(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-06-19
(54)【発明の名称】ポリエーテルアミンベースの多機能性ブースター組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 33/04 20060101AFI20250612BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20250612BHJP
A01N 59/06 20060101ALI20250612BHJP
A01N 59/16 20060101ALI20250612BHJP
A01N 59/00 20060101ALI20250612BHJP
A01N 59/20 20060101ALI20250612BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20250612BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20250612BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20250612BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20250612BHJP
【FI】
A01N33/04
A01P3/00
A01N59/06 Z
A01N59/16 Z
A01N59/00 B
A01N59/20 Z
A01N59/00 C
C09D201/00
C09D7/65
C09D7/61
C09D7/63
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024572654
(86)(22)【出願日】2023-06-09
(85)【翻訳文提出日】2025-01-30
(86)【国際出願番号】 US2023024944
(87)【国際公開番号】W WO2023239912
(87)【国際公開日】2023-12-14
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519047222
【氏名又は名称】トロイ テクノロジー,ザ セカンド,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブス,ジェイク
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,メイファ
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリアディス,グラディス・ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】リンドナー,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】リュー,チュン
【テーマコード(参考)】
4H011
4J038
【Fターム(参考)】
4H011AA02
4H011BB04
4H011BB18
4J038AA011
4J038DF012
4J038DL021
4J038HA076
4J038HA166
4J038HA196
4J038HA246
4J038JB01
4J038JB09
4J038KA03
4J038MA08
(57)【要約】
本開示は概して、ポリエーテルアミンと、無機金属化合物、ケイ酸塩、ピリチオン塩又は有機アミンを含む少なくとも1種の添加剤とを含む多機能性ブースター組成物であって、R1はHまたはC1~C9アルキルであり、R2、R3及びR4のそれぞれは独立してHまたはCH
3であり、x、y、およびzのそれぞれは独立して1~10である組成物に向けられる。本開示によれば、ポリエーテルアミンの添加剤に対する重量比は、約1:5~100:1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の、式I、
【化1】
の化合物;および
無機金属化合物、ケイ酸塩、ピリチオン塩、または有機アミンを含む少なくとも1種の添加剤
を含む多機能性ブースター組成物であって、
式中、R1は、HまたはC
1~C
9アルキルであり、R2、R3、およびR4のそれぞれは、独立してHまたはCH
3であり、x、y、およびzのそれぞれは、独立して1~10であり、
式Iの該化合物の該添加剤に対する重量比は、1:5~100:1である、組成物。
【請求項2】
x、y、およびzの合計が、5以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
x、y、およびzの合計が、10以下である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記式Iの化合物が、約20重量%~約80重量%の濃度で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記無機金属化合物が、無機亜鉛化合物、無機マグネシウム化合物、無機銅化合物、または無機リチウム化合物の一種または二種以上を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記無機亜鉛化合物が、酸化亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、および酢酸亜鉛のうちの1種またはそれより多くを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記無機マグネシウム化合物が、酸化マグネシウムを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記無機銅化合物が、硫酸銅、硝酸銅、炭酸銅、酸化銅、および銅アセチルアセトネートのうちの1種またはそれより多くを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記無機リチウム化合物が、炭酸リチウム、酢酸リチウム、フッ化リチウム、硫酸リチウム、硫酸リチウム、四ホウ酸リチウム、メタホウ酸リチウム、ピロリン酸リチウム、トリポリリン酸リチウム、オルトケイ酸リチウム、およびメタケイ酸リチウムのうちの1種またはそれより多くを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ケイ酸塩が、カリウムメチルシリコネートおよびメタケイ酸ナトリウムの一方または両方を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記ピリチオン塩が、亜鉛ピリチオンおよびナトリウムピリチオンの一方または両方を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記有機アミンが、pH調節剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記pH調節剤が、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1種の、式I、
【化2】
の化合物の多機能性ブースター;および
無機金属化合物、ケイ酸塩、ピリチオン塩、または有機アミンを含む少なくとも1種の添加剤
を含む水ベースの工業用材料であって、
式中、R1は、HまたはC
1~C
9アルキルであり、R2、R3、およびR4のそれぞれは、独立してHまたはCH
3であり、x、y、およびzのそれぞれは、独立して1~10であり、
式Iの該化合物の該添加剤に対する重量比は、1:5~100:1であり、
該水ベースの工業用材料は、非反応性の水ベースの工業用材料である、上記水ベースの工業用材料。
【請求項15】
前記工業用材料が、塗料、コーティング、石膏、接着剤、シーラント、コーキング材、鉱物スラリー、顔料分散液、顔料スラリー、コンクリート、ポリマーエマルジョン、ポリマー分散液、インク、サイジング剤、農業用殺虫剤配合物、家庭用クリーニング製品、パーソナルケア製品、ワニス、シーリング組成物、革用助剤、紙用コーティング剤、化粧品、シャンプー、ボディウォッシュ、コンディショナー、およびこのような工業用材料のための保存剤からなる群から選択される、請求項14に記載の水ベースの工業用材料。
【請求項16】
前記少なくとも1種の式Iの化合物が、組成物の約20重量%~約80重量%で前記組成物中に存在する、請求項14に記載の水ベースの工業用材料。
【請求項17】
前記無機金属化合物が、組成物の約0.2重量%~約20重量%の濃度で前記組成物中に存在する、請求項14~16のいずれか一項に記載の水ベースの工業用材料。
【請求項18】
前記無機金属化合物が、無機亜鉛化合物、無機マグネシウム化合物、無機銅化合物、または無機リチウム化合物の一種または二種以上を含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の水ベースの工業用材料。
【請求項19】
前記無機亜鉛化合物が、酸化亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、および酢酸亜鉛のうちの1種またはそれより多くを含む、請求項18に記載の水ベースの工業用材料。
【請求項20】
前記無機マグネシウム化合物が、酸化マグネシウムを含む、請求項18に記載の水ベースの工業用材料。
【請求項21】
前記無機銅化合物が、硫酸銅、硝酸銅、炭酸銅、酸化銅、および銅アセチルアセトネートのうちの1種またはそれより多くを含む、請求項18に記載の水ベースの工業用材料。
【請求項22】
前記無機リチウム化合物が、炭酸リチウム、酢酸リチウム、フッ化リチウム、硫酸リチウム、硫酸リチウム、四ホウ酸リチウム、メタホウ酸リチウム、ピロリン酸リチウム、トリポリリン酸リチウム、オルトケイ酸リチウム、およびメタケイ酸リチウムのうちの1種またはそれより多くを含む、請求項18に記載の水ベースの工業用材料。
【請求項23】
前記ケイ酸塩が、組成物の約0.5重量%~約15重量%の濃度で前記組成物中に存在する、請求項14に記載の水ベースの工業用材料。
【請求項24】
前記ケイ酸塩が、カリウムメチルシリコネートおよびメタケイ酸ナトリウムの一方または両方を含む、請求項14に記載の水ベースの工業用材料。
【請求項25】
前記ピリチオン塩が、約5ppm~約500ppmの濃度で存在する、請求項14に記載の水ベースの工業用材料。
【請求項26】
前記ピリチオン塩が、亜鉛ピリチオンおよびナトリウムピリチオンの一方または両方を含む、請求項14に記載の水ベースの工業用材料。
【請求項27】
前記有機アミンが、pH調節剤を含む、請求項14に記載の水ベースの工業用材料。
【請求項28】
前記pH調節剤が、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールを含む、請求項27に記載の水ベースの工業用材料。
【請求項29】
水ベースの工業用材料の容器内の保存剤の性能を強化するための方法であって、水ベースの工業用材料に、有効量の請求項1に記載の多機能性ブースターを添加することを含む、上記方法。
【請求項30】
前記工業用材料における微生物の増殖を阻害または防止すること含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記微生物が、細菌、真菌、酵母、藻類、粘菌、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、2022年6月10日に出願された米国仮特許出願第63/351,025号および2022年9月12日に出願された米国仮特許出願第63/405,544号に基づき、それに対する優先権を主張し、また、それらは参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
[0002]水ベースの材料の保存は、特定の活性成分の使用を禁止または制限する規制によって複雑化し続けている。広く使用され続けている活性成分について、一部のものは、有効な使用レベルでのラベル表示の示唆(labeling implication)を有する。この理由のために、「ラベルフリー」のレベルで缶内の保存剤の活性を改善する方法が当業界に大いに求められている。
【0003】
[0003]保存剤の取り込みの規制およびラベル表示の示唆に一部起因して、欧州連合における多くのコーティング製造者は現在、殺生物性製品当局(Biocidal Products Authority:BPR)によって規制されており、殺生剤フリーの塗料を生産している。これらの殺生剤フリーの塗料は、pHを、一般的に微生物の増殖を制限すると考えられる約11にすることによって生産される。しかしながら、塗料は、殺生剤フリーである一方で、問題がないわけではない。例えば、高いpHは、刺激を起こす可能性があり、多くの一般的に使用される塗料添加剤の使用を制限し、塗料中に活発に増殖する著しいレベルの好アルカリ性細菌が検出された。
【0004】
[0004]コーティング中のBITの典型的な使用レベルは、200~500ppmである。BITの弱点(例えば、シュードモナス属に対する有効性)のために、活性物質は通常、追加の殺生物性成分と組み合わされる。しかしながら、規制当局は、BIT同様に追加の殺生物性成分の使用レベルを制限し続けているため、BITのような「残っている」成分を低いレベルで保存剤の主力にせざるを得ない。低い使用レベルでの単一の活性な保存剤を組み合わせることは、植物の環境では殺生剤に対する耐性の発生を引き起こす可能性があり、また、工業的な環境では改善が難しい主要な腐敗の問題を引き起こす可能性がある。
【0005】
[0005]規制当局によって設定された制限を超えて、許容できる活性物質の使用レベルがより広く、ラベル表示の示唆を有さない地域であっても、製造元は、妥当な使用コストで優れた保存を達成するのに苦労する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]これらの理由のために、多機能性ブースターを産業界に提供して、活性成分の活性を同時に改善して、全体的な保存品質を改善するかまたはある地域で「ラベルフリー」の要求を満たすことができるレベルで保存を可能にすることへの強い必要性がある。さらに、成分が多機能性であることによって、多数の他の添加剤(例えば、分散剤、消泡剤、レオロジー改質剤、界面活性剤、pH調節剤)によって提供される機能の節減とSKU低減を同時に達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本開示は、一般的に、ポリエーテルアミンと、無機金属化合物、ケイ酸塩、ピリチオン塩、および有機アミンを含む少なくとも1種の添加剤とを含む多機能性ブースター組成物であって、式中、R1は、HまたはC1~C9アルキルであり、R2、R3、およびR4のそれぞれは、独立してHまたはCH3であり、x、y、およびzのそれぞれは、独立して1~10である、組成物に向けられる。本開示によれば、ポリエーテルアミンの添加剤に対する重量比は、約1:5~約100:1である。
【0008】
[0008]本開示の他の特徴および形態は、以下でより詳細に論じられる。
[0009]本開示の詳細なおよび実現可能な開示は、添付の図面への参照を含む本明細書の残りの部分で詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0010]
図1は、24時間にわたる緑膿菌(ATCC番号10145)に対するBITおよび分散液ブースター(「1737-35」)の組合せの殺菌曲線を示す。
【
図2】[0011]
図2は、24時間にわたる緑膿菌(ATCC番号10145)に対するBITおよび溶液ブースター(「1737-67」)の組合せの殺菌曲線を示す。
【
図3】[0012]
図3は、24時間にわたる緑膿菌(ATCC番号10145)に対するBITおよび溶液ブースター(「1737-72」)の組合せの殺菌曲線を示す。
【
図4】[0013]
図4は、ジェファーミン(Jeffamine)T-403または「1737-72」含有および非含有の建築用半光沢塗料の8週間にわたるL
*、デルタE値および黄色度指数の結果を示す。
【
図5】[0014]
図5は、ジェファーミンT-403または「1737-72」含有および非含有で試験した実験室試験における8週間にわたる建築用半光沢塗料の実験室試験でのpH読み取り値を示す。
【
図6】[0015]
図6は、ジェファーミンT-403または「1737-72」含有および非含有の建築用半光沢塗料のグライディングの細かさ、空気量および不透明度のチャートである。
【
図7】[0016]
図7は、ジェファーミンT-403または「1737-72」含有および非含有の標準的な建築用半光沢塗料のKU粘度プロファイルを示す。
【
図8A】[0017]
図8Aは、ジェファーミンT-403または「1737-72」含有および非含有の建築用塗料に対するランプブラック色分析を示す。
【
図8B】[0018]
図8Bは、ジェファーミンT-403または「1737-72」含有および非含有の建築用塗料におけるフタロブルー比色分析の読み取り値を示す。
【
図8C】[0019]
図8Cは、ジェファーミンT-403または「1737-72」含有および非含有の建築用塗料におけるレッドオキサイド比色分析の読み取り値を示す。
【
図9】[0020]
図9は、ジェファーミンT-403または「1737-72」含有および非含有の建築用半光沢塗料の不良結果に対するスクラブ耐性サイクルを示す。
【
図10】[0021]
図10は、ジェファーミンT-403または「1737-72」含有および非含有の半光沢建築用塗料から調製されたフィルムにおける実用的洗浄性試験結果を示す。
【
図11】[0022]
図11は、ジェファーミンT-403または「1737-72」含有および非含有の半光沢建築用塗料から調製されたフィルムにおける実用的洗浄性試験結果のチャートである。
【
図12】[0023]
図12は、ジェファーミンT-403または「1737-72」含有および非含有の建築用塗料から調製されたフィルムのL
*およびデルタE値を含む耐汚染性試験を示す。
【
図13】[0024]
図13は、ジェファーミンT-403または「1737-72」含有および非含有の建築用塗料から調製されたフィルムの加速ウェザリング曝露結果(サイクルUV:60℃で8時間。結露:50℃で4時間)を示す。
【
図14】[0025]
図14は、試験サンプルの缶内の外観およびジェファーミンT-403または「1737-72」含有および非含有の建築用塗料の分離または沈降の程度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0026]本明細書および図面における参照記号の反復使用は、本発明の同じまたは類似の特徴または要素を表すことが意図されている。
詳細な説明
[0027]本発明の議論は、例示的な実施態様のみの説明であり、本開示のより広い形態を制限するものとして意図されていないことが当業者によって理解されるべきである。
【0011】
[0028]本開示は、一般的に、式I:
【0012】
【0013】
の構造を有するポリエーテルアミン;および
[0029]無機金属化合物、ケイ酸塩、ピリチオン塩、または有機アミンを含む少なくとも1種の添加剤を含む多機能性ブースター組成物であって、式中、R1は、HまたはC1~C9アルキルであり、R2、R3、およびR4のそれぞれは、独立してHまたはCH3であり、x、y、およびzのそれぞれは、独立して1~10である、組成物に向けられる。本開示によれば、ポリエーテルアミンの添加剤に対する重量比は、約1:5~約100:1である。
【0014】
[0030]驚くべきことに、ポリエーテルアミンは、単独で、または追加の成分と組み合わせて、缶内の保存剤の活性をブーストし、同時にコーティング特性(例えば、レオロジー、pH安定化、色受容性(color acceptance)、またはそれらの組合せ)に他の利益を提供するための多機能性ブースターとして作用する。
【0015】
[0031]式Iの重合度(x、y、およびz)は、独立して1~10である。重合度x、y、およびzは、一部の場合において、同一であってもよいし、または異なっていてもよい。例えば、xは、1であってもよいし、yは、2であってもよいし、zは、3であってもよい。別の例において、z、y、およびzは、それぞれ2であってもよい。一実施態様において、重合度の合計(例えば、x、y、およびz値の合計)は、5以上であり、例えば6、7、8、9、または10である。一実施態様において、x、y、およびz値の合計は、10以下である。
【0016】
[0032]ポリエーテルアミンは、第一級脂肪族ポリアミン(primary aliphatic polyamine)である。例えば、ポリエーテルアミンは、ポリオキシプロピレントリアミンまたはポリオキシプロリエントリアミン(polyoxyprolyenetriamine)であってもよい。一実施態様において、式Iのポリエーテルアミンは、ジェファーミン(Jeffamine)(登録商標)T403ポリエーテルアミン(ハンツマン社(Huntsman Corp.)、テキサス州ヒューストン)である。本開示の多機能性ブースターは、1種またはそれより多くのポリエーテルアミンを含んでいてもよい。ポリエーテルアミンは、組成物の重量に基づき、約20重量%~約80重量%、例えば約25重量%~約75重量%、例えば約35重量%~約60重量%、例えば約40重量%~約55重量%の量で、またはそれらの間のあらゆる範囲の量で組成物中に存在していてもよい。
【0017】
[0033]さらに、本明細書で開示される多機能性ブースター組成物の式Iのポリエーテルアミンは、無機金属化合物、ケイ酸塩、ピリチオン塩、有機アミン、またはそれらの組合せなどの少なくとも1種の添加剤またはブースターと組み合わされる。一実施態様において、ポリエーテルアミンと添加剤は、約1:500~約50:1、例えば約1:400~約40:1、例えば約1:250~約25:1、例えば約1:100~約20:1、例えば約1:50~約15:1、例えば約1:20~約10:1の重量比、またはそれらの間のあらゆる範囲の重量比を有する。
【0018】
[0034]一実施態様において、本明細書で開示される多機能性ブースター組成物は、無機金属化合物を含む。例えば、無機金属化合物としては、これらに限定されないが、無機亜鉛化合物、無機マグネシウム化合物、無機銅化合物、無機リチウム化合物、またはそれらの組合せを挙げることができる。一実施態様において、無機金属化合物は、無機亜鉛化合物であり、例えば、酸化亜鉛(時には本明細書において「ZnO」と称される)、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、および酢酸亜鉛のうちの1種またはそれより多くである。好ましくは、酸化亜鉛は、50マイクロメートル未満の酸化亜鉛の粒径を含む。無機亜鉛化合物は、組成物の重量に基づき、約0.2重量%~約5重量%、0.5重量%~3.5重量%、1重量%~2.5重量%、1.5重量%~2重量%、またはそれらの間のあらゆる範囲の濃度で、多機能性ブースター組成物中に存在する。例えば、ポリエーテルアミンの酢酸亜鉛に対する重量比は、上下限値を含んで50:1~1:5の範囲内であってもよい。一部の実施態様において、本明細書で開示される保存剤組成物中のポリエーテルアミンの酢酸亜鉛に対する重量比は、20:1~1:20、15:1~1:15、10:1~1:10、5:1~1:5、または4:1~1:4である。別の実施態様において、ポリエーテルアミンの酢酸亜鉛に対する重量比は、2:1である。
【0019】
[0035]式Iのポリエーテルアミンと無機亜鉛化合物との組合せは、約0.075重量%~約1重量%、例えば約0.1重量%~約0.75重量%、例えば約0.15重量%~約0.45重量%、またはそれらの間のあらゆる範囲の濃度で、缶内の保存剤の活性をブーストし、同時にコーティング特性(例えば、レオロジー、pH安定化、色受容性、またはそれらの組合せ)に他の利益を提供するための多機能性ブースターとして作用することが可能である。
【0020】
[0036]一実施態様において、無機金属化合物は、無機マグネシウム化合物、例えば酸化マグネシウムである。例えば、マグネシウム化合物は、約5重量%~約20重量%、例えば約7.5重量%~約15重量%、例えば約10重量%~約13.5重量%、またはそれらの間のあらゆる範囲の濃度で組成物中に存在していてもよい。
【0021】
[0037]一実施態様において、無機金属化合物は、無機銅化合物、例えば銅塩である。例えば、銅塩としては、硫酸銅、硝酸銅、炭酸銅、炭酸水酸化銅、酸化銅、塩基性塩化銅、水酸化銅、銅アセチルアセトネート、銅ピロリドンカルボン酸(copper pyrrolidone carboxylic acid:PCA)、銅PCAメチルシラノール、銅アセチルチロシネートメチルシラノール(copper acetyl tyrosinate methylsilanol)、アセチルメチオン酸銅(copper acetylmethionate)、アミノアセチルアミドイミダゾリルプロピオン酸銅、ピコリン酸銅、銅トリペプチド-1、ビス(トリペプチド-1)酢酸銅、サクシノイルトリペプチド-34アスコルビンリン酸銅、銅ピリチオン、ナトリウムカルシウムリン酸銅(sodium calcium copper phosphate)、銅ピリドキサール-5-ホスフェート、銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィル、EDTA二ナトリウム銅、またはそれらの組合せを挙げることができる。一実施態様において、銅塩としては、硫酸銅、硝酸銅、炭酸銅、酸化銅、および銅アセチルアセトネートのうちの1種またはそれより多くを挙げることができる。
【0022】
[0038]一実施態様において、無機金属化合物は、無機リチウム化合物、例えばリチウム塩である。例えば、リチウム塩としては、炭酸リチウム、酢酸リチウム、フッ化リチウム、硫酸リチウム、硫酸リチウム、四ホウ酸リチウム、メタホウ酸リチウム、ピロリン酸リチウム、トリポリリン酸リチウム、オルトケイ酸リチウム、メタケイ酸リチウム、またはそれらの組合せを挙げることができる。
【0023】
[0039]別の実施態様において、本明細書で開示される多機能性ブースター組成物は、ケイ酸塩を含んでいてもよいa。ケイ酸塩としては、これらに限定されないが、シリカ、例えば変性シリカおよびヒュームドシリカを挙げることができる。一実施態様において、ケイ酸塩は、メチルシリコン酸カリウムおよびメタケイ酸ナトリウム(例えば、メタケイ酸ナトリウム五水和物)の一方または両方であってもよい。市販品の例としては、Silres 168(ワッカー(Wacker))、Tyson WR50(タイソン(Tyson)、シンガポール)、およびXiameter OFS0777(コーニング(Corning))が挙げられる。ケイ酸塩は、組成物の重量に基づき、約0.5重量%~約15重量%、例えば約1重量%~約10重量%、例えば約2.5重量%~約7.5重量%、またはそれらの間のあらゆる範囲の量で多機能性ブースター組成物中に存在する。
【0024】
[0040]一実施態様において、本明細書で開示される多機能性ブースター組成物は、1種またはそれより多くのピリチオン塩を含んでいてもよい。例えば、このようなピリチオン塩としては、亜鉛ピリチオン、ナトリウムピリチオン、ピリチオンカリウム、リチウムピリチオン、アンモニウムピリチオン、カルシウムピリチオン、マグネシウムピリチオン、有機アミンピリチオン、バリウムピリチオン、ストロンチウムピリチオン、銅ピリチオン、カドミウムピリチオン、またはそれらの組合せを挙げることができる。一実施態様において、本明細書で開示される多機能性ブースター組成物は、ピリチオン塩を含有しない。別の実施態様において、多機能性ブースター組成物は、亜鉛ピリチオンおよびナトリウムピリチオンの一方または両方を含んでいてもよい。ピリチオン塩は、組成物の重量に基づき、約0.005重量%~約1重量%、例えば約0.015重量%~約0.5重量%、例えば約0.025重量%~約0.25重量%、またはそれらの間のあらゆる範囲の量で多機能性ブースター組成物中に存在する。例えば、ピリチオン塩は、約5ppm~約500ppm、例えば約50ppm~約300ppm、例えば約100ppm~約250ppm、またはそれらの間のあらゆる範囲で多機能性ブースター組成物中に存在していてもよい。
【0025】
[0041]一実施態様において、本明細書で開示される多機能性ブースター組成物は、有機アミン、例えばpH調節剤を含んでいてもよい。有機アミンとしては、これらに限定されないが、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(「AMP95」)、エタノールアミン、1-アミノ-2-プロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、2-(メチルアミノ)エタノール、2-(エチルアミノ)エタノール、2(プロピルアミノ)エタノール、2(イソプロピルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(AEPDとも呼ばれる)、2(2-アミノエトキシ)エタノール(ジグリコールアミンとも呼ばれる)、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジブチルアミノエタノール、N,N-ジメチルアミノ-2-プロパノールなどを挙げることができる。有機アミンは、個々に、またはあらゆる組合せで使用することができる。一実施態様において、有機アミンは、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(「AMP95」)を含んでいてもよい。例えば、AMP95は、約25重量%~約75重量%、例えば約40重量%~約65重量%、例えば約50重量%~約60重量%、またはそれらの間のあらゆる範囲の濃度で組成物中に存在する。
【0026】
[0042]有利には、本明細書で開示される多機能性ブースター組成物を含む水ベースの工業用材料は、殺生物性剤を含有しないかまたはそれを「本質的に含まない」。一実施態様において、本明細書で開示される多機能性ブースター組成物は、イソチアゾリン-3-オンなどの殺生物性剤を含有しない。例えば、水ベースの工業用材料は、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(「BIT」)、N-(n-ブチル)-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(「DCOIT」)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン/2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「CMIT/MIT」)、またはそれらの組合せを「本質的に含まない」。しかしながら、必要に応じて、本開示の例示的な形態による水ベースの工業用材料は、追加の非イソチアゾリノン系殺生物性剤を含んでいてもよい。例えば、水ベースの工業用材料は、1種またはそれより多くの、非イソチアゾリノン系殺生物性、例えばメチルベンズイミダゾール-2-イルカルバメート(「BCM」)、IPBC、3-(3,4-ジクロルフェニル)-1,1-ジメチルウレア(「ジウロン(Diuron)」)、および/または2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール(「ブロノポール(Bronopol)」)を含有していてもよい。使用することができる追加的な殺藻剤としては、これらに限定されないが、2-tert-ブチルアミノ-4-エチルアミノ-6-メチルチオ-1,3,5-トリアジン(「テルブトリン」)および3-(4-イソプロピルフェニル)-1,1-ジメチルウレア(「イソプロチュロン」)が挙げられる。
【0027】
[0043]非イソチアゾリノン系殺生物性の他の例は、テトラアルキルホスホニウムハロゲン化物、グアニジン誘導体、イミダゾールを含有する化合物、例えば4-[1-(2,3-ジメチルフェニル)エチル]-1H-イミダゾール[メデトミジン]および誘導体、アベルメクチンおよびその誘導体、例えばイベルメクチン、もしくはスピノシンおよびその誘導体、例えばスピノサドなどの大環状ラクトン、またはオキシダーゼなどの酵素、またはタンパク質分解、ヘミセルロース分解、セルロース分解、脂肪分解、もしくはアミロース分解的に活性な酵素である。
【0028】
[0044]本明細書で開示される多機能性ブースター組成物中に存在する全ての殺生剤にとって、相対的に微細な粒子、例えば、5~75マイクロメートルの粒径を有する粒子の形態で存在することが有利であると予想される。望ましい粒径は、例えばグライディング、ミリング、篩い分けなどの従来の技術を用いて達成することができる。殺生物性剤は、組成物の重量に基づき、約0.001重量%~約1重量%、例えば約0.015重量%~約0.85重量%、例えば約0.25重量%~約0.5重量%、またはそれらの間のあらゆる範囲の量で多機能性ブースター組成物中に存在する。例えば、殺生物性剤は、約50ppm~約1500ppm、例えば約100ppm~約1000ppm、例えば約250ppm~約750ppm、例えば約350ppm~約500ppm、またはそれらの間のあらゆる範囲で多機能性ブースター組成物中に存在していてもよい。
【0029】
[0045]任意選択で、本開示の多機能性ブースター組成物は、1種またはそれより多くの界面活性剤を利用してもよい。界面活性剤は、乳化剤として機能し、配合物の水不溶性成分を、水性相に懸濁した小さい粒子の安定な分散液(エマルジョン)の形態で維持するのに役立つ。
【0030】
[0046]好適なタイプの非イオン界面活性剤としては、これらに限定されないが、ポリオキシアルキレングリコールアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン/プロピレンアルキルエーテル)、グルコシドアルキルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールアルキルフェノールエーテル(例えば、ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル、ポリオキシプロピレングリコールアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン/プロピレングリコールアルキルフェノールエーテル)、グリセロールアルキルエステル、ポリオキシアルキレングリコールソルビタンアルキルエステル(例えば、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル)、ソルビタンアルキルエステル、コカミドMEA、コカミドDEA、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのブロックコポリマー(ポロキサマー)、ポリアルコキシ化獣脂アミン、アルコキシル化脂肪酸など、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0031】
[0047]特定の非イオン界面活性剤としては、アルコキシル化脂肪族モノアルコールおよびアルコキシル化芳香族モノアルコールが挙げられる。このような界面活性剤は、典型的には、1種またはそれより多くの酸化アルキレン(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合物)を、1種またはそれより多くのモノアルコール(例えば、脂肪族アルコールであり、これは、例えば直鎖もしくは分岐鎖、第2一級もしくは二級であってもよく、または芳香族アルコール、例えばアルキルおよびアラルキル置換フェノールなどのフェノールである)と反応させることによって調製される。1モルのモノアルコール当たりの反応した酸化アルキレンのモル数は、所望に応じて様々であってもよいが、典型的には、平均して約2~約50である。1つより多くのタイプの酸化アルキレンが使用される場合、酸化アルキレンは、混合物として反応させてもよいし(ランダムコポリマー構造を有するポリオキシアルキレンセグメントを提供するために)、または逐次的に反応させてもよい(ブロックコポリマー構造を有するポリオキシアルキレンセグメントを提供するために)。
【0032】
[0048]本開示における使用のための別のタイプの非イオン界面活性剤は、アルコキシル化脂肪族モノアルコールであって、エトキシ化C10~C18脂肪族アルコール(特定には、1分子当たり平均約6~約15個のオキシエチレン反復単位を含有するアルコキシル化アルコールを提供するには、1モルの脂肪族アルコール当たり約6~約15モルのエチレンオキシドと反応させた、直鎖状第一級C12~C16脂肪族アルコール(またはこのようなアルコールの混合物))である。例えば、アルコキシル化脂肪族モノアルコールは、1分子当たり平均約8~約12個のエチレンオキシド単位を含有するエトキシ化C12~C16直鎖状脂肪族アルコールであってもよい。特定には、平均約10個のエチレンオキシド単位を含有するエトキシ化トリデカノールが、本開示における使用に好適である。
【0033】
[0049]本開示における使用のための別のタイプの非イオン界面活性剤は、エチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位の両方を含有するアルコキシル化C2~C8脂肪族アルコールである。C2~C8脂肪族アルコールは、例えば、n-ブタノールであってもよい。エチレンオキシドおよびプロピレン単位は、ブロック方式で配列されていてもよい(例えば、界面活性剤は、ポリオキシエチレンブロックおよびポリオキシプロピレンブロックを含有していてもよい)。また非イオン界面活性剤として使用するために好適なものとしては、アルコキシル化フェノール、特定にはエトキシ化フェノールも挙げられ、この場合、フェノールは、1つまたはそれより多くのアルキル基(特定には、長鎖アルキル基、例えばノニルもしくはドデシル基、またはトリスチリルフェノールの場合のように、アラルキル基)で置換されていてもよい。
【0034】
[0050]好適なアニオン性界面活性剤としては、これらに限定されないが、それらの頭部に、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、およびカルボン酸基などのアニオン性官能基を含有する界面活性剤が挙げられる。アニオン性官能基に対するカチオン性対イオンは、例えば、アルカリ金属(例えば、Na、K)またはアミン(アンモニウム)カチオン、例えば第四級アンモニウムであってもよい。本開示において有用なタイプのアニオン性界面活性剤としては、これらに限定されないが、硫酸アルキル、アルキルエーテル硫酸塩、硫酸化アルカノールアミド、硫酸グリセリド、アルキルアリールスルホン酸塩(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、分岐アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレン-スルホン酸塩を含む)、アルファオレフィンスルホン酸塩、リグノスルホン酸塩、スルホカルボン酸化合物(例えば、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、スルホコハク酸塩(ジアルキルスルホコハク酸塩を含む)、スルホスクシン酸塩、有機リン系界面活性剤(organo phosphored surfactant)、サクロシド(sacroside)、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテルの塩、N-メチル-N-オレイルタウリンナトリウム、N-アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム、石油スルホン酸塩、硫酸化ヒマシ油、硫酸化獣脂油(sulfated tallow oil)、脂肪族アルキルエステルの硫酸エステルの塩、アルキル硫酸エステルの塩、アルキル硫酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル、脂肪族モノグリセリドの硫酸エステルの塩、水添ヤシ油脂肪酸の一硫酸化モノグリセリドのナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステルの塩、アルキルリン酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのリン酸エステルの塩、スチレン-無水マレイン酸コポリマーの部分的に鹸化された化合物、オレフィン-無水マレイン酸コポリマーの部分的に鹸化された化合物、ナフタレンスルホン酸塩-ホルマリン縮合物、高級アルキルスルホ酢酸塩、および1,2-ジヒドロキシプロパンスルホン酸の高級脂肪酸エステル、ならびにそれらの組合せが挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤のなかでも特に、スルホン酸界面活性剤、特定にはアルキルアリールスルホン酸の塩、特に、C8~C18アルキルベンゼンスルホン酸の塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸の塩、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0035】
[0051]物理的に安定な分散液を提供するために、組成物中に存在していてもよいいずれかの増粘剤および/または懸濁化剤と組み合わせて効果的な界面活性剤の総量が使用される。物理的に安定な分散液を達成するのに必要な界面活性剤の量は、例えば、存在するポリエーテルアミンおよび増粘剤/懸濁化剤のタイプおよび量、加えて、利用される界面活性剤のタイプなどの様々な要因に依存すると予想される。しかしながら、典型的には、約5:1~約50:1または約6:1~約20:1の範囲内のポリエーテルアミン:界面活性剤の重量比を提供するのに十分な界面活性剤の量が使用される。
【0036】
[0052]さらに、特定の界面活性剤および界面活性剤の組合せはまた、周知の膜を崩壊させる活性も有する。この活性は、いくつかのカチオン性界面活性剤にとっては一般的であるが、特定の非イオン性およびイオン性界面活性剤にも当てはまる。
【0037】
[0053]必要に応じて、本開示の多機能性ブースター組成物は、組成物を物理的に安定にするために増粘剤または懸濁化剤として機能化することが可能な1種またはそれより多くの物質を含んでいてもよい。特定には、増粘剤および/または懸濁化剤のタイプおよび量は、25℃で、得られた多機能性ブースター組成物が少なくとも300cpsの粘度を有するように選択される。他の実施態様において、25℃での多機能性ブースター組成物の粘度は、少なくとも400cpsまたは少なくとも500cpsである。一般的に、多機能性ブースター組成物の粘度は、ポンピングによって多機能性ブースター組成物を移動させたりまたは取り扱ったりすることが困難になるポイントまで増加させないようにすることが望ましいと予想される。粘度は、ブルックフィールド粘度計(スピンドル番号5、100rpm)を使用して測定される。
【0038】
[0054]好適な増粘剤/懸濁化剤としては、これらに限定されないが、粘土(天然粘土および有機変性粘土を含む)、ケイ酸塩(例えば、改質シリカおよびヒュームドシリカなどのシリカ)、多糖(例えば、キサンタンガムなどのガム類、セルロース系ポリマー)、ポリアクリレートなど、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0039】
[0055]上述のものに加えて、1種またはそれより多くの他の成分が、本開示の多機能性ブースター組成物中に追加で存在していてもよい。しかしながら、特定の実施態様において、多機能性ブースター組成物は、前述の成分から本質的になるかまたは前述の成分のみからなるが、任意選択で、1種またはそれより多くの消泡剤が、このような実施態様において存在していてもよい。
【0040】
[0056]追加の任意選択の成分としては、これらに限定されないが、分散剤、消泡剤(泡止め剤、例えば、シリコーンベースの消泡剤、鉱油ベースの消泡剤、疎水性シリカベースの消泡剤)、金属イオン封鎖剤/キレート剤、充填剤、着色剤、凍結防止剤、腐食抑制剤(防食添加剤)、紫外光安定剤、抗酸化剤、溶媒、共溶媒、スケール防止剤などが挙げられる。
【0041】
[0057]本開示による多機能性ブースター組成物は、界面活性剤(乳化剤)、増粘剤、懸濁化剤、およびこれらの成分の組合せを使用して水中の水不溶性物質の分散液を作製するための当業界において公知の技術のいずれかを適合させることによって調製することができる。例えば、好適なサイズを有する混合容器に、水を入れ、続いて多機能性ブースター組成物に含まれることが望ましい界面活性剤を入れることができる。界面活性剤/水の混合物をかき混ぜながら、ポリエーテルアミンと増粘剤/懸濁化剤の一部を添加する。望ましい粒径(典型的には5~75マイクロメートル)を有する均一なエマルジョンが得られるまで、高速および/または高剪断での混合を続けることができる。この工程の間に、室温を多少超える温度に混合物を加熱してもよい。次いで残りの増粘剤/懸濁化剤を添加し、混合物を均一になるまでもう一回かき混ぜることができる。増粘剤/懸濁化剤の最終的な添加の前に、混合物を室温に冷却してもよい。次いで多機能性ブースター組成物を、タンク、ドラムまたは小さいコップなどの1つまたはそれより多くの好適な貯蔵容器に、ポンピングまたは他の手段によって移してもよい。
【0042】
[0058]本開示の多機能性ブースター組成物は、様々な実用の組成物、特定には水ベースの生成物において、細菌、真菌および藻類の増殖などの微生物増殖に対する耐性を付与するのに有用である。典型的には、比較的高濃度の活性成分(すなわち、殺生剤)を含有する多機能性ブースター組成物が調製されるため、それらは、一般的に、その意図する目的のための使用に好適な最終産物を配合するために1種またはそれより多くの他の成分と比較的少量で組み合わされる濃縮物として利用される。
【0043】
[0059]本開示の実用の組成物は、ポリエーテルアミンおよび本明細書で開示される追加の添加剤またはブースターを含む。一実施態様において、多機能性ブースター組成物は、ポリエーテルアミンおよび無機亜鉛化合物を含む。
【0044】
[0060]本明細書で開示される多機能性ブースター組成物は、容器内の保存剤の性能を効果的に強化することができる。「容器内の保存剤の性能」は、工業用材料のレオロジー、pH安定化、色受容性、および保存剤のブースティングなどの様々な特性を強化することを指す。例えば、本明細書で開示される多機能性ブースターまたは組成物を、約0.2重量%~約0.4重量%の濃度で、非揮発性有機化合物(VOC)であるアクリル酸半光沢建築用塗料配合物に取り込むことは、経時的に粘度安定性をブーストする。
【0045】
[0061]様々な形態において、実用の組成物は、塗料またはコーティング組成物であり、その場合、他の成分としては、1種またはそれより多くの顔料、高分子樹脂バインダーまたは充填剤(例えば、ラテックス樹脂)、および担体媒体、例えば水を挙げることができる。特定の高分子樹脂としては、アクリレート、ブタジエン、PVA、EVA、スチレン、またはビニル酢酸ポリマーを挙げることができる。本開示の一実施態様において、多機能性ブースター組成物は、コーティング組成物、特定にはラテックス塗料などの水ベースのコーティング組成物に、コーティング組成物の約0.02重量%~約4重量%量で添加される。
【0046】
[0062]別の例示的な形態において、本開示の水ベースの工業用材料は、ジョイントシーリングコンパウンドであってもよい。ジョイントシーリングコンパウンド(壁板ジョイントコンパウンド、乾式壁ジョイントコンパウンド、または壁板用泥(wallboard mud)としても公知)は、テープを覆ったり、壁板の表面における欠陥を隠したりするために、テープを壁板(乾式壁、石膏ボードまたはシートロックとしても公知)に付着させるのに使用することができる。典型的な壁板ジョイントコンパウンドは、相当量の、またはより大きい比率の石膏または石灰石および水と、相対的により小さい比率の石、粘土、およびポリマーとを含有していてもよい。
【0047】
[0063]本開示の別の例示的な形態は、細菌、真菌、酵母、藻類、および粘菌による汚染を受けやすいかまたは汚染の影響を受けやすい工業的材料における微生物の増殖を阻害または防止するための方法を含む。例えば、本方法は、工業用材料に、またはその上に、本開示の例示的な形態による多機能性ブースターを、微生物の増殖に有害作用を与えるのに効果的な量で取り込ませることを含んでいてもよい。
【0048】
[0064]本明細書で開示される多機能性ブースターは、建築用塗料に取り込ませることができる。一つの例示的な実施形態において、建築用塗料は、溶媒(例えば、水)、ラテックスバインダー(例えば、1つまたはそれより多くのアクリレート、酢酸ビニル、塩化ビニル、および/またはスチレンブタジエン単量体を含むポリマー)、および多機能性ブースターを含む。任意選択で、建築用塗料はさらに、建築用塗料全体へのラテックスバインダーの分布を改善するために、分散剤および/または界面活性剤を含んでいてもよい。この方式において、分散剤および/または界面活性剤は、建築用塗料のより平らなコーティングを提供できるより均質な混合物を生産するために使用することができる。任意選択で、建築用塗料は、建築用塗料の粘度を調整して、アプリケーター(例えば、ブラシまたはローラー)への湿潤塗料の接着を改善するため、増粘剤を含んでいてもよい。任意選択で、建築用塗料は、建築用塗料を着色するための1種またはそれより多くの顔料(例えば、TiO2)を含んでいてもよい。任意選択で、建築用塗料は、建築用塗料の成分の溶解性を改善することができる共溶媒(例えば、エチレングリコール)を含んでいてもよい。本開示による実施形態の例示的な態様は、揮発性有機化合物(VOC)の含量がゼロであってもよいし、または低い含量のVOCを含んでいてもよい。高VOCは、環境上の危険として認識されていることに加え、閉鎖された空間および/または換気されない空間で作業する塗装者に個人的な危険を示す。これらの空間において、VOCは空気中に集積する可能性があり、これは、塗装者にとって呼吸の問題や起こり得る健康上の懸念の原因になる。塗料のオープンタイムを変更するのに使用される多くの公知の塗料添加剤は、高VOCであることが公知であり、これは問題をもたらす。不良なオープンタイム性能は、塗料組成物に固有の縞模様の出現のようなミスを修正するための作業時間の増加を要し得る。したがって、VOC含量を軽減しながらオープンタイムを改善することは、塗料プロジェクトのコストおよび効率に加えて塗装者の健康において大きな利点を提供することができる。
【0049】
[0065]例示的な実施形態の別の態様は、ある種のラテックスバインダーを含んでいてもよい。ラテックスバインダーとしては、ホモポリマーまたはコポリマーとして形成することができるアクリレート(例えば、ポリメタクリル酸メチル)などの建築用塗料に好適な様々なポリマーを挙げることができる。例えば、コポリマーは、別の単量体(例えば、ブタジエンスチレン)の取り込みを含んでいてもよい。一部の実施形態において、アクリレートは、1つまたはそれより多くのニトリル基を含むように修飾されていてもよい。したがって、ラテックスバインダーとしては、様々なアクリレート、アクリレートブタジエンスチレンコポリマー、およびアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーを挙げることができる。加えて、これらのラテックスバインダーは、例示の目的のために提供され、追加のラテックスバインダーは、単独で使用してもよいし、または本開示の実施形態と組み合わせて使用してもよい。
【0050】
[0066]例証のための一例として、本開示の実施形態は、アクリレートを含むラテックスバインダーを含む建築用塗料を含んでいてもよい。アクリレートとしては、1つまたはそれより多くのアクリレート単量体を含むポリマーまたはコポリマーを挙げることができる。アクリレートポリマーまたはコポリマーの例示的な形態は、アクリレート単量体の質量分率を含んでいてもよい。例えば、アクリレートとしては、アクリレート単量体(例えば、メタクリル酸メチル)および第2の単量体(例えば、ブタジエンスチレン)を含むコポリマーを挙げることができる。アクリレート単量体のコポリマーの総重量に対する質量分率は、質量分率を定義することができる。一部のアクリレートにおいて、アクリレート単量体のコポリマーの総重量に対する質量分率は、約20wt%以上および約100wt%以下であってもよく、例えば約30wt%以上および約80wt%以下、約40wt%以上および約70wt%以下、または約45wt%以上および約60wt%以下(例えば、100wt%、95wt%、90wt%、85wt%、80wt%、75wt%、70wt%、65wt%、60wt%、55wt%、または50wt%)であってもよい。特に、一定の実施形態は、アクリレートの総重量に対するアクリレート単量体の質量分率が50wt%より大きいアクリレートを含んでいてもよい。
【0051】
[0067]本開示により配合された例示的な実施形態は、低VOC建築用塗料を配合するための追加の利益を提供することができる。特定には、例示的な実施形態は、低VOCまたはVOC無しとみなすことができる溶媒を含んでいてもよい。例えば、水は、有機化合物ではないため、好ましくは本開示の建築用塗料中に取り込まれる。水に加えて、共溶媒は、建築用塗料の成分(例えば、多機能性ブースター、界面活性剤、顔料など)の溶解性を改善するために含めることができる。例示的な共溶媒は、VOC適用対象外(VOC exempt)のもの(例えば、アセトン、AMP-95、炭酸ジメチル、酢酸メチル、パラクロロベンゾトリフルオリド、酢酸tert-ブチル、および炭酸プロピレン)であってもよいし、または建築用塗料のVOC濃度を制限するために、より低い濃度(例えば、より低い重量パーセンテージ)で含まれていてもよい。
【0052】
[0068]例えば、本開示の特定の実施形態は、建築用塗料の総重量に基づいて1000分の1パーセント未満(<0.001%)のVOC含量を有する建築用塗料を含んでいてもよい。VOC含量は、様々な方法を使用して決定でき、好ましくは、例示的な実施形態は、表面コーティングに関するEPAメソッド24に従って決定される具体的なVOC含量を含んでいてもよい。
【0053】
[0069]一部の例示的な実施形態において、VOC含量を決定するための代替方法を使用して、VOC含量を決定することもできる。例えば、ASTM D6886-14は、化学特性に基づき何がVOC成分を構成するのかを具体的に定義するのではなく、ガスクロマトグラムにおいてピークを生じる全ての成分がVOC(適用対象外または非適用対象外)であるとみなされることを暗に示す。加えて、IOS11890-2は、予め定義された沸点限界に基づいてVOC含量を決定するのに使用することができる。一例として、沸点限界未満の沸点を有する化合物に用語「VOC」が使用されている場合、既知の純度と定義された最大値の±3℃以内の沸点(BP)とを有するマーカー化合物が使用される。したがって、VOCに関するEUの定義が採用されている場合(すなわち、250℃未満の沸点を有する全ての化合物がVOCとして分類される)、テトラデカン(252.6℃のBPを有する)または類似の沸点を有する非極性化合物は、非極性系のためのマーカー化合物として使用でき、一方で、アジピン酸ジエチル(251℃のBPを有する)は、極性系に使用できる。
【0054】
[0070]本開示による例示的な実施形態は、本明細書で開示される方法のうちの1つ(例えば、EPAメソッド24)を使用して決定される場合、0.00001パーセント(0.00001%)以上および0.001パーセント(0.001%)以下のVOC含量を含んでいてもよく、例えば、0.00005パーセント(0.00005%)以上および0.0008パーセント(0.0008%)以下、または0.0001パーセント(0.0001%)以上および0.0005パーセント(0.0005%)以下のVOC含量を含んでいてもよい。一部の実施形態において、VOC含量は、実質的にゼロであってもよく、例えば、VOC含量を決定するのに使用される分析ツール(例えば、ガスクロマトグラフ)に基づいて、実質的に検出不能な量のVOCを含む。
【0055】
[0071]例示的な実施形態にとって、多機能性ブースターは、低い湿度の環境においてさえも縞模様の出現の低減をもたらすのに有効な量で、建築用塗料中に存在していてもよい。例えば、多機能性ブースターは、建築用塗料の総重量に対する多機能性ブースターの重量に基づいて、約0.1パーセント(0.1%)以上および約5パーセント(5%)以下の濃度で存在していてもよく、例えば、約0.5パーセント(0.5%)以上および約4.5パーセント(4.5%)以下、約1パーセント(1.0%)以上および約4パーセント(4.0%)以下、約1.2パーセント(1.2%)以上および約3.5パーセント(3.5%)以下、ならびに約2パーセント(2%)以上および約3パーセント(3%)以下の濃度で存在していてもよい。
【0056】
[0072]本開示による一部の実施形態の別の態様は、ラテックスバインダーの総重量に基づいて、5パーセント(5%)以上および70パーセント(70%)以下の固形分を含んでいてもよく、例えば8パーセント(8%)以上および50パーセント(50%)以下または10パーセント(10%)以上および30パーセント(30%)以下[例えば、12パーセント(12%)、14パーセント(14%)、15パーセント(15%)、16パーセント(16%)、または18パーセント(18%)]の固形分を含んでいてもよい。
【0057】
[0073]水ベースの工業用材料の本開示の一部の実施形態の態様は、多機能性ブースターのラテックスバインダーに対する重量比を含んでいてもよい。有利には、多機能性ブースターのラテックスバインダーに対する重量比は、1:999以下および1:9以上であり、例えば1:900以下および1:9以上、1:800以下および1:9以上、1:800以下および1:90以上、または1:800以下および1:200以上(例えば、1:900、1:800:1:700、1:600、1:500、1:400、1:300、1:200、または1:100)である。
【0058】
[0074]多機能性ブースターのラテックスバインダーに対する重量比は、本明細書で使用される場合、多機能性ブースターに基づき理解されるものとする。したがって、1:999以下は、多機能性ブースターの1重量単位毎に、ラテックスバインダーの999重量単位以下があるとして読まれるものとする。例証のための別の例として、1:9以上は、多機能性ブースターの1重量単位毎に、ラテックスバインダーの9重量単位以上があるとして読まれるものとする。
【0059】
[0075]特定の実施形態の一つの例示的な態様は、多機能性ブースターを建築用塗料に添加した結果生じるオープンタイムの増加を含んでいてもよい。オープンタイムの増加を決定するために、多機能性ブースターを含まない組成を有するベース塗料は、ベース塗料に有効量の多機能性ブースターを添加することによって、建築用塗料を生産するように改変することができる。一部の実施形態の場合、ベース塗料への有効量の多機能性ブースターの添加は、ベースまたは参照塗料単独と比べて、10パーセント(10%)以上の建築用塗料について決定されたオープンタイムの増加をもたらすことができ、例えば20パーセント(20%)以上、例えば30パーセント(30%)以上、例えば40パーセント(40%)以上、例えば50パーセント(50%)以上、例えば60パーセント(60%)以上、例えば75パーセント(75%)以上の増加をもたらすことができる。オープンタイムは、様々な方法を使用して決定することができ、本開示による好ましい実施形態は、OTA試験ASTM D7488-11「ラテックス塗料のオープンタイムに関する標準的な試験方法(Standard Test Method for Open Time of Latex Paints)」に従って、オープンタイムを決定することができる。
【0060】
[0076]代替として、またはそれに加えて、特定の実施形態の別の例示的な態様は、塗料組成物への多機能性ブースターの添加の結果生じるスクラブ耐性の増加を含んでいてもよい。スクラブ耐性の増加を決定するために、ASTM D2486などの試験方法を使用して、数回のスクラブの後に、基材の材料が不良化および/または露出するまでのスクラブの回数を比較することができる。例えば、第1のコーティングは、ベース塗料を使用して基材の材料に適用してもよく、第2のコーティングは、建築用塗料を使用して基材の材料に適用してもよく、この建築用塗料は、ベース塗料に有効量の多機能性ブースターを添加することによって配合される。コーティングに研磨力(例えば、スクラブ)を適用した後、スクラブ耐性は、少なくとも部分的に、コーティングの除去および/または基材の材料の露出に基づいて、決定することができる。一部の実施形態において、有効量の多機能性ブースターの添加は、300パーセント(300%)以上および1000パーセント(1000%)以下のスクラブ耐性の増加(ベース塗料と比べて)をもたらすことができ、例えば500パーセント(300%)以上および800(800%)以下、例えば約750パーセント(750%)の増加をもたらすことができる。
【0061】
[0077]代替として、またはそれに加えて、特定の実施形態の別の例示的な形態は、塗料組成物に多機能性ブースターを添加した結果生じる耐汚染性の増加を含んでいてもよい。スクラブ耐性の増加を決定するために、ASTM D4828などの試験方法を使用して、数回の汚染(stain)の後に、基材の材料が不良化および/または露出するまでの汚染の回数を比較することができる。例えば、第1のコーティングは、ベース塗料を使用して基材の材料に適用してもよく、第2のコーティングは、建築用塗料を使用して基材の材料に適用してもよく、この建築用塗料は、ベース塗料に有効量の多機能性ブースターを添加することによって配合される。コーティングに研磨力(例えば、汚染)を適用した後、耐汚染性は、少なくとも部分的に、コーティングの除去および/または基材の材料の露出に基づいて、決定することができる。本明細書で開示されるポリエーテルアミンは、コーティングを形成する主要なメカニズムとしての化学反応物として使用されないことが理解される。
【0062】
[0078]本開示の実施形態は、ベース塗料(例えば、水性ラテックス塗料)のオープンタイムを調整するための方法を含んでいてもよい。本方法は、本明細書に記載される式I構造を有する多機能性ブースターと共に水性ラテックス塗料(例えば、水ベースのアクリレート)を形成することを含んでいてもよい。
【0063】
[0079]多機能性ブースターと共に水性ラテックス塗料を形成する一つの例示的な形態は、多機能性ブースターを添加しながら水性ラテックス塗料をホモジナイズすることを含んでいてもよい。ホモジナイズは、水性ラテックス塗料と共に多機能性ブースターの取り込みを容易にする様々な形態の混合を含んでいてもよい。例えば、ホモジナイズとしては、特定された回転/分(RPM)で水性ラテックス塗料を混合すること、特定された周波数で水性ラテックス塗料を超音波処理すること、および/または水性ラテックス塗料をボルテックスで混合することを挙げることができる。この方式で、多機能性ブースターを、水性ラテックス塗料全体に取り込ませて、本開示の例示的な実施形態による建築用塗料を生産することができる。したがって、例示的な実施形態はさらに、本開示の例示的な方法を使用して、本開示の例示的な建築用塗料などの建築用塗料を生産するための方法を含んでいてもよい。
【0064】
[0080]建築用塗料を生産するための方法の別の形態は、ベース塗料(例えば、水性ラテックス塗料)の固形分を決定すること、および固形分に少なくとも部分的に基づき、ある量の化合物Iをベース塗料に添加することを含んでいてもよい。特定には、固形分は、有効量の多機能性ブースターを含ませるための基準を決定することができる。例えば、ラテックスバインダーの量は、固形分に基づいて決定することができ、有効量の多機能性ブースターは、多機能性ブースターの、本明細書における例示的な実施形態において開示されたラテックスバインダーに対する比率に従って決定することができる。
【0065】
[0081]本開示による建築用塗料を生産するための特定の方法はさらに、重合の程度を調整することによって(例えば、x、y、および/またはzを選択することによって)式Iを改変して、水性ラテックス塗料のオープンタイムを改変することを含む。
【0066】
[0082]前記の説明は、本質的に例示的であり、本開示の範囲、適応性または配置をいかなるようにも限定することは意図されない。記載された実施態様への様々な変化が、本開示の範囲から逸脱することなく本明細書に記載される要素の機能および配置においてなされてもよい。
【0067】
[0083]別段の指定がない限り、本明細書において使用される全ての専門用語や科学用語は、この発明が関連する分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
[0084]本出願および特許請求の範囲において使用される通り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形の形態を含む。加えて、用語「が挙げられる」は、「を含む」を意味する。本開示の方法および組成物は、それらの構成要素を含めて、本明細書に記載される実施態様の必須の要素および限定、加えて、本明細書に記載される、またはそれ以外の殺生物性組成物において有用な、いずれか追加のまたは任意選択の成分、構成要素または限定を含んでいてもよいし、それからなっていてもよいし、またはそれから本質的になっていてもよい。
【0068】
[0085]別段の指定がない限り、成分、分子量などの特性、パーセンテージなどの量を表す全ての数値は、本明細書または特許請求の範囲において使用される場合、用語「約」によって修飾されていると理解されるものとする。したがって、別段の指定がない限り、暗黙のうちに、または明示的に、明示された数値パラメーターは、近似値であり、これは、求められる望ましい特性および/または標準的な試験条件/方法のもとでの検出限定に依存する可能性がある。実施態様を論じられた先行技術から直接的かつ明示的に区別する場合、実施態様の数値は、「約」という単語が記載されないない限り、近似値ではない。
【0069】
[0086]「任意選択の」または「任意選択で」は、本明細書で使用される場合、その後に記載された材料、事象または環境が、存在または発生してもよいし、または存在または発生しなくてもよいこと、およびその記載が、材料、事象または環境が存在または発生する例と、それが存在または発生しない例とを含むことを意味する。「w/w%」および「wt%」は、本明細書で使用される場合、別の成分に対する重量または組成物中の総重量に対するパーセンテージを意味する。
【0070】
[0087]用語「約」は、およそ、おおよそ、ほぼ、またはその付近を意味することが意図される。用語「約」は、数値範囲と共に使用される場合、明示された数値を超えて、さらにそれ未満に境界を広げることによって、その範囲を改変する。別段の指定がない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメーターは、近似値であることが理解されるべきである。特許請求の範囲への均等論の原則の適用を限定するつもりはないが、最低限でも、数値パラメーターは、報告された有効桁数および通常の端数処理技術の適用の観点から読みとるべきである。
【0071】
[0088]用語「実質的に含まない」は、材料中の物質の量を記載するのに使用される場合、全体的または完全に含まないことに限定されず、材料中の列挙された物質の感知できる程の量または検出可能な量がないことにも相当する場合がある。したがって、例えば、材料中の物質の量が、材料中の物質の量を測定するための産業界で容認された機器または試験の精度未満である場合、材料は、その物質を「実質的に含まない」。特定の例示的な実施態様において、材料中の物質の量が、材料の10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、または0.1重量%未満である場合、材料は、その物質を「実質的に含まない」可能性がある。
【0072】
[0089]語句「有効量」は、特定の状態もしくは障害またはその状態もしくは障害の特定の兆候に対する応答を促進する、改善する、刺激する、または助長する化合物の量を意味する。
【0073】
[0090]用語「増幅剤」および「アジュバント」は、本明細書で使用される場合、活性な化合物と組み合わせて使用される場合、活性な化合物の性能に影響を与えることができ、しかし、関連の使用レベルでは本発明の組成物においてそれ自体いかなる殺生物性活性も示さないか、および/またはそれ自体有意な殺生物性活性を示さない添加剤を指す。
【0074】
[0091]用語「殺生物性剤」は、本明細書で使用される場合、コーティング表面上の生物を阻害するかまたは致死させることが意図された、および/または表面適用の前に水性塗料またはコーティングにおける「缶内の」生物の増殖を防止するかまたは致死させるあらゆる化学物質を指す。
【0075】
[0092]用語「防汚塗料」および「防汚コーティング」は、本明細書において同義的に使用される。
[0093]用語「第1」、「第2」、および「第3」は、本明細書で使用される場合、1つの構成要素を別の構成要素と区別するのに同義的に使用でき、個々の構成要素の配置または重要性を意味することは意図されない。
【0076】
[0094]ここで、および本明細書および特許請求の範囲にわたり、範囲の限定は組み合わされ、交換され、文脈または言語がそうではないことを示さない限り、このような範囲は特定され、そこに含有される全ての部分範囲を含む。例えば、本明細書で開示される全ての範囲は、上下限値を含み、上下限値は、独立して、互いに組合せ可能である。
【0077】
[0095]用語「D50」または「D50粒径」は、本明細書で使用される場合、サンプル体積の粒子の50%がその範囲または値未満のサイズを有する粒径の体積メジアン粒径を指す。
【0078】
[0096]同じように、本明細書で使用される場合、用語「D95」または「D95粒径」は、サンプル体積の粒子の95%がその範囲または値未満のサイズを有する値を指す。
[0097]用語「粒径」は、本明細書で使用される場合、特に別段の規定がない限り、メジアン粒径であるD50を指す。粒径は、レーザー散乱粒径分析器、例えば堀場製作所のLA910粒径測定装置を使用して測定することができる。
【0079】
[0098]用語「メジアン粒径」および「平均粒径」およびD50は、本明細書において同義的に使用される。
[0099]本明細書で使用される場合、用語「微粉化した」は、メジアン粒径(D50)が0.01~25マイクロメートルの範囲内であることを意味する。
【0080】
[00100]この記載された説明は、最良の形態を含む本開示を示すために実施例を使用しており、あらゆる当業者が、あらゆるデバイスまたはシステムを作製および使用すること、ならびにあらゆる組み入れられる方法を実行することを含む本開示の実施も可能にする。本開示の特許請求の範囲は、請求項によって定義され、当業者が想到する他の例を含んでいてもよい。このような他の例は、それらが請求項の文言と異ならない構造的な要素を含む場合、またはそれらが請求項の文言との重要ではない差を含む等価な構造的な要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。
【0081】
[00101]さらに、本開示の特定の形態は、以下の実施例によってよりよく理解することができ、これらは、本質的に非限定的で例示的であることが意図されている。さらに、実施例に記載される組成物は、明示的に記載されていないいずれの物質も実質的に含まない場合があることが理解されるであろう。
【実施例】
【0082】
実施例1:
[00102]ジェファーミンT403を他の成分と組み合わせて含有するブレンドの活性改善を測定した。カリウムメチルシリコネート(CAS番号31795-24-1)および金属酸化物を添加し、従来の殺生剤と組み合わせたシュードモナス属細菌に対する作用を測定した。得られた分散液タイプの配合物を、60%のジェファーミンT403と、5%のカリウムメチルシリコネートと、%の酸化マグネシウム(「1737-34」)または3%の酸化亜鉛(「1737-35」)とを用い、界面活性剤、乳化剤、および溶媒を含む32%の不活性材料を用いて生産した。
【0083】
参照名-「1737-34」
化学名 パーセンテージ
ジェファーミンT403 60%
酸化マグネシウム 3.0%
フーバー(Huber)90 5.0%
アラセル(Arlacel)83 1.5%
エチラン(Ethylan)NS500LQ 2.0%
エアロシル(Aerosil)R972 2.0%
カリウムメチルシリコネート 5.0%
メトシル(Methocil)K100M 0.05%
蒸留水 19.45%
ポリプロピレングリコール200 2.0%。
【0084】
参照名-「1737-35」
化学名 パーセンテージ
ジェファーミンT40360%
酸化亜鉛 3.0%
フーバー90 5.0%
アラセル83 1.5%
エチランNS500LQ 2.0%
エアロシルR972 2.0%
カリウムメチルシリコネート 5.0%
メトシルK100M 0.05%
蒸留水 19.45%
ポリプロピレングリコール200 2.0%。
【0085】
【0086】
[00103]これらの分散液の保存剤ブースティング能力を検査するために、最低阻害濃度(MIC)試験を実行した。MICを、マイクロブロス希釈を介して、以下の具体的な試験パラメーターを使用して決定した:
フォーマット 96ウェルプレート
強度 約1.0×105CFU/mL
標準化 OD600
インキュベーション温度 37℃
インキュベーション時間 2日間
試験のエンドポイント 増殖なし(濁度を介して)
試験培地 MHB。
【0087】
[00104]OD600に基づく必要な生物の希釈を、1.0のOD600が8×108CFU/mLと同等であることに基づいて計算した。殺生剤希釈を、各アッセイにつき2倍のインクリメントで実行した。
【0088】
[00105]試験結果は、酸化マグネシウムバージョン「1737-34」が、BITに対して2分の1のMIC値、およびCMIT/MITに対して4分の1のMIC値を達成するが、明らかにナトリウムピリチオンと拮抗的であることを示す。酸化亜鉛バージョン「1737-35」は、3つ全ての試験殺生剤の強いブースティングを達成する。ジェファーミンT403と比較して(表1)、分散液ブースター「1737-34」は、製品ベースでは比較的弱いが、分散液ブースター「1737-35」は、特にナトリウムピリチオンまたはCMIT/MITと組み合わせると、%w/wベースで著しく強い(表2)。
【0089】
【0090】
【0091】
[00106]0.15%w/wのブースター「1735-37」の添加有りおよび無しでの500および1000ppmのローディングレベル(50および100ppmのBIT)でのメーガル(Mergal)K10N(10%のBIT)を用いて、殺菌曲線を作成した。指定されたレベルの試験化合物を含有するミューラーヒントンブロスでOD
600=0.7に希釈したトリプトンダイズ培地中で増殖する緑膿菌(ATCC番号10145)の培養物を用いて、殺菌曲線を実行した。9mLのDey-Engley中和液体培地に1mLのサンプルを添加し、1×バターフィールド(Butterfield)リン酸緩衝液で連続希釈を実行することによって、タイムポイントを収集した。カウントを、35℃で一晩インキュベートした後のトリプシン大豆寒天での混釈平板法から得た。35℃でのインキュベーションの1、2、4、および24時間後に生存率測定値をとり、1×Dey-Engley液体培地で殺生剤中和し、プレート上で連続希釈した。試験結果(
図1)は、24時間後に、両方の濃度のBITが最初のカウントからの増殖阻害または低減を示したが、BITとブースターの組合せは、シュードモナス属の完全な致死(<10CFU/mL)を達成することを示す。ブースターは、対照に類似した有効性を示したことから、ブースターとBITの組合せが、シュードモナスの致死に相乗的に作用することが強く示唆される。
【0092】
実施例2:
[00107]ブースターがコーティング中で有効であったかどうかを試験するために、アルカリゲネス・フェカーリス(Alcaligenes faecalis)(ATCC番号25094)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)(ATCC番号13048)、大腸菌(Escherichia coli)(ATCC番号11229)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(ATCC番号10145)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)(ATCC番号6538)、ミクロバクテリウム・パラオキシダンス(Microbacterium paraoxydans)(トロイ(Troy)単離株)、バークホルデリア・セノセパシア(Burkholderia cenocepacia)(トロイ単離株)、シトロバクター・ウェルクマニイ(Citrobacter werkmanii)(トロイ単離株)、およびアシネトバクター属種(トロイ単離株)などの産業上重要な細菌単離株の共同体を使用して細菌負荷試験を実行した。トリプトンダイズ培地(TSB)中で増殖させた別個の一晩の培養物からの全ての細菌をブレンドし、OD600測定により等しいCFUで混合し、次いでOD600=7(約109CFU/mL)に希釈して、最終的な細菌共同体を得た。各混合物を、各植え付けの前に短時間で調製した。0.1mL~50gの指定された試験サンプルを添加することによって植え付けを実行して、植え付け1回当たり約107CFU/gを達成した。各負荷の後の指定されたインターバルで、トリプシン大豆寒天(TSA)上に少量の試験サンプルを適用することによって、生存率の読み取りを実行した。次いでプレートを32℃で3~5日間インキュベートし、その後、半定量的スケールを用いて評価した。このスケールは、ストリークラインに沿ったコロニー密度の視覚的評価によって、およそのCFU/gを推測する。読み取り値は、「0」~「4」の2つの2連の半定量的読み取り値の平均として記録する。生存率の読み取り前に都度、かつ、植え付け後に都度サンプルを混合した。
【0093】
【0094】
[00108]負荷試験結果は、最大0.05%w/wのトロイシールド(Troyshield)FSP40またはメーガルK10Nを含む塗料は高度に細菌汚染を受けやすく、0.1~0.4%w/wの「1737-35」との組合せは、殺生剤のベースライン性能を超えて用量依存性で菌耐性を改善することを示す(表3)。
【0095】
【0096】
実施例3:
[00109]多機能性ブースターの溶液バージョンを、ゼロのVOC含量を維持しながら生産した。溶液「1737-67」および「1737-72」を、ジェファーミンT403、グリセリン、およびカリウムメチルシリコネートを、様々なレベルの酢酸亜鉛および水と組み合わせることによって生産した。
【0097】
参照名-「1737-67」
化学名 パーセンテージ
ジェファーミンT403 60%
グリセリン 24.5%
酢酸亜鉛 0.5%
カリウムメチルシリコネート 3.0%
蒸留水 12.0%。
【0098】
参照名-「1737-72」
化学名 パーセンテージ
ジェファーミンT403 60%
グリセリン 24.5%
酢酸亜鉛 1.5%
カリウムメチルシリコネート 3.0%
蒸留水 11.0%。
【0099】
[00110]実施例1の場合と同様に、メーガルK10N、メーガルCM1.5、およびトロイシールドFSP40を含む「1737-67」および「1737-72」のブースティング活性をアッセイすることによって試験を開始した。分散液型バージョンに関して記載された通りに試験を行った。試験結果(表4)は、両方のバージョンが、メーガルCM1.5(CMIT/MIT)およびメーガルK10N(BIT)を著しくブーストできるが、より高い酢酸亜鉛含量を有するバージョンのみが、トロイシールドFSP40(ナトリウムピリチオン)をブーストできることを示す。留意すべきことに、「1737-72」は、ジェファーミンT403および分散液ブースター「1737-35」より有効なブースターであった。
【0100】
【0101】
[00111]透明溶液ブースターの活性をさらに特徴付けた。「1737-67」を使用したこと以外は分散液ブースター「1737-35」を用いてなされたのと同じ手順(
図1)を用いて殺菌曲線を作成した。試験は、「1737-67」それ自体は0.15%w/wで活性を有さないが、50ppmおよび100ppmのBITの活性を著しく改善することを示す(
図2)。ブースティング殺菌曲線結果は、分散液バージョン「1737-35」に類似している。1.5%の酢酸亜鉛を含有する溶液バージョン(「1737-72」)は、類似したブースティング活性を有する(
図3)。
【0102】
[00112]細菌負荷試験を、溶液バージョン「1737-67」および「1737-72」を用いたこと以外は実施例2に記載された通りに行い、ここでも、低レベルのBITおよびNaPyと共に保存した塗料の菌耐性における改善を検査することを目的とした。分散液ブースター「1737-35」の場合になされた通り、BITのレベルは15および50ppmを選択し、NaPyのレベルは100および200ppmを選択した。負荷結果は、両方のブースターが、低いレベルでBITおよびNaPyをブースティングすることにおいて効果的であるが、MIC実験(表4)と一致して、「1737-72」は、NaPyをブースティングすることにおいて、「1737-67」より著しく高く有効であることを示す(表5、6)。
【0103】
【0104】
【0105】
実施例4:
[00113]ブースター「1737-72」は、多機能性成分としてのその性能を強化するために、追加成分と組み合わせてもよい。AMP95(2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール)は、塗料配合物におけるpH調節剤および緩衝液として使用される一般的な成分である。AMP95と「1737-72」のブレンドがブースターとして高度に機能的なままであることを確認するために、MICブースティング実験および細菌負荷試験を実行した。AMP95を、「1737-72」と、重量%に基づき1:1で混合し、沈殿がない均質な透明溶液を生産した。この溶液を、試験に使用した。
【0106】
[00114]MIC実験は、ブースターが、BITのMICおよびCMIT/MITを、0.075および0.15%w/wの両方において2分の1にし、ナトリウムピリチオンのMICを、0.15%w/wで64分の1にしたことを示す(表7)。
【0107】
【0108】
[00115]「1737-72」およびAMP95の組合せへの細菌負荷試験は、低レベルのBITおよびナトリウムピリチオンの強いブースティング結果を示した(表8)。
【0109】
【0110】
実施例5:
[00116]ジェファーミンT403およびT403組成物「1737-32」の多機能性の利益を測定した。
【0111】
[00117]アクロナールエッジ(Acronal Edge)4750 No VOC半光沢建築用塗料配合物を、アクロナールエッジ4750樹脂出発点配合物に基づいて、このプロジェクトのために配合した。サンプルを以下の通りに調製した:
・異なる実験用添加剤のローディングで配合物を作製するごとに、塗料の合計1100グラムのマスターバッチサンプルを調製した。グライディング期間でのプロセス中に計算および調整を行った。
【0112】
・グライディング期間:高速の分散機を、2760RPMで20分間用いて成分をブレンドして、参照として7~7.5ヘグマンの粒度を得た。「1737-72」およびジェファーミンT-403をの総配合物に対して0.20%~0.40%の使用レベルでグライディングに使用し、含水量をレットダウンで調整した。
【0113】
・レットダウン期間:配合物成分を、1897RPMで15分間ブレンドした。
・コーティング特性を、塗料を平衡化させてから24時間後に一晩評価し、8週間モニターした。
【0114】
・その後、各マスターバッチを、4つの1/2パイントのフェノール系エポキシが内張りされた缶に分割し、2、4、6および8週間にわたる熱老化の後に評価した。
【0115】
【0116】
[00118]塗料から調製したサンプルは、以下のように称される:
【0117】
【0118】
フィルム用途
[00119]水性サンプルからフィルムを調製し、3ミルのバードフィルムアプリケーター(Bird Film Applicator)(登録商標)を使用して、シールしたレネータ(Leneta)のペノパック(Penopac)チャート、フォーム1Bに適用した。チャートを、真空プレートを用いて所定の場所に保持して、一様のフィルム厚さを確認した。フィルムを、周囲温度で24時間乾燥させた。
【0119】
[00120]試験フィルムの色測定を、DataColor Check 3分光光度計モデルLAV/USAA C31567を用いて行って、知覚に基づいてCIELAB色空間のCIEL*、a*、b*およびYI-E313データを得た。黄色度指数であるYI-E313を、サンプルの色が理想的な白色から離れている程度を決定するために記録した。
【0120】
光沢およびフィルム欠陥
[00121]塗料フィルムを、3ミルのバードフィルムアプリケーターを用いて、レネータペノパックチャート、フォーム1Bに適用し、そのまま1日間乾燥させ、チャートのシールしたセクション上で、20°、60°および85°で光沢を測定した。乾燥させたフィルムの光沢測定値を、Elcometer 408グロスおよびDOIメーターを使用して得た。基準の3ポイント以内で光沢を測定し、平均値を記録した。フィルム欠陥を、MEIJI EMZ-TR光学顕微鏡を使用して、10×の倍率で評価した。
【0121】
[00122]コントラスト比またはRo/Rw比:反射光測定による塗料の隠蔽性に関するASTMD2508、標準的な試験方法に記載された通りの、レネータフォーム1Aペノパックチャートの黒色の領域(Ro)にわたる塗料フィルムのL*反射率値と、同じサンプルの同じチャート上の白色のシールした領域(Rw)のL*反射率値との除算。
【0122】
[00123]試験フィルムの色測定を、DataColor Check3分光光度計モデルLAV/USAA C31567を用いて行って、知覚に基づいてCIELAB色空間のCIEL
*、a
*、b
*およびYI-E313データを得た。黄色度指数であるYI-E313を、サンプルの色が理想的な白色から離れている程度を決定するために記録した。
図4は、この研究で試験された、実験室試験で8週間にわたり記録された色分析を示す。「1737-72」およびジェファーミン(登録商標)T-403を含有するコーティングは、対照と比べてL
*値の極めてわずかな増加を示し、色に対する作用はごくわずかであり、0.6単位未満の小さな増加のために明らかな共分散特性はみられなかったことが示された。全てのサンプルは、初期の評価において類似の黄変プロファイルを示した。サンプルが老化するにつれて、YI-313値は増加したが、2.2%を超えなかった。したがって、対照(U210533-01)が類似の速度で黄変したことから、乾燥フィルムの黄変への著しい寄与は記録されなかった。0.20%の「1737-72」(U210533-02)は、最も低いDE値を示したが、これは対照からの最も小さい変化とみなされる。まとめると、対照と比較して、「1737-72」およびジェファーミン(登録商標)T-403の取り込みは、乾燥フィルムの特性を損なわなかった。
【0123】
実施例6
[00124]pH測定を、サーモス・サイエンティフィック・オリオン・スター(Thermos Scientific Orion Star)(登録商標)A111 pHメーターを使用して評価し、ハンナ・インスツルメンツ(Hanna Instruments)のHI2550 pH/ORPおよびTDS pHメーターを用いて再確認した。全ての評価を2連で行って、pH値の精度を保証した。
図5は、pHブースターおよびpH安定剤としての「1737-72」およびジェファーミン(登録商標)T-403の有効性を示す。0.2%の「1737-72」(U210533-02)および0.4%の「1737-72」(U210533-03)は、6および8週間の熱老化インターバルで、それぞれ0.3および0.4単位で、さらに最大0.5単位で、pHにおける最大のブーストを提供した。外見的にはそれほど大きく見えないが、このわずかなブーストは、この製品の添加により、コーティングのpHを仕様通りにするためには従来のpH調節剤のローディング量をわずかに削減することになり得ることを配合者に認識させ、理解させるには十分である。0.20%のジェファーミンT-403(U210533-04)および0.40%のジェファーミンT-403(U210533-05)も肯定的な結果を示したが、より一層低い割合であった。対照サンプル(U210533-01)は、従来のpH調節剤として、最適化された使用レベルのAMP-95(商標)を含有する。全てのサンプルは、経時的にpH安定性を示した。ビヒクル安定性、パッケージの腐食、粘度プロファイルおよび顔料分散液の安定性のような問題が劇的に損なわれる可能性があるため、配合時にはアルカリ安定性は必須である。
【0124】
実施例7
[00125]グライディングの細かさを、ヘグマンタイプのゲージによって、顔料-媒体系の分散体の細かさに関する標準的な試験方法であるASTM D1210に従って測定した。結果は、プレシジョンゲージアンドツールカンパニー(Precision Gage and Tool Company)からのグライディングゲージを使用して、ヘグマン単位で、並びにマイクロメートルで報告された。
【0125】
[00126]
図6は、コーティングのグライディングの細かさ、空気量および不透明度を示す。これらの特性は、コーティング生産のグライディング期間で現れる。全てのマスターバッチは、初期の読み取りで7.2ヘグマン(10μマイクロメートル)の類似の粒度プロファイルをもたらした。コーティングの粒度への著しい増大または負の影響は、長期にわたりなかった。不透明度を説明するコントラスト比の値は、全てのサンプルと類似した結果を示し、熱老化で観察された変化はごくわずかであった。空気放出または空気連行性に対して注目すべき著しい利益または有害作用はなかった。しかしながら、0.20%のジェファーミンT-403(U210533-04)および0.40%のジェファーミンT-403(U210533-05)のサンプルは、わずかに高い空気連行を示した。閉じ込められた空気によるフィルム欠陥は観察されなかった。
【0126】
実施例8
[00127]クレブス単位(KU)粘度測定を、ストーマー粘度計を使用する塗料の稠度に関する標準的な試験方法であるASTM D562に従って実行した。ICI粘度測定を、25℃の温度で、ICIコーン/プレート粘度計モデル106-110v-60HZを使用する高い剪断粘度に関する標準的な試験方法であるASTM D4287に従って実行した。
【0127】
[00128]コーティングサンプルを、サーモ・サイエンティフィック(Thermo Scientific)のHeratherm OMS180モデル番号41298000対流式オーブンで、2、4、6および8週間にわたり50℃で熱老化させた。粘度を測定する前に、コーティングサンプルをオーブンから取り出した後、そのまま室温に平衡化した。
【0128】
[00129]
図7のチャートは、8週間以内の試験された全てのサンプルの粘度プロファイルを記載している。初期の評価は、類似の粘度プロファイルを示した。0.20%の「1737-72」(U210533-02)および0.40%の「1737-72」(U210533-03)を含有する老化したコーティングは、それぞれ13および25単位によって対照サンプルより高いプロファイルを示した。0.20%のジェファーミンT-403(U210533-04)および0.40%のジェファーミンT-403(U210533-05)は、粘度安定性に対してより一層高い影響を有し、両方のローディングは、熱への曝露中、粘度を30単位増加させた。
【0129】
実施例9
[00130]様々な顔料化学性質、色スペクトルおよび分散剤/界面活性剤パッケージを代表する、BASF Pure Options(登録商標)低VOCユニバーサル着色剤で、2.5重量%のランプブラック、フタロブルーおよびレッドオキサイドで試験塗料を着色することによって、色受容性(color acceptance)を実証した。
図8Aは、ランプブラックの結果を示す。0.20%の「1737-72」(U210533-02)および0.40%の「1737-72」(U210533-03)は、こすりつけによる摩擦を実行した場合、DL
*値における最小の変化を示したことから、色受容特性を改善する。デルタE値も類似の傾向をたどった。こすりつけ試験における低いDL
*およびDE値は、改善した色受容性を強く示唆する。0.20%のジェファーミンT-403(U210533-4)および0.40%のジェファーミンT-403(U210533-05)もまた、対照と比較して優れた色受容性を示したが、「1737-72」ほど有効ではなかった。光沢の低減が、着色されたベース塗料とそれに対する着色されていないベース塗料で観察されたが、これは、正常であり、パラメーターの範囲内であり得る。ジェファーミンT-403を含有する着色されたサンプルは、対照と比較した場合、「1737-72」を含有するものより低い光沢読み取り値(最大10単位)を有していたが、これは、一部のタイプの不相容性の兆候である可能性がある。
図8Bのフタロブルーおよび
図8Cの顔料分散液でも類似の傾向が観察された。
【0130】
実施例10
[00131]試験塗料を、7ミルのバードフィルムアプリケーター(登録商標)を用いて、165×432mmの塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマーパネルおよび3つの異なるパネルに適用した。7日間硬化させた後、2つの最良のパネルを選択し、それぞれパネルの下に真鍮シム(12.7×0.25mm)を有する直線洗浄性装置Gardcoモデル番号D10-WA-2151に設置した。ブロックから19mm伸長する5/4パターンで毛を有するナイロンブラシをブラシホルダーに設置し、コーティングの破断を形成するサイクルの数を記録した。壁塗料のスクラブ耐性に関する標準的な試験方法であるASTM D2486に従って、試験測定を実行した。
【0131】
[00132]
図9は、従来の不良に至るサイクル(cycle-to-failure)の概念によって決定された、スクラブ耐性特性またはスクラビングによって引き起こされる侵食に対する壁塗料の耐性を例示する。0.20%の「1737-72」(U210533-02)および0.40%の「1737-72」(U210533-03)は、対照に対するスクラブ耐性において著しい変化を示さなかった。0.4%の「1737-72」は、極めてわずかな低下しか示さなかったが、より多くの用量は、純粋なジェファーミンT-403データで見られるように、侵食に対する耐久性を損なう可能性がある。0.20%のジェファーミンT-403(U210533-04)および0.40%のジェファーミンT-403(U210533-05)は、侵食に対するより低い耐久性を示し、対照に対してそれぞれ538サイクルおよび760サイクルの差であった。この試験の再現性は最大30%まで許容できるものだとしても、試験間の生データはほぼ変動なく一致した。
【0132】
実施例11
[00133]試験塗料を、7ミルのバードフィルムアプリケーター(登録商標)を用いて、165×432mmの塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマーパネルおよび3つの異なるパネルに適用した。7日間硬化させた後、最良の2つのパネルを選択し、一般的な家庭的な汚染を、以下の順番で各パネルに適用した:(1)レネータステイン媒体ST-1、(2)ブドウジュース、(3)マスタード、(4)コーヒー、(5)赤色のマーカー、(6)ワイン、(7)紫色のマーカー、(8)リップスティック、(9)紅茶、および(10)ケチャップ。汚染を室温で1時間そのまま乾燥させた。その後、パネルを、ブラシホルダー上にスポンジが設置された直線洗浄性装置Gardcoモデル番号D10-WA-2151に設置し;液体クレンザーをフィルム上に適用し、最大100サイクル洗浄した。有機コーティングの実用的な洗浄性に関する標準的な試験方法であるASTM D4828に従って、試験測定を実行した。
【0133】
[00134]一般的な家庭的な汚染の除去の相対的な容易さをチェックするために、
図10および11のパネルを、機械的な洗浄試験器で、最大100サイクルで評価した。試験フィルムの色または侵食への評価を外観的に実行した。結果は、「1737-72」およびジェファーミン(登録商標)T-403を含有する塗料フィルムにおける汚染が、対照(U210533-01)と比較して、どのように耐汚染性への一般的に類似の作用をもたらしたかを示す。レネータステイン媒体ST1、コーヒーおよびワインの汚染は、用いられた塗料から除去することがわずかに難しく、完全な除去のために余分なサイクルを必要とした。
【0134】
[00135]
図12は、
図10および11における目視での観察を、各汚染における色分析と相関させる。結果は、一般的に、耐汚染性における著しい変化はなかったことを示した。一部の汚染は、対照の性能に対して、L
*、DL
*およびDEにおけるよりわずかに高いまたはよりわずかに低い変動を有していたが、有意な利点または不利益は観察されなかった。「1737-72」で留意すべきいくつかのわずかな強化は、紫色のマーカーおよび茶の汚染である。T-403で留意すべきわずかな強化は、ブドウジュース、赤色のマーカーおよび赤ワインである。
【0135】
実施例12
[00136]ASTM D4587-11(2019)、塗料および関連コーティングの蛍光UV結露曝露のための標準的な実施を使用して、最初および最後のインターバルで色測定を用いて合計500時間にわたり、5つのコーティングを試験した。QUVキャビネットを以下の通りプログラム化した。
【0136】
【0137】
[00137]全てのフィルムを、3ミルのバードフィルムアプリケーター(登録商標)を使用して、シールしたレネータペノパックチャート、フォームWBに適用した。チャートを、真空プレートを用いて所定の場所に保持し、一様のフィルム厚さを確認した。フィルムを、周囲温度で24時間乾燥させ、次いで試験した。
【0138】
[00138]
図13は、60℃で8時間、結露:50℃で4時間のサイクルUVで、500時間にわたり、QUV加速ウェザリングチャンバーに曝露されたサンプルの色分析を示す。対照(U210533-01)は、ウェザリング曝露の後に乾燥フィルムの特性を損なう変化を示さなかった。0.20%の「1737-72」(U210533-02)および0.40%の「1737-72」(U210533-03)は、2つの試験間で0.51~0.92単位のL
*値の最小の変更および低いDE値を示した。加えて、対照(U210533-01)は類似の速度で黄変したことから、黄色度指数の結果は、乾燥フィルムの黄変への著しい寄与を示さなかった。しかしながら、0.20%のジェファーミンT-403(U210533-04)および0.40%のジェファーミンT-403(U210533-05)は、ウェザリング曝露のために色が落ちたことから、L
*値のより大きい劣化を示した(
図4)。より高い使用レベルのジェファーミンT-403を利用することによって、コーティング特性は劣化し、L
*値も低下した。留意すべきことに、黄色度指数はよりわずかに高い値を示した。まとめると、0.20%の「1737-72」(U210533-02)および0.40%の「1737-72」(U210533-03)は、ジェファーミンT-403を含有するサンプルよりよくウェザリング条件に耐える。
【0139】
実施例13
[00139]
図14は、熱老化の8週間の期間にわたる試験コーティングの缶内の安定性の格付けを示す。塗料の沈降の程度を評価することに関する標準的な試験方法であるASTM D869に従って、分離および沈降に関してサンプルを評価した。サンプルを、0~10のスケールで沈降の程度に関して格付けした。ここで0は、完全な分離/固い沈降であり、10は、分離または沈降なしである。
【0140】
【0141】
[00140]試験塗料を、合計8週間にわたり50℃の温度での加速老化条件下で貯蔵した。実験室試験を、各貯蔵インターバル後に、離液の兆候に関して観察した。試験サンプルを、離液の分類のためのASTM D1849およびスペクトロケム(Spektrochem)の格付けに従って格付けした。
【0142】
【0143】
[00141]サンプル中に沈降は見出されなかった;しかしながら、両方の使用レベルで「1737-72」およびジェファーミンT-403を含有するサンプル中に、離液の兆候が存在した。離液は、容器中のコーティング表面上での少量の流体の放出であり、挙動の正確な証拠を提供するために、2つの試験方法に基づいてこれを評価した。加えて、コーティング中で正確にいつ離液が起こったかを決定した。加速老化中に2週間の途中経過で離液の兆候を観察した。表面での離液が存在したとしても、顔料の沈降は観察されず、コーティングをスパチュラで混合したところ、均一性が容易に達成された。離液は、フィルム特性に有害作用を引き起こさず、フィルム欠陥も観察されなかった。
【0144】
[00142]まとめると、「1737-72」およびジェファーミン(登録商標)T-403を、生産のグライディング期間中に、0.2%および0.4重量%で、非VOCアクリル酸系半光沢建築用塗料配合物に取り込ませた。製造プロセスの全ての期間におけるコーティング性能および安定性、加えて乾燥フィルムおよび安定性特性への作用を評価した。データは一般的に、0.2~0.4%w/wのジェファーミン(登録商標)T-403は、塗料特性に正および負の作用を有する可能性があるが、ブレンドした多機能性ブースター製品「1737-72」は、容器内のブースターとして作用するその能力を改善しながらも、同等の活性なポリエーテルアミン含量で比較したとしても、重要なことに、かつ驚くべきことに、塗料特性へのジェファーミン(登録商標)T-403の観察された負の影響の大部分を最小化することを示す。
【0145】
[00143]本発明へのこれらのおよび他の改変およびバリエーションは、より特定には添付の特許請求の範囲に記載される本発明の本質および範囲から逸脱することなく、当業者によって実施することができる。加えて、ことが理解されるべきである様々な実施態様の形態は、全体または部分的にの両方で交換することができる。さらに、当業者は、前述の説明は、単なる例示であり、本発明を限定することは意図されず、したがってこのような添付の特許請求の範囲にさらに記載されることを理解しているであろう。
【国際調査報告】