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特表2025-520935有機化合物におけるまたはこれに関する改善
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-03
(54)【発明の名称】有機化合物におけるまたはこれに関する改善
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/40 20160101AFI20250626BHJP
   A23L 5/43 20160101ALI20250626BHJP
   A23L 5/49 20160101ALI20250626BHJP
   A23L 5/46 20160101ALI20250626BHJP
   A23J 3/14 20060101ALI20250626BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20250626BHJP
   A23L 17/00 20160101ALI20250626BHJP
   A23L 2/58 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
A23L5/40
A23L5/43
A23L5/49
A23L5/46
A23J3/14
A23L13/00 Z
A23L13/00 D
A23L17/00 Z
A23L2/58
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025500083
(86)(22)【出願日】2023-06-15
(85)【翻訳文提出日】2025-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2023066065
(87)【国際公開番号】W WO2024002708
(87)【国際公開日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】22182627.4
(32)【優先日】2022-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】63/429,010
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シューケット,ラージャ
(72)【発明者】
【氏名】ワード-ロサーハム,ケリー
(72)【発明者】
【氏名】アヴィレス,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーヴィスコンレイ,ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】ポルテ,ケリー
【テーマコード(参考)】
4B018
4B042
4B117
【Fターム(参考)】
4B018LB05
4B018LB06
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE02
4B018MA01
4B018MA02
4B018MA03
4B018MA04
4B018MA05
4B018MA06
4B018MA07
4B018MA08
4B018MB03
4B018MB04
4B018MC04
4B018MD02
4B018MD09
4B018MD14
4B018MD20
4B018MD35
4B018ME14
4B018MF02
4B042AC02
4B042AD20
4B042AD36
4B042AD37
4B042AE03
4B042AE08
4B042AK01
4B042AK06
4B042AK10
4B042AK11
4B042AP14
4B117LC01
4B117LG01
4B117LG08
4B117LK01
4B117LK06
4B117LL03
(57)【要約】
本発明は、食品および飲料製品に組み込まれると、保存期間が安定し、かつ、必要に応じて、刺激、例えば加熱に応じて、望ましい色の推移を与える着色剤組成物に関する。該着色組成物は、色素と、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩との革新的な組み合わせに基づいている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色素と、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩とを含む着色剤組成物であって、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩がカプセル化媒体にカプセル化されている、前記着色剤組成物。
【請求項2】
色素が、pH変化、温度変化、金属カチオンおよび/またはイオン強度の増加に対して感受性である、請求項1に記載の着色剤組成物。
【請求項3】
色素が、フィコエリスロビリン(例えば、フィコエリスリン)、アントシアニン(例えば、ペラルゴニジンベースのアントシアニン、シアニジンベースのアントシアニン、およびペオニジンベースのアントシアニン)、ベタレイン(例えば、ベタシアニン、ベタキサンチン)、サンタリン、金属と錯体を形成したサンタリン、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の着色剤組成物。
【請求項4】
カラメル、カラメル化された果物および野菜ジュース、焦がし砂糖、カラメル色素、カロテノイド、麦芽、モロコシ、果汁抽出物、酸化鉄色素、クロロフィル、金属置換クロロフィル、クロロフィリン、金属置換クロロフィリン、アザフィロン、メラニン、インジゴジン、モナシン、アントラキノン、またはそれらの混合物からなる群から選択される1以上の追加の色素材料を含む、請求項3に記載の着色剤組成物。
【請求項5】
色素が、フィコエリスロビリン(例えば、フィコエリスリン)、アントシアニン(例えば、ペラルゴニジンベースのアントシアニン、シアニジンベースのアントシアニン、およびペオニジンベースのアントシアニン)、ベタレイン(例えば、ベタシアニン、ベタキサンチン)、カラメル、カラメル化された果物および野菜ジュース、焦がし砂糖、カラメル色素、カロテノイド、麦芽、モロコシ、果汁抽出物、酸化鉄色素、クロロフィル、金属置換クロロフィル、クロロフィリン、金属置換クロロフィリン、アザフィロン、メラニン、インジゴジン、モナシン、アントラキノン、サンタリン、金属と錯体を形成したサンタリン、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の着色剤組成物。
【請求項6】
フィコエリスロビリンが、藍藻、クリプト藻、および紅藻、例えばporphyra tenera、ならびに微細藻、例えばPseudanabaena sp、Pseudanabaena sp、Anabaena circinalis、Pseudanabaena sp、Porphyridium purpureum、Porphyridium cruentum、および/またはAnabaena circinalisから得られたフィコエリスリンである、請求項3~5のいずれか一項に記載の着色剤組成物。
【請求項7】
アントシアニンが、赤ジャガイモ、黒ニンジン、トウモロコシ、ブドウ、ベリーおよび、ハイビスカス、および/または赤大根から得られたものである、請求項3~5のいずれか一項に記載の着色剤組成物。
【請求項8】
ベタレインが、ビートルート、ドラゴンフルーツ(ヒロセレウス)、および/またはカクタスペア(オプンティア)から得られたベタインである、請求項3~5のいずれか一項に記載の着色剤組成物。
【請求項9】
アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩が、以下の技術:造粒技術(乾式造粒および湿式造粒の両方を包含する)、スプレー凝固、溶融乳化、封入の1以上によってカプセル化されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の着色剤組成物。
【請求項10】
色素が、以下の技術:造粒技術(乾式造粒および湿式造粒の両方を包含する)、スプレー凝固、溶融乳化、封入の1以上によってカプセル化されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の着色剤組成物。
【請求項11】
色素と、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩とが、一緒にカプセル化されている、請求項10に記載の着色剤組成物。
【請求項12】
カプセル化媒体が、脂肪、またはワックス、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の着色剤組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に定義されるとおりの着色剤組成物および可食基質を含む、食品または飲料製品。
【請求項14】
肉類似製品、例えば、植物ベースの肉類似製品、培養肉細胞を含む肉類似製品、または植物ベースの肉類似体および培養肉細胞を含むハイブリッド製品、特に牛肉またはマグロを模倣した植物ベース製品である、請求項13に記載の食品または飲料製品。
【請求項15】
冷却条件下での保管時に製品の色が安定している、請求項13または14に記載の製品。
【請求項16】
請求項1~12のいずれか一項に定義されるとおりの着色剤組成物を請求項13~15のいずれか一項に定義されるとおりの食品または飲料製品に組み込む方法であって、方法が、色素、およびカプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩の、該製品への、同時、別々、または逐次の添加のステップを含む、前記方法。
【請求項17】
請求項13~16のいずれか一項に定義される食品または飲料製品において色の変化をもたらす方法であって、方法が、a)請求項1~12のいずれか一項に定義されるとおりの色素と、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩とを可食ベースに、同時に、別々に、または逐次に添加するステップ、およびb)ステップa)で得られた食品または飲料を、エネルギープロセス、例えば、熱、および/または機械的エネルギーの適用に供与し、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩を放出するステップを含む、前記方法。
【請求項18】
食品または飲料製品において色の変化に影響を与えるためのカプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩の使用であって、製品が、請求項1~12のいずれか一項に定義されるとおりの着色剤組成物、またはpH変化、温度変化、金属カチオンおよび/またはイオン強度の増加に感受性である色素を含み、ここで、製品が加熱され、および/または機械的エネルギーに供与されると、色の変化が影響を受ける、前記使用。
【請求項19】
食品または飲料製品における色の変化が、加熱または機械的エネルギー後のアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩による色素の分解または変質から生じる、請求項17に記載の方法、または請求項18に記載の使用。
【請求項20】
着色剤が、フィコエリスロビリン(例えば、フィコエリスリン)、アントシアニン(例えば、ペラルゴニジンベースのアントシアニン、シアニジンベースのアントシアニン、およびペオニジンベースのアントシアニン)、ベタレイン(例えば、ベタシアニン、ベタキサンチン)、カラメル、カラメル化された果物および野菜ジュース、焦がし砂糖、カラメル色素、カロテノイド、麦芽、モロコシ、果汁抽出物、酸化鉄色素、クロロフィル、金属置換クロロフィル、クロロフィリン、金属置換クロロフィリン、アザフィロン、メラニン、インジゴジン、モナシン、アントラキノン、サンタリン、金属と錯体を形成したサンタリン、またはそれらの混合物からなる群から選択される色素を含み、可食ベースが、植物性/植物タンパク質を含み、カプセル化されたアルカリが、重炭酸ナトリウムであり、ならびに、熱および/または機械的エネルギー後のΔEが、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、例えば、少なくとも5、例えば、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、例えば、少なくとも9である、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項21】
着色剤が、ベタニン(例えば、赤ビートベタニン)、ブルガキサンチン(例えば、黄ビートブルガキサンチン)、フィコエリスリン、および/またはアントシアニン(例えば、トウモロコシアントシアニン)を含み、可食ベースが、植物性/野菜タンパク質を含み、カプセル化されたアルカリが、重炭酸ナトリウムであり、熱および/または機械的エネルギー後のΔEが少なくとも4、例えば、少なくとも5、例えば、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、例えば、少なくとも9である、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項22】
アルカリが、造粒技術(乾式造粒および湿式造粒の両方を包含する)、スプレー凝固、溶融乳化、封入の1以上によってカプセル化されている、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項23】
着色剤または可食ベースが、カラメル、カラメル化された果物および野菜ジュース、焦がし砂糖、カラメル色素、カロテノイド、麦芽、モロコシ、果汁抽出物、酸化鉄色素、クロロフィル、金属置換クロロフィル、クロロフィリン、金属置換クロロフィリン、アザフィロン、メラニン、インジゴジン、モナシン、アントラキノン、またはそれらの混合物からなる群から選択される1以上の追加の色素材料をさらに含む、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法または使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、加工食品または飲料製品への刺激、例えば、熱の適用に応じて、該製品において色の変化をもたらすための方法および組成物に関係する。より具体的には、本発明は、肉類似製品を調理するプロセスの間、該製品において色の変化をもたらす方法および組成物に関係する。本発明はまた、該組成物を含有する、加工食品または飲料、およびより具体的には肉類似製品に関係する。
【0002】
本発明の背景
色は食品および飲料の知覚において決定的な役割を果たす。フレーバーおよび食感と共に、色は、食品および飲料の品質の知覚の大きな要因であると考えられる。色と消費者の品質の知覚との関係は、食品または飲料の初期の色に止まらない。食品および飲料が加工されるときに発生する色の推移も、品質の知覚に重要な役割を果たす。保管中の食品および飲料における色の変化は消費者にとって懸念事項であるが、加工(例として、調理)中の色の変化は、色の変化の程度および速度が適切であれば、完全に予想され、実際に望ましいものである。そのため、消費者は大抵、調理中の予測できる色の変化、例えば、肉片の赤-ピンク~灰-褐への色の変化に関心がある。しかし、時折、例えば、カクテルを混合する、または子供用の飲料または菓子製品を攪拌するとき、色の変化を設計して、印象的で驚くほど本格的な色の効果を創出することができる。
【0003】
色の変化の程度および速度の両方を制御することは、肉類似製品において殊更重要である。消費者は、個人の健康およびウェルビーイングを集約的な農業慣行の環境インパクトについての懸念と共にバランスをとることを探索しているため、低減された肉の消費に基づく食生活がますます人気になってきている。肉類似製品、例えば、植物ベースの肉、培養肉、および前述の混合物を含有するハイブリッド製品は、大衆意識においてますます注目を集めている。そして、これは、加工食品業界において、保管中および調理中の両方で、味、食感、外観の点で実際の肉のような魅力的な肉類似製品を創出するプレッシャーを高まらせている。調理プロセスの間の肉の特徴を模倣することは、殊更困難な課題である。それらの特徴の1つは、肉製品の、生の赤みを帯びたまたはピンクの外観から、調理時の褐色を帯びたまたは褐灰への色の推移である。製品の保存期間中に生の肉のピンクを帯びた赤の外観を保持することが、与えられなければならない別の重要な特徴である。
【0004】
調理されていない肉類似製品に赤色またはピンク色を付与するためには、添加色素を採用することが一般的である。これは、多くの肉類似製品の主要な構成物質である植物ベースタンパク質が、典型的には、白色から黄色、または、薄褐色から黄褐色であるため、必要である。現在かかる製品に添加される色素の例は、これらに限定されないが、アスタキサンチン、赤ビートの粉末またはジュース、パプリカ、ターメリック、またはイチゴ、赤ラズベリー、赤キャベツから得られた果物または野菜由来の着色剤、または同様のものを包含する。
【0005】
課題であるのは、一部のこれらの着色剤、例えば、アスタキサンチンまたはビート由来の材料は、比較的熱に安定であることである。例証として、ビート由来の着色剤が肉類似ハンバーガーに添加されると、フライパンにおいて数分間165°F(74℃)に調理後でさえ、ハンバーガーの内側はピンク色またはオレンジ色のままであり得る。一部の消費者は、この色の変化の欠如を製品が完全には調理されていないしるしと解釈し、製品に消費のための最適な状態を与えるために、望ましいよりも長い期間または高い温度で製品を調理し続ける。従って、必要な調理温度で合理的な時間内に、製品の全体にわたって望ましい色の推移が創出されるように、色素の慎重な選択が必要とされる。
【0006】
一方、一部の色素は比較的不安定であり、室温、または冷蔵温度でさえ、保管中に肉類似製品に望ましくない色の推移を引き起こし得る。
【0007】
保管中に必要な安定性を呈するが、調理中に製品にわたって迅速かつ広く色を変化させる色素を選択することは、容易な仕事ではなく、その結果、利用可能な天然成分の範囲は厳しく限定される。GMO着色剤は既知であり、ヘム含有タンパク質着色剤の例は、US9,808,029に記載されている。材料は、工業規模で遺伝子組み換え酵母細胞から製造される。しかしながら、消費者は依然として懐疑的であり、倫理的、宗教的、健康およびウェルビーイングに関連する他の理由から、それらを拒否する可能性がある。
【0008】
先行技術の欠陥に対処する必要性、ならびに、加工食品および飲料に色を加わることができ、保存期間が安定しており、かつ、必要に応じて、刺激、例えば、調理中の熱に応じて、望ましい色の推移を与える、有用な色素の範囲を拡大する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0009】
発明の概要
本出願人は、食品および飲料製品に組み込まれると、保存期間が安定し、および必要に応じて、刺激、例えば熱に応じて望ましい色の推移を与える着色剤組成物を、驚くべき方法で発見した。該着色組成物は、色素と、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩との革新的な組み合わせに基づいている。
【0010】
従って、本発明は、第一の側面において、色素と、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩とを含む着色剤組成物であって、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩は、カプセル化媒体にカプセル化されている、前記着色剤組成物を提供する。
【0011】
第二の側面において、本発明は、着色剤組成物および可食基質を含む、食品または飲料製品を提供する。
【0012】
第三の側面において、本発明は、着色剤組成物を可食基質に組み込んで食品または飲料製品を提供する方法であって、方法が、色素、およびカプセル化されたアルカリ材料の、可食基質への、同時、別々、または逐次の添加のステップを含む、前記方法を提供する。
【0013】
第四の側面において、本発明は、食品または飲料製品において色の変化をもたらす方法であって、方法が、a)本明細書に定義されるとおりの色素と、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩とを、可食ベースに、同時に、別々に、または逐次に添加するステップ、およびb)ステップa)で得られた食品または飲料を、エネルギープロセス、例えば、熱および/または機械的エネルギーの適用に供与し、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩を放出するステップを含む、前記方法を提供する。
【0014】
第五の側面において、本発明は、食品または飲料製品において色の変化に影響を与えるためのカプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩の使用であって、製品が、本明細書に定義されるとおりの着色剤組成物を含み、製品が刺激、例えば、熱および/または機械的エネルギーに供与されると色の変化が影響を受ける、前記使用に関する。
【0015】
本発明の述べられた側面または態様のいずれか1以上に関連して提供される詳細、例および選好は、本明細書においてさらに説明され、本発明の全ての側面および態様に等しく適用される。本明細書に記載される態様、例および選好の、それらの全ての可能なバリエーションにおける、あらゆる組み合わせは、本明細書に別段に指し示されない限り、または文脈と明確に矛盾しない限り、本発明によって網羅される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図面の簡単な説明
図1】フィコエリスリン含有パテの調理中の色の転換に対するpH増加のインパクト。
図2図2A:フィコエリスリン含有パテの保存期間(冷蔵保管)中の初期色に対するpH増加のインパクト。図2B:アルカリ材料がカプセル化されているとき、冷蔵保管条件下でフィコエリスリン含有パテの色のシフトがないことを示している。
図3】ベタニンおよびアントシアニン含有パテの調理中の色の変換に対するアルカリ材料のインパクト。
図4】サンタリン含有パテの調理中の色の変換に対する酸のインパクト。
図5】ビート/アントシアニン/麦芽ブレンドパテの調理中の色の変換に対するアルカリのインパクト。
図6】ビート/アントシアニン/調理済リンゴジュースブレンドパテの調理中の色の変換に対するアルカリのインパクト。
【0017】
本発明の詳細な説明
本発明は、色素、例えば、フィコエリスリン、ベタニン、アントシアニンの望ましい色の変化を開始および/または促進するためのpHトリガーの使用に基づく。トリガーは、アルカリ材料、および酸材料、または金属カチオンおよび/または金属塩、またはそれらの混合物である材料をカプセル化するカプセル化媒体にエネルギー刺激、例えば、熱または機械的エネルギーを適用することによって作動し、該材料が色素と接触し、色素が分解または変質し、その色彩特性を変化させる。色素および色素の色を変えることができる材料の両方を含む加工食品または飲料製品における使用に好適であり、色素および材料が適切なエネルギー刺激によって作用されるまでカプセル化媒体によって空間的に分離されている本明細書に定義されるとおりの着色組成物は、本出願人によって新規であると考えられている。
【0018】
簡潔にするために、本発明は、組成物がカプセル化されたアルカリを含有し、色の変化のトリガーがpHトリガーである態様を参照してさらに説明される。しかしながら、本明細書で述べられるとおり、他のカプセル化された材料およびトリガーも本発明によって考慮される。
【0019】
さらにまた、着色剤組成物が食品または飲料製品に組み込まれると、色の変化は製品全体にわたって実質的に均一に分布する。なおさらに、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩が色素に作用すると、肉類似製品において製品の調理中の色の変化の速度が実際の肉のそれを模倣するように、色の変化を促進する。色の変化は実質的に、均一に広くおよび迅速であるため、消費者は過度に調理すること、または高温で調理することを防ぐ確認の視覚的合図を受け取る。本発明の着色剤組成物を含有する植物ベースの肉パテの具体的な例において、華氏約165度の揚げ温度でわずか数分調理した後、パテの中心まで色の変化が観察され、過度の調理を避けることができる。
【0020】
この新規のアプローチの別の利点は、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩がカプセル化されているため、製品が保管の条件下で長期間色の変化に耐えるという事実の中にある。
【0021】
用語「色」は、色の特性、例えば、色相、彩度、純度、彩度、強度、鮮明度、値、明度、輝度、および暗度、およびこれらの特性を説明するために使用される色モデルシステムパラメータ(例えば、国際照明委員会CIE、1976 CIELAB色空間L*a*b*値)を指す。
【0022】
用語「色相」は、色にその名前を付ける色の特性、例えば、赤、青、および褐色を指す。
【0023】
用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「包含する(includes)」、「包含する(including)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」またはあらゆる他のバリエーションには制限がなく、要素の記述されたリストを「含む」、「有する」、「包含する」、または「含有する」物品、装置、化合物、組成物、組み合わせ、方法、またはプロセスは、それらの要素のみを包含するだけではなく、明細書または特許請求の範囲に明示的に列挙、記述、または記載されていない他の要素を包含してもよいように、要素の非排他的包含をカバーすることが意図されている。「ある・・・を含む(comprises ... a)」、「ある・・・を含有する(contains ...a)」、「ある・・・を有する(has ... a)」、または「ある・・・を包含する(includes ... a)」という言語により先行される要素または特色は、さらなる制約なしに、当該要素または特色を含むか、含有するか、有するか、または包含する物品、装置、化合物、組成物、組み合わせ、方法、またはプロセスにおける、追加の要素または特色の存在または包含を排除するものではない。
【0024】
用語「a」および「an」は、明示的に別段に述べられるかまたは本明細書における他の言語により制約されない限り、1以上として定義される。「a」または「an」により先行される要素または特色は、記述される要素もしくは特色の1、または要素もしくは特徴の1より多くとして解釈されてもよい。実例として、色素CGAは、1の色素として、または1より多くの色素として解釈され得る。
【0025】
用語「約(about)」、「およそ(approximately)」、「本質的に」、「実質的に」、それらのあらゆる他のバージョン、または他の同様の関連用語、または同様の近似(approximation)の用語は、当業者により理解されるものに近いと定義される。非限定的な例示的な態様として、これらの用語は、記述される値の20%以内であると定義されるか、または記述される値の10%以内であると定義されるか、または記述される値の5%以内であると定義されるか、または記述される値の4%以内であると定義されるか、または記述される値の3%以内であると定義されるか、または記述される値の2%以内であると定義されるか、または記述される値の1%以内であると定義されるか、または記述される値の0.5%以内であると定義されるか、または記述される値の0.25%以内であると定義されるか、または記述される値の0.1%以内であると定義される。
【0026】
重量パーセントにおける量が本開示において記載されているとき、その範囲内の、エンドポイントを包含する、任意のおよび全ての量が、明示的に開示されているとみなされることが意図されることが、理解されるべきである。例えば、「約1~約10の範囲」の開示は、約1と約10との間の連続に沿った、各々のおよび全ての可能な数を指し示しているものとして読解されるべきである。本発明者らは、範囲内の任意のおよび全てのデータポイントが特定されているとみなされるべきであり、ならびに発明者らはその全範囲および範囲内の全ての点の占有を有していると解し、そう理解していることが、理解されるべきである。
【0027】
本発明の第一の側面に関して、着色剤組成物は、色素(1以上の色素)と、好適なカプセル化媒体にカプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩とを含む。
【0028】
本明細書において使用されるとき、用語「色素」は、異なる波長の光を吸収または散乱することによって色を付与するあらゆる物質を指す。
【0029】
本発明で使用される色素(単数または複数)は、pHに感受性であり、および/または温度に感受性(熱的に感受性)であり得る。
【0030】
本発明において「pHに感受性な」色素とは、pHの変化にさらされると色の変化を受ける(例えば、CIELABを使用して、または分光光度計を使用してUV-Vis吸収によって測定される)色素として理解される。色の変化は、色の保持の変化またはスペクトルのシフトであり得る。特定の態様において、色の変化は、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、または少なくとも40%の変化である。pHに感受性な色素の例は、限定されないが、アントシアニン(色素の変化)、カルミン(酸性pHで沈殿する)、フィコシアニンまたはサンタリン(酸性pHで分解し、沈殿する)を包含する。
【0031】
本発明において「熱的に感受性な」色素とは、温度の変化にさらされると色の変化を受ける(例えば、CIELABを使用して、または分光光度計を使用してUV-Vis 吸収によって測定される)色素として理解される。色の変化は、色の保持の変化またはスペクトルのシフトであり得る。特定の態様において、色の変化は、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、または少なくとも40%の変化である。一般に、熱的に感受性な色素は、色素が高温にさらされると色の変化を受ける。熱的に感受性な色素の例は、限定されないが、ベタニンおよびその誘導体(例えば、ベタキサンチン)、フィコビリン(例えば、フィコシアニン)等を包含する。
【0032】
特定の態様において、色素はpHに対してのみ感受性であるか、または温度変化に対してのみ感受性である。
【0033】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、フィコエリスリン色素などの特定の色素の分解および色の変化が、色素が塩基性条件下において高温に供与されると増強されることを観察した。本出願の例1は、pHを増加させるとフィコエリスリンの熱分解を促進し、よって色の変化がより速く、より効率的になることを実証した。
【0034】
特定の態様において、色素はpHおよび熱的に感受性である。
【0035】
ある色素は、他の条件に対して感受性であり得る。例えば、ビートルート由来のベタレインの分解は、FE2+/FE3+、AL3+の存在下で促進される。また、他の天然色素の分解も、高イオン強度(媒体中の塩の高含量)を使用して促進され得る。
【0036】
したがって、特定の態様において、色素は、イオン強度の増加または金属カチオン(例えば、FE2+/FE3+、AL3+)の存在に感受性である。本発明において金属カチオンおよび/または塩を使用することで、他の条件、例えばpH変化および/または温度変化に対する色素の感受性を増加させ得る。
【0037】
既に言及されるとおり、色素は、本明細書に記載される1以上の条件に感受性であり得る。例えば、色素は、pHのみに、温度のみに、またはイオン強度の増加に感受性であり得る。特定の態様において、色素は、1より多くの条件、例えば、pHかつ温度、または温度かつイオン強度等に感受性である。
【0038】
本発明に有用な色素は、天然源、例えば、植物、真菌、細菌、藻、または動物源から得られたものを包含する。それらは天然のもの、すなわち自然の状態から改変されず抽出されたもの、または自然の状態から採取されて精製されたもの、またはさらに化学的に改変されたものであり得る。また、発酵から得られた色素も本発明において使用され得る。
【0039】
特定の態様において、色素は、フィコエリスロビリン(例えば、フィコエリスリン)、アントシアニン(例えば、ペラルゴニジンベースのアントシアニン、シアニジンベースのアントシアニン、およびペオニジンベースのアントシアニン)、ベタレイン(例えば、ベタシアニン、ベタキサンチン)、カラメル、カラメル化された果物および野菜ジュース、焦がし砂糖、カラメル色素、カロテノイド、麦芽、モロコシ、果汁抽出物、酸化鉄色素、クロロフィル、金属置換クロロフィル、クロロフィリン、金属置換クロロフィリン、アザフィロン、メラニン、インジゴジン、モナシン、アントラキノン、サンタリン、金属と錯体を形成したサンタリン、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0040】
本発明において1以上の色素を併用できることが理解される。
【0041】
特定の態様において、生の状態の肉を連想させる、食品製品における赤-ピンク色を創出する能力に基づいて色素が選択されてもよい。しかしながら、本発明に従う着色剤組成物に有用な色素は熱的に不安定であり、その特徴的な赤-ピンク色は加熱されると薄れる。
【0042】
本発明の具体的な態様において、組成物はフィコエリスロビリン色素を含み得る。有用なフィコエリスロビリン色素とは、WO2022043059により詳細に記載されているものを包含し、この色素は参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
フィコエリスロビリン色素の殊更有用な例は、フィコエリスリンである。
【0044】
フィコエリスリンは、主に藍藻、クリプト藻および紅藻、例えば、porphyra tenera、ならびに微細藻、例えば、Pseudanabaena sp、Pseudanabaena sp、Anabaena circinalis、Pseudanabaena sp、Porphyridium purpureum、ポPorphyridium cruentumおよびAnabaena circinalisにおいて産生される。フィコエリスリンは、その起源および吸収スペクトルに基づいて、R-フィコエリスリン(R-PE)、B-フィコエリスリン(B-PE)、C-フィコエリスリン(C-PE)、B-フィコエリスリン(B-PE)の4つのクラスに分類できる。フィコエリスリン間のスペクトルの差は、異なるタイプのビリン補欠分子族の存在によるものである。R-PEは、紅藻、隠蔽藻、および海洋単細胞シアノバクテリアに最も豊富なフィコビリタンパク質である。PEクロモフォアは、アルファサブユニット複合体(18-20kDa)、ベータサブユニット(19.5-21kDa)、ガンマサブユニット(30kD)の3つのポリペプチドサブユニットで構成されており、下記に示される。
【化1】
【0045】
具体的な態様において、フィコエリスリンは、pHおよび/または温度に感受性である。
【0046】
本発明の具体的な態様において、着色組成物は、アントシアニン色素を含み得る。本発明の特定の態様において、着色組成物は、少なくとも0.001%のアントシアニン色素を含み得る。本発明の特定の態様において、着色組成物は、0.001%w/w~95%w/wのアントシアニン色素、例えば、約0.01%w/w~約80%w/w、例えば、0.01%w/w、0.02%w/w、0.03%w/w、0.04%w/w、0.05%w/w、0.06%w/w、0.07%w/w、0.08%w/w、0.09%w/w、0.1%w/w、0.2%w/w、0.3%w/w、0.4%w/w、0.5%w/w、0.6%w/w、0.7%w/w、0.8%w/w、0.9%w/w、1%w/w、2%w/w、3%w/w、4%w/w、5%w/w、6%w/w、7%w/w、8%w/w、9%w/w、10%w/wから95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%%、30%、20%、15%w/wのアントシアニン色素を含み得る。特定の態様において、着色組成物は、0.01%w/w~5%w/wのアントシアニン色素を含み得る。
【0047】
アントシアニンは、糖を含まないアントシアニジン(アグリコン)のグリコシドである。アントシアニンの糖分子は、O-グリコシド結合を介して、アントシアニジン分子に典型的に存在する1以上のヒドロキシ基に結合する。最も多くの天然に存在するアントシアニンは、3-O-グリコシドである。
【0048】
植物中に存在する最も一般的なタイプのアントシアニジンは、シアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニジン、ペオニジン、ペチュニジン、およびマルビジンであり、ここで、3、5、7と、3'、4'、または5'位の少なくとも1のヒドロキシ基が糖置換されている。着色剤組成物に使用され得る天然アントシアニンの例は、これらに限定されないが、ペラルゴニジンベースのアントシアニン、シアニジンベースのアントシアニン、およびペオニジンベースのアントシアニンを包含する。
【0049】
アントシアニン構造に見出される糖分子の例は、アラビノース、ガラクトース、グルコース、ラムノース、ルチノース、サンブビオース、ソホロース、およびキシロースを包含する。アントシアニンは、様々な位置で水素、ヒドロキシル、および/またはメトキシル基で置換できる。アントシアニンはアシル化されることもでき、ここで、それらは1以上の分子を単糖類の2-、3-、4-、および/または6-位で糖分子にエステル化させることができる。
【0050】
多くのアントシアニンは、脂肪族酸(例として、酢酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、またはコハク酸)またはフェノール酸(例として、p-ヒドロキシ安息香酸、カフェー酸、p-クマリン酸、フェルラ酸、またはシナピン酸)のいずれかで(通常はグルコース部分のC6-OH基にて)アシル化される。よって、アントシアニンは、アシル化グリコシドアントシアニンの形態であり得る。例えば、限定されないが、ペラルゴニジンベースのアシル化アントシアニン、シアニジンベースのアシル化アントシアニン、およびペオニジンベースのアシル化アントシアニン、またはペラルゴニジンベースのアシル化アントシアニン、シアニジンベースのアシル化アントシアニン、およびペオニジンベースのアシル化アントシアニンの構造類似体。
【0051】
アントシアニン色素は、アブラナ科、バラ科、ナス科、ヒルガオ科、セリ科、イネ科、ヒロセレウス科、オプンティア科、またはそれらの混合物の植物から得られた、または得られる抽出物として存在し得る。混合物という用語は、アブラナ科、バラ科、ナス科、イネ科および/またはセリ科からのアントシアニンを含有する植物または植物の一部が単一の溶媒を使用して一緒に抽出されるとき、またはアブラナ科、バラ科、ナス科、イネ科および/またはセリ科からのアントシアニンを含有する植物または植物の一部が個別に抽出され、得られた抽出物が組み合わされたときのいずれかで得られた、または得られる混合物を指す。アブラナ科の植物は、Raphanus sativus L.(赤大根)であり得る。バラ科の植物は、Fragaria(イチゴ)であり得る。ナス科の植物は、Solanum tuberosum(赤ジャガイモ)であり得る。ヒルガオ科の植物は、Ipomoea batatas(紫サツマイモの根)であり得る。セリ科の植物は、Daucus carota ssp. sativus var. atrorubens Alef.(黒ニンジン)であり得る。イネ科の植物は、Zea mays(トウモロコシ)であり得る。ブドウ、ベリー、およびハイビスカス由来のアントシアニンも本発明に使用することができる。
【0052】
赤大根(Raphanus sativus L.)および赤肉ジャガイモ(Solanum tuberosum L.)は、FD&C Red #40に類似した色特徴を提供する。態様において、アントシアニンは、赤大根由来の色素である。
【0053】
態様において、アントシアニンは、赤または紫のトウモロコシ由来の色素である。
【0054】
赤大根および赤肉ジャガイモの主要な色素は、それぞれ、マロン酸とp-クマリン酸および/またはフェルラ酸のいずれかとでアシル化されたペラルゴニジン-3-ソホロシド-5-グルコシド、およびp-クマリン酸でアシル化されたペラルゴニジン-3-ルチノシド-5-グルコシドであると特定されている(Rodriguez-Saona, LE et al, J. Food Sci. 1999, 64, 451-456、その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。特定の態様に従って、着色剤組成物に使用されるアントシアニンは、マロン酸とp-クマリン酸および/またはフェルラ酸のいずれかとでアシル化されたペラルゴニジン-3-ソホロシド-5-グルコシド、および/またはp-クマリン酸でアシル化されたペラルゴニジン-3-ルチノシド-5-グルコシドを含み得る。
【0055】
ある例示的な態様に従って、アントシアニンは、黒ニンジン由来の色素である。
【0056】
最近、シナピン酸、フェルラ酸、クマリン酸でアシル化されたシアニジン3-キシロシル(グルコシル)ガラクトシドが、黒ニンジンの主要なアントシアニンであると特定された(Cuevas Montilla, E., et al, J. Agric. Food Chem. 2011, 59, 3385-3390、その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。特定の態様に従って、着色剤組成物に使用されるアントシアニンは、シナピン酸、フェルラ酸、およびクマリン酸でアシル化されたシアニジン3-キシロシル(グルコシル)ガラクトシドを含む。
【0057】
具体的な態様において、アントシアニンは、pHおよび/または温度に感受性である。
【0058】
本発明の具体的な態様において、着色剤組成物はベタレイン色素を含み得る。
【0059】
ベタレインは、Caryophyllales目の植物に見出される、赤および黄色のチロシン由来の色素のクラスである。ベタレインには2つのカテゴリがある:1つ目はベタシアニンで、赤みを帯びた色から菫色をしており、その例は、ベタニン、イソベタニン、プロベタニン、およびネオベタニンを包含する;2つ目はベタキサンチンであり、黄からオレンジをしており、その例は、ブルガキサンチン、ミラキサンチン、ポートラキサンチン、およびインディカキサンチンを包含する。
【0060】
本発明の特定の態様において、着色組成物は、少なくとも0.001%のベタレイン色素を含み得る。本発明の特定の態様において、着色組成物は、0.001%w/w~95%w/wのベタレイン色素、例えば、約0.01%w/w~約80%w/w、例えば、0.01%w/w、0.02%w/w、0.03%w/w、0.04%w/w、0.05%w/w、0.06%w/w、0.07%w/w、0.08%w/w、0.09%w/w、0.1%w/w、0.2%w/w、0.3%w/w、0.4%w/w、0.5%w/w、0.6%w/w、0.7%w/w、0.8%w/w、0.9%%w/w、1%w/w、2%w/w、3%w/w、4%w/w、5%w/w、6%w/w、7%w/w、8%w/w、9%w/w、10%w/wから95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、15%w/wのベタレイン色素を含み得る。特定の態様において、1以上のベタレイン色素が使用される。特定の態様において、着色組成物は、0.01%w/w~5%w/wのベタレイン色素を含み得る。
【0061】
本発明において具体的に有用なベタレインは、ベタシアニン、例えば、ベタニン、イソベタニン、プロベタニン、およびネオベタニン;および/または、ベタキサンチン、例えば、ブルガキサンチン、ミラキサンチン、ポートラキサンチン、およびインディカキサンチンを包含する。
【0062】
ベタレインは、ベタニジンアグリコンのグリコシドであり、そのコア構造はベタラミン酸(すなわち、4-(2-オキソエチリデン)-1,2,3,4-テトラヒドロピリジン-2,6-ジカルボン酸)である。
【0063】
ベタニンは、大抵、Beta vulgaris(例として、赤ビート、例えば、ビートルート)のジュースの抽出物から得られたものである。
【0064】
本発明の具体的な態様に従って、ベタレインは、ヒユ科の植物から得られた、または得られる抽出物として存在し得る。任意に、ヒユ科の植物は、Beta vulgaris(ビート)であってもよい。本発明の具体的な態様に従って、ベタレインは、ヒロセレウス科の植物から得られた、または得られる抽出物として存在し得る。任意に、ヒロセレウス科の植物は、ドラゴンフルーツであってもよい。本発明の具体的な態様に従って、ベタレインは、オプンティア科の植物から得られた、または得られる抽出物として存在し得る。任意に、オプンティア科の植物は、カクタスペアであってもよい。
【0065】
一態様において、ベタレインは、ビートルート由来の色素である。任意に、本発明に使用されるベタレインは、ベタニンであってもよい。
【0066】
具体的な態様において、ベタレイン、例えば、ベタニンは、pHおよび/または温度に感受性である。
【0067】
本発明の具体的な態様において、着色剤組成物は、サンタリン色素および/または金属と錯体を形成したサンタリンを含み得る。
【0068】
青色または緑色を提供する他の着色剤も使用することができ、これらに限定されないが、フィコシアニン、バタフライピーアントシアニン、クロロフィルを包含する。
【0069】
褐色および他の色調を提供する他の着色剤が使用されてもよく、これらに限定されないが、カラメル、カラメル化された果物および野菜のジュース、焦がし砂糖、カラメル色素、カロテノイド、麦芽、モロコシ、果汁抽出物、酸化鉄色素、サンタリン、金属と錯体を形成したサンタリン等を包含する。
【0070】
本発明の特定の態様において、着色組成物は、少なくとも0.001%のフィコシアニン、バタフライピーアントシアニンおよび/またはクロロフィル色素を含み得る。本発明の特定の態様において、着色組成物は、0.001%w/w~95%w/wのフィコシアニン、バタフライピーアントシアニンおよび/またはクロロフィル色素、例えば、約0.01%w/w~約80%w/w、例えば、0.01%w/w、0.02%w/w、0.03%w/w、0.04%w/w、0.05%w/w、0.06%w/w、0.07%w/w、0.08%w/w、0.09%w/w、0.1%w/w、0.2%w/w、0.3%w/w、0.4%w/w、0.5%w/w、0.6%w/w、0.7%w/w、0.8%w/w、0.9%w/w、1%w/w、2%w/w、3%w/w、4%w/w、5%w/w、6%w/w、7%w/w、8%w/w、9%w/w、10%w/wから95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%%、30%、20%、15%w/wのフィコシアニン、バタフライピーアントシアニンおよび/またはクロロフィル色素を含み得る。特定の態様において、着色組成物は、0.01%w/w~5%w/wのフィコシアニン、バタフライピーアントシアニンおよび/またはクロロフィル色素を含み得る。
【0071】
本発明の特定の態様において、着色組成物は、少なくとも0.001%の麦芽および/またはカラメル色素を含み得る。本発明の特定の態様において、着色組成物は、0.001%w/w~95%w/wの麦芽および/またはカラメル色素、例えば、約0.01%w/w~約80%w/w、例えば、0.01%w/w、0.02%w/w、0.03%w/w、0.04%w/w、0.05%w/w、0.06%w/w、0.07%w/w、0.08%w/w、0.09%w/w、0.1%w/w、0.2%w/w、0.3%w/w、0.4%w/w、0.5%w/w、0.6%w/w、0.7%w/w、0.8%w/w、0.9%w/w、1%w/w、2%w/w、3%w/w、4%w/w、5%w/w、6%w/w、7%w/w、8%w/w、9%w/w、10%w/wから95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%%、30%、20%、15%w/wの麦芽および/またはカラメル色素を含み得る。特定の態様において、着色組成物は、0.01%w/w~5%w/wの麦芽および/またはカラメル色素を含み得る。
【0072】
着色剤組成物が採用される製品に必要な色および色の変化に応じて、1の色素またはいくつかの色素の組み合わせが使用されてもよい。本発明に従う組成物に使用されることが望まれる色素に応じて、対応する材料をカプセル化のために選択することができる。例えば、色素がpHの増加に感受性である場合、アルカリ材料などをカプセル化することが好適である。
【0073】
特定の態様において、本発明に従う着色剤組成物は、カプセル化されたアルカリ材料を含む。
【0074】
アルカリは、これらに限定されないが、硫酸アルミニウムアンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、リン酸二アンモニウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、水酸化カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、酸化カルシウム、リン酸ニカルシウム、リン酸三カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カリウム、塩化カリウム、水酸化カリウム、乳酸カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、酒石酸カリウムナトリウムなどを包含する、あらゆる食品グレードのアルカリ材料であり得る。好ましい態様において、アルカリは食品グレードである。具体的に好ましいアルカリは、重炭酸ナトリウムである。
【0075】
本発明の特定の態様において、着色組成物は、少なくとも0.001%のアルカリ材料を含み得る。本発明の特定の態様において、着色組成物は、0.001%w/w~95%w/wのアルカリ材料、例えば、約0.01%w/w~約80%w/w、例えば、0.01%w/w、0.02%w/w、0.03%w/w、0.04%w/w、0.05%w/w、0.06%w/w、0.07%w/w、0.08%w/w、0.09%w/w、0.1%w/w、0.2%w/w、0.3%w/w、0.4%w/w、0.5%w/w、0.6%w/w、0.7%w/w、0.8%w/w、0.9%%w/w、1%w/w、2%w/w、3%w/w、4%w/w、5%w/w、6%w/w、7%w/w、8%w/w、9%w/w、10%w/wから95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、15%w/wのアルカリ材料を含み得る。特定の態様において、着色組成物は、10%w/w~70%w/wのアルカリ材料を含み得る。
【0076】
特定の態様において、本発明に従う着色剤組成物は、カプセル化された酸材料を含む。
【0077】
酸は、これらに限定されないが、酢酸、酢、フマル酸、乳酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸を包含する、あらゆる食品グレードの酸材料であり得る。具体的に好ましい酸は、クエン酸である。
【0078】
特定の態様において、本発明に従う着色剤組成物は、カプセル化された金属カチオンを含む。
【0079】
金属カチオンは、これらに限定されないが、アルミニウムカチオン(例えば、硫酸アルミニウム(単数)、硫酸アルミニウム(複数)、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、リン酸アルミニウムナトリウム、ケイ酸アルミニウムナトリウム、ケイ酸アルミニウムカリウム、ケイ酸アルミニウムカルシウム、ケイ酸アルミニウム(カオリン)、デンプン、アルミニウムオクテニルコハク酸)、酸化鉄および水酸化物、硫酸鉄、メソ酒石酸鉄(III)、硫酸銅、酸化銅等を包含する、あらゆる食品グレードの金属カチオンであり得る。具体的に好ましい金属カチオンは、硫酸鉄および硫酸アルミニウムである。
【0080】
既に言及されるとおり、カプセル化される材料は、使用されることが意図される色素に応じて選ばれるだろう。
【0081】
従って、特定の態様において、本発明の色組成物は、複数のカプセル化された材料の集団を含む可能性があり、各タイプのカプセル化媒体は、異なる材料を含有し得る。代替的に、または追加的に、カプセル化媒体は、複数の媒体、例えば、一例として、アルカリ材料および塩を包含してもよい。
【0082】
本発明に従うと、カプセル化媒体は、好適な刺激、例えば、熱、または他の刺激、例えば、機械的エネルギー、水分への暴露、または前述の組み合わせにさらされると、基質から形成される。
【0083】
本発明の具体的な態様において、カプセル化媒体は、脂肪、ワックス、またはそれらの混合物を含む。脂肪またはワックスは、ヒトが摂取しても安全であり、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩をカプセル化でき、導入された刺激、例えば、熱、水分、機械的ストレスの影響下で放出が望ましくなるまで、それが分散され得る食品または飲料マトリックスおよび/または色素から分離できる、あらゆる脂肪またはワックスであり得る。
【0084】
より具体的な態様において、カプセル化ワックス、脂肪、またはそれらの混合物は、脂肪またはワックスカプセル化材料の融点以上で、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩を放出できる必要がある。
【0085】
カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩は、当該技術分野で知られているあらゆる好適な方法によって調製することができる。しかしながら、具体的な態様において、カプセル化媒体が脂肪またはワックスまたはそれらの混合物を含むとき、スプレー凝固プロセスによって調製することができる。スプレー凝固は、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩がカプセル化媒体の液滴内に均一に分散される、カプセル化プロセスである。スプレー凝固プロセスは、カプセル化媒体を霧化チャンバーに供給するステップ、チャンバー内の媒体を液滴に霧化するステップ、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩をカプセル化材料の霧化された液滴内に均一に分散させるステップ、および液滴を凝固させるステップを包含する。スプレー凝固は、スプレー冷却(spray chilling)、スプレー冷却(spray cooling)、またはプリリングとしても知られる。
【0086】
一般的なスプレー凝固カプセル化媒体は、約室温~摂氏約90℃の範囲の様々な融点の脂肪およびワックスを包含する。限定せずに、例示のみを目的とし、スプレー凝固プロセスに好適なカプセル化媒体は、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、硬化油、硬質脂肪、トリグリセリド、およびワックスを包含する。
【0087】
ある例示的な態様に従って、限定せずに、好適な水素化油は、ヤシ油、水素化パーム油、水素化綿実油、水素化菜種油、水素化キャノーラ油、水素化大豆油、およびそれらの混合物を包含する。
【0088】
ある例示的な態様に従うと、限定せずに、好適なワックスは、蜜蝋、キャンデリラワックス、マイクロクリスタリンワックス、米ぬかワックス、カルナバワックス、およびそれらの混合物を包含する。
【0089】
他の例示的な態様に従うと、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩は、当該技術分野で知られている造粒技術によって形成され得る。造粒技術は、乾式造粒および湿式造粒の両方を包含する。湿式造粒は、流動床乾燥または流動床造粒という用語で説明できる様々な技術を網羅する。当該技術分野で知られる、いわゆる「トップスプレー」乾燥、「ボトムスプレー」乾燥、および「タンジェンシャルスプレー」乾燥を包含する、流動床乾燥の様々な方法がある。
【0090】
流動床乾燥は、粒子または粒子凝集体を含む粉末を流動化し、次いでコーティング溶液または分散体を噴霧して粒子または粒子凝集体の周囲に層またはコーティングを構築し、コーティングされたコアの形状においてより大きな粒子を構築するか;または、バインダー溶液または懸濁液を粒子または粒子凝集体の流動化粉末に噴霧して、それらの粒子または粒子凝集体を凝集させ、粒子凝集体の複合体の形状において粒子凝集体を形成するかのいずれかのプロセスである。所望の粒子凝集体が形成されるとすぐに、コーティング材料またはバインダー溶液または懸濁液の噴霧が停止される。いくつかの態様において、液体は蒸発されてもよい。
【0091】
本発明に使用できる別の技術は、溶融乳化である。この技術は、脂肪を加熱し、次いでそれを高温で水中で乳化し、次いでエマルションを冷却することによって、脂肪粒子を調製するものである。これは、小さな丸い粒子に繋がり得る。
【0092】
本発明の態様において、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩のカプセル化は、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩を約室温~摂氏約90度の範囲の様々な融点の脂肪およびワックスに直接含めることによって行われ得る(「封入」)。
【0093】
限定せずに、例示のみを目的とし、好適なカプセル化媒体は、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、硬化油、硬質脂肪、トリグリセリド、およびワックスを包含する。
【0094】
ある例示的な態様に従って、限定せずに、好適な水素化油は、ヤシ油、水素化パーム油、水素化綿実油、水素化菜種油、水素化キャノーラ油、水素化大豆油、およびそれらの混合物を包含する。
【0095】
「封入」および「アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩を脂肪およびワックスに含める」は、本出願において、高度な技術を活用せずに、材料を脂肪またはワックスを添加することであると理解される。例えば、材料(アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩)が脂肪および/またはワックスの塊中に均一に分散された脂肪またはワックスを提供するために、材料が溶融された脂肪および/またはワックスに直接組み込まれ、次いで標準的な手段によって混合され得る(例7に例示されるとおり)。
【0096】
次いで、脂肪またはワックス材料を、必要に応じて種々の形および形状に成形し、再び固めることができる。例えば、脂肪および/またはワックスは、羊皮紙上に広げて、固まるまで冷凍することができる。必要とあれば、次いで材料を必要な粒子サイズに切断または細断することができる。
【0097】
特定の態様において、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩は、以下の技術:造粒技術(乾式造粒および湿式造粒の両方を包含する)、スプレー凝固、溶融乳化、封入の1以上によってカプセル化される。
【0098】
例えば、2つのカプセル化方法を続けて使用できる。例えば、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩は、限定されないが、造粒技術(乾式造粒および湿式造粒)または他のカプセル化方法、例えば、スプレー凝固プロセスを包含する、当該技術分野において知られるあらゆるカプセル化技術によって形成され得る。その結果得られる第1のカプセル化された材料は、通常粒子の形態であり、前述のとおり、第2のカプセル化材料、例えば、脂肪および/またはワックスで再びカプセル化され得る。例えば、第1のカプセル化された粒子は、前述のとおり、溶融された脂肪および/該第1のカプセル化された粒子に組み込むことによって、第2のカプセル化材料(例えば、脂肪および/またはワックス)に再びカプセル化され得る。
【0099】
特定の態様において、色素は、以下の技術:造粒技術(乾式造粒および湿式造粒の両方を包含する)、スプレー凝固、溶融乳化、封入の1以上によってもカプセル化され得る。
【0100】
特定の態様において、色素は、材料(アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩)と一緒に同じカプセル化材料にカプセル化され得る。例えば、色素、材料(アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩)は、前に定義されるとおり、封入により、材料(アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩)と同時に脂肪またはワックスブロック中にカプセル化され得る。これは、脂肪および/またはワックスの塊中に均一に分散された材料を提供するために、材料(アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩)および色素(単数または複数)を溶融された脂肪および/またはワックスに直接組み込み、標準的な手段によって混合することによる。
【0101】
特定の態様において、材料(アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩)は、まず、以下の技術:造粒技術(乾式造粒および湿式造粒の両方を包含する)、スプレー凝固、溶融乳化の1以上を使用してカプセル化され、次いで、脂肪および/またはワックスブロックに含ませられる。
【0102】
特定の態様において、色素、色素(例えば、異なる色素のブレンド、例えば、フィコエリスロビリン、例えば、フィコエリスリン;アントシアニン、例えば、ペラルゴニジンベースのアントシアニン、シアニジンベースのアントシアニン、ペオニジンベースのアントシアニン;ベタレイン、例えば、ベタシアニン、ベタキサンチン;カラメル;カラメル化された果物および野菜のジュース;焦がし砂糖およびカラメル色素;カロテノイド、例えば、リコピン、パプリカ抽出物、ビキシン、ノルビキシン;麦芽;モロコシ;果汁抽出物;酸化鉄色素;クロロフィル;金属置換クロロフィル;クロロフィリン;金属置換クロロフィリン;アザフィロン;メラニン;インジゴジン;モナシン;アントラキノン、またはそれらの混合物の1以上)および材料(アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩)が、まず以下の技術:造粒技術(乾式造粒および湿式造粒の両方を包含する)、スプレー凝固、溶融乳化の1以上を使用してカプセル化され、次いでさらに脂肪および/またはワックスブロック中に封入することによってカプセル化される。
【0103】
特定の態様において、色素、色素(例えば、異なる色素のブレンド、例えば、フィコエリスロビリン、例えば、フィコエリスリン;アントシアニン、例えば、ペラルゴニジンベースのアントシアニン、シアニジンベースのアントシアニン、ペオニジンベースのアントシアニン;ベタレイン、例えば、ベタシアニン、ベタキサンチン;カラメル;カラメル化された果物および野菜のジュース;焦がし砂糖およびカラメル色素;カロテノイド、例えば、リコピン、パプリカ抽出物、ビキシン、ノルビキシン;麦芽;モロコシ;果汁抽出物;酸化鉄色素;クロロフィル;金属置換クロロフィル;クロロフィリン;金属置換クロロフィリン;アザフィロン;メラニン;インジゴジン;モナシン;アントラキノン、またはそれらの混合物の1以上)および材料(アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩)が、以下の技術:造粒技術(乾式造粒および湿式造粒の両方を包含する)、スプレー凝固、溶融乳化の1以上を使用して個別にカプセル化され、次いでさらに脂肪および/またはワックスブロック中に封入することによって一緒にカプセル化される。
【0104】
特定の態様において、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩は、第2のカプセル化媒体に再びカプセル化される。例えば、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩が脂肪および/またはワックスの塊中に均一に分散された脂肪またはワックスを提供するために、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩が溶融された脂肪および/またはワックスに組み込まれ、次いで標準的な手段によって混合され得る。必要とあれば、次いで、固体脂肪および/またはワックス(第1のカプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩を含む)を、必要な粒子サイズに切断または細断することができる。
【0105】
本発明の態様において、カプセル化媒体は、約50℃~約70℃、または約50℃~約65℃、または約50℃~約60℃、または約50℃~約55℃、または約55℃~約65℃、または約58℃~約62℃の融点を有する。この融点範囲は、カプセル化媒体の融点が標準的なフライパンの条件における植物ベースの肉類似製品の温度に対応するため、着色剤組成物を肉類似製品、例えば、牛肉ハンバーガーパテを着色することに使用されることが意図されるときに具体的に有効である。
【0106】
肉類似製品、例えば、植物ベースのハンバーガーパテの標準的なフライパン条件において、パテの中心は約71℃と約74℃との間の温度に到達する。具体的な態様に従うと、着色剤組成物は、中心温度、例えば、約58℃~約62℃のより実質的に低い融点を有する水素化パーム油内にカプセル化されたアルカリ材料のスプレー凝固液滴を含み、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩が揚げ工程において十分早くに放出されることを保証し、完全な放出を保証する。
【0107】
具体的な態様に従うと、着色剤組成物は、中心温度、例えば、約24℃~約58℃、例えば、約58℃~約62℃のより実質的に低い融点を有する水素化パーム油内にカプセル化されたアルカリ材料のスプレー凝固液滴を含み、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩が揚げ工程において十分早くに放出されることを保証し、完全な放出を保証する。
【0108】
当業者が認識しているとおり、カプセル化されるアルカリ材料および/または酸材料の濃度は、着色剤が組み込まれる最終製品における所望のpHの低減または増加に応じて変動する。所望のpH(pHの低減または増加)は、使用される色素および望ましい色相の変化に応じる。また、当業者が認識しているとおり、本発明の着色剤組成物中の色素の濃度は、望ましい色相および輝度に応じて変動し得る。
【0109】
特定の態様において、着色剤組成物は、フィコエリスリンを最終着色剤組成物の少なくとも0.03%w/wの濃度で、およびアルカリ(例えば、重炭酸ナトリウム)を0.17~0.85%w/wの濃度で含み、アルカリは、例えば、完全に水素化された植物油(例えば、パーム油、ヤシ油)を使用してカプセル化される。特定の態様において、カプセル化されたアルカリは、第2のカプセル化媒体中に再びカプセル化される。例えば、カプセル化されたアルカリが脂肪および/またはワックスの塊中に均一に分散された脂肪またはワックスを提供するために、カプセル化されたアルカリが溶融された脂肪および/またはワックスに組み込まれ、次いで標準的な手段によって混合され得る。必要とあれば、次いで、固体脂肪および/またはワックス(第1のカプセル化されたアルカリ材料を含む)を、必要な粒子サイズに切断または細断することができる。
【0110】
特定の態様において、着色剤組成物は、アントシアニンを最終着色剤組成物の少なくとも0.03%w/wの濃度で、およびアルカリ(例えば、重炭酸ナトリウム)を0.17~0.85%w/wの濃度で含み、アルカリは、例えば、完全に水素化された植物油(例えば、パーム油、ヤシ油)を使用してカプセル化される。特定の態様において、カプセル化されたアルカリは、第2のカプセル化媒体中に再びカプセル化される。例えば、カプセル化されたアルカリが脂肪および/またはワックスの塊中に均一に分散された脂肪またはワックスを提供するために、カプセル化されたアルカリが溶融された脂肪および/またはワックスに組み込まれ、次いで標準的な手段によって混合され得る。必要とあれば、次いで、固体脂肪および/またはワックス(第1のカプセル化されたアルカリ材料を含む)を、必要な粒子サイズに切断または細断することができる。
【0111】
特定の態様において、着色剤組成物は、ベタニンを最終着色剤組成物の少なくとも0.01%の濃度で、およびアルカリ(例えば、重炭酸ナトリウム)を少なくとも5%、例えば、10~90%w/wの濃度で含み、アルカリは、例えば、完全に水素化された植物油(例えば、パーム油、ヤシ油)を使用してカプセル化される。特定の態様において、カプセル化されたアルカリは、第2のカプセル化媒体中に再びカプセル化される。例えば、カプセル化されたアルカリが溶融脂肪および/またはワックスの塊中に均一に分散された脂肪またはワックスを提供するために、カプセル化されたアルカリが溶融された脂肪および/またはワックスに組み込まれ、次いで標準的な手段によって混合され得る。必要とあれば、次いで、固体脂肪および/またはワックス(第1のカプセル化されたアルカリ材料を含む)を、必要な粒子サイズに切断または細断することができる。
【0112】
特定の態様において、着色剤組成物は、ベタニン(例えば、赤ビートジュース濃縮物)、ブルガキサンチン(例えば、黄ビートジュース濃縮物)および麦芽、およびアルカリ(例えば、重炭酸ナトリウム)を少なくとも5%、例えば、10%~90%w/wの濃度で含み、アルカリは、例えば、完全に水素化された植物油(例えば、パーム油)を使用してカプセル化される。特定の態様において、カプセル化されたアルカリは、第2のカプセル化媒体中に再びカプセル化される。例えば、カプセル化された材料が溶融脂肪および/またはワックスの塊中に均一に分散された脂肪またはワックスを提供するために、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩が溶融された脂肪および/またはワックスに組み込まれ、次いで標準的な手段によって混合され得る。必要とあれば、次いで、(第1のカプセル化されたアルカリ材料を含む)固体脂肪および/またはワックスを、必要な粒子サイズに切断または細断することができる。
【0113】
特定の態様において、着色剤組成物は、フィコエリスリンを最終着色剤組成物の少なくとも0.01%w/wの濃度で、およびアルカリ(例えば、重炭酸ナトリウム)を少なくとも5%、例えば、10~90%w/wの濃度で含み、アルカリは、例えば、完全に水素化された植物油(例えば、パーム油、ヤシ油)を使用してカプセル化される。例えば、アルカリが脂肪および/またはワックスの塊中に均一に分散された脂肪またはワックスを提供するために、アルカリが溶融された脂肪および/またはワックスに組み込まれ、次いで標準的な手段によって混合され得る。必要とあれば、次いで、固体脂肪および/またはワックス(今や脂肪および/またはワックス中にカプセル化されたアルカリ材料を含む)を、必要な粒子サイズに切断または細断することができる。
【0114】
特定の態様において、着色剤組成物は、アントシアニンを最終着色剤組成物の少なくとも0.01%w/wの濃度で、およびアルカリ(例えば、重炭酸ナトリウム)を少なくとも5%、例えば、10~90%w/wの濃度で含み、アルカリは、例えば、完全に水素化された植物油(例えば、パーム油、ヤシ油)を使用してカプセル化される。例えば、アルカリが脂肪および/またはワックスの塊中に均一に分散された脂肪またはワックスを提供するために、アルカリが溶融された脂肪および/またはワックスに組み込まれ、次いで標準的な手段によって混合され得る。必要とあれば、次いで、固体脂肪および/またはワックス(今や脂肪および/またはワックス中にカプセル化されたアルカリ材料を含む)を、必要な粒子サイズに切断または細断することができる。
【0115】
特定の態様において、着色剤組成物は、ベタニンを最終着色剤組成物の少なくとも0.01%w/wの濃度で、およびアルカリ(例えば、重炭酸ナトリウム)を少なくとも5%、例えば、10~90%w/wの濃度で含み、アルカリは、例えば、脂肪および/またはワックス(例えば、パーム油、ヤシ油)を使用してカプセル化される。例えば、アルカリが脂肪および/またはワックスの塊中に均一に分散された脂肪またはワックスを提供するために、アルカリが溶融された脂肪および/またはワックスに組み込まれ、次いで標準的な手段によって混合され得る。必要とあれば、次いで、固体脂肪および/またはワックス(今や脂肪および/またはワックス中にカプセル化されたアルカリ材料を含む)を、必要な粒子サイズに切断または細断することができる。
【0116】
特定の態様において、着色剤組成物は、ベタニン(例えば、赤ビートジュース濃縮物)、ブルガキサンチン(例えば、黄ビートジュース濃縮物)および麦芽、およびアルカリ(例えば、重炭酸ナトリウム)を少なくとも5%、例えば、10%~90%w/wの濃度で含み、アルカリは、例えば、脂肪および/またはワックス(例えば、パーム油、ヤシ油)を使用してカプセル化される。例えば、アルカリが脂肪および/またはワックスの塊中に均一に分散された脂肪またはワックスを提供するために、アルカリが溶融された脂肪および/またはワックスに組み込まれ、次いで標準的な手段によって混合され得る。必要とあれば、次いで、固体脂肪および/またはワックス(今や脂肪および/またはワックス中にカプセル化されたアルカリ材料を含む)を、必要な粒子サイズに切断または細断することができる。
【0117】
ある例示的な態様に従うと、着色剤組成物は、1以上の追加の色素をさらに含み得る。特定の態様において、それらの色素は、熱および/またはpHに感受性である色素ではなく、これらに限定されないが、カラメルなどの褐色色素、カラメル化された果物および野菜ジュース、焦がし砂糖およびカラメル色素、カロテノイド(例えば、リコピン、パプリカ抽出物、ビキシン、ノルビキシン)、麦芽、モロコシ、果汁抽出物、酸化鉄色素、クロロフィル、金属置換クロロフィル、クロロフィリン、金属置換クロロフィリン、アザフィロン、メラニン、インジゴジン、モナシン、アントラキノン、またはそれらの混合物を包含する。
【0118】
特定の態様において、色素はまた、カプセル化材料(例えば、脂肪および/またはワックス)中にカプセル化され得る。特定の態様において、色素は、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩と一緒に、または個別にカプセル化され得る。
【0119】
最終的な色素は、感受性である色素、例えば、アントシアニン、ベタニン、フィコエリスリン(色の変化の原因となる)に基づいており、それは、カラメル、カラメル化された果物および野菜のジュース、焦がし砂糖、カラメル色素、カロテノイド(例えば、リコピン、パプリカ抽出物、ビキシン、ノルビキシン)、麦芽、モロコシ、果汁抽出物、酸化鉄色素、クロロフィル、金属置換クロロフィル、クロロフィリン、金属置換クロロフィリン、アザフィロン、メラニン、インジゴジン、モナシン、アントラキノンなどの褐色色素、またはそれらの混合物とブレンドすることができる。2つ目のグループの色素は、通常、エネルギープロセス(例えば、熱および/または機械的エネルギーの適用)の前後の製品の色のバランスをとるために使用される。
【0120】
特定の態様において、着色剤の混合物は、L* 37.16、a* 8.52、b* 14.63またはL* 52.23、a* 4.37、b* 12.39 の初期色相を提供する。
【0121】
ある例示的な態様に従うと、着色剤組成物は、食品または飲料製品における官能的効果の創出、改変または改善、例えば、該製品のフレーバー、食感、外観、色または品質の創出、改変または改善に有用である、1以上の追加の機能性成分を、単独または組み合わせにおいて、さらに含み得る。
【0122】
特定の態様において、本発明の着色剤組成物は、マルトデキストリン、糖、多糖、例えば、ガム:アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、グリセロール、清澄化された果物および野菜ジュース、デンプン等の1以上をさらに含み得る。
【0123】
一態様において、本発明は、本明細書に定義されるとおりの組成物を調製するための、または本明細書に説明される方法を実施するためのキットであって、キットが、
(a)本明細書に記載されるとおりの色素と、
(b)カプセル化媒体にカプセル化された、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩
とを別々のパッケージまたは容器において含み;任意に混合および/または接触および/または使用のための取扱説明書を有する、前記キットを提供する。
【0124】
好ましい態様において、キットの色素は、フィコエリスロビリン(例えば、フィコエリスリン)、アントシアニン(例えば、ペラルゴニジンベースのアントシアニン、シアニジンベースのアントシアニン、およびペオニジンベースのアントシアニン)、ベタレイン(例えば、ベタシアニン、ベタキサンチン)、カラメル、カラメル化された果物および野菜ジュース、焦がし砂糖、カラメル色素、カロテノイド(例えば、リコピン、パプリカ抽出物、ビキシン、ノルビキシン)、麦芽、モロコシ、果汁抽出物、酸化鉄色素、クロロフィル、金属置換クロロフィル、クロロフィリン、金属置換クロロフィリン、アザフィロン、メラニン、インジゴジン、モナシン、アントラキノン、サンタリン、金属と錯体を形成したサンタリン、またはそれらの混合物の1以上である。
【0125】
よって、本発明は、製品(例えば、食品または飲料製品)を着色するための方法であって、ステップが、色素、およびカプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩の、該製品への、同時、別々または逐次の追加のステップを含む、前記方法に関する。
【0126】
特定の態様において、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩は、以下の技術:造粒技術(乾式造粒および湿式造粒の両方を包含する)、スプレー凝固、溶融乳化、封入の1以上によってカプセル化される。
【0127】
特定の態様において、材料(アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩)は、前に定義されるとおり、封入によってカプセル化され得る。これは、脂肪および/またはワックスの塊中に均一に分散された材料を提供するために、材料(アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩)を溶融された脂肪および/またはワックスに直接組み込み、標準的な手段によって混合することによる。
【0128】
特定の態様において、色素および材料(アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩)は、同じカプセル化材料に一緒にカプセル化され得る。例えば、色素は、前に定義されるとおり、封入により、材料(アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩)と同時に脂肪またはワックスブロック中にカプセル化され得る。これは、脂肪および/またはワックスの塊中に均一に分散された材料を提供するために、材料(アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩)および色素(単数または複数)を溶融された脂肪および/またはワックスに直接組み込み、標準的な手段によって混合することによる。
【0129】
特定の態様において、材料(アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩)は、まず、以下の技術:造粒技術(乾式造粒および湿式造粒の両方を包含する)、スプレー凝固、溶融乳化の1以上を使用してカプセル化され、次いで、脂肪および/またはワックスブロックに含ませられる。
【0130】
特定の態様において、色素(例えば、異なる色素のブレンド、例えば、フィコエリスロビリン、例えば、フィコエリスリン;アントシアニン、例えば、ペラルゴニジンベースのアントシアニン、シアニジンベースのアントシアニン、ペオニジンベースのアントシアニン;ベタレイン、例えば、ベタシアニン、ベタキサンチン;カラメル;カラメル化された果物および野菜のジュース;焦がし砂糖およびカラメル色素;カロテノイド、例えば、リコピン、パプリカ抽出物、ビキシン、ノルビキシン;麦芽;モロコシ;果汁抽出物;酸化鉄色素;クロロフィル;金属置換クロロフィル;クロロフィリン;金属置換クロロフィリン;アザフィロン;メラニン;インジゴジン;モナシン;アントラキノン、またはそれらの混合物の1以上など)および材料(アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩)が、まず以下の技術:造粒技術(乾式造粒および湿式造粒の両方を包含する)、スプレー凝固、溶融乳化の1以上を使用してカプセル化され、次いでさらに脂肪および/またはワックスブロック中に封入することによってカプセル化される。
【0131】
特定の態様において、色素、色素(例えば、異なる色素のブレンド、例えば、フィコエリスロビリン、例えば、フィコエリスリン;アントシアニン、例えば、ペラルゴニジンベースのアントシアニン、シアニジンベースのアントシアニン、ペオニジンベースのアントシアニン;ベタレイン、例えば、ベタシアニン、ベタキサンチン;カラメル;カラメル化された果物および野菜のジュース;焦がし砂糖およびカラメル色素;カロテノイド、例えば、リコピン、パプリカ抽出物、ビキシン、ノルビキシン;麦芽;モロコシ;果汁抽出物;酸化鉄色素;クロロフィル;金属置換クロロフィル;クロロフィリン;金属置換クロロフィリン;アザフィロン;メラニン;インジゴジン;モナシン;アントラキノン、またはそれらの混合物の1以上など)および材料(アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩)が、以下の技術:造粒技術(乾式造粒および湿式造粒の両方を包含する)、スプレー凝固、溶融乳化の1以上を使用して個別にカプセル化され、次いでさらに脂肪および/またはワックスブロック中に封入することによって一緒にカプセル化される。
【0132】
本明細書に記載される着色剤組成物を含有する食品および飲料製品は、本発明の第二の側面を表す。
【0133】
食品および飲料製品は、可食ベースおよび本明細書に記載されるとおりの着色剤組成物を含む。
【0134】
あらゆる種類の食品または飲料製品は、着色剤組成物と組み合わせて使用することができ、食品医薬品局(FDA)によって定義されるとおりの、以下の一般的な食品カテゴリに限定されないが、焼き菓子およびベーキングミックス(すぐに食べられる製品およびすぐに焼くことができる製品、小麦粉、および提供前に準備が必要なミックスを包含する);アルコール飲料(モルト飲料、およびカクテルミックスを包含する);ノンアルコール飲料および飲料ベース(特別なお茶またはスパイス入りのお茶、ソフトドリンク、コーヒー代替品、果物および野菜フレーバーのゼラチン飲料のみを包含する);チーズ (カードチーズおよびホエイチーズ、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、おろしチーズ、加工チーズ、スプレッドチーズ、ディップチーズ、およびその他のチーズを包含する);チューインガム(全ての形態を包含する);コーヒーおよび紅茶(レギュラータイプ、デカフェタイプ、およびインスタントタイプを包含する);調味料およびレリッシュ(プレーンなシーズニングソースおよびスプレッド、オリーブ、ピクルス、およびレリッシュを包含するが、スパイスやハーブを包含しない);菓子類およびフロスティング(キャンディーおよびフレーバーフロスティング、マシュマロ、ベーキングチョコレート、およびブラウンシュガー、ランプシュガー、ロックシュガー、メープルシュガー、パウダーシュガーおよび粗糖を包含する);トッピング、および他の非乳製品;卵製品(液卵、冷凍卵、または乾燥卵、およびそれらから作られた卵料理、すなわち、エッグロール、エッグフーヤング、卵サラダ、冷凍の多品目の卵料理(生卵を包含しない)を包含する);油脂(マーガリン、サラダ用ドレッシング、バター、サラダ油、ショートニング、調理油を包含する);魚製品(全ての調理済メインディッシュ、サラダ、前菜、冷凍の多品目の料理、魚、貝および他の水生動物を含むスプレッド(生魚を包含しない)を包含する);生卵(調理済卵および新鮮な殻付き卵のみから作られた卵料理を包含する);生魚(生魚および冷凍魚、貝、および他の水生動物のみを包含する);生肉(新鮮または自家冷凍の牛肉または子牛肉、豚肉、羊肉、羊肉のみ、およびそれらから作られた自家製の新鮮な肉を含む料理、サラダ、前菜、またはサンドイッチスプレッドを包含する);生家禽(新鮮または自家冷凍の家禽および狩猟鳥のみ、およびそれらから作られた自家製の新鮮な家禽を含む料理、サラダ、前菜、またはサンドイッチスプレッドを包含する);パスタ(肉または野菜なしの、マカロニおよび麺製品、米料理、および冷凍の多品目料理を包含する);グレービーソースおよびソース(全てのミートソースおよびグレービー、およびトマトソース、ミルクソース、バターソース、および特製ソースを包含する);ハーブ、種子、スパイス、シーズニング、ブレンド、エキス、およびフレーバリング剤(全ての天然および人工のスパイス、ブレンド、およびフレーバーを包含する);肉製品(商業的に加工された、または商業的に加工された肉を使用して家庭で調理された全ての肉および肉を含む料理、サラダ、前菜、冷凍の多品目の肉料理、およびサンドイッチの材料を包含する);全乳および脱脂乳(全乳、低脂肪乳、および脱脂乳のみを包含する);乳製品(フレーバーミルクおよびミルク飲料、粉ミルク、トッピング、スナックディップ、スプレッド、体重管理用ミルク飲料、および他の乳由来製品を包含する);植物性タンパク質製品(米国科学アカデミー/米国研究会議の「再構成野菜タンパク質」カテゴリ、および植物性タンパク質から作られた肉、鶏肉、および魚の代替品、類似体、および増量製品を包含する);鶏肉製品(商業的に加工された、または商業的に加工された鶏肉を使用して家庭で調理された全ての鶏肉および鶏肉を含む料理、サラダ、前菜、冷凍の多品目の鶏肉料理、およびサンドイッチの材料を包含する);商業的に加工された全ての野菜、野菜料理、冷凍の多品目の野菜料理、野菜ジュースおよび野菜ブレンド;スナック食品(チップス、プレッツェル、および他の珍しいスナックを包含する);自家製スープ(肉、魚、鶏肉、野菜、自家製の組み合わせスープを包含する);スープおよびスープミックス(商業的に調理された肉、魚、鶏肉、野菜、組み合わせスープおよびスープミックスを包含する)を包含する。
【0135】
より具体的には、本発明は、加熱されると色が変化するように適合された食品および飲料製品、例えば肉類似製品に関する。
【0136】
肉類似製品は、植物ベースの肉製品、培養肉細胞を含む製品(いわゆる、ラボグロウンミート(lab-grown meat)または培養肉(cultivated meat))、または植物ベース肉および培養肉細胞の両方を含有する可食ベースを含むハイブリッド製品であり得る。
【0137】
本発明の具体的な態様において、肉類似製品は、非動物性可食ベースおよび着色剤組成物を含む。肉類似製品は、植物由来のタンパク質ベースを含み得る。限定せずに、植物由来のタンパク質ベースは、テクスチャー野菜タンパク質(textured vegetable protein)を含み得る。
【0138】
肉類似製品は、1以上の炭水化物を含み得る。好ましくは、1以上の炭水化物は、単糖類および/または二糖類から選択される。具体的な態様において、1以上の炭水化物は、グルコース、リボース、フルクトース、ラクトース、キシロース、アラビノース、マルトース、ガラクトース、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0139】
肉類似製品は、これらに限定されないが、食塩、グルタミン酸塩、イノシン一リン酸塩、アデノシン一リン酸塩、グアノシン一リン酸塩、およびそれらの組み合わせを包含する、1以上のフレーバー成分をさらに含み得る。
【0140】
肉類似製品は、これらに限定されないが、植物油、藻油、ヒマワリ油、コーン油、大豆油、パーム油、ベニバナ油、亜麻仁油、オリーブ油、ヤシ油、綿実油、またはそれらの組み合わせを包含する、1以上の脂質をさらに含み得る。
【0141】
本発明の肉類似製品は、1以上の植物性タンパク質または野菜タンパク質をさらに含み得る。かかるタンパク質は、これらに限定されないが、穀物(米、キビ、トウモロコシ(maize)、大麦、小麦、オート麦、モロコシ、ライ麦、テフ、ライ小麦、アマランス、ソバ、キノア);マメ科植物(legume)または食用豆(pulses)、豆類(例えば、大豆、緑豆、ソラ豆、リマ豆、サヤ豆、インゲン豆、ナタ豆、ウズラ豆、小豆)、エンドウ類(例えば、グリーンピース、きぬさや、ヒヨコ豆、生豆、ササゲ、黒目豆);ゴマ、ガルバンゾ、ジャガイモ、レンズ豆、およびルピナス豆;種および油糧種子(黒ガラシ、カラシ、菜種、キャノーラ、サフラワー、ヒマワリの種、亜麻、麻の実、ケシの実、カボチャ、チア、ゴマ);ナッツ(アーモンド、クルミ、ブラジル、マカダミア、カシュー、クリ、ヘーゼルナッツ、マツ、ペカン、ピーナッツ、ピスタチオおよび銀杏);藻(ケルプ、わかめ、スピルリナ、クロレラ);マイコプロテインおよび/または真菌タンパク質を包含し得る原材料から作られるタンパク質調製物を指す。
【0142】
植物性タンパク質または野菜タンパク質は、テクスチャード(textured)またはテクスチャ化(texturized)され得る。これらの製品は、典型的には、脱脂植物性/野菜タンパク質粉、例えば、大豆粉を含み、例えば押出によって、大きな塊やフレークに加工することができる。植物性/野菜タンパク質は、これらに限定されないが、上記で参照されるあらゆるタンパク質、とりわけ大豆タンパク質、小麦グルテンタンパク質、エンドウ豆タンパク質、レンズ豆タンパク質、ルピナス豆タンパク質、インゲン豆タンパク質、ヒヨコ豆タンパク質、キャノーラタンパク質、黒豆タンパク質、小豆タンパク質、ソラマメタンパク質、またはそれらの混合物を包含することができる。
【0143】
本発明に従う肉類似製品は、あらゆる望ましい3D形状、例えば、ハンバーガーパテ、ソーセージ、ソーセージリンク、ミートローフ、ミートボール、ミンチ肉、ナゲット、ステーキ、フィレ、ローストジョイントに成形され得る。本発明に従う肉類似製品は、種々の肉、例えば、牛肉、鶏肉、豚肉を模倣し得る。本発明に従う肉類似製品はまた、魚類似体および魚介類似体も包含する。魚類似体は、あらゆる望ましい3D形状に成形される可能性があり、具体的な魚肉、例として、サーモン、マグロ等を模倣し得る。特定の態様において、肉類似体は、マグロ類似体である。
【0144】
特定の態様において、製品の色は、冷却条件下で、例えば少なくとも3日間、例えば少なくとも4、5、6、7、8、9、10日間保管すると安定である。
【0145】
本発明の第三の側面は、着色剤組成物を食品または飲料製品に組み込む方法に関する。
【0146】
よって、本発明は、本明細書に定義されるとおりの着色剤組成物を食品または飲料製品に組み込む方法であって、方法が、色素、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩の、該製品への、同時、別々、または逐次の添加のステップを含む、前記方法に関する。
【0147】
特定の態様において、製品の色は、冷却条件下で、例えば少なくとも3日間、例えば少なくとも4、5、6、7、8、9日間または少なくとも10日間保管すると安定である。
【0148】
着色剤組成物は、多種多様な非動物ベースの食品および飲料製品、とりわけ肉類似製品に使用され得る。
【0149】
着色剤組成物は、加工、例として調理される際に、望ましい色の推移を生み出すため、食品または飲料製品に充分な量で添加される。肉類似製品の場合、量は、調理される際に実際の肉製品の本格的な品質を模倣する色および色の変化を生み出すために、充分でなければならない。望ましい量は、日常的な実験のみを使用して確立することができる。しかしながら、典型的には、製品の総重量に基づいて、最大10重量パーセント、より具体的には最大5重量パーセントを組み込むことができる。特定の態様に従うと、着色組成物は、製品の総重量に基づいて、10重量パーセント、または9重量パーセント、または8重量パーセント、または7重量パーセント、または6重量パーセント、または5重量パーセント、または4重量パーセント、または3重量パーセント、または3重量パーセント、または3重量パーセント、または1重量パーセント、または0.9重量パーセント、または0.8重量パーセント、または0.7重量パーセント、または0.6重量パーセント、または0.5重量パーセント、または0.4重量パーセント、または0.3重量パーセント、または0.2重量パーセント、または0.1重量パーセント、または0.05重量パーセント、または0.01重量パーセントの量で、製品に包含され得る。
【0150】
本発明のこの側面の具体的な態様に従って、色素と、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩とは、可食ベースに組み込まれる前に、予め混合されて、食品または飲料製品を創出し得る。代替的に、色素およびカプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩構成要素は、各成分の同時添加を包含するあらゆる添加の順序において、可食ベースに個別に添加されて、着色剤組成物をin situで形成し得る。同様の考慮が、本明細書の上記で参照される他の機能性成分の添加にも適用され、すなわち、他の機能性成分は着色剤組成物と予め混合されてもよく、または、あらゆる添加順序において個別に添加されてもよい。
【0151】
本方法の特定の態様において、色素およびカプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩は、本明細書で定義されるとおりの本発明の組成物の形態で同時に組み込まれる。
【0152】
本方法の特定の態様において、色素およびカプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩が、製品に逐次に組み込まれる。
【0153】
特定の態様において、色素がまず組み込まれ、後にカプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩が組み込まれる。他の態様において、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩が製品にまず組み込まれ、その後に色素が組み込まれる。
【0154】
特定の態様において、製品の製造が混合ステップまたは他の機械的力の適用を包含するとき、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩がプロセスの最後に添加され、混合および/または温度によるカプセル化媒体の損傷を回避するのが好ましい。
【0155】
特定の態様において、製品が肉類似体であるとき、色素は、典型的には、典型的に採用される乾燥タンパク質を水和するために使用される水に溶解される。カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩はプロセスの最後に添加されて、過度の混合および/または温度によるカプセル化材料の損傷を回避し得る。
【0156】
本発明の具体的な態様に従うと、可食ベースは、本明細書の上記でより詳細に説明されるとおり、植物由来のタンパク質を含む。可食ベースおよび着色剤組成物の混合物は、その後、本明細書の上記に言及されるとおり、あらゆる望ましい3D形状に成形することができる。
【0157】
着色剤組成物は、あらゆる便利な製造の手段、例えば、付加製造および3D印刷の手段によって、食品または飲料製品に組み込まれ得る。3Dプリントされた製品の場合、製品、例えば、ハンバーガーのパテ、ソーセージ、またはナゲットのデジタル画像は、3Dモデリングコンピュータソフトウェアを使用して創出できる。次いで、デジタルファイルの3Dモデルは、スライスソフトウェアを使用して多数の薄い層にスライスすることができ、3Dプリンタを実行できるように機械可読言語の一連の指示に変換できる。機械可読コードにおける一連の指示を有するデジタルファイルは、積層製造装置(すなわち、3Dプリンタなど)に送信され、プリンタは受信した指示に従って実行し、1以上のノズルを通して製品の薄い層を連続的に敷くことによって製品を印刷する。
【0158】
本発明の第四の側面に従うと、食品または飲料製品の色の変化をもたらす方法が提供される。
【0159】
よって、本発明は、本明細書に定義されるとおりの食品または飲料製品において色の変化をもたらす方法であって、方法が、a)色素と、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩とを、可食ベースに、同時に、別々に、または逐次に添加するステップ、およびb)ステップa)で得られた食品または飲料を、刺激、例えば、熱および/または機械的エネルギーの適用を包含するエネルギープロセスに供与し、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩を放出するステップを含む、前記方法に関する。食品または飲料製品における色の変化が、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩の可食ベースへの放出の後、該アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩による色素の分解または変質から生じる。
【0160】
本方法の特定の態様において、ステップa)において、色素と、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩とは、本明細書に定義されるとおりの本発明の組成物の形態で同時に組み込まれる。
【0161】
本方法の特定の態様において、ステップa)において、色素と、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩とは、製品に逐次に組み込まれる。特定の態様において、色素がまず組み込まれ、後にカプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩が組み込まれる。他の態様において、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩が製品にまず組み込まれ、その後に色素が組み込まれる。
【0162】
特定の態様において、製品の製造が混合ステップまたは他の機械的力の適用を包含するとき、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩がプロセスの最後に添加され、過度の混合および/または温度によるカプセル化媒体の損傷を回避するのが好ましい。
【0163】
特定の態様において、製品が肉類似体であるとき、色素は、典型的には、典型的に採用される乾燥タンパク質を水和するために使用される水に溶解される。カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩はプロセスの最後に添加されて、過度の混合および/または温度による脂肪コーティングの損傷を回避すべきである。
【0164】
製品が供与されるエネルギープロセス(例えば、熱および/または機械的エネルギーの適用)は、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩を放出するだろう。次いで、可食ベースに存在する色素と、放出されるアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩との接触が、驚くべきことに、可食ベースの色の変化をもたらすだろう。本明細書に言及されるとおり、本発明に使用される色素は、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩の1以上に感受性である可能性があり、本発明の例4~11によって実証されているとおり、望ましい効率的な色の推移がある。
【0165】
本発明はまた、食品または飲料製品において色の変化に影響を与えるためのカプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩の使用であって、製品が、本明細書に定義されるとおりの着色剤組成物を含み、製品が刺激、例えば、熱および/または機械的エネルギーの適用に供与されると色の変化が影響を受ける、前記使用に向けられる。
【0166】
本発明はまた、食品または飲料製品において色の変化に影響を与えるためのカプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩を使用であって、食品または飲料製品が、本明細書に定義されるとおりのカプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩と、pH、温度、金属カチオンおよび/またはイオン強度に感受性である1以上の色素と、任意にpH、温度、金属カチオンおよび/またはイオン強度に感受性ではない他の色素とを含み、製品が、刺激、例えば、熱または機械的エネルギーの適用に供与されると色の変化が影響を受ける、前記使用に向けられる。
【0167】
食品または飲料製品内の色の変化は、アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩のそのカプセル化媒体からの放出によって引き起こされる、製品のpHの増加および/または減少によってもたらされる。アルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩の放出は、製品に適用される刺激、例えば、調理プロセスの間の熱の適用によって引き起こされる。
【0168】
着色剤組成物に採用される少なくとも1の色素は、pHに感受性であり、および/または金属カチオンおよび/またはイオン強度塩に感受性であるべきである。この点において好ましい色素は、フィコエリスリン、ベタレイン、およびアントシアニンから選択される。これらの色素の特徴は、室温で赤-ピンク色を呈することである。しかしながら、75℃以上の温度に加熱されるとそれらは熱分解し、色彩特性が赤-ピンクの色が薄れるように変化する。この分解は、6.5を超えるpHレベルにて促進される。上記に述べられるとおり、これらの色素の色彩特性における変化を利用して、調理の際の肉の生の赤色の喪失を模倣することができる。赤色が薄れるため、着色剤中または可食ベース中の他の構成要素は、必要次第で、調理済肉の典型的な灰茶の外観を創出するのを助けることができる補完的な食品色素(例えば、カラメル、カラメル化された果物および野菜のジュース、焦がし砂糖、およびカラメル色素、麦芽、カロテノイド、例えば、リコピン、パプリカ抽出物、ビキシン、ノルビキシン、麦芽、モロコシ、果汁抽出物、酸化鉄色素、クロロフィル、金属置換クロロフィル、クロロフィリン、金属置換クロロフィリン、アザフィロン、メラニン、インジゴジン、モナシン、アントラキノン、サンタリン、金属と錯体を形成したサンタリン、またはそれらの混合物)を包含する。
【0169】
食品製品の色の推移は分光光度計で分析することができ、下記でより詳細に説明されるとおり、CIE L*a*b*値はスペクトルデータから算出することができる。当該技術分野において周知であるとおり、L*a*b*値は、色の特性を表し、2つの色間の差の大きさを評価する手段を提供する。
【0170】
例えば、L*a*b*値は、3次元の直交座標系において定義される座標値のセットからなる。L*は、明度の座標であり、垂直軸上で黒(0 L*単位)~白(100 L*単位)の明度のスケールを提供し、a*およびb*は、色相および彩度の両方に関し、a*は、水平軸上で緑度(- a*単位)~赤度(+ a*単位)のスケールを提供し、中心点(0 a*単位)は中間であり、b*は、第一の水平軸に垂直な第二の水平軸上で、青度(- b*単位)~黄色度(+ b*単位)のスケールを提供し、中心点(0 b*単位)は中間である。3つの軸は、L*が50の値を有し、a*およびb*が共にゼロである場所で交差する。
【0171】
ΔEは、CIELAB L*a*b*色空間において表される2つの色間の合計色差の大きさの尺度である。経験豊富な色観察者は、ΔEが約2.3以下であるとき、2つの色の差を区別できないことが報告されている。L*1a*1b*1およびL*2a*2b*2のL*a*b*値をもつ2つの異なる色のΔEは、以下の式:
ΔE=(ΔL2+Δa2+Δb2)
を使用して算出される。
【0172】
従って、L*a*b*値は、着色剤組成物を含有する食品または飲料製品の初期の色特性を表し、ならびに、製品の初期の色特性と調理後の色との間の差の大きさを評価する手段を、製品が固体であるか液体であるかに関係なく、提供する。固体形状の製品の色特性の測定は、当該技術分野における周知の技術に従って、製品の表面からの反射率測定を使用して完遂することができる。
【0173】
例えば、ΔEの測定は、ΔE 2000である。
【0174】
フィコエリスリンは、熱的に不安定である集光性タンパク質色素であり、加熱されると、それらの生来の構造および色彩特性を失い、それらの赤-ピンク色は時間の経過とともに薄れるが、アルカリ材料の存在下では退色が促進され得る。
【0175】
特定の態様において、着色剤は、フィコエリスリン、ベタニン、および/またはアントシアニンを含み、可食ベースは、植物性/野菜タンパク質を含み、カプセル化されたアルカリは、重炭酸ナトリウムであり、熱および/または機械的エネルギー後のΔEは、少なくとも5、例えば少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、例えば少なくとも9である。
【0176】
従って、本発明の特定の態様において、フィコエリスリン色素を含む着色剤組成物と、植物性タンパク質、水、塩、結合剤、例えば、メチルセルロース、油、例えば、ヤシ油およびヒマワリ油、ならびに、アントシアニン、ピラノアントシアニン、ベタレイン、カロテノイド、フィコビリン、クロロフィル、クロロフィリン、カラメル、カラメル化された野菜および果物のジュース、および/または麦芽から選択される補完的な色素を含む可食ベースとを含有する肉類似製品が提供され、調理前の肉類似製品のL*a*b*値は58.14、16.37、2.22であり、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも8分間の合計調理時間でT>摂氏75℃に調理後のL*a*b*値は58.31、11.87、8.41であり、ΔE値は6.23である。フィコエリスリンが他の色素、例えば、麦芽抽出物とブレンドされるとき、調理前の肉類似製品のL*a*b*値は53.36、17.13、9.03であり、合計8分間の調理時間でT>摂氏75℃に調理後のL*a*b*値は48.02、8.43、10.51であり、ΔE値は9.41である。
【0177】
ベタレイン、とりわけベタニンは、様々な分解経路、例えば、脱炭酸、加水分解、自動酸化、脱グリコシル化を通じて熱的に分解することが報告されており、この分解はベタレインの色彩特性に影響を与える。フィコエリスリンと同じように、出願人は、pHの増加は、分解を促進し、肉類似製品の調理プロセスと一致する時間スケールで有意な退色に繋がることを見出した。
【0178】
従って、本発明のある他の態様において、ベタレイン色素、例えば、ベタニンを含む着色剤組成物と、植物性タンパク質、水、塩、結合剤、例えば、メチルセルロース、油、例えば、ヤシ油およびヒマワリ油、ならびに、アントシアニン、ピラノアントシアニン、ベタレイン、カロテノイド、フィコビリン、クロロフィル、クロロフィリン、カラメル、カラメル化された野菜および果物のジュース、および/または麦芽から選択される補完的な色素を含む可食ベースとを含有する肉類似製品が提供され、調理前の肉類似製品のL*a*b*値は58.48、19.22、5.62であり、8分間の合計調理時間でT>摂氏75℃に調理後のL*a*b*値は57.16、11.32、11.04であり、ΔE値は8.08である。ベタレインが他の色素、例えば、麦芽抽出物とブレンドされるとき、調理前の肉類似製品のL*a*b*値は51.40、13.04、9.36であり、合計8分間の調理時間でT>摂氏75℃に調理後のL*a*b*値は48.29、8.06、10.99であり、ΔE値は6.07である。
【0179】
初期のCIE L*a*b*値および調理後の値の両方は、以下の技術:測定用分光光度計で受信できるKonica Minolta CM-3600Aの使用に好適である、60ml透明プラスチックポット、および反射モードにおいて記録するように設定された分光光度計に従って測定される。調理済のパテの試料については、外側の皮からのいずれの試料も含まれないように注意しながら、調理済のパテの中心がナイフで除去される。L、a、b座標は、未調理試料および調理済試料の両方について測定することができる。
【0180】
アントシアニンは、糖を含まないアントシアニジンのグリコシドである。アントシアニンの糖分子は、O-グリコシド結合を介して、アントシアニジン分子に典型的に存在する1以上のヒドロキシ基に結合する。最も多くの天然に存在するアントシアニンは、3-O-グリコシドである。アントシアニンの安定性は、いくつかの要因、例えば、pH、温度、光、および酸素によって影響され得る。アントシアニンは酸性pHで安定しており、赤色を呈する。しかしながら、より高いpH値では、それらはスペクトルのシフト(高塩基性pHで、紫、次いで青から黄)を呈し、これに続き、時間の経過とともに色が薄くなる。カプセル化されたアルカリは、このスペクトルのシフトを促進し、肉類似製品の調理プロセスと一致する時間スケールに亘って、興味深い色の変化を創出することができる。
【0181】
従って、本発明のある他の態様において、アントシアニン色素を含む着色剤組成物と、植物性タンパク質、水、塩、結合剤、例えば、メチルセルロース、油、例えば、ヤシ油およびヒマワリ油、ならびに、アントシアニン、ピラノアントシアニン、ベタレイン、カロテノイド、フィコビリン、クロロフィル、クロロフィリン、カラメル、カラメル化された野菜および果物のジュース、および/または麦芽から選択される補完的な色素から選択される補完的な色素を含む可食ベースとを含む肉類似製品が提供され、調理前の肉類似製品のL*a*b*値は61.53、11.64、5.81であり、8分間の合計調理時間でT>摂氏75℃に調理後のL*a*b*値は56.47、4.28、4.74であり、ΔE値は8.55である。アントシアニンが他の色素、例えば、麦芽抽出物とブレンドされるとき、調理前の肉類似製品のL*a*b*値は55.38、8.45、10.29であり、合計8分間の調理時間でT>摂氏75℃に調理後のL*a*b*値は50.76、5.07、8.34であり、ΔE値は5.72である。
【0182】
色は、ハンターラボカラースケールを使用し、分光光度計、例えば、Konica Minolta CM-3600Aで測定し、L、a、bの3次元において測定される。
【0183】
固体試料、例えば、肉類似体パテの色を測定するとき、パテを、測定用分光光度計(分光光度計は反射モードにおいて記録するように設定される)によって受信することができる好適な容器(例として、Konica Minolta CM-3600Aにおける使用に好適な60mlプラスチックポット)に圧縮することができる。調理済のパテの試料については、サンプリングの前に、パテの表面の焦げた材料および黒焦げの材料が除去されるべきである。L、a、b座標は、未調理試料および調理済試料の両方について測定することができ、デルタEが算出される。2より大きいデルタE値は、ヒトの目が2つの試料の色合いの間に有意な差を見ることを指し示している。
【0184】
本発明はさらに、75℃を超える温度で、各面が少なくとも2~5分間、例えば、少なくとも4分間加熱されると色が変化することができ、ここで初期色は、L* 37.16、a* 8.52、b* 14.63またはL* 52.23、a* 4.37、b* 12.39のL a b値によって特徴付けられ、初期色と調理済の色との間の色の変化(デルタE)は、3よりも大きく、例えば、4よりも大きく、または5よりも大きい、肉類似製品に関する。
【0185】
本発明はさらに、(1)食用基質、および(2)本明細書において定義されるとおりの色素と、カプセル化された酸材料、金属カチオンおよび/または塩とを含む着色剤組成物を含む、160℃を超える温度に加熱されると色が変化する能力を有する肉類似製品に関する。
【0186】
本発明はさらに、製品(例えば、食品または飲料製品)において色の変化に影響を与えるためのカプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩の使用であって、製品が、本明細書に定義されるとおりの着色剤組成物と、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩とを含み、製品が加熱され、および/または機械的エネルギーに供与されると、色の変化が影響を受ける、前記使用に関する。
【0187】
本発明はさらに、食品または飲料製品を着色するための方法であって、本発明所に定義されるとおりの色素、およびカプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩の、該製品への、同時、別々または逐次の追加のステップを含む、前記方法に関する。特定の態様において、色素は、pHの変化に感受性であり、温度の増加に感受性であり、金属カチオンに敏感であり、および/またはイオン強度の増加に感受性である色素である。他の態様において、本方法は、pH変化に感受性であり、温度の増加に感受性であり、金属カチオンに感受性であり、および/またはイオン強度の増加に感受性である色素ではない1以上の色素、例えば、前述の色素を添加するステップを包含し得る。
【0188】
本発明はさらに、製品において色の変化に影響を与えるためのカプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩の使用であって、製品が、本明細書に定義されるとおりのpH変化に感受性であり、温度の増加に感受性であり、金属カチオンに感受性であり、および/または、イオン強度の増加に感受性である色素と、カプセル化されたアルカリ材料、酸材料、金属カチオンおよび/または塩とを含み、製品が加熱され、および/または機械的エネルギーに供与されると、色の変化が影響を受ける、前記使用に関する。
【0189】
本発明はまた、本明細書に記載される方法または使用法を使用して得られる製品(例えば、食品または飲料製品)に関する。
【0190】
本発明において、カプセル化されたアルカリ材料のみに言及する全ての態様は、カプセル化された酸材料、金属カチオンおよび/または塩に外挿され得る。
【0191】
本発明は、以下の非限定的な例を参照して、さらに説明および例示される。
【0192】

材料および方法
フィコエリスリンは、Porphyridium purpureumからの抽出物として、2wt%を超えるB-フィコエリスリン含量を含有する乾燥粉末の形態で提供される。
重炭酸ナトリウムE500:Dr Oetker Bicarbonate of soda。
【0193】
カプセル化されたアルカリ材料は、完全に水素化された野菜油(パーム油)を使用してカプセル化されたおよそ83~87%の重炭酸ナトリウムを含有する、BakeShure(登録商標)187(F4187011B)であった。
【0194】
ベタニン抽出物は、ベタニン含量0.28~0.32wt%を有する、マルトデキストリン担体上にスプレー乾燥された赤ビートルート(Beta vulgaris)の濃縮ジュースの形態で提供された。
【0195】
アントシアニンは、水およびグリセリンで製剤化された赤大根マルトデキストリン粉末(15wt%アントシアニンを含有する)の形態で提供された。pHは、クエン酸を使用して(pH1.5~2.0へ)調整された。最終的な液体製剤は、3.5~4.3wt%のアントシアニンを含有していた。
【0196】
ハンバーガーパテのレシピおよび混合の指示を下記に示す:
【表1】
【0197】
ステップ1
色素(単数または複数)を秤量して、ガラスミキシングボウル中に入れる。冷たい水道水を30.76%マイナス添加される色素の%の割合で添加する。例えば、2%フィコエリスリン抽出物を添加する場合、冷水は30.76マイナス2=28.76%に等しい。色素を完全に溶解/懸濁させる。大豆タンパク質を添加する。即時に十分に混合し、全ての大豆片を着色された水で均等にコーティングする。大豆TVPを水和するように30分間冷蔵する。
【0198】
ステップ2
メチルセルロースおよび塩を秤量して、ガラスミキシングボウル中に入れる。冷たい水道水を添加し、白い均一なゲルが形成するまで泡立てる。
【0199】
ステップ3
ひまわり油およびヤシ油を秤量して、好適な容器中に入れ、電子レンジでヤシ油を溶解し、十分に混合する。
ステップ2のゲル混合物に添加し、均一なペーストが形成されるまで泡立てる。
【0200】
ステップ4
グルテンを、水和され、着色された大豆タンパク質に添加し、混合してコーティングする。
ステップ3からのペーストを添加し、合わせた塊になるまで十分に混合する。
パテフォーマーを使用して、ハンバーガーパテを製造する。
調理前に最低45分間冷蔵する。各面を、少量のひまわり油において、4分間、中強火で揚げる。中心温度は>75℃;pHは典型的には6.3~6.6であるだろう。
【0201】
パテをレシピどおりに作り、色素を例に触れられる用量で組み込んだ。
重炭酸ナトリウム(カプセル化されているか否かにかかわらず)を例において触れられる用量で添加する場合、添加はパテの塊が形成された後に行い、均一に分散されるまで、さらに30秒間~1分間パテに混合する。
【0202】
例1.pHに応じたフィコエリスリンの熱分解の促進。
この例は、3つの異なるpH値での熱処置(80℃、30分間)に応じた、フィコエリスリン色素の分解における変動を実証する。
【0203】
試料を1gのフィコエリスリン粉末(2wt%のフィコエリスリン)を水性緩衝剤(100mL)に溶解させることによって調整し、熱感受性に対するpHのインパクトを調査した。
試料1A:
100mlのリン酸緩衝剤中の1gフィコエリスリン(PH7、10mM)
試料1B:
100mlのリン酸緩衝剤中の1gフィコエリスリン(PH6、10mM)
試料1C:
100mlのリン酸緩衝剤中の1gフィコエリスリン(PH5、10mM)
【0204】
初期のL a bパラメータをコニカミノルタ分光光度計(CM-36dG)を使用して測定し、次いで試料を80℃で30分間水浴中で熱処置に供与した。30分の加熱後、色の変化を測定した(デルタE 2000)。本説明において、Delta EはdE2000である。
【0205】
結果を下記の表に示す。例は、pHを5~7に増加させると、熱処置後のΔE値(dE2000色の変化)を有意に増加させたことを実証しており、これは、pHの増加が熱分解を促進させることを示唆している。pHおよび温度のフィコエトリンに対するこの相乗効果は、予想外であった。
【0206】
結果を下記の表に示す。例は、pHを5~7に増加させると、色素の分解を有意に促進させたことを実証しており、それは高pHでの熱処置後の色の変化(dE2000)の増加によって測定される退色によって示された。この実験は、pHの増加がフィコエリスリンの熱分解を促進させることを示唆している。
【表2】
【0207】
例2.大豆タンパク質パテにおける適用:フィコエリスリン含有パテの調理中の色の転換に対するpH増加のインパクト。
この例において、パテを上記に定められるレシピに従って調製した。パテは2wt%の添加されたフィコエリスリン粉末を含有しており、パテ間のpHを重炭酸ナトリウムの添加量を増加させることによって調整した。4つのパテを調製した:1つ目は重炭酸塩を含有せず、6.4のpHを有する(例2a);2つ目は重炭酸塩を含有し、7.2のpHを有する(例2b);3つ目は重炭酸塩を含有し、7.5のpHを有する(例2c);4つ目は重炭酸塩を含有し、8.2のpHを有する(例2d)。例は、pHが増加すると、調理プロセス後に残るピンク色が少ないことを示している(図1)。
【0208】
例3.大豆タンパク質パテにおける適用:保存期間(冷蔵保管)中の初期色に対するpH増加のインパクト
図2Aは、上記の例2において説明したとおり、4つのパテ(2a、2b、2c、および2d)を調製したことを示している。パテは、各パテの色を評価する前に、ラップフィルムで覆い、<10℃の冷蔵条件下で、14日間保管した。
【0209】
図2Aは、冷蔵保管すると、例2dの高いpHのパテ(7.2のpH)が許容できない青色トーンになり、製品がスーパーマーケットの棚に置かれた場合、明らかに消費者の知覚に否定的な影響を与えただろうことを示している。
【0210】
これは、カプセル化されていない形態のアルカリ材料が、冷蔵保管条件下であっても、製品の保存期間に望ましくない効果を有することを実証している。
【0211】
実験を、カプセル化された重炭酸ナトリウムの添加レベルの異なる4つのパテで繰り返した:パテ3aには、2wt%のフィコエリスリン粉末を添加し、重炭酸塩は添加していない;パテ3bには、2wt%のフィコエリスリン粉末を添加する+0.2wt%のBakeshure 187を添加する;パテ3cには、2wt%のフィコエリスリン粉末を添加する+0.3wt%のBakeshure 187を添加する;パテ3dには、2wt%のフィコエリスリン粉末を添加する+0.4wt%のBakeshure 187を添加する;パテ3eには、2wt%のフィコエリスリン粉末を添加する+0.5wt%のBakeshure 187を添加する。
【0212】
カプセル化されたアルカリ材料はパテのpHに対する実質的に低減したインパクトを有し、したがって、冷蔵保管条件下で色のシフトはない(図2B)。
【0213】
例4.大豆タンパク質パテにおける適用:フィコエリスリン含有パテの調理中の色の転換に対するアルカリ材料の使用のインパクト。
この例は、上記の例3で定められているものと同一のパテを使用し、これを調理プロセスに供与する。パテ3b~3eの色をパテ3a(重炭酸塩を含有しない)の色と比較する。
【0214】
結果から、調理時にアルカリ材料がカプセル化媒体から放出されると、ハンバーガーパテマトリックスのpHが増加し、それは色素の分解に繋がり、より高いpHに応じて色の変化の増加に繋がることが確認される。
【0215】
パテミックスのデルタE値を測定するために、パテのカリカリに揚げられた外側を除去し、内側の大豆タンパク質マトリックスを60mlの透明プラスチックポットに充填し、ティッシュペーパーで圧縮して、色を反射モードにおけるコニカミノルタCM-3600A上で記録する。
【0216】
表XにおけるΔE値は、アルカリ材料が調理後に放出され、pHが高くなるほど、フィコエリスリン色素の分解が増加するため、色の変化が大きく達成されることを示している。例えば、調理後により低いpH(7.6)を有する試料3bはまた、より低いデルタEを有する一方で、調理後に8.15のpHを有する試料3eは、より高いデルタE(6.23)を有する。
【表3】
【0217】
これは、調理前後に採取したハンバーガーパテのpH値(表3)が、調理ステップの熱放出後にのみアルカリ剤が放出され、パテのpHを増加させることを示していることから確認される。
【0218】
例5.大豆タンパク質パテにおける適用:ベタニンおよびアントシアニン含有パテの調理中の色の転換に対するアルカリ材料のインパクト(図3)
例5aは、0.8wt%のビートルート粉末色素を含有し、0.5wt%のBakeshure 187ありおよびなしのパテを指す。
例5bは、0.2wt%の赤アントシアニン色素を含有し、0.5wt%のBakeshure 187ありおよびなしのパテを指す。
【0219】
調理ステップ中にパテのpHがカプセル化媒体からのアルカリ材料の放出のせいで7より上に増加すると、ベタニン色素は分解し、ピンクの色調の低減および褐緑の着色が観察され、よって、ハンバーガーパテではpHの増加が抽出物の分解を促進させる(表4)。
【0220】
アントシアニン含有パテは、アントシアニンのフラビリウムカチオン(赤)のキノノイド塩基(紫)への構造変化に起因して、ピンク-紫から紫-青に色のシフトを呈する。(図3)
【0221】
これら両方の色の推移を植物ベース牛肉ハンバーガーにおいて利用し、牛肉の赤/ピンク色から調理済の牛肉の褐/灰色への転換に影響を与えることができる。(図3)
【表4】
【0222】
例6.大豆タンパク質パテにおける適用:ベタニン麦芽抽出物、アントシアニン麦芽抽出物、およびフィコエリスリン麦芽抽出物のブレンド含有パテの調理中の色の転換に対するアルカリ材料のインパクト
例6aは、0.8wt%のビートルート粉末色素、0.3wt%の麦芽抽出物、および0.5wt%のBakeshure 187(カプセル化されたアルカリ)を含有するパテを指す。
例6bは、2wt%のフィコエリスリン粉末色素、0.3wt%の麦芽抽出物、および0.5wt%のBakeshure 187(カプセル化されたアルカリ)を含有するパテを指す。
例6cは、0.4wt%の酸性化された赤ダイコン粉末色素、0.3wt%の麦芽抽出物、および0.5wt%のBakeshure 187(カプセル化されたアルカリ)を含有するパテを指す。
【0223】
この結果は、調理ステップ中にパテのpHがカプセル化媒体からのアルカリ材料の放出のせいで6.5より上に増加すると、ベタニン、フィコエリスリン、およびアントシアニン色素は分解し、それが有意に色転換の役に立つことを実証している。
【表5】
【0224】
例7.アルカリ材料の脂肪ブロック中へのカプセル化。
プロトコル:
段階1
1. 水および色素を秤量し、ボウル中に入れて、溶解するまで混合する
2. テクスチャ化植物性タンパク質および大豆タンパク質単離物を秤量して、同じボウル中に添加し、混合する
3. プラスチックラップで覆い、冷蔵庫で30分間置き、水和させる
結合剤
4. 水およびセルロースを秤量し、ボウルまたはフードプロセッサー中に入れる。
5. 30秒間混合し、次いで油を添加し、白いペースト形状になるまで再度混合する
【0225】
段階2.
6. 段階1からの水和されたタンパク質、結合剤、および段階2からの乾燥成分(テクスチャード植物性タンパク質、塩)をパドルミキサーに添加し、5分間混合する
7. 側面をこすり落とし、次いでヤシ油を添加し、1~2分間再び混合する
調理プロセス:ハンバーガーパテが形成されたら、フライパンをコンロ上で中強火に予熱する。フライパンを油で豊富にコーティングする。パテを各面4分間調理する
【0226】
色素
・赤ビートジュース濃縮物。色素タイプ-ベタニン。0.7%ベタニン。マルトデキストリン担体上に赤ビート色素を含有する水溶性粉末であるスプレー乾燥赤ビート色素。この製品は、限外濾過を経由した清澄化された赤ビートジュース濃縮物を使用して製造されている。マルトデキストリン担体は、同一性が保たれている。
【0227】
・黄ビートジュース濃縮物
色素タイプ-ブルガキサンチン。0.3%ブルガキサンチン。マルトデキストリン担体上に黄ビート色素を含有する水溶性粉末であるスプレー乾燥黄ビート色素。この製品は、限外濾過を経由した清澄化された黄ビートジュース濃縮物を使用して製造されている。マルトデキストリン担体は、同一性が保たれている。
【0228】
・麦芽
焙煎された大麦麦芽の抽出物が真空蒸発により濃縮され、微粉末にスプレー乾燥されたもの。
カラーユニット(EBC A430nm)-28000~31000。グルテン<20ppm。
色素ブレンド: 0.3%赤ビートジュース濃縮物、0.2%黄ビートジュース濃縮物、0.15%麦芽
【0229】
Bakeshureの脂肪への導入
- Bakeshureの脂肪ブロックへのカプセル化。Bakeshureは、脂肪でカプセル化された重炭酸ナトリウムの粉末(68~72%重炭酸ナトリウム)である
- 重炭酸ナトリウムの脂肪へのカプセル化。重炭酸ナトリウムもまたそれ自体を同じ効果を得るために使用した。Bakeshureの重炭酸ナトリウム量(68~72%)に基づくと、Bakeshureはハンバーガーパテに使用される0.6%の使用率において0.42グラムの重炭酸ナトリウムを提供する。重炭酸ナトリウムそれ自体を使用した場合、0.42グラムを使用して、2つの製品間で同等の使用率を創出した。
【0230】
組み込みのためのプロトコル
○Bakeshureまたは重炭酸ナトリウムを、上記の処方における段階2からのヤシの脂肪に直接添加する
○硬いヤシの脂肪を半分溶解し(電子レンジで15秒)、Bakeshure/重炭酸ナトリウムの粉末を添加し、十分に混合する
○ヤシの脂肪を羊皮紙の上に広げ、固体になるまで冷凍する
○固体になったら、小片に細かく刻み、ハンバーガーパテ中に組み込む
【0231】
【表6】
【0232】
【表7】
【0233】
知見:Bakeshureまたは重炭酸ナトリウムの添加は、ハンバーガー中に組み込まれると、対照と比較して、より低いL値をもたらす。L値は、明度および暗度を表す。L値が低いほど、試料は黒に近くなる。ハンバーガーは、調理前の測定時、同様のLab値を有した。調理後、対照よりも大きな変化を意味するより高いdE CMCが示され、この変化はほとんどL値の差に起因し、Bakeshure/重炭酸ナトリウムを用いたハンバーガーは、調理プロセス後により暗く見えた。A、b&cの値も対照と比べてわずかに低く、「h」は高く、肉様の色に近いより少ない赤い色調を指し示す。
【0234】
例8.アルカリ材料の脂肪ブロックへのカプセル化
例7のプロトコルに従い、表8、9、および10に定義される色素を使用して調製された牛肉ハンバーガーパテ。
【表8】
【0235】
【表9】
【0236】
【表10】
【0237】
【表11】
【0238】
知見:Bakeshureまたは重炭酸ナトリウムの添加は、ハンバーガー中に組み込まれると、対照と比較して、色の変化を提供した。
【0239】
例9.大豆タンパク質パテにおける適用:サンタリン含有パテの調理中の色の転換に対する酸のインパクト。
この例において、パテを表1におけるハンバーガーパテレシピに従って調製した。
例9aは、0.5%サンタリン抽出液を含有するパテを指す。
例9bは、0.5%サンタリン抽出液および0.4%のアスコルビン酸粉末を含有するパテを指す。
例9cは、0.5%のサンタリン抽出液および0.67%の脂肪にカプセル化されたアスコルビン酸(60%アスコルビン酸量を有する)を含有するパテを指す。
例9dは、0.5%サンタリン抽出液および2%の脂肪にカプセル化されたアスコルビン酸(20%アスコルビン酸量を有する)を含有するパテを指す。
【0240】
この例は、酸の添加でパテのpHが減少するため、調理プロセスの加熱の間にサンタリン色素の分解反応が起こり、調理後にピンク色が喪失することを示す(図9)。
【0241】
この分解は、褐色の色素と合わせると、実際の牛肉ハンバーガーにおいて赤~褐色が見られるとおり、調理時にピンク色の喪失効果を達成するのに役に立つことができる。カプセル化されていないアスコルビン酸を用いたパテ(例9b)は、調理前に色が変化した。カプセル化されたアスコルビン酸を用いたパテでは、パテが調理されるときのみ色の変化が生じる。
【0242】
例10.大豆タンパク質パテにおける適用:ビート/アントシアニン/麦芽ブレンドパテの調理中の色の転換に対するアルカリのインパクト。
この例において、大豆タンパク質パテを例7に概説されるプロトコルに従って作る。
図10aは、ビート(0.25%)、赤アントシアニン(0.1%)、および麦芽抽出物(0.25%)を包含する色素のブレンドを含有する調理前の大豆タンパク質パテを示す。それは、脂肪にカプセル化されたアルカリ(0.7%)も含有する。
【0243】
加熱時、アルカリの脂肪コーティングが溶解し、ハンバーガーにおいてpHのシフトを引き起こし、図10bの結果をもたらす。フライパンにおけるハンバーガーの加熱に起因するpHの増加およびメイラード褐変反応の組み合わせは、ベタニン化合物の分解および麦芽抽出物からの褐変反応の増大に起因する、実際の肉と同様の色の転換をもたらす。
【0244】
例11.大豆タンパク質パテにおける適用:ビート/アントシアニン/リンゴジュースブレンドの調理中の色の転換に対するアルカリのインパクト。
この例において、大豆タンパク質パテを例7に概説されるプロトコルに従って作る。
図11aは、ビート(0.25%)、赤アントシアニン(0.1%)、および調理済リンゴジュース濃縮物(0.2%)を包含する色素のブレンドを含有する調理前の大豆タンパク質パテを示す。このパテは、実施例10におけるものと同じカプセル化されたアルカリ(0.7%)も含有する。
【0245】
ハンバーガーが調理プロセス中に熱にさらされると、アルカリの脂肪カプセルが溶解し、ハンバーガーパテのpHが増加する。この増加はベタニンを分解するのに役に立ち、メイラード褐変反応と相まって、図11bの結果をもたらす。パテの外側および内側の両方が転換し、調理済のハンバーガーの外観をもたらした。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】