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特表2025-514634単一ドメイン抗体/ポリマタンデム蛍光染料コンジュゲート、ならびにその作製および使用方法
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  • 特表-単一ドメイン抗体/ポリマタンデム蛍光染料コンジュゲート、ならびにその作製および使用方法 図1A
  • 特表-単一ドメイン抗体/ポリマタンデム蛍光染料コンジュゲート、ならびにその作製および使用方法 図1B
  • 特表-単一ドメイン抗体/ポリマタンデム蛍光染料コンジュゲート、ならびにその作製および使用方法 図2A
  • 特表-単一ドメイン抗体/ポリマタンデム蛍光染料コンジュゲート、ならびにその作製および使用方法 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-05-09
(54)【発明の名称】単一ドメイン抗体/ポリマタンデム蛍光染料コンジュゲート、ならびにその作製および使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/533 20060101AFI20250430BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20250430BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20250430BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20250430BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20250430BHJP
【FI】
G01N33/533
G01N33/53 Y
G01N33/48 P
G01N33/48 M
G01N33/543 597
G01N21/64 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024558172
(86)(22)【出願日】2023-03-27
(85)【翻訳文提出日】2024-11-26
(86)【国際出願番号】 US2023016426
(87)【国際公開番号】W WO2023192185
(87)【国際公開日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】63/326,104
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】モロー,デイビット
(72)【発明者】
【氏名】リゴー,ステファニー
【テーマコード(参考)】
2G043
2G045
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043BA16
2G043DA02
2G043EA01
2G043FA02
2G045AA24
2G045BB24
2G045BB25
2G045CB01
2G045FA37
2G045FB12
(57)【要約】
【解決手段】単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートが提供される。提供されるコンジュゲートの態様は、それにコンジュゲートされた1つ以上のポリマタンデム蛍光染料を有する単一ドメイン抗体を含む。いくつかの例では、ポリマタンデム蛍光染料は、(i)非共役繰り返し単位で構成されたポリマ骨格、(ii)各々が独立してポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された複数のペンダントドナー発色団基、および(iii)ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された1つ以上のペンダントアクセプタフルオロフォアを含み、ペンダントドナーフルオロフォアおよびペンダントアクセプタフルオロフォアがエネルギ伝達関係にある。また、例えば標的分析物の存在についてのサンプルを評価する方法において、コンジュゲートを使用する方法、および方法の実施形態における使用が見出されるコンジュゲートを備えるキットも提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートであって、
(a)単一ドメイン抗体、および
(b)前記単一ドメイン抗体にコンジュゲートされた1つ以上のポリマタンデム蛍光染料
を備え、前記1つ以上のポリマタンデム蛍光染料は、
(i)非共役繰り返し単位を備えるポリマ骨格、
(ii)各々が独立して前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された複数のペンダントドナーフルオロフォア、および
(iii)前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された1つ以上のペンダントアクセプタフルオロフォア
を備え、ペンダントドナーフルオロフォアおよびペンダントアクセプタフルオロフォアはエネルギ伝達関係にある、コンジュゲート。
【請求項2】
前記単一ドメイン抗体は、細胞内抗原または細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
前記単一ドメイン抗体は、一次抗体に特異的に結合する、請求項1または2に記載のコンジュゲート。
【請求項4】
前記コンジュゲートは、前記単一ドメイン抗体にコンジュゲートされた2つ以上のポリマタンデム蛍光染料を備える、請求項1~3のいずれかに記載のコンジュゲート。
【請求項5】
前記ポリマタンデム蛍光染料は、式
【化1】
により記載され、
ここで、非共役繰り返し単位の前記ポリマ骨格は、それぞれ独立して非共役コモノマであるSMおよびSMコモノマを備え、
各Dは独立して、SMに連結されたペンダントドナーフルオロフォアであり、
各Aは独立して、SMに連結されたペンダントアクセプタフルオロフォアであり、
xは75モル%以上であり、
yは25モル%以下である、
請求項1~4のいずれかに記載のコンジュゲート。
【請求項6】
前記ペンダントドナーフルオロフォアは、互いにエネルギ伝達近位に構成される、請求項1~5のいずれかに記載のコンジュゲート。
【請求項7】
前記ペンダントドナーフルオロフォアは、水可溶化基で置換されている、請求項1~6のいずれかに記載のコンジュゲート。
【請求項8】
前記アクセプタフルオロフォアは、低分子フルオロフォアである、請求項1~7のいずれかに記載のコンジュゲート。
【請求項9】
標的分析物の存在についてのサンプルを評価する方法であって、
(a)前記サンプルを、前記標的分析物を特異的に結合してアッセイ組成物を生成する単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートと組み合わせることと、
(b)任意のコンジュゲート-標的分析物結合複合体の存在について前記アッセイ組成物をアッセイして、前記標的分析物が前記サンプル中に存在するかどうかを評価することと
を含み、前記コンジュゲートは、
(1)単一ドメイン抗体、および
(2)前記単一ドメイン抗体にコンジュゲートされた1つ以上のポリマタンデム蛍光染料
を備え、前記1つ以上のポリマタンデム蛍光染料は、
(i)非共役繰り返し単位を備えるポリマ骨格、
(ii)各々が独立して前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された複数のペンダントドナーフルオロフォア、および
(iii)前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された1つ以上のペンダントアクセプタフルオロフォア
を備え、ペンダントドナーフルオロフォアおよびペンダントアクセプタフルオロフォアはエネルギ伝達関係にある、方法。
【請求項10】
前記標的分析物は、細胞に関連する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記標的分析物は、細胞表面マーカまたは細胞内標的である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アッセイすることは、前記アッセイ組成物をフローサイトメトリ分析することを備える、請求項9~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートを備え、前記コンジュゲートは、
(a)単一ドメイン抗体、および
(b)前記単一ドメイン抗体にコンジュゲートされた1つ以上のポリマタンデム蛍光染料
を備え、前記1つ以上のポリマタンデム蛍光染料は、
(i)非共役繰り返し単位を備えるポリマ骨格、
(ii)各々が独立して前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された複数のペンダントドナーフルオロフォア、および
(iii)前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された1つ以上のペンダントアクセプタフルオロフォア
を備え、ペンダントドナーフルオロフォアおよびペンダントアクセプタフルオロフォアはエネルギ伝達関係にある、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
蛍光染料は、それらが吸収する波長の光で照射されると、(通常は)異なる波長の光を放出する化合物である。蛍光染料は、例えば診断キットにおいて、顕微鏡検査において、または薬物スクリーニングにおいてなど、生化学、生物学および医学におけるさまざまな用途において使用が見出される。蛍光染料は多数のパラメータによって特徴付けられ、それらは、ユーザが所望の目的に応じて適切な染料を選択することを可能にする。関心対象パラメータには、励起波長最大値、発光波長最大値、ストークスシフト、吸光係数、蛍光量子収率および蛍光寿命が含まれる。染料は、例えば生物学的サンプル中への励起放射の浸透を可能にするために、バックグラウンド蛍光を最小限にするために、および/または、高いシグナル対雑音比を達成するために、関心対象の用途に従って選択され得る。
【背景技術】
【0002】
分子認識は、2つの分子の特異的結合を含む。標的生体分子について結合特異性を有する分子は、分析物の標識化および分離、フローサイトメトリ、in situハイブリダイゼーション、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット分析、磁気セル分離およびクロマトグラフィなどのさまざまな研究および診断用途での使用が見出される。標的生体分子は、蛍光染料で標識することによって検出され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートが提供される。提供されるコンジュゲートの態様は、それにコンジュゲートされた1つ以上のポリマタンデム蛍光染料を有する単一ドメイン抗体を含む。いくつかの例では、ポリマタンデム蛍光染料は、(i)非共役繰り返し単位で構成されたポリマ骨格、(ii)ポリマ骨格の非共役繰り返し単位にそれぞれ独立して連結された複数のペンダントドナー発色団基、および(iii)ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された1つ以上のペンダントアクセプタフルオロフォアを含み、ペンダントドナーフルオロフォアおよびペンダントアクセプタフルオロフォアがエネルギ伝達関係にある。また、例えば標的分析物の存在についてサンプルを評価する方法における、コンジュゲートを使用する方法、および方法の実施形態における使用が見出されるコンジュゲートを備えるキットも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明は、添付の図面と併せて読むと、以下の詳細な説明から最もよく理解され得る。図面には次の図が含まれている。
【0005】
図1A】本発明の一実施形態に係る、単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートの図を提供する。
図1B】本発明の一実施形態に係る、単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートの図を提供する。
図2A】以下の実験セクションでさらに説明されるように、単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートを採用するアッセイの概略図を提供する。
図2B】以下の実験セクションでさらに説明されるように、単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートを採用するアッセイの概略図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
定義
本明細書で使用される場合、用語「化学選択性官能基」および「化学選択性タグ」は互換的に使用され、いくつかの場合には、官能基の1つを任意選択的に活性化した後に、別の相溶性官能基と選択的に反応して共有結合を形成することができる官能基を指す。関心対象の化学選択性官能基には、チオールおよびマレイミドまたはヨードアセトアミド、アミンおよびカルボン酸またはその活性エステル、ならびに、クリックケミストリを介して互いに反応することができる基、例えば、アジドおよびアルキン基(例えば、シクロオクチン基)、テトラジン、トランスシクロオクテン、ジエンおよびジエノフィル、ならびにアジド、硫黄(VI)フッ化物交換化学(SuFEX)、スルホニルフルオリド、ならびにヒドロキシル、ヒドラジド、ヒドラジノ、アルデヒド、ケトン、アジド、アルキン、ホスフィン、エポキシドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0007】
本明細書で使用される場合、用語「サンプル」は、1つ以上の関心対象分析物を含有する、いくつかの場合では液体形態の材料または材料の混合物に関する。いくつかの実施形態では、その最も広い意味で使用される用語は、例えば、細胞を含む、または細胞代謝産物を産生する任意の植物、動物または細菌物質を指し、例えば個体(限定されないが、血漿、血清、脳脊髄液、リンパ液、涙液、唾液および組織切片を含む)からまたはインビトロ細胞培養成分から単離された組織または流体、ならびに環境からのサンプルなどである。用語「サンプル」はまた、「生物学的サンプル」を指し得る。本明細書で使用される場合、用語「生物学的サンプル」は、生物全体、またはその組織、細胞もしくは構成要素部分のサブセット(例えば、血液、粘液、リンパ流体、滑液、脳脊髄液、唾液、羊水、羊膜臍帯血、尿、膣液、および精液を含むが、これらに限定されない体液)を指す。「生物学的サンプル」はまた、これらに限定されないが、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、皮膚の外側部分、呼吸器、腸、および泌尿生殖器管、涙液、唾液、乳、血球、腫瘍および器官を含む、生物全体またはその組織、細胞もしくは構成要素のサブセットから調製されたホモジネート、溶解物または抽出物、またはその画分もしくは部分を指すことができる。特定の実施形態では、サンプルは、動物または植物から除去されている。生物学的サンプルは、細胞を含み得る。用語「細胞」は、少なくとも核および細胞膜を有する生物の基本構造単位、真核生物および原核生物の両方を指すために、その従来の意味で使用される。特定の実施形態では、細胞は、細菌からなどの原核細胞を含む。他の実施形態では、細胞は、動物、植物または真菌からの生物学的サンプルから得られる細胞などの真核細胞を含む。
【0008】
「担体に結合された」および「担体に連結された」との用語は互換的に使用され、関心対象担体に共有結合または非共有結合している部分(例えば、特異的結合メンバー)を指す。共有結合は、2つの相溶性官能基(例えば、2つの化学的選択性官能基、求電子剤および求核剤など)の化学反応を含み得、2つの関心対象部分(例えば、担体および特異的結合メンバー)の間に共有結合を形成する。いくつかの場合では、非共有結合は、2つの関心対象部分(例えばハプテンおよび抗体などの2つの親和性部分、またはビオチン部分およびストレプトアビジンなど)の間の特異的結合を含み得る。特定の場合には、非共有結合は、基材への吸収を含み得る。
【0009】
用語「ポリペプチド」は、長さが2~50アミノ酸の範囲のペプチド、および長さが50アミノ酸より大きいポリペプチドを含む、任意の長さのアミノ酸のポリマ形態を指す。用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書では互換的に使用される。用語「ポリペプチド」は、コード化および非コード化アミノ酸、化学的または生物化学的に修飾または誘導体化されたアミノ酸のポリマ、従来の骨格が非天然生起または合成骨格で置換されている修飾ペプチド骨格を有するポリペプチドを含む。ポリペプチドは、例えば2つ以上のアミノ酸、例えば4つ以上のアミノ酸、例えば10以上のアミノ酸、例えば20以上のアミノ酸、例えば50以上のアミノ酸、例えば100以上のアミノ酸、例えば300以上のアミノ酸、例えば500または1000以上までのアミノ酸など、任意の好都合な長さであり得る。「ペプチド」は、2つ以上のアミノ酸、例えば4つ以上のアミノ酸、例えば10以上のアミノ酸、例えば20以上のアミノ酸、例えば50までのアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、長さが5~30アミノ酸である。
【0010】
本明細書で使用される場合、用語「単離された」は、部分が精製前に関連する他の成分からの少なくとも60%の遊離、少なくとも75%の遊離、少なくとも90%の遊離、少なくとも95%の遊離、少なくとも98%の遊離、および少なくとも99%すらの遊離である関心対象部分を指す。
【0011】
「複数」は、少なくとも2つのメンバーを含む。特定の場合には、複数とは、5つ以上、例えば6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、300以上、1000以上、3000以上、10,000以上、100,000以上のメンバーを有し得る。
【0012】
数値範囲は、範囲を画定する数を含む。
【0013】
用語「特異的結合」は、例えば、塩橋および水架橋などの相互作用を含む、共有結合、静電、疎水性、およびイオン性および/または水素結合相互作用に起因する、2つの分子間の直接会合を指す。特異的結合メンバーは、互いに結合特異性を有する一対の分子のメンバーを記述する。特異的結合対のメンバーは、天然に誘導され得、または全体的にもしくは部分的に合成的に生成され得る。一対の分子のうちの一方のメンバーは、その表面上の領域、またはそれに特異的に結合してしたがって一対の分子の他のメンバーの特定の空間的および極性組織に相補的である空洞を有する。したがって、対のメンバーは、互いに特異的に結合する性質を有する。特異的結合メンバーの対の例は、抗原抗体、ビオチン-アビジン、ホルモン-ホルモン受容体、受容体-リガンド、酵素-基質である。結合対の特異的結合メンバーは、互いに結合するための高い親和性および結合特異性を示す。典型的には、対の特異的結合メンバー間の親和性は、10-6M以下、例えば10-7M以下、および10-8M以下、10-9M以下、10-10M以下、10-11M以下、10-12M以下、10-13M以下、10-14M以下、および10-15M以下のK(解離定数)によって特徴付けられる。「親和性」とは、結合の強さを指し、結合親和性の増加は、より低いKDと相関する。一実施形態では、親和性は、例えばBiacoreシステムによって使用されるような表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定される。別の分子に対する1つの分子の親和性は、例えば25℃での相互作用の結合動力学を測定することによって決定される。「親和性」とは、結合の強さを指し、結合親和性の増加は、より低いKDと相関する。一実施形態では、親和性は、例えばBiacoreシステムによって使用されるような表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定される。別の分子に対する1つの分子の親和性は、例えば25℃での相互作用の結合動力学を測定することによって決定される。
【0014】
本明細書に記載の方法は、複数のステップを含み得る。各ステップは、必要に応じて、ステップ間にて所定の時間が経過した後に実行され得る。このように、各ステップの実行間の時間は、1秒以上、10秒以上、30秒以上、60秒以上、5分以上、10分以上、60分以上、および5時間以上であり得る。特定の実施形態では、各後続ステップは、前のステップの完了直後に実行される。他の実施形態では、ステップは、例えば数分から一晩までの待機時間など、前のステップ完了後のインキュベーションまたは待機時間の後に実行され得る。
【0015】
本明細書で使用される場合、「評価すること」、「決定すること」、「測定すること」、および「アセスすること」、および「アッセイすること」という用語は、互換的に使用され、定量的および定性的決定の両方を含む。
【0016】
用語「分離すること」は、本明細書で使用される場合、2つの要素の物理的分離(例えばサイズまたは親和性などによる)、ならびに、他方は無傷のままでの1つの要素の分解を指す。
【0017】
用語「リンカ」または「連結」とは、2つの基を接続し、長さが100原子以下の骨格を有する連結部分を指す。リンカまたは連結は、長さ1~100原子の2つの基または鎖、例えば、長さ1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、8つ、10、12、14、16、18、20またはそれ以上の炭素原子の鎖を接続する共有結合であり得、リンカは直鎖、分岐、環状、または単一の原子であり得る。いくつかの場合では、リンカは、3つ以上の基を接続する連結部分を指す分岐リンカである。特定の場合には、リンカ骨格の1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以上の炭素原子は、硫黄、窒素、または酸素ヘテロ原子で任意選択的に置換され得る。いくつかの場合には、リンカ骨格は、エーテル、チオエーテル、アミノ、アミド、スルホンアミド、カルバメート、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、エステル、チオエステル、またはイミンなどの連結官能基を含む。骨格原子間の結合は、飽和または不飽和であり得、いくつかの場合には、リンカ骨格中に1つ、2つ、または3つ以下の不飽和結合が存在する。リンカは、1つ以上の置換基、例えばアルキル、アリール、またはアルケニル基を含み得る。リンカは、限定されないが、ポリエチレングリコール;直鎖または分枝鎖であり得る、エーテル、チオエーテル、三級アミン、アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)などを含み得る。リンカ骨格は、環状基、例えばアリール、複素環またはシクロアルキル基を含み得、環状基の2つ以上の原子、例えば2つ、3つまたは4つの原子が骨格に含まれる。リンカは、切断可能または切断不可能であり得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「水可溶化基」、「水溶性基」および「WSG」は互換的に使用され、水性環境において、例えば生理学的条件下で十分に溶媒和されてそれが付着された分子に改善された水溶性を付与する基または置換基を指す。WSGは、WSGを欠いている対照多重発色団と比較して、主に水溶液中の多重発色団の溶解度を増加させることができる。水可溶化基は、水性環境において良好に溶媒和される任意の好都合な親水性基であり得る。
【0019】
用語「ポリエチレンオキシド」、「PEO」、「ポリエチレングリコール」および「PEG」は、互換的に使用され、式--(CH----O--)-またはその誘導体によって記載される鎖を含むポリマ基を指す。いくつかの実施形態では、「n」は5000以下、例えば1000以下、500以下、200以下、100以下、50以下、40以下、30以下、20以下、15以下、例えば3~15、または10~15である。PEGポリマ基は、任意の好都合な長さであり得、限定されないが、アルキル、アリール、ヒドロキシル、アミノ、アシル、アシルオキシ、アミド末端および/または置換基を含む、さまざまな末端基および/またはさらなる置換基を含み得ることが理解される。主題の多発色団における使用のために適合され得るPEG基は、S.Zalipsky“Functionalized poly(ethylene glycol) for preparation of biologically relevant conjugates”,Bioconjugate Chemistry 1995,6(2),150-165;およびZhu et al“Water-Soluble Conjugated Polymers for Imaging, Diagnosis, and Therapy”,Chem.Rev.,2012,112(8),pp 4687-4735によって記載されるそれらのPEGを含む。
【0020】
用語「アルキル」は、それ自身で、または別の置換基の一部として、親アルカンの単一の炭素原子から1つの水素原子を除去することによって誘導される飽和分岐または直鎖一価炭化水素ラジカルを指す。関心対象のアルキル基としては、メチル、エチル、プロパン-1-イルまたはプロパン-2-イルなどのプロピル、およびブタン-1-イル、ブタン-2-イル、2-メチル-プロパン-1-イル、または2-メチル-プロパン-2-イルなどのブチルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~20の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~10の炭素原子を含む。特定の実施形態では、低級アルキル基は、1~6の炭素原子、例えば1~4の炭素原子を含む。この用語は例として、メチル(CH-)、エチル(CHCH-)、n-プロピル(CHCHCH-)、イソプロピル((CHCH-)、n-ブチル(CHCHCHCH-)、イソブチル((CHCHCH-)、sec-ブチル((CH)(CHCH)CH-)、t-ブチル((CHC-)、n-ペンチル(CHCHCHCHCH-)、およびネオペンチル(CHCCH-)などの直鎖および分岐鎖ヒドロカルビル基を含む。
【0021】
用語「置換アルキル」は、本明細書で定義されるようにアルキル基を指し、アルキル鎖中の1つ以上の炭素原子が、-O-、-N-、-S-、-S(O)-(nは0~2)、-NR-(Rは水素またはアルキル)などのヘテロ原子で任意選択的に置換されており、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、および-NRからなる群から選択される1~5の置換基を有し、R’およびR”は、同じであっても異なっていてもよく、水素、任意選択的に置換されたアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環から選択される。
【0022】
「アルコキシ」は、基-O-アルキルを指し、アルキルは本明細書で定義される通りである。アルコキシには、例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシなどが含まれる。用語「アルコキシ」はまた、アルケニル-O-、シクロアルキル-O-、シクロアルケニル-O-およびアルキニル-O-を指し、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびアルキニルは本明細書で定義される通りである。
【0023】
用語「置換アルコキシ」は、置換アルキル-O-、置換アルケニル-O-、置換シクロアルキル-O-、置換シクロアルケニル-O-、および置換アルキニル-O-の基を指し、置換アルキル、置換アルケニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニルおよび置換アルキニルは、本明細書において定義される通りである。
【0024】
「アルケニル」は、炭素-炭素二重結合を備えるモノラジカル、分岐または直鎖、環状または非環状のヒドロカルボニル基を指す。アルケニル基の例には、エテニル、n-プロペニル、イソプロペニル、n-ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、エイコセニル、およびテトラコセニルが含まれる。いくつかの場合には、アルケニル基は、1~24の炭素原子、例えば1~18の炭素原子または1~12の炭素原子を備える。用語「低級アルケニル」は、1~6の炭素原子を有するアルキル基を指す。
【0025】
「アルキニル」または「アルキン」は、2~6の炭素原子、好ましくは2~3の炭素原子を有し、少なくとも1つ、好ましくは1~2の三重結合不飽和部位を有する直鎖または分枝鎖の一価ヒドロカルビル基を指す。そのようなアルキニル基の例としては、アセチレニル(-C≡CH)、およびプロパルギル(-CHC≡CH)が挙げられる。
【0026】
用語「置換アルキニル」または「置換アルキン」は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、および-SO-ヘテロアリールから選択される1~5の置換基、または1~3の置換基を有する本明細書で定義されるアルキニル基を指す。
【0027】
「ヘテロシクリル」は、ヘテロ原子(例えば、O、S、N)を環原子として含み、芳香族ではない(すなわち、ヘテロアリール基からヘテロシクリル基を区別する)モノラジカル、環状基を指す。ヘテロシクリル基の例には、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、およびチオシアニル(thiocanyl)が含まれる。
【0028】
「アミノ」は、基-NHを指す。用語「置換アミノ」は、基-NRRを指し、各Rが独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルからなる群から選択され、少なくとも1つのRは水素ではない。
【0029】
「アリール」は、それ自身で、または別の置換基の一部として、芳香族環系の単一の炭素原子から1つの水素原子を除去することによって誘導される一価芳香族炭化水素ラジカルを指す。関心対象のアリール基としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ-2,4-ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレン等から誘導される基が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、アリール基は、6~20の炭素原子を含む。特定の実施形態では、アリール基は、6~12の炭素原子を含む。アリール基の例は、フェニルおよびナフチルである。
【0030】
アリール置換基の定義によって別様の制約がない限り、「置換アリール」は、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、およびトリハロメチルから選択される1~5の置換基、または1~3の置換基で置換されたアリール基を指す。
【0031】
「ヘテロアリール」は、それ自身で、または別の置換基の一部として、ヘテロ芳香族環系の単一原子から1つの水素原子を除去することによって誘導される一価ヘテロ芳香族ラジカルを指す。関心対象のヘテロアリール基としては、アクリジン、アルシンドール、カルバゾール、β-カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテン、ベンゾジオキソールなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、ヘテロアリール基は、5~20員ヘテロアリールである。特定の実施形態では、ヘテロアリール基は、5~10員ヘテロアリールである。特定の実施形態では、ヘテロアリール基は、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ピリジン、キノリン、イミダゾール、オキサゾールおよびピラジンから誘導されるものである。
【0032】
「複素環」、「複素環式」、「ヘテロシクロアルキル」および「ヘテロシクリル」は、単環または複数の縮合環を有する飽和または不飽和基を指し、縮合架橋およびスピロ環系を含み、3~20の環原子を有し、1~10のヘテロ原子を含む。これらの環原子は、窒素、硫黄、または酸素からなる群から選択され、縮合環系において、環の1つ以上はシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールとすることができ、付着点は非芳香族環を通る。特定の実施形態では、複素環基の窒素および/または硫黄原子(複数可)は、N-オキシド、-S(O)-または-SO-部分を提供するために任意選択的に酸化される。
【0033】
複素環およびヘテロアリールの例としては、アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルとも称される)、1,1-ジオキソチオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジン、テトラヒドロフラニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
「置換ヘテロアリール」は、置換基の定義によって別様に制約されない限り、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、およびトリハロメチルから選択される、1~5の置換基または1~3の置換基で置換されたヘテロアリール基を指す。
【0035】
用語「アルカリール」または「アラルキル」は、-アルキレン-アリールおよび置換アルキレン-アリールの基を指し、アルキレン、置換アルキレンおよびアリールは本明細書で定義される。
【0036】
「アルキレン」は、直鎖または分枝鎖のいずれかである、-O-、-NR10-、-NR10C(O)-、-C(O)NR10-などから選択される1つ以上の基で任意選択的に中断される、好ましくは1~6、より好ましくは1~3の炭素原子を有する二価脂肪族ヒドロカルビル基を指す。この用語は例として、メチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH-)、n-プロピレン(-CHCHCH-)、イソ-プロピレン(-CHCH(CH)-)、(-C(CHCHCH-)、(-C(CHCHC(O)-)、(-C(CHCHC(O)NH-)、(-CH(CH)CH-)などを含むがこれらに限定されない。「置換アルキレン」は、以下の「置換」の定義において炭素について記載されるような置換基で置換された1~3の水素を有するアルキレン基を指す。
【0037】
「置換されている」とは、1つ以上の水素原子が同じまたは異なる置換基(複数可)で独立して置換されている基を指す。関心対象の置換基としては、アルキレンジオキシ(メチレンジオキシなど)、-M、-R60、-O、=O、-OR60、-SR60、-S、=S、-NR6061、=NR60、-CF、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO、=N、-N、-S(O)、-S(O)OH、-S(O)60、-OS(O)、-OS(O)60、-P(O)(O、-P(O)(OR60)(O)、-OP(O)(OR60)(OR61)、-C(O)R60、-C(S)R60、-C(O)OR60、-C(O)NR6061、-C(O)O、-C(S)OR60、-NR62C(O)NR6061、-NR62C(S)NR6061、-NR62C(NR63)NR6061および-C(NR62)NR6061が挙げられるが、これらに限定されず、Mはハロゲンであり、R60、R61、R62およびR63は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり、または任意選択的にR60およびR61は、それらが結合している窒素原子とともに、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環を形成し、R64およびR65は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり、または任意選択的にR64およびR65は、それらが結合している窒素原子とともに、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環を形成する。特定の実施形態では、置換基は-M、-R60、=O、-OR60、-SR60、-S、=S、-NR6061、=NR60、-CF、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO、=N、-N、-S(O)60、-OS(O)、-OS(O)60、-P(O)(O、-P(O)(OR60)(O)、-OP(O)(OR60)(OR61)、-C(O)R60、-C(S)R60、-C(O)OR60、-C(O)NR6061、-C(O)O、-NR62C(O)NR6061を含む。特定の実施形態では、置換基は-M、-R60、=O、-OR60、-SR60、-NR6061、-CF、-CN、-NO、-S(O)60、-P(O)(OR60)(O)、-OP(O)(OR60)(OR61)、-C(O)R60、-C(O)OR60、-C(O)NR6061、-C(O)Oを含む。特定の実施形態では、置換基は-M、-R60、=O、-OR60、-SR60、-NR6061、-CF、-CN、-NO、-S(O)60、-OP(O)(OR60)(OR61)、-C(O)R60、-C(O)OR60、-C(O)Oを含み、R60、R61およびR62は上記で定義した通りである。例えば、置換基は、メチレンジオキシ置換基、または、ハロゲン原子、(1~4C)アルキル基および(1~4C)アルコキシ基から選択される1つ、2つ、または3つの置換基を担い得る。置換されている基がアリール基またはヘテロアリール基である場合、置換基(複数可、例えば本明細書に記載されるもの)は、「アリール置換基(複数可)」と称され得る。
【0038】
上記で定義されたすべての置換基において、それ自体にさらなる置換基を有する置換基を定義することによって到達したポリマ(例えば、置換アリール基でさらに置換されている、置換アリール基でそれ自体が置換されている置換基として置換アリール基を有する置換アリールなど)は、ここに含まれることを意図するものではないことが理解される。そのような場合、そのような置換の最大数は3である。例えば、本明細書で具体的に企図される置換アリール基の直列置換は、置換アリール-(置換アリール)-置換アリールに限定される。
【0039】
「アシル」は、式-C(O)Rの基を指し、Rはアルキル、アルケニル、またはアルキニルである。例えば、アセチル基は、式-C(O)CHを有する。
【0040】
「ハロ」および「ハロゲン」は、クロロ、ブロモ、フルオロ、およびヨード基を指す。
【0041】
「カルボキシル」、「カルボキシ」、および「カルボン酸塩」は、-COH基およびその塩を指す。
【0042】
「スルホニル」は、-SORの基を指し、Rはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびそれらの置換されたバージョンである。例示的なスルホニル基は、-SOCHおよび-SO(C)を含む。
【0043】
別様に明記しない限り、原子への言及は、その原子のすべての同位体を含むことを意味する。例えば、Hへの言及は、H、H(すなわちD)およびH(すなわちT)を含むことを意味し、Cへの言及は、12Cおよび炭素のすべての同位体(13Cなど)を含むことを意味する。加えて、記載される任意の基は、その基のすべての立体異性体を含む。
【0044】
別様の指示がない限り、本明細書で明示的に定義されていない置換基の命名法は、官能基の末端部分を命名して、続いて隣接する官能基を付着点に向かって命名することによって達成される。例えば、置換基「アリールアルキルオキシカルボニル」は、基(アリール)-(アルキル)-O-C(O)-を指す。
【0045】
1つ以上の置換基を含む本明細書に開示される基のいずれかに関して、当然のことながら、そのような基は、立体的に非実用的および/または合成的に非実現的である、いかなる置換または置換パターンも含有しないことが理解される。加えて、主題の化合物は、これらの化合物の置換から生じるすべての立体化学異性体を含む。
【0046】
詳細な説明
単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートが提供される。提供されるコンジュゲートの態様は、それにコンジュゲートされた1つ以上のポリマタンデム蛍光染料を有する単一ドメイン抗体を含む。いくつかの例では、ポリマタンデム蛍光染料は、(i)非共役繰り返し単位で構成されたポリマ骨格、(ii)ポリマ骨格の非共役繰り返し単位にそれぞれ独立して連結された複数のペンダントドナー発色団基、および(iii)ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された1つ以上のペンダントアクセプタフルオロフォアを含み、ペンダントドナーフルオロフォアおよびペンダントアクセプタフルオロフォアがエネルギ伝達関係にある。また、例えば標的分析物の存在についてのサンプルを評価する方法において、コンジュゲートを使用する方法、および方法の実施形態における使用が見出されるコンジュゲートを備えるキットも提供される。
【0047】
例示的な実施形態をより詳細に説明する前に、以下の定義は、説明に使用される用語の意味および範囲を例示および定義するために記載される。
【0048】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、この発明が属する技術分野の当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。さらに、明確性および参照の容易さのために、特定の用語が以下に定義される。さらに、本明細書に記載されるものと同様または均等の任意の方法および材料もまた、本発明の実施または試験において使用することができるが、代表的な例示的方法および材料が本明細書に記載される。
【0049】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、下限の単位の10分の1までの、その範囲の上限と下限との間における各介在値、および、その記載範囲における任意の別様記載のまたは介在する値は、本発明に含まれることが理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立してより小さな範囲に含まれ得、また、記載範囲において具体的に除外された限界を条件として、本発明に含まれる。記載範囲が一方または両方の限界を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲も、本発明に含まれる。
【0050】
ある範囲が本明細書に提示されており、数値の前に「約」という用語が付いている。「約」という用語は、本明細書では、それが先行する正確な数、ならびにその用語が先行する数に近いかまたはほぼその数である数に対する文字通りのサポートを提供するために使用される。数が、具体的に記載された数に近いかまたはほぼ等しいかどうかを決定する際に、近いかまたは近似する不記載の数は、それが提示される文脈において、具体的に記載された数についての実質的均等をもたらす数であり得る。
【0051】
この明細書で引用されるすべての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように参照により本明細書に組み込まれ、刊行物が関連して引用されている方法および/または材料を記述および説明するために参照により本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日より前のその開示についてであり、本発明が先行発明のためにそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される発行日は、個別に確認する必要があり得る実際の発行日とは異なり得る。
【0052】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、任意の任意選択的要素を除外するために起草され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記載は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連して「単独」、「のみ」などの排他的な用語を使用する、または「否定的な」制限を使用するための先行する基礎として機能することを目的としている。
【0053】
この開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に記載および図示された個々の実施形態のそれぞれは、本発明の範囲または精神から逸脱することなく他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離またはそれに組み合わせされ得る別個の構成要素および特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙されたイベントの順序で、または論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
【0054】
装置および方法は、機能的な説明を伴って文法的流動性のために説明されているか、または説明されるが、35U.S.C.§112の下で明示的に定式化されていない限り、特許請求の範囲は、「手段」または「ステップ」の制限の構築によっていかなる場合であっても必ずしも制限されると解釈されるべきではなく、均等法論の下で特許請求の範囲によって提供される定義の意味および均等物の全範囲を与えられるべきであり、特許請求の範囲が35U.S.C.§112に基づいて明示的に定式化されている場合には、35U.S.C.§112に基づく完全な法定均等物が付与されると明示的に理解されるべきである。
【0055】
本発明のさまざまな実施形態をさらに説明すると、単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートをまず、より詳細に検討し、続いてコンジュゲートの使用および作製方法を検討し、また、コンジュゲートを含むキットの検討を行う。
【0056】
単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲート
上記で要約したように、本開示は、単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートを提供する。本発明の実施形態の染料コンジュゲートは、単一ドメイン抗体、およびそれにコンジュゲートした1つ以上のポリマタンデム蛍光染料を含む。換言すれば、本発明の実施形態の染料コンジュゲートは、単一ドメイン抗体にコンジュゲートされた少なくとも1つのポリマタンデム蛍光染料を含み、本発明の所与の単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光染料コンジュゲート中の単一ドメイン抗体にコンジュゲートされたポリマタンデム蛍光染料の数は、さまざまであり得、いくつかの例では2~5、例えば2~4の範囲であり、2~3のポリマタンデム蛍光染料が含まれる。いくつかの例では、本発明の単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートは、低分子量を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートの分子量は、20~200kDa、例えば25~150kDa、例えば30~75kDa、例えば30~70kDa、例えば30~65kDaの範囲である。図1Aおよび図1Bは、本発明の一実施形態に係る単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートの例示を提供する。図1Aに示される実施形態では、単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートは、2つのポリマ蛍光タンデム染料(各々が「ペンダント発色団」と標識される)にコンジュゲートしたVhHナノボディを含む。図1Bは、図1Aに示されたのと同じ染料を示し、ポリマ蛍光タンデム染料の各々の構造が提供されている。図示されるように、各ポリマ蛍光タンデム染料は、複数のペンダントドナーフルオロフォアおよびペンダントアクセプタフルオロフォアを有するペプチド骨格を含み、タンデム染料のフルオロフォアは、エネルギ伝達関係にある。ここで、本発明の実施形態の単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートの異なる成分をさらに詳細に検討する。
【0057】
単一ドメイン抗体
本明細書で使用される場合、単一ドメイン抗体は、本明細書ではナノボディと称され得、sdAbと指定され得るが、抗原に特異的に結合することができる単一のモノマ可変抗体ドメインを含む抗体フラグメントである。いくつかの例では、本発明のコンジュゲート中に存在する「単一ドメイン抗体」または「sdAb」は、3つの相補的決定領域(CDR)を有する単一の抗原結合ポリペプチドを含む。sdAb単独では、対応CDR含有ポリペプチドとペアリングすることなく、標的抗原に特異的に結合することができる。
【0058】
単一ドメイン抗体、すなわちナノボディは、重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの例では、本出願の実施形態の単一ドメイン抗体は、重鎖可変ドメインを含む。単一ドメイン抗体は、ラクダ科(VH断片)または軟骨魚類(VNAR断片)から誘導され得る。あるいは、単一ドメイン抗体は、IgGからモノマへの二量体可変ドメインの分裂から誘導され得る。
【0059】
単一ドメイン抗体は、主に抗原認識および結合を担う可変領域と、フレームワーク領域とを含む。「相補性決定領域」(CDR)とも呼ばれる「可変領域」は、抗原認識に基づいてサイズおよび配列が広範に異なるループを備える。CDRは一般に、ナノボディの結合特異性を担う。CDRと別個であるのが、フレームワーク領域である。フレームワーク領域は、比較的保存され、全体的なタンパク質構造を支援する。フレームワーク領域は、βシートおよびループ構造からなる大きな溶媒露出表面を備え得る。当技術分野で知られているようなシグナル配列を含むことができ、これは次いで、成熟ナノボディから切断される。
【0060】
関心対象の抗原に「結合する」単一ドメイン抗体は、単一ドメイン抗体または結合分子が所望の抗原を標的とするのに有用であるように、抗原に十分な親和性で結合する単一ドメイン抗体であり、他のタンパク質とは有意に交差反応しない。そのような実施形態では、単一ドメイン抗体、すなわちナノボディ、または非標的抗原への他の結合分子の結合の程度は通常、例えば蛍光活性化細胞分類(FACS)分析または放射免疫沈降(RIA)によって決定される場合、10%以下である。
【0061】
用語「可変」は、可変ドメインの特定の部分が配列において広範に異なり、その特定の抗原に対する各特定の可変ドメインの結合および特異性において使用されるという事実を指す。しかし、可変性は、可変ドメイン全体にわたって均一に分布しない。それは、超可変領域に集中する。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。本明細書で使用する場合、用語「超可変領域」とは、抗原結合に関与するアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」からのアミノ酸残基、および/または、「超可変ループ」からのそれらの残基を備え得る。「フレームワーク領域」または「FR」残基は、本明細書において定義される超可変領域残基以外のそれらの可変ドメイン残基である。
【0062】
本明細書に開示されるそれぞれの抗原を特異的に標的とするために、抗体およびそれらから誘導される抗原結合フラグメント(例えば、免疫グロブリン単一可変ドメインまたはISV)などの免疫グロブリン配列が使用される。例えばVHHsまたはISVなどの免疫グロブリン単一可変ドメインの生成は、ファージディスプレイまたは酵母ディスプレイからの選択を含み得、例えばISVは、タグ付けされた抗原の存在下で、細胞またはファージ表面がISVの合成ライブラリを表示する表面ディスプレイプラットフォームを利用することによって選択されることができる。タグ付けされた抗原に向けられた蛍光二次抗体を溶液に添加し、それによって抗原に結合した細胞を標識する。次いで細胞は、例えば磁気活性化細胞分類(MACS)または蛍光活性化細胞分類(FACS)など、関心対象の任意の細胞分類プラットフォームを使用してソートされる。ソートされたクローンが増幅され、抗原に結合するISVを発現するクローンの濃縮ライブラリが得られる。次いで、濃縮されたライブラリを抗原で再度スクリーニングして、表面に表示された抗原結合ISVをさらに濃縮にする。次いで、これらのクローンを配列決定して、関心対象のISVの配列を同定し、さらに大規模タンパク質生産のための他の異種系に移すことができる。
【0063】
別段の指示がない限り、用語「免疫グロブリン単一可変ドメイン」または「ISV」は、それぞれVHHドメインまたはVもしくはVドメインなどの抗原結合ドメインまたはフラグメントを含むがこれらに限定されない一般用語として使用される。VHHドメインは、本発明の実施形態において関心対象である。抗原結合性分子または抗原結合タンパク質という用語は、互換的に使用され、NANOBODIES(登録商標)という用語も含む。免疫グロブリン単一可変ドメインは、軽鎖可変ドメイン配列(例えばV配列)または重鎖可変ドメイン配列(例えばV配列)とすることができ、より具体的にはそれらは、従来の四鎖抗体に由来する重鎖可変ドメイン配列または重鎖抗体から誘導される重鎖可変ドメイン配列とすることができる。したがって、免疫グロブリン単一可変ドメインは、単一ドメイン抗体、または単一ドメイン抗体としての使用に適した免疫グロブリン配列、「dAbs」、またはdAbsとしての使用に適した免疫グロブリン配列、またはNANOBODIES(商標)(VHH配列を含むがこれらに限定されない)とすることができる。
【0064】
免疫グロブリン単一可変ドメインは、限定するものではないが、マウス、ラット、ウサギ、ロバ、ヒト、ラクダ科、軟骨魚類、例えばサメ、ヤツメウナギ、の免疫グロブリン配列などを含む、異なる起源の免疫グロブリン配列を含む。免疫グロブリン単一可変ドメインは、完全ヒト、ヒト化、そうでなければ配列最適化またはキメラ免疫グロブリン配列を含む。免疫グロブリン単一可変ドメイン、および免疫グロブリン単一可変ドメインの構造は、これらに限定されるものではないが、当該技術分野および本明細書で「フレームワーク領域1」または「FR1」と、「フレームワーク領域2」または「FR2」と、「フレームワーク領域3」または「FR3」と、「フレームワーク領域4」または「FR4」と、それぞれ称される、4つのフレームワーク領域または「FR」からなると考えられることができ、これらのフレームワーク領域は、それぞれ「相補性決定領域1」または「CDR1」と、「相補性決定領域2」または「CDR2」と、「相補性決定領域3」または「CDR3」として当該技術分野において称される3つの相補的決定領域または「CDR」によって中断される。ナノボディまたは複数のナノボディという用語は、Ablynx N.V.の登録商標であり、したがって、それぞれNANOBODY(登録商標)またはNANOBODIES(登録商標)と称され得ることに留意されたい。
【0065】
本発明に係る例えば免疫グロブリン単一可変ドメインまたはポリペプチドなどのアミノ酸配列は、(VHH1コンセンサス配列をクエリ配列として使用し、標準設定、すなわちblosom62スコアリング行列を有するブラストアルゴリズムを使用して)VHH1型免疫グロブリン単一可変ドメインまたはVHHタイプ1配列が、VHH1コンセンサス配列への85%同一性を有し、強制的に位置50にシステイン、すなわちC50(Kabat番号付けを使用して)を有する場合、「VHH1型免疫グロブリン単一可変ドメイン」または「VHHタイプ1配列」であると言われる。例えばVHH domains from Camelids in the article of Riechmann and Muyldermans,J.Immunol.Methods 2000 Jun 23;240(1-2):185-195を参照されたい。
【0066】
そのような免疫グロブリン単一可変ドメインは、任意の好適な様式で任意の好適な供給源から導出され得、例えば天然に存在するVHH配列(すなわち、適切な種のラクダ科、例えばラマからの)、または合成もしくは半合成VHsもしくはVLs(例えばヒトからの)であり得る。そのような免疫グロブリン単一可変ドメインは、「ヒト化」またはそうでなければ「配列最適化」VHH、「ラクダ化」免疫グロブリン配列(および特に、ラクダ化重鎖可変ドメイン配列、すなわちラクダ化VH)、ならびにヒトVH、ヒトVL、ラクダ化VHHを含み得、これらは、親和性成熟(例えば合成の、ランダムのまたは天然に存在する免疫グロブリン配列から開始する)、CDRグラフト化、ベニア貼り、異なる免疫グロブリン配列に由来するフラグメント組み合わせ、オーバーラッププライマを使用するPCRアセンブリ、および当業者によく知られている免疫グロブリン配列をエンジニアリングするための同様の技術、または本明細書にさらに記載される前述のもののいずれかの任意の適切な組み合わせにより変更されている。
【0067】
免疫グロブリン単一可変ドメインは、天然に存在するVHHドメインのアミノ酸配列に対応するが「ヒト化」すなわち、前記天然に存在するVHH配列のアミノ酸配列中の1つ以上のアミノ酸残基(特にフレームワーク配列における)を(例えば上記に示された)ヒトからの従来の四鎖抗体からのVドメインにおける対応位置(複数可)で生じるアミノ酸残基のうちの1つ以上により置換することによってヒト化されたアミノ酸配列を備え得る。これは、例えば本明細書のさらなる説明および本明細書で言及されるヒト化に関する先行技術に基づいて当業者には明らかであろう、それ自体公知の方法で実行することができる。ここでも、本発明のそのようなヒト化免疫グロブリン単一可変ドメインは、それ自体公知の任意の好適な方法で得ることができ、したがって、出発物質として天然に存在するVHHドメインを備えるポリペプチドを使用して得られたポリペプチドに厳密に限定されないことに留意されたい。
【0068】
本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインの別のクラスは、天然に存在するVドメインのアミノ酸配列に対応するが「ラクダ化」すなわち、重鎖抗体のVHHドメインにおける対応位置(複数可)で生じるアミノ酸残基のうちの1つ以上により従来の四鎖抗体からの天然に存在するVドメインのアミノ酸配列における1つ以上のアミノ酸残基を置換することによって「ラクダ化」されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン単一可変ドメインを備える。これは、それ自体公知の方法で実行することができ、例えば本明細書の説明に基づいて当業者には明らかであろう。そのような「ラクダ化」置換は、V-Vインターフェースを形成する、および/またはV-Vインターフェースに存在するアミノ酸位置に、および/または、いわゆるラクダ科ホールマーク残基(例えばWO94/04678およびDavies and Riechmann(1994および1996)を参照)に挿入され得る。ラクダ化された免疫グロブリン単一可変ドメインを生成または設計するための出発材料または出発点として使用されるV配列は、好ましくは哺乳動物からのV配列、より好ましくはV3配列などのヒトのV配列である。しかし、本発明のそのようなラクダ化された免疫グロブリン単一可変ドメインは、それ自体公知の任意の好適な様式で得ることができ、したがって、天然に存在するVドメインを出発物質として備えるポリペプチドを使用して得られたポリペプチドに厳密に限定されないことに留意されたい。
【0069】
本発明の実施形態において採用される単一ドメイン抗体は、製造の容易さを提供するようにエンジニアリングされ得る。染料コンジュゲートのアセンブリを容易にするために、単一ドメイン抗体は、1つ以上のポリマタンデム蛍光染料の共有結合のための特定の反応性部位を有するようにエンジニアリングされ得る。単一ドメイン抗体構造の周辺にある(単一ドメイン抗体タンパク質の内部の部位ではなく)エンジニアリングされた反応性部位を利用することによって、単一ドメイン抗体の独特の結合親和性は、染料コンジュゲーションの後に保持される。これらの反応性部位は、バイオコンジュゲーションのために一般的に使用される反応性基のリストから選択および設置することができ、このような基には、チオール、トランスシクロオクテン、およびジベンジルシクロオクチンが含まれるが、これらに限定されない。チオール基は、単一ドメイン抗体へのポリマ蛍光タンデム染料の部位特異的マレイミド付加を可能にする。トランスシクロオクテンまたはジベンジルシクロオクチンは、歪み促進型付加環化を介した部位特異的ポリマ蛍光タンデム染料付加を可能にする。本発明のコンジュゲート中に存在する単一ドメイン抗体は、さまざまなサイズであり得、いくつかの例では、10~25kDa、例えば15~20kDa、例えば15~17kDaの範囲の分子量を有する。
【0070】
本発明のコンジュゲートの単一ドメイン抗体は、さまざまな異なる標的に特異的に結合し得る。いくつかの例では、単一ドメイン抗体は、細胞表面タンパク質または細胞マーカ、すなわち(.e.)細胞受容体および細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの場合には、単一ドメイン抗体は、細胞表面抗原に特異的に結合し得、単一ドメイン抗体が結合し得る細胞表面抗原は、CD11b、CD123、CD14、CD15、CD16、CD19、CD193、CD2、CD25、CD27、CD3、CD335、CD36、CD4、CD43、CD45RO、CD56、CD61、CD7、CD8、CD34、CD1c、CD23、CD304、CD235a、T細胞受容体アルファ/ベータ、T細胞受容体ガンマ/デルタ、CD253、CD95、CD20、CD105、CD117、CD120b、Notch4、Lgr5(N-末端)、SSEA-3、TRA-1-60抗原、ジシアロガングリオシドGD2、およびCD71を含むが、これらに限定されない。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、細胞内標的に結合し得る。そのような実施形態では、関心対象の細胞内標的としては、限定されないが、RNA、DNA、PNA、CNA、HNA、LNAもしくはANA分子などの核酸、融合タンパク質、修飾タンパク質、例えばリン酸化、グリコシル化、ユビキチン化、SUMO化、もしくはアセチル化タンパク質などのタンパク質が挙げられる。単一ドメイン抗体が特異的に結合し得る関心対象の細胞内タンパク質には、限定されないが、ホルモン、増殖因子、転写因子、受容体、酵素、サイトカイン、骨誘導因子、コロニ刺激因子などが含まれる。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、免疫グロブリン、例えば一次マウスまたはラット(rate)抗体などの所与アッセイで採用される一次抗体に特異的に結合し、例えば単一抗体ドメイン/ポリマタンデム蛍光染料が二次標識として採用される。
【0071】
ポリマ蛍光タンデム染料
上記で要約したように、本発明の実施形態の単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートは、例えば上記で説明したように、1つ以上のポリマ蛍光タンデム染料にコンジュゲート(例えば共有結合)した単一ドメイン抗体を含む。上記で検討したように、いくつかの例ではコンジュゲートは、複数のポリマタンデム蛍光染料、例えば2つ以上、例えば3つ以上、および4つ以上、例えば5つ以上のポリマタンデム蛍光染料にコンジュゲートされた単一ドメイン抗体を含む。いくつかの例では、コンジュゲートは、2~4のポリマタンデム蛍光染料、例えば2~3のポリマタンデム蛍光染料、例えば2つのポリマタンデム蛍光染料を含む。
【0072】
本発明の実施形態のコンジュゲートにおいて見出されるポリマ蛍光タンデム染料は、さまざまであり得る。いくつかの例では、本発明のコンジュゲート中に見出されるポリマ蛍光タンデム染料は、ポリマ骨格、各々が独立してポリマ骨格の繰り返し単位に連結された複数のペンダントドナーフルオロフォア、ポリマ骨格の繰り返し単位に連結された1つ以上のペンダントアクセプタフルオロフォアを含み、ペンダントドナーフルオロフォアおよびペンダントアクセプタフルオロフォアは、エネルギ伝達関係にある。このように、本発明の実施形態のポリマタンデム染料は、1つ以上のペンダントドナーフルオロフォアと、1つ以上のペンダントドナーフルオロフォアに対するエネルギ受容近位に構成された1つ以上のペンダントアクセプタフルオロフォアとを含み、例えば、両方が共通のポリマ骨格に連結されている。いくつかの実施形態では、複数のペンダントドナーフルオロフォアが存在し、ペンダントアクセプタフルオロフォア(複数可)に対するエネルギ伝達近位に構成され、いくつかの例では、複数のペンダントドナーフルオロフォアは、2~20、例えば2~15、例えば2~10の範囲である。用語「ペンダント基」は、骨格に接続されているが骨格自体の一部ではない側鎖基を指す。ポリマタンデム染料の実施形態では、ドナーフルオロフォアは、連結されたアクセプタフルオロフォアにエネルギを伝達することができる。このように、主題のタンデム染料は、ドナーフルオロフォア系に対するエネルギ受容近位に、すなわち少なくとも1つの連結ドナーフルオロフォアに対するエネルギ受容近位に、連結アクセプタシグナリングフルオロフォアを含む。ペンダント基の特定の構成は、下にあるポリマ骨格(本明細書ではペンダント基が付着する「モジュール式スカフォルド」とも称される)の繰り返し単位の配置によって決定および制御されることができる。染料コンジュゲートは、水溶性ポリマ染料を提供するために、任意の好都合な場所でスカフォルドおよび/またはペンダント基に付着した複数の水可溶化基を含むことができる。ポリマ骨格、すなわちモジュール式スカフォルドは、ペンダント基が付着することができる側鎖基を有するポリマ骨格を形成する繰り返し単位から構成されることができる。繰り返し単位は、望ましい分光特性を有するタンデム染料を提供するために、さまざまな構成で配置されることができる。ペンダントドナーフルオロフォアとアクセプタフルオロフォア(複数可、存在する場合)との共有結合のための部位間の距離および配置は、望ましいエネルギ伝達プロセスを提供するように制御されることができる。
【0073】
いくつかの例では、ポリマ骨格は、直鎖、分岐鎖またはデンドリマー構成などの任意の好都合な構成を有する非共役繰り返し単位で構成される。ポリマ骨格は、直鎖ポリマとすることができる。ポリマ骨格は分岐鎖とすることができる。いくつかの例では、染料コンジュゲートは、各々が独立してポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された複数のペンダントドナー発色団基を含む。ペンダント基の構成は、ポリマ骨格の合成中または合成後に設置することができる。ペンダント基の組み込みは、利用される合成の特定の方法に応じて、ランダム構成、ブロック構成、または段階的合成を介した配列特異的な方法で達成することができる。
【0074】
用語「単位」は、ポリマの構造サブユニットを指す。単位との用語は、モノマ、コモノマ、共ブロック、繰り返し単位などを含むことを意味する。「繰り返す単位」または「繰り返し単位」は、単位がモノマであると見なされるために必要とされる別個の構造的特徴の最小数によって定義されるポリマのサブユニットであり、それにより、単位がn回繰り返されると、結果として得られた構造は、ポリマまたはそのブロックを記述する。いくつかの場合では、ポリマは、例えばポリマがマルチブロックポリマ、単位のランダム配置または定義された配列である場合、2つ以上の異なる繰り返し単位を含み得、各ブロックは別個の繰り返し単位を画定し得る。繰り返し単位またはブロックのさまざまな配置が可能であり、本明細書に記載のポリマ骨格の描写された式において、さまざまな長さの任意の好都合な直鎖配置が、全ポリマの構造内に含まれることができることが理解される。ポリマはまた、ポリマ中の各単位のモル%値に関して式によって表され得、そのような式は、ランダムもしくはマルチブロックポリマまたは残基の定義された配列などの繰り返し単位のさまざまな配置を表し得ることが理解される。いくつかの場合では、ポリマの繰り返し単位は、単一のモノマ基を含む。特定の例では、ポリマの繰り返し単位は、2つ以上のモノマ基、すなわちコモノマ基(例えば、2つ、3つ、4つ以上のコモノマ基)を含む。用語「コモノマ」または「コモノマ基」は、それ自体がポリマの繰り返し単位の一部であり得るポリマの構造単位を指す。
【0075】
ポリマ骨格は、非共役繰り返し単位のランダム構成を有し得る。ポリマ骨格は、非共役繰り返し単位のブロックまたは共ブロック構成を含み得る。あるいは、ポリマ骨格は、非共役繰り返し単位の特定の定義された配列、例えばポリペプチド配列のアミノ酸残基を含み得る。これらの構成は(例えば本明細書に記載されるように)繰り返し単位のポリマセグメントによって特徴付けることができ、これらのセグメント自体をモジュール式スカフォルド全体にわたって繰り返すことができる。
【0076】
「非共役性」とは、繰り返し単位の少なくとも一部が飽和骨格基(例えば2つ以上の連続する単一共有結合を有する基)を含むことを意味し、これは、π共役または1つの繰り返し単位から次の繰り返し単位までのポリマ骨格に沿った拡張脱局在化電子構造を排除する。たとえ1つの繰り返し単位が隣接する繰り返し単位に共役であり得ない場合であっても、そのような繰り返し単位は、不飽和結合(例えば、アルケニレン基またはアルキニレン基の)および/またはアリールもしくはヘテロアリール基を含む1つ以上の単離不飽和基を含み得、これらの基は骨格の一部とすることができることが理解される。いくつかの場合では、ポリマ骨格の各繰り返し単位は、連結ペンダント基またはペンダント基に連結するための化学選択タグを含む1つの側鎖を含む。
【0077】
タンデム染料の特定の実施形態では、ポリマ骨格は直鎖ポリマである。特定の場合では、直鎖ポリマは、ペプチド、ペプトイド、炭化水素ポリマ、およびPEGポリマから選択される。特定の場合では、直鎖ポリマはペプチドである。特定の場合では、直鎖ポリマはペプトイドである。特定の場合には、ポリマは炭化水素ポリマである。特定の他の場合では、ポリマはPEGポリマである。本発明の実施形態において採用され得るポリマ骨格に関するさらなる詳細は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、WO2019/191482として公開された国際出願第PCT/US2019/024662号、およびWO2020/222894として公開された国際出願第PCT/US2020/019510号に見出される。
【0078】
本発明の実施形態のタンデム染料は、任意の数の単位の直鎖ポリマ骨格を含み得る。本明細書で使用される場合、用語「単位」は、ポリマの構造サブユニットを指す。単位との用語は、モノマ、コモノマ、共ブロック、セグメント、繰り返し単位などを含むことを意味する。「繰り返し単位」は、単位がモノマであると見なされるために必要とされる別個の構造的特徴の最小数によって定義されるポリマのサブユニットであり、それにより、単位がn回繰り返されると、結果として得られた構造は、ポリマまたはそのブロックを記述する。いくつかの場合では、ポリマは、例えばポリマがマルチブロックポリマ、または単位のランダム配置である場合、2つ以上の異なる繰り返し単位を含み得、各ブロックは別個の繰り返し単位、例えばnブロックおよびmブロックを画定し得る。nおよび/またはm個の繰り返し単位またはブロックのさまざまな配置が可能であり、さまざまな長さの共ブロックの任意の好都合な直鎖配置が、ポリマ全体の構造内に含まれることが理解される。ポリマはまた、ポリマ中の各単位のモル%値に関して式によって表され得、そのような式は、ランダムまたはマルチブロックポリマなどの繰り返し単位のさまざまな配置を表し得ることが理解される。いくつかの場合では、ポリマの繰り返し単位は、単一のモノマ基を含む。特定の例では、ポリマの繰り返し単位は、2つ以上のモノマ基、すなわちコモノマ基(例えば、2つ、3つ、4つ以上のコモノマ基)を含む。本明細書で使用される場合、用語「コモノマ」または「コモノマ基」は、それ自体がポリマの繰り返し単位の一部であり得るポリマの構造単位を指す。
【0079】
特定の例では、タンデム染料は、2~100アミノ酸、例えば2~90、2~80、2~70、2~60、2~50、2~40または2~30アミノ酸の直鎖ペプチド骨格を含む。いくつかの場合では、直鎖ペプチド骨格は、2つ以上のアミノ酸、例えば5つ以上、10以上、15以上、20以上、25以上、30以上、最大100までのアミノ酸を含む。特定の場合では、タンデム染料は、5~30のアミノ酸、例えば5~25、5~20、5~15、または5~10のアミノ酸の直鎖ペプチド骨格を含む。
【0080】
タンデム染料の骨格は、任意の好都合な長さを有し得る。いくつかの場合では、発色団の特定の数のモノマ繰り返し単位またはセグメントは、2~500,000、例えば2~100,000、2~30,000、2~10,000、2~3,000または2~1,000単位またはセグメント、または例えば5~100,000、10~100,000、100~100,000、200~100,000、または500~50,000単位またはセグメントの範囲内であり得る。いくつかの例では、骨格の特定の数のモノマ繰り返し単位またはセグメントは、2~1,000、例えば2~500、2~100、3~100、4~100、5~100、6~100、7~100、8~100、9~100または10~100単位またはセグメントの範囲内であり得る。特定の場合では、骨格の特定の数のモノマ繰り返し単位またはセグメントは、2~500、例えば2~400、2~300、2~200、または2~100単位またはセグメントの範囲内にあり得る。特定の場合では、骨格の特定の数のモノマ繰り返し単位またはセグメントは、2~100の繰り返しモノマ単位、例えば2~90、2~80、2~70、2~60、2~50、2~40、または2~30単位またはセグメントの範囲内にあり得る。
【0081】
上記で要約したように、本発明の実施形態のタンデム染料は、ポリマ骨格に連結された1つ以上のペンダントドナーフルオロフォアを含む。任意の好都合なペンダントドナーフルオロフォアは、ポリマ骨格に連結され得、関心対象のドナーフルオロフォアは、BODIPYフルオロフォア、アリールフルオロフォア、ヘテロアリールフルオロフォアなどを含むが、これらに限定されない。いくつかの例では、ドナーフルオロフォアはBODIPYフルオロフォアである。用語「BODIPYフルオロフォア」は、下記のホウ素-ジピロメテン(BODIPY)コア構造を有する発色団を含むタンデム染料のペンダントドナーフルオロフォアを指す。
【0082】
【化1】
【0083】
ここで、QはCまたはNであり、各Rは任意の好都合なホウ素置換基である。いくつかの場合には、QはCである。いくつかの例では、各Rは、F、OH、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキニルおよび置換アルキニルから独立して選択される。BODIPY発色団基は、例えば発色団に望ましい光吸収特性を付与する水可溶化基および/またはアリールもしくはヘテロアリール置換基で任意選択的にさらに置換され得る。本発明の実施形態においてドナーフルオロフォアとして採用され得るBODIPYフルオロフォアのさらなる説明は、その開示が参照により本明細書に組み込まれるWO2019/191482として公開された国際出願第PCT/US2019/024662号に記載されている。いくつかの実施形態では、ドナーフルオロフォアは、アリールまたはヘテロアリール発色団基を含むフルオロフォアである。本発明の実施形態において使用が見出される関心対象のアリールまたはヘテロアリール発色団基としては、フェニル、ビフェニル、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ポリフェニレン、ならびに、フルオレン、カルバゾール、シロール、ビフェニルおよび架橋ビフェニルなどの縮合三環式基が挙げられるが、これらに限定されない。アリールまたはヘテロアリール発色団基は、例えば望ましい光吸収特性をアリールまたはヘテロアリール基に付与する水可溶化基および/またはアリールもしくはヘテロアリール置換基で、任意選択的にさらに置換され得る。いくつかの実施形態では、ドナーフルオロフォアは、縮合三環式アリールまたはヘテロアリールを含む。いくつかの実施形態では、ドナーフルオロフォアは、フルオレン、カルバゾール、シロ-ル、ビフェニルおよび架橋ビフェニルから選択される1つ以上の基を含む。縮合三環式発色団は、2つのアリールまたはヘテロアリール六員環が中心の五もしくは六員炭素環式または複素環式環に縮合された構成で3つの縮合環を有する三環式芳香族基を含む基である。いくつかの場合には、縮合三環式基は、中心の五もしくは六員炭素環式または複素環式環に縮合した2つのベンゾまたはピリド環を含む。縮合三環式基は、縮合環の任意の好都合な環原子を介してポリマ骨格中のコモノマの側鎖に連結することができる。中心の五もしくは六員環は、炭素環または複素環、芳香族または部分飽和であり得、側鎖置換基、例えばWSGおよび/または化学選択性タグまたはコモノマ側鎖へのリンカをさらに含み得る。架橋ビフェニルコモノマは、ビフェニル基を有する縮合三環式基であり、2つのフェニル環は、中心六員炭素環式または複素環式環を介して互いにさらに連結される。本発明の実施形態においてドナーフルオロフォアとして採用され得るアリール/ヘテロアリールフルオロフォアのさらなる説明は、その開示が参照により本明細書に組み込まれるWO2019/191482として公開された国際出願第PCT/US2019/024662号に記載されている。連結アクセプタシグナリングフルオロフォア基を有するドナー水溶媒和集光性発色団の繰り返し単位の数はさまざまであり得、いくつかの例において、その数は1モル%~50モル%、例えば1モル%~25モル%、2モル%~25モル%、3モル%~25モル%、4モル%~25モル%、5モル%~25モル%、または10モル%~25モル%の繰り返し単位の範囲である。
【0084】
ペンダントドナーフルオロフォア(複数可)に加えて、本発明のタンデム染料は、1つ以上のアクセプタフルオロフォアを含む。ポリマタンデム染料では、任意の好都合な蛍光染料を、アクセプタフルオロフォアとして利用し得る。アクセプタフルオロフォア(例えば各A)は、低分子フルオロフォアとすることができる。アクセプタフルオロフォア(例えば各A)は、ローダミン、ペリレン、ジイミド、クマリン、キサンテン、シアニン、ポリメチン、ピレン、チアジン、アクリジン、ジピロメテン、ボロンジフルオライド、ナフタルイミド、フィコビリタンパク質、ペリディニウム(peridinum)クロロフィルタンパク質、それらのコンジュゲート、およびそれらの組み合わせから選択される染料分子とすることができる。特定の実施形態では、アクセプタフルオロフォア(A)は、シアニン染料、キサンテン染料、クマリン染料、チアジン染料またはアクリジン染料である。いくつかの例では、アクセプタフルオロフォア(A)は、DY431、DY485XL、DY500XL、DY610、DY640、DY654、DY682、DY700、DY701、DY704、DY730、DY731、DY732、DY734、DY752、DY778、DY782、DY800、DY831、Biotium CF555、Cy3.5、およびジエチルアミノクマリンから選択される。関心対象の蛍光染料としては、フルオレセイン、6-FAM、ローダミン、テキサスレッド、テトラメチルローダミン、カルボキシローダミン、カルボキシローダミン6G、カルボキシロドール、カルボキシローダミン110、カスケードブルー、カスケードイエロー、クマリン、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy-Chrome、フィコエリトリン、PerCP(ペリジニンクロロフィル-aタンパク質)、PerCP-Cy5.5、JOE(6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン)、NED、ROX(5-(および-6)-カルボキシ-X-ローダミン)、HEX、ルシファーイエロー、マリーナブルー、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514、Alexa Fluor350、Alexa Fluor430、Alexa Fluor488、 Alexa Fluor532、Alexa Fluor546、Alexa Fluor568、Alexa Fluor594、Alexa Fluor633、Alexa Fluor647、Alexa Fluor660、Alexa Fluor680、Alexa Fluor700、7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸、BODIPY FL、BODIPY FL-Br.sub.2、BODIPY530/550、BODIPY558/568、BODIPY564/570、BODIPY576/589、BODIPY581/591、BODIPY630/650、BODIPY650/665、BODIPY R6G、BODIPY TMR、BODIPY TR、それらのコンジュゲート、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。関心対象のランタニドキレートとしては、ユーロピウムキレート、テルビウムキレート、およびサマリウムキレートが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ポリマタンデム染料は、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、Alexa488、Alexa647、およびAlexa700から選択されるアクセプタフルオロフォアに連結した多重発色団を含む。特定の実施形態では、ポリマタンデム染料は、Dyomics染料(DY431、DY485XL、DY500XL、DY530、DY610、DY633、DY640、DY651、DY654、DY682、DY700、DY701、DY704、DY730、DY731、DY732、DY734、DY752、DY754、DY778、DY782、DY800、またはDY831など)、Biotium CF555、Cy3.5、およびジエチルアミノクマリンから選択されるアクセプタフルオロフォアに連結された多重発色団を含む。特定の場合には、アクセプタフルオロフォア(A)は、フルオレセイン、6-FAM、ローダミン、テキサスレッド、カリフォルニアレッド、iFluor594、テトラメチルローダミン、カルボキシローダミン、カルボキシローダミン6G、カルボキシロドール、カルボキシローダミン110、カスケードブルー、カスケードイエロー、クマリン、Cy2(登録商標)、Cy3(登録商標)、Cy3.5(登録商標)、Cy5(登録商標)、Cy5.5(登録商標)、Cy7(登録商標)、Cy-Chrome、DyLight350、DyLight405、DyLight488、DyLight549、DyLight594、DyLight633、DyLight649、DyLight680、DyLight750、DyLight800、フィコエリトリン、PerCP(ペリジニンクロロフィル-aタンパク質)、PerCP-Cy5.5、JOE(6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン)、NED、ROX(5-(および-6)-カルボキシ-X-ローダミン)、HEX、ルシファーイエロー、マリーナブルー、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514、Alexa Fluor(登録商標)350、Alexa Fluor(登録商標)430、Alexa Fluor(登録商標)488、Alexa Fluor(登録商標)532、Alexa Fluor(登録商標)546、Alexa Fluor(登録商標)568、Alexa Fluor(登録商標)594、Alexa Fluor(登録商標)633、Alexa Fluor(登録商標)647、Alexa Fluor(登録商標)660、Alexa Fluor(登録商標)680、7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸、BODIPY(登録商標)FL、BODIPY(登録商標)FL-Br2、BODIPY(登録商標)530/550、BODIPY(登録商標)558/568、BODIPY(登録商標)564/570、BODIPY(登録商標)576/589、BODIPY(登録商標)581/591、BODIPY(登録商標)630/650、BODIPY(登録商標)650/665、BODIPY(登録商標)R6G、BODIPY(登録商標)TMR、BODIPY(登録商標)TR、それらのコンジュゲート、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0085】
上述のように、所望の場合、ポリマ骨格および/またはペンダントフルオロフォア(すなわちドナーおよびアクセプタフルオロフォア)は、1つ以上の水可溶化基(WSG)を含み得る。いくつかの場合では、WSGは、例えばポリマ骨格の側鎖として、ポリマ骨格に直接、接続されたペンダント基である。特定の場合では、WSGは、ペンダントドナーフルオロフォアまたはペンダントアクセプタフルオロフォアに付着した置換基である。いくつかの例では、ペンダントドナーフルオロフォア基の各々は、1つ以上のWSGで置換される。本明細書で使用される場合、用語「水可溶化基」、「水溶性基」およびWSGは互換的に使用され、例えば生理学的条件下など水性環境において十分に溶媒和され、それが付着した分子に改善された水溶性を付与する基または置換基を指す。WSGは、WSGを欠く対照染料と比較して、主に水溶液中での所与のポリマタンデム染料の溶解度を増加させることができる。水可溶化基は、水性環境において十分に溶媒和される任意の好都合な親水性基であり得る。本開示の水溶性タンデム染料は、さまざまな生物学的アッセイへの適用に特に適するようにした水性条件下での溶解性を有する。さまざまな水溶性ポリマ基は、主題の染料のWSGでの使用に適合させることができる。任意の好都合な水可溶化基(WSG)を、本明細書に記載の染料に含めて、水溶性を高めることができる。溶解度の増加はさまざまであり得るが、いくつかの例において(WSG(複数可)を含まない化合物と比較して)増加は2倍以上、例えば5倍、10倍、25倍、50倍、100倍以上である。いくつかの場合には、親水性水可溶化基は、例えば正に帯電されるか、または負に帯電される。特定の場合には、親水性水可溶化基は、中性親水性基である。いくつかの実施形態では、WSGは分岐される(例えば、本明細書に記載されるように)。特定の例では、WSGは直鎖状である。いくつかの実施形態では、WSGは、親水性ポリマ、例えばポリエチレングリコール、修飾PEG、ペプチド配列、ペプトイド、炭水化物、オキサゾリン、ポリオール、デンドロン、樹枝状ポリグリセロール、セルロース、キトサン、またはそれらの誘導体である。関心対象の水可溶化基としては、限定されないが、カルボン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、スルフィン酸塩、スルホニウム、エステル、ポリエチレングリコール(PEG)および修飾PEG、ヒドロキシル、アミン、アミノ酸、アンモニウム、グアニジニウム、ピリジニウム、ポリアミンおよびスルホニウム、ポリアルコール、直鎖または環状糖類、一級、二級、三級、または四級アミンおよびポリアミン、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、アスコルビン酸基、グリコール、およびポリエーテル、-COOM’、-SOM’、-POM’、-NR 、Y’、(CHCHO)Rおよびそれらの混合物を含み、Y’は任意のハロゲン、硫酸塩、スルホネート、または酸素含有アニオンとすることができ、pは1~500とすることができ、各Rは独立してHまたはアルキル(メチルなど)とすることができ、M’はカチオン性対イオンまたは水素、--(CHCHO)yyCHCHXRyy、--(CHCHO)yyCHCHX--、--X(CHCHO)yyCHCH--、グリコール、およびポリエチレングリコールとすることができ、yyは1~1000で選択され、XはO、SおよびNRZZから選択され、RZZおよびRYYは独立してHおよびC1-3アルキルから選択される。いくつかの場合では、WSGは(CH(OCHCHOCHであり、各xは独立して0~20の整数であり、各yは独立して0~50の整数である。いくつかの場合では、水可溶化基は、イオン性基(例えば、スルホネート)で末端にて置換された非イオン性ポリマ(例えば、PEGポリマ)を含む。本発明の実施形態の染料において存在し得る、適したWSG基に関するさらなる詳細は、その開示が参照により本明細書に組み込まれるWO2019/191482として公開された国際出願第PCT/US2019/024662号において見出され得る。
【0086】
上記で要約したように、本発明の実施形態のポリマ蛍光タンデム染料は、複数のペンダントドナーフルオロフォアおよび1つ以上のペンダントアクセプタフルオロフォアを含む。いくつかの例では、ドナーフルオロフォアの数はアクセプタフルオロフォアの数を超える。主題のタンデム染料の特定の実施形態では、ドナーフルオロフォアとアクセプタフルオロフォアとの比は、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、および20:2から選択される。特定の場合には、ドナーフルオロフォアとアクセプタフルオロフォアとの比は、5:1である。特定の場合には、ドナーフルオロフォアとアクセプタフルオロフォアとの比は、6:1である。特定の場合には、ドナーフルオロフォアとアクセプタフルオロフォアとの比は、7:1である。特定の場合には、ドナーフルオロフォアとアクセプタフルオロフォアとの比は、8:1である。特定の場合には、ドナーフルオロフォアとアクセプタフルオロフォアとの比は、9:1である。特定の場合には、ドナーフルオロフォアとアクセプタフルオロフォアとの比は、10:1である。
【0087】
上述のように、本発明のポリマ蛍光タンデム染料では、ペンダントドナーフルオロフォアおよびペンダントアクセプタフルオロフォアは、エネルギ伝達関係にある。したがって、本発明の実施形態では、ドナーの励起は、共有結合アクセプタシグナリングフルオロフォアへのエネルギ伝達および共有結合アクセプタシグナリングフルオロフォアからの放出につながることができる。ドナー発色団と連結アクセプタシグナリングフルオロフォアとの間のエネルギ伝達についてのメカニズムとしては、例えば共鳴エネルギ伝達(例えば、Forster(または蛍光)共鳴エネルギ伝達、FRET)、量子電荷交換(Dexterエネルギ伝達)などが挙げられる。これらのエネルギ伝達メカニズムは比較的短い範囲とすることができ、すなわち集光性多重発色団系の発色団が互いに、および/またはアクセプタフルオロフォアに近接することにより、効率的なエネルギ伝達が提供される。効率的なエネルギ伝達のための条件下で、アクセプタフルオロフォアからの放出の増幅が起こる可能性があり、この場合、発光アクセプタフルオロフォアがポンプ光によって直接、励起されるときよりも、入射光(「ポンプ光」)が集光性発色団の発色団によって吸収されてそこから伝達される波長であるときに発光アクセプタフルオロフォアからの放出がより強い。「効率的な」エネルギ伝達は、ドナー発色団によって回収されたエネルギの10%以上、例えば20%以上または30%以上、40%以上、50%以上などを意味する。「増幅」とは、ドナー集光性発色団系からのエネルギ伝達によって励起されると、等価強度の入射光でのアクセプタフルオロフォアの直接励起と比較してアクセプタフルオロフォアからのシグナルが1.5倍以上であることを意味する。シグナルは、任意の好都合な方法を使用して測定され得る。いくつかの場合では、1.5倍以上のシグナルは、放出された光の強度を指す。特定の場合では、1.5倍以上のシグナルは、増加したシグナル対雑音比を指す。タンデム染料の特定の実施形態では、アクセプタフルオロフォア発光は、発色団で励起されると、入射光でのアクセプタフルオロフォアの直接励起と比較して、1.5倍以上、例えば2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、8倍以上、10倍以上、20倍以上、50倍以上、100倍以上であり、または、入射光でのアクセプタフルオロフォアの直接励起と比較してよりさらに大きい。
【0088】
本発明の実施形態のタンデム染料は、任意の好都合な分子量(MW)であり得る。いくつかの場合では、タンデム染料のMWは、平均分子量として表され得る。いくつかの例では、タンデム染料は、500~500,000、例えば1,000~100,000、2,000~100,000、10,000~100,000の範囲の平均分子量、さらには50,000~100,000ダルトンの範囲の平均分子量を有する。いくつかの例では、ポリマ蛍光染料は、5~75kDa、例えば10~50kDa、例えば15~45kDaの範囲の分子量を有する。特定の実施形態では、ポリマ蛍光染料の分子量は、1~30kDa、例えば2~25kDa、および2~20kDaの範囲である。
【0089】
いくつかの例ではタンデム染料は、集光性発色団が入射光で直接、励起されると、100nm以上、例えば110nm以上、120nm以上、130nm以上、140nm以上、150nm以上、160nm以上、170nm以上、180nm以上、190nm以上、200nm以上、250nm以上の実効ストークスシフトを示す。いくつかの場合では、タンデム染料の実効ストークスシフトは、例えば100~300nm、100~250nm、または100~200nmなど、約300nmまでである。
【0090】
ポリマタンデム染料の発光は、0.03以上の量子収率、例えば0.04以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上、0.09以上、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.3以上またはそれ以上の量子収率を有することができる。いくつかの例では、ポリマタンデム染料は、5×10cm-1-1以上、例えば6×10cm-1-1以上、7×10cm-1-1以上、8×10cm-1-1以上、9×10cm-1-1以上、例えば1×10cm-1-1以上、1.5×10cm-1-1以上、2×10cm-1-1以上、2.5×10cm-1-1以上、3×10cm-1-1以上、4×10cm-1-1以上、5×10cm-1-1以上、6×10cm-1-1以上、7×10cm-1-1以上、または8×10cm-1-1以上の吸光係数を有する。いくつかの実施形態では、ポリマタンデム染料は、5×10-1cm-1以上のモル吸光係数を有する。特定の実施形態では、タンデム染料は、1×10-1cm-1以上のモル吸光係数を有する。
【0091】
実施形態では、主題のタンデム染料は、そのような蛍光染料から単独で可能な発光よりも明るいアクセプタフルオロフォアからの蛍光発光を提供する。ポリマタンデム染料の発光は、50mM-1cm-1以上、例えば60mM-1cm-1以上、70mM-1cm-1以上、80mM-1cm-1以上、90mM-1cm-1以上、100mM-1cm-1以上、150mM-1cm-1以上、200mM-1cm-1以上、250mM-1cm-1以上、300mM-1cm-1以上、またはさらにそれ以上などの輝度を有することができる。特定の例では、タンデム染料の発光は、直接励起されたアクセプタフルオロフォアの輝度よりも少なくとも5倍大きい、少なくとも10倍大きい、少なくとも20倍大きい、少なくとも30倍大きい、少なくとも50倍大きい、少なくとも100倍大きい、少なくとも300倍大きい、または直接励起されたアクセプタフルオロフォアの輝度よりもさらに大きい輝度を有する。
【0092】
上述のような属性に加えて、本発明の実施形態のタンデム染料は、特定の発光極大波長、吸光係数、量子収率などの1つ以上の追加の望ましい分光特性を有し得る。上述したように、主題のタンデム染料はいくつかの例では、555nm~585nm、例えば555nm~575nm、例えば555~575nm、例えば555~574nm、555~573nm、555~572nm、555~571nm、555~570nm、555~569nm、555~568nm、555~567nm、555~566nm、555~565nm、555~564nm、555~563nm、または555~562nmの吸収極大を有するドナー発色団を提供する。
【0093】
さまざまな放出プロファイルは、タンデム染料が構成される、選択されたコモノマ、連結基、置換基、および連結アクセプタフルオロフォアなどのさまざまな因子に依存する。いくつかの実施形態では、発色団は、300~900nm、例えば350~850nm、350~600nm、360~500nm、370~500nm、380~500nm、390~500nm、または400~500nmの範囲の発光最大波長を有し、関心対象の発光最大値の特定の例は、395nm±5nm、460nm±5nm、490nm±5nm、550nm±5nm、560nm±5nm、605nm±5nm、650nm±5nm、680nm±5nm、700nm±5nm、805nm±5nmを含むが、これらに限定されない。特定の例では、発色団は、395nm、460nm、490nm、550nm、560nm、605nm、650nm、680nm、700nmおよび805nmからなる群から選択される発光最大波長を有する。特定の例では、タンデム染料は、395nm±5nmの発光最大波長を有する。いくつかの例では、タンデム染料自体は、375~900nmの範囲(例えば380nm~900nm、390nm~900nm、または400nm~900nmの範囲)の発光最大波長を有する。
【0094】
いくつかの例では、タンデム染料は、5×10cm-1-1以上、例えば6×10cm-1-1以上、7×10cm-1-1以上、8×10cm-1-1以上、9×10cm-1-1以上、例えば1×10cm-1-1、1.5×10cm-1-1以上、2×10cm-1-1以上、2.5×10cm-1-1以上、3×10cm-1-1以上、4×10cm-1-1以上、5×10cm-1-1以上、6×10cm-1-1以上、7×10cm-1-1以上、または8×10cm-1-1以上の吸光係数を有する。そのような場合、タンデムは、5以上の繰り返し単位、例えば、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、またはさらに多くの繰り返し単位を有し得る。いくつかの実施形態では、タンデム染料は、5×10-1cm-1以上のモル吸光係数を有する。特定の実施形態では、発色団は、1×10-1cm-1以上のモル吸光係数を有する。
【0095】
いくつかの例では、タンデム染料は、繰り返し単位当たり40,000cm-1-1、繰り返し単位当たり45,000cm-1-1、繰り返し単位当たり50,000cm-1-1以上、繰り返し単位当たり55,000cm-1-1以上、繰り返し単位当たり60,000cm-1-1以上、繰り返し単位当たり70,000cm-1-1以上、繰り返し単位当たり80,000cm-1-1以上、繰り返し単位当たり90,000cm-1-1以上、繰り返し単位当たり100,000cm-1-1以上、またはさらにそれ以上の吸光係数を有する。いくつかの例では、本明細書に記載される繰り返し単位当たり40,000cm-1-1は、平均吸光係数である。特定の例では、発色団の繰り返し単位は、単一のモノマ、2つのコモノマ、または3つ以上のコモノマを含み得る。いくつかの例では、発色団は、コモノマ当たり40,000cm-1-1以上、例えばコモノマ当たり45,000cm-1-1以上、コモノマ当たり50,000cm-1-1以上、コモノマ当たり55,000cm-1-1以上、コモノマ当たり60,000cm-1-1以上、コモノマ当たり70,000cm-1-1以上、コモノマ当たり80,000cm-1-1以上、コモノマ当たり90,000cm-1-1以上、コモノマ当たり100,000cm-1-1以上、またはさらにそれ以上の吸光係数を有する。いくつかの例では、コモノマ当たり40,000cm-1-1以上は平均吸光係数である。
【0096】
いくつかの実施形態では、ポリマタンデム染料は、式(Ia)のセグメントを含むことができる。
【0097】
【化2】
【0098】
ここで、各MおよびMは独立して、不飽和コモノマ(例えばアミノ酸残基)であり;
各SおよびSは独立して、非共役スペーサ単位であり;
各Dは独立して、Mに連結された(例えば本明細書に記載されるような)ペンダントドナーフルオロフォアであり;
各Aは独立して、Mに連結したアクセプタフルオロフォアであり;
xは75モル%以上であり;
yは25モル%以下である。
【0099】
第1の(M-S)および第2の繰り返し単位(M-S)は、ランダムまたは共ブロック構成で配置することができる。式(Ia)の特定の場合では、第1の繰り返し単位のDペンダント基は、2つ以上の(例えば、2つまたは3つの)別個のタイプのペンダント光吸収発色団を含み、これらは一緒になって、集光性多重発色団系を提供する。式(Ia)の特定の例では、第1の繰り返し単位のDペンダント基はすべて同じである。
【0100】
式(Ia)のいくつかの例では、xは80モル%以上、例えば85モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、96モル%以上、97モル%以上、98モル%以上、または99モル%以上である。式(Ia)のいくつかの例では、yは20モル%以下、例えば15モル%以下、10モル%以下、5モル%以下、4モル%以下、3モル%以下、2モル%以下、1モル%以下である。
【0101】
いくつかの例では、ポリマタンデム染料は、式(IIa)のセグメントを含む。
【0102】
【化3】
【0103】
ここで、非共役繰り返し単位のポリマ骨格は、それぞれ独立して非共役コモノマであるSM、SMおよびSMコモノマを備え;
各Dは独立して、SMに連結されたペンダントドナー発色団であり;
各Aは独立して、SMに連結されたアクセプタフルオロフォアであり;
各ZはSMに連結された任意選択的な側鎖基であり;
xは50モル%以上であり;
y+zは50モル%以下である。
【0104】
は、存在しないか、または光吸収発色団、化学選択性タグ、リンカ、連結生体分子、アクセプタフルオロフォア、WSG(例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、WO2019/191482として公開された国際出願第PCT/US2019/024662号に記載されるような)などの任意の好都合な側鎖基とすることができる。式(IIa)の特定の場合では、SMは、Zが存在しないスペーサコモノマである。式(IIa)の特定の例では、SMは、第2のペンダント光吸収発色団であるZ基を含むコモノマであり、各Dおよび各Zは一緒になって、集光性多重発色団系を提供する。いくつかの場合では、SMは第2の化学選択タグ(Z)、例えば関心対象部位の選択的設置を提供するZに直交する保護された官能基またはタグを含むコモノマである。
【0105】
式(IIa)の特定の場合、xは、60モル%以上、例えば65モル%以上、70モル%以上、75モル%以上、80モル%以上、85モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、またはさらにそれ以上である。式(IIa)の特定の例では、y+zは、40モル%以下、例えば30モル%以下、25モル%以下、20モル%以下、15モル%以下、10モル%以下、5モル%以下、またはさらにそれ以下である。式(IIa)の特定の例では、yは、少なくとも1モル%かつ25モル%以下、例えば20モル%以下、15モル%以下、10モル%以下、5モル%以下、またはさらにそれ以下である。式(IIa)の特定の例では、zは、少なくとも1モル%かつ10モル%以下、例えば5モル%以下、またはさらにそれ以下である。
【0106】
いくつかの例では、ポリマタンデム染料は、式(IIIa)のセグメントを含む。
【0107】
【化4】
【0108】
ここで、非共役繰り返し単位のポリマ骨格は、それぞれ独立して非共役コモノマであるSMおよびSMコモノマを備え;
各Dは独立して、SMに連結されたペンダントドナー発色団であり;
各Aは独立して、SMに連結されたアクセプタフルオロフォアであり;
xは75モル%以上であり;
yは25モル%以下である。
【0109】
式(IIIa)の特定の実施形態では、SMおよびSMは、それぞれ独立して、飽和非共役コモノマ、例えば単一共有結合C-C結合のみを提供するコモノマである。式(IIIa)のいくつかの実施形態では、SMおよびSMはそれぞれ独立して、部分飽和非共役コモノマ、例えば飽和共有結合の骨格中に単離された二重C=C共有結合を提供するコモノマである。式(IIIa)の第1および第2の繰り返し単位(SMおよびSM)は、ランダム構成、ブロックもしくは共ブロック構成、または特定の配列で配置することができる。式(IIIa)の特定の場合では、SMのDペンダント基は、一緒になって集光性多重発色団系を提供する2つ以上(例えば2つまたは3つ)の異なるタイプのペンダント光吸収発色団を含む。式(IIIa)の特定の例では、第1の繰り返し単位のDペンダント基はすべて同じである。
【0110】
式(IIIa)のいくつかの例では、xは80モル%以上、例えば85モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、96モル%以上、97モル%以上、98モル%以上、または99モル%以上である。式(IIIa)のいくつかの例では、yは20モル%以下、例えば15モル%以下、10モル%以下、5モル%以下、4モル%以下、3モル%以下、2モル%以下、1モル%以下である。
【0111】
特定の例では、ポリマタンデム染料は、式(IVa)のものである。
【0112】
【化5】
【0113】
ここで、各Dは独立して、ペンダントドナー発色団基であり;
各Aは独立してアクセプタフルオロフォアであり;
各LおよびLは独立してリンカであり;
およびqは独立して0または1であり、p+q≦1であり;
およびqは独立して0または1であり、p+q≦1であり;
xは75モル%以上であり;
yは25モル%以下であり;
およびGはそれぞれ独立して、例えば上記のように、末端基、ポリマセグメント、光吸収性(例えばドナー)発色団基、アクセプタフルオロフォア、リンカ、および、単一ドメイン抗体へのリンカから選択される。
【0114】
式(IVa)のいくつかの実施形態では、pおよびpはそれぞれ0であり、qおよびqはそれぞれ1(例えばβ3-アミノ酸残基)である。式(IVa)のいくつかの実施形態では、pおよびpはそれぞれ1であり、qおよびqはそれぞれ0(例えば、β2-アミノ酸残基)である。いくつかの場合では。p、p、qおよびqはそれぞれ0であり、ポリマタンデム染料は式(Va)である。
【0115】
【化6】
【0116】
ここで、各Dは独立して、ペンダントドナー発色団基であり;
各Aは独立してアクセプタフルオロフォアであり;
およびLはそれぞれ独立してリンカであり;
xは75モル%以上であり;
yは25モル%以下であり;
およびGはそれぞれ独立して、例えば上記のように、末端基、ポリマセグメント、光吸収性(例えばドナー)発色団基、リンカ、および単一ドメイン抗体へのリンカから選択される。式(Va)によって記載されるタンデム染料は、定義された直鎖配列におけるコモノマの任意の好都合な配置を含み、これは総計でxおよびyの定義されたモル%比を有することが理解される。いくつかの場合では、コモノマを含有するAは、ポリマ骨格の配列全体に間隔を置いて配置され、したがって、コモノマを含有する1つ以上のD1によって両側に常に隣接している。
【0117】
式(Va)の特定の例では、ポリマタンデム染料は、式(VIa)のセグメントを含む。
【0118】
【化7】
【0119】
ここで、各Dは独立してペンダントドナー発色団基であり;
各Aは独立してアクセプタ発色団であり;
各LおよびLは独立してリンカであり;
nおよびpはそれぞれ独立に1~20の整数であり、n+p≧2であり;
mは1または2である。
【0120】
式(VIa)のいくつかの場合では、nおよびpはそれぞれ独立に1~10、例えば2~20、3~10または3~6である。式(VIa)のいくつかの例では、n+pは2~20、例えば3~20、4~20、5~20、5~15または5~12の整数である。式(VIa)の特定の実施形態では、mは1である。
【0121】
主題のポリマタンデム染料は、式(VIa)の複数のセグメントを含むことができ、各セグメントは、コモノマを含有するDのブロックによって隣接したコモノマを含有する1つの単離されたAを含む。いくつかの場合では、多重発色団は、互いに隣接するよう向けて配置された式(VIa)の2つ以上のセグメントを含み、コモノマを含有する2~20のDのブロック、例えばコモノマを含有する3~20、4~20、5~20、5~15または5~12のDのブロックによって分離されたコモノマを含有する2つの単離されたAを提供する。したがって、特定の実施形態では、ポリマタンデム染料は、ブロックコポリマのq個のセグメントを含み、式(VIIa)のものである。
【0122】
【化8】
【0123】
ここで、各(n)および各(p)は独立して1~20の整数であり、q個のセグメントの各々について(n)+(p)≧3であり、qは1~100の整数である。
【0124】
特定の実施形態では、ポリマタンデム染料は、式(VIIIa)を有する。
【0125】
【化9】
【0126】
ここで、各Dは独立して、ペンダントドナー発色団基であり;
各Aは独立してアクセプタ発色団であり;
各LおよびLは独立してリンカであり;
xは75モル%以上であり;
yは25モル%以下であり;
およびGはそれぞれ独立して、例えば上記のように、末端基、ポリマセグメント、ドナー発色団基、リンカ、および単一ドメイン抗体へのリンカから選択される。
【0127】
特定の実施形態では、ポリマタンデム染料は、式(IXa)を有する。
【0128】
【化10】
【0129】
ここで、各Dは独立して、ペンダントBODIPYドナー発色団であり;
各Aは独立してアクセプタフルオロフォアであり;
各LおよびLは独立してリンカであり;
xは75モル%以上であり;
yは25モル%以下であり;
およびGはそれぞれ独立して、例えば上記のように、末端基、ポリマセグメント、ドナー発色団基、アクセプタフルオロフォア、リンカ、および単一ドメイン抗体へのリンカからなる群から選択される。
【0130】
式(IVa)、(Va)、(XII1a)および(IXa)のいくつかの例では、xは80モル%以上、例えば85モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、96モル%以上、97モル%以上、98モル%以上、または99モル%以上である。式(IVa)、(Va)、(XIIIa)および(IXa)のいくつかの例では、yは20モル%以下、例えば15モル%以下、10モル%以下、5モル%以下、4モル%以下、3モル%以下、2モル%以下、1モル%以下である。
【0131】
特定の実施形態では、ポリマタンデム染料は、式(Xa)を有する。
【0132】
【化11】
【0133】
ここで、各Dは独立して、ペンダントドナー発色団であり;
各Aは独立してアクセプタフルオロフォアであり;
各L、LおよびLは独立してリンカであり;
a、bおよびcは、各コモノマについてのモル%値であり;
dは、ポリマの全重合または平均長さを表し(例えば、dは2~1000であり、例えば2~500、2~200、2~100または2~50である);
WSGは、水可溶化基(例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるWO2019/191482として公開された国際出願第PCT/US2019/024662号に記載されているような)であり;
およびGはそれぞれ独立して、例えば上記のように、末端基、ポリマセグメント、ドナー発色団基、アクセプタフルオロフォア、リンカ、および単一ドメイン抗体へのリンカからなる群から選択される。
【0134】
式(Xa)のいくつかの例では、c=0である。式(Xa)のいくつかの例では、a>0およびb>0である。式(Xa)のいくつかの例では、aは80モル%以上、例えば85モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、96モル%以上、97モル%以上、98モル%以上、または99モル%以上である。式(Xa)のいくつかの例では、bは20モル%以下、例えば15モル%以下、10モル%以下、5モル%以下、4モル%以下、3モル%以下、2モル%以下、1モル%以下である。式(Xa)のいくつかの例では、aは65~95モル%であり、bは5~35モル%であり、cは0~30モル%であり、a+b+c=100%である。
【0135】
任意の好都合な端基(例えばGおよびG)は、タンデム蛍光染料の末端で利用され得る。本明細書で使用される場合、用語「端基」および「末端基」は、例えば本明細書に記載されるように集光性発色団のポリマ構造の末端に位置する基を指すために互換的に使用される。関心対象のGおよびG基は、これらに限定されないが、例えば上記のように、末端封鎖基、π共役セグメント、リンカ、および単一ドメイン抗体へのリンカを含む。いくつかの実施形態では、末端封鎖基は、重合後に集光性発色団の骨格にコンジュゲートした一価基である。特定の例では、末端封鎖基は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルキルまたは置換アルキルである。いくつかの場合には、末端コモノマは、化学選択性タグまたはリンカに向けられて連結される。特定の場合には、末端封鎖基は、重合方法で使用されるモノマ、例えばハロゲン(例えばBr)などの末端基、ボロン酸またはボロン酸エステルから誘導され、それはさらなるコンジュゲーションを受けることができる。いくつかの例では、Gおよび/またはGはπ共役セグメントである。本明細書で使用される場合、π共役セグメントは、集光性発色団がコンジュゲートされ得る共役ポリマの任意の好都合なセグメントを指し、すなわち、隣接する単位にわたるπ電子の非局在化を可能にする。特定の実施形態では、Gおよび/またはGは、特定の結合部分へのコンジュゲーションに適した官能基を含むリンカなどのリンカである。集光性発色団のGおよび/またはG位置に位置するリンカは、集光性発色団の側鎖に存在し得る(例えば本明細書に記載のような)化学選択性タグを含む任意の他のリンカと直交するように選択され得ることが理解される。特定の実施形態において、アミノ官能基またはその誘導体は、Gおよび/またはGに含まれる。特定の実施形態において、カルボン酸官能基またはその誘導体は、Gおよび/またはGに含まれる。
【0136】
本明細書に記載の式のいくつかの実施形態では、GおよびGのうちの少なくとも1つは-L-Zであり、Lは(例えば本明細書に記載されるような)リンカであり、Zは(例えば本明細書に記載されるような)特異的結合メンバーである。本明細書に記載の式のいくつかの実施形態では、GおよびGのうちの少なくとも1つは-L-Zであり、Lは(例えば本明細書に記載されるような)リンカであり、Zは(例えば本明細書に記載されるような)化学選択性タグである。任意の好都合な化学選択性タグおよびコンジュゲーション化学物質を、主題の集光性発色団における使用のために適合させることができる。関心対象の化学選択性タグとしては、アミン、活性エステル、マレイミド、チオール、硫黄(VI)フッ化物交換化学(SuFEX)、スルホニルフルオリド、ディールス(Diers)アルダー環化付加クリック試薬およびクリックケミストリ、テトラジン、トランスシクロオクテン、アルデヒド、アルコキシルアミン、アルキン、シクロオクチン、アジドなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの例では、Zは、カルボン酸、活性エステル(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(NHS)またはスルホ-NHS)、アミノ、マレイミド、ヨードアセチルおよびチオールからなる群から選択される。本明細書に記載の式の特定の実施形態において、GおよびGのうちの少なくとも1つは、以下の構造によって記載される。
【0137】
【化12】
【0138】
ここで、Arはπ共役アリール基であり、Lはリンカであり、Zは化学選択性タグまたは特異的結合メンバーである。いくつかの場合では、L-Z基は、末端コモノマに向けて接続されることができる。本明細書に記載の式の特定の実施形態において、GおよびGのうちの少なくとも1つは、以下の構造によって記載される。
【0139】
【化13】
【0140】
ここで、qは、0または1~12の整数であり;
Lは、任意選択的リンカであり;
Zは化学選択性タグまたは特異的結合メンバーである。本発明の実施形態のタンデム染料において見出され得るWSG基に関するさらなる詳細は、その開示が参照により本明細書に組み込まれるWO2019/191482として公開された国際出願第PCT/US2019/024662号において見出される。
【0141】
代表的な単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲート
図1Aおよび図1Bは、本発明の実施形態に係る単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートの図を提供する。図1Aにおいて、図示の単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートは、2つのポリマ蛍光染料にコンジュゲートしたVH単一ドメイン抗体(「タンデム‘コバルト’染料」と標識される)を含む。タンデム染料は、単一ドメイン抗体の任意の好都合な残基にコンジュゲートされ得、コンジュゲーションまたは連結のための関心対象の残基は、染料に連結された場合に単一ドメイン抗体の結合活性に悪影響を及ぼさない残基である。染料へのコンジュゲーションのために採用され得る残基は、所望に応じて、末端システインまたは非天然アミノ酸などの、単一ドメイン抗体にエンジニアリングされる天然生起または残基であり得る。図1Bは、図1Aに示されているコンジュゲートの、より詳細な図を提供し、ポリマ蛍光タンデム染料の構造、ならびに、染料をVH単一ドメイン抗体に連結するPEG水可溶化リンカを示す。リンカの長さはさまざまであり得るが、いくつかの例では、リンカは10~50nm、例えば15~40nm、例えば20~30nmの範囲である。所与のリンカは、例えばPEGのようにフレキシブルであり得、または、例えば必要に応じてPEGの代わりに例えばポリ-グリシン鎖のように剛性であり得る。
【0142】
方法
本発明の態様は、標的分析物の存在についてサンプルを評価する方法を含む。方法の態様は、サンプルを、標的分析物を特異的に結合する単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光染料コンジュゲートと接触させて単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光染料コンジュゲートが接触したサンプルを備えるアッセイ組成物を生成することを含む。以下のセクションでは、標的分析物は、単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光染料コンジュゲートが一次標識として採用されるか、二次標識として採用されるかに応じて、関心対象の標的分子または標的分子に結合された試薬、例えば一次抗体であり得る。任意の好都合な方法を使用して、標的分析物に特異的に結合する単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートとサンプルとを接触させて、アッセイ組成物を生成し得る。いくつかの例では、存在する場合に標的分析物にコンジュゲートの単一ドメイン抗体成分が特異的に結合する条件下で、サンプルを単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートと接触させる。コンジュゲートの単一ドメイン抗体を標的分析物と特異的に結合させるために、サンプルおよび単一ドメイン抗体の成分の生物学的活性を維持する適切な溶液を使用し得る。溶液は、5~25mMなどの低濃度の許容可能緩衝液と併せて、ウシ胎児血清、ヒト血小板溶解物または他の因子で好都合に補充された、平衡塩溶液、例えば通常生理食塩水、PBS、Hank平衡塩溶液などであり得る。好都合な緩衝液としては、HEPES、リン酸緩衝液、乳酸緩衝液などが挙げられる。いくつかの場合では、ウシ胎児血清またはヒト血小板溶解物で補充されたdMEM、HBSS、dPBS、RPMI、Iscove培地などを含む、さまざまな媒体が商業的に入手可能であり、標的分析物の性質に従って使用され得る。溶液の最終成分は、含まれるサンプルの成分に応じて選択され得る。コンジュゲートの単一ドメイン抗体の標的分析物への特異的結合が起こる温度はさまざまであり得、いくつかの例では、5℃~50℃、例えば10℃~40℃、15℃~40℃、20℃~40℃の範囲、例えば20℃、25℃、30℃、35℃または37℃(例えば上述したように)であり得る。いくつかの例では、特異的結合が起こる温度は、単一ドメイン抗体および/または標的分析物の生物学的活性と適合するように選択される。特定の例では、温度は、25℃、30℃、35℃または37℃である。特定の場合、特異的結合が起こる温度は、室温(例えば25℃)、30℃、35℃または37℃である。特異的結合のための任意の好都合なインキュベーション時間は、所望の量の結合複合体の形成を可能にするように選択され得、いくつかの例では、1分以上、例えば2分以上、10分以上、30分以上、1時間以上、2時間以上、さらには6時間以上であり得る。
【0143】
本発明の方法にて採用されるコンジュゲートにおいて、任意の好都合な単一ドメイン抗体を利用し得る。関心対象の単一ドメイン抗体としては、限定されないがさまざまな細胞型の細胞表面タンパク質に特異的に結合するそれらの単一ドメイン抗体が挙げられ、例えばこれらに限定されないが、幹細胞、例えば多能性幹細胞、造血幹細胞、T細胞、T調節細胞、樹状細胞、B細胞、例えばメモリB細胞、抗原特異的B細胞、顆粒球、白血病細胞、リンパ腫細胞、ウイルス細胞(例えばHIV細胞)、NK細胞、マクロファージ、単球、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、および赤血球細胞が含まれる。関心対象の標的細胞は、好都合な特異的結合メンバーコンジュゲートによって捕捉され得る好都合な細胞表面マーカまたは抗原を有する細胞を含む。いくつかの実施形態では、標的細胞は、全血、骨髄または臍帯血からの、HIV含有細胞、Treg細胞、抗原特異的T細胞集団、腫瘍細胞または造血前駆細胞(CD34+)から選択される。任意の好都合な細胞表面タンパク質または細胞マーカは、主題の方法で採用されるコンジュゲートへの特異的結合について標的化され得る。いくつかの実施形態では、標的細胞は、細胞受容体および細胞表面抗原から選択される細胞表面マーカを含む。いくつかの場合では、標的細胞は、CD11b、CD123、CD14、CD15、CD16、CD19、CD193、CD2、CD25、CD27、CD3、CD335、CD36、CD4、CD43、CD45RO、CD56、CD61、CD7、CD8、CD34、CD1c、CD23、CD304、CD235a、T細胞受容体アルファ/ベータ、T細胞受容体ガンマ/デルタ、CD253、CD95、CD20、CD105、CD117、CD120b、Notch4、Lgr5(N-末端)、SSEA-3、TRA-1-60抗原、ジシアロガングリオシドGD2、およびCD71などの細胞表面抗原を含み得る。
【0144】
任意の好都合な標的が、主題の方法を利用する評価のために選択され得る。関心対象の標的としては、限定されないが、RNA、DNA、PNA、CNA、HNA、LNAもしくはANA分子などの核酸、融合タンパク質、修飾タンパク質、例えばリン酸化、グリコシル化、ユビキチン化、SUMO化、もしくはアセチル化タンパク質などのタンパク質、または抗体、ペプチド、凝集生体分子、細胞、低分子、ビタミンおよび薬物分子が挙げられる。本明細書で使用される場合、用語「標的タンパク質」は、標的ファミリのすべてのメンバー、およびそのフラグメントを指す。標的タンパク質は、治療または診断標的などの任意の関心対象のタンパク質であり得、限定するものではないが、ホルモン、増殖因子、転写因子、受容体、酵素、サイトカイン、骨誘導因子、コロニ刺激因子および免疫グロブリンが含まれる。用語「標的タンパク質」は、任意の好都合な組換え発現方法を使用して、または任意の好都合な合成方法を使用して調製することができ、または商業的に購入することができる組換え分子および合成分子を含むことが意図される。いくつかの実施形態では、ポリマ染料コンジュゲートは、抗体または抗体フラグメントを含む。関心対象の抗体または抗体フラグメントに特異的に結合する任意の好都合な標的分析物は、主題の方法において標的化され得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、標的分析物は、細胞に関連する。特定の例では、標的分析物は、細胞の細胞表面マーカである。特定の場合には、細胞表面マーカは、細胞受容体および細胞表面抗原からなる群から選択される。いくつかの例では、標的分析物は細胞内標的であり、本方法は、細胞を透過化または溶解することをさらに含む。したがって、本発明の方法に採用される所与のコンジュゲートの単一ドメイン抗体は、細胞表面または細胞内抗原を標的とし得る。あるいは、本発明の方法に採用される所与のコンジュゲートの単一ドメイン抗体は、一方で標的細胞表面または細胞内抗原に特異的に結合する一次抗体を標的とし得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、サンプルは、標的細胞が単離される異種細胞集団を含み得る。いくつかの例では、サンプルは末梢全血、細胞単離の前に赤血球が溶解された末梢全血、臍帯血、骨髄、密度勾配精製された末梢血単核細胞または均質化組織を含む。いくつかの場合では、サンプルは、全血、骨髄または臍帯血中の造血前駆細胞(例えばCD34+細胞)を含む。特定の実施形態では、サンプルは末梢血中の腫瘍細胞を含む。特定の例では、サンプルは、ウイルス細胞(例えばHIV)を含む(または含むことが疑われる)サンプルである。
【0147】
単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートは、例えば、標的細胞、粒子、標的または分析物をポリマタンデム蛍光染料で標識するための、主題の方法における使用が見出される。例えば、単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートは、フローサイトメータにおいて処理される(例えば、検出される、分析される、および/またはソートされる)標識細胞における使用が見出される。単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートは、例えばさまざまな細胞型(例えば本明細書に記載のような)の細胞表面タンパク質に特異的に結合する単一ドメイン抗体を含み得る。標識化単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートは、細胞周期、細胞増殖、細胞分化、DNA修復、T細胞シグナリング、アポトーシス、細胞表面タンパク質発現および/または提示等のさまざまな生物学的(例えば細胞)特性またはプロセスを調査するために使用され得る。標識化特異的結合メンバーは、細胞、粒子または分析物の抗体媒介標識を含む(または含み得る)任意の用途で使用され得る。
【0148】
方法の態様は、単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲート-標的分析物結合複合体の存在のためにアッセイ組成物、すなわち単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートが接触したサンプルをアッセイして、標的分析物がサンプル中に存在するかどうかを評価することを含む。サンプルが単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートと接触すると、単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲート-標的分析物結合複合体の存在のために生成されるアッセイ組成物をアッセイする際に、任意の好都合な方法が利用され得る。単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲート-標的分析物結合複合体は、コンジュゲートの特異的結合メンバーを、存在する場合には標的分析物(または一次結合メンバー、例えば実施形態に応じて標的抗原への一次抗体)に特異的に結合すると生成される結合複合体である。アッセイ組成物をアッセイすることは、存在する場合、結合複合体から蛍光シグナルを検出することを含み得る。いくつかの場合では、アッセイすることは、存在する場合、標的分析物がサンプルから分離される分離ステップを含む。例えば担体上の固定化を介して、サンプルから標的分析物を分離するために、さまざまな方法を利用することができる。関心対象のアッセイ方法としては、特に限定されないが、アビジン-ビオチンまたはハプテン-抗ハプテン抗体などの特異的結合メンバーの対の使用が見出されて関心対象である任意の好都合な方法およびアッセイフォーマットが挙げられる。主題の組成物とともに使用されるように適合され得る関心対象の方法およびアッセイフォーマットとしては、フローサイトメトリ法、in-situハイブリダイゼーション法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット分析、磁気細胞分離アッセイ、および蛍光染料精製クロマトグラフィが挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
特定の実施形態では、本方法は、サンプルを、標的分析物に特異的に結合する第2の特異的結合メンバーと接触させることをさらに含む。特定の例では、第2の特異的結合メンバーは担体結合である。任意の好都合な担体を利用して、主題の方法の成分(例えば、第2の特異的結合メンバー)を固定化し得る。特定の例では、担体は、磁性粒子などの粒子である。いくつかの例では、第2の特異的結合メンバーおよびポリマ染料コンジュゲートは、任意の好都合な方法を使用して、存在する場合、単離および検出され得るサンドイッチ複合体を生成する。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリマ染料コンジュゲート-標的分析物結合複合体、すなわち蛍光標識化標的分析物をフローサイトメトリで分析することをさらに含む。ポリマ染料コンジュゲート-標的分析物結合複合体の存在についてアッセイすることは、標的分析物がサンプル中に存在するかどうかを評価するために使用することができるアッセイ結果(例えば、定性的または定量的アッセイデータ)を提供し得る。
【0150】
任意の好都合な担体は、方法の任意の好都合な構成要素、例えば、標識化特異的結合メンバー、標的、二次特異的結合メンバーなどを固定化するために、主題の方法において利用され得る。関心対象の担体としては、固体基板が挙げられるが、これに限定されず、基板は、例えば、シート、ビーズ、または他の構造、例えばウェル、ビーズ、ポリマ、粒子、繊維状メッシュ、ヒドロゲル、多孔質マトリックス、ピン、マイクロアレイ表面、クロマトグラフィ担体等のさまざまな構成を有することができる。いくつかの例では、担体は、粒子、平面固体基材、繊維メッシュ、ヒドロゲル、多孔質マトリックス、ピン、マイクロアレイ表面、およびクロマトグラフィ担体からなる群から選択される。担体は、手動操作シリンジ、遠心分離機、または自動化液体処理システムなど、任意の好都合な方法によって支援される細胞単離を提供するシステムに組み込まれ得る。いくつかの場合では、担体は、フローサイトメータなどの、細胞の高スループット単離のための自動液体処理システムにおける使用が見出される。
【0151】
本方法のいくつかの実施形態では、分離ステップは、外部磁場を印加して磁性粒子を固定化することを含む。任意の好都合な磁石を、外部磁場(例えば磁場勾配)の供給源として使用し得る。いくつかの場合では、外部磁場は、例えば永久磁石または電磁石によって、磁気源によって生成される。いくつかの場合では、磁性粒子を固定化することは、磁性粒子が磁場勾配源、すなわち磁石に最も近い表面の近くに蓄積することを意味する。
【0152】
分離することは、担体からサンプルの未結合材料を除去するための1つ以上の任意選択的洗浄ステップをさらに含み得る。任意の好都合な洗浄方法、例えばポリマ染料と特異的結合メンバーとの特異的結合相互作用を維持する生体適合性緩衝液で固定化担体を洗浄することが使用され得る。望ましくない細胞および材料が除去され得る、担体からのサンプルの未結合材料の分離および任意選択的洗浄は、標的細胞の濃縮集団を提供する。
【0153】
特定の実施形態では、本方法は、標識化標的分析物を検出することを含む。標識化標的分析物を検出することは、ポリマ蛍光タンデム染料を1つ以上のレーザで励起し、続いて1つ以上の光学検出器を使用してポリマ蛍光タンデム染料からの蛍光発光を検出することを含み得る。標識化標的の検出は任意の好都合な器具および方法を使用して実施することができ、フローサイトメトリ、FACSシステム、蛍光顕微鏡法;プレートリーダを用いた蛍光、発光、紫外線、および/または可視光検出;高速液体クロマトグラフィ(HPLC);および質量分析法が含まれるがこれらに限定されない。本開示の方法および組成物において蛍光標識化成分を使用する場合、異なるタイプの蛍光検出システムを使用して主題の方法を実施することができることが認識される。いくつかの場合では、高スループットスクリーニング、例えば96ウェル以上のマイクロタイタプレートを使用するシステムを実施することができる。蛍光材料においてアッセイを実施するさまざまな方法を利用することができ、例えば、Lakowicz,J.R、Principles of Fluorescence Spectroscopy、New York:Plenum Press(1983);Herman,B.,Resonance energy transfer microscopy, in: Fluorescence Microscopy of Living Cells in Culture,Part B,Methods in Cell Biology,vol.30,ed.Taylor,D.L.&Wang,Y.-L.,San Diego:Academic Press(1989),pp.219-243;Turro,N.J.,Modern Molecular Photochemistry,Menlo Park:Benjamin/Cummings Publishing Col,Inc.(1978),pp.296-361に記載されている方法などである。
【0154】
サンプル中の蛍光は、蛍光計を使用して測定することができる。いくつかの場合では、第1の波長を有する励起源からの励起放射は、励起光学系を通過する。励起光学系は、励起放射にサンプルを励起させる。それに応じて、サンプル中の蛍光標識化標的は、励起波長とは異なる波長を有する放射線を放出する。次いで収集光学系は、サンプルからの放出を収集する。デバイスは、それが走査されている間、サンプルを特定の温度に維持するための温度コントローラを含むことができる。特定の例では、多軸並進ステージは、異なるウェルを露出させて配置するために、複数のサンプルを保持するマイクロタイタプレートを移動させる。多軸並進ステージ、温度コントローラ、オートフォーカス機能、ならびに、撮像およびデータ収集に関連する電子機器は、適切にプログラムされたデジタルコンピュータによって管理することができる。コンピュータはまた、アッセイの間に収集されたデータを、提示のための別のフォーマットに変換することができる。
【0155】
いくつかの実施形態では、標的分析物の存在についてサンプルを評価する方法は、フローサイトメータにおいて蛍光を検出することをさらに含む。いくつかの実施形態では、標的分析物の存在についてサンプルを評価する方法は、蛍光顕微鏡法を使用して標識組成物に接触したサンプルを画像化することをさらに含む。標的分析物が存在するかどうかを評価するために、接触したサンプル中のポリマ染料コンジュゲート-標的分析物結合複合体を同定するために蛍光顕微鏡イメージングを使用することができる。主題の方法における使用が見出される関心対象の顕微鏡法には、レーザ走査型共焦点顕微鏡法が含まれる。
【0156】
図2Aは、一次抗体が、細胞内サイトカインを検出するために一次抗体に特異的に結合する単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートとともに採用される方法の一実施形態の概略図を提供する。図2Bは、Alexa-fluor標識化ナノボディが採用される類似の方法を例示する。
【0157】
また、例えば本明細書に記載されるような単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートを製造する方法も提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、単一ドメイン抗体を(例えば本明細書に記載のような)ポリマ蛍光タンデム染料と接触させて、単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートを生成させることを含み、ポリマ蛍光タンデム染料は、染料を単一ドメイン抗体に共有結合するコンジュゲーションタグを含む。用語「コンジュゲーションタグ」は、任意選択的活性化および/または脱保護の後に単一ドメイン抗体の適合性官能基と共有結合することができる化学選択性官能基(例えば本明細書に記載されるような)を含む基を指す。ポリマ蛍光タンデム染料を関心対象の単一ドメイン抗体にコンジュゲートさせるために、任意の好都合なコンジュゲーションタグを主題のポリマ染料にて利用し得る。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションタグは、アミノ、カルボン酸またはその誘導体、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジン、ヒドラジド、アジド、アルキンおよびタンパク質反応性基(例えば、アミノ反応性、チオール反応性、ヒドロキシル反応性、イミダゾリル反応性またはグアニジニル反応性)から選択される末端官能基を含む。任意の好都合な方法および試薬は、コンジュゲーションタグを単一ドメイン抗体に共有結合させるために、主題の方法において使用するように適合され得る。標的を標識するための関心対象の方法としては、Hermanson,Bioconjugate Techniques,Third edition,Academic Press,2013に記載されている方法および試薬が挙げられるが、これらに限定されない。接触ステップは水溶液中で実施され得る。いくつかの例では、コンジュゲーションタグはアミノ官能基を含み、標的分子はNHSエステルまたはスルホ-NHSエステルなどの活性エステル官能基を含み、またはその逆である。特定の例では、コンジュゲーションタグはマレイミド官能基を含み、標的分子はチオール官能基を含み、またはその逆である。特定の例では、コンジュゲーションタグはアルキン(例えばシクロオクチン基)官能基を含み、標的分子はアジド官能基を含み、またはその逆であり、クリックケミストリを介してコンジュゲートすることができる。いくつかの場合では、本方法は、生成物単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートが反応混合物、例えば過剰試薬または未標識単一ドメイン抗体から分離される分離ステップを含む。サンプルから標的を分離するために、例えば、担体上の固定化、沈殿、クロマトグラフィなどを介した、さまざまな方法を利用し得る。
【0158】
いくつかの例では、本方法は、生成物単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートを検出および/または分析することをさらに含む。いくつかの例では、本方法は、単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートを蛍光検出することをさらに含む。任意の好都合な方法を利用して、主題の方法および組成物と併せて標識化標的分子を検出および/または分析し得る。主題の方法において使用が見出される関心対象の標的を分析する方法としては、フローサイトメトリ、蛍光顕微鏡法、in-situハイブリダイゼーション、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット分析、磁気細胞分離アッセイ、および蛍光染料精製クロマトグラフィが挙げられるが、これらに限定されない。関心対象の検出方法は、蛍光分光法、蛍光顕微鏡法、核酸配列決定、蛍光in-situハイブリダイゼーション(FISH)、タンパク質質量分析法、フローサイトメトリ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0159】
検出は、ポリマタンデム染料を介して直接的に、または二次検出システムによって間接的に達成され得る。後者は、任意の1つの原理またはいくつかの異なる原理の組み合わせに基づき得、これらに限定されないが、抗体標識抗種抗体および他の形態の免疫学的または非免疫学的架橋およびシグナル増幅システム(例えば、ビオチン-ストレプトアビジン技術、タンパク質-Aおよびタンパク質-G媒介技術、または核酸プローブ/抗核酸プローブなど)が含まれる。適切なレポータ分子は、免疫細胞化学、分子生物学、光、蛍光、および電子顕微鏡、細胞免疫表現型解析、細胞ソーティング、フローサイトメトリ、細胞可視化、検出、計数、および/または信号出力定量化の分野で知られているものであり得る。標的検出、同定、および/または分析を増強するために、特異的および/または非特異的性質の1つ超の抗体を、同時にまたは連続的に標識および使用し得る。
【0160】
システム
本発明の態様は、主題の方法および組成物を実施する際に使用するためのシステムをさらに含む。サンプル分析システムは、サンプル視野、または、サンプルおよび単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートが装填されたフローチャネルを含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、流路を含むフローサイトメータと、流路内の組成物とを含むフローサイトメトリシステムであり、組成物が、サンプルおよび(例えば本明細書に記載されるような)単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートを含む。いくつかの実施形態では、サンプルを分析するためのシステムは、蛍光顕微鏡システムであり、サンプル視野を備える蛍光顕微鏡と、サンプル視野内に配置された組成物とを含み、組成物は、サンプルと、(例えば、本明細書に記載されるような)標識化特異的結合メンバーとを備える。
【0161】
システムの特定の実施形態では、組成物は、担体結合されて標的分析物に特異的に結合する第2の特異的結合メンバーをさらに含む。いくつかの場合には、担体は磁性粒子を含む。したがって、特定の例では、システムはまた、フローチャネルのアッセイ領域に適用されるように構成された制御可能な外部常磁性場を含み得る。
【0162】
サンプルは、細胞を含み得る。いくつかの例では、サンプルは、細胞含有生物学的サンプルである。いくつかの例では、サンプルは、標的細胞に特異的に結合された標識化特異的結合メンバーを含む。特定の例では、特異的結合メンバーによって特異的に結合される標的分析物は、細胞の細胞表面マーカである。特定の場合には、細胞表面マーカは、細胞受容体および細胞表面抗原から選択される。
【0163】
特定の態様では、システムはまた、フローチャネルのアッセイ領域またはサンプル視野に光を向けるように構成された光源を含み得る。システムは、フローチャネルのアッセイ領域またはサンプル視野からシグナルを受信するように構成された検出器を含み得、シグナルは、蛍光組成物によって提供される。任意選択的にさらに、サンプル分析システムは、1つ以上の追加シグナルの検出のための1つ以上の追加検出器および/または光源を含み得る。
【0164】
特定の態様では、システムは、蛍光シグナルの存在を検出するように構成されたコンピュータベースのシステムをさらに含み得る。「コンピュータベースのシステム」とは、本発明の情報を分析するために使用されるハードウェア手段、ソフトウェア手段、およびデータ記憶手段を指す。本発明のコンピュータベースのシステムの最小ハードウェアは、中央処理装置(CPU)と、入力手段と、出力手段と、データ記憶手段とを含む。当業者は、現在利用可能なコンピュータベースのシステムのいずれか1つが、主題のシステムにおける使用に適していることを容易に理解することができる。データ記憶手段は、上述したような本情報の記録を含む任意の製品、またはそのような製品にアクセスすることができるメモリアクセス手段を含み得る。
【0165】
データ、プログラミング、またはコンピュータ可読媒体上の他の情報を「記録」することは、当技術分野で知られている任意のそのような方法を使用する、情報を記憶するためのプロセスを指す。記憶された情報にアクセスするために使用される手段に基づいて、任意の好都合なデータ記憶構造が選択され得る。さまざまなデータプロセッサプログラムおよびフォーマットを、例えば、ワードプロセッシングテキストファイル、データベースフォーマットなどの記憶のために使用することができる。
【0166】
「プロセッサ」は、それに必要とされる機能を実行する任意のハードウェアおよび/またはソフトウェアの組み合わせを指す。例えば、本明細書の任意のプロセッサは、電子的コントローラ、メインフレーム、サーバ、またはパーソナルコンピュータ(デスクトップまたはポータブル)の形態で利用可能などの、プログラム可能デジタルマイクロプロセッサであり得る。プロセッサがプログラム可能である場合、適切なプログラミングは遠隔位置からプロセッサに伝達されるか、または事前にコンピュータプログラム製品(磁気式、光学式、またはソリッドステートデバイスベースであるかにかかわらず、携帯型または固定型コンピュータ可読記憶媒体など)に保存されることができる。例えば、磁気媒体または光ディスクは、プログラミングを担い得、その対応するステーションで各プロセッサと通信する適切なリーダによって読み取られることができる。
【0167】
例えば上述したようなセンサデバイスおよび信号処理モジュールに加えて、本発明のシステムは、データ出力装置、例えばモニタおよび/またはスピーカ、データ入力装置、例えばインタフェースポート、キーボードなど、流体処理構成要素、電源などのいくつかの追加構成要素を含み得る。
【0168】
いくつかの態様では、システムは、フローサイトメータを含む。適切なフローサイトメトリシステムには、限定されないが、Ormerod(ed.)、Flow Cytometry:A Practical Approach、Oxford Univ.Press(1997);Jaroszeski et al.(eds.)、Flow Cytometry Protocols、Methods in Molecular Biology No.91、Humana Press(1997);Practical Flow Cytometry、3rd ed.、Wiley-Liss(1995);Virgo et al.(2012)Ann Clin Biochem.Jan;49(pt1):17-28;Linden et al.、Semin Throm Hemost.2004 Oct;30(5):502-11;Alison et al.J Pathol、2010 Dec;222(4):335-344;およびHerbig et al.(2007)Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.24(3):203-255に記載のものが含まれ得;それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。特定の例において、関心対象のフローサイトメトリシステムには、BD Biosciences FACSCanto(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSCanto(商標)IIフローサイトメータ、BD Accuri(商標)フローサイトメータ、BD Accuri(商標)C6 Plusフローサイトメータ、BD Biosciences FACSCelesta(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSLyric(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSVerse(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSymphony(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences LSRFortessa(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences LSRFortessa(商標)X-20フローサイトメータ、BD Biosciences FACSPresto(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSVia(商標)フローサイトメータ、およびBD Biosciences FACSCalibur(商標)セルソータ、BD Biosciences FACSCount(商標)セルソータ、BD Biosciences FACSLyric(商標)セルソータ、BD Biosciences Via(商標)セルソータ、BD Biosciences Influx(商標)セルソータ、BD Biosciences Jazz(商標)セルソータ、BD Biosciences Aria(商標)セルソータ、BD Biosciences FACSAria(商標)IIセルソータ、BD Biosciences FACSAria(商標)IIIセルソータ、BD Biosciences FACSAria(商標)FusionセルソータおよびBD Biosciences FACSMelody(商標)セルソータ、BD Biosciences FACSymphony(商標)S6セルソータなどが含まれ得る。
【0169】
いくつかの実施形態では、主題のシステムは、米国特許第10,663,476号;第10,620,111号;第10,613,017号;第10,605,713号;第10,585,031号;第10,578,542号;第10,578,469号;第10,481,074号;第10,302,545号;第10,145,793号;第10,113,967号;第10,006,852号;第9,952,076号;第9,933,341号;第9,726,527号;第9,453,789号;第9,200,334号;第9,097,640号;第9,095,494号;第9,092,034号;第8,975,595号;第8,753,573号;第8,233,146号;第8,140,300号;第7,544,326号;第7,201,875号;第7,129,505号;第6,821,740号;第6,813,017号;第6,809,804号;第6,372,506号;第5,700,692号;第5,643,796号;第5,627,040号;第5,620,842号;第5,602,039号;第4,987,086号;第4,498,766号に記載されているもののようなフローサイトメトリシステムであり;それらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0170】
特定の例において、本発明のフローサイトメトリシステムは、それらの開示が参照により本明細書に組み込まれる、Diebold et al.、Nature Photonics Vol.7(10);806-810(2013)および米国特許第9,423,353号;第9,784,661号;第9,983,132号;第10,006,852号;第10,078,045;第10,036,699号;第10,222,316号;第10,288,546号;第10,324,019号;第10,408,758号;第10,451,538号;第10,620,111号;および米国特許公開番号2017/0133857号;第2017/0328826号;第2017/0350803号;第2018/0275042号;第2019/0376895号および第2019/0376894号に記載されているものなどの高周波タグ付き発光(FIRE)を使用する蛍光イメージングによってフローストリーム内の粒子をイメージングするように構成される。
【0171】
他のシステムは、主題の方法を実施する際に使用が見出され得る。特定の態様では、本システムは、本明細書に記載の実施形態のいずれかの蛍光組成物を有するサンプルを充填した蛍光計または顕微鏡であり得る。蛍光計または顕微鏡は、フローチャネルのアッセイ領域またはサンプル視野に光を向けるように構成された光源を含み得る。蛍光計または顕微鏡はまた、フローチャネルのアッセイ領域または視野からシグナルを受信するように構成された検出器を含み得、シグナルは、蛍光組成物によって提供される。
【0172】
キット
本発明の態様は、主題の方法および組成物を実施する際に使用するためのキットをさらに含む。本発明の組成物は、出発材料としての、または例えば上述の方法論での使用のために提供されるかのいずれかであるキットにおいて、試薬として含まれることができる。キットは、(例えば本明細書に記載したような)単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートと、容器とを含むことができる。単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートは、単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートの複数コピーの組成物として提供され得る。そのような例では、単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートの複数コピーの間の多分散性は低くなり得る。チューブ、ボトル、またはマルチウェルストリップもしくはプレートにおけるウェル、ボックス、バッグ、断熱容器など、任意の好都合な容器を利用することができる。主題のキットはさらに、所与の標的分析物についてのプライマ特異的結合メンバー、担体結合特異的結合メンバー、細胞、担体、生体適合性水性溶出緩衝液と、使用のための説明書とから選択される1つ以上の構成要素を含むことができる。所与のキットは、単一の標的分析物の検出に適した試薬、または、例えば所与のキットが多重検出用途のために構成される場合、2つ以上の異なる標的分析物の検出に適した複数の試薬を含み得る。
【0173】
特定の実施形態では、キットは、細胞内標的などの標的分析物の存在についてサンプルを評価する際に使用が見出される。したがって、いくつかの例では、キットは、細胞を透過化または溶解するのに適した1つ以上の成分を含む。キットの1つ以上の追加の構成要素は、別個の容器(例えば、別個のチューブ、ボトル、またはマルチウェルストリップもしくはプレート内のウェル)内に提供され得る。
【0174】
特定の態様では、キットは、フローサイトメトリアッセイを実施するための試薬をさらに含む。関心対象の試薬としては、再構成および希釈のための緩衝液、発色団を細胞サンプルに接触させるための緩衝液、洗浄緩衝液、対照細胞、対照ビーズ、フローサイトメータ較正用の蛍光ビーズ、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。キットはまた、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、メタノール、アセトン、ホルマリン、またはそれらの任意の組み合わせもしくは緩衝液などの1つ以上の細胞固定試薬を含み得る。さらに、キットは、メタノール、アセトン、または洗剤(例えば、トリトン、NP-40、サポニン、tween20、ジギトニン、ロイコパーム、またはそれらの任意の組み合わせもしくは緩衝液)などの細胞透過化試薬を含み得る。当業者によく知られている他のタンパク質輸送阻害剤、細胞固定試薬、および細胞透過化試薬は、主題のキットの範囲内である。
【0175】
キットの組成物は、任意の適切な緩衝液などの液体組成物中にて提供され得る。あるいは、キットの組成物は、乾燥組成物中にて提供され得(例えば凍結乾燥され得)、キットは任意選択的に、乾燥組成物を再構成するための1つ以上の緩衝液を含み得る。特定の態様では、キットは、別個の容器(例えば、別個のチューブ、ボトル、またはマルチウェルストリップもしくはプレート内のウェル)内に提供される組成物のアリコートを含み得る。
【0176】
加えて、1つ以上の構成要素は、単一の容器、例えばガラスまたはプラスチックのバイアル、チューブまたはボトルに組み合わされ得る。特定の例では、キットは、容器(例えば、ボックス、バッグ、断熱容器、ボトル、チューブなど)をさらに含み得、そこには、すべての構成要素(およびその別個の容器)が存在する。キットは、キット容器とは別個であるかまたはそれに取り付けられ、キットに関する情報が印刷されたパッケージング、キットの使用のための構成要素および/または説明書をさらに含み得る。
【0177】
上記の構成要素に加えて、主題のキットは、主題の方法を実施するための説明書をさらに含み得る。これらの説明書は、さまざまな形態で主題のキットに存在し得、そのうちの1つ以上がキット内に存在し得る。これらの説明書が存在し得る1つの形態は、適切な媒体または基板上に印刷された情報として、例えば、情報が印刷された一枚または複数枚の紙、キットの包装、パッケージインサートなどである。さらに別の手段は、コンピュータ可読媒体、例えば、情報が記憶されたディスケット、CD、DVD、ポータブルフラッシュドライブなどである。存在し得るさらに別の手段は、移動先サイトで情報にアクセスするためにインターネットを介して使用され得るウェブサイトアドレスである。任意の好都合な手段がキットに存在し得る。
【0178】
ユーティリティ
本明細書に記載される、単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲート、組成物、方法、ならびにシステムは、診断および研究用途を含むさまざまな用途において使用が見出され得、そこでは、関心対象標的の標識化、検出および/または分析が望ましい。そのような用途には、サイトメトリ、顕微鏡法、イムノアッセイ(例えば競合的または非競合的)、遊離分析物評価、受容体結合リガンドの評価などの方法論が含まれる。本明細書に記載の組成物、システムおよび方法は、多数のサンプルの任意のものの分析に有用であり得、これらに限定されないが、生物学的流体、細胞培養サンプル、および組織サンプルが含まれる。特定の態様では、本明細書に記載の組成物、システムおよび方法は、例えば蛍光活性化細胞ソーティングまたは分析、イムノアッセイ、免疫染色などにおいて蛍光標識を使用して、存在する場合にサンプル中で分析物が検出される方法での使用が見出され得る。特定の例では、組成物および方法は、標的分析物の存在についてのサンプルの評価が関心対象である用途での使用が見出される。
【0179】
いくつかの場合では、方法および組成物は、フローサイトメトリ、蛍光顕微鏡法、in-situハイブリダイゼーション、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット分析、磁気細胞分離アッセイ、および蛍光染料精製クロマトグラフィを含むがこれらに限定されない、サンプルからの標的の検出および/または分析が関心対象である任意のアッセイフォーマットでの使用が見出される。特定の例では、方法および組成物は、標的分子の蛍光標識化が関心対象である任意の用途での使用が見出される。主題の組成物は、ビオチン-ストレプトアビジンおよびハプテン-抗ハプテン抗体などの特異的結合メンバーの対に使用が見出される任意の好都合な用途で使用されるように適合され得る。
【0180】
以下の実施例は、限定ではなく例示として提供される。
【0181】
[実施例]
以下の実施例は、本発明を製造および使用する方法の完全な開示および説明を当業者に提供するように記載されており、本発明者らが自身の発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではなく、以下の実験がすべてまたは実施される唯一の実験であることを表すことを意図するものでもない。使用される数(例えば、量、温度など)に対する精度を保証するために努力がなされてきたが、いくらかの実験誤差および偏差が考慮されるべきである。別段の指示がない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気中または大気近傍である。例えば、bp、塩基対(複数可);kb、キロベース(複数可);pl、ピコリットル(複数可);sまたはsec、秒(複数可);min、分(複数可);hまたはhr、時間(複数可);aa、アミノ酸(複数可);nt、ヌクレオチド(複数可)など、標準的な略語を使用し得る。
【0182】
I.試薬調製
A.VHH抗マウスlgG1-RB780調製:
VHH抗マウスlgG1(Chromotek Nanobodies CTK103、CTK104)へのタンデム染料コンジュゲーションRB780(商標)タンデム染料は、標的エンジニアリングされたナノボディCTK103(Chromotek)のN末端およびC末端システインへのマレイミド-チオール付着用の末端マレイミド基を含有するように改変された。次いで、得られた精製RB780-マレイミド染料を、緩衝溶液(10mM HEPES pH7.0 500mM NaCl)に20mg/mL濃度で添加した。ナノボディを、水性緩衝液(10mM HEPES pH7.0、500mM NaCl、1mM TCEP)中で凍結して受容した。コンジュゲーションの前に、凍結ナノボディ溶液を4℃に解凍し、遠心分離し、上澄み液を反応容器に移した。次いで、ナノボディの2.7モル当量に対応する量のRB780-マレイミド染料溶液を、解凍ナノボディを含有する溶液に添加した。混合物をボルテックスし、氷浴中に置き、磁気攪拌で2時間、アジテートした。次いで、得られた粗反応混合物を、標準溶出緩衝液を有するSuperdex SECカラムを使用して精製した。所望の生成物の画分をプールし、特徴付けた。等モル量のCTK103-RB780コンジュゲートおよびCTK104-RB780を、一次抗体の染色前に溶液中で混合した。
【0183】
RB780(商標)は、標的エンジニアリングされたナノボディCTK104(Chromotek)のN末端およびC末端システインへのマレイミド-チオール付着のための末端マレイミド基を含有するように改変された。次いで、得られた精製RB780-マレイミド染料を、20mg/mLの濃度で緩衝溶液(10mM HEPES pH7.0 500mM NaCl)に添加した。ナノボディを、水性緩衝液(10mM HEPES pH7.0、500mM NaCl、1mM TCEP)中で凍結して受容した。コンジュゲーションの前に、凍結したナノボディ溶液を4℃に解凍し、遠心分離し、上澄み液を反応容器に移した。次いで、2.7モル当量のナノボディに対応する量のRB780-マレイミド染料溶液を、解凍ナノボディを含む溶液に添加した。混合物をボルテックスし、氷浴中に置き、磁気攪拌で2時間、アジテートした。次いで、得られた粗反応混合物を、標準溶出緩衝液を有するSuperdex SECカラムを使用して精製した。所望の生成物の画分をプールし、特徴付けた。等モル量のCTK103-RB780コンジュゲートおよびCTK104-RB780を、一次抗体の染色前に溶液中で混合した。
【0184】
B.VHH抗マウスlgG2b-RB780調製:
VHH抗マウスlgG2b(Chromotek Nanobodoies CTK105、CTK106)へのタンデム染料コンジュゲーションRB780(商標)は、標的エンジニアリングされたナノボディCTK105(Chromotek)のN末端およびC末端システインへのマレイミド-チオール付着のための末端マレイミド基を含有するように改変された。次いで、得られた精製RB780-マレイミド染料を、20mg/mL濃度で緩衝溶液(10mM HEPES pH7.0 500mM NaCl)に添加した。ナノボディを、水性緩衝液(10mM HEPES pH7.0、500mM NaCl、1mM TCEP)中で凍結し受容した。コンジュゲーションの前に、凍結したナノボディ溶液を4℃に解凍し、遠心分離し、上澄み液を反応容器に移した。次いで、ナノボディの2.7モル当量に対応する量のRB780-マレイミド染料溶液を、解凍ナノボディを含有する溶液に添加した。混合物をボルテックスし、氷浴中に置き、磁気攪拌で2時間、アジテートした。次いで、得られた粗反応混合物を、標準溶出緩衝液を有するSuperdex SECカラムを使用して精製した。所望の生成物の画分をプールし、特徴付けた。等モル量のCTK105-RB780コンジュゲートおよびCTK106-RB780を、一次抗体の染色前に溶液中で混合した。
【0185】
RB780(商標)は、標的エンジニアリングされたナノボディCTK106(Chromotek)のN末端およびC末端システインへのマレイミド-チオール結合のための末端マレイミド基を含有するように改変された。次いで、得られた精製RB780-マレイミド染料を、20mg/mLの濃度で緩衝溶液(10mM HEPES pH7.0 500mM NaCl)に添加した。ナノボディを、水性緩衝液(10mM HEPES pH7.0、500mM NaCl、1mM TCEP)中で凍結し受容した。コンジュゲーションの前に、凍結したナノボディ溶液を4℃に解凍し、遠心分離し、上澄み液を反応容器に移した。次いで、2.7モル当量のナノボディに対応する量のRB780-マレイミド染料溶液を、解凍ナノボディを含む溶液に添加した。混合物をボルテックスし、氷浴中に置き、磁気攪拌で2時間、アジテートした。次いで、得られた粗反応混合物を、標準溶出緩衝液を有するSuperdex SECカラムを使用して精製した。所望の生成物の画分をプールし、特徴付けた。等モル量のCTK105-RB780コンジュゲートおよびCTK106-RB780を、一次抗体の染色前に溶液中で混合した。
【0186】
II.さらなる研究
A.RB780標識ナノボディの調製
1.RB780の改変
アミン反応性部位を担うRB780誘導体22ミリグラムを、脱気した1×リン酸緩衝生理食塩水(VWRカタログ番号97063-660)に10mg/mLの濃度で溶解した。5.55ミリグラムのSMCC(スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート)を、脱気したアミン非含有DMF(Fisher Scientificカタログ番号AA43465K7)に溶解した。SMCC溶液を、RB780-アミンを含有する溶液に添加し、室温で2時間、撹拌した。未反応のSMCCを除去するために、粗反応混合物をサイズ排除膜(MilliporeSigma(商標)UFC900308)によって精製し、Schlenkライン上で一晩、凍結乾燥させた。収率および純度を、イオン交換クロマトグラフィ(Propoac SAX-10 4×250mmを有するThermo Scientific Ultimate3000)によって評価した。
【0187】
2.ナノボディ二硫化物の還元
-80℃で予め緩衝液中に保存したナノボディサンプルを解凍し、サイズ排除膜(MilliporeSigma(商標)UFC900308)を用いて、10mM Hepes pH7.0、500mM NaCl、1mM TCEPに緩衝液交換した。次いで、新たに還元されたナノボディを含有する緩衝液交換溶液を遠心分離して沈殿物および凝集物を除去した。
【0188】
3.ナノボディへの染料コンジュゲーション
ナノボディCTK0103(ProteinTech)を、10mM Hepes pH7.0、500mM NaCl、1mM TCEP中で2mg/mLに濃縮し、氷浴を介して4℃未満に維持した。RB780-マレイミドを、アミン非含有DMF(Fisher Scientificカタログ番号AA43465K7)に20mg/mLで溶解し、氷浴を介して約4℃に冷却した。RB780-マレイミド溶液を、ナノボディ1モル当たり2.7モルRB780-マレイミドの比でナノボディ溶液に添加し、約4℃で2時間、撹拌した。粗共役混合物を、サイズ排除クロマトグラフィ(Superdexを有するGE AKTA FPLC)によって精製し、SDS-PAGE&UV-Visによって特徴付けた。
【0189】
ナノボディCTK0104(ProteinTech)を、10mM Hepes pH7.0、500mM NaCl、1mM TCEP中で2mg/mLに濃縮し、氷浴を介して4℃未満に維持した。RB780-マレイミドを、アミン非含有DMF(Fisher Scientificカタログ番号AA43465K7)に20mg/mLで溶解し、氷浴を介して約4℃に冷却した。RB780-マレイミド溶液を、ナノボディ1モル当たり2.7モルRB780-マレイミドの比でナノボディ溶液に添加し、約4℃で2時間、撹拌した。粗共役混合物を、サイズ排除クロマトグラフィ(Superdexを有するGE AKTA FPLC)によって精製し、SDS-PAGE&UV-Visによって特徴付けた。
【0190】
ナノボディCTK0105(ProteinTech)を、10mM Hepes pH7.0、500mM NaCl、1mM TCEP中で2mg/mLに濃縮し、氷浴を介して4℃未満に維持した。RB780-マレイミドを、アミン非含有DMF(Fisher Scientificカタログ番号AA43465K7)中に20mg/mLで溶解し、氷浴を介して約4℃に冷却した。RB780-マレイミド溶液を、ナノボディ1モル当たり2.7モルRB780-マレイミドの比でナノボディ溶液に添加し、約4℃で2時間、撹拌した。粗共役混合物を、サイズ排除クロマトグラフィ(Superdexを有するGE AKTA FPLC)によって精製し、SDS-PAGE&UV-Visによって特徴付けた。
【0191】
ナノボディCTK0106(ProteinTech)を、10mM Hepes pH7.0、500mM NaCl、1mM TCEP中で2mg/mLに濃縮し、氷浴を介して4℃未満に維持した。RB780-マレイミドを、アミン非含有DMF(Fisher Scientificカタログ番号AA43465K7)中に20mg/mLで溶解し、氷浴を介して約4℃に冷却した。RB780-マレイミド溶液を、ナノボディ1モル当たり2.7モルRB780-マレイミドの比でナノボディ溶液に添加し、約4℃で2時間、撹拌した。粗共役混合物を、サイズ排除クロマトグラフィ(Superdexを有するGE AKTA FPLC)によって精製し、SDS-PAGE&UV-Visによって特徴付けた。
【0192】
B.細胞調製/染色&フローサイトメトリ
1.表面染色
十分に混合された抗凝固全血100μlを、標識されていない一次抗体、ヒトCD4(クローンSK3、マウスlgG1)とともに室温で暗所にて20~30分間、インキュベートした。次いで、2mlの溶解溶液を添加し、室温で暗所にてインキュベートした。10分後、細胞を洗浄し、二次試薬、ナノボディ抗マウスlgG1-RB780を添加し(ProteinTechからのナノボディCTK0103およびCTK0104)、室温で暗所にて20~30分間、インキュベートした。最終洗浄を実施し、200~500μlの洗浄緩衝液を添加して、フローサイトメトリ分析、または2~8℃での冷蔵庫貯蔵を行なった。
【0193】
十分に混合された抗凝固全血100μlを、標識されていない一次抗体、ヒトCD56(クローンNCAM16.2、マウスlgG2b)とともに室温で暗所にて20~30分間、インキュベートした。次いで、2mlの溶解溶液を添加し、室温で暗所にてインキュベートした。10分後、細胞を洗浄し、二次試薬、ナノボディVHH抗マウスlgG2b-RB780(ProteinTechからのナノボディCTK0105およびCTK0106)を添加し、室温で暗所にて20~30分間、インキュベートした。最終洗浄を実施し、200~500μlの洗浄緩衝液を添加し、フローサイトメトリ分析、または2~8℃での冷蔵庫貯蔵を行なった。
【0194】
2.細胞内染色
末梢血単核球(PBMC)を活性化し、標準プロトコルに従って固定および透過処理した。100μlのPBMCを、標識されていない一次抗体、ヒトIFN-γ(クローンB27、マウスlgG1)とともに4℃で30分間、暗所にてインキュベートした。次いで、細胞を2回洗浄し、二次試薬、ナノボディVHH抗マウスlgG1-RB780(ProteinTechからのナノボディCTK0103およびCTK0104)を添加し、続いて、4℃で30分間、暗所にてインキュベートした。最終洗浄を実施し、200~500μlの洗浄緩衝液を添加し、フローサイトメトリ分析、または2~8℃での冷蔵庫貯蔵を行なった。
【0195】
C.結果:
1.表面染色
CD4陽性集団に対応するリンパ球における陽性染色を観察した。ナノボディCTK0103およびCTK0104(個別に使用または一緒にプールのいずれかで)を使用するときのシグナルは、AlexaFluor647(ProteinTechからプールされたCTK0103およびCTK0104)とコンジュゲートした既存の同じナノボディで観察されたシグナルと比較して、より仄かであった。比較は質量当量およびモル当量の両方で実施した。
【0196】
また、CD56陽性集団に対応するリンパ球における陽性染色も観察した。ナノボディCTK0105およびCTK0106(個別に使用または一緒にプールのいずれかで)を使用するときのシグナルは、AlexaFluor647(ProteinTechからプールされたCTK0105およびCTK0106)とコンジュゲートした既存の同じナノボディで観察されたシグナルと比較して、より仄かであった。比較は質量当量およびモル当量の両方で実施した。
【0197】
2.細胞内染色:
IFN-γ陽性集団に対応するリンパ球における陽性染色を観察した。ナノボディCTK0103およびCTK0104(個別に使用または一緒にプールのいずれかで)を使用するときのシグナルは、AlexaFluor647(ProteinTechからプールされたCTK0103およびCTK0104)とコンジュゲートした既存の同じナノボディで観察されたシグナルと比較して、より仄かであった。比較は質量当量およびモル当量の両方で実施した。
【0198】
III.追加観察
本発明の実施形態の単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートは、多くの利点を提供する。本明細書で報告される作業の前に、商業化されたsdAb+蛍光染料試薬の2つの一般的なクラスがあった。その第1のものは、sdAb+蛍光タンパク質、例えばGFP、GYP、GRPなどである。典型的にはこれらの試薬は、融合タンパク質として組換え的に製造される。これらの試薬は、その小さなサイズおよびインビボ発現のため、製造可能性および性能における利点を保持しているが、それらが比較的仄かであり、それらがタンデム染料ではなくタンデム染料の多重化利点を可能にしないため、その有用性は限定される。sdAb+蛍光染料試薬の第2のクラスは、AlexaFluor647など、低分子染料または少数低分子染料にコンジュゲートされたsdAbからなる。これらの試薬はまた、サイズに基づく利点を有するが、いくつかの方法で限定される。試薬としては、それらは自己消光挙動に関連する輝度限界を有する。多すぎるAlexFluor647染料がsdAbに付着している場合、試薬の蛍光は実際に低下する可能性がある。さらに、上述の融合タンパク質のように、これらの低分子染料はタンデム染料ではなく、タンデム染料の多重化利点を可能にしない。
【0199】
本発明の実施形態の単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光染料コンジュゲート試薬は、小型かつ改善された製造という利点を、高いパラメータパネル設計を伴う1つ以上の増加した試薬輝度および適合性を含み得る追加利点と組み合わせる。これらの利点は、単一分子染料の代わりにポリマ蛍光タンデム染料を使用することによって達成される。ポリマ蛍光タンデム染料は、低分子染料よりも分子当たり輝度が高く、抗体にコンジュゲートしたときに低分子染料の感知可能な染料間消光を示さない。また、ポリマ蛍光タンデム染料は、最適化多色フローサイトメトリについて特に意図されるタンデム染料のプラットフォームを表す。このように、本発明のコンジュゲートは、染料のパネルを使用する多重化用途において採用され得る。
【0200】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示は以下の条項によっても定義される。
1. 単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートであって、
(a)単一ドメイン抗体、および
(b)前記単一ドメイン抗体にコンジュゲートされた1つ以上のポリマタンデム蛍光染料
を備え、前記1つ以上のポリマタンデム蛍光染料は、
(i)非共役繰り返し単位を備えるポリマ骨格、
(ii)各々が独立して前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された複数のペンダントドナーフルオロフォア、および
(iii)前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された1つ以上のペンダントアクセプタフルオロフォア
を備え、前記ペンダントドナーフルオロフォアおよびペンダントアクセプタフルオロフォアがエネルギ伝達関係にある、
コンジュゲート。
2. 前記単一ドメイン抗体は、重鎖または軽鎖を備える、条項1に記載のコンジュゲート。
3. 前記単一ドメイン抗体は、VHドメインを備える、条項2に記載のコンジュゲート。
4. 前記単一ドメイン抗体は、VNARドメインを備える、条項2に記載のコンジュゲート。
5. 前記単一ドメイン抗体は、細胞内抗原に特異的に結合する、前項のいずれかに記載のコンジュゲート。
6. 前記単一ドメイン抗体は、細胞表面抗原に特異的に結合する、前項のいずれかに記載のコンジュゲート。
7. 前記単一ドメイン抗体は、一次抗体に特異的に結合する、前項のいずれかに記載のコンジュゲート。
8. 前記コンジュゲートは、前記単一ドメイン抗体にコンジュゲートされた2つ以上のポリマタンデム蛍光染料を備える、前項のいずれかに記載のコンジュゲート。
9. 前記ポリマタンデム蛍光染料は、式
【化14】
によって記載され、
ここで、非共役繰り返し単位の前記ポリマ骨格は、それぞれ独立して非共役コモノマであるSMおよびSMコモノマを備え、
各Dは独立して、SMに連結されたペンダントドナーフルオロフォアであり、
各Aは独立して、SMに連結されたペンダントアクセプタフルオロフォアであり、
xは75モル%以上であり、
yは25モル%以下である、
前項のいずれかに記載のコンジュゲート。
10. 前記ポリマ骨格の前記繰り返し単位は、定義された直鎖配列を有する、条項9に記載のコンジュゲート。
11. SMおよびSMは、アミノ酸およびペプトイドモノマに由来するコモノマである、条項10に記載のコンジュゲート。
12. 前記ポリマ骨格は、α-アミノ酸残基および/またはβ-アミノ酸残基の定義された配列を有するポリペプチドである、条項11に記載のコンジュゲート。
13. 前記ポリマ骨格は、直鎖ポリマである、前項のいずれかに記載のコンジュゲート。
14. 前記ペンダントドナーフルオロフォアは、互いにエネルギ伝達近位に構成される、前項のいずれかに記載のコンジュゲート。
15. 前記ポリマタンデム染料は、100nm以上のストークスシフトを有する、前項のいずれかに記載のコンジュゲート。
16. 前記ペンダントドナーフルオロフォアは、縮合三環式アリール、縮合三環式ヘテロアリール、およびBODIPYフルオロフォアから選択される、前項のいずれかに記載のコンジュゲート。
17. 前記ペンダントドナーフルオロフォアは、BODIPYフルオロフォアである、条項16に記載のコンジュゲート。
18. 前記ペンダントドナーフルオロフォアは、水可溶化基で置換されている、前項のいずれかに記載のコンジュゲート。
19. 前記水可溶化基は、ポリエチレングリコールを備える、条項18に記載のコンジュゲート。
20. 前記アクセプタフルオロフォアは、低分子フルオロフォアである、前項のいずれかに記載のコンジュゲート。
21. 前記アクセプタフルオロフォアは、シアニン染料、ローダミン染料、キサンテン染料、クマリン染料、ポリメチン、ピレン、ジピロメテンボロンジフルオライド、ナフタルイミド、チアジン染料およびアクリジン染料から選択される、条項20に記載のコンジュゲート。
22. 標的分析物の存在についてのサンプルを評価する方法であって、
(a)前記サンプルを、前記標的分析物を特異的に結合してアッセイ組成物を生成する単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートと組み合わせることと、
(b)任意のコンジュゲート-標的分析物結合複合体の存在について前記アッセイ組成物をアッセイして、前記標的分析物が前記サンプル中に存在するかどうかを評価することと
を含み、前記コンジュゲートは、
(1)単一ドメイン抗体、および
(2)前記単一ドメイン抗体にコンジュゲートされた1つ以上のポリマタンデム蛍光染料
を備え、前記1つ以上のポリマタンデム蛍光染料は、
(i)非共役繰り返し単位を備えるポリマ骨格、
(ii)各々が独立して前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された複数のペンダントドナーフルオロフォア、および
(iii)前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された1つ以上のペンダントアクセプタフルオロフォア
を備え、ペンダントドナーフルオロフォアおよびペンダントアクセプタフルオロフォアはエネルギ伝達関係にある、
方法。
23. 前記標的分析物は、細胞に関連する、条項22に記載の方法。
24. 前記標的分析物は、細胞表面マーカである、条項23に記載の方法。
25. 前記細胞表面マーカは、細胞受容体および細胞表面抗原からなる群から選択される、条項24に記載の方法。
26. 前記標的分析物は、細胞内標的である、条項23に記載の方法。
27. 前記方法は、前記細胞を透過処理することをさらに備える、条項26に記載の方法。
28. 前記アッセイすることは、前記アッセイ組成物をフローサイトメトリで分析することを備える、条項22~27のいずれかに記載の方法。
29. 前記単一ドメイン抗体は、重鎖ドメインまたは軽鎖ドメインを備える、条項22~28のいずれかに記載の方法。
30. 前記単一ドメイン抗体は、VHドメインを備える、条項29に記載の方法。
31. 前記単一ドメイン抗体は、VNARドメインを備える、条項29に記載の方法。
32. 前記コンジュゲートは、前記単一ドメイン抗体にコンジュゲートされた2つ以上のポリマタンデム蛍光染料を備える、条項22~31のいずれかに記載の方法。
33. 前記ポリマタンデム蛍光染料は、式
【化15】
によって記載され、
ここで、非共役繰り返し単位の前記ポリマ骨格は、それぞれ独立して非共役コモノマであるSMおよびSMコモノマを備え、
各Dは独立して、SMに連結されたペンダントドナーフルオロフォアであり、
各Aは独立して、SMに連結されたペンダントアクセプタフルオロフォアであり、
xは75モル%以上であり、
yは25モル%以下である、
条項22~32のいずれかに記載の方法。
34. 前記ポリマ骨格の前記繰り返し単位は、定義された直鎖配列を有する、条項33に記載の方法。
35. SMおよびSMは、アミノ酸およびペプトイドモノマに由来するコモノマである、条項34に記載の方法。
36. 前記ポリマ骨格は、α-アミノ酸残基および/またはβ-アミノ酸残基の定義された配列を有するポリペプチドである、条項35に記載の方法。
37. 前記ポリマ骨格は、直鎖ポリマである、条項22~36のいずれかに記載の方法。
38. 前記ペンダントドナーフルオロフォアは、互いにエネルギ伝達近位に構成されている、条項22~37のいずれかに記載の方法。
39. 前記ポリマタンデム蛍光染料は、100nm以上のストークスシフトを有する、条項22~38のいずれかに記載の方法。
40. 前記ペンダントドナーフルオロフォアは、縮合三環式アリール、縮合三環式ヘテロアリール、およびBODIPYフルオロフォアから選択される、条項22~39のいずれかに記載の方法。
41. 前記ペンダントドナーフルオロフォアは、BODIPY基である、条項40に記載の方法。
42. 前記ペンダントドナーフルオロフォアは、水可溶化基で置換されている、条項22~41のいずれかに記載の方法。
43. 前記水可溶化基は、ポリエチレングリコールを備える、条項42に記載の方法。
44. 前記アクセプタフルオロフォアは、低分子フルオロフォアである、条項22~43のいずれかに記載の方法。
45. 前記アクセプタフルオロフォアは、シアニン染料、ローダミン染料、キサンテン染料、クマリン染料、ポリメチン、ピレン、ジピロメテンボロンジフルオライド、ナフタルイミド、チアジン染料およびアクリジン染料から選択される、条項44に記載の方法。
46. 単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートを備え、前記コンジュゲートは、
(a)単一ドメイン抗体、および
(b)前記単一ドメイン抗体にコンジュゲートされた1つ以上のポリマタンデム蛍光染料
を備え、前記1つ以上のポリマタンデム蛍光染料は、
(i)非共役繰り返し単位を備えるポリマ骨格、
(ii)各々が独立して前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された複数のペンダントドナーフルオロフォア、および
(iii)前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された1つ以上のペンダントアクセプタフルオロフォア
を備え、ペンダントドナーフルオロフォアおよびペンダントアクセプタフルオロフォアはエネルギ伝達関係にある、
キット。
47. 前記単一ドメイン抗体は、重鎖または軽鎖を備える、条項46に記載のキット。
48. 前記単一ドメイン抗体は、VHドメインを備える、条項47に記載のキット。
49. 前記単一ドメイン抗体は、VNARドメインを備える、条項47に記載のキット。
50. 前記単一ドメイン抗体は、細胞内抗原に特異的に結合する、条項46~49のいずれかに記載のキット。
51. 前記単一ドメイン抗体は、細胞表面抗原に特異的に結合する、条項46~50のいずれかに記載のキット。
52. 前記単一ドメイン抗体は、一次抗体に特異的に結合する、条項46~51のいずれかに記載のキット。
53. 前記コンジュゲートは、前記単一ドメイン抗体にコンジュゲートされた2つ以上のポリマタンデム蛍光染料を備える、条項46~52のいずれかに記載のキット。
54. 前記ポリマタンデム蛍光染料は、式
【化16】
によって記載され、
ここで、非共役繰り返し単位の前記ポリマ骨格は、それぞれ独立して非共役コモノマであるSMおよびSMコモノマを備え、
各Dは独立して、SMに連結されたペンダントドナーフルオロフォアであり、
各Aは独立して、SMに連結されたペンダントアクセプタフルオロフォアであり、
xは75モル%以上であり、
yは25モル%以下である、
条項46~53のいずれかに記載のキット。
55. 前記ポリマ骨格の前記繰り返し単位は、定義された直鎖配列を有する、条項54に記載のキット。
56. SMおよびSMは、アミノ酸およびペプトイドモノマに由来するコモノマである、条項55に記載のキット。
57. 前記ポリマ骨格は、α-アミノ酸残基および/またはβ-アミノ酸残基の定義された配列を有するポリペプチドである、条項56に記載のキット。
58. 前記ポリマ骨格は、直鎖ポリマである、条項46~57のいずれかに記載のキット。
59. 前記ペンダントドナーフルオロフォアは、互いにエネルギ伝達近位に構成される、条項46~58のいずれかに記載のキット。
60. 前記ポリマタンデム蛍光染料は、100nm以上のストークスシフトを有する、条項46~59のいずれかに記載のキット。
61. 前記ペンダントドナーフルオロフォアは、縮合三環式アリール、縮合三環式ヘテロアリールおよびBODIPYフルオロフォアから選択される、条項46~60のいずれかに記載のキット。
62. 前記ペンダントドナーフルオロフォアは、BODIPY基である、条項61に記載のキット。
63. 前記ペンダントドナーフルオロフォアは、水可溶化基で置換されている、条項46~62のいずれかに記載のキット。
64. 前記水可溶化基は、ポリエチレングリコールを備える、条項63に記載のキット。
65. 前記アクセプタフルオロフォアは、低分子フルオロフォアである、条項46~64のいずれかに記載のキット。
66. 前記アクセプタフルオロフォアは、シアニン染料、ローダミン染料、キサンテン染料、クマリン染料、ポリメチン、ピレン、ジピロメテンボロンジフルオライド、ナフタルイミド、チアジン染料およびアクリジン染料から選択される、条項65に記載のキット。
【0201】
前述の実施形態の少なくともいくつかにおいて、実施形態において使用される1つ以上の要素は、そのような置換が技術的に実現不可能でない限り、別の実施形態において互換的に使用することができる。当業者であれば、特許請求される主題事項の範囲から逸脱することなく、上記で説明した方法および構造に対してさまざまな他の省略、追加および修正を行い得ることが理解されよう。すべてのそのような修正および変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される主題事項の範囲内に入ることが意図される。
【0202】
一般に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、一般に「オープンな」用語として意図されていることが当業者には理解されるであろう(例えば、「含み」という用語は、「含むがそれに限定されず」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む」という用語は「含むがそれに限定されない」と解釈されるべきである、など)。導入された請求項の特定の数の記載物が意図されている場合、そのような意図は請求項にて明示的に記載され、そのような記載物がない場合にはそのような意図は存在しないことが当業者にはさらに理解されるであろう。例えば、理解を助けるために、以下の添付の特許請求の範囲には、請求項の記載物を導入するために「少なくとも1つ」および「1つ以上」という導入句の使用が含まれ得る。しかし、そのような句の使用は、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載物の導入が、同請求項が「1つ以上」または「少なくとも1つ」という導入句および「a」または「an」などの不定冠詞(例えば「a」および/または「an」は「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)を含む場合であっても、そのような導入された請求項の記載物を含む任意の特定の請求項を、そのような記載物を1つだけ含む実施形態に限定することを意味するものと解釈されるべきではなく、請求項の記載物を導入するために使用される定冠詞の使用にも同じことが当てはまる。さらに、導入された請求項の記載物の特定の数が明示的に記載されている場合であっても、当業者は、そのような記載物が少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることを認識するであろう(例えば、他の修飾語のない「2つの記載物」との裸の記載は、少なくとも2つの記載物、または2つ以上の記載物を意味する)。さらに、「A、B、およびCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されるそれらの例では、一般的に、そのような構造は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみを、Bのみを、Cのみを、AおよびBを一緒に、AおよびCを一緒に、BおよびCを一緒に、ならびに/または、A、B、およびCを一緒に、など有するシステムを含むが、これらに限定されないであろう)。「A、B、またはCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されるそれらの例では、一般的に、そのような構造は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみを、Bのみを、Cのみを、AおよびBを一緒に、AおよびCを一緒に、BおよびCを一緒に、ならびに/または、A、B、およびCを一緒に、など有するシステムを含むが、これらに限定されないであろう)。本明細書、特許請求の範囲、または図面のいずれにおいてであろうと、2つ以上の代替用語を提示する実質的に任意の二者択一的語および/または句が、用語のうちの1つ、用語のいずれか、または両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、句「AまたはB」は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むと理解されるであろう。
【0203】
加えて、本開示の特徴または態様がマーカッシュ群に関して説明される場合、当業者は、本開示がそれにより、マーカッシュ群のメンバーの任意の個々のメンバーまたはサブグループに関して説明されることを認識するであろう。
【0204】
当業者には理解されるように、本明細書に開示されるすべての範囲は、記載された説明を提供するという観点からなど任意のおよびすべての目的のために、あらゆる可能な下位範囲およびその下位範囲の組み合わせも包含する。任意の列挙された範囲は、少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解されるのと同じ範囲を十分に記述し、可能にするものとして容易に認識されることができる。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、下方の3分の1、中央の3分の1、および上方の3分の1などに容易に分解されることができる。また当業者には理解されるように、すべての言語、例えば「までの」、「少なくとも」、「より大きい」、「より少ない」などは、列挙された数を含み、続いて上述のように下位範囲に分解することができる範囲を指す。最後に、当業者には理解されるように、範囲は各個々のメンバーを含む。したがって例えば、1つ~3つの物品を有する群は、1つ、2つ、または3つの物品を有する群を指す。同様に、1つ~5つの物品を有する群は、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの物品を有する群を指し、以下同様である。
【0205】
前述の発明は、理解を明確にするために例示および例としていくらか詳細に説明されてきたが、この発明の教示に照らして当業者には、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、特定の変更および修正をそれに行い得ることが容易に明らかである。
【0206】
したがって、上記は単に本発明の原理を説明するものである。当業者は、本明細書に明示的に記載または示されていないが、本発明の原理を具体化し、その精神および範囲内に含まれるさまざまな構成を考案することができることが理解されよう。さらに、本明細書に記載されたすべての例および条件付き言語は、主に、本発明の原理および本発明者が技術を促進するために寄与する概念を読者が理解することを支援することを意図しており、そのような具体的に列挙された例および条件に限定されるものではないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態を本明細書にて記載するすべての記載、ならびにそれらの具体例は、それらの構造的および機能的均等物の両方を包含することを意図している。さらに、そのような均等物には、現在知られている均等物および将来開発される均等物、すなわち、構造に関係なく、同じ機能を実行する任意の開発要素が含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものはすべて、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆に献上することは意図されていない。
【0207】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され、説明される例示的な実施形態に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。特許請求の範囲では、35U.S.C.§112(f)または35U.S.C.§112(6)は、請求項にて「ための手段」という正確な句または「ためのステップ」という正確な句がそのような制限の冒頭に記載されている場合にのみ、請求項の制限について適用されると明示的に定義されており、そのような正確な句が請求項における制限で使用されていない場合、35U.S.C.§112(f)または35U.S.C.§112(6)は適用されない。
【関連出願への相互参照】
【0208】
35U.S.C.§119(e)に従い、この出願は、2022年3月31日に出願された米国仮特許出願第63/326,104号の出願日に優先権を主張し、その出願の開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図1A
図1B
図2A
図2B
【手続補正書】
【提出日】2024-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートであって、
(a)単一ドメイン抗体、および
(b)前記単一ドメイン抗体にコンジュゲートされた1つ以上のポリマタンデム蛍光染料
を備え、前記1つ以上のポリマタンデム蛍光染料は、
(i)非共役繰り返し単位を備えるポリマ骨格、
(ii)各々が独立して前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された複数のペンダントドナーフルオロフォア、および
(iii)前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された1つ以上のペンダントアクセプタフルオロフォア
を備え、ペンダントドナーフルオロフォアおよびペンダントアクセプタフルオロフォアはエネルギ伝達関係にある、コンジュゲート。
【請求項2】
前記単一ドメイン抗体は、細胞内抗原または細胞表面抗原に特異的に結合する、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
前記単一ドメイン抗体は、一次抗体に特異的に結合する、請求項に記載のコンジュゲート。
【請求項4】
前記コンジュゲートは、前記単一ドメイン抗体にコンジュゲートされた2つ以上のポリマタンデム蛍光染料を備える、請求項に記載のコンジュゲート。
【請求項5】
前記ポリマタンデム蛍光染料は、式
【化1】
により記載され、
ここで、非共役繰り返し単位の前記ポリマ骨格は、それぞれ独立して非共役コモノマであるSMおよびSMコモノマを備え、
各Dは独立して、SMに連結されたペンダントドナーフルオロフォアであり、
各Aは独立して、SMに連結されたペンダントアクセプタフルオロフォアであり、
xは75モル%以上であり、
yは25モル%以下である、
請求項に記載のコンジュゲート。
【請求項6】
前記ペンダントドナーフルオロフォアは、互いにエネルギ伝達近位に構成される、請求項に記載のコンジュゲート。
【請求項7】
前記ペンダントドナーフルオロフォアは、水可溶化基で置換されている、請求項に記載のコンジュゲート。
【請求項8】
前記アクセプタフルオロフォアは、低分子フルオロフォアである、請求項1~7のいずれかに記載のコンジュゲート。
【請求項9】
標的分析物の存在についてのサンプルを評価する方法であって、
(a)前記サンプルを、前記標的分析物を特異的に結合してアッセイ組成物を生成する単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートと組み合わせることと、
(b)任意のコンジュゲート-標的分析物結合複合体の存在について前記アッセイ組成物をアッセイして、前記標的分析物が前記サンプル中に存在するかどうかを評価することと
を含み、前記コンジュゲートは、
(1)単一ドメイン抗体、および
(2)前記単一ドメイン抗体にコンジュゲートされた1つ以上のポリマタンデム蛍光染料
を備え、前記1つ以上のポリマタンデム蛍光染料は、
(i)非共役繰り返し単位を備えるポリマ骨格、
(ii)各々が独立して前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された複数のペンダントドナーフルオロフォア、および
(iii)前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された1つ以上のペンダントアクセプタフルオロフォア
を備え、ペンダントドナーフルオロフォアおよびペンダントアクセプタフルオロフォアはエネルギ伝達関係にある、方法。
【請求項10】
前記標的分析物は、細胞に関連する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記標的分析物は、細胞表面マーカまたは細胞内標的である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アッセイすることは、前記アッセイ組成物をフローサイトメトリ分析することを備える、請求項9~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
単一ドメイン抗体/ポリマ蛍光タンデム染料コンジュゲートを備え、前記コンジュゲートは、
(a)単一ドメイン抗体、および
(b)前記単一ドメイン抗体にコンジュゲートされた1つ以上のポリマタンデム蛍光染料
を備え、前記1つ以上のポリマタンデム蛍光染料は、
(i)非共役繰り返し単位を備えるポリマ骨格、
(ii)各々が独立して前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された複数のペンダントドナーフルオロフォア、および
(iii)前記ポリマ骨格の非共役繰り返し単位に連結された1つ以上のペンダントアクセプタフルオロフォア
を備え、ペンダントドナーフルオロフォアおよびペンダントアクセプタフルオロフォアはエネルギ伝達関係にある、キット。
【国際調査報告】