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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-06-12
(54)【発明の名称】面発光レーザ、面発光レーザの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/183 20060101AFI20250605BHJP
【FI】
H01S5/183
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024570890
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2024-11-29
(86)【国際出願番号】 JP2022022192
(87)【国際公開番号】W WO2023233541
(87)【国際公開日】2023-12-07
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390039929
【氏名又は名称】三桜工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スリニワス ガンドロシュラ
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AC04
5F173AC14
5F173AC20
5F173AC31
5F173AC52
5F173AH22
5F173AP19
5F173AR91
(57)【要約】
【解決】垂直共振面発光レーザは、第1面と、第1面とは反対側の第2面とを有する酸化物基板;第1面上に配置される半導体セクション;半導体セクションと第1面との間に配置されると共に学窓を提供するように構成された反射スペクトルを有する誘電体フィルタ層;第1DBRミラー;第2面の曲面に配置される第2DBRミラーを備える。第1DBRミラー、半導体セクション、誘電体フィルタ層、酸化物基板、および第2DBRミラーは、第1軸方向に配置されて拡張キャビティを形成する。半導体セクションは、誘電体フィルタ層と第1DBRミラーとの間に配置され、p型III族窒化物領域、n型III族窒化物領域、およびp型III族窒化物領域とn型III族窒化物領域との間のIII窒化物活性領域を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直共振面発光レーザ(VCSEL)であって、
第1面と、前記第1面に反対側の第2面とを有する酸化物基板であって、前記第2面は曲面を含む、酸化物基板と、
前記酸化物基板の前記第1面の上に配置される半導体セクションと、
前記半導体セクションと前記酸化物基板の前記第1面との間に配置されると共に、反射スペクトルを有する誘電体フィルタ層であって、前記反射スペクトルは、光学窓を提供するように構成される、誘電体フィルタ層と、
第1分布ブラッグ反射器(DBR)ミラーであって、前記半導体セクションは、前記誘電体フィルタ層と前記第1DBRミラーとの間に配置される、第1分布ブラッグ反射器(DBR)ミラーと、
前記酸化物基板の前記曲面に配置された第2DBRミラーであって、前記第1DBRミラー、前記半導体セクション、前記誘電体フィルタ層、前記酸化物基板、および前記第2DBRミラーは、第1軸方向に配列されて拡張キャビティを形成し、前記半導体セクションは、p型III族窒化物領域、III族窒化物領域、および前記p型III族窒化物領域と前記III族窒化物領域との間のIII族窒化物活性領域を含み、前記p型III族窒化物領域、前記III族窒化物活性領域、および前記III族窒化物領域は、前記第1軸方向に配置され、前記III族窒化物領域は、n型III族窒化物領域を含む、第2DBRミラーと、
を備える、
垂直共振面発光レーザ。
【請求項2】
前記誘電体フィルタ層は、前記第1軸方向に延びる貫通孔を有し、
前記垂直共振面発光レーザは、更に、III族窒化物テンプレートプラグを含み、前記III族窒化物テンプレートプラグは、前記貫通孔に配置されると共に、前記酸化物基板の前記第1面から前記半導体セクションへ前記貫通孔の内において延在する、
請求項1に記載の垂直共振面発光レーザ。
【請求項3】
前記III族窒化物テンプレートプラグは、前記貫通孔の内の埋設部と、前記半導体セクション内に突出する突出部とを有し、前記III族窒化物テンプレートプラグの前記埋設部は、前記酸化物基板の前記第1面に接して配置される、
請求項2に記載の垂直共振面発光レーザ。
【請求項4】
前記酸化物基板の前記曲面は中心線を有し、前記III族窒化物テンプレートプラグと前記曲面の前記中心線とは、互いに位置ずれしている、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の垂直共振面発光レーザ。
【請求項5】
前記拡張キャビティの長さは、50マイクロメートルを超える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の垂直共振面発光レーザ。
【請求項6】
前記曲面は、50マイクロメートルを超える曲率半径を有する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の垂直共振面発光レーザ。
【請求項7】
前記第2DBRミラーは湾曲しており、前記第1DBRミラーは平面的であり、前記第1DBRミラーと前記第2DBRミラーとの間の距離は、50マイクロメートルより大きい、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の垂直共振面発光レーザ。
【請求項8】
前記半導体セクションはメサ構造を含み、前記メサ構造は、ベース領域、および前記ベース領域の上に配置されたメサ領域を含み、
前記垂直共振面発光レーザは、さらに、
前記半導体セクションの上に配置される導電層であって、前記導電層の一部は、前記第1DBRミラーと前記半導体セクションとの間に配置される、導電層と、
前記DBRミラーの外側の前記導電層の上に配置されると共に、前記導電層に接して配置される第1電極と、
前記メサ構造の前記ベース領域の面に配置される第2電極と、
を含む、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の垂直共振面発光レーザ。
【請求項9】
前記半導体セクションは、第1面と、前記半導体セクションの前記第1面に反対側の第2面とを有し、前記誘電体フィルタ層は、前記半導体セクションの前記第1面に配置され、前記導電層は、前記第2面に配置される、
請求項8に記載の垂直共振面発光レーザ。
【請求項10】
前記半導体セクションはアパーチャ構造を含み、前記アパーチャ構造は、前記第1軸方向に延在するアパーチャ領域と、前記アパーチャ領域を取り囲む分離領域とを含み、前記第1DBRミラー、前記アパーチャ領域、および前記第2DBRミラーは、前記III族窒化物テンプレートプラグを通過しない軸に沿って配置される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の垂直共振面発光レーザ。
【請求項11】
前記半導体セクションの合計の厚さは、0.5マイクロメートルを超える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の垂直共振面発光レーザ。
【請求項12】
前記誘電体フィルタ層は、前記光学窓のための前記反射スペクトルを提供するように構成されたファブリペローフィルタを含む、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の垂直共振面発光レーザ。
【請求項13】
前記酸化物基板は、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、または酸化ガリウムのうちの1つを含む、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の垂直共振面発光レーザ。
【請求項14】
前記第1DBRミラーは、前記第2DBRミラーの反射率よりも低い反射率を有する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の垂直共振面発光レーザ。
【請求項15】
前記III族窒化物活性領域は、光を生成するように構成される量子井戸構造を備え、前記光は、前記第1DBRミラーの第1反射スペクトル、前記第2DBRミラーの第2反射スペクトル、および前記誘電体フィルタ層の前記光学窓の内の波長を有する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の垂直共振面発光レーザ。
【請求項16】
垂直キャビティ型面発光レーザ(VCSEL)を製造する方法であって、
出発ベースを準備することであって、前記出発ベースは、酸化物ベース、III族窒化物テンプレートプラグ、および誘電体フィルタ層を含み、前記酸化物ベースは、第1面および前記酸化物ベースの前記第1面に反対側の第2面を有し、前記誘電体フィルタ層および前記III族窒化物テンプレートプラグは、前記酸化物ベースの前記第1面の上に配置され、前記誘電体フィルタ層は反射スペクトルを有し、前記反射スペクトルは、光学窓を提供するように構成される、出発ベースを準備することと、
前記誘電体フィルタ層の上において、前記III族窒化物テンプレートプラグからIII族窒化物領域を成長することと、
前記III族窒化物領域を成長させた後に、n型III族窒化物領域、III族窒化物活性領域、およびp型III族窒化物領域を含む半導体積層体を成長することと、
曲面を有する酸化物基板を形成するように、前記酸化物ベースの前記第2面の上において前記酸化物ベースを加工することであって、前記曲面は、前記酸化物基板の第1面の反対側に配置される、前記酸化物ベースの前記第2面の上において前記酸化物ベースを加工することと、
前記半導体積層体を成長した後に、前記酸化物基板の前記第1面の上に第1分布ブラッグ反射器(DBR)積層体を形成することと、
前記酸化物基板の前記曲面の上に第2DBR積層体を形成することと、
備える、方法。
【請求項17】
前記半導体積層体を成長させる前に、研磨またはエッチングのうちの少なくとも1つによって前記III族窒化物領域を平坦化すること、さらに含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記半導体積層体を成長した後に、前記第1DBR積層体を形成する前に、前記酸化物基板の前記第1面の上に導電層を堆積することと、
前記導電層の上に第1電極を形成することと、
をさらに含む、
請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
エッチングによって前記半導体積層体からメサ構造を生成して、前記n型III族窒化物領域のエッチング面を形成することであって、前記メサ構造は、前記III族窒化物活性領域を含む、前記n型III族窒化物領域のエッチング面を形成すること、をさらに備える、
請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記メサ構造の外側において前記n型III族窒化物領域の前記エッチング面の上に第2電極を形成すること、をさらに含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記半導体積層体は、トンネル接合または埋め込みトンネル接合のうちの1つをさらに含む、
請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記酸化物基板は、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、または酸化ガリウムのうちの1つを含む、
請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項23】
開始ベースを準備することは、
前記酸化物ベースの前記第1面の上にIII族窒化物層を堆積することと、
前記III族窒化物層にパターン形成して前記III族窒化物テンプレートプラグを形成することと、
複数の誘電体層を堆積して、前記酸化物ベースの前記第1面および前記III族窒化物テンプレートプラグを覆うことと、
複数の前記誘電体層を処理して、前記III族窒化物テンプレートプラグが前記誘電体フィルタ層のスルーホール内に配置されるように、前記誘電体フィルタ層を形成することであって、前記III族窒化物テンプレートプラグは、前記誘電体フィルタ層の厚さよりも大きい高さを有する、前記誘電体フィルタ層を形成することと、
を備える、
請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項24】
複数の前記誘電体層は、前記光学窓のために前記反射スペクトルを提供するように構成されたファブリペローフィルタを形成するように成長される、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記III族窒化物領域は、エピタキシャルラテラルオーバースロースによって前記III族窒化物テンプレートプラグから成長されて、III族窒化物アイランドを形成する、
請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記III族窒化物アイランドは、前記III族窒化物テンプレートプラグから前記誘電体フィルタ層の上面に沿って外側に延在し、前記誘電体フィルタ層の前記上面は1ナノメートル未満の粗さを有する、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記III族窒化物活性領域は、量子井戸構造を形成するように成長され、前記量子井戸構造は、前記第1DBR積層体の第1反射スペクトル、前記第2DBR積層体の第2反射スペクトル、および前記誘電体フィルタ層の前記光学窓の内の波長を有する光を生成するように構成される、
請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記酸化物ベースの前記第2面の上において前記酸化物ベースを加工することは、
パターン形成されたレジスト層を前記酸化物ベースの前記第2面において形成することと、
パターン形成された前記レジスト層を熱処理して凸形状レジスト領域を形成することと、
前記凸形状レジスト領域および前記酸化物ベースをエッチングすることによって前記凸形状レジスト領域の形状を前記酸化物ベースに転写することと、
備え、
前記凸形状レジスト領域および前記酸化物ベースをエッチングすることは、前記第1DBR積層体および前記第2DBR積層体を形成した後に、前記第2DBR積層体と前記第1DBR積層体との間の距離が50μmを超えるという条件を満たすように前記凸形状レジスト領域および前記酸化物基板のエッチングを停止する、
請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記曲面は、50マイクロメートルを超える曲率半径を有する、
請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項30】
前記半導体積層体を成長させた後に、また前記導電層を形成する前に、前記酸化物基板の前記第1面の上にレジスト膜を形成することと、
前記酸化物基板の前記曲面を通して前記レジスト膜を照明して、前記レジスト膜からパターン形成されたマスクを生成することと、
パターン形成された前記マスクを用いてイオン注入を実行して、アパーチャ領域と前記アパーチャ領域を囲む分離領域とを含むアパーチャ構造を形成することと、
をさらに備える、
請求項16または請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、拡張キャビティIII窒化物垂直共振面発光レーザ(VCSEL)、および拡張キャビティIII窒化物VCSELを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
面発光レーザは、垂直共振面発光レーザ(VCSEL)として知られている。VCSELは、n側半導体領域とp側半導体領域との間に配置された半導体活性領域と、高反射ミラーとして機能する2つの分布ブラッグ反射器とを備え、分布ブラッグ反射器は、DBRとして参照される。半導体活性領域は、利得媒体としても知られ、また2つのDBRと半導体活性領域が光キャビティ(光共振器)を形成するように、2つのDBRの間に配置される。n側領域およびp側領域は、それぞれのキャリア、つまり電子および正孔を活性領域に注入して、これらのキャリアは、活性領域で再結合して光を発生する。このよう生成された光または電磁放射は、DBRによって何度も反射されて光キャビティ内を進み、レーザ発振に至る。VCSELは、DBRの一方に、レーザビームの放射に使用される低い反射率のミラーを備える。
【0003】
本出願は、本明細書全体を通して括弧内の参照番号、すなわち「 」で示されるように、いくかの特許文献または非特許文献を参照する。これらの参照番号に従って順序付けされた文献のリストは、以下の「非特許文献」または「特許文献」と題されたセクションに記載されています。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Appl. Phys. Express 12, 044004 (2019)
【非特許文献2】Sci. Rep. 8, 10350 (2018)
【非特許文献3】Applied Phys. Lett. 83, 2121 (2003)
【非特許文献4】Appl. Phys. Express 2008, 1, 121102.
【非特許文献5】Appl. Phys. Express 2012, 5, 092104
【非特許文献6】Optics Express, 27, 24717 (2019)
【非特許文献7】Appl. Phys. Express, 13, 041003 (2020)
【非特許文献8】Appl. Phys. Express, 14,031002 (2021)
【非特許文献9】Appl. Phys. Express, 14,031002 (2021)
【非特許文献10】Crystals, 11 (12) 1563, (2021)
【非特許文献11】M. B. Stern and T. R. Jay, “Dry etching for coherent refractive micro-lens arrays,” Opt. Eng. 33, 3547-3551 (1994)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
VCSEL内の2つの平面DBRミラーによって画定される光キャビティは、キャビティ長が長くなると過剰な回折損失を受ける。VCSELにおいて曲面ミラーまたはレンズを使用することは、VCSELが長い光キャビティを有することを可能にする。「非特許文献1」および「非特許文献2」に示されるように、曲面ミラーまたはレンズは、レーザ光の電場を利得媒質に集束させて、より長いキャビティ長に起因する回折損失を低減する。キャビティモードを調整してVCSELのゲインスペクトルに合わせことは、高効率の動作を達成できる。非常に短いキャビティ長、例えば、VCSELで1つまたは2つのレーザ発振波長を使用すると、キャビティモードの間隔を大きくする。間隔が広い故に、キャビティモードの少なくとも1つがVCSELの利得スペクトル内に収まりそうで無くなり、それによってVCSELの歩留まりとレーザ発振効率とを低下させる。対照的に、キャビティ長を長くすると、モード間隔が狭くなる。狭い間隔のため、キャビティモードの1つがVCSELのゲインスペクトル内に収まりそうであって、それによってレーザ発振の歩留まりを増加させる。
【0006】
しかしながら、長いキャビティを有するVCSELでは、活性領域を除くすべてのデバイス層が、VCSEL内を伝播する電磁放射に対して透明な材料で作られるということは、魅力的な課題である。DBRミラーの1つは、III族窒化物の半導体ホスト基板の湾曲した背面上に配置されることができ、これは、レンズ構造として形成される。これに従って、この構造のVCSELは、基板除去を使用せず、それは、III族窒化物ホスト基板がキャビティ内にほどほどの損失を導入する可能性があるという結果になる。この曲面ミラーのアプローチは、「非特許文献1」および「非特許文献2」に提案されるものであって、依然として元のホスト基板のかなりの部分をキャビティに提供しており、そこでは、レンズ構造がエッチングによって形成されて、その上に湾曲したn側DBRミラーを形成する。このアプローチは、GaNのホモエピタキシーのために設計されている。加えて、長いキャビティに含まれるホスト基板のドーパント濃度は、pin吸収の損失レベルと同じくらい低くあるべきである。これに従って、ホスト基板は、まずは薄くされて、キャビティ内の光吸収損失を低減する。基板を薄くすることは、厚さを制御するのに難しいプロセスであり、基板に損傷を与える可能性があり、なぜなら、VCSELに所望の特性を提供するために、基板は、300から400マイクロメートルの初期厚から10~30マイクロメートルの目標厚さに薄くされなければならない。
【0007】
そのようでないと、キャビティ内にホスト基板を含むことは、電磁放射が往復するごとに意図しない吸収損失を引き起こす可能性があり、それは、発振閾値が下がることを妨げる。しかしながら、「非特許文献3」の著者は、拡張キャビティ方式におけるGaN系のVCSELの動作を実証しており、拡張キャビティ方式は、吸収の少ないサファイア基板上にGaN系のデバイス層を直接に成長することによって製造される。このような方式では、サファイア基板とデバイス層との間の格子不整合が依然としてデバイス層の結晶品質を制限しており、これに従って、このようなデバイスの寿命および歩留まりが問題となることになる。
【0008】
以下のことが望まれる:安定したレーザ動作を維持しながら吸収源をできるだけ薄く保つこと、および上部ミラーと下部ミラーとが互いに近接して配置された状態でキャビティを形成するように下部ミラーが配置されなければならないことであって、これは、元々の基板の除去という結果になること。ヘテロエピタキシー手法では、III族窒化物デバイス層がサファイアおよびシリコンといったヘテロ基板上に成長され、III族窒化物のVCESLデバイスのヘテロ基板は、「非特許文献4」にあるように、化学エッチングまたはレーザリフトオフ(「LLO」として参照される)によって容易に除去されることができ、一方では、サファイア基板上のGaNのヘテロエピタキシーは、その結晶品質を向上させることができない。しかしながら、従来のLLOプロセスは、GaNホモエピタキシーには受け入れられることができない。他のアプローチでは、GaNホモエピタキシー構造からのIII族窒化物デバイス層の除去が、「非特許文献5」に報告されており、また「非特許文献6」から「非特許文献10」にあるように依然として非常に興味深い。
【0009】
キャビティが長くなるほど、発振および熱ドリフトの点で安定性が向上する。あるいは、拡張キャビティVCSELの設計は、VCSELデバイス層を元の成長基板またはヘテロ基板から慎重に除去することによって、その後に、ZnOおよびIII族酸化物といった無損失の透明酸化物(「TO」と呼ばれる)材料を再取り付けすることによって、実現されることができ、ここで、III族酸化物はAlおよびGaを包含することができる。この設計は、貼り付けTO基板と除去されるデバイス層との両方においてサブナノメートルの下で達成されなければない表面処理を必要とし、また再貼り付けによってこのように形成されるGaN/酸化物界面における屈折率差のため潜在的な望ましくない反射を発生させる。この反射がデバイスの性能低下につながる場合、不要な反射は、界面における反射防止コーティングによって抑制されることができる。これらの手順の全ては、時間を要するものであり、追加コストに関する問題を起こさせることになる。
【0010】
これらすべての欠点を考慮して、本開示の目的は、拡張されたキャビティの特徴をIIIVCSELの構造に提供すること、および拡張されたキャビティの特徴を持つVCSELを製造する方法を提供することである。本開示の別の目的は、複雑な接合および基板除去手順を伴うことなく、拡張キャビティの形成を可能にする単一ステップの統合の解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一構成に係る垂直共振面発光レーザは、第1面と、前記第1面に反対側の第2面とを有する酸化物基板であって、前記第2面は曲面を含む、酸化物基板と、前記酸化物基板の前記第1面の上に配置される半導体セクションと、前記半導体セクションと前記酸化物基板の前記第1面との間に配置されると共に、反射スペクトルを有する誘電体フィルタ層であって、前記反射スペクトルは、光学窓を提供するように構成される、誘電体フィルタ層と、第1分布ブラッグ反射器(DBR)ミラーであって、前記半導体セクションは、前記誘電体フィルタ層と前記第1DBRミラーとの間に配置される、第1分布ブラッグ反射器(DBR)ミラーと、前記酸化物基板の前記曲面に配置された第2DBRミラーであって、前記第1DBRミラー、前記半導体セクション、前記誘電体フィルタ層、前記酸化物基板、および前記第2DBRミラーは、第1軸方向に配列されて拡張キャビティを形成し、前記半導体セクションは、p型III族窒化物領域、III族窒化物領域、および前記p型III族窒化物領域と前記III族窒化物領域との間のIII族窒化物活性領域を含み、前記p型III族窒化物領域、前記III族窒化物活性領域、および前記III族窒化物領域は、前記第1軸方向に配置され、前記III族窒化物領域は、n型III族窒化物領域を含む、第2DBRミラーと、を備える。
【0012】
本開示の別の構成に係る垂直キャビティ面発光レーザを製造する方法は、出発ベースを準備することであって、前記出発ベースは、酸化物ベース、III族窒化物テンプレートプラグ、および誘電体フィルタ層を含み、前記酸化物ベースは、第1面および前記酸化物ベースの前記第1面に反対側の第2面を有し、前記誘電体フィルタ層および前記III族窒化物テンプレートプラグは、前記酸化物ベースの前記第1面の上に配置され、前記誘電体フィルタ層は反射スペクトルを有し、前記反射スペクトルは、光学窓を提供するように構成される、出発ベースを準備することと、前記誘電体フィルタ層の上において、前記III族窒化物テンプレートプラグからIII族窒化物領域を成長することと、前記III族窒化物領域を成長させた後に、n型III族窒化物領域、III族窒化物活性領域、およびp型III族窒化物領域を含む半導体積層体を成長することと、曲面を有する酸化物基板を形成するように、前記酸化物ベースの前記第2面の上において前記酸化物ベースを加工することであって、前記曲面は、前記酸化物基板の第1面の反対側に配置される、前記酸化物ベースの前記第2面の上において前記酸化物ベースを加工することと、前記半導体積層体を成長した後に、前記酸化物基板の前記第1面の上に第1分布ブラッグ反射器(DBR)積層体を形成することと、前記酸化物基板の前記曲面の上に第2DBR積層体を形成することと、備える。
【発明の効果】
【0013】
上記の構成は、拡張キャビティの特徴をIIIVCSELの構造提供すること、および拡張キャビティ特徴を持つVCSELを製造する方法に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る拡張キャビティVCSELであって、2つのミラーおよび1つのファブリペローフィルタを含むVCSELを示す概略的な断面図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係るVCSELを示す概略的に示す上面図である。
図3A図3Aは、本開示の一実施形態に係る拡張キャビティVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す概略図である。
図3B図3Bは、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す模式図である。
図3C図3Cは、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す模式図である。
図3D図3Dは、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す模式図である。
図3E図3Eは、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す模式図である。
図3F図3Fは、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す模式図である。
図3G図3Gは、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す模式図である。
図3H図3Hは、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す模式図である。
図3I図3Iは、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す模式図である。
図3J図3Jは、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す模式図である。
図3K図3Kは、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す模式図である。
図3L図3Lは、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す模式図である。
図3M図3Mは、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す模式図である。
図3N図3Nは、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す模式図である。
図3O図3Oは、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す模式図である。
図3P図3Pは、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す模式図である。
図3Q図3Qは、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す模式図である。
図3R図3Rは、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるプロセスステップを示す模式図である。
図4A図4Aは、本実施形態による製造方法に従って製造されるVCSEL生産物の主要な要素を概略的に示す斜視図である。
図4B図4Bは、本実施形態による製造方法に従って製造されるVCSEL生産物の主要な要素を概略的に示す上面図である。
図5図5は、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるVCSEL生産物におけるデバイスセクションの配置の一配置を概略的に示す上面図である。
図6図6は、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるVCSEL生産物におけるデバイスセクションの別の配置を概略的に示す上面図である。
図7図7は、本実施形態に係るVCSELの製造方法におけるVCSEL生産物におけるデバイスセクションのさらなる別の配置を概略的に示す上面図である。
図8図8は、本実施形態のVCSELの例示的なデバイス構造を概略的に示す断面図である。
図9図9は、本実施形態に係るVCSELの例示的なデバイス構造を概略的に示す略断面図である。
図10図10は、本実施形態に係るVCSELの例示的なデバイス構造を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の教示は、例として示された添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を考慮することによって容易に理解することができる。以下、添付図面を参照して、本開示による垂直共振型面発光レーザ(VCSEL)およびその製造方法を示す概略図を説明する。理解を容易にするために、可能な場合、各図に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号を使用する。
【0016】
図1は、本実施形態に係るVCSELの層構造を概略的に示す図面である。図2は、本実施形態に係るVCSELを概略的に示す上面図である。具体的には、図1は、図2のI-I線に沿って取られた断面を示す。図1および図2は、VCSEL11を示しており、VCSEL11は、はんだバンプ10bを使用して、VCSEL11の湾曲したDBR側においてサブマウント10aに接合される。図1の(1)部、(2)部、および(3)部の各々において、縦軸は反射率(R)を示し、横軸は波長(W)を示す。
【0017】
VCSEL11は、第1分布ブラッグ反射器(DBR)ミラー13、半導体セクション15、誘電体フィルタ層17、第2DBRミラー19、および酸化物基板21を備える。誘電体フィルタ層17は、第1DBRミラー13と第2DBRミラー19との間に配置される。酸化物基板21は、第1面21aと、第1面21aの反対側の第2面21bとを有し、第2面21bは湾曲面21cを含む。半導体セクション15は、酸化物基板21の第1面21a上に配置されており、第1DBRミラー13と誘電体フィルタ層17との間に配置される。第1DBRミラー13、半導体セクション15、誘電体フィルタ層17、酸化物基板21、および第2のDBRミラー19は、第1軸方向Ax1に沿って配置されて、拡張光キャビティCAVを形成する。第1DBRミラー13は、半導体セクション15上に配置され、第2DBRミラー19は、酸化物基板21の湾曲面21cに配置される。誘電体フィルタ層17は、拡張光キャビティCAV内に配置されており、拡張光キャビティCAVは、第1DBRミラー13および第2DBRミラー19によって形成され、また誘電体フィルタ層17は、反射波長領域、およびこれらの反射波長領域により規定される光学窓WINを有し、誘電体フィルタ層17は、波長λ0付近でバンドパスフィルタとして機能する。光学窓WINは、光ビームがレーザ発振波長において光キャビティCAV内を進むことを可能にし、反射波長領域は、光学窓WINの外側の波長の光を遮断することができる。
【0018】
半導体セクション15は、p型III族窒化物領域23、III族窒化物活性領域27、およびIII族窒化物領域29を含み、III族窒化物領域29は、n型III族窒化物領域25を含む。III族窒化物活性領域27は、p型III族窒化物領域23とIII族窒化物領域29(n型III族窒化物領域25)との間に配置される。p型III族窒化物領域23、III族窒化物活性領域27およびIII族窒化物領域29(n型III族窒化物領域25)は、第1軸方向Ax1に配置される。VCSEL11では、III窒化物は、アルミニウム、ガリウム、インジウムといったIII族元素と窒素との任意の化合物を包含し、具体的には、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、インジウム窒素(InN)といった二元合金;窒化ガリウムアルミニウム(GaAlN)、窒化インジウムアルミニウム(InAlN)、窒化ガリウムインジウム(GaInN)といった三元合金;および窒化インジウムガリウムアルミニウム(InGaAlN)といった四元合金を包含し、これらは、任意の微量不純物を含んでいてもよい。III族窒化物は、マグネシウム、炭素、ベリリウムといったp型ドーパントでドープされてp型領域を形成することができ、シリコンおよびテルルといったn型ドーパントでドープされてn型領域を形成することができる。III窒化物は、p型ドーパントおよびn型ドーパントの両方でドープされてもよい。
【0019】
酸化物基板21は、1または複数の酸化物材料、具体的には、以下のものを含む:酸化アルミニウム、例えばAl、そのバンドギャップが約8.8電子ボルト(eV)であり;酸化亜鉛、例えばZnO、そのバンドギャップが約3.37eVであり;または酸化ガリウム、例えばGa、そのバンドギャップが約4.6~4.7eVであるもの。酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムといったこれらの酸化物材料は、可視、赤外、または紫外波長の光に対して透明であって、この光は酸化物基板21を通過できる。
【0020】
VCSEL11は、さらに、III族窒化物テンプレートプラグ18を備え、III族窒化物テンプレートプラグ18は、誘電体フィルタ層17に含まれる貫通孔17a内において酸化物基板21の第1面21aから半導体セクション15まで延びる。貫通孔17aは、軸方向Ax1に延在する。III族窒化物テンプレートプラグ18は、図3Dにも示される埋め込み部分18aと、図3Dにも示される突起18bとを有する。埋め込み部は、貫通孔17a内に位置すると共に酸化物基板21の第1面21aに接して配置され、また、突起は、半導体セクション15内に突出する。
【0021】
図1に示されるように、酸化物基板21の曲面21cは、中心線CNTを有しており、III族窒化物テンプレートプラグ18と曲面21cの中心線CNTとは位置ずれしている。
【0022】
誘電体フィルタ層17は、反射スペクトルR3を有し、反射スペクトルR3は、図1の(2)部に示されるように、光学窓WINを提供するように構成される。図1を参照すると、誘電体フィルタ層17は、具体的には、複数の誘電体層30を含み、誘電体層30は、酸化物基板21上に配置されており、複数の誘電体層30は、光学窓WINを反射スペクトルR3に提供できるファブリペローフィルタを構成するように配置される。
【0023】
第1DBRミラー13は、図1の(1)部に示されるように、反射スペクトルR1を有する。第2DBRミラー19は、図1の(3)部に示されるように、反射スペクトルR2を有する。反射スペクトルR1およびR2は、各々、波長λ0を含む反射波長帯域幅を有する。
【0024】
反射スペクトルR1、R2、R3の大小関係は以下の通りである。反射スペクトルR1およびR2の各々における反射率値は、反射スペクトルR3の反射率値よりもはるかに大きい。また、反射スペクトルR2の反射率値は、反射スペクトルR1の反射率値より大きくてもよい。
【0025】
III族窒化物活性領域27は量子井戸構造を有し、量子井戸構造は光を生成し、この光の波長は、第1反射スペクトルR1、第2反射スペクトルR2、および誘電体フィルタ層17の光学窓WIN内に配置される。レーザ光は、例えば、第2DBRミラー19の反射率より低い反射率の第1DBRミラー13を通して出射される。
【0026】
具体的には、第1DBRミラー13は、第1誘電体層13aおよび第2誘電体層13bを備え、第1誘電体層13aおよび第2誘電体層13bは、第1軸方向Ax1に交互に配置され、第1DBRミラー13は、例えばトップミラーとして機能する。第2DBRミラー19は、また、第3誘電体層19aおよび第4誘電体層19bを有し、第3誘電体層19aおよび第4誘電体層19bは、第1軸方向Ax1に交互に配置されて、第2DBRミラー19は、例えばボトムミラーとして機能する。誘電体フィルタ層17は、半導体セクション15と酸化物基板21の第1面21aとの間に延在する。
【0027】
VCSEL11では、拡張光キャビティCAVの長さは、50マイクロメートルを超える(>50マイクロメートル)ことができる。湾曲面21cは、50μmを超える(>50μm)曲率半径を有する。
【0028】
VCSEL11において、第1DBRミラーは平面的であり、第2DBRミラーは曲面的であり、第1DBRミラー13と第2DBRミラー19との間の距離は50μmより大きくてもよい。半導体セクション15は、0.5μmを超える厚みを有する。
【0029】
VCSEL11は、半導体セクション15上に配置された導電層35をさらに備える。導電層35は、n型GaNといったIII族窒化物半導体、またはインジウムスズ酸化物(ITO)といった導電性無機材料を含むことができ、または両方を含むことができる。導電層35の一部は、第1DBRミラー13と半導体セクション15との間に配置される。
【0030】
VCSEL11において、半導体セクション15は、電気キャリアおよびレーザ光を閉じ込めるアパーチャ構造39を有する。必要に応じて、半導体セクション15は、アパーチャ構造39に加えて、またはアパーチャ構造39に代えて、半導体セクション15の最上層にトンネル構造をさらに含んでもよい。トンネル構造は、導電の型、すなわち電子または正孔の一方を他方に変化させる。トンネル構造は、トンネル接合または埋め込みトンネル接合のいずれかであり得る。トンネル接合は、アパーチャ構造39を用いてキャリアの経路を制限することができ、一方で、埋め込みトンネル接合はアパーチャ構造39を用いずに、キャリアの経路を制限することができる。
【0031】
図1および図2を参照すると、半導体セクション15は、メサ構造37を有する。メサ構造37は、ベース領域37aと、ベース領域37a上に配置されたメサ領域37bとを含む。メサ領域37bには、p型III族窒化物領域23、III族窒化物活性領域27、およびIII族窒化物領域25のn型III族窒化物領域の一部も設けられる。ベース領域37aは、III族窒化物領域25の残りの部分を含む。ベース領域37aの上部においては、メサ領域37bは、n型III窒化物前面25aによって、III族窒化物領域25のn型III族窒化物領域25の底部において囲まれていてもよい。
【0032】
VCSEL11は、さらに、メサ領域37b上の第1電極31、例えばアノード電極、およびメサ領域37bの外側の第2電極33、例えばカソード電極を備える。例示的なVCSEL11では、アノード電極は、ITOまたは電流拡散層(スプレッド半導体層)に接触して配置され、カソード電極は、ベース領域37aのn型III族窒化物領域25の上面25aに接触して配置される。第1電極31は、第1DBRミラー13の外側において導電層35または半導体セクション15上に配置されており、導電層35または半導体セクション15に接していてもよい。カソード電極33は、メサ領域37bの外側においてベース領域37aのIII型窒化物前面37c(25a)上に配置されてもよい。
【0033】
導電層31を含むVCSEL11において、半導体セクション15は、第1面15aと、第1面15aの反対側の第2面15bとを有する。誘電体フィルタ層17は、半導体セクション15の第1面15aに接して配置され、導電層31は、第2面15bに接して配置されている。
【0034】
図1を参照すると、図1は、VCSEL11の概要を示すものであって、VCSEL11には、2つの高反射DBRミラー13および19が設けられ、そのうちの1つが酸化物基板21の曲面上に配置され、酸化物基板21は、2つのDBRミラー13および19を互いに分離して、拡張された光キャビティを単一ステップの集積で可能にする。VCSEL11の製造の観点において、半導体セクション15は、III族窒化物テンプレートプラグ18から生じエピタキシャルラテラルオーバーグロース(ELO)によって誘電体フィルタ層17に沿って成長され、また、誘電体フィルタ層17は、ファブリペロー多層膜を有することができ、このファブリペロー多層膜は、波長における狭い光学バンドパスと、および狭いバンドパスの外側の大きな光阻止領域との両方を可能にする。誘電体フィルタ層17の反射率は、DBRミラー13および19の各々の反射率と比較して、レーザ発振波長において非常に小さくなるように設計されている。
【0035】
拡張キャビティを形成するDBRミラー13および19を酸化物基板21によって大きく隔置することは、拡張キャビティの縦モードの間隔が非常に小さくすることを可能にし、また、この非常に小さい間隔は、縦モードの少なくとも1つが誘電体フィルタ層17の狭い帯域通過窓WIN内にあることを容易にする。対照的に、寄生キャビティを形成するDBRミラー13および誘電体フィルタ層17を半導体セクション15によって短く隔置することは、寄生キャビティの縦モードの間隔を大きくし、この大きな間隔により、寄生キャビティの縦モードの大部分または全てが狭い帯域通過窓WINの外側に位置することを容易にする。寄生キャビティの縦モードの全てが、狭い帯域通過窓WINの外側に位置する可能性が非常に高くなる。誘電体フィルタ層17のより狭い帯域通過窓は、高反射性のDBRミラー13および19のより広い反射波長範囲と組み合わされて、拡張された光キャビティを実現する。活性領域、すなわち利得媒体は、除かれるべき広く離された縦モードの場の最大値が利得媒体の位置とずれるように、DBRミラー13および19に位置合わせされることができる。VCSEL11はいくつかのキャビティを含み、しかし、狭い帯域通過窓WIN内の拡張されたキャビティからの少なくとも1つの単一縦モードが選択され、また、狭い帯域通過窓WIN内の選択されたモードの光は、平坦ミラーと曲面ミラーとの間の拡張されたキャビティ内を進んで、レーザ発振する。これに従って、小さいモード間隔は、選択されたモードを利得スペクトルに位置合わせすることをあまり複雑にせず、また、長いキャビティは、選択されたモードを利得媒体に位置合わせすることにもあまり複雑にしない。
【0036】
VCSEL11は、酸化物基板21上の曲面ミラーの配置と、VCSEL11の平面ミラーおよび曲面ミラーの間に埋め込まれるファブリペローフィルタといった誘電体フィルタ層17とに関与している。曲面ミラーは、入射する電磁放射をリフォーカスによってほぼ90%の反射率で利得媒体に戻して、VCSEL11の拡張された光キャビティにより低い回折損失を提供する。加えて、酸化物基板21は、透明酸化物(TO)材料で作られており、透明酸化物はZnO、Ga、またはAlを含ものであって、透明な酸化物材料および曲面ミラーは、その中の光吸収を無視できるほど小さくでき、VCSEL11の光キャビティの実質的な部分で無損失の光伝搬を可能にする。本デバイス構造は、VCSEL11において長いキャビティと、より良好な熱性能を可能にする。
【0037】
図1を参照すると、VCSEL11には、曲面DBRミラーがボトムミラーとして設けられ、曲面DBRミラーは、基板21の裏面に配置される。VCSEL11の製造の観点では、湾曲DBRミラーは、簡単な製造ステップ、例えば、パターン形成された誘電体積層体、すなわちDBRミラー19を基板21の湾曲した裏面に沿って形成することにおいて一体化されるように設計される。VCSEL11には、平面DBRミラーが提供され、平面DBRミラーは、上部ミラーとして基板21の前面側に配置される。VCSEL11の製造の観点において、平面DBRミラーは、簡単な製造ステップにおいて、例えば、パターン形成された誘電体積層体、すなわちDBRミラー13、を半導体セクション15の平面に沿って上部ミラーとして形成することにおいて一体化されるように設計される。平面DBRミラー13および曲面DBRミラー19は、その間に埋め込まれた誘電体フィルタ層17を持つ拡張キャビティを形成する。誘電体フィルタ層17は、好ましくは反射防止コーティングまたはファブリペロー構造を含み、反射防止コーティングまたはファブリペロー構造は、誘電体材料を含むものであって、所望の波長付近において狭い帯域通過特性を示すと共に帯域通過波長の外の光波長の光を反射する。VCSEL11の製造の観点において、半導体セクション15は、エピタキシャルラテラルオーバーグロース(ELO)によって形成されるものであって、テンプレートプラグ18に由来しており、テンプレートプラグ18は、堆積およびエッチングによって酸化物基板21上に製造され得る。半導体セクション15は発光構造を含み、この発光構造には、p型III族窒化物領域23、III族窒化物領域29のn型III族窒化物領域25、およびp型III族窒化物領域23とn型III族窒化物領域25との間のIII窒化物活性領域27が設けられる。
【0038】
フィルタ層17は、好ましくは全て誘電体からなるファブリペロー構造であることができる。VCSEL11の製造の観点では、誘電体フィルタ層17は、ELOマスクとして機能することができ、ELOマスクは、III族窒化物テンプレートプラグ18からのIII窒化物のエピタキシャルラテラルオーバーグロースを可能にし、その上にIII窒化物が堆積するのを防ぐ。また、誘電体フィルタ層17は、酸化物基板上にELOによってそのように成長されたIII窒化物のための支持構造として機能する。半導体セクション15のためのIII族窒化物のELO堆積は、誘電体フィルタ層17の一部を埋め込む。これに従って、フィルタ層17を積層することは、基板の除去および接合無しに、TO基板21上に薄い半導体セクション15の簡単なステップの集積を提供するように設計され、フィルタ層17はELOマスク構造を有する。このフィルタ層17は、主要な光キャビティのモードにおいてレーザ発振を可能にする狭帯域通過と、寄生的な光キャビティの1または複数のモードがレーザ発振することを防止できる阻止帯域との両方を提供する光学特性を有する。
【0039】
VCSEL11には、半導体セクション15上の第1DBRミラー13が設けられており、第1DBRミラー13は、フィルタ層17にわたって広がる。第1DBRミラー13は、第1軸方向Ax1に交互に配置された第1誘電体層13aおよび第2誘電体層13bを備え、また第1層13aの材料は第2層13bと異なる。
【0040】
VCSEL11には、第2DBRミラー19が設けられ、第2DBRミラー19は、半導体セクション15および酸化物基板21によって第1DBRミラー13から隔てられる。第2DBRミラー19は、第1軸方向Ax1に交互に配置された第3誘電体層19aおよび第4の誘電体層19bを含んでおり、また第3層19aの材料は、第4層19bの材料と異なる。
【0041】
VCSEL11は、さらに、無指向性の反射層40を含む。無指向性の反射層40は、半導体セクション15および誘電体フィルタ層17を覆って、レーザ発振波長の迷光を外側に反射し、それによって迷光がキャビティ内のレーザ発振に干渉することを防止する。無指向性の反射層40は、カソード電極33とアノード電極31との間においてパッシベーション層としても機能する。
【0042】
キャビティCAVは、第1DBRミラー19に接して配置される実質的に平坦な面と、曲面21cとの間の距離として定義されることができる全長キャビティ長を有する。VCSEL11の例示的な構造では、TO基板21の平坦な上面21aと曲面21cとの間の距離は、50から1000μmであることができ、これは拡張キャビティとして使用され、また半導体セクション15の厚さは、0.5から4μm程度であって、これも拡張キャビティとしても使用される。
【0043】
半導体セクション15には、アパーチャ構造39が設けられる。アパーチャ構造39は、導電性開口部39a(導電性アパーチャ部)と、導電性開口部39aを取り囲むより低い導電性の部分39bとを有する。導電性開口部39aは、アノード電極31とカソード電極33との間に形成される電気経路をVCSEL11に提供する。電子および正孔といったキャリアが電気経路を流れ、またIII族窒化物活性領域において再結合されて光を生成し、この光は、DBRミラーの一方、例えば第1DBRミラー13から出射する。導電性開口部39aは、テンプレートプラグ18から横方向に離れて配置されて、テンプレートプラグ18によって引き起こされる可能性のある光学的干渉を低減する。好ましくは、導電性開口部39aは、テンプレートプラグ18の側壁から少なくとも約3マイクロメートルの距離で離間されることができ、この距離は誘電体フィルタ層17に沿って測定される。拡張キャビティは、その主要部は酸化物基板21によって構成されており、またテンプレートプラグ18が湾曲DBRミラー19に関連付けられる円錐の実質的な部分の外側に延びるように寸法的に設計されるべきである。
【0044】
図2を参照すると、III族窒化物テンプレートプラグ18、曲面21c、およびアパーチャ構造39が破線で示される。第1軸方向Ax1に加えて、第2軸方向Ax2および第3軸方向Ax3が示されており、3つの軸方向は互いに直交している。例えば、導電性開口部39aは、直線状のテンプレートプラグ18に対して非対称に配置され、非対称設計は、前面側のアノード電極およびカソード電極の配置と、裏面側の曲面DBRミラー19の配置の両方を容易にする。半導体セクション15は、III族窒化物テンプレートプラグ18の上面および露出された側壁面から誘電体フィルタ層上において外側に向かって横方向に成長されることによって形成される。この形成は、III族窒化物テンプレートプラグ18が半導体セクション15をTO基板21に接続することを可能にし、テンプレートプラグ18は、活性領域27から酸化物基板21への熱放散を可能にするIII族窒化物の熱経路を形成する。この構造は、VCSEL11に熱経路を提供しており、熱エネルギーがテンプレートプラグ18を介してより良好な熱伝導性のTO基板21によって吸収されることを確実にする。
【0045】
本実施形態に係るVCSELの例示的な製造方法について、図3Aから図3Rを参照しながら説明する。図3Aから図3Rは、各々、製造方法におけるある工程を示す断面図であって、断面図は、図2のI-I線に対応する線に沿ってとられている。以下において複写的な記述を避けるために、可能な場合には、図1および図2において使用された参照番号が使用される。以下の記述において、III族窒化物は、例えば有機金属化学気相成長法(MOCVD)または分子線エピタキシー(MBE)によって堆積させることができる。
【0046】
図3Aを参照すると、酸化物ウエハ41が準備され、これはVCSEL11の酸化物基板21に対応するものであって、酸化物ウエハ41はZnO、Ga、Alといった透明材料を含む。その後に、窒化ガリウム(GaN)といったIII族窒化物膜43が酸化物ウエハ41の上面に堆積される。
【0047】
図3Bを参照すると、レジストマスク45が、III族窒化物膜43上に形成され、またIII族窒化物膜43がマスク45を用いてエッチングされて、1または複数のIII族窒化物テンプレートプラグ18を形成する。テンプレートプラグ18の各々は、幅「W」および高さ「H」を有する。III族窒化物テンプレートプラグ18は、各々、非常に低い欠陥密度を有する単結晶III族窒化物を含む。例えば、III族窒化物テンプレートプラグ18は、酸化物ウエハ41の上面に沿って直線的に延びてもよく、「P」のピッチで平行に配置されてもよい。
【0048】
図3Cを参照すると、誘電体多層膜47が、酸化物ウエハ41上におよびIII族窒化物テンプレートプラグ18にわたって堆積される。誘電体多層膜47は、III族窒化物膜43の厚さおよびIII族窒化物テンプレートプラグ18の高さより小さい厚さを有し、また、III族窒化物膜43のファブリペローフィルタを形成できる構造を有していてもよい。
【0049】
例示的な誘電体ファブリペロー構造のための誘電体多層膜47は、以下の例示的な層構造を有する:「(HL)m2nH(LH)m」。ここで、「H」および「L」は、それぞれ、高屈折率の層および低屈折率の層を表し、これらのそれぞれの層は、4分の1波長の光学的厚さを有し、「m」および「n」は整数である。具体的には、標記「(HL)m」は、高屈折率層および低屈折率層がm回交互に積層されていることを示す。標記「2nH」は、高屈折率層の2n倍の厚さを示す。標記「(LH)m」は、低屈折率層および高屈折率層がm回交互に積層されていることを示す。誘電体材料の屈折率および層厚に関してファブリペロースペクトル(R3)を設計することが、中心波長λ0における高透過率の光学窓と、高透過率の光学窓の両側における高反射スペクトル領域との両方を可能にする。
【0050】
図3Dを参照すると、誘電体フィルタ層17が、エッチングにより誘電体多層膜47を加工することによって、誘電体多層膜47から作製され、またエッチング工程ではマスク(図示せず)が使用され、マスクは、誘電体多層膜47上に形成されると共に、III族窒化物テンプレートプラグ18の位置にそれぞれの開口部を有する。III族窒化物テンプレートプラグ18の各々は、このように形成された誘電体フィルタ層17の対応する開口部に位置すると共に下部および上部を有する。III族窒化物テンプレートプラグ18の下部18aは、誘電体フィルタ層17の開口部に埋め込まれており、III族窒化物テンプレートプラグ18の上部18bは、誘電体フィルタ層17の上面から突出している。
【0051】
図3Dに示される中間生成物が得られる工程では、出発ベース51が準備され、出発ベース51には、III族窒化物テンプレートプラグ18の配置、誘電体フィルタ、および酸化物ウエハ41としての酸化物ベースが設けられる。酸化物ウエハ41は、第1面41aと、第1面41aとは反対側の第2面41bとを有する。誘電体フィルタ層17およびIII族窒化物テンプレートプラグ18は、第1面41aに配置されている。誘電体フィルタ層17の反射スペクトル(R3)は、第1面41aに沿って延びており、光学窓(WIN)を提供するように構成される。光は、平面DBRミラー13と曲面DBRミラー19との間の拡張光キャビティ内を進んで、光学的な往復ごとに、2回、誘電体ファブリペローフィルタを通過する。誘電体フィルタ層17には、ファブリペローフィルタ構造が設けられ、ファブリペローフィルタ構造は、狭帯域の通過帯域とその両側に阻止を提供する除去帯域とを提供する。必要な場合には、誘電体多層膜47が堆積されると共にそしてパターン形成されて、短冊状の開口部を形成することができ、短冊状の開口部は、酸化物ウエハ41の第1面41aに周期的に配列され、III族窒化物が、短冊状の開口部に選択的に成長されて、窒化物テンプレートプラグ18を形成することができる。
【0052】
図3Eを参照すると、誘電体フィルタ層17およびIII族窒化物テンプレートプラグ18の配置を含む出発ベース51を形成した後に、III族窒化物領域52が、誘電体フィルタ層17に沿ってIII族窒化物テンプレートプラグ18から出発ベース51上にエピタキシャル成長される。III族窒化物領域52は、III窒化物テンプレートプラグ18の側面および上面からELOによって成長されて、翼状のIII窒化物アイランドを形成し、また隣接するIII族窒化物領域52は、互いに分離される。このIII窒化物アイランドは、テンプレートプラグ18からELOによるIII窒化物材料の堆積によって形成され、隣接するIII窒化物アイランドの間に走るダイシングストリート「D」を画定する。ダイシングストリート「D」は、個々のVCSELセクションも画定し、VCSELセクションは、個々のVCSELセクションチップに対応する。III族窒化物領域52は、n型ドーパントで部分的または全体的にドープされてもよく、テンプレートプラグ18から外側に延在してもよい。
【0053】
図3Fを参照すると、必要な場合には、引き続く半導体積層体を成長させる前に、III族窒化物領域52は、研磨またはエッチングの少なくとも1つによって平坦化されて、平坦な上面53aを持つIII族窒化物領域53を形成する。
【0054】
図3Gを参照すると、III族窒化物領域53を成長させた後に、半導体積層体55がエピタキシャルに形成されて、半導体積層体55はIII族窒化物デバイス層を含む。III族窒化物デバイス層には、n型III族窒化物領域25、III族窒化物活性領域27、およびp型III族窒化物領域23が設けられる。具体的には、n型III族窒化物領域25、III族窒化物活性領域27、およびp型III族窒化物領域23は、順に、III族窒化物領域53の平坦面上に成長させる。
【0055】
具体的には、窒化物領域25は、n型ドーパントでドープされたGaN系またはAlN系の材料を含むことができ、これは、III窒化物活性領域27への電子の供給を可能にする。また、窒化物領域25は、p型ドーパントでドープされたGaN系またはAlN系の材料を含むことができ、これは、III窒化物活性領域27への正孔の供給を可能にする。III窒化物活性領域27は、GaN、InGaN、AlN、AlGaN、またはAlInGaNといったGaN系またはAlN系の材料を含むことができる。III族窒化物活性領域27には、単一量子井戸(SQW)または多重量子井戸(MQW)といった単一井戸層または量子井戸構造が設けられてもよい。必要な場合には、埋め込みトンネル接合または複数のトンネル接合層が、p型III族窒化物領域23を堆積した後に成長されることができる。
【0056】
図3Hを参照すると、半導体積層体55を成長した後に、酸化物ウエハ41は、第2面41bにおいて加工されて、曲面41cおよび新たに生成される裏面41dを形成し、これらの面は第2面41bから生成されており、必要な場合には、第2面41bは研磨面であってもよい。具体的には、酸化物ウエハ41の曲面41cがマイクロレンズ45aとして機能する。酸化物ウエハ41の曲面41cは、中心軸CNTを有しており、図3Hに示すように、III族窒化物テンプレートプラグ18および曲面41cの中心軸CNTは互いに整列されていない。サファイアウエハといった酸化物ウエハ41は、その研磨面において加工されて、マイクロレンズ45aといった曲面41c、および裏面41dを作製する。曲面41cは、キャリアを閉じ込めるアパーチャ構造の位置をマイクロレンズ45aの焦点が特定することに役立つように位置合わせされる所定の位置に位置決めされることができる。アパーチャ構造は、後述される。
【0057】
図3Hから図3Jに示されるように、曲面41cは、マイクロレンズとして機能するものであって、非特許文献11において参照される熱リフロー技術を用いて製造されることができる。具体的には、図3Iに示されるように、レジスト膜が、酸化物ウエハ41の裏側に形成されると共に標準的なフォトリソグラフィーによって処理されて、フォトレジストマイクロディスク45aといったパターン形成されたレジスト57を形成することができる。次いで、図3Jに示されるように、パターン形成されたレジスト57は、例えばホットプレートを用いて、高温における熱処理にさらされて、高温の熱処理が、パターン形成されたレジスト57をレンズ状の形状に変形させ、パターン形成されたレジスト57が、犠牲フォトレジストマスク58として使用されることができる。さらに、図3Hに示されるように、レンズ形状のレジスト58および酸化物ウエハ41の裏面41bは、反応性イオンエッチング(RIE)によって加工されることができ、その結果、レンズ形状のレジスト58の形状が酸化物ウエハ41に転写される。具体的には、酸化物ウエハ41が薄くされて、マイクロレンズ45aといった曲面41cが、薄くされた酸化物ウエハの裏面41dに残される。薄くされた酸化物ウエハは、酸化物基板42として参照される。酸化物ウエハ41を薄くすることは、拡張された光キャビティの長さを調整することができる。これに従って、この工程は、曲面41cの形成のみならず、キャビティ長の調整も可能となる。
【0058】
図3Kを参照すると、フォトレジスト膜59が、酸化物基板42のおもて面に形成されて、半導体積層体55および誘電体フィルタ層17を覆う。それから、酸化物基板42の裏面41dの曲面41cが、露光光60が透過するフォトマスク56を用いて照射され、また露光光60は曲面41cを透過して、ある点に、例えば半導体積層体55の上面を覆うフォトレジスト膜59の部分に焦点を結んで、これによってフォトレジスト膜59の露光部59aが形成される。
【0059】
図3Lを参照すると、露光されたフォトレジスト膜59を現像することは、パターン形成された開口部61aを持つレジストマスク61を形成する。次いで、膜63がレジストマスク61上およびパターン形成された開口部61a内の両方に堆積され、またレジストマスク61の除去は、膜63から製造されるマスク64を残す。膜63は、Ti/Auまたは誘電体層からなることができる。
【0060】
図3Mを参照すると、埋め込みトンネル接合を含まないVCSEL11の製造には、アパーチャ構造65を形成する必要がある。具体的には、マスク64が使用されてイオン注入を実行してアパーチャ構造65を形成する。このように形成されたアパーチャ構造65は、開口領域65aと、開口領域65aを取り囲む分離領域65bとを含む。マスク64を用いて、水素原子、n型ドーパント原子、および/またはp型ドーパント原子といったイオンを半導体積層体51に注入することは、半導体積層体55にアパーチャ構造65を生成する。アパーチャ構造65には、キャリアが流れる電気経路を形成可能な半導体の開口領域65aと、半導体の開口領域65aに光およびキャリアを閉じ込め可能な分離領域65bとを備える。イオン注入後、マスク64は除去される。
【0061】
或いは、半導体積層体55が埋め込みトンネル接合を含むVCSEL11の製造は、p++GaNおよびn++GaNといったトンネル層にパターン形成することを必要とし、半導体積層体55は、トンネル層を含んでもよい。具体的には、トンネル層は、マスク64を用いてエッチングされて、埋め込みトンネル接合を形成することができる。エッチング後に、マスク64が除去されて、次いで、III族窒化物の再成長が実行されて、埋め込みトンネル接合を覆うドープ半導体層を堆積し、ドープ半導体層は、電流スプレッダとして機能する。
【0062】
図3Nを参照すると、埋め込みトンネル接合を含まないVCSEL11の製造においてマスク64を除去した後に、導電層67が、半導体の開口領域65aおよび分離領域65bの両方を覆うように半導体積層体55上に堆積される。導電層67は、GaNまたはAlGaNといった高濃度にドープされたIII族窒化物半導体層、および/または酸化インジウムスズ(ITO)といった無機層を含むことができ、III族窒化物活性領域27からの光に対して透明である。例えば、導電層67は、マスクを用いずに酸化物基板42上に堆積されることができる。
【0063】
図3Oを参照すると、メサ構造69が半導体積層体55から作製される。具体的には、フォトレジストが、半導体積層体55を覆うように酸化物基板42a上に形成され、そしてパターン形成されてレジストマスク71を形成する。レジストマスク71は、エッチングによって半導体積層体55の下に横たわるn型GaN領域を露出させるように使用されて、それによってメサ構造69を形成し、メサ構造69は、III族窒化物活性領域27およびp型III族窒化物領域23を含む。メサ構造69の外側には、n型III族窒化物領域のエッチング面69aが半導体積層体55から生成される。
【0064】
図3Pおよび図3Qを参照すると、酸化物基板42上にレジストマスク71を残した状態でメサ構造69を形成した後に、無指向性反射器(ODR)層73は、酸化物基板42およびレジストマスク71にわたって無指向性反射膜73を堆積すること、次いでレジストマスク71を、つまりリフトオフにより除去することによって形成される。図3Pに示されるように、このように形成されたODR層73は、メサ構造69の側面および誘電体フィルタ層17の上部を覆うと共に、メサ構造69の上部に開口を有する。ODR層71は、VCSEL11の発振波長の迷光の反射板として機能し、また、後のプロセスステップで形成されるアノード電極とカソード電極との間のパッシベーション層としても機能する。
【0065】
再び図3Qを参照すると、ODR層73を形成した後に、第1分布ブラッグ反射器(DBR)積層体75および第1電極77が、導電層67上にリフトオフによって形成され、また第2電極79が、メサ構造69の外側においてn型III族窒化物領域25のエッチング面69a上にリフトオフによって形成される。
【0066】
具体的には、第1DBR積層体75は、リフトオフによって形成することができ、またアパーチャ構造65または埋め込みトンネル接合に整列される。アノード電極といった第1電極77は、第1DBR積層体75の外側に配置され、また導電層67または再成長の半導体層に接して配置される。カソード電極といった第2電極79は、ODR層73にパターン形成してODR層73の開口を形成した後に、メサ構造69の外側に配置されることができる。ODR層73のこの開口は、第2電極79がIII族窒化物領域25のエッチングされたn型III窒化物面69aに接触して配置されることを可能にする。
【0067】
図3Rを参照すると、第2DBRミラー積層体81は、酸化物基板42の曲面41c上に形成される。必要な場合には、第2DBRミラー積層体81は、パターング形成されて、酸化物基板42の裏面41dの一部を露出させ、また、それからはんだボールといった接合材料が、酸化物基板42の露出した裏面41d上に形成されることができる。
【0068】
以上の工程は、VCSEL、例えばVCSEL11を完成させる。この構造は、このように作製されたVCSEL11が、半田バンプを用いて、曲面DBR側上においてサブマウントに接合されることができる。
【0069】
図4Aは、テンプレートプラグ18、レンズ構造としての曲面41c、およびメサ構造69におけるアパーチャ構造65を含む1つのチップセクションを示す斜視図である。図4Bは、上記の製造プロセスが適用された酸化物基板42上の2つのチップセクションを示す平面図である。
【0070】
上記の製造方法では、このようにして製造された酸化物基板は、ダイシングおよび/またはエッチングといった分離プロセスによってVCSELチップに分離される。本酸化物基板には、メサ構造と、隣接するメサ構造の間に延びるダイシングストリートとの配置が設けられることに留意されたい。このようにして製造された本生産物のダイシングストリートは、何の半導体構造を含まない。無指向性のフィルタ層は、メサ構造の上部を除いて酸化物基板の上面を覆っており、必要な場合には、フォトリソグラフィーおよびエッチングによってダイシングストリートの位置で除去されることができる。第2DBR積層体が、パターン形成されて曲面41c上およびその辺りに配置されるので、何らの材料も、酸化物基板の裏面の位置においてダイシングストリートを覆わない。
【0071】
このように製造されたVCSEL11では、拡張された光学キャビティCAVの長さは、50マイクロメートルを超える(>50マイクロメートル)ことができる。曲面41cは、50マイクロメートルを超える(>50マイクロメートル)曲率半径を有する。
【0072】
VCSEL11では、第1DBRミラー13は平面であると共に第2DBRミラー19は曲面であり、第1DBRミラー13と第2DBRミラー19との間の距離は、50μmより大きい。半導体セクション15の厚みは、0.5μmより大きい。
【0073】
図4Aおよび図4Bでは、半球円44は、曲面41cに沿って延びる仮想の球体を示す。例えば、曲面ミラー21cの曲率半径R0が約100μmであるとき、半球円44は、上面21aにおける200μmの直径「DIA」を有する。
【0074】
隣接するテンプレートプラグ18の間隔は、単一のウエハ上のデバイスセクションの総面積の、ウエハの上部面積に対する比を示す充填率に関連付けられる。ダイシングストリートは、チップ領域の配置を規定し、チップ領域の各々は、単一のVCSELデバイスのために用意される。テンプレートプラグ18は、一方向に周期的に配置されてもよく、ウエハ全体にわたって長いマイクロストライプであってもよく、単一のチップ寸法内における長さ方向に終端されたマイクロストライプであってもよく、或いは市松模様に配置された終端されたストライプであってもよく、また、テンプレートプラグ18は、必要な場合には、それらの端部において部分的に交互配置されて、成長の一利点、つまりエッジ効果の低減を得る。
【0075】
テンプレートプラグ18の配置は、ダイシングストリートの位置に関連付けられる。テンプレートプラグから成長された半導体セクションは、ELOのため、大きくされることができず、半導体セクションのELOは、隣接する半導体セクションに到達する前に終了される。
【0076】
好ましくは、半導体セクションのサイズには、あるサイズが提供されるべきであって、このサイズは、アパーチャ構造の設計上の開口部の幅よりも広いと共にテンプレートプラグ18の配列の周期より小さい。
【0077】
好ましくは、ダイシングストリートは、スライスされるべきIII族窒化物材料を除外すべきである。酸化物基板のスライスは、ダイシングブレード、レーザスクライビングおよび/またはプラズマエッチングによってダイシングストリートにおいて実行されることができる。ダイシングストリート内にIII族窒化物材料の無いことの利点の1つは、廃棄されることから半導体層を節約することである。
【0078】
アパーチャ構造の導電性アパーチャ部分は、翼状半導体アイランドの端部の近くに配置されることができ、翼状半導体アイランドは、あるテンプレートプラグからELOによって外側に成長される。このデバイスの利点は、チップ表面上の電気パッドを収容すること、およびテンプレートプラグの隣の直近領域に含まれる可能性のある結晶欠陥および不規則性を低減することである。別の利点は、テンプレートプラグの中心において酸化物基板の上面に垂直に延びる基準面からアパーチャ構造を離して、それによって光損失を排除することである。
【0079】
より狭いダイシングストリートは、より多くのデバイスセクションが単一のウエハ上に配置されることを可能にする。
【0080】
図5から図7は、各々、TO基板上のデバイスセクションの例示的な配置を示す模式図である。図5から図7を参照すると、TO基板上のデバイスセクションの典型的な配置が示される。デバイスセクションが、二次元配列を形成するように配置されており、ダイシングストリートDが配列を規定するように走る。図5および図6では、半球円44は、互いに分離される。図7では、半球円44は、部分的に重ねられる一方で、曲面21は、互いに離されている。デバイスセクション46の境界が、破線で示されている。
【0081】
当業者であれば、上記の配置からの様々な変更、例えば、VCSELデバイスセクションの配置の密集バージョンまたは少ない密集バージョンを理解できるであろう。
【0082】
図8は、本開示の一実施形態に従うVCSELを示す概略的な図面である。VCSEL11には、キャリアおよびレーザ光を閉じ込めるアパーチャ構造39と導電層35とが設けられる。導電層35が、第1電極31からアパーチャ構造39の導電性開口部39aへの電気経路を形成しており、第1電極31は、第1DBRミラー13の隣に配置されると共に導電性開口部39aは、キャビティに整合して第1DBRミラー13の直下に配置される。
【0083】
VCSEL11の製造方法における例示的なプロセスフローを説明し、VCSEL11は、電流拡散層として機能する導電層を含む。
【0084】
この方法は以下のステップを含む。
1.出発ベースを準備すること。ここで、出発ベースを準備することは、GaNのテンプレートプラグを形成することを含み、テンプレートプラグは、第1軸方向Ax1に垂直な第2軸方向Ax2にTOウエハ上において真っ直ぐに延びる;テンプレートプラグの側壁が部分的に露出されると共にテンプレートプラグの上面が完全に露出された状態で、TOウエハ全体にわたって誘電体ファブリペローフィルタ構造を形成すること。
2.ELOによって、テンプレートプラグの露出されたGaNから、ファブリペローフィルタ構造の上面に沿って、意図せずドープされたGaN層(n-GaN)を成長して、第1軸方向Ax1および第2軸方向Ax2に直交する第3軸方向Ax3において約30から50μmの合計幅の半導体ベース領域を形成する。
3.半導体ベース領域の平坦化を実行して、平坦化されたn-GaN層を形成すること。
4.平坦化されたn-GaN層上に半導体積層体を成長することであって、半導体積層体は、デバイス層、例えば、クラッドおよびnコンタクトのためのn-GaN、InGaN多重量子井戸、AlGaN電子ブロック層、およびp-GaN層を含んであり、必要な場合にはp++GaN層を含む。
5.TOウエハの裏面を研磨すること。
6.反応性イオンエッチングによって、リフローによって形成されたレジストパターンをTOウエハ裏面に転写して、モノリシックマイクロレンズを形成すること。
7.デバイス層を覆うレジスト膜から裏面の露光を介してレジストマスクを作製することであって、裏面の露光では、モノリシックマイクロレンズが、レジスト膜の辺りに位置決めされた焦点に露光光を集光するために使用される。
8.レジストマスクを用いてデバイス層上にマスクを形成すること。
9.マスクを用いてイオン注入を実行して、アパーチャ構造を画定すること。
10.透明導電性酸化物(TCO)を堆積すること。
11.半導体積層体にメサ構造を作製すること。
12.メサ構造の上面部に開口部を有する無指向性反射器(ODR)材料のパッシベーション膜を堆積すること。
13.メサ構造のデバイス層の平坦な上面の上に誘電体分布ブラッグ反射板積層体を堆積すること。
14.メサ構造を含む半導体積層体上に電極金属パッドを堆積すること。
15.TO基板の曲面上に誘電体分布ブラッグ反射板積層体を堆積すること。
16.TO基板の裏面の上に接着材を置くこと。
17.このように作製されたTOウエハを分離して、VCSELチップを形成すること。
18.VCSELチップをサブマウントに接着すること。
【0085】
VCSELチップは、光源、センサー、またはその両方といったユーザ定義の用途において使用できる。
【0086】
図9は、本開示の他の実施形態によるVCSELを概略的に示す図面である。VCSEL11aには、トンネル接合構造36およびアパーチャ構造39が設けられる。トンネル接合構造36は、第1電極31から導電性開口部39aまでの電気経路を形造っており、第1電極31は、第1DBRミラー13の隣りに配置されており、導電性開口部39aは、第1DBRミラー13の直下に配置されると共にキャリアおよびレーザ光を閉じ込める。トンネル接合構造36は、アパーチャ構造39内のp++III族窒化物層36a、およびメサ構造36上のn++III窒化物層36bを含み、p++III窒化物層36aおよびn++III族窒化物層36bは、互いに接触してトンネル接合を形成する。このトンネル接合は、追加のIII族窒化物層36cによって埋め込まれる。
【0087】
VCSEL11aの製造方法における例示的なプロセスフローを説明し、VCSEL11aは、高濃度にドープされたn++層およびn型半導体層を含み、この層は、電流拡散層(電流スプレダー)として機能する。n++半導体層は、最上部のp++半導体層に接触して、トンネル接合36を形成する。
【0088】
この方法は以下のステップを含む。
1.出発ベースを準備することであって、出発ベースを準備することは、GaNのテンプレートプラグを形成することを含み、テンプレートプラグは、第1軸方向Ax1に垂直な第2軸方向Ax2に真っ直ぐにTOウエハ上において走る。テンプレートプラグの側壁が部分的に露出されると共にテンプレートプラグの上面が完全に露出された状態で、TOウエハ全体にわたって誘電体ファブリペローフィルタ構造を形成すること。
2.ELOによって、ファブリペローフィルタ構造の上面に沿って、意図せずドープされたGaN層(n-GaN)をテンプレートプラグの露出したGaNから成長して、第1軸方向Ax1および第2軸方向Ax2と直交する第3軸方向Ax3に約30から50μmの合計幅を有する半導体ベース領域を形成すること。
3.半導体ベース領域の平坦化を実行して、平坦化されたn-GaN層を形成すること。
4.平坦化されたn-GaN層上に半導体積層体を成長することであって、半導体積層体は、デバイス層、例えば、クラッドおよびnコンタクトのためのn-GaN、InGaN多重量子井戸、AlGaN電子ブロック層、p-GaN層、およびp++GaN層を含む。
5.TOウエハの裏面を研磨すること。
6.リフローによって形成されたレジストパターンをTOウエハ裏面に反応性イオンエッチングによって転写して、モノリシックマイクロレンズを形成すること。
7.裏面の露光を介してレジストマスクを作製することであって、裏面の露光では、レジスト膜の辺りに位置決めされた焦点に露光光を集光するためにモノリシックマイクロレンズが使用される。
8.レジストマスクを用いてデバイス層上にマスクを形成すること。
9.マスクを用いてイオン注入を実行して、アパーチャ構造を画定すること。
10.アパーチャ構造を形成した後に、n++GaN層を再成長してトンネル接合を完成すること、および、更にn++GaN層上に、コンタクトおよび電流拡散のためのn-GaN層を堆積すること。
11.デバイス層およびトンネル接合を含む半導体積層体からメサ構造を作製すること。
12.メサ構造の上面部の上に、コンタクトエリアのための開口を有する無指向性反射器(ODR)材料のパッシベーション膜を堆積すること。
13.デバイス層の平坦な上面の上に誘電体分布ブラッグ反射板積層体を堆積すること。
14.メサ構造を含む半導体積層体上に電極金属パッドを堆積すること。
15.TO基板の曲面上に誘電体分布ブラッグ反射板積層体を堆積すること。
16.TO基板の裏面の上に接着材を置くこと。
17.このように作製されたTOウエハを分離して、VCSELチップを形成すること。
18.VCSELチップをサブマウントに接合すること。
【0089】
VCSELチップは、光源、センサー、またはその両方といったユーザ定義の用途において使用できる。
【0090】
図10は、本開示のさらに他の実施形態によるVCSELを概略的に示す図面である。VCSEL11bには、アパーチャ構造39のない埋め込みトンネル接合構造38が設けられる。埋め込みトンネル接合38は、第1DBRミラー13の直下にキャビティに整列されて配置され、また電流拡散層(電流スプレダー)で覆われて、第1電極31から埋め込みトンネル接合38までの電気経路を画定しており、第1電極31は、第1DBRミラー13の隣に置かれると共に、埋め込みトンネル接合38は、キャリアおよびレーザ光を閉じ込めるために使用される。
【0091】
VCSEL11bを製造する方法における例示的なプロセスフローを説明しており、VCSEL11bは、埋め込みトンネル接合構造38を含んでおり、埋め込みトンネル接合構造38は、高濃度にドープされたn++型およびp++型の半導体層、並びにn型半導体層を含み、n型半導体層は、埋め込みトンネル接合構造38を覆うと共に電流拡散層(電流スプレダー)として機能する。埋め込みトンネル接合38は、パターン形成されたp++III窒化物層38aおよびn++III窒化物層38bを含み、p++III窒化物層38aおよびn++III窒化物層38は、メサ構造36上に配置される。p++III窒化物層38aおよびn++III窒化物層38は、互いに接触してトンネル界面を形成すると共に、追加のIII窒化物層38cによって埋め込まれる。追加のIII族窒化物層38cは、実質的に平坦化された上面を形成するようにメサ構造37上に成長される。第1電極31は、III族窒化物層38cに接して配置されており、第1DBRミラー13はIII族窒化物層38cの上面の上に配置される。
【0092】
この方法は以下のステップを含む。
1.出発ベースを準備することであって、出発ベースを準備することは、GaNのテンプレートプラグを形成することを含み、テンプレートプラグは、第1軸方向Ax1に垂直な第2軸方向Ax2に真っ直ぐにTOウエハ上において走る。
テンプレートプラグの側壁が部分的に露出されると共にテンプレートプラグの上面が完全に露出された状態で、TOウエハ全体にわたって誘電体ファブリペローフィルタ構造を形成すること。
2.ELOによって、ファブリペローフィルタ構造の上面に沿って、意図せずドープされたGaN層(n-GaN)をテンプレートプラグの露出したGaNから成長して、第1軸方向Ax1および第2軸方向Ax2と直交する第3軸方向Ax3に約30から50μmの合計幅を有する半導体ベース領域を形成すること。
3.半導体ベース領域の平坦化を実行して、平坦化されたn-GaN層を形成すること。
4.平坦化されたn-GaN層上に、半導体積層体を成長することであって、半導体積層体は、デバイス層、例えばクラッドおよびnコンタクトのためのn-GaN、InGaN多重量子井戸、AlGaN電子ブロック層、p-GaN層、およびp++GaN層を含む。
5.TOウエハの裏面を研磨すること。
6.リフローによって形成されたレジストパターンをTOウエハの裏面に反応性イオンエッチングによって転写して、モノリシックマイクロレンズを形成すること。
7.p++GaN層の上にn++GaN層を再成長してトンネル接合を完成すること。
8.裏面の露光を介してデバイス層の上にレジスト膜からレジストマスクを作製することであって、裏面の露光では、レジスト膜の辺りに配置された焦点に露光光を集光するためにモノリシックマイクロレンズが使用される。
9.レジストマスクを用いてトンネル接合にパターン形成して、デバイス層の上に埋込トンネル接合を完成すること。
10.埋込トンネル接合を形成した後に、埋込トンネル接合を覆うn-GaN層を堆積して、平坦化されたn-GaN上面を形成すること。
11.半導体積層体からメサ構造を作製すること。
12.メサ構造の上面に、コンタクトエリアのための開口を有する無指向性反射器(ODR)材料のパッシベーション膜を堆積すること。
13.デバイス層の平坦な上面の上に誘電体分布ブラッグ反射板積層体を堆積すること。
14.メサ構造を含む半導体積層体上に電極金属パッドを堆積すること。
15.TO基板の曲面上に誘電体分布ブラッグ反射板積層体を堆積すること。
16.TO基板の裏面の上に接着材を置くこと。
17.このように作製されたTOウエハを分離して、VCSELチップを形成すること。
18.VCSELチップをサブマウントに接着すること。
【0093】
VCSELチップは、光源、センサー、またはその両方といったユーザ定義の用途において使用できる。
【0094】
さらには、背景技術における半導体チップの製造は、確実に、ウエハ上にエピタキシャルデバイス層を成長させること、並びにデバイス層およびウエハの両方をダイシングすることを含む。ダイシングおよびチップの単一化のための領域は、ウエハの処理領域の少なくとも10%を必要とすることがある。
【0095】
半導体チップ、例えば拡張キャビティVCSELを製造することには3つのアプローチがある。
【0096】
アプローチ1
デバイス層全体が、まず、平坦なGaN基板上にエピタキシャル成長される。成長の後に、GaN基板は、その裏面を研磨することによって薄くされて、それから、マイクロレンズといった光キャビティのための曲面が、研磨した裏面に形成される。
【0097】
アプローチ2
デバイス層全体が、まず、平坦なGaN基板上にエピタキシャル成長される。成長の後に、GaN基板が除去されて、デバイス層を含むデバイス積層体を形成し、それから、デバイス積層体は、異種基板と貼り合わされ、異種基板は、その裏面に、マイクロレンズといった光キャビティのための曲面を持つ。
【0098】
アプローチ3
アプローチ3は、本開示に従う製造フローを含む。アプローチ1およびアプローチ2と比較されると、アプローチ3における拡張キャビティの集積は、基板を除去することおよび薄くすることを必要とせず単純なステップ手順である。ダイシングストリートは、半導体セクションの間に配置されることができる。本開示による製造フローは、デバイスセクションの様々な配置、例えばウエハ上のデバイスセクションの高い配置密度を可能にする。
【0099】
複数の例示
【0100】
透明酸化物(TO)基板材料
マイクロレンズは、TO基板上のデバイス層と統合される。デバイス層は、またTO基板上に成長される。TO基板の材質は、ZnO、Ga、Al、および他の材料を包含しており、これらの材料は、材料に応じて、赤外、可視、近紫外、および/または深紫外の波長に対して透明である。本開示のVCSELデバイスには、少ない吸収のTO基板によって主に占められるキャビティが設けられる。これにより、VCSELデバイスの製造に6インチを超えるサイズのサファイアウエハといった大型のTOウエハを使用することを可能にし、これは、1回の製造の実施から多くのデバイスを製造できるという結果になる。
【0101】
テンプレートプラグ
III族窒化物テンプレートプラグが搭載されるTOウエハから始めることであって、III族窒化物テンプレートプラグの高さは、1μmから10μmになり得る。テンプレートプラグのためのIII窒化物層の結晶品質は、厚さとともに増加する。III窒化物層の厚さを増加させることは、貫通転位を層内で終結させることができ、貫通転位は、基板界面における格子不整合から由来する。さらに、より大きな厚さは、誘電体フィルタ層に、厚いファブリペローフィルタ構造を提供し、厚いファブリペローフィルタ構造は、非常に狭い帯域通過の領域、および帯域通過外側のより良好な阻止領域を特徴付けおよび形成することに役立ち得る。より厚いファブリペローフィルタは、テンプレートプラグの下部側壁部分を埋め込んでおり、下部側壁部分は、大部分の欠陥を含む可能性がある。
【0102】
例えば、テンプレートプラグは、GaNといった六方晶系III窒化物の<11-20>軸に平行なストライプ形状であってもよい。テンプレートプラグを形成する際に、(0001)極性の配向を有するIII族窒化物膜をエッチングすることは、このように形成されるテンプレートプラグストライプに、(11-22)面の側壁が提供される。このような側壁の配向は、側壁からの引き続く横方向の成長を促進することができる。必要な場合には、III族窒化物テンプレートプラグ側壁には、横方向の成長を促進する別の向きが設けられることができる。或いは、テンプレートプラグには、誘電体フィルタ層に沿ったIII族窒化物層の成長促進を可能にする所望の配向が設けられてもよい。
【0103】
ファブリペローフィルタ/反射防止
ファブリペローフィルタ構造の使用は、狭帯域フィルタを作成するための望ましい設計の1つである。ファブリペローフィルタは、狭い通過帯域と帯域通過の両側の阻止帯域との両方を提供する。ファブリペローフィルタは、単一のレーザキャビティ内に配置されることができ、また中央スペーサ、および中央スペーサを挟む2つの同等な反射ミラーを含んでおり、中央スペーサは、ある厚さ、一般的にはレーザ波長の半分の厚さを有すると共に、2つの同等な反射ミラーは、DBRミラー構造に同等である。
【0104】
典型的な全誘電体構造は次のものである:
「基板1/(HL)m/2nH/(LH)m/基板2」。基板1および基板2は、それぞれ、GaN層、およびTO基板、すなわちサファイアであることができる。「H」および「L」は、高屈折率および低屈折率とその1/4波長の光学的厚さとを持つそれぞれの層を表し、また「m」と「n」は整数である。例示的な動作波長の450nmにおける構造全体の一般的な厚さは、1から2μmの範囲、または幾分厚くすることができる。最適化された設計におけるファブリペロー構造は、中心動作波長「λ0」付近における非常に狭い帯域通過、例えば光学窓「WIN」を可能にし、また、最適化された設計におけるファブリペロー構造には、2μmを超える厚さが設けられることができる。「WIN」は、誘電体層の数を増やすこと、および各層の厚さを微調整することによって、さらに狭くされることができる。ファブリペロー構造には、1nm未満の表面粗さが設けられることができ、好ましくは、その粗さは二乗平均平方根(RMS)で0.1から1nmであり得る。ファブリペロー構造の誘電体層は、スパッタリング、原子層堆積、イオンビーム堆積などによって堆積されることができる。ファブリペローフィルタは、2つの反射器と、高屈折率材料の中心層とを備える。2つの反射器の各々は、SiOおよびHfOといった交互に堆積される高屈折率材料および低屈折率材料を含み、これらの層の各々は、4分の1波長の厚さを有する。高屈折率材料の中心層は、中心動作波長の半分の厚さを有し、またこれらの反射体の間に配置される。
【0105】
エピタキシャル横方向過成長
TO基板上に配置されたIII族窒化物テンプレートプラグは、ストライプ形に形造られることでき、テンプレートプラグの下部側壁は、SiO、Ta、HfOといったすべて誘電体材料で成るファブリペローフィルタ構造に埋め込まれており、テンプレートプラグの上面は、少ない欠陥である。プラグの厚さは、非常に狭い帯域通過の幅「WIN」を生成する厚いファブリペローフィルタを可能にするように設計されることが好ましい。プラグの側壁は、1から2μm程度で露出されており、プラグの上面の幅は1から10μm程度である。ストライプは、50から200μmの周期で配置される。ストライプには、デバイスセクションの長さに一致する長さが設けられ、またはそれよりもはるかに長くてもよい。極性テンプレートプラグには、c面(0001)の上面の配向が設けられており、これに従って、テンプレートプラグのストライプは、<11-20>軸に沿って向き付けられることができる。或いは、無極性テンプレートプラグには、a面(11-20)またはm面(1100)の上面の配向が設けられ、これに従って、テンプレートプラグのストライプは、<0001>軸に沿って配向される。さらに、半極性テンプレートプラグには、(20-21)面または(20-2-1)面の上面の方位が設けられ、これに従って、それぞれ、テンプレートプラグのストライプは、[-1014]または[10-14]に平行な方向に沿って配向される。他の配向も、同様に、対応する方向に配向されたストライプに使用され得る。
【0106】
側壁が部分的に露出した状態でテンプレートプラグを搭載するTOウエハは、MOCVDリアクタに装填されて、III族窒化物アイランドを成長する。一実施形態では、成長圧力は、50から760Torrの範囲であり、成長圧力は、好ましくは100~300Torrの範囲であって広い幅を島状(アイランド状)III族窒化物半導体層に提供する。成長温度は、摂氏900度から1200度の範囲である。V/III比は、10から30000の範囲である。TMG流量の範囲は、2から20標準立方センチメートル/分(sccm)である。NH流量範囲は、0.1から10標準リットル/分(slm)である。水素ガスのみ、または水素ガスおよび窒素ガスの両方が、キャリアガスとして使用される。滑らかな表面を得るために、III窒化物アイランドの成長条件は、最適化されることができる。最後に、III窒化物層、例えばGaN層25は、ELOによって成長させて、このようにして成長されたIII窒化物アイランドは、互いに約15マイクロメートルの間隔をあけて配置された状態で、GaN層25が約1から10μmの厚さおよび約50マイクロメートルの幅を有するように、各アイランドを完成させる。
【0107】
テンプレートプラグの側壁が部分的に露出した状態のTOウエハは、III族窒化物界面(露出されたテンプレートプラグ)およびその上部の誘電体界面(ファブリペローフィルタ層)を有し、これら2つの界面の比は、「充填率」として参照される。反応炉(リアクタ)の内では、III窒化物は、III窒化物界面に堆積されることができ、また誘電体界面上には堆積されることができず、これは「充填率」の語句で表される。本TOウエハでは、充填率は1よりも低い。充填率が1から外れる堆積では、III族窒化物原子の豊富な存在のため、反応炉内のIII族窒化物原子が成長面の縁にさらに蓄積することを引き起こすことがあり、これは、成長界面と非成長界面との境界付近において発生し、これに従って、III族窒化物島の中央領域に比べて縁部においてより厚いGaN層が生成される可能性がある。
【0108】
研磨
III窒化物原子の豊富な存在のため、それぞれのテンプレートプラグから成長されたIII窒化物アイランドは、その上部が凹状の形状を有することがある。平坦なデバイス層を得るために、III族窒化物アイランドは、初期的に5から10μmの厚さに成長され、次いで、研磨またはエッチングによって平坦化されて、平坦な上面を持つIII族窒化物ベースを形成する。この平坦な上面上に、p-GaN、n-GaN、InGaN、およびAlGaN層を含むデバイス層が再成長される。具体的には、n-GaN、MQW、p-GaN、および/またはトンネル接合層を全て一緒に含むデバイス層が厚さ700nmを超えないので、この再成長では、豊富なIII窒化物原子によって引き起こされるエッジ成長は、無視できるほど小さいかもしれない。
【0109】
デバイス層の成長
III族窒化物系半導体層、およびトンネル接合層または埋め込みトンネル接合層は、III族窒化物ベース上に再成長される。半導体積層体および半導体セクション15は、各々、III窒化物化合物の半導体デバイス層を含み、III窒化物化合物は、In、Alおよび/またはBだけでなく、Mg、Si、Zn、O、C、およびHといったドーパントまたは不純物を含むことができる。III族窒化物系半導体のデバイス層は、一般に、n型層、アンドープ層、およびp型層を含む3つより多くの層を備える。デバイス層は、具体的には、GaN層、AlGaN層、InGaN層、およびAlGaInN層といった窒化ガリウム系の材料を含む。例えば、これらのデバイス層のエピタキシャル成長は、MOCVDまたはMBEの半往炉内において実行される。デバイス領域は、厚いn-GaN層、多重量子井戸(例えば、厚さ3nmの井戸および厚さ7nmの障壁のMQW)、厚さ10nmのp-AlGaN電子ブロック層(EBL)、厚さ100nmのp-GaN層、および厚さ10nmのp++GaN層を備える。
【0110】
ITOが電流拡散層として使用される場合、最上層のデバイス層は、p++GaNであり得る。それ以外は、10nm厚のn++GaN層が、さらに、トンネル構造のためのp++GaNの上面に堆積される。埋め込みトンネル接合およびトンネル接合の設計に関しては、厚さ50nmのn-GaN層の電流拡散層が追加のn++GaN層にわたって堆積される。
【0111】
具体的には、トンネル接合設計では、半導体積層体の成長は、p++層を成長した後に停止され、それから、イオン注入が行われてアパーチャ構造を形成し、その後に、n++GaN層およびn型GaN層がアパーチャ構造上に堆積される。
【0112】
具体的には、埋め込みトンネル接合設計では、半導体積層体の成長は、p++GaN層にわたってn++GaN層を成長した後に停止されて、それから、p++GaN層およびn++GaN層は、パターン形成されて、パターン形成されたトンネル接合を形成し、その後に、n型GaN層が、パターン形成されたトンネル接合上に堆積される。再成長は、MOCVDまたはMBE(分子線エピタキシー)の反応炉の何れかを用いて実行されることができる。MOCVDの代わりMBEを使用することは、トンネル接合の再成長中のp-GaNの水素再不動態化を排除できる。
【0113】
或いは、実施形態で説明される本設計は、島状(アイランド状)III族窒化物デバイス層を処理することを含んでもよい。水素の再パッシベーションを回復するために、p-GaNといったp型窒化ガリウム系材料の活性化が、横方向拡散を介して達成されることができ、またp-GaN層が、トンネル接合または電流拡散層(n-GaN)によって埋め込まれており、活性化されることができる。これに従って、特定のデバイス層の設計は、コストおよび歩留まりといった製造パラメータに応じて、MBEまたはMOCVDを選択することができる。
【0114】
マイクロレンズ形成
モノリシックマイクロレンズは、開口作製の手順において使用され、また、特に、背面のモノリシックレンズは、曲面レンズの効果によりアパーチャ構造の位置に露光光を集光することができ、曲面レンズは、VCSEL生産物における曲面の第2DBRミラーを形成する。
【0115】
TO基板は、両面研磨された基板であることができ、これに従って、裏面のマイクロレンズパターンは、レンズの得られる位置および形状が半導体セクションの上面において開口部の位置に正確に合わせされることに役立つことができるように、位置決めされる。モノリシックマイクロレンズは、フォトレジスト(PR)のリフローおよびドライエッチングのプロセスを介して製造される。例えば、両面研磨のサファイア基板は、(0001)配向の2インチウエハであってもよく、可能であれば、より大きな直径のウエハが使用されてもよい。具体的には、円形のPRディスクのアレイが、標準的なフォトリソグラフィー技術によって、研磨されたサファイア基板の裏側にパターン形成される。PRパターンは、次いで、高温においてホットプレートを用いてベークされる。PRの転移温度に達した後に、PRパターンは、リフローを開始して、各パターンの中心が最も厚い状態の凸形状を形成する。次に、凸形状は、例えば誘導結合プラズマ(ICP)システムを用いて、サファイア基板に転写される。最適化されたエッチング条件は、1ナノメートル未満の表面粗さを達成することができ、好ましくは、サファイアのエッチング表面は、0.1nmから0.5nmの表面粗さを有して、光学散乱および対応する光損失を避けることができる。
【0116】
イオン注入
イオン注入は、GaN系層に電気的、光学的なアパーチャ(開口)を、これらのGaN系層をアパーチャの外側において損傷させることにより、形成するために使用され、損傷したGaN系材料は、もはや導電性ではない。この方法は、上面を平坦に保つことができ、アパーチャ領域と損傷領域との間に非常にわずかな屈折率ガイドを生成できる。損傷領域は、アパーチャ領域の注入されていない非注入材料の吸収値より高い吸収値を有することができ、また損傷領域には、しかしながら、キャビティ内において増加された光損失が提供されることができる。アルミニウム(Al)、ホウ素(B)などの重イオンが、イオン注入の手順に使用されることができる。イオン注入の基本的な発想は、導電性のアパーチャを生成することである。
【0117】
透明導電層
イオン注入の後に、透明導電層が、デバイス層上にわたって積層される、または、トンネル接合用のIII族窒化物の再成長が、イオン注入プロセスの有または無においてデバイス層上において実行される。ITOは、一般的に使用される透明な電流拡散層(電流スプレダー)として使用されることができる。ITOをVCSEに含めると、追加の吸収を引き起こし、しかし、この吸収は、ITO層の辺りにおいて電磁波の強度を低くすることによって低減されることができる。トンネル接合といった代替アプローチが、電流を広げおよび光吸収を低くするために使用されることができる。
【0118】
トンネルジャンクション
トンネル接合アプローチは、正孔キャリアがn型半導体を介してデバイスの活性層に注入されることを可能しており、何故なら、高濃度に添加されたn型領域と高濃度に添加されたp型領域との間の接合が、電子が逆バイアス下においてp型領域の価電子帯からn型領域の伝導帯にトンネルすることを可能にし、それによって伝導キャリアの型の変化を引き起こす。トンネリング確率はトンネリング距離に指数関数的に依存するので、高濃度に添加された領域が好ましく(~1019/cm以上)効率的な動作のために薄い空乏幅を生成する。イオン注入によりアパーチャ構造を形成した後に、n++/n-GaN層(厚さ10/50nm)が、デバイス層の最上層のp++GaN層にエピタキシャルに再成長されて、トンネル接合および電流拡散層を形成する。
【0119】
埋設トンネルジャンクション
埋め込みトンネル接合は、キャリア型変換器としてだけでなく、電流アパーチャとしても機能することができ、高濃度にドープされたp++/n++層(厚さ10/10nm)の平面トンネル接合を成長することによって形成される;所望のアパーチャ位置に、TO基板のマイクロレンズを用いて、高濃度に添加された接合層上にマスクを形成する;マスクを用いて高濃度に添加された接合層をエッチングする。埋め込みトンネル接合は、必ずしも、電流アパーチャ(開口部)と組み合わされることではなく、電流アパーチャは、イオン注入によって形成されており、必要な場合に、電流アパーチャと結合されてもよい。
【0120】
DBRミラー
本開示のDBRミラーは、各々、反射ミラーを形成するために一緒に接合された交互の誘電体層を含み、光キャビティを形成するためにVCSELの上部および底部に配置される。誘電体DBRミラーは、例えば誘電体の4分の1波長の厚のSiO/Ta層を含むことができる。対の数は反射率に関係付けられ、また発光を促進するために、VCSELのp側のDBRミラーの反射率は、曲面の反射率より小さくことがある。
【0121】
無指向性反射器(ODR)
ODRは、光キャビティの外側に配置され、伝播路から漏れ出る光を反射することができる。ODRは、アノード電極とカソード電極との間にも配置され、潜在の汚染物質および直接接触からデバイス層を保護および/または不動態化するように機能する。
【0122】
メタルパッド
金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、インジウム(In)などの金属は、VCSELの製造における金属パッドの材料として使用されることができる。金属層は、スパッタリング、蒸着、メッキによって形成されることができる。
【0123】
用途
【0124】
データセンタ
増加するクラウドコンピューティングおよびストリーミングサービスとのデータ通信の要求は、エッジ発光レーザおよびVCSELといった情報転送ハードウェアの需要を増加させ、情報転送ハードウェアは、データセンタ内のサーバにサーバデータ転送を提供する。データ通信の大部分では、VCSELは、赤外線(IR)波長で動作する。前述の実施形態に従うIII族窒化物VCSELは、データセンタに関連付けられたデータ通信に使用されることができる。
【0125】
照明
LEDといったGaN系の光源は、住宅および自動車の照明に劇的な変化をもたらした。通信サービスに組み合わせる照明は、将来のスマートシティおよびスマートインフラストラクチャにおいて非常に望ましい。VCSELは、LEDおよび端面発光レーザダイオードのより良い代替品となる可能性がある。前述の実施形態において開発された手順は、照明用途に適用可能なVCSELユニットを製造するために使用されることができる。
【0126】
可視光通信
レーザ光は、光忠実度(LiFi)を介してデータ転送および通信アプリケーションに使用されることができる。IoTデバイスの急速な増加に伴って、データ伝送に関する需要は拡大し続けています。RFスペクトルは飽和しつつあり、新しい周波数が、増え続ける需要に対応するために必要である。GaN系VCSELを既存のLEDアーキテクチャに採用することは、LEDアーキテクチャを端面発光レーザに置き換えるより簡単である。上述の実施形態によるIII族窒化物VCSELは、可視光通信に採用されることができる。
【0127】
ニアアイディスプレイ
ニアアイディスプレイは、家庭用電化製品における次の大きな波となり、仮想現実(VR)および拡張現実(AR)のテクノロジーの基礎である。現在、マイクロLEDはディスプレイの主な選択肢であり、しかしながら、現在のVCSEL研究の進歩は限られるにもかかわらず、VCSELは、小型ディスプレイおよびニアアイディスプレイとして導入される可能性がある。VCSELは、比較的低い光パワーを提供でき、この光パワーは、目の安全性、並びに、低い発散性および円対称性を維持することに便利であり、これは、追加の光学素子の数を減らすことができ、これ故に、デバイスのコンパクト化に至る。VCSELの二次元(2D)アレイの集積は、端面発光レーザより簡単である。上述の実施形態によるIII族窒化物VCSELは、これらの用途に適用されることができる。
【0128】
上記実施形態によれば、次のような効果が得られる。
2つの反射ミラーがVCSELキャビティを画定すると共にファブリペローフィルタがシングルモード動作に絞り込むために追加される状態で、過剰な回折損失無しで、十分に長いキャビティを使用すること、
十分な長さのキャビティおよび/またはIII窒化物層上の電気コンタクトの配置のため、より良い熱管理を提供すること、
TO基板に接触を成すGaNテンプレートプラグによるデバイスのより良い熱伝導を提供すること、
サファイア上のGaNといった、高価ではなく大型テンプレート基板を使用すること。
アイランド状III窒化物の使用により半導体層の無駄を最小限に抑えること。
製造における基板の除去および接合の手順を排除して、これによって生産パラメータを改善すること、および
ELO技術の使用によりVCSELの製造に異種基板の使用を解放すること。
前述の実施形態に、性能の大幅な改善、製造コストの削減、および複雑な手順の排除を提供することを期待される。
前述の実施形態は、VCSELにおけるファブリペローフィルタの集積を提案しており、これは、エピタキシャルラテラルオーバーグロースがデバイス層の結晶品質を改善することを可能にする。
GaN/サファイアに類似する構造を含むテンプレートTO材料基板を使用することは、デバイス層が、エピタキシャルラテラルオーバーグロースの翼部(ウィング)上に成長されることを可能にし、これは、無欠陥または僅かな欠陥を、一般に、提供し、これ故に、高い結晶品質に至る。
【0129】
側面1
垂直共振面発光レーザは、第1面と、前記第1面に反対側の第2面とを有する酸化物基板であって、前記第2面は曲面を含む、酸化物基板と、前記酸化物基板の前記第1面の上に配置される半導体セクションと、 前記半導体セクションと前記酸化物基板の前記第1面との間に配置されると共に、反射スペクトルを有する誘電体フィルタ層であって、前記反射スペクトルは、光学窓を提供するように構成される、誘電体フィルタ層と、第1分布ブラッグ反射器(DBR)ミラーであって、前記半導体セクションは、前記誘電体フィルタ層と前記第1DBRミラーとの間に配置される、第1分布ブラッグ反射器(DBR)ミラーと、前記酸化物基板の前記曲面に配置された第2DBRミラーであって、前記第1DBRミラー、前記半導体セクション、前記誘電体フィルタ層、前記酸化物基板、および前記第2DBRミラーは、第1軸方向に配列されて拡張キャビティを形成し、前記半導体セクションは、p型III族窒化物領域、III族窒化物領域、および前記p型III族窒化物領域と前記III族窒化物領域との間のIII族窒化物活性領域を含み、前記p型III族窒化物領域、前記III族窒化物活性領域、および前記III族窒化物領域は、前記第1軸方向に配置され、前記III族窒化物領域は、n型III族窒化物領域を含む、第2DBRミラーと、を備える。
【0130】
側面2
側面1に係る垂直共振面発光レーザでは、前記誘電体フィルタ層は、前記第1軸方向に延びる貫通孔を有し、前記垂直共振面発光レーザは、更に、III族窒化物テンプレートプラグを含み、前記III族窒化物テンプレートプラグは、前記貫通孔に配置されると共に前記酸化物基板の前記第1面から前記半導体セクションへ前記貫通孔の内において延在する。
【0131】
側面3
側面2に係る垂直共振面発光レーザでは、前記III族窒化物テンプレートプラグは、前記貫通孔の内の埋設部と、前記半導体セクション内に突出する突出部とを有し、前記III族窒化物テンプレートプラグの前記埋設部は、前記酸化物基板の前記第1面に接して配置される。
【0132】
側面4
側面1から側面3のいずれか一側面に係る垂直共振面発光レーザでは、前記酸化物基板の前記曲面は中心線を有し、前記III族窒化物テンプレートプラグと前記曲面の前記中心線とは、互いに位置ずれしている。
【0133】
側面5
側面1から側面4のいずれか一側面に係る垂直共振面発光レーザでは、前記拡張キャビティの長さは、50マイクロメートルを超える。
【0134】
側面6
側面1から側面5のいずれか一側面に係る垂直共振面発光レーザにおいて、前記曲面は、50マイクロメートルを超える曲率半径を有する。
【0135】
側面7
側面1から側面6のいずれか一側面に係る垂直共振面発光レーザでは、前記第2DBRミラーは湾曲しており、前記第1DBRミラーは平面的であり、前記第1DBRミラーと前記第2DBRミラーとの間の距離は、50マイクロメートルより大きい。
【0136】
側面8
側面1から側面7のいずれか一側面に係る垂直共振面発光レーザでは、前記半導体セクションはメサ構造を含み、前記メサ構造は、ベース領域、および前記ベース領域の上に配置されたメサ領域を含み、前記垂直共振面発光レーザは、さらに、前記半導体セクションの上に配置される導電層であって、前記導電層の一部は、前記第1DBRミラーと前記半導体セクションとの間に配置される、導電層と、前記DBRミラーの外側の前記導電層の上に配置されると共に、前記導電層に接して配置される第1電極と、前記メサ構造の前記ベース領域の面に配置される第2電極と、を含む。
【0137】
側面9
側面8に係る垂直共振面発光レーザでは、前記半導体セクションは、第1面と、前記半導体セクションの前記第1面に反対側の第2面とを有し、前記誘電体フィルタ層は、前記半導体セクションの前記第1面に配置され、前記導電層は、前記第2面に配置される。
【0138】
側面10
側面1から側面9のいずれか一側面に係る垂直共振面発光レーザにおいて、前記半導体セクションはアパーチャ構造を含み、前記アパーチャ構造は、前記第1軸方向に延在するアパーチャ領域と、前記アパーチャ領域を取り囲む分離領域とを含み、前記第1DBRミラー、前記アパーチャ領域、および前記第2DBRミラーは、前記III族窒化物テンプレートプラグを通過しない軸に沿って配置される。
【0139】
側面11
側面1から側面10のいずれか一側面に係る垂直共振面発光レーザでは、前記半導体セクションの合計の厚さは、0.5マイクロメートルを超える。
【0140】
側面12
側面1から側面11のいずれか一側面態様の垂直共振面発光レーザでは、前記誘電体フィルタ層は、前記光学窓のための前記反射スペクトルを提供するように構成されたファブリペローフィルタを含む。
【0141】
側面13
側面1から側面12のいずれか一側面に係る垂直共振面発光レーザでは、前記酸化物基板は、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、または酸化ガリウムのうちの1つを含む。
【0142】
側面14
側面1から側面13のいずれか一側面に係る垂直共振面発光レーザでは、前記第1DBRミラーは、前記第2DBRミラーの反射率よりも低い反射率を有する。
【0143】
側面15
側面1から側面14のいずれか一側面による垂直共振面発光レーザでは、前記III族窒化物活性領域は、光を生成するように構成される量子井戸構造を備え、前記光は、前記第1DBRミラーの第1反射スペクトル、前記第2DBRミラーの第2反射スペクトル、および前記誘電体フィルタ層の前記光学窓の内の波長を有する。
【0144】
側面16
垂直キャビティ面発光レーザを製造する方法は、出発ベースを準備することであって、前記出発ベースは、酸化物ベース、III族窒化物テンプレートプラグ、および誘電体フィルタ層を含み、前記酸化物ベースは、第1面および前記酸化物ベースの前記第1面に反対側の第2面を有し、前記誘電体フィルタ層および前記III族窒化物テンプレートプラグは、前記酸化物ベースの前記第1面の上に配置され、前記誘電体フィルタ層は反射スペクトルを有し、前記反射スペクトルは、光学窓を提供するように構成される、出発ベースを準備することと、前記誘電体フィルタ層の上において、前記III族窒化物テンプレートプラグからIII族窒化物領域を成長することと、前記III族窒化物領域を成長させた後に、n型III族窒化物領域、III族窒化物活性領域、およびp型III族窒化物領域を含む半導体積層体を成長することと、曲面を有する酸化物基板を形成するように、前記酸化物ベースの前記第2面の上において前記酸化物ベースを加工することであって、前記曲面は、前記酸化物基板の第1面の反対側に配置される、前記酸化物ベースの前記第2面の上において前記酸化物ベースを加工することと、前記半導体積層体を成長した後に、前記酸化物基板の前記第1面の上に第1分布ブラッグ反射器(DBR)積層体を形成することと、前記酸化物基板の前記曲面の上に第2DBR積層体を形成することと、備える。
【0145】
側面17
側面16に係る方法は、前記半導体積層体を成長させる前に、研磨またはエッチングのうちの少なくとも1つによって前記III族窒化物領域を平坦化すること、さらに含む。
【0146】
側面18
側面16または側面17による方法は、前記半導体積層体を成長した後に、前記第1DBR積層体を形成する前に、前記酸化物基板の前記第1面の上に導電層を堆積することと、前記導電層の上に第1電極を形成することと、をさらに含む。
【0147】
側面19
側面16から側面18のいずれか一側面に係る方法は、エッチングによって前記半導体積層体からメサ構造を生成して、前記n型III族窒化物領域のエッチング面を形成することであって、前記メサ構造は、前記III族窒化物活性領域を含む、前記n型III族窒化物領域のエッチング面を形成すること、をさらに備える。
【0148】
側面20
側面19に係る方法は、前記メサ構造の外側において前記n型III族窒化物領域の前記エッチング面の上に第2電極を形成すること、をさらに含む。
【0149】
側面21
側面16から側面20のいずれか一側面に係る方法では、前記半導体積層体は、トンネル接合または埋め込みトンネル接合のうちの1つをさらに含む。
【0150】
側面22
側面16から側面21のいずれか一側面に係る方法では、前記酸化物基板は、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、または酸化ガリウムのうちの1つを含む。
【0151】
側面23
側面16から側面22のいずれか一側面に係る方法では、開始ベースを準備することは、前記酸化物ベースの前記第1面の上にIII族窒化物層を堆積することと;前記III窒化物層にパターン形成して前記III族窒化物テンプレートプラグを形成することと;複数の誘電体層を堆積して、前記酸化物ベースの前記第1面および前記III族窒化物テンプレートプラグを覆うことと;複数の前記誘電体層を処理して、前記III族窒化物テンプレートプラグが前記誘電体フィルタ層のスルーホール内に配置されるように、前記誘電体フィルタ層を形成することであって、前記III族窒化物テンプレートプラグは、前記誘電体フィルタ層の厚さよりも大きい高さを有する、前記誘電体フィルタ層を形成することと;を備える。
【0152】
側面24
側面23に係る方法では、複数の前記誘電体層は、前記光学窓のために前記反射スペクトルを提供するように構成されたファブリペローフィルタを形成するように成長される。
【0153】
側面25
側面16から側面24のいずれか一側面に係る方法では、前記III族窒化物領域は、エピタキシャルラテラルオーバースロースによって前記III族窒化物テンプレートプラグから成長されて、III族窒化物アイランドを形成する。
【0154】
側面26
側面25に係る方法では、前記III族窒化物アイランドは、前記III族窒化物テンプレートプラグから前記誘電体フィルタ層の上面に沿って外側に延在し、前記誘電体フィルタ層の前記上面は1ナノメートル未満の粗さを有する。
【0155】
側面27
側面16から側面26のいずれか一側面に係る方法では、前記III族窒化物活性領域は、量子井戸構造を形成するように成長され、前記量子井戸構造は、前記第1DBR積層体の第1反射スペクトル、前記第2DBR積層体の第2反射スペクトル、および前記誘電体フィルタ層の前記光学窓の内の波長を有する光を生成するように構成される。
【0156】
側面28
側面16から側面27のいずれか一側面に係る方法では、前記酸化物ベースの前記第2面の上において前記酸化物ベースを加工することは、パターン形成されたレジスト層を前記酸化物ベースの前記第2面において形成することと、パターン形成された前記レジスト層を熱処理して凸形状レジスト領域を形成することと、前記凸形状レジスト領域および前記酸化物ベースをエッチングすることによって前記凸形状レジスト領域の形状を前記酸化物ベースに転写することと、備え、前記凸形状レジスト領域および前記酸化物ベースをエッチングすることは、前記第1DBR積層体および前記第2DBR積層体を形成した後に、前記第2DBR積層体と前記第1DBR積層体との間の距離が50μmを超えるという条件を満たすように前記凸形状レジスト領域および前記酸化物基板のエッチングを停止する。
【0157】
側面29
側面16から側面28のいずれか一側面に係る方法では、前記曲面は、50マイクロメートルを超える曲率半径を有する。
【0158】
側面30
側面16から側面29のいずれか一側面に係る方法は、前記半導体積層体を成長させた後に、また前記導電層を形成する前に、前記酸化物基板の前記第1面の上にレジスト膜を形成することと;前記酸化物基板の前記曲面を通して前記レジスト膜を照明して、前記レジスト膜からパターン形成されたマスクを生成することと;パターン形成された前記マスクを用いてイオン注入を実行して、アパーチャ領域と前記アパーチャ領域を囲む分離領域とを含むアパーチャ構造を形成することと、を含む。
【0159】
本開示の原理をその好ましい実施形態において説明し図示してきたが、当業者であれば、本開示はそのような原理から逸脱することなく配置および詳細を変更できることが理解される。したがって、我々は、以下の特許請求の範囲の精神および範囲内にあるすべての修正および変形を主張する。
【符号の説明】
【0160】
11、11a、11b、11c VCSEL
13、19 分布ブラッグ反射器(DBR)
15 半導体セクション
17 誘電体フィルタ層
23 p型III族窒化物領域
25 n型III族窒化物領域
27 III窒化物活性領域
CAV 光キャビティ
31 アノード電極
33 カソード電極
35 導電層
37 メサ構造
Ax1、Ax2、Ax3 軸方向
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図3M
図3N
図3O
図3P
図3Q
図3R
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】