(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-03
(54)【発明の名称】非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗の評価
(51)【国際特許分類】
B60C 11/24 20060101AFI20250626BHJP
G01M 17/02 20060101ALI20250626BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20250626BHJP
G06F 30/20 20200101ALI20250626BHJP
G06F 119/04 20200101ALN20250626BHJP
【FI】
B60C11/24 Z
G01M17/02
B60C19/00 H
G06F30/20
G06F119:04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024575614
(86)(22)【出願日】2023-06-21
(85)【翻訳文提出日】2025-02-12
(86)【国際出願番号】 EP2023066892
(87)【国際公開番号】W WO2023247661
(87)【国際公開日】2023-12-28
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】パスクァーレ アゴレッティ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ アンドレア マギー
(72)【発明者】
【氏名】デイビー ルジエロ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル カリスケ
(72)【発明者】
【氏名】マリオ アレハンドロ ガルシア ツインツン
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス ハルトゥング
【テーマコード(参考)】
3D131
5B146
【Fターム(参考)】
3D131LA21
3D131LA34
5B146DJ01
5B146DJ05
5B146DJ11
5B146EA01
(57)【要約】
非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、摩擦エネルギー率を摩耗エネルギー率に変換するように構成されたタイヤの摩耗モデルを用意することと、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の三次元(3D)モデルを用意することと、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成することと、複数の単純化3Dモデルのそれぞれに少なくとも部分的に基づいて複数の定常輸送解析を実行することと、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理することと、実行された複数の定常輸送解析の後処理された結果及び摩耗モデルに基づいて非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価することとを含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法(900)であって、
摩擦エネルギー率を摩耗エネルギー率に変換するように構成された前記タイヤの摩耗モデルを用意することと、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの第1の三次元(3D)モデルを用意すること(920)と、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの前記第1の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成すること(930、600)と、
前記複数の単純化3Dモデルのそれぞれに少なくとも部分的に基づいて複数の定常輸送解析を実行すること(940)と、
実行された前記複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理すること(950、800)と、
実行された前記複数の定常輸送解析の後処理された前記結果及び前記摩耗モデルに基づいて前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの摩耗を評価すること(960)と
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、
実行された前記複数の定常輸送解析のそれぞれの後処理された前記結果に少なくとも部分的に基づいてタイヤの摩耗の評価のための関連指標の履歴を構築することを更に含む方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの前記第1の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成すること(930、600)が、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの前記第1の3Dモデルの第1のセクターを規定すること(610)と、
規定された前記第1のセクターを周期的に円形に配置することに少なくとも部分的に基づいて前記タイヤの前記複数の単純化3Dモデルの第1の単純化3Dモデルを作成すること(620)と、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの前記第1の3Dモデルの少なくとも1つの更なるセクターを規定すること(630)であって、前記少なくとも1つの更なるセクターが、事前に規定されたセクターに対して所定角度だけシフトされる、規定すること(630)と、
規定された前記少なくとも1つの更なるセクターを周期的に円形に配置することに少なくとも部分的に基づいて前記タイヤの前記複数の単純化3Dモデルの少なくとも1つの第2の単純化3Dモデルを作成すること(640)と
を更に含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、前記所定角度が、前記非軸対称トレッドパターンのレベル・オブ・ディテールに応じて0.01°~1°の範囲であり、好ましい範囲が、0.15°~0.35°である、方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、前記摩擦エネルギー率を前記摩耗エネルギー率に変換するように構成された前記タイヤの前記摩耗モデルが、
線形摩擦試験器によって異なるすべり速度、荷重及びすべり距離の少なくとも1つで前記タイヤの材料のブロックを試験すること(410)と、
前記タイヤの前記材料の前記ブロックの前記試験に少なくとも部分的に基づいて摩滅性モデル及び摩擦マップを生成すること(420)と
に少なくとも部分的に基づいて生成される(400)、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、前記摩擦エネルギー率を前記摩耗エネルギー率に変換するように構成された前記タイヤの前記摩耗モデルを用意することが、
決定された摩耗エネルギー率に基づいて局部的な材料の摩滅の絶対値を用意することを更に含む、方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、前記定常輸送解析が、任意ラグランジュ-オイラー(ALE)法に基づく、方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの前記第1の3Dモデルが、有限要素(FE)モデルである、方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、摩耗の評価のための前記関連指標が、スリップ、圧力及び摩擦の少なくとも1つを含む、方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、前記複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理すること(950、800)が、
実行された前記複数の定常輸送解析のそれぞれの前記結果を得ること(810)であって、実行された前記複数の定常輸送解析のそれぞれの前記結果が、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件を含む、得ること(810)と、
実行された前記複数の定常輸送解析のそれぞれの前記結果をマージすること(820)であって、前記結果が、タイヤの摩耗に寄与する前記1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件のそれぞれについて別々にマージされる、マージすること(820)と、
タイヤの摩耗に寄与する前記1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件のそれぞれについての別々にマージされた前記結果に基づいてタイヤの摩滅への寄与を決定すること(830)と、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの平均摩耗率を決定すること(840)と
を含む、方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの前記第1の3Dモデルが、1つ若しくは複数の設計パラメータを調整することによって、又は前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの事前に評価された摩耗に基づいて修正されるように構成される、方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの第2の3Dモデルを用意することであって、前記第2の3Dモデルが前記第1の3Dモデルと異なる、用意することと、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの第2の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成することと、
前記複数の単純化3Dモデルのそれぞれに少なくとも部分的に基づいて複数の定常輸送解析を実行することと、
実行された前記複数の定常輸送解析のそれぞれの前記結果を後処理することと、
実行された前記複数の定常輸送解析の後処理された前記結果及び前記摩耗モデルに基づいて前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの摩耗を評価することと
を更に含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの第2の3Dモデルが、1つ若しくは複数の設計パラメータを調整することによって、又は前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの事前に評価された摩耗に基づいて修正されるように構成される、方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、評価された前記摩耗に関する1つ又は複数の所定判断基準に基づいて前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの前記第1の3Dモデル又は前記第2の3Dモデルのうちの1つを特定することを更に含む方法。
【請求項15】
非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するための装置であって、
摩擦エネルギー率を摩耗エネルギー率に変換するように構成された前記タイヤの摩耗モデルを用意するための手段と、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの第1の三次元(3D)モデルを用意するための手段と、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの前記第1の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成するための手段と、
前記複数の単純化3Dモデルのそれぞれに少なくとも部分的に基づいて定常輸送解析を実行するための手段と、
実行された前記複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理するための手段と、
実行された前記複数の定常輸送解析の後処理された前記結果及び前記摩耗モデルに基づいて前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの摩耗を評価するための手段と
を備える装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、請求項2から14のいずれか一項に記載の方法のいずれかを実行するように構成された手段を更に備える装置。
【請求項17】
コンピュータプログラムであって、当該プログラムがコンピュータによって実行されると、前記コンピュータに請求項1から14のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法及び装置を対象とする。
【背景技術】
【0002】
新たなタイヤの開発において、ここ数年、数値シミュレーション技法が幅広く採用されてきた。このようなバーチャルプロトタイピング技法は、多数の実験プロトタイプの製作及び実地試験を置きかえることができる。結果として、高度なバーチャルプロトタイピング技法は、開発コストの大幅な削減及び市場投入までの時間の短縮につながる。結局のところ、効果的で効率的なバーチャルプロトタイピング方法は、競争力の維持に重要な因子である。
【0003】
上記に加えて、プロトタイプの製作数の削減は、貴重な資源の節約、化学物質の量の低減及びエネルギーの節約によって、タイヤの開発をより持続可能なものにする。したがって、バーチャルプロトタイピング技法は、気候変動対策における重要な構成要素であると考えることができる。
【0004】
タイヤの効果的なバーチャルプロトタイピングを実行するためには、タイヤの摩耗性能の評価が必要とされる。従来技術において、タイヤの摩耗性能を予測するためのいくつかのシミュレーションベースの方法が記述される。使用されるシミュレーション技法は、例えば、過渡解析、静的転動解析又は定常輸送解析を含む。
【0005】
過渡解析は多くの計算資源を必要とする。基礎となるシミュレーションモデルが特定の複雑度に到達したとき、上記方法は、合理的には、高性能コンピュータクラスターでのみ使用することができる。しかしながら、前述の場合であっても、過渡解析シミュレーションは大抵の場合、数十時間を必要とする。更に、シミュレーションは大抵の場合、数値的安定性を示す。
【0006】
対照的に、静的転動解析等のより単純化な選択肢は、タイヤの動的効果及び各種の材料特性を無視する。
【0007】
定常輸送解析は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤが関与する場合では、タイヤと道路との接触領域でのタイヤの実際の物理的現象を再現するのにいくつかの制限があることを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の目的は、従来技術のバーチャルプロトタイピング技法に内在する、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するときの制限を克服するための新たな手法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するための様々なコンピュータによって実行される方法及び装置の本開示によって達成される。
【0010】
第1の態様によれば、本開示は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法を提供する。上記方法は、摩擦エネルギー率を摩耗エネルギー率に変換するように構成されたタイヤの摩耗モデルを用意することを含む。上記方法は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の三次元(3D)モデルを用意することと、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成することと、複数の単純化3Dモデルのそれぞれに少なくとも部分的に基づいて複数の定常輸送解析を実行することと、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理することと、実行された複数の定常輸送解析を後処理された結果及び摩耗モデルに基づいて非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価することとを更に含む。本開示の方法によって、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗は、高速で効率的な高精度の方法によって評価することができる。これは、タイヤの総寿命/マイレージの迅速な高精度のキャラクタリゼーションを可能とし、したがって、高速なバーチャルプロトタイピング技法に道筋をつけるものである。このような技法を提供することによって、トレッド構造及び/又はタイヤ材料に関する多数の修正案及び/又は最適化を非常に短い時間で評価することができる。
【0011】
第1の態様の例によれば、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法は、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの後処理された結果に少なくとも部分的に基づいてタイヤの摩耗の評価のための関連指標の履歴を構築することを更に含む。
【0012】
第1の態様の更なる例によれば、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成することは、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルの第1のセクターを規定することと、規定された第1のセクターを周期的に円形に配置することに少なくとも部分的に基づいてタイヤの複数の単純化3Dモデルの第1の単純化3Dモデルを作成することと、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルの少なくとも1つの更なるセクターを規定することであって、更なるセクターが、事前に規定されたセクターに対して所定角度だけシフトされる、規定することと、規定された少なくとも1つの更なるセクターを周期的に円形に配置することに少なくとも部分的に基づいてタイヤの複数の単純化3Dモデルの少なくとも1つの第2の単純化3Dモデルを作成することとを更に含む。
【0013】
第1の態様の別の例によれば、所定角度は、非軸対称トレッドパターンのレベル・オブ・ディテールに応じて0.01°~1°の範囲であり、好ましい範囲は、0.15°~0.35°である。
【0014】
第1の態様の更に別の例によれば、摩擦エネルギー率を摩耗エネルギー率に変換するように構成されたタイヤの摩耗モデルを生成することは、線形摩擦試験器によって異なるすべり速度、荷重及びすべり距離の少なくとも1つでタイヤの材料のブロックを試験することと、タイヤの材料のブロックの試験に少なくとも部分的に基づいて摩滅性モデル及び摩擦マップを生成することとに少なくとも部分的に基づいて生成される。
【0015】
第1の態様の別の例によれば、摩擦エネルギー率を摩耗エネルギー率に変換するように構成されたタイヤの摩耗モデルは、決定された摩耗エネルギー率に基づいて局部的な材料の摩滅の絶対値を用意することを更に含む。
【0016】
第1の態様の別の例によれば、定常輸送解析は、任意ラグランジュ-オイラー(ALE)法に基づく。
【0017】
第1の態様の更なる例によれば、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルは、有限要素(FE)モデルに基づく。
【0018】
第1の態様の別の例によれば、摩耗の評価のための関連指標は、スリップ、圧力及び摩擦の少なくとも1つを含む。
【0019】
第1の態様の一例では、複数の定常輸送解析の結果を後処理することは、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を得ることであって、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果が、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件を含む、得ることと、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果をマージすることであって、結果が、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件のそれぞれについて別々にマージされる、マージすることと、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件のそれぞれについての別々にマージされた結果に基づいてタイヤの摩滅への寄与を決定することと、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの平均摩耗率を決定することと
を含む。
【0020】
第1の態様の更なる例では、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルは、1つ若しくは複数の設計パラメータを調整することによって、又は非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの事前に評価された摩耗に基づいて修正されるように構成される。
【0021】
第1の態様の更なる例では、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第2の3Dモデルを用意することであって、第2の3Dモデルが第1の3Dモデルと異なる、用意することを更に含む。上記方法は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第2の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成することを更に含む。上記方法は、複数の単純化3Dモデルのそれぞれに少なくとも部分的に基づいて複数の定常輸送解析を実行することを更に含む。上記方法は、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理することと、実行された複数の定常輸送解析の後処理された結果及び摩耗モデルに基づいて非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価することとを更に含む。
【0022】
第1の態様の別の例によれば、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第2の3Dモデルは、1つ若しくは複数の設計パラメータを調整することによって、又は非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの事前に評価された摩耗に基づいて修正されるように構成される。
【0023】
第1の態様の別の例によれば、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法は、評価された摩耗に関する1つ又は複数の所定判断基準に基づいて非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデル又は第2の3Dモデルのうちの1つを特定することを更に含む。
【0024】
第2の態様によれば、本開示は、摩擦エネルギー率を摩耗エネルギー率に変換するように構成されたタイヤの摩耗モデルを用意するための手段を備える、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するための装置を提供する。上記装置は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の三次元(3D)モデルを用意するための手段を更に備える。上記装置は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成するための手段を更に備える。上記装置は、複数の単純化3Dモデルのそれぞれに少なくとも部分的に基づいて複数の定常輸送解析を実行するための手段を更に備える。上記装置は、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理するための手段と、実行された複数の定常輸送解析の後処理された結果及び摩耗モデルに基づいて非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するための手段とを更に備える。
【0025】
第2の態様の例では、上記装置は、本明細書で開示された方法のいずれかを実行するように構成された手段を備える。
【0026】
第3の態様によれば、本開示は、当該プログラムがコンピュータによって実行されると、コンピュータに本明細書で開示された方法のいずれかを実行させる命令を含むコンピュータプログラムを提供する。コンピュータプログラムは、不揮発性コンピュータ可読媒体に記憶され得る。
【0027】
本発明の更なる利益及び利点は、添付の図面を適切に参照しながら詳細な説明を注意深く読むことで明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】一般的な入力データ及び三次元モデルに加えられる荷重が強調される、本開示による、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤのシミュレーションの概要を示す図である。
【
図2a】本開示による、線形摩擦試験のために使用される非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの材料の試料用ゴムブロックを示す図である。
【
図2b】本開示による、一連の線形摩擦試験と、フィッティングアルゴリズムとの組合せによって生成された例示的な摩擦マップを示す図である。
【
図2c】本開示による、様々なタイヤ材料ブロックにフィッティングされる例示的な摩滅性モデルを示す図である。
【
図3】本開示による、一連の線形摩擦試験によって決定された摩擦データに基づいて特定のタイヤ材料ブロックのすべり距離の決定を示す図である。
【
図4】本開示による、摩擦エネルギー率を摩耗エネルギー率に変換するように構成されたタイヤの摩耗モデルを用意するための方法の流れ図を示す図である。
【
図5】本開示による、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルの第1の単純化3Dモデルの生成プロセスを示す図である。
図5bは、本開示による、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルの第2の単純化3Dモデルの生成プロセスを示す図である。
【
図6】本開示による、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成するための方法の流れ図を示す図である。
【
図7】本開示による、定常状態解析を用いて非軸対称トレッドパターンを有するタイヤのためのシミュレーションフレームワークを示す図である。
【
図8】本開示による、複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理することの流れ図を示す図である。
【
図9】本開示による、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法の流れ図を示す図である。
【
図10】本開示による、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するための装置のブロック図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法を提供する。
【0030】
図1は、本明細書で開示された非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法の背景にある概念の概要を示す。本開示の方法によれば、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤのコンピュータ処理された三次元モデル及び摩耗モデルに少なくとも部分的に基づいて、各タイヤの摩耗挙動の高速で高精度の予測を実行することができる。一般に、タイヤの摩耗モデルは、タイヤの摩耗、すなわち、タイヤのトレッドパターンが使用中にどのように劣化するかを決定することを可能にする。広義の意味においては、摩耗モデルは、タイヤの寿命を決定することを可能にする。摩耗は特に、タイヤに作用する力と各タイヤのマイレージ等の物理的条件との組合せに依存し得る。前記物理的条件は、運転スタイル、道路の種類、車両荷重等の様々な因子に依存し得る。この場合、摩耗モデルは特に、摩擦エネルギー率を摩耗エネルギー率に変換するように構成される。摩耗モデルは、特に状態が粘着状態からスリップ状態へと変化している接触点において摩擦エネルギーが摩耗エネルギーに変換される関係を確立すること、すなわち、すべり現象だけでなく転動現象の記述を改善することによって、各タイヤのゴム材料の様々な摩滅性パラメータ及び適用された大まかな基材構造を決定することを更に可能にする。完全なすべり状態においては、すべての摩擦エネルギーを摩耗エネルギーに変換し、線形摩擦試験中に観察された効果を再現することができることに留意されたい。
【0031】
本明細書で開示された方法によるタイヤの摩耗の評価は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の三次元(3D)モデルに更に基づく。第1の3Dモデルは、好ましくは、有限要素(FE)モデルである。数値有限要素解析においては、3Dモデル及び摩耗モデルに基づいて、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗率を高精度で効率的に予測することができる。したがって、最初に、転動するタイヤに影響を与える力及び速度等の様々な物理条件が決定される。第2のステップでは、摩耗モデルにより、タイヤに作用する物理的条件がタイヤの摩耗への寄与に換算される。最後に、タイヤの全摩耗及び/又は合計摩耗率が評価される。この情報から、推定されるタイヤの総寿命についての予測を実行することができる。
【0032】
実際、従来の方法を用いた非軸対称トレッドパターンを有する転動するタイヤの数値シミュレーションは、コスト及び時間がかかるものであり得る。上記で指摘したように、計算資源、シミュレーション時間又は予測精度のいずれかに関してトレードオフがなされる必要がある。
【0033】
従来の方法とは対照的に、本明細書で開示された非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法は、短いシミュレーション時間、少ない計算資源の使用及び低いコストの観点での効率と、評価されるタイヤの摩耗の高い精度との両方を達成することができる。
【0034】
効率を求める場合、本明細書で開示された非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの数値解析は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3D有限要素モデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成することを含む。単純化モデルのそれぞれは、異なる角度位置における非軸対称トレッドパターンを有するタイヤのより複雑なモデルのスタンプショットであると考えることができる。このような単純化モデルを生成するために、第1のステップでは、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルのセクターが規定される。後続するステップでは、単純化3Dモデルは、第1の3Dモデルの規定されたセクターを周期的に円形に配置することによって生成される。複数の単純化3Dモデルのそれぞれに基づいて、単純で高速な定常輸送解析が実行されるが、これは、並列に実行することが可能であり、更には、計算コストを著しく低下させることもできる。
【0035】
本開示のコンピュータによって実行される方法の高い精度は、実行された定常輸送解析のそれぞれの結果がどのように後処理されるかによって達成される。実行された定常輸送解析のすべてから、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数の異なる物理的条件が決定及び評価される。更なるステップでは、実行された複数の定常輸送解析の結果は、各条件について別々にマージされる。同様に、各条件によるタイヤの摩耗への全体的な寄与が決定される。各条件によるタイヤの摩耗への寄与に基づいて、非軸対称トレッドパターンを有する各タイヤのタイヤ摩耗率に寄与する全体的タイヤ摩耗率が決定される。
【0036】
図2a、
図2b及び
図2cは、本開示による、摩擦エネルギー率を摩耗エネルギー率に変換するように構成されたタイヤの摩耗モデルを作成する様々なステップを示す。
【0037】
図2aは、タイヤ材料のゴムブロックを示す。このようなタイヤ材料を摩滅性、摩耗特性、ひいては総寿命についてキャラクタリゼーションするために、線形摩擦試験を使用することができる。このような線形摩擦試験の枠組みでは、所定垂直力を用いて、歯間中のタイヤ材料のゴムブロックをテストトラックに押し付ける。後続するステップでは、各ゴムブロック試料は、所定速度プロファイルを伴ってテストトラックに沿って滑る。このような一連の線形摩擦試験に基づいて、摩擦マップ及び特定のタイヤ材料に関する他の摩滅性パラメータを得ることができる。
【0038】
図2bは、特定のタイヤ材料の三次元摩擦マップの例を示す。z軸上では、このような摩擦マップは、mm/sでの速度v(x軸)及びN/mm
2での接触圧p(y軸)に応じた特定のタイヤ材料の摩擦係数μを示す。線形摩擦試験中、測定された垂直力及び接線摩擦力に基づいて、特定のタイヤ材料の摩擦係数μ
expが、特定のすべり速度プロファイル及び特定の接触圧と関連付けて決定される。
図2bに示される摩擦マップを作成するためには、複数のすべり速度プロファイル及び試験中のゴムブロックの接触圧について、すなわち、一連の複数の線形摩擦試験を実行することによって摩擦係数μ
expが決定されるべきである。
【0039】
種々のフィッティングアルゴリズムにより、特定のタイヤ材料についての摩擦マップは、すでに、比較的少ない回数の線形摩擦試験に基づいて作成することができる。
図2bでは、実際の線形摩擦試験によって決定された摩擦係数の値は、黒色ドットによって示され、μ
expとして表される。次いで、広範囲の速度及び接触圧をカバーする各摩擦マップを、各フィッティングアルゴリズムによって生成することができる。
【0040】
図2cでは、様々なタイヤ材料ブロックに対してフィッティングされた摩滅性モデルが示される。摩滅性モデルは、試料中の摩擦エネルギーと質量損失率とを関連付ける標準化されたフィッティングアルゴリズムによって得られる。前者は、ローディング条件、試料形状及びすべり距離に基づいて推定され、後者は、線形摩擦試験の出力である。実験の性質により、この時点での摩滅性モデルは、異なる条件で実行される線形摩擦試験中に記録された質量損失と、摩擦力及びすべり距離の測定によって与えられた算定摩擦エネルギーとによって計算することができる。摩滅性モデルは、式dVdt=A
*dedtによって記述され、この式は、材料の摩滅に対する固有の抵抗性である摩滅性パラメータAを用いて、摩滅率dVdt、すなわち、体積損失率と、摩擦エネルギーdedt、すなわち、摩擦力とすべり距離との積とを相関させる。次いで、実験的な摩滅試験のフィッティングから角度係数によってパラメータAを決定する。
図2cのx軸は、Nmm/sでの算定摩擦エネルギーを示し、y軸は、体積損失に換算してmm
3/sで表した質量損失率を示す。
【0041】
図3は、本開示による、どのように摩擦データが線形摩擦試験中にゴムブロックがすべり始める距離を摩擦データに基づいて推定することを可能にするかを示す。ブロックがすべり始める距離は、一般に摩耗率が一定になると仮定されるポイントである。
図3のx軸は、線形摩擦試験中における秒での各時間を示す。y軸は、ゴムブロックの各摩擦係数を示す。見てわかるように、様々な線形摩擦試験(異なる曲線スタイルによって示される)において、最初の1.5秒以内では、決定された摩擦係数が上昇していく。その後、摩擦係数及び摩耗率は一定になる。最後に、すべり距離、すなわち、摩耗率が一定である距離を決定することができる。すべり距離と摩擦力から、摩擦エネルギーを計算することができる。
【0042】
図4は、摩擦エネルギー率を摩耗エネルギー率に変換するように構成されたタイヤの摩耗モデルを用意すること400の例示的な流れ図を示す。410では、タイヤの材料のブロックは、線形摩擦試験器によって異なるすべり速度、荷重及びすべり距離の少なくとも1つで試験される。420では、タイヤの材料のブロックの試験に少なくとも部分的に基づいた摩滅性モデル及び摩擦マップが生成される。好ましい態様では、摩擦エネルギー率を摩耗エネルギー率に変換するように構成されたタイヤの摩耗モデルを用意することは、決定されたエネルギー率に基づいて局部的な材料の摩滅の絶対値を用意することを更に含む。
【0043】
図5a及び
図5bは、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの用意された第1の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成する例示的な態様を示す。非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの用意された第1の3Dモデルの単純化3Dモデルのそれぞれは、タイヤの形状が周期的なままであるとの仮定により、異なる角度位置におけるトレッドタイヤの転動プロセス中に取得された1つのスタンプショットであると考えることができる。
【0044】
図5aは、このような複数の単純化3Dモデルの第1の単純化3Dモデル、すなわち、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの転動プロセスの第1のスタンプショットを作成することを示す。
【0045】
非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の単純化3Dモデルを作成することは、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルの第1のセクターを規定することと、規定された第1のセクターを周期的に円形に配置することに少なくとも部分的に基づいて第1の単純化モデルを作成することとを含む。規定された第1のセクターのセクター角度は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの物理的特性に依存し得る。
【0046】
図5bは、複数の単純化3Dモデルの第2の単純化3Dモデル、すなわち、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの転動プロセスの第2のスタンプショットを作成することを示す。
【0047】
非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第2の単純化3Dモデルを作成することは、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルの更なるセクターを規定することであって、更なるセクターが、事前に規定されたセクターに対する事前に規定された角度に対して所定角度だけシフトされる、規定することと、更なる規定されたセクターを周期的に円形に配置することに少なくとも部分的に基づいて第2の単純化モデルを作成することとを含む。規定された更なるセクターのセクター角度は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの物理的特性に依存し得る。
【0048】
図5bによって示されたステップに基づいて、複数の単純化3Dモデルの任意の数の更なる単純化3Dモデルを生成することができる。単純化3Dモデルの総数は、各セクター角度に依存し得る。
【0049】
1つ又は複数の更なる単純化モデルの更なるセクターをシフトさせる所定角度は、非軸対称トレッドパターンのレベル・オブ・ディテールに応じて0.01°~1°の範囲である。
【0050】
図6は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成すること600の流れ図を示す。610では、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルの第1のセクターが規定される。620では、タイヤの複数の単純化3Dモデルの第1の単純化3Dモデルが、規定された第1のセクターを周期的に円形に配置することに少なくとも部分的に基づいて作成される。630では、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルの少なくとも1つの更なるセクターが規定され、更なるセクターは、事前に規定されたセクターに対して所定角度だけシフトされる。640では、タイヤの複数の単純化3Dモデルの少なくとも1つの第2の単純化3Dモデルが、規定された少なくとも1つの更なるセクターを周期的に円形に配置することに少なくとも部分的に基づいて作成される。
【0051】
図7は、本開示による、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法に基づいた非軸対称タイヤのための例示的なシミュレーションフレームワークを示す。
【0052】
図5a及び
図5bによって示された方法によれば、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルに基づいて、数nの単純化モデルが生成される。
図7によって示された例では、数nの単純化モデルのそれぞれのセクター角度は、4.8648°である。それにより後続する2つの単純化モデルの基礎である非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルの規定されたセクターをシフトさせる所定角度は、0.125°である。
【0053】
数nの単純化3Dモデルのそれぞれについて、各定常輸送解析が実行され、実行されたn回の定常輸送解析のそれぞれの結果が後処理される。
【0054】
n回の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理することは、実行されたn回の定常輸送解析のそれぞれの結果を得ることを更に含み、実行されたn回の定常輸送解析のそれぞれの結果は、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件を含む。タイヤの摩耗に寄与する物理的条件は、横力、縦力及びタイヤスリップの少なくとも1つを含むことができる。
【0055】
n回の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理することは、実行されたn回の定常輸送解析のそれぞれの結果を更に含み、結果が、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件のそれぞれについて別々にマージされる。
【0056】
n回の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理することは、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件のそれぞれについての別々にマージされた結果に基づいてタイヤの摩滅への寄与を決定することと、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの平均摩耗率を決定することとを更に含む。
【0057】
図8は、複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理すること800の流れ図を示す。810では、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果が得られ、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果は、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件を含む。820では、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果がマージされ、結果が、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件のそれぞれについて別々にマージされる。830では、タイヤの摩滅への寄与は、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件のそれぞれについて別々にマージされた結果に基づく。840では、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの平均摩耗率が決定される。
【0058】
図9は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法の流れ図を示す。
【0059】
910では、摩擦エネルギー率を摩耗エネルギー率に変換するように構成されたタイヤの摩耗モデルが用意される。摩耗モデルは、例えばタイヤに作用する力等の実際の物理的条件に基づいて摩耗率を決定することを可能にする。
【0060】
一態様によれば、摩耗モデルは、生成される線形摩擦試験器によって異なるすべり速度、荷重及びすべり距離の少なくとも1つでタイヤの材料のブロックを試験することと、タイヤの材料のブロックの試験に少なくとも部分的に基づいて摩滅性モデル及び摩擦マップを生成することとに基づいて生成される。
【0061】
別の態様によれば、タイヤの摩耗モデルを用意することは、決定された摩耗エネルギー率に基づいて局部的な材料の摩滅の絶対値を用意することを更に含む。
【0062】
920では、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の三次元(3D)モデルが用意される。非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルは、完全なトレッドパターンを含むタイヤの実形状の高精度モデルを含む。
【0063】
一態様によれば、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルは、有限要素(FE)モデルに基づく。
【0064】
別の態様によれば、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルは、1つ若しくは複数の設計パラメータを調整することによって、又は非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの事前に評価された摩耗に基づいて修正されるように構成される。
【0065】
930では、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいた複数の単純化3Dモデルが生成される。複数の単純化3Dモデルを生成することは、複数の別個の定常輸送解析によって非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの解析を可能にする。
【0066】
一態様では、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成することは、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルの第1のセクターを規定することと、規定された第1のセクターを周期的に円形に配置することに少なくとも部分的に基づいてタイヤの複数の単純化3Dモデルの第1の単純化3Dモデル作成することと、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデルの少なくとも1つの更なるセクターを規定することであって、更なるセクターが、事前に規定されたセクターに対して所定角度だけシフトされる、規定することと、規定された少なくとも1つの更なるセクターを周期的に円形に配置することに少なくとも部分的に基づいてタイヤの複数の単純化3Dモデルの少なくとも1つの第2の単純化3Dモデルを作成することと
を更に含む。
複数の単純化3Dモデルのそれぞれは、タイヤの形状が周期的であるとの仮定のもとで、異なる角度位置における非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの転動プロセスのスタンプショットであると考えることができる。
【0067】
別の態様によれば、所定角度は、0.01°~1°の範囲である。所定角度は例えば、解析すべきタイヤの非軸対称トレッドパターンのレベル・オブ・ディテールに基づいて修正することができ、好ましい範囲は、0.15°~0.35°である。
【0068】
940では、複数の単純化3Dモデルのそれぞれに少なくとも部分的に基づいて複数の定常輸送解析が実行される。
【0069】
一態様によれば、定常輸送解析は、任意ラグランジュ-オイラー(ALE)法に基づく。
【0070】
950では、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果が後処理される。後処理は、時間及び計算資源の消費を低減しながら非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの解析の結果に対応する全体的な結果を得るように、複数の単純化3Dモデルのそれぞれに基づいて複数の定常輸送シミュレーションの結果の組合せを可能にする。
【0071】
一態様では、複数の定常輸送解析の結果を後処理することは、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を得ることであって、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果が、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件を含む、得ることと、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果をマージすることであって、結果が、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件のそれぞれについて別々にマージされる、マージすることと、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件のそれぞれについての別々にマージされた結果に基づいてタイヤの摩滅への寄与を決定することと、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの平均摩耗率を決定することとを含む。
【0072】
960では、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗は、実行された複数の定常輸送解析の後処理された結果及び摩耗モデルに基づいて評価される。
【0073】
一態様によれば、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法は、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの後処理された結果に少なくとも部分的に基づいてタイヤの摩耗の評価のための関連指標の履歴を構築することを更に含む。
【0074】
別の態様によれば、摩耗の評価のための関連指標は、スリップ、圧力及び摩擦の少なくとも1つを含む。
【0075】
更なる態様では、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第2の3Dモデルを用意することを更に含み、第2の3Dモデルは、第1の3Dモデルと異なる。上記方法は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第2の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成することを更に含む。上記方法は、複数の単純化3Dモデルのそれぞれ少なくとも部分的に基づいて定常輸送解析を実行することを更に含む。上記方法は、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理することと、実行された複数の定常輸送解析の後処理された結果及び摩耗モデルに基づいて非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価することとを更に含む。
【0076】
一態様によれば、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第2の3Dモデルは、1つ若しくは複数の設計パラメータを調整することによって、又は非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの事前に評価された摩耗に基づいて修正されるように構成される。
【0077】
別の態様によれば、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法は、評価された摩耗に関する1つ又は複数の所定判断基準に基づいて非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデル又は第2の3Dモデルのうちの1つを特定することを更に含む。例えば、あらかじめ選択された特定の判断基準(例えば、寿命/マイレージ)に関して最良の性能を発揮する非軸対称パターンを有するタイヤの3Dモデル(特定のトレッドパターンを含む)を特定することができる。
【0078】
図10は、本開示による、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するための装置のブロック
図1000を示す。上記装置は、複数の単純化3Dモデルを生成するためのモデル生成器1030、定常輸送解析装置1040、ポストプロセッサ1050及び摩耗評価器1060を備える。
【0079】
モデル生成器1030は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデル1010、及び摩擦エネルギー率を摩耗エネルギー率に変換するように構成されたタイヤの摩耗モデル1020を受領することができる。
【0080】
一態様によれば、モデル生成器1030によって受領される非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデル1010は、有限要素(FE)モデルに基づく。
【0081】
別の態様によれば、モデル生成器1030によって受領される非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデル1010は、1つ若しくは複数の設計パラメータを調整することによって、又は非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの事前に評価された摩耗に基づいて修正されるように構成される。
【0082】
一態様によれば、モデル生成器1030によって受領される摩耗モデル1020は、線形摩擦試験器によって異なるすべり速度、荷重及びすべり距離の少なくとも1つでタイヤの材料のブロックを試験することと、タイヤの材料のブロックの試験に少なくとも部分的に基づいて摩滅性モデル及び摩擦マップを生成することとに基づいて生成される。
【0083】
別の態様によれば、モデル生成器1030は、決定された摩耗エネルギー率に基づいて局部的な材料の摩滅の絶対値を決定することができる。
【0084】
モデル生成器1030は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルの第1の3Dモデル1010を更に生成することができる。
【0085】
一態様では、モデル生成器1030によって非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデル1010に少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成することは、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデル1010の第1のセクターを規定することと、規定された第1のセクターを周期的に円形に配置することに少なくとも部分的に基づいてタイヤの複数の単純化3Dモデルの第1の単純化3Dモデルを作成することと、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデル1010の少なくとも1つの更なるセクターを規定することであって、更なるセクターが、事前に規定されたセクターに対して所定角度だけシフトされる、規定することと、規定された少なくとも1つの更なるセクターを周期的に円形に配置することに少なくとも部分的に基づいてタイヤの複数の単純化3Dモデルの少なくとも1つの第2の単純化3Dモデルを作成することとを更に含む。複数の単純化3Dモデルのそれぞれは、タイヤの形状が周期的であるとの仮定のもとで、異なる角度位置における非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの転動プロセスのスタンプショットであると考えることができる。
【0086】
別の態様によれば、所定角度は、0.01°~1°の範囲である。所定角度は例えば、解析すべきタイヤの非軸対称トレッドパターンのレベル・オブ・ディテールに基づいて修正することができる。所定角度の好ましい範囲は、0.15°~0.35°である。
【0087】
定常輸送解析装置1040は、複数の単純化3Dモデルのそれぞれに少なくとも部分的に基づいて複数の定常輸送解析を実行することができる。
【0088】
一態様によれば、定常輸送解析装置1040によって実行された定常輸送解析は、任意ラグランジュ-オイラー(ALE)法に基づく。
【0089】
ポストプロセッサ1050は、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理することができる。
【0090】
一態様では、ポストプロセッサ1050によって複数の定常輸送解析の結果を後処理することは、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を得ることであって、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果が、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件を含む、得ることと、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果をマージすることであって、結果が、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件のそれぞれについて別々にマージされる、マージすることと、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件のそれぞれについての別々にマージされた結果に基づいてタイヤの摩滅への寄与を決定することと、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの平均摩耗率を決定することとを含む。
【0091】
摩耗評価器1060は、実行された複数の定常輸送解析の後処理された結果及び摩耗モデル1020に基づいて非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価することができる。
【0092】
一態様によれば、摩耗評価器1060は、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの後処理された結果に少なくとも部分的に基づいてタイヤの摩耗を評価するための関連指標の履歴を構築することができる。
【0093】
別の態様によれば、摩耗の評価のための関連指標は、スリップ、圧力及び摩擦の少なくとも1つを含む。
【0094】
更なる態様では、モデル生成器1030は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第2の3Dモデル1015を受領することができ、第2の3Dモデル1015は、第1の3Dモデル1010と異なる。モデル生成器1030は、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第2の3Dモデル1015に少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを更に生成することができる。定常輸送解析装置1040は、複数の単純化3Dモデルのそれぞれに少なくとも部分的に基づいて複数の定常輸送解析を実行することができる。ポストプロセッサ1050は、実行された複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理することができ、摩耗評価器1060は、定常輸送解析装置1040によって実行された複数の定常輸送解析の後処理された結果及び摩耗モデル1020に基づいて非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価することができる。
【0095】
一態様によれば、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第2の3Dモデル1015は、1つ若しくは複数の設計パラメータを調整することによって、又は非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの事前に評価された摩耗に基づいて修正されるように構成される。
【0096】
別の態様によれば、非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するための装置は、評価された摩耗に関する1つ又は複数の所定判断基準に基づいて非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの第1の3Dモデル1010又は第2の3Dモデル1015のうちの1つを特定することができる。例えば、あらかじめ選択された特定の判断基準(例えば、寿命/マイレージ)に関して最良の性能を発揮する非軸対称パターンを有するタイヤの3Dモデル1010、1015(特定のトレッドパターンを含む)を特定することができる。
【手続補正書】
【提出日】2025-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法(900)であって、
摩擦エネルギー率を摩耗エネルギー率に変換するように構成された前記タイヤの摩耗モデルを用意することと、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの第1の三次元(3D)モデルを用意すること(920)と、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの前記第1の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成すること(930、600)と、
前記複数の単純化3Dモデルのそれぞれに少なくとも部分的に基づいて複数の定常輸送解析を実行すること(940)と、
実行された前記複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理すること(950、800)と、
実行された前記複数の定常輸送解析の後処理された前記結果及び前記摩耗モデルに基づいて前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの摩耗を評価すること(960)と
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、
実行された前記複数の定常輸送解析のそれぞれの後処理された前記結果に少なくとも部分的に基づいてタイヤの摩耗の評価のための関連指標の履歴を構築することを更に含む方法。
【請求項3】
請求項
1に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの前記第1の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成すること(930、600)が、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの前記第1の3Dモデルの第1のセクターを規定すること(610)と、
規定された前記第1のセクターを周期的に円形に配置することに少なくとも部分的に基づいて前記タイヤの前記複数の単純化3Dモデルの第1の単純化3Dモデルを作成すること(620)と、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの前記第1の3Dモデルの少なくとも1つの更なるセクターを規定すること(630)であって、前記少なくとも1つの更なるセクターが、事前に規定されたセクターに対して所定角度だけシフトされる、規定すること(630)と、
規定された前記少なくとも1つの更なるセクターを周期的に円形に配置することに少なくとも部分的に基づいて前記タイヤの前記複数の単純化3Dモデルの少なくとも1つの第2の単純化3Dモデルを作成すること(640)と
を更に含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、前記所定角度が、前記非軸対称トレッドパターンのレベル・オブ・ディテールに応じて0.01°~1°の範囲であり、好ましい範囲が、0.15°~0.35°である、方法。
【請求項5】
請求項
1に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、前記摩擦エネルギー率を前記摩耗エネルギー率に変換するように構成された前記タイヤの前記摩耗モデルが、
線形摩擦試験器によって異なるすべり速度、荷重及びすべり距離の少なくとも1つで前記タイヤの材料のブロックを試験すること(410)と、
前記タイヤの前記材料の前記ブロックの前記試験に少なくとも部分的に基づいて摩滅性モデル及び摩擦マップを生成すること(420)と
に少なくとも部分的に基づいて生成される(400)、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、前記摩擦エネルギー率を前記摩耗エネルギー率に変換するように構成された前記タイヤの前記摩耗モデルを用意することが、
決定された摩耗エネルギー率に基づいて局部的な材料の摩滅の絶対値を用意することを更に含む、方法。
【請求項7】
請求項
1に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、前記定常輸送解析が、任意ラグランジュ-オイラー(ALE)法に基づく、方法。
【請求項8】
請求項
1に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの前記第1の3Dモデルが、有限要素(FE)モデルである、方法。
【請求項9】
請求項
1に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、摩耗の評価のための前記関連指標が、スリップ、圧力及び摩擦の少なくとも1つを含む、方法。
【請求項10】
請求項
1に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、前記複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理すること(950、800)が、
実行された前記複数の定常輸送解析のそれぞれの前記結果を得ること(810)であって、実行された前記複数の定常輸送解析のそれぞれの前記結果が、タイヤの摩耗に寄与する1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件を含む、得ること(810)と、
実行された前記複数の定常輸送解析のそれぞれの前記結果をマージすること(820)であって、前記結果が、タイヤの摩耗に寄与する前記1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件のそれぞれについて別々にマージされる、マージすること(820)と、
タイヤの摩耗に寄与する前記1つ又は複数のシミュレーションされた物理的条件のそれぞれについての別々にマージされた前記結果に基づいてタイヤの摩滅への寄与を決定すること(830)と、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの平均摩耗率を決定すること(840)と
を含む、方法。
【請求項11】
請求項
1に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの前記第1の3Dモデルが、1つ若しくは複数の設計パラメータを調整することによって、又は前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの事前に評価された摩耗に基づいて修正されるように構成される、方法。
【請求項12】
請求項
1に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの第2の3Dモデルを用意することであって、前記第2の3Dモデルが前記第1の3Dモデルと異なる、用意することと、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの第2の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成することと、
前記複数の単純化3Dモデルのそれぞれに少なくとも部分的に基づいて複数の定常輸送解析を実行することと、
実行された前記複数の定常輸送解析のそれぞれの前記結果を後処理することと、
実行された前記複数の定常輸送解析の後処理された前記結果及び前記摩耗モデルに基づいて前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの摩耗を評価することと
を更に含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの第2の3Dモデルが、1つ若しくは複数の設計パラメータを調整することによって、又は前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの事前に評価された摩耗に基づいて修正されるように構成される、方法。
【請求項14】
請求項
12に記載の非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するためのコンピュータによって実行される方法であって、評価された前記摩耗に関する1つ又は複数の所定判断基準に基づいて前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの前記第1の3Dモデル又は前記第2の3Dモデルのうちの1つを特定することを更に含む方法。
【請求項15】
非軸対称トレッドパターンを有するタイヤの摩耗を評価するための装置であって、
摩擦エネルギー率を摩耗エネルギー率に変換するように構成された前記タイヤの摩耗モデルを用意するための手段と、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの第1の三次元(3D)モデルを用意するための手段と、
前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの前記第1の3Dモデルに少なくとも部分的に基づいて複数の単純化3Dモデルを生成するための手段と、
前記複数の単純化3Dモデルのそれぞれに少なくとも部分的に基づいて定常輸送解析を実行するための手段と、
実行された前記複数の定常輸送解析のそれぞれの結果を後処理するための手段と、
実行された前記複数の定常輸送解析の後処理された前記結果及び前記摩耗モデルに基づいて前記非軸対称トレッドパターンを有する前記タイヤの摩耗を評価するための手段と
を備える装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、請求項2から14のいずれか一項に記載の方法のいずれかを実行するように構成された手段を更に備える装置。
【請求項17】
コンピュータプログラムであって、当該プログラムがコンピュータによって実行されると、前記コンピュータに請求項1から14のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【国際調査報告】