(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-05-30
(54)【発明の名称】医療用内視鏡のためのハンドル及び内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20250523BHJP
【FI】
A61B1/00 711
A61B1/00 650
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024565954
(86)(22)【出願日】2023-05-23
(85)【翻訳文提出日】2024-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2023063733
(87)【国際公開番号】W WO2023227573
(87)【国際公開日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】102022113124.6
(32)【優先日】2022-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504078040
【氏名又は名称】ジョイマックス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ホフシュテッター,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ビルクナー,ユスティン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161FF02
4C161FF12
4C161GG11
4C161JJ11
(57)【要約】
本発明は医療用内視鏡のためのハンドルに関し、ハンドルは内視鏡のための近位側支持面と、内視鏡のための遠位側支持面とを有する。近位側支持面の延伸方向は遠位側支持面の延伸方向に対して0°より大きい角度で配向されている。本発明はさらに、医療用内視鏡と本発明によるハンドルとを有する内視鏡システムであって、ハンドルが内視鏡に接続されている内視鏡システムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用内視鏡(39)のためのハンドル(10)であって、
前記内視鏡(39)のための近位側支持面(11)と、前記内視鏡(39)のための遠位側支持面(13)とを備えるハンドルにおいて、
前記近位側支持面(11)の延伸方向が前記遠位側支持面(13)の延伸方向に対して0°よりも大きい角度で配向されている、
ハンドル。
【請求項2】
前記近位側支持面(11)の延伸方向と前記遠位側支持面(13)の延伸方向との間の角度が、10°~90°、特に45°であることを特徴とする請求項1に記載のハンドル。
【請求項3】
前記近位側支持面(11)と前記遠位側支持面(13)との間に、前記内視鏡(39)のための少なくとも1つの中間支持面(12)が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のハンドル。
【請求項4】
前記近位側支持面(11)が1つの窪み(28)を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のハンドル。
【請求項5】
前記近位側支持面(11)の前記窪み(28)が可変の断面を有することを特徴とする請求項4に記載のハンドル。
【請求項6】
前記近位側支持面(11)が少なくとも1つの側方の連結部(32)を有し、
前記連結部(32)が特に弓形の外側輪郭(33)を有することを特徴とする、
請求項1から5のいずれか1項に記載のハンドル。
【請求項7】
前記近位側支持面(11)が、近位側領域(30)にアンダーカット(31)を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のハンドル。
【請求項8】
前記遠位側支持面(13)が1つの窪み(24)を有し、前記窪み(24)が特に少なくとも部分的に環状の断面を有していることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のハンドル。
【請求項9】
前記遠位側支持面(13)が遠位側領域(15)に1つの突起(16)を有し、特に前記突起(16)が少なくとも部分的に環状に形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のハンドル。
【請求項10】
前記突起(16)が周方向に少なくとも180°にわたって延伸していることを特徴とする請求項9に記載のハンドル。
【請求項11】
前記突起(16)が環状の連結部(16)として形成されており、特に前記連結部(16)の内径が前記遠位側支持面(13)の前記窪み(14)の直径と同じであることを特徴とする請求項9又は10に記載のハンドル。
【請求項12】
前記突起(16)が少なくとも1つ、特に2つの窪み(18)を有し、特に前記少なくとも1つの窪み(18)が軸方向に配向されていることを特徴とする、請求項9から11のいずれか1項に記載のハンドル。
【請求項13】
前記遠位側支持面(13)が、近位側領域(22)に少なくとも1つ、特に2つ以上の側方の突起(23)を有することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のハンドル。
【請求項14】
前記ハンドル(10)が、前記ハンドル(10)の遠位側端部領域(20)に1つの突起(21)を有し、
前記突起(21)の延伸方向が、前記軸方向に対して垂直に配向された方向成分を有することを特徴とする、
請求項1から13のいずれか1項に記載のハンドル。
【請求項15】
医療用内視鏡(39)と請求項1から14のいずれか1項に記載のハンドル(10)とを備えた内視鏡システム(38)であって、
前記ハンドル(10)が前記内視鏡(39)に特に着脱可能に接続されている、
内視鏡システム(38)。
【請求項16】
前記内視鏡(39)が、前記ハンドル(10)の前記近位側支持面(11)及び前記遠位側支持面(13)と接触していることを特徴とする請求項15に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
外科手術中に内視鏡を使用することにより、肉眼では見えない手術部位を外科医が視覚的に検査することが可能となる。加えて、内視鏡により様々な診断方法の一部として、さもなければ視ることのできない身体領域の所望の目視検査が可能となる。低侵襲性の外科手術は、手術部位へのアクセスとしての皮膚開口部を必然的に小さくする必要があるので、手術経緯及び手術結果の目視検査のために内視鏡の使用なしには不可能である。
【0002】
一般的には、内視鏡は手術中に外科医又は助手の手によって保持され、外科医が手術全体を通して手術部位を視覚的に検査することを可能にするために、必要に応じて調整される。しかしながら、特により複雑な手術では内視鏡を保持し調整する際にどうしても疲労が生じ、これによって手術経過が悪影響を受ける可能性がある。例えば、2つの隣接する椎体の間の椎間領域へのアクセスが行われる脊椎の整形外科手術では、いかなる状況下でも脊椎の近くに位置する神経が損傷を受けないように、厳格な注意が払われなければならない。このリスクは、内視鏡の保持及び調整によって引き起こされる疲労にも起因して、それぞれの手術の継続時間と共に増加する。
【0003】
従来技術から、内視鏡外科医をサポートするために空間内で自由に動かすことができる保持アームが知られており、この保持アームは内視鏡を堅固に保持することができ、したがって、内視鏡を空間内のほぼ任意の位置に配置することができる。これにより、外科医は内視鏡をもはや自分の手で保持する必要がなくなる。しかしながら、この場合の欠点は、内視鏡を再調整するために、外科医が手術中に内視鏡をその保持装置と共に新たに位置合わせしなければならないことである。このことは、単に機械的に面倒なだけではない。特に前述の脊椎手術の場合、外科医は内視鏡を再調整するために保持アームの方に向きを変え、現在使用されている手術用器具から離れなければならない。したがって、この新たな位置合わせは手術における追加のステップであり、その手術時間を長びかせる。さらに、既知の保持アームはしばしば外科医の自由度及び柔軟性を制限し、その結果、内視鏡のための既知の保持アームは、外科医からは役立つよりもむしろ煩わしいものと見做されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の課題は従来技術の上述の欠点を解消することにあり、特に、内視鏡を調整する際に手術にとって必要な自由度を失うことなく、内視鏡をより長期間使用することができる装置を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のこの課題は、内視鏡のための近位側支持面と、内視鏡のための遠位側支持面とを有する、医療用内視鏡のためのハンドルにより解決され、この場合、近位側支持面の延伸方向は、遠位側支持面の延伸方向に対して0°よりも大きい角度で配向されている。
【0006】
本発明の課題はさらに、医療用内視鏡と本発明によるハンドルとを備えた内視鏡システムによって解決され、この場合、このハンドルは内視鏡に特に着脱可能に接続されている。
【0007】
本発明は、内視鏡の長時間用中の上述した疲労症状の本質的な原因が、内視鏡の幾何学的形状、重心及びその重量により内視鏡が外科医の手の中に理想的には配置されていないことである、という基本的な知見に基づいている。内視鏡は一般的には軸方向に、すなわち、近位側から遠位側に向けて、配向された内視鏡シャフトを有し、このシャフトは複数の外科用器具がそこを通って挿入して手術部位に移動させることができる作業チャネルのための内腔に加えて、追加の内腔、例えば、光チャネル及び/又は洗浄チャネルのための内腔を有する。最近の内視鏡では、通常は手術部位の目視検査はもはや人間の目によって直接には行われず、代わりに、手術部位の画像情報が最近の内視鏡によってデジタル的に捕捉され、ディスプレイユニット上で外科医に表示される。この目的のために、通常、光ファイバ接続部が内視鏡の連結部の形で形成されており、それを介して手術部位に関する画像情報をカメラケーブルによりディスプレイユニットに送信することができる。この光ファイバ接続部は、通常、内視鏡シャフトから0°以外の或る角度で延伸している。
【0008】
このように形成された内視鏡は、人間工学的に最適な方法では把持、移動及び保持することができない。これは、特により長い手術中には疲労をもたらす。加えて、付加的に設置された内視鏡の洗浄用接続部により、内視鏡の重心は外科医の手の中に理想的には存在しない。このことも疲労を加速させる。これらの問題は、複数の外科医の手のサイズ及び形状が異なるので、全ての手のサイズに対して最適に形成された内視鏡はないという事実によってさらに悪化する。本発明によるハンドルにより、内視鏡を手動で使用するときに保証されるフレキシビリティを犠牲にする必要がなくなる。同時に、本発明によるハンドルは、内視鏡のより快適で、より人間工学的な保持、ガイド及び調整を可能にする。本発明によるハンドルは異なる手の大きさ及び形状に対して多大な労力を要することなく個別に製造することができるので、ある意味では内視鏡のアダプタとしても適している。近位側支持面及び遠位側支持面を形成することにより、内視鏡シャフトだけでなく、光ファイバ接続部も外科医の手の中に快適に載置されることが保証される。したがって、本発明によるハンドルは、外科医が内視鏡を人間工学的に取り扱うことを可能にし、より長時間の使用においても疲労を防止する。
【0009】
本発明においては、近位側とは外科医に向かう方向を指し、遠位側とは患者に向かう方向を指す。この点に関して、支持面の延伸方向はその軸方向成分を基準にしている。本発明においては、近位側方向は前方を指し、遠位側方向は後方を指す。
【0010】
本発明によるハンドルは、外科医によって、特に2つの異なる把持位置で把持することができる。第1の把持位置では、外科医の親指及び人差し指が内視鏡シャフトを取り囲み、すなわち、これらの指はハンドルの遠位側支持面の延伸方向に対して平行に配向され、一方、外科医の手の中手骨部分、親指の中手骨部分は近位側支持面上で休むことができる。外科医の薬指及び小指はハンドルの近位側支持面の領域を取り囲む。必要に応じて、外科医の中指を内視鏡シャフト上に補助的に載置することにより、内視鏡シャフトの三本指グリップを形成することが可能であり、これは三本指グリップ(tridigitaler Fingerbeerengriff)とも呼ばれる。第2の把持位置では、本発明によるハンドルの遠位側支持面の領域が外科医の人差し指によって囲まれ、この場合には、中指、薬指及び小指はハンドルと接触しない。親指はハンドルの近位側支持面上に載置される。その代わりに、中指がハンドルを囲み、人差し指を同様にハンドルの近位側支持面上に載置することもできる。立った状態で、ハンドルの近位側支持面が外科医の手から離れて延び、この場合、内視鏡シャフトは手から離れて遠位側に-下方に延びている。したがって、この第2の把持位置は、脊椎の手術中に特に患者が腹臥位にあり、外科医が内視鏡を脊椎に対して垂直にガイドしようとする場合に適している。
【0011】
このハンドルは一体構造で形成することができ、したがって、特に容易に製造可能である。このハンドルは、さらに、左利き及び/又は右利きで操作できるように形成することもできる。この目的のためにこのハンドルは、例えば、軸方向と垂直方向とにまたがり、ハンドルの中央を通って延びる対称面に対して対称となるように形成されている。
【0012】
近位側支持面の延伸方向と遠位側支持面の延伸方向との間の角度は、好ましくは10°~90°、特に10°~80°、より好ましくは15°~75°、特に30°~60°、最も好ましくは45°である。
【0013】
本発明の有利な一発展形態では、近位側支持面と遠位側支持面との間に、内視鏡のための少なくとも1つの中間支持面を配置することができ、この中間支持面は近位側支持面及び/又は遠位側支持面と直接接触することができる。この中間支持面の延伸方向は、遠位側支持面の延伸方向に対して10°~90°、特に10°~80°、より好ましくは15°~75°、特に30°~60°、最も好ましくは45°の角度を形成することができる。
【0014】
近位側支持面は、内視鏡のための、特にその光ファイバ接続部のための規定された載置位置を得るために、好ましくは1つの窪みを有する。同時に、これによって、内視鏡が滑ることが防止される。この窪みは、軸方向に配向された少なくとも1つの方向成分を有することができ、及び/又は、溝及び/又は孔として形成することもできる。内視鏡をさらに滑らないように保持するために、近位側支持面のこの窪みは、特に軸方向にわたって変化する断面を有することができる。これにより、特に、内視鏡をその窪みの中に少なくとも部分的にピッタリとフィットして挿入することが可能となる。
【0015】
近位側支持面は、人間工学的に改善すべくハンドルの重心を最適化するために、少なくとも1つの横方向の連結部を有することができる。この連結部は特に円弧状の外側輪郭を有することができ、この外側輪郭は人間工学的に成形することができる。この外側輪郭は外科医の指及び/又は手に適合させることができ、このための支持面としての役割を果たす。特に有利な一実施形態では、右利き及び左利きの操作を可能にするために、この近位側支持面はハンドルの両側にそれぞれ1つの連結部を有する。
【0016】
好ましくは、近位側支持面が、近位側支持面の特に近位側領域に配置されている少なくとも1つのアンダーカットを有する。特に好ましくは、このアンダーカットが近位側支持面の近位側端部領域に配置されている。このアンダーカットは内視鏡の支えとして機能し、内視鏡が近位側方向に滑ること、特にハンドルから滑り落ちることを防止する。
【0017】
遠位側支持面は好ましくは、特に軸方向の方向成分を有する少なくとも1つの窪みを有する。この窪みは、好ましくは軸方向に対して平行に配向されている。遠位側支持面のこの窪みは少なくとも、部分的に円形の断面を有するように形成することができ、及び/又は、遠位側支持面の領域において内視鏡が横方向に滑るのを防止するように形成することができる。この窪みはその全長にわたって一定の断面を有するように構成することができる。本発明のさらなる実施形態ではこの窪みの幅、特にその断面は近位側から遠位側に向かって先細りになっていてもよい。
【0018】
遠位側支持面はその遠位側領域に少なくとも1つの突起を有しており、この突起は内視鏡のための支えとして機能するので、内視鏡がハンドルに対して相対的に遠位側へ滑るのが防止される。特に近位側支持面のアンダーカットと組み合わせることにより、遠位側支持面のこの突起は、ハンドルが少なくとも軸方向において内視鏡と嵌め合い結合で接続されるのに有効である。この突起は、ハンドルに機械的応力がかかったときの突起の破損のリスクを低減するために、遠位側支持面の軸方向長さの少なくとも一部にわたって軸方向に延伸することができる。この突起は、例えば約10mm~20mm、特に13mm~15mmの軸方向長さにわたって延伸している。
【0019】
特に好ましくは、この突起は、部分的に環状の連結部として、及び/又は、ハンドルと一体に形成されている。遠位側支持面のこの突起は、内視鏡とハンドルとの嵌め合い結合による接続を保持するために、円周方向に少なくとも180°にわたって延伸することができる。
【0020】
最も好ましくは、この突起が、環状の連結部として形成されている。好ましくは、この連結部の内径が遠位側支持面の窪みの直径と同じであり、その結果、遠位側支持面及び連結部によって画定される空間内に内視鏡を配置することができる。環状の連結部と組み合わせて、内視鏡の特に内視鏡シャフトの領域をその全周にわたってハンドルの連結部によって囲むことができ、その結果、内視鏡はハンドルから脱落することがない。これにより、ハンドルを嵌め合い結合的に内視鏡に接続することができる。
【0021】
本発明のさらなる発展形態では、この突起が少なくとも1つの、特に2つの窪みを有し、この場合、この少なくとも1つの窪みは、ハンドル内での内視鏡の収容を改善するために、軸方向に配向するとよい。内視鏡が、例えばルアーロック式接続として形成された複数の側方の洗浄用接続部を有する場合には、特、これらの洗浄用接続部は突起の複数の窪みに、特に環状連結部の窪みに係合することができる。これらの窪みは貫通開口として形成することができ、例えば凹部としてモールド形成され、内視鏡のハンドル内への収容を改善するのに役立つ。さらに、これらの窪みにより、特に軸方向に配向された回転軸に対して、内視鏡を回り止めして取り付けられることが可能となる。
【0022】
遠位側支持面は、その近位側領域に、好ましくは中間支持面への移行領域に、少なくとも1つの、特に側方の突起を有することができる。この突起は好ましくは軸方向に対して垂直に配向され、特に、内視鏡が近位側方向に滑ることを防止するための内視鏡の支えとして機能する。特に、この少なくとも1つの突起は、内視鏡のいくつかの実施形態では、内視鏡の横方向に、軸方向に対して0°以外の角度で配置されている洗浄用接続部のための支えとして働く。好ましくは、遠位側支持面の窪みの両側にそれぞれ1つの突起が配置されている。
【0023】
近位側支持面は、内視鏡の光ファイバ接続部及び/又はカメラ接続部を支持する及び/又は収容するように形成することができる。
【0024】
少なくとも1つの中間支持面は内視鏡のための特に少なくとも1つの窪みを有し、この場合、この少なくとも1つの中間支持面のこの少なくとも1つの窪みは、遠位側支持面の窪みの直径よりも小さい直径を有することができる。この少なくとも1つの中間支持面は、内視鏡の光ファイバ接続部及び/又はカメラ接続部を支持する及び/又は収容するように形成することができる。好ましくは、遠位側支持面が内視鏡、特に内視鏡シャフトを支持する及び/又は収容するように形成されている。
【0025】
このハンドルはその遠位側端部領域に、特にその遠位側端面に、1つの突起を有することができ、その突起の延伸方向は軸方向に対して垂直に配向された方向成分を有する。したがって、遠位側端面のこの突起は外科医の指、例えば人差し指のための支えとしての役割を果たすことができ、ハンドルの人間工学特性を改善する。本発明の別の実施形態では、この突起を斜め後方に向けて後方近位側に配向することができる。ハンドルの人間工学特性を改善するために、その背面は少なくともいくつかの領域において放物線状の外側輪郭を有することができ、この場合、特に、外側輪郭の頂点が遠位側支持面の軸方向高さに配置されるように構成されている。この頂点の領域では、ハンドルは遠位側支持面に向けられた窪みを収容することができ、この窪みは特に弓形断面を備えているか、及び/又は、環状に配置されている。
【0026】
内視鏡の損傷を避けるために、このハンドルの材料は硬度が内視鏡の硬度よりも小さいように選択することができる。好ましくは、この材料は滅菌可能であり、特にオートクレーブで滅菌可能である。加えて、このハンドルの材料は生体適合性とすることができ、熱可塑性物質及び/又はホモポリマーで作られた少なくとも1つの構成要素を有することができる。好ましくは、このハンドルは、PA12又はポリラウリラクタムとも呼ばれるポリアミド12を有するか、又は、それで構成されている。さらに、このハンドルの粗さは12μm未満とすることができ、この粗さは平均粗さRa、二次粗さRq、又は、平均粗さ深さRzに相当する。さらに、このハンドルの重さは、500g未満、特に200g未満、好ましくは150g未満、最も好ましくは100g未満とすることができる。このハンドルは使い捨て器具として形成されてもよいし、再使用可能であってもよい。好ましくは、このハンドルは、軸方向を含む対称軸に対して対称であるように形成されている。
【0027】
内視鏡システムの内視鏡は、ハンドルに嵌め合い結合的に又は摩擦結合的に接続することができ、特に、ハンドルにクランプ可能及び/又はロック可能とすることができる。好ましくは、内視鏡が少なくとも1つの光学出力部及び/又は少なくとも1つの洗浄接続部を有し、これにより本発明においては、内視鏡のための付加的なロック可能性を生じさせる。この内視鏡は整形外科用内視鏡として、特に、脊椎の経椎間板的な及び/又は層間の及び/又は椎間板内の及び/又は頸部の手術を行うために構成することができる。好ましくは、この内視鏡は穿孔鏡(椎間孔拡大鏡)として、及び/又は、椎弓鏡として、及び/又は、ヌクレオスコープ核内視鏡として形成されている。
【0028】
この内視鏡システムのさらなる発展形態では、内視鏡がハンドルの近位側支持面及び遠位側支持面と直接接触することができる。内視鏡の光ファイバ接続部及び/又はカメラ接続部は、ハンドルの近位側支持面上に載置することができるか、及び/又は、近位側支持面によって収容することができる。さらに、内視鏡の光ファイバ接続部及び/又はカメラ接続部は、ハンドルの少なくとも1つの中間支持面上に載置されるか、及び/又は、中間支持面によって収容されるように構成することができる。さらに、内視鏡、特にその内視鏡シャフトはハンドルの遠位側支持面上に載置されるか、及び/又は、遠位側支持面によって収容されるように構成することができる。
【0029】
本発明のさらなる利点及び特徴は、本発明の例示的な実施形態が図面を参照して詳細に説明されている、特許請求の範囲及び以下の説明に見出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】
図1のハンドルを180°回転させた側面図である。
【
図5】
図4のハンドルを180°回転させた図である。
【
図6】
図1のハンドルの遠位側領域の拡大図である。
【
図8】
図7のハンドルを180°回転させた図である。
【
図9】
図2のハンドルとそれに接続された内視鏡とを有する内視鏡システムである。
【
図11】
図9の内視鏡システムを後方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、医療用内視鏡39(
図1には図示せず)のための本発明によるハンドル10の側面斜視図であり、ハンドル10は近位側支持面11と、中間支持面12と、遠位側支持面13とを有する。本発明においては、近位側方向はユーザを指し示す方向であり、遠位側方向は特許を指し示す方向である。近位側から遠位側へのこの延伸方向が軸方向である。中間支持面12は、近位側支持面11と遠位側支持面13との間に配置されている。
【0032】
図1において、ハンドル10の遠位側支持面13の延伸方向は軸方向に対して平行に配向されているので、内視鏡シャフト40(
図1には図示せず)は遠位側支持面13上で軸方向に配置することができる。内視鏡シャフト40を遠位側支持面13上で安定させるために、遠位側支持面はその全長にわたって、部分的に円形の断面を有する窪み14を有し、この窪みの断面は遠位側支持面13の全長にわたって一定である。図示の例示的な実施形態では、窪み14は溝として形成されている。これは、
図2の斜視図及び
図3による正面図にも示されている。このハンドル10の形状は、ハンドル10の延伸方向に対して平行に配向された軸方向を含む対称面(図示せず)に関して対称である。したがって、
図2は本質的に
図1に対応している。
【0033】
遠位側領域15において、遠位側支持面は、内視鏡シャフト40がハンドル10から脱落するのを防止するために、約10mm~20mmの軸方向長さを有する環状の連結部16を有する。この連結部16は中空円筒形であり、軸方向に配向されている。例示的な実施形態では、この連結部の内径は遠位側支持面13の窪み14の直径と同じである。
【0034】
図1及び
図2によれば、連結部16の近位側領域17において、2つの対向配置された長穴状の凹部18が窪みとして形成され、この窪みは内視鏡の横方向に配置されたルアーロック式接続部、例えば洗浄用接続部42を収容する働きをし、さらに、回転防止の意味で内視鏡39の補助的な固定を確実にすることができる。
図4及び
図5の側面図、特に
図6による連結部の凹部18の拡大側面図から、これらの凹部18の外側輪郭19はそれぞれ放物線状であり、これらの凹部18は遠位側支持面13(図示せず)が
図6の左側へ無段階で移行していることが分かる。
【0035】
遠位側端部領域20において遠位側支持面13は1つの突起21を有し、この突起21は近位側方向において下に向けて延び、ハンドル10の遠位側端面を形成する。突起21の遠位側表面は、外科医の指のための支えとして機能するために、
図4及び
図5の側面図によれば、斜め後方に向けて後方近位側に延びている。すでに述べたハンドル10の軸対称形状により、
図5の図は
図4の図に対応している。
【0036】
遠位側支持面13は近位側領域において、互いに対向している2つの側方の突起22を有し、これらの突起22は内視鏡39のための支えとして機能し、内視鏡の近位側の脱落を防止する。
【0037】
中間支持面12は遠位側支持面13の近位側と直接隣接し、この場合、この中間支持面12の延伸方向は遠位側支持面13の延伸方向に対して35°の角度で配置されている。この中間支持面12も、部分的に円形の窪み24を有し、この窪み24は、内視鏡39(図示せず)の光ファイバ接続部41又はカメラ接続部を収容するために、溝として形成されている。したがって、中間支持面12の窪み24の直径は遠位側支持面13の窪み14の直径よりも小さい。中間支持面12の近位側領域25にはその窪み24の領域に、内視鏡39が偶発的に脱落するのを防止するために、アンダーカット26が設けられている。
【0038】
中間支持面12の窪み24の両側に、すなわち軸方向に対して垂直に、それぞれ1つの連結部27が中間支持面12に一体形成されており、これらはハンドル10の使用時に指置きとして機能する。
【0039】
中間支持面12は、近位側で近位側支持面11に移行する。近位側支持面11の延伸方向は中間支持面12の延伸方向に対して25°の角度で、したがって遠位側支持面13の延伸方向に対して60°の角度で配置されている。近位側支持面11は窪み28を有し、この場合、特に
図1~3によれば、中間支持面12の窪み24と近位側支持面11の窪み28との間に、内視鏡39の支えとして機能する突起29が形成されている。
【0040】
近位側支持面11の窪み28の直径は、内視鏡39をピッタリと収容するために、その長さにわたって可変である。近位側支持面11の近位側領域30では、近位側支持面11の窪み28がアンダーカット31を有し、これは内視鏡39の軸方向の支えとして機能し、内視鏡39の近位側での脱落を防止する。
【0041】
近位側支持面11の窪み28の両側には、軸方向に対して垂直に延びる複数の連結部32が近位側支持面11に一体形成されており、これらは使用者のための指置きして機能する。人間工学的な理由から、これらの連結部32はそれぞれ円弧状の上部外側輪郭33を有する。
【0042】
図4及び
図5の側面図によれば、ハンドル10の背面34はほぼ放物線状の外側輪郭35を有し、その頂点36が遠位側支持面13の軸方向高さに配置されているので、外科医は内視鏡39を人間工学的に保持することができる。頂点36の領域では、ハンドル10がハンドル10の人間工学特性を改善するために、遠位側支持面13に向かって配向された弓形断面の環状窪み37を有する。これは、
図7によるハンドル10の近位側後面図、ならびに
図8による180°回転された図からも明らかである。
【0043】
ハンドル10の特に2つの把持位置が可能であり、
図4を参照して説明する。この場合、内視鏡シャフト40(
図4には図示せず)は垂直に配置され、遠位側支持面13の環状の連結部16を貫通している。内視鏡39の光ファイバ接続部41は、中間支持面12及び近位側支持面11上に載っており、
図4に示すように右上に向かって延びている。第1の把持位置では、外科医の例えば右手が
図4によるハンドル10に上から、すなわち近位側から接近し、この場合、人差し指及び親指は内視鏡シャフト40(
図4には図示せず)と接触し、すなわち、軸方向に向けられている。このとき、外科医の手の中手骨の部分は、近位側支持面11の側方連結部32上に置かれる。必要に応じて、人差し指は内視鏡シャフト40から外れ、ハンドル10の遠位側端部領域20を、すなわち、支えとしての遠位側支持面13の遠位側突起21を掴むことができる。内視鏡と接続されたハンドル10上の第1の把持位置における内視鏡39の配置を
図12に示す。
【0044】
第2の把持位置では、外科医の例えば左手が、
図4に示されるように、ハンドル10に左側から接近する。外科医の人差し指はハンドル10の背面34の外側輪郭35の頂点36を囲み、一方、親指は内視鏡シャフト(
図4には図示せず)上に置かれる。内視鏡と接続されたハンドル10上の第2の把持位置における内視鏡39の配置を
図13に示す。
【0045】
本発明によるハンドル10は、軸方向及び垂直方向にまたがり、且つハンドル10の中央を通って延びる対称面に関して対称に形成されている。結果として、本発明によるハンドル10は、特に上述の2つの把持位置に関して左利き及び右利きの両方で操作することができる。
【0046】
図9は、本発明によるハンドル10とこのハンドルに取り外し可能に接続された内視鏡39とを備えた本発明による内視鏡システム38を示し、内視鏡39はハンドル10の近位側支持面11、中間支持面12及び遠位側支持面13と接触するようにハンドルに取り外し可能に接続されている。この場合、内視鏡39の光ファイバ接続部41ないしカメラ接続部は近位側支持面11の窪み28に係合し、軸方向に配向された内視鏡シャフト40の延伸方向に対して約60°の角度で配向されている。内視鏡39はハンドル10の遠位側支持面13の窪み14に係合し、環状の連結部16を貫通している。この内視鏡39には、複数の洗浄用接続部42が設けられており、これら洗浄用接続部の各々は内視鏡39の延伸方向に対して、すなわち内視鏡シャフト40に対しても、0°よりも大きい角度で配置されており、それぞれルアーロック式接続部として形成されている。このことは
図10の内視鏡システム38の正面図からも明らかである。
【0047】
これらの洗浄用接続部42はそれぞれ遠位側支持面13の突起23と接触しているので、ハンドル10に対する内視鏡39の近位側方向への移動が防止される。ハンドル10に対する内視鏡39の遠位側方向への移動は、内視鏡39の洗浄用接続部42が環状の連結部16の窪み18を貫通していることによって防止される。
図11は内視鏡システム38の背面図を示す。
【0048】
図12は、
図9による内視鏡システム38を側面図で示し、この場合、ハンドル10は既に説明した第1の把持位置にあり、この位置では内視鏡39の光ファイバ接続部41がハンドル10の近位側支持面11と接触している。
図13は、光ファイバ接続部41が既に説明した第2の把持位置にある
図9による内視鏡システム38を示し、この位置では内視鏡39の光ファイバ接続部41はハンドル10の近位側支持面11と接触していない。この第2の把持位置では、内視鏡39が第1の把持位置と比較してその延伸方向の周りに180°回転されている。両方の把持位置において、内視鏡シャフト40が環状の連結部16を貫通し、複数の洗浄用接続部42が一方で複数の突起23と接触し、他方で窪み18を貫通しているので、内視鏡39のハンドル10との確実で嵌め合い結合的な接続が保証される。
【国際調査報告】