(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-03
(54)【発明の名称】組織による内部イノベーションのためのブロックチェーンセキュリティを有するインセンティブ付きクラウド資金供給システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/38 20120101AFI20250626BHJP
G06Q 20/06 20120101ALI20250626BHJP
【FI】
G06Q20/38 300
G06Q20/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024575131
(86)(22)【出願日】2023-05-24
(85)【翻訳文提出日】2024-12-20
(86)【国際出願番号】 IB2023055351
(87)【国際公開番号】W WO2023248028
(87)【国際公開日】2023-12-28
(32)【優先日】2022-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524062087
【氏名又は名称】ソルベンタム インテレクチュアル プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】オードリー エー.シェーマン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル イー.スウェンソン
(72)【発明者】
【氏名】ショーン ジー.ブラウン
【テーマコード(参考)】
5L020
【Fターム(参考)】
5L020AA12
5L020AA71
(57)【要約】
イノベーションのためのクラウド資金供給は、プロジェクトアイデアの説明、要求された資金額、及び資金を調達するための時間枠を伴う提案を配布するステップを含む。プロジェクトの所有権は、エンティティに、又はエンティティ間で移転され、エンティティは、寄付者から寄付を受け取り、受け取られた寄付の各々について、寄付を対応する量の仮想コインに換算し、コインに対してブロックチェーン動作を実行し、寄付を資金に追加する。仮想コインは、それを一意に識別し追跡するためにブロックチェーン動作の対象となり、寄付者とエンティティとの間又はエンティティ間の取引における信頼を確立する。資金供給目標が時間枠内に完了した場合、エンティティはコインを不換通貨に換算し、金銭を要求者に放出する。プロジェクトの完了後、エンティティは、プロジェクトが成功したかどうかを判定し、成功したプロジェクトを商業化することができる。特定の成功したプロジェクトに対して、エンティティはまた、資金を寄付者に配布することもできる。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のエンティティが関与する、イノベーションのためのクラウド資金供給のコンピュータ実装方法であって、
コンピュータシステムを介して、プロジェクトの説明、要求された資金の額、及び前記資金を調達するための時間枠を伴う提案を配布するステップと、
前記プロジェクトの所有権をエンティティに又はエンティティ間で移転するステップと、
前記エンティティによって、前記コンピュータシステムを介して、寄付者から寄付を受け取るステップと、受け取られた前記寄付の各々について、
換算レートに従って前記寄付を、不換通貨額を表すデジタル通貨額であるコインの対応する額に換算するステップと、
前記コインに対してブロックチェーン動作を実行するステップと、
調整された寄付を前記資金に追加するステップと、
前記資金が、前記時間枠内で、かつ前記プロジェクトに利用可能な銀行資金額内で要求された資金の前記額を満たす場合、前記コンピュータシステムを介して、前記エンティティから要求者に、前記資金内のコインの前記額に対応する金銭の額を放出するステップと、
前記金銭が放出された後に前記プロジェクトが成功したか否かを判定するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記受け取るステップは、インセンティブ乗数によって前記寄付を選択的に調整するステップと、前記インセンティブ乗数に対してブロックチェーン動作を実行するステップとを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロジェクトが成功した場合、対応する前記インセンティブ乗数によって調整され、対応する前記換算レートによって前記コインから換算された前記資金を、前記エンティティによって前記寄付者に配布するステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記資金を前記配布するステップは、前記寄付を前記コインに換算するために使用されるのと同じ為替レートを使用して、コインから換算された前記資金を配布するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記調整するステップは、前記インセンティブ乗数として1より大きく2以下の値を前記寄付に乗算するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記換算するステップは、前記寄付者の国の通貨から前記要求者の国の通貨への前記換算レートとして、前記寄付の時の現在の為替レートを使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記寄付の各々を、要求された資金の前記額の特定のパーセンテージ以下に制限するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記換算するステップは、前記コインに対して単一のタイプの通貨を使用するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記移転するステップは、前記エンティティに、又はエンティティ間で前記プロジェクトにおける知的財産権を移転するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
銀行内の特定の額のコインを潜在的な寄付者のプールに利用可能にするステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
特定の額の前記コインを潜在的な寄付者のプールに送るステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記送るステップは、前記特定の額の前記コインを潜在的な寄付者の前記プールにライセンスするステップを更に含み、前記ライセンスは、前記コインの使用を前記エンティティ内のプロジェクトのクラウド資金供給に制限し、前記コインが前記クラウド資金供給に使用され得る時間制限を指定する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記送るステップは、前記特定の額のコインを配布するためのユーザインターフェースを電子的に表示するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記送るステップは、前記ユーザインターフェース内に、コインの額と、コインの前記額を消費する時間制限とを表示するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記配布するステップは、前記提案を識別するユーザインターフェースを電子的に表示するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記配布するステップは、前記ユーザインターフェース内に、前記提案のために受け取られた前記資金及び前記時間枠内の残り時間の指示を表示するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記受け取るステップは、前記寄付を受け取るためのユーザインターフェースを電子的に表示するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記受け取るステップは、前記ユーザインターフェース内に、前記寄付者のために残っているコインの額と、前記残っているコインを消費するために残っている時間とを表示するステップを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プロジェクトが成功した場合、前記エンティティによって、前記寄付者、又は前記寄付者のうちの選択された寄付者に、設定された額のコインを含むボーナスを配布するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記プロジェクトが成功した場合、前記寄付者から前記プロジェクトに関するフィードバックを受け取るステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載のステップにブロックチェーン動作を実行するステップを更に含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
クラウド資金供給は、大きな人数のグループから多くの少額の金銭を調達することによってプロジェクトに資金供給する方法である。一例は、Kickstarter,Inc.(米国ブルックリンのグリーンポイントに拠点を置く)による、Kickstarterのイノベーションのウェブサイトである。Kickstarterのサイトは、資金の一部をその手数料として保持するKickstarterを用いて、クラウド資金供給を介してクリエイティブなプロジェクトに資金供給するために使用され得る。プロジェクトの作成者は、その完全な所有権を保持する。支援者は、しばしば、彼らの友人のプロジェクトに資金供給するのを助けており、プロジェクトが進められる際にクリエイティブなプロセスを見ることができる。また、支援者は、本又はCDなどの完成した創作物のコピーを受け取ることができる。プロジェクト作成者がプロジェクトの所有権を保持するので、このタイプの資金供給は、プロジェクトが成功した場合に商業化するために企業がプロジェクトの所有権を保持したいプロジェクトやアイデアの企業資金供給にとって望ましくない場合がある。
【発明の概要】
【0002】
本発明によるイノベーションのためのクラウド資金供給のコンピュータ実装方法は、プロジェクトアイデアの説明、要求された資金額、及び資金を調達するための時間枠を伴う提案を配布するステップを含む。プロジェクトの所有権はエンティティに移転される。提案に応答して、エンティティは、寄付者から寄付を受け取り、受け取られた寄付の各々について、エンティティは、寄付をブロックチェーン動作の対象となる対応する量のコインに換算し、寄付を資金に追加する。エンティティは、資金供給目標が、時間枠内で、かつプロジェクトに利用可能な銀行資金額内で満たす場合、資金内のコインの額に対応する金銭の額を放出する。エンティティは、金銭が放出された後にプロジェクトが成功したかどうかを判定する。プロジェクトが成功した場合、エンティティは、コインから換算された資金又はボーナスを寄付者に任意選択で配布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
添付図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、説明と共に、本発明の利点及び原理を説明する。図中、
【
図1】インセンティブ付きクラウド資金供給のためのシステムの図である。
【
図2】クラウド資金供給の提案を受け取る方法のフロー図である。
【
図3A】インセンティブ付きクラウド資金供給のための方法のフロー図である。
【
図3B】インセンティブ付きクラウド資金供給のための方法のフロー図である。
【
図4】要求者が提案を提出するためのユーザインターフェースの図である。
【
図5】提案に寄付するためのユーザインターフェースの図である。
【
図6】潜在的な寄付者のプールにコインを配布するためのユーザインターフェースの図である。
【
図8】提案を提出し、そのステータスを監視するためのユーザインターフェースの図である。
【
図9】クラウド資金供給システムのためのブロックチェーン構造の図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明の実施形態は、クラウドソースアイデア生成電子ウェブサイトと、企業イノベーションのためのクラウドソース資金供給との組み合わせを含む。実際の資金供給は、個人からの寄付に基づく内部企業ソースに由来する。なぜなら、作成され、資金供給され、最終的に生成されるアイデア及びプロジェクトは、その群衆(crowd)を用いる会社の単独財産だからである。しかし、何に資金供給するかについての決定は、完全に、プロジェクト及びアイデアに自らの判断に応じて資金を投入する個人(内部群衆)に委ねられる。アイデアも同様にクラウドソースされる。この組み合わせは、例えば、アイデアの企業イノベーション及び商業化のための新しい方法を提供する。イノベーションのためのクラウド資金供給システムの例は、米国特許第10,896,391号及び第10,740,734号に開示されており、米国特許第10,896,391号及び第10,740,734号の両方を、完全に記載されているかのように、参照により本明細書に援用する。
【0005】
図1は、インセンティブ付きクラウド資金供給のためのシステムの図である。システムは、プロジェクトに寄付する際に使用するための寄付者コンピュータ10、20、及び22を含む。寄付者コンピュータ10は、プロセッサ12、情報又はコマンドを受け取るための入力デバイス14、情報を表示するための電子ディスプレイデバイス16、及び可聴情報などの他の形式で情報を出力するための出力デバイス18を含むことができる。寄付者コンピュータ20及び22は、寄付者コンピュータ10と同じ構成要素を含むことができ、又は同じように構成することができる。寄付者コンピュータは、インターネット又は企業イントラネットなどのネットワーク24に電子的に結合される。エンティティコンピュータシステム26も、ネットワーク24に電子的に結合されている。エンティティコンピュータシステム26は、大規模又は小規模な組織内で使用されるコンピュータアプリケーションを含むことができ、そのようなシステムは、電子メール(eメール)、会計システム、記録保持システム、電子データベース、及び内部ウェブサイトをホストするためのコンピュータを含むことができる。説明のために3つの寄付者コンピュータしか示されておらず、システムは、ネットワーク24を介してエンティティコンピュータシステム26に結合された、プロジェクトに資金供給するのに十分な大きな数の寄付者コンピュータを含むようにスケーリングすることができる。エンティティは、例えば、企業、パートナーシップ、又はイノベーションのためのアイデアの開発に関与する他の組織であり得る。エンティティは、直接的又は間接的にエンティティコンピュータシステム26を制御する。
【0006】
図2は、クラウド資金供給の提案を受け取る方法30のフロー図である。方法30は、ネットワーク24を介してエンティティコンピュータシステム26に結合された寄付者コンピュータ又は他のコンピュータのうちの1つなどのコンピュータによって実行するためのソフトウェアで実装することができる。方法30において、要求者は資金の提案を電子的に提出する(ステップ32)。要求者は、例えば、エンティティの従業員又はコンサルタントなどの人物であり得る。要求者はまた、例えば、エンティティの従業員のチームのような、人のグループであってもよい。
【0007】
図4は、要求者が提案を提出するためのユーザインターフェース90の図である。ユーザインターフェース90は、要求者が情報を提出するためにコンピュータの電子ディスプレイデバイス上に表示することができる。ユーザインターフェース90は、要求者を識別するためのセクション92、提案又はアイデアを説明するためのセクション94、要求された資金額を識別するためのセクション96、及び要求された資金を生成するための時間枠を示すためのセクション98を含む。ユーザインターフェース90内の提案は、テキスト、写真、ビデオ、又は他のマルチメディアコンテンツで記述することができる。ユーザインターフェース90はまた、銀行ゲージ95、資金ゲージ97、及び時間ゲージ99を含み、以下のもの、すなわち、銀行に残っていてゲージ95においてこの提案に利用可能なコインの額、ゲージ97において現在取得又は収集された資金、及びゲージ99において資金供給目標に到達するために残っている時間、を視覚的に表示することができる。ゲージ95、97、及び99は、ユーザインターフェース90内のアイコンを用いて実装することができる。例えば、銀行ゲージ95は、銀行からのコインがこの提案に資金供給するために使用されるにつれて長さが減少するバーを含むことができ、資金ゲージ97は、資金が収集されるにつれて長さが増加するバーを含むことができ、時間ゲージ99は、残り時間の量を示すカウントダウンを行うクロックを含むことができる。ゲージ95、97、及び99は、要求者及び潜在的な寄付者の両方が、提案のためのクラウド資金供給のステータスを見る方法を提供することができる。
【0008】
図8は、提案を提出し、そのステータスを監視するための別の様式化されたユーザインターフェース130の図である。ユーザインターフェース130は、要求者がプロジェクトの提案を提出し、提案に関するステータス情報を監視するために、コンピュータの電子ディスプレイデバイス上に表示することができる。ユーザインターフェース130は、例えば、エンティティ内の様々なグループのためのカスタマイズ可能なテンプレートとして実装することができる。
【0009】
ユーザインターフェース130は、この要求者がいくつの提案を提出したかを示すセクション132を含む。例えば、セクション132に表示される異なるタイプのアイコンは、この要求者がいくつの提案を提出したかを示すことができ、別の例として、
図8に示される電球アイコンは、この提案がこの要求者によって提出された最初のアイデアであることを示すことができる。異なるタイプのアイコンを表示する代わりに、電球アイコンは、任意選択で、この要求者がいくつの提案を提出したかの指示を提供するために異なる色で示されるか、又は提出された提案の数を示すためにアイコンとともに表示された数字を含むことができる。セクション132、又はユーザインターフェース130の他の部分はまた、要求者に関する他の情報を示すために、電球アイコンに加えて、又はその代わりにアイコンを含むこともできる。例えば、特定のタイプのバッジアイコンを表示し、要求者が寄付した提案の数、要求者が寄付した提案のうちのいくつが成功したとみなされたか、又は要求者の提案のうちのいくつが成功したとみなされたかを示すために使用することができる。例えば、表示されたゴールドサークルのバッジアイコンは、この要求者が少なくとも3つの提案に寄付してプロジェクトの成功をもたらしたことを示すことができ、表示されたシルバーサークルのバッジアイコンは、この要求者が少なくとも1つの提案に寄付してプロジェクトの成功をもたらしたことを示すことができる。別の例として、表示されたゴールドスターのバッジアイコンは、この要求者が少なくとも3つの提案を提出してプロジェクトの成功をもたらしたことを示すことができ、表示されたシルバースターのバッジアイコンは、この要求者が少なくとも1つの提案を提出してプロジェクトの成功をもたらしたことを示すことができる。したがって、これらのバッジアイコンを表示することは、例えば、この特定の提案に寄付するかどうか、及び寄付する場合、どのくらい寄付するかを判定する際に、寄付者に有用な情報を提供することができる。用語「バッジ」は、対応するアイコンによって伝えられる情報のタイプを識別するためのラベルとしてのみ使用される。セクション134は、要求者に関する情報、例えば要求者の写真及び要求者の名前、エンティティ内の割り当てられた部門、並びに地理的位置を表示することができる。
【0010】
資金ゲージ97に対応するセクション136は、提案に対して取得された現在の資金供給及び要求された資金の総額の指示を表示することができる。この例では、セクション136は、資金が取得されるにつれて長さが増加するバーを表示し、バーの全長は、要求された資金額を示す。現在取得されている資金の額及び要求された額も、バーに隣接してテキストで表示することができる。時間ゲージ99に対応するセクション138は、この提案の資金を調達するために残っている時間、この例では残っている日数の指示を表示することができる。セクション140は、提案のステータスの指示を表示することができ、この例では、提案であるステータスは、資金を取得するプロセス中であり、まだ承認されていない。セクション140は、提案に関する他のステータスの指示、例えば、提案が承認又は完了したことを表示するように更新することができる。セクション142は、要求者によって提出されたプロジェクトの提案又はアイデアを記述することができ、セクション142内の提案は、テキスト、写真、ビデオ、又は他のマルチメディアコンテンツで記述することができる。セクション142は、任意選択で、提案についての追加情報へのリンク(電子ネットワークアドレス)を含むことができる。
【0011】
セクション144は、提案に寄付する際に使用するために要求者が利用可能なコインの額の指示を表示することができる。例えば、セクション144内の各影付きアイコンは、提案に寄付するために要求者が利用可能なコインの特定の額に対応することができる。例えば、各影付きアイコンは100枚のコインを表すことができ、セクション144内の各アイコンによって表される値も表示することができる。セクション144内のアイコンは、例示目的のために影付き円及び影なし円として示されており、これらのアイコンは、以下で説明するように、
図6及び
図7に示すように様式化することができる。銀行ゲージ95に対応するセクション146は、銀行で利用可能な資金の総額の指示を表示することができる。この例では、セクション146は、銀行からの資金がこの提案に寄付するために使用されるにつれて、長さが減少するバーと、明るさが減少する一連のバーとを表示する。
【0012】
したがって、ユーザインターフェース130は、プロジェクトに対して要求された資金額を取得するために残っている時間の量を視覚的に示す時間ゲージをセクション138に表示し、プロジェクトに対して現在取得されている資金額を視覚的に示す資金ゲージをセクション136に表示し、プロジェクトへの寄付を行うために銀行資金を使用するのに適格な寄付者によってプロジェクトに利用可能な資金額を視覚的に示す銀行ゲージをセクション146に表示することができる。ユーザインターフェース130はまた、プロジェクトに対して寄付が受け取られると、時間ゲージによって示される残りの時間の量の間の資金ゲージ及び銀行ゲージの変化を表示することができ、資金ゲージ及び銀行ゲージの表示された変化は、受け取られた寄付に対応する。時間ゲージ、資金ゲージ、及び銀行ゲージはまた、それぞれ、残り時間、現在取得されている資金、及び銀行に残っている資金のステータスを更に視覚的に示すために、様々な色で実装することができる。セクション142で識別された提案への寄付者は、場合によっては、ユーザインターフェース130にアクセスして、提案のステータスを監視し、提案のゲージを見ることができる。
【0013】
エンティティは、
図2の方法30において、エンティティコンピュータシステム26を介して提案を記録する(ステップ34)。エンティティはまた、クラウド資金供給の提案を承認するか否かを判定する。提案を承認するかどうかは、例えば、提案を承認又は拒否する投票権を有するメンバを有する委員会によって判定することができる。提案が拒否された場合、エンティティは、エンティティコンピュータシステム26からネットワーク24を介して要求者に電子メールなどで拒否メッセージを送信することができる(ステップ36)。例えば、アイデア自体が承認されたとしても、提案のための全ての構文又は情報が完全でない場合、提案は拒否され得る。提案を承認するか拒否するかを判定するための提案のレビューは、アイデアを限定するためではなく、提案が完全であるかどうかを判定するために行われるが、いくつかの実施形態では、レビューは、提案された実際のアイデアを承認又は拒否するために行われ得る。提案が承認された場合、エンティティは、潜在的な寄付者に提案をブロードキャストする(ステップ38)。提案は、プロジェクトの適格な寄付者に電子メールとしてブロードキャストすることができ、又は提案は、エンティティの内部ウェブサイトに投稿することができ、電子メール又はテキストメッセージなどのメッセージを適格な寄付者に送信して、彼らに提案を通知することができる。
【0014】
図3A及び
図3Bは、インセンティブ付きクラウド資金供給のための方法40のフロー図である。方法40は、寄付者コンピュータ10、20、及び22、並びにエンティティコンピュータシステム26による実行のためにソフトウェアで実装することができる。方法40において、寄付42、44、及び46によって表される潜在的な寄付者41のプールは、提案を閲覧し、それに資金供給するために寄付を行うことができる。説明のために3つの寄付のみが示されている。資金供給は、広範囲の数の寄付者からもたらされ得る。寄付者は、例えば、エンティティの従業員又はコンサルタントなどの人物であり得る。寄付者はまた、例えば、エンティティの従業員のチームのような、人のグループであってもよい。
【0015】
図5は、提案に寄付するためのユーザインターフェース100の図である。ユーザインターフェース100は、寄付者が寄付を行うためにコンピュータの電子ディスプレイデバイス上に表示することができる。ユーザインターフェース100は、寄付者を識別するためのセクション102と、寄付者が寄付している提案を識別するためのセクション104と、この提案に寄付された額を示すためのセクション106とを含む。寄付された額は、例えば、寄付者に請求され得るか、又は給与控除として査定され得る。寄付者が資金供給のためにコインを提供している場合、寄付者のコイン口座から寄付額を差し引くことができる。ユーザインターフェース100はまた、寄付者のコイン残量の指示を表示するためのセクション107と、寄付者がコインを提案に対して消費するための残り時間の指示を表示するためのセクション109とを含むことができる。セクション107に表される仮想コインはまた、この提案に資金供給するために利用可能であり、資金供給するためにこの寄付者に利用可能である銀行からのコインを含むことができる。
【0016】
寄付者の寄付42、44、及び46の各々は、対応するインセンティブ乗数に選択的に従うことができる(それぞれステップ48、50、及び52)。インセンティブは、寄付者が拠点としている国、寄付者が割り当てられているグループ若しくは部門、寄付者が寄付した成功したプロジェクトの数、又は特定の個人若しくはグループによる参加を促進するための他の基準などの特定の基準に基づいて潜在的なリターンを増加させることができる乗数によって部分的に提供される。一例として、インセンティブ乗数は、プロジェクトが成功した場合、対応する寄付者がそれぞれ元の寄付の1.5倍又は2倍を受け取るように、1.5又は2.0とすることができる。企業又はエンティティ資金を使用して1つの大きな内部付与を行う代わりに、企業資金は、インセンティブ乗数に基づいて潜在的なリターンを提供することによって参加を促進するために使用することができる。提案がブロードキャストされるとき、エンティティは、任意選択で、プロジェクトに対するインセンティブ乗数の識別を含むことができる。例えば、エンティティが、欧州に拠点を置くエンティティの従業員による参加を促進したい場合、エンティティは、欧州に拠点を置く任意の寄付者がインセンティブ乗数を受け取ることを、そのような乗数の指示とともに示すことができる。別の例として、エンティティが、要求者と同じグループ又は部門で働く従業員による参加を促進したい場合、エンティティは、寄付者としてのこれらの従業員のいずれかがインセンティブ乗数を受け取ることを示すことができる。
【0017】
また、多くの少額の金銭を調達するために、寄付42、44、及び46によって表される個々の寄付は、資金目標(要求された額)のあるパーセンテージ、例えば5%又は1%に制限され得る。例えば、要求された資金額が10,000ドルである場合、エンティティは、個々の寄付をその額の5%又は500ドルに制限することができる。別の例として、エンティティは、提案に対する各寄付に対して100ドルなどの金銭的制限を設定することができる。使用される場合、他のパーセンテージ又は金銭的制限も可能である。これらの制限は、クラウド資金供給のためにしばしば望まれるような大きな数の寄付者による参加を促進するのに役立つことができる。個々の寄付が使用時に限度を超える場合、その寄付は受け入れられず、対応する寄付者は、試みられた寄付が限度を超えたことを通知される可能性がある。
【0018】
寄付42、44、及び46は、インセンティブ乗数によって選択的に調整された後、対応する額のコインに換算され(それぞれステップ54、56、及び58)、結果として得られた額がステップ60で資金に加算される。コインは、人工通貨又は仮想通貨として使用することができる。特に、コインは、好ましくは単一通貨で不換通貨額を表すデジタル通貨額である。トークンは、不換通貨額を表すデジタル通貨額でもある。クラウド資金供給プロセスにおいて、コインの代わりに、又はコインに加えて、トークンを使用することができる。コインはまた、特定の企業メッセージを伝達するために、又は組織(エンティティ)の歴史を組織の存続期間における重要な人々又はイベントにリンクさせるためにブランド付けされ得る。したがって、コインは、様々な通貨での寄付を普遍的な通貨単位に換算するとともに、要求者及び寄付者に知らせる方法を提供する。
【0019】
既存の為替レートを使用して、寄付者の通貨からコインに換算することができ、又はコインに換算するために人工的な為替レートを生成することができる。コインにするために使用される為替レートは、後に、成功したプロジェクトついて資金から支払いが行われるときに可能性として通貨に換算して戻すために保存される。コインの通貨のタイプは、例えば、要求者の国の通貨とすることができる。例えば、要求者がアメリカ合衆国を拠点とする場合、コインは、この要求者の資金に対する米ドルを表すことができ、寄付者の寄付は、米ドルでない場合、元の通貨から米ドルに換算される。例えば、例えば、寄付者が欧州を拠点とし、要求者がアメリカ合衆国を拠点とする場合、寄付者の寄付は、(寄付時の)現在の為替レートを使用してユーロから米ドルに換算することができる。人工為替レートは、使用される場合、既存の為替レートよりも高い特定の通貨間の為替レートを確立することによってインセンティブを提供する別の方法であり得る。
【0020】
更に、不換通貨を提供する代わりに、技術論文、寄付者の付与された特許の数、又はパフォーマンスレビューによって判定されるような寄付者の格付けを提示するなどの特定の活動を通じて、寄付者がコインを獲得することが可能である。獲得されたコインは、任意選択で、例えば、エンティティの現在の会計年度の終わりに、有効期限の日付を有することができる。
【0021】
コインを獲得する代わりに、又はそれに加えて、エンティティは、ステップ51で潜在的な寄付者41のプールにコインを配布することができる。特に、エンティティは、寄付者のプールにコインを補充することができる。エンティティは、ステップ53において銀行にコインを補充することもできる。銀行は、資金供給提案に利用可能なコインの合計額を表すことができ、場合によっては、銀行内のコインを使用することができる寄付者、寄付者が銀行内のコインを使用することができる提案、及び各適格な寄付者がプロジェクトに資金供給するために使用することができる銀行内のコインの額に関する制限を伴う。例えば、銀行内のコインの合計額は、会社の特定の部門の従業員のみによる使用のために予約することができ、これらの適格な従業員の各々は、銀行内のコインの特定の額のみを割り当てられる。別の例として、銀行内のコインの合計額は、特定の時間枠内のみの使用のために予約することができる。そのような制限の他の例として、銀行内のコインは、特定の地理的領域内の従業員のみによる使用、又は特定の数の成功したプロジェクトに以前に寄付した従業員のみによる使用に制限され得る。したがって、銀行は、例えば、これらの制限に基づいていくつかのコインの銀行を含むことができる。エンティティは、定期的にステップ53のために銀行にコインを補充することができ、例えば、エンティティは、エンティティのために暦年四半期ごとに又は会計四半期ごとに銀行に補充することができる。エンティティはまた、他の時間に、又は他の基準に従って銀行にコインを補充することができる。
【0022】
ステップ51及び53におけるコイン及び銀行は、典型的にはエンティティによって所有される。他の実施形態では、コイン及び銀行は、異なるエンティティによって所有されることができ、エンティティの寄付者(例えば、従業員及び請負業者)は、コイン及び銀行を使用して、異なるエンティティのための仕事を実行する。そのコイン及び銀行は、任意選択で、異なるエンティティによってブランド付け又はラベル付けされ得る。このようにして、異なるエンティティは、本質的に、そのエンティティが異なるエンティティのために実行する仕事にそのコインを通して資金供給する。例えば、ある会社は、別の会社のために仕事を実行し、別の会社によって資金供給される。この実施形態はまた、多くの異なるエンティティに対して仕事を実行するエンティティを含むことができ、各異なるエンティティは、それ自体のコイン及び銀行を有し、所有し、それは、以下で説明されるようなブロックチェーン動作を介してセキュアに追跡されることができる。エンティティは、異なるエンティティによって所有されるコイン及び銀行を介して異なるエンティティのために仕事を実行し、異なるエンティティによって資金供給されるとき、依然としてアイデアを所有し、プロセスのためのインセンティブ乗数を設定することができる。
【0023】
この配布されたコイン、並びに場合によっては獲得されたコイン及び銀行内のコインは、エンティティによって所有され、コインをどのように使用することができるか、及びその時間制限を指定するライセンスとともに寄付者にライセンスすることができる。例えば、ライセンスは、以下の条件を含むことができる。すなわち、コインは、適格な要求者の提案に資金供給するためにのみ使用することができるものとし、コインは不換通貨の価値を表すが、それ自体は金銭的価値を有さないものとし、コインはエンティティの現在の会計年度内で使用されなければならず、そうでなければコインは有効期限切れになるものとする。
【0024】
図6は、潜在的な寄付者のプールにコインを配布又は送るためのユーザインターフェース110の図である。ユーザインターフェース110は、潜在的な寄付者がコインを受け取るために、コンピュータの電子ディスプレイデバイス上に表示することができる。ユーザインターフェース110は、コインを表すコインアイコンを表示するセクション112と、潜在的な寄付者に配布又は送られるコインの額(単位数)を表示するセクション114と、配布されたコインを使用する時間制限を表示するセクション116とを含む。コインが潜在的な寄付者にライセンスされている場合、寄付者は、ユーザインターフェース110上の受諾ボタンを選択して、ライセンスの条件を受諾し、ライセンスの対象である寄付者コイン口座にコインを受け取ることができる。寄付者は、ユーザインターフェース110又は別の関連付けられたユーザインターフェースでライセンス条件を見ることができる。配布されるコインの価値は、例えば、特定の提案に基づくことができる。一例として、提案の要求者がアメリカ合衆国を拠点とする場合、1コイン(1単位)は1米ドルに等しくなり得る。別の例として、提案の要求者が欧州を拠点とする場合、1コイン(1単位)は1欧州連合ユーロに等しくなり得る。
【0025】
上述したように、コインは任意選択でブランド付けすることができる。
図7は、例えば、ユーザインターフェース110内のコインアイコン112又はユーザインターフェース130のセクション144内のコインアイコンとして、破線120によって表される電子ディスプレイデバイス又はスクリーン上に表示されるコインの例示的なアイコン122の図である。この例示的なアイコン122は、貨幣コインに似ており、図示されるようなメッセージとともに、場合によっては様式化されたエンティティ名又はブランドを含むことができる。
【0026】
エンティティコンピュータシステム26は、
図3A及び
図3Bの方法40において、資金供給目標が、寄付に対して指定された時間枠内で、及び任意選択で、この提案に利用可能な銀行の合計額内で完了したかどうかを判定する(ステップ62)。資金供給目標が完了していない場合、エンティティコンピュータシステム26は、資金を調達するためにより多くの時間を追加することができ(ステップ64)、又は資金を削除し(ステップ65)、任意のコインを寄付者に返すことができる(ステップ66)。ステップ65において資金を削除することは、寄付者が寄付を提案した不換通貨の額を請求されないことを意味し、寄付者が元々獲得コインを提案された寄付として使用した場合、それらのコインはステップ66において寄付者のコイン口座に戻される。資金を調達するためにより多くの時間が追加される場合、要求者は、任意選択で提案を洗練し、それを再提出することができる。
【0027】
更に、ステップ64において、より多くの時間が追加される場合、エンティティは、この提案のために銀行内のコインの価値を変更することもでき(ステップ55)、又はこの提案のために銀行に更なるコインを追加することもでき(ステップ57)、又はステップ55及び57の両方を実行することもできる。この提案のために銀行内のコインの価値を変更することは、それに利用可能な資金額を効果的に増加させることができる。例えば、エンティティは、最初に、1つのコインが1米ドルを表すように銀行内のコインの価値を設定し、次に、1つのコインが10米ドルを表すように銀行内のコインの価値を変更することができる。場合によっては、エンティティは、例えば、このプロジェクトに資金供給するためにより多くのコインが銀行に追加された場合、価値を減少させることによって、この提案のための銀行内のコインの価値を変更することができる。
【0028】
資金供給目標が時間枠内で完了した場合(ステップ62)、エンティティコンピュータシステム26は、提案のためのコインを不換通貨に換算し、金銭を要求者に放出し(ステップ68)、プロジェクトが進行中である(ステップ70)。銀行からのコインがこの提案に資金供給するために使用された場合、エンティティコンピュータシステム26は、銀行から対応する額のコインを除去する(ステップ67)。また、エンティティコンピュータシステム26は、寄付者が寄付した提案がその資金供給目標を達成し、対応するプロジェクトが進行中であるという通知を寄付者に提供することができる(ステップ69)。この通知は、例えば、電子メールメッセージ、内部ウェブサイトへの投稿、及びユーザインターフェース130のセクション140におけるステータスの変化を含むことができる。
【0029】
デジタル通貨額を表すためにコインを使用することによって、資金に対する不換通貨は、任意選択で、要求者が基づいている国において要求者にローカルに放出することができる。例えば、エンティティがアメリカ合衆国に拠点を置くが、要求者が欧州に拠点を置く場合、エンティティは、エンティティの欧州部門に命令して、アメリカ合衆国から欧州の場所又は口座に送金するのではなく、不換通貨を要求者に放出することができる。不換通貨は、例えば、要求者の銀行口座への資金の電子振替を提供することによって、又は要求者に小切手を発行することによって、放出することができる。更に、デジタル通貨額をコインで表すことにより、例えば、プロジェクトが承認された場合にのみプロジェクトの不換通貨が支払われる。
【0030】
プロジェクトを開始すると、要求者はプロジェクトのデータの所有権をエンティティに移転する(ステップ72及び74)。データの所有権を移転することは、任意の適用可能な特許、著作権、商標、及び企業秘密権などのデータにおける知的財産権を移転することを含むことができる。プロジェクトが進行中であるとき、プロジェクトのステータスは、例えば、電子メールメッセージ又は電子投稿によって、寄付者に提供され得、寄付者が、それらが寄付したプロジェクトの進捗を追跡することを可能にする。
【0031】
プロジェクト時間が完了すると、プロジェクトが成功したかどうかが判定される(ステップ76)。プロジェクトが成功しなかった場合、プロジェクトは終了し、プロジェクトに資金供給するリスクを負ったので、寄付者に資金は戻されない(ステップ78)。プロジェクトが成功した場合、プロジェクトは、エンティティによる商業生産に入る可能性がある(ステップ80)。プロジェクトは、例えば、プロジェクトがエンティティのための商品をもたらすことができる場合、プロジェクトが実用プロトタイプをもたらす場合、又は他の基準に従って、成功したとみなすことができる。また、要求者はプロジェクトの所有権をエンティティに移転する(ステップ86及び74)。プロジェクトの所有権を移転することは、任意の結果として生じるプロトタイプ又は他の物理的アイテムの所有権の移転、並びに任意の適用可能な特許、著作権、商標、及び企業秘密権などのプロジェクトにおける知的財産権を移転することを含むことができる。
【0032】
エンティティコンピュータシステム26は、プロジェクトのデータを記録し(ステップ84)、任意選択で、対応するインセンティブ乗数によって調整され、対応する換算レートを使用してコインから寄付者の通貨に換算された資金を寄付者に支払う(ステップ82)。ステップ82が実行されるとき、資金又はボーナスは、例えば、寄付者の銀行口座への電子振替によって、又は寄付者に小切手を発行することによって、支払われ得る。プロジェクトが潜在的な寄付者のプールに配布されたコインで資金供給された場合、エンティティはステップ82を実行しなくてもよい。プロジェクトがコインに換算された寄付者の資金によって部分的に資金供給された場合、エンティティは、これらのタイプの寄付に対してステップ82を実行することを選択することができる。ステップ82の代わりに、寄付者、又は寄付者のうちの選択されたものは、あるタイプのボーナス、例えば金銭的ボーナス又は他のプロジェクトに再投資するための仮想コインの増加を受け取ることができ、コインは寄付者のコイン口座に預けられる。別のタイプのボーナスは、成功した投資家に報酬を与えることを含むことができ、投資家とは成功したとみなされるプロジェクトに寄付した寄付者を意味する。寄付者の成功したプロジェクトの数を追跡することができ、そのような成功したプロジェクトに寄付する寄付者は、他のプロジェクトに再投資するための追加の又は増額した仮想コインで報酬を受けることができる。成功したプロジェクトに寄付するためのこのボーナスは、例えば、成功したプロジェクトごとに設定された額のコイン、又は成功したプロジェクトの数に基づいて増額したコインとすることができる。したがって、成功したプロジェクトに寄付した証明された記録を有するそれらの寄付者は、より多くのコインで報酬を与えられ、成功したプロジェクトをもたらすと彼らが信じるより多くの提案に投資することを促進され得る。
【0033】
更に、プロジェクトが成功した場合、エンティティコンピュータシステム26は、このプロジェクトに対応する提案について、寄付者から任意選択のフィードバックを受け取ることができる(ステップ85)。プロジェクトへの寄付者からのフィードバックは、以下の情報を含むことができる。完了したプロジェクトの承認を示す賛成票、完了したプロジェクトの不承認を示す反対票、プロジェクトが寄付者の期待を満たさなかったことの指示、又はプロジェクトが寄付者の期待を超えたことの指示。フィードバックは、例えば、ユーザインターフェース100又は130の一部などのユーザインターフェースにおいて提供され得る。
【0034】
セキュリティ機能は、グループ又は地理的領域などの様々な基準に基づいて、このクラウド資金供給システムに組み込むことができる。例えば、提案が、エンティティの特定のグループ又は部門内の寄付者による資金供給のためにのみ利用可能である場合、それらの寄付者のみが、提案に関する情報へのアクセスを付与され得る。別の例として、提案が、地理的領域内の寄付者による資金供給のためにのみ利用可能である場合、その地理的領域内のそれらの寄付者のみが、提案に関する情報へのアクセスを付与され得る。
【0035】
表1は、特定の活動に基づいて寄付者にコインを付与するためのデータ構造の例を提供する。表2は、寄付を対応する額のコインに換算するための換算レートを記録するためのデータ構造の例を提供する。表3は、特定のプロジェクトに対する寄付に関するデータを記録するためのデータ構造の例を提供する。表4は、潜在的な寄付者に配布されたコインを記録するためのデータ構造の例を提供する。表5は、プロジェクトデータを記録するためのデータ構造の例を提供する。表6は、複数の銀行に分割されたコインの銀行についてのデータ構造の例を提供し、各銀行は、それらの提案のために使用される銀行からのコインを有するのに適格な要求者のグループと、それらの提案に寄付するために銀行からのコインを使用するのに適格な寄付者のグループとを有する。表1~表6は、エンティティコンピュータシステム又は他のコンピュータによるアクセスのためにコンピュータメモリ又は電子データベースに記憶されるデータ構造を表す。
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
上述のクラウド資金供給方法は、例えば、既存のエンティティコンピュータシステムと統合されたソフトウェアアプリケーションとして実装することができる。エンティティは、提案、プロジェクト、及びそのためのコインを所有することによって、プロセスを部分的に制御する。エンティティはまた、提案及びプロジェクトをカバーする知的財産権を所有し、エンティティが成功したプロジェクトを商業化するためのインセンティブを提供する。したがって、このクラウド資金供給方法は、組織が研究開発に資金供給するより一般的な方法とは別に、イノベーションに資金供給し、アイデアを内部的に開発する方法として組織にとって有用であり得る特定のタイプのクラウド資金供給を提供する。
【0043】
図9は、上述のクラウド資金供給システムのためのブロックチェーン構造の図である。ブロックチェーンを有する実施形態は、クラウドソースアイデア生成電子ウェブサイトと、企業イノベーションのためのクラウドソース資金供給との組み合わせを含む。実際の資金を含むそのような貴重なデータセットのセキュリティ及び自動化は、ブロックチェーン要素の追加によって解決されている。
【0044】
ブロックチェーン上でクラウド資金供給システムをホストすることは、プロジェクトがその指定された資金供給要求レベルに到達したときにプロジェクト支出のためのプロジェクト番号の即時生成など、重要な管理タスクの自動化を可能にする。この特徴は、手動タスクを自動化し、プロジェクトタイムラインを加速させ、更により重要なことに、プロジェクト提出者及び投資家に、彼らのアイデアが、彼らのクラウド資金供給投資ピアによって検証される場合、エンティティによって資金供給されるという確信を与える。例えば、何週間も何ヶ月ものプロジェクトレビューなしに即時の資金供給を保証する能力は、参加者又は寄付者が彼らのアイデアを試すための承認を受け取ると考えない場合があるので、彼らがさもなければ彼らが後押しする可能性があるところに彼らの革新的なアイデアを進めるように参加者又は寄付者に働きかけることができる。
【0045】
クラウド資金供給システムのためにブロックチェーンを活用することは、エンティティがイノベーションデジタルトランスフォーメーションの最先端にあることを示すことができるエンティティブランドのイノベーションコインの作成及びマーケティングを可能にする。ブロックチェーン上で取引され得るエンティティブランドのコインを作成することは、クラウド資金供給システムをホストするイノベーションサイトを使用する参加者又は寄付者に追加のインセンティブを提供する。上述したコインなどのイノベーションコインの作成は、エンティティにマーケティングの機会を更に提供することができ、それにより、イノベーションプラットフォームを収益化し、外部の会社にライセンスして、独自のクラウド資金供給のイニシアチブを得る可能性が高まる。
【0046】
ブロックチェーン上でクラウド資金供給システム及びプロセスを実行することは、プロジェクト提出及びクラウド資金供給プロセスのためのセキュリティ及びトレーサビリティを提供する。イノベーションプラットフォームに寄付される予算に関して、どのように、どこで金銭が使われているかを知ることは重要である。投資家にとって、彼らの声が彼らのコインの寄付を通して聞かれていることを確実に知ることは同様に重要である。ブロックチェーンの自動化、セキュリティ、不変性、及び透明性は、これらの目的の各々を可能にすると同時に、プログラムが複数の投資当事者に容易にスケーリングされることも可能にする。
【0047】
図9に示すように、プラットフォームは、以下の内訳を有する5つのノード、すなわち、ブートノード・バリデータノードであるノード152、アーカイバルノードであるノード160、バリデータノードであるノード154、バリデータノードであるノード156、及びバリデータノードであるノード158、を有することができる。これらのノードは、例えば、既知のブロックチェーン構造及び動作を用いて実装することができる。
【0048】
バリデータノード(154、156、158):バリデータノードは、コンセンサスプロトコルに参加するノードである。それらは、新しいブロックの生成を担当する。バリデータノードは、セキュリティ及び効率の目的のために、互いに、及びブートノードに接続されるだけである。バリデータノードは、IBFT2.0コンセンサスプロトコルを適用して取引を検証し、それを新しいブロックに組み込む。
【0049】
ブートノード(152):ブートノードは、ネットワーク内のアクティブノードのリスト並びにホワイトリスト及びブラックリストなどの他の関連情報を提供することによって、新しいノードをセットアップする責任を負う。ブートノードは、ネットワーク内の全てのタイプのノードに接続される。より単純な構成では、ブートノードは、最初にピアを発見するために使用される。ブートノードは、起動時にノードが接続する通常のノードである。ブートノードは、ブロック162に示される要素を、イーサリアム仮想マシン(Ethereum Virtual Machine、EVM)に含む。
【0050】
フルノード:フルノードは、ブロックチェーンの現在の状態を有するので、ネットワークの全てのデータ要求(例えば、古いブロックにおける口座の残高)に応えることはできない。
【0051】
アーカイバルノード(160):アーカイバルノードは、フルノードの全ての特徴を有し、起源ブロック以降の全てのブロックに対する全ての口座及び契約の中間状態も記憶する。アーカイバルノードは、フルノードの機能を有し、履歴状態データにアクセスすることができる。
【0052】
ピア・ツー・ピア(P2P)ネットワーキング。P2Pネットワーキングの場合、Besuは、devp2pイーサリアムネットワークプロトコルを実装している。プロトコルは、クライアント間通信を保証する。これは、追加のIBFT2サブプロトコルとしても機能する。発見は、UDPベースのプロトコルを使用して行われる。通信には、RLPx-a TCPベースのプロトコルを利用する。一方、RLPxは、ETHワイヤプロトコル(取引状態同期のため)及びIBFサブプロトコル(コンセンサス決定を行うため)を含む様々なサブプロトコルを使用する。
【0053】
バッジ/コイン/トークンの作成/開発。クラウド資金供給システムのブロックチェーンプラットフォームには2つのタイプのトークン、すなわち、代替可能トークンであるコインと、非代替可能トークンであるバッジと、が存在し得る。バッジは、クラウド資金供給システムにおいて成功した発明者に授与することができ、したがって、例えば成功した発明者により多くのコインを提供するインセンティブ乗数として使用することができる。
【0054】
代替可能トークン:コイン又はエンティティイノベーションコインは、ブランドトークン、デジタル通貨、又は価値が著しく変化しない米ドルなどの実際の通貨に関連付けられた安定したコイン標準トークンである。コインは、クラウド資金供給システムについて上述したように実装することができる。
【0055】
表7は、イノベーショントークン作成のためのスマートコントラクトのキー要素の例を含む。スマートコントラクトのこの例では、コインの公開価格は価値1を有する。更に、代替可能トークンのライフサイクルの間、関数を使用することができる。
【0056】
【0057】
非代替可能トークン(NFT):バッジは、固有の特性を特徴とし、同一のトークンと交換又は置換することができないようなNFTである。NFT内のスマートコントラクトは、NFTを他のトークン(これも分割不可能であることが知られている)から区別する固有かつ排他的なデータを記憶するのに役立つ。バッジは、追加情報が記憶されている個別のトークンである。各バッジは、所有者識別(ID)、リッチなメタデータ、安全なファイルリンク、及びそのスマートコントラクトに記録された他の識別情報を含む。バッジは、例えば、NFT要件を容易にするためのERC721規格を介して起草又は生成され得る。
【0058】
図9のブロックチェーン構造は、プロセス全体を通じて安全で追跡可能な取引を提供するために、
図1のクラウド資金供給システム(例えば、寄付者及びエンティティコンピュータ)並びに
図2及び
図3A~
図3Bのプロセス内に実装することができる。ブロックチェーン構造及びクラウド資金供給システムは、アイデア開発を促進するために単一のエンティティ又は会社内で適用されてもよく、クラウドソースイノベーションをインセンティブ付け及び実行するために複数のエンティティ又は会社間で適用されてもよい。これらの場合の各々において、ブロックチェーン構造及びクラウド資金供給システムは、マルチエンティティコラボレーションを可能にするために必要とされる投資の追跡可能で不変な記録を提供する。ブロックチェーン構造及びクラウド資金供給システムはまた、企業規模で1つ以上のエンティティにわたってクラウドソースのイノベーションを可能にする管理自動化を提供する。ブロックチェーン構造はまた、各コインが一意であり、プロセス全体を通して追跡可能であるように、コインを生成することができる。エンティティがステップ51でコインを補充し、銀行がステップ53でコインを追加し、ステップ57で更なるコインを追加し、ステップ55でコインの値を変更するとき、各新しいコインは、それを一意に識別し、その後一意の識別子を介してそれを追跡するために、ブロックチェーン動作の対象となる。ステップ48、50、及び52におけるインセンティブ乗数はまた、対応する寄付者の乗数を一意に識別し追跡するために、ブロックチェーン動作の対象とすることができる。
【0059】
図3A及び
図3Bのプロセスにおける取引は、それらを一意に識別するためにブロックチェーン動作の対象とすることもでき、例えば、ステップ54、56、及び58における取引はコインを換算し、ステップ65及び66は資金を削除してコインを返却し、ステップ60は換算された寄付を資金に追加し、ステップ67は銀行からコインを除去し、ステップ68及び69は不換通貨を放出して寄付者に通知し、ステップ82は資金を支払い、ステップ86は所有権を移転する。クラウド資金供給プロセスにおける他のステップ又は取引もまた、それらを一意に識別し、プロセスを通してそれらを追跡するために、ブロックチェーン動作の対象とすることができる。
【0060】
表8は、クラウド資金供給システムにおいて一意の識別子を適用するためのブロックチェーン不変記録の一例である。不変記録は、例えば、コイン、インセンティブ乗数、バッジ、及び取引を検証するために一意の識別子を使用することによってセキュリティを提供するために、エンティティコンピュータと寄付者コンピュータとの間で互いに分散され、タグ付けされ得る。表9は、クラウド資金供給システムのブロックチェーン動作の例である。不変記録及びブロックチェーン動作は、例えば、既知のブロックチェーン記録及び動作を用いて実装することができる。
【0061】
【0062】
【国際調査報告】