(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-05-20
(54)【発明の名称】発電機の位相リングハンドリングツール、ハンドリングツールを含み、発電機内の1つまたは複数の位相リングを整備または設置するシステム及び、前記システムで発電機の1つまたは複数の位相リングを整備または設置する方法
(51)【国際特許分類】
B66F 9/18 20060101AFI20250513BHJP
B66F 9/06 20060101ALI20250513BHJP
B66F 9/08 20060101ALI20250513BHJP
【FI】
B66F9/18 B
B66F9/06 A
B66F9/06 T
B66F9/08 C
B66F9/18 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024564977
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2024-11-28
(86)【国際出願番号】 IB2022054290
(87)【国際公開番号】W WO2023002261
(87)【国際公開日】2023-01-26
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴイヨ、ロマン マリー-ピエール パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ブリューヤール、リュック アンドレ マリー
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA01
3F333AB13
3F333AE21
3F333AE38
(57)【要約】
【課題】発電機の位相リングハンドリングツール、発電機内の1つまたは複数の位相リングを整備または設置する。
【解決手段】
発電機の位相リングハンドリングツール(24)、位相リング搭載ツール(26)、ベースローダ(28)、および、ハンドリングツール、装填ツール、ベースローダ(28)を使用して、発電機(12)に1つまたは複数の位相リング(20)を整備または取り付ける。位相リング(20)は、ピックアップして発電機(12)まで運搬し、発電機(12)に挿入し、発電機(12)内で調整し、取り外すことができる。発電機(12)内でのリングの取り付け、取り外し、修理作業ではクレーンの使用を避けることができ、発電機(12)の停止期間を短縮できる。取り付け、取り外し、修理作業にクレーンを使用しないことで、これらの作業を行う作業員の安全性が向上する。また、リングの搬送、配置、取り付け、取り外し、調整の精度が向上し、リングや発電機(12)が損傷するリスクを最小限に抑えることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動発電機の位相リングハンドリングツール(24)であって、
前後方向に移動するように構成されたベースユニット(88)であって、ベースユニット(88)は、前端部分(90)、後端部分(92)、および前端部分(90)と後端部分(92)との間の垂直に延びる部分(94)を含む、ベースユニット(88)と、
ベースユニット(88)に結合された垂直支持構造(96)であって、垂直支持構造(96)は、垂直に延びる部分(94)に向かって傾斜し、垂直に延びる部分(94)から離れるように傾斜するように構成される、垂直支持構造(96)と、
垂直支持構造(96)に結合された位相リング支持ヘッド(98)であって、位相リング支持ヘッド(98)は、ベースユニット(88)の垂直に延びる部分(94)に沿って回転し、移動するように構成される、位相リング支持ヘッド(98)と、
位相リング支持ヘッド(98)に結合された少なくとも3つの支持アーム(100)と、
を含み、
少なくとも3つの支持アーム(100)は、1つまたは複数の発電機位相リング(20)を支持するように構成され、
垂直に延びる部分(94)は、第1の駆動システム(102)を備えた垂直支持構造(96)に結合され、
第1の駆動システム(102)は、ベースユニット(88)の垂直に延びる部分(94)に向かって、およびそれから離れるように垂直支持構造(96)を傾斜させるように構成される、発電機位相リングハンドリングツール(24)。
【請求項2】
第1の駆動システム(102)は、ねじ駆動システム(102)である、請求項1に記載の発電機位相リングハンドリングツール(24)。
【請求項3】
第1の駆動システム(102)は、手動操作のみ、および/または手動動力のみである、請求項1に記載の発電機位相リングハンドリングツール(24)。
【請求項4】
垂直支持構造(96)は、位相リング支持ヘッド(98)に動作可能に結合された第2の駆動システム(114)を含み、第2の駆動システム(114)は、ベースユニット(88)の垂直に延びる部分(94)に対して位相リング支持ヘッド(98)を回転させるように構成されたねじ駆動システム(114)である、請求項1に記載の発電機の位相リングハンドリングツール(24)。
【請求項5】
第2の駆動システム(114)は、ねじ駆動システム(114)であり、かつ/または第2の駆動システム(114)は、手動操作のみであり、かつ/または第2の駆動システム(114)は、手動動力のみである、請求項4に記載の発電機の位相リングハンドリングツール(24)。
【請求項6】
垂直支持構造(96)は、位相リング支持ヘッド(98)を垂直支持構造(96)に沿って垂直方向に変位させるように構成された第3の駆動システム(126)を含む、請求項1に記載の発電機位相リングハンドリングツール(24)。
【請求項7】
第3の駆動システム(126)は、位相リング支持ヘッド(98)を垂直支持構造(96)に沿って垂直方向に変位させるように構成されたチェーンホイストアセンブリ(126)を含む、請求項6に記載の発電機位相リング処理ツール(24)。
【請求項8】
チェーンホイストアセンブリ(126)は、垂直支持構造(96)上に配置され、垂直に延びる間隔を置いたレール(134)と、位相リング支持ヘッド(98)を固定し、垂直に延びる間隔を置いたレール(134)に沿って移動するように構成された位相リング支持ヘッドトロリー(136)と、位相リング支持ヘッドトロリー(136)と作動的に結合され、位相リング支持ヘッドトロリー(136)を垂直に延びる間隔を置いたレール(134)に沿って垂直方向に移動するように構成されたプルチェーン(128)とを含む、請求項7に記載の発電機位相リングハンドリングツール(24)。
【請求項9】
位相リング支持ヘッドトロリー(136)は、垂直支持構造(96)に対して横方向に向いた水平に延びる間隔を置いたレール(138)と、位相リング支持ヘッドトロリー(136)に作動的に結合されたねじ駆動システム(140)とを含み、ねじ駆動システム(140)は、位相リング支持ヘッドトロリー(136)を水平に延びる間隔を置いたレール(138)に沿って移動させ、位相リング支持ヘッドトロリー(136)を垂直支持構造(96)に対して横方向に移動させるように構成される、請求項8に記載の発電機位相リング取扱ツール(24)。
【請求項10】
第3の駆動システム(126)が手動操作のみで、および/または手動動力のみで動力を供給する、請求項6に記載の発電機の位相リングハンドリングツール(24)。
【請求項11】
ベースユニット(88)の後端部分(92)は、1つまたは複数の発電機位相リング(20)の重量に対抗するためのウェイトアセンブリ(146)を含む、請求項1に記載の発電機位相リングハンドリングツール(24)。
【請求項12】
発電機位相リングハンドリングツール(24)は、ベースユニット(88)を支持する少なくとも1つのベースローダ(28)をさらに含み、ベースローダ(2 8)は、ベースユニット(88)を、当該1つ、2つまたはそれ以上のレール(68)に沿って前後方向に移動させるように構成された1つ、2つまたはそれ以上のレール(68)を含み、ベースローダ(28)は、フォークリフトのフォークを受け入れるように構成された産業車両用カップリング受容部(148)を含む、請求項1に記載の発電機位相リングハンドリングツール(24)。
【請求項13】
発電機位相リング取扱ツール(24)は、少なくとも2つの前記ベースローダ(28)を含み、少なくとも1つのベースローダー(28)は、上面(62)および底面(64)を有するプラットフォーム(60)と、プラットフォーム(60)の底面(64)に結合された少なくとも2つの底面ビーム(66)とを含み、底面ビーム(66)は、プラットフォーム(60)よりも長く、少なくとも1つのベースローダ(28)を別のベースローダ(28)上で支持するように構成される、請求項1に記載の発電機位相リング取扱ツール(24)。
【請求項14】
発電機(12)内の1つまたは複数の位相リング(20)の整備または設置を行うためのシステムであって、
1つまたは複数の位相リング(20)が地面に対して平行であり、かつ地面に対して垂直である場合に、1つまたは複数の位相リング(20)を支持するように構成された位相リング搭載ツール(26)と、
請求項1から13のいずれかに記載された位相リングハンドリングツール(24)と、を含む、システム。
【請求項15】
位相リング搭載ツール(26)は、
第1の端部分(32)、第2の端部分(34)、および第1の端部分(32)と第2の端部分(34)との間の中央部分(36)を含むフレーム構造(30)であって、フレーム構造(30)は、第1の端部(32)から第2の端部(34)まで延びる間隔を空けたビーム(38)を有している、フレーム構造(30)と、
第1の端部分(32)において間隔を空けたビーム(38)のそれぞれから外向きに延びる第1の端部突出ビーム(40)と、
第2の端部分(34)において間隔を空けたビーム(38)のそれぞれから外向きに延びる第2の端部突出ビーム(42)と、
第1の端部分(32)から第2の端部分(34)まで延びる間隔を空けたビーム(38)に幾何学的な安定性をもたらす中間部分(36)におけるトラスアセンブリ(44)と、
間隔を空けたビーム(38)に平行に、1つまたは複数の位相リング(20)を支持するように構成される少なくとも3つのアーム(54)と、を含み、
第2の端部分(34)は、位相リング搭載ツール(26)を直立位置で支持するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
位相リング搭載ツール(26)は、さらに、第1の端部分(32)と中間部分(36)との間のフレーム構造(30)に結合された第1のアームブラケット支持アセンブリ(50)と、中間部分(36)と第2の端部分(34)との間でフレーム構造(30)に結合された第2のアームブラケット支持アセンブリ(52)とを含み、
第1のアームブラケット支持アセンブリ(50)は、少なくとも1つの前記アーム(54)を含み、第2のアームブラケット支持アセンブリ(52)は少なくとも2つのアーム(54)を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
第1のアームブラケット支持アセンブリ(50)は、2つのアーム(54)を含み、第2のアームブラケット支持アセンブリ(52)は、4つのアーム(54)を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
位相リングハンドリングツール(24)はベースローダ(28)を含み、
ベースローダ(28)は、
上面(62)および底面(64)を有するプラットフォーム(60)と、
プラットフォーム(60)の底面(64)に結合された複数の底面ビーム(66)と、
プラットフォーム(60)の上面(62)に結合された1つ、2つまたはそれ以上のレール(68)と、
位相リングハンドリングツール(24)を受け入れ、その上に位相リングハンドリングツール(24)を載せた状態で、前記1つまたはそれ以上のレール(68)に沿って走行するように構成された位相リングハンドリングツール用キャリッジ(70)と、を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
発電機(12)における1つまたは複数の位相リング(20)の整備または取り付けのためのシステムであって、
システムは、1つまたは複数の位相リング(20)を受け入れるように構成された位相リング搭載ツール(26)と、請求項1から12のいずれかに記載された位相リングハンドリングツール(24)と、を含み、
位相リングハンドリングツール(24)は、1つまたは複数の位相リング(20)を位相リング搭載ツール(26)から取り外し、発電機(12)への1つまたは複数の位相リング(20)の取り付けを容易にするように構成され、
方法は、
位相リング搭載ツール(26)上に、位相リング搭載ツール上に組み立てられた1つまたは複数の位相リングを得るために、1つまたは複数の位相リング(20)を位相リング搭載ツール上に組み立てるステップと、
位相リング搭載ツール(26)が水平位置にある場合、
組み立てられた1つまたは複数の位相リング(20)とともに位相リング搭載ツール(26)を直立位置まで上昇させるステップと、
位相リングハンドリングツール(24)を用いて位相リング(20)を位相リング搭載ツール(26)から取り外すステップと、
位相リングハンドリングツール(24)を用いて、1つまたは複数の発電機位相リング(20)を発電機(12)に設置するステップと、を含む、方法。
【請求項20】
位相リング搭載ツール(26)を直立位置まで上昇させるステップの後、位相リングハンドリングツール(24)を用いて位相リング搭載ツール(26)から1つまたは複数の位相リング(20)を取り外すステップの前に、位相リングハンドリングツール(24)で1つまたは複数の位相リング(20)を発電機(12)から取り外すステップ、
または、
位相リングハンドリングツール(24)を用いて位相リング搭載ツール(26)から1つまたは複数の位相リング(20)を取り外すステップの後、位相リングハンドリングツール(24)を用いて発電機(12)に1つまたは複数の発電機位相リング(2 20)を位相リングハンドリングツール(24)を用いて発電機(12)に設置するステップの前に、位相リングハンドリングツール(24)を用いて位相リング(20)を1つ以上の発電機(12)から取り外すステップ
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
発電機(12)は、原子力発電所における原子力蒸気源と結合されている、
発電機(12)は、化石燃料発電所における化石蒸気源と結合されている、
または、
発電機(12)は、ステータを含むモックアップである、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示の実施形態は、概して発電機に関し、より具体的には、発電機ステータの端部を囲む位相リングの設置および修理(installation and service of phase rings)に関する。
【技術分野】
【0002】
タービンによって駆動される発電機は、一般的に電力会社によって電気エネルギーを生成するために使用される。水素冷却式または液体冷却式発電機(a hydrogen or liquid cooled generator)などの発電機は、通常、接続されたステータバーから形成されたステータ巻線を有するステータを収容するケーシングを含む。ステータを囲む位相リングは、ステータ巻線に接続されている。ケーシングを貫通するブッシングは、位相リングと接続されている。このようにして、ステータ巻線、位相リング、およびブッシングの間に電気的接続が形成され、ステータからケーシングを通して送電網に電気エネルギーを伝送することが可能になる。
【0003】
冷却剤の漏れ(Leakage of coolant)は、位相リングとステータ巻線の接続部におけるろう付け接合部の腐食につながる可能性がある。これにより、いずれかのろう付け接合部(brazed joints)で漏れが検出された場合、位相リングを交換する必要が生じる可能性がある。位相リングの交換は、発電機の巻き直し時(during generator rewinds)に実施することができる。位相リングを新しい位相リングに交換するには通常、クレーンが使用される。例えば、クレーンを使用して使用済みの位相リングを発電機から取り外し、新しい位相リングをピックアップし、発電機まで運び、発電機内に設置しやすい位置に新しい位相リングを配置することができる。クレーンを使用して位相リングを設置または取り外す作業は、時間がかかり、面倒なプロセスであり、場合によっては20日間を要することもある。クレーンを使用して位相リングの取り付けや取り外しを行うのは時間がかかり面倒な作業であるだけでなく、発電所のオペレータにとって、そのような作業を行うのに利用可能なクレーンを見つけることもまた課題となり得る。必要な作業を、予定通りに完了できるという確信を持って計画できない場合、利用可能なクレーンが確保できるかどうかが不確実であることは、サービス提供の観点から課題となる。発電所のオペレータにとって、20日間にも及ぶ発電機の停止は、非常に大きなコストとなる。
【0004】
位相リングの設置中や一般的なメンテナンス作業中にクレーンを使用することに伴うその他の懸念事項は、そのような作業を行う作業員の安全に関わるものである。例えば、クレーンが位相リングに関連する荷重を制御することが困難な場合がある。これにより位相リングの制御不能な揺れや回転が生じ、位相リングの取り付けや整備作業を行う作業員にとって危険な状態となる可能性がある。また、位相リングの制御不能な揺れや回転により、クレーンが意図せずに接触することで位相リングや発電機の他の部品が損傷するリスクが高まる可能性もある。
【0005】
米国特許第7032289号は、ステータバーハンドラを開示している。このハンドラは、位相リングの取り扱いに適しておらず、軸方向および垂直方向への移動のみが可能である。
【0006】
したがって、発電機で使用される位相リングの取り付け、取り外し、および整備を容易にするために、クレーンの使用に頼らないアプローチが必要とされている。さらに、作業者の安全を損なうことなく、発電機の整備に要する時間を短縮できるアプローチが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【0008】
以下では、特許請求の範囲によって提供される保護の範囲に含まれる場合も含まれない場合もある、様々な実施形態の一般的な説明を行う。この一般的な説明の目的は、発明の目的および機能を最も広い意味で説明し、その様々な可能な修正について議論することである。
【0009】
発電機の位相リングハンドリングツール(an electric generator phase ring handling tool)の様々な実施形態は、発電機に配備された位相リングの設置、取り外し、および修理(installation, removal and servicing)を容易にするためにクレーンを使用する必要性を回避する。さらに、発電機の位相リングハンドリングツールの実施形態は、発電機から巻線を外すことなく発電機の修理を行うことを可能にし、それによって、当該発電機の修理に必要な時間をさらに短縮する。一実施形態において、発電機位相リングハンドリングツールは、前後方向に移動するように構成されたベースユニットを含む。ベースユニットは、前端部分、後端部分、および前端部分と後端部分との間の垂直に延びる部分(a front end part, a back end part and a vertical extending part between the front end part and the back end part)を含む。この実施形態において、ツールは、ベースユニットに結合された垂直支持構造(vertical support structure)を含み、垂直支持構造は、垂直に延びる部分(vertical extending part)に向かって、および垂直に延びる部分から離れるように傾斜するように構成される。このツールは、さらに、垂直支持構造に結合された位相リング支持ヘッド(phase ring support head)を含む。位相リング支持ヘッドは、ベースユニットの垂直に延びる部分に沿って回転および移動するように構成されている。このツールは、位相リング支持ヘッドに結合された少なくとも3つの支持アームを含み、前記少なくとも3つの支持アームは、1つまたは複数の発電機の位相リングを支持するように構成されている。3つのアームを使用することで、2つのアームでは達成できない安定したグリップが得られる。同時に、3本のアームを使用することで、発電機内での最大の操縦性が得られる。より安定したグリップを提供するために、例えば4本、5本、6本、7本など、より多くの支持アームをこのツールで使用することができる。このツールでは、垂直に延びる部分が、第1の駆動システムにより垂直支持構造に結合されている。第1の駆動システムは、ベースユニットの垂直に延びる部分に向かって、およびそこから離れるように垂直支持構造を傾けるように構成されている。
【0010】
ベースユニットが前後方向に移動し、垂直支持構造が垂直に延びる部分に向かって傾き、そこから離れるように傾き、位相リング支持ヘッドが、それに結合された支持アームとともに垂直に延びる部分に沿って回転し、移動され得る。それに結合された支持アームとともに、1つまたは複数の位相リング(a phase ring or rings)の据え付けおよび発電機内の1つまたは複数の位相リングの整備を、クレーンを使用せずに、発電機内に巻線が据え付けられたままの状態で行うために必要な、あらゆる方向へのツールの移動を提供する。
【0011】
そのツールは、任意の大きさの発電機で使用することができる。したがって、例えば、そのツールは、Arabelle(登録商標:アラベル)級の原子力蒸気タービンと組み合わせた最大の発電機、または化石燃料ボイラーの蒸気源で動作するより小型の発電機で使用することができる。
【0012】
一実施形態では、第1の駆動システムは、手動操作のみ、および/または手動動力のみとすることができる。
【0013】
一実施形態では、垂直支持構造は、位相リング支持ヘッドに動作可能に結合された第2の駆動システムを含み、第2の駆動システムは、ベースユニットの垂直に延びる部分に対して位相リング支持ヘッドを回転するように構成される。
【0014】
別の実施形態では、第2の駆動システムはねじ駆動システム(screw drive system)であり、および/または第2の駆動システムは手動操作(hand-operated)のみであり、および/または手動動力(hand-powered)のみである。
【0015】
一実施形態では、垂直支持構造は、垂直支持構造に沿って位相リング支持ヘッドを垂直方向に変位させるように構成された第3の駆動システムを備える。第3の駆動システムは、垂直支持構造に沿って位相リング支持ヘッドを垂直方向に変位させるように構成されたチェーンホイストアセンブリ(chain hoist assembly:チェーン持ち上げ組立体)を備えることができる。さらに、チェーンホイストアセンブリは、垂直支持構造上に配置された垂直方向に延びる間隔を空けたレーリング、それに固定され、垂直方向に延びる間隔を空けたレーリングに沿って移動するように構成された位相リング支持ヘッドトロリー(phase ring support head trolley)、および位相リング支持ヘッドトロリーと動作可能に結合され、垂直方向に延びる間隔を空けたレーリング(railing:柵、垣)に沿って位相リング支持ヘッドトロリーを垂直方向に並進させるように構成されたプルチェーン(pull chain:引きチェーン)から構成することができる。さらに、位相リング支持ヘッドトロリーは、垂直支持構造に対して横方向に配向する水平方向に延びる間隔を空けたレーリング、および位相リング支持ヘッドトロリーに作動的に結合されたねじ駆動システムを備え、ねじ駆動システムは、水平方向に延びる間隔を空けたレーリングに沿って位相リング支持ヘッドトロリーを並進させ、垂直支持構造に対して位相リング支持ヘッドトロリーを横方向に移動させるように構成されている。
【0016】
別の実施形態では、第3の駆動システムは手動操作のみ、および/または手動動力のみ(the third drive system is only hand-operated and / or only hand-powered)である。
【0017】
さらに別の実施形態では、ベースユニットの後端部分は、前記1つまたは複数の発電機位相リングの重量に対抗するためのウェイトアセンブリ(weight assembly)を含む。この特定の重量配置は、ツールを安定させ、重心をツールの中心に向かって移動させるのに有益である。
【0018】
別の実施形態では、発電機位相リングハンドリングツールは、ベースローダ上にベースユニットを支持するためのベースローダをさらに備え、ベースローダは、ベースユニットを、当該ベースローダに沿って前後方向に移動させるように構成された1つ、2つまたはそれ以上のレールを含み、ベースローダは、フォークリフトのフォークを受け入れるように構成された産業車両連結レセプタクル(industrial vehicle coupling receptacles)を含む。フォークリフトで安全に運搬できる前記ベースローダにツールを載せることで、発電所内でのツールの運搬が容易になる。また、発電所内では、例えばクレーンと比較してフォークリフトの方が数多く利用できるため、ツールの利用可能性も高くなる。その結果、ベースローダとツールを併用することで、発電機からの1つまたは複数の位相リングの取付けまたは取外し、あるいはサービス(修理)または取付けの準備および実施がさらに迅速化される。別の実施形態では、ベースローダは取付け具を備えることができ、これによりクレーンと協働するように構成することができる。したがって、当該クレーンを使用してベースローダ上のツールを搬送することも可能となる。
【0019】
発電機の位相リングハンドリングツールは、ベースユニット、垂直支持構造、位相リング支持ヘッド、および複数の支持アームを含む位相リングハンドリングツールの構成要素のうちの1つまたは複数を移動させることを容易にする複数の作動ツール(a number of actuation tools)をさらに含むことができる。作動ツールは、手動式および/または手動操作式とすることができる。例えば、ベースユニットは、ベースユニットを前後方向に移動させるトロリーシステムと協働するように構成することができる。ねじ駆動システムは、垂直支持構造とベースユニットの垂直に延びる部分と作動可能に結合して、垂直支持構造をベースユニットの垂直に延びる部分に対して傾斜させることができる。さらに、ねじ駆動システムは、位相リング支持ヘッドに動作可能に結合されて、位相リング支持ヘッドを垂直支持構造およびベースユニットの垂直に延びる部分に対して回転させることができる。一例では、前述のねじ駆動システムは、ねじを駆動して対応する方向で構成部品を並進させるように構成されたねじおよびハンドホイールを含むことができる。
【0020】
少なくとも3つの支持アームは、1つまたは複数の位相リングの支持を容易にするために、いくつかの配置のうちのいずれかで構成することができる。例えば、各支持アームは、他の支持アームから所定の距離だけ離間させることができる。位相リング支持ヘッドから半径方向に外側に延びることができる支持アームは、ピックアップ、輸送、設置、取り外し、およびメンテナンス中に位相リングを支持する任意の数の間隔配置で構成することができる。さらに、各支持アームは、位相リング支持ヘッドから遠位側の端部に、位相リングを支持するように構成されたグリッパー部分(gripper portion)を含むことができる。グリッパー部分は、1つまたは複数の位相リングの内側側面または1つまたは複数の位相リングの外側側面から、1つまたは複数の位相リングを支持することができる。
【0021】
一部の実施形態では、1つの支持アームは、1つまたは複数の位相リングを当該1つまたは複数の位相リングの内側から支持するグリッパー部分を含み、他の、例えば2つのアームは、1つまたは複数の位相リングを1つまたは複数の位相リングの外側から支持するグリッパー部分を含む。上記で定義された把持部分を有する3つのアームの特定の構成は、アームの数を増やす必要なく、本発明によるツールを使用する際に、1つまたは複数の位相リングを最も安定して把持するという点で有益である。
【0022】
本明細書で説明した位相リングハンドリングツールを使用すると、新しい位相リングをピックアップし、発電機まで運び、発電機への設置を容易にするために所定の位置に置くことができる。さらに、位相リングハンドリングツールは、使用済みの位相リングを発電機から取り外すことや、発電機に設置された位相リングの保守作業を容易にすることにも使用できる。これらの作業すべてにおいて、クレーンの使用を回避できるか、少なくとも最小限に抑えることができる。これらの作業を行うためにクレーンを必要としないため、1つまたは複数の位相リングの設置や保守作業を、クレーン待ちの列に並ぶ必要がない分、より迅速に、かつ/またはより柔軟に行うことができる。また、クレーンを使用する際に問題となっていた位相リングの制御不能な揺れや回転、旋回がもはや作業員に危害を加える問題ではなくなるため、作業員の安全性も向上する。さらに、位相リングハンドリングツールがさまざまな動きに対応できるため、クレーンを使用するよりも高い精度で位相リングの取り付け、取り外し、修理を行うことができる。これは、作業員が、発電機の他の要素に対する1つまたは複数の位相リングの位置を注意深く観察しながら、このツールを容易に調整できるという事実によってさらに強化される。その結果、位相リングハンドリングツールを使用することで、据付および保守作業中、ならびに保守または据付に要する時間中に位相リングおよび発電機の他の構成要素が損傷するリスクが大幅に最小化される。クレーンの使用が最小化される場合にも、同様の利点が得られる。
【0023】
さらに、実施形態では、位相リングハンドリングツールにより、整備または設置の全工程において、1つまたは複数の位相リングを常に支持することが可能になる。このツールの別の利点は、作業員が1つまたは複数の位相リングを手で保持(manually hold)する必要がないため、安全性が高まることである。
【0024】
ある実施形態では、位相リングハンドリングツールはベースローダを含むことができる。ベースローダは、上面と下面を有するプラットフォームと、プラットフォームの下面に結合された複数の下面ビームと、プラットフォームの上面に結合された1つ、2つまたはそれ以上のレールと、位相リングハンドリングツールを受け入れ、その上に位相リングハンドリングツールを載せた状態で1つまたはそれ以上のレールに沿って走行するように構成された位相リングハンドリングツール用キャリッジとを備えることができる。プラットフォームの底面に結合された複数の底面側ビームは、プラットフォームを支持し、プラットフォームと地面との間に空間を形成する。
【0025】
別の実施形態では、位相リングハンドリングツールは少なくとも2つのベースローダを含み、少なくとも1つのベースローダは上面と下面を有するプラットフォームと、プラットフォームの下面に結合された少なくとも2つの下面ビーム(two bottom side beams)とを含み、下面ビームはプラットフォームよりも長く、別のベースローダ上で少なくとも1つのベースローダを支持するように構成されている。この構成の下面ビームにより、本明細書で説明されている位相リングハンドリングツールと位相リング搭載ツールとの間の空間を固定することができる。これにより準備が容易になり、その結果、ツールの使用の全工程が迅速化される。さらに、下面ビームにより、2つのベースローダを互いに積み重ね、その上に位相リングハンドリングツールを配置した状態で搬送することができる。これにより、ツールが必要な場所への全ユニットの搬送がコンパクトで容易かつ迅速になる。また、より小型の位相リングハンドリングツールを使用することができ、これにより、ツールの使用および搬送がさらに容易になる。本明細書で説明した2つのベースローダを使用することで、1つのベースローダを発電機の隣に置き、もう1つのベースローダを、例えば、位相リング搭載ツール(phase ring loading tool)の隣に置くことができる。これにより、1つまたは複数の位相リングを搭載した位相リング搭載ツールのみを発電機に運搬すればよく、ベースローダを再配置する必要がないため、発電機のサービスをより迅速かつ安全に行うことができる。
【0026】
一実施形態では、発電機内への1つまたは複数の位相リングの装填、輸送、および設置において位相リングハンドリングツールと協働するように構成される位相リング搭載ツールが開示される。また、発電機からの1つまたは複数の位相リングの取り外しとも協働するように構成される。したがって、この実施形態は、発電機内への1つまたは複数の位相リングの整備または設置のためのシステムに関する。位相リング搭載ツールは、1つまたは複数の位相リングが地面に対して平行に、かつ地面に対して垂直に配向されたとき(when said one or more phase rings are oriented parallel to the ground and perpendicular to the ground)に、1つまたは複数の位相リングを支持するように構成される。位相リングハンドリングツールは、他の実施形態において定義され、位相リング搭載ツールから前記1つまたは複数の位相リングを取り外し、発電機における1つまたは複数の位相リングの設置を促進するために、システムにおいて使用される。同じまたは別の実施形態では、位相リングハンドリングツールは、発電機からの1つまたは複数の位相リングの取り外しを容易にし、1つまたは複数の位相リングを位相リング搭載ツールに配置する。
【0027】
ある実施形態では、位相リング搭載ツールは、第1の端部分、第2の端部分、および第1の端部分と第2の端部分との間の中間部分を含むフレーム構造を含むことができる。このフレーム構造は、第1の端部から第2の端部まで延びる間隔を空けたビーム(梁)と、第1の端部の各間隔を空けた梁から外向きに延びる第1の端部突出ビーム(first end protruding beams)と、第2の端部の各間隔を空けたビームから外向きに延びる第2の端部突出ビームとを有する。このフレーム構造は、第1の端部分から第2の端部分まで延びる間隔を空けたビームに幾何学的な安定性を提供するために、中間部分にトラスアセンブリを備えることができ、間隔を空けたビームに平行な、1つまたは複数の位相リングを支持するように構成された少なくとも3つのアームを備えることができ、第2の端部分は、位相リング搭載ツールを直立位置で支持するように構成される。
【0028】
別の実施形態では、位相リング搭載ツールは、第1の端部分と中間部分との間のフレーム構造に結合された第1のアームブラケット支持アセンブリと、中間部分と第2の端部分との間のフレーム構造に結合された第2のアームブラケット支持アセンブリとを含み得る。第1のアームブラケット支持アセンブリは少なくとも1つの前記アームを含み得、第2のアームブラケット支持アセンブリは前記少なくとも2つのアームを含み得る。
【0029】
さらに別の実施形態では、第1のアームブラケット支持アセンブリは2つのアームを含み、第2のアームブラケット支持アセンブリは4つのアームを含むことができる。この特定のアーム構成は、位相リング搭載ツールで支持される1つまたは複数の位相リングの安定性の観点で有益である。
【0030】
位相リング搭載ツールは、いくつかの異なる配置のうちのいずれかで操作することができる。例えば、位相リング搭載ツールは、水平方向の姿勢のままで1つまたは複数の位相リングを受け取るように構成することができる。別のシナリオでは、位相リングハンドリングツールを水平方向の姿勢から垂直方向の姿勢に傾けることで、1つまたは複数の位相リングを位相リング搭載ツールから取り外すことができる。位相リング搭載ツールでは、1つまたは複数の位相リングを準備することができ、これにより、より迅速な修理/設置が可能になる。例えば、13日以内に当該リングの交換を完了することができる。また、位相リング搭載ツールは、クレーンを使用して一度に6つの位相リングを傾けることができるため、位相リングの交換や設置時にクレーンの稼働率に影響されないという利点もある。この搭載ツールは、位相リングを傾けることなく、輸送用ボックスから位相リング搭載ツールへの取り付けを可能にする。これにより、位相リングの取り扱いが容易になり、作業員の安全性が向上する。さらに、このツールを使用すれば、発電機を停止することなく位相リングの点検が可能になるため、例えば、位相リングに何らかの問題が発生した場合でも、発電機を停止せずに問題を検出することができる。これにより、例えば、位相リングの互換性や欠陥により整備や設置が完了できないことが判明しただけで発電機が停止してしまう事態を防止できる。
【0031】
一実施形態では、発電機内の1つまたは複数の位相リングの整備または設置方法が提供される。この方法は、本明細書で開示されている発電機における1つまたは複数の位相リングの整備または設置のためのシステムの使用を含む。特に、このシステムは、本明細書で定義されているように、前記1つまたは複数の位相リングを受け取るように構成された位相リング搭載ツールと、前記位相リング搭載ツールから前記1つまたは複数の位相リングを取り外し、前記発電機における前記1つまたは複数の位相リングの設置を容易にする位相リングハンドリングツールとを備える。その方法は、位相リング搭載ツール上に前記1つまたは複数の位相リングを組み立て、位相リング搭載ツール上に組み立てられた1つまたは複数の位相リングを得ることを含み、位相リング搭載ツールは水平位置にある。この特定のステップにより、発電機がまだ稼働して電力を生産している間に、1つまたは複数の位相リングを組み立てることができる。これは、発電機の運転停止を制限できるため有益である。さらに、この位置で組み立てることにより、発電機内の1つまたは複数の位相リングの修理または取り付けの全工程をより確実に制御でき、全工程の安全性が向上する。発電機を停止させることなく、当該1つまたは複数の位相リングを点検できる可能性があるため、電力不足を最小限に抑えることができる。その後、位相リング搭載ツールを組み立てられた1つまたは複数の位相リングとともに直立位置まで上昇させるステップが続く。この特定のステップは、発電機が整備のために稼働していない時間の制限という点において、前述のステップと同じ利点がある。この昇降ステップは、昇降に適した任意の機械、例えばクレーンを使用して行うことができる。クレーンを使用してツールを昇降させる場合、当該クレーンを長時間使用する必要がないことに留意すべきである。つまり、クレーンの順番待ちは容易である。その後、本方法は、位相リングハンドリングツールを用いて位相リング搭載ツールから1つまたは複数の位相リングを取り外すことを含む。このステップの間、発電機は依然として電力を生成できることに留意すべきである。最後に、本方法は、位相リングハンドリングツールを用いて1つまたは複数の発電機位相リングを発電機に設置することを含む。
【0032】
実施形態では、本方法は特に発電機の整備に関するものである場合がある。整備のためには、すでに設置されている1つまたは複数の位相リングを発電機から取り外す必要がある。整備手順には、1つまたは少なくとも2つの位相リングハンドリングツールが関与し得る。一実施形態では、位相リング搭載ツールを直立位置まで上昇させるステップの後、位相リングハンドリングツールを用いて位相リング搭載ツールから1つまたは複数の位相リングを取り外すステップの前に、位相リングハンドリングツールを用いて発電機から1つまたは複数の位相リングを取り外すステップがさらに含まれる。この特定の整備では、位相リングハンドリングツールは1つだけでよく、1つまたは複数の位相リングの整備が必要な発電機に2つ以上の位相リングハンドリングツールを運搬するのに必要な時間と労力の観点で有益であることに留意すべきである。別の実施形態では、位相リングハンドリングツールを用いて位相リング搭載ツールから1つまたは複数の位相リングを取り外すステップの後、位相リングハンドリングツールを用いて発電機に1つまたは複数の発電機位相リングを取り付けるステップの前に、別の位相リングハンドリングツールを用いて発電機から1つまたは複数の位相リングを取り外すステップをさらに含む。
【0033】
一実施形態では、整備または設置の方法は、原子力発電所における原子力蒸気源と結合された発電機、または化石燃料発電所における化石蒸気源(fossil steam source)と結合された発電機、または発電機がモックアップであることを伴う。すべてのツールが化石燃料発電所および原子力発電所で使用される発電機の両方で使用できるわけではないことに留意すべきである。これは、一部の整備ツールが特定のサイズまたは構成の発電機に限定されるためである。本開示による位相リングハンドリングツールおよび位相リング取り付けツールは、あらゆるサイズおよび構成の発電機に使用することができる。特に、位相リングハンドリングツールおよび位相リング取り付けツールは、最大級の蒸気タービン(Arabelle(商標)クラス)と組み合わせた最大級の発電機、および化石燃料発電所で使用される最小の発電機に使用することができる。また、当該ツールは、発電機のモックアップを使用して、オペレータおよび保守チームのトレーニングにも使用でき、これにより、1つまたは複数の位相リングの保守または設置に必要な時間を短縮でき、保守または設置の安全性にも影響を与える。具体的には、実施形態では、当該方法は、チームのトレーニングにより、めったに起こらないが起こると重大なリスク事象の発生可能性を、起こる可能性が低いものから起こる可能性が極めて低いものにまで低減できる。
【0034】
本明細書で説明した位相リングハンドリングツール、位相リング搭載ツール、およびベースローダは、作業員を訓練する目的で、発電機に位相リングを取り付けることをシミュレートするシステムおよび方法でも使用することができる。この方法では、作業員の安全性を高めると同時に、これらの作業の品質および生産性を向上させることができる。これらの実施形態では、発電機のステータ端部のモックアップを提供することができる。ステータ端部のモックアップは、ステータ巻線を受けるように構成されたステータ本体の中心から径方向外側に延びる複数の軸方向スロットを有するステータ本体を含み得る。位相リングハンドリングツール、位相リング搭載ツール、およびベースローダは、モックアップのステータ端部における1つまたは複数の位相リングの取り付けを容易にするために使用され得る。
【0035】
「手動操作のみ:only hand-operated」という用語は、特定の部品またはツールがオペレータの手によって操作されることを意味する。一部の実施形態では、機械的および/または電子デバイスが当該部品またはツールの操作に使用されないことを意味する。手動操作のみで操作される部分を含む、本発明によるツールの実施形態は、発電機内で本発明によるツールを正確に操作し、本発明によるツールを迅速かつ正確に配置できるため、有益である。これは、巻線を有する発電機に対してサービスを行うために必要であり、ツールを迅速かつ正確に操作してサービスを行うことで、巻線を損傷するリスクを負うことなくサービスを行うことができる。
【0036】
「手動動力のみ:only hand-powered」という用語は、特定の部品またはツールが、その操作者の筋肉のみを使用して動力を供給されることを意味する。一部の実施形態では、機械装置が追加で当該部品またはツールに動力を供給しないことを意味する。手動動力のみの部品を含む本発明の実施形態は、発電機内の要素を損傷するリスクなしに、発電機内で本発明に従ってツールを安全に操作できるため有益である。有益な本願発明の実施形態は、手動操作のみで手動動力のみの両方(both only hand-operated and only hand-powered)で動力を供給する部品を組み込む。これにより、サービスを行ったり、新しい発電機を構築したりする作業者は、作業を迅速かつ正確に、発電機の部品を損傷させることなく行うことができる。
【0037】
本明細書および特許請求の範囲に開示された様々な実施形態は、任意の順序および数で組み合わせることができ、開示の一部から新しい実施形態を生み出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明は、添付の図面を参照しながら、非限定的な実施形態の以下の説明を読めばより良く理解されるであろう。
【
図1】本発明の一実施形態による発電機のステータ端部の概略図の透視図であり、
【
図2】本発明の一実施形態による発電機への取り付けに備えて位相リングを準備するために連動して動作する位相リングハンドリングツール、位相リング搭載ツール、およびベースローダの概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による発電機に位相リングを装填するために連動して動作する位相リングハンドリングツールおよびベースローダの概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態による位相リング搭載ツールのより詳細な図を示す概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態による
図4に描かれた位相リング搭載ツールのアームブラケット支持アセンブリのさらなる詳細を示す概略図である。
【
図6】位相リングを受け取るように構成された水平方向の位相リング搭載ツールを示す概略図であり、本発明の実施形態によるものである。
【
図7】位相リングを取り除くように構成された垂直方向の位相リングを有する、
図4に示された位相リング搭載ツールを示す概略図であり、本発明の実施形態によるものである。
【
図8】本発明の実施形態による位相リングハンドリングツールによって、位相リング搭載ツールが傾けられて、そこから位相リングがその後に取り除かれる様子を示す概略図である。
【
図9】本発明の実施形態による
図2および3に描かれたベースローダのさらなる詳細を示す概略図である。
【
図10】位相リングハンドリングツールキャリッジを伴わない、
図9に描かれたベースローダのさらなる詳細を示す概略図である。これは、本発明の実施形態によるものである。
【
図11】
図9および10に描かれたレールに沿って位相リングハンドリングツールキャリッジの並進を容易にするように構成された固定ピニオンラックシステムのより詳細な図を示す概略図である。
【
図12】本発明の一実施形態に従って垂直方向に傾斜された後に位相リング搭載ツールから位相リングを取り外す位置にある位相リングハンドリングツールを示す概略図である。
【
図13】本発明の一実施形態に従う位相リングハンドリングツールを示す透視概略斜視図である。
【
図14】
図14Aおよび14Bは、それぞれ、本発明の一実施形態による位相リングハンドリングツールの側面立面図および正面立面図を示す。
【
図15】本発明の一実施形態による位相リングハンドリングツールのベースユニットの垂直に延びる部分および垂直支持構造のより詳細な図を示す。
【
図16】本発明の一実施形態による位相リングハンドリングツールの位相リング支持ヘッドのより詳細な図である。
【
図17】本発明の一実施形態によるチェーンホイストアセンブリを備えた位相リングハンドリングツールの垂直支持構造のより詳細な図である。
【
図18】本発明の一実施形態による
図13、14B、17に示されている位相リング支持ヘッドブラケットのより詳細な図である。
【
図19】本発明の一実施形態による位相リング支持ヘッドに結合された位相リングハンドリングツールの複数の支持アームのより詳細な図である。
【
図20】
図20A~20Fは、本発明の実施形態による複数の支持アームの様々な間隔配置を示す。
【
図21】
図21Aおよび21Bは、本発明の実施形態による
図21Cに描かれた位相リングを支持するための支持アームのより詳細な図である。
【
図22】位相リングハンドリングツールと共に使用して、発電機への位相リングの取り付けをシミュレートし、従業者を訓練するための、本発明の一実施形態による発電機のステータ端部のモックアップを示す概略図であり、
【
図23】本発明の一実施形態による、
図22に描かれた発電機のステータ端部のモックアップとともに使用される位相リングハンドリングツールおよびベースローダを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
添付の図面を参照しながら、以下、本発明の例となる実施形態をより詳細に説明する。ただし、すべての実施形態が示されているわけではない。本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が該当する法的要件を満たすように提供されている。以降、同様の番号は同様の要素を指すことがある。
【0040】
ここで図を参照すると、
図1は、発電機12などの発電機のステータ端部10の概略図の透視図である。
図1に示されているように、発電機12は、ステータ巻線またはアーマチュア巻線(stator or armature windings)18が形成されたステータバーがステータの周方向に配設されたステータ16を収容するケーシング14を含む。ステータ16を取り囲む位相リング20は、ステータ巻線18に接続されている。ケーシング14を貫通してステータ16に達するブッシング22は、位相リング20に接続されている。本明細書で説明する様々な実施形態に関連する発電機12の構成要素を明確に説明するために、発電機12の一部を形成し得る他の構成要素は図示されていない。例えば、発電機12は、ステータ16内にマウント(搭載)されたロータおよびロータシャフトを含むことができる。ロータは、三相交流電圧のシステムによって給電されるステータ巻線18と相互作用することができる一定の磁界を発生させる界磁巻線に包まれることができる。界磁巻線とステータ巻線18の相互作用により生成された電気エネルギーは、巻線を包囲する位相リング20およびステータ16とケーシング14を通って位相リングに接続するブッシング22を介して、発電機12から送電網に送られる。
【0041】
場合によっては、位相リング20の整備が必要になることがある。位相リング20の整備には、位相リング20とステータ巻線18との接続部におけるろう付け接合部での冷却剤漏れが検出された後のリングの交換が含まれることがある。本明細書で説明されている種々の実施形態は、使用済みのリングの除去後に新しい位相リング20を取り付けることを対象としている。新しい位相リング20の取り付けに使用されることに加えて、実施形態は、例えば発電機の巻き直し中や、巻線がまだ発電機12に設置されている間などの日常的なメンテナンス中に利用することができる。また、実施形態は、ステータ巻線18がリングから切り離された後に位相リング20を発電機12から取り外す際にも有用である。
【0042】
一般に、本実施形態は、位相リング20の取り付け、整備、および取り外しに使用できる位相リングハンドリングツール、位相リング20を発電機12への取り付けに備えるために使用できる位相リング搭載ツール、および位相リングハンドリングツールおよび位相リング搭載ツールの両方と共に使用して位相リングの取り付け、取り外し、および整備を容易にするベースローダを対象とする。
図2は、発電機12への取り付け準備として、位相リングハンドリングツール24、位相リング搭載ツール26、およびベースローダ28が連携して動作する様子を示す概略図である。
図3は、位相リング20を発電機12に設置するためのシステムの一部として連動して動作する位相リングハンドリングツール24とベースローダ28の概略図である。位相リングハンドリングツール24、位相リング搭載ツール26、およびベースローダ28の詳細については、以下で説明する。
【0043】
図4は、本発明の一実施形態によれば、1つまたは複数の位相リングを受け入れるように構成することができる位相リング搭載ツール26のより詳細な図を示す概略図である。
図4に示されているように、位相リング搭載ツール26は、第1の端部分32、第2の端部分34、および第1の端部分と第2の端部分との間の中間部分36を有するフレーム構造30を含むことができる。フレーム構造30は、第1の端部分32から第2の端部分34まで延びる間隔を空けたビーム38を備えることができる。第1の端部突出ビーム40は、第1の端部分32の間隔を空けたビーム38の各々から外向きに延びることができ、第2の端部突出ビーム42は、第2の端部分34の間隔を空けたビーム38の各々から外向きに延びることができる。
図4に示されているように、第1の端部突出ビーム40は、ビーム40に安定性をもたらす安定化ブレース58を備えることができる。この点において、安定化ブレース58は、位相リング搭載ツール26が位相リング20の重量をさらに良好に支持できるように、フレーム構造30の第1の端部分32により多くの安定性をもたらすことができる。さらに、安定化ブレース58は、
図4および
図7に示されているように垂直方向であるか、または
図6に示されているようにリングがツール上に装填される間、水平方向であるかに関わらず、位相リング搭載ツール26上に配置された任意の位相リング20に安定化をもたらすことができる。
【0044】
フレーム構造30は、中間部分36にトラスアセンブリ44をさらに含み、第1の端部分32から第2の端部分34に延びる間隔を空けたビーム38、および第1の端部分32および第2の端部分34における突出ビーム40および42に、改善された幾何学的安定性を提供することができる。一実施形態では、トラスアセンブリ44は、第1の端部分32と中間部分36との間に第1のトラス46を含み、中間部分36と第2の端部分34との間に第2のトラス48を含むことができる。第1のアームブラケット支持アセンブリ50は第1のトラス46と結合することができ、第2のアームブラケット支持アセンブリ52は第2のトラス48と結合することができる。第1のアームブラケット支持アセンブリ50および第2のアームブラケット支持アセンブリ52は、それぞれ間隔を空けたビーム38から外側に突出するアーム54を含み得る。このように、第1のアームブラケット支持アセンブリ50および第2のアームブラケット支持アセンブリ52は、位相リング搭載ツール26によって受け取られ得る1つまたは複数の位相リング20を支持し得る。
【0045】
図4に示す一実施形態では、第1のアームブラケット支持アセンブリ50は、所定の間隔で配置された2つのアーム54を含み、第2のアームブラケット支持アセンブリ52は、所定の間隔で配置された4つのアーム54を含み、そのうちのいくつかのアームは異なる高さに配置される。第1のアームブラケット支持アセンブリ50および第2のアームブラケット支持アセンブリ52におけるアーム54の数は、限定するものではない。第1のアームブラケット支持アセンブリ50および第2のアームブラケット支持アセンブリ52では、より多くのアーム54、および場合によってはより少ないアームを配備できることが理解される。同様に、両ブラケット支持アセンブリ50、52におけるアーム54の位置決めは、変化させることができる。
【0046】
図5は、位相リング搭載ツール26のアームブラケット支持アセンブリ50、52で利用可能なアーム54のさらなる詳細を示す。一実施形態では、アーム54は、フレーム構造30に対して複数の位置のうちの1つに傾斜可能なアームとして構成することができる。さらに、アーム54は、位相リング20を受け取るためにアームの位置を所定の位置にロックしておくためのロックシステムを備えて構成することができる。
【0047】
位相リング搭載ツール26は、発電機に設置するための1つまたは複数の位相リングを受け取って支持する能力を向上させる他の構成要素を含み得る。例えば、
図4に示されているように、位相リング搭載ツール26は、フレーム構造30の第2の端部分34および中間部分36の周りに位置する支持脚56を含み得る。一実施形態では、支持脚56は間隔を空けたビーム38に対して引き込み可能である。このように、支持脚56は、位相リング搭載ツール26が
図4および7に描かれているような垂直方向に向いている場合、間隔を空けたビーム38から外側に延びることができる。あるいは、位相リング搭載ツール26が位相リングを受け取る際の典型的な位相リング搭載ツール26の向きである水平方向に向いた場合、支持脚56は内側に引っ込んで間隔ビーム38と面一になることができる。
【0048】
位相リング搭載ツール26を、位相リング20が載せられた状態で、位相リング搭載ツール26を水平方向から位相リングハンドリングツール24によって位相リングを取り外すことができる垂直方向へと移動させるために、位相リング搭載ツール26を水平位置から垂直位置へと傾斜させることができる。位相リング20が搭載された位相リング搭載ツール26は、重量物を持ち上げるように構成された多数の産業用機械のいずれかによって、水平位置から垂直位置に傾斜させることができる。例えば、
図8に示す一実施形態では、例えばワイヤロープ、チェーン、シーフ(wire ropes, chains and sheaves)などの吊り上げ装置および支持装置を備えたクレーン59によって、位相リング20が載せられた位相リング載置具26を水平位置から垂直位置に傾斜させることができる。
【0049】
位相リングハンドリングツール24にはいくつかの利点がある。例えば、上述の構成では、位相リングハンドリングツール24は最大6つの位相リングを保持することができる。さらに、位相リングハンドリングツール24を使用して位相リングに予荷重をかけることにより、作業者は、設置を開始する前に、位相リングに品質上の問題がないかを目視で検査することができる。このように、位相リングに関して問題がある場合には、発電機がオフラインである間ではなく、設置前にその問題に対処することができる。その結果、発電機の不要な停止を回避することができる。
【0050】
ここで、
図2および
図3に関して言及したベースローダ28について議論を移す。
図9は、本発明の実施形態によれば、位相リング搭載ツール26による位相リング20のローディングと、位相リングハンドリングツール24による発電機12内での位相リングの取り付けまたは取り外しとの両方を容易にするために動作可能であるベースローダ28のより詳細な図を示す。
図9に示されているように、ベースローダ28は、上面62および底面64を有するプラットフォーム60を含むことができる。複数の底面ビーム66は、プラットフォーム60の底面64に結合することができる。複数のレール68は、プラットフォーム60の上面62に結合することができる。位相リングハンドリングツールキャリッジ70は、位相リングハンドリングツール24を受け入れ、その上に位相リングハンドリングツール24を載せた状態で複数のレール68に沿って走行するように構成することができる。
図9には示されていないが、レール68と併用してベアリングを使用し、レールに沿った位相リングハンドリングツールキャリッジ70および位相リングハンドリングツール24の走行を容易にすることができる。
【0051】
図9に示されているように、複数の底面側ビーム66は、プラットフォーム60の底面64の第1の端部72からプラットフォーム60の底面64の第2の端部74まで延びるプラットフォーム60の中間部分に配置され、互いに間隔を空けて配置された2つのビームを含むことができる。プラットフォーム60の中間部分に位置する2つのビーム66は、それぞれプラットフォーム60の底面側64の第1および第2の端部72、74と垂直に一直線に並ぶ端部を有することができる。
図9は、複数の底面側ビーム66が、プラットフォーム60の底面側64の中間部分に位置する2つのビームを囲む2つの外側ビームをさらに含み得ることも示している。一実施形態では、2つの外側ビーム66は、プラットフォーム60の底面64の第1の端部72からプラットフォーム60の底面64の第2の端部74まで延びることができる。この点において、両外側ビーム66の一方の端部は、プラットフォーム60の底面64の第1および第2の端部72、74のうちの一方を越えて延びることができる。この構成により、プラットフォーム60の底面64の第1および第2の端部72、74の一方を越えて延びる外側ビーム66の端部は、位相リング搭載ツール26と動作可能に係合するように構成することができ、一方、プラットフォーム60の底面64における外側ビーム66の対向する端部は、0の底面64の反対側の端部は、例えば
図2および3に示されているようなフォークリフトのような、ベースローダ28および位相リングハンドリングツール24を位相リング搭載ツール26および発電機12に隣接する位置に配置した状態で運搬するのに動作可能な産業車両(industrial vehicle)76を受け入れるように構成することができる。一実施形態では、プラットフォーム60の底面64の第1の端部72は産業車両76を受けることができ、プラットフォーム60の底面64の第2の端部74は位相リング搭載ツール26に隣接して配置され、その上に載っている位相リング20の取り外しを容易にすることができる。
【0052】
図10および11は、ベースローダ28と共に使用して、位相リングハンドリングツールキャリッジ70を前後方向に移動させるトロリーシステム78の詳細を示す。特に、
図10は、
図9に描かれたベースローダ28から位相リングハンドリングツールキャリッジ70を取り除いて、トロリーシステム78のより多くの要素の図を提供しており、一方、
図11は、トロリーシステム78をより詳細に示している。一実施形態では、
図10および11に示されているように、トロリーシステム78は、レール68に沿って位相リングハンドリングツールキャリッジ70の並進を容易にするように構成された固定ピニオンラックシステム80を含み得る。
図10および11は、固定ピニオンラックシステム80が、ラック84と係合するように動作するピニオン82を含み得ることを示している。動作時には、ピニオン82の歯がラック84と噛み合い、ピニオン82の回転運動がラック84に沿った直線運動に変換される。同時に、ラック84を直線的に駆動すると、ピニオン82が回転駆動される。
図10および11には図示されていないが、ラック84に沿ったピニオン82の回転は、多数の作動装置のいずれかを使用することで達成することができる。ピニオン82とラック84との間の相互作用を促進するために使用できる作動装置の1つの例は、
図12に図示されているラチェットレンチ85である。この点において、ベースローダ28上に配置された場合、位相リングハンドリングツールキャリッジ70および位相リングハンドリングツール24は、ラチェットレンチを押し下げて前方向または後方向のいずれかに運動を与えることにより、前後に移動させることができる。
【0053】
図10および11を参照すると、ベースローダ28を位相リングハンドリングツール24および位相リング搭載ツール26と共に使用しやすくするために、ベースローダ28は、位相リングハンドリングツールキャリッジ70を後部位置にロックした状態で維持するように調整可能な複数のロックピン86を備えるように構成することができる。この機能は、ベースローダ28の輸送および取り扱い時に有益である。
【0054】
図9~11に関して説明したベースローダ28は、位相リングハンドリングツール24および位相リング搭載ツール26の両方に対して有用である。
図12に示す一実施形態では、ベースローダ28は、位相リングハンドリングツール24による位相リング20の取り外しを容易にするために、垂直方向に配向した位相リング搭載ツール26に隣接して配置することができる。例えば、ベースローダ28は、産業車両76(
図12には示さず)によって位相リング搭載ツール26に隣接して配置することができる。次に、産業車両76は、ベースローダ60のレール68に沿って走行するように位置決めできるように、ベースローダ28に位相リングハンドリングツール24を運ぶことができる。このようにして、位相リングハンドリングツール24は、位相リング20を位相リング搭載ツール26から取り外すのに十分近い位置に移動させることができる。産業車両76によっては、プロセスを迅速化するために、レール68上にすでに位置決めされた位相リングハンドリングツール24を備えたベースローダ28を位置決めすることが可能であることが理解される。いずれにしても、その後、位相リングハンドリングツール24は位相リング搭載ツール26から位相リング20を取り外すことができる。位相リング搭載ツール26から位相リング20が取り外されると、産業車両76を展開して、ベースローダ28および位相リング20を装填した位相リング搭載ツール24を、
図3に示されているような発電機12にリングを装填および設置する位置に配置することができる。別の実施形態では、ベースローダ28および位相リングハンドリングツール24を発電機12に隣接する位置に移動させて、使用済みの位相リングを発電機から取り外しやすくすることができる。
【0055】
ここで、ベースローダ28と連動して動作する際に、位相リング搭載ツール26から位相リング20を取り外し、発電機12へのリングの取り付けを容易にし、または発電機からの使用済みリングの取り外しを容易にする位相リングハンドリングツール24の構成要素の詳細について考察する。例えば、
図13は位相リングハンドリングツール24を形成し得る構成要素の一部の透視図を示し、
図14Aおよび14Bはそれぞれ位相リングハンドリングツールおよびその構成要素の側面立面図および正面立面図を示す。
図13および
図14Aに示されているように、位相リングハンドリングツール24は、前後方向に移動するように構成されたベースユニット88を含むことができる。ベースユニット88は、前端部(front end part)90、後端部(back end part)92、および前端部90と後端部92との間に設けられ、前端部と後端部との間の安定化を提供する垂直に延びる部分(vertical extending part)94を備えることができる。垂直支持構造96の下端部分に一組の車輪97を備えた垂直支持構造96は、ベースユニット88の前端部分90および垂直に延びる部分94に結合することができる。車輪97は、ベースユニット88とともに垂直支持構造96の軸方向の移動を容易にすることができる。
【0056】
位相リングハンドリングツール24は、
図13、14A、14B、および19に示されているように、複数の支持アーム100を支持することができる垂直支持構造96に結合された位相リング支持ヘッド98をさらに含むことができる。位相リング支持ヘッド98は、垂直支持構造96およびベースユニット88の垂直に延びる部分94に対して移動するように構成することができ、複数の支持アーム100は、位相リングハンドリングツール24の動作中に、1つまたは複数の発電機位相リング20を支持するように構成することができる。
【0057】
図13、14A、および14Bの位相リングハンドリングツール24は、発電機における位相リングの取り付けおよび取り外しを容易にするために、最大5度の移動(up to five degrees of movement)を行うように構成することができる。これらの移動の1つには、ベースユニット88の前後方向の移動が含まれる。前述の通り、位相リングハンドリングツール24はベースローダ28の位相リングハンドリングツールキャリッジ70上に配置することができる。位相リングハンドリングツール24を搭載した位相リングハンドリングツールキャリッジ70は、ベースローダ28の複数のレール68に沿って移動することができる。固定ピニオンラックシステム80を含むことができるベースローダ28のトロリーシステム78は、軸方向の移動を駆動するラチェットレンチなどの作動装置を押し下げることによって、レール68に沿った前後方向における位相リングハンドリングツール24および位相リングハンドリングツールキャリッジ70の並進を図ることができる。
【0058】
位相リングハンドリングツール24のできる別の移動の程度は、水平軸に沿った傾斜である。例えば、垂直支持構造96、位相リング支持ヘッド98、および複数の支持アーム100は、位相リングハンドリングツール24のベースユニット88の垂直に延びる部分94に向かって、またはそこから離れるように、水平軸に沿って傾斜することができる。一実施形態では、ねじ駆動システム102を垂直支持構造96およびベースユニット88の垂直に延びる部分94に作動的に結合して、垂直支持構造96、位相リング支持ヘッド98、および複数の支持アーム100の傾斜運動を実現することができる。ねじ駆動システム102は、垂直支持構造96およびベースユニット88の垂直に延びる部分94に結合されたねじ(screw)104と、ねじ104を駆動して垂直支持構造96の移動を 垂直支持構造96、位相リング支持ヘッド98、および垂直支持構造96に結合された複数の支持アーム100が垂直に延びる部分94に対して傾斜できるように、ベースユニット88の垂直に延びる部分94に対して垂直支持構造96を移動させるように構成されたハンドホイール106と、
【0059】
図15は、ねじ104およびハンドホイール106を含むねじ駆動装置102のより詳細な図を示す。
図15に示されているように、ねじ104は、垂直支持構造96の裏側から延びるねじブラケット108を介して、例えばナットおよびボルトアセンブリ110などの締結具によって所定の位置に固定される。ねじ104の反対側は、例えばナットおよびボルトアセンブリ110などの締結具によって所定の位置に固定される垂直に延びる部分94の裏面から延びるねじブラケット112を介して、垂直に延びる部分94に取り付けることができる。操作時には、手動でハンドホイール106を回すと、ねじ104が軸方向に直線運動し、その結果、垂直支持構造96がベースユニット88の垂直に延びる部分に向かって、またはそこから離れる方向に傾く。ハンドホイール106が回転する方向によって、垂直支持構造96がベースユニット88の前端部分90から離れるか、または前方に向かって移動するかが決まる。このように傾斜させることは、位相リング20に対する操作(挿入、調整、取り外し、ピックアップなど)を行う際に位相リングハンドリングツール24にとって有利である。
【0060】
位相リング支持ヘッド98の回転は、位相リングハンドリングツール24が発電機における位相リングの取り付けまたは取り外しの作業中に実行できる別の移動度である。例えば、
図13、14A、14B、および16は、位相リングハンドリングツール24が、ベースユニット88の垂直に延びる部分94および垂直支持構造96に対して位相リング支持ヘッド98を回転させるように構成された、位相リング支持ヘッド98に作動的に結合されたねじ駆動システム114を含むことができることを示している。ねじ駆動システム114の詳細は、
図16に示されている。
図16に示されているように、ねじ駆動システム114は、位相リング支持ヘッド98に結合されたねじ116と、ねじ116を駆動して位相リング支持ヘッド98をベースユニット88の垂直に延びる部分94および垂直支持構造96に対して回転させるように構成されたハンドホイール118とから構成することができる。一実施形態では、ねじ駆動システム114は、ウォームホイールと噛み合うねじの形態のウォームギアを備えたウォームねじシステム(a worm screw system with a worm gear)を含むことができる。
図16に示されているように、位相リング支持ヘッド98の裏側には、ねじ116およびハンドホイール118を固定する駆動ねじブラケット120を含めることができる。さらに、位相リング支持ヘッド98の裏面には、ねじ116およびハンドホイール118を固定し、ハンドホイール118およびねじ116によって与えられる回転並進運動に従って位相リング支持ヘッド98の回転を促進する駆動ねじ回転ブラケット122をさらに含めることができる。また、
図16は、位相リング支持ヘッド98の裏側に、ねじ駆動システム114の一部を固定するために使用できる取付ブラケット(mounting bracket)124をさらに含めることができることを示している。
図16に示されているように、位相リング支持ヘッド98の回転運動を与えるために使用されるねじ116の一部は、取付ブラケット124に結合することができる。このように位相リング支持ヘッド98を回転させる機能を有することは、位相リング20に対して挿入、調整、取り外し、およびピックアップなどの操作を行う際に位相リングハンドリングツール24にとって有利である。
【0061】
位相リング支持ヘッド98の垂直変位は、位相リングハンドリングツール24が発電機における位相リングの取り付けまたは取り外しの操作中に実行できる別の移動度である。例えば、
図13、14A、14B、および17は、位相リングハンドリングツール24が、垂直支持構造96に対して位相リング支持ヘッド98および支持アーム100を垂直方向に変位させるように構成されたチェーンホイストアセンブリ126を含むことができることを示している。チェーンホイストアセンブリ126は、少なくとも1つのフック130を備えたプルチェーン128を含むことができる。
図17に示されているように、フック130はプルチェーン128の中間位置に配置することができる。さらに、別のフック130を使用して、チェーンホイストアセンブリ126を、垂直支持構造96の上部部分に延びるチェーンホイスト支持バー132に固定することができる。
【0062】
チェーンホイストアセンブリ126は、垂直支持構造96上に配置された垂直方向に延びる間隔を空けたレーリング134をさらに含み得る。これに位相リング支持ヘッド98を固定する位相リング支持ヘッドトロリー136は、位相リング支持ヘッドおよび支持アーム100とともに、垂直方向に延びる間隔を空けたレーリング134に沿って移動するように構成されている。位相リング支持ヘッドトロリー136は、
図16に示されているように、位相リング支持ヘッド98の裏側で取付ブラケット124を受けるように構成されている。一実施形態では、プルチェーン128は位相リング支持ヘッドトロリー136と動作可能に結合されている。動作中、プルチェーン128は、チェーンが引かれる方向に応じて、垂直方向に延びる間隔を空けたレーリング134に沿って位相リング支持ヘッドトロリー136を垂直方向に移動させることができる。位相リング支持ヘッド98およびそれに固定された支持アーム100とともに位相リング支持ヘッドトロリー136を垂直方向に変位させることにより、位相リングハンドリングツール24が位相リング20に対して挿入、調整、取り外し、およびピックアップを含む操作を容易に行うことができる。
【0063】
位相リング支持ヘッドトロリー136は、位相リングハンドリングツール24がさらに別の方向移動を行うことができるように構成することができる。特に、位相リング支持ヘッドトロリー136は、垂直支持構造96およびベースユニット88の垂直に延びる部分94に対して側方方向に位相リング支持ヘッド98を移動させることができる。
図17および18に示されているように、位相リング支持ヘッドトロリー136は、垂直支持構造96に対して横方向に配向された水平方向に延びる間隔を空けたレーリング138から構成することができる。
図18は、水平方向に延びる間隔を空けたレーリング138に沿って位相リング支持ヘッドトロリー136を並進させるように構成された、位相リング支持ヘッドトロリー136に作動的に結合されたねじ駆動システム140を示す。この点において、ねじ駆動システム140は、位相リング支持ヘッドトロリー136を移動させることができ、したがって、ベースユニット88の垂直支持構造96および垂直に延びる部分94に対して、位相リング支持ヘッド98および支持アーム100を横方向に移動させることができる。
【0064】
図18に示されているように、ねじ駆動システム140は、位相リング支持ヘッドトロリー136の外側部分を通って延びるねじ142と、ねじ142を駆動して、ベースユニット88の垂直支持構造96および垂直に延びる部分94に対して位相リング支持ヘッド98を横方向に移動させるように構成されたハンドホイール144とを備えることができる。位相リング支持ヘッドトロリー136の後端側から見た
図18は、位相リング支持ヘッドトロリー136が位相リング支持ヘッド98の裏側の取付けブラケット124に結合できることを示している。動作中、ハンドホイール144を手動で回転させると、駆動ねじ142が、水平方向に延びる間隔を空けたレーリング138に沿って、位相リング支持ヘッドトロリー136に横方向の移動を与える。位相リング支持ヘッドトロリー136がレーリング138に沿って移動する横方向は、ハンドホイール144の回転方向によって決まる。位相リング支持ヘッド98および支持アーム100は、取付けブラケット124を介して位相リング支持ヘッドトロリー136に結合されているため、トロリーの横方向の移動により、位相リング支持ヘッド98および支持アーム100が横方向に移動することになる。このように位相リング支持ヘッド98および支持アーム100を横方向に移動させることができる機能は、位相リング20に対して挿入、調整、取り外し、ピックアップなどの操作を行う場合にも位相リングハンドリングツール24にとって有利である。
【0065】
位相リングハンドリングツール24は、手動で動力を供給するねじ駆動システム(102、114、140)と共に説明されているが、説明されている様々な実施形態を限定することを意図するものではない。手動で動力を供給するねじ駆動システムの使用は、発電機から位相リングを設置および取り外す作業を担当する作業員への負傷を回避できるという点で有利である可能性がある。さらに、手動式ねじ駆動システムは、発電機から位相リングを設置または取り外す際に、位相リングハンドリングツール24を操作する方法について作業者がより制御し、より正確にできるため、発電機の構成要素が損傷するリスクを最小限に抑えることができる。それにもかかわらず、位相リングハンドリングツール24は、モーター駆動式ねじ駆動システムで実施することができる。
【0066】
さらに、位相リングハンドリングツール24におけるねじ駆動システムの使用は、様々な実施形態を限定することを意図したものではないことが理解される。軸方向移動、傾斜、回転、垂直変位、および側方変位を含む位相リングハンドリングツール24の様々な構成要素に運動を与えるために、機械式または電気機械式のいずれであるかを問わず、他のタイプのアクチュエータを使用できることが企図されている。位相リングハンドリングツール24と共に使用して、このような動きを容易にするのに適した機械式または電気機械式アクチュエータの例としては、ロッドレスアクチュエータ(例えば、ベルトおよびプーリ、直線運動アクチュエータ、油圧アクチュエータ、空気圧アクチュエータ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
前述の構成要素に加えて、位相リングハンドリングツール24は、発電機から位相リングを取り付けたり取り外したりする際に実行される操作を容易にする他の要素を備えることができる。例えば、
図13および
図14Aに示されているように、ベースユニット88の後端部分92は、複数の支持アーム100によって支持される任意の位相リング20の重量に対抗するためのウェイトアセンブリ146を含んで構成することができる。この点において、ウェイトアセンブリは、位相リング20を持ち上げたり、位相リング20と共に走行したりする際に位相リングハンドリングツール24を安定させるのに役立つ。一実施形態では、ウェイトアセンブリ146は、位相リング20の重量をベースユニット88の周囲に均等に分散するように構成することができる。また、ウェイトアセンブリ146をベースユニット88の後端部分92に設けることにより、位相リングハンドリングツール24の重心は、前述のとおり、特定の実施形態において位相リングハンドリングツール24およびベースローダ28を搬送するために使用することができるフォークリフトなどの産業車両76に近づくことになる。
【0068】
位相リングハンドリングツール24の他の構成要素には、位相リングハンドリングツール24によって実行される操作を容易にするために使用できる産業車両を受け入れるように構成された産業車両結合レセプタクル148が含まれることができる。一実施形態では、
図13および
図14Aに示すように、一対の産業車両結合レセプタクル148が、位相リングハンドリングツール24のベースユニット88の対向する側面に配置することができる。位相リングハンドリングツール24と共に使用される産業車両76がフォークリフトである場合、産業車両カップリング受容部148は、フォークリフトのフォークを受け入れるように構成することができる。このようにして、フォークリフトのフォークを産業車両カップリング受容部148に挿入することができる。その後、フォークリフトは位相リングハンドリングツール24を持ち上げ、所望の位置まで移動させることができる。図示されていないが、位相リングハンドリングツール24は、走行中に位相リングハンドリングツール24を固定するために、ねじやチェーンを含むがこれらに限定されない様々な留め具を備えることができる。
【0069】
ここで、位相リングハンドリングツール24と共に展開(deploy)することができるサポートアーム100に関する詳細について考察する。
図19および20A-20Fは、支持アームを受け入れるように構成された位相リング支持ヘッド98に関連して支持アーム100を配置する方法を示す。一実施形態では、少なくとも3つの支持アームで構成することができる支持アーム100は、位相リング支持ヘッド98の中心位置150の周りに配置される。一実施形態では、中央位置150は、位相リング支持ヘッド98の中心に穿孔された穴で構成することができる。
図19および
図20A~20Fに示されているように、複数の支持アーム100は、互いに所定の距離だけ離間し、位相リング支持ヘッド98の中央位置150から半径方向外側に延びることができる。ナットおよびボルトアセンブリなどの中央留め具152は、中央位置150において支持アーム100を一緒に固定することができる。ナットおよびボルトアセンブリなどの対応する外周留め具154は、位相リング支持ヘッド98の外周に隣接して形成された穴に各支持アーム100を固定するために使用することができる。
図19および
図20A-20Fは、位相リング支持ヘッド98に結合された3つの支持アーム100を示しているが、3つ以上のアームを配備することも可能であることが理解される。
【0070】
図20A-20Fは、位相リング支持ヘッド98上の支持アーム100の位置が可変であることも示している。一般的に、支持アーム100の位置は位相リングの特定の構成に依存する。支持アーム100の位置を決定する際に考慮すべき要因としては、リングの開放端部分を固定するために使用できる位相リングクランプ接続部156の位置、および接続リングタン(connection ring tang)158の位置が挙げられる。
図20A~20Fに示されているように、位相リング支持ヘッド98は、中央位置150と交差するミッドライン(midline:中線)155の上方に1つの支持アーム100を有し、ミッドラインより下に2つの支持アームを有することができ ミッドライン(
図20A、20C、20D、20F)の下に2つの支持アーム、およびミッドライン(
図20B、20E)の下にすべての支持アーム100を備えることができる。
【0071】
図21Aおよび21Bは、
図21Cに描かれた位相リング20を支持するための、本発明の一実施形態による支持アーム100のより詳細な図である。
図21Aおよび21Bに示されているように、支持アーム100は、位相リング支持ヘッド98から遠位の端部162に、1つまたは複数の位相リング20を固定するように構成されたグリッパー部分160を備えることができる。このグリッパー部分160は、プラットフォーム164と支持アーム100の遠位端162に垂直な垂直壁166に当接する平面プラットフォーム164を含むことができる。グリップ材料(Gripping material)168は、プラットフォーム164の一部分に適用され、プラットフォーム上に配置される位相リング20にグリップの形状(form of grip)を提供することができる。垂直壁166の外側上面側表面に切り欠き(notch:ノッチ)170を形成することができ、また、プラットフォーム164の外側側表面に切り欠き172を形成することもできる。このようにして、支持アーム100の近位端176から延びるストラップ174を使用して、切欠き170および172を越えて延ばし、位相リング20を垂直壁166に対してプラットフォーム164上に固定することができる。ストラップ174は、プラットフォーム164、垂直壁166、およびアーム100の近位端176まで延びることができる。一実施形態では、グリッパー部分160は、位相リング支持ヘッドに対して半径方向に移動するように調節可能である。すなわち、グリッパー部分160は、外側に延びたり、内側に引っ込められたりすることができる。一実施形態では、ピン178を使用して、支持アーム100の遠位端162に対するグリッパー部分160の位置を固定することができる。
【0072】
図21Aおよび21Bに描かれたグリッパー部分160の構成は、様々な実施形態を限定することを意図したものではない。グリッパー部分は、多くの異なる構成の形態を取ることができることが企図されている。当業者であれば、支持アームによって支持される位相リングの特定の構成およびリングの数が、把握に最も適した設計にどのような役割を果たすかを理解するであろう。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、前述の位相リングハンドリングツール24、位相リング搭載ツール26、およびベースローダ28を、発電機に1つまたは複数の位相リングを取り付ける方法で使用することができる。この方法は、位相リング搭載ツール26に1つまたは複数の位相リング20を装填することを含み得る。位相リング搭載ツールを水平方向から垂直方向に傾けた後、位相リングハンドリングツール24を用いて位相リング搭載ツール26から位相リング20を取り外すことができる。その後、位相リングハンドリングツール24を用いて、1つまたは複数の位相リング20を発電機12に設置することができる。この方法は、ベースローダ28を使用して、位相リング搭載ツール26への位相リング20のローディング、および発電機12へのリングの取り付けを促進することをさらに含み得る。特に、この方法は、位相リングハンドリングツール24を用いて位相リング20を位相リング搭載ツール26から取り外しやすくするために、ベースローダ28を垂直位置にある位相リング搭載ツール26に隣接して配置することを含み得る。さらに、この方法は、ベースローダ28を発電機12に隣接させて配置し、位相リングハンドリングツール24を用いて発電機への位相リング20の設置を容易にすることができる。位相リング20の発電機12への設置は、位相リングハンドリングツール24を最大5度まで移動させて、発電機へのリングの設置を容易にすることができる。
【0074】
別の実施形態によると、位相リングハンドリングツール24、位相リング搭載ツール26、およびベースローダ28は、発電機への位相リングの取り付けをシミュレートするシステムおよび方法において、要員を訓練する目的で使用することができる。
図22および23は、発電機12のステータ端部180のモックアップを示しており、これは、発電機12における位相リング20の取り付けをシミュレートするために位相リングハンドリングツール24と共に使用することができ、要員訓練用である。
図22に示すように、ステータ端部モックアップ180は、ケーシング14、ケーシング内のステータ16、およびステータ端部の周方向に分布するステータ巻線18のスケールアップした複製を含み得る。
図23は、ステータ端部モックアップ180に隣接し、作業員がモックアップへの位相リングの取り付けまたは取り外しをシミュレートするために使用できる状態にある位相リングハンドリングツール24およびベースローダ28を示す。特に、位相リングハンドリングツール24は、ベースローダ28に沿って移動させることにより、ステータ端部モックアップ180により近い位置に配置することができる。位相リングハンドリングツール24が所望の位置に移動されると、1人以上の作業員が位相リングハンドリングツール24を使用して位相リング20の取り付けを練習することができる。特に、作業員は、ステータ端部モックアップ180における位相リング20の取り付けを容易にするために、前述の5つの移動度のいずれかを通って移動する位相リングハンドリングツール24の操作を練習することができる。
【0075】
ステータ端部モックアップ180における位相リング20の取り付けを練習することは、作業員が位相リングの取り付けおよび取り外しに習熟するという点で有益である。この練習の結果、作業員がこれらの作業を行う際の品質および生産性は、作業を学習し練習するのに費やす時間が増えるにつれて、大幅に改善される。さらに、この訓練により作業員の安全性が向上し、発電機から位相リングを取り付けたり取り外したりする際に通常発生する重傷を最小限に抑えることができる。
【0076】
本明細書で提示された図示の実施形態の説明から、本開示が、発電機に位相リングを取り付けるための効果的なソリューションを提示していることが明らかになるはずである。また、これらの作業を行うためにクレーンを使用する必要性を排除する方法で、使用済みの位相リングを発電機から取り外すことも提示している。特に、位相リングハンドリングツール、位相リング搭載ツール、およびベースローダの使用により、クレーンを使用して位相リングを設置、取り外し、修理することに伴う前述の問題を回避できる。様々な実施形態で説明されているこれらのコンポーネントにより、位相リングを発電機に13日以内で設置および取り外しできることが分かっている。これにより、位相リングの設置または取り外し中に発電機がオフラインになる時間を大幅に短縮できる。発電機の停止時間が短ければ、電力事業者はより利益を得られることになる。サービスという観点では、クレーンの利用に問題が生じた場合とは異なり、必要なサービス作業が指定のスケジュール通りに実施できるという確信が生まれる。さらに、位相リングの取り付け、取り外し、修理に位相リングハンドリングツール、位相リング搭載ツール、ベースローダを使用することで、制御されていないクレーンの負荷による危険性が排除され、作業員の安全性が向上し、重大な負傷のリスクが低減される。また、位相リングハンドリングツールが備えるさまざまな動きに対応する精度と制御により、位相リングや発電機の他の部品に予期せぬ損傷を与えるリスクも低減する。この精度と制御により、位相リングの取り付けと取り外しは、ステータ巻線が発電機内に残った状態でも実施できるため、望ましくない巻き直しを回避できる。さらに、作業員がステータ端部モックアップで位相リングハンドリングツールを使用して、位相リングの取り付け、取り外し、および整備の技能を練習し、磨くことができるため、生産性が向上し、作業の質が改善されるだけでなく、作業員の安全性も向上する。
【0077】
本開示の図示された実施形態に関する上記の説明(要約に記載された内容を含む)は、網羅的であること、または開示された実施形態を正確に開示された形態に限定することを意図したものではない。本明細書では、説明の目的で特定の実施形態および例が説明されているが、関連技術に精通する者が認識しうるように、そのような実施形態および例の範囲内で考えられる様々な修正が可能である。例えば、開示に記載されていなくても、図に描かれていなくても、異なる実施形態からの部品、コンポーネント、ステップ、および側面を組み合わせたり、他の実施形態での使用に適したりすることが可能である。したがって、上述の発明では、本件発明の精神および範囲から逸脱することなく、ある種の変更が加えられる可能性があるため、添付の図面に示された上述の説明の主題のすべては、本件発明の概念を示す単なる例として解釈されるべきであり、発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0078】
この点に関して、開示された主題は、様々な実施形態および対応する図に関連して説明されているが、適用可能な場合、開示された主題の同様、類似、代替、または代用機能を行うために、他の類似の実施形態を使用したり、説明された実施形態に修正や追加を行ったりすることができることを理解すべきである。したがって、開示された主題は、本明細書に記載された単一の実施形態に限定されるべきではなく、むしろ以下の添付の特許請求の範囲に従って、広範かつ包括的に解釈されるべきである。例えば、本明細書の「一実施形態」への言及は、記載された特徴を組み込む追加の実施形態の存在を排除するものと解釈されることを意図したものではない。
【0079】
添付の特許請求の範囲において、「~を包含する(including)」および「~において(in which)」という用語は、それぞれ「~を含む(comprising)」および「~において(wherein)」という用語の平易な英語表現として使用されている。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、「第3」、「上」、「下」、「底」、「上」などの用語は、単にラベルとして使用されており、その対象物に数値または位置に関する要件を課すことを意図したものではない。「実質的に」、「概ね」、および「約」という用語は、部品または組立品の機能目的を達成するのに適した理想的な所望の条件と比較して、妥当に達成可能な製造および組立の許容範囲内の条件を示す。さらに、以下の特許請求の範囲の限定は、手段プラス機能形式で記載されておらず、そのような形式で解釈されることを意図したものでもない。ただし、そのような特許請求の範囲の限定が、「手段」という表現に続けて、さらなる構造を必要としない機能の記述が明示的に使用されている場合はこの限りではない。
【0080】
さらに、本件明細書および添付の図面に使用されている「a」および「an」という冠詞は、他に指定がない場合、または文脈から単数形を指すことが明らかな場合を除き、一般的に「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。また、「複数」という用語は、「少なくとも1つ」という意味にも理解されるべきである。
【0081】
上記に説明した内容は、開示された主題を例示するシステムおよび方法の例を含んでいる。もちろん、あらゆる構成要素の組み合わせや方法論をここで説明することは不可能である。当業者であれば、特許請求の範囲に記載の主題について、さらに多くの組み合わせや順列が可能であることを認識できるであろう。さらに、「~を含む」、「~を有する」、「~を備える」などの用語が詳細な説明、特許請求の範囲、添付書類、図面に使用されている場合、これらの用語は、特許請求の範囲で接続語として使用された場合の「~からなる」という用語と同様に、包括的な意味で使用されることが意図されている。すなわち、明確に反対のことが述べられていない限り、特定の特性を有する要素または複数の要素を含む、または有する実施形態は、その特性を有さない追加の要素を含んでもよい。
【0082】
本明細書では、例を用いて、最良の態様を含むいくつかの発明の実施形態を開示し、また、当業者が任意の装置またはシステムの製造および使用、および組み込まれた方法の実行を含む発明の実施形態を実施できるようにする。発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い付く他の例を含む場合がある。このような他の例は、特許請求の範囲の文言と異なることのない構造的要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的な差異のない同等の構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0083】
10:ステータ端部 12:発電機 14:ケーシング 16:ステータ 18:ステータ巻線/アーマチュア巻線 20:位相リング 22:ブッシング 24:位相リングハンドリングツール 26:位相リング搭載ツール 28:ベースローダ 30:フレーム構造 32:第1の端部分 34:第2の端部分 36:中間部分 38:間隔を空けたビーム 40:第1の端部突出ビーム 42:第2の端部突出ビーム 44:トラスアセンブリ 46:第1のトラス 48:第2のトラス 50:第1のアームブラケット支持アセンブリ 52:第2のアームブラケット支持アセンブリ 54:アーム 56:支持脚 58:安定化ブレース 59:クレーン 60:プラットフォーム 62:上面 64:底面 66:底面ビーム 68:レール 70:位相リングハンドリングツールキャリッジ 72:第1の端部 74:第2の端部 76:産業車両 78:トロリーシステム 80:固定ピニオンラックシステム 82:ピニオン 84:ラック 85:ラチェットレンチ 86:ロックピン 88:ベースユニット 90:前端部分 92:後端部分 94:垂直に延びる部分分 96:垂直支持構造 97:車輪 98:位相リング支持ヘッド 100:支持アーム 102:第1の駆動システム/ねじ駆動システム 104、116、142:ねじ 106、118、144:手動ハンドル/ハンドホイール 108、112:ねじブラケット 110:ナット/ボルトアセンブリ 114、120:駆動ねじブラケット 122:駆動ねじ回転ブラケット 124:取付ブラケット 126:第3駆動システム/チェーンホイストアセンブリ 128:プルチェーン 130:フック 132:チェーンホイスト支持バー 134:レーリング 136:位相リング支持ヘッドトロリー 138:レーリング 140:ねじ駆動システム 142:駆動ねじ 146:ウェイトアセンブリ 148:産業車両カップリング受容部 150:中央位置 152:中央留め具 154:外周留め具 155:ミッドライン 156:位相リングクランプ接続部 158:接続リングタン 160:グリッパー部分 162:遠位端 164:平面プラットフォーム 166:垂直壁 168:グリップ材料 170、172:切り欠き 174:ストラップ 176:近位端 178:ピン 180:モックアップ
【国際調査報告】