(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-04-11
(54)【発明の名称】医療用物品を固定するための固定装置、固定装置を備えるキット、及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/02 20060101AFI20250404BHJP
【FI】
A61M25/02 502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024555325
(86)(22)【出願日】2023-03-21
(85)【翻訳文提出日】2024-09-18
(86)【国際出願番号】 IB2023052762
(87)【国際公開番号】W WO2023187553
(87)【国際公開日】2023-10-05
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524062087
【氏名又は名称】ソルベンタム インテレクチュアル プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン イー.スピワック
(72)【発明者】
【氏名】デル アール.ローソン
(72)【発明者】
【氏名】ディラン ティー.コスグローブ
(72)【発明者】
【氏名】アビゲイル エム.フレーヒテニト
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ディー.プレムクマール
(72)【発明者】
【氏名】チャオチン リュ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA02
4C267AA03
4C267AA33
4C267BB04
4C267BB19
4C267BB20
4C267BB40
4C267CC01
4C267GG02
4C267GG23
4C267GG24
4C267HH08
4C267HH15
(57)【要約】
固定装置(100)は、第1の主表面(112)と、第1の主表面(112)の反対側の第2の主表面(114)と、第1の主表面と第2の主表面と(112、114)間に延びる外辺部(115)と、外辺部(115)から延び、本体(110)を通って第1の主表面(112)から第2の主表面(114)まで延びる溝部(116)とを含む、本体(110)を含む。固定装置(100)は、第1の主表面(112)から延びるクリップ(120)と、第2の主表面(114)から延びる複数のマイクロフック(150)と、を更に含む。各々のマイクロフック(150)は、第2の主表面(114)上に配置された基部(152)と、基部(152)の遠位にある先端(154)と、を含む。複数のマイクロフック(150)は、少なくとも1つのマイクロフック(150-1)と、その少なくとも1つのマイクロフック(150-1)に対面する少なくとも1つの反対側のマイクロフック(150-2)とを含み、少なくとも1つのマイクロフック(150-1)及び少なくとも1つの反対側のマイクロフック(150-2)のそれぞれの先端(152)は互いの方を指している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部位においてユーザの皮膚に挿入可能な少なくとも1つの医療用ラインを有する医療用物品を固定するための固定装置であって、前記固定装置は、
本体であって、
第1の主表面と、
前記第1の主表面とは反対側の第2の主表面であって、前記ユーザの前記皮膚に面するように構成されている第2の主表面と、
前記第1の主表面と前記第2の主表面との間に延びる外辺部と、
前記外辺部から延び、前記本体を通って前記第1の主表面から前記第2の主表面まで延びる溝部であって、そこを通して少なくとも1つの医療用ラインを少なくとも部分的に、摺動可能に受け入れるように構成されている溝部と、を含む本体と、
前記本体に結合されており、前記第1の主表面から延びるクリップであって、そこを通して前記医療用物品を少なくとも部分的に受け入れ、前記医療用物品を前記本体に取り外し可能に固定するように構成されている、クリップと、
前記本体に結合されており、前記第2の主表面から延びる複数のマイクロフックであって、前記複数のマイクロフックが互いに離隔されており、前記本体を前記皮膚に固定するために前記ユーザの前記皮膚に少なくとも部分的に挿入されるように構成されており、前記複数のマイクロフックのうち各々のマイクロフックが前記第2の主表面上に配置された基部と、前記基部の遠位にある先端とを備え、前記複数のマイクロフックが少なくとも1つのマイクロフックと、前記少なくとも1つのマイクロフックに対面する少なくとも1つの反対側のマイクロフックとを備え、前記少なくとも1つのマイクロフック及び前記少なくとも1つの反対側のマイクロフックのそれぞれの先端が互いの方を指している、複数のマイクロフックと、
を備える、固定装置。
【請求項2】
前記第2の主表面が表面図心を画定し、前記複数のマイクロフックが少なくとも1つの第1のマイクロフックを含み、前記少なくとも1つの第1のマイクロフックの前記先端が前記表面図心の方を指している、請求項1に記載の固定装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1のマイクロフックが、前記表面図心の周りに円形配列に配置された一組の第1のマイクロフックを含み、前記一組の第1のマイクロフックのうち各々の第1のマイクロフックの先端が前記表面図心の方を指している、請求項2に記載の固定装置。
【請求項4】
前記本体が、そこを通って延び、前記溝部と連通している開口部を更に備え、前記開口部が前記少なくとも1つの医療用ラインを少なくとも部分的に受け入れるように構成されており、前記開口部がゲルパッドを少なくとも部分的に受け入れるように更に構成されており、前記第2の主表面の前記表面図心が前記開口部内に配置されており、前記一組の第1のマイクロフックが前記開口部の周りに少なくとも部分的に配置されている、請求項3に記載の固定装置。
【請求項5】
前記開口部が円形で、中心を画定し、前記開口部の前記中心が前記第2の主表面の前記表面図心と一致する、請求項4に記載の固定装置。
【請求項6】
前記溝部の最大幅が前記開口部の直径よりも小さい、請求項5に記載の固定装置。
【請求項7】
前記一組の第1のマイクロフックが、互いに直径方向反対側に配置された少なくとも2つの第1のマイクロフックを備え、前記少なくとも2つの第1のマイクロフックのそれぞれの先端が互いの方を指している、請求項3に記載の固定装置。
【請求項8】
前記一組の第1のマイクロフックが、前記溝部の反対側に配置された少なくとも1つの第1のマイクロフックを含み、前記少なくとも1つの第1のマイクロフックの先端が前記溝部の方を指している、請求項3に記載の固定装置。
【請求項9】
前記一組の第1のマイクロフックが、前記溝部の両側に配置された少なくとも2つの第1のマイクロフックを含む、請求項3に記載の固定装置。
【請求項10】
前記溝部が、前記溝部の長さが前記本体の最大長の約30%~約50%であるように、前記外辺部から前記第2の主表面の前記表面図心に向かって直線的に延びる、請求項2に記載の固定装置。
【請求項11】
前記複数のマイクロフックが、前記溝部の両側に配置された一対の矩形配列に配列された一組の第2のマイクロフックを含み、前記一組の第2のマイクロフックのうち各々の第2のマイクロフックの先端が前記溝部の方を指している、請求項1に記載の固定装置。
【請求項12】
前記第2の主表面が少なくとも1つの対称軸を画定し、前記複数のマイクロフックが、前記対称軸の両側に配置された一対の矩形配列に配列された一組の第3のマイクロフックを含み、前記一組の第3のマイクロフックのうち各々の第3のマイクロフックの先端が前記対称軸の方を指している、請求項1に記載の固定装置。
【請求項13】
前記第2の主表面の面積の少なくとも50%は前記複数のマイクロフックが欠如している、請求項1に記載の固定装置。
【請求項14】
前記基部が、基部平面、前記基部平面内の基部領域、及び前記基部領域の基部図心を画定し、前記先端と前記基部図心とを結ぶ仮想線が前記基部平面に対して斜めに傾斜している、請求項1に記載の固定装置。
【請求項15】
前記仮想線が、前記基部平面に対して約20度~約70度の傾斜角度で斜めに傾斜している、請求項14に記載の固定装置。
【請求項16】
各々のマイクロフックが、その長さに沿って前記基部図心から前記先端まで延びるフック軸線を画定し、前記フック軸線が曲線状又は直線状である、請求項14に記載の固定装置。
【請求項17】
各々のマイクロフックの前記先端が、前記先端から前記基部平面に対して垂直に延びる仮想垂直線が前記基部の外側にあるように、前記基部から離れる方に向いている、請求項14に記載の固定装置。
【請求項18】
前記複数のマイクロフックのうち少なくとも1つのマイクロフックが、正方形の断面形状を有する、請求項1に記載の固定装置。
【請求項19】
前記複数のマイクロフックのうち各々のマイクロフックが、前記基部と前記先端との間の高さを画定し、前記高さが約300ミクロン(μm)~約600μmである、請求項1に記載の固定装置。
【請求項20】
前記複数のマイクロフックのうち各々のマイクロフックが、チャネルのない中実構成を有する、請求項1に記載の固定装置。
【請求項21】
前記本体が、約0.1メガパスカル(MPa)~約1000MPaの弾性率を有する、請求項1に記載の固定装置。
【請求項22】
前記本体が、ポリウレタン、ネオプレン、ポリエステル、ブチルゴム、シリコーン、及びポリマー発泡体のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の固定装置。
【請求項23】
前記複数のマイクロフックの各々が、ステンレス鋼、炭素繊維強化ポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、溶解性ポリエステル、ニッケル合金、及びチタン合金のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の固定装置。
【請求項24】
前記本体が、丸みを帯びた角部を有し実質的に矩形である、請求項1に記載の固定装置。
【請求項25】
前記クリップが、
前記本体に結合されており、前記本体の前記第1の主表面から延びるクリップ基部と、
前記クリップ基部に弾性的に結合された分割リングであって、前記分割リングが、前記クリップ基部の近位にある第1のリング部分と、前記クリップ基部の遠位にあり、前記第1のリング部分から離れる方を向いた外側リング表面を含む、第2のリング部分と、前記外側リング表面から延びる複数のロック歯とを含み、前記分割リングがそこを通して前記医療用物品を少なくとも部分的に受け入れるように構成されている、分割リングと、
前記クリップ基部に弾性的に結合されており、前記クリップ基部から延びるロックアームであって、前記分割リングの複数の所定の幅に対応する複数の戻り止めを備える、ロックアームと、
を備え、
前記第2のリング部分が、前記ロックアームに対して第1の方向に弾性的に移動可能であり、前記複数の戻り止めのうち各々の戻り止めが、前記第2のリング部分が前記第1の方向とは反対の第2の方向に移動することを防止するために、前記複数のロック歯のうち対応するロック歯と選択的に係止的に係合するように構成されている、
請求項1に記載の固定装置。
【請求項26】
各々のロック歯が歯曲面及び前記歯曲面の反対側の歯平面を備え、各々の戻り止めが戻り止め曲面及び戻り止め平面を備え、前記歯曲面が前記第2リング部分の前記第1方向への移動を可能にするように前記戻り止め曲面と移動可能に係合するように構成され、前記歯平面が前記第2リング部分の前記第2方向への移動を防止するように前記戻り止め平面と係止的に係合するように構成されている、請求項25に記載の固定装置。
【請求項27】
キットであって、
挿入部位においてユーザの皮膚に挿入可能な少なくとも1つの医療用ラインを有する医療用物品を固定するための固定装置であって、前記固定装置は、
本体であって、
第1の主表面と、
前記第1の主表面の反対側の第2の主表面であって、前記ユーザの前記皮膚に面するように構成されている第2の主表面と、
前記第1の主表面と前記第2の主表面との間に延びる外辺部と、
前記外辺部から延在し、前記本体を通って前記第1の主表面から前記第2の主表面まで延びる溝部であって、そこを通して少なくとも1つの医療用ラインを少なくとも部分的に、摺動可能に受け入れるように構成されている溝部と、
そこを通して延び、前記溝部と連通している開口部であって、そこを通して前記少なくとも1つの医療用ラインを少なくとも部分的に受け入れるように構成されている、開口部と、
を備える、本体と、
前記本体に結合されており、前記第1の主表面から延びるクリップであって、そこを通して前記医療用物品を少なくとも部分的に受容し、前記医療用物品を前記本体に取り外し可能に固定するように構成されている、クリップと、
前記本体に結合されており、前記第2の主表面から延びる複数のマイクロフックであって、前記複数のマイクロフックが互いに離隔されており、前記本体を前記皮膚に固定するために前記ユーザの前記皮膚に少なくとも部分的に挿入されるように構成されており、前記複数のマイクロフックのうち各々のマイクロフックが前記第2の主表面上に配置された基部と、前記基部の遠位にある先端とを備え、前記複数のマイクロフックが少なくとも1つのマイクロフックと、前記少なくとも1つのマイクロフックに対面する少なくとも1つの反対側のマイクロフックとを備え、前記少なくとも1つのマイクロフック及び前記少なくとも1つの反対側のマイクロフックのそれぞれの先端が互いの方を指している、複数のマイクロフックと、を備える、固定装置と、
前記開口部内に少なくとも部分的に受け入れられ、前記挿入部位を覆うように構成されたゲルパッドであって、グルコン酸クロルヘキシジンを含むゲルパッドと、
を備える、キット。
【請求項28】
前記第2の主表面が表面図心を画定し、前記複数のマイクロフックが少なくとも1つの第1のマイクロフックを含み、前記少なくとも1つの第1のマイクロフックの前記先端が前記表面図心の方を指している、請求項27に記載のキット。
【請求項29】
前記少なくとも1つの第1のマイクロフックが、前記表面図心の周りに円形配列に配置された一組の第1のマイクロフックを含み、前記一組の第1のマイクロフックのうち各々の第1のマイクロフックの先端が前記表面図心の方を指している、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
前記第2の主表面の前記表面図心が前記開口部内に配置され、前記一組の第1のマイクロフックが前記開口部の周りに少なくとも部分的に配置されている、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
前記開口部が円形で、中心を画定し、前記開口部の前記中心が前記第2の主表面の前記表面図心と一致する、請求項29に記載のキット。
【請求項32】
前記溝部の最大幅が前記開口部の直径よりも小さい、請求項27に記載のキット。
【請求項33】
前記一組の第1のマイクロフックが互いに直径方向反対側に配置された少なくとも2つの第1のマイクロフックを含み、前記少なくとも2つの第1のマイクロフックのそれぞれの先端が互いの方を指している、請求項29に記載のキット。
【請求項34】
前記一組の第1のマイクロフックが前記溝部の反対側に配置された少なくとも1つの第1のマイクロフックを含み、前記少なくとも1つの第1のマイクロフックの先端が前記溝部の方を指している、請求項29に記載のキット。
【請求項35】
前記一組の第1のマイクロフックが前記溝部の両側に配置された少なくとも2つの第1のマイクロフックを含む、請求項29に記載のキット。
【請求項36】
前記溝部が、前記溝部の長さが前記本体の最大長さの約30%~約50%であるように、前記第2の主表面の前記外辺部から前記表面図心に向かって直線的に延びる、請求項28に記載のキット。
【請求項37】
前記複数のマイクロフックが、前記溝部の両側に配置された一対の矩形配列に配列された一組の第2のマイクロフックを含み、前記一組の第2のマイクロフックのうち各々の第2のマイクロフックの先端が前記溝部の方を指している、請求項27に記載のキット。
【請求項38】
前記第2の主表面が少なくとも1つの対称軸を画定し、前記複数のマイクロフックが、前記対称軸の両側に配置された一対の矩形配列に配列された一組の第3のマイクロフックを含み、前記一組の第3のマイクロフックのうち各々の第3のマイクロフックの先端が前記対称軸の方を指している、請求項27に記載のキット。
【請求項39】
前記第2の主表面の面積の少なくとも50%は前記複数のマイクロフックが欠如している、請求項27に記載のキット。
【請求項40】
前記基部が、基部平面、前記基部平面内の基部領域、及び前記基部領域の基部図心を画定し、前記先端と前記基部図心とを結ぶ仮想線が前記基部平面に対して斜めに傾斜している、請求項27に記載のキット。
【請求項41】
前記仮想線が、前記基部平面に対して約20度~約70度の傾斜角度で斜めに傾斜している、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
各々のマイクロフックが、その長さに沿って前記基部図心から前記先端まで延びるフック軸線を画定し、前記フック軸線が曲線状又は直線状である、請求項40に記載のキット。
【請求項43】
各々のマイクロフックの前記先端が、前記先端から前記基部平面に対して垂直に延びる仮想垂直線が前記基部の外側にあるように、前記基部から離れる方に向いている、請求項40に記載のキット。
【請求項44】
前記複数のマイクロフックのうちの少なくとも1つのマイクロフックが正方形の断面形状を有する、請求項27に記載のキット。
【請求項45】
前記複数のマイクロフックのうち各々のマイクロフックが前記基部と前記先端との間の高さを画定し、前記高さは、約300(μm)~約600μmである、請求項27に記載のキット。
【請求項46】
前記複数のマイクロフックのうち各々のマイクロフックが、チャネルのない中実構成を有する、請求項27に記載のキット。
【請求項47】
前記本体が、約0.1メガパスカル(MPa)~約1000MPaの弾性率を有する、請求項27に記載のキット。
【請求項48】
前記本体が、ポリウレタン、ネオプレン、ポリエステル、ブチルゴム、シリコーン、及びポリマー発泡体のうち少なくとも1つを含む、請求項27に記載のキット。
【請求項49】
前記複数のマイクロフックの各々が、ステンレス鋼、炭素繊維強化ポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、溶解性ポリエステル、ニッケル合金、及びチタン合金のうちの少なくとも1つを含む、請求項27に記載のキット。
【請求項50】
前記本体が、丸みを帯びた角部を有し実質的に矩形である、請求項27に記載のキット。
【請求項51】
前記クリップが、
前記本体に結合されており、前記本体の前記第1の主表面から延びるクリップ基部と、
前記クリップ基部に弾性的に結合された弾性分割リングであって、前記クリップ基部の近位にある第1のリング部分と、前記クリップ基部の遠位にあり、前記第1のリング部分から離れる方を向いた外側リング表面を含む、第2のリング部分と、前記外側リング表面から延びる複数のロック歯とを含み、前記分割リングがそこを通して前記医療用物品を少なくとも部分的に受け入れるように構成されている、弾性分割リングと、
前記クリップ基部に弾性的に結合されており、前記クリップ基部から延びるロックアームであって、前記分割リングの複数の所定の幅に対応する複数の戻り止めを備える、ロックアームと、
を備え、
前記第2のリング部分が、前記ロックアームに対して第1の方向に弾性的に移動可能であり、前記複数の戻り止めのうち各々の戻り止めが、前記第2のリング部分が前記第1の方向とは反対の第2の方向に移動することを防止するために、前記複数のロック歯のうち対応するロック歯と選択的に係止的に係合するように構成されている、
請求項27に記載のキット。
【請求項52】
各々のロック歯が歯曲面及び前記歯曲面の反対側の歯平面を備え、各々の戻り止めが戻り止め曲面及び戻り止め平面を備え、前記歯曲面が前記第2リング部分の前記第1方向への移動を可能にするように前記戻り止め曲面と移動可能に係合するように構成されており、前記歯平面が前記第2リング部分の前記第2方向への移動を防止するように前記戻り止め平面と係止的に係合するように構成されている、請求項51に記載のキット。
【請求項53】
請求項27に記載のキットを使用する方法であって、
前記ユーザの前記皮膚に対して前記固定装置を、前記本体の前記第2の主表面が前記皮膚に面するように位置決めすることと、
前記本体の前記開口部を通して前記少なくとも1つの医療用ラインが少なくとも部分的に受け入れられるように、前記少なくとも1つの医療用ラインを前記溝部を通して摺動可能に挿入することと、
前記医療用物品を前記本体に取り外し可能に固定するために、前記医療用物品を少なくとも部分的に前記クリップを通して挿入することと、
前記複数のマイクロフックを前記ユーザの前記皮膚に、前記本体が前記ユーザの前記皮膚に固定されるように挿入することと、
前記ゲルパッドが前記挿入部位を覆うように、前記開口部内に前記ゲルパッドを少なくとも部分的に挿入することと、
を含む、方法。
【請求項54】
前記医療用物品を少なくとも部分的に前記クリップを通して挿入することが、前記医療用物品の幅に基づいて前記クリップの幅を調整することを更に含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記複数のマイクロフックを前記ユーザの前記皮膚に挿入することが、
前記複数のマイクロフックのうち、前記本体の第1の端部の近位にある少なくともいくつかを前記ユーザの皮膚に挿入することと、
前記本体を伸張させることと、
前記複数のマイクロフックのうち、前記第1の端部の反対側の前記本体の第2の端部の近位にある少なくともいくつかを前記ユーザの前記皮膚に挿入することと、
を更に含む、請求項53に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用物品を固定するための固定装置、固定装置を含むキット、及びキットを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な医療処置は、多くの場合、医療用ラインを有する医療用物品(例えば、カテーテル)の使用を必要とする。このような医療用物品は、給送、給気、液体除去、並びに/又は、患者への薬剤及び流体の投与などの様々な目的のために使用され得る。多くの場合、医療用物品は、患者に固定される必要があり得る。医療用物品を患者に固定することによって医療用物品の適切な位置決めが容易になり得、それによって更に、薬剤投与の漏れ又は中断を防止し、患者の不快感を最小限に抑え、患者の動きによる医療用ラインのもつれ、引っ掛かり、及び/又は外れを制限し得る。
【0003】
医療用物品を患者に固定する1つの一般的な方法は、医療用物品を(例えば、外科用テープによって)患者の皮膚にテープ貼りすることである。ところが、テープ貼りは時間がかかり、手間がかかり得る。テープはまた、汚染物質を集める可能性もあり、したがって頻繁に交換される必要があり得る。加えて、テープ貼りは、医療用物品を患者に固定するのに効果的でないことがあり得、皮膚に対する医療用物品の望ましくない動きを引き起こすことがあり得、接着剤に関連した皮膚損傷を患者に引き起こすことがあり得る。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様では、本開示は、挿入部位においてユーザの皮膚に挿入可能な少なくとも1つの医療用ラインを有する医療用物品を固定するための固定装置を提供する。固定装置は、第1の主表面を含む本体を含む。本体は、第1の主表面とは反対側の第2の主表面を更に含む。第2の主表面は、ユーザの皮膚に面するように構成されている。本体は、第1の主表面と第2の主表面との間に延びる外辺部を更に含む。本体は、外辺部から延び、本体を通って第1の主表面から第2の主表面まで延びる、溝部を更に含む。溝部は、そこを通して、少なくとも1つの医療用ラインを少なくとも部分的に、摺動可能に受け入れるように構成されている。固定装置は、本体に結合されており、第1の主表面から延びるクリップを更に含む。クリップは、そこを通して医療用物品を少なくとも部分的に受け入れ、医療用物品を本体に取り外し可能に固定するように構成されている。固定装置は、本体に結合されており、第2の主表面から延びる、複数のマイクロフックを更に含む。複数のマイクロフックは互いに離隔されており、本体を皮膚に固定するためにユーザの皮膚に少なくとも部分的に挿入されるように構成されている。複数のマイクロフックのうち各々のマイクロフックは、第2の主表面上に配置された基部と、基部の遠位にある先端とを含む。複数のマイクロフックは、少なくとも1つのマイクロフックと、その少なくとも1つのマイクロフックに対面する少なくとも1つの反対側のマイクロフックとを含み、少なくとも1つのマイクロフック及び少なくとも1つの反対側のマイクロフックのそれぞれの先端は互いの方を指している。
【0005】
第2の態様では、本開示はキットを提供する。キットは、挿入部位においてユーザの皮膚に挿入可能な少なくとも1つの医療用ラインを有する医療用物品を固定するための固定装置を含む。固定装置は、第1の主表面を含む本体を含む。本体は、第1の主表面とは反対側の第2の主表面を更に含む。第2の主表面は、ユーザの皮膚に面するように構成されている。本体は、第1の主表面と第2の主表面との間に延びる外辺部を更に含む。本体は、外辺部から延在し、第1の主表面から第2の主表面まで本体を通って延びる溝部を更に含む。溝部は、そこを通して、少なくとも1つの医療用ラインを少なくとも部分的に、摺動可能に受け入れるように構成されている。固定装置は、本体に結合され、第1の主表面から延びる、クリップを更に含む。クリップは、そこを通して医療用物品を少なくとも部分的に受け入れ、医療用物品を本体に取り外し可能に固定するように構成されている。固定装置は、本体に結合され、第2の主表面から延びる、複数のマイクロフックを更に含む。複数のマイクロフックは互いに離隔されており、本体を皮膚に固定するためにユーザの皮膚に少なくとも部分的に挿入されるように構成されている。複数のマイクロフックのうち各々のマイクロフックは、第2の主表面上に配置された基部と、基部の遠位にある先端とを含む。複数のマイクロフックは、少なくとも1つのマイクロフックと、その少なくとも1つのマイクロフックに対面する少なくとも1つの反対側のマイクロフックとを含み、少なくとも1つのマイクロフック及び少なくとも1つの反対側のマイクロフックのそれぞれの先端は互いの方を指している。キットは、開口部に少なくとも部分的に受け入れられ、挿入部位を覆うように構成されたゲルパッドを更に含む。ゲルパッドは、グルコン酸クロルヘキシジンを含む。
【0006】
第3の態様では、本開示は第2の態様のキットを使用する方法を提供する。本方法は、ユーザの皮膚に対して固定装置を、本体の第2の主表面が皮膚に面するように位置決めすることを含む。本方法は更に、本体の開口部を通して少なくとも1つの医療用ラインが少なくとも部分的に受け入れられるように、少なくとも1つの医療用ラインを溝部を通して摺動可能に挿入することを含む。本方法は、医療用物品を本体に取り外し可能に固定するために、医療用物品を少なくとも部分的にクリップを通して挿入することを更に含む。本方法は、複数のマイクロフックをユーザの皮膚に、本体がユーザの皮膚に固定されるように挿入することを更に含む。本方法は、ゲルパッドが挿入部位を覆うように、開口部内にゲルパッドを少なくとも部分的に挿入することを更に含む。
本明細書に開示される例示的な実施形態は、以下の図面に関連以下の詳細な説明を考慮することにより、より十分に理解され得る。図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。特に、ある特定の層の厚さは、説明を容易にし、明確にするために、他の特定のアイテムとの比率において誇張されている。図中で使用される同様の番号は、同様の構成要素を指す。しかしながら、所与の図における構成要素を指すための番号の使用は、同じ番号でラベル付けされた別の図における構成要素を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態による、固定装置の概略上面斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態による、
図1の固定装置の概略底面斜視図である。
【
図3】本開示の一実施形態による、
図1の固定装置の概略底面図である。
【
図4A】本開示の一実施形態による、
図1の固定装置のマイクロフックの概略上面斜視図である。
【
図4B】本開示の一実施形態による、
図4Aのマイクロフックの概略底面斜視図である。
【
図4C】本開示の一実施形態による、
図4Aのマイクロフックの概略側面図である。
【
図5】本開示の一実施形態による、
図1の固定装置の一部分の概略上面斜視図である。
【
図6】本開示の一実施形態による、キットの概略ブロック図である。
【
図7】本開示の一実施形態による、
図6のキットを使用する方法の種々のステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、説明の一部を形成し、様々な実施形態が例示として示される添付の図面を参照する。他の実施形態が企図され、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく作成され得ることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0009】
以下の開示において、以下の定義が採用される。
【0010】
本明細書に記載されるように、すべての数は、用語「約」によって修飾されていると見なされるべきである。本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの」、及び「1つ以上の」は、互換的に使用される。
【0011】
特性又は属性に対する修飾語として本明細書で使用される場合、「概して」という用語は、別段に具体的に定義されない限り、その特性又は属性が当業者によって容易に認識可能であるが、絶対的な精度又は完全な一致を必要としない(例えば、定量化可能な特性では+/-20%以内)ことを意味する。
【0012】
「実質的に」という用語は、別段に具体的に定義されない限り、高度な近似(例えば、定量化可能な特性では+/-10%以内)を意味するが、ここでも絶対的な精度又は完全な一致を必要としない。
【0013】
「約」という用語は、別段に具体的に定義されない限り、高度の近似(例えば、定量化可能な特性では+/-5%以内)を意味するが、ここでも絶対的な精度又は完全な一致を必要としない。
【0014】
同じ、等しい、均一な、一定の、厳密に、などの用語は、絶対的な精度又は完全な一致を必要とするのではなく、特定の状況に当てはまる通常の公差又は測定誤差の範囲にあると理解される。
【0015】
本明細書で使用される場合、「第1の」及び「第2の」という用語は、識別子として使用される。したがって、そのような用語は、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。「第1の」及び「第2の」という用語は、特徴又は要素とともに使用される場合、本開示の複数の実施形態全体を通して交換可能である。
【0016】
本明細書で使用される場合、第1の材料が第2の材料と「同様である」と称されるとき、第1の材料及び第2の材料の少なくとも90重量%が全く同じであり、第1の材料と第2の材料との間の差異には、第1の材料及び第2の材料のそれぞれの約10重量%未満である。
【0017】
本明細書で使用されるとき、「A及びBのうち少なくとも1つ」は、「Aのみ、Bのみ、又は、A及びBの両方」を意味すると理解されるべきである。
【0018】
別段の指定又は制限がない限り、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」という用語、及びそれらの変形は広義に使用され、直接及び間接の両方の取り付け、接続、及び結合を包含する。
【0019】
本明細書で使用されるとき、「ように構成されている(configured to)」などの用語は、「ように適合される(adapted to)」という用語と少なくとも同程度に限定的であり、そのような機能を実行する単なる物理的能力ではなく、指定された機能を実行する実際の設計意図を要求する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「離隔された」という用語は、互いにある距離を置いて配置された要素を指す。
【0021】
本開示は、挿入部位においてユーザの皮膚に挿入可能な少なくとも1つの医療用ラインを有する医療用物品を固定するための固定装置に関する。固定装置は、第1の主表面を含む本体を含む。本体は、第1の主表面とは反対側の第2の主表面を更に含む。第2の主表面は、ユーザの皮膚に面するように構成されている。本体は、第1の主表面と第2の主表面との間に延びる外辺部を更に含む。本体は、外辺部から延在し、本体を通って第1の主表面から第2の主表面まで延びる溝部を更に含む。溝部は、そこを通して、少なくとも1つの医療用ラインを少なくとも部分的に、摺動可能に受け入れるように構成されている。固定装置は、本体に結合されており、第1の主表面から延びる、クリップを更に含む。クリップは、そこを通して医療用物品を少なくとも部分的に受け入れ、医療用物品を本体に取り外し可能に固定するように構成されている。固定装置は、本体に結合されており、第2の主表面から延びる、複数のマイクロフックを更に含む。複数のマイクロフックは互いに離隔されており、本体を皮膚に固定するためにユーザの皮膚に少なくとも部分的に挿入されるように構成されている。複数のマイクロフックのうち各々のマイクロフックは、第2の主表面上に配置された基部と、基部の遠位にある先端とを含む。複数のマイクロフックは、少なくとも1つのマイクロフックと、その少なくとも1つのマイクロフックに対面する少なくとも1つの反対側のマイクロフックとを含み、少なくとも1つのマイクロフック及び少なくとも1つの反対側のマイクロフックのそれぞれの先端は互いの方を指している。
【0022】
本開示の固定装置は、医療用物品を複数のマイクロフックを介してユーザの皮膚に固定し得る。具体的には、医療用物品は、クリップによって本体に固定されてもよく、本体は、複数のマイクロフックによってユーザの皮膚に固定されてもよい。複数のマイクロフックは、ユーザの皮膚の真皮層を貫通しなくてもよい。したがって、固定装置は、使用中にユーザに痛み及び不快感を引き起こさなくない可能性がある。
【0023】
固定装置は、テープ貼りなどの従来の固定方法と比較して様々な利点を提供し得る。固定装置は、使用するのに便利であり得、定期的に交換される必要がなくなり得る。更に、固定装置は、ユーザの様々な位置に容易に適用され得る。複数のマイクロフックを介した固定により、固定装置は、テープ貼りにより生じ得る、接着剤に関連したユーザの皮膚損傷を更に防止し得る。
【0024】
少なくとも1つのマイクロフック及び少なくとも1つの反対側のマイクロフックのそれぞれの先端は互いの方を指しているため、少なくとも1つのマイクロフック及び少なくとも1つの反対側のマイクロフックはユーザの皮膚にしっかりと挿入され得、それによって、本体と皮膚との間のどのような相対運動も実質的に防止し得る。更に、少なくとも1つのマイクロフック及び少なくとも1つの反対側のマイクロフックの相対的構成は、本体の皮膚からのいかなる偶発的な外れも防止し得る。したがって、固定装置は、医療用物品をユーザの皮膚にしっかりと固定し得、それによって、医療用物品がユーザの皮膚から移動すること、及び偶発的に外れることを防止する。その結果、固定装置は、さもなければ医療用物品が移動することによって起こり得る静脈炎、溢出/浸潤、漏出、閉塞、及び血流感染などの様々な合併症を防止し得る。
【0025】
いくつかの事例では、固定装置とともにゲルパッドを使用して、挿入部位を少なくとも部分的に覆ってもよい。ゲルパッドは、挿入部位を微生物から保護し、感染を防止し得る。
【0026】
ここで図面を参照すると、
図1及び
図2は、本開示の一実施形態による固定装置100を示す。具体的には、
図1は、挿入部位25においてユーザ20の皮膚22に挿入可能な少なくとも1つの医療用ライン12を有する医療用物品10を固定するための固定装置100の概略上面斜視図を示す。医療用物品10は、
図1に部分的に示されている。更に、
図2は、固定装置100の底面斜視図を示す。
【0027】
固定装置100は、互いに直交するx軸、y軸、及びz軸を規定する。x軸は固定装置100の幅に沿って規定され、y軸は固定装置100の長さに沿って規定される。z軸は、固定装置100の厚さに沿って規定される。
【0028】
固定装置100は本体110を含む。本体110は、第1の主表面112と、第1の表面112の反対側の第2の主表面114とを含む。第2の主表面114は、ユーザ20の皮膚22に面するように構成されている。本体110は、第1の端部102と、第1の端部102の反対側の第2の端部104とを更に含んでもよい。第1の端部102及び第2の端部104は、y軸に沿って配置された本体110の長手方向端部に対応してもよい。
【0029】
本体110は、第1の主表面112と第2の主表面114との間に延びる外辺部115を更に含む。本体110は、外辺部115から延び、かつ本体110を通って第1の主表面112から第2の主表面114まで延びる溝部116を更に含む。換言すれば、本体110は、そこを通って外辺部115から延びる溝部116を画定してもよい。溝部116は、そこを通して、少なくとも1つの医療用ライン12を少なくとも部分的に、摺動可能に受け入れるように構成されている。固定装置100は、溝部116がそこを通して少なくとも1つの医療用ライン12を摺動可能に受け入れるように、少なくとも1つの医療用ライン12に対して摺動させられてもよい。
【0030】
固定装置100をユーザ20の皮膚22に適用すると、少なくとも1つの医療用ライン12が溝部116を通してユーザ20の皮膚22に挿入されるように、溝部116の一部分が挿入部位25と揃えられる。あるいは、
図1に示すように、本体110は、そこを通って延び、溝部116と連通する開口部118を更に含んでもよい。開口部118は、そこを通して少なくとも1つの医療用ライン12を少なくとも部分的に受け入れるように構成されていてもよい。固定装置100は、溝部116を介して少なくとも1つの医療用ライン12が開口部118によって少なくとも部分的に受け入れられるように、少なくとも1つの医療用ライン12に対して摺動させられてもよい。
【0031】
図1に示す実施形態では、溝部116は、外辺部115から開口部118まで延びる実質的に直線状の溝部である。更に、溝部116は、外辺部115に対して実質的に垂直である。具体的には、溝部116はy軸に実質的に平行である。ただし、いくつかの他の実施形態では、溝部116はy軸に対して斜めに傾斜していてもよい。更に、別の実施形態では、溝部116は曲線形状を有していてもよい。
【0032】
図1に示すように、開口部118は、その中にゲルパッド140を少なくとも部分的に受け入れるように更に構成されていてもよい。ゲルパッド140は、明瞭さの目的で、
図2には示されていない。ゲルパッド140は、開口部118内に少なくとも部分的に受け入れられ、挿入部位25を覆うように構成されていてもよい。ゲルパッド140は、ポビドンヨード、セトリミドなどのどのような好適な消毒薬及び/又は防腐剤を含んでもよい。いくつかの例では、ゲルパッド140はグルコン酸クロルヘキシジンを含んでもよい。ゲルパッド140は、挿入部位25を微生物から保護し得、固定装置100の使用中に挿入部位25を清潔で消毒された状態に保つために役立ち得る。
【0033】
本体110は、どのような好適な材料で作られてもよい。好ましくは、本体110は、起伏のある表面(例えば、ユーザ20の皮膚22)に適合する伸張性材料で作られていてもよい。本体110は、約0.1メガパスカル(MPa)~約1000MPaの弾性率を有してもよい。いくつかの例において、本体110は、約100MPa、約200MPa、約300MPa、約500MPa、約700MPa、約800MPa、又は約900MPaの弾性率を有してもよい。
【0034】
本体110は、ポリウレタン、ネオプレン、ポリエステル、ブチルゴム、シリコーン、及びポリマー発泡体のうち少なくとも1つを含んでもよい。異なる材料は、本体110に異なる有利な特性を提供し得る。例えば、ポリマー発泡体は本体110に良好な通気性を提供し得、一方、ポリウレタンは他の材料と一体化する良好な能力によって経済的であり得る。したがって、本体110の材料は、所望の用途属性に基づいて選択されてもよい。
【0035】
本体110は、矩形、楕円形、長円形、円形、多角形などのどのような適切な形状を有してもよい。例えば、
図1に示すように、本体110は、丸みを帯びた角部を有し実質的に矩形であってもよい。具体的には、本体110は最大長さ110L及び最大幅110Wを有してもよい。最大長さ110Lは実質的にy軸に沿って画定されてもよく、最大幅110Wは実質的にx軸に沿って画定されてもよい。一例では、本体110の最大長さ110Lは約50ミリメートル(mm)であってもよく、本体110の最大幅110Wは約40mmであってもよい。本体110のそのような寸法によって、固定装置100は、ユーザ20の様々な部位への適用に好適になり得る。
【0036】
固定装置100は、本体110に結合され、第1の主表面112から延びる、クリップ120を更に含む。クリップ120は、どのような適切な方法又は技法によって本体110に結合されていてもよい。例えば、クリップ120は、成形、熱溶接、接着結合、タッキングなどによって本体110に結合されてもよい。クリップ120は、そこを通して医療用物品10を少なくとも部分的に受け入れ、医療用物品10を本体110に取り外し可能に固定するように構成されている。クリップ120は、様々な形状及び寸法を有する医療用物品を収容するように調整可能であってもよい。クリップ120の詳細については後述する。
【0037】
図2に示すように、固定装置100は、本体110に結合され、第2の主表面114から延びる、複数のマイクロフック150を更に含む。複数のマイクロフック150は、どのような適切な方法又は技法によって本体110に結合されてもよい。例えば、複数のマイクロフック150は、成形、熱溶接、接着結合、タッキングなどによって本体110に結合されてもよい。複数のマイクロフック150は互いに離隔されており、本体110を皮膚22に固定するためにユーザ20の皮膚22に少なくとも部分的に挿入されるように構成されている。
【0038】
複数のマイクロフック150は、ユーザ20の皮膚22を貫通できるどのような材料で作られていてもよい。複数のマイクロフック150の各々は、ステンレス鋼、炭素繊維強化ポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、溶解性ポリエステル、ニッケル合金、及びチタン合金のうち少なくとも1つを含んでもよい。複数のマイクロフック150のそれぞれは、マグネシウム合金を更に含んでもよい。異なる材料は、複数のマイクロフック150に異なる有利な特性を提供し得る。例えば、ステンレス鋼、ニッケル合金、及びチタン合金は、複数のマイクロフック150が皮膚22を貫通する能力を改善し得、溶解性ポリエステルを使用すると経済的であり得る。
【0039】
複数のマイクロフック150のうち各々のマイクロフック150は、第2の主表面114上に配置された基部152と、基部152の遠位にある先端154とを含む。複数のマイクロフック150は、少なくとも1つのマイクロフック150-1と、その少なくとも1つのマイクロフック150-1に対面する少なくとも1つの反対側のマイクロフック150-2とを含み、少なくとも1つのマイクロフック150-1及び少なくとも1つの反対側のマイクロフック150-2のそれぞれの先端154は互いの方を指している。換言すれば、少なくとも1つのマイクロフック150-1の先端154から延びる想像線は、少なくとも1つの反対側のマイクロフック150-2の先端154の概略の方向に延びていてもよい。複数のマイクロフック150のこの方向性は、ユーザ20の皮膚22への本体110の固定を改善し得る。
図2に例示された実施形態では、複数のマイクロフック150は、少なくとも一組のマイクロフック150と、少なくとも一組の反対側のマイクロフック150とを含み、少なくとも一組のマイクロフック150のそれぞれの先端154と、少なくとも一組の反対側のマイクロフック150のそれぞれの先端154は互いの方を指している。複数のマイクロフック150は、多くの適切な配置及び構成を有し得る。複数のマイクロフック150の1つの特定の配置及び構成について、
図3を参照して詳細に説明する。
【0040】
図3は、本開示の一実施形態による、固定装置100の底面図を示す。
【0041】
第2の主表面114は、表面図心113を画定してもよい。表面図心113は、第2の主表面114の幾何学的中心であってもよい。更に、複数のマイクロフック150は、少なくとも1つの第1のマイクロフック161を含んでもよい。少なくとも1つの第1のマイクロフック161の先端154は、表面図心113の方を指していてもよい。
【0042】
いくつかの例では、少なくとも1つの第1のマイクロフック161は、表面図心113の周りに円形配列171に配置された、一組の第1のマイクロフック161を含んでもよい。更に、一組の第1のマイクロフック161のうち各々の第1のマイクロフック161の先端154は、表面図心113の方を指していてもよい。換言すれば、一組の第1のマイクロフック161は、各々の第1のマイクロフック161が表面図心113の方を指すようにして、表面図心113の周りの円形配列171に配置されていてもよい。
【0043】
図3に示すように、一組の第1のマイクロフック161は、互いに直径方向反対側に配置された少なくとも2つの第1のマイクロフック161-1、161-2を、少なくとも2つの第1のマイクロフック161-1、161-2のそれぞれの先端154が互いの方を指すように含んでもよい。一組の第1のマイクロフック161は、溝部116の両側に配置された少なくとも2つの第1のマイクロフック161-4、161-5を更に含んでもよい。
【0044】
いくつかの例では、第2の主表面114の表面図心113は、開口部118内に配置されていてもよい。更に、一組の第1のマイクロフック161は、開口部118の周りに少なくとも部分的に配置されていてもよい。より具体的には、
図3に示すように、開口部118は円形であってもよく、中心119を画定してもよい。開口部118の中心119は、第2の主表面114の表面図心113と一致してもよい。その結果、一組の第1のマイクロフック161は、開口部118の中心119が円形配列171の中心と一致した状態で、開口部118の周りの円形配列171内に少なくとも部分的に配置されていてもよい。
【0045】
一組の第1のマイクロフック161は、溝部116とは反対側に配置された少なくとも1つの第1のマイクロフック161-3を、少なくとも1つの第1のマイクロフック161-3の先端154が溝部116の方を指すようにして更に含んでもよい。
図3の例示的な実施形態では、少なくとも1つの第1のマイクロフック161-3は、ただ1つの第1のマイクロフック161-3を含む。その1つの第1のマイクロフック161-3の先端154は溝部116の方を指しているため、複数のマイクロフック150には、その1つの第1のマイクロフック161-3の先端154の方を先端がまっすぐ指している、又はまっすぐ反対を指している、対応するいかなるマイクロフックも含まれないことがある。
図3に例示する実施形態では、溝部116の反対側に配置された、その1つの第1のマイクロフック161-3を除き、一組の第1のマイクロフック161のうち各々の第1のマイクロフック161は、直径方向反対側にある、対応する第1のマイクロフック161を有する。
【0046】
溝部116は、本体110の長さに沿って部分的に延びていてもよい。具体的には、溝部116は、溝部116の長さ116Lが本体110の最大長さ110Lの約30%~約50%であるように、外辺部115から第2の主表面114の表面図心113に向かって直線的に延びていてもよい。更に、溝部116の最大幅116Wは、開口部118の直径118Dよりも小さくてもよい。直径118Dが最大幅116Wよりも大きいことにより、ゲルパッド140(
図1に示す)が開口部118内にしっかりと受け入れられるのを可能にし得る。
【0047】
複数のマイクロフック150は、溝部116の両側に配置された一対の矩形配列172に配列された一組の第2のマイクロフック162を更に含んでもよい。一方の矩形配列172は本体110の第1の端部102の近位に配置されてもよく、他方の矩形配列172は本体110の第2の端部104の近位に配置されていてもよい。
【0048】
更に、一組の第2のマイクロフック162のうち各々の第2のマイクロフック162の先端154は、溝部116の方を指していてもよい。換言すれば、一対の矩形配列172は、各々の第2のマイクロフック162の先端154が溝部116の方を指すようにして、溝部116の両側に配置されていてもよい。
【0049】
更に、各々の矩形配列172は、複数行及び複数列の第2のマイクロフック162を含む。
図3に示す実施形態では、一方の矩形配列172の各々の行は、他方の矩形配列172の対応する行と実質的に揃えられている。換言すれば、一方の矩形配列172の各々の行と、他方の矩形配列172の対応する行とは、実質的に単一の線に沿って配置されている。更に、一方の矩形配列172の各々の行に存在する先端154と、他方の矩形配列172の対応する行に存在する先端154は、互いの方を指している。
【0050】
第2の主表面114は、少なくとも1つの対称軸117(
図3に一点鎖線で示す)を更に画定してもよい。更に、複数のマイクロフック150は、対称軸117の両側に配置された一対の矩形配列173に配列された、一組の第3のマイクロフック163を更に含む。一組の第3のマイクロフック163は、開口部118に関して一組の第2のマイクロフック162の反対側に配置されていてもよい。一組の第3のマイクロフック163のうち各々の第3のマイクロフック163の先端154は、対称軸117の方を指していてもよい。換言すれば、一対の矩形配列173は、各々の第3のマイクロフック163の先端が対称軸117の方を指すように、対称軸117の両側に配置されていてもよい。
【0051】
更に、各々の矩形配列173は、複数行及び複数列の第3のマイクロフック163を含む。
図3に示す実施形態では、一方の矩形配列173の各々の行は、他方の矩形配列173の対応する行と実質的に揃えられている。言い換えれば、一方の矩形配列173の各々の行と、他方の矩形配列173の対応する行とは、実質的に単一の線に沿って配置されている。更に、一方の矩形配列173の各々の行に存在する先端154と、他方の矩形配列173の対応する行に存在する先端154とは、互いの方を指している。
【0052】
したがって、複数のマイクロフック150は、第2の主表面114の表面図心113の周りの円形配列171と、溝部116の両側に配置された一対の矩形配列172と、対称軸117の両側に配置され、かつ一対の矩形配列172から離隔されている一対の矩形配列173と、に配列される。したがって、円形配列171は本体110の幾何学的中心の近位に配置され、一対の矩形配列172は溝部116の近位にある、本体110の丸みを帯びたそれぞれの角部の近位に配置され、一対の矩形配列173は溝部116から遠位にある、本体110の丸みを帯びたそれぞれの角部の近位に配置される。複数のマイクロフック150のそのような配置によって、第2の主表面114上の複数のマイクロフック150の全体的な密度(すなわち、単位面積当たりのマイクロフックの数)を低減しながら、本体110とユーザ20の皮膚22との間の取り付けが改善され得る。
【0053】
マイクロフック150が互いの方を指すようにし、かつ開口部118の方を指すようにすることにより、皮膚を対称軸117に向けて、かつ、IVのための針が配置され、皮膚を通して挿入されて皮膚の無傷性を損なう可能性のある表面図心113に向けて、圧縮しやすくもなる。損傷した皮膚を圧縮することにより、特に、針によって形成された創傷において、皮膚が裂けにくくなる。本体110は、いくつかの実施形態では弾性又は伸張性であり得るので、本明細書で後述するように、適用時に固定装置100をわずかに伸張させた後にいったんマイクロフックが皮膚に係合すると、弾性の本体110が収縮し、皮膚は、マイクロフックの皮膚への係合によりわずかに圧縮された状態になり得る。
【0054】
複数のマイクロフック150は、複数のマイクロフック150をユーザ20の皮膚22に挿入したときに、本体110がユーザ20に不快感又は不便を与えることなくユーザ20の皮膚22(
図1に示す)に確実に固定されるように、第2の主表面114上に戦略的に配置されていてもよい。この目的のために、いくつかの例では、第2の主表面114の面積の少なくとも50%は、複数のマイクロフック150が欠如していてもよい。いくつかの例では、第2の主表面114の面積の少なくとも70%は、複数のマイクロフック150が欠如していてもよい。いくつかの例では、第2の主表面114の面積の少なくとも90%は、複数のマイクロフック150が欠如していてもよい。第2の主表面114の1つ以上の領域に複数のマイクロフック150がないことは、ユーザ20に不快感又は痛みを引き起こすことなく、本体110の把持及び皮膚22からの取り外しを容易にもし得る。
【0055】
図3に示すように、第2の主表面114上の複数のマイクロフック150の配置は、本来は例示的なものであり、この配置は、所望の用途属性に基づいて変化してもよい。
【0056】
図4A~
図4Cは、本開示の一実施形態による複数のマイクロフック150のうち1つのマイクロフック150を概略的に示す。
【0057】
上述したように、複数のマイクロフック150のうち各々のマイクロフック150は、基部152及び先端154を含む。
【0058】
各々のマイクロフック150は、基部152と先端154との間の高さ150Hを画定してもよい。高さ150Hは、約300ミクロン(μm)~約600μmであってもよい。結果として、複数のマイクロフック150は、ユーザ20の皮膚22(
図1に示す)の真皮層を貫通しないことがある。したがって、皮膚22への複数のマイクロフック150の挿入は、ユーザ20に痛みを引き起こさないことがある。
【0059】
図4Bに示すように、複数のマイクロフック150のうち少なくとも1つのマイクロフック150は、正方形の断面形状を有してもよい。少なくとも1つのマイクロフック150は、ピラミッド形状を有してもよい。更に、複数のマイクロフック150のうち各々のマイクロフック150は、チャネルのない中実構成を有してもよい。換言すれば、各々のマイクロフック150は中空でなくてもよい。
【0060】
基部152は、基部平面156(
図4Bで破線の矩形によって示される)、基部平面156内の基部領域153、及び基部領域153の基部図心155(
図4Bで円によって示される)を画定してもよい。基部領域153は、基部平面156内の基部152の有効領域に対応する。基部図心155は、基部平面156内の基部領域153の幾何学的中心に対応してもよい。各々のマイクロフック150は、その長さに沿って基部図心155から先端154まで延びるフック軸線151(
図4Cでは破線によって示される)を更に画定してもよい。各々のマイクロフック150は、フック軸線151に沿って基部152と先端154との間に延びる。フック軸線151は、基部152から先端154までのマイクロフック150の断面積の図心を結ぶことによって取得され得る。フック軸線151は、曲線状又は直線状であってもよい。
図4Cに示すように、フック軸線151は湾曲していてもよい。
【0061】
いくつかの例では、先端154と図心155とを結ぶ仮想線157(
図4Cに破線で示す)は、基部平面156に対して斜めに傾斜していてもよい。具体的には、
図4Cに示すように、仮想線157は基準面156に対して傾斜角αだけ斜めに傾斜していてもよい。傾斜角αは、約20度~約70度であってもよい。更に、各々のマイクロフック150の先端154は、先端154から基部平面156に対して垂直に延びる仮想垂直線159(
図4Cでは破線によって示されている)が基部152の外側にあるように、基部152から離れる方に向いていてもよい。基部152に対する先端154のこの構成によって、各々のマイクロフック150の先端154が、反対側のマイクロフック150の先端154、第2の主表面114の少なくとも1つの対称軸117(
図3に示す)、及び/又は、第2の主表面114の表面図心113(
図3に示す)の方を指すことが可能になり得る。様々な実施形態において、マイクロフックの全体的形状は、鋭利な先端で終わる湾曲したピラミッド状の構造を有する猛禽類のくちばし又はかぎ爪に類似することができ、そのため、固定装置を使用して患者の皮膚の中へ良好に貫通することができる。
【0062】
図5は、本開示の一実施形態による固定装置100の一部の上面斜視図を示す。
【0063】
上述したように、クリップ120は、本体110に結合され、第1の主表面112から延びる。更に、クリップ120は、そこを通して医療用物品10(
図1に示される)を少なくとも部分的に受け入れ、医療用物品10を本体110に取り外し可能に固定するように構成されている。
【0064】
図5に示すように、クリップ120は、本体110に結合され、本体110の第1の主表面112から延びる、クリップ基部122を含んでもよい。
【0065】
クリップ120は、クリップ基部122に弾性的に結合された分割リング124を更に含むことができる。分割リング124は、リング結合部分136によってクリップ基部122に弾性的に結合されていてもよい。更に、分割リング124は、そこを通して医療用物品10を少なくとも部分的に受け入れるように構成されていてもよい(
図1に示すように)。
【0066】
分割リング124は、クリップ基部122の近位にある第1のリング部分124Aと、クリップ基部122の遠位にある第2のリング部分124Bとを含んでもよい。第2のリング部分124Bは、第1のリング部分124Aと一体であってもよい。更に、第2のリング部分124Bは、リング接続部分124Cによって第1のリング部分124Aに接続されていてもよい。
【0067】
第2のリング部分124Bは、第1のリング部分124Aから離れる方を向いた外側リング表面125を含んでもよい。第2のリング部分124Bは、外側リング表面125から延びる複数のロック歯126を更に含んでもよい。
【0068】
分割リング124は、第1のリング部分124Aと第2のリング部分124Bとの間の間隙139を調節できるように、変形可能で、クリップ基部122に対して移動可能であってもよい。第1のリング部分124Aと第2のリング部分124Bとの間の間隙139の調節が、分割リング124の幅124Wの調節を可能にし得る。また間隙139は、第2のリング部分124Bがロックアーム128と係合されていないときに、医療用ラインのクリップ120の円形開口部分への挿入を可能にもする。その後、第2のリング部分124Bは、ロックアーム128と係合して、
図1で最もよく示されているように、医療用ラインを円形開口部分内に固定することができる。
【0069】
クリップ120は、クリップ基部122に弾性的に結合されており、そこから延びる、ロックアーム128を更に含んでもよい。具体的には、ロックアーム128は、アーム結合部138によってクリップ基部122に弾性的に結合されていてもよい。ロックアーム128は、分割リング124の複数の所定幅に対応する複数の戻り止め130を含んでもよい。
【0070】
第2のリング部分124Bは、第1の方向132にロックアーム128に対して弾性的に移動可能であってもよい。複数の戻り止め130のうち各々の戻り止め130は、第2のリング部分124Bが第1の方向132と反対の第2の方向134に移動することを防止するために、複数のロック歯126のうち対応するロック歯126と選択的に係止的に係合するように構成されてもよい。したがって、複数の戻り止め130と複数のロック歯126とは、ラチェットポール機構を形成し得る。
【0071】
具体的には、
図5に示すように、各々のロック歯126は、歯曲面127と、歯曲面127の反対側の歯平面129とを含んでもよい。更に、各々の戻り止め130は、戻り止め曲面131及び戻り止め平面133を含んでもよい。歯曲面127は、戻り止め曲面131と移動可能に係合して、第2のリング部分124Bが第1の方向132へ移動できるようにするように構成されていてもよい。更に、歯平面129は、戻り止め平面133と係止的に係合して、第2のリング部分124Bが第2の方向134に移動できないようにするように構成されていてもよい。
【0072】
したがって、分割リング124の幅124Wは、複数の戻り止め130のうち1つ以上を複数のロック歯126のうち対応する1つ以上と選択的に係止的に係合させることによって調節され得、その結果、そこを通して医療用物品10を(
図1に示すように)少なくとも部分的に受け入れ可能である。間隙139及び幅124Wを縮小するために、第2のリング部分124Bは第1の方向132に沿ってクリップ基部122に向かって移動させられてもよい。所望の幅124Wが達成されたとき、第2のリング部分124Bを解放すると、複数の戻り止め130のうち1つ以上の戻り止め平面133と、複数のロック歯126のうち1つ以上の対応する歯平面129との係合が引き起こされ得、その結果、分割リング124が所望の幅124Wで固定される。例えば医療用物品10を除去するために、幅124Wを拡大させるために、ロックアーム128及び分割リング124は、複数の戻り止め130が複数のロック歯126から係合解除され得るように、互いから離れるように移動させられてもよい。その結果、第2のリング部分124Bは第2の方向134に自由に移動し得、それによって、医療用ラインを円形開口部分から除去することが所望される場合に、間隙139及び幅124Wの所望の増加又は、又は124Bへの第2のリング部分がロックアーム128から完全に係合解除することを可能にする。
【0073】
分割リング124は、様々な医療用物品を収容するように設計されてもよい。例えば、分割リング124の幅124Wは、約1mm~3mmの間で調整可能であってもよい。これにより、分割リング124が規格化された形状及び寸法の医療用物品を受け入れることが可能になり得る。
【0074】
図6は、本開示の一実施形態による、キット200の概略ブロック図を示す。
【0075】
キット200は、固定装置100及びゲルパッド140を含む。上述したように、ゲルパッド140は、開口部118内に少なくとも部分的に受け入れられ(
図1に示す)、挿入部位25を覆うように構成されていてもよい。キット200は、手袋、滅菌資材、布又は他の吸収資材、及び消毒剤(例えば、グルコン酸クロルヘキシジン)を更に含んでもよい。キット200は、洗浄布、脱脂綿、綿棒などの洗浄物品を更に含んでもよい。キット200は、滅菌パッケージで使用するために臨床医が入手可能であってもよい。
【0076】
図7は、本開示の一実施形態による、
図6のキット200を使用する方法300を示すフローチャートを示す。方法300は、
図8A~
図8Iにも概略的に示され、
図7及び
図8A~
図8Iを参照して説明される。
【0077】
図8Aを参照すると、方法300は、ステップ310で、ユーザ20の皮膚22に対して固定装置100を、本体110の第2の主表面114が皮膚22に面するように位置決めすることを含む。
【0078】
方法300は、ステップ320で、本体110の開口部118を通して少なくとも1つの医療用ライン12が少なくとも部分的に受容されるように、少なくとも1つの医療用ライン12を溝部116を通して摺動可能に挿入することを更に含む。例えば、
図8B~8Dに示すように、固定装置100は、溝部116を通して少なくとも1つの医療用ライン12が摺動可能に挿入され、少なくとも1つの医療用ライン12が本体110の開口部118を通って少なくとも部分的に受け入れられるように、少なくとも1つの医療用ライン12に向かって方向D1に沿って摺動させられてもよい。
【0079】
図8Eを参照すると、ステップ330で、方法300は、医療用物品10を本体110に取り外し可能に固定するために、医療用物品10を少なくとも部分的にクリップ120を通して挿入することを更に含む。いくつかの例では、医療用物品を少なくとも部分的にクリップ120を通して挿入することは、第2のリング部分124Bがロックアーム128と係合していないときに間隙があるときに行われてもよい。いくつかの例では、医療用物品10を少なくとも部分的にクリップ120を通して挿入することは、クリップ120の幅(すなわち、
図5に示し、上述した、分割リング124の幅124W)を医療用物品10の幅に基づいて調整することを更に含んでもよい。
【0080】
ステップ340で、方法300は、複数のマイクロフック150をユーザ20の皮膚22に、本体110がユーザ20の皮膚22に固定されるように挿入することを更に含む。
【0081】
いくつかの例では、複数のマイクロフック150をユーザ20の皮膚22に挿入することは、本体110の第1の端部102の近位にある複数のマイクロフック150の少なくともいくつかをユーザ20の皮膚22に挿入することと、本体110を伸張させることと、本体110の第1の端部102の反対側の第2の端部104の近位にある複数のマイクロフック150のうち少なくともいくつかをユーザ20の皮膚22に挿入することと、を更に含んでもよい。例えば、
図8F~
図8Hに示すように、本体110の第1の端部102の近位にある複数のマイクロフック150の少なくともいくつかを皮膚22に挿入した後、本体110を第2の端部104で伸張させてもよく、その後、本体110の第2の端部104の近位にある複数のマイクロフック150の少なくともいくつかを皮膚22に挿入してもよい。
【0082】
図8Iを参照すると、方法300は、ステップ350で、ゲルパッド140が挿入部位25を覆うように、開口部118内にゲルパッド140を少なくとも部分的に挿入することを更に含む。ゲルパッド140は、そこを通して少なくとも1つの医療用ライン12を受け入れるために、予め作製されたスリットを含んでもよい。
【0083】
方法300は、臨床医又はユーザが、キット200を便利に使用し、固定装置100を介して医療用物品10を皮膚22に固定することを可能にし得る。
【0084】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴サイズ、量、及び物理的特性を表すすべての数は、「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、そうではないと示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。
【0085】
本明細書では特定の実施形態を図示し説明してきたが、図示及び説明した特定の実施形態を本開示の範囲から逸脱することなく、様々な代替形態及び/又は等価な実装形態で置き換え可能であることは当業者には理解される。本出願は、本明細書で論じた特定の実施形態のどのような改作又は変形でも包含すると意図される。したがって、本開示は特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定されると意図される。
【国際調査報告】