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特表2025-521352ケミカルアンカーのクリープ挙動を改善するための三級アミン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-08
(54)【発明の名称】ケミカルアンカーのクリープ挙動を改善するための三級アミン
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/50 20060101AFI20250701BHJP
   C08G 59/62 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
C08G59/50
C08G59/62
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024575366
(86)(22)【出願日】2023-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2023068700
(87)【国際公開番号】W WO2024017659
(87)【国際公開日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】22186012.5
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケミカルアンカー
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Hilti Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, Liechtenstein
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100210099
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 太介
(72)【発明者】
【氏名】アナ-マリア マルティン-ラサンタ
(72)【発明者】
【氏名】ニコル ベーレンス
【テーマコード(参考)】
4J036
【Fターム(参考)】
4J036AA05
4J036AF27
4J036DC01
4J036DC05
4J036DC12
4J036DC45
4J036FA01
4J036FA12
4J036HA07
4J036JA13
4J036JA15
(57)【要約】
本発明は、エポキシ樹脂組成物から製造されたケミカルアンカーのクリープ挙動を改善するための、エポキシ樹脂組成物中での三級アミンの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂組成物から製造されたケミカルアンカーのクリープ挙動を改善するための、前記エポキシ樹脂組成物の総重量に基づいて1.0重量%以上の重量パーセンテージでの少なくとも1種の三級アミンの前記エポキシ樹脂組成物中での、使用。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂組成物が、少なくとも1種の硬化性エポキシ樹脂を含有する少なくとも1種のエポキシ樹脂成分(A)と、エポキシド基に反応性である少なくとも1種のアミンを含有する少なくとも1種の硬化剤成分(B)と、を含む多成分組成物であり、前記エポキシ樹脂成分(A)及び前記硬化剤成分(B)が、反応を抑制する様式で互いに別個に存在することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記硬化剤成分(B)が、前記硬化剤成分(B)の総重量に基づいて5.0重量%以上の三級アミンを含むことを特徴とする、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記三級アミンの重量パーセンテージが、前記硬化剤成分(B)の前記総重量に基づいて5.0~20.0重量%であることを特徴とする、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記三級アミンが少なくとも3つの三級アミノ基を含むこと、及び/又は前記三級アミンが6員環を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記三級アミンが、2,4,6-トリス(ジ-C-C-アルキルアミノフェノール)及び1,3,5-トリス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記三級アミンが2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールであることを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記硬化剤成分(B)が、少なくとも1つの無機塩、好ましくはCa(NO及び/又はCa(CFSOを含むことを特徴とする、請求項2~7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記多成分組成物が、前記エポキシ樹脂成分(A)及び前記硬化剤成分(B)が反応を抑制する様式で互いに別個に配置されている2つ以上の別個のチャンバを備えるカートリッジ又はフィルムパウチ内に存在することを特徴とする、請求項2~8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記硬化性エポキシ樹脂が、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル若しくはビスフェノールFのジグリシジルエーテル、又はそれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂組成物から製造されたケミカルアンカーのクリープ挙動を改善するための、エポキシ樹脂組成物中での三級アミンの使用に関する。
【0002】
ここしばらくの間、硬化性エポキシ樹脂及びアミン系の多成分組成物が知られており、例えば、コンクリートなどの様々な基材の掘削孔内にアンカーロッド、補強バー、及びネジなどの建設要素を締結するためのケミカルアンカーとして使用されている。
【0003】
ケミカルアンカーは、ケミカルアンカーの耐用年数の期間中に、特に連続負荷下かつ高温でクリープする傾向がある。この場合、クリープとは、持続負荷の影響の結果としてのケミカルアンカーの塑性変形又は移動を表す。クリープは、例えば、R.Nilforoush;M.Nils;G.Soderlind;L.Elfgren;”Long-Term Performance of Adhesive Bonded Anchors”,Structural Journal,2016,113(2),251-261に記載されているように、ケミカルアンカーの性能を著しく損なう。ケミカルアンカーのクリープの特徴付け及びクリープ挙動の関連仕様は、建設産業においてケミカルアンカーを使用する際のアンカーポイントの耐久性及び信頼性に重要な役割を果たす。したがって、クリープ挙動に関する仕様は、建設産業においてアンカーポイントを設計する際に使用される。
【0004】
欧州特許第1716195(B1)号には、ケミカルアンカー系における三級アミンの使用が記載されている。多成分組成物の硬化剤成分中での三級アミンの使用と、多成分組成物から製造された組成物の最大達成可能ガラス転移温度の上昇との間の関係が仮定されている。しかしながら、エポキシ-アミン系は、それらの最大可能ガラス転移温度未満の温度では完全に硬化しない。これは、特に、薄層、例えば、約1mmのコンクリートとアンカーとの間の環状間隙で硬化し、したがって、発熱的に加熱することができない系に当てはまる。これに関する調査は、とりわけ、Michel et al.,Constr.Build.Mat.,2020,231,117206及びKroutilova et al.,J.Appl.Pol.Sci.,2006,99,3669によって行われた。一般にこの系の最大ガラス転移温度未満で行われるクリープ試験ではこの系の最大ガラス転移温度が存在しないため、ケミカルアンカーのクリープ挙動に対する影響は、最終ガラス転移温度の仕様から導き出すことができない。したがって、三級アミンの使用とケミカルアンカーの改善されたクリープ挙動との間の関連性は知られていない。
【0005】
上記の実施形態を考慮して、改善されたクリープ挙動を有するケミカルアンカー、具体的にはエポキシアミン系ケミカルアンカーを提供することができることが望ましい。
【0006】
したがって、本発明の目的は、ケミカルアンカー、具体的にはエポキシアミン系ケミカルアンカーのクリープ挙動を改善することができる単純で費用効果の高い解決策を提供することである。本発明の目的は、具体的には、高温、好ましくは40℃~ケミカルアンカーのガラス転移温度でのエポキシアミン系ケミカルアンカーのクリープ挙動を改善することである。
【0007】
本発明の根底にある目的は、請求項1によるエポキシ樹脂組成物の総重量に基づいて1.0重量%以上の重量パーセンテージで少なくとも1種の三級アミンをエポキシ樹脂組成物中で使用することによって達成される。本発明による使用の好ましい実施形態は、従属請求項に提供されており、これらは任意選択で互いに組み合わせられてもよい。
【0008】
本発明の文脈内で、上及び以下の記述で使用される用語は、以下の意味を有する。
【0009】
「クリープ挙動」とは、持続負荷(連続負荷)の影響の結果としてのケミカルアンカーの塑性変形、変位、又は移動を表す。
【0010】
「アミン」とは、1、2、又は3個の水素原子を炭化水素基で置き換えることによってアンモニアから誘導され、かつ一般構造RNH(一級アミン)、RNH(二級アミン)、及びRN(三級アミン)を有する化合物である(A.D.McNaughtによって編集されたIUPAC Compendium of Chemical Terminology,2nd ed.(”Gold Book”)、及びA.Wilkinson,Blackwell Scientific Publications,Oxford(1997)を参照されたい)。
【0011】
驚くべきことに、エポキシ樹脂組成物の総重量に基づいて1.0重量%以上の重量パーセンテージで少なくとも1種の三級アミンを使用することにより、エポキシ樹脂組成物から製造されたケミカルアンカーのクリープ挙動が著しく改善されることがたった今見出された。
【0012】
エポキシ樹脂組成物は、好ましくは、多成分エポキシ樹脂組成物、好ましくは、エポキシ樹脂成分(A)及び硬化剤成分(B)を含む二成分エポキシ樹脂組成物である。エポキシ樹脂成分(A)は、少なくとも1種の硬化性エポキシ樹脂を含む。硬化剤成分(B)は、エポキシ基に反応性である少なくとも1種のアミンを含む。多成分エポキシ樹脂組成物中では、エポキシ樹脂成分(A)及び硬化剤成分(B)は、反応を抑制する様式で互いに分離されている。
【0013】
ケミカルアンカーのクリープ挙動を改善するために、エポキシ樹脂組成物の総重量に基づいて1.0重量%以上の少なくとも1種の三級アミンがエポキシ樹脂組成物中で使用されることが本発明にとって重要である。
【0014】
三級アミンは、好ましくは、多成分エポキシ樹脂組成物の硬化剤成分(B)中で使用される。硬化剤成分(B)は、好ましくは、硬化剤成分(B)の総重量に基づいて5.0重量%以上、好ましくは5.0~20重量%の三級アミンを含む。本発明の好ましい実施形態では、硬化剤成分(B)は、硬化剤成分(B)の総重量に基づいて5.0~10.0重量%の三級アミンを含む。
【0015】
エポキシ樹脂組成物は、建設目的のために通常使用されるケミカルアンカーを製造するために使用される。「建設目的」という表現は、コンクリート/コンクリート、鋼/コンクリート、若しくは鋼/鋼、又は当該材料のうちの1つと他の鉱物材料とを構造的に接着させること、コンクリート、レンガ、及び他の鉱物材料で作製された構成要素を構造的に強化すること、繊維補強ポリマーを用いて建築物に補強を適用すること、コンクリート、鋼、又は他の鉱物材料で作製された表面を化学的に締結すること、具体的には、(補強)コンクリート、レンガ、他の鉱物材料、金属(例えば、鋼)、セラミック、プラスチック、ガラス、及び木材などの様々な基材の掘削孔内にアンカーロッド、アンカーボルト、(ネジ山付き)ロッド、(ネジ山付き)スリーブ、補強バー、ネジなどの建設要素及びアンカー手段を化学的に締結することを指す。
【0016】
本発明による使用のために使用される三級アミンは、好ましくは、少なくとも3つの三級アミノ基を含む。本発明による使用のために使用される三級アミンは、好ましくは、6員環を含む。好ましい実施形態では、三級アミンは、少なくとも3つの三級アミノ基と、6員環、好ましくは6員芳香環と、を含む。
【0017】
好ましい実施形態では、三級アミンは、三級アミノフェノールの群から、好ましくは2,4,6-トリス(ジ-C-C-アルキルアミノ)フェノールの群から選択される。
【0018】
三級アミンは、特に好ましくは、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(Ancamine(登録商標)K54の商標名で市販されている)及び1,3,5-トリス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(Lupragen(登録商標)N600の商標名で市販されている)からなる群から選択される。
【0019】
特に好ましい実施形態では、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールは、ケミカルアンカーのクリープ挙動を改善するために、本発明による使用のために使用される。
【0020】
硬化剤成分(B)は、エポキシ基に反応性である少なくとも1種のアミンを含む。対応するアミンは、当業者に既知である。好ましくは、エポキシ基に反応性である少なくとも1種のアミンは、脂肪族、脂環式、芳香族、及び芳香脂肪族(araliphatic)アミンからなる群から選択され、窒素原子に結合している反応性水素原子を分子当たり平均少なくとも2個有する。
【0021】
本発明の範囲をいかようにも限定するものではないが、エポキシ基に反応性であるアミンの例が以下に明記される:1,2-ジアミノエタン(エチレンジアミン)、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ジアミノブタン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(ネオペンタンジアミン)、ジエチルアミノプロピルアミン(diethylaminopropylamine、DEAPA)、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、1,3-ジアミノペンタン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン及びそれらの混合物(TMD)、1,3-ビス(アミノメチル)-シクロヘキサン、1,2-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジアミン(hexamethylenediamine、HMD)、1,2-及び1,4-ジアミノシクロヘキサン(1,2-diaminocyclohexane、1,2-DACH、及び1,4-diaminocyclohexane、1,4-DACH)、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ジエチレントリアミン(diethylenetriamine、DETA)、4-アザヘプタン-1,7-ジアミン、1,11-ジアミノ-3,6,9-トリオキソンデカン(trioxundecane)、1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン、1,5-ジアミノ-メチル-3-アザペンタン、1,10-ジアミノ-4,7-ジオキサデカン、ビス(3-アミノプロピル)アミン、1,13-ジアミノ-4,7,10-トリオキサトリデカン、4-アミノメチル-1,8-ジアミノオクタン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ジアミノペンタン、N,N-ビス(3-アミノプロピル)メチルアミン、トリエチレンテトラミン(triethylenetetramine、TETA)、テトラエチレンペンタミン(tetraethylenepentamine、TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(pentaethylenehexamine、PEHA)、1,3-ベンゼンジメタンアミン(m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine、MXDA))、1,4-ベンゼンジメタンアミン(p-キシリレンジアミン(p-xylylenediamine、PXDA))、5-(アミノメチル)ビシクロ[[2.2.1]ヘプト-2-イル]メチルアミン(ノルボルナンジアミン(norbornane diamine、NBDA))、ジメチルジプロピレントリアミン、ジメチルアミノプロピルアミノプロピルアミン(dimethylaminopropylaminopropylamine、DMAPAPA)、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロンジアミン(isophorone diamine、IPDA))、ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、ジエチルメチルベンゼンジアミン(diethylmethylbenzenediamine、DETDA)、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(ダプソン)、混合多環式アミン(mixed polycyclic amine、MPCA)(例えば、Ancamine 2168)、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン(Laromin C260)、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、(3(4),8(9)ビス(アミノメチルジシクロ[5.2.1.02,6]デカン(異性体の混合物、三環式一級アミン、TCD-ジアミン)、メチルシクロヘキシルジアミン(methylcyclohexyl diamine、MCDA)、N,N’-ジアミノプロピル-2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、N,N’-ジアミノプロピル-4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、N-(3-アミノプロピル)シクロヘキシルアミン、並びに2-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)プロパン-1,3-ジアミン。
【0022】
好ましいアミンは、ポリアミン、例えば、2-メチルペンタンジアミン(DYTEK(登録商標)A)、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(IPDA)、1,3-ベンゼンジメタンアミン(m-キシリレンジアミン、MXDA)、1,4-ベンゼンジメタンアミン(p-キシリレンジアミン、PXDA)、1,6-ジアミノ-2,2,4-トリメチルヘキサン(TMD)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、N-エチルアミノピペラジン(N-ethylaminopiperazine、N-EAP)、(3(4),8(9)ビス(アミノメチル)ジシクロ[5.2.1.02,6]デカン(異性体の混合物、三環式一級アミン、TCD-ジアミン)、1,14-ジアミノ-4,11-ジオキサテトラデカン、ジプロピレントリアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、N,N’-ジシクロヘキシル-1,6-ヘキサンジアミン、N,N’-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N’-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、二級ポリオキシプロピレンジ-及びトリアミン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、ビス(アミノ-メチル)トリシクロペンタジエン、1,8-ジアミノ-p-メンタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC)、ジペンチルアミン、N-2-(アミノエチル)ピペラジン(N-2-(aminoethyl)piperazine、N-AEP)、N-3-(アミノプロピル)ピペラジン、ピペラジン、並びにメチルシクロヘキシルジアミン(MCDA)である。
【0023】
アミンは、個別に、かつ明記されたアミンのうちの2種以上の混合物中での両方で使用することができる。
【0024】
エポキシ基に反応性であるアミンは、好ましくは、硬化剤成分(B)の総重量に基づいて10~90重量%、特に好ましくは35~60重量%の割合で硬化剤成分(B)中に含有される。
【0025】
硬化剤成分(B)は、好ましくは、硝酸塩、ハロゲン塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される塩(S)を含む。以下の化合物は、塩(S)としての使用に特に好適である:Ca(NO(硝酸カルシウム、通常、Ca(NO四水和物として使用される)、Ca(NO/HNOの混合物、KNO(硝酸カリウム)、NaNO(硝酸ナトリウム)、Mg(NO(硝酸マグネシウム、通常、Mg(NO六水和物として使用される)、AI(NO(硝酸アルミニウム、通常、AI(NO九水和物として使用される)、NHNO(硝酸アンモニウム)、Ca(NO(硝酸カルシウム)、NaCl(塩化ナトリウム)、NaBr(臭化ナトリウム)、NaI(ヨウ化ナトリウム)、Ca(CFSO(カルシウムトリフラート)、Mg(CFSO(マグネシウムトリフラート)、及びLi(CFSO(リチウムトリフラート)。塩は、個別に、かつ明記された塩のうちの2種以上の混合物中での両方で使用することができる。塩(S)は、好ましくは、硬化剤成分(B)の総重量に基づいて0.1~15重量%の割合で、好ましくは1.0~10.0重量%の割合で硬化剤成分(B)中に含有される。
【0026】
硬化剤成分(B)中の塩(S)の溶解特性を改善するために、塩(S)を好適な溶媒中に溶解させ、それに応じて溶液として使用することができる。メタノール、エタノール、及びグリセロールなどの有機溶媒がこの目的に好適である。
【0027】
硬化剤成分(B)は、溶媒、更なるフェノール加速剤、共加速剤、接着促進剤、及び無機充填剤の群からの更なる添加剤を含むことができる。
【0028】
非反応性希釈剤(溶媒)は、好ましくは、硬化剤成分(B)の総重量に基づいて最大30重量%、例えば1~20重量%の量で含有されてもよい。好適な溶媒の例は、メタノール、エタノール、若しくはグリコールなどのアルコール、アセトンなどの低級アルキルケトン、ジメチルアセトアミドなどのジ低級アルキル低級アルカノイルアミド、キシレン若しくはトルエンなどの低級アルキルベンゼン、フタル酸エステル、又はパラフィンである。溶媒の量は、好ましくは、硬化剤成分(B)の総重量に基づいて5重量%未満である。
【0029】
フェノール加速剤は、好ましくは、サリチル酸、スチレン化フェノール、及びカルダノール、並びにそれらの混合物から選択される。これらは、硬化剤成分の総重量に基づいて0~10重量%の割合で硬化剤成分(B)中に存在してもよい。
【0030】
例えば、ベンジルアルコール、ノボラック樹脂、イミダゾール、有機ホスフィン、トルエンスルホン酸、ルイス塩基若しくはルイス酸、例えば、リン酸エステル、又はそれらの2種以上の混合物を共加速剤として使用することができる。共加速剤は、好ましくは、硬化剤成分(B)の総重量に基づいて0.001~5重量%の重量割合で硬化剤成分(B)中に含有される。
【0031】
接着促進剤を使用することにより、掘削孔壁のモルタルマスとの架橋が改善され、これにより、硬化状態での接着が増加するようになる。好適な接着促進剤は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチル-ジエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピル-トリエトキシシラン、3-アミノプロピル-トリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノエチル-3-アミノプロピル-トリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及び3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどの少なくとも1つのSi結合加水分解性基を有するシランの群から選択される。3-アミノプロピルトリメトキシシラン(aminopropyltrimethoxysilane、AMMO)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(aminopropyltriethoxysilane、AMEO)、2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO)、及びトリメトキシシリルプロピルジエチレンテトラミン(trimethoxysilylpropyldiethylenetetramine、TRIAMO)が接着促進剤として特に好ましい。更なるシランは、例えば、欧州特許第3000792(A1)号に記載されている。
【0032】
接着促進剤は、硬化剤成分(B)の総重量に基づいて、最大10重量%、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは1.0~2.5重量%の量で含有され得る。
【0033】
無機充填剤、具体的には、ポルトランドセメント又はアルミン酸セメントなどのセメント、並びに他の水硬性無機物質、石英、ガラス、コランダム、磁器、陶器、重晶石、ライトスパー(light spar)、石膏、タルク、及び/又はチョーク、並びにそれらの混合物が充填剤として使用される。ヒュームドシリカなどの増粘剤も無機充填剤として使用することができる。使用することができる充填剤の更なる詳細は、例えば、国際公開第2020/058015(A1)号に明記されている。無機充填剤は、砂、粉末、又は成形体の形態、好ましくは繊維又はボールの形態で添加することができる。充填剤は、多成分組成物の1つ又は全ての成分中に存在してもよい。
【0034】
充填剤の割合は、硬化剤成分(B)の総重量に基づいて、好ましくは0~75重量%、例えば10~75重量%、好ましくは15~75重量%、より好ましくは20~50重量%、更により好ましくは25~40重量%である。
【0035】
エポキシ樹脂成分(A)は、少なくとも1種の硬化性エポキシ樹脂を含む。エポキシド樹脂成分(A)中の硬化性エポキシドとして、当業者に既知であり、かつこの目的のために市販されている、分子当たり平均2つ以上のエポキシド基、好ましくは2つのエポキシド基を含有する複数の化合物が考慮される。これらのエポキシ樹脂は、飽和及び不飽和の両方、脂肪族、脂環式、芳香族、又は複素環式とすることができ、ヒドロキシル基も有する。これらは、更に、混合又は反応条件下でいずれの妨害的な副反応も引き起こさない置換基、例えば、アルキル又はアリール置換基、エーテル基などを含有してもよい。三量体エポキシド及び四量体エポキシドも本発明の範囲内で好適である。
【0036】
エポキシ樹脂は、好ましくは、多価アルコール、具体的にはビスフェノール及びノボラックなどの多価フェノール、具体的には1.5以上、特に2以上、例えば2~10の平均グリシジル基官能性を有するものから誘導されたグリシジルエーテルである。
【0037】
エポキシ樹脂は、120~2000g/EQ、好ましくは140~400、特に155~195、例えば165~185のエポキシ当量(epoxy equivalent weight、EEW)を有することができる。複数のエポキシ樹脂の混合物を使用することも可能である。
【0038】
エポキシ樹脂を調製するために使用される多価フェノールの例は、レゾルシノール、ヒドロキノン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ジヒドロキシフェニルメタン(ビスフェノールF)の異性体混合物、テトラブロモビスフェノールA、ノボラック、4,4’-ジヒドロキシフェニルシクロヘキサン、及び4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルプロパンである。エポキシド樹脂は、好ましくは、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル若しくはビスフェノールFのジグリシジルエーテル、又はそれらの混合物である。180~190g/EQのEEWを有するビスフェノールA及び/又はビスフェノールF系の液体ジグリシジルエーテルが特に好ましい。
【0039】
更なる例は、例えば2000g/mol未満の平均分子量Mnを有する、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノール-A-エピクロロヒドリン樹脂、及び/又はビスフェノール-F-エピクロロヒドリン樹脂である。
【0040】
エポキシ樹脂の割合は、エポキシ樹脂成分(A)の総重量に基づいて0超~100重量%、好ましくは10~70重量%、特に好ましくは30~60重量%である。
【0041】
エポキシ樹脂に加えて、エポキシ樹脂成分(A)は、任意選択で、少なくとも1種の反応性希釈剤を含有してもよい。芳香族基を含有するエポキシよりも低い粘度を有する、脂肪族、脂環式、若しくは芳香族モノアルコール、又は特に多価アルコールのグリシジルエーテルが、反応性希釈剤として使用される。反応性希釈剤の例は、モノグリシジルエーテル、例えば、o-クレジルグリシジルエーテル、及び少なくとも2のエポキシド官能性を有するグリシジルエーテル、例えば、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(butanediol diglycidyl ether、BDDGE)、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、及びヘキサンジオールジグリシジルエーテル、並びにグリセロールトリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(trimethylolpropane triglycidyl ether、TMPTGE)、又はトリメチロールエタントリグリシジルエーテル(trimethylolethane triglycidyl ether、TMETGE)などのトリ-若しくはより高次のグリシジルエーテルであり、トリメチロールエタントリグリシジルエーテルが好ましい。これらの反応性希釈剤のうちの2種以上の混合物、好ましくはトリグリシジルエーテルを含有する混合物、特に好ましくは1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDGE)とトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(TMPTGE)との混合物又は1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDGE)とトリメチロールエタントリグリシジルエーテル(TMETGE)との混合物を使用することもできる。
【0042】
反応性希釈剤は、好ましくは、エポキシ樹脂成分(A)の総重量に基づいて0~60重量%、特に1~20重量%の量で存在する。
【0043】
好適なエポキシ樹脂及び反応性希釈剤は、Michael Dornbusch,Ulrich Christ and Rob Rasing,”Epoxidharze,”Vincentz Network GmbH&Co.KG(2015),ISBN13:9783866308770の標準参考文献で見つけることもできる。これらの化合物は、参照により本明細書に含まれる。
【0044】
更に、エポキシ樹脂成分(A)は、硬化剤成分(B)について既に記載されているように、従来の添加剤、具体的には接着促進剤及び充填剤を含有することができる。
【0045】
充填剤の割合は、エポキシ樹脂成分(A)の総重量に基づいて、好ましくは0~75重量%、例えば10~75重量%、好ましくは15~75重量%、より好ましくは20~50重量%、更により好ましくは25~40重量%である。
【0046】
多成分エポキシド樹脂組成物への更なる想定される添加剤はまた、任意選択で有機的に後処理されたヒュームドシリカ、ベントナイト、アルキル-及びメチルセルロース、並びにヒマシ油誘導体などのチキソトロープ剤、フタル酸エステル若しくはセバシン酸エステルなどの可塑剤、安定剤、帯電防止剤、増粘剤、柔軟剤、硬化触媒、レオロジー助剤、湿潤剤、染料若しくは顔料などの着色添加剤(例えば、それらの混合の改善された制御のための成分の異なる染色のためのもの)、並びに湿潤剤、減感剤、分散剤、及び反応速度のための他の制御剤、又はそれらの2種以上の混合物である。多成分エポキシド樹脂組成物は、好ましくは、反応を抑制するようにモルタル組成物のエポキシド樹脂成分(A)及び硬化剤成分(B)が別個に配置されている2つ以上の別個のチャンバを備えるカートリッジ又はフィルムパウチ内に存在する。
【0047】
意図されるように使用するために、エポキシド樹脂成分(A)及び硬化剤成分(B)は別個のチャンバから排出され、好適なデバイス、例えば、静的混合器又は溶解器内で混合される。その後、エポキシ樹脂成分(A)と硬化剤成分(B)との混合物が、既知の注入デバイスの手段によって、事前に清浄された掘削孔に導入される。続いて、固定されるべき成分がモルタル組成物中に設置され、調整される。硬化剤成分(B)の反応性構成成分が重付加によりエポキシ樹脂成分(A)のエポキシ樹脂と反応し、これにより、エポキシ樹脂組成物が、所望の期間以内に、好ましくは数分又は数時間以内に周囲条件下で硬化するようになる。
【0048】
エポキシ樹脂成分(A)及び硬化剤成分(B)は、好ましくは、EEW値及びAHEW値に従ってバランスのとれた化学量論が得られる比率で混合される。
【0049】
AHEW(アミン水素当量、H当量)値は、1モルの反応性Hを含有する硬化剤成分の量を示す。EEW(エポキシド当量)値は、通常、各々の場合にも使用されるエポキシ樹脂成分の製造業者によって規定されるか、又は既知の方法を使用して計算される。EEW値は、1モルのエポキシ基を含有するエポキシ樹脂の量をgで示す。
【0050】
エポキシ樹脂(既知のEEWを有する)とアミン成分との混合物のガラス転移温度(glass transition temperature、Tg)を測定することによってAHEWを実験的に得た。この場合、エポキシ樹脂/アミン混合物のガラス転移温度を異なる比率で測定した。試料を、-20K/分の加熱速度で21℃から-70℃に冷却し、第1の加熱サイクルで250℃まで加熱し(加熱速度10K/分)、その後、-70℃まで再冷却し(加熱速度-20K/分)、最後のステップで200℃まで加熱した(20K/分)。第2の加熱サイクルで最も高いガラス転移温度(「T2」)を有する混合物は、エポキシ樹脂とアミンとの最適な比率を有する。AHEW値は、既知のEEW及び最適なエポキシド樹脂/アミン比率から計算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】比較例1のクリープ挙動と比較した実施例1及び実施例2のクリープ挙動を示す。
図2】比較例2のクリープ挙動と比較した実施例3及び実施例4のクリープ挙動を示す。
【0052】
本発明は、いくつかの実施例を参照して、以下でより詳細に説明される。全ての実施例及び図面は、特許請求の範囲を支持する。しかしながら、本発明は、実施例及び図面に示される特定の実施形態に限定されない。
【0053】
実施形態
特に明記しない限り、ここに列記されている組成物の全ての構成成分は市販されており、通常の商業的品質で使用した。
【0054】
特に明記しない限り、実施例に示されている全ての%データは、計算基準として、記載されている組成物の総重量に関連している。
【表1】
【0055】
表2によるエポキシ樹脂成分(A)を調製するために、液体成分を、木製スパチュラを使用して手動で予混合した。その後、充填剤と増粘剤を添加し、最初に手動で予混合した。その後、混合物を溶解器(PC実験室システム、容量1L)中、3500rpmで8.5分間、80ミリバールの負圧で撹拌した。
【0056】
表2による硬化剤成分(B)を調製するために、アミンを予混合し、加速剤又は加速剤混合物をアミン混合物中に溶解させた。その後、充填剤及び増粘剤を添加し、手動で予混合した。その後、混合物を溶解器(PC実験室システム、容量1L)中、3500rpmで8.5分間、80ミリバールの負圧で撹拌した。
【0057】
加速剤Ca(NOを、グリセロール(1,2,3-プロパントリオール)溶液として使用した。硝酸カルシウム溶液を調製するために、400.0gの硝酸カルシウム四水和物を100.0gのグリセロールに添加し、完全に溶解するまで(3時間)50℃で撹拌した。この方法で調製した溶液は、80.0%硝酸カルシウム四水和物を含有した。
【0058】
モルタル組成物を調製するために、表2の実施例によるエポキシ樹脂成分(A)及び硬化剤成分(B)を、3:1の混合比率で硬質カートリッジに充填した。硬質カートリッジに静的混合器(Quadro混合器)を備え付け、ディスペンサによって排出した。放出されたモルタル組成物の最初の5ストロークを廃棄して正確な混合品質を確実にした後に、それらを掘削孔に注入した。
【0059】
クリープ挙動を測定するために、ガイドラインETAG 001 Part 5(Guideline for European Technical Approval of Metal Plugs for Use in Concrete)(EAD 330499-00-0601に置き換えられた)の記載に基づいて、連続負荷試験を最大温度容量で行った。この目的のために、(表2)によるエポキシ樹脂成分(A)及び硬化剤成分(B)を混合することによって得られたモルタル組成物を、スチールクラッドコンクリートシリンダー(C20/25)中の清浄した(6バールで空気圧縮2回、ブラッシング2回、及び6バールで空気圧縮2回)14mmの掘削孔内に72mmの挿入深さで設置した。24時間硬化させた後、試験を開始し、最低40日間行った。試験を43℃の温度で行った。
【0060】
実施例1及び実施例2並びに比較例1の連続負荷試験の場合、27.1kNの連続負荷を加え、実施例3及び比較例2の連続負荷試験では28.0kNの連続負荷を加え、実施例4では29.8kNの連続負荷を加えた。これらの試験の開始時に、測定値を高頻度(最初の1時間に1分当たり10回の測定)で記録し、その後、1時間当たり1回の測定で記録した。結果を図1図2に示す。
【表2】
【0061】
表2による実施例1及び実施例2は、Ancamine(登録商標)K54が異なる重量パーセンテージで存在するという事実のみ、比較例1と異なる。図1は、比較例1と比較した実施例1及び実施例2による硬化モルタル組成物のクリープ挙動を測定するための連続負荷試験の結果を示す。図1は、Ancamine(登録商標)K54を含有するモルタル組成物の、持続負荷及び高温への曝露後により低い初期変位を伴う改善されたクリープ挙動を示す。
【0062】
図3は、比較例2と比較した実施例3及び実施例4による硬化モルタル組成物のクリープ挙動を測定するための連続負荷試験の結果を示す。比較例2による硬化剤成分(B)は、わずか3重量%の重量パーセンテージでAncamine(登録商標)K54を含有する(本発明によるものではない)。図2は、増加した重量パーセンテージのAncamine(登録商標)K54を含有するモルタル組成物の、持続負荷下かつ高温でより低い初期変位を伴う改善されたクリープ挙動を示す。実施例4による硬化モルタル組成物は、実施例3及び比較例2と比較して、29.8kNの増加した連続負荷にもかかわらず、最も低い初期変位を有する最良のクリープ挙動を示す。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂組成物から製造されたケミカルアンカーのクリープ挙動を改善するための、前記エポキシ樹脂組成物の総重量に基づいて1.0重量%以上の重量パーセンテージでの少なくとも1種の三級アミンの前記エポキシ樹脂組成物中での、使用。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂組成物が、少なくとも1種の硬化性エポキシ樹脂を含有する少なくとも1種のエポキシ樹脂成分(A)と、エポキシド基に反応性である少なくとも1種のアミンを含有する少なくとも1種の硬化剤成分(B)と、を含む多成分組成物であり、前記エポキシ樹脂成分(A)及び前記硬化剤成分(B)が、反応を抑制する様式で互いに別個に存在することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記硬化剤成分(B)が、前記硬化剤成分(B)の総重量に基づいて5.0重量%以上の三級アミンを含むことを特徴とする、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記三級アミンの重量パーセンテージが、前記硬化剤成分(B)の前記総重量に基づいて5.0~20.0重量%であることを特徴とする、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記三級アミンが少なくとも3つの三級アミノ基を含むこと、及び/又は前記三級アミンが6員環を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項6】
前記三級アミンが、2,4,6-トリス(ジ-C-C-アルキルアミノフェノール)及び1,3,5-トリス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項7】
前記三級アミンが2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールであることを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記硬化剤成分(B)が、少なくとも1つの無機塩、好ましくはCa(NO及び/又はCa(CFSOを含むことを特徴とする、請求項2記載の使用。
【請求項9】
前記多成分組成物が、前記エポキシ樹脂成分(A)及び前記硬化剤成分(B)が反応を抑制する様式で互いに別個に配置されている2つ以上の別個のチャンバを備えるカートリッジ又はフィルムパウチ内に存在することを特徴とする、請求項2記載の使用。
【請求項10】
前記硬化性エポキシ樹脂が、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル若しくはビスフェノールFのジグリシジルエーテル、又はそれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【国際調査報告】