(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-03
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20250626BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20250626BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20250626BHJP
C08G 18/64 20060101ALI20250626BHJP
C08G 18/40 20060101ALI20250626BHJP
C08G 18/30 20060101ALI20250626BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20250626BHJP
【FI】
C08G18/00 K
C08G18/48
C08G18/76
C08G18/64 015
C08G18/40 081
C08G18/30 020
C08G18/00 H
C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024572147
(86)(22)【出願日】2023-06-26
(85)【翻訳文提出日】2024-12-06
(86)【国際出願番号】 US2023069061
(87)【国際公開番号】W WO2024006691
(87)【国際公開日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】102022000013531
(32)【優先日】2022-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100156476
【氏名又は名称】潮 太朗
(72)【発明者】
【氏名】ラ テッラ、フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】クックソン、ポール
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA07
4J034BA08
4J034CA04
4J034CA05
4J034CA13
4J034CA17
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4J034QB17
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4J034RA03
(57)【要約】
軟質ポリウレタンフォームを作製するための、フォーム形成組成物は、ポリオール成分であって、ASTM D4274に従って決定される、25~100mg KOH/gのヒドロキシル価を有し、1分子当たり2~8個のヒドロキシル基を有する、1つ以上のポリエーテルポリオールを含む、ポリオール成分と、添加剤成分であって、ポリリン酸アンモニウム、及びアルカリ土類金属を、1.3:1~6.5:1の重量比で含み、ポリオール成分100重量部に基づいて、6重量部~50重量部の量で存在する、添加剤成分と、1つ以上の芳香族イソシアネートを含む、イソシアネート成分とを含む。この組成物は、メラミン、及びハロゲン含有難燃剤を排除する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質ポリウレタンフォームを作製するためのフォーム形成組成物であって、前記組成物が、
ポリオール成分であって、ASTM D4274に従って決定される、25~100mg KOH/gのヒドロキシル価を有し、1分子当たり2~8個のヒドロキシル基を有する、1つ以上のポリエーテルポリオールを含む、ポリオール成分と、
添加剤成分であって、ポリリン酸アンモニウム、及びアルカリ土類金属炭酸塩を、1.3:1~6.5:1の重量比で含み、前記ポリオール成分100重量部に基づいて、6重量部~50重量部の量で存在する、添加剤成分と、
1つ以上の芳香族イソシアネートを含む、イソシアネート成分とを含み、
前記組成物がメラミン、及びハロゲン含有難燃剤を含まない、フォーム形成組成物。
【請求項2】
前記添加剤成分が、ポリリン酸アンモニウム、並びに炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及び炭酸バリウムの群から選択される少なくとも1つから本質的になる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記重量比が1.5:1~4.5:1である、請求項1又は2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記添加剤成分の量が、前記ポリオール成分100重量部に基づいて、10重量部~30重量部である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記1つ以上のポリエーテルポリオールの1つのヒドロキシル価が、30~40mg KOH/gである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリオール成分が、更に、PIPAポリオールを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、更に、水、1つ以上の触媒、及び1つ以上の界面活性剤を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記フォーム形成組成物が、50~150のイソシアネート指数を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記軟質ポリウレタンフォームが、ISO 845に従って決定される、100kg/m
3未満の密度を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記軟質ポリウレタンフォームが、(i)英国規格BS 5852:2006(Crib 5)試験における合格評価、及び(ii)UNI 9175燃焼性試験に従ってクラス1 IM評価の、少なくとも1つを示す、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、フォーム形成組成物、及びそのようなフォーム形成組成物から作成された軟質ポリウレタンフォームに関する。
【0002】
序論
軟質ポリウレタンフォームなどのポリウレタンフォームは、マットレス、クッション、パッド、詰め物、又は布張り家具などの快適用途において、(例えば、支持、及び耐荷重を提供するために)使用される。このようなポリウレタンフォームは、典型的には、難燃性添加剤を含む。しかしながら、寝具、及び家具の、消費者、及び製造業者などの、軟質ポリウレタンフォームの使用者は、そのようなフォームが、特定の難燃性(FR)添加剤、特に、メラミン、及びハロゲン系化合物(例えば、フッ素化難燃剤、塩素化難燃剤、及び臭素化難燃剤-この技術分野で公知のものを含む)を含まないことを、ますます要求してきている。ますます、規制は、メラミン、及びハロゲン含有難燃性添加剤の使用を、段階的に廃止している。
【0003】
そのような難燃性添加剤は、フォームが一般的な燃焼性基準、例えば、英国規格 BS 5852:2006(一般にCrib 5と呼ばれる)を満たすことを可能にするのを助けるので、軟質ポリウレタンフォームにおいて広く使用されているが、これは、フォームが、特定の最大重量損失試験で自己消火する一方で、望ましいフォームの機械的、及び物理的特性、例えば、高弾性、及び低い90%圧縮永久歪みを示すことを、必要とする。代替の難燃性添加剤が提案されており、例えば、米国特許出願公開第2008/0157037号明細書は、ポリリン酸アンモニウム(35~45重量%)、メラミン(35~45重量%)及びペンタエリスリトール(15~25重量%)を含む、膨張性難燃性添加剤を含む、乾燥機シールアセンブリの一部としての、ハロゲンフリーポリウレタンフォームを開示している。しかしながら、そのような組成物は、依然としてメラミンを必要し、そのため、依然として良好な物理的、及び機械的特性を示しながら、ハロゲン、及びメラミンの両方を含まない代替組成物が求められている。
【発明の概要】
【0004】
実施形態は、1つ以上のポリエーテルポリオールを含むポリオール成分であって、ASTM D4274に従って決定される、25~100mg KOH/gのヒドロキシル価を有し、1分子当たり2~8個のヒドロキシル基を有する、ポリオール成分と、添加剤成分であって、ポリリン酸アンモニウム、及びアルカリ土類金属炭酸塩を、1.3:1~6.5:1の重量比で含み、ポリオール成分100重量部に基づいて、6重量部~50重量部の量で存在する添加剤成分と、1つ以上の芳香族イソシアネートを含むイソシアネート成分とを含む、軟質ポリウレタンフォームを作製するための、フォーム形成組成物を提供することによって、実現し得る。組成物は、メラミン、及びハロゲン含有難燃剤を除外する(例えば、含まない、使用を回避するなど)。
【発明を実施するための形態】
【0005】
実施形態によれば、軟質ポリウレタンフォームは、メラミン、及び/又はハロゲン含有難燃性(FR)添加剤(例えば、フッ素、塩素、及び臭素系難燃剤を含まない)を使用することなく、耐火性に関して、改善された性能を示し得る。例えば、トリクロロプロピルホスフェートTCPPの使用を、回避することが求められている。ポリリン酸アンモニウム(APP)、及びアルカリ土類金属炭酸塩(MC)を、1.3:1~6.5:1(例えば、1.4:1~6:1、及び/又は1.5~4.5:1、及び/又は3.5:1~4.5:1、及び/又は3.8:1~4.2:1など)の比で含む(例えば、これらから本質的になる)、フォーム形成組成物中の添加剤成分は、改善された難燃作用を有する、軟質ポリウレタンフォームを提供することが見出された。そのような添加剤成分は、メラミン難燃剤、及び/又はハロゲン含有難燃剤を、除外し得る(例えば、含まなく得る)。フォーム形成組成物中の添加剤成分の量は、フォーム形成組成物中の、ポリオール成分の総重量に基づく。例えば、添加剤成分は、例えば、フォーム形成組成物中の全てのポリオールを含み、イソシアネート成分、添加剤成分、水、触媒、及び界面活性剤のいずれかの重量を除く、ポリオール成分100部(総重量)に基づいて、6部~50部(例えば、8~40部)の量で、存在し得る。例示的な実施形態では、添加剤成分は、ポリリン酸アンモニウムと、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及び炭酸バリウムの群から選択される少なくとも1つとから、本質的になる。
【0006】
フォーム形成組成物は、更に、水(例えば、化学発泡剤として)を含み得、任意選択的に、1つ以上の他の物理的、又は化学的発泡剤を含み得る。フォーム形成組成物は、更に、アミン、及び/又はスズ触媒(例えば、第三級アミン触媒)などの、1つ以上の触媒を含み得る。また、フォーム形成組成物は、シリコーン界面活性剤などの、界面活性剤を含み得る。加えて、フォーム形成組成物は、軽量かつ可撓性であるオープンセルフォームの調製を助けるための1つ以上のセルオープナー、及び/又は1つ以上の鎖伸長剤、及び/又は1つ以上の架橋剤を含み得る。
【0007】
実施形態によるポリウレタンフォームは、BS 5852 Crib 5燃焼性試験に合格し得、及び/又はUNI 9175燃焼性試験に合格し得、クラス1M評価を達成する。更に、フォーム形成組成物中にポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオールを含めることによって、更に、耐火性能を改善し得る。更に、フォーム形成組成物は、広範な用途を見出し得、ASTM-D3574-16(2016)に従って決定される、25~85%のいずれかの弾性を有する、軟質ポリウレタンフォームにおいて、改善された耐火性を可能にし得る。本明細書で使用される場合、「ASTM」という用語は、ASTM International、Conshohocken、Paの刊行物を指す。本明細書で使用される場合、「UNI」という用語は、イタリア標準化機構(Italian Organization for Standardization,Milan IT)の刊行物を指す。
【0008】
軟質ポリウレタンフォームは、従来の軟質フォームと、高弾性フォームの両方のフォームを含む。本明細書で使用される場合、「従来の軟質」ポリウレタンフォームという用語は、(a)プロピレンオキシド(PO)から誘導されるポリオール中に見出されるような、第二級ヒドロキシル基、又は主に第二級ヒドロキシル基を有する、ポリエーテルポリオールを含有し得るか、又はそれに由来し得、イソシアネート成分中に1つ以上のイソシアネートを含有し得る、そのようなフォームを指し得る。本明細書で使用される場合、「高弾性」(HR)軟質ポリウレタンフォームという用語は、エチレンオキシド(EO)基などの、第一級ヒドロキシル基を有する、ポリエーテルポリオールを含有し得るか、又はそれに由来し得、(f)ポリイソシアネート成分中にメチレンジ(フェニルイソシアネート)又はMDIから作製された1つ以上のプレポリマーを含有し得る、そのようなフォームを指し得る。フォーム、及びフォーム形成組成物の、広い配合柔軟性は、更に、ポリエステルポリオール、及び/又はPIPAポリオールなどの、追加のポリオールの包含を可能にする。
【0009】
ポリウレタンフォームは、ISO 845に従って決定される、100kg/m3以下の密度を有し得る(例えば、10kg/m3~90kg/m3、20kg/m3~70kg/m3、25kg/m3~60kg/m3など)。軟質ポリウレタンフォームは、ASTM-D3574-16(2016)に従って決定される、25~85%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%の弾性を有し得る。前記軟質ポリウレタンフォームは、以下のもののうちの1つ以上、又は全てを示し得る:(i)Crib 5英国規格BS 5852:2006(Crib 5)試験における合格評価、(ii)UNI 9175燃焼性試験に従うクラス1 IM評価、(iii)Crib 5試験、600秒未満、例えば、450秒未満の消火時間試験評価、又は(iv)60g未満のCrib 5重量損失試験評価。本明細書で使用される場合、「Crib 5」という用語は、室内装飾充填試験、点火源5、英国規格BS 5852:2006、「Methods of test for assessment of the ignitability of upholstered seating by smouldering and flaming ignition sources」、英国規格(BSI)、ロンドン、英国、2006を指す。
【0010】
軟質ポリウレタンフォームは、ASTM-D3574-16(2016)に従って決定される、25~85%、又は例えば、高弾性フォームについては55%以上の弾性を有し得る。別段の指示がない限り、温度、及び圧力の条件は、周囲温度(21~24℃)、相対湿度50%、及び標準圧力(1atm)である。
【0011】
フォーム形成組成物のポリオール成分は、ASTM D4274に従って決定される、25~100mg KOH/gのヒドロキシル価を有し、1分子当たり、2~8個のヒドロキシル基を有する(換言すれば、2~8個の平均ヒドロキシル官能価を有する)、1つ以上のポリエーテルポリオールを含み得る。
【0012】
ポリエーテルポリオールは、水、又はプロピレングリコール、又はエチレングリコール、又はグリセロール、又はトリメチロールプロパン、又はソルビトール、又はスクロースなどの、2~8個のヒドロキシル官能基を有する少なくとも1つの開始剤と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はそれらの組み合わせなどの、1つ以上のアルキレンオキシドとの、反応生成物、又は付加物を含有し得る。1つ以上のポリエーテルポリオールは、(i)ポリエーテルポリオール中の全てのEO及びPOの総重量に基づいて、0.3~40重量%のエチレンオキシド(EO)含量を有する混合フィードポリエーテルポリオール、(ii)ポリエーテルポリオール中の全てのEO及びPOの総重量に基づいて、100重量%のプロピレンオキシド(PO)含量を有するポリエーテルポリオール、(iii)ポリエーテルポリオール中の全てのEO及びPOの総重量に基づいて、10~25重量%のエチレンオキシド(EO)でエンドキャップされたプロピレンオキシド(PO)ポリエーテルポリオール、又は(iv)ポリエーテルポリオール担体中の、ポリウレタン粒子の、ポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリエーテルポリオール分散体であって、各ポリウレタン粒子が、少なくとも2つのカルバメート結合を含む、ポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリエーテルポリオール分散体、から選択され得る。
【0013】
本明細書で使用される場合、分析物のmg KOH/gで表される「ヒドロキシル価」という用語は、ASTM D4274に従って決定される、分析物材料1グラムのアセチル化に取込まれた、酢酸を中和するのに必要な、KOHの量を指す。「平均ヒドロキシル価」という用語は、ヒドロキシル官能性化合物の混合物のヒドロキシル価の重量平均を指す。例えば、80のヒドロキシル価を有するPIPAポリオールと、(ii)60のヒドロキシル価を有する全プロピレンオキシド(PO)ポリエーテルポリオールとの、50/50モル%混合物は、0.5(80)+0.5(60)、又は(40+30)、又は70の平均ヒドロキシル価を有することになる。本明細書で使用される場合、所与のポリエーテルポリオール、又はポリオールの、「ヒドロキシル当量」、又は「当量」、又は「EW」という用語は、下記式:EW=56,100/所与のポリオールのヒドロキシル価によって決定される、計算値を指す。
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシル官能価」という用語は、所与のジオール、又はポリオールの理想式中の、ヒドロキシル基の数を指すが、これは、式中の、不純物、又は変動性の各々ではない。所与のポリオールの実際のヒドロキシル官能価は、当技術分野で知られている様々な理由により、公称ヒドロキシル官能価よりも低くなり得る。
【0014】
本明細書で使用される場合、所与のポリエーテルポリオール、又はポリオールの、「分子量」、又は「MW」という用語は、下記式:MW=(56,100/ヒドロキシル価)Xポリオールの公称ヒドロキシル官能価によって決定される計算値を指す。
【0015】
特に指定のない限り、本明細書で使用される場合、「イソシアネート指数」、又は簡便には「指数」という用語は、所与のポリウレタン(フォーム)形成反応混合物中における、イソシアネート官能基の当量数と、活性水素、例えば、ヒドロキシル基の当量数との比に、100を乗算した数として表される。例えば、イソシアネートの当量数が活性水素の当量数に等しい反応混合物では、イソシアネート指数は100である。本明細書で使用される場合、「イソシアネート反応性基」という用語は、ヒドロキシル基中の水素などの、活性水素を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「イソシアネート」という用語は、例えば、イソシアネートと1つ以上の他の化合物との反応によって作製された、イソシアネート末端プレポリマー、ポリイソシアネート又はビウレット、アロファネート、イソシアヌレート、カルボジイミド、そのダイマー、トリマー、又はオリゴマーなどの、1つ以上のイソシアネート官能基を有する材料を含有する、イソシアネート基を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「粒径」、又は「粒径直径(PSD)」という用語は、レーザー光散乱によって決定される、所与の材料の粒径直径を意味し、特定の最大粒径を有する、分散体中の粒子の体積%として報告される。本明細書で使用される場合、「重量%」という語句は、重量パーセントを表す。
【0018】
軟質ポリウレタンフォームは、(a)ポリエーテル、及び/又はPIPAポリオールなどの、1つ以上のポリオールを含む、ポリオール成分と、(b)ポリリン酸アンモニウム(APP)、及びアルカリ土類金属炭酸塩(MC)との組み合わせを、APP:MC1.3:1~6.5:1の重量比で含む、添加剤成分と、(c)潜在的に他の成分、例えば、水、1つ以上の触媒、及び1つ以上の界面活性剤とを含む、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との、2成分反応混合物の、フォーム形成組成物から作成され得る。フォーム形成組成物、及びそれから作成された軟質ポリウレタンフォームは、メラミン、及びハロゲン含有難燃剤を含まない。アルカリ土類金属炭酸塩(MC)は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及び炭酸バリウムからなる群から選択される、少なくとも1つを含み得る
【0019】
フォーム形成組成物は、広い配合ウィンドウを享受し得、改善された難燃性能を特徴とする、低密度、高弾性ポリウレタンフォーム、従来の弾性のスラブストックポリウレタンフォームを形成する、組成物を含み得る。軟質ポリウレタンフォームは、改善された難燃性能を有し得る。フォーム形成組成物の性質は、低、又は高弾性フォーム形成を決定し得る。例えば、高弾性フォームは、縮合形態のエチレンオキシド(EO)基などの、第一級ヒドロキシル基をより多く、又は排他的に有する、フォーム形成組成物から、及び/又は例えば、縮合形態のメチルジ(フェニルイソシアネート)(MDI)を有する、組成物において生じ得る。一方、従来の弾性フォームは、縮合形態のプロピレンオキシド(PO)基などの、全ての第二級ヒドロキシル基、又は、例えば、PO/EO混合フィードポリエーテルポリオールを含有し得る。
【0020】
ポリオール成分は、ASTM D4274に従って決定される、25~100mg KOH/g(例えば、28~80mg KOH/g)のヒドロキシル価を有し、1分子当たり2~8個(例えば、2~6個)のヒドロキシル基を有する、1つ以上のポリエーテルポリオールを含有する。1つ以上のポリエーテルポリオールは、1100g/mol~18000g/mol(例えば、2400~15000、3000~10000など)の、重量平均分子量を有し得る。ポリエーテルポリオール組成物は、550超(例えば、少なくとも700、少なくとも1000、少なくとも1200、又は少なくとも1500、及び最大2250、最大2000、又は最大1800などであり得る)の、ヒドロキシル基当たりの当量を有し得る。
【0021】
このようなポリエーテルポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する、開始剤から形成し得る。各ポリエーテルポリオールの、公称ヒドロキシル官能価、又はヒドロキシル基の数は、開始剤中のヒドロキシル基の数に等しい。好適な開始剤は、2~8個のヒドロキシル基(例えば、2~6個のヒドロキシル基)を有し得る。軟質ポリウレタンフォームを作製するための、(a)1つ以上のポリエーテルポリオールとして有用な、好適なポリエーテルポリオールは、共開始ジオール、及びトリオール開始剤から形成され得る。開始剤としては、例えば、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、ソルビトール、スクロース、糖アルコール、及び他の多価アルコールが挙げられ得る。ジオールの例としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、チオジエタノール、N-メチルジエタノールアミン、及びジプロピレングリコールが挙げられる。トリオール開始剤の例としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、及びトリエタノールアミンが挙げられ得る。二官能性脂肪族ポリエーテルポリオールは、ジオール開始剤のみから形成され得、トリオール開始剤が使用される場合、三官能性ポリエーテルポリオールが生じ得る。
【0022】
ポリオール成分は、30~40mg KOH/gのヒドロキシル価を有する、少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含み得る。
【0023】
フォーム形成組成物のポリオール成分中の(a)ポリエーテルポリオールは、以下のいずれかから選択され得る:
(i)ポリエーテルポリオール中の全てのEO及びPOの総重量に基づいて、1~40重量%(例えば、5~30重量%、10~30重量%)のエチレンオキシド(EO)含量、及び60~99重量%(例えば、70~95重量%、70~90重量%)のプロピレンオキシド(PO)含量を有する、混合フィードポリエーテルポリオール(混合フィードポリエーテルポリオール(i))、
(ii)ポリエーテルポリオール中の全てのEO及びPOの総重量に基づいて、100重量%のプロピレンオキシド(PO)含量を有する、ポリエーテルポリオール(POポリエーテルポリオール(ii))、
(iii)ポリエーテルポリオール中の全てのEO及びPOの総重量に基づいて、10~30重量%のエチレンオキシド(EO)でエンドキャップされたプロピレンオキシド(PO)ポリエーテルポリオール(EOエンドキャップPOポリエーテルポリオール(iii))、
(iv)ポリオールキャリア(PIPAポリオール)中のポリウレタン、及び/又はポリウレタン-尿素粒子の、ポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオール分散体。例えば、PIPAポリオールは、キャリアポリオール中のポリウレタン、及び/又はポリウレタン-尿素粒子の分散体であり得、キャリアポリオールは、200~12000g/mol(例えば、400~6000g/mol)の平均分子量、及び1分子当たり平均少なくとも2つのヒドロキシル基を有する。
【0024】
ポリオール成分は、例えば、混合フィードポリエーテルポリオール(i)と、(PO)ポリエーテルポリオール(ii)との混合物、混合フィードポリエーテルポリオール(i)と、EOエンドキャップPOポリエーテルポリオール(iii)との混合物、又はPOポリエーテルポリオール(ii)と、EOエンドキャップPOポリエーテルポリオール(iii)の混合物などの、2つ以上のポリオールの混合物を含み得る。任意選択的に、PIPAポリオール。例えば、(a)1つ以上のポリエーテルポリオールは、縮合形態で、(v)(iv)PIPAポリオールとポリエーテルポリオール(i)、(ii)、又は(iii)のいずれか1つ以上との混合物を含み、この混合物は、縮合形態で、10~99重量%(例えば、20重量%以上)の(iv)PIPAポリオールを含む。ポリオール成分は、PIPAポリオール、又は(iv)PIPAポリオールとポリエーテルポリオールとの混合物を含み得、この混合物は、ASTM D4274に従って決定される、25~100(例えば、28~75)の平均ヒドロキシル価を有する。
【0025】
フォーム形成組成物に好適な(a)(iv)(PIPA)ポリオールは、ポリエーテルポリオールキャリア中に分散された、ポリカルバメート粒子の分散体を含み得る。好適なPIPAポリオールは、Cooksonらの米国特許出願公開第2014/0051778A1号明細書に開示されているように、過剰の(d1)ポリエーテルポリオールと、(d2)相溶性シードポリオールと、及び(D3)共反応物ポリオールとの、(d4)ジイソシアネートなどの1つ以上のポリイソシアネートの存在下で、公知の重合によって作製され得る。PIPAポリオール分散体は、PIPAポリオールを剪断力下で導入して反応混合物を形成すること、及び均一な分散体の発熱が停止するまで、それを反応させることによって、作成され得る。したがって、(a)(v)PIPAポリオールは、過剰の(d1)ポリエーテルポリオールキャリア(例えば、200~6000g/molの分子量MW、及び2又は3の平均ヒドロキシル官能価を有する、1つ以上のプロポキシル化、又はオキシエチレンエンドキャップポリエーテルポリオール)と、(d2)相溶性シードポリオールと、及び(d3)1つ以上の共反応物ポリオール(例えば、トリエタノールアミン(TEOA)、又はジエタノールアミン(DEOA))との、(d4)1つ以上のポリイソシアネート(例えば、芳香族ポリイソシアネート)の存在下での、反応混合物の生成物であり得る。
【0026】
(a)(iv)PIPAポリオール中のキャリア(d1)として好適なポリエーテルポリオールとしては、2~8個のヒドロキシル基、及び最大6000g/molのMWを有する、当技術分野で公知の任意の公知の、ポリエーテルポリオールであり得る。例えば、平均2~8個のヒドロキシル基を有する低級脂肪族多価アルコールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びブチレンオキシドなどの、炭素数2~4のオキシアルキレン化合物の少なくとも1つを、付加重合することによって得られる、ポリエーテルポリオールが挙げられる。好適な(d1)ポリエーテルポリオールの例としては、例えば、オキシエチレンエンドキャップポリオールが挙げられ得、アルキレンオキシドフィード中に10~19重量%のエチレンオキシドを有し、45~80mg KOH/gのヒドロキシル価を有する、グリセロール開始エチレンオキシドエンドキャップポリ(プロピレンオキシド)コポリマートリオールが挙げられ得る。
【0027】
PIPAポリオール中の全(d1)ポリエーテルポリオールの好適な量は、PIPAポリオール(分散体)を作製するために使用される反応物の総重量に基づいて、60~99重量%(例えば、75~88.5重量%)の範囲であり得、全総重量%は、合計で100%となる。PIPAポリオール中のポリエーテルポリオールの大部分は、分散体中で、キャリア相として作用し得る。
【0028】
(a)(iv)PIPAポリオールの作製における使用に好適な(d2)相溶性シードポリオールは、少なくとも1つの(d4)芳香族イソシアネートを、過剰のポリオール、例えば、ポリエーテルポリオールの存在下で、(i)アルキレンオキシドの総重量に基づいて1~30重量%のエチレンオキシドを含有する、プロピレンオキシドポリオール、又はオキシエチレンエンドキャッププロピレンオキシドポリオール、又はアルキレンオキシドのトリオール開始ポリオールのいずれかと、(ii)窒素、又はリン原子、及び最大400(例えば、最大300)の分子量(MW)を有する、1つ以上の共反応物ポリオールとの、ポリオール混合物中で反応させることによって形成される、PIPAシードであり得、ポリオール混合物は、少なくとも70重量%の(i)プロピレンオキシドポリオール、エトキシル化若しくはオキシエチレンエンドキャッププロピレンオキシドポリオール、又はアルキレンオキシドのトリオール開始ポリオールを含む。高弾性フォームを作製するのに有用なシードを提供するために、ポリオール混合物は、ポリオール混合物中に、第一級ヒドロキシル基として、少なくとも45重量%(例えば、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%など)のヒドロキシル基を有する、ポリオールを含み得る。従来の弾性フォームを作製するのに有用なシードを提供するために、ポリオール混合物は、ポリオール混合物中に、第二級ヒドロキシル基として、少なくとも70重量%(例えば、少なくとも85重量%)のヒドロキシル基を有する、ポリオールを含み得る。イソシアネート指数は、シードポリオール中に存在する、PIPA形成共反応物を維持するために、100未満に維持され得る。(d2)シードポリオールを形成するために使用される反応中の、少なくとも1つのポリイソシアネートは、50~100未満のイソシアネート指数を有する、組成物を提供するために使用され得る。
【0029】
(d2)1つ以上の相溶性シードの好適な量は、PIPAポリオールを作製するために使用される反応物の総重量に基づいて、5重量%未満(例えば、2~4重量%)の範囲であり得、PIPAポリオールを作製するための反応物の全総重量%は、合計で100%となる。
【0030】
PIPAポリオールの場合、(d3)1つ以上の共反応物ポリオールは、トリエタノールアミン(TEOA)、又はジエタノールアミン(DEOA)などの、400以下の式量を有する、ジオール、又はトリオール、又はオリゴエーテルジオールであり得る。好適な共反応性ポリオール(d3)としては、62~400の分子量を有する二価アルコールなどの、ジオールが挙げられ得る。例としては、アルカンポリオール、例えば、グリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレンジオール、エーテル基を含有する低分子量アルコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、又はブチレングリコール、高官能性アルコール、例えば、ポリグリセロール、及びアルカノールアミン、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2-(2-アミノエトキシエタノール)、ジイソプロパノールアミン、TEOA、DEOA、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0031】
(d3)1つ以上の共反応性ポリオールの好適な量は、(a)(iv)PIPAポリオールを作製するために使用される反応物の総重量に基づいて、0.2~6重量%(例えば、0.5~5重量%)の範囲であり得、PIPAポリオールを作製するために使用される全総重量%は、合計で100%となる。
【0032】
フォーム形成組成物について、(a)(iv)PIPAポリオールは、PIPAポリオールの総重量に基づいて、1~40重量%、又は11.5~25重量%、又は5~15重量%の、固体粒子含量を有し得る。粒子は、ポリオールキャリア中の分散体として均一に分布し得、レーザー光散乱によって決定される、分散体中の粒子の90体積%の粒径(PSD)が、0.1~10.0μm(例えば、0.2~5.0μm、0.2~2.5μm)の最大PSDを有し得る。
【0033】
各PIPAポリオール中のポリオールキャリアは、それが使用されるフォーム用途に依存し得る。低分子量ポリオール(ii)は、従来のフォーム、及び粘弾性フォームを作製する際に使用するのに好適な、PIPAポリオール中のキャリアとして使用を見出し得る。
【0034】
フォーム形成組成物のポリオール成分は、更に、追加のポリオール、例えば、スラブストックフォームについては、5000のMW、74重量%のEO含量、及び33のOHnを有する、グリセロール開始エチレンオキシド、及びプロピレンオキシド混合フィードポリオールを含み得る。使用される場合、(g)1つ以上のセルオープナーの好適な量は、ポリオール成分の総重量に基づいて、0.05~1重量%(例えば、0.1~0.6重量%)の範囲であり得、全ての総重量%は、合計100になる。
【0035】
フォーム形成組成物のポリオール成分は、更に、(h)1つ以上のジオール伸長剤を含み得る。ジオール伸長剤としては、任意のジオール、例えば、エチレングリコール、又はブタンジオールが挙げられ得る。このような(h)ジオール伸長剤は、ポリオール成分の粘度を低下させ、更に、ジオール伸長剤から作成されるポリウレタン反応生成物の分子量を最終的に増加させる反応物として、フォーム形成組成物中に含まれ得る。(h)1つ以上のジオール伸長剤の好適な量は、使用される場合、ポリオール成分の総重量に基づいて、1~8重量%(例えば、1.5~6重量%)の範囲であり得、全ての総重量%は、合計で100%となる。
【0036】
フォーム形成組成物のポリオール成分は、それから作成される軟質ポリウレタンフォームの機械的特性、又は別の材料若しくは基材との適合性を改善するのに望ましい場合があり得るので、(j)1つ以上のポリエステルポリオールを更に含み得る。
【0037】
フォーム形成組成物のポリオール成分は、更に、(l)1つ以上の架橋剤を含み得る。架橋剤は、任意のトリオール、又は3より高いヒドロキシル官能価を有する他の低MW分子、例えば、グリセリン、又はグリセリンをPOでアルコキシル化して約620のヒドロキシル価にすることによって得られるグリセリン誘導体を含み得る。このような(l)架橋剤は、ポリオール成分の粘度を低下させ、更に、架橋剤から作製されるポリウレタン反応生成物の分子量を最終的に増加させる反応物として、フォーム形成組成物中に含まれ得る。(l)1つ以上の架橋剤の好適な量は、使用される場合、ポリオール成分の総重量に基づいて、1~8重量%(例えば、1.5~6重量%)の範囲であり得、全ての総重量%は、合計で100%となる。
【0038】
イソシアネート成分フォーム形成組成物は、1つ以上のイソシアネート、例えば、芳香族イソシアネートを含む。フォーム形成組成物に使用するのに好適なイソシアネートは、当該技術分野において既知のものであり得、例えば、芳香族ポリイソシアネート、プレポリマー、又はこれらの2つ以上の混合物を含み得る。有用なイソシアネートの例としては、メチレンジフェニル系イソシアネート(例えば、MDI、及びMDIを使用して作製されたイソシアネート末端プレポリマー)、及びトルエン系イソシアネート(例えば、TDI、及びTDIを使用して作製されたイソシアネート末端プレポリマー)が挙げられる。
【0039】
フォーム形成組成物、及びその作製方法において、イソシアネート成分の好適な量は、50~150(例えば、55~125など)のイソシアネート指数を有する、フォーム形成組成物を提供するのに、必要な量の範囲であり得る。
【0040】
フォーム形成組成物は、(i)バルクフレームCrib 5英国規格BS 5852:2006(Crib 5)試験における合格評価、又は(ii)UNI 9175燃焼性試験に従ったクラス1 IM評価の、少なくとも一方、又は両方を示す、軟質ポリウレタンフォームを提供する。(b)添加剤の組み合わせは、ハロゲン含有難燃剤を含まず、メラミンを含まない。
【0041】
更に、フォーム形成組成物のポリオール成分は、(c)水、若しくは少なくとも1つの発泡剤、又はその両方を含み得る。水、及び発泡剤は、一般に、ポリイソシアネート成分とは別の、ポリオール成分と組み合わされる。例示的な発泡剤としては、水、及びギ酸などの化学発泡剤、並びに塩化メチレン、二酸化炭素、炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、メチラール、及びギ酸メチルなどの物理発泡剤が挙げられる。例えば、水は、ポリオール成分の総重量に基づいて、1.0~7.0重量%(例えば、2.5~5.0重量%)の量で使用され得る。
【0042】
軟質ポリウレタンフォーム形成、若しくはポリウレタン形成、又はその両方をより良好に駆動するために、フォーム形成組成物のイソシアネート反応性成分は、更に、(e)例えば、発泡触媒、ゲル化触媒、例えば、金属触媒、及び/又は反応性触媒、例えば、アミン触媒、又は第三級アミンなどの、1つ以上の触媒を含み得る。触媒は、二価金属塩触媒、例えば、亜鉛塩若しくは亜鉛脂肪酸触媒、スズ塩若しくはビスマス塩、及び/又は第三級アミン、例えば、トリエチレンジアミン、若しくはビス-ジメチルアミノエチルエーテルであり得る。(e)1つ以上の触媒の好適な総量は、イソシアネート反応性成分の総重量に基づいて、0.01重量%~5重量%(例えば、0.5~1.0重量%、0.01~0.2重量%等)の範囲であり得る。
【0043】
イソシアネート反応性成分は、例えば、シリコーン界面活性剤などの、発泡プロセス中に形成される気泡の安定化を助ける、少なくとも1つのフォーム安定剤、タルクなどの充填剤、顔料;着色剤;繊維又はマイクロファイバーなどの強化剤、殺生物剤、防腐剤、抗酸化剤、及び/又は自己触媒ポリオールなどの、当該技術分野において既知の他の添加剤を含み得る。
【0044】
改善された難燃性能を有する、軟質ポリウレタンフォームを作製する方法は、フォーム形成組成物を使用してフォームを形成する、任意の方法を含み得る。方法は、例えば、ポリエーテルポリオールの1つ以上又は混合物と、ポリリン酸アンモニウム難燃剤、及び炭酸カルシウムの添加剤の組み合わせとを含む、イソシアネート反応性成分を形成することと、ポリオール成分を、イソシアネート成分と組み合わせることとを含み得る。組み合わせることは、更に、イソシアネート反応性成分を、イソシアネート成分と組み合わせて、反応性混合物を形成することを含み得る。次いで、反応性混合物を、開放型、又は密閉型などの型に注入し得る。密閉成形、又は加圧成形を使用する成形は、高弾性フォームの形成を容易にし、及び/又はフリーライズであり得る。代替方法は、イソシアネート、ポリオール、触媒、及び添加剤などの、様々な成分の反応を含み得、これらは、従来のフレックスフォーム上での製造に典型的に使用される、連続スラブストックフォーム製造プロセスに従って、処理される。
【0045】
軟質ポリウレタンフォームは、寝具及び家具、又は枕、マットレス、並びに椅子及びソファ用のクッションなどのパッド、並びに欧州スタイルのマットレスにおけるマットレストッパーなどのそれらの層において、用途を見出し得る
【実施例】
【0046】
以下の実施例は、例示的な実施形態を示す。特に指定のない限り、全ての温度は、周囲温度(21~24℃)であり、全ての圧力は、1気圧であり、相対湿度(RH)は35%である。本発明の広い範囲を示している数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体的な実施例で示している数値は、できる限り正確に報告されている。いかなる数値も、それぞれの試験測定値に見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0047】
以下の実施例で使用され、他に定義されていない材料を、下の表1に記載する。実施例で使用される略語には、以下のものが含まれる:APP:ポリリン酸アンモニウム;CC:炭酸カルシウム;CLD:圧縮荷重歪み;DEOA:ジエタノールアミン;EO:エチレンオキシド;FR:難燃性添加剤;HR:高弾性;OHn:ヒドロキシル価;PIPA:ポリイソシアネート重付加;PO:プロピレンオキシド;SO:スタナスオクトエート。
【0048】
【0049】
上記表1において、イソシアネート1は、イソシアネート成分とポリオール成分との反応によって形成された、プレポリマーである。イソシアネート成分を、反応器に添加し、窒素雰囲気下で、撹拌しながら、反応温度(約70℃)にした。ポリオール成分(ポリオールG及びポリオールH)は、プレ混合され、次いで、イソシアネート基とヒドロキシル基との反応によって生成する発熱の除去を可能にする程、十分に低い速度で、徐々に反応器に添加した。ポリオール成分の添加が完了した後、プレポリマーを、ASTM D5155に記載の方法に従って、NCO含量をモニタリングする一方、約70℃で撹拌しながら、それを維持することによって消費させた。プレポリマー形成は、NCO含量が、プレポリマーの全量に基づいて、30重量%の目標NCO値に達した時に、完了したと見なされた。
【0050】
従来の弾性オープンボックスフォーム形成:以下の表5、及び6に示されるフォームを形成するために、スラブストック軟質フォーム製造方法を模倣する、簡略化された方法で、実験室規模のオープン段ボール箱内で、手動混合、及び流延することによって、フリーライズフォームを形成した。フォーム形成プロセスの全ての段階は、ドラフトチャンバ中、又はフード下で実施された。配合物中で使用される全ての化学物質は、使用前に、室温で平衡化させた。上部が開いた27リットルの段ボール箱(30×30×30cm)を使用して、フォームを作製した。ポリオール成分の形成では、ポリオールを、2.2リットルのプラスチックバケツに正確に秤量し、界面活性剤、水を、ポリオールに添加した。次いで、塊にならないように手で混合する一方、全ての固体材料を、ポリオールにゆっくりと添加した。2つ以上の固体添加剤が存在する場合には、これらをポリオール成分に導入する前に混合した。次いで、アミン触媒を、ポリオール成分に導入した。使用する場合、ゲル化触媒スタナスオクトエート(SO)を、湿らせ、風袋を量ったシリンジ中に秤量し、横に置いた。必要量のポリイソシアネートを、別個のプラスチック容器に秤量し、これをイソシアネートですすいだ後、風袋を測定し、ポリイソシアネートをオープンボックスに分配した後にプラスチック容器を秤量して、分配後に容器に残っているポリイソシアネートを補償した。
【0051】
ポリオール成分、次いで、2成分組成物を形成するための手動混合では、ミキサー速度を、2000rpmに設定し、以下の混合手順を使用した:
(i)ストップウォッチ、及びライズプロファイリング(フォーム高さ測定)ソフトウェアを開始する、
(ii)5秒で、ポリオール成分を、水、及び界面活性剤と混合し始め、固体添加剤、次いで、アミン触媒を添加する、
(iv)30秒で、ゲル化触媒(SO)を、ポリオール成分に添加する、
(v)40秒で、イソシアネートを、添加する(これを、t0、又は反応開始時間とする)、かつ
(vi)50秒で、ミキサーを停止し、混合物を箱に注ぐ。
【0052】
フルライズ、及びブローオフ時間を、記録した。5分後、フォームが完全に形成されたら、フォームを、140℃に設定したオーブンに移し、5分間、更に硬化させた。フォームを、ボックスから取り出し、周囲温度で、ドラフト内に一晩放置して、反応を完了させた。得られたフォームを、内部気泡を開放するために、機械的ローラークラッシャーを使用して粉砕した。従来の弾性フォームの全ての物理的特性を、以下の表2に示すように試験した。
【0053】
高弾性成形フォームの形成:以下の表3、4A、及び4Bに示されるフォームを、14mmのピストン径を有するFPL混合ヘッドを備えた、Cannon A 40高圧成形機(Cannon USA,Cranberry Township,PA)を使用して作製し、示された設定に予め設定した。型を、水再循環によって加熱し、水を含まない離型剤で処理した。2成分フォーム形成混合物を、型に注入し、次いで、型を閉じ、その間、混合物を型内で反応させた。次いで、得られたフォームを、以下に示す時間後に離型した。離型後、機械的ローラーを使用して、フォームを破砕して、内部気泡を開放した。成形機、及びプロセス設定は以下の通りであった:
型サイズタイプ/サイズ15.1リットルの型では、45cm×45cm×7.5cmのキャビティ、10.1リットルの型では、45cm×30cm×7.5cm。
ポリオール温度25~28℃。
イソシアネート温度25~28℃。
フォーム形成混合物出力300g/s。
ポリオール圧力157.9atm(160bar)。
イソシアネート圧力157.9atm(160bar)。
型表面温度48℃。
離型時間5分。
成形品粉砕、はい。
離型剤C11-C12イソアルカン、<2%芳香族(ACMOS 37-4463、又はACMOS 37-4477剤、Acmos Chemie KG,Bremen,DE)。
【0054】
試験方法:以下の実施例において、以下の試験方法を使用した。全てのデータにおける標準偏差は、許容可能な限界内であった。
【0055】
UNI 9175-クラス1 IM:小火炎試験。
【0056】
BS 5852 Source 5(Crib 5):Crib 5試験では、白色の布地を、カバーに適用した。特に明記しない限り、各結果は、2回の試験の平均である。自己消火が10分以内に起こり、フォーム重量損失が試験中に<60gのままである場合、結果は、全体として「合格」である。Crib 5試験が>60gの重量損失をもたらすか、又は自己消火試験に不合格である場合、全体の結果は、不合格として報告される。
【0057】
【0058】
以下の表3、4A、4B、5、及び6の全てに示されるフォームでは、イソシアネート(複数可)を除く全ての材料は、ポリオール成分の一部を構成した。
【0059】
【表3】
*-比較例を示す。1:該当なし、2.Pbw=重量部、
【0060】
表3では、全てのフォームを、45cm×45cm×7.5cm(15.1リットル)、及び45cm×30cm×7.5cm(10.1リットル)のサイズを有する型内で作製して、各々の列挙された試験において特定されるような、フォーム試料を作製した。上記の表3に示されるように、APP、又はCCのいずれかを含有する、比較例1、及び2(CE-1、及びCE-2)の高弾性(HR)フォームにおいて、両方のフォームが、クラス1 IM試験に不合格である。イソシアネート反応性成分(例えば、イソシアネート成分のみを除く、ポリオール、水、APP、CC、及び他の添加剤の組み合わせを含むもの)中に、10重量%の固形分で、APP、及びCC(固形分)の1:1(w/w)添加剤組み合わせを含有する、CE-3フォームも、クラス1 IM燃焼性試験に不合格である。一方、イソシアネート反応性成分中に、10重量%の固形分で、APP、及びCC(固形分)の4:1(w/w)添加剤組み合わせブレンドを含有する、本発明の実施例1のフォームは、クラス1 IM燃焼性試験に合格する。
【0061】
【表4】
*-比較例を示す。1.ポリオールF中のPIPA粒子2.配合量は、ポリオール成分100重量部当たりで表される。3.該当せず。
【0062】
【0063】
表4A、及び4Bに記載されるフォームを、45cm×45cm×7.5cm(15.1リットル)、及び45cm×30cm×7.5cm(10.1リットル)のサイズを有する、型内で作製した。上記の表4A、及び4Bに示すように、比較例CE-1Aは、イソシアネート反応性成分中に、21重量%の固形分で、メラミンを含む。CE-1Aは、燃焼性能の比較基準となる。イソシアネート反応性成分中に、21重量%の固形分で、4のAPP/CC重量比を有する、本発明の実施例1Aのフォームは、Crib 5試験に合格した。一方、イソシアネート反応性成分中に、21重量%の固形分で、APP、又はCCのいずれかを各々充填した、比較例CE-2A、及びCE-3Aの両方のフォームは、Crib 5試験に不合格であった。更に、イソシアネート反応性成分中に、各々、25重量%、及び28重量%の量の、固形分含量の添加剤組み合わせを有する、本発明の実施例2A、及び3Aのフォームは、Crib 5試験に合格した。フォーム重量損失が、本発明の実施例1Aについての29.7重量%から、本発明の実施例2Aについての20重量%になるにつれて、同一の本発明の添加剤の組み合わせのより高い充填量は、更に、耐火性を改善する。なお更に、イソシアネート反応性成分中に、21重量%の固形分で、4のAPP/CC重量比を有し、更に、PIPAポリオールを含む、本発明の実施例4A、及び5Aのフォームは、Crib 5試験に合格した。加えて、本発明の実施例3Aのフォームは、改善された圧縮永久歪みを有し、高性能フォーム材料が、添加剤成分のより高い充填量を有し得ることを証明している。
【0064】
以下の表5で作成されたフォームは、フリーライズオープントップ30cm×30cmボックスで作成された。以下の表5に示すように、比較例CE-1Bのフォームは、最新技術を表す、メラミンが充填された、オープンボックスフォームを含む。CC、又はAPPのいずれかが充填されたフォームを含む、比較例CE-2B、及びCE-3Bのフォームは、各々、クラス1 IM燃焼性試験に不合格である。
【0065】
比較例CE-2B、及びCE-3Bとは対照的に、比較例CE-1Bのフォームと同一の全添加剤組み合わせ含量(イソシアネート反応性成分の固形分19重量%)を有する、本発明の実施例1B、2B、3B、及び4Bのフォームは全て、1.5:1.86~2.57:4の範囲のAPP/CC重量比で、クラス1 IM評価で、UNI 9175試験に合格した。一方、各々、0.7、及び9のAPP/CCの重量比を含む、比較例CE-4B、及びCE-5Bのフォームは全て、クラス1 IM評価で、UNI 9175試験に合格しない。加えて、本発明の実施例1B、2B、3B、及び4Bのフォームは、それらが比較的より多くのAPPを含有する場合、90%で増加した圧縮永久歪みを示す。
【0066】
【表6】
*-比較例を示す。1.該当せず2.配合量は、ポリオール成分100重量部当たりで表される。
【0067】
【表7】
*-比較例を示す。1.2つ試験を行い、1つ合格した。2.不合格試験の結果3.PIPAポリオール(ポリオールE)から4.配合量は、ポリオール成分100重量部当たりで表される。
【0068】
上の表6のフォームは、上部が開放された30cm×30cmの箱の中で、自由膨張させた。表6中の、本発明の実施例1C、2C、3C、4C、5C、及び6Cの全ては、クラス1 IM評価で、UNI 9175燃焼性試験に合格する。全てのフォームは、ある重量比のAPP:4のCCを含んでいた。本発明の実施例1Cでは、フォームは、ポリオールA(全アルキレンオキシドに基づいて、100重量%のプロピレンオキシド単位)を含む。本発明の実施例2C、3C、4C及び5Cにおけるフォームは、ポリオールAに加えて、増加する量のPIPAポリオール(ポリオールE)を含有し、それによって、全ポリオールの30重量%以上の量、又はより好ましくは、全ポリオールの40重量%の量などの、PIPAポリオールが、フォームが、Crib 5試験/BS 5852 Source 5などのより厳しい燃焼性試験に合格することを、可能にすることを実証する。更に、本発明の実施例1C、2C、3C、4C及び5Cは、例示的な実施形態による、難燃性軟質ポリウレタンフォームが、ASTM-D3574-16(2016)に従って決定される、30~55%の弾性を有する、スラブストックフォーム、及び他の軟質フォームを含み得ることを実証する。したがって、実施形態の範囲は、高弾性フォームに限定されない。
【0069】
以下の表7を参照すると、実施例は、異なる炭酸塩の性質を有するフォームを記載する。本発明の実施例1D、2D、及び3Dは、アルカリ土類金属炭酸塩源として、カルシウム(CC)、マグネシウム(MgC)、又はバリウム炭酸塩(BaC)のいずれかを各々有する、フォーム配合物を記載する。これらのフォームは、Crib 5試験に合格する。しかしながら、比較例CE-1D、及びCE-2Dは、炭酸亜鉛(ZnC)、又は炭酸ナトリウム(NaC)のいずれかを有するフォームを記載しており、これらは、Crib 5試験に合格しない。
【0070】
【表8】
*ポリオールEから。
**メラミン、APP+炭酸塩(CC、MgC、BaC、ZnC、又はNaC)の混合物。
【0071】
表7を参照すると、アルカリ土類金属炭酸塩、特に炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、及び炭酸バリウムは、他の炭酸塩と比較して、APPと共に同様の性能を可能にする。
【国際調査報告】