(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-10
(54)【発明の名称】高圧縮強度を有するグラスアイオノマーセメントを製造するためのパーツキット
(51)【国際特許分類】
A61K 6/831 20200101AFI20250703BHJP
A61K 6/889 20200101ALI20250703BHJP
A61K 6/17 20200101ALI20250703BHJP
【FI】
A61K6/831
A61K6/889
A61K6/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024575473
(86)(22)【出願日】2023-05-31
(85)【翻訳文提出日】2024-12-23
(86)【国際出願番号】 IB2023055598
(87)【国際公開番号】W WO2024003631
(87)【国際公開日】2024-01-04
(32)【優先日】2022-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524062087
【氏名又は名称】ソルベンタム インテレクチュアル プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ミクッラ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ブラウン
【テーマコード(参考)】
4C089
【Fターム(参考)】
4C089AA06
4C089AA09
4C089BA04
4C089BA05
4C089BA06
4C089BA13
4C089BC05
4C089BC12
4C089BE02
(57)【要約】
本発明は、グラスアイオノマー組成物を得るためのパーツキットであって、パーツキットは、パーツPとパーツLとを含み、パーツPは、酸反応性ガラスを含む粉末であり、パーツLは、水を含む液体であり、パーツキットは更に、ポリカルボン酸を含み、ポリカルボン酸は、パーツP若しくはパーツL中又はパーツPとパーツLとの中に存在し、ポリカルボン酸は、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマーを含み、酸反応性ガラスは、P:0~4重量%、F:10~18重量%、O:25~35重量%、Si:10~16重量%、Al:11~19重量%、Sr:20~40重量%、La:0~4重量%を含み、Al、Sr及びFの合計量は、48重量%超であり(重量%は、酸反応性ガラスの重量に対するものである)、酸反応性ガラス中のAlとSiとの比が、重量に対して1/1超であることを特徴とする、パーツキットに関する。本発明はまた、グラスアイオノマー組成物の機械的強度を改善するための、特定のポリカルボン酸と組み合わせた特定の酸反応性ガラスの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラスアイオノマー組成物を得るためのパーツキットであって、前記パーツキットは、パーツPとパーツLとを含み、
パーツPは、酸反応性ガラスを含む粉末であり、
パーツLは、水を含む液体であり、
前記パーツキットは、ポリカルボン酸を更に含み、前記ポリカルボン酸は、パーツP若しくはパーツL中又はパーツPとパーツLとの中に存在し、前記ポリカルボン酸は、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマーを含み、
前記酸反応性ガラスは、P:0~4重量%、F:10~18重量%、O:25~35重量%、Si:10~16重量%、Al:11~19重量%、Sr:20~40重量%、La:0~4重量%を含むことを特徴とし、
Al、Sr及びFの合計量は、48重量%超であり(重量%は、前記酸反応性ガラスの重量に対するものである)、前記酸反応性ガラス中のAlとSiとの比が、重量に対して1/1超である、パーツキット。
【請求項2】
前記パーツキットが、パーツPとパーツLとを含み、
パーツPが、酸反応性ガラスを含む粉末であり、
パーツLが、水及びポリカルボン酸を含む液体であり、
前記ポリカルボン酸が、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマーを含み、
前記酸反応性ガラスが、
P:0~4重量%、又は0~3重量%、
F:10~18重量%、又は11~16重量%、
O:25~35重量%、又は28~34重量%、
Si:10~16重量%、又は11~14重量%、
Al:11~19重量%、又は12~18重量%、
Sr:20~40重量%、又は20~35重量%、
La:0~4重量%、又は0~3重量%を含むことを特徴とし、
Al、Sr及びFの合計量が、48重量%超であり(重量%は、前記酸反応性ガラスの重量に対するものである)、前記酸反応性ガラス中のAlとSiとの比が、重量に対して1/1超である、特に請求項1に記載のパーツキット。
【請求項3】
前記酸反応性ガラスが、10~15μm(d90)及び1~2μm(d50)の粒径分布を有する、請求項1又は2に記載のパーツキット。
【請求項4】
前記酸反応性ガラスが、それを酸で処理し、続いて水で洗浄し、乾燥することによって不活性化されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のパーツキット。
【請求項5】
前記酸反応性ガラスが、以下の元素:Li、K、Rb、Cs、Be、Mgを単独で又は組み合わせて、前記酸反応性ガラスの重量に対してそれぞれ0.2重量%又は0.1重量%を超える量で含まない、請求項1~4のいずれか一項に記載のパーツキット。
【請求項6】
前記ポリカルボン酸が、5,000~250,000g/mol又は10,000~100,000g/molの範囲の分子量Mwを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のパーツキット。
【請求項7】
前記アクリル酸及びマレイン酸が、35~65%マレイン酸対65~35%アクリル酸、又は40~60%マレイン酸対60~40%アクリル酸のモル比で前記ポリカルボン酸中に存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載のパーツキット。
【請求項8】
更に錯化剤を含み、前記錯化剤は、前記パーツL若しくはパーツP中又はパーツLとパーツPとの中に存在し、前記錯化剤は、好ましくは、酒石酸、ヒドロキシブタンジオン酸、アルダル酸、ホスホノコハク酸及びそれらの混合物から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載のパーツキット。
【請求項9】
パーツP及びパーツLが、重量に対して6:1~1:1の範囲の混合比で提供される、請求項1~8のいずれか一項に記載のパーツキット。
【請求項10】
非酸反応性充填剤を更に含み、前記非酸反応性充填剤は、好ましくは、石英、窒化物、Zr、Sr、C、Sb、Sn、Ba、Zn及びAlから誘導されるガラス、ホウケイ酸ガラス、カオリン、シリカ、アルミナ、チタニア又はジルコニアの粒子、及びそれらの混合物から選択され、前記非酸反応性充填剤は、パーツP中に存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載のパーツキット。
【請求項11】
前記成分が、以下の量:
酸反応性ガラス:25~86重量%、
非酸反応性充填剤:0~35重量%、
ポリカルボン酸:3~35重量%、
水:2~35重量%、
錯化剤:0~15重量%、
添加剤:0~10重量%、で存在する
(重量%は、パーツPとパーツLとを合わせたときに得られる前記組成物の重量に対するものである)、請求項1~10のいずれか一項に記載のパーツキット。
【請求項12】
前記成分が、
前記酸反応性ガラスが、10μm(d90)及び2μm(d50)の粒径分布を有すること、
前記酸反応性ガラスが、酸で処理し、続いて水で洗浄し、乾燥させることによって不活性化されていること、
前記ポリカルボン酸が、10,000~100,000g/molの範囲の分子量Mwを有すること、
前記アクリル酸及びマレイン酸が、前記ポリカルボン酸中に、マレイン酸35~65%及びアクリル酸65~35%、又はマレイン酸40~60及びアクリル酸60~40のモル比で存在すること、
パーツPが、アルミノシリケートから選択される非酸反応性ガラスを更に含むこと、
を特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のパーツキット。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のパーツキットのパーツP及びパーツLを混合することによって得られるか又は得られたグラスアイオノマー組成物であって、固化後に以下の特性:
曲げ強度:EN-ISO 9917-2:2010に従って測定された20MPa~80MPa;
圧縮強度:前記組成物を被覆するために、ガラススラブが箔の代わりに使用される、EN-ISO 9917-1/2007に従って測定された300~400MPa;
表面硬度:ISO 2039-1に従って測定された150~250MPa、の単独又は組み合わせた特性を特徴とする、グラスアイオノマー組成物。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載のパーツキットと、以下の物品:活性化装置;混合装置;適用装置;歯科用ミリングブロック;予備成形された歯科修復物、のうちの少なくとも1つと、を含むパーツキット。
【請求項15】
グラスアイオノマー組成物の機械的強度を改善するための、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリカルボン酸と組み合わせた、請求項1~12のいずれか一項に記載の酸反応性ガラスの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮強度などの特に有益な機械的特性を有するグラスアイオノマー組成物を製造するためのパーツキットに関する。
【0002】
グラスアイオノマー組成物は、充填材料として、及び歯冠又はブリッジなどの歯科修復物を歯の表面に固定するために使用することができる。
【背景技術】
【0003】
グラスアイオノマーセメントは、歯科修復治療のために30年以上にわたって使用されてきた。
【0004】
典型的には、グラスアイオノマーセメントは、粉末パーツを液体パーツと混合することによって反応される。
【0005】
粉末成分は、典型的には、必須又は重要な成分として酸反応性充填剤(例えば、フルオロアルミノシリケートガラス)を含む。
【0006】
液体成分は、典型的には、必須成分として、水、ポリカルボン酸、及び硬化特性を調整するための錯化剤又はキレート剤(例えば、酒石酸)を含む。
【0007】
グラスアイオノマーセメントの主な利点は、歯構造への自己接着性、フッ化物放出、及び一度に定置される能力(バルクフィル)であると言われている。
【0008】
一部の医師によって報告された1つの欠点は、樹脂ベースの複合充填材料について報告された物理的-機械的特性と比較して、グラスアイオノマーセメントの脆い性質及び比較的低い物理的-機械的特性である。
【0009】
グラスアイオノマーセメントの機械的特性を改善するための様々なアプローチがある。
【0010】
米国特許第4,376,835号(Schmittら)には、カルシウムアルミニウムフルオロシリケートガラス粉末が記載されており、ここでは粉末粒子の表面のカルシウムが枯渇している。ガラス粉末は、カルシウムアルミニウムフルオロシリケート粉末粒子をカルシウム塩を形成する酸で表面処理し、処理された粒子からカルシウム塩を洗浄除去し、洗浄された粒子を乾燥することによって調製することができる。
【0011】
国際公開第2015/088956(A1)号(3M IPC)は、グラスアイオノマーセメントを調製するためのパーツキットに関し、キットは、パーツPとパーツLとを含み、パーツPは、一定量の3.5~10μmの範囲の平均粒径を有する酸反応性無機充填剤、一定量の1.0~3.5μmの範囲の平均粒径を有する非酸反応性充填剤を含む粉末であり、パーツPは、1重量%を超える量のポリカルボン酸を含まず、パーツLは、液体であり、一定量のポリカルボン酸、水及び錯化剤を含む。
【0012】
米国特許第10,080,708(B2)号(3M)は、グラスアイオノマーセメントを調製するためのパーツキットを記載しており、このキットは、パーツA及びパーツBを含み、パーツAは粉末であり、約60重量%を超える量の3.5~10μmの範囲の平均粒径を有する酸反応性充填剤、約1重量%を超える量の1~3.5μmの範囲の平均粒径を有する非酸反応性充填剤を含み、パーツBは液体であり、ポリ酸、水及び錯化剤を含む。有用な酸反応性ガラスは、1.5又は1.4又は1.3未満のSi/Al比(重量%)を有すると言われている。最大271MPaの圧縮強度値が報告されている。
【0013】
米国特許第4,900,697号(GC)は、0.02~10μmの平均粒径を有し、20~50重量%のSiO2、20~40重量%のAl2O3、15~40重量%のSrO、1~20重量%のF2及び0~15重量%のP2O5から本質的になり、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg及びBaイオンを含まない歯科用グラスアイオノマーセメント用のフルオロアルミノシリケートガラス粉末に関する。グラスアイオノマーセメント組成物を製造するために、ガラス粉末を、ポリアクリル酸、アクリル酸コポリマー又はポリマレイン酸などのポリマー酸と反応させる。237MPaまでの圧縮強度値が報告されている。
【0014】
国際公開第2021/049269(A1)号(GC)には、化学重合開始剤用のガラス粉末が記載されており、このガラス粉末は、二剤式歯科用重合性組成物の貯蔵安定性を改善するために、アルミニウム、ケイ素、及び銅又はバナジウムの少なくとも1つを含む。実施例で使用されるガラスのAl/Si比は1超である。
【発明の概要】
【0015】
特に短時間後に、圧縮強度及び/又は表面硬度などの適切な機械的特性を有するグラスアイオノマー組成物が依然として必要とされている。
【0016】
更に、グラスアイオノマー組成物は、使用が容易であり、耐湿性であり、歯の色であり、生体適合性であるべきである。
【0017】
理想的には、グラスアイオノマー組成物は、アマルガム代替物として有用であるべきであり、本質的にモノマーを含むべきではない。
【0018】
一実施形態では、本発明は、本明細書及び特許請求の範囲に記載されるパーツキットを特徴とする。
【0019】
パーツキットは、パーツPとパーツLとを含み、パーツPは酸反応性ガラスを含む粉末であり、パーツLは水を含む液体であり、
パーツキットが、ポリカルボン酸を更に含有し、ポリカルボン酸が、パーツP若しくはパーツL中又はパーツPとパーツLとの中に存在し、ポリカルボン酸が、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマーを含み、
酸反応性ガラスが、
P:0~4重量%、又は0~3重量%、
F:10~18重量%、又は11~16重量%、
O:25~35重量%、又は28~34重量%、
Si:10~16重量%、又は11~14重量%、
Al:11~19重量%、又は12~18重量%、
Sr:20~40重量%、又は20~38重量%、
La:0~4重量%、又は0~3重量%を含むことを特徴とし、
Al、Sr及びFの合計量が、48重量%超であり(重量%は、酸反応性ガラスの重量に対するものである)、酸反応性ガラス中のAlとSiとの比が、重量に対して1/1超である。
【0020】
別の実施形態では、本発明は、本明細書及び特許請求の範囲に記載されるパーツキットから得られるグラスアイオノマー組成物に関する。
【0021】
本発明はまた、以下の物品:活性化装置、適用装置、混合装置、歯科用ミリングブロック、予備成形された歯科修復物、を単独で又は組み合わせて更に含むパーツキットに関する。
【0022】
本発明はまた、グラスアイオノマー組成物の機械的強度を改善するための、本明細書に記載される酸反応性ガラス及びポリカルボン酸の組み合わせの使用に関する。
【0023】
本発明の更なる実施形態は、本明細書及び特許請求の範囲に記載されるように、患者の口腔内の歯の欠陥を治療する方法において使用するためのグラスアイオノマー組成物に関する。
【0024】
別段の定義のない限り、本明細書では、以下の用語は、以下に記載の意味を有するものとする。
【0025】
「化合物」又は「成分」という用語は、特定の分子同一性を有するか、又はそのような物質の混合物、例えばポリマー物質からなる化学物質である。
【0026】
「固化性又は硬化性又は重合性成分」は、例えば光開始剤の存在下で、放射線誘導重合によって、又はガラス-アイオノマー反応、すなわちポリ酸と酸反応性充填剤との間の反応によって硬化又は固化することができる任意の成分である。重合性成分は、1つのみ、2つ、又は3つ以上の重合性基を含有し得る。重合性基の典型的な例としては、とりわけ(メチル)アクリレート基中に存在するビニル基などの不飽和炭素基が挙げられる。
【0027】
本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を指す省略語である。例えば、「(メタ)アクリルオキシ」基は、アクリルオキシ基(すなわち、CH2=CH-C(O)-O-)及び/又はメタクリルオキシ基(すなわち、CH2=C(CH3)-C(O)-O-)のいずれかを指す省略語である。
【0028】
本明細書で使用される場合、組成物の「固化」又は「硬化」は、互換的に使用され、例えば、組成物中に含まれる1種以上の材料が関与する、光重合反応及び化学重合技術(例えば、エチレン性不飽和化合物を重合するのに有効なラジカルを形成するイオン反応又は化学反応)を含む重合及び/又は架橋反応を指す。
【0029】
「開始剤」は、ラジカル重合性成分又はモノマーの硬化プロセス、例えば、酸化還元/自己硬化化学反応、又は放射線誘導反応、又は加熱誘導反応を始める又は開始することができる物質である。
【0030】
「歯科修復物」は、治療される歯を修復するために使用される歯科用物品を意味する。歯科修復物の例としては、充填物、クラウン、ブリッジ、インレー、アンレー、ベニヤ、前装、コーピング、クラウンブリッジフレームワーク、及びこれらのパーツが挙げられる。
【0031】
「粒子」は、幾何学的に決定され得る形状を有する固体である物質を意味する。形状は規則的であっても不規則であってもよい。粒子は、典型的には、例えば粒径及び粒径分布に関して解析することができる。
【0032】
粉末の粒径(d50)は、粒子径分布の累積分布曲線から得ることができる。それぞれの測定は、市販の粒度計(例えば、Malvern Mastersizer 3000)を使用して行うことができる。「D」は粉末粒子の直径を表し、「50」は粒子の体積百分率を指す。50%を「0.5」と表現することもある。例えば、「(d50)=1μm」は、粒子の50%が1μm以下のサイズを有することを意味する。
【0033】
「粉末」は、振盪又は傾斜させたときに自由に流動し得る多数の微粒子から構成される乾燥したバルク固体を意味する。
【0034】
「グラスアイオノマーセメント」又は「GIC」は、水の存在下で酸反応性ガラスとポリカルボン酸との間の反応によって硬化又は固化するセメントを意味するものとする。
【0035】
「レジン添加型グラスアイオノマーセメント」又は「RM-GIC」は、ラジカル重合性成分、開始剤系及び典型的には2-ヒドロキシル-エチル-メタクリレート(HEMA)を更に含有するGICを意味するものとする。
【0036】
本明細書に記載されるパーツキットは、グラスアイオノマーセメントに関するが、レジン添加型グラスアイオノマーセメントに関するものではない。
【0037】
「酸反応性充填剤又はガラス」は、酸性成分の存在下で化学的に反応する充填剤又はガラスを意味するものとする。
【0038】
「非酸反応性充填剤」は、(ポリ)酸と混合された場合に6分以内に化学反応を全く示さないか、又は低減された(すなわち時間遅延された)反応のみを示す充填剤を意味するものとする。
【0039】
酸反応性充填剤を非酸反応性充填剤から区別するために、以下の試験を行うことができる、又は行うべきである。
【0040】
パーツPとパーツLとを3:1の質量比で混合することによって組成物を調製し、ここで:
パーツPは、分析される充填剤:100重量%を含有する。
【0041】
パーツLは、ポリ(アクリル酸coマレイン酸)(Mw:約18,000+/-3,000):43.6重量%、水:47.2重量%、酒石酸:9.1重量%、安息香酸:0.1重量%を含有する。
【0042】
上記組成物を調製した後6分以内に、以下の条件:8mmプレート、0.75mmギャップ、28℃、周波数:1.25Hz、変形:1.75%の使用を適用することによってレオメーターを使用して振動測定を行うことによって決定される場合のせん断応力が50,000Pa未満である場合、充填剤は非酸反応性であると特徴付けられる。
【0043】
「カチオン低減アルミノシリケートガラス」は、ガラス粒子の内部領域と比較して、ガラス粒子の表面領域においてより低いカチオン含有量を有するガラスを意味するものとする。
【0044】
これらのガラスは、典型的な酸反応性充填剤と比較して、水中のポリアクリル酸の溶液と接触すると、はるかにゆっくりと反応する。非酸反応性充填剤の例としては、石英ガラスが挙げられる。更なる例を以下の本文に示す。
【0045】
カチオンの低減は、ガラス粒子の表面処理によって達成することができる。好適な表面処理としては、酸洗浄(例えば、リン酸又は塩酸による処理)、リン酸塩による処理、又は酒石酸などのキレート剤による処理が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
「ポリカルボン酸又はポリカルボン酸又はポリアルケン酸」は、複数の酸性繰り返し単位(例えば、10超、又は20超、又は50超)を有するポリマーを意味するものとする。すなわち、酸性繰り返し単位は、ポリマーの主鎖に結合している、又は主鎖からぶら下がっている。
【0047】
「錯化剤」又は「キレート剤」は、部分を含み、カルシウム又はマグネシウムのような金属イオンと錯体を形成することができる低分子剤、例えば酒石酸を意味するものとする。用語「錯化剤」及び「キレート剤」は、交換可能である。
【0048】
「貯蔵安定性組成物」は、使用時に重大な性能問題(例えば、曲げ強度又は圧縮強度の低下、及び/又は所望の期間で固化しない(例えば、6分を超える硬化時間))を示すことなく、適切な期間(例えば、周囲条件下で少なくとも約12ヶ月)貯蔵することができる組成物である。貯蔵安定性を決定するための適切な試験は、以下の実施例のセクションにおいて与えられる。
【0049】
「周囲条件」は、本明細書に記載される組成物が、貯蔵及び取り扱い中に通常さらされる条件を意味する。周囲条件は、例えば、圧力900~1,100mbar、温度10~40℃、及び相対湿度10~100%としてもよい。実験室では、周囲条件は、典型的には、20~25℃及び1,000~1,025mbar(海面気圧で)に調整される。
【0050】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの(at least one)」、及び「1つ以上の(one or more)」は、互換的に使用される。また、本明細書において、端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0051】
用語に「(複数可)」を付加することは、その用語が単数形及び複数形を含むべきであることを意味する。例えば、用語「添加剤(複数可)(additive(s))」は、1種の添加剤及びそれよりも多い(例えば2種、3種、4種などの)添加剤を意味する。
【0052】
別段の指示がない限り、以下に記載され、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、物理的特性の測定値などを表す全ての数は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。
【0053】
用語「含む(comprise)」又は「含有する(contain)」及びそれらの変化形は、これらの用語が本明細書及び特許請求の範囲で記載される場合、限定的な意味を有しない。「から本質的になる(consisting essentially of)」は、特定の更なる成分、すなわち、物品又は組成物の本質的な特性に実質的に影響を及ぼさない成分が存在し得ることを意味する。「からなる(consisting of)」は、更なる成分が存在すべきではないことを意味する。用語「含む(comprise)」は、用語「から本質的になる(consist essentially of)」及び「からなる(consists of)」も含むものとする。
【0054】
組成物が本質的な特徴として特定の成分を含有しない場合、組成物は上記成分を「本質的に又は実質的に含まない(essentially or substantially free of)」。したがって、上記成分は、そのままで、又は他の成分若しくは他の成分の構成要素と組み合わせて組成物に故意に添加されることはない。特定の成分を本質的に含まない組成物は、通常、その成分を全く含有しない。しかしながら、例えば、使用される原料に含まれる不純物(例えば、組成物又は材料全体に対して1重量%未満、又は0.5重量%未満、又は0.1重量%未満、又は0.01重量%未満)のために、少量の当該成分の存在が避けられない場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本文に記載されたパーツキット及びグラスアイオノマー組成物は、いくつかの有利な特性を有することが見出された。
【0056】
固化グラスアイオノマー組成物は、高い圧縮強度及び/又は表面硬度のような有利な機械的強度特性を示す。
【0057】
特に、グラスアイオノマー組成物は、短時間の後に十分な表面硬度を示す。これにより、医師は、必要に応じて、材料を適用した直後に既に充填物の表面及び/又は形状を更に整えることができる。
【0058】
更に、パーツキットの粉末パーツ及び液体パーツの成分は容易に混合することができ、それぞれの成分、特にポリカルボン酸及び酸反応性ガラスは円滑な固化反応を示す。
【0059】
特定のポリカルボン酸と特定の酸反応性ガラスとの組み合わせが、機械的特性の改善に寄与することが見出された。
【0060】
特許請求の範囲に記載されたAl/Si比と、Al、Sr及びFの組み合わせの比較的高い含有量とを有する酸反応性ガラスは、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマーを含むポリカルボン酸の反応性と非常によく一致する反応性を示す。
【0061】
所望であれば、非酸反応性ガラスの粒径分布を調整して、機械的特性を更に改善することができる。
【0062】
本発明は、グラスアイオノマー組成物を得るためのパーツキットに関する。パーツキットは、パーツPとパーツLとを含むか、又はこれらから本質的になるか、又はこれらからなる。
【0063】
パーツPは、粉末成分又は組成物である。パーツLは、液体成分又は組成物である。
【0064】
パーツLは、典型的には、1~500Pa*s、又は1~100Pa*s、又は1~50Pa*s、又は1~10Pa*sの範囲内の粘度によって特徴付けることができ(28℃;直径10mm;せん断速度:1s-1)、1~50Pa*s又は1~10Pa*sの範囲の粘度が多くの場合に好ましく;密度は1.1~2.0g/cm3である。
【0065】
一実施形態によれば、パーツLは、水、ポリカルボン酸、及び任意選択で錯化剤又はキレート剤を含む。
【0066】
グラスアイオノマー組成物を得るためには、本明細書に記載のパーツキットのパーツを混合する必要がある。
【0067】
適切な混合比は、典型的には、重量に対して6:1~1:1の範囲内である。重量に対して4:1~1:1の混合比が好ましい場合がある。
【0068】
パーツキットのパーツPは、酸反応性ガラスを含む。
【0069】
酸反応性ガラスの以下の粒径分布が有用であることが分かった:15μm(d90)及び2μm(d50)。すなわち、粒子の90%が15μm以下のサイズを有し、粒子の50%が2μm以下のサイズを有する。これは、粒子の10%が依然として15μm超のサイズを有することを意味する。
【0070】
特定の理論に束縛されることを望むものではないが、そのような粒子分布は、硬化組成物中のガラス粒子の実装密度を増加させるのに役立ち、圧縮強度の増加に寄与すると考えられる。
【0071】
あるいは、以下の粒径分布が有用であることが見出された:10μm(d90)及び1μm(d50)。
【0072】
酸反応性ガラスの組成は、P:0~4重量%、F:10~18重量%、O:25~35重量%、Si:10~16重量%、Al:11~19重量%、Sr:20~40重量%、La:0~4重量%であり、Al、Sr及びFの合計量は、48重量%超又は50重量%超である。
【0073】
あるいは、以下の酸反応性ガラス組成物を使用することができ:P:0~3重量%、F:11~16重量%、O:28~34重量%、Si:11~14重量%、Al:12~18重量%、Sr:20~38重量%、La:0~3重量%であり、Al、Sr及びFの合計量は、48重量%超又は50重量%超である。
【0074】
酸反応性ガラスは、各ガラス成分を含有するガラスフリットを溶融し、所望の粒度分布が得られるまでガラスフリットを破砕及び粉砕することによって製造することができる。
【0075】
使用できるガラス成分には、Al2O3、SiO2、SrF2及びAlF3水和物又はAlF3が含まれる。
【0076】
ガラスフリットのミリング又は粉砕は、例えばボールミルを用いて行うことができる。
【0077】
本発明の酸反応性ガラスのAl/Si比は、重量に対して1/1より大きい。これは、酸反応性ガラスがSiよりもAlを多く含有することを意味する。重量に対して1.0/1.0超~1.6/1.0、又は1.0/1.0超~1.4/1.0の範囲のAl/Si比がしばしば好ましい。
【0078】
このような比は、ポリカルボン酸に対するガラスの反応性に影響を与えるので、有用であることが分かった。
【0079】
酸反応性ガラスは、典型的には、以下の元素:Li、K、Rb、Cs、Be、Mgを単独で又は組み合わせて、酸反応性ガラスの重量に対してそれぞれ0.2重量%を超える量で含まない。
【0080】
その反応性を調整するために、酸反応性ガラスは、ガラス粉末を酸、特に3未満のpKsを有する酸、例えば塩酸で処理し、続いて水で洗浄し、乾燥することによって不活性化することができる。
【0081】
このような方法によって処理されたガラス粉末は、反応性が低い。より反応性の低いガラス粉末を使用することによって、ポリカルボン酸との固化反応は、より遅く、より制御された方法で進行し、これは、固化グラスアイオノマー組成物の機械的特性に更に寄与し得る。
【0082】
このようなプロセスによって得られるガラスは、多くの場合、カチオン低減アルミノケイ酸塩ガラスと呼ばれる。
【0083】
酸反応性ガラスは、典型的には、以下の量:少なくとも25重量%若しくは少なくとも35重量%若しくは少なくとも45重量%;最大86重量%若しくは最大83重量%若しくは最大80重量%;又は25~86重量%若しくは35~83重量%若しくは45~80重量%の範囲で存在する(重量%は、パーツPとパーツLとを合わせたときに得られる組成物の重量に対するものである)。
【0084】
酸反応性無機充填剤の量が少なすぎる場合、本明細書に記載のパーツキットのそれぞれのパーツを混合することによって適切なペーストを得ることができない。また、機械的特性が劣る場合がある。
【0085】
本明細書に記載のパーツキットは、液体パーツLも含む。
【0086】
パーツLの1つの成分は水である。
【0087】
水は、典型的には、以下の量:少なくとも2重量%若しくは少なくとも5重量%若しくは少なくとも7重量%;最大35重量%若しくは最大25重量%若しくは最大20重量%;又は2~35重量%若しくは5~25重量%若しくは7~20重量%の範囲で存在する(重量%は、パーツPとパーツLとを合わせたときに得られる組成物の重量に対するものである)。
【0088】
これらの量は、固化後に適切な機械的特性を有するグラスアイオノマー組成物を得るのに有用であることが見出された。
【0089】
パーツキットはポリカルボン酸も含む。ポリカルボン酸は、パーツP若しくはパーツL中又はパーツPとパーツLとの中に存在することができる。
【0090】
ポリカルボン酸がパーツP中に存在する場合、ポリカルボン酸は乾燥形態で存在する。
【0091】
乾燥ポリカルボン酸は、例えば、ポリカルボン酸の水溶液(例えば、10重量%)を噴霧乾燥機中で真空下で噴霧乾燥することによって得ることができる。
【0092】
本発明によれば、ポリカルボン酸は、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマーを含むか、又はそれから本質的になるか、又はそれからなる。
【0093】
ポリカルボン酸は、良好な貯蔵、取り扱い、及び混合特性を提供し、並びにグラスアイオノマー材料において良好な材料特性をもたらすのに十分な分子量を有するべきである。
【0094】
一実施形態によれば、ポリカルボン酸は、以下の特性単独で又はその組み合わせで特徴付けることができる:
固体である(23℃で)こと;
分子量(Mw):5,000~250,000g/mol又は10,000~100,000g/mol(ゲル浸透クロマトグラフィーを使用してポリアクリル酸ナトリウム塩標準に対して評価)であること。
【0095】
ポリカルボン酸の分子量が高すぎる場合、本明細書に記載のパーツキットに含まれる組成物を混合する際に、得られるペーストの作業可能な粘稠度を得ることが困難になる場合がある。更に、組成物の調製が困難になる場合がある。加えて、得られた混合物又は組成物は、粘着性が高くなりすぎる(すなわち、適用に使用される歯科用器具に付着する)場合がある。
【0096】
ポリカルボン酸の分子量が低すぎると、得られるペーストの粘度が低くなりすぎ、最終製品の機械的特性が劣ると考えられる。
【0097】
ポリカルボン酸は、複数の酸性繰り返し単位を有するポリマーである。
【0098】
本明細書に記載のグラスアイオノマー組成物に使用されるポリカルボン酸は、重合性基を実質的に含まない。
【0099】
ポリカルボン酸は完全に水溶性である必要はないが、典型的には、他の水性成分と組み合わせたときに実質的な沈降を受けないように、少なくとも十分に水混和性である。
【0100】
ポリカルボン酸は、酸反応性充填剤及び水の存在下で固化性であるが、エチレン性不飽和基を含有しない。
【0101】
すなわち、ポリカルボン酸は、不飽和酸を重合して得られる重合体である。しかしながら、製造プロセスに起因して、ポリカルボン酸は、不可避の微量の遊離モノマー(例えば、使用されるモノマーの量に対して最大1重量%若しくは最大0.5重量%若しくは最大0.3重量%)を依然として含有し得る。
【0102】
ポリカルボン酸は、典型的には、アクリル酸及びマレイン酸を以下のモル比で含有する:マレイン酸35~65%対アクリル酸65~35%、又はマレイン酸40~60%対アクリル酸60~40%。
【0103】
このような比を有するポリカルボン酸は、本明細書に記載の酸反応性ガラスと反応させた場合に、高い圧縮強度を有するグラスアイオノマー組成物を得るのに特に好適であることが見出された。
【0104】
使用されるポリカルボン酸の量は、酸反応性充填剤と反応し、望ましい固化特性を有するアイオノマー組成物を提供するのに十分であるべきである。
【0105】
ポリカルボン酸は、典型的には、以下の量:少なくとも3重量%若しくは少なくとも6重量%若しくは少なくとも8重量%;最大35重量%若しくは最大25重量%若しくは最大20重量%;又は3~35重量%若しくは6~25重量%若しくは8~20重量%の範囲で存在する(重量%は、パーツPとパーツLとを合わせたときに得られる組成物の重量に対するものである)。
【0106】
ポリカルボン酸の量が多すぎる場合、本明細書に記載のパーツキットに含まれる組成物を混合する際に、得られるペーストの作業可能な粘稠度を得ることが困難になる場合がある。更に、組成物の調製が困難になる場合がある。加えて、得られた混合物又は組成物は、粘着性が高くなりすぎる(すなわち、適用に使用される歯科用器具に付着する)可能性がある。
【0107】
ポリカルボン酸の量が少なすぎると、本明細書に記載のパーツキットに含まれる組成物を混合する際に、得られるペーストの作業可能な粘稠度を得ることが困難になる場合もある。更に、所望の機械的特性を達成することが困難になる。
【0108】
パーツキットは、錯化剤を更に含んでもよい。錯化剤は、グラスアイオノマー組成物の硬化特性を調整するために使用されることが多い。
【0109】
存在する場合、錯化剤は、パーツP若しくはパーツL中又はパーツPとパーツLとの中に存在することができる。
【0110】
錯化剤の性質及び構造は、所望の結果を得られないということがない限り、特に限定されない。
【0111】
錯化剤は、以下の特性単独で又はその組み合わせで特徴付けることができる:溶解度特性:水に可溶性(23℃で水1l当たり少なくとも50g);分子量:50~500g/mol、又は75~300g/mol。
【0112】
錯化剤の具体例としては、酒石酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、サリチル酸、メリト酸、ジヒドロキシ酒石酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、2,4及び2,6ジヒドロキシ安息香酸、ホスホノカルボン酸、ホスホノコハク酸及びそれらの混合物が挙げられる。酒石酸の使用がしばしば好ましい。
【0113】
更なる例は、例えば、米国特許第4,569,954号(Wilsonら)に見出すことができる。
【0114】
錯化剤は、典型的にはポリカルボン酸を含有するパーツに添加される。典型的には、錯化剤はパーツL中に存在する。
【0115】
錯化剤は、典型的には、以下の量:少なくとも0重量%若しくは少なくとも1重量%若しくは少なくとも2重量%;最大15重量%若しくは最大12重量%若しくは最大10重量%;又は0~15重量%若しくは1~12重量%若しくは2~10重量%の範囲で存在する(重量%は、パーツPとパーツLとを合わせたときに得られる組成物の重量に対するものである)。
【0116】
本明細書に記載されるパーツキットのパーツPは、他の非酸反応性充填剤(複数可)も含有することができる。
【0117】
非酸反応性充填剤は、(d10):0.2μm~2μm;(d50):0.5μm~5μm; (d90)1μm~15μmの粒径を有してもよい。
【0118】
好適な非酸反応性充填剤の例は、石英;窒化物(例えば、窒化ケイ素);例えば、Zr、Sr、Ce、Sb、Sn、Ba、Zn、及びAlに由来するガラス;ホウケイ酸ガラス;カオリン;シリカ粒子(例えば、適切な粒径の石英ガラス又は熱分解法シリカ)、アルミナ、チタニア及びジルコニア粒子が挙げられるが、これらに限定されない天然又は合成材料である。
【0119】
一実施形態によれば、非酸反応性充填剤は、石英、石英ガラス、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート及びそれらの混合物から選択される。
【0120】
所望であれば、酸反応性充填剤の粒子の表面を表面処理することができる。
【0121】
表面処理を行うことは、充填剤とグラスアイオノマー組成物の他の成分との適合性を改善するのに有益であり得る。
【0122】
好適な表面処理剤としては、シラン、例えば、粒子の化学的特性を改変するための有機官能基を有するトリメトキシシランが挙げられる。適切なシランは、例えば、酸性特性を改変するためのシラン(アミノ基を有するか若しくはカルボン酸基を有する)又は疎水性/親水性を改変するためのシラン(アルカン鎖を有するか若しくはポリエチレングリコール鎖を有する)である。
【0123】
非酸反応性充填剤は、典型的には、以下の量:0重量%若しくは少なくとも1重量%若しくは少なくとも2重量%;最大35重量%若しくは最大30重量%若しくは最大25重量%;又は0~35重量%若しくは1~30重量%若しくは2~25重量%の範囲で存在する(重量%は、パーツPとパーツLとを合わせたときに得られる組成物の重量に対するものである)。
【0124】
本明細書に記載されるパーツキットのパーツP若しくはパーツL又はパーツPとパーツLとのいずれかは、添加剤(複数可)も含有することができる。
【0125】
存在し得る添加剤としては、指示薬、染料、顔料、粘度調整剤、界面活性剤、緩衝剤、安定剤、防腐剤(例えば、安息香酸)が挙げられる。
【0126】
添加剤が存在する場合、パーツPは、粉末形態で提供され得る添加剤(複数可)を含有し得る。
【0127】
また、上記添加剤のいずれかの組み合わせが使用されてもよい。任意の1つのこのような添加剤の選択及び量は、過度の実験なしに所望の結果を達成するために当業者によって選択され得る。
【0128】
添加剤は、典型的には、以下の量:少なくとも0重量%若しくは0.1重量%若しくは0.2重量%;最大10重量%若しくは8重量%若しくは6重量%;又は0~10重量%若しくは0.1~8重量%若しくは0.2~6重量%の範囲で存在してもよい(重量%は、パーツPとパーツLとを合わせたときに得られる組成物の重量に対するものである)。
【0129】
一実施形態によれば、パーツキットは、以下の量の以下の成分:
酸反応性ガラス:25~86重量%、
非酸反応性充填剤:0~35重量%、
ポリカルボン酸:3~35重量%、
水:2~35重量%、
錯化剤:0~15重量%、
添加剤:0~10重量%を含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる
(重量%は、パーツPとパーツLとを合わせたときに得られる組成物の重量に対するものである)。
【0130】
別の実施形態によれば、パーツキットは、以下の量の以下の成分:
酸反応性ガラス:35~83重量%、
非酸反応性充填剤:1~30重量%、
ポリカルボン酸:6~25重量%、
水:5~25重量%、
錯化剤:1~12重量%、
添加剤:0~8重量%を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる
(重量%は、パーツPとパーツLとを合わせたときに得られる組成物の重量に対関するものである)。
【0131】
パーツキットの好ましい実施形態は、以下のように特徴付けることができる:
パーツPとパーツLとからなり、
パーツPが、酸反応性ガラスを含む粉末であり、
パーツLが、水、ポリカルボン酸、及び錯化剤を含む液体であり、
ポリカルボン酸が、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマーを含み、
酸反応性ガラスが、
P:0~4重量%、又は0~3重量%、
F:10~18重量%、又は11~16重量%、
O:25~35重量%、又は28~34重量%、
Si:10~16重量%、又は11~14重量%、
Al:11~19重量%、又は12~18重量%、
Sr:20~40重量%、又は20~38重量%、
La:0~4重量%、又は0~3重量%を含むことを特徴とし、
Al、Sr及びFの合計量が、48重量%超であり(重量%は、酸反応性ガラスの重量に対するものである)、
酸反応性ガラス中のAlとSiとの比が、重量に対して1/1超であり、
酸反応性ガラスが、10μm(d90)及び2μm(d50)の粒径分布を有し、
酸反応性ガラスが、酸で処理し、続いて水で洗浄し、乾燥させることによって不活性化されており、
ポリカルボン酸が、10,000~100,000g/molの範囲の分子量Mwを有し、
アクリル酸及びマレイン酸が、35~65%のマレイン酸及び65~35%のアクリル酸、又は40~60%のマレイン酸対60~40%のアクリル酸のモル比でポリカルボン酸中に存在し、
錯化剤が酒石酸であり、
パーツPが、アルミノシリケートから選択される非酸反応性ガラスを更に含む。
【0132】
典型的には、本明細書に記載されるパーツキットのパーツPもパーツLも、以下の成分:
a)1重量%超又は0.5重量%超の量のHEMA;
b)1重量%超又は0.5重量%超の量のラジカル重合性成分(複数可);
c)1重量%超若しくは0.5重量%超の量のラジカル重合性成分(複数可)又はモノマー(複数可)を硬化させるのに好適な開始剤成分;
d)1重量%超若しくは0.5重量%超の量のメトキシフェノール又は3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルオールのような阻害剤(複数可)を、単独で又は組み合わせて含有しない
(重量%は、パーツPとパーツLとを合わせたときに得られる組成物の重量に対するものである)。
【0133】
したがって、本明細書に記載されるパーツキットの粉末パーツと液体パーツとを混合するときに得られる組成物は、いわゆるレジン添加型グラスアイオノマーセメント(RM-GIC)ではなく、したがって、ラジカル重合性成分を硬化させるのに好適な硬化系を含有しない。
【0134】
特に、本明細書に記載のセメント組成物は、レドックス開始剤系又は熱誘導開始剤系又は放射線誘導開始剤系を含有しない。
【0135】
特に、本明細書に記載されるセメント組成物は、全組成物の重量に対して1重量%以上、又は0.5重量%以上、又は0.1重量%以上の量で、以下の成分:(a)及び(b)、(a)及び(c)、(a)、(b)及び(c)、(b)、(c)及び(d)、(a)、(b)、(c)及び(d)を含有しない。
【0136】
すなわち、本明細書に記載されるセメント組成物は、典型的には、これらの成分を単独で又は組み合わせて本質的に含まない。
【0137】
本明細書に記載されるパーツキットの2つのパーツを混合することによって得られた又は得られる組成物は、典型的には、固化前又は固化中に、以下のパラメータ単独で又はその組み合わせで特徴付けることができる:
硬化時間:EN-ISO 9917-1:2007に従って決定される約5分若しくは4分若しくは3分以内;
作業時間:EN-ISO 9917-1:2007に従って決定される約4分若しくは3分若しくは2分若しくは1分以内;
粘度:パーツP及びパーツLの成分を混合し始めてから90秒後に測定して28℃で2000~10,000 Pa*s。
【0138】
所望であれば、硬化時間及び硬化挙動は、以下の実施例のセクションにおいてより詳細に記載されるように決定することができる。
【0139】
本明細書に記載される組成物は、典型的には、医師が組成物を適切に混合するだけでなく、組成物を窩洞又は歯冠、ブリッジ、根管若しくは調製された歯の表面に適用することを可能にするのに十分な作業時間を有する。
【0140】
更に、本明細書に記載の組成物は、適切な硬化時間を有し、これは医師にとって時間を節約し、患者にとって便利である。
【0141】
別の実施形態によれば、本明細書に記載のパーツキットの2つのパーツを混合することによって得られた又は得られる組成物は、固化後に以下のパラメータ単独で又はその組み合わせで特徴付けることができる:
曲げ強度:EN-ISO 9917-2:2010に従って測定された20MPa~80MPa(但し、組成物を被覆するために、箔の代わりにガラススラブが使用される);
圧縮強度:EN-ISO 9917-1/2007に従って測定された300MPa~400(但し、組成物を被覆するために、箔の代わりにガラススラブが使用される);
表面硬度:150~250MPa。
【0142】
所望であれば、これらのパラメータは、以下の実施例のセクションに記載されるように決定され得る。
【0143】
市場で入手可能な最先端のグラスアイオノマー組成物と比較して、本明細書に記載されるグラスアイオノマー組成物は、容易に混合することができ、硬化時間などの他の重要なパラメータに影響を及ぼすことなく、圧縮強度及び/又は曲げ強度などの適切な機械的特性を有する。
【0144】
更に、組成物は、混合の10分後に既に十分な表面硬度を示す。
【0145】
本明細書のパーツキットのパーツは、それぞれの成分を混合することによって製造することができる。
【0146】
必要であれば、充填剤粒子は、ボールミルのような当業者に公知の装置を使用して所望の粒径にミリングすることができる。
【0147】
混合は、手によって、又はミキサー若しくは混練機のような機械的装置を用いて達成することができる。混合時間は、組成物及び混合装置に応じて変化し得る。
【0148】
パーツキットは、典型的には、貯蔵中及び使用前は、包装装置に収容される。
【0149】
パーツPの粉末及び/又はパーツLの液体は、容器、バイアル又はカートリッジなどの、使用前に互いに分離された任意の適切な装置内に貯蔵することができる。
【0150】
好ましい包装装置は、液体パーツ及び粉末パーツを貯蔵するのに適した少なくとも2つの区画を含む。
【0151】
適切な包装装置は、以下のように特徴付けることができる:
本明細書に記載されるパーツキットの貯蔵及び配送のための装置であって、貯蔵中に互いに分離された区画A及び区画Bと、区画A又は区画Bのいずれかに接続されたノズルとを備え、区画AがパーツPを収容し、区画BがパーツLを収容し、区画Aが0.5~3ml又は0.8~2mlの範囲の容積を有し、区画Bが0.05~1ml又は0.08~0.5mlの範囲の容積を有する、装置。
【0152】
同様に使用することができる包装装置は、以下の文献に記載されている:米国特許第6,543,611(B1)号(3M)、米国特許第4,941,751号(Muehlbauer)、米国特許第5,088,830号(Muehlbauer)、米国特許第6,386,872号(Muasaら)又は欧州特許第0783872(A2)号(Voco)。
【0153】
パーツキットは、歯、特に患者の口腔内に位置する歯を治療するために使用することができ、典型的に使用されることになる。
【0154】
歯を治療することは、例えば歯の窩洞を埋めることによって歯を修復すること、歯の表面に歯科修復物を固定することを含む。
【0155】
したがって、パーツキットは、歯科用合着用セメント、歯科用充填材料、歯科用コアビルドアップ材料、歯科用ライナーを製造するために、又は歯科用根管充填材料として使用することができる。
【0156】
歯を治療する方法は、典型的には以下の工程:
パーツP及びパーツLの成分又は組成物を混合して、固化性組成物を得る工程と、
固化性組成物を、治療される歯組織の表面に適用する工程と、
前記固化性組成物を固化させる工程と、を含む。
【0157】
本発明はまた、本明細書に記載されたパーツキットと、以下の物品:活性化装置;適用装置;混合装置;歯科用ミリングブロック;予備成形された歯科修復物(歯冠又はブリッジを含む)のうちの少なくとも1つ以上と、を含むパーツキットに関する。
【0158】
適切な活性化装置は市販されており、例えば、3M(商標)Maxicap(商標)及びAplicap(商標)Activatorである。
【0159】
適用装置は、包装装置から混合組成物を押し出し、処理される表面に混合組成物を適用するために使用されることが多い。
【0160】
混合装置は、粉末及び液体パーツを混合するために使用される。好適な混合装置としては、混合パッド及びスパチュラ(特に手でパーツを混合するのに有用である)、又は電気的振盪若しくは回転混合装置が挙げられる。このような製品は市販されている(例えば、3M(商標)RotoMix(商標)カプセル混合ユニット)。
【0161】
歯科用ミリングブロックは、そこから歯科用修復物をミリングするために使用することができ、歯科用修復物は、後に治療される歯の表面に固定される。歯科用ミリングブロックは、ジルコニアから作製されることが多く、例えば3M(商標)Lava(商標)Plusジルコニアディスクなど、市販もされている。
【0162】
あるいは、ポリカーボネートクラウン及びステンレス鋼クラウン(3M Oral Care)を含む、予備成形された歯科修復物を使用することができる。
【0163】
本明細書の組成物において使用される全ての成分は、十分に生体適合性であるべきである、すなわち、この組成物は、生体組織内で、毒性反応も有害反応も免疫反応も引き起こすべきでない。
【0164】
本明細書で引用された特許、特許文献、及び出版物の完全な開示は、あたかも各々が個別に組み込まれているかのように、その全体が参照により組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明に対する様々な改変及び変更が当業者には明らかとなるであろう。上記の明細書、実施例及びデータは、本発明の組成物及び方法の製造及び使用の記述を提供する。本発明は、本明細書に開示される実施形態に限定されない。当業者は、本発明の多くの代替の実施形態が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解するであろう。
【0165】
以下の実施例は、本発明を例示するために示される。
【実施例】
【0166】
別段の指定がない限り、全ての部及び百分率は重量基準であり、全ての水は脱イオン水であり、全ての分子量は重量平均分子量である。更に、別段の指定がない限り、全ての実験は、周囲条件(23℃、1013mbar)で実施した。
【0167】
方法
粘度
所望であれば、粘度は、Physica MCR 301 Rheometer(Anton Paar,Graz,Austria)を用いて、プレート/プレート形状で、制御されたせん断速度下、23℃で測定することができる。直径は15mmであり、プレート間の分離ギャップは0.5mmである。せん断速度を1s-1から500s-1まで増加させる。
【0168】
粒径
所望であれば、体積当たりの粒径(d50)を含む粒径分布は、Fraunhofer近似を適用するMastersizer 3000(Malvern)粒径検出装置を用いたレーザー回折によって決定することができる。測定中、試料を正確に分散させるために超音波が典型的に使用される。水不溶性粒子については、典型的には水が分散剤として使用される。
【0169】
pH値
所望であれば、pH値は以下のように決定することができる:1.0gの成分(例えば充填剤)を10mlの脱イオン水中に分散させ、約5分間撹拌する。較正したpH電極を懸濁液に浸漬し、撹拌しながらpH値を測定する。
【0170】
元素組成
所望であれば、元素組成は、X線蛍光分光法(XRF)によって、例えば、Rigaku,Japan製のZSX Primus IIを用いて決定することができる。この方法は、固体、例えばジルコニアセラミック又はガラス材料の分析に特に適している。
【0171】
圧縮強度(CS)
圧縮強度の測定は、EN-ISO 9917-1:2007に従って実施したが、組成物を被覆するために、箔の代わりにガラススラブを使用する。直径4mm、高さ6mmの円筒状試験片を使用した。材料の試験片を、室温及び相対湿度50%で、割り型を用いて調製した。型を顕微鏡スライド上に置き、気泡の混入を避けるために混合材料で完全に満たした。充填した型を直ちに別のガラススラブで覆い、わずかな圧力でスクリュークランプに固定して過剰な材料を押し出した。アセンブリ全体を36℃及び少なくとも95%の相対湿度で保管した。混合開始1時間後、試料を型から取り出し、直ちに36℃の水中に入れた。6個の試験片を各材料について調製した。混合開始から24時間後に材料を測定した。各試験片の正確な直径を測定前に測定した。試験片の強度は、1mm/分のクロスヘッド速度で動作するZwick万能試験機(Zwick GmbH & Co.KG,Ulm,Germany)を使用して圧縮荷重を加えることによって測定した。結果を6回の反復の平均として報告した。
【0172】
曲げ強度(FS)
曲げ強度は、EN ISO 9917-2:2010に基づいて測定したが、組成物を被覆するために、箔の代わりにガラススラブを使用する。試料を調製するために25mm×2mm×2mmの寸法を有する長方形の割り型を使用したことを除いて、上記の圧縮強度試験について記載したように試験片を調製した。試験片を、1mm/分のクロスヘッド速度で20mm離れた支持体上で3点曲げに付した。
【0173】
作業時間(ta)及び硬化時間(te)
所望であれば、調製されたグラスアイオノマーセメント組成物の硬化挙動は、Physica(商標)MCR 301レオメーター(Anton Paar)を使用して、以下のパラメータを適用して決定することができる:ディスクセットアップで8mmディスク;ギャップ0.75mm;変形1.75%;周波数:1.25HZ;温度:28℃、を用いた振動測定。損失角(ドイツ語:「Verlustwinkel」)を経時的に記録し、グラフの最大値(ta)及び最小値(te)を決定する。最大値及び最小値に関する2つの測定値の平均は、分(min):秒(sec)で与えられる。
【0174】
表面硬度(SFH)
所望であれば、表面硬度(MPaで与えられる)は、ISO 2039-1に従って鋼球(d=5mm)を用いて決定される。試料材料をアルミニウムリング(内径6mm±0.2mm、高さ3mm±0.1mm)に充填し、プラスチックプレートで両側を閉じ、クランプで固定する。混合開始3分後、試料を36℃±2℃の水浴中に2分間置き、次いで23℃±2℃の水浴中に5分間置く。混合開始から10分後にプラスチックプレートの取り出しを行い、混合開始から10.5分後に侵入深さの測定を30秒間行う。測定には、硬度計タイプ3106(Zwick)を使用することができる。
【0175】
酸反応性ガラス
一般的な調製
ガラス成分を秤量し、均質化する。混合物を、るつぼ内で予備焼き戻しする。その後、冷却した混合物を白金るつぼに移し、1500℃を超える温度に加熱する。溶融物を取り出し、脱イオン水中に直接注ぐ。次いで、冷却した溶融物を乾燥させ、所望の粒径分布が達成されるまで遊星ボールミルで粉砕する。ガラス粉末を酸で処理し、洗浄し、乾燥させる。
【0176】
製造されたガラス粉末組成物を表1に示す。
【0177】
【0178】
ARG 1~8は、本発明による酸反応性ガラスである。ARG9は比較用ガラスである。
【0179】
ポリカルボン酸(PA)
異なるポリカルボン酸を調製した(表2)。
【0180】
【0181】
以下の液体パーツを製造した:
【0182】
【0183】
グラスアイオノマー組成物(GIC)
それぞれの粉末パーツ及び液体パーツをカプセルに秤量し、CapMix(商標)装置(3M Oral Care)によって、重量に対して所与の比率(pbw-重量部)で混合した。固化した組成物の特性を表5に示す。
【0184】
【0185】
更なる比較のために、以下の市販の材料を試験した(表6):
【0186】
【0187】
本発明によるグラスアイオノマーセメント組成物は、特に圧縮強度及び表面硬度に関して、最新技術によるグラスアイオノマーセメント組成物よりも改善された機械的特性を示した。
【国際調査報告】