(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-08
(54)【発明の名称】光デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
H01S 3/16 20060101AFI20250701BHJP
【FI】
H01S3/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024572078
(86)(22)【出願日】2023-06-08
(85)【翻訳文提出日】2025-01-16
(86)【国際出願番号】 GB2023051496
(87)【国際公開番号】W WO2023237888
(87)【国際公開日】2023-12-14
(32)【優先日】2022-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2022-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507226592
【氏名又は名称】オックスフォード ユニヴァーシティ イノヴェーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェルス, ジュリアン
【テーマコード(参考)】
5F172
【Fターム(参考)】
5F172AE03
5F172AE06
5F172AF01
5F172AF06
5F172AF07
5F172AL02
5F172AM08
5F172DD06
5F172EE12
5F172NN01
5F172NN14
5F172NQ25
5F172NQ34
5F172NQ53
5F172NR11
(57)【要約】
シングルモードサファイア光導波路を利得媒体として用いることを含む光の放出を刺激方法、及びシングルモードサファイア光導波路を含む光利得媒体を備えるサファイア光デバイス。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シングルモードサファイア光導波路を利得媒体として使用することを含む、光の放出を刺激する方法。
【請求項2】
前記シングルモードサファイア光導波路を利得媒体として使用して信号光を増幅することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シングルモードサファイア光導波路を利得媒体として使用してレーザ光を発生させることを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記シングルモードサファイア光導波路内にブラッググレーティングを作製することを含む、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記シングルモードサファイア光導波路内に、対向するブラッググレーティングを設けることで光キャビティを形成することを含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記シングルモードサファイア光導波路をセンサシステムの一部として使用することを含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記シングルモードサファイア光導波路が、ディプレストクラッド導波路である、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
レーザ改質およびアダプティブ光学収差補償を使用して前記シングルモードサファイア光導波路を作製することを含む、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
サファイア光ファイバ内に前記シングルモードサファイア光導波路を提供することと、前記サファイア光ファイバをマルチモード導波路として使用すると同時に、前記シングルモードサファイア光導波路をシングルモード導波路として使用することとを含む、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
サファイア光ファイバ内にクラッドを作製して光コアの周りにレーザ改質クラッドを形成し、前記光コアと前記クラッドとが協働してシングルモードサファイア光導波路を提供することを含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記クラッドは第1のクラッドであり、前記第1のクラッドの周りに第2のクラッドを作製することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
サファイア光ファイバをドープしてその中にドープ領域を形成することと、前記ドープ領域内に前記シングルモードサファイア光導波路の前記光コアを作製することとを含む、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
サファイア光ファイバ内で中心から外れた位置に前記シングルモードサファイア光導波路を作製することを含む、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
非対称の特徴を備える前記シングルモードサファイア光導波路を作製することを含む、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
ポンプレーザを前記シングルモードサファイア光導波路に結合することを含む、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
シングルモードサファイア光導波路を含む光利得媒体を備える、サファイア光デバイス。
【請求項17】
ブラッググレーティングを備える、請求項16に記載のサファイア光デバイス。
【請求項18】
レーザシステム用の光キャビティを提供する対向するブラッググレーティングを備える、請求項17に記載のサファイア光デバイス。
【請求項19】
前記シングルモードサファイア光導波路がディプレストクラッド導波路である、請求項16、17または18に記載のサファイア光デバイス。
【請求項20】
前記サファイア光デバイスが、レーザ改質サファイア光ファイバである、請求項16から19のいずれかに記載のサファイア光デバイス。
【請求項21】
前記サファイア光デバイスがマルチモードサファイア光ファイバであり、前記シングルモードサファイア光導波路が前記マルチモードファイバ内に配置されている、請求項16から20のいずれかに記載のサファイア光デバイス。
【請求項22】
ドープ領域を備え、前記シングルモードサファイア光導波路の前記光コアが前記ドープ領域内にある、請求項16から21のいずれかに記載のサファイア光デバイス。
【請求項23】
前記シングルモード導波路が、前記光デバイス内の中心から外れている、請求項16から22のいずれかに記載のサファイア光デバイス。
【請求項24】
前記シングルモードサファイア光導波路が、光コアを囲むレーザ加工されたクラッドを備える、請求項16から23のいずれかに記載のサファイア光デバイス。
【請求項25】
前記レーザ加工されたクラッドが第1のクラッドであり、前記光デバイスが前記第1のクラッドを囲む第2のレーザ加工されたクラッドを備える、請求項24に記載のサファイア光デバイス。
【請求項26】
請求項16から25のいずれかに記載の光デバイスを備えるレーザ光を発生するレーザシステムであって、前記光デバイスが前記レーザシステムの利得媒体である、レーザシステム。
【請求項27】
請求項16から25のいずれかに記載の光デバイスを含む、光増幅器。
【請求項28】
請求項16から25のいずれかに記載の光デバイスを含む、センサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の放出を刺激する方法、並びにサファイア光デバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドープされた光ファイバは、光利得とレーザ光も提供するために使用することができる。しかしながら、典型的には光ファイバはシリカで作られており、特定の状況において不利な点を有する。第一に、シリカは、特定の波長、特に分光法にとって重要な波長帯である中赤外線に対して吸収性である。さらなる欠点は、放射線に曝されると劣化する可能性があることである。これは、例えば、宇宙での使用または原子炉での使用などの用途にとって問題となる。
【0003】
レーザの重要なクラスは、チタンドープサファイアレーザ(Ti:サファイア)である。これらのレーザは、超短パルスの発生を可能にし、非常に広い利得帯域幅を有しており、例えば、非常に広い範囲のレーザ波長にアクセスでき、広い調整範囲を可能にする。しかし、Ti:サファイアレーザはかさばり、高価となることがある。もう一つの問題は、光が急速に発散するために相互作用の長さが比較的短くなり、利用可能な光利得の量が制限されることである。
【0004】
チタンドープサファイアのポンプ吸収長さは比較的大きいが、発光断面積と上レーザ準位の寿命の積は比較的小さい。上レーザ準位の寿命が小さいことは、チタンドープサファイアレーザに対するしきい値ポンプパワーを妥当に保つために、小さいレーザ及びポンプモード半径が必要であることを意味する。バルクチタンドープサファイアレーザでは、これは、ポンプおよびレーザが、焦点から急速に発散することを意味する。これは、ポンプを効率的に吸収するために必要な、チタンドープサファイア結晶の長さにわたってモード半径を小さく保つことが、困難であることを意味する。これは、典型的には、チタンドープサファイアのためのポンプとして、高空間輝度の周波数倍増Ndベースレーザを必要とし、これは、例えば、約10,000ポンド/Wと高価になる可能性がある。いくつの青色ダイオードレーザは、これよりも大幅に安価(例えば、100ポンド/W程度)であるが、このような青色ダイオードレーザを使用してチタンドープサファイアを励起するのは困難である。
【0005】
一般に、レーザおよび光増幅器のための利得媒体の改善が望まれている。例えば、バルクチタンドープサファイアの利得限界、吸収長さの欠点およびコストを改善する必要がある。
【0006】
本発明は、上記のような制限を克服する、光利得およびレーザ光を提供するための装置および方法を提供する。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、シングルモードサファイア光導波路を利得媒体として使用することを含む、光の放出を刺激する方法が提供される。
【0008】
すなわちこの方法は、シングルモードサファイア光導波路における光の放出を刺激することを含み、したがって、導波路は光利得の供給源として働く。これは、様々な用途を有することができ、例えば、この方法は、光信号を増幅する光増幅器の一部としてシングルモードサファイア光導波路を使用することを含むことができる。この方法は、レーザ光を生成するレーザシステムの一部としてシングルモードサファイア光導波路を使用することを含むことができる。使用中、利得媒体(レージング媒体、レーザ媒体、アクティブレーザ媒体などとも呼ばれる)は、放出された電磁放射(すなわち、光)としてエネルギーを伝達させる。したがって、本方法は、光を増幅および/または生成する方法であることができる。
【0009】
シングルモードサファイア光導波路は、光ファイバなどの光デバイス内にあってもよく、サファイアのブロックまたはロッド内にあってもよい。シングルモードサファイア光導波路は、サファイア光ファイバ内にあってもよい。したがって、シングルモードサファイア光導波路は、光ファイバの一部であってもよい。したがって、本方法は、シングルモードサファイア光導波路を含むサファイア光ファイバを提供することと、このファイバ、特にこの中のシングルモード導波路を、例えば光増幅器および/またはレーザの利得媒体として使用することとを含むことができる。別の考え方をすると、シングルモードのサファイア光導波路は、サファイア光ファイバの光コア(例えばファイバ内のレーザ加工されたクラッドによって提供される、適切な境界と協働する)を含むことができる。
【0010】
サファイア光ファイバ内にシングルモードサファイア光導波路を設けることによって、ファイバ自体は「シングルモードファイバ」であると見なすことができるが、シングルモード導波路内では光の伝搬がシングルモードに制限されているため、その意味でファイバを「シングルモード」にするのはシングルモード導波路であることは理解されるであろう。したがって、ファイバの残りの部分(すなわち、シングルモード導波路以外のファイバの部分)は、シングルモードでなくてもよい。シングルモード導波路が単一の伝搬モードのみをサポートするのに対して、ファイバの残りの部分はマルチモードであってもよく、したがって、そのファイバ内で複数の伝搬モードをサポートしてもよい。ファイバの残りの部分は、クラッド、変更された領域(例えば、レーザ改質領域、エッチング領域など)、バルクサファイアなどを含むことができる。
【0011】
シングルモードサファイア光ファイバの製造方法は、特許出願GB1712640.0に開示されており、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。本発明者は、そこに開示される方法および特徴が、本発明の特徴と組み合わせることができることを発見した。シングルモードのサファイア光導波路は、ファイバをレーザ改質することによって、サファイア光ファイバ内に作成することができる。しかし、サファイアは、比較的高い屈折率(例えば、約1.75)を有するので、このようなファイバ内の焦点合わせは、大きな収差を受け易く、したがって、レーザ改質の精度および正確さは、その収差によって制限される。しかし、GB1712640.0で認識されているように、補正を決定して改質レーザに適用して(例えば、アクティブ光素子を使用して、その波面特性を修正して)、その内部のレーザ焦点に対するファイバの収差の影響を打ち消すことができる。ファイバのこれらの収差効果を打ち消すことにより、従来は不可能であった長さスケールおよび材料において、ファイバの正確かつ精密なレーザ改質が可能になる。この方法は、したがって、非液浸対物レンズによる適応ビーム整形を使用して、フェムト秒レーザ直接描画によって構造を刻むことを含むことができる。あるいは、本方法は、液浸対物レンズおよび/または液浸オイルを使用することを含むことができ、例えば、液浸対物レンズおよび液浸オイルを用いた適応ビームシェイピングを使用してフェムト秒レーザ直接描画を用いて構造に刻むことを含むことができる。シングルモードサファイア光ファイバを製造する他の方法、例えば、エッチング、インデックスマッチングなども、現在は可能である。
【0012】
この方法は、光ファイバ(例えば、サファイア光ファイバ)をレーザ改質して、ファイバ内のターゲット位置にシングルモードサファイア光導波路を形成することを含むことができる。レーザ改質は、導波路および/またはファイバを、その中の複数の光モードの伝搬を防止、抑制、または低減するように、構成することができる。この方法は、レーザによる改質のために、光ファイバの少なくとも一部分をレーザシステムにおいて位置決めすることと、レーザを用いてターゲット位置において光ファイバをレーザ改質して導波路を形成することとを含むことができる。
【0013】
この方法は、ファイバによって引き起こされるレーザ焦点への収差の影響を打ち消すために、レーザシステムのアクティブ光学素子に補正を適用してレーザの波面特性を修正することを含むことができる。この方法は、補正された波面特性を有するレーザを用いて、ターゲット位置で光ファイバをレーザ改質することにより、導波路を形成することを含むことができる。
【0014】
シングルモードサファイア光導波路は、サファイア光ファイバのレーザ改質領域によって、サファイア光ファイバ内に形成されてもよい。そのため、光ファイバは、その中の高次モードの伝搬を防止または減少させるようにレーザ改質されてもよい。この方法は、レーザでサファイア光ファイバ(例えば、マルチモードサファイア光ファイバ)を改質してその中にシングルモードサファイア光導波路を形成することにより、シングルモード導波路を作製することを含むことができる。
【0015】
サファイアのレーザ改質は、例えば、その屈折率、サイズ、密度、均一性、均質性等を変化させることにより、改質領域の物理的特性を変化させることができる。この方法は、例えばファイバの光コアの特性を変更して導波路を直接形成することにより、サファイア光ファイバの一部を直接変更して導波路を形成することを含むことができる。
【0016】
この方法は、ファイバの一部分を取り囲む領域を修正して、その部分に例えば歪み場を作り、それによってその部分の光学特性を変化させ、結果的にその部分を、レーザを使用してそれ自体は修正されていないコアではあるが、所望の特性を有する光コア(例えば、シングルモード導波路)に変えることを含むことができる。
【0017】
この方法は、ファイバの一部を取り囲む領域を改質して、改質された領域が、それらが取り囲む部分と比較して異なる屈折率(例えば、低減された屈折率)を有するようして、それによりファイバの改質されていない光コアを取り囲むクラッドを効果的に形成することを含むことができる。実際に、本方法は、光ファイバの一部をレーザ改質して、ファイバの改質されていないコアの周りにクラッドを形成し、それによってシングルモード導波路を提供することを含むことができる。この方法は、ファイバを修正(例えば、レーザ改質)して、内部にディプレストクラッド導波路を作製することを含むことができる。
【0018】
導波路は、通常、その内部に波が伝搬できる光コアと、波の伝搬を適切に制限する境界とを備えている。境界は、十分に異なる光学特性を有する任意の適切な材料によって、例えば、空気界面および/またはクラッド界面によって提供することができる。したがって、コアとクラッド(または少なくともコアと境界)とは、協働して導波路を提供する。コアとクラッド(またはコアと境界)との適切な構成により、導波路はシングルモードとなるように構成することができる。
【0019】
この方法は、サファイア光ファイバ内にクラッドを形成することにより、シングルモード導波路を間接的に(例えば、光コアを直接改質しないことによって)形成することを含むことができる。したがってこの方法は、光ファイバ内の特性(例えばバルクサファイアの特性)を変化させて、これによりクラッドを形成することができ、このクラッドは、サファイア光ファイバの改質されていない部分(例えば光コア)と協働して、これにより導波路を提供するように構成される。
【0020】
シングルモード光ファイバが知られているが、シングルモードサファイア光ファイバは、少なくとも部分的には、レーザ改質のためのサファイアの取り扱い、及びサファイアファイバの取り扱いが本来有する困難さのため、GB1712640.0に開示された方法以前には実現されていなかった。このように、GB1712640.0は、サファイア光ファイバでの最初のレーザ改質シングルモードサファイア光導波路を開示した。シングルモード光ファイバは、シングルモードの光のみを搬送するように設計された光ファイバである。シングルモード光ファイバは、例えば、所定のしきい値未満の正規化周波数を有するなど、シングルモード基準を満たすことができる。例えば、ステップインデックスファイバの場合、正規化された周波数は2.4未満である場合がある。例えば、フォトニック結晶ファイバ、ディプレストクラッドファイバ、マイクロボイドファイバ、フォトニックバンドギャップファイバなどについては、しきい値が異なる可能性がある。
【0021】
この方法は、導波路を(例えば、レーザ改質によって)シングルモードであるように構成することを含むことができる。この方法は、その中のシングルモード以外の全ての光の伝播を防止するように、導波路を構成することを含むことができる。本方法は、所定のモードが伝搬中に損失が増加することを確実にするように、ファイバを改質することを含むことができる。この方法は、光ファイバ内にステップインデックス導波路を作製すること(例えば、レーザ書き込みをすること)を含むことができる。この方法は、光ファイバ内に、周期構造導波路(例えば、断面にわたって屈折率が周期的に変化するもの)、フォトニック結晶ファイバ、マイクロボイドファイバ、フォトニックバンドギャップファイバなどを製造すること(例えば、レーザ加工すること)を含むことができる。シングルモード導波路は、エネルギーの伝達を実質的に一方向に制限することができる。この方法は、ファイバの内部のみを改質することを含むことができる。この方法は、レーザ加工された導波路を、サファイア光ファイバ内に完全に設けることを含むことができる。この方法は、サファイア光ファイバ内に埋め込まれたレーザ加工された導波路を提供することを含むことができる。
【0022】
ファイバは、例えば、コアがボイド(例えば、エアまたは別の流体/液体/気体)である中空コアファイバであってもよい。ファイバは、中空コアを有するフォトニック結晶ファイバであってもよい。ファイバは、中空コアを有する反共振ファイバまたは負曲率ファイバであってもよい。中空コアは、適切な材料、例えば、気体(例えば、ヘリウム、ネオン、二酸化炭素、ルビジウム、窒素など)で充填されてもよく、したがって、ガスレーザを提供することができる。中空コアファイバは、非サファイアファイバであってもよい。
【0023】
この方法は、所定の伝搬モードに対する損失を増加させるように導波路を構成することを含むことができ、これにより導波路がシングルモードとなるように構成することができる。この方法は、伝搬中に高次モードの損失が増加するように、導波路を構成することを含むことができる。この方法は、所定のモードについて、メートル当たり約1dB(デシベル)、メートル当たり約3dB、メートル当たり約10dB、メートル当たり約15dB、又はメートル当たり約20dBを超える損失を生じさせるように、ファイバ内に導波路を形成することを含むことができる。この方法は、シングルモード以外の全てのモードが導波路において、例えばメートル当たり約1dB、メートル当たり約3dB、又はメートル当たり約10dBを超える損失が生じるように、光ファイバを改質することを含むことができる。この方法は、導波路内の低減されたモード数をサポートする、サファイア光ファイバを製造することを含むことができる。
【0024】
したがって、サファイアファイバは、導波路内の伝搬中に複数のモードが損失を示すように構成されたレーザ改質領域を含むことができ、導波路内の伝搬中にシングルモード以外のすべてのモードが損失を示すようにすることができる。サファイア光ファイバは、導波路内で実質的にシングルの伝搬モードをサポートするように構成することができる。
【0025】
サファイア光ファイバは、第1の屈折率を有するバルク材料と、第1の屈折率と異なる第2の屈折率を有する光コアとを備えることができる。バルクサファイアは、第1の屈折率のみを有することができるため、ファイバの光学的に機能する部分は、シングルモードの伝搬のための光コアと、均質な周囲のサファイア材料とのみから構成される。
【0026】
サファイア光ファイバは、第1の屈折率を有する光コア(例えば、改質されていないサファイア)と、第2の屈折率を有する周囲の改質された材料(例えば、クラッド及び/又はディプレストクラッド)とを備えることができる。したがって、異なる屈折率を有する領域間に境界が存在することができ、その境界は、導波路を提供するように配置することができる。結果として、導波路は、第1の屈折率を有する材料と第2の屈折率を有する材料との協働によって形成することができる。
【0027】
導波路は、その中に光を案内するように構成された、変更された屈折率の領域を含むことができる。導波路は、実質的に固体でありうる変更された屈折率を有する改質領域を含むことができる。改質領域は、その中にマイクロボイドを含む改質材料を備えることができる。改質領域は周期的であってもよく、微細構造および/またはフォトニック結晶を提供してもよい。サファイアファイバは、改質領域のアレイを含む微細構造ファイバおよび/またはフォトニック結晶ファイバであり、これにより導波路を形成することができる。改質領域は、サファイアファイバの導光領域として、光コアを規定するように機能することができる。したがって、サファイアファイバは、導波路が改質されていない領域および/または改質された領域を含むように、構成することができる。導波路は、光コア(例えば、非改質コア)とレーザ改質領域(例えば、レーザ加工微細構造、レーザ加工周期構造、レーザ加工フォトニック結晶、レーザ加工ディプレストクラッドなど)との協働によって形成することができる。レーザ改質領域は、したがって、光コアを取り囲み、これによりシングルモード導波路(ただし、完全に光ファイバ内にある)のクラッドとして機能することができる。レーザ改質領域は、空気または別の流体(すなわち、別の気体または液体)で充填されうるボイドまたは孔を備えることができる。
【0028】
シングルモードサファイア光導波路は、ファイバのタイプに適用可能な所定のしきい値よりも小さい、正規化された周波数Vを有することができる。例えば、シングルモードサファイア光導波路は、ステップインデックスファイバに対して2.4未満の正規化された周波数Vを有する場合があり、2.405未満の正規化された周波数を有する場合がある。正規化された周波数Vは、次のとおりに定義できる。
【数1】
ここで、aは導波路半径、λは動作波長、n1はコアの屈折率、n2はクラッドの屈折率である。サファイアは、約1.75の屈折率を有するので、1550nmにおいて導波路とクラッドとの間の屈折率変化が0.005でシングルモードになるには、導波路半径は4.47μm未満(直径8.94μm未満)である必要がある。
【0029】
シングルモードサファイア光ファイバは、光コアと、このコアを取り囲むクラッドとを備えることができる。したがって、導波路内を伝搬するシングルモードは、実質的に光コアに閉じ込められうる。コアとクラッドとの間の屈折率の変化、または少なくともコアとクラッドとの間の光学特性の変化の結果として、光は、導波路に(例えば、光コアに沿って)制限される(したがって、導波される)ことができる。隣接する材料間のこの屈折率の変化は、コア-クラッド界面による導波路を提供することができる。したがって、コアおよびクラッドの協働によって、またはそれらの間の境界によって、導波路を提供することができる。シングルモードサファイア光導波路は、シングルモードの光が伝搬するように制限される領域を備えることができ、この領域はサファイアベースの材料から形成される。導波路は、サファイア光ファイバのコアとすることができる。シングルモードサファイア光導波路は、コアとコア-クラッド界面とを備えることができる。したがって、導波路の導光部は、コアと一致していると考えることができる。したがって、コアは、利得媒体を提供することができる。
【0030】
本明細書で使用される「クラッド」との用語は、ファイバ内の改質された材料を含み、この改質された材料は、境界を提供することにより、一般的な光ファイバのクラッドと同様に動作することに留意されたい。クラッドは、完全に光ファイバ内に収まっていてもよい。実際、クラッドは、改質されていないファイバ材料、例えばバルクサファイアによって囲まれている場合がある。
【0031】
この方法は、誘導放出によって光を発生することを含むことができる。この方法は、ポンプ光を用いて利得媒体(例えば光コア)を励起することを含むことができる。この方法は、信号または入力光を使用して励起された利得媒体を刺激して、光を放出することを含むことができる。
【0032】
導波路内の利得媒体は、ドープされたサファイアであってもよい。サファイアのドープは、サファイアが利得媒体として機能することを可能にすることができる。ドープ成分は、導波路が利得媒体として機能することを可能にする、任意の適切なドープ成分とすることができる。特に、ドープ成分は、チタンであってもよく、クロムであってもよく、又は任意の適切な成分の組み合わせであってもよい。光ファイバは、チタンドープサファイアファイバ、例えば、Ti:サファイアファイバであってもよい。
【0033】
前記シングルモードサファイア光導波路は、伝搬損失を打ち消すように構成することができる。この方法は、シングルモードサファイア光導波路を用いて利得を提供することにより、導波路内の伝搬損失を克服することを含むことができる。したがって、本方法は、より長いサファイア光ファイバの使用を可能にすることができる。市販のサファイアファイバは、典型的には長さが約4メートル未満であり、伝搬損失を打ち消すためにシングルモードサファイア光導波路を備えるサファイア光ファイバを提供することにより、サファイアファイバの長さに対するこのような制限に直面することはなくなる。すなわち、本明細書で述べる方法によって、より長いファイバの使用が可能となりうる。したがって、本発明は、2. 5センチメートル(cm)より長い、5cmより長い、10cmより長い、15cmより長い、20cmより長い、30cmより長い、50cmより長い、1メートル(例えば、1.00m)より長い、2メートル(例えば、2.00m)より長い、または4メートル(例えば、4.00m)より長い、シングルモードサファイア光ファイバを提供することを含むことができる。シングルモードサファイア光ファイバの長さは、現実の用途に適している可能性がある。
【0034】
この方法は、信号光を増幅する利得媒体として、シングルモードサファイア光導波路を使用することを含むことができる。
【0035】
すなわちこの方法は、信号光を増幅することを含むことができ、したがって、シングルモードサファイア光導波路を光増幅器として使用することができる。光増幅器は、例えば、最初に電気信号に変換する必要なしに信号を直接増幅する装置であってもよい。光増幅器は、光キャビティを有さないレーザ、またはキャビティからのフィードバックが抑制されたレーザと考えることができる。この方法は、サファイア光ファイバを光増幅器で使用することを含むことができる。本方法は、光増幅器を提供することを含むことができる。この方法は、例えばテレコミュニケーションのような通信システムに使用するための光リピータとして、光増幅器を提供することを含むことができる。実際、別の観点から見ると、本発明の一態様は、シングルモードサファイア光導波路を利得媒体として使用することを含む光信号を増幅する方法を提供する。この態様は、本発明の任意の他の態様を参照して本明細書に記載される特徴の、いずれかを含むことができる。
【0036】
この(本発明の任意の態様の)方法は、例えば利得媒体を刺激して、それによって信号光の増幅を生成することを含むことができる。この方法は、利得媒体を励起するために利得媒体をポンピングし、これにより信号光の増幅を可能にすることを含むことができる。
【0037】
この方法は、利得媒体としてシングルモードサファイア光導波路を使用して、レーザ光を生成することを含むことができる。
【0038】
すなわち、この方法は、シングルモードのサファイア光ファイバレーザを提供することを含むことができる。この方法は、シングルモードサファイア光導波路によって提供される利得媒体からの光の放出を刺激することを含むことができる。この方法は、例えばポンプ光を使用して利得媒体をポンピングすることを含むことができる。この方法は、光キャビティ(例えば、レーザシステムの共振器キャビティ)を提供することを含むことができ、シングルモードサファイア光ファイバを光キャビティの少なくとも一部として提供することを含むことができる。
【0039】
実際、別の観点から見ると、本発明の一態様は、利得媒体としてシングルモードサファイア光導波路を使用してレーザ光を生成する方法を提供する。この方法は、したがって、利得媒体としてシングルモードサファイア光ファイバを使用することを含むことができ、この光ファイバは、シングルモードサファイア導波路を含む。この態様は、本発明の任意の他の態様を参照して本明細書に記載される本発明の特徴の、いずれかを含むことができる。別の観点から見ると、本発明の一態様は、シングルモードサファイア光ファイバレーザを提供する。この態様は、本発明の任意の他の態様を参照して本明細書に記載される本発明の特徴の、いずれかを含むことができる。
【0040】
この(本発明の任意の態様の)方法は、所定のしきい値パワーレベルを超えるポンプ光を使用して、シングルモードサファイア光導波路をポンピングすることを含むことができる。この方法は、励起されたシングルモード導波路からの光の放出を刺激することを含むことができる。この方法は、ポンプ光、例えば、ポンプレーザ、ダイオードレーザ、半導体レーザ等の光源を提供することと、その後の誘導放出のためにシングルモードサファイア光ファイバを励起するようにポンプ光の光源を構成することとを含むことができる。本方法は、誘導放出を可能にするために反転分布を含むことができる。この方法は、利得媒体をポンピングするための任意の適切なポンプ手段、すなわち、電流、化学反応、核分裂または高エネルギー電子ビームなどを介して利得媒体を励起するための任意の適切な手段を使用することを含むことができる。
【0041】
この方法は、利得媒体をダイオードレーザでポンピングすることを含むことができる。ダイオードレーザは、例えばチタンをドープしたサファイアで効率的に使用するのは通常困難であるが、導波路を設けることによって、利得媒体へのポンプのより効率的な結合が可能になる。したがって、より小型で、より安価で、より軽量なシステムを実現することができる。
【0042】
この方法は、シングルモードサファイア光ファイバレーザをモードロックすることを含むことができる。この方法は、レーザパルスを生成するために、シングルモードサファイア光導波路を使用することを含むことができる。
【0043】
この方法は、例えばフィードバックデバイスを使用して光キャビティを提供することを含むことができる。本方法は、フィードバックデバイスを作製することを含むことができる。フィードバックデバイスは反射器であってもよい。フィードバックデバイスは、グレーティング、ブラッググレーティング、回折グレーティング、ミラー、誘電体ミラー、光ファイバおよび/または光導波路のサファイア-空気界面などであってもよい。反射器は例えば回転可能であり、それによって調整可能、例えば調整可能なグレーティングであってもよい。したがって、本方法は、例えば、利得媒体によって放出されるレーザ光の出力を調整すること、例えばレーザから出力される光の波長を変更および/または選択することを含むことができる。このように、調整可能なレーザを実現することができ、この方法は調整可能なレーザを提供することを含むことができる。利得媒体が発する波長を変化及び選択する能力により、レーザを、例えば、光スペクトルを調べるために使用することができる。例えば、スペクトル内の吸収線またはピーク波長を調べることができる。また、調整可能なシステムにより、作製されたファイバブラッググレーティング(FBG)の波長ピークを決定することができる。
【0044】
グレーティングは、光ファイバの外側に、例えば隣接して位置し、及び/又は光ファイバと光通信することができる。すなわち、反射器および/またはグレーティングは、光ファイバに追加される構成要素であってもよい。
【0045】
この方法は、シングルモードサファイア光導波路を含む光キャビティ(例えば、レーザキャビティ)を形成することを含むことができる。この方法は、反射器と、導波路のいずれかの端部とを設け、これによりキャビティを形成することを含むことができる。この方法は、シングルモードサファイア光導波路内および/またはサファイア光ファイバ内に反射器を設けることを含むことができる。この方法は、シングルモードサファイア光導波路内に反射器を作製することを含むことができる。したがって、この方法は、レーザシステム用のシングルモードサファイア光ファイバの光キャビティを提供することを含むことができる。
【0046】
この方法は、シングルモードサファイア光導波路内にブラッググレーティングを作製することを含むことができる。
【0047】
この方法は、導波路内の光を反射するためにブラッググレーティングを使用することを含むことができ、したがって、作製されたブラッググレーティングを、例えば、光キャビティの一部として、またはセンサシステムの一部として、反射器として使用することを含むことができる。この方法は、ブラッググレーティングからの反射光を検出することを含むことができ、シングルモードサファイア光ファイバをセンサシステムの一部として使用することを含むことができる。例えばこの方法は、ブラッググレーティングからの反射光に基づいて物理的パラメータ(例えば、温度、圧力、歪み、磁場、電場、振動および/または衝撃)を決定することを含むことができる。サファイアは極めて耐久性のある材料であるため、サファイア光ファイバは、例えばエンジン等とともに、過酷な環境で使用することができる。この方法は、環境内の物理的パラメータ(例えば、温度、圧力、歪み、磁場、電場、振動及び/又は衝撃)を検出するために、例えばエンジン内の極限環境にサファイア光ファイバの少なくとも一部を配置することを含むことができる。例えば、この方法は、サファイア光ファイバの少なくとも一部を航空宇宙エンジン内に配置することを含むことができる。この方法は、高レベルの放射線に曝される環境において、サファイア光ファイバを含むセンサシステムを使用することを含むことができる。例えば、この方法は、原子炉、特に核分裂発電炉または核融合発電炉、および/または宇宙での使用に適した人工衛星および他の機器において、サファイア光ファイバを含むセンサシステムを使用することを含むことができる。サファイアはまた、中赤外線 (例えば、波長>2μm)において透明である。したがって、サファイア光ファイバを含むセンサシステムは、分光法およびガス種の検出に有効に使用することができる。
【0048】
この方法は、ブラッググレーティング(または複数のグレーティングが設けられている場合は各ブラッググレーティング)を、例えば温度又は歪みを介して調整可能なように構成することを含むことができる。例えば、グレーティングの構造は、異なる条件にさらされたときに変化を受ける可能性があり、例えば、間隔は、光ファイバの温度に依存する場合がある。したがって、この方法は、導波路内のブラッググレーティングを再構成および/または変形させることと、その再構成または変形の結果としての反射光の変化を検出し、それによって、測定対象のパラメータ、たとえば温度および/または歪みの変化を検出することとを含むことができる。
【0049】
この方法は、例えば光キャビティを提供するため、又は複数の測定を実施するために、光ファイバ内に複数のブラッググレーティングを設けることを含むことができる。この方法は、それぞれの光コア内(すなわち、それぞれの導波路内)に複数のブラッググレーティングのそれぞれを設けることを含むことができ、かつ/または、同じ光コア内に、例えば、互いに直列または重なり合う複数のブラッググレーティングを設けることを含むことができる。この方法は、例えば複数のブラッググレーティングからの複数の反射信号を検出することにより、光ファイバを使用して物理的パラメータの複数の同時測定を実行することを含むことができる。
【0050】
ブラッググレーティングは、狭い帯域幅、例えば、5nm (ナノメートル)未満、2nm未満、1nm未満、0. 5nm未満、または0. 1nm未満を有することができる。
【0051】
この方法は、光ファイバ内に複数の導波路を設けることを含むことができ、光ファイバ内に例えば並列にまたは隣接して複数のシングルモード導波路を設けることを含むことができる。この方法は、光ファイバ内に重なり合う導波路を設けることを含むことができる。したがって、この方法は、光ファイバ内に複数の導波路を作製することを含むことができる。
【0052】
この方法は、シングルモードサファイア光導波路内に、対向するブラッググレーティングを設けて、光キャビティを形成することを含むことができる。
【0053】
この方法は、例えば、アダプティブ光素子を使用して、ファイバによって引き起こされる変更レーザ焦点の収差を補正するなどのレーザ修正によって、シングルモードサファイア光導波路内に対向するブラッググレーティングを作製することを含むことができる。これにより、本方法は、レーザキャビティ、例えばシングルモードサファイア光導波路を含むレーザキャビティを備えるサファイア光ファイバを提供することを含むことができる。
【0054】
この方法は、センサシステムの一部として、シングルモードサファイア光導波路を使用することを含むことができる。
【0055】
サファイアは、非常に耐久性があり、例えば、1000℃まで、1500℃まで、1700℃まで、1900℃まで、及び2000℃までの高温に耐えることができるため、光ファイバ及びシングルモード導波路は、例えば、エンジン内又は他の任意の適切な用途などの過酷な環境内で使用することができる。したがって、この方法は、例えば1000℃まで、1500℃まで、1700℃まで、1900℃まで、及び2000℃までの過酷な条件下で、シングルモードサファイア光導波路を使用することを含むことができる。この方法は、例えば、1000℃まで、1500℃まで、1700℃まで、1900℃まで、及び2000℃までの温度を測定するために、センサシステムを使用することを含むことができる。ブラッググレーティングはまた、このような高温まで安定であることができ、したがって、この方法は、1000℃まで、1500℃まで、1700℃まで、1900℃まで、および2000℃までの温度で、ファイバブラッググレーティングを使用することを含むことができる。
【0056】
シングルモードサファイア光導波路は、ディプレストクラッド導波路であってもよい。
【0057】
ディプレストクラッド導波路は、本発明の任意の態様を参照して本明細書に記載されたレーザ改質サファイア光ファイバとすることができる。したがって、ディプレストクラッドはサファイアとすることができる。ディプレストクラッドは、例えば光ファイバ内の改質されていない材料と比較して、その屈折率を低減するようにレーザ改質されていてもよい。したがって、ディプレストクラッドは、改質されていない部分よりも低い屈折率を有することができ、改質されていない部分と協働して、それにより導波路を形成することができる。ディプレストクラッド導波路では、サファイアの屈折率は、コアの周りで(例えば均一に)低下していてもよい。低下した屈折率は、サファイアファイバの端部まで延びていなくてもよく、したがってクラッドは、改質されていない光ファイバによって取り囲まれていてもよい。
【0058】
このディプレストクラッド導波路は、多層のディプレストクラッド導波路であってもよく、複数の層のクラッドを提供する改質ファイバ材料の複数の層を含む。
【0059】
前記シングルモードサファイア光導波路は、フォトニック結晶導波路(クラッド内の変更された屈折率を有する領域の周期的アレイを含むクラッドを備える)であってもよい。
【0060】
クラッドは、例えば材料が除去された領域などの、「ホール」の周期的アレイを含んでいてもよい。これは、空気(ほぼ1の屈折率を有する)または別の流体(すなわち、液体または気体)であってもよい。
【0061】
本方法は、レーザ改質及びアダプティブ光学収差補償を用いてシングルモードサファイア光導波路を製造することを含むことができる。
【0062】
この方法は、例えばGB712640.0に開示されているような方法を使用して、フェムト秒レーザ直接描画を使用することを含むことができ、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。本発明者は、そこに開示される方法および特徴が、本発明の特徴と組み合わすことができることを発見した。
【0063】
この方法は、例えばファイバに焦点を合わせるために非液浸レンズを使用することを含むことができる。この方法は、サファイア-空気界面、サファイア-クラッド界面、サファイア-改質サファイア界面等の、サファイアによって引き起こされるレーザ焦点への収差の影響を打ち消すことを含むことができる。
【0064】
この方法は、油浸技術及び液浸対物レンズを使用して、シングルモードサファイア光導波路を作製することを含むことができる。この方法は、サファイアファイバを、同様の屈折率の基板(例えば、サファイアを組み込むために長さに沿った穴を有するサファイアのブロック)内に埋め込むことによって、シングルモードサファイア光導波路を作製することを含むことができる。この作製ステップは、修正レーザの焦点にファイバの収差効果を打ち消すことを含むことができる。
【0065】
この方法は、サファイア光ファイバ内にシングルモードサファイア光導波路を設けることと、サファイア光ファイバをマルチモード導波路として使用することと、同時にシングルモードサファイア光導波路をシングルモード導波路として使用することと、を含むことができる。
【0066】
したがって、この方法は、シングルモード導波路をマルチモード導波路内に設けることを含むことができる。この方法は、シングルモードサファイア光導波路のためのポンプとして、サファイア光ファイバ内でマルチモードの光を伝搬することを含むことができる。サファイアファイバは、本来マルチモードであり、したがって、複数のモードの光が、例えば、サファイア-空気境界により、ファイバに沿って伝搬することができる。したがって、光ファイバは複数の導波路、例えば第1のシングルモードサファイア光導波路、及びファイバの残りの部分によって提供される第2のマルチモード導波路の、組み合わせであると考えることができる。したがって、ファイバのマルチモード導波路内の伝搬モードは、例えば導波路内を伝搬するシングルモードによる後の誘導放出のために、シングルモード導波路の利得媒体を励起することができる。この方法は、ポンプ光を光ファイバ内で伝搬させ、それによってポンプ光をシングルモード導波路と重ね合わせて、シングルモード導波路内でイオンを励起することを含むことができる。したがって、本発明の方法は、光ファイバ内を伝搬する複数のモードの光を用いて、シングルモード導波路をポンピングすることを含むことができる。
【0067】
入力信号は、次いで、ポンピングされたシングルモード導波路からの放射を刺激することができる。したがって、本方法は、ポンプ光および入力信号光に、単一光源を使用することを含むことができる。したがって、入力信号は、光源レーザの基本モードとすることができ、シングルモードサファイア光導波路内を伝搬することができる。光源レーザからのより高次のモードは、光ファイバの残りの部分内を伝搬することができ、したがって、シングルモード導波路をポンピングすることができる。
【0068】
この方法は、光コアの周りにレーザ改質クラッドを形成するためにサファイア光ファイバ内にクラッドを作製し、光コア及びクラッドが協働してシングルモードサファイア光導波路を提供することを含むことができる。
【0069】
この方法は、光コアを囲む材料の屈折率を下げることによって、例えば、実質的に一様な屈折率を有する材料を形成することによって、ディプレストクラッド導波路を作製することを含むことができる。この方法は、コアの周りに周期的な構造をレーザ加工して、それによってクラッドを形成し、例えば、屈折率が周期的に変化する材料を形成することを含むことができる。周期的構造は、微細構造(例えば、顕微鏡的長さスケールの構造)、マイクロボイド、フォトニック結晶構造、フォトニックバンドギャップ構造などでありうる。この方法は、周期的でない構造を製造することを含むことができる。
【0070】
この方法は、サファイア光ファイバ内の材料を改質することのみを含むことができ、例えば、ファイバの断面の全体的な形状を変更しないことを含むことができる。すなわち、光ファイバの表面は、変更されなくてもよい。ファイバは、円筒形状を有してもよく、またはより一般的にはサファイアファイバの場合、実質的に六角形の断面を有してもよい。光ファイバの断面は、六角形、又は丸みを帯びた六角形とすることができる。光ファイバの断面の全体的な形状は、改質前と実質的に同じであるので、ファイバは、実質的に同じ機械的特性を維持することができる。例えば、本発明を提供するためにファイバから材料を除去する必要がないようにすることができ、したがって、ファイバを弱くして機械的に脆弱にする必要がないようにすることができる。したがって、導波路(または複数の導波路)は、改質されたサファイア材料と改質されていないサファイア材料との両方から構成することができる。
【0071】
クラッドは第1のクラッドであってもよく、本方法は、第1のクラッドの周りに第2のクラッドを作製することを含むことができる。
【0072】
この方法は、光ファイバ内にネストされたクラッドを作製することを含むことができる。この方法は、ファイバ内に作製された多層クラッドを有する、二重クラッドファイバを含むことができる。第2のクラッドは、第1のクラッドの屈折率とは異なる(例えば低い)屈折率を有することができる。第2のクラッドは、本発明の任意の態様を参照して本明細書で説明されているような、任意のタイプのクラッドとすることができる。第2のクラッドは、第1のクラッドとは異なる光学特性、例えば、第1のクラッドとは異なる屈折率(例えば、より低い屈折率)を有することができる。それは、異なる微細構造、異なる周期などを有することができる。第2のクラッドは、第1のクラッドによって提供される第2の光コアに対するクラッドとして機能するように構成することができる。すなわち、第1のクラッドは、シングルモード導波路の光コアを取り囲むことができ、第2のクラッドは、第1のクラッドを取り囲むことができる。したがって、第1のクラッドは、第2のクラッドによって境界が定められたマルチモード導波路用の(第2の)光コアとして使用することができ、また、(第1の)光コアは、第1のクラッドによって境界が定められたシングルモード導波路として使用することができる。第1及び第2のクラッドは、サファイアベースの材料から形成することができる。
【0073】
光ファイバは、複数の導波路を備えるように構成することができる。光ファイバは、複数の重なり合う導波路を備えるように構成することができる。光ファイバは、複数のネストされた導波路を備えることができる。導波路の断面は重なり合うことができ、例えば、一方の導波路が他方の導波路内にあってもよい。複数の導波路は、内側の導波路と外側の導波路が形成されるように、放射状に重なり合うことができる。外側の導波路の長手方向中心軸は、それぞれの内側の導波路の領域内に位置することができ、例えば導波路は、同心円状であってもよい(ただし、導波路は必ずしも円対称性を有していなくてもよい)。内側導波路のクラッドは、外側導波路の光コアとして機能することができる。したがって光ファイバは、シングルモード導波路を取り囲むマルチモード導波路を提供するように構成することができ、この方法は、マルチモード導波路内で複数のモードの光を伝搬させ、それによってシングルモード導波路をポンピングすることを含むことができる。この方法は、クラッドをポンプ導波路として使用することを含むことができる。したがって、この方法は、クラッドポンプされたシングルモードサファイア光導波路、すなわちクラッドポンプされた利得媒体を提供することを含むことができる。第2の(または外側)クラッドは、改質されていないサファイア光ファイバによって囲まれてもよい。すなわち、シングルモード導波路およびマルチモード導波路は、光ファイバ内に完全に収まっており、両方ともその中に作製されていてもよい。
【0074】
この方法は、サファイア光ファイバをドーピングしてその中にドープ領域を形成し、ドープ領域内にシングルモードサファイア光導波路の光コアを作製することを含むことができる。
【0075】
ドープ領域は、光ファイバの断面の全体を構成することができる。代わりに、ドープ領域は、サファイア光ファイバの一部分、例えばファイバの断面の一部分のみを含んでいてもよい。例えば、シングルモード導波路の光コアを提供することを意図したファイバの内側領域のみをドープすることができる。したがって、ドープされた部分は、ドープされていないサファイア材料によって取り囲まれていてもよい。この方法は、光ファイバの内側部分のみをドープすることを含むことができ、その結果、ファイバの断面は、非ドープ部分によって囲まれた内側ドープ部分(例えば、中央部分)を備える。したがって、サファイア光ファイバ(例えば、その断面)は、ドープ領域とドープされていない領域の両方を備えることができる。サファイア光ファイバの断面の一部のみがドープされてもよく、シングルモードサファイア光導波路が、ドープされた部分内に形成されてもよい。本明細書で説明されるように、中心から外れた光コアを提供するために、ドープされた部分は光ファイバ内で中心から外れていてもよい。
【0076】
ファイバの一部分のみ(例えば、ファイバの断面の一部分のみ)をドープすることにより、光ファイバ内であるがシングルモード導波路の外側を伝搬する高次伝搬モードからのエネルギーが、ドープされた材料によって吸収されるリスクが低減される。シングルモード導波路のクラッド(例えば、クラッドポンプされたシングルモード導波路の第2の光コア)をドープした場合、光利得に寄与することなくポンプパワーを吸収する可能性があるため、ポンプ導波路のコアとドープ部分との重なりは、好ましくは、最小化されるべきである。
【0077】
クラッドポンプされたシングルモード導波路では、シングルモード導波路の光コアは、ポンプ導波路のコア内に設けることができる。シングルモード導波路の光コア内にドーピングを施すことにより、少なくともシングルモード導波路のコアとポンプ導波路のコアとの間のこの重複が生じる場所において、ポンプ導波路のコアはドープされた材料を含むことができる。ドープ領域とポンプ導波路のコアとの間の追加の重なりは、好ましくは最小化されるべきである。
【0078】
したがって、シングルモード導波路のコアを提供するために必要な分だけのファイバをドープすることが好ましい。しかしながら、ドープ部分の範囲のこのような正確な制御を達成することは困難であり、したがって、シングルモード導波路のコアに必要とされるよりも大きな領域をドープすることが必要である場合がある。
【0079】
この方法は、シングルモードのサファイア光導波路を、サファイア光ファイバ内の中心から外れた位置に作製することを含むことができる。
【0080】
この方法は、ドープ部分の周縁付近、例えばファイバのドープ部分に対して中心から外れた位置、例えばドープ部分の端部に、シングルモードのサファイア光導波路を製造することを含むことができる(ドープ部分は、それ自体、ファイバ内で中心から外れていてもよい)。シングルモード導波路は、ドープ領域の周縁部に設けることができ、これにより、シングルモード導波路の光コアを取り囲む作製されたクラッドと、ドープ部分との重なりを低減する(理想的には最小化する)ことが可能になる。したがって、シングルモード導波路のクラッドがポンプ導波路として使用される場合、この配置により、ポンプ導波路/第1のクラッド内のドープ材料で失われるポンプエネルギーを低減することができる。すなわち、シングルモード導波路の光コアをドープ部の周縁部に設けることにより、ドープクラッドにおいてポンプパワーが失われるリスクが低減される。
【0081】
上記の利点に加えて、この方法は、シングルモード導波路の利得媒体とポンプモードとの重なりを増やすために、シングルモード導波路の利得媒体/光コアを中心を外して設けることを含むことができる。シングルモード導波路の光コア(例えば、レーザモードを導波し、活性イオンでドープされたもの)が、マルチモードポンプ導波路の中央に正確にある場合、マルチモード導波路の光コアの利得媒体と大幅に重ならないマルチモードガイドのモードが存在する可能性があり、したがって、マルチモード導波路のそれらのモードに結合される光が、シングルモード導波路の光コアの利得媒体によって吸収されず、その代わりに、使用されずにファイバから出てしまう可能性がある。中心が外れたシングルモード導波路の光コアを設けることによって、ポンプモードから利得媒体によって吸収されるエネルギーを増加させることができる。したがって、シングルモード導波路の光コアは、光ファイバ内で中心から外れていてもよく、同様に、提供されている場合があるポンプ導波路内でも中心から外れていてもよい。
【0082】
利得媒体によってポンプモードから吸収されるエネルギー量を増加させるための別のアプローチは、例えば、断面を楕円形またはD字状にすることにより、マルチモード導波路の断面対称性を減らすことである。したがって、この方法は、非対称の特徴を有するポンプ導波路を提供することを含むことができる。この方法は、ポンプモードから利得媒体によって吸収されるエネルギーを増加させるために、このような非対称の特徴を提供することを含むことができる。
【0083】
この方法は、非対称の特徴を備えるシングルモードサファイア光導波路を作製することを含むことができる。
【0084】
例えばこの方法は、シングルモードサファイア導波路を、楕円形の断面(例えば、光ファイバの長さに垂直な平面において)を有するように作製することを含むことができる。結果として得られた導波路は、光ファイバが曲げられたときに、例えばシングルモードの偏光状態が維持されるように、偏光を維持することができる。したがって、この方法は、偏光を維持するシングルモードサファイア光導波路を提供することを含むことができる。
【0085】
この方法は、例えば、楕円形の断面を有する非対称の特徴を含むように、シングルモード導波路のクラッドを作製することを含むことができる。
【0086】
この方法は、ポンプレーザをシングルモードサファイア光導波路に結合することを含むことができる。
【0087】
この方法は、利得媒体をポンピングするため、すなわちシングルモードサファイア光導波路をポンピングするためのポンプレーザを提供することを含むことができる。この方法は、ポンプレーザを使用して利得媒体を励起することを含むことができる。この方法は、ポンプレーザを使用して利得媒体からの発光を刺激することを含むことができる。ポンプレーザは、任意の適切なタイプのレーザ、例えば、アルゴンイオンレーザとすることができる。ポンプレーザはダイオードレーザであってもよい。この方法は、光増幅器および/またはレーザシステムを提供することを含むことができる。この方法は、光増幅器および/またはレーザシステムのためのあらゆる構成要素を提供することを含むことができる。
【0088】
上述の特徴の組み合わせは、特別の利点を有しうる。例えば、クラッドポンプされたシングルモードサファイア光導波路とポンプ導波路の非対称の特徴との組み合わせにより、利得媒体内へのポンプモードの結合を改善することができる。ポンプ導波路内に中心が外れたシングルモード導波路の光コアを有することは、利得媒体内へのモードの結合をさらに改善し、エネルギー伝達を改善することができる。ドープ材料とポンプ導波路との重なりを減らすための選択的ドーピングは、ポンプ導波路への損失を低減することにより、エネルギー伝達をさらに改善することができる。
【0089】
本発明の第2の態様によれば、シングルモードサファイア光導波路を有する光利得媒体を備えるサファイア光デバイスが提供される。
【0090】
サファイア光デバイスは、本発明の第1の態様を参照して、および/または本発明の任意の他の態様を参照して、本明細書で説明した特徴のいずれかを含むことができる。
【0091】
サファイア光デバイスは、サファイア光ファイバであってもよい。サファイア光デバイスは、シングルモードサファイア光導波路を内部に有するバルクサファイア(例えば、ブロックまたはロッド)であってもよい。シングルモード導波路の光コアの直径は、20マイクロメートル(μm)未満、15μm未満、10μm未満、または10μm以下とすることができる。
【0092】
サファイア光ファイバの直径は、1000μm未満、425μm未満、250μm未満、125μm未満、100μm未満、75μm未満、または50μm以下とすることができる。コアを囲むクラッドの直径は、サファイア光ファイバの直径と同じとすることができる(例えば、サファイア光ファイバ内に単一の導波路が設けられている場合)。コアを取り囲むクラッドの直径は、ファイバの直径と異なっていてもよく(例えば、クラッドを取り囲む追加の材料が設けられている場合、または複数の導波路がサファイア光ファイバ内に設けられている場合、または以下でさらに説明するようにクラッドポンプ光導波路が設けられている場合)、クラッドの直径は、425μm未満、250μm未満、125μm未満、100μm未満、75μm未満、または50μm以下とすることができる。コアを囲むクラッドの直径は、コアの直径の2. 5倍以上、コアの直径の5倍以上、コアの直径の10倍以上、またはコアの直径の20倍以上とすることができる。コアの直径の5倍以上のクラッドの直径は、低損失を達成する上で有利である。
【0093】
シングルモードサファイア光導波路の長さは、ファイバと同じ長さであってもよい。例えば、シングルモードサファイア光導波路は、サファイア光ファイバの全長に沿って連続していてもよい。サファイア光ファイバの長さは、例えば、5cm以上、10cm以上、50cm以上、100cm以上、又は200cm以上とすることができる。
【0094】
サファイア光デバイスは、ブラッググレーティングを備えることができる。
【0095】
ブラッググレーティングは、シングルモードサファイア光導波路内にあってもよい。これは、センサシステムの一部として使用するのに適している可能性があり、および/または、所定の波長を反射してフィードバックを提供し、それによりレーザシステムを形成するために提供されてもよい。このデバイスは、例えば直列の及び/又は重なり合う複数のブラッググレーティングを含むことができる。
【0096】
サファイア光デバイスは、レーザシステム用の光キャビティを提供する、対向するブラッググレーティングを備えることができる。対向するブラッググレーティングは、実質的に同じ波長であってもよい。
【0097】
このデバイスは、それぞれがシングルモードサファイア光導波路内に位置する、二つの対向するブラッググレーティングを備えることができる。ブラッググレーティングは、導波路内にレーザ加工することができる。二つの対向するブラッググレーティングは、実質的に同じ波長であってもよい。
【0098】
シングルモードサファイア光導波路は、ディプレストクラッド導波路とすることができる。
【0099】
導波路は、周期構造導波路、および/または微細構造導波路であってもよい。導波路は、フォトニック結晶導波路、マイクロボイド導波路、フォトニックバンドギャップ導波路などであってもよい。
【0100】
サファイア光デバイスは、レーザ改質サファイア光ファイバとすることができる。
【0101】
このサファイア光ファイバは、ステップインデックスファイバ、フォトニック結晶ファイバ、ディプレストクラッドファイバ、マイクロボイドファイバ、フォトニックバンドギャップファイバなどであってもよい。この光デバイスは、エッチング、インデックスマッチングなどによって形成することができる。
【0102】
サファイア光デバイスは、マルチモードサファイア光ファイバであってもよく、シングルモードサファイア光導波路は、マルチモードファイバ内に配置されていてもよい。
【0103】
したがって、サファイア光デバイスは、重なり合う導波路を備えることができる。サファイア光デバイスは、ネストされた導波路、例えば外側の導波路(例えば、内側の導波路のクラッドである光コアを有するポンプ導波路)内に配置された、内側の導波路(例えば、シングルモード導波路)を備えることができる。光デバイスは、マルチモードファイバ内の伝搬モードが、シングルモード導波路のためのポンプ光として機能するように構成することができる。したがって、光デバイスは、複数の導波路を備えることができ、そのうちの少なくとも一つがシングルモード導波路であり、もう一つがマルチモード導波路である。
【0104】
サファイア光デバイスは、ドープ領域を備えることができ、シングルモードサファイア光導波路の光コアは、ドープ領域内にある。
【0105】
シングルモードサファイア光導波路(例えば、その光コア)は、ドープ領域に対して、ドープ領域内で中心から外れていてもよい。シングルモード導波路の光コアは、ドープ領域の端にあってもよい。ドープ領域は、光デバイス内で中心から外れてもよい。シングルモード導波路は、光デバイス内において光デバイスに対して中心から外れていてもよい。
【0106】
シングルモードサファイア光導波路は、マルチモード導波路内においてマルチモード導波路に対して中心から外れていてもよく、例えば、マルチモード導波路は、シングルモード導波路以外の光ファイバの残りの部分によって提供されるか、またはシングルモード導波路のクラッドによって提供されうる。したがって、光デバイスは、シングルモード導波路をポンピングするために、その中にマルチモード光を伝搬させるためのポンプ導波路を備えることができる。光デバイスは、クラッドポンプされたシングルモードサファイア光導波路を備えることができる。ポンプ導波路は、改質されていない光ファイバ材料の内部(例えば、それに囲まれている)にあってもよい。
【0107】
シングルモードサファイア光導波路は、光コアを取り囲むレーザ加工されたクラッドを含むことができる。
【0108】
レーザ加工されたクラッドは、したがって、光コアとは異なる光学特性を含み、それと協働してシングルモードサファイア光導波路を提供することができる。クラッドは、実質的に均一な屈折率を有する、実質的に均質であってもよい。代替として、クラッドは、本明細書に記載されるように、例えば、その断面にわたって周期的に変化する微細構造および光学的特性を有する、周期的構造であってもよい。
【0109】
レーザ加工されたクラッドは第1のクラッドであってもよく、光デバイスは、第1のクラッドを取り囲む第2のレーザ加工されたクラッドを備えることができる。
【0110】
第2のクラッドは、第1のクラッドとは異なる(例えばより低い)屈折率を有することができる。第1のクラッドは、シングルモード導波路の利得媒体をポンピングするためのマルチモード導波路を提供するために、第2のクラッドと協働する第2光コアとして機能することができる。
【0111】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第2の態様を参照して本明細書に記載された光デバイスを備える、レーザ光を生成するためのレーザシステムを提供することができる。光デバイスは、レーザシステムの利得媒体を提供することができる。
【0112】
レーザは、本明細書に記載のモードロックレーザであってもよい。レーザシステムは、本明細書に記載のフィードバックデバイスを備えていてもよい。レーザシステムは、回転可能なグレーティングを備え、それによって調整可能であってもよい。レーザシステムは、ダイオードポンプレーザ、または任意の適切なポンプレーザを備えることができる。レーザシステムは、第1の態様、または任意の他の態様を参照して本明細書に記載された、本発明の方法を実行するように構成することができる。
【0113】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第2の態様を参照して本明細書に記載された光デバイスを備える光増幅器が提供される。光デバイスは、光増幅器の利得媒体を提供することができる。
【0114】
光デバイスは、センサシステムの光増幅器であってもよい。したがって、別個の増幅器を有するのではなく、導波路自体がアクティブであることができ、導波路の損失を光利得によって補償することができる(これは、レーザとして使用する場合にも適用することができる)。したがって、導波路は、分布増幅器であると考えることができる。したがって、本発明の別の態様によれば、本発明の任意の態様を参照して本明細書に記載された光増幅器を備えるセンサシステムが提供される。センサシステムは、本発明の任意の態様を参照して本明細書に記載された方法を実行するように構成することができ、本発明の任意の態様を参照して本明細書に記載される特徴のいずれかを備えることができる。
【0115】
マルチモードポンプおよびシングルモード伝搬のための同一線の導波路を有するファイバ(例えば、ファイバレーザまたは光増幅器)を提供することにより、本発明は、利得制限を低減することができ、また、ポンプ光の有益な吸収を改善(または最大化)することができ、この結果、ダイオードレーザなどの安価で低輝度のポンプの使用を可能にすることができる。したがって、本発明は、例えばTi:サファイアレーザのコストを低減することができる。また、本発明は、ポンプの冗長性、また、レーザ動作の制御のための高速で比較的容易なポンプ変調(例えば、ダイオード電流を介したパワーのフィードバック安定化による)等の、組み込みエンジニアリングの利点を提供することができる。本発明は、例えば、例えば組み込みのポンプ冗長性を有しスペクトル出力のファイバブラッググレーティング制御を備えた堅牢なパッケージからの10Wの出力電力を有する、全てファイバ化されたTi:サファイアレーザを提供することができる。
【0116】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第2の態様を参照して本明細書に記載された光デバイスを備えるセンサシステムが提供される。センサシステムは、本発明の第4の態様を参照して本明細書に記載された光増幅器を備えることができる。センサシステムは、本発明の任意の態様を参照して本明細書に記載された特徴のいずれかを備えることができる。
【0117】
本発明のさらなる態様によれば、光利得素子が提供され、この光利得素子は、光利得を有するシングルモードサファイア光導波路を備える。これは、単一の横モードを維持しながら、サファイアを利得媒体として使用することができるという利点を有する。この態様は、本発明の任意の他の態様を参照して本明細書に記載されている本発明の特徴のいずれかを含むことができる。
【0118】
サファイア光導波路は、サファイア光ファイバであってもよい。サファイア光導波路は、サファイア光ファイバ内にあってもよい。これらは、ファイバが利得媒体とのより長い相互作用長を提供することができるという利点を有する。
【0119】
シングルモード導波路は、アクティブ利得媒体を有することができる。シングルモードサファイア導波路は、ドープされていてもよい。シングルモードサファイア導波路にチタンがドープされていてもよい。シングルモードサファイア導波路に希土類元素がドープされていてもよい。シングルモードサファイア導波路は、二つ以上の元素で共ドープされていてもよい。シングルモードサファイア導波路は、イッテルビウム、エルビウム、ネオジム、エルビウム、ツリウム、プラセオジム、パラジウム、ホルミウム、クロム、コバルト、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、または炭素のうちの任意の一つまたは複数でドープされていてもよい。光利得素子は、ポンプレーザのそれとは異なる波長で利得を与えることができる。これらは、光利得を可能にするとの利点を有する。
【0120】
サファイア光導波路に結合されたポンプレーザが存在することが可能である。これは、利得媒体が励起されることを可能にするとの利点を有する。
【0121】
サファイア導波路は、信号光に対してはシングルモードであり、ポンプ光に対してはマルチモードにすることができる。これは、ポンプレーザと発散ビームとの効率的な結合を可能にするとの利点を有する。高出力ポンプレーザは、一般に発散するため、シングルモードファイバに多くの光を結合することは困難である。しかしながら、この構成は、ポンプ光がシングルモード導波路内のイオンを励起することを可能にする。ダブルクラッドファイバは、ファイバ増幅器設計では知られているが、通常、追加のクラッドを形成するために、ファイバの周りに外側ジャケットを備える。本発明の光ファイバは、サファイア光ファイバの周囲に外部クラッドを備えてもよく、またはポンプ光がサファイア-空気界面によって導波されてもよい。代替として、フェムト秒レーザを使用して、シングルモード導波路の周りにマルチモード導波路を書き込むことができ、その結果、光ファイバ自体がダブルクラッド導波路構成を提供する。
【0122】
シングルモードサファイアファイバは、利得媒体のコアと、コアを囲むクラッドとを含むシングルモード導波路を備えることができる。このシングルモード導波路は、信号光に対してシングルモードであることができる。シングルモードサファイアファイバは、マルチモード導波路を備えることができる。シングルモード導波路のクラッドは、マルチモード導波路のコアを提供することができ、第2のクラッドは、マルチモード導波路のコアを取り囲んで設けることができる。第2のクラッドは、マルチモード導波路のコアと第2のクラッドとの境界がサファイア-空気境界によって提供されるように、空気から形成されていてもよい。代替として、第2のクラッドは、サファイアファイバ内に設けられてもよい。マルチモード導波路は、ポンプ光用のマルチモードであってもよい。これは、発散ビームを有するポンプレーザの、シングルモード導波路のコア/利得媒体への効率的な結合を可能にするとの利点を有する。
【0123】
したがって、本発明の別の態様によれば、内部にネストされた導波路を備える光ファイバが提供される。光ファイバは、サファイア光ファイバ、または任意の他の適切な材料であってもよい。ネストされた導波路は、外側導波路と、外側導波路内の内側導波路とを備えることができる。ネストされた導波路は、加工されたクラッド(例えば、レーザ加工されたクラッド)を備えることができる。内側導波路のクラッドは、外側導波路の光コアとすることができ、外側導波路は、内側導波路をポンピングするものとすることができる。光ファイバは、本発明の任意の態様を参照して本明細書に記載された特徴のいずれかを含むことができる。
【0124】
シングルモードサファイアファイバは、その長さに沿って光導波路を備えたサファイア光ファイバを備えることができる。光導波路は、ディプレストクラッド導波路、微細構造導波路、またはフォトニック結晶導波路であってもよい。導波路はエッチングされてもよい。導波路は、空気孔を有してもよい。導波路は、照射によって形成されてもよい。導波路は、ファイバ断面内で中心から外れていてもよい。サファイアファイバは、二つ以上の導波路を有してもよい。ファイバは、ダブルクラッド導波路であってもよい。マルチモード導波路内にシングルモード導波路があってもよい。シングルモード導波路は、マルチモード導波路内でオフセットされてもよい。マルチモード導波路断面は、実質的に円形、正方形、長方形、六角形、三角形、五角形、七角形、八角形、またはそれらの丸みを帯びたバージョンであってもよい。一つまたは複数の導波路は、フェムト秒レーザで書き込まれてもよい。信号波長は、ポンプ波長よりも厳密に閉じ込められてもよい。ポンプ波長は、サファイア-空気界面に閉じ込められてもよい。コンバイナを使用して、信号波長とポンプ波長とを結合していてもよい。コンバイナは、ダイクロイックミラーであってもよい。カプラは、サファイアファイバ内の導波路カプラであってもよい。
【0125】
信号波長は、シングルモード導波路に結合することができ、ポンプ波長は、マルチモード導波路に結合することができる。二つ以上のポンプレーザがあってもよい。信号波長およびポンプ波長は、共伝搬、逆伝搬、またはその両方であってもよい。信号またはレーザ波長は、1064nmまたは1550nmであってもよい。信号、レーザまたはポンプ波長は、Oバンド、Eバンド、Sバンド、CバンドまたはLバンドであってもよい。信号、レーザまたはポンプ波長は、近赤外線、中赤外線、可視光線または紫外線であってもよい。シングルモードファイバの長さは、1cm、2cm、5cm、10cm、50cm、1m、1.5m、または2mのいずれかより長くすることができる。ポンプレーザは、アルゴンイオンレーザ、Nd:YAGレーザ、半導体レーザ、またはダイオードレーザとすることができる。傾斜したおよび/またはチャープブラッググレーティングが存在してもよい。
【0126】
ポンプレーザ光と信号レーザ光とを別々にしかしほぼ同一線状にガイドする「ダブルクラッド」タイプのアプローチは、Ti:サファイアレーザから達成可能な出力パワーを、ポンプの空間輝度から切り離すことに寄与することができる。
【0127】
本発明の別の態様によれば、マスター発振器電力増幅器(MOPA)が提供され、そこでは、サファイアファイバは、ダイオードレーザまたは半導体レーザ(分布帰還レーザ(DFB)、分布ブラッグ反射器(DBR)レーザ、ファブリペローレーザまたは外部共振型ダイオードレーザなど)からの高品質シードを、ブーストするために使用される増幅器(例えば帰還なし)である。MOPAは、増幅器のチェーンを備えることができる。この態様は、本発明の任意の他の態様を参照して本明細書に記載された本発明の特徴のいずれかを含むことができる。
【0128】
本発明の別の態様によれば、レーザが提供され、レーザは、本発明の更なる態様による光利得素子と、フィードバック要素とを備える。この態様は、本発明の任意の他の態様を参照して本明細書に記載された本発明の特徴のいずれかを含み得る。
【0129】
フィードバック要素は、一つまたは複数の反射器を備えることができる。フィードバック要素は、サファイア-空気界面に形成された一つ以上の反射器を含むことができる。フィードバック要素は、薄膜コーティングである一つまたは複数の反射器を含むことができる。フィードバック要素は、一つ以上のブラッググレーティングを含ことができる。ブラッググレーティングは、シングルモード導波路内にあってもよい。ブラッググレーティングは、シングルモードファイバブラッググレーティングであってもよい。一つ以上の調整可能なブラッググレーティングが存在してもよい。一つ以上の調整可能なブラッググレーティングは、温度、歪み、電圧または電流によって調整されてもよい。フィードバック要素は、一つの高反射率反射器および一つの部分反射反射器を含むことができる。フィードバック要素は、一つの高反射率ブラッググレーティング及び一つの部分反射ブラッググレーティングを含むことができる。フィードバック要素は、回折グレーティングを含むことができる。回折グレーティングの角度は調整可能であり、したがってレーザの出力は調整可能とすることができる。レーザは、光利得素子をシードするシードレーザを含むことができる。シードレーザは、調整可能であってもよい。レーザは、実質的に単一波長で光を放出してもよい。レーザは、宇宙船または原子炉内にあってもよい。
【0130】
レーザは、モードロックされていてもよい。レーザは、アクティブモードロックされていてもよい。レーザは、パッシブモードロックされていてもよい。レーザは、光変調器を備えることができる。レーザは、音響光学変調器を備えることができる。レーザは、可飽和吸収体を備えることができる。これらの特徴は、非常に短い光パルスを生成することを可能にするとの利点を有する。
【0131】
本発明の別の態様によれば、センサシステムが提供され、このセンサシステムは、本発明の任意の態様による光利得素子を含み、シングルモードサファイアファイバは、少なくとも一つのブラッググレーティングセンサを有する。ブラッググレーティングは、例えば、温度または伸張によって調整可能でありうる。任意の適切なタイプの調整を使用することができる。この態様は、本発明の任意の他の態様を参照して本明細書に記載された本発明の特徴のいずれかを含むことができる。
【0132】
本発明の別の態様によれば、ドープされたシングルモードサファイア光ファイバが提供される。ドープされたファイバは、本発明の第1の態様による光利得素子を提供することができる。この態様は、本発明の任意の他の態様を参照して本明細書に記載された本発明の特徴のいずれかを含むことができる。
【0133】
本発明の別の態様によれば、光信号を増幅する方法が提供され、この方法は、シングルモードサファイア光導波路を提供することと、ポンプ光を光導波路内に注入することとを含む。この態様は、本発明の任意の他の態様を参照して本明細書に記載された本発明の特徴のいずれかを含むことができる。
【0134】
本発明の別の態様によれば、本発明の任意の態様による方法を含むレーザ光を提供する方法が提供され、この方法は、フィードバック要素を提供することと、しきい値パワーレベルを超えるレベルのポンプ光を注入することとをさらに含む。この態様は、本発明の任意の他の態様を参照して本明細書に記載された本発明の特徴のいずれかを含むことができる。
【0135】
本発明の別の態様によれば、ポンプレーザに結合されたマルチモードサファイアファイバを含む光利得素子が提供され、マルチモードサファイアファイバはシングルモード導波路を含む。この態様は、本発明の任意の他の態様を参照して本明細書に記載された本発明の特徴のいずれかを含むことができる。
【0136】
本発明の別の態様によれば、偏波保持シングルモードサファイア光ファイバが提供される。サファイア光ファイバ内にシングルモード導波路が存在してもよい。導波路は、その断面において非対称性を有することができる。例えば、コアは、楕円形であってもよく、または非対称であってもよい。例えばシングルモード導波路を取り囲むようにクラッド内にストレスを誘発する構造が存在してもよい。この態様は、本発明の任意の他の態様を参照して本明細書に記載された本発明の特徴のいずれかを含むことができる。
【0137】
シングルモード導波路は、主にシングル横モードをサポートすることができる。ただし、存在するものの高い損失を示す他のモードが存在する可能性がある。例えばこれらは、有限の直径のディプレストクラッドを有することにより発生することがある。たとえば、他のモードは、支配的なシングルモードの10倍の損失を有する場合がある。
【0138】
本発明の別の態様によれば、シングルモードのサファイア光導波路の代わりに、少数モード、低減モード、または制限モードのサファイア導波路をその配置状態で使用することができる。すなわち、本発明はまた、本明細書に記載される態様のいずれかを提供するが、シングルモード導波路の代わりに低減モード導波路を備える。シングルモード導波路の使用が通常好ましいが、利点の多くは、シングルモードよりも多くを可能にする導波路まで及ぶ。少数モードサファイア導波路は、1000モード未満、または100モード未満、または20モード未満、または10モード未満、または5モード未満、または3モード未満のモードを有することができる。本態様は、本発明の任意の他の態様を参照して本明細書に記載された本発明の特徴のいずれかを含むことができるが、ただし、これらの態様に関して記載されるシングルモード導波路の代わりに、低減モード(すなわち、少数モード)導波路を使用することができる。例えば、導波路は、いくつかのモード(例えば、高次モード)の伝搬を抑制するように構成することができるが、それにもなお、その中で単一より多いモード、例えば、いくつかのモードの伝搬を可能にすることができる。
【0139】
本明細書におけるシングルモードへの言及は、複数の偏光状態を含むシングルモードを含むことを意図している。本明細書におけるモードへの言及は、所定の波長または波長範囲を含むモードを含むことを意図している。「サファイア」との用語は、ドープされたサファイア、不純なサファイアおよびAl2О3を包むとされる。
【0140】
シングルモードサファイア光導波路を用いた光の誘導放出の最適な効率のために(そして、本発明の別の態様によれば、例えば単結晶ファイバ内の任意の組成の光導波路を使用した光の誘導放出の最適な効率のために)、ポンプ光は、活性導波路内にのみ吸収され、導波路を囲む活性材料内で吸収されることによって浪費されないようにする。しかし、安価なポンプは発散し、導波路を囲む広い領域に結合する。導波路のコアのみをドープすることは困難であるため、安価なポンプからの光は、導波路を囲む活性(すなわちドープされた)材料に結合する可能性がある。ドープ領域内に複数のコアを設けることによって、吸収されたポンプパワーのより効率的な使用を実現することができる。そして、個々のコアによって放出された光をコヒーレントに結合して、より高いパワーを有する単一の出力を形成することができる。
【0141】
光ファイバは、複数のシングルモードサファイア光導波路を備えることができる。複数のシングルモードサファイア光導波路のそれぞれの導波路は、本明細書で論じたシングルモードサファイア光導波路のいずれの態様も含むことができる。特に、複数のシングルモードサファイア光導波路のそれぞれの導波路は、ディプレストクラッド導波路であってもよく、多層のディプレストクラッド導波路(例えば、クラッドの複数の層を提供する複数の改質ファイバ材料の層を含む)であってもよく、または、フォトニック結晶導波路(例えば、クラッド内に改質された屈折率を有する領域の周期的アレイを含むクラッド)であってもよい。
【0142】
複数のシングルモードサファイア光導波路は、並列していてもよく、互いに隣接していてもよく、及び/又は光ファイバの断面の大部分を占めるように配置されていてもよい。例えば、ファイバの断面内に三つの導波路が三角形に配置されていてもよい。ファイバの断面内に七つの導波路を配置して、そのうちの六つが中央の導波路の周りに六角形パターンで分布していてもよい。複数の導波路が、光ファイバの断面内で、最密充填の六角形に配列されていてもよい。このような構成は、六角形の断面を有するファイバにおいて特に有用となりうる。一般に、任意の適切な数の並列された導波路を使用することができ、導波路は、光ファイバの断面をできるだけ多く占めるように配置することができる。導波路は、ファイバ内のできるだけ多くのドープされた材料を含むように配置されてもよい。
【0143】
導波路は、それぞれが個別のクラッドを有していてもよく、または、共通のクラッドを共有していてもよい。それぞれの導波路は、クラッドによって囲まれたファイバの改質されていない部分を含むことができる。
【0144】
複数のシングルモードサファイア光導波路のそれぞれは、ブラッググレーティング、または複数のブラッググレーティングを備えることができる。複数のシングルモードサファイア光導波路のうちのそれぞれのシングルモードサファイア光導波路は、シングルモードサファイア光導波路内にフィードバックデバイスを設けることにより、光キャビティを備えていてもよい。フィードバックデバイスは、一対の対向するブラッググレーティング、または任意の適切なデバイスであってもよい。
【0145】
各シングルモードサファイア光導波路内の一対のブラッググレーティングは、複数の導波路のうちの他の導波路内の一対のブラッググレーティングと、同じ波長または重複した波長とすることができる。したがって、光ファイバは、複数の導波路から単一のコヒーレント出力を提供するように構成することができる。光ファイバは、複数のシングルモードサファイア光導波路の、それぞれの導波路の出力を結合するように動作可能な光カプラ(方向性カプラまたはエバネッセントカプラなど)を備えることができる。光ファイバには、一つ以上の導波路に動作可能に連結された、一つ以上の位相シフターを設けることができる。例えば、それぞれの追加の導波路は、それに関連付けられ、複数の導波路の出力を単一のファイバに結合するのに役立つように動作可能な、それぞれの位相シフターを有することができる。
【0146】
代替として、複数のシングルモードサファイア光導波路のそれぞれの導波路のブラッググレーティングは、光ファイバ内の複数のシングルモードサファイア光導波路の他の導波路におけるブラッググレーティングとは異なる波長であってもよい。そのため、この光ファイバによって、一連の異なる波長の光を生成することができる。
【0147】
各導波路からの光は、サファイア光ファイバを出て、対応する複数の補助ファイバのうちの一つに入ることができる。補助ファイバのいくつかまたはそれぞれは、位相シフターを備えるか、または位相シフターと動作可能に通信し、カプラが補助ファイバのそれぞれからの光を単一の出力ファイバに結合することができる。したがって、位相シフターは、光の建設的な干渉により増大した出力の単一の出力ビームを生成するように、それぞれの補足ファイバ内の光の位相を変更することができる。
【0148】
複数のシングルモードサファイア光導波路が設けられる場合を含め、いくつかの実施形態では、バルクサファイアを光ファイバの代わりに使用することができる。例えば、平面サファイア基板が使用され、複数のシングルモードサファイア光導波路を備えることができる。
【0149】
本発明の別の態様によれば、サファイアの代わりに、別の硬質結晶を使用することができる。例えば、サファイアの代わりにダイヤモンドを使用してもよい。すなわち、本発明は、サファイア光ファイバの代わりに異なる光ファイバ材料を含む、本明細書に記載の態様のいずれかをも提供する。サファイア光ファイバの使用が好ましいが、本発明の利点の多くは、他の材料を含む光ファイバにも及ぶ。したがって、本態様は、本発明の任意の他の態様を参照して本明細書に記載される本発明の特徴のいずれかを含むことができるが、ただし、別のファイバ(例えば、高いサファイア(Al2O3)含有量を含む材料、ダイヤモンド、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG、Y3Al5O12)、ゲルマンケイ酸塩、ホウケイ酸塩、またはニオブ酸リチウム(LiNbO3)を含むファイバ)が、これらの態様に関して記載されるサファイアファイバの代わりに使用することができる。
【0150】
本発明の別の態様によれば、利得媒体としてシングルモード結晶光導波路を使用することを含む、光の放出を刺激する方法が提供される。結晶は、光ファイバ内にあってもよく、光ファイバを提供してもよい。結晶は単結晶であってもよい。したがって、本方法は、シングルモード単結晶導波路を利得媒体として使用することを含む、光の放出を刺激することを含むことができ、ここでシングルモード単結晶導波路は、光ファイバ内に設けられる。別の態様から見ると、本発明は、シングルモード結晶光導波路を含む光利得媒体を備える光デバイスを提供し、シングルモード単結晶光導波路を含むことができる。別の態様から見ると、本発明は、シングルモード結晶光導波路を提供し、シングルモード単結晶光導波路を提供することができる。別の態様から見ると、本発明は、シングルモード結晶光導波路を含む光ファイバを提供する。光ファイバは、シングルモード、単結晶光導波路、すなわち単結晶ファイバ内のシングルモード導波路を備えることができる。したがって、本発明のこれらの態様によれば、ファイバは、その中に導波路を有する結晶ファイバ(例えば、単結晶ファイバ)である。ファイバは、クラッドなどの他の材料を含んでもよいが、導波路を含むファイバの部分は、結晶および/または単結晶であってもよい。
【0151】
単結晶材料は単結晶であってもよい。これは、サンプル全体(例えば、ファイバ)の結晶格子が連続的でありサンプルの端まで破断されていない材料であってもよく、すなわち、サンプルの材料(例えば、ファイバ)のどの部分も、粒界によってサンプルの材料の別の部分から分離されていない。
【0152】
シングルモード結晶光導波路は、本明細書で論じられ、以下の図に関連して説明されている態様のいずれかに関して記載されるシングルモードサファイア光導波路の代わりに、使用することができる。したがって、シングルモード結晶導波路は、本発明の任意の態様を参照して本明細書で説明された特徴のいずれかを含むことができる。光ファイバおよび/または導波路は、サファイアの代わりに別の適切な材料、例えば、光ファイバおよび/または利得媒体として使用するのに適した任意の材料を使用することができることを除いて、他のいずれの態様に関しても本明細書に記載されるとおりにすることができる。特に、サファイアの代わりに任意の単結晶材料を使用することができる。
【0153】
結晶は、ダイヤモンド、またはケイ酸塩鉱物、または酸化物鉱物、またはリン酸塩、または炭酸塩、またはハロゲン化物を含むことができる。結晶は、ガーネット、例えば、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、ルテチウムアルミニウムガーネット(LuAG)などのケイ酸アルミニウムを含むことができる。結晶は、コランダム(例えば、サファイアまたはルビー)またはCaGdAlO4(CAIGO)などの酸化アルミニウムを含むことができる。結晶は、二酸化ジルコニウム(ジルコニア)を含むことができる。結晶は、光ファイバとしての使用に適した任意の材料を含むことができる。
【0154】
前記シングルモード結晶光導波路は、ドープされていてもよい。シングルモード結晶光導波路は、チタンでドープされていてもよい。シングルモード結晶光導波路は、希土類元素でドープされていてもよい。シングルモード結晶光導波路は、二つ以上の元素で共ドープされていてもよい。シングルモード結晶光導波路は、チタン、イッテルビウム、エルビウム、ネオジム、ツリウム、プラセオジム、パラジウム、ホルミウム、クロム、コバルト、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、炭素、または亜鉛のうちの任意の一つまたは複数でドープされていてもよい。これらは、結晶内で光利得を可能にするとの利点を有する。したがって、シングルモード結晶光導波路は、利得媒体を提供するためにドープされてもよい。
【0155】
特に、シングルモード結晶光導波路は、イッテルビウムをドープしたイットリウムアルミニウムガーネットを含んでいてもよい。
【0156】
本発明の別の態様によれば、結晶ファイバを含む光デバイスが提供され、結晶ファイバは、その中に複数の導波路を含む。結晶ファイバは単結晶ファイバであってもよい。本発明は、光デバイスを利得媒体として使用することを含むことができる。導波路は、互いに隣接していてもよく、並列していてもよく、例えばファイバの同じ長さ内で光を導波する。したがって、ファイバは、マルチコア単結晶ファイバであってもよい。導波路のうちの一つ以上(またはすべて)は、シングルモード導波路であってもよい。結晶は、サファイアまたはイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)または任意の他の適切な材料であってもよい。結晶はドープされていてもよい。ドーパントは、希土類元素であってもよい。ドーパントは、クロムおよび/またはイッテルビウム、および/または、例えば利得媒体として使用するための任意の適切なドーパントであってもよい。導波路は、例えば、本発明の任意の態様を参照して本明細書に記載するように、ディプレストクラッド導波路であってもよい。導波路は、例えば、本発明の任意の態様を参照して本明細書に記載されるような微細構造導波路であってもよい。導波路は、例えば、本発明の任意の態様を参照して本明細書に記載するように、フォトニック結晶またはフォトニックバンドギャップ導波路であってもよい。導波路は、レーザ書込みされていてもよい。導波路は、その内部にブラッググレーティングを有していてもよい。光デバイスおよび/または結晶ファイバは、本発明の任意の他の態様を参照して本明細書に記載された特徴のいずれかを含むことができる。
【0157】
上記では本発明の別々の態様が示されているが、特定の態様を参照して説明された特徴は、必要に応じて任意の態様と組み合わせて使用できることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0158】
ここで、本発明の例示的な実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して説明する。
【
図5】
図5a及び5bは、光デバイス内の他の光導波路設計の概略的な断面図を示す。
【
図6】
図6a及び6bは、他の光導波路設計の概略的な断面を示す。
【
図8】
図8a及び8bは、複数の光導波路を含む光デバイスの概略断面図を示す。
【
図9】
図9は、複数の光導波路を含む光デバイスの概略断面図を示す。
【
図10a】
図10aは、光デバイスの長手方向長さに垂直な断面図を示す。
【
図11】
図11は、複数の導波路を含む光デバイスの概略図を示す。
【
図12】
図12は、複数の導波路を含む他の光デバイスの概略図を示す。
【
図13a】
図13aは、光デバイスの長手方向長さに垂直な断面図を示す。
【0159】
図1は、利得素子として配置された光デバイス100を備える装置の概略図を示す。この図および後続の図は、概略的なものに過ぎず、縮尺通りに描かれていない。光デバイスは、サファイア光ファイバ100を備える。サファイア100内には、ファイバ100の長さに沿って設けられたシングルモード光導波路101が存在する。シングルモードサファイア光導波路101は、光コア101’を備える。サファイア導波路101は、チタン、または、導波路101を利得媒体として機能できるようにするクロムなどのドープ元素のような代替ドーパントが、ドープされている。この導波路101は、例えば、フェムト秒レーザを使用してサファイア光ファイバ100内に書き込むことができる。このレーザ改質は、フェムト秒レーザに露光された領域内のサファイアの屈折率の低下を引き起こすことができる。代替的に、導波路101は、例えば内側クラッドを形成するために、照射で露出領域に改質を生じさせるなど、別の手段によって形成されてもよい。導波路101は、光ファイバ100のコア101’を囲む領域のレーザ改質によってファイバ100内にクラッドを形成することで提供することができ(例えば、
図5aのクラッド402参照)、改質されていないコア101’とクラッドとが協働して導波路101を提供する。
【0160】
光デバイス100が光を放出するために使用される場合、導波路101内のイオンをより高いエネルギー状態に励起するために、ポンプレーザ102が使用される。ポンプレーザ102は、例えば、514.5nmのアルゴンイオンレーザまたは532nmの周波数倍増Nd:YAGであってもよい。ポンプレーザはまた、ダイオードレーザであってもよい。利得媒体をポンピングする任意の適切な手段を使用することができる。ポンプレーザ102からの光は、ダイクロイックミラー103及びレンズ104を介して、導波路101に結合される。入力光105は、入力光アイソレータ106(例えば、ファラデーアイソレータ)を通って入射し、ダイクロイックミラー103で反射する。ダイクロイックミラーから反射された入力光105は、レンズ104を通過して導波路101に結合される。入力光105は、導波路101内、具体的にはコア101’内の励起イオンから光の誘導放出を引き起こす。このようにして放出される光子は、入力光105と同じ波長を有する。結果として、放出された光は、励起されたイオンの刺激によって導波路101内で増幅され、入力光105と同じ波長の光子を放出する。増幅された光は、ファイバ100の端部において導波路101から出て、出力光アイソレータ107(入力アイソレータ106と同じタイプのアイソレータであってもよい)を通過する。光アイソレータ107は、放射光が反射されて導波路101に戻るのを防止するように構成される。最後に、残留ポンプ光が、フィルタ108で除去される。このように、光デバイス100のいくつかの使用では、入力光105は、導波路101内で増幅される。
【0161】
本発明の代替の実施形態では、光デバイス100は、
図1に示されるサファイア光ファイバの代わりに、バルクサファイアを備えることができる。この場合、シングルモード光導波路は、バルクサファイア内に設けることができる。
【0162】
図2は、導波路101が前方および後方の両方の伝搬方向にポンピングされる光デバイス100の構成を示す。すなわち、第1のポンプレーザ102aからの光は、導波路101の第1の端部101aにおいて導波路101に入射し、第2のポンプレーザ102bからの光は、第1の端部101aに対向する導波路101の第2の端部101bにおいて導波路101に入射する。第2のポンプレーザ102bからの光は、ダイクロイックミラー103b及びレンズ104bを介して端部101bから導波路101に結合される。代わりに、導波路101は、後方のみからポンプされる、すなわち第2のポンプレーザ102bのみを使用することもできる。すなわち、導波路101は、どちらの方向にも使用することができる。
【0163】
図3は、光デバイス100(例えば、
図1に示されるようなもの)をレーザの利得媒体として使用するレーザを示す。すなわち、レーザは、ドープされたサファイアシングルモード導波路101を利得媒体として使用する。導波路101は、導波路101のコア101’内にブラッググレーティング反射器201、202を備え、導波路101内においてそれらの間にキャビティを形成する。導波路101は、ポンプレーザ102で光ポンピングされる。ブラッググレーティング201、202は、有効屈折率が周期的に変動するため、グレーティングが狭い波長範囲内で反射する。この波長範囲は、導波路101および光コア101’内のドープされたサファイアの利得ウィンドウ内に入る。ブラッググレーティング201、202は、レーザ動作を可能にするフィードバックを提供する。ブラッググレーティング201は、非常に高い反射率を有するが、ブラッググレーティング202は、光が導波路101およびファイバ100の端部から放出されることを可能にするために、より低い反射率を有することができる。光アイソレータ107は、光が導波路101に向けて反射されるのを防止し、光フィルタ108は、放出されたポンプ光を除去する。代替として、
図2に図示されるように、レーザは、後方伝搬ポンプまたは相互伝搬ポンプレーザ光を使用してもよい。
【0164】
レーザシステムは、光ファイバ100の外側に一又は複数のグレーティング(例えば、ブラッググレーティング)を含むことができ、これらのグレーティングの角度は、レーザシステムの出力を調整することができるように、調節可能とすることができる。光ファイバ100は、レーザ発生用の光キャビティの一部として、導波路101内に単一のブラッググレーティングを備えていてもよく、又は光ファイバ100の外部に反射器を備えていてもよい。
【0165】
本発明の他の実施形態では、導波路101内の光の反射は、導波路の外部のミラーによって、または導波路の入口および/または出口における導波路/空気境界によって提供することができる。すなわち、任意の適切な光キャビティを使用することができ、光ファイバ100および導波路101は、その光キャビティの少なくとも一部を含むことができる。
【0166】
ブラッググレーティング201、202は、また、センサシステムの一部として使用することができる。光ファイバ100はサファイアであり、したがって、耐久性が高いので、ファイバは、航空宇宙での使用に適したエンジンなどの、過酷な環境に配置することができる。ファイバは、原子炉などの高レベルの放射線に曝される環境に配置することができる。ファイバが曝される条件は、ファイバの構成、特にブラッググレーティング(または複数存在するグレーティング)の構成を変化させ、それによって光学特性が変化する。従って、グレーティングの構成は、それが配置される環境の特性を測定するために使用することができる。
【0167】
図4は、レーザの他の例を示す。ポンプレーザの発散角は一般に広いため、ポンプレーザからの光をシングルモード導波路に効率的に結合することは困難な場合がある。しかし、サファイアファイバ100は、本来マルチモード導波路であり、導波は、サファイアと空気との面界で行われる(空気が実質的にクラッドとなる)。発散ポンプレーザ300は、ポンプ光301をマルチモード導波路内、すなわち光ファイバ100内に発射するために、使用される。次いで、ポンプ光301の高次伝搬モードは、より大きい光ファイバ100内で導波され、一方、信号ポンプ光301のシングルモードは、シングルモード導波路101のコア101’に沿って導波される。次いで、ポンプ光301は、シングルモード導波路101と重なり、シングルモード導波路101内のイオンをより高いエネルギー状態に励起する。シングルモード導波路内の励起イオンの一部は、自然に減衰して低エネルギー状態に戻り、光子を放出する。これらの光子は、シングルモード導波路内の他の励起イオンから放出される更なる(位相コヒーレントな)光子を刺激する。フィードバックが、特定の波長の光を反射する2つのブラッググレーティング201、202によって提供され、結果として狭いスペクトルが得られる。
【0168】
例えば
図4に示すように、マルチモード導波路内にシングルモード導波路を設けることに関連する、多数の利点がある。これらは、空間品質の低いポンプを効率的にシングルモード導波路に結合することができることを含む。また、複数のポンプを光ファイバに結合することによって、電力スケーリングを実現することができる。さらに、ポンプ光モードおよびレーザ光モードは、回折による場合に達成される距離と比較して、より長い距離にわたって維持することができる小さなモード半径を有することができ、その結果、これは、しきい値ポンプパワーの低下をもたらす(例えば、チタンドープサファイアは、一般的に使用されるレーザ利得媒体であるネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネットの約50倍である「固有の」しきい値を有する)。光ポンピングレーザは、レーザ光が放射される前に、一定量のポンプパワーを必要とする。したがって、より低いしきい値ポンプパワーを有するのが望ましい。さらに、ポンプ光は、チタンドープサファイアでは吸収長の数倍に相当する距離にわたってポンプ吸収が生じるよう導波することができるが、この距離にわたって積分すると、モード半径が実現不可能なほど大きくなる原因となる回折の悪影響を伴わない。これらの利点は、バルクチタンドープサファイアレーザにおいて生じるドーピングレベル、ポンプビーム品質、及び最小ポンプモードサイズに関する共通の欠点を克服するのに役立つ。
【0169】
図5は、サファイア内にシングルモード導波路を形成する様々な実施態様を示す。
図5(a)は、微細構造導波路401を備える光デバイス100(例えば、周期構造導波路、フォトニック結晶ファイバ、マイクロボイドファイバ、フォトニックバンドギャップファイバなど)の断面を示す。光デバイス100は、導波路401内に改質されていないサファイアのコア101’と、微細構造クラッド402とを備え、したがって、光デバイス100の断面にわたって屈折率に周期的な変動が存在する。導波路401は、クラッド402によってコア101’内のシングルモード以外の全ての伝搬を抑制するように構成されており、光デバイス100は、シングルモード光サファイアファイバ100である。これらのファイバは、フォトニック結晶ファイバまたはフォトニックバンドギャップファイバと呼ばれることがある。周期構造は、フェムト秒レーザを使用して、露出領域403の屈折率を変化させる(低くする)ことによって形成することができる。これらはまた、例えば、エッチングプロセスを使用することによって、またはA. Rodenasらの「結晶の三次元フェムト秒レーザナノリソグラフィー」、Nature Photonics 13、105~109(2019)https://doi.org/10.1038/s41566-018-0327-9に記載されているように形成することもでき、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。本発明者は、そこに開示された方法および特徴が、本発明の特徴と組み合わされうることを発見した。
【0170】
図5(b)は、ディプレストクラッドシングルモード導波路410を備える光デバイス100の断面を示す。光デバイス100は、クラッド411によって囲まれた、改質されていないサファイアのコア101’を含む。クラッド411は、改質されていないサファイアと比較して屈折率が低く、例えばGB1712640.0 に記載されているように、クラッド領域のサファイアをフェムト秒のレーザ光パルスに曝すことによって形成される。したがって、コア101’は、クラッド411と比較して高い屈折率を有する(例えば、コア101’の屈折率は、クラッド411の屈折率よりも5×10
-4から5×10
-2大きい場合がある)。したがって、クラッド411は、コア101’と協働して導波路410を提供する。クラッド402、411は、ファイバ100のエッジ部分まで延在する必要はなく、したがって、改質されていないサファイアで囲まれていてもよい。
【0171】
放射損失を減らすために、クラッド411の直径をできるだけ大きくすることが有利である場合がある。この例では、コア101’は楕円の断面を有し、偏波保持光導波路410を形成している。これは、光ファイバ100が曲げられたときに偏光状態を維持するために特に役立つ。ディプレストクラッド導波路410は、例えば、Wangらの「シングルモードサファイアファイバブラッググレーティング」Express 30、15482-15494 (2022)https://doi.org/10.1364/OE.446664に記載されている手法を用いて作成することもでき、この内容は全体として本明細書に組み込まれる。本発明者は、そこに開示された方法および特徴が、本発明の特徴と組み合わされうることを発見した。
【0172】
図5(a)および(b)の光デバイスでは、コア101’のそれぞれ(したがって、導波路401、410のそれぞれ)は、示されたそれぞれのファイバ断面の中心と比較して中心から外れている。コア101’を囲むサファイアは、マルチモード光導波路として機能することができる。マルチモード光導波路内に中心がずれたシングルモード導波路を有することには、マルチモード光導波路に提供されるポンプ光の増加した割合が、シングルモード光導波路401、410に結合されうるという利点がある。
【0173】
代替の実施形態では、同様の利点を達成するために、導波路の断面対称性を低減して、コアの利得媒体に結合されるポンプ光を増加させることができる。例えば、マルチモード導波路の断面は、D字型であってもよい。
【0174】
さらに、サファイア光ファイバ100の全体を、シングルモードファイバ101、401、410を取り囲むマルチモードファイバとして使用することは可能であるが、一つの導波路を別の導波路内に有するという概念をさらに一歩進めて、光ファイバ100内にネストされた、作製された導波路を提供することができる。
【0175】
図6は、代替的な方法を用いて形成されたたサファイア光ファイバ100内のシングルモード導波路410を示す。
図6(a)は、サファイア光ファイバ100から形成された光デバイス100の断面を示しており、これには、コア101’、導波路410のコア101’を取り囲みこれに隣接する第1のクラッド411、及び第1のクラッド411を取り囲みこれに隣接する第2の外側クラッド501を備える内側シングルモード導波路410が存在する。第1のクラッド411は、コア101’よりも低い屈折率を有し、第2のクラッド501は、第1のクラッド411よりも低い屈折率を有する。このように、ネストされた二つの導波路が設けられ、第1のシングルモード導波路は第1のクラッド411と協働するコア101’によって提供され、第2のマルチモード導波路は第2のクラッド501と協働する第1のクラッド411によって提供される。この例では、マルチモードポンプ光は、第2のクラッド501の境界内に閉じ込められ、第1のクラッド411の中を伝搬する。すなわち、第1のクラッド411は、実質的に、第2導波路の光コアを提供する。
【0176】
したがって、第1のクラッド411は、第1のシングルモード光導波路410を形成するクラッドを提供する。第1のクラッド411はまた、第2のクラッド501との協働により、第2のマルチモード光導波路の「コア」を形成する。第2のマルチモード光導波路用のクラッドは、第2のクラッド501によって提供される。第2のクラッド501を形成するレーザ改質サファイアは、第1のクラッド411の領域内のサファイアと比較して、領域内のサファイアをフェムト秒レーザのより大きなドーズ量(例えば、より高いパルスエネルギー、及びより速い繰り返し率)に曝すことによって形成することができ、第2のクラッド501は第1のクラッド411より低い屈折率を有する。
【0177】
図4に描かれた配置に関して上述したのと同じ利点は、
図6に示されたネストされた導波路配置にも適用することができる。外側の導波路内を伝搬するマルチモード光は、内側(シングルモード)導波路のコア101’の利得媒体をポンピングするために使用することができる。
【0178】
上述したようなマルチモード導波路およびネストされたシングルモード導波路からなる光デバイス100は、クラッドポンプ光デバイス100、またはクラッドポンプ光導波路101と称することができる。クラッドポンプ光導波路では、確実にコアのみがドープされているのが望ましい。なぜなら、第1のクラッド(すなわち光コアまたはクラッドポンプ導波路)がドープされている場合には、光利得に寄与することなくポンプパワーを吸収する可能性があるからである。ドープされた材料の内部コアを形成するためにサファイアファイバを選択的にドープする方法は、V,N, Kurlov et al.,「サファイアコアドープファイバの成長」, Journal of Crystal Growth91(3) 520-524 (1998)に記載されており、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。本発明者は、そこに開示されている方法および特徴が、本発明の特徴と組み合わされうることを発見した。しかし、少なくともそのコアが非常に小さいため、ドープ領域をシングルモード光導波路コア101’内にあるように制限することは、困難である。
【0179】
図6(b)は、Ti
3+を選択的にドープしたドープ領域510を有するサファイア光ファイバ100で形成された、光デバイス100の断面を示す。したがって、このドープ領域510は、利得媒体として機能する能力を有する。コア101’と、コア101’を取り囲み隣接してそれにより導波路410を提供する第1のクラッド411と、第1のクラッド411を取り囲み隣接する第2のクラッド501とが存在する。コア101’は、クラッド411内で中心から外れている。コア101’、第1のクラッド411、第2のクラッド501、およびドープ領域510の領域は、利得領域(すなわち、ドープ領域510)と、マルチモード導波路のコアを形成する第1のクラッド411との重なりを最小にするように設計される。したがって、ポンプ導波路内(すなわち、第1のクラッド411内)における複数の伝搬モードと、ドープ領域510との重なりは、低減される(または、最小限とされる)。したがって、シングルモード導波路のコア101’の外側の利得材料を励起するポンプモードによる、エネルギーの損失が低減される。ドープ領域510の形状は、第1のクラッド411との重なりを最小限に抑えつつ、シングルモード導波路の光コア101’との重なりを最大限にするように構成することができる。例えば、ファイバのドープ領域510は、楕円形の断面、矩形の断面、又は任意の適切な形状を有することができる。
【0180】
従って、シングルモードサファイア光ファイバのクラッドは、ドープ部分及び非ドープ部分を含むことができる。シングルモード導波路のクラッドの大部分は、非ドープとすることができる。ファイバは、クラッドの外側にドープ領域を備えることができる。
【0181】
この方法は、コア101’がドープ領域510の端に位置するように光ファイバ100を改質することを含むことができ、これにより、シングルモード導波路101、410のコア101’の外側の領域でのポンプ電力の損失を低減させることで、効率を向上させることができる。
【0182】
本明細書で述べたドープされたシングルモードサファイアファイバを使用して、製造または提供できるレーザには、多数の種類がある。レーザは、パッシブモードロック(例えば、可飽和吸収体で)、またはアクティブモードロック(例えば、変調器で)であってもよい。レーザは、狭帯域幅レーザまたは単一周波数レーザであってもよい。レーザは、ダイオードポンプする(例えば、DFB又はDBR半導体レーザで)ことができる。レーザは、マスター発信器パワーアンプ(アンプがレーザの後に続く)でありうる。レーザは、シードレーザからの光で注入ロックされうる。レーザは、ガス検知や量子技術などの用途に使用できる。レーザは、波長掃引レーザとすることができ、光コヒーレンストモグラフィなどの用途に使用することができる。多くの構成が可能である(例えば、リングレーザ、8の字型)。偏光制御の必要性を回避するために、シングルモードサファイア光ファイバの偏光を維持することは有益である。
【0183】
図7は、シングルモードサファイア光ファイバ100を使用するセンサシステムを示しており、このセンサシステムでは、シングルモード導波路が利得媒体として使用され、伝搬損失が軽減されている。このシステムはサファイアファイバ100の長さを有し、これは導波路110の長さに沿って設けられた一連のファイバブラッググレーティング(601a、601b等)を有する導波路110を、その長さに沿って含む。サファイア導波路110はTi
3+でドープされているため、サファイア導波路110は利得媒体として機能することができる(これにより、導波路損失を低減するように作用する)。サファイアファイバ100は、ポンプレーザ102によって励起される。ブラッググレーティング601a、602bはそれぞれ異なる波長であり、温度に敏感である。各ブラッググレーティング601a、601bの波長(例えば、ブラッグ反射スペクトルの中心波長)は、調整可能なレーザ610をスキャンすることにより決定される。ブラッググレーティング601a、601bから反射された光は、スプリッター612を介して光検出器611に向けられる。スプリッターは、別個のシリカカプラ(例えば、溶融シリカカプラ)またはサファイア内の導波路スプリッター(例えば、Yスプリッター、マルチモード干渉カプラ)または別個の光サーキュレータであってもよい。ブラッググレーティングはセンサである。例えば、各ブラッググレーティングの近傍の歪み又は温度は、その波長を変化させる。レーザ610は、各ブラッググレーティングの中心波長がどの値であるかを測定するために、波長を調整(スイープ)することができ、したがって、図示されている構成をセンサシステムとして使用することができる。
【0184】
FBGを使用する代わりに、本発明のいずれかの態様によるサファイア光デバイスを組み込んだ分散センシング、例えば後方散乱光に基づくセンシングを使用することができる。センサは、レイリー散乱、ブリルアン散乱、またはラマン散乱に基づいていてもよい。
【0185】
図8aは、複数のディプレストクラッドシングルモード導波路810を備える光デバイス100、800の断面を示す。すなわち、導波路は光ファイバ内に並列に配置されている。光デバイス100、800は、それぞれが改質されていないサファイアの複数のコア101’、801'を備え、各コアは、改質されていないサファイアコア101’、801'と比較して屈折率が低くなるように改質されたそれぞれのクラッド411、811によって囲まれている。この例では、導波路が偏光を維持するように、コア101’、801'は楕円形である。この例では、図の断面全体にわたってドットが表示されているように、サファイアの大部分はドープされている。サファイアの選択的ドープは困難であり、光デバイス100、800のより大きな面積、またはファイバ全体をドープすることが、より容易または好ましい場合がある。このような光デバイス100、800内に複数の導波路を設けることにより、導波路の外側の利得媒体、すなわちドープされたサファイアへのポンプ光結合による効率損失を、最小限に抑えることができる。導波路は、ファイバ内のカバレッジを最大にするために、最密構成で配置される。この例では、七つの導波路101、810が最密構成で設けられ、六角形を形成している。
【0186】
図8bは、複数のディプレストクラッドシングルモード導波路101、830を含む光デバイス100、820の、他の例を示す。ただし、この例では、コア101’、831'間のサファイアの大部分が、コア101’、831'の改質されていないサファイアと比較して屈折率が低下した、各導波路101、830用のクラッド411、831を形成するように、改質されている。したがって、導波路は、共通のディプレストクラッドを共有している。
【0187】
図5bのディプレストクラッド導波路410の説明は、導波路101、810、830の各々に適用できる。
【0188】
図9は、複数の微細構造導波路101、910を備える光デバイス100、900(例えば、周期構造導波路、フォトニック結晶ファイバ、マイクロボイドファイバ、フォトニックバンドギャップファイバなど)の断面を示す。光デバイス100、900は、改質されていないサファイアの複数のコア101’、901'と、微細構造のクラッド402、902(例えば、レーザ改質領域の周期的アレイ)とを備え、したがって、光デバイス100、900の断面にわたって屈折率に周期的な変動が存在する。この例では、コア101’、901'の間のサファイアの大部分は、各導波路101、910のクラッド402、902を形成するように改質されており、コアは微細構造内にギャップが存在する場所に形成されている。
【0189】
図5aの微細構造導波路401の説明は、導波路101、910の各々に適用可能である。
【0190】
図10(a)は、ファイバの長手方向長さに垂直な断面で示されたファイバ100、1002を備える光デバイス100、1000を示す。光デバイス100、1000は、複数の導波路101、1010、例えば、
図8(a)、
図8(b)、および/または
図9の導波路を備える。
【0191】
図10(b)は、ファイバの長手方向の長さに平行な断面における光デバイス100、1000を示す。各導波路101、1010は、フィードバックを提供するために、導波路の両端に一つずつ配置された一対のブラッググレーティング1011を備える。ブラッググレーティング1011のそれぞれの対は、光デバイス100、1000からの単一のコヒーレント出力を提供するために、他のブラッググレーティング1011の対と同じブラッグ波長にすることができる。各導波路101、1010からの出力は、光カプラ1003(方向性カプラまたはエバネッセントカプラ)とコヒーレントに結合される。この例では、光カプラはファイバ1002内に形成されている。
【0192】
好ましくは、各導波路からの光は、光が結合されたときに建設的干渉が生じるように、同位相であるべきである。いくつかの例では、導波路のうちの一つ以上は、位相シフター(例えば熱位相シフター等)に操作可能に接続することができる。それらは、代替的に、受動的であるか、または受動的にトリミングされてもよい。ファイバは、例えば、導波路間の位相が変化することを排除するために、曲がらないように、所定の位置に固定される場合がある。導波路内の光の位相は、導波路の長さを変更するか、または導波路の「有効屈折率」を変更することによって、制御することができる。有効屈折率は、コア寸法、及びコアとクラッドとの屈折率の差に依存する。例えば、一つ以上の導波路の有効屈折率は、(元々改質されていない)コアにレーザで線を書き込みコアの屈折率を低減すること、コアの周りにレーザでリングを書き込むこと、および/または、クラッドをレーザで改質し(例えば、「クラッドを上書きし」)クラッドの屈折率をさらに低減すること、によって変更することができる。このように、光デバイスは、複数の導波路からの光を、例えば単一の導波路などの、より少ない数の導波路に結合するように構成された光カプラを備える。
【0193】
全ての対のブラッググレーティングを同じ波長とする代わりに、各導波路が異なる波長のブラッググレーティング対を有することで、一連の異なる波長を発生するようにすることができる。必要に応じて、ブラッググレーティングの適切な構成を提供することができる。
【0194】
図11は、
図10(a)および(b)の光デバイス100、1000をレーザとして使用している状態を示す。光デバイス100、1000は、単一の光ファイバ内に複数の並列した導波路を備えている。導波路101、1010内のイオンを励起するために、少なくとも一つのポンプレーザ102、1100からの光が、導波路101、1010のそれぞれに注入される。ポンプレーザ102、1100からのパワーを可能な限り活用するために、並列した導波路の全てを、同じポンプレーザ102、1100を用いてポンピングすることができる。入力光は、導波路101、1010内の励起イオンからの光の誘導放出を引き起こす。導波路から放出された光は、ファイバ100、1000内で単一の導波路に結合されてレーザ出力を形成し、この出力は、アイソレータ106、1120及びフィルタ108、1130に供給されて、レーザ出力からポンプ光をフィルタリングする。
【0195】
図12は、レーザとして使用されている単一のファイバ内に複数の導波路101、1210を備える、他の光デバイス100、1200を示す。少なくとも一つのポンプレーザ102、1220からの光が、導波路101、1210のそれぞれに注入されて、導波路1210内のイオンを励起する。並列した導波路の全ては、同一のポンプレーザ102、1220を用いてポンピングすることができる。各導波路101、1210の出力は、補助光ファイバ1230に供給される。補助ファイバ1230のうちの一つまたは複数は、位相シフター1232と動作可能に通信して提供される。複数の位相シフター1232を設け、各位相シフター1232が、一つの補助ファイバ1232のみに専用とすることができる。光ファイバの導波路内及び導波路間で位相制御を維持することは困難な場合があるため、各位相シフター1232の位相は、各導波路101、1210からの光出力が同相でありかつ建設的に干渉してより高いパワー(例えば、その中の単一の導波路内のファイバと比較してパワーが増加している)を有する単一の出力ビームを生成することを保証するために、独立して調整することができる。
【0196】
図10(b)、
図11及び12は、ファイバ1002及び1202内にギザギザの切れ目があり、画像が切り取られているが、ファイバはブラッググレーティング間で連続しており、画像で示されているものよりも長く延びている場合がある。任意の適切な長さのファイバを使用することができる。当然ながら、これらの画像は、概念を説明するための概略図にすぎない。
【0197】
図13(a)および13(b)は、長手方向に延びる平面基板1302を備える光デバイス100、1300を示す。
図13(a)は、光デバイス100、1300の長手方向の長さに垂直な断面を示し、
図13(b)は、光デバイス100、1300の長手方向の長さに平行な断面を示す。平面基板は、それぞれが一対のブラッググレーティング1320を有する複数の導波路101、1310と、コヒーレントカプラ1330とを備える。任意の適切な形状の材料を使用することができ、光ファイバは関連する利点を有するが、他の形状を有する材料も使用することができ、関連する利点を有する。
【0198】
光デバイス100、1300は、レーザとして使用することができ、その場合、ポンプ光は基板に発射され、導波路101、1310の出力はコヒーレントカプラ1330と結合され、単一のコヒーレント結合出力が形成される。平面基板を使用することによって、出力が同位相で維持されることを保証しやすくなる可能性がある。
【0199】
本明細書の図および実施形態は、サファイアを含む光ファイバを参照して説明されているが、光ファイバは、サファイアの代わりに任意の適切な材料を含むことができ、本発明はそのような実施形態にまで及ぶ。例えば、サファイアの代わりに、結晶材料、例えば単結晶ファイバなどの結晶ファイバを使用することができる。本明細書で説明されているように、任意の適切な材料を使用することができる。
【0200】
本発明のより広い態様および精神から逸脱することなく、さまざまな変更および修正を行うことができる。提供された値または範囲は、所望の結果を達成するために、他の値または範囲に置き換えることができる。単数形が使用されている場合(たとえば、「an」、「a」、「the」、「this」)、それは 一つ以上の項目であると解釈される。「含む、備える(comprise)」という語が使用されている場合、それは後続の方法ステップおよび/または要素を含むと解釈されるが、追加の方法ステップおよび/または要素を含むこともできる。本明細書の方法に記載されているステップは、任意の順序で、または同時に実行することができる。個々のステップまたはステップのグループは、所望の効果を失うことなく、いずれかの方法から削除することができる。個々の要素または要素のグループは、所望の効果を失うことなく、いずれかの装置から削除することができる。いずれかの例の一部を、利点を得るために他のいずれかの例の一部と組み合わせることができる 要素またはステップがオプションであると記載されている場合、他の要素またはステップが必須であることを意味するものと解釈されるべきではない。当業者は、請求項のとおり、本発明の範囲内で、特徴の任意の組み合わせが可能であることを理解するであろう。
【国際調査報告】