(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-04-16
(54)【発明の名称】テレフタル酸ポリエステルをテレフタレートエステルに室温で解重合するための方法
(51)【国際特許分類】
C08J 11/16 20060101AFI20250408BHJP
B29B 17/04 20060101ALI20250408BHJP
C08J 11/24 20060101ALI20250408BHJP
C07C 69/82 20060101ALI20250408BHJP
C07C 67/03 20060101ALI20250408BHJP
B01J 31/02 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
C08J11/16
B29B17/04 ZAB
C08J11/24
C07C69/82 A
C07C67/03
B01J31/02 101Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024559399
(86)(22)【出願日】2023-04-05
(85)【翻訳文提出日】2024-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2023058949
(87)【国際公開番号】W WO2023194442
(87)【国際公開日】2023-10-12
(32)【優先日】2022-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2023-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523191915
【氏名又は名称】リシクエリ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】エル マディ,アユプ
(72)【発明者】
【氏名】メディマグ,ラウ
(72)【発明者】
【氏名】フルダン,テオ
【テーマコード(参考)】
4F401
4G169
4H006
【Fターム(参考)】
4F401AA02
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4G169AA02
4G169BA21A
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4H006BA32
4H006BA69
4H006KA03
(57)【要約】
本発明は、テレフタレートポリエステル、特に、使い捨てプラスチックボトル、食品トレイ、織物、断熱用複合材料などを製造するために一般的に使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリブチレンテレフタレート(PBT)を含む材料をリサイクルする分野に関する。それは、特に、1時間未満で、かつ前処理工程を伴わずに、PETをテレフタル酸ジエステル、特にジメチルテレフタレート(DMT)にリサイクルするための方法に関する。加えて、この方法は、いかなる毒性産物も使用しない。したがって、工業的観点から特に有利である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレフタレートポリエステルを含む材料をテレフタレートジエステルにリサイクルするための方法であって、2つの工程:
a.前記材料を粉砕又は細断して、断片を生成する工程と、
b.前記ポリエステルを、
(i)金属若しくは有機エーテルオキシド塩基、金属酢酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属エステル、又は金属炭酸塩から選択される触媒、
(ii)環状エステル又はエーテルオキシド型の極性溶媒、
(iii)モノアルコール又はジオールから選択されるアルコール、の存在下で、テレフタレートエステルに解重合する工程と、を含み、
-前記塩基が、前記ポリエステルの量に対して触媒量で存在することと、
-前記解重合工程が、周囲温度で、又は70℃まで加熱することによって、1分~4時間の期間にわたって行われることと、を特徴とする、方法。
【請求項2】
前記材料が、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)から選択される100%テレフタレートポリエステルから構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記材料が、綿、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、及びフッ素化ポリマーから選択される別の成分とブレンドされたポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートから選択されるテレフタレートポリエステルを含む複合材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリウレタンが、エラスタンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒が、(i)ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、若しくはアンモニウムメトキシド型のエーテル酸化物、(ii)炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウム型の金属炭酸塩、(iii)水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム型の金属水酸化物、(iv)酢酸亜鉛若しくは酢酸ナトリウム若しくは酢酸カリウム型の金属酢酸塩、(v)金属酸化物(iv)若しくは金属エステル、又は(i)チタンエステル型の金属エステルから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒が、チタンエステル、マンガンエステル、アンチモンエステル、又は酢酸亜鉛、酢酸ナトリウム、若しくは酢酸カリウムから選択される金属エステルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒が、前記テレフタレートポリエステルに対して35%未満のモル比で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記有機塩基が、式A又はBのうちの1つを満たし、
【化1】
【化2】
式中、R
1及びR
2が、同一又は異なり、アリールC
nH
2n、アルキルC
nH
2n+1又はC
nH
2n-1から選択され、n=1~10である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記エステルが、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、グリコールから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記テレフタレートポリエステル:溶媒比が、1:1.5~1:10である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記モノアルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノールから選択され、前記ジオールが、エチレングリコールである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記アルコール:テレフタレートポリエステルのモル比(当量)が、0.25~16に含まれる、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
同じランクのアルコール及びエステルが、同じ解重合反応に使用される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、テレフタレートポリエステル、特に、使い捨てプラスチックボトル、食品トレイ、織物、断熱用複合材料などを製造するために一般的に使用されるポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)又はポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)を含む材料をリサイクルする分野に関する。それは、特に、1時間未満で、かつ前処理工程を伴わずに、PETをテレフタル酸ジエステル、特にジメチルテレフタレート(dimethyl terephthalate、DMT)にリサイクルするための方法に関する。加えて、この方法は、いかなる毒性産物も使用しない。したがって、工業的観点から特に有利である。
【0002】
PETリサイクルは、主要な環境問題であり、よって、その一般的な使用、その豊富さ、及びその耐久性に起因して、商業的機会となる。しかしながら、PET系材料のリサイクルは、複雑であり、ポリマーの型、材料の設計、及び製品の型に応じて変化する。
【0003】
リサイクルプラスチック材料の使用に対する主な障害は、互いに相溶性でない異なる型のポリマーによる廃棄物流の汚染である。結果として、色、透明度、又は耐衝撃性などの特定の品質特性を低減させることなく、リサイクルPET型のプラスチックを未使用ポリマーに添加することは、多くの場合、不可能である。この理由により、未使用ポリマーをリサイクルPETで置き換えることができるかどうかは、リサイクル製品の純度及び最終製品の要件に大きく依存する。
【0004】
ケミカルリサイクリングの原理によれば、PETは、メタノリシス又は糖分解などの加溶媒分解又は加水分解によって解重合することができ、このようにして得られたモノマーは、「リサイクルPET」と称される新しいPETポリマーを生成するために再使用することができる。
【0005】
工業的必要性に応じて、PET樹脂を製造するための特定の技術は、テレフタル酸ジメチルエステル(DMT)の使用に頼る。
【0006】
加えて、従来のメタノリシス技術は、非常にエネルギー集約的であり、設備が高価である方法を使用する。これらの方法は、300℃より高い温度及び5~10バールの圧力の超臨界相を使用する。温度及び圧力に関する劇的な反応条件に起因して、これらの技術は、PETの分子単位に対する構造変化、特に異性化又は劣化を誘発する(米国特許第6,706,843号、国際公開第2021/126661号)。したがって、それらは、織物の他の成分に由来する残留物による「汚染」に起因して修飾されたPET分子の生成をもたらし得るので、多繊維織物材料などのある特定のPET系材料の解重合には好適ではない。これらの修飾分子は、毒性であり得るか、又はリサイクルPETの生成中に破壊を生じ得る。これらは、今後の用途のための解重合生成物の品質にとって有害である。
【0007】
国際公開第2020/128218号の文献には、メタノール又はエタノールなどのモノアルコールと、PETに対して化学量論量のナトリウムメトキシド、KOH、又はNaOHから選択される塩基と、を使用する、アルコール分解によるPETの解重合方法が説明されている。
【0008】
PETの質量に対して触媒量の塩基の使用によりDMTを得ることができるが、反応速度が非常に遅く、反応時間が10時間30分よりも長く、その間、反応溶液は連続的に加熱されることが分かっている。例として、メタノール及びナトリウムメトキシドなどのアルコキシドの存在下でのPETのDMTへの解重合を説明している米国特許出願公開第2019/0256450号明細書及び国際公開第2020/188359号が言及され得る。これらのメタノリシス反応は、25℃~100℃の温度で行われる。これらの方法は、塩素化溶媒又はDMSO若しくはDMF若しくはメタノールなどの極性溶媒でPETを膨潤させる第1の段階を必然的に含む。米国特許出願公開第2019/0256450号は、PETを塩基、触媒量のナトリウムメトキシド、及びメタノールと反応させることを提案している。国際公開第2020/188359号に説明されている方法は、ナトリウムメトキシドの添加後にメタノール及びメチラート溶液を数回連続して添加することを特徴としている。著者らは、高いPET生成収率について説明している。米国特許出願公開第2019/390035号は、グリコール酸塩を添加することによって解重合のための別のアプローチを説明しており、この塩の調製は、1週間にわたる単離及び乾燥工程を含む。
【0009】
国際公開第2021/126661号は、炭酸ナトリウム、マグネシウムメトキシド、DBU、及びTBDから選択される触媒を使用するメタノリシスによってPETを解重合するための改善された方法が説明されている。この方法は、15バールの圧力を印加することによって、少なくとも110~140℃の温度で実施される。
【0010】
当業者にとって、上で説明される方法の実施は、例えば、還流下でのメタノールの環境などのATEX環境の安全面に関して、産業上の操作性及び実現可能性の問題を明らかに呈し、これは、可燃性生成物を方法に導入する際に複雑な予防措置及び高価な装置を必要とする。
【0011】
これらの方法のいずれも、満足できるものではない。したがって、PET系材料をリサイクルするための改善された方法であって、このリサイクルの一般化を容易にし、リサイクルPET、より一般的にはテレフタレートポリエステルの使用範囲を広げるために、安価かつ工業的に容易に操作可能である、方法を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0012】
本発明者らは、テレフタレートポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリブチレンテレフタレート(PBT)を含む材料をテレフタレートエステルモノマーにリサイクルするための穏やかな条件下でのアルコール分解による解重合に特に効率的である新規の方法を開発した。この方法は、非常に迅速でありながら、最新技術の方法よりもはるかに環境に優しい。この方法は、その純度に起因して直接再使用可能である固体形態の生成物、特に結晶形態のDMT、DET、又はBHETへのアクセスを与える。
【0013】
したがって、本発明は、テレフタレートポリエステルを含む材料をテレフタレートエステルにリサイクルするための方法であって、2つの工程:
a.当該材料を粉砕又は細断して、断片を生成する工程と、
b.テレフタレートポリエステルを、
(i)金属若しくは有機エーテル酸化物塩基、金属酢酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属炭酸塩から選択される触媒、及び
(ii)環状エステル又はエーテル酸化物型の極性溶媒、
(iii)モノアルコール又はジオールから選択されるアルコール、の存在下で、テレフタレートエステルに解重合する工程と、を含み、
-当該塩基が、当該テレフタレートポリエステルの量に対して触媒量で存在することと、
-当該解重合工程が、周囲温度で、又は70℃まで加熱することによって、1分~4時間の期間にわたって実施されることと、を特徴とする、方法に関する。
【0014】
テレフタレート-ポリエステル系材料は、100%テレフタレートポリエステル(PET又はPBT)を含有するプラスチック、織物、又は別の型の材料、あるいはテレフタレートポリエステルと綿、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、及びフッ素化ポリマーなどの他の成分との混合物を含有する複合材料、例えば、複合プラスチック、多繊維織物、又は複合絶縁材料であり得る。
【0015】
発明の利点
本発明による方法は、(i)テレフタレートポリエステルに対して触媒量の触媒、(ii)モノアルコール又はジオールのいずれかであるアルコール、及び(iii)エステル型の溶媒を会合させ、緩やかな条件下でそれらを反応させることを提案する。本発明は、上で説明される方法に関するいくつかの利点を有し、これらを以下で解説する。
【0016】
第1の顕著な利点:この方法は、毒性産物の使用を必要とする工程である前処理を必要としない。解重合反応は、処理される材料の事前の膨張なしに完全な解重合を可能にするのに十分に有効である。したがって、本発明による方法は、より単純であり(1工程少ない)、より環境に優しく(毒性産物がなく、したがって処理されるべき廃液がない)、より高速、かつより安価である。
【0017】
この方法は、非常に中等度の産業上のリスクを伴うので、その実施のための産業上の設備は、結果として、より容易に設定されることができ、これらの設備のセキュリティのレベルは、制約がより少ない。法規制の順守は、プラント設置中及び生成サイクル全体を通して単純化される。したがって、CAPEXは、著しく低減される。
【0018】
任意の型の溶媒を解重合に使用することができるが、エステル型溶媒が好ましい。実際には、これらの生成物は、いかなる毒性もなく、特に食品加工において、香味料の分野で使用される。
【0019】
注目すべきことに、解重合反応は完了し、非常に高速であり、高純度のテレフタレートエステルを生成する。これは、PET及びPBTにも適用可能であり、これらは、DMT、DET、又はBHETに解重合される。その場合、後者は、容易にリサイクル可能であり、工業的アウトレット及び公認市場を有する。
【0020】
この方法は、反応が周囲温度で4時間未満で完了し、最適化された加熱条件下、特に55~70℃で20分未満で完了するので、「非常に高速で」として説明することができる。それは、即座に開始し、1分以内に完全な解重合をもたらすことができる。
【0021】
解重合反応は、単純である。解重合及び精製は、1つの、かつ同じ工程で行うことができる。反応の完了後、得られた生成物は、直接的に、結晶形態のテレフタレートエステルである。洗浄は、中間生成物又は分解生成物を除去することを可能にし、これは、関心対象の生成物からそれらを分離するために従来の方法において面倒な蒸留操作を必要とするであろう。
【0022】
したがって、本方法は、PET又はPBTの解重合が、それぞれ、メタノリシス、エタノリシス、又は解糖によって行われるかどうかに応じて、DMT、DET、又はBHETを得ることを可能にする。
【0023】
この方法は、その厚さ又はその組成にかかわらず、純粋又はブレンドされた、透明又は着色された、テレフタレートポリエステル、特にPET又はPBTを含む任意の型の材料に適用され得る。
【0024】
当業者は、複合織物及び多繊維材料が異なる方法で製造され得ることを知っている。それらは、織られ得、いくつかの層の形態でコーティングされ得るか、又は不織性の性質であり得る。それらは、異なる材料、特に他の材料とブレンドされたポリエステル材料からなる。
【0025】
「ポリエステル」型の材料の性質は、異なり得、包括的ではない用語で、後者は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone、PCL)などであり得る。本発明による方法によってリサイクルすることができる材料は、PET又はPBT型の少なくとも1つのテレフタル酸ポリエステルを含む。
【0026】
ポリエステルとブレンドされた他の材料は、非限定的な様式で、ポリアミド(ナイロン6,6又はヘキサメチレンジアミンジアジペート、ナイロン6又はポリカプロラクタムなど)、ポリウレタン、綿、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン)、フッ素化ポリマー(後者は、概して、コーティングされる)であり得る。フッ素化ポリマーは、それらの密封及び絶縁特性のために使用され、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)である。ポリウレタンの中でも、エラスタンは、特に、それが可撓性エラストマーポリウレタンである場合、織物に可撓性及び通気性を提供するため、特に高く評価されており、その2つの主要な市販形態は、ポリ(エーテル)ウレタン及びポリ(エステル)ウレタンである。
【0027】
ポリアミドをPETと様々な割合で使用することは、衣類(ランジェリー及びスポーツ衣類)の分野だけでなく、それらの高吸収性及び無塵特性のために工業用織物(工業用拭き取り用のマイクロファイバワイプ)においても多くの用途を有する。しかしながら、エラスタン、ポリアミド、又はコーティングされた材料を含む複合材料をリサイクルすることは、現在、可能ではなく、これは、廃棄物管理の点で問題である。本発明による方法は、この問題に対する解決策を提供する。
【0028】
加えて、本発明による方法は、反応がテレフタレートポリエステルに対して選択的であり、他の任意選択的な成分を修飾しないという事実に起因して、テレフタレート-ポリエステル系複合材料をリサイクルするのに特に有利である。したがって、モノマーの形態の解重合テレフタレートポリエステルと他の成分との分離が、容易である。後者は、単純な濾過及び洗浄によって回収され得る。次に、織物の場合に可能な漂白工程の後、冷却された混合物は、テレフタレートエステルモノマーを沈殿させる。洗浄は、直接使用可能であり得るDMT、DET、又はBHETを得るのに十分である。洗浄溶媒は、有利には、解重合中に使用されるアルコールである。
【0029】
この方法とは異なる別の利点は、テレフタレートポリエステルの分離された材料を、その脱重合後に、不変の形態でアップサイクルすることを可能にすることである。ポリアミド(ポリアミド6;ポリアミド6,6)、エラスタン、及び綿は、織物の分野におけるこの具体的な例である。この特許に説明される方法は、テレフタレートポリエステルと最初にブレンドされた成分を、その後のリサイクルを可能にする純度で単離することを可能にする。この方法の非常に革新的な用途のうちの1つは、テレフタレートポリエステルに基づいた複合材料からのエラスタン又はポリアミドの回収及び新しい用途におけるその再利用を可能にすることに留意されたい。
【0030】
この方法の収率は高く、特にPETのDMTへの解重合については、少なくとも85%である。加えて、ポリエステルとブレンドされた材料は、完全に復元される。
【0031】
メタノールを使用したPETのDMTへの解重合の特定の場合において、得られた生成物は、反応の終了時(濾過及び洗浄後)に純度99.9%である。したがって、その後の精製の必要がない。DMTは、メタノールで洗浄した後に直接使用することができる。その純度レベルを前提とすると、DMTは、PET又はこのモノマーを含む任意の他の型の工業用樹脂を再生するために、多くの用途において使用され得る。試薬の選択及び穏やかな条件の実施は、異性化反応が起こらず、得られる生成物の品質に有害である分解生成物が形成されないことを意味する。存在する場合、反応に対するこれらの二次分子は、重合反応を妨害し、したがって、粗DMTを使用する前に粗DMTの精製が必要である。これは、PET及びPBTの任意の型のテレフタレートエステルモノマー(DMT、DET、及びBHET)への解重合に一般化することができる。
【0032】
この方法は、塩基(触媒)がリサイクルされるテレフタレートポリエステルの量に対して触媒量で使用され、反応温度が80℃未満であり、概して、周囲温度(約25℃)~60℃で含み、反応時間が文献に説明されているPET解重合法の反応時間と比較して大幅に低減されるという事実に起因して、既存の方法よりも経済的であり、かつ環境に優しい。
【0033】
特に、アルコールは、テレフタレートポリエステルに対して0.25~16モル当量、優先的には、テレフタレートポリエステルに対して0.6~9モル当量、より正確には、テレフタレートポリエステルに対して1.1~4.9モル当量の範囲の割合で使用され、これは、25モル当量の割合が必要である従来のメタノリシス技術に対して実質的な改善である。
【0034】
アセテート型の極性溶媒の割合も、テレフタレートポリエステルの質量:溶媒混合物の体積に対して1:1.5の最小値から、テレフタレートポリエステルの質量:溶媒混合物の体積に対して1:10の比の範囲に低減する。
【0035】
生態学的観点から、溶媒を含有する解重合浴は、いったん生成物が濾過されると、新しい処理サイクル用に再使用することができることに留意すべきである。浴は、反応の有効性に影響を与えることなく、少なくとも2回使用することができる。反応が終了すると、溶媒は、それらの低沸点を考慮して、単純な低エネルギー蒸留によって回収することができる。
[発明を実施するための形態]
【0036】
本発明は、テレフタレートポリエステルを含む材料をテレフタレートエステルにリサイクルするための方法であって、2つの工程:
a.廃棄物を粉砕して、断片を生成する工程と、
b.当該ポリエステルを、
(i)金属若しくは有機エーテル酸化物塩基、金属酢酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、又は金属エステルから選択される触媒、及び
(ii)環状エステル又はエーテル酸化物型の極性溶媒、
(iii)モノアルコール又はジオールから選択されるアルコール、の存在下で、テレフタレートエステルに解重合する工程と、を含み、
-当該塩基が、当該ポリエステルの量に対して触媒量で存在することと、
当該解重合工程は、周囲温度で、又は70℃まで加熱することによって、1分~4時間の期間にわたって行われることと、を特徴とする、方法に関する。
【0037】
好ましい実施形態において、本発明は、ポリエチレンテレフタレートを含む材料をテレフタレートエステルモノマーにリサイクルするための方法であって、2つの工程:
a.廃棄物を粉砕して、断片を生成する工程と、
b.PETを、
(i)金属若しくは有機エーテル酸化物塩基、金属酢酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、又は金属エステルから選択される触媒、及び
(ii)環状エステル又はエーテル酸化物型の極性溶媒、
(iii)モノアルコール又はジオールから選択されるアルコール、の存在下で、テレフタレートエステル及びモノエチレングリコール(monoethylene glycol、MEG)に解重合する工程と、を含み、
-当該塩基が、PETの量に対して触媒量で存在することと、
-当該解重合工程が、周囲温度で、又は70℃まで加熱することによって、1分~4時間の期間にわたって実施されることと、を特徴とする、方法に関する。
【0038】
テレフタレートポリエステルの解重合は、DMT及びポリエステルに対応するジオール、すなわち、PETからモノエチレングリコール及びPBTからブタンジオールを生成することが、当業者には既知である。
【0039】
テレフタレートポリエステルを含む材料は、100%テレフタレートポリエステル(例えば、プラスチック若しくは織物)からなり得るか、又はテレフタレートポリエステルと、綿、ポリアミド、エラスタン、PTFE、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの他の成分と、を含む、混合物(例えば、複合プラスチック、多繊維織物、若しくは絶縁複合パネル)からなり得る。
【0040】
テレフタレートポリエステルを含む材料が100%テレフタレートポリエステルからなる場合、この材料は、テレフタレートエステルに変換される。これは、以下で説明され、かつ実験の項で例解されるように、簡単な濾過によって回収し、冷却によって沈殿させることができる。
【0041】
テレフタレートポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)から選択される。
【0042】
テレフタレートポリエステルを含む材料が、他の成分とブレンドされたテレフタレートポリエステルを含む複合材料である場合、リサイクル方法は、テレフタレートポリエステルの解重合によってテレフタレートエステル(DMT)を生成し、材料の他の成分は、反応混合物中で不変の形態である。これらの他の成分は、DMTよりも大きいので、それらは、単純な濾過によってDMTから分離することができる。
【0043】
複合材料は、綿、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、及びフッ素化ポリマーから選択される別の成分とブレンドされたポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートから選択されるテレフタレートポリエステルを含む。
【0044】
したがって、PETを含む材料が他の成分とブレンドされたPETを含む複合材料である特定の実施形態において、リサイクル方法は、PETをDMTに変換(リサイクル)し、他の成分(これらもまた、リサイクルされ得る)を放出することを可能にする。
【0045】
触媒は、
(i)ナトリウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、カリウムメトキシド、又はアンモニウムメトキシド型のエーテル酸化物、
(ii)炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム型の金属炭酸塩、
(iii)水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム型の金属水酸化物、及び
(iv)酢酸亜鉛Zn(OAc)2若しくは酢酸ナトリウムNaOAc型、又は酢酸カリウムKOAcの金属酢酸塩、
(v)金属酸化物、
(vi)チタンエステルTi(OiPr)4、マンガンエステルMn(OR)2、又はアンチモンエステルSb(OR)2型の金属エステル、から選択される塩基である。
【0046】
本発明の好ましい実施形態において、触媒は、ナトリウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、カリウムメトキシド、又はアンモニウムメトキシドから選択される。
【0047】
触媒は、テレフタレートポリエステルに対して35%未満、好ましくは1~20%のモル比で存在する。
【0048】
エステル型溶媒は、モノエステル、ジエステル、又はトリエステルであり得る。
【0049】
エステル型溶媒は、好ましくは、式Aを満たし、
【化1】
【0050】
エーテル酸化物型溶媒は、好ましくは、式Bを満たし、
【化2】
式中、R
1及びR
2が、同一又は異なり、アリールC
nH
2n、アルキルC
nH
2n+1又はC
nH
2n-1から(独立して)選択され、n=1~10である。
【0051】
好ましい実施形態において、極性溶媒は、非毒性であるのでエステル型である。エステル型溶媒は、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピル、ブチル、イソプロピルから選択することができる。
【0052】
表2(実験部分)は、使用される塩基に応じた本発明の異なる実施形態を説明する。
【0053】
溶媒はまた、ジオキサンなどの環状エーテル酸化物型のものであり得る。
【0054】
本発明の好ましい実施形態において、テレフタレートポリエステル:溶媒比は、1:1.5~1:10である。
【0055】
解重合反応に関与するアルコールの量は、可変である。アルコールは、溶液中(アルコール中)の塩基によって供給することができるか、又は反応媒体中にそのまま添加される。したがって、アルコールは、テレフタレートポリエステルの量に対して過剰で、等量で、又は不十分であり得る。このパラメータは、当業者によって調整される。
【0056】
アルコールは、テレフタレートポリエステルに対して0.25~16モル当量の比で存在する。本発明の別の好ましい実施形態において、アルコール:テレフタレートポリエステルのモル比は、0.5~16であり、優先的には、0.6~9であり、より優先的には、1.1~3である。
【0057】
有利には、本方法は、1:1.5~1:10のテレフタレートポリエステル:溶媒混合物の比、及び0.25~10のアルコール:テレフタレートポリエステルのモル比を適用することによって実施される。特定の実施形態において、本方法は、1:1.5~1:5のテレフタレートポリエステル:溶媒混合物の比、及び0.25~3のアルコール:テレフタレートポリエステルのモル比を適用することによって実施される。
【0058】
解重合工程中に使用されるアルコールは、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、若しくはブタノールから選択されるモノアルコール、又はエチレングリコールなどのジオールである。
【0059】
本発明の特定の実施形態において、同じランクのアルコール及びエステルが、解重合反応中に使用される。
【0060】
同じランクのアルコール及びエステルのこの組み合わせは、完全な解重合反応を可能にするという利点を有する。テレフタレートモノマーは、このようにして可溶化される。それらを沈殿させ、高純度生成物(少なくとも99%)を回収するためには、溶液を冷却すれば十分である。
【0061】
材料がテレフタレートポリエステルと他の成分とのブレンドを含む場合、後者は修飾されず、懸濁液中に残り、濾過によって容易に除去される。
【0062】
例として、メタノール及び酢酸メチルを組み合わせることができ、DMT(メタノリシス反応)又はエタノール及び酢酸エチルが得られ、DET(ジエチルテレフタレートジエステル)が得られる(エタノリシス反応)。ジエチレングリコールを使用する場合、BHET(ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート)が得られる(解糖反応)。
【0063】
DETの関心は、例えば、文書国際公開第2007/076384号に例解されており、これは、PETのエタノリシス反応を説明する。DET生成は、DETがDMTよりも溶解しやすいという事実が有利であるとして説明されている。得られたDETが酸化され、次いで、テレフタル酸を生成するために使用することができる。
【0064】
代替的に、本発明による別の実施形態は、異なるランクのアルコールとエステルとを組み合わせることからなり得る。例えば、2つの一般的に使用される試薬である酢酸エチル及びメタノールが、組み合わされ得る。PET解重合反応は、効果的かつ完全に行われ、使用されたアルコールに対応する大部分の生成物、この例では、メタノールの存在に起因してDMTが得られるが、DET及び他のテレフタレートモノマーなどの二次生成物も得られる。
【0065】
解重合反応に関与する塩基は、処理されるテレフタレートポリエステルの量に対して触媒量であり得る。
【0066】
「触媒量」は、非化学量論的量、すなわち、処理されるテレフタレートポリエステルの量に対して1%~49%のモル比を意味する。「触媒」という用語は、反応の終了時にその初期形態で見出される試薬(触媒)にも適用される。
【0067】
本発明の好ましい実施形態において、エーテル酸化物塩基の触媒量は、35モル%未満である。エーテル酸化物塩基の触媒量は、1モル%~35モル%、好ましくは1モル%~20モル%、又は更には5モル%~20モル%で変動し得る。この量を更に低減するために、延長された反応時間を適用することができ、これは反応のコストを低減させることを可能にする。
【0068】
反応温度は、変動し得る。反応媒体は、70℃に加熱され得る。混合物は、特に有利には50℃~70℃、好ましくは60℃未満の温度に加熱することができる。しかしながら、完全な解重合が3~4時間で得られるため、反応が高速でありつつ、室温(約25℃)で非常に良好に動作することに留意することは非常に興味深い。反応を加熱しないという事実は、実施を単純化し、コストを低減する。
【0069】
本発明は、例解として提供され、本発明の範囲を限定するとは決して考えられない以下の実施例を読むことにより、より良く理解されるであろう。
【0070】
実験部分
実施例1:メタノリシスによるPET解重合
ある量(500g)の、異なる供給源(食品トレイ、水ボトルなど)に由来するポリエチレンテレフタレート(PET)小片を、2Lの酢酸メチルに導入する。導入されたPETに対して20%ナトリウムメトキシドのモル比に相当する120mLのナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%)及び200mLのメタノールを小片に添加する。反応は瞬時に始まる。55℃で30分間反応させた後、全てのPETの小片が消失し、溶液中に白色固体がわずかに懸濁した。未反応材料を保持するために、粗反応混合物を、ブフナーフィルタを通して濾過する。回収された培地は、ほとんど瞬間的にゲル化する。それは、DMT、解重合反応によって生成されたモノエチレングリコール、並びに最初に反応した塩基及び溶媒を含有する。白色固体(DMT)を回収し(410g、82%)、メタノールで洗浄する。
【0071】
実施例2:メタノリシスによるPET解重合
ある量(500g)の、異なる供給源(食品トレイ、水ボトルなど)に由来するPET小片を、2Lの酢酸メチルに導入する。導入されたPETに対して35%ナトリウムメトキシドのモル比に相当する210mLのナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%)を小片に添加する。反応は瞬時に始まる。55℃で30分間反応させた後、全てのPETの小片が消失し、溶液中に白色固体がわずかに懸濁した。未反応材料を保持するために、粗反応混合物を、ブフナーフィルタを通して濾過する。回収された培地は、ほとんど瞬間的にゲル化する。それは、DMT、解重合反応によって生成されたモノエチレングリコール、並びに最初に反応した塩基及び溶媒を含有する。白色固体(DMT)を回収し(400g、80%)、メタノールで洗浄する。
【0072】
実施例3:メタノリシスによる100%PET織物の解重合
ある量(500g)の100%PET着色織物小片を、2Lの酢酸メチルに導入する。導入されたPETに対して20%ナトリウムメトキシドのモル比に相当する119mLのナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%)を小片に添加する。反応は瞬時に始まる。55℃で120分間反応させた後、全てのPETの小片が解重合し、溶液中に着色固体がわずかに懸濁した。白色のDMTを得るために、活性炭を添加することによって漂白工程を行った。未反応材料及び活性炭を保持するために、粗反応混合物を、ブフナーフィルタを通して濾過する。回収された培地は、ほとんど瞬間的にゲル化する。それは、DMT、解重合反応によって生成されたモノエチレングリコール、並びに最初に反応した塩基及び溶媒を含有する。白色固体(DMT)を回収し(350g、70%)、メタノールで洗浄する。
【0073】
実施例4:メタノリシスによる85%/15%PET/エラスタンの混紡織物材料の解重合
ある量(500g)の、異なる割合のエラスタンを含有する85%の着色PET及び15%の着色エラスタンから構成されるPET/エラスタンの混紡織物の小片を、3.2Lの酢酸メチル及び0.8Lのメタノール中に導入した。導入された織物に対して20%ナトリウムメトキシドのモル比に相当する119mLのナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%)を小片に添加する。反応は瞬時に始まる。55℃で80分間反応させた後、全てのPET系織物小片を解重合して、未反応のエラスタン小片が残り、溶液中に着色固体がわずかに懸濁した。エラスタン(75g、15%)及び未反応材料を保持するために、前濾過工程を行った。次の工程は、白色DMTを得るために、活性炭を粗反応混合物に添加することによる漂白である。活性炭を保持するために、粗反応混合物を、ブフナーフィルタを通して濾過する。回収された培地は、ほとんど瞬間的にゲル化する。それは、DMT、解重合反応によって生成されたモノエチレングリコール、並びに最初に反応した塩基及び溶媒を含有する。白色固体(DMT)を回収し(280g、66%)、メタノールで洗浄する。
【0074】
実施例5:メタノリシスによるPET/綿(80%/20%)の混紡された織物の解重合
ある量(500g)の、80%の着色PETの小及び20%の着色綿から構成されるPET/綿混紡織物の片を、5Lの酢酸メチル中に導入する。導入された織物に対して20%ナトリウムメトキシドのモル比に相当する119mLのナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%)を小片に添加する。反応は瞬時に始まる。55℃で210分間反応させた後、PET織物の小片の大部分が劣化し、未反応の綿の小片が残り、溶液中に着色固体がわずかに懸濁した。綿(165g、20%)及び未反応材料を保持するために、前濾過工程を行った。次の工程は、白色DMTを得るために、活性炭を粗反応混合物に添加することによる漂白である。活性炭を保持するために、粗反応混合物を、ブフナーフィルタを通して濾過する。回収された培地は、ほとんど瞬間的にゲル化する。それは、DMT、解重合反応によって生成されたモノエチレングリコール、並びに最初に反応した塩基及び溶媒を含有する。白色固体(DMT)を回収し(245g、61%)、メタノールで洗浄する。
【0075】
実施例6:メタノリシスによるPET/ポリアミド(90%/10%)の混紡された織物の解重合
ある量(500g)の着色PET/PA混紡織物小片を、5Lの酢酸メチルに導入する。導入された織物に対して20%ナトリウムメトキシドのモル比に相当する119mLのナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%)を小片に添加する。反応は瞬時に始まる。55℃で120分間反応させた後、全ての織物の小片が分解し、未反応PAの小片が残り、溶液中に着色固体がわずかに懸濁した。PA(50g、10%)及び未反応材料を保持するために、前濾過工程を行った。次の工程は、白色DMTを得るために、活性炭を粗反応混合物に添加することによる漂白である。活性炭を保持するために、粗反応混合物を、ブフナーフィルタを通して濾過する。回収された培地は、ほとんど瞬間的にゲル化する。それは、DMT、解重合反応によって生成されたモノエチレングリコール、並びに最初に反応した塩基及び溶媒を含有する。白色固体(DMT)を回収し(350g、70%)、メタノールで洗浄する。
【0076】
実施例7:メタノリシスによる100%PET複合絶縁パネルの解重合
ある量(500g)の100%PET発泡体の白色小片を、1.5Lの酢酸メチルに導入する。導入されたPETに対して12%ナトリウムメトキシドのモル比に相当する71.43mLのナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%)を小片に添加する。反応は瞬時に始まる。55℃で20分間反応させた後、全ての絶縁パネルの小片が分解され、溶液中に淡黄色固体がわずかに懸濁した。未反応材料を保持するために、粗反応混合物を、ブフナーフィルタを通して濾過する。回収された培地は、ほとんど瞬間的にゲル化する。それは、DMT、解重合反応によって生成されたモノエチレングリコール、並びに最初に反応した塩基及び溶媒を含有する。白色固体(DMT)を回収し(360g、72%)、メタノールで洗浄する。
【0077】
実施例8:エタノリシスによるPET解重合
ある量(500g)の、異なる供給源(食品トレイ、水ボトルなど)に由来するPET小片を、2Lの酢酸エチルに導入する。導入されたPETに対して20%ナトリウムメトキシドのモル比に相当する28.12gのナトリウムメトキシド及び300mLのエタノールを小片に添加する。反応は、瞬時に始まる。70℃で30分間反応させた後、全てのPETの小片が消失し、溶液中に白色固体がわずかに懸濁した。未反応材料を保持するために、粗反応混合物を、ブフナーフィルタを通して濾過し、回収された媒体は、DET、解重合反応によって生成されたモノエチレングリコール、並びに最初に反応した塩基及び溶媒を含有する。反応溶媒を蒸発させた後、DET(400g)をペースト状固体の形態で回収し、エタノールで洗浄する。
【0078】
実施例9:時間及び温度の関数としての変換率
表1は、PETからDMTへの変換率に対する反応時間及び温度の影響を示す。
【0079】
以下の反応条件を使用する:10gのPETを、45mlの酢酸メチルの存在下で、20%の比(PETのモル:モル)のナトリウムメトキシド溶液(MeOH中で25%に希釈された)中でインキュベートする。
【表1】
【0080】
実施例10:溶媒及びアルコール型の関数としての変換率
表2は、PETからDMTへの変換率に対する反応時間及び温度の影響を示す。
【0081】
反応条件は、実施例4の反応条件と同じである。
【0082】
エステル型溶媒は、下記式を有する。
【化3】
【表2】
【手続補正書】
【提出日】2024-10-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレフタレートポリエステルを含む材料をテレフタレートジエステルにリサイクルするための方法であって、2つの工程:
a.前記材料を粉砕又は細断して、断片を生成する工程と、
b.前記ポリエステルを、
(i)金属若しくは有機エーテルオキシド塩基、金属酢酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属エステル、又は金属炭酸塩から選択される触媒、
(ii)環状エステル又はエーテルオキシド型の極性溶媒、
(iii)モノアルコール又はジオールから選択されるアルコール、の存在下で、テレフタレートエステルに解重合する工程と、を含み、
-前記塩基が、前記ポリエステルの量に対して触媒量で存在することと、
-前記解重合工程が、周囲温度で、又は70℃まで加熱することによって、1分~4時間の期間にわたって行われることと、を特徴とする、方法。
【請求項2】
前記材料が、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)から選択される100%テレフタレートポリエステルから構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記材料が、綿、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、及びフッ素化ポリマーから選択される別の成分とブレンドされたポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートから選択されるテレフタレートポリエステルを含む複合材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリウレタンが、エラスタンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒が、(i)ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、若しくはアンモニウムメトキシド型のエーテル酸化物、(ii)炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウム型の金属炭酸塩、(iii)水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム型の金属水酸化物、(iv)酢酸亜鉛若しくは酢酸ナトリウム若しくは酢酸カリウム型の金属酢酸塩、(v)金属酸化物
(vi)若しくは金属エステル、又は
(vii)チタンエステル型の金属エステルから選択される、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒が、チタンエステル、マンガンエステル、アンチモンエステル、又は酢酸亜鉛、酢酸ナトリウム、若しくは酢酸カリウムから選択される金属エステルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒が、前記テレフタレートポリエステルに対して35%未満のモル比で存在する、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記有機塩基が、式A又はBのうちの1つを満たし、
【化1】
【化2】
式中、R
1及びR
2が、同一又は異なり、アリールC
nH
2n、アルキルC
nH
2n+1又はC
nH
2n-1から選択され、n=1~10である、請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
前記エステルが、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピル、ブチル、イソプロピ
ルから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記テレフタレートポリエステル:溶媒比が、1:1.5~1:10である、請求項
1に記載の方法。
【請求項11】
前記モノアルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノールから選択され、前記ジオールが、エチレングリコールである、請求項
1に記載の方法。
【請求項12】
前記アルコール:テレフタレートポリエステルのモル比(当量)が、0.25~16に含まれる、請求項
1に記載の方法。
【請求項13】
同じランクのアルコール及びエステルが、同じ解重合反応に使用される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】