.前記リアクターアレイにおける各リアクターの容積は3L以下である、実施形態61に記載のシステム。
【0140】
63.前記リアクターアレイにおける各リアクターの容積は1.5L以下である、実施形態62に記載のシステム。
【0141】
64.前記温度調節部品は、第1の時間帯内で前記生体サンプルの前記温度を第1の予め設定された温度に上昇させるように構成された第1の温度調節装置を含む、実施形態57に記載のシステム。
【0142】
65.前記第1の時間帯は5分間以下である、実施形態64に記載のシステム。
【0143】
66.前記第1の時間帯は1分間以下である、実施形態65に記載のシステム。
【0144】
67.前記温度調節部品は、第2の時間帯内で前記生体サンプルの前記温度を第2の予め設定された温度に低下させるように構成された第2の温度調節装置を含む、実施形態64に記載のシステム。
【0145】
68.前記第2の時間帯は5分間以下である、実施形態67に記載のシステム。
【0146】
69.前記第2の時間帯は1分間以下である、実施形態68に記載のシステム。
【0147】
70.各前記リアクターは、予め設定された処理温度で前記生体サンプルを処理するように構成される、実施形態57に記載のシステム。
【0148】
71.各前記リアクターに温度調整装置が設置される、実施形態70に記載のシステム。
【0149】
72.前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターはインキュベーターを含む、実施形態57に記載のシステム。
【0150】
73.前記生体サンプルは核酸を含む、実施形態57に記載のシステム。
【0151】
74.前記少なくとも1つの処理は核酸変性を含む、実施形態73に記載のシステム。
【0152】
75.前記温度調節部品にカップリングされる生体サンプル源を更に含む、実施形態57に記載のシステム。
【0153】
76.(i)前記生体サンプルを生体サンプル源から前記温度調節部品に移す、(ii)前記生体サンプルを前記温度調節部品から前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターに移す、及び(iii)前記生体サンプルを前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターから前記温度調節部品に移すという操作の少なくとも1つを実行するように構成されたポンピングシステムを更に含む、実施形態57に記載のシステム。
【0154】
77.前記リアクターアレイにカップリングされるセンシングシステムを更に含み、前記センシングシステムは、前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターの少なくとも1つのパラメータを感知するように構成される、実施形態57に記載のシステム。
【0155】
78.前記少なくとも1つのパラメータは、前記少なくとも1つのリアクター内の温度、圧力、生体サンプルの重量における少なくとも1つを含む、実施形態77に記載のシステム。
【0156】
79.前記リアクターアレイにカップリングされる廃液容器を更に含み、前記廃液容器は、前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターからの廃液を保存するように構成される、実施形態57に記載のシステム。
【0157】
80.前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターの内部を洗浄するように構成された洗浄装置を更に含む、実施形態57に記載のシステム。
【0158】
81.前記洗浄装置は、気体又は液体を用いて前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターの内部を洗浄する、実施形態80に記載のシステム。
【0159】
82.生体サンプルを処理するための方法であって、
温度調節部品を用いて生体サンプルの温度を第1の予め設定された温度に変化させることと、
前記生体サンプルを前記温度調節部品からリアクターアレイに流すことと、
前記2つ又はそれ以上のリアクター内で交互に前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施し、ここで、前記少なくとも1つのリアクター内で以下の予め設定された時間帯の時間以内に前記生体サンプルに前記少なくとも1つの処理を施すことと、
処理された前記生体サンプルを前記リアクターアレイから前記温度調節部品に排出し、前記温度調節部品を用いて処理された前記生体サンプルの温度を第2の予め設定された温度に変化させることと、を含み、
前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力端を有する。
【0160】
83.前記所定の時間帯は10分間未満である、実施形態82に記載の方法。
【0161】
84.前記所定の時間帯は5分間未満である、実施形態83に記載の方法。
【0162】
85.前記2つ又はそれ以上のリアクターは互いに並列接続される、実施形態82に記載の方法。
【0163】
86.前記リアクターアレイにおける各リアクターの容積は5L以下である、実施形態82に記載の方法。
【0164】
87.前記リアクターアレイにおける各リアクターの容積は3L以下である、実施形態86に記載の方法。
【0165】
88.前記リアクターアレイにおける各リアクターの容積は1.5L以下である、実施形態87に記載の方法。
【0166】
89.温度調節部品を用いて生体サンプルの温度を第1の予め設定された温度に変化させることは、前記温度調節部品の第1の温度調節装置を用いて第1の時間帯内で前記生体サンプルの前記温度を第1の予め設定された温度に上昇させることを含む、実施形態82に記載の方法。
【0167】
90.前記第1の時間帯は5分間以下である、実施形態89に記載の方法。
【0168】
91.前記第1の時間帯は1分間以下である、実施形態90に記載の方法。
【0169】
92.前記温度調節部品を用いて処理された前記生体サンプルの温度を第2の予め設定された温度に変化させることは、前記温度調節部品の第2の温度調節装置を用いて第2の時間帯内で前記生体サンプルの前記温度を第2の予め設定された温度に低下させることを含む、実施形態89に記載の方法。
【0170】
93.前記第2の時間帯は5分間以下である、実施形態92に記載の方法。
【0171】
94.前記第2の時間帯は1分間以下である、実施形態93に記載の方法。
【0172】
95.前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクター内で前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施すことは、予め設定された処理温度で前記生体サンプルを処理することを含む、実施形態82に記載の方法。
【0173】
96.各前記リアクターに温度調整装置が設置される、実施形態95に記載の方法。
【0174】
97.前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターはインキュベーターを含む、実施形態82に記載の方法。
【0175】
98.前記生体サンプルは核酸を含む、実施形態82に記載の方法。
【0176】
99.前記少なくとも1つの処理は核酸変性を含む、実施形態98に記載の方法。
【0177】
100.前記生体サンプルを生体サンプル源から温度調節部品に移すことを更に含む、実施形態82に記載の方法。
【0178】
101.実施形態100に記載の方法ポンピングシステムを用いて、(i)前記生体サンプルを生体サンプル源から前記温度調節部品に移す、(ii)前記生体サンプルを前記温度調節部品から前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターに移す、及び(iii)前記生体サンプルを前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターから前記温度調節部品に移すという操作の少なくとも1つを実行することを更に含む。
【0179】
102.前記リアクターアレイにカップリングされるセンシングシステムを用いて、前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターの少なくとも1つのパラメータを感知することを更に含む、実施形態82に記載の方法。
【0180】
103.前記少なくとも1つのパラメータは、前記少なくとも1つのリアクター内の温度、圧力、生体サンプルの重量における少なくとも1つを含む、実施形態102に記載の方法。
【0181】
104.更に前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターからの廃液を前記リアクターアレイにカップリングされる廃液容器に保存する、実施形態82に記載の方法。
【0182】
105.洗浄装置を用いて前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターの内部を洗浄することを更に含む、実施形態82に記載の方法。
【0183】
106.前記洗浄装置は、気体又は液体を用いて前記リアクターアレイにおける少なくとも1つのリアクターの内部を洗浄する、実施形態105に記載の方法。
【0184】
107.生体サンプルを処理するためのシステムであって、1つ又は複数のプロセッサと、コンピュータ実行可能な命令が記憶された不揮発性メモリと、を含み、前記コンピュータ実行可能な命令を実行する際に、前記1つ又は複数のプロセッサは方法を実行し、前記方法は、
温度調節部品を用いて生体サンプルの温度を第1の予め設定された温度に変化させることと、
前記生体サンプルを前記温度調節部品からリアクターアレイに流すことと、
前記2つ又はそれ以上のリアクター内で交互に前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施し、ここで、前記少なくとも1つのリアクター内で以下の予め設定された時間帯の時間以内に前記生体サンプルに前記少なくとも1つの処理を施すことと、
処理された前記生体サンプルを前記リアクターアレイから前記温度調節部品に排出し、前記温度調節部品を用いて処理された前記生体サンプルの温度を第2の予め設定された温度に変化させることと、を含み、
前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力端を有する。
【0185】
108.コンピュータ実行可能な命令が記憶された不揮発性メモリであって、前記コンピュータ実行可能な命令は、
温度調節部品を用いて生体サンプルの温度を第1の予め設定された温度に変化させるように命令するモジュールと、
前記生体サンプルを前記温度調節部品からリアクターアレイに流すように命令するモジュールと、
前記2つ又はそれ以上のリアクター内で交互に前記生体サンプルに少なくとも1つの処理を施し、ここで、前記少なくとも1つのリアクター内で以下の予め設定された時間帯の時間以内に前記生体サンプルに前記少なくとも1つの処理を施すように命令するモジュールと、
処理された前記生体サンプルを前記リアクターアレイから前記温度調節部品に排出し、前記温度調節部品を用いて処理された前記生体サンプルの温度を第2の予め設定された温度に変化させるように命令するモジュールと、
前記リアクターアレイは2つ又はそれ以上のリアクターを含み、各前記リアクターは、前記生体サンプルを受け取るように構成された入力ポート及び処理された前記生体サンプルを排出するように構成された出力端を有する。
【0186】
本明細書に本開示の好ましい実施形態を示して説明したが、当業者にとって明らかに、これらの実施形態は、例示的にのみ提供される。当業者であれば、本開示から逸脱することなく、多くの変化、変更及び置換を想到することができる。本明細書に説明された本開示の実施形態の様々な代替方法は本開示の実施に使用できると理解されるべきである。以下の請求項によって本開示の範囲を限定し、それによりこれらの請求項の範囲内の方法、構造及びそれらの等価物をカバーすることを目的とする。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
【国際調査報告】