(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-04-15
(54)【発明の名称】*MREフレームワークタイプのモレキュラーシーブの合成
(51)【国際特許分類】
C01B 39/48 20060101AFI20250408BHJP
【FI】
C01B39/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024555123
(86)(22)【出願日】2023-02-15
(85)【翻訳文提出日】2024-09-17
(86)【国際出願番号】 IB2023051369
(87)【国際公開番号】W WO2023180826
(87)【国際公開日】2023-09-28
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェイ、ダン
(72)【発明者】
【氏名】ジエンセン、カート オーウェン
(72)【発明者】
【氏名】オジョ、アデオラ フローレンス
【テーマコード(参考)】
4G073
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA63
4G073BA69
4G073BA75
4G073BA82
4G073BB04
4G073BB44
4G073BD21
4G073CZ50
4G073FB11
4G073FB21
4G073FB30
4G073FB36
4G073FC25
4G073FC27
4G073FC30
4G073FD01
4G073FD08
4G073FD12
4G073FD23
4G073GA01
4G073UA01
(57)【要約】
1-エチルピリジニウムカチオンを含む有機構造配向剤を使用して*MREモレキュラーシーブを合成するための方法が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
*MREフレームワークタイプのモレキュラーシーブを合成する方法であって:
(1)反応混合物を調製することであって、前記反応混合物が、
(a)シリコン原子源と、
(b)アルミニウム原子源と、
(c)1-エチルピリジニウムカチオンを含む有機構造配向剤[Q]と、
(d)アルカリ金属[M]源と、
(e)水酸化物イオン源と、
(f)水と、
を含む、前記調製すること;ならびに
(2)前記反応混合物を、前記モレキュラーシーブの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に曝すこと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記反応混合物が、モル比に関して、以下のような組成を有する、請求項1に記載の方法:
【表1】
【請求項3】
前記反応混合物が、モル比に関して、以下のような組成を有する、請求項1に記載の方法:
【表2】
【請求項4】
前記ケイ素原子源が、シリカのコロイド懸濁液、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、アルカリ金属ケイ酸塩、テトラアルキルオルトケイ酸塩、またはそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アルミニウム原子源が、水和アルミナ、水酸化アルミニウム、アルカリ金属アルミン酸塩、アルミニウムアルコキシド、及び水溶性アルミニウム塩、またはそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ケイ素原子と前記アルミニウム原子の両方の供給源がYゼオライトである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記結晶化条件が、100℃~200℃の温度、及び約1日~21日の結晶化時間を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
合成されたままの形態で、その細孔内に1-エチルピリジニウムカチオンを含む、*MREフレームワークタイプのモレキュラーシーブ。
【請求項9】
少なくとも60というSiO
2/Al
2O
3のモル比を有する、請求項8に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項10】
60~150の範囲というSiO
2/Al
2O
3のモル比を有する、請求項8に記載のモレキュラーシーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、*MREフレームワークトポロジーを有するモレキュラーシーブを調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モレキュラーシーブ(分子篩)とは、明確なX線回折(XRD)パターンによって示される規定の細孔構造を有する特徴的な結晶構造を有し、特定の化学組成を有する、商業的に重要な分類の材料である。
【0003】
モレキュラーシーブは、国際ゼオライト協会(International Zeolite Association)の構造委員会(Structure Commission)によって、ゼオライト命名法に関するIUPAC委員会(IUPAC Commission on Zeolite Nomenclature)の規則に従って分類される。この分類に従って、構造が確立されているフレームワークタイプゼオライト及び他の結晶性微孔性結晶性材料は、固有の3文字コードが割り当てられ、例えば、「Atlas of Zeolite Framework Types」(Elsevier, Sixth Revised Edition,2007)に記載されている。
【0004】
*MREフレームワークタイプモレキュラーシーブは、一次元的な10環チャネルを有する無秩序な材料である。*MREフレームワークタイプモレキュラーシーブは、炭化水素原料の脱ろうのための触媒または触媒成分として魅力的な特性を示している。*MREフレームワークタイプモレキュラーシーブの例としては、COK-8、EU-2、EU-11、IZM-1、SSZ-91、ZBM-30、及びZSM-48が挙げられる。
【0005】
*MREフレームワークタイプモレキュラーシーブの合成を指示する複数の有機化合物が示されており、これには、有機直鎖状アミン及びポリアミン化合物、ジ四級アルキルアンモニウム化合物ならびにグリコールが挙げられる。
【0006】
本開示によれば、*MREフレームワークタイプのモレキュラーシーブが、1-エチルピリジニウムカチオンを含む有機構造配向剤を使用して合成され得ることが今では判明している。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、*MREフレームワークタイプのモレキュラーシーブを合成する方法が提供され、当該方法は:(1)(a)ケイ素原子源と;(b)アルミニウム原子源と;(c)1-エチルピリジニウムカチオンを含む有機構造配向剤[Q]と;(d)アルカリ金属[M]源と;(e)水酸化物イオン源と、(f)水と、を含む反応混合物を調製すること;ならびに(2)当該反応混合物を、当該モレキュラーシーブの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供すること、を含む。
【0008】
別の態様では、*MREフレームワークタイプのモレキュラーシーブであって、合成されたままの形態で、その細孔内に1-エチルピリジニウムカチオンを含む、当該モレキュラーシーブが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1による、合成されたままの*MREフレームワークタイプ材料の粉末X線回折(XRD)パターンを示す。
【0010】
【
図2】実施例1による合成されたままの*MREフレームワークタイプ材料の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
「フレームワークタイプ」という用語は、「Atlas of Zeolite Framework Types」,に、Ch. Baerlocher,L.B.McCusker,及びD.H.Olson(Elsevier,Sixth Revized Edition,2007)によって記載された意味で用いられる。
【0012】
用語「フレームワークタイプ」及び「フレームワークトポロジー」は、同義語であると理解されたい。
【0013】
「合成されたまま」という用語は、モレキュラーシーブの合成に使用される有機構造配向剤の除去前の結晶化後の、その形態でのモレキュラーシーブを指して本明細書で用いられる。
反応混合物
【0014】
一般に、*MREフレームワークタイプのモレキュラーシーブは:(1)(a)ケイ素原子源と;(b)アルミニウム原子源と;(c)1-エチルピリジニウムカチオンを含む有機構造配向剤[Q]と;(d)アルカリ金属[M]源と;(e)水酸化物イオン源と、(f)水と、を含む反応混合物を調製すること;ならびに(2)当該反応混合物を、当該モレキュラーシーブの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供することによって、合成され得る。
【0015】
当該反応混合物は、モル比に関して、表1に示される範囲内の組成を有し得る。
【表1】
【0016】
ケイ素原子源の例としては、シリカのコロイド懸濁液、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、アルカリ金属ケイ酸塩、テトラアルキルオルトケイ酸塩、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0017】
アルミニウム原子源の例としては、水和アルミナ、水酸化アルミニウム、アルカリ金属アルミン酸塩、アルミニウムアルコキシド、及び水溶性アルミニウム塩(例えば、硝酸アルミニウム)、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0018】
アルミノケイ酸塩ゼオライト(例えばYゼオライト)などのケイ素原子とアルミニウム原子の組み合わせの供給源も使用してもよい。アルミノケイ酸塩ゼオライトは、ケイ素及びアルミニウムの両方の単独のまたは主要な供給源として使用され得る。「優勢」という用語は、50モル%超、好適には75モル%超、及び好ましくは90モル%超を意味する。
【0019】
アルカリ金属[M]は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、またはそれらの混合物から選択され得る。いくつかの態様では、アルカリ金属は、ナトリウム及び/またはカリウムから選択される。アルカリ金属は通常、水酸化物イオン源と合わせて反応混合物に導入される。
【0020】
有機構造方向剤[Q]は、以下の構造(1)で表される1-エチルピリジニウムカチオンを含む:
【化1】
【0021】
Qの好適な供給源は、第四級アンモニウム化合物の水酸化物、塩化物、臭化物、及び/または他の塩である。
【0022】
反応混合物はまた、以前の合成からのZSM-48などの結晶性材料のシードを、望ましくは反応混合物の0.01~10,000重量ppm (例えば、100~5000重量ppm)の量で含み得る。シード化は、完全な結晶化が起こるまでに必要な時間を短縮するのに有利となり得る。さらに、シード化は、任意の望ましくない相にわたって所望のモレキュラーシーブの核形成及び/または形成を促進することによって得られる生成物の純度の向上につながり得る。
【0023】
反応混合物成分は、複数の供給源によって供給され得る。また、2つ以上の反応混合物成分を1つの供給源によって提供してもよい。
【0024】
反応混合物は、撹拌による混合が好ましい任意の考えられる手段によって調製してもよく、好ましくは撹拌によって調製してもよい。反応混合物は、バッチモード、連続モード、または半連続モードで調製され得る。
【0025】
反応混合物は、溶液、コロイド分散液(コロイドゾル)、ゲル、またはペーストの形態であってもよく、ゲルが好ましい。
結晶化及び合成後処理
【0026】
反応混合物からのモレキュラーシーブの結晶化は、100~200℃の温度に維持された対流オーブンに入れられた、例えば、ポリプロピレンジャーまたはテフロンライニングまたはステンレス鋼オートクレーブなどの適切な反応容器内で静的または撹拌条件下で、結晶化が起こるのに十分な期間(例えば、約1日~21日、または1日~14日、または1日~7日)行ってもよい。
【0027】
所望のモレキュラーシーブ結晶が一旦形成されれば、遠心分離または濾過などの標準的な機械的分離技術によって固体生成物が反応混合物から分離され得る。回収した結晶を水洗浄し、次いで、数秒~数分(例えば、急速乾燥の場合は5秒~10分)または数時間(例えば、75℃~150でのオーブン乾燥の場合は4時間~24時間)乾燥させ、合成されたままのモレキュラーシーブ結晶を取得する。乾燥させるステップは、真空下で実行しても、または大気圧で実行してもよい。
【0028】
結晶化プロセスの結果として、回収された合成されたままの結晶性モレキュラーシーブ生成物は、その細孔構造内に、合成で使用された有機構造配向剤(例えば、1-エチルピリジニウムカチオン)の少なくとも一部を含有する。
【0029】
この有機構造配向剤は、焼成によって除去することができ、この場合、合成されたままのモレキュラーシーブを、空気もしくは酸素などの酸化雰囲気、窒素もしくは他の不活性ガスなどの中性雰囲気、または、水素などの還元雰囲気下で加熱する。この雰囲気は、乾燥してもよいし、または水を含んでもよい。
【0030】
焼成で使用される温度は、焼成する材料中の成分に依存し、一般に、約1~8時間、400℃~900℃である。場合によっては、焼成は1200℃の温度まで実行され得る。本明細書に記載の方法を伴う用途では、焼成は一般に、400℃~700℃の温度で約1~8時間、好ましくは400℃~650℃の温度で約1~4時間行われる。
【0031】
本発明の方法によって合成されたモレキュラーシーブは、1つ以上のフレームワーク外のアルカリ金属を含み得る。通常、イオン交換によってアルカリ金属カチオンを除去し、それを水素、アンモニウム、または任意の所望の金属イオンで置き換えることが望ましい。通常のイオン交換技術は、合成モレキュラーシーブを、所望の置換カチオン(複数可)の塩を含有する溶液と接触させることを含む。多種多様な塩が使用され得るが、塩化物及び他のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、及び炭酸塩が特に好ましい。代表的なイオン交換技術は、当該技術分野で広く知られている。イオン交換は合成後に発生し、モレキュラーシーブの焼成の前または後のいずれに行ってもよい。所望の置換カチオンの塩溶液との接触後、モレキュラーシーブを通常、水で洗浄し、65℃~200℃ (例えば、80℃~150℃)の範囲の温度で乾燥する。洗浄後、モレキュラーシーブを不活性ガス及び/または空気中、400℃~900℃の範囲の温度で、1~48時間またはそれ以上の範囲の時間、焼成することにより、触媒活性かつ安定な生成物が生成され得る。
【0032】
モレキュラーシーブの特性評価
本明細書に記載の方法で合成される*MREフレームワークタイプモレキュラーシーブは、少なくとも60(例えば、60~150、または60~140、または60~130、または65~150、または65~140、または65~130、または70~150、または70~140、または70~130)というSiO2/Al2O3モル比(SAR)を有し得る。
【0033】
*MREフレームワークタイプモレキュラーシーブは、5重量%未満(例えば、4重量%未満、または3重量%未満、または2重量%未満、または1重量%未満)の非*MRE材料を含み得る。非*MRE材料の例としては、非晶質材料、未溶解のFAU、ケナイアイト及びZSM-50が挙げられ得る。いくつかの態様では、*MREフレームワークタイプモレキュラーシーブは、非*MRE材料を含まない場合がある。「非*MRE材料を含まない」とは、非*MRE固体材料が存在する場合、X線回折によって検出できない量で存在することを意味する。
【0034】
粉末X線回折パターンは、標準的な技術によって決定された。放射線は、銅のK-アルファ/ダブレットであった。表または図中の回折パターン値のわずかな変動は、調製に使用される有機化合物の変動、及び試料間のシリカ対アルミナのモル比の変動にも起因し得る。これらのわずかな摂動にもかかわらず、合成されたままの材料及び焼成した材料の基本的な結晶構造は実質的に変化しないままである。
【実施例】
【0035】
以下の例示的な実施例は非限定的であることが意図される。
【0036】
実施例1
50%のNaOH溶液0.24g、脱イオン水7.86g、臭化1-エチルピリジニウム(TCI America)0.56g、及びReheis F-2000水和アルミナ(53% Al2O3、47%H2O)0.03gをテフロンライナー内で一緒に混合した。次に、4.00gのLUDOX (登録商標) HS-30コロイド状シリカをライナーに加えた。得られたゲルを均一になるまで攪拌した。次いでライナーにキャップをして、Parrスチールオートクレーブ反応器内に配置した。次いで、オートクレーブを160℃で加熱したオーブンに4日間入れた。固体生成物を冷却した反応器から遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0037】
粉末XRDによる乾燥生成物の分析(
図1)によって、生成物が*MREフレームワークトポロジーを有することが示された。生成物のSEM画像を
図2に示し、これは結晶の均一な場を示している。
【0038】
ICP元素分析によると、生成物のSiO2/Al2O3モル比は126.06であった。
【0039】
実施例2
50%のNaOH溶液0.20g、脱イオン水8.90g、臭化1-エチルピリジニウム0.63g、及び酸化ナトリウムアルミニウム(Thermo Scientific)0.02gを、テフロンライナー内で一緒に混合した。次いで、1.00gのCAB-O-SIL(登録商標)M-5ヒュームドシリカを、ライナーに加えた。得られたゲルを均一になるまで攪拌した。次いでライナーにキャップをして、Parrスチールオートクレーブ反応器内に配置した。次いで、オートクレーブを160℃で加熱したオーブンに4日間入れた。固体生成物を冷却した反応器から遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0040】
粉末XRD及びSEMによる乾燥生成物の分析によって、生成物が*MREフレームワークトポロジーを有することが示された。
【0041】
ICP元素分析によると、生成物のSiO2/Al2O3モル比は118.43であった。
【0042】
実施例3
50%のNaOH溶液0.26g、脱イオン水11.47g、及びCBV780 Yゼオライト(SAR=80)粉末1.00gを、テフロンライナー内で一緒に混合した。次いで、臭化1-エチルピリジニウム0.91gをライナーに添加した。得られたゲルを、均一になるまで攪拌した。次いでライナーにキャップをして、Parrスチールオートクレーブ反応器内に配置した。次いで、オートクレーブを150℃で加熱したオーブンに4日間入れた。固体生成物を冷却した反応器から遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0043】
粉末XRD及びSEMによる乾燥生成物の分析によって、生成物が*MREフレームワークトポロジーを有することが示された。
【0044】
ICP元素分析によると、生成物のSiO2/Al2O3モル比は83.70であった。
【0045】
実施例4
50%のNaOH溶液0.39g、脱イオン水11.41g、CBV760 Yゼオライト(SAR=60)粉末1.00gを、テフロンライナー内で一緒に混合した。次いで、臭化1-エチルピリジニウム0.91gをライナーに添加した。得られたゲルを、均一になるまで攪拌した。次いでライナーにキャップをして、Parrスチールオートクレーブ反応器内に配置した。次いで、オートクレーブを160℃で加熱したオーブンに6日間入れた。固体生成物を冷却した反応器から遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0046】
粉末XRD及びSEMによる乾燥生成物の分析によって、生成物が*MREフレームワークトポロジーを有することが示された。
【0047】
ICP元素分析によると、生成物のSiO2/Al2O3モル比は71.72であった。
【0048】
実施例5
焼成
実施例1の合成段階の生成物を、1℃/分の速度で540℃に加熱した空気の流れの下で、マッフル炉内で焼成し、540℃で5時間保持し、冷却し、次いで、粉末XRDによって分析した。粉末XRDによる乾燥生成物の分析によって、有機構造配向剤を除去するための焼成後、生成物が依然として安定していることが示された。
【0049】
実施例6
アンモニウムイオン交換
実施例5の焼成材料を、10mL(モレキュラーシーブ1g当たり)の1Nの硝酸アンモニウム溶液で90℃にて2時間処理した。溶液を冷却し、デカンテーションを行い、同じプロセスを繰り返した。乾燥後の生成物(NH4形態)を、吸着質としてN2を使用し、BET法により細孔体積分析に供した。モレキュラーシーブは、0.07cm3/gの細孔容積を示した。
【0050】
実施例7
パラジウムイオン交換
実施例1及び2のアンモニウム交換された試料について、各々硝酸テトラアミンパラジウム(II)(0.5重量%のPd)を用いてパラジウムイオン交換を行った。イオン交換後、各試料を95℃で乾燥させ、次いで空気中で482℃で3時間か焼して、硝酸テトラアミンパラジウム(II)を酸化パラジウムに変換した。
【0051】
実施例8
n-ヘキサデカン(n-C16)の水素転化率
実施例7のパラジウム交換された各試料0.5gを、長さ23インチ、外径0.25インチのステンレス鋼反応管の中心に装填し、原料を予熱するために触媒の上流にアランダムを装填した(全圧1200psig;160mL/分のダウンフロー水素速度(1気圧及び25℃で測定した場合);1mL/時間のダウンフロー液体供給速度)。すべての材料を最初に、約315℃で流れる水素中で1時間還元した。生成物を、30分ごとに1回、オンラインキャピラリーガスクロマトグラフィー(GC)によって分析した。GCからの生データを、自動データ収集/処理システムによって収集し、炭化水素転化率を生データから算出した。
【0052】
触媒を最初に約260℃で試験して、次の測定セットの温度範囲を決定した。全温度範囲により、最大転化率が96%をわずかに下回り、かつ96%を超える広範囲のn-ヘキサデカン転化率が得られる。各温度で、少なくとも5回のオンラインGC注入を収集した。転化率は、反応して他の生成物(イソ-nC16異性体を含む)を生成するn-ヘキサデカンの量として定義された。収率は、n-C16以外の生成物の重量パーセントとして表され、収量生成物としてイソ-C16を含んだ。その結果を表2に提示する。
【表2】
【0053】
良好な触媒性能は、異性化選択性と転化率96%における温度との間の相乗効果に依存し、一方で望ましくない触媒分解を最小限におさえる。これらの触媒は、96%の転化率で望ましい異性化選択性を示した。この触媒はまた、非常に良好な異性化選択性を維持しながら、96%の転化率で非常に望ましい温度を示した。更に、望ましくない接触分解とそれに付随する高ガス生成は、C4-分解の許容レベルにおいて反映が低かった。
【国際調査報告】