(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-08
(54)【発明の名称】ガスタービンにおける発電方法
(51)【国際特許分類】
F02C 3/22 20060101AFI20250701BHJP
C01B 3/04 20060101ALI20250701BHJP
F02C 7/22 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
F02C3/22
C01B3/04 B
F02C7/22 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024573256
(86)(22)【出願日】2023-05-23
(85)【翻訳文提出日】2024-12-12
(86)【国際出願番号】 GB2023051346
(87)【国際公開番号】W WO2024018169
(87)【国際公開日】2024-01-25
(32)【優先日】2022-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アシュクロフト、ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】パック、ジョン デイビッド
(57)【要約】
アンモニア分解反応器に熱エネルギーを提供するための方法。本発明は、水素を燃料とするガスタービンから酸素含有オフガスを回収し、オフガスの少なくとも一部分を燃料燃焼ゾーンに供給して、アンモニア分解反「応器のための熱エネルギーを生成する工程を含む。本発明は、アンモニア製造設備などの化学物質製造設備において使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアの触媒分解から得られるカーボンフリー燃料を燃料とするガスタービンを使用して発電するための方法であって、
アンモニア流をアンモニア分解反応器に供給する工程と、
前記アンモニア分解反応器内で前記アンモニア流中の前記アンモニアを分解して、水素含有流を生成する工程と、
前記水素含有流を酸素含有供給物と組み合わせ、前記水素含有流を前記酸素含有供給物と共に燃焼させて、燃焼させたガス流を生成する工程と、
前記燃焼させたガス流を使用してガスタービンを駆動し、酸素含有オフガス流を生成する工程と、
前記酸素含有オフガス流の少なくとも一部分を燃料燃焼ゾーンに供給する工程と、
燃料流及び前記酸素含有オフガス流を、前記燃料燃焼ゾーン内で燃焼させて、前記アンモニア分解反応器のための熱エネルギーを生成する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記アンモニア流を350℃~1000℃の温度に予熱する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アンモニア分解反応器の入口における前記アンモニア流の温度が、350℃~1000℃、400℃~950℃、450℃~850℃、又は500℃~750℃の範囲内である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記水素含有流が、40mol%~75mol%の水素を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記水素含有流を精製ユニットに供給し、前記水素含有流の水素含有量を増加させて、水素富化流及びテールガスを生成する工程を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記水素富化流が、50mol%~100mol%の水素を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記酸素含有供給物が、圧縮酸素含有供給物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記酸素含有供給物が、空気、酸素、又は酸素富化空気である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記酸素含有オフガス流が、5mol%~25mol%超の量の酸素を含み得る、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記酸素含有オフガス流が、500℃~800℃、500℃~750℃、又は600℃~700℃の温度で前記燃料燃焼ゾーンに供給される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記燃料燃焼ゾーンに供給される前記酸素含有オフガス流の部分が、前記ガスタービンを出る全ての前記オフガス流の5%~75%、7%~50%、8%~30%、又は9%~20%である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記燃料流が、アンモニアを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記燃料流が、全ての前記燃料流の1mol%~100mol%、好ましくは全ての前記燃料流の5mol%~75mol%、10mol%~50mol%、又は15mol%~30mol%の量でアンモニアを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記テールガスを前記燃料燃焼ゾーンに供給する工程と、前記燃料流及び前記テールガスを前記酸素含有オフガスと共に燃焼させる工程と、を含む、請求項5~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記燃料流が、水素、天然ガス、メタン、製油所オフガス、バイオガス、前記水素精製ユニットからの前記テールガス、及び前記アンモニア分解反応器からの前記水素含有流の一部分、1つ以上の追加の燃料源を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記燃料流がアンモニアを含み、アンモニア含有燃料流が、前記アンモニア分解反応器に供給される前記アンモニア流と同じ供給源から供給される、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記燃焼ゾーンにおいて前記酸素含有オフガス流を使用する燃焼によって生成される熱エネルギーが、前記アンモニア分解反応器に必要な熱エネルギーの50%超かつ最大100%を提供する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
アンモニア製造設備を改修するための方法であって、アンモニア製造設備において請求項1~17のいずれか一項に記載の方法を実施する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアを分解(クラッキング)する方法に関する。より具体的には、本発明は、アンモニア分解反応器に熱を提供するための方法に関する。本発明は更に、本発明の方法を用いる、アンモニアプラントを改修する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンフリー電気エネルギーを生成するために、ガスタービンシステムに動力を供給するカーボンフリー燃料を使用することへの関心が高まっている。このようなカーボンフリー燃料のうち、アンモニアは、アンモニアが豊富に供給されているアンモニア製造設備におけるカーボンフリー発電用として注目されている。しかし、アンモニアを燃料とするガスタービンシステムの開発は、初期段階にある。市販されている多くのガスタービンは、アンモニア燃料での使用に適したものとして供給されていない。
【0003】
アンモニアを直接燃料として使用するための潜在的な解決策は、アンモニアを分解して水素と窒素との混合物を形成し、水素の燃焼によってガスタービンを駆動できるようにすることである。
【0004】
アンモニアの水素及び窒素への分解は、アンモニアプラントにおいて水素を提供して触媒を活性化するために長年使用されてきた。反応は次のように示すことができる。
【0005】
【0006】
アンモニア分解反応は吸熱性であり、炉内に配置された外部加熱される触媒含有反応管内の好適な触媒上にアンモニアを通すことによって有用に達成することができる。例えば、天然ガス又はナフサ供給原料の水蒸気改質用のこのような炉が知られている。
【0007】
ガスタービンにおいて水素流を燃焼させることは公知である。米国特許出願公開第2022162999号及び同第2022162989号では、水素を含む流れと圧縮空気流との燃焼によって駆動されるガスタービンを含む、方法を開示している。水素を含む流れは、アンモニア流が供給されるアンモニア分解装置において生成される。ガスタービンは、電気エネルギー及び機械エネルギーを発生させるために使用される。水素を含む流れの燃焼によって生成される熱は、分解装置に直接供給されるか、又は熱交換器を通して分解装置の上流のアンモニア流を予熱するために使用される。
【0008】
カーボンフリー燃料、特にアンモニア由来燃料の燃焼によって駆動されるガスタービンの効率を改善する必要性が依然として残っている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、アンモニアの触媒分解から得られるカーボンフリー燃料の燃焼によって駆動されるガスタービンシステムのエネルギー効率を向上させることを目的とする。
【0010】
したがって、本発明の第1の態様では、アンモニアの触媒分解から得られるカーボンフリー燃料を燃料とするガスタービンを使用して発電するための方法であって、
アンモニア流をアンモニア分解反応器に供給する工程と、
アンモニア分解反応器内でアンモニア流中のアンモニアを分解して、水素含有流を生成する工程と、
水素含有流を酸素含有供給物と組み合わせ、水素含有流を酸素含有供給物と共に燃焼させて、燃焼させたガス流を生成する工程と、
燃焼させたガス流を使用してガスタービンを駆動し、酸素含有オフガス流を生成する工程と、
酸素含有オフガス流の少なくとも一部分を燃料燃焼ゾーンに供給する工程と、
燃料流及び酸素含有オフガス流を、燃料燃焼ゾーン内で燃焼させて、アンモニア分解反応器のための熱エネルギーを生成する工程と、を含む、方法が提供される。
【0011】
驚くべきことに、ガスタービンからのオフガス流には、燃料燃焼ゾーンで燃料流の燃焼に使用するのに十分な酸素が含まれていることが見出された。更に、酸素含有オフガスは、高温でガスタービンから出るので、燃料流との燃焼前に予熱する必要がほとんど又は全くない。本発明の方法において、燃料流及び酸素含有オフガスの燃焼から生成される熱エネルギーをアンモニア分解反応器に供給することにより、予想外のエネルギー節約が実現できることが驚くべきことに見出された。
【0012】
本発明の方法の更なる利点は、資本設備のコストも削減できることである。例えば、酸素含有オフガスの少なくとも一部分が燃料流の燃焼に使使用されるので、燃料流の燃焼に使用されない残りの酸素含有オフガスから回収する必要があるエネルギーはより少なくなる。つまり、より小型でより安価な機器(例えば、熱回収蒸気発生器などの熱回収機器)が指定され得る。
【0013】
本発明に記載のガスタービンは、生成される酸素含有オフガス流が回収され、燃料燃焼ゾーンに供給されるので、統合ガスタービンと呼ばれることもある。対照的に、非統合ガスタービンへの言及には、ガスタービンから生成された酸素含有オフガス流が燃焼に使用されない方法も含まれる。
【0014】
本発明の方法は、アンモニアの供給がアンモニア分解反応器への入力となり、水素含有流中に水素ガスを生成することができ、また、酸素含有オフガス流と共に燃焼される燃料流として提供され、アンモニア分解反応器に熱を提供することができる、アンモニア製造設備若しくは貯蔵設備内又はその近傍での実施に特に適している。しかし、本発明の方法は、アンモニア製造設備での実施に限定されるものではなく、アンモニアの供給が可能な任意の適切な環境で使用することができる。
【0015】
本発明の別の態様では、アンモニア製造設備において本発明の第1の態様の方法を実施することによる、アンモニア製造設備を改修する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】非統合ガスタービンを備える比較方法のブロックフロー図を示す。
【
図2】統合ガスタービンを備える本発明の方法のブロックフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
これより、本発明の好ましいかつ/又は任意選択的な特徴が、記載される。本発明のいずれの態様も、文脈による別途の要求がない限り、本発明のいずれの他の態様とも組み合わせることができる。いずれの態様の好ましい及び/又は任意選択的な特徴のいずれも、文脈による別途の要求がない限り、本発明のいずれの態様とも、単一又は組み合わせのいずれかで、組み合わせることができる。
【0018】
本発明の方法は、アンモニア流をアンモニア分解反応器に供給する工程を含む。
【0019】
アンモニア流は、任意の供給源から得ることができる。本発明の好ましい方法において、アンモニア流は水素と窒素の触媒的組み合わせによって生成され、例えば、アンモニア流はハーバーボッシュアンモニア合成プロセスから生成することができる。本発明の好ましい方法において、アンモニア流は、アンモニア分解反応器の上流に位置するアンモニア製造設備において生成することができる。あるいは、アンモニア流は、アンモニアガス貯蔵設備又はアンモニアガスパイプラインから提供され得る。
【0020】
本発明の好ましい方法において、アンモニア流は、アンモニア分解反応器に供給される前に予熱され得る。したがって、本発明の方法は、アンモニア流を予熱する工程を含み得る。アンモニア流は、350℃超、400℃超、450℃超、500℃超、又は550℃超の温度に予熱され得る。アンモニア流は、1000℃未満、950℃未満、850℃未満、750℃未満、又は700℃未満の温度に予熱され得る。アンモニア流は、350℃~1000℃、400℃~950℃、450℃~850℃、又は500℃~750℃、例えば550℃~700℃の温度に予熱され得る。
【0021】
好適なアンモニア分解反応器は公知であり、燃料流及び酸素供給ガス、例えば空気が供給される1つ以上のバーナーを含む放射部を提供する、箱型炉を含み得る。放射部は、アンモニア流が通過する、1つ以上の触媒収容管を含む。1つ以上のバーナーにおける燃料流の燃焼により、アンモニア分解触媒を収容する1つ以上の反応管を加熱するための放射熱が生成される。放射部には数十又は数百本の管が存在し得る。必要に応じて、放射部の下流で、燃焼ガスは、対流部において1つ以上の供給流を予熱するために使用され得る。反応管を含む放射部と供給物を予熱するための対流とを備える反応器は、水蒸気メタン改質において知られており、本発明に適用することができる。
【0022】
例えば、燃料燃焼ゾーンにおける燃料の燃焼が、触媒収容管を備える反応器に分かれる場合、代替のアンモニア分解反応器を使用することもできる。このような反応器は、Johnson Matthey Davy Technologies Limitedから入手可能な小型改質器である。
【0023】
触媒は、任意のアンモニア分解触媒であってよい。ニッケル触媒及びルテニウム触媒を使用してもよい。好ましい触媒はニッケル触媒である。触媒は、好適な耐火性担体、例えばアルミナ又は金属アルミン酸塩上に、NiOとして表して3~30重量%のニッケル、好ましくは8~20重量%のニッケルを含むことができる。触媒は、ペレット状に成形されたユニットの形態であってもよく、これは1つ以上の貫通孔を含んでもよく、又は構造化金属若しくはセラミック触媒上にウォッシュコートとして提供されてもよい。特に好ましい触媒は、Johnson Matthey PLCから入手可能なKATALCO(登録商標)27-2であり、これは、高表面積アルミナ担体から形成された円筒形ペレット上に、NiOとして表して12%のニッケルを含む。
【0024】
本発明の方法は、アンモニア分解反応器内でアンモニア流中のアンモニアを分解して、水素含有流を生成する工程を含む。
【0025】
アンモニア分解反応器の入口におけるアンモニア流の温度は、350℃~1000℃、400℃~950℃、450℃~850℃、又は500℃~750℃、例えば550℃~700℃の範囲であり得る。アンモニア分解反応器から出る水素含有流の温度は、分解反応の平衡位置に影響を与え、500~950℃の範囲になり得る。アンモニア分解反応器においてニッケル触媒が使用される場合、アンモニア分解反応器から出る水素含有流の温度は、好ましくは約700℃超であり得る。
【0026】
アンモニア分解反応器への入口圧力は、フローシート設計によって設定され、1~100バール絶対圧、好ましくは10~90バール絶対圧、例えば31~51バール絶対圧の範囲であり得る。
【0027】
アンモニア分解反応により水素含有流が生成され、これは、窒素も含有し、残留アンモニアを含有し得る。
【0028】
水素含有流は、40mol%以上の水素、50mol%以上の水素、又は60mol%以上の水素を含み得る。水素含有流は、75mol%以下の水素、70mol%以下の水素、又は65mol%以下の水素を含み得る。例えば、水素含有流は、40mol%~75mol%の水素、50mol%~70mol%の水素、又は60mol%~65mol%の水素を含み得る。
【0029】
水素含有流は、任意選択で、圧力スイング吸収ユニットなどの精製ユニットに供給され、他の成分から水素を分離して水素含有量を増加させることができる。したがって、本発明の方法は、水素含有流を精製ユニットに供給し、水素含有流の水素含有量を増加させて、水素富化流及びテールガスを生成する工程を含み得る。
【0030】
水素富化流は、50mol%以上の水素、60mol%以上の水素、又は75mol%以上の水素を含み得る。水素富化流は、100mol%以下の水素、90mol%以下の水素、又は80mol%以下の水素を含み得る。例えば、水素富化流は、50mol%~100mol%の水素、60mol%~90mol%の水素、又は70mol%~80mol%の水素、例えば約75mol%の水素を含み得る。
【0031】
テールガスは、窒素と、少量のアンモニア及び水素とを含み得る。例えば、テールガスは、窒素と、1mol%~10mol%のアンモニア(例えば、約5mol%以下のアンモニア)と、2mol%~40mol%の水素(例えば、15mol%~25mol%の水素)とを含み得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「水素含有流」という用語は、水素含有流又は水素富化流のいずれかを指すために使用され得る。
【0033】
水素含有流は、酸素含有供給物と共に燃焼させる前に、蒸気発生ユニット及び/又は熱回収ゾーンに供給され得る。当業者には理解されるように、蒸気発生ユニット及び/又は熱回収ゾーンは、低程度又は中程度の熱を回収するために使用され得る。
【0034】
水素含有流を酸素含有供給物と共に燃焼させる前に、水素含有流から残留アンモニアを分離することが望ましい。アンモニアの除去は、例えば従来の洗浄装置を使用して、水で洗浄することによって達成することができる。
【0035】
本発明の方法は、水素含有流を酸素含有供給物と組み合わせ、水素含有流を酸素含有供給物と共に燃焼させて、燃焼させたガス流を生成する工程を含む。
【0036】
酸素含有供給物は、空気、酸素、又は酸素富化空気であり得る。本発明の好ましい方法において、酸素含有供給物は、圧縮酸素含有供給物、例えば圧縮空気、圧縮酸素、又は圧縮酸素富化空気である。
【0037】
本発明の方法は、燃焼させたガス流を使用してガスタービンを駆動し、酸素含有オフガス流を生成する工程を含む。したがって、酸素含有オフガス流は、ガスタービンからの排ガスである。
【0038】
本発明の方法は、任意の種類のガスタービンを使用することができる。燃焼させたガス流を生成するための、水素含有流と酸素含有供給物との燃焼は、水素燃焼ゾーンで行うことができる。水素燃焼ゾーンは、ガスタービン内に組み込まれる場合もあれば、ガスタービンの外部にある場合もある。典型的には、水素燃焼ゾーンは、ガスタービン内に組み込むことができる。
【0039】
典型的には、本発明の方法において、ガスタービン及びアンモニア分解反応器は別個の機器である。
【0040】
酸素含有オフガス流は、500℃~800℃、500℃~750℃、又は600℃~700℃、例えば約650℃の温度を有し得る。
【0041】
酸素含有オフガス流は、5mol%超、8mol%超、11mol%超、又は13mol%超の量の酸素を含み得る。酸素含有オフガス流は、25mol%未満、22mol%未満、20mol%未満、又は18mol%未満の量の酸素を含み得る。例えば、酸素含有オフガス流は、5mol%~25mol%、8mol%~22mol%、11mol%~20mol%、又は13mol%~18mol%、例えば約15又は約16mol%の量の酸素を含み得る。
【0042】
本発明の好ましい方法において、ガスタービンを使用して、動力、例えば電力及び/又は機械的動力を生成することができる。ガスタービンは、直接的に又は間接的に動力を生成することができる。例えば、ガスタービンは、電力の生成のために任意の好適な発生器に連結することができ、かつ/又はガスタービンは、機械的動力を生成するための圧縮機に連結することができる。
【0043】
本発明の方法は、酸素含有オフガスの少なくとも一部分を燃料燃焼ゾーンに供給する工程を含む。燃料燃焼ゾーンは、燃焼がアンモニア分解反応のための熱を提供するように、アンモニア分解反応器内にあってもよく、又はアンモニア分解反応器に流体接続されていてもよい。
【0044】
燃料燃焼ゾーンは、アンモニア分解反応器内にあってもよく、又は燃焼用の別個の容器内にあってもよい。燃料の燃焼により熱が発生し、その熱は吸熱アンモニア分解反応を支援するために使用される。
【0045】
燃料燃焼ゾーンは、好適には、アンモニア分解反応器の箱型炉内の放射部であり得る。したがって、燃料燃焼ゾーンは、熱エネルギー(例えば、放射熱)をアンモニア分解反応器に提供することができる。あるいは、燃料燃焼ゾーンがアンモニア分解炉とは別個の容器内にある場合、アンモニア分解炉は、ガス加熱改質器又は小型改質器などの熱交換設計のものであり得、この場合、触媒収容管は、管の外面の周りを通過する高温燃焼ガスからの対流によって加熱される。
【0046】
容易に理解されるように、燃料燃焼ゾーンは、アンモニア流中のアンモニアを触媒分解して水素含有流を生成するために、必要な熱エネルギーを提供するように機能する。
【0047】
酸素含有オフガス流は、500℃~800℃、500℃~750℃、又は600℃~700℃、例えば約650℃の温度で燃料燃焼ゾーンに供給され得る。
【0048】
当業者は、燃料燃焼ゾーンに供給される必要がある酸素含有オフガス流の部分を計算することができる。典型的には、燃料燃焼ゾーンに供給される酸素含有オフガス流の部分は、ガスタービンを出る全てのオフガス流の5%超、7%超、8%超、又は9%超であり得る。典型的には、燃料燃焼ゾーンに供給される酸素含有オフガス流の部分は、ガスタービンを出る全てのオフガス流の75%未満、50%未満、30%未満、又は20%未満であり得る。例えば、燃料燃焼ゾーンに供給される酸素含有オフガス流の部分は、ガスタービンを出る全てのオフガス流の5%~75%、7%~50%、8%~30%、又は9%~20%であり得る。例えば、燃料燃焼ゾーンに供給される酸素含有オフガス流の部分は、ガスタービンを出る全てのオフガス流の10%~15%又は11%~13%であることが好ましい場合がある。
【0049】
本発明の方法は、燃料燃焼ゾーンにおいて燃料流を酸素含有オフガス流と共に燃焼させて、アンモニア分解反応器のための熱エネルギーを生成する工程を含む。
【0050】
アンモニア分解反応のための熱を提供するために使用される燃料流は、カーボンフリー燃料流であり得る。本明細書で使用するとき、「カーボンフリー燃料流」という用語は、炭素を含有しない可燃性化合物、例えばアンモニア及び水素を含むものと理解される。本発明の好ましい方法では、燃料流はアンモニアを含む。燃料流中のアンモニアの量は特に限定されず、例えば、燃料流は、全ての燃料流の1mol%~100mol%、例えば、全ての燃料流の5mol%~75mol%、10mol%~50mol%、又は15mol%~30mol%の量のアンモニアを含み得る。好ましくは、燃料流は、10mol%超、12mol%超、又は15mol%超の量のアンモニアを含む。燃料流は、好ましくは、全ての燃料流の45mol%未満、35mol%未満、又は35mol%未満の量のアンモニアを含む。例えば、燃料流は、好ましくは、全ての燃料流の10mol%~45mol%、12mol%~35mol%、又は15mol%~25mol%の量のアンモニアを含む。
【0051】
燃料流がアンモニアを含む場合、アンモニア含有燃料流は、アンモニア分解反応器に供給されるアンモニア流と同じ供給源又は異なる供給源から供給され得る。燃料流がアンモニアを含む場合、アンモニア含有燃料流は、好ましくは、アンモニア分解反応器に供給されるアンモニア流と同じ供給源から供給される。
【0052】
燃料流は、1つ以上の追加の燃料源を含み得る。追加の燃料源は、必ずしもカーボンフリーの燃料源ではないが、追加の燃料源は、好ましくはカーボンフリーの燃料源である。追加の燃料源には、水素、天然ガス、メタン、製油所オフガス、バイオガス、水素精製ユニットからのテールガス、又はアンモニア分解反応器からの水素含有流の一部分のうちの、1つ以上が含まれ得る。上述したように、本発明の好ましい方法は、水素富化流及びテールガスを生成するために使用される精製ユニットを含む。本発明の特に好ましい方法において、追加の燃料源は、水素富化流を生成するために使用される精製ユニットからのテールガスを含む。したがって、本発明の特に好ましい方法において、方法は、水素含有流を精製ユニットに供給し、水素含有流の水素含有量を増加させて、水素富化流及びテールガスを生成する工程と、テールガスを燃料燃焼ゾーンに供給する工程と、燃料流及びテールガスを酸素含有オフガスと共に燃焼させる工程と、を含む。
【0053】
本発明の利点は、水素富化供給物を生成するために使用される精製ユニットからのテールガス、及び燃料流が、酸素含有オフガスと共に燃焼できることである。この様式でテールガスを使用することにより、プロセスから回収される可燃性燃料の量を最大にし、可燃性及び/又は有毒化学物質(例えばアンモニア)の大気への損失を減少させることによって、本発明の方法の全体効率を向上させることが予想外に見出された。
【0054】
追加の燃料源は、燃料流が酸素含有オフガス流と共に可燃性の状態を維持する限り、任意の好適な量で燃料流中に存在することができる。
【0055】
本発明の好ましい方法において、燃料流は、燃料燃焼ゾーンで燃焼される前に予熱される。燃料流は、燃料流の自己着火温度未満の任意の温度に予熱され得る。例えば、燃料流は、100℃超、150℃超、又は200℃超の温度に予熱され得る。燃料流は、燃料流の自己着火温度未満の温度、例えば400℃未満、350℃未満、又は300℃未満に予熱され得る。例えば、燃料流は、100℃から燃料流の自己着火温度まで、例えば100℃から400℃までの温度に予熱され得る。本発明の好ましい方法において、燃料流はアンモニア含有燃料流であり、予熱されたアンモニア流から提供される。
【0056】
燃料燃焼ゾーンにおける燃焼前の燃料流と酸素含有オフガス流との比は、燃料流の効率的な燃焼を可能にするように好適に選択され得る。燃料燃焼ゾーンにおける燃焼前の燃料流と酸素含有オフガス流との比は、酸素含有オフガス流中に存在する酸素の量に応じて異なり得る。例えば、燃料流が純粋なアンモニアであり、酸素含有オフガスが13.2mol%の酸素を含む場合、燃料燃焼ゾーンにおける燃焼前の燃料流と酸素含有オフガス流との比は、1:6~1:7の範囲、例えば1:6.5となるように選択され得る。
【0057】
燃料燃焼ゾーンにおいて酸素含有オフガス流を使用する燃焼によって生成される熱エネルギーは、アンモニア流中のアンモニアを分解するためにアンモニア分解反応器に必要な熱エネルギーの最大100%、例えば、アンモニア流中のアンモニアを分解するためにアンモニア分解反応器に必要な熱エネルギーの最大95%、最大90%、最大85%、又は最大80%を提供することが好ましい。燃料燃焼ゾーンにおいて酸素含有オフガス流を使用する燃焼によって生成される熱エネルギーは、アンモニア流中のアンモニアを分解するためにアンモニア分解反応器に必要な熱エネルギーの50%超、例えば、アンモニア流中のアンモニアを分解するためにアンモニア分解反応器に必要な熱エネルギーの60%超、70%超又は75%超を提供することが好ましい。例えば、燃料燃焼ゾーンにおいて酸素含有オフガス流を使用する燃焼によって生成される熱エネルギーは、アンモニア分解反応器に必要な熱エネルギーの50%超かつ最大100%を提供することが好ましい。
【0058】
任意選択で、本発明の方法は、酸素含有オフガスの一部分を熱回収蒸気発生器などの熱回収ゾーンに送る工程を含み得る。所望であれば、酸素含有オフガス中の未燃焼アンモニア又は窒素酸化物は、酸素含有ガスが燃料燃焼ゾーンに送られる前に、酸素含有ガスから洗浄除去されるか又は反応除去され得る。
【0059】
燃料燃焼ゾーンにおける燃焼は煙道ガスを発生させ、この煙道ガスはアンモニア分解反応器から回収することができる。煙道ガスは、1つ以上の冷却段階で冷却され、大気に排出される前に1つ以上の精製段階にかけられてもよい。1つ以上の冷却段階は、アンモニア分解反応器のための1つ以上の反応物のための予熱段階及び/又は蒸気を発生させる段階を含み得る。1つ以上の精製段階は、窒素酸化物がアンモニアと反応して窒素及び水蒸気を形成する選択的触媒還元、すなわちSCRの段階を含み得る。任意の煙道ガス選択的触媒還元技術を使用することができる。
【0060】
本発明の方法の特定の実施形態では、方法は、
アンモニア流をアンモニア分解反応器に供給する工程と、
アンモニア分解反応器内でアンモニア流中のアンモニアを分解して、水素含有流を生成する工程と、
任意選択で、水素含有流を圧力スイング吸収ユニットなどの精製ユニットに供給し、水素含有量を増加させて、水素富化流及びテールガスを生成する工程と、
任意選択で、水素富化流を蒸気発生ユニット及び/又は熱回収ゾーンに供給する工程と、
水素富化流を酸素含有供給物と組み合わせ、水素富化流を酸素含有供給物と共に燃焼させて、燃焼させたガス流を生成する工程と、
燃焼させたガス流を使用してガスタービンを駆動し、酸素含有オフガス流を生成する工程と、
酸素含有オフガス流の少なくとも一部分を燃料燃焼ゾーンに供給する工程と、
任意選択で、追加の燃料源を燃料燃焼ゾーンに供給する工程と、
燃料流及び任意選択の追加燃料源を、燃料燃焼ゾーン内の酸素含有オフガス流と共に燃焼させて、アンモニア分解反応器のための熱エネルギーを生成する工程と、を含む。
【0061】
本発明の方法の特定の実施形態では、方法は、
アンモニア流をアンモニア分解反応器に供給する工程と、
アンモニア分解反応器内でアンモニア流中のアンモニアを分解して、水素含有流を生成する工程と、
水素含有流を圧力スイング吸収ユニットなどの精製ユニットに供給し、水素含有量を増加させて、水素富化流及びテールガスを生成する工程と、
任意選択で、水素富化流を蒸気発生ユニット及び/又は熱回収ゾーンに供給する工程と、
水素富化流を酸素含有供給物と組み合わせ、水素富化流を酸素含有供給物と共に燃焼させて、燃焼させたガス流を生成する工程と、
燃焼させたガス流を使用してガスタービンを駆動し、酸素含有オフガス流を生成する工程と、
酸素含有オフガス流の少なくとも一部分を燃料燃焼ゾーンに供給する工程と、
任意選択で、追加の燃料源を燃料燃焼ゾーンに供給する工程と、
テールガスを燃料燃焼ゾーンに供給する工程と、
燃料流及びテールガス、並びに任意選択の追加燃料源を、燃料燃焼ゾーン内の酸素含有オフガス流と共に燃焼させて、アンモニア分解反応器のための熱エネルギーを生成する工程と、を含む。
【0062】
図1は、非統合ガスタービンを備える本発明によらない方法のブロックフロー図を示す。
図1のブロックフロー図は、アンモニア(1)がアンモニア分解反応器の外側のアンモニア予熱及び気化ゾーン(2)に供給され、アンモニアが気化されるフローを示している。予熱され気化されたアンモニアは、アンモニア過熱ゾーン(3)及び分解装置燃焼ゾーン(13)に供給される。
図1のブロックフロー図では、アンモニア分解反応器(4)、アンモニア過熱ゾーン(3)、及び分解装置燃焼ゾーン(13)は全て、同じ1個の機器の一部である。アンモニア過熱ゾーン(3)からのアンモニアは、アンモニア分解反応器(4)に供給され、水素含有流が生成される。水素含有流は、蒸気発生器(5)及び熱回収ゾーン(6)に供給される。熱回収ゾーン(6)からの水素含有流はガスタービン(7)に供給され、圧縮機(8)によって圧縮された空気(17)である酸素含有供給物の存在下で燃焼される。蒸気発生器(5)からの蒸気及びガスタービン(7)からのオフガスは、電力(10)を発生させるために使用される。ガスタービン(5)からのオフガスからの熱は、熱回収蒸気発生器(9)によって回収される。燃料燃焼ゾーン(13)において、アンモニア燃料は、空気予熱ゾーン(12)からの予熱された空気と組み合わされる。アンモニア燃料及び予熱された空気は、燃料燃焼ゾーン(13)内で燃焼され、アンモニア分解反応器(4)のための熱エネルギーを生成する。アンモニア分解反応器(4)からの排ガスは、熱回収ゾーン(14)で回収され、排ガスは煙突(15)に送られ、煙道ガス(16)として排出される。熱回収ゾーン(14)からの熱は、アンモニア予熱及び気化ゾーン(2)並びに空気予熱ゾーン(12)(明確にするために図示せず)で使用される。1つ以上のプロセス流は、熱回収ゾーン(14)において排ガスと交換して加熱され得る。
【0063】
図2は、統合ガスタービンを備える本発明による方法のブロックフロー図を示す。
図2のブロックフロー図は、アンモニア(21)がアンモニア分解反応器の外側のアンモニア予熱及び気化ゾーン(22)に供給され、アンモニアが気化されるフローを示している。予熱され気化されたアンモニアは、アンモニア過熱ゾーン(23)及び燃料燃焼ゾーン(213)に供給される。
図2のブロックフロー図では、アンモニア分解反応器(24)、アンモニア過熱ゾーン(23)、及び燃料燃焼ゾーン(213)は全て、同じ1個の機器の一部である。アンモニア過熱ゾーン(23)からのアンモニアは、アンモニア分解反応器(24)に供給され、水素含有流を生成する。水素含有流は、蒸気発生器(25)及び熱回収ゾーン(26)に供給される。熱回収ゾーン(26)からの水素含有流はガスタービン(27)に供給され、圧縮機(28)によって圧縮された空気(217)である酸素含有供給物の存在下で燃焼される。蒸気発生器(25)からの蒸気及びガスタービン(27)からのオフガスガスの一部分は、電力(210)を発生させるために使用される。ガスタービン(25)からのオフガスからの熱の一部分は、熱回収蒸気発生器(29)によって回収される。燃料燃焼ゾーン(213)において、アンモニア燃料は、ガスタービン(27)からの酸素含有オフガスの一部分と組み合わされる。アンモニア燃料及び酸素含有オフガスは、燃料燃焼ゾーン(213)内で燃焼され、アンモニア分解反応器(24)のための熱エネルギーを生成する。アンモニア分解反応器(24)からの排ガスは、熱回収ゾーン(214)において回収され、排ガスは煙突(215)に送られ、煙道ガス(216)として排出される。熱回収ゾーン(214)からの熱は、アンモニア予熱及び気化ゾーン(22)(明確にするために図示せず)で使用される。
【実施例】
【0064】
本発明の方法による効率節約を実証するために、
図1による非統合ガスタービン(本発明によるものではない)を備えるフローシートと、
図2による統合ガスタービン(本発明によるもの)を備えるフローシートとを比較するシミュレーションが行われた。
【0065】
両方のフローシートについて、以下の想定を行った:
●両方のフローシートに同じアンモニア分解反応器及びガスタービンを使用した。
●アンモニア分解反応器のエネルギー必要量は、アンモニアの燃焼によって満たされ、システム全体に利用可能なアンモニアの総量は、1200メートルトン/日(MTPD)に設定された。
●分解装置への入口アンモニア温度は600℃であった。
●分解装置の燃焼側への入口アンモニア温度は90℃であった。
●周囲の気温は10℃であった。
●燃料必要量は、両方のフローシートで0.58%アンモニアスリップを達成するように設定された。
●HRSGからの煙道ガスを280℃に設定し、HPSをHRSG内で上昇させた。
【0066】
【表1】
*アンモニアのLHVを316,449.8kJ/kmolとした場合の、全アンモニア流における総エネルギー。
**回転機器(空気圧縮機を除く)のエネルギー必要量、及び分解ガスの熱回収による蒸気発生から発生したエネルギーは、この分析に含めなかった。統合システムでは分解ガスの出口温度がより高く流量もより高いことによって、生成されるエネルギーは非統合システムよりも高くなる。
【0067】
***以下の式に基づく:
【0068】
【0069】
上記のシミュレーションは、本発明による統合ガスタービンを備えるシステムが、非統合ガスタービンと比較して、エネルギー効率がより高く、システムに供給されるアンモニアの1単位当たりの出力のための電力がより多く生成されることを実証している。
【手続補正書】
【提出日】2024-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアの触媒分解から得られるカーボンフリー燃料を燃料とするガスタービンを使用して発電するための方法であって、
アンモニア流をアンモニア分解反応器に供給する工程と、
前記アンモニア分解反応器内で前記アンモニア流中の前記アンモニアを分解して、水素含有流を生成する工程と、
前記水素含有流を酸素含有供給物と組み合わせ、前記水素含有流を前記酸素含有供給物と共に燃焼させて、燃焼させたガス流を生成する工程と、
前記燃焼させたガス流を使用してガスタービンを駆動し、酸素含有オフガス流を生成する工程と、
前記酸素含有オフガス流の少なくとも一部分を燃料燃焼ゾーンに供給する工程と、
燃料流及び前記酸素含有オフガス流を、前記燃料燃焼ゾーン内で燃焼させて、前記アンモニア分解反応器のための熱エネルギーを生成する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記アンモニア流を350℃~1000℃の温度に予熱する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アンモニア分解反応器の入口における前記アンモニア流の温度が、350℃~1000℃、400℃~950℃、450℃~850℃、又は500℃~750℃の範囲内である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記水素含有流が、40mol%~75mol%の水素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水素含有流を精製ユニットに供給し、前記水素含有流の水素含有量を増加させて、水素富化流及びテールガスを生成する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記水素富化流が、50mol%~100mol%の水素を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記酸素含有供給物が、圧縮酸素含有供給物である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸素含有供給物が、空気、酸素、又は酸素富化空気である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記酸素含有オフガス流が、5mol%~25mol%超の量の酸素を含み得る、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記酸素含有オフガス流が、500℃~800℃、500℃~750℃、又は600℃~700℃の温度で前記燃料燃焼ゾーンに供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記燃料燃焼ゾーンに供給される前記酸素含有オフガス流の部分が、前記ガスタービンを出る全ての前記オフガス流の5%~75%、7%~50%、8%~30%、又は9%~20%である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記燃料流が、アンモニアを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記燃料流が、全ての前記燃料流の1mol%~100mol%、好ましくは全ての前記燃料流の5mol%~75mol%、10mol%~50mol%、又は15mol%~30mol%の量でアンモニアを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記テールガスを前記燃料燃焼ゾーンに供給する工程と、前記燃料流及び前記テールガスを前記酸素含有オフガスと共に燃焼させる工程と、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項15】
前記燃料流が、水素、天然ガス、メタン、製油所オフガス、バイオガス、前記水素精製ユニットからの前記テールガス、及び前記アンモニア分解反応器からの前記水素含有流の一部分、1つ以上の追加の燃料源を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記燃料流がアンモニアを含み、アンモニア含有燃料流が、前記アンモニア分解反応器に供給される前記アンモニア流と同じ供給源から供給される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記燃焼ゾーンにおいて前記酸素含有オフガス流を使用する燃焼によって生成される熱エネルギーが、前記アンモニア分解反応器に必要な熱エネルギーの50%超かつ最大100%を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
アンモニア製造設備を改修するための方法であって、アンモニア製造設備において請求項1に記載の方法を実施する工程を含む、方法。
【国際調査報告】