(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-10
(54)【発明の名称】ヒドロゲルを含む化成コーティング塗工システムおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
C23C 22/73 20060101AFI20250703BHJP
C23C 22/56 20060101ALI20250703BHJP
C23C 22/57 20060101ALI20250703BHJP
C23C 22/53 20060101ALI20250703BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20250703BHJP
【FI】
C23C22/73 A
C23C22/56
C23C22/57
C23C22/53
B05D7/24 301Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024573598
(86)(22)【出願日】2023-06-13
(85)【翻訳文提出日】2025-02-04
(86)【国際出願番号】 US2023025199
(87)【国際公開番号】W WO2023244603
(87)【国際公開日】2023-12-21
(32)【優先日】2022-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519404067
【氏名又は名称】ケメオン サーフェス テクノロジー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ウエスター,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ウエスター,ショーン
【テーマコード(参考)】
4D075
4K026
【Fターム(参考)】
4D075AC00
4D075DB01
4D075DB05
4D075DB07
4D075EA10
4D075EC02
4K026AA01
4K026AA07
4K026AA09
4K026BA06
4K026BB06
4K026BB08
4K026BB10
4K026CA16
4K026CA37
4K026DA02
(57)【要約】
化成コーティングアプリケーターは第1のライナー、第1のライナーに取り付けられたヒドロゲル、およびヒドロゲルに取り外し可能なように取り付けられた第2のライナーを含む。ヒドロゲルは三価のクロム化合物、ジルコネート化合物、および染料化合物を含む三価クロム化成コーティング溶液を含む。化成コーティング溶液は水性溶液である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化成コーティングアプリケーターであって、
第1のライナー、
前記第1のライナーに取り付けられたヒドロゲル、および
前記ヒドロゲルに取り外し可能なように取り付けられた第2のライナー
を含み、
前記ヒドロゲルが、
三価のクロム化合物、
ジルコネート化合物、および
染料化合物
を含む三価クロム化成コーティング溶液を含み、
前記化成コーティング溶液が水性溶液である、
前記化成コーティングアプリケーター。
【請求項2】
前記三価のクロム化合物が三価クロムの硫酸塩を含む、請求項1に記載の化成コーティングアプリケーター。
【請求項3】
前記ヒドロゲルがアルギン酸塩ヒドロゲルを含む、請求項1に記載の化成コーティングアプリケーター。
【請求項4】
前記ヒドロゲルがアルギン酸ナトリウムヒドロゲルを含む、請求項1に記載の化成コーティングアプリケーター。
【請求項5】
前記ジルコネート化合物がアルカリ金属ヘキサフルオロジルコン酸塩化合物を含む、請求項1に記載の化成コーティングアプリケーター。
【請求項6】
およそ0.2g/リットル~およそ20g/リットルの前記ジルコネート化合物を含む、請求項1に記載の化成コーティングアプリケーター。
【請求項7】
前記染料化合物が金属錯体アゾ染料を含む、請求項1に記載の化成コーティングアプリケーター。
【請求項8】
前記染料化合物がクロム錯体アゾ染料を含む、請求項1に記載の化成コーティングアプリケーター。
【請求項9】
前記染料化合物が金属を含まないアゾ染料を含む、請求項1に記載の化成コーティングアプリケーター。
【請求項10】
およそ0.01wt%~およそ2.0wt%の前記染料化合物を含む、請求項1に記載の化成コーティングアプリケーター。
【請求項11】
リン化合物を含む、請求項1に記載の化成コーティングアプリケーター。
【請求項12】
前記三価のクロム化成コーティングがMIL-DTL-81706B Class 1AおよびClass 3および/またはMIL-DTL-5541F Class 1AおよびClass 3の要件を満たす、請求項1に記載の化成コーティングアプリケーター。
【請求項13】
2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、および/またはベンゾトリアゾールを含む、請求項1に記載の化成コーティングアプリケーター。
【請求項14】
前記三価クロム化成コーティング溶液がおよそ2.5~およそ4.5のpHを有する、請求項1に記載の化成コーティングアプリケーター。
【請求項15】
請求項1に記載の化成コーティングアプリケーターで金属基材を処理するステップを含む方法であって、
前記化成コーティングアプリケーターを前記金属基材の特定の形状に対応する形状に造形するステップと、
前記ヒドロゲルが前記金属基材と接触するように、前記化成コーティングアプリケーターを前記金属基材上に配置するステップと
を含む、前記方法。
【請求項16】
前記金属基材がアルミニウム、マグネシウム、および/または亜鉛を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
化成コーティング塗工システムであって、
化成コーティングアプリケーターであって、
第1のライナー、
前記第1のライナーに取り付けられた第1のヒドロゲル、および
前記第1のヒドロゲルに取り外し可能なように取り付けられた第1のカバー
を含み、
前記第1のヒドロゲルが、
三価のクロム化合物、
ジルコネート化合物、および
染料化合物
を含む三価クロム化成コーティング溶液を含み、
前記化成コーティング溶液が水性溶液である、前記化成コーティングアプリケーターと、
活性化アプリケーターであって、
第2のライナー、
前記第2のライナーに取り付けられた第2のヒドロゲル、および
前記第2のヒドロゲルに取り外し可能なように取り付けられた第2のカバー
を含み、
前記第2のヒドロゲルが活性化溶液を含む、前記活性化アプリケーターと
を含む、前記化成コーティング塗工システム。
【請求項18】
クリーニングアプリケーターであって、
第3のライナー、
前記第3のライナーに取り付けられた第3のヒドロゲル、および
前記第3のヒドロゲルに取り外し可能なように取り付けられた第3のカバー
を含み、
前記第3のヒドロゲルがクリーニング溶液を含む、前記クリーニングアプリケーター
をさらに含む、請求項17に記載の化成コーティング塗工システム。
【請求項19】
金属基材を請求項18に記載の化成コーティング塗工システムで処理するステップを含む方法であって、前記第1のヒドロゲルが前記金属基材と接触するように、前記化成コーティングアプリケーターを前記金属基材上に配置するステップを含む、前記方法。
【請求項20】
前記第3のヒドロゲルが前記金属基材と接触するように前記クリーニングアプリケーターを前記金属基材上に配置するステップと、
前記第2のヒドロゲルが前記金属基材と接触するように前記活性化アプリケーターを前記金属基材上に配置するステップと
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]この出願は2022年6月13日に出願されたヒドロゲルを含む化成コーティング塗工システムおよびそれを使用する方法(CONVERSION COATING APPLICATION SYSTEM INCLUDING HYDROGELS AND METHODS OF USING SAME)と題する米国仮特許出願第63/351,771号の優先権および利益を主張し、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]化成コーティング(conversion coating)は金属表面を処理して耐食性を改良し、その後の塗料のようなコーティングの付着力を増大し、装飾仕上げを形成し、または電気伝導性を保持するために広く使用される。化成コーティングは化成コーティング溶液を金属に塗工することにより形成される。化成コーティング溶液と金属は反応して金属表面を所望の機能特性の薄膜に変更または修正する。化成コーティングはアルミニウム、亜鉛、およびマグネシウムのような金属の表面処理に特に有用である。
【0003】
[0003]金属表面は風雨(the elements)または他の作動条件に曝露されたとき金属表面の腐食その他の種類の劣化を受け易い。例えば、工業設備の金属管は風雨に曝露され得るかまたは金属表面を劣化または腐食させることがある苛酷な作動環境に曝露され得る。劣化または腐食した金属管の交換は費用がかかり、修理中その工業設備を運転停止する必要があることが多い。また、運転中化成コーティングを塗工するには、典型的には、化成コーティングに対してブラシまたは噴霧器を用いて手作業でブラシがけする必要があり、これにより作業者が化成コーティング内の化学薬品にさらされることになり得る。さらに、ブラシおよび噴霧器は典型的には、過剰な化成コーティングを塗工し、これは工業設備の覆うことを意図してなかった他の部分に広がる可能性があり、そのため大々的な掃除が必要になる。したがって、化成コーティング内の化学薬品への曝露を最少にし、化成コーティングを塗工した後の掃除を最少にし、かつ化成コーティングを塗工するコストを低減する、化成コーティングを金属表面に塗工するシステムに対するニーズがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0005]反応性化学溶液(reactive chemical solution)または反応性化学種(reactive chemistry)を表面に塗工するように構成されたケミカルアプリケーター(chemical applicator)のいくつかの実施形態。本明細書に記載されるケミカルアプリケーターは典型的には、ヒドロゲルおよび反応性化学溶液が表面と接触するまで反応性化学溶液を含有するヒドロゲルを含む。ヒドロゲルは、反応性化学溶液が表面と反応して所望の化学的、物理的および/または機械的な変化を完了するように、反応性化学溶液が表面と接触することを可能にする。ヒドロゲルが、表面への塗工前に反応性化学種と不利に反応することがなく、反応性化学種が表面と接触し反応することを可能にするならば、ヒドロゲルは有害な化学種を含めてあらゆる反応性化学種を含有するように構成され得る。本明細書に記載されるケミカルアプリケーターは、ヒドロゲル中に反応性化学溶液を含有し、反応性化学溶液を表面に塗工する結果、反応性化学溶液が反応し、および/または、表面が反応性化学溶液中にあるかのようにおよび/または廃棄物を低減し、汚れ(mess)を低減し、かつ反応性化学溶液への曝露を低減するように反応性化学溶液を塗工したかのように、作動する。ヒドロゲルと被覆される表面との接触により、反応が多くの場合、熱または他の形態のエネルギー、例えば機械的スクラビングなしで起こることが可能になる。
【0005】
[0006]本明細書に記載される実施形態において、典型的にはかかる化成コーティングを形成するために使用されることができる化成コーティング溶液を含む反応性化学溶液が開示される。化成コーティング溶液はあまねく三価のクロム、六価のクロム、および/または非六価の(non-hexavalent)クロム化合物を含み、化成コーティングアプリケーター(conversion coating applicator)もあまねく化成コーティング溶液を選択的に含有するように構成されたヒドロゲルを含む。一部の実施形態において、化成コーティング溶液はクロム化合物、染料化合物、およびジルコネート化合物を含む。化成コーティングアプリケーターを使用して金属基材(metal substrate)を保護する方法も開示される。
【0006】
[0007]化成コーティング溶液は金属基材上に保護コーティングを形成するために使用され、化成コーティングアプリケーターは化成コーティング溶液を金属基材に塗工するために使用される。コーティングは一般に金属表面を不動態化するかまたは、言い換えると、その後の腐食および/またはその他の望ましくない反応を受け難くする。
【0007】
[0008]クロム化合物はあらゆる適切なクロム化合物であることができる。適切なクロム化合物の1つの例は三価クロムの硫酸塩(三価クロムサルフェート)(trivalent chromium sulfate)である。当然のことながら他のクロム化合物も使用されることができる。
【0008】
[0009]化成コーティングは、化成コーティング溶液で満たされたヒドロゲルの使用によって金属の表面上に形成され得る。化成コーティング溶液がヒドロゲル中に注入される。次いで、ヒドロゲルを金属基材の表面上にある期間配置し、化成コーティング溶液をヒドロゲルから表面上に拡散させ、反応させ、化成コーティングを形成させることにより、化成コーティングが金属基材上に形成され得る。
【0009】
[0010]化成コーティングアプリケーターは使用するのが簡単であり、掃除を最少にする。活性な物質で満たされたヒドロゲルは取扱いおよび使用が容易であり、化成コーティングの液体容器の必要性をなくし、表面を流れ落ちる(垂れる)化学薬品を低減または除外する。システムは予備的な化学種-洗浄剤、活性化剤、等にも適用でき、その結果コーティングの塗工および最終的な形成は化学薬品を浪費せず、コーティングを形成することの安全性を改良する。すなわち、材料が比較的に含有され、化学種が使用者にこぼれる機会を最少にするからである。
【0010】
[0011]この開示のその他の新規な態様および特徴があり、この明細書を進むにつれて明らかとなるであろう。したがって、この簡単な概要は、以下の詳細な説明にさらに記載される概念の選択を簡単化された形態で導入するために提供される。概要および背景は開示された主題の重要な概念または必須の態様を同定することが意図されてないし、また特許請求の範囲の範囲を制限または限定するために使用されてはならない。例えば、特許請求の範囲の範囲は、述べられた主題が概要に述べられたいずれかまたはすべての態様を含むかどうか、および/または背景に述べられた問題のいずれに対処するかどうかに基づいて限定されない。
【0011】
[0012]好ましいおよびその他の実施形態が添付の図面に関連して開示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】[0013]本開示の態様に従う化成コーティングアプリケーターの側面概略図を示す。
【
図2】[0014]化成コーティング溶液を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターにより塗工されたコーティングをもつ6061アルミニウム合金を示す概略図である。
【
図3】[0015]化成コーティング溶液を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターにより塗工されたコーティングをもつ6061アルミニウム合金を示す別の概略図である。
【
図4】[0016]化成コーティング溶液を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターにより塗工されたコーティングをもつ6061アルミニウム合金を示す別の概略図である。
【
図5】[0017]化成コーティング溶液を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターにより塗工されたコーティングをもつ6061アルミニウム合金を示す別の概略図である。
【
図6】[0018]中性塩噴霧試験に供された後の実施例4の6061アルミニウム合金を示す概略図である。
【
図7】[0019]化成コーティングが6061アルミニウム合金に塗工された後の6061アルミニウム合金を示し、6061アルミニウム合金がウォーターブレイクフリー(water break free)であることを示す概略図である。
【
図8】[0020]コーティングを塗工する化成コーティング溶液を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターと共に6061アルミニウム合金を示す別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0022]反応性ケミカルアプリケーターまたは化成コーティングアプリケーターのいくつかの実施形態が、化成コーティングアプリケーターを形成するのに使用されることができるヒドロゲル、化成コーティング、および添加剤、ならびに化成コーティングアプリケーターで基材を処理する方法と共に開示される。一般に、化成コーティングアプリケーターは反応性化学溶液で満たされたヒドロゲルを含む。示された実施形態において、反応性化学溶液は化成コーティング溶液を含む。代わりの実施形態において、反応性化学溶液は化成コーティングアプリケーターが本明細書に記載されるように作動するのを可能にするあらゆる化学溶液であり得る。ヒドロゲルは化成コーティング溶液が基材の限られた場所に塗工されるのを可能にする結果基材の限られた場所のみが化成コーティング溶液と接触するようにして、他の場所の汚染を最少にし、かつ作業者の汚染を最少にする。化成コーティング溶液は三価のクロム化合物、六価のクロム化合物、非六価のクロム化合物、ジルコネート化合物、および/または染料化合物を含み得る。化成コーティング溶液は金属の耐食性、摩耗特性、および接着接合特性を改良し、ならびに金属表面または部分を染色するのに使用され得る。
【0014】
[0023]化成コーティングアプリケーターは慣用の塗工システムと比べて次の改良/利点の1つ以上を提供し得る:1)作業者が化成コーティングを基材に安全に塗工するのに必要とされる訓練の量を低減する、より簡単でより容易な塗工、2)過剰な化成コーティング溶液塗工および化成コーティング溶液の浪費を低減する限られた塗工面積、3)掃除の低減、および/または4)作業者の化成コーティング溶液への曝露の低減。
【0015】
[0024]ヒドロゲル
[0025]ヒドロゲルは典型的には、水に膨潤し、その体積に比べて大きな量の水を含有する一方で個々のポリマー鎖の化学的または物理的な架橋に起因して構造を維持する親水性ポリマーの三次元の網状構造を含む。ヒドロゲルは典型的には、総重量(または体積)の少なくとも10%の水を含み、親水性であり、かつ可撓性であって、結果としてヒドロゲルが配置される表面の形状に合致することができる。網状構造の親水性は-NH2、-COOH、-OH、-CONH2、-CONH-、および-SO3Hのような親水性の基の存在に起因する。
【0016】
[0026]ヒドロゲルは典型的には、ある種の物理的および化学的刺激に応答して体積相転移またはゲル-ゾル相転移を起こし得る。物理的刺激は温度、電場および磁場、溶媒組成、光強度、および圧力を含み得、化学的刺激は化学反応、pH、イオン、および特定の化学組成を含み得る。ほとんどの構造遷移は可逆的であり、ヒドロゲルは反応後トリガーが除かれるとすぐその初期状態に戻ることができる。外部の刺激に対するヒドロゲルの応答は典型的には、モノマーの種類、電荷密度、ペンダント鎖、および架橋結合の程度により決定される。応答の大きさはまた典型的には、施された外部の刺激に正比例する。
【0017】
[0027]
図1は本開示の態様に従う化成コーティングアプリケーター100の側面概略図を示す。化成コーティングアプリケーター100は第1のライナー102、ヒドロゲル104、および第2のライナーまたはカバー106を含む。加えて、化成コーティングアプリケーター100は
図1に示されていない追加の層を含み得る。例えば、ヒドロゲル104は複数の化成コーティング化学物質(conversion coating chemical)を吸収し堆積させる(deposit)ために複数のヒドロゲル層を含み得る。加えて、第1のライナー102および第2のライナー106も強度、保湿、および付着力のために構成された複数の層、例えば限定されないがスクリムおよび/または不織スクリムを含み得る。スクリムおよび/または不織スクリムは化成コーティングアプリケーター100のための追加の支持を提供するために第1のライナー102、ヒドロゲル104、および/または第2のライナーまたはカバー106の一部であってもよい。
【0018】
[0028]第1のライナー102はヒドロゲル104を所定の位置に保持し維持するように構成される。第1のライナー102はヒドロゲルまたは化成コーティング化学物質を吸収しない不活性なプラスチックまたはポリマーを含む。第1のライナー102は可撓性であるが、ヒドロゲルを保持し、短期間風雨に耐えるのに十分に強く、その間化成コーティング化学物質は金属基材と反応する。したがって、第1のライナー102は、ヒドロゲル104を保持するのに十分に強く、ヒドロゲルを金属基材の上に塗工するのに十分に可撓性で、変換化学物質(conversion chemical)の吸収に耐性で、かつ化成コーティング溶液に対して不活性なあらゆる材料を含み得る。示された実施形態において、第1のライナー102はポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、中密度ポリエチレン、および/またはポリテトラフルオロエチレンを含み得る。
【0019】
[0029]同様に、第2のライナー106もヒドロゲル104を所定の位置に保持し維持するように構成される。しかしながら、第2のライナー106はヒドロゲル104の金属基材への塗工に先立ってヒドロゲル104から除去されるように構成される。第2のライナー106も、ヒドロゲルまたは化成コーティング化学物質を吸収しない不活性なプラスチックまたはポリマーを含む。典型的には、第2のライナー106も可撓性であるが、短期間ヒドロゲルを保持し風雨に耐えるよう十分に強い。したがって、第2のライナー106は、ヒドロゲル104を保持するよう十分に強く、かつ変換化学物質の吸収に対して耐性であるあらゆる材料を含み得る。一部の実施形態において、第2のライナー106は第1のライナー102と同じ材料を含み得る。示された実施形態において、第2のライナー106はポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、中密度ポリエチレン、および/またはポリテトラフルオロエチレンを含み得る。
【0020】
[0030]ヒドロゲル104は、(1)変換化学物質を吸収し、(2)ヒドロゲル104が金属基材と接触したとき変換化学物質を脱着させ、かつ(3)変換化学物質に対して不活性であるように構成されたポリマーヒドロゲルを含む。したがって、ヒドロゲル104は変換化学物質を膨潤させ、かつ保持する親水性ポリマーのあらゆる網状構造を含み得る。
【0021】
[0031]例えば、ヒドロゲル104は次のヒドロゲルタイプ:ホモポリマー性ヒドロゲル、カチオン性ヒドロゲル、天然ヒドロゲル、物理的に架橋したヒドロゲル、非晶質ヒドロゲル、コポリマー性ヒドロゲル、アニオン性ヒドロゲル、合成ヒドロゲル、化学的に架橋したヒドロゲル、半結晶質ヒドロゲル、相互貫入ヒドロゲル、非イオン性ヒドロゲル、混成ヒドロゲル、結晶質ヒドロゲル、親水コロイド凝集ヒドロゲル、および/またはあらゆる他のタイプのヒドロゲルのいずれかを含み得る。ヒドロゲルが合成ヒドロゲルであれば、ヒドロゲル104はポリ(ビニルアルコール)、ポリエチレンオキサイド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(グリセリルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンイミン)、多価アルコール、ポリアクリルアミド、多糖、および/またはあらゆる他のタイプのポリマーを含み得る。ヒドロゲル104が天然のヒドロゲルを含むならば、ヒドロゲル104はキトサン、アルギン酸塩(アルギネート)(alginate)、コラーゲン、絹フィブロイン、ヒアルロン酸、フィブリン、ゼラチン、アガロース、および/またはあらゆる他のタイプの天然のヒドロゲルを含み得る。ヒドロゲル104はActiformcool(登録商標)、Aquaflo(登録商標)、Clearsite(登録商標)、Geliperm(登録商標)、Hydrosorb(登録商標)、Novogel(登録商標)、Primskin(登録商標)、Suprasorb G(登録商標)、AquaDerm(登録商標)、Tegraderm(登録商標)、および/またはあらゆる他の市販のヒドロゲルを始めとするいくつかの市販のヒドロゲルを含み得る。
【0022】
[0032]本明細書に記載されるように、化成コーティングアプリケーター100は第2のライナー106が除去され、ヒドロゲル104が金属基材と接触するまで化成コーティング溶液を保持するように構成される。次いで化成コーティング溶液は金属基材と反応し、反応が化成コーティング溶液を消費するにつれて消費するにつれて拡散し、ヒドロゲル104から金属基材上に脱着して金属基材と反応する。
【0023】
[0033]クロム化合物
[0034]示された実施形態において、反応性化学溶液は金属基材上に化成コーティングを形成するためのクロム化合物を含む。クロム化合物は、限定されないが、三価のクロム化合物、六価のクロム化合物、および非六価のクロム化合物を始めとするあらゆるタイプのクロム化合物であり得る。代わりの実施形態において、反応性化学溶液は金属基材上に化成コーティングを形成することができる非クロム化合物を含み得る。より具体的には、示された実施形態において、および本明細書に記載される実施例において、反応性化学溶液は三価のクロム化合物を含む。
【0024】
[0035]三価のクロム化合物は金属基材上に化成コーティングを形成することができるあらゆる適切な三価のクロム化合物であることができる。適切な三価のクロム化合物の例は本記載の終わりで参照により組み込まれる特許に見出されることができる。
【0025】
[0036]三価のクロム化合物は三価のクロム塩のような水溶性の三価のクロム化合物であることができる。一般に塩化物ほど腐食性でないアニオンをもたらすクロム塩を使用するのが望ましい。かかるアニオンの例は硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、および酢酸イオンを含む。好ましい実施形態において、三価のクロム化合物は三価クロムの硫酸塩である。かかる化合物の例はCr2(SO4)3、(NH4)Cr(SO4)2、またはKCr(SO4)2を含む。
【0026】
[0037]当然のことながら、化成コーティング溶液は1つまたは複数の三価のクロム化合物を含むことができる。例えば、1つの実施形態において、化成コーティング溶液は単一の三価のクロム化合物を含む。別の実施形態において、化成コーティング溶液は2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の三価のクロム化合物を含む。
【0027】
[0038]化成コーティング溶液はあらゆる適切な量の三価のクロム化合物を含むことができる。適切な量の例は本記載の終わりで参照により組み込まれる特許に見出されることができる。一部の実施形態において、化成コーティング溶液はおよそ0.1g/リットル(0.01wt%)~およそ20g/リットル(2wt%)の三価のクロム化合物、およそ0.2g/リットル(0.02wt%)~およそ10g/リットル(1wt%)の三価のクロム化合物、またはおよそ0.5g/リットル(0.05wt%)~およそ8g/リットル(0.8wt%)の三価のクロム化合物を含む。
【0028】
[0039]他の実施形態において、化成コーティング溶液は少なくともおよそ0.1g/リットル(0.01wt%)の三価のクロム化合物、少なくともおよそ0.2g/リットル(0.02wt%)の三価のクロム化合物、または少なくともおよそ0.5g/リットル(0.05wt%)の三価のクロム化合物を含む。さらにその他の実施形態において、化成コーティング溶液は20g/リットル(2wt%)以下の三価のクロム化合物、10g/リットル(1wt%)以下の三価のクロム化合物、または8g/リットル(0.8wt%)以下の三価のクロム化合物を含む。
【0029】
[0040]染料化合物
[0041]染料化合物(あるいは顔料化合物または着色剤化合物といわれる)は、化成コーティング溶液およびヒドロゲル化学種と適合性であり、金属基材に色を付与することができるあらゆる物質であることができる。一部の実施形態において染料化合物は1つ以上の金属原子を含み、他の実施形態においては含まない。染料化合物が1つ以上の金属原子を含む実施形態において、金属原子は金属錯体の一部として存在することができる。
【0030】
[0042]一部の実施形態において、染料化合物はアゾ染料、クロム錯体染料、アントラキノイド染料、および/またはメチン染料を含むことができる。好ましい実施形態において、染料化合物は金属錯体アゾ染料、クロム錯体染料、および/または金属を含まないアゾ染料(metal free azo dye)を含む。当然のことながらアゾ染料はモノアゾ染料、ジスアゾ染料、および/またはトリスアゾ染料を含む。
【0031】
[0043]化成コーティング溶液中およびヒドロゲル中の他の成分と適合性である限り数多くの他の染料化合物が使用されることができる。かかる染料の例はアルミニウムを陽極酸化したり、織物を着色したりするのに使用されるものを含む。他の例は酸性染料、媒染染料、金属-錯体染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、ウール染料、シルク染料、直接染料、反応染料、建て染め染料、などを含む。これらの染料は構造または典型的な用途によるようないろいろなやり方で分類され得ると理解され-例えば、染料はクロム染料、媒染染料、ウール染料、等といわれ得る。
【0032】
[0044]当然のことながら、化成コーティング溶液は上に記載された染料のいずれかの量および/または組合せを含めて1つまたは複数の染料化合物を含むことができる。一部の実施形態において、三価クロム化成コーティング溶液はおよそ0.1g/リットル(0.01wt%)~およそ20g/リットル(2wt%)の染料化合物、およそ0.2g/リットル(0.02wt%)~およそ10g/リットル(1wt%)の染料化合物、またはおよそ0.5g/リットル(0.05wt%)~およそ5g/リットル(0.5wt%)を含む。
【0033】
[0045]一部の他の実施形態において、化成コーティング溶液は少なくともおよそ0.1g/リットル(0.01wt%)の染料化合物、少なくともおよそ0.2g/リットル(0.02wt%)の染料化合物、または少なくともおよそ0.5g/リットル(0.05wt%)の染料化合物を含む。さらに他の実施形態において、化成コーティング溶液は20g/リットル(2wt%)以下の染料化合物、10g/リットル(1wt%)以下の染料化合物、または5g/リットル(0.5wt%)以下の染料化合物を含む。
【0034】
[0046]ジルコネート化合物
[0047]ジルコネート化合物は、基材上の保護コーティングの形成を容易にすることができるあらゆる適切なジルコネート化合物であることができる。適切なジルコネート化合物の例はアルカリ金属ヘキサフルオロジルコン酸塩化合物(アルカリ金属ヘキサフルオロジルコネート化合物)(alkali metal hexafluorozirconate compound)、例えばヘキサフルオロジルコン酸カリウム、ヘキサフルオロジルコン酸ナトリウム、およびフルオロジルコン酸を含む。
【0035】
[0048]一部の実施形態において、化成コーティング溶液はおよそ0.2g/リットル(0.02wt%)~およそ20g/リットル(2wt%)のジルコネート化合物、およそ0.5g/リットル(0.05wt%)~およそ18g/リットル(1.8wt%)のジルコネート化合物、またはおよそ1g/リットル(0.1wt%)~およそ15g/リットル(1.5wt%)のジルコネート化合物を含む。
【0036】
[0049]一部の他の実施形態において、化成コーティング溶液は少なくともおよそ0.2g/リットル(0.02wt%)のジルコネート化合物、少なくともおよそ0.5g/リットル(0.05wt%)のジルコネート化合物、または少なくともおよそ1g/リットル(0.1wt%)のジルコネート化合物を含む。さらに他の実施形態において、化成コーティング溶液はおよそ20g/リットル(2wt%)以下のジルコネート化合物、およそ18.0g/リットル(1.8wt%)以下のジルコネート化合物、またはおよそ15g/リットル(1.5wt%)以下のジルコネート化合物を含む。
【0037】
[0050]他の化合物
[0051]三価クロム化成コーティング溶液は多様な追加の化合物を含むことができる。追加の化合物の例は本記載の終わりで参照により組み込まれる特許に見出されることができる。それらの特許に開示された個々の化合物または化合物の組合せはいずれかの開示された量で化成コーティング溶液に含まれることができる。
【0038】
[0052]一部の実施形態において、三価クロム化成コーティング溶液は金属基材の腐食保護をさらに強化するリン化合物を含む。改良された腐食保護は、M-O-P共有結合を形成し、続いて金属基材上のあらゆる活性な腐食部位を覆って網状構造の疎水性層を形成することになる有機アミノ-ホスホン酸化合物からのホスホン酸基の金属基材の表面への吸着により提供される。
【0039】
[0053]適切なリン化合物の例はアミノ-ホスホン酸の誘導体、例えばニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸(NTMP)、ヒドロキシ-、アミノ-アルキルホスホン酸、エチルイミド(メチレン)ホスホン酸、ジエチルアミノメチルホスホン酸の塩およびエステル、などを含む。好ましくは、誘導体は水に可溶性である。腐食防止剤および溶液安定剤として使用するのに特に適したリン化合物はニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸(NTMP)である。
【0040】
[0054]リン化合物はあらゆる適切な量で化成コーティング溶液中に存在することができる。一部の実施形態において、化成コーティング溶液はおよそ5ppm~およそ100ppmのリン化合物またはおよそ10ppm~およそ30ppmのリン化合物を含む。他の実施形態において、化成コーティング溶液は少なくともおよそ5ppmのリン化合物または少なくともおよそ10ppmのリン化合物を含む。さらにその他の実施形態において、化成コーティング溶液はおよそ100ppm以下のリン化合物または30ppm以下のリン化合物を含む。
【0041】
[0055]三価クロム化成コーティング溶液はフッ化物化合物も含むことができる。適切なフッ化物化合物の例はアルカリ金属テトラフルオロホウ酸塩(例えば、テトラフルオロホウ酸カリウム)、アルカリ金属ヘキサフルオロケイ酸塩(例えば、ヘキサフルオロケイ酸カリウム)、などを含む。フッ化物化合物は好ましくは水溶性である。
【0042】
[0056]フッ化物化合物はあらゆる適切な量で化成コーティング溶液中に存在することができる。一部の実施形態において、化成コーティング溶液はおよそ0.2g/リットル(0.02wt%)~およそ20g/リットル(2wt%)のフッ化物化合物またはおよそ0.5g/リットル(0.05wt%)~およそ18g/リットル(1.8wt%)のフッ化物化合物を含む。他の実施形態において、三価クロム化成コーティング溶液は少なくともおよそ0.2g/リットル(0.02wt%)のフッ化物化合物または少なくともおよそ0.5g/リットル(0.05wt%)のフッ化物化合物を含む。さらにその他の実施形態において、三価クロム化成コーティング溶液は20g/リットル(2wt%)以下のフッ化物化合物または18g/リットル(1.8wt%)以下のフッ化物化合物を含む。
【0043】
[0057]一部の実施形態において、三価クロム化成コーティング溶液はコーティングにより提供される耐食性を増大する腐食防止添加剤を含む。適切な腐食防止剤化合物の例はCN102888138に開示されるいずれかのものを含む。その他の例は2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2-メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、2-メルカプトベンゾオキサゾール(MBO)および/またはベンゾトリアゾール(BTA)を含む。腐食防止剤化合物の添加は、MIL-DTL-81706B Class 1AおよびClass 3の要件またはMIL-DTL-5541F Class 1AおよびClass 3のあまり厳しくない要件を満たすように、コーティングの耐食性を増大することができる。
【0044】
[0058]当然のことながら、腐食防止添加剤はコーティングの耐食性を実質的に増大する役に立つが、コーティングはまたかかる添加剤の不在下でもMIL耐食性要件を満たすこともできる。
【0045】
[0059]三価クロム化成コーティング溶液はまた、増粘剤、界面活性剤、などのようなその他の物質も含むことができる。これらの物質の例は本記載の終わりで参照により組み込まれる特許に見出されることができる。これらの物質はそれらの特許に開示されるいずれかの量で三価クロム化成コーティング溶液中に含まれることができる。
【0046】
[0060]不純物
[0061]ある種の不純物は三価クロム化成コーティング溶液の耐食性/色振動を低減する可能性がある。かかる不純物の1つの例は鉄(Fe)である。染料中に存在する鉄不純物はコーティングの有効性を低下させ得る。例えば、0ppmの鉄を含有する染料は800+時間腐食を示さない試験プレート(アルミニウム)を生成することができる。しかし、10ppmの鉄を含有する染料は216時間腐食を示さないプレート(アルミニウム)を生成することができる。後者の耐食性は溶液の他のパラメーター、例えばクロム含量および/または腐食防止剤含量を調節することにより増大することができるが、それでも結果は染料が0ppmの鉄を染色する状況ほど良好ではない。
【0047】
[0062]一部の実施形態において、染料および/または三価クロム化成コーティング溶液は100ppm以下の鉄、50ppm以下の鉄、25ppm以下の鉄、10ppm以下の鉄、5ppm以下の鉄、2ppm以下の鉄、1ppm以下の鉄を有するか、または、好ましくは鉄を有さない。染料および/または三価クロム化成コーティング溶液は0-100ppmの鉄を有することができる。
【0048】
[0063]一部の実施形態において、三価クロム化成コーティング溶液は750ppb以下の鉄、500ppb以下の鉄、300ppb以下の鉄、100ppb以下の鉄、50ppb以下の鉄を有するか、または好ましくは鉄を有さない。
【0049】
[0064]化成コーティング溶液の形成
[0065]化成コーティング溶液は多様な形態をとることができる。一部の実施形態において、化成コーティング溶液は上に記載された濃度の様々な化合物を有する最終の混合された溶液である。最終の混合された溶液の典型的な例は1部の三価クロム化成コーティング溶液濃縮物、1部の染料添加剤、および2部の水を含む。最終の混合された溶液は次いで本明細書に記載されるようにヒドロゲルに吸収され、化成コーティングアプリケーター100は既に混合されたすぐに使える製品として販売されることができる。
【0050】
[0066]三価クロム化成コーティング溶液はあらゆる適切な金属基材を処理するために使用されることができる。一部の実施形態において、三価クロム化成コーティング溶液はアルミニウム、マグネシウム、および/または亜鉛を含む基材を処理するために使用されることができる。基材は純粋なまたは商業的に純粋なアルミニウム、マグネシウム、または亜鉛であることができる。基材はまたこれらの金属の合金またはこれらの金属を含む合金であることもできる。
【0051】
[0067]他の実施形態において、化成コーティング溶液はバナジウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、および/またはチタンのようなバルブ金属を含む基材を処理するために使用されることができる。基材は純粋なまたは商業的に純粋な元素状バルブ金属であることができる。基材はまたバルブ金属の合金またはバルブ金属を含む合金であることもできる。
【0052】
[0068]金属基材は化成コーティング溶液で処理される前に別の処理に供されることができる。例えば、金属基材は化成コーティング溶液で処理される前に陽極酸化されることができる。
【0053】
[0069]金属基材は多様な形態をとることができる。一部の実施形態において、金属基材はより大きい金属部材または集合体の1つ以上の表面である。例えば、金属基材は航空機の曝露される金属表面であり得る。他の実施形態において、金属基材は、金属のモノリシックのブロックから作成されるかまたは多数の金属部品を一緒に結合して作成されることができる単一の部材である。
【0054】
[0070]化成コーティングアプリケーターにおける予備的な化学物質
[0071]一部の実施形態において、ヒドロゲル104は化成コーティング溶液ではなく予備的な化学物質を含んでもよい。すなわち、化成コーティング系は化成コーティングプロセスの異なる段階のためのヒドロゲルに注入された異なる化学物質をもつ複数の化成コーティングアプリケーターを含み得る。例えば、化成コーティングプロセスは、(a)金属基材への化成コーティングの塗工に先立って金属基材をクリーニングするステップ、(b)金属基材への化成コーティングの塗工に先立って金属基材を活性化するステップ、および(c)化成コーティングの金属基材への塗工後金属基材をクリーニングするステップを含み得る。ヒドロゲル104は、化成コーティングプロセスに先立って金属基材を調製し得る洗浄剤、活性化剤、スマット除去剤(desmutter)、および/または脱酸剤を含み得る。具体的には、洗浄剤、活性化剤、スマット除去剤、および/または脱酸剤は化成コーティングプロセスに先立ってヒドロゲル104に吸収され得、またヒドロゲル104から金属基材上に脱着させられ得る。
【0055】
[0072]一般に、アルミニウムの表面に化成コーティングを形成するには、コーティング化学種を阻害し得る土壌および酸化物を除去するために表面が機械的または化学的に調製される。機械的調製は典型的には、溶媒で拭いた後研磨パッドで機械的に磨耗させることを含む。化学的調製は典型的には、クリーニングおよび活性化を含む。いくつかの洗浄剤は単一のステップでクリーニングと活性化の両方を行なうことができる。処理される表面は化成コーティング処理に先立って「ウォーターブレイクフリー」の状態を示すべきである/示さなければならない。これは、表面をクリーニングし、あらゆる緩んだまたは付着した酸化物を表面から除去することにより行なわれる。
【0056】
[0073]アルカリ性または酸性の洗浄剤を含めて様々な種類の洗浄剤が使用され得る。洗浄剤は一般にアルミニウム用途で非食刻性であるが、いくつかの場合は食刻性洗浄剤が望まれる。製造プロセスにおいて、これらの洗浄剤は一般に有効にさせるために加熱される。冷たい洗浄剤は浸漬、噴霧、またはブラシがけ過程で十分に機能しない。硝酸を含む酸性活性化剤を含めて様々な種類の活性化剤が使用され得る。さらに、洗浄剤および/または活性化剤はスマット除去剤または脱酸剤を含み得る。用語「脱酸剤」とは、表面から酸化物を除去する溶液能力を指す。脱酸剤は過硫酸塩または過酸化物のような強い酸化性の化合物を含有し、通常酸性である。酸性の成分は硫酸、硝酸、クロム酸、およびフッ化水素酸のような酸を含むことができる。これらの酸は個別にまたは組み合わせて使用され得る。フッ化物はケイ素およびマグネシウム化合物の除去を強化するために加えられることが多い。第二鉄形態の鉄は酸化剤として使用される。その他の化学的前処理はアルカリ性エッチングを含む。
【0057】
[0074]化成コーティングアプリケーターを形成する方法
[0075]多様な方法が化成コーティングアプリケーターを形成するために使用されることができる。一般に、方法は、(a)第1のライナーを形成するステップ、(b)化成コーティング溶液を形成するステップ、(c)ヒドロゲルを第1のライナー上に形成するステップ、(d)化成コーティング溶液をヒドロゲル中に注入するステップ、(e)第2のライナーをヒドロゲルに取り付けるステップ、および/または(f)保存のために化成コーティングアプリケーターを包装密閉するステップの1つ以上を含むことができる。一部の実施形態において、(d)化成コーティング溶液をヒドロゲル中に注入するステップは、ヒドロゲルおよび第1のライナーを化成コーティング溶液中に浸し、化成コーティング溶液をヒドロゲル中に拡散させることを含み得る。別の実施形態において、(d)化成コーティング溶液をヒドロゲル中に注入するステップは、化成コーティング溶液をヒドロゲルおよび第1のライナー上に噴霧し、化成コーティング溶液をヒドロゲル中に拡散させることを含み得る。さらに別の実施形態において、(d)化成コーティング溶液をヒドロゲル中に注入するステップは、(c)ヒドロゲルを第1のライナー上に形成するに先立って化成コーティング溶液をポリマー中に混合し、同時にc)化成コーティング溶液と共にヒドロゲルを第1のライナー上に形成することを含み得る。
【0058】
[0076]加えて、一部の実施形態において、ヒドロゲルは特定の予め定められた配置で第1のライナー上に形成され得る。例えば、一部の実施形態において、化成コーティングアプリケーターが使用される金属基材は特定の形状を有し得る。浪費を低減するために、ヒドロゲルは、ヒドロゲルがその金属基材(substate)の特定の形状に対応する形状を有するように第1のライナー上に形成され得る。化成コーティングアプリケーターは本明細書に記載されるように金属基材上に塗工され、金属基材およびヒドロゲルの対応する形状は化成コーティングアプリケーターが金属基材(substate)の特定の領域を標的とすることを可能にし、浪費を低減する。より具体的には、
図2-8に示されるように、ヒドロゲルは金属基材上に鋭い境界のへりまたは線を形成することができる。すなわち、化成コーティング溶液は金属基材上でヒドロゲルを超えて流れ出ることがなく、金属基材の特定の領域の形状に対応するようにヒドロゲルを造形ことにより、化成コーティングアプリケーターが本明細書に記載されるコーティングを形成するために使用される化成コーティング溶液の量を低減することが可能になる。さらに、ヒドロゲルは第1のライナー上に形成された後に造形され得る。例えば、ヒドロゲルは、金属基材(substate)のある部分の特定の形状に対応する形状にヒドロゲルを形成するために、形成後裁断装置または方法(例えばレーザートリミング、X-Y移動ブレードカッター、ダイカット、等)を用いて切断され得る。
【0059】
[0077]予備的な化成コーティングアプリケーターを形成する方法
[0078]予備的な化成コーティングアプリケーターを形成するには多様な方法が使用されることができる。一般に、方法は、(a)第1のライナーを形成するステップ、(b)化成コーティング溶液を形成するステップ、(c)第1のライナー上にヒドロゲルを形成するステップ、(d)予備的な溶液をヒドロゲル中に注入するステップ、(e)第2のライナーをヒドロゲルに取り付けるステップ、および/または(f)保存のために予備的な化成コーティングアプリケーターを包装密閉するステップの1つ以上を含むことができる。一部の実施形態において、(d)予備的な溶液をヒドロゲル中に注入するステップは、ヒドロゲルおよび第1のライナーを予備的な溶液中に浸し、予備的な溶液をヒドロゲル中に拡散させることを含み得る。別の実施形態において、(d)予備的な溶液をヒドロゲル中に注入するステップは、予備的な溶液をヒドロゲルおよび第1のライナー上に噴霧し、予備的な溶液をヒドロゲル中に拡散させることを含み得る。さらに別の実施形態において、(d)予備的な溶液をヒドロゲル中に注入するステップは、(c)第1のライナー上にヒドロゲルを形成するステップに先立って予備的な溶液をポリマー中に混合し、同時にc)予備的な溶液をもつ第1のライナー上にヒドロゲルを形成することを含み得る。
【0060】
[0079]金属基材を化成コーティング塗工システムまたはアプリケーターで処理する方法
[0080]金属基材を化成コーティング塗工システムまたはアプリケーターで処理するには多様な方法が使用されることができる。一般に、方法は、(a)金属基材をクリーニングするステップ、(b)金属基材を活性化するステップ、(c)三価クロム化成コーティング溶液を金属基材に塗工するステップ(例えば化成コーティングアプリケーターを金属基材に塗工するステップ)、(d)化成コーティング溶液を金属基材から濯ぎ落すステップ、および(e)金属基材を(積極的または受動的に)乾燥するステップの1つ以上を含むことができる。一部の実施形態において、(a)金属基材をクリーニングするステップは、ヒドロゲル中にクリーニング溶液を有するクリーニングアプリケーターを金属基材に塗工することを含み得る。一部の実施形態において、(b)金属基材を活性化するステップは、ヒドロゲル中に活性化溶液を有する活性化剤アプリケーターを金属基材に塗工することを含み得る。一部の実施形態において、(d)化成コーティング溶液を金属基材から濯ぎ落すステップはヒドロゲル中にクリーニング溶液を有するクリーニングアプリケーターを金属基材に塗工することを含み得る。
【0061】
[0081]染料は三価クロム化成コーティング溶液の一体部分であるので、基材を被覆し染色するプロセスは単一のステップで行なわれることができるという点に注意されたい。金属基材を染色するための多くの慣用方法は2ステッププロセスである。かかるプロセスの第1のステップは、典型的には基材を浴に浸すことにより、化成コーティングを塗工することである。かかるプロセスの第2のステップは、染料を塗工することであり、これも典型的には、浸漬により行なわれる。本プロセスは化成コーティングを塗工し、同時に着色することができる。
【実施例】
【0062】
[0082]実施例
[0083]以下の実施例は開示された主題をさらに例示するために提供され、いかなる意味でも特許請求の範囲の範囲を制限または限定するために使用されるべきでない。
【0063】
[0084]実施例1
[0085]本明細書に記載された化成コーティングアプリケーターを用いて金属基材の第1のサンプル(アルミニウム)を化成コーティング溶液(CHEMEON eTCP)で被覆した。金属表面の調製(溶媒、水、または研磨クリーニング)は使用しなかった-アルミニウムの表面は供給元から受け取った状態のまま放置した。化成コーティングアプリケーターは、三価のクロム化合物を含む化成コーティング溶液にKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターを2分間浸すことにより形成した。Katecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターは表面と8分接触後化成コーティング溶液からふじ色を獲得する。化成コーティング溶液を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターを6061アルミニウム合金上に置く。
【0064】
[0086]
図2は化成コーティング溶液を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターにより塗工されたコーティングをもつ6061アルミニウム合金を示す概略図である。
図2に示されるように、基材上に陰影を付けた領域として示された化成コーティングが6061アルミニウム合金上に明らかに目に見えるように形成される。したがって、本明細書に記載される化成コーティングアプリケーターは6061アルミニウム合金を劣化から保護することができる化成コーティングを形成することができる。
【0065】
[0087]実施例2
[0088]本明細書に記載された化成コーティングアプリケーターを用いて金属基材の第2のサンプル(アルミニウム)を化成コーティング溶液(CHEMEON eTCP)で被覆した。化成コーティングアプリケーターは、8g/Lの三価のクロム化合物を含む化成コーティング溶液にKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターを5分浸すことにより形成した。アルミニウム基材は、イソプロパノールで拭って表面上の有機残渣を除くことにより調製した。Katecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターは化成コーティング溶液から紫色を獲得する。化成コーティング溶液を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターを6061アルミニウム合金上に8分間置く。
【0066】
[0089]
図3は化成コーティング溶液を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターにより塗工されたコーティングをもつ6061アルミニウム合金を示す概略図である。
図3に示されるように、
図2に示された陰影を付けた領域より暗い陰影を付けた領域として基材上に示される化成コーティングが明らかに目に見えるように6061アルミニウム合金上に形成される。したがって、本明細書に記載される化成コーティングアプリケーターは6061アルミニウム合金を劣化から保護することができる化成コーティングを形成することができる。
【0067】
[0090]実施例3
[0091]本明細書に記載された化成コーティングアプリケーターを用いて金属基材の第3のサンプル(アルミニウム)を化成コーティング溶液(CHEMEON eTCP)で被覆した。化成コーティングアプリケーターは、12g/Lの三価のクロム化合物を含む化成コーティング溶液にKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターを10分浸すことにより形成した。Katecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターは化成コーティング溶液から濃い紫色を獲得する。化成コーティング溶液を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターを6061アルミニウム合金上に8分置く。6061合金アルミニウム基材は、まずイソプロパノールで拭って指紋およびその他の取扱い残渣を除去し、次いでScotch Brite 07447パッドで大ざっぱに30秒磨耗させ、最後にイソプロパノールで拭って研磨仕上げ微粒子を除去することにより調製した。
【0068】
[0092]
図4は化成コーティング溶液を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターにより塗工されたコーティングをもつ6061アルミニウム合金を概略図である。
図4に示されるように、
図2および3に示された陰影を付けた領域より暗い陰影を付けた領域として基材上に示された化成コーティングが明らかに目に見えるように6061アルミニウム合金上に形成される。具体的には、化成コーティングは6061アルミニウム合金上で青紫の色合いを有する。接触領域のへりは鋭く目立つ。したがって、本明細書に記載される化成コーティングアプリケーターは6061アルミニウム合金を劣化から保護することができる化成コーティングを形成することができる。
【0069】
[0093]実施例4
[0094]本明細書に記載された化成コーティングアプリケーターを用いて金属基材の第4のサンプル(アルミニウム)を化成コーティング溶液(CHEMEON eTCP)で被覆した。化成コーティングアプリケーターは、12g/Lの三価のクロム化合物を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターを化成コーティング溶液中に10分浸すことにより形成した。Katecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターは化成コーティング溶液から濃い紫色を獲得する。化成コーティング溶液を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターを6061アルミニウム合金上に8分置く。実施例4において、化成コーティング溶液を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターはKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターがより大きい領域にわたって化成コーティングを形成する能力を試験するために約7.62cm(3インチ)×12.7cm(5インチ)の面積を有する。
【0070】
[0095]
図5は化成コーティング溶液を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターにより塗工されたコーティングをもつ6061アルミニウム合金を示す概略図である。ヒドロゲルアプリケーターは、KM50Kを12g/Lの三価のクロム化成コーティングの溶液に10分室温で浸すことにより調製した。6061アルミニウム基材は、表面をアセトンで、続いてイソプロパノールにより拭き、Scotch Brite 07447パッドで機械的に磨耗し、再びアセトンで、続いてイソプロパノールにより拭くことにより調製した。ヒドロゲルアプリケーターを調製されたアルミニウムに8分室温で塗工した。塗工時間の終了時、ヒドロゲルを除き、アルミニウムパネルを濯ぎ、乾燥した。
図5に示されるように、基材上に陰影を付けた部分として示される化成コーティングが明らかに目に見えるように6061アルミニウム合金上に形成される。特に、化成コーティングは6061アルミニウム合金上で目立つ青色の色合いを有する。被覆された基材の明るい部分も被覆されるが、その部分のコーティングはより少ない。より少ないコーティングの部分はヒドロゲルアプリケーターのしわのためである。したがって、本明細書に記載された化成コーティングアプリケーターは6061アルミニウム合金を劣化から保護することができる化成コーティングを形成することができる。
【0071】
[0096]実施例5
[0097]実施例4で被覆された6061アルミニウム合金を中性塩噴霧試験528時間供した。試験プロトコルはASTM B117 IAW MIL-DTL-5541およびMIL-DTL-81706に従う。
図6は中性塩噴霧試験に供された後の実施例4の6061アルミニウム合金を示す概略図である。
図6に示されるように、実施例4の6061アルミニウム合金は著しい腐食を受けない。したがって、化成コーティング溶液を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターにより形成されたコーティングはアルミニウム合金を腐食から保護する。
【0072】
[0098]実施例6
[0099]本明細書に記載されたクリーニングアプリケーターを用いて金属基材の5番目のサンプル(6061アルミニウム合金)をクリーニング溶液で被覆した。クリーニングアプリケーターは、Katecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターを、アルカリ性のホウ砂をベースとする洗浄剤である45g/LのChemeon(登録商標)Cleaner 1000(登録商標)のクリーニング溶液に浸すことにより形成した。Katecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターをクリーニング溶液に20分浸した。クリーニング溶液を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターを6061アルミニウム合金の上部領域上に25分室温で置く。
図7に示されるように、クリーニング溶液を含むKatecho(登録商標)のKM50K(登録商標)ヒドロゲルアプリケーターはウォーターブレイクフリーの表面を生成した。ウォーターブレイクフリー状態はヒドロゲルが満たされたクリーニングアプリケーターが表面を有効に洗浄したことを示す。
【0073】
[0100]実施例7
[0101]使用中のKatechoKM50Kアプリケーターを示すアプリケーター例
図8。アプリケーターを三価のクロム化成コーティング、12g/LのCHEMEON eTCP化成コーティングの溶液に浸した。浸漬時間は5分であった。アプリケーターはその形状を維持し、表面によく付着する。吸収された化学薬品は垂れたり流れたりしない。すなわち、アプリケーターが選択的な領域を標的とすることができ、コーティングを塗工する職人に対する化学薬品の曝露をできるだけ少なくすることを示す。
【0074】
[0102]専門用語および解釈慣習
[0103]特許請求の範囲または明細書に記載されるいかなる方法も他に断らない限りステップが特定の順序で実行されることを要すると解釈されるべきでない。また、他に断らない限り、これらの方法は、述べられたステップを任意の順序で行なうためのサポートを提供すると解釈されるべきである。
【0075】
[0104]空間または方向の用語、例えば「左」、「右」、「前」、「後」などは図面に示された主題に関する。しかしながら、記載された主題は様々な代わりの配向を仮定し得、したがって、かかる用語は限定すると考えるべきではないと理解されたい。
【0076】
[0105]「the」、「a」および「an」のような冠詞は単数または複数を示すことができる。また、単語「または(or)」は、付随する「いずれか一方(either)」(または「or」が排他的であるとはっきり意味されること-例えば、xまたはyの1つのみ、等を示す他の同様な言葉)がなく使用されるとき、包括的と解釈される(例えば、「xまたはy」がxまたはyの一方または両方を意味する)。
【0077】
[0106]用語「および/または」も包括的と解釈される(例えば、「xおよび/またはy」がxまたはyの一方または両方を意味する)。「および/または」または「または」が3つ以上の項目の群に対する接続詞として使用される状況において、その群は1つの項目単独、すべての項目、または項目のいずれかの組合せもしくはいくつかを含むと解釈されるべきである。
【0078】
[0107]用語「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、および「含む(including)」は用語「含む(comprise)」および「含む(comprising)」と同義と解釈されるべきである。これらの用語の使用はまた、これらの用語が「からなる(consisting)」または「から本質的になる(consisting essentially of)」により置き換えられたより狭い代わりの実施形態に対するサポートを開示し提供すると理解されるべきである。
【0079】
[0108]他に示さない限り、本明細書(特許請求の範囲以外)で使用される寸法、物理的特徴、などを表すようなすべての数または表現はすべての場合に用語「およそ」により修飾されていると理解される。少なくとも、また特許請求の範囲への均等論の適用を制限することなく、本明細書または特許請求の範囲で述べられる用語「およそ」により修飾された各々の数的パラメーターは述べられた有効数字の数に照らし、かつ通常の丸め法を適用することにより解釈されるべきである。
【0080】
[0109]すべての開示された範囲は各々の範囲に含まれるいずれかおよびすべての部分範囲またはいずれかおよびすべての個々の値を述べる特許請求の範囲に対するサポートを包含し提供すると理解されるべきである。例えば、述べられた範囲1~10はいずれかおよびすべての部分範囲または最小の値1から最大の値10までの両端を含めてその間の個々の値;すなわち、1以上の最小の値で始まり10以下の最大の値で終わるすべての部分範囲(例えば、5.5~10、2.34~3.56、など)または1~10のあらゆる値(例えば、3、5.8、9.9994、など)を述べる特許請求の範囲に対するサポートを包含し提供すると考えられるべきである。
【0081】
[0110]すべての開示された数値はどちらか一方の方向に0-100%変化し得ると理解され、したがってかかる値またはかかる値により形成されることができるいずれかおよびすべての範囲もしくは部分範囲を述べる特許請求の範囲に対するサポートを提供する。例えば、8という述べられる数値は0~16で変化すると(どちらの方向にも100%)理解されるべきであり、その範囲自体(例えば、0~16)、その範囲内のあらゆる部分範囲(例えば、2~12.5)またはその範囲内のあらゆる個々の値(例えば、15.2)を述べる特許請求の範囲に対するサポートを提供する。
【0082】
[0111]特許請求の範囲に述べられる用語は、広く使用される一般的な辞書および/または関連する技術辞書の関連する項目を参照して決定されるその通常のおよび慣例的な意味、当業者により一般に理解される意味、等が与えられるが、これらの情報源のいずれか1つまたは組合せにより付与される最も広い意味は特許請求の範囲の用語に与えられるべきである(例えば、項目の組合せの最も広い意味を提供するには2つ以上の関連する辞書の項目が組み合わせられるべきである、等)という理解の下で、以下の例外のみに従う:(a)ある用語がその通常のおよび慣例的な意味より広範囲であるように使用されるならば、その用語はその通常のおよび慣例的な意味プラス付加的な広範囲の意味が与えられるべきである、または(b)ある用語が、「この文書で使用されるときは~を意味する」または同様な言葉(例えば、「この用語は~を意味する」、「この用語は~として定義される」、「この開示の目的からはこの用語は~を意味する」、等)という句を伴うことにより、異なる意味を有すると明確に定義されているならば。特定の例への参照、「すなわち」の使用、単語「発明」の使用、等は例外(b)を引き起こすか、または他の点で述べられた特許請求の範囲の用語の範囲を制限することを意味しない。例外(b)が適用される状況以外、特許請求の範囲の放棄または否認と考えられる記載はこの文書には含まれていない。
【0083】
[0112]特許請求の範囲に述べられる主題はこの文書に記載されたかまたは示されたいずれかの実施形態、特徴、または特徴の組合せと同じ外延を有するものではなく、またそれらと同じ外延を有すると解釈されるべきではない。これは、特徴または特徴の組合せの唯一の実施形態のみがこの文書に示され記載されても真である。
【0084】
[0113]参照による援用
[0114]以下に掲げる文書の各々の全内容は参照によりこの文書に組み込まれる。この文書と組み込まれる文書の1つ以上との両方で同じ用語が使用されるならば、その用語がこの文書で異なる意味を有すると明確に定義されていない限り、これらの情報源のいずれか1つまたは組合せにより付与される最も広い意味を有すると解釈されるべきである。以下の文書のいずれかとこの文書で不一致があれば、この文書が適用される。組み込まれる主題は明確に述べられたかまたは描かれた主題の範囲を制限したりまたは狭めたりするために使用されてはならない。
-2017年2月1日に出願された「染色された非六価クロム化成コーティング(Dyed Non-Hexavalent Chromium Conversion Coating)」と題する米国仮出願第62/453,495号(本願に添付)。
-2017年11月17日に出願された「染色された三価クロム化成コーティング(Dyed Trivalent Chromium Conversion Coatings)」と題する米国仮出願第62/588,129号(本願に添付)。
-2019年12月31日に出願され、2020年5月7日に公開された「染色された三価クロム化成コーティングおよびその使用方法(Dyed Trivalent Chromium Conversion Coatings and Methods of Using Same)」と題する米国特許出願第6/732,101号。
-2020年1月14日に発行された「染色された三価クロム化成コーティングおよびその使用方法(Dyed Trivalent Chromium Conversion Coatings and Methods of Using Same)」と題する米国特許第10,533,254号。
-2019年8月27日に出願され、2019年12月19日に公開された「pH安定三価クロムコーティング溶液(pH Stable Trivalent Chromium Coating Solutions)」と題する米国特許出願第16/552,996号。
-2019年9月3日に発行された「pH安定三価クロムコーティング溶液(pH Stable Trivalent Chromium Coating Solutions)」と題する米国特許第10,400,338号。
-2010年2月16日に出願され、2013年6月26日に発行された「化成コーティングおよびクロムなし陽極酸化シーラー(Conversion Coating and Anodizing Sealer with No Chromium)」と題する米国特許第8,486,203号(出願番号第12/706,360号)。
-2000年10月31日に出願され、2002年4月23日に発行された「アルミニウムおよびアルミニウム合金に対する腐食耐性コーティング(Corrosion Resistant Coatings for Aluminum and Aluminum Alloys)」と題する米国特許第6,375,726号(出願番号第09/702,225号)。
-2001年11月6日に出願され、2003年1月28日に発行された「陽極酸化されたアルミニウムに対する後処理(Post-Treatment for Anodized Aluminum)」と題する米国特許第6,511,532号(出願番号第10/012,982号)。
-2002年4月5日に出願され、2003年2月18日に発行された「アルミニウムおよびアルミニウム合金に対する前処理(Pretreatment for Aluminum and Aluminum Alloys)」と題する米国特許第6,521,029号(出願番号第10/116,844号)。
-2001年11月6日に出願され、2003年3月4日に発行された「金属被覆された基材に対する後処理(Post-Treatment for Metal Coated Substrates)」と題する米国特許第6,527,841号(出願番号第10/012,981号)。
-2003年1月23日に出願され、2003年12月30日に発行された「アルミニウムおよびアルミニウム合金に対する前処理(Pretreatment for Aluminum and Aluminum Alloys)」と題する米国特許第6,669,764号(出願番号第10/351,752号)。
-2002年6月27日に出願され、2006年3月28日に発行された「腐食耐性三価クロムリン酸塩化学化成コーティング(Corrosion Resistant Trivalent Chromium Sulfated Chemical Conversion Coatings)」と題する米国特許第7,018,486号(出願番号第10/187,179号)。
-2013年1月23日に公開された「自動車部品の表面に対する低温耐食性保護剤(Low-temperature anti-corrosion protective agent for surfaces of automobile parts)」と題する中国特許出願公開第102888138号の腐食防止剤化合物を開示し記載する部分(本願に添付)。
【国際調査報告】