(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-04-11
(54)【発明の名称】カルボキシ官能性を有する有機ケイ素化合物の調製
(51)【国際特許分類】
C08G 77/14 20060101AFI20250404BHJP
C08G 77/38 20060101ALI20250404BHJP
C08G 77/08 20060101ALI20250404BHJP
C07F 7/18 20060101ALI20250404BHJP
C07F 7/21 20060101ALI20250404BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20250404BHJP
【FI】
C08G77/14
C08G77/38
C08G77/08
C07F7/18 X
C07F7/21
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024552396
(86)(22)【出願日】2023-02-16
(85)【翻訳文提出日】2024-09-03
(86)【国際出願番号】 US2023062690
(87)【国際公開番号】W WO2023183682
(87)【国際公開日】2023-09-28
(32)【優先日】2022-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】モリトール、エーリヒ
(72)【発明者】
【氏名】フィスク、ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】マール、ライアン
(72)【発明者】
【氏名】デヴォア、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン、ロバート
【テーマコード(参考)】
4H039
4H049
4J246
【Fターム(参考)】
4H039CA62
4H039CF10
4H049VN01
4H049VP02
4H049VP03
4H049VP04
4H049VQ02
4H049VQ23
4H049VQ79
4H049VQ87
4H049VR22
4H049VR23
4H049VR41
4H049VR42
4H049VS02
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4H049VU27
4H049VU28
4H049VV02
4H049VW02
4J246AA03
4J246BA020
4J246BA02X
4J246BA290
4J246BA29X
4J246BA370
4J246BB020
4J246BB021
4J246BB02X
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4J246CA34U
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4J246CA570
4J246CA57M
4J246CA57U
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4J246CA580
4J246CA58M
4J246CA58X
4J246FA281
4J246FA291
4J246FA321
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4J246FA342
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4J246FA471
4J246FA572
4J246FC152
4J246FC291
4J246FE26
4J246FE27
4J246FE33
4J246FE35
4J246GA11
4J246HA21
4J246HA34
4J246HA42
4J246HA52
4J246HA53
4J246HA56
(57)【要約】
カルボキシ官能基を有する有機ケイ素化合物が調製される。アルデヒド官能性有機ケイ素化合物と酸素源とを化合させる酸化プロセスによって、カルボキシ官能性有機ケイ素化合物が生成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスであって、
I)酸化反応が行われる条件下で、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物及び酸素源を含む出発物質を化合させ、それによって、カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を含む酸化反応生成物を形成すること、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物が、式:R
Ald
xSiR
4
(4-x)のアルデヒド官能性シランを含み、式中、各R
Aldが、独立して選択される3~9個の炭素原子のアルデヒド基
【化1】
であり、Gが、脂肪族不飽和を含まない2~8個の炭素原子の直鎖状又は分岐状の二価の炭化水素基であり、各R
4が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xが、1~4である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物が、単位式:(R
4
3SiO
1/2)
a(R
4
2R
AldSiO
1/2)
b(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
AldSiO
2/2)
d(R
4SiO
3/2)
e(R
AldSiO
3/2)
f(SiO
4/2)
g(ZO
1/2)
hのアルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンを含み、式中、各R
Aldが、独立して選択される3~9個の炭素原子のアルデヒド基であり、各R
4が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ基からなる群から選択され、各Zが、独立して、水素原子及びR
5からなる群から選択され、各R
5が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgが、単位式中の各単位の数を表し、かつ下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0となるような値を有し、下付き文字hが、0≦h/(e+f+g)≦1.5となるような値を有するが、但し、e=f=g=0である場合、h≧0、10,000≧(a+b+c+d+e+f+g)≧2、かつ数量(b+d+f)≧1である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンが、
i)(R
4R
AldSiO
2/2)
d(式中、下付き文字dが、3~12である)、(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
AldSiO
2/2)
d(式中、cが、>0~6であり、dが、3~12である)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される単位式を有する環状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン、
ii)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
a(R
4
2R
AldSiO
1/2)
b(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
AldSiO
2/2)
dを含む直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、数量(a+b)=2、数量(b+d)≧1、かつ数量(a+b+c+d)≧2である、直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン、
iii)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
mm(R
4
2R
AldSiO
1/2)
nn(SiO
4/2)
oo(ZO
1/2)
hを含むアルデヒド官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、式中、下付き文字mm、nn、及びooが、前記ポリオルガノシリケート樹脂中の各単位のモル百分率を表し、下付き文字mm、nn、及びooが、mm≧0、nn≧0、oo>0、かつ0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する、アルデヒド官能性ポリオルガノシリケート樹脂、
iv)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
a(R
4
2R
AldSiO
1/2)
b(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
AldSiO
2/2)
d(R
4SiO
3/2)
e(R
AldSiO
3/2)
f(ZO
1/2)
hを含むアルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂であって、式中、f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である、アルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂、
v)単位式:R
AldSiR
12
3を含む分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、各R
12が、R
13及び-OSi(R
14)
3から選択され、各R
13が、一価の炭化水素基であり、各R
14が、R
13、-OSi(R
15)
3、及び-[OSiR
13
2]
iiOSiR
13
3から選択され、各R
15が、R
13、-OSi(R
16)
3、及び-[OSiR
13
2]
iiOSiR
13
3から選択され、各R
16が、R
13及び-[OSiR
13
2]
iiOSiR
13
3から選択され、下付き文字iiが、0≦ii≦100となるような値を有するが、但し、R
12のうちの少なくとも2つが-OSi(R
14)
3であることを条件とする、分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン、
vi)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
q(R
4
2R
AldSiO
1/2)
r(R
4
2SiO
2/2)
s(SiO
4/2)
tを含むQ型分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーであって、式中、下付き文字q、r、s、及びtが、2≧q≧0、4≧r≧0、995≧s≧4、t=1、(q+r)=4となるような平均値を有し、(q+r+s+t)が、回転粘度計(試験方法とともに以下に記載される)によって測定される170mPa・s超の粘度をQ型分岐状ポリオルガノシロキサンに付与するのに十分な値を有する、Q型分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマー、
vii)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
aa(R
AldR
4
2SiO
1/2)
bb(R
4
2SiO
2/2)
cc(R
AldR
4SiO
2/2)
ee(R
4SiO
3/2)
ddを含むT型分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、下付き文字aa≧0であり、下付き文字bb>0であり、下付き文字ccは15~995であり、下付き文字dd>0であり、かつ下付き文字ee≧0である、T型分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン、からなる群から選択される、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
各R
Aldが、独立して、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、及びヘプチルアルデヒドからなる群から選択される、請求項2~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
各R
4が、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択される、請求項2~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
II)平衡化触媒の存在下で、前記カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を環状ポリジオルガノシロキサンで平衡化することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
工程I)の前に、ヒドロホルミル化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、出発材料を化合させることを含むプロセスによって、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を形成することを更に含み、前記出発材料が、
(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、
(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、
(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒と、を含み、前記ビスホスファイト配位子が、式:
【化2】
を有し、式中、
R
6及びR
6’が、各々独立して、水素、1~20個の炭素原子のアルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及び1~20個の炭素原子のアルコキシ基からなる群から選択され、
R
7及びR
7’が、各々独立して、3~20個の炭素原子のアルキル基、及び式-SiR
17
3(式中、各R
17が、独立して選択される1~20個の炭素原子の一価の炭化水素基である)の基からなる群から選択され、
R
8、R
8’、R
9、及びR
9’が、各々独立して、水素、アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及びアルコキシ基からなる群から選択され、
R
10、R
11、及びR
11’が、各々独立して、水素又は及びアルキル基からなる群から選択され、それによって、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物を形成し、
任意選択で、工程I)の前に、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記酸素源が、空気、酸素ガス、及び過酸化物化合物からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記酸素源が、3psia(20kPa)~100psia(690kPa)の分圧で使用される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
工程I)における前記出発物質が、酸化反応触媒、溶媒、並びに前記酸化反応触媒及び前記溶媒の両方からなる群から選択される追加の物質を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記酸化反応触媒が存在し、Co、Cu、Mn、Ni、Rh、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される金属を含む遷移金属錯体を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記酸化反応触媒が存在し、N-ヒドロキシ官能基を含む有機触媒を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
前記酸化反応触媒が、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物からのアルデヒド官能基のモル数に基づいて0.001~1モル%の量で存在する、請求項11~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記溶媒が存在し、ケトン、エステル、カルボン酸、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項11~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
請求項2に記載のプロセスによって調製されるカルボキシ官能性有機ケイ素化合物であって、式:R
Car
xSiR
4
(4-x)のカルボキシ官能性シランを含み、式中、各R
Carが、独立して選択される3~9個の炭素原子のカルボキシ官能基であり、各R
4が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xが、1~4である、カルボキシ官能性有機ケイ素化合物。
【請求項17】
請求項3に記載のプロセスによって調製されるカルボキシ官能性有機ケイ素化合物であって、単位式:(R
4
3SiO
1/2)
a(R
4
2R
CarSiO
1/2)
b(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
CarSiO
2/2)
d(R
4SiO
3/2)
e(R
CarSiO
3/2)
f(SiO
4/2)
g(ZO
1/2)
hのカルボキシ官能性ポリオルガノシロキサンを含み、式中、各R
Carが、独立して選択される3~9個の炭素原子のカルボキシ官能基であり、各R
4が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ基からなる群から選択され、各Zが、独立して、水素原子及びR
5からなる群から選択され、各R
5が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgが、単位式中の各単位の数を表し、かつ下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0となるような値を有し、下付き文字hが、0≦h/(e+f+g)≦1.5となるような値を有するが、但し、e=f=g=0である場合、h≧0、10,000≧(a+b+c+d+e+f+g)≧2、かつ数量(b+d+f)≧1である、カルボキシ官能性有機ケイ素化合物。
【請求項18】
前記カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサンが、
i)(R
4R
CarSiO
2/2)
d(式中、下付き文字dが、3~12である)、(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
CarSiO
2/2)
d(式中、cが、>0~6であり、dが、3~12である)からなる群から選択される単位式を有する環状カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサン、
ii)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
a(R
4
2R
CarSiO
1/2)
b(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
CarSiO
2/2)
dを含む直鎖状カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、数量(a+b)=2、数量(b+d)≧1、かつ数量(a+b+c+d)≧2である、直鎖状カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサン、
iii)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
mm(R
4
2R
CarSiO
1/2)
nn(SiO
4/2)
oo(ZO
1/2)
hを含むカルボキシ官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、式中、下付き文字mm、nn、及びooが、ポリオルガノシリケート樹脂中の各単位のモル百分率を表し、下付き文字mm、nn、及びooが、mm≧0、nn≧0、oo>0、かつ0.5≦(mm+nn)/oo≦4となるような平均値を有する、カルボキシ官能性ポリオルガノシリケート樹脂、
iv)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
a(R
4
2R
CarSiO
1/2)
b(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
CarSiO
2/2)
d(R
4SiO
3/2)
e(R
CarSiO
3/2)
f(ZO
1/2)
hを含むカルボキシ官能性シルセスキオキサン樹脂であって、式中、f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である、カルボキシ官能性シルセスキオキサン樹脂、並びに
単位式:R
CarSiR
12
3を含む分岐状カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、各R
12が、R
13及び-OSi(R
14)
3から選択され、各R
13が、一価の炭化水素基であり、各R
14が、R
13、-OSi(R
15)
3、及び-[OSiR
13
2]
iiOSiR
13
3から選択され、各R
15が、R
13、-OSi(R
16)
3、及び-[OSiR
13
2]
iiOSiR
13
3から選択され、各R
16が、R
13及び-[OSiR
13
2]
iiOSiR
13
3から選択され、下付き文字iiが、0≦ii≦100となるような値を有するが、但し、R
12のうちの少なくとも2つが、-OSi(R
14)
3であることを条件とする、分岐状カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサン、
v)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
q(R
4
2R
CarSiO
1/2)
r(R
4
2SiO
2/2)
s(SiO
4/2)
tを含むQ型分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーであって、式中、下付き文字q、r、s、及びtが、2≧q≧0、4≧r≧0、995≧s≧4、t=1、(q+r)=4となるような平均値を有し、(q+r+s+t)が、回転粘度計(試験方法とともに以下に記載される)によって測定される170mPa・s超の粘度をQ型分岐状ポリオルガノシロキサンに付与するのに十分な値を有する、Q型分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマー、及び
vi)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
aa(R
CarR
4
2SiO
1/2)
bb(R
4
2SiO
2/2)
cc(R
CarR
4SiO
2/2)
ee(R
4SiO
3/2)
ddを含むT型分岐状カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、下付き文字aa≧0であり、下付き文字bb>0であり、下付き文字ccが15~995であり、下付き文字dd>0であり、かつ下付き文字ee≧0である、T型分岐状カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサン、からなる群から選択される、請求項17に記載のカルボキシ官能性有機ケイ素化合物。
【請求項19】
工程I)が、0~100℃の温度で実施される、請求項1~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
工程I)が、UV照射の存在下で行われる、請求項1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下、2022年3月21日に出願された米国仮特許出願第63/321,786号の利益を主張する。米国仮特許出願第63/321,786号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスが開示される。カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスは、アルケニル官能性有機ケイ素化合物を一酸化炭素及び水素でヒドロホルミル化し、続いて酸化することを用い得る。
【0003】
序論
カルボキシ官能性有機ケイ素化合物(シラン及びシロキサンなど)は、パーソナルケア市場及びホームケア市場において、皮膚軟化剤、保湿剤、担体、洗濯製品添加剤、織物処理製品添加剤、界面活性剤、潤滑剤、及び皮革処理製品添加剤などの用途に使用されている。しかしながら、カルボキシ官能性有機ケイ素化合物の商業的入手可能性は、合成が困難であり、コストが高いことから制限されてきた。
【0004】
カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を合成するための1つのアプローチは、水素化ケイ素(SiH)によるアクリル酸又はアクリル酸エステルのヒドロシリル化であった。Sommerの米国特許第2,589,445号には、有機ケイ素カルボン酸及びその生成について記載されている。合成に便利な方法...は、...であり、マロン酸のジエチルエステルをエタノール中でナトリウムエトキシドと反応させてソジオマロン酸エステルを生成する。次いで、この物質をハロゲン化アルキル(ハロゲノアルキルシラン)...と反応させる。次いで、このようにして得られた誘導体をアルカリ金属水酸化物で鹸化して二ナトリウム塩を得、次に、これを酸性化して二酸を得、これを加熱すると脱炭酸して1当量の二酸化炭素が失われる。この方法により、カルボン酸が得られる。Sommerの米国特許第2,589,447号には、米国特許第2,589,445号に記載されている化合物を更に変換して二酸ジシロキサンを生成することが記載されている。しかしながら、これらの方法は、非効率である及び/又は比較的多量の副生成物が生成されるという問題点に悩まされる。
【0005】
したがって、有機ケイ素産業の要求において、比較的高い純度、高い選択性、及び/又は低コストで種々のシラン及びシロキサン構造を有するカルボキシ官能性有機ケイ素化合物を調製するための比較的容易な合成方法に対する満たされていないニーズが存在する。
【発明の概要】
【0006】
カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスは、酸化反応が行われる条件下で、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物及び酸素源を含む出発物質を化合させ、それによって、カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を含む酸化反応生成物を形成することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0007】
アルデヒド官能性有機ケイ素化合物
カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスにおいて使用するのに好適なアルデヒド官能性有機ケイ素化合物は公知であり、Pettyの米国特許第4,424,392号、Francesらの米国特許第5,021,601号、Graiverらの米国特許第5,739,246号、Asirvathamの米国特許第7,696,294号、及びSuttonらの米国特許第7,999,053号、Francesの欧州特許出願公開第0392948(A1)号、及びKuhnleらのPCT特許出願公開第WO2006027074号に記載されているものなどの公知の方法によって作製され得る。
【0008】
代替的に、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、ヒドロホルミル化プロセスによって調製され得る。このヒドロホルミル化プロセスは、1)ヒドロホルミル化反応に触媒作用を及ぼす条件下で出発材料を化合させることであって、出発材料が、(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒などのヒドロホルミル化反応触媒と、を含み、それによって、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物を形成する、化合させることを含む。
【0009】
本明細書に記載されるヒドロホルミル化プロセスは、(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子触媒と、を含む出発材料を用いる。出発材料は、任意選択的に、(D)溶媒を更に含み得る。
【0010】
ヒドロホルミル化プロセスにおいて使用されるガスである出発材料(A)は、一酸化炭素(CO)及び水素ガス(H2)を含む。例えば、ガスは、合成ガスであり得る。本明細書で使用される場合、「合成ガス(syngas)」(合成ガス(synthesis gas)から)は、様々な量のCO及びH2を含有するガス混合物を指す。生成方法は、周知であり、例えば、(1)天然ガス又は液体炭化水素の水蒸気改質及び部分酸化、並びに(2)石炭及び/又はバイオマスのガス化、を含む。CO及びH2は、典型的には、合成ガスの主要構成成分であるが、合成ガスは、二酸化炭素、並びにCH4、N2、及びArなどの不活性ガスを含有し得る。H2のCOに対するモル比(H2:COモル比)は、大きく変化するが、1:100~100:1、代替的に1:10~10:1の範囲であり得る。シンガスは、市販されており、多くの場合、燃料源として又は他の化学物質を生成するための中間体として使用される。代替的に、他の供給源(すなわち、合成ガス以外)からのCO及びH2は、本明細書において出発材料(A)として使用され得る。代替的に、本明細書で使用するための出発材料(A)中のH2:COモル比は、3:1~1:3、代替的に2:1~1:2、代替的に1:1であり得る。
【0011】
アルケニル官能性有機ケイ素化合物は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した少なくとも1つのアルケニル基を有する。代替的に、アルケニル官能性有機ケイ素化合物は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した2つ以上のアルケニル基を有し得る。出発材料(B)は、1つのアルケニル官能性有機ケイ素化合物であり得る。代替的に、出発材料(B)は、互いに異なる2つ以上のアルケニル官能性有機ケイ素化合物を含み得る。例えば、アルケニル官能性有機ケイ素化合物は、(B1)シラン及び(B2)ポリオルガノシロキサンのうちの一方又は両方を含み得る。
【0012】
出発材料(B1)、アルケニル官能性シランは、式(B1-1):RA
xSiR4
(4-x)を有し得、式中、各RAは、独立して選択される2~8個の炭素原子のアルケニル基であり、各R4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xは、1~4である。代替的に、下付き文字xは、1又は2、代替的に2、代替的に1であり得る。代替的に、各R4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、1~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され得る。代替的に、各R4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子のアルコキシ官能基からなる群から選択され得る。代替的に、式(B1-1)中の各R4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され得る。
【0013】
RAのアルケニル基は、末端アルケニル官能基を有し得、例えば、RAは、式
【0014】
【化1】
を有し得、式中、下付き文字yは、0~6である。代替的に、各R
Aは、独立して、ビニル、アリル、及びヘキセニルからなる群から選択され得る。代替的に、各R
Aは、独立して、ビニル及びアリルからなる群から選択され得る。代替的に、各R
Aは、独立して、ビニル及びヘキセニルからなる群から選択され得る。代替的に、各R
Aは、ビニルであり得る。代替的に、各R
Aは、アリルであり得る。代替的に、各R
Aは、ヘキセニルであり得る。
【0015】
R4に好適なアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及び/又はイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、及び/又はイソブチルを含む)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル(及び5~18個の炭素原子を有する分岐状異性体)によって例示され、アルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどのシクロアルキル基によって更に例示される。代替的に、R4のアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、及びブチル、代替的に、メチル、エチル、及びプロピル、代替的に、メチル又はエチルからなる群から選択され得る。代替的に、R4のアルキル基は、メチルであり得る。
【0016】
R4に好適なアリール基は、単環式又は多環式であり得、ペンダントヒドロカルビル基を有し得る。例えば、R4のアリール基としては、フェニル、トリル、キシリル、及びナフチルが挙げられ、更に、ベンジル、1-フェニルエチル、及び2-フェニルエチルなどのアラルキル基が挙げられる。代替的に、R4のアリール基は、フェニル、トリル、又はベンジルなどの単環式であり得、代替的に、R4のアリール基は、フェニルであり得る。
【0017】
R4に好適な炭化水素オキシ官能基は、式-OR5又は式-OR3-OR5を有し得、式中、各R3は、独立して選択される1~18個の炭素原子の二価のヒドロカルビル基であり、各R5は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、これらは、R4について上記に記載及び例示されているとおりである。R3の二価のヒドロカルビル基の例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、若しくはヘキシレンなどのアルキレン基、フェニレンなどのアリーレン基、又は
【0018】
【化2】
などのアルキルアリーレン基が挙げられる。代替的に、R
3は、エチレンなどのアルキレン基であり得る。代替的に、炭化水素オキシ官能基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、又はブトキシなどのアルコキシ官能基、代替的にメトキシ又はエトキシ、代替的にメトキシであり得る。
【0019】
R4に好適なアシルオキシ基は、式
【0020】
【化3】
を有し得、式中、R
5は、上記のとおりである。好適なアシルオキシ基の例としては、アセトキシが挙げられる。アルケニル官能性アシルオキシシラン及びその調製方法は、当該技術分野、例えば、Rasmussenらの米国特許第5,387,706号及びLarsonらの米国特許第5,902,892号において公知である。
【0021】
好適なアルケニル官能性シランは、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエチルシラン、及びアリルトリメチルシランなどのアルケニル官能性トリアルキルシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、及びビニルトリス(メトキシエトキシ)シランなどのアルケニル官能性トリアルコキシシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、及びビニルメチルジエトキシシランなどのアルケニル官能性ジアルコキシシラン、トリビニルメトキシシランなどのアルケニル官能性モノアルコキシシラン、ビニルトリアセトキシシランなどのアルケニル官能性トリアシルオキシシラン、並びにビニルメチルジアセトキシシランなどのアルケニル官能性ジアシルオキシシランによって例示される。これらのアルケニル官能性シランは全て、Gelest Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)から市販されている。更に、アルケニル官能性シランは、Baileらの米国特許第4,898,961号及びDavernらの米国特許第5,756,796号に開示されているものなどの既知の方法によって調製され得る。
【0022】
代替的に、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物は、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンを含み得る。当該ポリオルガノシロキサンは、環状、直鎖状、分岐状、樹脂状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。当該ポリオルガノシロキサンは、単位式(B2-1):(R4
3SiO1/2)a(R4
2RASiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RASiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RASiO3/2)f(SiO4/2)g(ZO1/2)hを含み得、式中、RA及びR4は、上記のとおりであり、各Zは、独立して、水素原子及びR5(R5は、上記のとおりである)からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgは、式(B2-1)中の各単位の数を表し、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、かつ下付き文字g≧0であるような値を有し、数量(a+b+c+d+e+f+g)≧2であり、数量(b+d+f)≧1であり、下付き文字hは、0≦h/(e+f+g)≦1.5であるような値を有する。e=f=g=0である場合、h≧0である。同時に、数量(a+b+c+d+e+f+g)は、≦10,000であり得る。代替的に、式(B-2-1)中、各R4は、独立して、水素原子、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され得る。代替的に、各R4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子のアルコキシ官能基からなる群から選択され得る。代替的に、各R4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され得る。代替的に、各Zは、水素又は1~6個の炭素原子のアルキル基であり得る。代替的に、各Zは、水素であり得る。
【0023】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、1分子当たり少なくとも1つのアルケニル基、代替的に、少なくとも2個のアルケニル基(例えば、上記の式(B2-1)中、下付き文字e=f=g=0の場合)を有する(B2-2)直鎖状ポリジオルガノシロキサンを含み得る。例えば、当該ポリジオルガノシロキサンは、単位式(B2-3):(R4
3SiO1/2)a(RAR4
2SiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(RAR4SiO2/2)dを含み得、式中、RA及びR4は、上記のとおりであり、下付き文字aは、0、1、又は2であり、下付き文字bは、0、1、又は2、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0であり、但し、数量(b+d)≧1、数量(a+b)=2、かつ数量(a+b+c+d)≧2であることを条件とする。代替的に、単位式(B2-3)中、数量(a+b+c+d)は、少なくとも3、代替的に少なくとも4、代替的に>50であり得る。同時に、単位式(B2-3)中、数量(a+b+c+d)は、10,000以下、代替的に、4,000以下、代替的に、2,000以下、代替的に、1,000以下、代替的に、500以下、代替的に、250以下であり得る。代替的に、単位式(B2-3)中、各R4は、独立して、アルキル及びアリール、代替的に、メチル及びフェニルからなる群から選択され得る。代替的に、単位式(B2-3)中の各R4は、アルキル基であり得、代替的に、各R4は、メチルであり得る。
【0024】
代替的に、単位式(B2-3)のポリジオルガノシロキサンは、単位式(B2-4):(R4
2RASiO1/2)2(R4
2SiO2/2)m(R4RASiO2/2)n、単位式(B2-5):(R4
3SiO1/2)2(R4
2SiO2/2)o(R4RASiO2/2)p、又は(B2-4)と(B2-5)との両方の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0025】
式(B2-4)及び(B2-5)中、各R4及びRAは、上記のとおりである。下付き文字mは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字mは、少なくとも2であり得る。代替的に、下付き文字mは、2~2,000であり得る。下付き文字nは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字nは、0~2000であり得る。下付き文字oは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字oは、0~2000であり得る。下付き文字pは、少なくとも2である。代替的に、下付き文字pは、2~2000であり得る。
【0026】
出発材料(B2)は、i)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、iii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、iv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、v)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、vi)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、vii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、viii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、ix)ビス-フェニル、メチル、ビニル-シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、x)ビス-ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、xi)ビス-ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、xii)ビス-ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン、xiii)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、xiv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン、xv)ビス-ジメチルヘキセニル-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、xvi)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、xvii)ビス-ジメチルヘキセニル-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、xviii)ジメチルヘキセニル-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、及びxix)i)~xviii)のうちの2つ以上の組み合わせなどのアルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンを含み得る。
【0027】
出発材料(B2)のための上記の直鎖状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンの調製方法、例えば、対応するオルガノハロシラン及びオリゴマーの加水分解及び縮合、又は環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第3,284,406号、同第4,772,515号、同第5,169,920号、同第5,317,072号、及び同第6,956,087号を参照されたく、これらは、アルケニル基を有する直鎖状ポリジオルガノシロキサンの調製について開示している。アルケニル基を有する直鎖状ポリジオルガノシロキサンの例は、例えば、商品名DMS-V00、DMS-V03、DMS-V05、DMS-V21、DMS-V22、DMS-V25、DMS-V-31、DMS-V33、DMS-V34、DMS-V35、DMS-V41、DMS-V42、DMS-V43、DMS-V46、DMS-V51、DMS-V52でGelest Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)から市販されている。
【0028】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、環状、例えば、単位式(B2-1)中、下付き文字a=b=c=e=f=g=h=0の場合であり得る。環状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(B2-7):(R4RASiO2/2)dを有し得、式中、RA及びR4は、上記のとおりであり、下付き文字dは、3~12、代替的に3~6、代替的に4~5であり得る。環状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンの例としては、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニル-シクロトリシロキサン、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニル-シクロテトラシロキサン、2,4,6,8,10-ペンタメチル-2,4,6,8,10-ペンタビニル-シクロペンタシロキサン、及び2,4,6,8,10,12-ヘキサメチル-2,4,6,8,10,12-ヘキサビニル-シクロヘキサシロキサンが挙げられる。これらの環状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンは、当該技術分野において既知であり、例えば、Sigma-Aldrich(St.Louis,Missouri,USA)、Milliken(Spartanburg,South Carolina,USA)、及び他の業者から市販されている。
【0029】
代替的に、環状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(B2-8):(R4
2SiO2/2)c(R4RASiO2/2)dを有し得、式中、R4及びRAは、上記のとおりであり、下付き文字cは、>0~6であり、下付き文字dは、3~12である。代替的に、式(B2-8)中、cは、3~6であり得、dは、3~6であり得る。
【0030】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、オリゴマー、例えば、上記単位式(B2-1)中、数量(a+b+c+d+e+f+g)≦50、代替的に≦40、代替的に≦30、代替的に≦25、代替的に≦20、代替的に≦10、代替的に≦5、代替的に≦4、代替的に≦3である場合であり得る。オリゴマーは、環状、直鎖状、分岐状、又はこれらの組み合わせであり得る。環状オリゴマーは、出発材料(B2-6)として上記のとおりである。
【0031】
直鎖状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例は、式(B2-10):
【0032】
【化4】
を有し得、式中、R
4は、上記のとおりであり、各R
2は、独立して、R
4及びR
Aからなる群から選択されるが、但し、1分子当たり少なくとも1つのR
2は、R
Aであり、下付き文字zは、0~48であることを条件とする。直鎖状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例としては、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,1,1,3,3-ペンタメチル-3-ビニル-ジシロキサン、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ビニル-トリシロキサン(それらの全ては、例えば、Gelest,Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)又はSigma-Aldrich(St.Louis,Missouri,USA)から市販されている)が挙げられ得る。
【0033】
代替的に、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、分岐状であり得る。分岐状オリゴマーは、一般式(B2-11):RASiR12
3を有し得、式中、RAは、上記のとおりであり、各R12は、R13及び-OSi(R14)3から選択され、各R13は、一価の炭化水素基であり、各R14は、R13、-OSi(R15)3、及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、各R15は、R13、-OSi(R16)3、及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、各R16は、R13及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、下付き文字iiは、0≦ii≦100であるような値を有する。R12のうちの少なくとも2つは、-OSi(R14)3であり得る。代替的に、R12のうちの3つ全ては、-OSi(R14)3であり得る。
【0034】
代替的に、式(B2-11)中、各R12が-OSi(R14)3である場合、各R14は、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが次の構造:
【0035】
【化5】
(式中、R
A及びR
15は、上記のとおりである)を有するような-OSi(R
15)
3部分であり得る。代替的に、各R
15は、上記のようにR
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。
【0036】
代替的に、式(B2-11)中、各R12が-OSi(R14)3である場合、1つのR14は、各R12が-OSiR13(R14)2になるような各-OSi(R14)3におけるR13であり得る。代替的に、-OSiR13(R14)2中の2つのR14は、各々、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが次の構造:
【0037】
【化6】
(式中、R
A、R
13、及びR
15は、上記のとおりである)を有するような-OSi(R
15)
3部分であり得る。代替的に、各R
15は、R
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。
【0038】
代替的に、式(B2-11)中、1つのR12は、R13であり得、R12のうちの2つは、-OSi(R14)3であり得る。R12のうちの2つが-OSi(R14)3であり、1つのR14が各-OSi(R14)3中のR13である場合、R12のうちの2つは、-OSiR13(R14)2である。代替的に、-OSiR13(R14)2中の各R14は、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが次の構造:
【0039】
【化7】
(式中、R
A、R
13、及びR
15は、上記のとおりである)を有するような-OSi(R
15)
3であり得る。代替的に、各R
15は、R
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。代替的に、アルケニル官能性分岐状ポリオルガノシロキサンは、1分子当たり3~16個のケイ素原子、代替的に1分子当たり4~16個のケイ素原子、代替的に1分子当たり4~10個のケイ素原子を有し得る。アルケニル官能性分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例としては、式:
【0040】
【化8】
を有するビニル-トリス(トリメチル)シロキシ)シラン、
式
【0041】
【化9】
を有するメチル-ビニル-ジ((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シラン、
式
【0042】
【化10】
(Si10 Vi)を有するビニル-トリス((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シラン、および式
【0043】
【化11】
(Si10 Hex)を有する(ヘキサ-5-エン-1-イル)-トリス((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シランが挙げられる。上記の分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、Grandeらによる「Testing the Functional Tolerance of the Piers-Rubinsztajn Reaction:A new Strategy for Functional Silicones」Supplementary Material(ESI)for Chemical Communications、(著作権)The Royal Society of Chemistry 2010に開示されているものなどの既知の方法によって調製され得る。
【0044】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、上記の分岐状オリゴマー、及び/又は上記の分岐状オリゴマーよりも、例えば、1分子当たりより多くのアルケニル基及び/又はより多くのポリマー単位を有し得る分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサン(例えば、式(B2-1)中、数量(a+b+c+d+e+f+g)>50の場合)などの分岐状であり得る。分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、(式(B2-1)中)分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンに、0超~5mol%の三官能性単位及び/又は四官能性単位を提供するのに十分な数量(e+f+g)を有し得る。
【0045】
例えば、分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(B2-13):(R4
3SiO1/2)q(R4
2RASiO1/2)r(R4
2SiO2/2)s(SiO4/2)tのQ型分岐状ポリオルガノシロキサンを含み得、式中、R4及びRAは、上記のとおりであり、下付き文字q、r、s、及びtは、2≧q≧0、4≧r≧0、995≧s≧4、t=1、(q+r)=4であるような平均値を有し、(q+r+s+t)は、回転粘度計(試験方法とともに以下に記載される)によって測定される170mPa・s超の粘度を、分岐状ポリオルガノシロキサンに付与するのに十分な値を有する。代替的に、粘度は、170mPa・s超~1000mPa・s、代替的に170超~500mPa・s、代替的に180mPa・s~450mPa・s、代替的に190mPa・s~420mPa・sであってもよい。出発材料(B2-12)に好適なQ型分岐状ポリオルガノシロキサンは、当該技術分野において既知であり、Crayらの米国特許第6,806,339号及びCrayらの米国特許出願公開第2007/0289495号に開示されているものによって例示される、既知の方法によって作製され得る。
【0046】
代替的に、分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、式(B2-14):[RAR4
2Si-(O-SiR4
2)x-O](4-w)-Si-[O-(R4
2SiO)vSiR4
3]wを含み得、式中、RA及びR4は、上記のとおりであり、下付き文字v、w、及びxは、200≧v≧1、2≧w≧0、及び200≧x≧1であるような値を有する。代替的に、この式(B2-14)中、各R4は、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択され、各RAは、独立して、ビニル、アリル、及びヘキセニルからなる群から選択される。出発材料(B2-14)に好適な分岐状ポリオルガノシロキサンは、ポリオルガノシリケート樹脂と、環状ポリジオルガノシロキサン又は直鎖状ポリジオルガノシロキサンとを含む混合物を、酸又はホスファゼン塩基などの触媒の存在下で加熱し、その後触媒を中和するなどの既知の方法によって調製され得る。
【0047】
代替的に、出発材料(B2-11)のための分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(B2-15):(R4
3SiO1/2)aa(RAR4
2SiO1/2)bb(R4
2SiO2/2)cc(RAR4SiO2/2)ee(R4SiO3/2)ddのT型分岐状ポリオルガノシロキサン(シルセスキオキサン)を含み得、式中、R4及びRAは、上記のとおりであり、下付き文字aa≧0、下付き文字bb>0であり、下付き文字ccは、15~995であり、下付き文字dd>0、かつ下付き文字ee≧0である。下付き文字aaは、0~10であり得る。代替的に、下付き文字aaは、12≧aa≧0、代替的に、10≧aa≧0、代替的に、7≧aa≧0、代替的に、5≧aa≧0、代替的に、3≧aa≧0であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字bb≧1である。代替的に、下付き文字bb≧3である。代替的に、下付き文字bbは、12≧bb>0、代替的に、12≧bb≧3、代替的に、10≧bb>0、代替的に、7≧bb>1、代替的に、5≧bb≧2、代替的に、7≧bb≧3であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字ccは、800≧cc≧15、代替的に400≧cc≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字eeは、800≧ee≧0、800≧ee≧15、代替的に、400≧ee≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字eeは、0であり得る。代替的に、数量(cc+ee)は、995≧(cc+ee)≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字dd≧1である。代替的に、下付き文字ddは、1~10であり得る。代替的に、下付き文字ddは、10≧dd>0、代替的に、5≧dd>0、代替的に、dd=1であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字ddは、1~10であり得、代替的に、下付き文字ddは、1又は2であり得る。代替的に、下付き文字dd=1の場合、下付き文字bbは、3であり得、下付き文字ccは、0であり得る。下付き文字bbの値は、シルセスキオキサンの重量に基づいて、0.1%~1%、代替的に0.2%~0.6%のアルケニル含有量を有する単位式(B2-15)のシルセスキオキサンを提供するのに十分であり得る。出発材料(B2-15)のための好適なT型分岐状ポリオルガノシロキサン(シルセスキオキサン)は、Brownらの米国特許第4,374,967号、Enamiらの米国特許第6,001,943号、Nabetaらの米国特許第8,546,508号、及びEnamiの米国特許第10,155,852号において開示されているものによって例示される。
【0048】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、式RM
3SiO1/2の単官能性単位(「M」単位)及び式SiO4/2の四官能性シリケート単位(「Q」単位)を含む、アルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂を含み得、式中、各RMは、独立して選択される一価の炭化水素基であり、各RMは、独立して、上記のようなR4及びRAからなる群から選択され得る。代替的に、各RMは、アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択されてもよい。代替的に、各RMは、メチル、ビニル、及びフェニルから選択され得る。代替的に、RM基の少なくとも3分の1、代替的に少なくとも3分の2は、メチル基である。代替的に、M単位は、(Me3SiO1/2)、(Me2PhSiO1/2)、及び(Me2ViSiO1/2)によって例示され得る。ポリオルガノシリケート樹脂は、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、及びヘプタン等の液体炭化水素によって例示される、出発材料(D)として本明細書に記載されるものなどの溶媒中、又は低粘度直鎖状及び環状ポリジオルガノシロキサンなどの液体非官能性有機ケイ素化合物中で可溶性である。
【0049】
調製される場合、ポリオルガノシリケート樹脂は、上記のM単位及びQ単位を含み、ポリオルガノシロキサンは、ケイ素結合ヒドロキシル基、及び/又は上記の部分(ZO1/2)によって記載される加水分解性基を有する単位を更に含み、式Si(OSiRM
3)4のネオペンタマーを含み得、式中、RMは、上記のとおりであり、例えば、ネオペンタマーは、テトラキス(トリメチルシロキシ)シランであり得る。29Si NMR及び13C NMRスペクトル法を用いて、ヒドロキシル及びアルコキシ含有量、並びにM単位及びQ単位のモル比を測定することができ、当該比は、M単位及びQ単位をネオペンタマーから排除した{M(樹脂)}/{Q(樹脂)}として表される。M/Q比は、ポリオルガノシリケート樹脂の樹脂性部分のトリオルガノシロキシ基(M単位)の総数と、樹脂性部分中のシリケート基(Q単位)の総数とのモル比を表す。M:Q比は、0.5/1~1.5/1、代替的に0.6/1~0.9/1であり得る。
【0050】
ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、存在するRMによって表される炭化水素基の種類を含む様々な要因に依存する。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、ネオペンタマーを表すピークが測定値から除外されるとき、GPCを使用して測定される数平均分子量を指す。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、1,500Da~30,000Da、代替的に、1,500Da~15,000Da、代替的に、>3,000Da~8,000Daであり得る。代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、3,500Da~8,000Daであってもよい。
【0051】
米国特許第8,580,073号の第3欄の5行目~第4欄の31行目、及び米国特許出願公開第2016/0376482号の段落[0023]~[0026]は、MQ樹脂を開示するために参照により本明細書に組み込まれ、このMQ樹脂は、出発材料(B2)としての使用に好適なポリオルガノシリケート樹脂である。ポリオルガノシリケート樹脂は、対応するシランの共加水分解などの任意の好適な方法によって又はシリカヒドロゾルキャッピング法によって調製され得る。ポリオルガノシリケート樹脂は、Daudtらの米国特許第2,676,182号、Rivers-Farrellらの米国特許第4,611,042号、及びButlerらの米国特許第4,774,310号に開示されているものなどのシリカヒドロゲルキャッピングプロセスによって調製され得る。上記のDaudtらの方法は、酸性条件下でシリカヒドロゾルと、トリメチルクロロシランなどの加水分解性トリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサンなどのシロキサン、又はこれらの混合物とを反応させることと、M単位及びQ単位を有するコポリマーを回収することとを伴う。得られたコポリマーは概ね、2~5重量パーセントのヒドロキシル基を含有する。
【0052】
ポリオルガノシリケート樹脂を調製するために使用される中間体は、トリオルガノシラン及び4つの加水分解性置換基を含むシラン又はアルカリ金属シリケートであることができる。トリオルガノシランは、式RM
3SiXを有し得、式中、RMは、上記のとおりであり、Xは、ヒドロキシル基、又は例えば、上記の式OZの加水分解性置換基を表す。4つの加水分解性置換基を有するシランは、式SiX2
4を有し得、式中、各X2は、独立して、ハロゲン、アルコキシ、及びヒドロキシルからなる群から選択される。好適なアルカリ金属シリケートとしては、ナトリウムシリケートが挙げられる。
【0053】
上記のように調製されたポリオルガノシリケート樹脂は、典型的には、例えば、式HOSiO3/2のケイ素結合ヒドロキシル基を含有する。ポリオルガノシリケート樹脂は、上記のように、FTIR分光法及び/又はNMR分光法による測定で、最大3.5%のケイ素結合ヒドロキシル基を含み得る。特定の用途では、ケイ素結合ヒドロキシル基の量は、0.7%未満、代替的に0.3%未満、代替的に1%未満、代替的に0.3%~0.8%であることが望ましい場合がある。ポリオルガノシリケート樹脂の調製中に形成されるケイ素結合ヒドロキシル基は、シリコーン樹脂を、適切な末端基を含有するシラン、ジシロキサン、又はジシラザンと反応させることによってトリ炭化水素シロキサン基又は異なる加水分解性基に変換することができる。加水分解性基を含有するシランは、ポリオルガノシリケート樹脂におけるケイ素結合ヒドロキシル基と反応するのに必要な量よりもモル過剰で添加され得る。
【0054】
代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂は、2%以下、代替的に、0.7%以下、代替的に、0.3%以下、代替的に、0.3%~0.8%のヒドロキシル基、例えば、式XSiO3/2(式中、RMは上記のとおりであり、Xは、加水分解性置換基、例えば、OHを表す)によって表されるものを含有する単位を更に含み得る。ポリオルガノシリケート樹脂中に存在するシラノール基(式中、X=OH)の濃度は、上記のようにFTIR分光法及び/又はNMRを使用して決定され得る。
【0055】
本明細書で使用するために、ポリオルガノシリケート樹脂は、1分子当たり1つ以上の末端アルケニル基を更に含む。末端アルケニル基を有するポリオルガノシリケート樹脂は、Daudtらの生成物を、最終生成物中に3~30モルパーセントのアルケニル基を提供するのに十分な量の、アルケニル基含有末端封鎖剤及び脂肪族不飽和を含まない末端封鎖剤と反応させることによって調製され得る。末端封鎖剤の例としては、限定されないが、シラザン、シロキサン、及びシランが挙げられる。好適な末端封鎖剤は、当該技術分野において既知であり、Blizzardらの米国特許第4,584,355号、Blizzardらの同第4,591,622号、及びHomanらの同第4,585,836号において例示されている。単一の末端封鎖剤又はこのような剤の混合物を使用して、このような樹脂を調製し得る。
【0056】
代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂は、単位式(B2-17):(R4
3SiO1/2)mm(R4
2RASiO1/2)nn(SiO4/2)oo(ZO1/2)hを含み得、式中、Z、R4、及びRA、並びに下付き文字hは、上記のとおりであり、下付き文字mm、nn、及びooは、mm≧0、nn>0、oo>0、及び0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する。代替的に、0.6≦(mm+nn)/oo≦4、代替的に、0.7≦(mm+nn)/oo≦4、代替的に、0.8≦(mm+nn)/oo≦4である。
【0057】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、(B2-18)アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂、すなわち、単位式:(R4
3SiO1/2)a(R4
2RASiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RASiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RASiO3/2)f(ZO1/2)hの三官能性(T)単位を含有する樹脂を含み得、式中、R4及びRAは、上記のとおりであり、下付き文字f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である。代替的に、アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、単位式(B2-19):(R4SiO3/2)e(RASiO3/2)f(ZO1/2)hを含み得、式中、R4、RA、Z、並びに下付き文字h、e、及びfは、上記のとおりである。代替的に、アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、上記のT単位に加えて、式(R4
2SiO2/2)c(R4RASiO2/2)dの二官能性(D)単位、すなわち、DT樹脂を更に含み得、式中、下付き文字c及びdは、上記のとおりである。代替的に、アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、式(R4
3SiO1/2)a(R4
2RASiO1/2)bの単官能性(M)単位、すなわち、MDT樹脂を更に含み得、式中、下付き文字a及びbは、単位式(B2-1)について上記したとおりである。
【0058】
アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、例えば、市販されている。トルエン中に溶解された単位式(B2-20):(Me2ViSiO1/2)25(PhSiO3/2)75を含むRMS-310は、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から市販されている。アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、「Chemistry and Technology of Silicone」by Noll,Academic Press,1968,chapter 5,p190-245に記載されているような方法を使用して、トリアルコキシシランの加水分解及び縮合又は混合物によって生成され得る。代替的に、アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、Beckerらの米国特許第6,281,285号及びBankらの米国特許第5,010,159号に記載されている方法を使用して、トリクロロシランの加水分解及び縮合によって生成され得る。D単位を含むアルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、Swierらの米国特許出願公開第2020/0140619号及びSwierらの国際公開第2018/204068号に開示されているものなどの既知の方法によって調製され得る。
【0059】
出発材料(B)は、上記のアルケニル官能性有機ケイ素化合物のうちのいずれか1つであり得る。代替的に、出発材料(B)は、アルケニル官能性有機ケイ素化合物のうちの2つ以上の混合物を含み得る。
【0060】
本明細書で使用するためのヒドロホルミル化反応触媒である出発材料(C)は、ロジウムと閉鎖末端ビスホスファイト配位子との活性錯体を含む。ビスホスファイト配位子は、対称的であり得るか、又は非対称的であり得る。代替的に、ビスホスファイト配位子は、対称的であり得る。ビスホスファイト配位子は、式(C1):
【0061】
【化12】
を有し、式中、R
6及びR
6’は、各々独立して、水素、少なくとも1個の炭素原子のアルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及び少なくとも1個の炭素原子のアルコキシ基からなる群から選択され、R
7及びR
7’は、各々独立して、少なくとも3個の炭素原子のアルキル基、及び式-SiR
17
3(式中、各R
17は、独立して選択される1~20個の炭素原子の一価の炭化水素基である)の基からなる群から選択され、R
8、R
8’、R
9、及びR
9’は、各々独立して、水素、アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及びアルコキシ基からなる群から選択され、R
10、R
10’、R
11、及びR
11’は、各々独立して、水素及びアルキル基からなる群から選択される。代替的に、各R
7及びR
7’のうちの1つは、水素であり得る。
【0062】
式(C1)中、R6及びR6’は、少なくとも1個の炭素原子、代替的に1~20個の炭素原子のアルキル基であり得る。R6及びR6’に好適なアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及び/又はイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、及び/又はイソブチルを含む)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル(及び5~20個の炭素原子を有する分岐状異性体)によって例示され、アルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどのシクロアルキル基によって更に例示される。代替的に、R6及びR6’のアルキル基は、エチル、プロピル、及びブチル、代替的に、プロピル及びブチルからなる群から選択され得る。代替的に、R6及びR6’のアルキル基は、ブチルであり得る。代替的に、R6及びR6’は、アルコキシ基であり得、アルコキシ基は、式-OR6’’を有し得、式中、R6’’は、R6及びR6’について上記のようなアルキル基である。
【0063】
代替的に、式(C1)中、R6及びR6’は、独立して、1~6個の炭素原子のアルキル基及び1~6個の炭素原子のアルコキシ基から選択され得る。代替的に、R6及びR6’は、2~4個の炭素原子のアルキル基であり得る。代替的に、R6及びR6’は、1~4個の炭素原子のアルコキシ基であり得る。代替的に、R6及びR6’は、ブチル基、代替的にtert-ブチル基であり得る。代替的に、R6及びR6’は、メトキシ基であり得る。
【0064】
式(C1)中、R7及びR7’は、少なくとも3個の炭素原子、代替的に3~20個の炭素原子のアルキル基であり得る。R7及びR7’に好適なアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。アルキル基は、プロピル(n-プロピル及び/又はイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、及び/又はイソブチルを含む)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル(及び5~20個の炭素原子を有する分岐状異性体)によって例示され、アルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどのシクロアルキル基によって更に例示される。代替的に、R7及びR7’のアルキル基は、プロピル及びブチルからなる群から選択され得る。代替的に、R7及びR7’のアルキル基は、ブチルであり得る。
【0065】
代替的に、式(C1)中、R7及びR7’は、式-SiR17
3のシリル基であり得、式中、各R17は、独立して選択される1~20個の炭素原子の一価の炭化水素基である。一価の炭化水素基は、R6及びR6について、上記のような1~20個の炭素原子のアルキル基であり得る。
【0066】
代替的に、式(C1)中、R7及びR7’は、各々、独立して選択されるアルキル基、代替的に3~6個の炭素原子のアルキル基であり得る。代替的に、R7及びR7’は、3~4個の炭素原子のアルキル基であり得る。代替的に、R7及びR7’は、ブチル基、代替的にtert-ブチル基であり得る。
【0067】
式(C1)中、R8、R8’、R9、R9’は、R6及びR6’について、上記のような少なくとも1個の炭素原子のアルキル基であり得る。代替的に、R8及びR8’は、独立して、水素及び1~6個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択され得る。代替的に、各R8及びR8’は、水素であり得る。代替的に、式(C1)中、R9及びR9’は、独立して、水素及び1~6個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択され得る。代替的に、各R9及びR9’は、水素であり得る。
【0068】
式(C1)中、R10及びR10’は、水素原子、又は少なくとも1個の炭素原子、代替的に1~20個の炭素原子のアルキル基であり得る。R10及びR10’のアルキル基は、R6及びR6’について、上記のとおりであり得る。代替的に、各R10及びR10’は、メチルであり得る。代替的に、各R10及びR10’は、水素であり得る。
【0069】
式(C1)中、R11及びR11’は、水素原子、又は少なくとも1個の炭素原子、代替的に1~20個の炭素原子のアルキル基であり得る。R11及びR11’のアルキル基は、R6及びR6’について、上記のとおりであり得る。代替的に、各R11及びR11’は、水素であり得る。
【0070】
代替的に、式(C1)の配位子は、(C1-1)6,6’-[[3,3’,5,5’-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-1,1’-ビフェニル]-2,2’-ジイル]ビス(オキシ)]ビス-ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、(C1-2)6,6’-[(3,3’-ジ-tert-ブチル-5,5’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル-2,2’-ジイル)ビス(オキシ)]ビス(ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン)、及び(C1-1)と(C1-2)との両方の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0071】
代替的に、配位子は、米国特許第10,023,516号の第11欄に開示されているような、6,6’-[[3,3’,5,5’-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-1,1’-ビフェニル]-2,2’-ジイル]ビス(オキシ)]ビス-ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンを含み得る(この化合物を配位子Dとして第22欄に開示している米国特許第7,446,231号、及び配位子Fとして第20欄の第40~60行目に開示している米国特許第5,727,893号も参照されたい)。
【0072】
代替的に、配位子は、Sigma Aldrichから市販されているビフェホスを含み得、米国特許第9,127,030号に記載されているように調製され得る。(配位子Bとして、米国特許第7,446,231号の第21欄、及び配位子Dとして、米国特許第5,727,893号の第20欄の第5~18行も参照されたい)。
【0073】
ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒である、出発材料(C)は、Billigらの米国特許第4,769,498号の第20欄の50行目~第21欄の40行目、及びBrammerらの米国特許第10,023,516号の第11欄の35行目~第12欄の12行目に開示されているものなどの当該技術分野で既知の方法によって、適切な出発材料を変えることによって調製され得る。例えば、ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体は、錯体を形成する条件下でロジウム前駆体と上記のビスホスファイト配位子(C1)とを化合させることを含むプロセスによって調製され得、次いで、この錯体は、上記の出発材料(A)及び/又は(B)のうちの一方又は両方を含むヒドロホルミル化反応媒体中に導入され得る。代替的に、ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体のその場(in situ)での形成のために、ロジウム触媒前駆体を反応媒体に導入し、(C1)ビスホスファイト配位子を反応媒体に導入する(例えば、ロジウム触媒前駆体の導入の前、導入中、及び/又は導入後)ことによって、ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体は、その場で形成され得る。ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体を、加熱及び/又は出発材料(A)への曝露によって活性化して、(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒を形成し得る。ロジウム触媒前駆体は、ロジウムジカルボニルアセチルアセトネート、Rh2O3、Rh4(CO)12、Rh6(CO)16、及びRh(NO3)3によって例示される。
【0074】
例えば、ロジウムジカルボニルアセチルアセトネートなどのロジウム前駆体、任意選択的に出発材料(D)、溶媒、及び(C1)ビスホスファイト配位子は、例えば、混合などの任意の好都合な手段によって化合され得る。得られたロジウム/ビスホスファイト配位子錯体は、任意選択的に過剰のビスホスファイト配位子とともに反応器に導入され得る。代替的に、ロジウム前駆体、(D)溶媒、及びビスホスファイト配位子は、反応器中で出発材料(A)及び/又は(B)、アルケニル官能性有機ケイ素化合物と化合され得、ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体が、その場で形成され得る。ビスホスファイト配位子及びロジウム前駆体の相対量は、10/1~1/1、代替的に5/1~1/1、代替的に3/1~1/1、代替的に2.5/1~1.5/1のビスホスファイト配位子/Rhのモル比を提供するのに十分である。ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体に加えて、過剰の(例えば、錯化されていない)ビスホスファイト配位子が反応混合物中に存在し得る。過剰のビスホスファイト配位子は、錯体中のビスホスファイト配位子と同じであり得るか、又は異なり得る。
【0075】
(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒(触媒)の量は、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物のヒドロホルミル化に触媒作用を及ぼすのに十分である。触媒の正確な量は、出発材料(B)のために選択されるアルケニル官能性有機ケイ素化合物の種類、その正確なアルケニル含有量、並びに出発材料(A)の温度及び圧力などの反応条件を含む様々な要因に依存する。しかしながら、(C)触媒の量は、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物の重量に基づいて、少なくとも0.1ppm、代替的に0.15ppm、代替的に0.2ppm、代替的に0.25ppm、代替的に0.5ppmのロジウム金属濃度を提供するのに十分であり得る。同時に、(C)触媒の量は、同じ基準で、最大300ppm、代替的に最大100ppm、代替的に最大20ppm、代替的に最大5ppmのロジウム金属濃度を提供するのに十分であり得る。代替的に、(C)触媒の量は、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物の重量に基づいて、0.1ppm~300ppm、代替的に0.2ppm~100ppm、代替的に0.25ppm~20ppm、代替的に0.5ppm~5ppmを提供するのに十分であり得る。
【0076】
ヒドロホルミル化プロセス反応は、追加の溶媒なしで実行され得る。代替的に、ヒドロホルミル化プロセス反応は、例えば、アルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂などの溶媒が出発材料(B)のために選択される場合、(C)触媒及び/又は出発材料(B)などの上記の出発材料のうちの1つ以上の混合及び/又は送達を促進するために、溶媒を用いて実施され得る。溶媒は、出発材料を溶解し得る脂肪族又は芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせによって例示される。追加の溶媒としては、THF、ジブチルエーテル、ジグリム、及びテキサノールが挙げられる。理論によって束縛されることを望むものではないが、溶媒は、出発材料の粘度を低減するために使用され得ると考えられる。溶媒の量は重要ではないが、存在する場合、溶媒の量は、アルケニル官能性有機ケイ素化合物である出発材料(B)の重量に基づいて、5%~70%であり得る。
【0077】
本明細書に記載されるプロセスでは、工程1)は、比較的低温で実施される。例えば、工程1)は、少なくとも30℃、代替的に少なくとも50℃、代替的に少なくとも70℃の温度で実施され得る。同時に、工程1)における温度は、最大150℃、代替的に最大100℃、代替的に最大90℃、代替的に最大80℃であり得る。理論によって束縛されることを望むものではないが、より低い温度、例えば、30℃~90℃、代替的に40℃~90℃、代替的に50℃~90℃、代替的に60℃~90℃、代替的に70℃~90℃、代替的に80℃~90℃、代替的に30℃~60℃、代替的に50℃~60℃が、高い選択性及び配位子安定性を得るために望ましい場合があると考えられる。
【0078】
本明細書に記載されるプロセスでは、工程1)は、少なくとも101kPa(周囲圧力)、代替的に少なくとも206kPa(30psi)、代替的に少なくとも344kPa(50psi)の圧力で実施され得る。同時に、工程1)における圧力は、最大6,895kPa(1,000psi)、代替的に最大1,379kPa(200psi)、代替的に最大1000kPa(145psi)、代替的に最大689kPa(100psi)であり得る。代替的に、工程1)は、101kPa~6,895kPa、代替的に344kPa~1,379kPa、代替的に101kPa~1,000kPa、代替的に344kPa~689kPaで実施され得る。理論によって束縛されることを望むものではないが、本明細書のプロセスにおいて比較的低い圧力、例えば、~6,895kPa未満を使用することが有益であり得ると考えられ、本明細書に記載される配位子は、低圧ヒドロホルミル化プロセスを可能にし、高圧ヒドロホルミル化プロセスよりもコストが低く、安全性が良好であるという有益性を有する。更に、ヒドロホルミル化プロセスは、以下の実施例に示すように、多種多様なアルケニル官能性有機ケイ素化合物をアルデヒド官能性有機ケイ素化合物に(シランからポリオルガノシロキサン樹脂に)変換することができるという点で堅牢であるという利点を有する。
【0079】
ヒドロホルミル化プロセスは、固定床反応器、流動床反応器、連続撹拌タンク反応器(continuous stirred tank reactor、CSTR)、又はスラリー反応器などの1つ以上の好適な反応器を使用して、バッチ、セミバッチ、連続様式で実施され得る。(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物、及び(C)触媒の選択、並びに(D)溶媒が使用されるかどうかは、使用される反応器の大きさ及び種類に影響を及ぼし得る。1つの反応器、又は2つ以上の異なる反応器が使用され得る。ヒドロホルミル化プロセスは、1つ以上の工程で実行され得、その工程は、資本コストのバランスをとること、及び高い触媒選択性、活性、寿命、及び操作性の容易さを達成すること、並びに特定の出発材料の反応性及び選択される反応条件、並びに所望の生成物によって影響を受け得る。
【0080】
代替的に、ヒドロホルミル化プロセスは、連続様式で実施され得る。例えば、使用されるプロセスは、米国特許第10,023,516号に記載されているようなものであり得るが、但し、そこに記載されているオレフィン供給流及び触媒は、各々本明細書に記載される(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物及び(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒に置き換えられる。
【0081】
ヒドロホルミル化プロセスの工程1)は、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含む反応流体を形成する。反応流体は、プロセスの工程1)中に意図的に用いられるもの、又はその場で形成されるものなどの追加の材料を更に含み得る。同様に存在し得るこのような材料の例としては、未反応の(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物、未反応の(A)一酸化炭素及び水素ガス、並びに/又はその場で形成された副生成物、例えば配位子分解生成物及びその付加物、並びに高沸点液体アルデヒド縮合副生成物、並びに用いられる場合、(D)溶媒が挙げられる。「配位子分解生成物」という用語は、プロセスに使用される配位子分子のうちの少なくとも1つの1つ以上の化学変換から得られるありとあらゆる化合物を含むが、これらに限定されない。
【0082】
ヒドロホルミル化プロセスは、2)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含む反応流体から(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒を回収する工程などの1つ以上の追加の工程を更に含み得る。(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒を回収することは、吸着及び/又は膜分離(例えば、ナノ濾過)を含むがこれらに限定されない、当該技術分野において既知の方法によって実施され得る。好適な回収方法は、例えば、Millerらの米国特許第5,681,473号、Priskeらの同第8,748,643号、及びGeilenらの同第10,155,200号に記載されている。
【0083】
しかしながら、本明細書に記載されるプロセスの1つの利点は、(C)ヒドロホルミル化反応触媒を除去及び再利用する必要がないことである。必要とされるRhのレベルが低いことに起因して、(C)触媒を回収し再利用しないことがコスト効率をより高くする可能性があり、プロセスによって生成されるアルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、触媒が除去されない場合でも安定である可能性がある。更に、理論に束縛されるものではないが、(C)ヒドロホルミル化反応触媒はまた、本明細書において以下に記載するように、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物の酸化反応も触媒し得ると考えられる。したがって、代替的に、上記のヒドロホルミル化プロセスは、工程2)なしで実施されてもよい。
【0084】
代替的に、ヒドロホルミル化プロセスは、3)反応生成物の精製を更に含み得る。例えば、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、ストリッピング及び/又は蒸留などの任意の好都合な手段によって、任意選択的に減圧を用いて、上記の追加の材料から単離され得る。代替的に、工程3)を省略して、例えば、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物中に(C)ヒドロホルミル化反応触媒を残してもよい。
【0085】
アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を調製するための上記のプロセスにおいて出発物質として有用である。出発材料(E)は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した少なくとも1つのアルデヒド官能基を有するアルデヒド官能性有機ケイ素化合物である。代替的に、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した2つ以上のアルデヒド官能基を有し得る。ケイ素に共有結合したアルデヒド官能基は、式:
【0086】
【化13】
を有し得、式中、Gは、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価の炭化水素基である。Gは、直鎖状又は分岐状であり得る。Gについての二価のヒドロカルビル基の例としては、実験式-C
rH
2r-のアルカン-ジイル基が挙げられ、式中、下付き文字rは、2~8である。アルカン-ジイル基は、直鎖状アルカン-ジイル、例えば、-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-、若しくは-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-、又は分岐状アルカン-ジイル、例えば、
【0087】
【化14】
であり得る。代替的に、各Gは、2~6個の炭素原子、代替的に2、3、又は6個の炭素原子のアルカン-ジイル基であり得る。アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、1つのアルデヒド官能性有機ケイ素化合物であり得る。代替的に、互いに異なる2つ以上のアルデヒド官能性有機ケイ素化合物が、本明細書に記載されるプロセスにおいて使用され得る。例えば、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、アルデヒド官能性シラン及びアルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンのうちの一方又は両方を含み得る。
【0088】
アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、式(E1):RAld
xSiR4
(4-x)のアルデヒド官能性シランを含み得、式中、各RAldは、上記のような独立して選択される式
【0089】
【化15】
の基であり、R
4及び下付き文字xは、上記のとおりであり、例えば、各R
4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xは、1~4である。
【0090】
好適なアルデヒド官能性シランは、(プロピル-アルデヒド)-トリメチルシラン、(プロピル-アルデヒド)-トリエチルシラン、及び(ブチル-アルデヒド)トリメチルシランなどのアルデヒド官能性トリアルキルシラン;(ブチル-アルデヒド)トリメトキシシラン、(プロピル-アルデヒド)-トリメトキシシラン、(プロピル-アルデヒド)-トリエトキシシラン、(プロピル-アルデヒド)-トリイソプロポキシシラン、及び(プロピル-アルデヒド)-トリス(メトキシエトキシ)シランなどのアルデヒド官能性トリアルコキシシラン;(プロピル-アルデヒド)-フェニルジエトキシシラン、(プロピル-アルデヒド)-メチルジメトキシシラン、及び(プロピル-アルデヒド)-メチルジエトキシシランなどのアルデヒド官能性ジアルコキシシラン;トリ(プロピル-アルデヒド)-メトキシシランなどのアルデヒド官能性モノアルコキシシラン;(プロピル-アルデヒド)-トリアセトキシシランなどのアルデヒド官能性トリアシルオキシシラン;並びに(プロピル-アルデヒド)-メチルジアセトキシシランなどのアルデヒド官能性ジアシルオキシシランによって例示される。
【0091】
代替的に、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンを含み得る。当該アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、環状、直鎖状、分岐状、樹脂状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。当該アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(E2-1):(R4
3SiO1/2)a(R4
2RAldSiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RAldSiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RAldSiO3/2)f(SiO4/2)g(ZO1/2)hを含み得、式中、各RAldは、上記のような式
【0092】
【化16】
の独立して選択されるアルデヒド基であり、R
4、Z、及び下付き文字a、b、c、d、e、f、g、及びhは、上記のとおりである。各R
4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ基からなる群から選択される。各Zは、独立して、水素原子及びR
5からなる群から選択され、式中、各R
5は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択される。下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgは、単位式中の各単位の1分子当たりの平均数を表す。下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgは、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0であるような値を有し、下付き文字hは、0≦h/(e+f+g)≦1.5、10,000≧(a+b+c+d+e+f+g)≧2、及び数量(b+d+f)≧1であるような値を有する。同時に、数量(a+b+c+d+e+f+g)は、≦10,000であり得る。e=f=g=0である場合、h≧0である。代替的に、アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンについての単位式(E2-1)中、各R
4は、独立して、水素原子、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され得る。代替的に、各R
4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子のアルコキシ官能基からなる群から選択され得る。代替的に、各R
4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され得る。代替的に、各Zは、水素又は1~6個の炭素原子のアルキル基であり得る。代替的に、各Zは、水素であり得る。
【0093】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、1分子当たり少なくとも1つのアルデヒド官能基、代替的に、少なくとも2つのアルデヒド官能基を有する(E2-2)直鎖状ポリジオルガノシロキサン(例えば、上記のアルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンについての式(E2-1)中、下付き文字e=f=g=0である場合)を含み得る。例えば、当該ポリジオルガノシロキサンは、単位式(E2-3):(R4
3SiO1/2)a(RAldR4
2SiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(RAldR4SiO2/2)dを含み得、式中、RAld及びR4は、上記のとおりであり、下付き文字aは、0、1、又は2であり、下付き文字bは、0、1、又は2、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0であり、但し、数量(b+d)≧1、数量(a+b)=2、かつ数量(a+b+c+d)≧2であることを条件とする。代替的に、上記の直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンについての単位式(E2-3)中、数量(a+b+c+d)は、少なくとも3、代替的に少なくとも4、代替的に50超であり得る。同時に、当該式、数量(a+b+c+d)は、10,000以下、代替的に、4,000以下、代替的に、2,000以下、代替的に、1,000以下、代替的に、500以下、代替的に、250以下であり得る。代替的に、直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンについての単位式中、各R4は、独立して、アルキル及びアリール、代替的に、メチル及びフェニルからなる群から選択され得る。代替的に、当該式中の各R4は、アルキル基であり得、代替的に、各R4は、メチルであり得る。
【0094】
代替的に、単位式(E2-3)の直鎖状アルデヒド官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(E2-4):(R4
2RAldSiO1/2)2(R4
2SiO2/2)m(R4RAldSiO2/2)n、単位式(E2-5):(R4
3SiO1/2)2(R4
2SiO2/2)o(R4RAldSiO2/2)p、又は(E2-4)と(E2-5)との両方の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0095】
式(E2-4)及び(E2-5)中、各R4及びRAldは、上記のとおりである。下付き文字mは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字mは、少なくとも2であり得る。代替的に、下付き文字mは、2~2,000であり得る。下付き文字nは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字nは、0~2000であり得る。下付き文字oは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字oは、0~2000であり得る。下付き文字pは、少なくとも2である。代替的に、下付き文字pは、2~2000であり得る。
【0096】
出発材料(E2)は、i)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ii)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(プロピル-アルデヒド)シロキサン)、iii)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリメチル(プロピル-アルデヒド)シロキサン、iv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(プロピル-アルデヒド)シロキサン)、v)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチル(プロピル-アルデヒド)シロキサン、vi)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチル(プロピル-アルデヒド)シロキサン)、vii)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、viii)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、ix)ビス-フェニル、メチル、(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、x)ビス-ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、xi)ビス-ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン)、xii)ビス-ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキシ末端ポリメチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン)、xiii)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン)、xiv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン、xv)ビス-ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン)、xvi)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン)、xvii)ビス-ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、xviii)ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、及びxix)i)~xviii)のうちの2つ以上の組み合わせなどのアルデヒド官能性ポリジオルガノシロキサンを含み得る。
【0097】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、環状であり得、例えば、単位式(E2-1)中の場合、下付き文字a=b=c=e=f=g=h=0である。(E2-6)環状アルデヒド官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(E2-7):(R4RAldSiO2/2)dを有し得、式中、RAld及びR4は、上記のとおりであり、下付き文字dは、3~12、代替的に3~6、代替的に4~5であり得る。環状アルデヒド官能性ポリジオルガノシロキサンの例としては、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリ(プロピル-アルデヒド)-シクロトリシロキサン、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラ(プロピル-アルデヒド)-シクロテトラシロキサン、2,4,6,8,10-ペンタメチル-2,4,6,8,10-ペンタ(プロピル-アルデヒド)-シクロペンタシロキサン、及び2,4,6,8,10,12-ヘキサメチル-2,4,6,8,10,12-ヘキサ(プロピル-アルデヒド)-シクロヘキサシロキサンが挙げられる。
【0098】
代替的に、(E2-6)環状アルデヒド官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(E2-8):(R4
2SiO2/2)c(R4RAldSiO2/2)dを有し得、式中、R4及びRAldは、上記のとおりであり、下付き文字cは、>0~6であり、下付き文字dは、3~12である。代替的に、式(E2-8)中、数量(c+d)は、3~12であり得る。代替的に、式(E2-8)中、cは、3~6であり得、dは、3~6であり得る。
【0099】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、例えば、上記単位式(E2-1)中、数量(a+b+c+d+e+f+g)≦50、代替的に≦40、代替的に≦30、代替的に≦25、代替的に≦20、代替的に≦10、代替的に≦5、代替的に≦4、代替的に≦3である場合、(E2-9)オリゴマーであり得る。オリゴマーは、環状、直鎖状、分岐状、又はこれらの組み合わせであり得る。環状オリゴマーは、出発材料(E2-6)として上記のとおりである。
【0100】
直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例は、式(E2-10):
【0101】
【化17】
を有し得、式中、R
4は、上記のとおりであり、各R
2は、独立して、R
4及びR
Aldからなる群から選択され、但し、1分子当たり、少なくとも1つのR
2は、R
Aldであり、下付き文字zは、0~48であることを条件とする。直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例としては、1,3-ジ(プロピル-アルデヒド)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,1,1,3,3-ペンタメチル-3-(プロピル-アルデヒド)-ジシロキサン、及び1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-(プロピル-アルデヒド)-トリシロキサンが挙げられる。
【0102】
代替的に、アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、分岐状であり得る。分岐状オリゴマーは、一般式(E2-11):RAldSiR12
3を有し得、式中、RAldは、上記のとおりであり、各R12は、R13及び-OSi(R14)3から選択され、各R13は、一価の炭化水素基であり、各R14は、R13、-OSi(R15)3、及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、各R15は、R13、-OSi(R16)3、及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、各R16は、R13及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、下付き文字iiは、0≦ii≦100であるような値を有する。R12のうちの少なくとも2つは、-OSi(R14)3であり得る。代替的に、R12のうちの3つ全ては、-OSi(R14)3であり得る。
【0103】
代替的に、式(E2-11)中、各R12が-OSi(R14)3である場合、各R14は、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが次の構造:
【0104】
【化18】
(式中、R
Ald及びR
15は、上記のとおりである)を有するような-OSi(R
15)
3部分であり得る。代替的に、各R
15は、上記のようにR
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。
【0105】
代替的に、式(E2-11)中、各R12が-OSi(R14)3である場合、1つのR14は、各R12が-OSiR13(R14)2であるような各-OSi(R14)3におけるR13であり得る。代替的に、-OSiR13(R14)2中の2つのR14は、各々、分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーが、次の構造:
【0106】
【化19】
(式中、R
Ald、R
13、及びR
15は、上記のとおりである)を有するような-OSi(R
15)
3部分であり得る。代替的に、各R
15は、R
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。
【0107】
代替的に、式(B2-11)中、1つのR12は、R13であり得、R12のうちの2つは、-OSi(R14)3であり得る。R12のうちの2つが-OSi(R14)3であり、1つのR14が各-OSi(R14)3中のR13である場合、R12のうちの2つは、-OSiR13(R14)2である。代替的に、-OSiR13(R14)2中の各R14は、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが次の構造:
【0108】
【化20】
(式中、R
Ald、R
13、及びR
15は、上記のとおりである)を有するような-OSi(R
15)
3であり得る。代替的に、各R
15は、R
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。代替的に、アルデヒド官能性分岐状ポリオルガノシロキサンは、1分子当たり3~16個のケイ素原子、代替的に1分子当たり4~16個のケイ素原子、代替的に1分子当たり4~10個のケイ素原子を有し得る。アルデヒド官能性分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例としては、式:
【0109】
【化21】
を有する、3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロパナール(プロピル-アルデヒド-トリス(トリメチル)シロキシ)シランと命名される場合もある)、
式
【0110】
【化22】
を有する(プロピル-アルデヒド)-ジ((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シラン;
式
【0111】
【化23】
を有する(プロピルーアルデヒド)-トリス((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シラン、及び
式
【0112】
【化24】
を有する(ヘプチル-アルデヒド)-トリス((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シランが挙げられる。
【0113】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、上記の分岐状オリゴマー、及び/又は上記の分岐状オリゴマーよりも、例えば、1分子当たりより多くのアルデヒド基及び/又はより多くのポリマー単位を有し得る分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン(例えば、式(E2-1)中、数量(a+b+c+d+e+f+g)>50の場合)などの分岐状であり得る。分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、(式(E2-1)中)分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンに、0超~5mol%の三官能性単位及び/又は四官能性単位を提供するのに十分な数量(e+f+g)を有し得る。
【0114】
例えば、分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(E2-13):(R4
3SiO1/2)q(R4
2RAldSiO1/2)r(R4
2SiO2/2)s(SiO4/2)tのQ型分岐状ポリオルガノシロキサンを含み得、式中、R4及びRAldは、上記のとおりであり、下付き文字q、r、s、及びtは、2≧q≧0、4≧r≧0、995≧s≧4、t=1、(q+r)=4であるような平均値を有し、(q+r+s+t)は、回転粘度計(試験方法とともに以下に記載される)によって測定される170mPa・s超の粘度を、分岐状ポリオルガノシロキサンに付与するのに十分な値を有する。代替的に、粘度は、170mPa・s超~1000mPa・s、代替的に170超~500mPa・s、代替的に180mPa・s~450mPa・s、代替的に190mPa・s~420mPa・sであってもよい。
【0115】
代替的に、分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、式(E2-14):[RAldR4
2Si-(O-SiR4
2)x-O](4-w)-Si-[O-(R4
2SiO)vSiR4
3]wを含み得、式中、RAld及びR4は、上記のとおりであり、下付き文字v、w、及びxは、200≧v≧1、2≧w≧0、及び200≧x≧1であるような値を有する。代替的に、この式(E2-14)中、各R4は、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択され、各RAldは、上記の式を有し、式中、Gは、2、3、又は6個の炭素原子を有する。
【0116】
代替的に、出発材料(E2-11)のための分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(E2-15):(R4
3SiO1/2)aa(RAldR4
2SiO1/2)bb(R4
2SiO2/2)cc(RAldR4SiO2/2)ee(R4SiO3/2)ddのT型分岐状ポリオルガノシロキサン(シルセスキオキサン)を含み得、式中、R4及びRAldは、上記のとおりであり、下付き文字aa≧0、下付き文字bb>0であり、下付き文字ccは、15~995であり、下付き文字dd>0、かつ下付き文字ee≧0である。下付き文字aaは、0~10であり得る。代替的に、下付き文字aaは、12≧aa≧0、代替的に、10≧aa≧0、代替的に、7≧aa≧0、代替的に、5≧aa≧0、代替的に、3≧aa≧0であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字bb≧1である。代替的に、下付き文字bb≧3である。代替的に、下付き文字bbは、12≧bb>0、代替的に、12≧bb≧3、代替的に、10≧bb>0、代替的に、7≧bb>1、代替的に、5≧bb≧2、代替的に、7≧bb≧3であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字ccは、800≧cc≧15、代替的に400≧cc≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字eeは、800≧ee≧0、800≧ee≧15、代替的に、400≧ee≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字eeは、0であり得る。代替的に、数量(cc+ee)は、995≧(cc+ee)≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字dd≧1である。代替的に、下付き文字ddは、1~10であり得る。代替的に、下付き文字ddは、10≧dd>0、代替的に、5≧dd>0、代替的に、dd=1であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字ddは、1~10であり得、代替的に、下付き文字ddは、1又は2であり得る。代替的に、下付き文字dd=1の場合、下付き文字bbは、3であり得、下付き文字ccは、0であり得る。下付き文字bbの値は、シルセスキオキサンの重量に基づいて、0.1%~1%、代替的に0.2%~0.6%のアルデヒド含有量を有する単位式(E2-15)のシルセスキオキサンを提供するのに十分であり得る。
【0117】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、アルデヒド官能性ポリオルガノシリケート樹脂及び/又はアルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂などのアルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン樹脂を含み得る。このような樹脂は、例えば、上記のようにアルケニル官能性ポリオルガノシロキサン樹脂をヒドロホルミル化することによって調製され得る。アルデヒド官能性ポリオルガノシリケート樹脂は、式RM’
3SiO1/2の単官能性単位(「M」単位)及び式SiO4/2の四官能性シリケート単位(「Q」単位)」を含み、式中、各RM’は、独立して、上記のようなR4及びRAldからなる群から選択され得る。代替的に、各RM’は、アルキル基、上に示される式のアルデヒド官能基、及びアリール基からなる群から選択され得る。代替的に、各RM’は、メチル、(プロピル-アルデヒド)、及びフェニルから選択され得る。代替的に、RM’基の少なくとも3分の1、代替的に少なくとも3分の2は、メチル基である。代替的に、M’単位は、(Me3SiO1/2)、(Me2PhSiO1/2)、及び(Me2RAldSiO1/2)によって例示され得る。ポリオルガノシリケート樹脂は、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、及びヘプタン等の液体炭化水素によって例示される、出発材料(D)として本明細書に記載されるものなどの溶媒中、又は低粘度直鎖状及び環状ポリジオルガノシロキサンなどの液体非官能性有機ケイ素化合物中で可溶性である。
【0118】
調製される場合、ポリオルガノシリケート樹脂は、上記のM’単位及びQ単位を含み、ポリオルガノシロキサンは、ケイ素結合ヒドロキシル基、及び/又は上記の部分(ZO1/2)によって記載される加水分解性基を有する単位を更に含み、式Si(OSiRM’
3)4のネオペンタマーを含み得、式中、RM’は、上記のとおりであり、例えば、ネオペンタマーは、テトラキス(トリメチルシロキシ)シランであり得る。29Si NMR及び13C NMRスペクトル法を使用して、ヒドロキシル及びアルコキシ含有量、並びにM’単位及びQ単位のモル比を測定し得、当該比は、M’単位及びQ単位をネオペンタマーから排除した{M’(樹脂)}/{Q(樹脂)}として表される。M’/Q比は、ポリオルガノシリケート樹脂の樹脂性部分のトリオルガノシロキシ基(M’単位)の総数の、樹脂性部分中のシリケート基(Q単位)の総数に対するモル比を表す。M’/Q比は、0.5/1~1.5/1、代替的に0.6/1~0.9/1であり得る。
【0119】
ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、存在するRM’によって表される炭化水素基の種類を含む様々な要因によって異なる。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、ネオペンタマーを表すピークが測定値から除外されるとき、GPCを使用して測定される数平均分子量を指す。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、1,500Da~30,000Da、代替的に1,500Da~15,000Da、代替的に、3,000Da超~8,000Daであり得る。代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、3,500Da~8,000Daであってもよい。
【0120】
代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂は、単位式(E2-17):(R4
3SiO1/2)mm(R4
2RAldSiO1/2)nn(SiO4/2)oo(ZO1/2)hを含み得、式中、Z、R4、及びRAld、並びに下付き文字hは、上記のとおりであり、下付き文字mm、nn、及びooは、mm≧0、nn>0、oo>0、かつ0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する。代替的に、0.6≦(mm+nn)/oo≦4、代替的に、0.7≦(mm+nn)/oo≦4、代替的に、0.8≦(mm+nn)/oo≦4である。
【0121】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、(E2-18)アルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂、すなわち、単位式:(R4
3SiO1/2)a(R4
2RAldSiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RAldSiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RAldSiO3/2)f(ZO1/2)hの三官能性(T’)単位を含有する樹脂を含み得、式中、R4及びRAldは、上記のとおりであり、下付き文字f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である。代替的に、アルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂は、単位式(E2-19):(R4SiO3/2)e(RAldSiO3/2)f(ZO1/2)hを含み得、式中、R4、RAld、Z、並びに下付き文字h、e、及びfは、上記のとおりである。代替的に、アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、上記のT単位に加えて、式(R4
2SiO2/2)c(R4RAldSiO2/2)dの二官能性(D’)単位、すなわち、D’T’樹脂を更に含み得、式中、下付き文字c及びdは、上記のとおりである。代替的に、アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、式(R4
3SiO1/2)a(R4
2RAldSiO1/2)bの単官能性(M’)単位、すなわち、M’D’T’樹脂を更に含み得、式中、下付き文字a及びbは、単位式(E2-1)についての上記のとおりである。
【0122】
出発材料(E)は、上記のアルデヒド官能性有機ケイ素化合物のうちのいずれか1つであり得る。代替的に、出発材料(E)は、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物のうちの2つ以上の混合物を含み得る。
【0123】
カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスは、
I)酸化反応が行われる条件下で、
(E)上記のアルデヒド官能性有機ケイ素化合物と、
(F)酸素源と、
任意選択で、(G)酸化反応触媒と、
任意選択で、(H)溶媒と、を含む出発物質を化合させ、それによって、カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を含む酸化反応生成物を形成することを含み得る。
【0124】
プロセスは、任意選択で、1つ以上の追加工程を更に含んでいてもよい。例えば、プロセスは、工程I)の前に、1)ヒドロホルミル化反応を触媒する条件下で、(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒と、を含む出発物質を化合させ、それによって、上記のようなアルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物を形成することを更に含んでいてもよい。方法は、任意選択的に、工程I)の前及び工程1)の後に、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含む反応生成物から(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒を回収する工程2)を更に含み得る。プロセスは、任意選択的に、工程I)の前及び工程1)の後に、3)反応生成物を精製し、それによって、上記のように、追加の材料からアルデヒド官能性有機ケイ素化合物を単離することを更に含み得る。あるいは、工程2)及び/又は工程3)は、上記の理由から省略されてもよい。あるいは、上記の工程に加えて又はその代わりに、プロセスは、任意選択で、工程I)の前に1つ以上の出発物質を乾燥させることを更に含んでいてもよい。
【0125】
プロセスは、任意選択で、II)平衡化触媒の存在下で、カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を環状ポリジオルガノシロキサンで平衡化することを更に含んでいてもよい。あるいは、工程II)に加えて又はその代わりに、プロセスは、任意選択で、III)酸化反応生成物からカルボキシ官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含んでいてもよい。工程III)は、工程I)の間及び/若しくは後に、並びに/又は工程II)が存在する場合は工程III)の間及び/若しくは後に行ってよい。
【0126】
(F)酸素源
酸素源は、当該技術分野において公知であり、容易に入手可能である。例えば、酸素源は、21%の酸素を含む周囲空気であってよい。代替的に、酸素源は、濃縮又は精製酸素、例えば、21%~100%の酸素を有する任意のガス流であってもよい。純粋な又はほぼ純粋な(純度>99%)酸素は、当該技術分野において既知であり、様々な供給元、例えば、Air Products(Allentown,Pennsylvania,USA)から市販されている。代替的に、酸素源は、過酸化物化合物(すなわち、1分子当たり少なくとも1つの-O-O-基を有する化合物)を含んでいてもよい。好適な過酸化物化合物としては、アルキルヒドロペルオキシド(例えば、tert-ブチルヒドロペルオキシド)、ジアルキルペルオキシド(例えば、ジ-tert-ブチルペルオキシド)、ペルオキシ酸(例えば、3-クロロ過安息香酸)、又はこれらの組み合わせなどの有機ヒドロペルオキシドが挙げられる。酸素源は、出発物質(E)である上述のアルデヒド官能性有機ケイ素化合物のアルデヒド官能性に対して超化学量論的量の酸素を提供するのに十分な量で使用することができる。酸素源の量(及び反応条件)は、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物1分子当たり少なくとも1つのアルデヒド官能基を酸化させるのを可能にするのに十分である。代替的に、アルデヒド官能基の一部をカルボン酸基に変換してもよい。代替的に、アルデヒド官能基のカルボン酸官能基への完全な変換を行ってもよい。
【0127】
(G)酸化反応触媒
カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスで使用される酸化反応触媒は、不均一系酸化反応触媒、均一系酸化反応触媒、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0128】
例示的な酸化反応触媒は、金属錯体又は化合物を含み得る。金属錯体又は化合物は、コバルト(Co)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、セレン(Se)、及びタングステン(W)、並びにこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される金属を含み得る。例えば、酢酸マンガン(Mn(OAc)2)を使用してよい。RSCAdv.,2013,3,18931-18937に記載されているものなどの非金属系触媒も好適であり得る。金属錯体は、酢酸塩などの配位子を更に含んでいてもよい。あるいは、酸化反応触媒はRhを含んでいてもよい。理論に束縛されるものではないが、上記のヒドロホルミル化プロセスを使用してアルデヒド官能性有機ケイ素化合物を作製し、(C)ヒドロホルミル化反応触媒として使用されるRh錯体が存在する場合、このRh錯体は酸化反応触媒として機能し得ると考えられる。代替的に、(G)酸化反応触媒は、N-ヒドロキシ官能基を含有する有機触媒を含んでいてもよい。例示的な有機触媒としては、N-ヒドロキシフタルイミド又は2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(TEMPO)が挙げられる。好適な酸化反応触媒は当該技術分野で既知であり、市販されている。例えば、N-ヒドロキシフタルイミド及びTEMPOは、Sigma-Aldrich,Inc.(St.Louis,Missouri,USA)を含む様々な供給元から入手可能である。
【0129】
プロセスで使用される(C)酸化反応触媒の量は、プロセスがバッチモードで実行されるか連続モードで実行されるか、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物の選択、不均一系酸化反応触媒が選択されるか均一系酸化反応触媒が選択されるか、並びに温度及び圧力などの反応条件を含む種々の要因に依存する。しかしながら、触媒の量(均一系酸化触媒を使用するバッチプロセス又は連続プロセスの場合)は、出発物質である(E)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物中のアルデヒド官能基のモル数に基づいて、0.001モル%~1モル%、代替的に0.005モル%~0.5モル%であってもよい。代替的に、触媒の量は、少なくとも0.001、代替的に少なくとも0.005、代替的に少なくとも0.01、代替的に少なくとも0.1モル%であってもよいが、同時に、触媒の量は、同じ基準で、最大1、代替的に最大0.75、代替的に最大0.5、代替的に最大0.25、代替的に最大0.1モル%であってよい。代替的に、例えば反応器に不均一系酸化反応触媒を充填することによってプロセスが連続モードで実行される場合、酸化反応触媒の量は、10時間-1の時空を達成するための反応器容積(酸化反応触媒が充填される)、又は触媒1m2当たり8~10kg/時の基質を達成するのに十分な触媒表面積を提供するのに十分であり得る。
【0130】
(H)溶媒
酸化反応のためのプロセスにおいて任意選択で使用され得る溶媒は、酸化反応に対して中性である溶媒から選択され得る。以下は、このような溶媒の具体的な例である:アセトン及び3-ペンタノンなどのケトン;エステル;カルボン酸;ヘキサン、ヘプタン、及びパラフィン系溶媒などの脂肪族炭化水素;並びにベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素。これらの溶媒は、個々に、又は2つ以上の組み合わせで使用され得る。
【0131】
工程I)における酸化反応は、加圧酸素源を使用して行うことができる。酸素の分圧は、3psia(20kPa)~100psia(690kPa)、代替的に3psia(20kPa)~15psia(104kPa)であってよい。反応は、0~200℃の温度で行われ得る。工程I)における温度は、種々の要因、例えば、選択される圧力、選択されるアルデヒド官能性有機ケイ素化合物、及び反応器の構成に依存し得る。理論に束縛されるものではないが、酸化反応速度は温度が上昇するにつれて増加し得るが、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物中の酸素溶解度は温度が上昇するにつれて減少し得ると考えられ、したがって、反応速度を最大にしながら酸化反応を進行させるのに十分な酸素溶解度を有するように温度を選択することができる。温度は、例えば、0~100℃であってよい。代替的に、23℃~100℃、代替的に20℃~50℃の温度が好適であり得る。代替的に、使用される酸素源分圧は、少なくとも3、代替的に少なくとも4、代替的に少なくとも6、代替的に少なくとも8、代替的に少なくとも10psigであってよいが、同時に、圧力は、最大100、代替的に最大75、代替的に最大50、代替的に最大25、代替的に最大15psigであってよい。酸化反応のための温度は、少なくとも20、代替的に少なくとも25、代替的に少なくとも30℃であってよいが、同時に、温度は、最大100、代替的に最大95、代替的に最大90℃であってよい。
【0132】
酸化反応は、バッチプロセスとして又は連続プロセスとして行われ得る。バッチプロセスでは、反応時間は、触媒の量及び反応温度を含む種々の要因に依存するが、本明細書に記載のプロセスの工程I)は、1分間~250時間実施され得る。代替的に、酸化反応は、少なくとも1分間、代替的に少なくとも2分間、代替的に少なくとも1時間、代替的に少なくとも2.5時間、代替的に少なくとも3時間、代替的に少なくとも3.3時間、代替的に少なくとも3.7時間、代替的に少なくとも4時間、代替的に少なくとも4.4時間、代替的に少なくとも5.5時間実施してよいが、同時に、酸化反応は、最大250時間、代替的に200時間、代替的に最大175時間、代替的に最大150時間、代替的に最大125時間、代替的に最大100時間、代替的に最大75時間実施してよい。
【0133】
代替的に、バッチプロセスでは、酸化反応の終点は、反応を更に1~2時間継続した後に水素源の圧力の減少がもはや観察されなくなる時間であると考えられ得る。反応の過程で酸素源圧力が減少する場合、酸素源の導入を繰り返すこと、及び反応時間を短縮するためにそれをより高圧下で維持することが望ましい場合がある。代替的に、反応器を酸素源で1回以上再加圧して、妥当な反応器圧力を維持しながら、アルデヒドの反応のための酸素の十分な供給を達成することができる。反応器を再加圧してアルデヒドの酸化を終了させる場合、同じ酸素源又は異なる酸素源(例えば、O2中でより濃縮されている)を使用することができる。
【0134】
工程I)における酸化反応は、任意選択で、反応混合物に紫外(UV)線を照射する工程を更に含んでいてもよい。紫外線は、285nmのピーク波長を有し得、LED又は他のランプなどの任意の好都合な手段によって提供され得る。代替的に、200nm~460nm、代替的に250nm~350nm、代替的に265nm~315nmの波長を有する紫外線を使用してもよい。露光量は、選択された波長及び他の反応条件を含む種々の要因に依存する。例えば、9μW/cm2のUV線量を使用することができる。理論に束縛されるものではないが、UV照射は、工程I)における酸化反応の速度を増加させ得ると考えられる。
【0135】
酸化反応後、酸化反応触媒は、例えば、珪藻土若しくは活性炭を用いた濾過若しくは吸着、沈降、遠心分離などの任意の好都合な手段によって、構造化パッキング若しくは他の固定構造中に触媒を維持することによって、又はこれらの組み合わせによって、加圧された雰囲気中で分離され得る。
【0136】
上記のように調製されたカルボキシ官能性有機ケイ素化合物は、1分子当たり、ケイ素に共有結合している少なくとも1つのカルボキシ官能基を有する。代替的に、カルボキシ官能性有機ケイ素化合物は、1分子当たり、ケイ素に共有結合している1つを超えるカルボキシ官能基を有し得る。ケイ素に共有結合しているカルボキシ官能基であるRCarは、式:
【0137】
【化25】
(式中、Gは、上記に記載及び例示されたように、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価炭化水素基である)を有し得る。カルボキシ官能性有機ケイ素化合物は、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物について上に示した式のうちのいずれか1つを有し得るが、但し、1つ以上のR
AldがR
Carで置き換えられていることを条件とする。カルボキシ官能性有機ケイ素化合物は、実施形態において以下に示す式を有し得る。
【実施例】
【0138】
これらの実施例は、当業者に本発明を例示するために提供され、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。実施例で使用した出発材料を、以下の表1に記載する。
【0139】
【0140】
【0141】
この合成例1では、3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロパナール(アルデヒドシロキサン1)を作製するための手順を、以下のように実施した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(6.7mg、0.026mmol)、配位子1(30.2mg、0.0360mmol)、及びトルエン(5.0g、0.054mmol)を、磁気撹拌棒を備えた30mLガラスバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で撹拌した。この溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、ビニルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン(20.2g、81.2mmol)及びトルエン(57.7g、627mmol)を300mLのParr反応器に充填した。反応器を密封し、ホルダに装着した。反応器を、浸漬管を介して窒素で100psiまで加圧し、ヘッドスペースに接続されたバルブを通して注意深く3回放圧した。次いで、反応器を窒素で300psiに加圧することによって圧力試験を行った。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psiに加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して80psigに加圧した。反応温度を90℃に設定した。撹拌速度を500RPMに設定した。所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psiに設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、300mLの中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。N/I比を、最終生成物の1H NMR分析によって決定した。
【0142】
この合成例2では、3,3’-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ジプロパナール(アルデヒドシロキサン2)を作製するための手順を、以下のように実施した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(18.1mg、0.0699mmol)、配位子1_(88.0mg、0.105mmol)、及びトルエン(5.0g、0.054mmol)を、磁気撹拌棒を備えた30mLのガラスバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で撹拌した。この溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン(44.8g、240mmol)及びトルエン(40.0g、488mmol)を300mLのParr反応器に充填した。反応器を密封し、ホルダに装着した。反応器を、浸漬管を介して窒素で100psiまで加圧し、ヘッドスペースに接続されたバルブを通して注意深く3回放圧した。次いで、反応器を窒素で300psiに加圧することによって圧力試験を行った。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psiに加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して80psigに加圧した。反応温度を90℃に設定した。撹拌速度を500RPMに設定した。所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psiに設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、300mLの中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。N/I比を、最終生成物の1H NMR分析によって決定した。
【0143】
この合成例3では、テトラプロパナール-テトラメチルシクロテトラシロキサン(アルデヒドシロキサン3)を作製するための手順を、以下のように実施した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(5.9mg、0.019mmol)、配位子1(28.6mg、0.0341mmol)、及びトルエン(5.0g、0.054mmol)を、磁気撹拌棒を備えた30mLガラスバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で撹拌した。この溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン(45.0g、130mmol)及びトルエン(40.0g、488mmol)を300mLのParr反応器に充填した。反応器を密封し、ホルダに装着した。反応器を、浸漬管を介して窒素で100psiまで加圧し、ヘッドスペースに接続されたバルブを通して注意深く3回放圧した。次いで、反応器を窒素で300psiに加圧することによって圧力試験を行った。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psiに加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して80psigに加圧した。反応温度を90℃に設定した。撹拌速度を500RPMに設定した。所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psiに設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、300mLの中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。N/I比を、最終生成物の1H NMR分析によって決定した。
【0144】
この合成例4では、Q型分岐状ヘキセニルポリオルガノシロキサンポリマーの合成を以下のように行った。
A.ヘキセニルネオペンタマーの合成
【0145】
【0146】
典型的な手順では、500mLのマルチネック反応器に、熱電対、オーバーヘッドスターラー、窒素掃引、及び凝縮器を有するディーンスタークトラップを取り付けた。反応器に1,3-ジ-5-ヘキセニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(78.84g、0.26mol、0.55当量)を投入し、酢酸(129.7g、2.16mol、4.5当量)を投入し、オーバーヘッド窒素でパージした。シリンジを使用して、トリフリック酸(0.3089g、2.1mmol、0.1重量%)を反応器に滴下した。次いで、反応器内の混合物を撹拌し、N2下で45℃に加熱した。テトラエトキシシラン(TEOS、100g、0.48mol、1当量)を、添加漏斗を介して反応混合物に滴下し、TEOS添加中、反応混合物温度を45~50℃に維持した。TEOS添加を行った後、反応が完了するまで80℃で反応を進行させた。反応をGC-MSによって監視した。反応が完了した後、反応混合物を室温に冷却し、続いてDI水で2回、飽和NaHCO3溶液で3回、DI水で再び2回洗浄した。未精製生成物を無水Na2SO4で乾燥させ、次いで180℃でストリッピングして、残留揮発物を除去した。淡黄色の油を得た(収率=88%)。
B.Q-分岐ヘキセニルポリオルガノシロキサンQ-(D36Mhex)4の合成
【0147】
【0148】
窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(75.5mg、0.292mmol)、配位子1(489.1mg、0.58mmol)、及びトルエン(10.0g、0.108mmol)を、磁気撹拌子を備えた30mLのガラスバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で撹拌した。この溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、Q型-分岐ヘキセニルシロキサン(150g、13.59mmol)を300mLのParr反応器に充填した。反応器を密封し、ホルダに装着した。反応器を、浸漬管を介して窒素で100psiまで加圧し、ヘッドスペースに接続されたバルブを通して注意深く3回放圧した。次いで、反応器を窒素で300psiに加圧することによって圧力試験を行った。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psiに加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して80psigに加圧した。反応温度を70℃に設定した。撹拌速度を600RPMに設定した。所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psiに設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、300mLの中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。N/I比を、最終生成物の1H NMR分析によって決定した。
【0149】
この合成例5では、表1に記載のアリル-シロキサンを以下のようにして調製した。典型的な手順では、500mLのマルチネック反応器に、熱電対、オーバーヘッドスターラー、窒素掃引、及び凝縮器を有するディーンスタークトラップを取り付けた。反応器に1,3-ジアリルテトラメチルジシロキサン(13.81g、64.38mmol、1当量)及びオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4、487g、1.64mol、25.5当量)を仕込み、オーバーヘッド窒素でパージした。反応器中の混合物を撹拌し、窒素雰囲気下で140℃に加熱し、次いで、希カリウムシラノレート(D4中10重量%、1.2809g)を反応器に添加した。反応を140℃で4時間進行させ、オフラインNMRによって監視した。反応が完了したら、オクチルシリルホスホネート(D4中2.5重量%、2.967g)を反応器に添加して、反応を中和した。次いで、加熱を止めて、反応器を周囲温度まで冷却させた。最終的なアリル-シロキサンは、真空下で揮発性の環状物を除去することによって得られた。
【0150】
この合成例6では、表1に記載のアルデヒド-MQ樹脂を以下のように調製した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(3.8mg、0.0147mmol)、配位子1(27.28mg、0.0325mmol)、及びトルエン(5.0g、57.9mmol)を、磁気撹拌子を備えた30mLガラスバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で撹拌した。この溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、ビニル-MQ樹脂(DOWSIL(商標)6-3444 Int)(37.5g)及びトルエン(112.5g、1.22mol)を300mLのParr反応器に充填した。反応器を密封し、ホルダに装着した。反応器を、浸漬管を介して窒素で100psiまで加圧し、ヘッドスペースに接続されたバルブを通して注意深く3回放圧した。次いで、反応器を窒素で300psiに加圧することによって圧力試験を行った。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psiに加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して80psigに加圧した。反応温度を70℃に設定した。撹拌速度を500RPMに設定した。所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psiに設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、300mLの中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。N/I比を、最終生成物の1H NMR分析によって決定した。
【0151】
この合成例7では、3,3’-(1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11,13,13,15,15,17,17-オクタデカメチルノナシロキサン-1,17-ジイル)ジプロパナール(MPr-aldD7MPr-ald)を以下のように調製した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(9.3mg、0.0359mmol)、配位子1(58.1mg、0.069mmol)、及びヘプタン(10.0g、99.8mmol)を、磁気撹拌子を備えた30mLのガラスバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で撹拌した。この溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、DSCからの3,3’-(1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11,13,13,15,15,17,17-オクタデカメチルノナシロキサン-1,17-ジイル)ジビニル(MViD7MVi)(700g、1.027mol)を2Lのオートクレーブ反応器に充填した。反応器を密封し、ホルダに装着した。反応器を、浸漬管を介して窒素で100psiまで加圧し、ヘッドスペースに接続されたバルブを通して注意深く3回放圧した。次いで、反応器を窒素で300psiに加圧することによって圧力試験を行った。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psiに加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して80psigに加圧した。反応温度を70℃に設定した。撹拌速度を800RPMに設定した所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psiに設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。得られた生成物は、表1の3,3’-(1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11,13,13,15,15,17,17-オクタデカメチルノナシロキサン-1,17-ジイル)ジプロパナール(MPr-aldD7MPr-ald)、アルデヒド-シロキサン4を含有した。
【0152】
この合成例8では、以下のように、MVi
2D180をヒドロホルミル化して、MPr-AldD180MPr-Aldを形成した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(0.0050g)、配位子1(0.0326g)、及びトルエン(5.0g)を、磁気撹拌子を備えた60mLのバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で室温で撹拌した。溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、DSCからのMVi
2D180(200g)をParr反応器に充填した。反応器を密封し、浸漬管を介して窒素で100psig(689kPa)まで加圧し、ヘッドスペースに接続された弁を通して注意深く放圧した。窒素を用いる加圧/排気サイクルを3回繰り返した。続いて、反応器を窒素を用いて300psig(2086kPa)まで加圧することによって圧力試験を実施した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psig(689kPa)に加圧し、次いで3回排気した後、浸漬管を介して所望の圧力より20psig(138kPa)低く加圧した。反応温度を70℃に設定した。加熱器及び撹拌をオンにした。所望の温度に到達したら、反応のための合成ガスを含有する300mLの中間シリンダーと反応器とを接続した。300mLの中間シリンダーからの圧力降下を使用して、反応の進行を監視し、データロガーによって記録した。1H NMRによってモニタリングしたところ、3.5時間の反応時間後にビニル基の完全変換が観察された。
【0153】
この合成例9では、MD8.2DPr-Ald
3.7Mを以下のように合成した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(0.0191g)、配位子1(0.1324g)、及びトルエン(76.74g)を、磁気撹拌子を備えた125mLのボトルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で室温で撹拌した。3.65gの溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、DSCからのMD8.2Dvi
3.7M(180g)をParr反応器に充填した。反応器を密封し、浸漬管を介して窒素で100psig(689kPa)まで加圧し、ヘッドスペースに接続された弁を通して注意深く放圧した。窒素を用いる加圧/排気サイクルを3回繰り返した。続いて、反応器を窒素を用いて300psig(2086kPa)まで加圧することによって圧力試験を実施した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psig(689kPa)に加圧し、次いで3回排気した後、浸漬管を介して所望の圧力より20psig(138kPa)低く加圧した。反応温度を70℃に設定した。加熱器及び撹拌をオンにした。所望の温度に到達したら、反応のための合成ガスを含有する300mLの中間シリンダーと反応器とを接続した。300mLの中間シリンダーからの圧力降下を使用して、反応の進行を監視し、データロガーによって記録した。1H NMRによって監視したところ、24時間の反応時間後にビニル基の完全変換が観察された。
【0154】
この合成例10では、ビニルシロキサン7、Mvi
2D329のヒドロホルミル化を以下のように実施した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(0.380g)、配位子1(2.45g)、及びトルエン(90g)を、磁気撹拌子を備えた125mLのバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で室温で撹拌した。次いで、8.6gの溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、Mvi
2D329(1394g)を2リットルのオートクレーブ反応器に充填した。反応器を密封し、浸漬管を介して窒素で100psig(689kPa)まで加圧し、ヘッドスペースに接続された弁を通して注意深く放圧した。窒素を用いる加圧/排気サイクルを3回繰り返した。続いて、反応器を窒素を用いて300psig(2086kPa)まで加圧することによって圧力試験を実施した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psig(689kPa)に加圧し、次いで3回排気した後、浸漬管を介して所望の圧力より20psig(138kPa)低く加圧した。反応温度を90℃に設定した。加熱器及び撹拌をオンにした。所望の温度に到達したら、反応のための合成ガスを含有するシリンダーと反応器とを接続した。質量流量合計器を使用して、反応の進行を監視した。1H NMRによって求めたところ、一晩撹拌した後にビニル基の完全変換が観察された;MPr-Ald
2D329が形成された。
【0155】
この実施例11では、ビニルシロキサン8、MVi
2D25のヒドロホルミル化を以下のように実施した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(0.0252g)、配位子1(1.63g)、及びトルエン(50g)を、磁気撹拌子を備えた125mLのバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で室温で撹拌した。溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、MVi
2D25(1000g)を2リットルのオートクレーブ反応器に充填した。反応器を密封し、浸漬管を介して窒素で100psig(689kPa)まで加圧し、ヘッドスペースに接続された弁を通して注意深く放圧した。窒素を用いる加圧/排気サイクルを3回繰り返した。続いて、反応器を窒素を用いて300psig(2086kPa)まで加圧することによって圧力試験を実施した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psig(689kPa)に加圧し、次いで3回排気した後、浸漬管を介して所望の圧力より20psig(138kPa)低く加圧した。反応温度を80℃に設定した。加熱器及び撹拌をオンにした。所望の温度に到達したら、反応のための合成ガスを含有するシリンダーと反応器とを接続した。質量流量合計器を使用して、反応の進行を監視した。1H NMRによってモニタリングしたところ、2時間の反応時間後にビニル基の完全変換が観察された;MPr-Ald
2D25が形成された。
【0156】
この合成例12では、ビニルシロキサン16、MVi
2D77のヒドロホルミル化を以下のように実施した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(0.0050g)、配位子1(0.0227g)、及びトルエン(30.09g)を、磁気撹拌子を備えた60mLのバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で室温で撹拌した。溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、MVi
2D77(140.12g)及びトルエン(46.92g)をParr反応器に充填した。反応器を密封し、浸漬管を介して窒素で100psig(689kPa)まで加圧し、ヘッドスペースに接続された弁を通して注意深く放圧した。窒素を用いる加圧/排気サイクルを3回繰り返した。続いて、反応器を窒素を用いて300psig(2086kPa)まで加圧することによって圧力試験を実施した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psig(689kPa)に加圧し、次いで3回排気した後、浸漬管を介して所望の圧力より20psig(138kPa)低く加圧した。反応温度を90℃に設定した。加熱器及び撹拌をオンにした。所望の温度に到達したら、反応のための合成ガスを含有する300mLの中間シリンダーと反応器とを接続した。300mLの中間シリンダーからの圧力降下を使用して、反応の進行を監視し、データロガーによって記録した。1H NMRによってモニタリングしたところ、10時間の反応時間後にビニル基の完全変換が観察された;MPr-Ald
2D77が形成された。
【0157】
この合成例13では、分岐状オリゴマーのヒドロホルミル化を次のように実施した。
【0158】
【化28】
窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)
2(15.1mg、0.0583mmol)、配位子1(76.4mg、0.0911mmol)、及びトルエン(7.49g、0.0814mmol)を、磁気撹拌子を備えた30mLのガラスバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で撹拌した。この溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、5-((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-1,1,1,3,7,9,9,9-オクタメチル-3,7-ビス((トリメチルシリル)オキシ)-5-ビニルペンタシロキサン(145.0g、189.2mmol)を300mLのParr反応器に充填した。反応器を密封し、ホルダに装着した。反応器を浸漬管を介して窒素で100psi(689kPa)まで加圧し、ヘッドスペースに接続された弁を通して注意深く3回放圧した。次いで、反応器を窒素で300psi(2068kPa)に加圧することによって圧力試験を行った。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psi(689kPa)に加圧し、次いで3回解放した後、浸漬管を介して80psi(552kPa)に加圧した。反応温度を100℃に設定した。撹拌速度を500RPMに設定した。所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psi(689kPa)に設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、300mLの中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。98%超の変換率が200分後に観察された。N/I比を、最終生成物の
1H NMR分析によって決定した。
【0159】
この合成例14では、分岐状オリゴマーのヒドロホルミル化を以下のように実施した。
【0160】
【化29】
窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)
2(25.5mg、0.0984mmol)、配位子1(122.3mg、0.1457mmol)、及びトルエン(5.0g)を、磁気撹拌子を備えた30mLのバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を磁気撹拌プレート上で混合した。溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、グローブボックスから取り出した。ドラフト内で、Si10 Hex(100.0g、121.6mmol)をParr反応器に添加した。反応器を密封し、ホルダに装着した。反応器を、浸漬管を介して窒素で100psi(690kPa)まで加圧し、ヘッドスペースを通して慎重に3回放圧した。圧力試験後、触媒溶液を反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psiに加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して80psigに加圧した。撹拌及び加熱を開始した。反応が110℃に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。中間シリンダーの圧力を、データロガーによって監視した。反応が完了した後、反応器を窒素で3回パージし、材料を無色の液体としてガラス容器に移したところ、経時的に淡黄色に変化した。
【0161】
この合成例15では、3-(エトキシジメチルシリル)プロパナール(アルデヒドアルコキシシラン1)を作製するための手順を、以下のように実施した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(14.3mg、0.055mmol)、配位子1(100.9mg、0.12mmol)、及びトルエン(70g)を、磁気撹拌子を備えた60mLバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で室温で撹拌した。溶液のうち3.5gを金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、ビニルアルコキシシラン1、Me2Si(OEt)Vi、(40g、307mmol)をParr反応器に充填した。反応器を密封し、浸漬管を介して窒素で100psig(689kPa)まで加圧し、ヘッドスペースに接続された弁を通して注意深く放圧した。窒素を用いる加圧/排気サイクルを3回繰り返した。続いて、反応器を窒素を用いて300psig(2086kPa)まで加圧することによって圧力試験を実施した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psig(690kPa)に加圧し、次いで3回換気した後、浸漬管を介して109psig(752kPa)に加圧した。反応温度を70℃に設定した。加熱器及び撹拌をオンにした。所望の温度に到達したら、反応のための合成ガスを含有する300mLの中間シリンダーと反応器とを接続した。300mLの中間シリンダーからの圧力降下を使用して、反応の進行を監視し、データロガーによって記録した。1H NMRによってモニタリングしたところ、23時間の反応時間後にビニル基の完全変換が観察された;3-(エトキシジメチルシリル)プロパナールが形成された。
【0162】
この合成例16では、ビニルトリメチルシランのヒドロホルミル化を以下のように実施した:窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(0.0007g)、配位子1(0.0043g)、及びトルエン(0.90g)を、磁気撹拌子を備えたバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で室温で撹拌した。溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、ビニルトリメチルシラン(53.0g)を300mLのParr反応器に充填した。反応器を密封し、浸漬管を介して窒素で100psig(689kPa)まで加圧し、ヘッドスペースに接続された弁を通して注意深く放圧した。窒素を用いる加圧/排気サイクルを3回繰り返した。続いて、反応器を窒素を用いて300psig(2086kPa)まで加圧することによって圧力試験を実施した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psig(689kPa)に加圧し、次いで3回排気した後、浸漬管を介して所望の圧力より20psig(138kPa)低く加圧した。反応温度を70℃に設定した。加熱器及び撹拌をオンにした。反応は100psig(689kPa)の合成ガス圧で行った。1H-NMRによってモニタリングしたところ、20時間の反応時間後にビニル基のうちの99.5%の変換が観察された;プロピルアルデヒド官能性トリメチルシランが形成された。
【0163】
この参考例Aでは、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物の酸化を以下のように行った。典型的な手順では、250mLのガラス反応器に150gのアルデヒド-シロキサンを仕込んだ。アルデヒド-シロキサンを機械的撹拌子又は磁気撹拌機で撹拌し、空気を50~200cc/分の速度でステンレススチール製のニードルを用いて液面下に連続的に注入した。反応の進行を1H-NMR分析を用いて判定し、高い変換率が達成されるまで反応を継続した。アルデヒド出発物質及び反応生成物の混合物を、1H、13C-NMR、及び29Si-NMR、GC/MS、並びにGPCによって分析した。変換率及び収率は、主に1H-NMRデータに基づいていた。
【0164】
この実施例1では、参考例Aの手順に従って、MDPr-AldM(合成例1に記載のように調製したMDviMのヒドロホルミル化生成物)の酸化を行ったところ、以下の結果が得られた。
【0165】
【0166】
【0167】
この実施例2では、MD8.2DPr-Ald
3.7M(合成例9に従って調製したビニルシロキサン5、MD8.2Dvi
3.7Mのヒドロホルミル化生成物)の酸化を以下のように行った。
【0168】
【化31】
アルデヒド-シロキサン5(100.4g)を、PTFEでコーティングされた撹拌子を備えた250mLの反応フラスコに充填した。周囲温度20~25℃において50cc/分でニードルを用いて液面に空気を吹き込んだ。反応を244時間行ったところ、101gの透明なわずかに黄色の生成物が生成された。NMRによる生成物分析を、CDCl
3溶媒を用いて行った。96.8%のアルデヒド変換率が達成された。生成物は、83モル%の直鎖状カルボキシ-プロピル基及び6.8モル%の分岐状カルボキシ-プロピル基(89.8%の全酸)を含んでいた。
【0169】
この実施例3では、アルデヒド-シロキサン2、MPr-AldMPr-Ald(合成例2に記載の通り調製したビニルシロキサン2、MviMviのヒドロホルミル化生成物)の酸化を以下のように行った。
【0170】
【化32】
粗アルデヒド-シロキサン2(309g)及び3-ペンタノン溶媒(76g)を、オーバーヘッドパドルスターラー及び空気を表面下に添加するためのニードルを備えた500mLの反応フラスコに添加した。400rpmで撹拌しながら100cc/分の空気添加速度で酸化反応を行った。反応を187時間続けた。340.9gの透明でわずかに黄色の生成物溶液が収集された。
1H-NMR分析は、96%のアルデヒド変換率、91.3モル%のカルボン酸及び5モル%のホルミルエステルを示した。
【0171】
この実施例4では、合成例7に従って調製したアルデヒド-シロキサン4、MPr-AldD7MPr-Ald(ビニルシロキサン4 MviD7Mviのヒドロホルミル化生成物)の酸化を以下のように行った。
【0172】
【化33】
粗アルデヒド-シロキサン4(195.3g)を、PTFEでコーティングされた磁気撹拌子を備えた250mLの欧州型フラスコに充填した。空気をニードルを用いて100cc/分で表面下にスパ-ジし、混合物を磁気撹拌子を用いて最高速度で撹拌した。16、40、及び64時間目に反応物を
1H-NMRによって分析した。64時間後に反応を停止した。透明なわずかに黄色の生成物液状物(194.6g)が収集された。反応は、96.6%のアルデヒド変換率に達し、酸は89.7%、ホルミルエステルは4.0%であった。
【0173】
この実施例5では、合成例3に従って調製したアルデヒド-シロキサン3、DPr-Ald
4(ビニルシロキサン3、Dvi
4のヒドロホルミル化生成物)の酸化を以下のように行った。
【0174】
【化34】
250mLの欧州型フラスコ中で磁気撹拌しながら酸化反応を行った。50.25gのアルデヒド-シロキサン3を充填した。周囲温度20~25℃でニードルを通して表面下に80cc/分で空気を吹き込むことから始めて反応を行った。2時間後、3-ペンタノン溶媒(50mL)を添加し、空気速度を100cc/分に増大させた。46時間後、追加の3-ペンタノン(50mL)を添加した。69時間後、追加の3-ペンタノン(25mL)を添加した。77時間後、追加の3-ペンタノン(50mL)を添加し、サンプル粘度のために空気速度を10cc/分に低下させた。165時間後、反応を停止させた。反応物を窒素で一晩スパージして2.74gの溶媒を除去し、52.17gのわずかに黄色の粘性油状物を収集した。
【0175】
この実施例6では、合成例8に従って調製したアルデヒド-シロキサン6、MPr-AldD180MPr-Ald(ビニルシロキサン6、MVi
2D180のヒドロホルミル化生成物)の酸化を以下のように行った。
【0176】
【化35】
粗M
Pr-AldD
180M
Pr-Ald溶液(189.27g)を、機械的オーバーヘッド撹拌しながら250mLのテーパードサイドガラスフラスコに充填した。反応は、21.9℃の周囲温度で開始して、約100cc/分の空気を用いて行った。67時間後に反応を停止させたところ、アルデヒド変換率は98.6%であった。酸化反応生成物は、91.8%の酸、2%のホルミルエステル、及び1.4%の未反応アルデヒドを含有していた。
【0177】
この実施例7では、実施例4に従って調製したMacid-D7-Macidを、以下のように、DOWEX(商標)DR-2030の存在下でD4を用いて平衡化した。D4をモレキュラーシーブ上で乾燥させた。Macid-D7-Macidをモレキュラーシーブ上で乾燥させ、0.45μmのPTFEシリンジフィルターを通して濾過した。オーバーヘッドスターラー、サーモプローブ、水冷凝縮器、窒素ヘッドスペースパージ、及び加熱マントルを備えた250mLの反応フラスコに、DOWEX(商標)DR-2030(0.40g)及びD4(65.2g)を添加し、60℃に加熱した。Macid-D7-Macid(13.37g)をシリンジを介して添加した。次いで、得られた透明な混合物を60℃で一晩21時間撹拌して、透明な流動性流体を得、これをSi-NMRによって分析したところ、74.7のDPを示した。反応を更に3時間継続し、温かいうちに、反応混合物を中性能使い捨て濾過漏斗を通して濾過して触媒を除去し、75.32gの透明でわずかに粘性の液状物を得た。流体を16torr及び95℃で30分間ロータリーエバポレーターでストリッピングして、70.51gの生成物流体を得た。生成物流体のSi-NMR分析は、76のDP及び16%のD4を示した。
【0178】
この実施例8では、D4をモレキュラーシーブ上で乾燥させた。オーバーヘッドスターラー、サーモプローブ、加熱マントルバーを備えた250mLの反応フラスコに、DOWEX(商標)DR-2030(0.5g)及びD4(108g)を添加し、80℃に加熱した。シリンジポンプを使用して、実施例2で調製したビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチル、カルボキシプロピル)シロキサンコポリマー(MD8.2Dacid
3.7M、9g)を3時間かけて滴下した。次いで、混合物を80℃で一晩14時間撹拌して、濃厚な液状物を得た。反応混合物は若干のゲル化物質を含んでいた。温かいうちに、反応混合物を粗い焼結ガラス漏斗を通して濾過して、ゲル化物質及び触媒を除去し、101gの透明な濃厚液状物を得た。Si-NMRは259のDPを示した。
【0179】
この実施例9では、実施例13に記載の通り調製した)(M2T)3Tプロピオンアルデヒドの酸化を以下のように行った。
【0180】
【化36】
粗(M2T)3Tプロピオンアルデヒド(90g、77:1 n:i比)を、PTFEでコーティングされた撹拌子を備えた240mLのセプタムキャップボトルに充填した。ニードルを用いて50cc/分で表面下に空気をスパージし、混合物を64時間撹拌した。透明なわずかに黄色の液状物(90.0g)が収集された。この液状物の
1H-NMR分析は、酸、ホルミルエステル、及び未反応アルデヒドがそれぞれ97.8、1.82、及び0.39モル%の比率であることを示した。
【0181】
この実施例10では、3-ペンタノン及び/又はN-ヒドロキシフタルイミドによる(合成例1に示す通り調製した)MDPr-AldMの酸化を以下のように検討した。異なる条件下におけるMDPr-AldMの酸化について4つの酸化実験を設定した。実験Aでは、3.0gの未希釈MDPr-AldMを使用した。実験Bでは、0.04g(約1重量%)のN-ヒドロキシフタルイミドを含む4.5gの未希釈MDPr-AldMを使用した。実験Cでは、3.0gのMDPr-AldM及び3.0gの3-ペンタノンを使用した。実験Dでは、2.8gのMDPr-AldM、2.8gの3-ペンタノン、及び0.015gのN-ヒドロキシフタルイミド(MDPr-AldMに対して0.5重量%)を使用した。各酸化は、10cc/分の空気及び500rpmの撹拌を用いて24時間行った。結果を次の表3に示す。
【0182】
【0183】
この実施例11では、アルデヒド官能性MQ樹脂(合成例6に従って調製したヒドロホルミル化生成物)の酸化を以下のように行った。PTFEでコーティングした磁気撹拌子を備えた40mLのセプタムキャップバイアルに、合成例6からのアルデヒド-MQ樹脂25gを充填した。磁気撹拌プレートを用いて1000RPMで撹拌しながら、22℃の温度、20cc/分の速度で溶液の表面下に空気を吹き込んだ。反応を184時間継続し、液体生成物を収集した。生成物の定量的13C-NMR分析によって、95%の変換率が明らかになり、酸は83%、ホルミルエステルは12%であった。
【0184】
この実施例12では、3-(エトキシジメチルシリル)プロパナール(合成例15に従って調製したヒドロホルミル化生成物)の酸化を以下のように行った。40mLのバイアルに、磁気撹拌子及び3-(エトキシジメチルシリル)プロパナール[Me2Si(OEt)CH2CH2CHO](7.16g、44.7mmol)を仕込んだ。40cc/分で表面下に空気を吹き込んだ。撹拌プレートを使用し、1000RPMに設定した。2時間、21時間、42時間、及び116時間目に、反応を1H-NMR分光法によりモニタリングした。反応を116時間後に停止させた。4.31gの淡黄色の液状物を収集した。1H-NMR分光法による分析によって、96.2%のアルデヒド変換率が明らかになり、酸は95.2%、ホルミルエステルは1.0%であった。この結果は、13C-NMR分光法データによって更に裏付けられた。
【0185】
この実施例13では、3-(エトキシジメチルシリル)プロパナール(合成例15に従って調製したヒドロホルミル化生成物)の酸化を以下のように行った。40mLのバイアルに、磁気撹拌子及び3-(エトキシジメチルシリル)プロパナール[Me2Si(OEt)CH2CH2CHO](6.96g、43.4mmol)を仕込んだ。5cc/分で表面下に空気を吹き込んだ。撹拌プレートを使用し、1000RPMに設定した。16時間、24時間、51時間、62時間、及び144時間目に、反応を1H-NMR分光法によりモニタリングした。反応を144時間後に停止させた。5.56gの淡黄色の液状物を収集した。1H-NMR分光法による分析によって、93.5%のアルデヒド変換率が明らかになり、酸は92.6%、ホルミルエステルは0.9%であった。
【0186】
【0187】
この実施例14では、合成例7に従って調製したアルデヒド-シロキサン4、MPr-AldD7MPr-Ald(ビニルシロキサン4 MviD7Mviのヒドロホルミル化生成物)のRT酸化を以下のように行った。40mLのバイアルに、磁気撹拌子及びMPr-AldD7MPr-Ald(10.1g、13.2mmol)を仕込んだ。40cc/分で表面下に空気を吹き込んだ。反応を室温で行い、撹拌プレートを使用し、1000RPMに設定した。30分、1時間、2時間、4時間、7時間、及び23時間目に、反応を1H-NMR分光法によりモニタリングした。反応を23時間後に停止させた。9.35gの無色の液状物が得られた。1H-NMR分光法による分析によって、96.5%のアルデヒド変換率が明らかになり、酸は87.0%、ホルミルエステルは6.1%であった。
【0188】
この実施例15では、合成例7に従って調製したアルデヒド-シロキサン4、MPr-AldD7MPr-Ald(ビニルシロキサン4 MviD7Mviのヒドロホルミル化生成物)の60℃酸化を以下のように行った。40mLのバイアルに、磁気撹拌子及びMPr-AldD7MPr-Ald(9.99g、13.1mmol)を仕込んだ。40cc/分で表面下に空気を吹き込んだ。反応を60℃で行い、撹拌プレートを使用し、1000RPMに設定した。30分、1時間、2時間、4時間、7時間、及び23時間目に、反応を1H-NMR分光法によりモニタリングした。反応を23時間後に停止させた。9.12gの無色の液状物が得られた。1H-NMR分光法による分析によって、98.3%のアルデヒド変換率が明らかになり、酸は84.7%、ホルミルエステルは10.2%であった。
【0189】
この実施例16では、合成例7に従って調製したアルデヒド-シロキサン4、MPr-AldD7MPr-Ald(ビニルシロキサン4 MviD7Mviのヒドロホルミル化生成物)の100℃酸化を以下のように行った。40mLのバイアルに、磁気撹拌子及びMPr-AldD7MPr-Ald(10.1g、13.2mmol)を仕込んだ。40cc/分で表面下に空気を吹き込んだ。反応を100℃で行い、撹拌プレートを使用し、1000RPMに設定した。30分、1時間、2時間、4時間、7時間、及び23時間目に、反応を1H-NMR分光法によりモニタリングした。反応を23時間後に停止させた。8.55gの無色の液状物が得られた。1H-NMR分光法による分析によって、98.4%のアルデヒド変換率が明らかになり、酸は80.0%、ホルミルエステルは16.0%であった。実施例14~16は、異なる温度で酸化反応を実施できることを示した。
【0190】
この実施例17では、合成例7に従って調製したアルデヒド-シロキサン4、MPr-AldD7MPr-Ald(ビニルシロキサン4 MviD7Mviのヒドロホルミル化生成物)の0℃酸化を以下のように行った。250mLのジャケット付きガラス反応器に、MPr-AldD7MPr-Ald(91.1g、119mmol)を仕込んだ。100cc/分で表面下に空気を吹き込んだ。反応を0℃で行い、オーバーヘッドスターラーを撹拌のために使用し、500RPMに設定した。20時間、23時間、44時間、67時間、及び140時間目に、反応を1H-NMR分光法によりモニタリングした。反応を140時間後に停止させた。78.6gの無色の液状物が得られた。1H-NMR分光法による分析によって、92.3%のアルデヒド変換率が明らかになり、酸は88.7%、ホルミルエステルは2.5%であった。
【0191】
【0192】
この実施例18では、アルデヒド官能性シラン(合成例16に従って調製したヒドロホルミル化生成物)の酸化を以下のように行った。PTFEでコーティングした磁気撹拌子を備えた40mLのセプタムキャップバイアルに、合成例16からのプロピル-アルデヒド官能性トリメチルシラン5.7gを充填した。磁気撹拌プレートを用いて1400RPMで撹拌しながら、22℃の温度、5cc/分の速度で溶液の表面下に空気を吹き込んだ。反応を22時間継続し、5.8gの液体生成物を収集した。生成物の1H-NMR分析によって、97.6%の変換率が明らかになり、酸は91.2%、ホルミルエステルは6.4%であった。
【0193】
この実施例19では、合成例10に従って調製したアルデヒド-シロキサン7、MPr-AldD329MPr-Ald(ビニルシロキサン7、MVi
2D329のヒドロホルミル化生成物)の酸化を以下のように行った。
【0194】
【化39】
粗M
Pr-AldD
329M
Pr-Ald溶液(1315g)を、機械的オーバーヘッド撹拌及び温度制御された加熱マントルを備えた2Lの3つ口ガラスフラスコに充填した。反応は、2本の表面下ニードルを用いて約200cc/分で空気を添加しながら行った。反応温度を30℃に制御し、反応物を400RPMで撹拌した。反応を115時間実行した。生成物の
1H-NMR分析によって、96.4%の変換率が明らかになり、酸は91.6%、ホルミルエステルは4.8%であった。
【0195】
この実施例20では、実施例4に従って調製したMacid-D7-Macidを、トリフルオロメタンスルホン酸の存在下でD4を用いて平衡化して、以下のように末端カルボキシ官能化PDMSを生成した。PTFEでコーティングされた撹拌子を備えた40mLのセプタムキャップバイアルに、Macid-D7-Macid(3.3g)及びD4(7.95g)を添加して、均質な溶液を形成した。混合物を90℃に加熱した。ジクロロメタン(100uL)中1重量%トリフリン酸の溶液をバイアルシリンジに添加した。ヘッドスペース窒素パージ(50cc/分)を行いながら、混合物を90℃で16時間撹拌した。生成物をNMR及びGPCによって分析した。Si-NMRは42のDPを示した。
【0196】
この実施例21では、実施例1に従って調製したMDPr-acidMを、トリフルオロメタンスルホン酸の存在下でD4を用いて平衡化して、以下のようにペンダントカルボキシ官能化PDMSを生成した。PTFEでコーティングされた撹拌子を備えた40mLのセプタムキャップバイアルに、MDPr-acidM(0.95g)及びD4(9.5g)を添加して、均質な溶液を形成した。混合物を90℃に加熱し、バイアルを窒素でパージした。ジクロロメタン(100uL)中1重量%トリフリン酸の溶液をバイアルシリンジに添加した。ヘッドスペース窒素パージを17時間行いながら、混合物を90℃で撹拌した。25時間の反応時間で、窒素パージを除去し、静的窒素ヘッドスペースパッドに置き換えた。113時間で、反応を停止させた。生成物をNMR及びGPCによって分析した。Si-NMRは57のDPを示した。
【0197】
この実施例22では、実施例2に従って調製したMD8.2 DPr-Acid
3.7Mを、トリフルオロメタンスルホン酸の存在下でD4を用いて平衡化して、以下のようにペンダントカルボキシ官能化PDMSを生成した。PTFEでコーティングされた撹拌子を備えた40mLのセプタムキャップバイアルに、MD8.2 DPr-Acid
3.7M(0.8g)及びD4(12g)を添加して、濁った混合物を形成した。混合物を90℃に加熱したところ、濁っていた。ジクロロメタン(120uL)中1重量%トリフリン酸の溶液をバイアルシリンジに添加した。3分後、混合物は透明になった。ヘッドスペース窒素パッドを用いて混合物を90℃で15時間撹拌した。生成物をNMR及びGPCによって分析した。Si-NMRは290のDPを示した。
【0198】
この実施例23では、実施例2に従って調製したMD8.2 DPr-Acid
3.7M及び実施例4に従って調製したMacid-D7-Macidをトリフルオロメタンスルホン酸の存在下でD4を用いて平衡化して、以下のようにペンダント及び末端カルボキシ基で官能化されたPDMSを生成した。PTFEでコーティングされた撹拌子を備えた40mLのセプタムキャップバイアルに、MD8.2 DPr-Acid
3.7M(1.1g)、Macid-D7-Macid(0.73g)、およびD4(16g)を添加して、混合物を形成した。混合物を90℃に加熱し、ジクロロメタン(150uL)中1重量%トリフリン酸の溶液をバイアルシリンジに添加した。ヘッドスペース窒素パージを19時間行いながら、混合物を90℃で撹拌した。ヘッドスペースパージから0.53gの物質を収集した。生成物をNMR及びGPCによって分析した。Si-NMRは160のDPを示した。
【0199】
この実施例24では、合成例12に従って調製したアルデヒド-シロキサン9、MPr-AldD77MPr-Ald(ビニルシロキサン16、MVi
2D77のヒドロホルミル化生成物)の酸化を以下のように行った。
【0200】
【化40】
粗M
Pr-AldD
77M
Pr-Ald溶液(185g)を、機械的オーバーヘッド撹拌しながら250mLの欧州型テーパーウォールフラスコに充填した。反応は、20~25℃の周囲温度で、50~100cc/分の空気を用いて行った。酸化を68時間行った。生成物の
1H-NMR分析によって96.9%の変換率が明らかになり、酸は87.5%、ホルミルエステルは9.3%であった。反応混合物の最後は、1.5重量%のトルエンを含んでいた。139.17gの黄色の液状物が収集された。
【0201】
この実施例25では、実施例14に記載の通り調製した)(M2T)3Tヘプタンアルデヒドの酸化を以下のように行った。約5重量%のトルエンを含有する粗(M2T)3Tヘプタンアルデヒド(100g)を、PTFEでコーティングされた撹拌子及びセプタムキャップを備えた一口丸底フラスコに充填した。工場空気をニードルを通して表面下にスパージしながら、液体を磁気撹拌プレート上において1150rpmで撹拌した。完了するまで1H-NMRによって反応混合物を分析した。24時間後に反応を停止させ、(M2T)3T-ヘプタン酸生成物を透明な橙色の液状物として収集した。
【0202】
この実施例26では、合成例11に従って調製したアルデヒド-シロキサン8、MPr-AldD25MPr-Ald(ビニルシロキサン8、MVi
2D25のヒドロホルミル化生成物)の酸化を以下のように行った。
【0203】
【化41】
およそ3重量%のトルエンを含有する粗M
Pr-AldD
25M
Pr-Ald溶液(572g)を、機械的オーバーヘッド撹拌しながら500mLの欧州型テーパーウォールフラスコに充填した。22℃で開始して、周囲温度で200cc/分の空気を用いて反応を行った。酸化を72時間行った。生成物の
1H-NMR分析によって98.4%の変換率が明らかになり、酸は91.2%、ホルミルエステルは7.2%であった。550.7gの透明なわずかに着色した液状物を収集した。
【0204】
この実施例27では、285nmのUV光の存在下で、合成例7に従って調製したアルデヒド-シロキサン4、MPr-AldD7MPr-Ald(ビニルシロキサン4 MviD7Mviのヒドロホルミル化生成物)のRT酸化を以下のように行った。20mLの石英試験管に、MPr-AldD7MPr-Ald(5.00g、6.5mmol)を仕込んだ。20cc/分で表面下に空気を吹き込んだ。反応を室温で行い、撹拌しなかった。285nmのUV LEDを使用して、試料に特定の時間照射した。15分、1時間、3時間、5時間、8時間、及び13時間目に、反応を1H-NMR分光法によりモニタリングした。反応を13時間後に停止させた。3.84gの無色の液状物が得られた。1H-NMR分光法による分析によって、97.1%のアルデヒド変換率が明らかになり、酸は90.3%、ホルミルエステルは4.5%であった。同量のMPr-AldD7MPr-Ald(5.00g、6.5mmol)及び同じ空気吹き込み速度(20cc/分)を使用して、UV光の非存在下で反応を繰り返した。これらの条件下で13時間後、1H-NMR分光法によって、64.2%のアルデヒド変換率が明らかになり、酸は60.6%、ホルミルエステルは3.0%であった。1H-NMR分光法によって、97.1%のアルデヒド変換率が明らかになり、酸は90.3%、ホルミルエステルは4.5%であった。
【0205】
UV照射を行わないことを除いて上記の反応を繰り返した。これらの条件下で13時間後、1H-NMR分光法によって、64.2%のアルデヒド変換率が明らかになり、酸は60.6%、ホルミルエステルは3.0%であり、これは、反応が依然として行われたが、より遅い速度であったことを示していた。
【0206】
【0207】
この実施例28では、過酸(3-クロロ過安息香酸、酸化体1)の存在下で、合成例7に従って調製したアルデヒド-シロキサン4、MPr-AldD7MPr-Ald(ビニルシロキサン4 MviD7Mviのヒドロホルミル化生成物)のRT酸化を以下のように行った。40mLのバイアルに、磁気撹拌子及びMPr-AldD7MPr-Ald(2.22g、2.9mmol)を仕込んだ。別の40mLバイアルに、3-クロロ過安息香酸(1.22g、7.13mmol)及び重水素化ベンゼン(2.58g)を仕込んで、白色スラリーを形成した。スラリーを、MPr-AldD7MPr-Ald を含有するバイアルに2分間かけて添加した。反応から得られたアリコートを、15分後に1H-NMR分光法によって分析した。1H-NMR分光法による分析によって、87.9%のアルデヒド変換率が明らかになり、酸は58.8%、ホルミルエステルは29.1%であった。
【0208】
【0209】
この実施例29では、有機過酸化物(ジ-tert-ブチルパーオキシド、酸化体2)の存在下で、合成例7に従って調製したアルデヒド-シロキサン4、MPr-AldD7MPr-Ald(ビニルシロキサン4 MviD7Mviのヒドロホルミル化生成物)の100℃酸化を以下のように行った。40mLのバイアルに、磁気撹拌子並びにMPr-AldD7MPr-Ald(0.95g、1.2mmol)及び過酸化tert-ブチルパーオキシド(0.50mL、0.40g、2.72mmol)を仕込んだ。反応物をN2雰囲気下で撹拌し、100℃で加熱した。15分、1.5時間、及び3時間後にアリコートを取り出し、1H-NMR分光法によって分析して、所望の酸と出発物質との間のモル比を求めた。MPr-AldD7MPr-Ald(0.95g、1.2mmol)を使用し、酸化剤を添加せず、N2下100℃で加熱して、対照実験を行った。15分、1.5時間、及び3時間後にこの反応のアリコートを取得し、1H-NMR分光法によって分析して、所望の酸と出発物質との間のモル比を求めた。これらの実験から得られた結果を表4に提示する。3時間後、反応を停止させた。0.72gの無色の液状物が得られた。
【0210】
【0211】
【0212】
この実施例30では、有機ヒドロパーオキシド(tert-ブチルヒドロパーオキシド、酸化体3)の存在下で、合成例7に従って調製したアルデヒド-シロキサン4、MPr-AldD7MPr-Ald(ビニルシロキサン4 MviD7Mviのヒドロホルミル化生成物)の100℃酸化を以下のように行った。40mLのバイアルに、磁気撹拌子並びにMPr-AldD7MPr-Ald(0.95g、1.2mmol)及びtert-ブチルヒドロパーオキシド(0.50mL、5.5mmol/mL、2.75mmol)を仕込んだ。反応物をN2雰囲気下で撹拌し、100℃で加熱した。15分、1.5時間、及び3時間後にアリコートを取り出し、1H-NMR分光法によって分析して、所望の酸と出発物質との間のモル比を求めた。MPr-AldD7MPr-Ald(0.95g、1.2mmol)を使用し、酸化剤を添加せず、N2下100℃で加熱して、対照実験を行った。15分、1.5時間、及び3時間後にこの反応のアリコートを取得し、1H-NMR分光法によって分析して、所望の酸と出発物質との間のモル比を求めた。これらの実験から得られた結果を表5に提示する。3時間後、反応を停止させた。0.73gの無色の液状物が得られた。
【0213】
【0214】
【産業上の利用可能性】
【0215】
上記の実施例は、様々なアルデヒド官能性有機ケイ素化合物が、本発明のプロセスを使用してカルボキシ官能性有機ケイ素化合物を形成するために酸化反応を受けることに成功できることを示す。本明細書に記載されるプロセスは、ペンダント及び/又は末端カルボキシ官能基)を両方有する多種多様なポリマーポリオルガノシロキサン及び有機ケイ素低分子を調製することができるという点で柔軟である。本明細書に記載の方法は、1分子当たり2個以上のカルボキシ基を有するカルボキシ官能性有機ケイ素化合物を形成することができる。加えて、プロセスは、次の利点のうちの1つ以上を有し得る:コストが低い、プロセスが単純である、副生成物の形成が最小限である、比較的低圧である、50℃以下の低温である(感受性分子を分解する可能性がより低く、資本コストがより少なく、より安全である)、副生物が最小限である、かつ反応の制御が良好である。更に、プロセスは、使用前に出発物質の精製も分離も必要としない。
【0216】
用語の定義及び使用
本明細書における全ての量、比率、及び百分率は、別途指定がない限り、重量に基づく。組成物中の全ての出発材料の量は、総計100重量%である。「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。冠詞「a」、「an」、及び「the」は各々、明細書の文脈によって特に指示されない限り、1つ以上を指す。単数形は、別途記載のない限り、複数形を含む。「~を含む(comprising)」、「~から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「~からなる(consisting of)」という移行句は、Manual of Patent Examining Procedure Ninth Edition,Revision 08.2017,Last Revised January 2018のセクション§2111.03 I.、II.、及びIIIに記載されているように使用される。本明細書で使用される略語は、表Zにおける定義を有する。
【0217】
【0218】
本明細書では、以下の試験方法を使用した。FTIR:ポリオルガノシロキサン樹脂(例えば、ポリオルガノシリケート樹脂及び/又はシルセスキオキサン樹脂)中に存在するシラノール基の濃度を、ASTM規格E-168-16に従ってFTIR分光法を使用して決定した。GPC:ポリオルガノシロキサンの分子量分布を、Agilent Technologies 1260 Infinityクロマトグラフ及び溶媒としてトルエンを使用してGPCによって決定した。機器は、3本のカラム、PL gel5μm、7.5×50mmガードカラム及び2本のPlgel 5μm、Mixed-C 7.5×300mmカラムを備えていた。較正を、ポリスチレン標準物を使用して行った。試料を、ポリオルガノシロキサンをトルエン(約1mg/mL)中に溶解させることによって作製し、次いで、直ちに溶液をGPC(1mL/分の流量、35℃のカラム温度、25分の実行時間)によって分析した。29Si-NMR:出発物質(B)のアルケニル含有量は、「The Analytical Chemistry of Silicones」ed.A.Lee Smith,Vol.112 in Chemical Analysis,John Wiley&Sons,Inc.(1991)に記載されている技術によって測定することができる。粘度:粘度は、例えば、120mPa・s~250,000mPa・sの粘度を有するポリマー(例えば、特定の(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサン)について、#CP-52スピンドルを備えたBrookfield DV-IIIコーン&プレート粘度計で、25℃、0.1~50RPMで測定され得る。当業者は、粘度が増加するにつれて回転速度が減少し、適切なスピンドル及び回転速度を選択することができることを認識するであろう。
【0219】
本発明の実施形態
第1の実施形態では、カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスは、
1)ヒドロホルミル化反応が行われる条件下で出発物質を化合させることであって、当該出発物質が、
(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、
(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、
(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒と、を含み、当該ビスホスファイト配位子が、式:
【0220】
【化46】
を有し、式中、
R
6及びR
6’が、各々独立して、水素、1~20個の炭素原子のアルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及び1~20個の炭素原子のアルコキシ基からなる群から選択され、
R
7及びR
7’が、各々独立して、3~20個の炭素原子のアルキル基、及び式-SiR
17
3(式中、各R
17が、独立して選択される1~20個の炭素原子の一価の炭化水素基である)の基からなる群から選択され、
R
8、R
8’、R
9、及びR
9’が、各々独立して、水素、アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及びアルコキシ基からなる群から選択され、
R
10、R
10’、R
11、及びR
11’が、各々独立して、水素又は及びアルキル基からなる群から選択され、それによって、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物を形成する、化合させることと、
2)酸化反応が行われる条件下で、(E)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物及び(F)酸素源を含む出発物質を化合させ、それによって、(I)カルボキシ官能性有機ケイ素化合物、を含む酸化反応生成物を形成することと、を含む。
【0221】
第2の実施形態では、第1の実施形態のプロセスにおいて、出発材料(B)は、式(B1):RA
xSiR4
(4-x)のアルケニル官能性シランを含み、式中、各RAが、独立して選択される2~8個の炭素原子のアルケニル基であり、各R4が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xが、1~4である。
【0222】
第3の実施形態では、第1の実施形態のプロセスにおいて、当該アルケニル官能性有機ケイ素化合物は、単位式:(R4
3SiO1/2)a(R4
2RASiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RASiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RASiO3/2)f(SiO4/2)g(ZO1/2)hのアルケニル官能性ポリオルガノシロキサンを含み、式中、各RAが、独立して選択される2~8個の炭素原子のアルケニル基であり、各R4が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ基からなる群から選択され、各Zが、独立して、水素原子及びR5からなる群から選択され、各R5が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgが、式(B2-1)中の各単位の数を表し、かつ下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0となるような値を有し、下付き文字hが、0≦h/(e+f+g)≦1.5となるような値を有するが、但し、e=f=g=0である場合、h≧0、10,000≧(a+b+c+d+e+f+g)≧2、かつ数量(b+d+f)≧1である。
【0223】
第4の実施形態では、第3の実施形態のプロセスにおいて、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、環状であり、かつ(R4RASiO2/2)d(式中、下付き文字dが、3~12である)、(R4
2SiO2/2)c(R4RASiO2/2)d(式中、cが、>0~6であり、dが、3~12である)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される単位式を有する。
【0224】
第5の実施形態では、第3の実施形態のプロセスにおいて、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、直鎖状であり、かつ単位式(B3):(R4
3SiO1/2)a(R4
2RASiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RASiO2/2)dを含み、式中、数量(a+b)=2、数量(b+d)≧1、及び数量(a+b+c+d)≧2である。
【0225】
第6の実施形態では、第3の実施形態のプロセスにおいて、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式:(R4
3SiO1/2)mm(R4
2RASiO1/2)nn(SiO4/2)oo(ZO1/2)hを含むアルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂であり、式中、下付き文字mm、nn、及びooが、ポリオルガノシリケート樹脂中の各単位のモル百分率を表し、下付き文字mm、nn、及びooが、mm≧0、nn≧0、oo>0、及び0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する。
【0226】
第7の実施形態では、第3の実施形態のプロセスにおいて、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式:(R4
3SiO1/2)a(R4
2RASiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RASiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RASiO3/2)f(ZO1/2)hを含むアルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂であり、式中、f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である。
【0227】
第8の実施形態では、第3の実施形態のプロセスにおいて、当該アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、一般式:RASiR12
3を有する分岐状オリゴマーであり、式中、RAが、上記のとおりであり、各R12が、R13及び-OSi(R14)3から選択され、各R13が、一価の炭化水素基であり、各R14が、R13、-OSi(R15)3、及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、各R15が、R13、-OSi(R16)3、及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、各R16が、R13及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、下付き文字iiは、0≦ii≦100であるような値を有する。
【0228】
第9の実施形態では、第3の実施形態のプロセスにおいて、当該アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(B2-13):(R4
3SiO1/2)q(R4
2RASiO1/2)r(R4
2SiO2/2)s(SiO4/2)tのQ型分岐状ポリオルガノシロキサンを含み、式中、下付き文字q、r、s、及びtが、2≧q≧0、4≧r≧0、995≧s≧4、t=1、(q+r)=4となるような平均値を有し、(q+r+s+t)が、回転粘度計(試験方法とともに以下に記載される)によって測定される170mPa・s超の粘度を当該分岐状ポリオルガノシロキサンに付与するのに十分な値を有する。
【0229】
第10の実施形態では、第3の実施形態のプロセスにおいて、当該アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(B2-15):(R4
3SiO1/2)aa(RAR4
2SiO1/2)bb(R4
2SiO2/2)cc(RAR4SiO2/2)ee(R4SiO3/2)ddのT型分岐状ポリオルガノシロキサン(シルセスキオキサン)を含み、式中、下付き文字aa≧0であり、下付き文字bb>0であり、下付き文字ccが15~995であり、下付き文字dd>0であり、下付き文字ee≧0である。
【0230】
第11の実施形態では、第3~第10の実施形態のうちのいずれか1つにおいて、各RAは、独立して、ビニル、アリル、及びヘキセニルからなる群から選択される。
【0231】
第12の実施形態では、第3~第11の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、各R4は、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択される。
【0232】
第13の実施形態では、第1の実施形態のプロセスは、II)平衡化触媒の存在下で、当該カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を環状ポリジオルガノシロキサンを用いて平衡化することを更に含む。
【0233】
第14の実施形態では、第1~第13の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、当該ビスホスファイト配位子におけるR6及びR6’は各々、メトキシ基及びt-ブチル基からなる群から選択され、R7及びR7’は各々、t-ブチル基であり、R8、R8’、R9、R9’、R10、R10’、R11、及びR11’は各々、水素である。
【0234】
第15の実施形態では、第1~第14の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、出発物質(C)は、出発物質(A)、(B)、及び(C)の合計重量に基づいて、0.1ppm~300ppmのRhを提供するのに十分な量で存在する。
【0235】
第16の実施形態では、第1~第15の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、出発物質(C)は、1/1~10/1のビスホスファイト配位子/Rhのモル比を有する。
【0236】
第17の実施形態では、第1~第16の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、工程2)における条件は、i)20℃~50℃の温度、ii)3psia~100psiaの圧力、iii)当該酸素源が21%~100%の酸素を有する、並びにiv)条件i)、ii)、及びiii)のうちの2つ以上の組み合わせ、からなる群から選択される。
【0237】
第18の実施形態では、第1~第17の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒は、ロジウム前駆体とビスホスファイト配位子とを化合させて、ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体を形成し、当該ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体と出発物質(A)とを、工程1)の前に加熱しながら化合させることによって形成される。
【0238】
第19の実施形態において、第1の実施形態又は第2の実施形態のプロセスによって調製されるアルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、式(E1):RAld
xSiR4
(4-x)のアルデヒド官能性シランであり、式中、各RAldが、独立して選択される3~9個の炭素原子のアルデヒド基であり、各R4が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xが、1~4である。
【0239】
第20の実施形態では、第1の実施形態又は第2の実施形態のプロセスによって調製されるアルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、単位式(E2-1):(R4
3SiO1/2)a(R4
2RAldSiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RAldSiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RAldSiO3/2)f(SiO4/2)g(ZO1/2)hのアルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンであり、式中、各RAldが、独立して選択される3~9個の炭素原子のアルデヒド基であり、各R4が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ基からなる群から選択され、各Zが、独立して、水素原子及びR5からなる群から選択され、各R5が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgが、式(E2-1)中の各単位の数を表し、かつ下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0となるような値を有し、下付き文字hが、0≦h/(e+f+g)≦1.5となるような値を有するが、但し、e=f=g=0である場合、h≧0、10,000≧(a+b+c+d+e+f+g)≧2、かつ数量(b+d+f)≧1である。
【0240】
第21の実施形態では、第12の実施形態のプロセスにおいて、当該アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、環状であり、かつ(R4RAldSiO2/2)d(式中、下付き文字dが、3~12である)、(R4
2SiO2/2)c(R4RAldSiO2/2)d(式中、cが、>0~6であり、dが、3~12である)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される単位式を有する。
【0241】
第22の実施形態では、第20の実施形態のプロセスにおいて、当該アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、直鎖状であり、かつ単位式(E3):(R4
3SiO1/2)a(R4
2RAldSiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RAldSiO2/2)dを含み、式中、数量(a+b)=2、数量(b+d)≧1、かつ数量(a+b+c+d)≧2である。
【0242】
第23の実施形態では、第20の実施形態のプロセスにおいて、当該アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式:(R4
3SiO1/2)mm(R4
2RAldSiO1/2)nn(SiO4/2)oo(ZO1/2)hを含むアルデヒド官能性ポリオルガノシリケート樹脂であり、式中、下付き文字mm、nn、及びooが、ポリオルガノシリケート樹脂中の各単位のモル百分率を表し、下付き文字mm、nn、及びooが、mm≧0、nn≧0、oo>0、かつ0.5≦(mm+nn)/oo≦4となるような平均値を有する。
【0243】
第24の実施形態では、第20の実施形態のプロセスにおいて、当該アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式:(R4
3SiO1/2)a(R4
2RAldSiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RAldSiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RAldSiO3/2)f(ZO1/2)hを含むアルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂であり、式中、f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である。
【0244】
第25の実施形態では、第20の実施形態のプロセスにおいて、当該アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、分岐状であり、かつ単位式:RAldSiR12
3を含み、式中、各R12が、R13及び-OSi(R14)3から選択され、各R13が、一価の炭化水素基であり、各R14が、R13、-OSi(R15)3、及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、各R15が、R13、-OSi(R16)3、及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、各R16が、R13及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、下付き文字iiが、0≦ii≦100であるような値を有し、但し、R12のうちの少なくとも2つが、-OSi(R14)3であることを条件とする。
【0245】
第26の実施形態では、第20の実施形態のプロセスにおいて、当該アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式:(R4
3SiO1/2)q(R4
2RAldSiO1/2)r(R4
2SiO2/2)s(SiO4/2)tを含むQ型分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーであり、式中、下付き文字q、r、s、及びtが、2≧q≧0、4≧r≧0、995≧s≧4、t=1、(q+r)=4となるような平均値を有し、(q+r+s+t)が、回転粘度計(試験方法とともに以下に記載される)によって測定される170mPa・s超の粘度を当該Q型分岐状ポリオルガノシロキサンに付与するのに十分な値を有する。
【0246】
第27の実施形態では、第20の実施形態のプロセスにおいて、当該アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式:(R4
3SiO1/2)aa(RAldR4
2SiO1/2)bb(R4
2SiO2/2)cc(RAldR4SiO2/2)ee(R4SiO3/2)ddを含むT型分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンであり、式中、下付き文字aa≧0であり、下付き文字bb>0であり、下付き文字ccが、15~995であり、下付き文字dd>0であり、かつ下付き文字ee≧0である。
【0247】
第28の実施形態では、第20~第27の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、各RAldは、独立して、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、及びヘプチルアルデヒドからなる群から選択される。
【0248】
第29の実施形態では、第20~第28の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、各R4は、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択される。
【0249】
第30の実施形態において、第1~第29の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスは、工程2)の前に当該アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含む。
【0250】
第31の実施形態では、第1~第30の実施形態のいずれか1つのプロセスの工程2)において、酸化反応触媒が添加される。
【0251】
第32の実施形態では、第31の実施形態のプロセスにおいて、当該酸化反応触媒は、遷移金属錯体を含む。
【0252】
第33の実施形態では、第32の実施形態のプロセスにおいて、当該遷移金属錯体は、Co、Cu、Ni、Mn、及びRhからなる群から選択される遷移金属を含む。
【0253】
第34の実施形態では、第31の実施形態のプロセスにおいて、当該酸化反応触媒は、N-ヒドロキシ官能基を含有する有機触媒である。
【0254】
第35の実施形態では、第34の実施形態のプロセスにおいて、当該有機触媒は、N-ヒドロキシフタルイミド及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシルからなる群から選択される。
【0255】
第36の実施形態では、第1~第35の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスは、3)工程2)の後に酸化反応生成物からカルボキシ官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含む。
【0256】
第37の実施形態では、第2の実施形態のプロセスにおいて、当該カルボキシ官能性有機ケイ素化合物は、式:RCar
xSiR4
(4-x)のカルボキシ官能性シランを含み、式中、各RCarが、独立して選択される式
【0257】
【化47】
の3~9個の炭素原子のカルボキシ基であり、式中、Gが、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価の炭化水素基であり、各R
4が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xが、1~4である。
【0258】
第38の実施形態では、第3の実施形態のプロセスにおいて、当該カルボキシ官能性有機ケイ素化合物は、単位式:(R4
3SiO1/2)a(R4
2RCarSiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RCarSiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RCarSiO3/2)f(SiO4/2)g(ZO1/2)hのカルボキシ官能性ポリオルガノシロキサンを含み、式中、各RCarが、独立して選択される式
【0259】
【化48】
の3~9個の炭素原子のカルボキシ基であり、式中、Gが、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価炭化水素基であり、各R
4が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ基からなる群から選択され、各Zが、独立して、水素原子及びR
5からなる群から選択され、各R
5が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgが、単位式中の各単位の数を表し、かつ下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0となるような値を有し、下付き文字hが、0≦h/(e+f+g)≦1.5となるような値を有するが、但し、e=f=g=0である場合、h≧0、10,000≧(a+b+c+d+e+f+g)≧2、かつ数量(b+d+f)≧1である。
【0260】
第39の実施形態では、第38の実施形態のプロセスにおいて、当該カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサンは、環状であり、かつ(R4RCarSiO2/2)d(式中、下付き文字dが、3~12である)、(R4
2SiO2/2)c(R4RCarSiO2/2)d(式中、下付き文字cが、>0~6であり、下付き文字dが、3~12である)からなる群から選択される単位式を有する。
【0261】
第40の実施形態では、第38の実施形態のプロセスにおいて、当該カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサンは、直鎖状であり、かつ単位式:(R4
3SiO1/2)a(R4
2RCarSiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RCarSiO2/2)dを含み、式中、数量(a+b)=2、数量(b+d)≧1、かつ数量(a+b+c+d)≧2である。
【0262】
第41の実施形態では、第38の実施形態のプロセスにおいて、当該カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式:(R4
3SiO1/2)mm(R4
2RCarSiO1/2)nn(SiO4/2)oo(ZO1/2)hを含むカルボキシ官能性ポリオルガノシリケート樹脂であり、式中、下付き文字mm、nn、及びooが、ポリオルガノシリケート樹脂中の各単位のモル百分率を表し、下付き文字mm、nn、及びooが、mm≧0、nn≧0、oo>0、かつ0.5≦(mm+nn)/oo≦4となるような平均値を有する。
【0263】
第42の実施形態では、第38の実施形態のプロセスにおいて、当該カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式:(R4
3SiO1/2)a(R4
2RCarSiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RCarSiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RCarSiO3/2)f(ZO1/2)hを含むカルボキシ官能性シルセスキオキサン樹脂であり、式中、f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である。
【0264】
第43の実施形態では、第38の実施形態のプロセスにおいて、当該カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサンは、分岐状である。
【0265】
第44の実施形態では、第37の実施形態~第43の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、各RCarは、独立して、-(C2H4)C(=O)OH、-(C3H6)C(=O)OH、及び-(C6H12)C(=O)OHからなる群から選択される。
【0266】
第45の実施形態では、第37の実施形態~第44の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、各R4は、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択される。
【0267】
第46の実施形態では、上記実施形態のいずれか1つに記載のプロセスにおいて、酸化反応は、0℃~100℃の温度で実施される。
【0268】
第47の実施形態では、上記実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、出発物質は、工程2)における酸化反応中に紫外線に曝露される。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスであって、
工程I)の前に、ヒドロホルミル化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、出発物質を化合させることを含むプロセスによって、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を形成することであって、前記出発物質が、
(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、
(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、
(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒と、を含み、前記ビスホスファイト配位子が、式:
【化1】
[式中、
R
6及びR
6’が、各々独立して、水素、1~20個の炭素原子のアルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及び1~20個の炭素原子のアルコキシ基からなる群から選択され、
R
7及びR
7’が、各々独立して、3~20個の炭素原子のアルキル基、及び式-SiR
17
3(式中、各R
17が、独立して選択される1~20個の炭素原子の一価の炭化水素基である)の基からなる群から選択され、
R
8、R
8’、R
9、及びR
9’が、各々独立して、水素、アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及びアルコキシ基からなる群から選択され、
R
10、R
11、及びR
11’が、各々独立して、水素又は及びアルキル基からなる群から選択される]を含み、それによって、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物を形成する、ことと、その後、
I)酸化反応が行われる条件下で、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物及び酸素源を含む出発物質を化合させ、それによって、カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を含む酸化反応生成物を形成することと、を含むプロセス。
【請求項2】
前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物が、式:R
Ald
xSiR
4
(4-x)のアルデヒド官能性シランを含み、式中、各R
Aldが、独立して選択される式
【化2】
(式中、Gが、脂肪族不飽和を含まない2~8個の炭素原子の直鎖状又は分岐状の二価の炭化水素基である)を有する3~9個の炭素原子のアルデヒド基であり、各R
4が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xが、1~4である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物が、単位式:(R
4
3SiO
1/2)
a(R
4
2R
AldSiO
1/2)
b(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
AldSiO
2/2)
d(R
4SiO
3/2)
e(R
AldSiO
3/2)
f(SiO
4/2)
g(ZO
1/2)
hのアルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンを含み、式中、各R
Aldが、独立して選択される3~9個の炭素原子のアルデヒド基であり、各R
4が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ基からなる群から選択され、各Zが、独立して、水素原子及びR
5からなる群から選択され、各R
5が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgが、単位式中の各単位の数を表し、かつ下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0となるような値を有し、下付き文字hが、0≦h/(e+f+g)≦1.5となるような値を有するが、但し、e=f=g=0である場合、h≧0、10,000≧(a+b+c+d+e+f+g)≧2、かつ数量(b+d+f)≧1である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンが、
i)(R
4R
AldSiO
2/2)
d(式中、下付き文字dが、3~12である)、(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
AldSiO
2/2)
d(式中、cが、>0~6であり、dが、3~12である)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される単位式を有する環状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン、
ii)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
a(R
4
2R
AldSiO
1/2)
b(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
AldSiO
2/2)
dを含む直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、数量(a+b)=2、数量(b+d)≧1、かつ数量(a+b+c+d)≧2である、直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン、
iii)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
mm(R
4
2R
AldSiO
1/2)
nn(SiO
4/2)
oo(ZO
1/2)
hを含むアルデヒド官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、式中、下付き文字mm、nn、及びooが、前記ポリオルガノシリケート樹脂中の各単位のモル百分率を表し、下付き文字mm、nn、及びooが、mm≧0、nn≧0、oo>0、かつ0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する、アルデヒド官能性ポリオルガノシリケート樹脂、
iv)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
a(R
4
2R
AldSiO
1/2)
b(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
AldSiO
2/2)
d(R
4SiO
3/2)
e(R
AldSiO
3/2)
f(ZO
1/2)
hを含むアルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂であって、式中、f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である、アルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂、
v)単位式:R
AldSiR
12
3を含む分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、各R
12が、R
13及び-OSi(R
14)
3から選択され、各R
13が、一価の炭化水素基であり、各R
14が、R
13、-OSi(R
15)
3、及び-[OSiR
13
2]
iiOSiR
13
3から選択され、各R
15が、R
13、-OSi(R
16)
3、及び-[OSiR
13
2]
iiOSiR
13
3から選択され、各R
16が、R
13及び-[OSiR
13
2]
iiOSiR
13
3から選択され、下付き文字iiが、0≦ii≦100となるような値を有するが、但し、R
12のうちの少なくとも2つが-OSi(R
14)
3であることを条件とする、分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン、
vi)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
q(R
4
2R
AldSiO
1/2)
r(R
4
2SiO
2/2)
s(SiO
4/2)
tを含むQ型分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーであって、式中、下付き文字q、r、s、及びtが、2≧q≧0、4≧r≧0、995≧s≧4、t=1、(q+r)=4となるような平均値を有し、(q+r+s+t)が、回転粘度計(試験方法とともに以下に記載される)によって測定される170mPa・s超の粘度をQ型分岐状ポリオルガノシロキサンに付与するのに十分な値を有する、Q型分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマー、
vii)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
aa(R
AldR
4
2SiO
1/2)
bb(R
4
2SiO
2/2)
cc(R
AldR
4SiO
2/2)
ee(R
4SiO
3/2)
ddを含むT型分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、下付き文字aa≧0であり、下付き文字bb>0であり、下付き文字ccは15~995であり、下付き文字dd>0であり、かつ下付き文字ee≧0である、T型分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン、からなる群から選択される、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
各R
Aldが、独立して、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、及びヘプチルアルデヒドからなる群から選択される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項6】
各R
4が、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項7】
II)平衡化触媒の存在下で、前記カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を環状ポリジオルガノシロキサンで平衡化することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
工程I)の前に、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記酸素源が、空気、酸素ガス、及び過酸化物化合物からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記酸素源が、3psia(20kPa)~100psia(690kPa)の分圧で使用される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
工程I)における前記出発物質が、酸化反応触媒、溶媒、並びに前記酸化反応触媒及び前記溶媒の両方からなる群から選択される追加の物質を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記酸化反応触媒が存在し、Co、Cu、Mn、Ni、Rh、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される金属を含む遷移金属錯体を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記酸化反応触媒が存在し、N-ヒドロキシ官能基を含む有機触媒を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
前記酸化反応触媒が、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物からのアルデヒド官能基のモル数に基づいて0.001~1モル%の量で存在する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項15】
前記溶媒が存在し、ケトン、エステル、カルボン酸、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項16】
前記カルボキシ官能性有機ケイ素化合物が、式:R
Car
xSiR
4
(4)のカルボキシ官能性シランを含み、式中、各R
Carが、独立して選択される3~9個の炭素原子のカルボキシ官能基であり、各R
4が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xが、1~4である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項17】
前記カルボキシ官能性有機ケイ素化合物が、単位式:(R
4
3SiO
1/2)
a(R
4
2R
CarSiO
1/2)
b(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
CarSiO
2/2)
d(R
4SiO
3/2)
e(R
CarSiO
3/2)
f(SiO
4/2)
g(ZO
1/2)
hのカルボキシ官能性ポリオルガノシロキサンを含み、式中、各R
Carが、独立して選択される3~9個の炭素原子のカルボキシ官能基であり、各R
4が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ基からなる群から選択され、各Zが、独立して、水素原子及びR
5からなる群から選択され、各R
5が、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgが、単位式中の各単位の数を表し、かつ下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0となるような値を有し、下付き文字hが、0≦h/(e+f+g)≦1.5となるような値を有するが、但し、e=f=g=0である場合、h≧0、10,000≧(a+b+c+d+e+f+g)≧2、かつ数量(b+d+f)≧1である、請求項3に記載のプロセス。
【請求項18】
前記カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサンが、
i)(R
4R
CarSiO
2/2)
d(式中、下付き文字dが、3~12である)、(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
CarSiO
2/2)
d(式中、cが、>0~6であり、dが、3~12である)からなる群から選択される単位式を有する環状カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサン、
ii)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
a(R
4
2R
CarSiO
1/2)
b(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
CarSiO
2/2)
d(式中、数量(a+b)=2、数量(b+d)≧1、かつ数量(a+b+c+d)≧2である)を含む直鎖状カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサン、
iii)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
mm(R
4
2R
CarSiO
1/2)
nn(SiO
4/2)
oo(ZO
1/2)
h(式中、下付き文字mm、nn、及びooは、ポリオルガノシリケート樹脂中の各単位のモル百分率を表し、下付き文字mm、nn、及びooは、mm≧0、nn≧0、oo>0、かつ0.5≦(mm+nn)/oo≦4となるような平均値を有する)を含むカルボキシ官能性ポリオルガノシリケート樹脂、
iv)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
a(R
4
2R
CarSiO
1/2)
b(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
CarSiO
2/2)
d(R
4SiO
3/2)
e(R
CarSiO
3/2)
f(ZO
1/2)
hを含むカルボキシ官能性シルセスキオキサン樹脂であって、式中、f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である、カルボキシ官能性シルセスキオキサン樹脂、並びに
単位式:R
CarSiR
12
3を含む分岐状カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、各R
12が、R
13及び-OSi(R
14)
3から選択され、各R
13が、一価の炭化水素基であり、各R
14が、R
13、-OSi(R
15)
3、及び-[OSiR
13
2]
iiOSiR
13
3から選択され、各R
15が、R
13、-OSi(R
16)
3、及び-[OSiR
13
2]
iiOSiR
13
3から選択され、各R
16が、R
13及び-[OSiR
13
2]
iiOSiR
13
3から選択され、下付き文字iiが、0≦ii≦100となるような値を有するが、但し、R
12のうちの少なくとも2つが、-OSi(R
14)
3であることを条件とする、分岐状カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサン、
v)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
q(R
4
2R
CarSiO
1/2)
r(R
4
2SiO
2/2)
s(SiO
4/2)
tを含むQ型分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーであって、式中、下付き文字q、r、s、及びtが、2≧q≧0、4≧r≧0、995≧s≧4、t=1、(q+r)=4となるような平均値を有し、(q+r+s+t)が、回転粘度計(試験方法とともに以下に記載される)によって測定される170mPa・s超の粘度をQ型分岐状ポリオルガノシロキサンに付与するのに十分な値を有する、Q型分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマー、及び
vi)単位式:(R
4
3SiO
1/2)
aa(R
CarR
4
2SiO
1/2)
bb(R
4
2SiO
2/2)
cc(R
CarR
4SiO
2/2)
ee(R
4SiO
3/2)
ddを含むT型分岐状カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、下付き文字aa≧0であり、下付き文字bb>0であり、下付き文字ccが15~995であり、下付き文字dd>0であり、かつ下付き文字ee≧0である、T型分岐状カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサン、からなる群から選択される、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
工程I)が、0~100℃の温度で実施される、請求項1~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
工程I)が、UV照射の存在下で行われる、請求項1~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【国際調査報告】