(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-10
(54)【発明の名称】低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 4/658 20060101AFI20250703BHJP
C08F 4/02 20060101ALI20250703BHJP
C08F 210/02 20060101ALI20250703BHJP
【FI】
C08F4/658
C08F4/02
C08F210/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024576498
(86)(22)【出願日】2023-05-10
(85)【翻訳文提出日】2024-12-25
(86)【国際出願番号】 KR2023006326
(87)【国際公開番号】W WO2024010203
(87)【国際公開日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2022-0081656
(32)【優先日】2022-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】515215276
【氏名又は名称】エスケー ジオ セントリック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ジンヘク
(72)【発明者】
【氏名】カン ムン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】オ メンスン
【テーマコード(参考)】
4J015
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4J015EA00
4J100AA02P
4J100AA19Q
4J100CA04
4J100DA14
4J100DA42
4J100FA09
4J128AA01
4J128AB01
4J128AC07
4J128BA01B
4J128BA02A
4J128BB01A
4J128BB01B
4J128BC05A
4J128BC15A
4J128BC15B
4J128CB23A
4J128CB26A
4J128EB02
4J128EB07
4J128EC02
4J128FA02
4J128GA05
4J128GA08
4J128GB02
(57)【要約】
本開示は、低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法に関し、具体的には、アルキルアルミニウム化合物を分岐鎖アルキルアルコールまたはシクロアルキルアルコール溶媒下で反応させてマグネシウム担体を製造するステップを含む製造方法に関する。一実施形態に係るチーグラー・ナッタ触媒の製造方法により製造されたチーグラー・ナッタ触媒は、触媒活性に優れるため、それを用いることで、様々な物性の実現が可能であり、共重合性能に優れた低密度共重合体を効果的に製造することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアルキルマグネシウムと下記化学式1で表される化合物の混合物に分岐鎖アルキルアルコールまたはシクロアルキルアルコールを添加し、マグネシウム担体を含む溶液を製造するステップと、
前記マグネシウム担体を含む溶液にチタン(Ti)を含む金属化合物を添加するステップと、
を含む、低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
[化学式1]
R
1
xAlCl
3-x
前記化学式1中、
R
1は、それぞれ独立して、C
1-10アルキルまたはC
3-10シクロアルキルであり、および
xは、1~3である。
【請求項2】
前記金属化合物を添加するステップの後、下記化学式2で表される化合物を添加するステップをさらに含む、請求項1に記載の低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
[化学式2]
R
2
yAlCl
3-y
前記化学式2中、
R
2は、それぞれ独立して、C
1-10アルキルまたはC
3-10シクロアルキルであり、および
yは、1~2である。
【請求項3】
前記R
1は、それぞれ独立して、C
1-6アルキルまたはC
3-6シクロアルキルである、請求項1に記載の低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項4】
前記分岐鎖アルキルアルコールまたはシクロアルキルアルコールは、前記ジアルキルマグネシウムのモル数の1倍を超えるモル数で添加される、請求項1に記載の低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項5】
前記分岐鎖アルキルアルコールまたはシクロアルキルアルコールは、前記化学式1で表される化合物のモル数の2倍を超えるモル数で添加される、請求項1に記載の低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項6】
前記R
2は、それぞれ独立して、C
1-6アルキルまたはC
3-6シクロアルキルである、請求項2に記載の低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項7】
前記化学式2で表される化合物は、EtAlCl
2、MeAlCl
2、PrAlCl
2、BuAlCl
2、または(C
2H
5)
3/2AlCl
3/2である、請求項2に記載の低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項8】
前記金属化合物と前記化学式2で表される化合物のモル比は1:0.1~1:15である、請求項2に記載の低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項9】
前記金属化合物と前記マグネシウム担体のモル比は1:5~1:30である、請求項1に記載の低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項10】
前記金属化合物は、IV族またはV族金属をさらに含む、請求項1に記載の低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項11】
前記金属化合物は、TiX
4または(R
3O)
zTi(X)
4-zを含み、
この際、前記Xは、ハロゲン原子であり、前記R
3は、それぞれ独立して、C
1-10アルキルであり、前記zは、1~4の整数である、請求項1に記載の低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項12】
前記金属化合物は、V族金属を含む化合物をさらに含む混合金属化合物である、請求項11に記載の低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項13】
前記分岐鎖アルキルアルコールは、C
3-10の分岐鎖アルキルアルコールである、請求項1に記載の低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項14】
前記分岐鎖アルキルアルコールは、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、およびtert-ブチルアルコールから選択される1種または2種以上の組み合わせである、請求項1に記載の低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項15】
前記シクロアルキルアルコールは、C
3-10のシクロアルキルアルコールである、請求項1に記載の低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項16】
前記シクロアルキルアルコールは、シクロヘキサノールである、請求項1に記載の低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の製造方法により製造される、低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒。
【請求項18】
オレフィン単量体を請求項17に記載の低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒と接触させるステップを含む、低密度共重合体の製造方法。
【請求項19】
前記低密度共重合体は、密度が0.91g/mL~0.94mLであり、ASTM D1238に準じて測定された溶融指数が0.1g/10min~5.0g/10minである、請求項18に記載の低密度共重合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法およびそれにより製造されたチーグラー・ナッタ触媒を用いて低密度共重合体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チーグラー・ナッタ(Ziegler-Natta、Z/N)タイプの重合触媒は、オレフィン重合体、例えば、エチレン共重合体を製造する触媒である。通常、チーグラー・ナッタ触媒は、特定の支持体上に支持されるマグネシウム化合物、アルミニウム化合物、およびチタン化合物などを含む。
【0003】
チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合された重合体の形状および大きさが用いられた触媒に応じて決められるため、生産性を高め、均一な分布の重合体を製造可能な触媒を製造することが重要である。
【0004】
チーグラー・ナッタ触媒の製造のための多くの開発作業が行われたが、一部の方法は、製造条件がかなり敏感であるか、または大量の不純物または廃棄物が形成されるなど、大量生産で触媒を製造するのが容易でない面がある。米国特許第8003741号にはマグネシウム化合物をアルコールに溶解した後にチタン化合物を添加する製造方法が記載されているが、製造過程が複雑であり、用いられる物質の種類が多いという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一実施形態は、低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法を提供することを目的とする。
他の一実施形態は、前述した一実施形態に係る製造方法により製造される低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒を提供することを目的とする。
【0006】
また他の一実施形態は、前述した一実施形態に係る低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒を用いた低密度共重合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態は、ジアルキルマグネシウムと下記化学式1で表される化合物の混合物に分岐鎖アルキルアルコールまたはシクロアルキルアルコールを添加し、マグネシウム担体を含む溶液を製造するステップと、
【0008】
前記マグネシウム担体を含む溶液にチタン(Ti)を含む金属化合物を添加するステップと、を含む、低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法を提供する。
【0009】
[化学式1]
R1
xAlCl3-x
【0010】
前記化学式1中、
R1は、それぞれ独立して、C1-10アルキルまたはC3-10シクロアルキルであり、および
xは、1~3である。
【0011】
他の一実施形態は、前述した一実施形態に係る低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法により製造される、低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒を提供する。
【0012】
また他の一実施形態は、前述した一実施形態に係る低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒とオレフィン単量体を接触させるステップを含む、低密度共重合体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本開示は、低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法に関し、具体的には、アルキルアルミニウム化合物を分岐鎖アルキルアルコールまたはシクロアルキルアルコール溶媒下で反応させてマグネシウム担体を製造するステップを含む製造方法に関する。一実施形態に係るチーグラー・ナッタ触媒の製造方法により製造されたチーグラー・ナッタ触媒は、触媒活性に優れるため、それを用いることで、様々な物性の実現が可能であり、共重合性能に優れた低密度共重合体を効果的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例で製造されたチーグラー・ナッタ触媒と市販の触媒を用いて製造された重合物を結晶化溶出分別法(Crystallization elution fractionation、CEF)により分析した結果を示した図である。
【
図2】実施例1-4、実施例3-4、実施例4-4、実施例5-4、実施例6-4、比較例1-4、比較例2-4、および比較例3-4で製造されたマグネシウム担体溶液の形状を写真を通じて観察した結果を示した図である。
【
図3】実施例1-4で製造されたマグネシウム担体溶液および製造された触媒の形状を写真を通じて観察した結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載された実施の形態は種々の異なる形態に変形してもよく、一実施形態に係る技術が後述する実施の形態に限定されるものではない。さらに、明細書の全体にわたって、ある構成要素を「含む」とは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0016】
本明細書で用いられる数値範囲は、下限値と上限値、その範囲内での全ての値、定義される範囲の形態と幅から論理的に誘導される増分、そのうち限定された全ての値および互いに異なる形態に限定された数値範囲の上限および下限の全ての可能な組み合わせを含む。一例として、組成の含量が10%~80%または20%~50%に限定された場合、10%~50%または50%~80%の数値範囲も本明細書に記載されたものと解釈しなければならない。本明細書において、特に定義しない限り、実験誤差または値の四捨五入により発生し得る数値範囲外の値も定義された数値範囲に含まれる。
【0017】
以下、本明細書において、特に定義しない限り、「約」は、明示された値の30%、25%、20%、15%、10%、または5%以内の値とみなすことができる。
【0018】
以下、本明細書において、「アルキル」とは、アルキルまたはシクロアルキルの両方を意味できるものと定義し、また、アルキルまたはシクロアルキルは、具体的な定義がなくても、同様の効果が発揮できると予想される、通常の技術者が容易に変形可能な程度の誘導体または通常の置換基(例えば、ハロゲンなど)が置換されたものまで含むものと解釈することができる。
【0019】
一実施形態に係るチーグラー・ナッタ触媒の製造方法は、ジアルキルマグネシウムとアルキルアルミニウム化合物を分岐鎖アルキルアルコールおよび/またはシクロアルキルアルコール溶媒下で反応させるステップを含むことで、触媒活性が著しく改善された低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒を製造できる方法を提供する。前述した一実施形態に係るチーグラー・ナッタ触媒の製造方法により製造されたチーグラー・ナッタ触媒を用いて低密度共重合体を重合する場合、従来のノルマルプロピルアルコールのような直鎖アルキルアルコールを溶媒として用いて製造された触媒を用いた場合に比べて、触媒マイレージが著しく高く実現されることができる。また、一実施形態に係るチーグラー・ナッタ触媒を用いて重合された低密度共重合体は、市販製品に比べて、高密度領域(ホモポリマー)の割合が低く、低密度領域(共重合体)の割合が高いため、延伸率が高く、活用性に優れる。以下、一実施形態に係る低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法およびそれを用いた低密度共重合体の重合について詳細に説明する。
【0020】
一実施形態は、ジアルキルマグネシウムと下記化学式1で表される化合物の混合物に分岐鎖アルキルアルコールおよび/またはシクロアルキルアルコールを添加し、マグネシウム担体を含む溶液(マグネシウム担体溶液)を製造するステップと、
【0021】
前記マグネシウム担体を含む溶液にチタン(Ti)を含む金属化合物を添加するステップと、を含む、低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法を提供する。
【0022】
[化学式1]
R1
xAlCl3-x
【0023】
前記化学式1中、
R1は、それぞれ独立して、C1-10アルキルまたはC3-10シクロアルキルであり、および
xは、1~3である。
【0024】
一実施形態に係る製造方法によると、ジアルキルマグネシウムと化学式1で表されるアルキルアルミニウムを分岐鎖アルキルアルコールまたはシクロアルキルアルコール溶媒下で反応させることで、触媒活性に優れたチーグラー・ナッタ触媒を製造することができる。したがって、一実施形態により製造されたチーグラー・ナッタ触媒を用いて低密度共重合体を重合する場合、著しく上昇した収率(収量)および/または触媒マイレージで低密度共重合体を製造することができる。また、前記触媒のコモノマー反応性に優れるため、前記触媒により製造された低密度共重合体は、従来技術により製造された市販の直鎖状低密度共重合体に比べて、低密度領域の割合が高く、延伸率が高いなど、物性に優れることができる。
【0025】
一実施形態に係るチーグラー・ナッタ触媒の製造方法により製造されるマグネシウム担体を含む溶液(または、マグネシウム担体スラリー溶液)は、従来公知のマグネシウム担体溶液とは異なって不透明であり、すなわち、従来の透明なマグネシウム担体溶液よりも溶解度が低いという特徴がある。一実施形態に係る前記マグネシウム担体溶液は、このような溶解度特性を有することで、著しい触媒活性を実現することができる。具体的に、一実施形態に係る前記マグネシウム担体は、物性が非常に安定しているため、高い触媒活性の実現に非常に効果的に寄与することができる。また、一実施形態のマグネシウム担体は、マグネシウム担体の外部に遷移金属が担持されるため、遷移金属の活性点が高くなることで、触媒活性が著しく上昇することができる。これに対し、透明に製造される従来のマグネシウム担体溶液(比較例1)は、マグネシウム担体と触媒が共沈して不完全な担体が形成され、担体の内部と外部に遷移金属が担持されるため、遷移金属の活性点が減少し、触媒活性が低下する。
【0026】
上記のような一実施形態により実現される効果は、マグネシウム担体溶液の製造ステップにおいて、分岐鎖アルキルアルコールおよび/またはシクロアルキルアルコールを溶媒として用いることで実現される効果であってもよい。前記マグネシウム担体を含む溶液を製造するステップは、マグネシウムとアルコールの錯体(complex)を形成するステップであり、この際、錯体の形成にはアルコールのアルキル基が重要な影響を与える要因となる。一実施形態では、分岐鎖状(branch)のアルキルが置換されるかまたは環状(cyclic)のアルキルが置換されたアルコールを用いることで、トリマー状(trimer、3分子重合体)のアルミニウムトリアルコキシドが形成されることができ、これにより、マグネシウム-アルコール錯体形成時にアルミニウムトリアルコキシドが互いにさらに凝集して不溶性のスラリーを形成することになる。
【0027】
一実施形態において、前記ジアルキルマグネシウムは、マグネシウムに直鎖または分岐鎖のC1-10アルキルまたはC3-10シクロアルキルがそれぞれ独立して置換されたものであってもよい。または、例えば、C1-6アルキル、C1-5アルキル、C2-5アルキル、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH2CH2CH2CH3、C3-6シクロアルキル、C4-6シクロアルキル、およびC5-6シクロアルキルから独立して選択される2つの置換基が置換されたものであってもよい。一実施形態において、前記ジアルキルマグネシウムは、Et(n-Bu)Mg(Ethyl normal butyl magnesium、BEM)であってもよい。
【0028】
一実施形態において、前記マグネシウム担体は、マグネシウム、アルコール、および/またはアルキルの付加体(adduct)または錯体(complex)を含んでもよい。例えば、前記マグネシウム担体は、Mg(OR)2・a[Alb(OR)3b]で表されてもよい。この際、前記aは、例えば0.1~10、0.1~6、0.5~6、0.5~3、0.8~2、0.8~1.5、または1であってもよい。また、前記bは、例えば0.1~10、0.1~6、0.1~5、0.1~3、0.1~1、0.2~0.8、または0.5であってもよい。例えば、前記マグネシウム担体は、Mg(OR)・[Al0.5(OR)1.5]であってもよい。また、前記Rは、例えば、アルコール由来のアルキル基であってもよいため、分岐鎖のアルキル基またはシクロアルキル基であってもよい。
【0029】
一実施形態において、前記R1は、それぞれ独立して、直鎖または分岐鎖のC1-6アルキル、C1-5アルキル、C1-3アルキル、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH2CH2CH2CH3、-CH(CH3)CH2CH3、C3-6シクロアルキル、C4-6シクロアルキル、またはC5-6シクロアルキルであってもよく、この際、前記R1は、全て同一の置換基であってもよい。ただし、これは一例にすぎず、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0030】
一実施形態において、前記xは、例えば、1、3/2、2、5/2、または3であってもよい。具体的には、前記化学式1で表される化合物は、xが3のトリアルキルアルミニウム(R1
3Al)であってもよい。一実施形態において、前記化学式1で表される化合物は、トリエチルアルミニウム(C6H15Al、Triethyl aluminium)またはトリブチルアルミニウム(C12H27Al、Tributyl aluminium)(または、トリイソブチルアルミニウム(Triisobutyl aluminium))であってもよい。
【0031】
一実施形態に係る前記製造方法は、通常の有機溶媒下で行われてもよく、例えば、C5-20の飽和炭化水素溶媒下で行われてもよい。具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、またはデカンなどを用いるか、またはこれらの混合溶媒を用いてもよい。
【0032】
一実施形態に係る製造方法は、金属化合物を添加するステップの後、下記化学式2で表される化合物を添加するステップをさらに含んでもよい。
【0033】
[化学式2]
R2
yAlCl3-y
【0034】
前記化学式2中、
R2は、それぞれ独立して、C1-10アルキルまたはC3-10シクロアルキルであり、および
yは、1~2である。
【0035】
この際、前記R2は、それぞれ独立して、直鎖または分岐鎖のC1-6アルキル、C1-5アルキル、C2-5アルキル、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH2CH2CH2CH3、C3-6シクロアルキル、C4-6シクロアルキル、またはC5-6シクロアルキルであってもよく、この際、前記R2は、全て同一の置換基であってもよい。ただし、これは一例にすぎず、必ずしもこれに限定されるものではない。
一実施形態において、前記yは、例えば、0、1/2、1、3/2、または2であってもよい。
【0036】
一実施形態において、前記化学式2で表される化合物は、C6H15Al2Cl3(すなわち、(C2H5)3/2AlCl3/2)(Ethyl aluminium sesquichloride)、EtAlCl2(Ethyl aluminium dichloride)、MeAlCl2(Methyl aluminium dichloride)、PrAlCl2(Propyl aluminium dichloride)、またはBuAlCl2(Butyl aluminium dichloride)であってもよく、1種以上を同時にまたは混合して用いてもよい。一実施形態において、前記化学式2で表される塩化アルキルアルミニウム化合物は、単量体または二量体であってもよい。
【0037】
一実施形態において、前記金属化合物と前記化学式2で表される化合物のモル比は1:0.1~1:15、1:0.1~1:10、1:1~1:10、1:2~1:10、1:2~1:8、1:3~1:5、または約1:5であってもよい。ただし、これは一例にすぎず、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0038】
一実施形態において、前記金属化合物とマグネシウム担体のモル比は1:5~1:30、1:5~1:30、1:10~1:30、1:10~1:25、1:10~1:20、1:12~1:18、または約1:15であってもよい。ただし、これは一例にすぎず、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0039】
一実施形態において、前記金属化合物は、遷移金属をさらに含んでもよく、例えば、IV族またはV族金属をさらに含んでもよい。具体的に、前記金属化合物は、Zr、Hf、V、Nb、およびTaからなる群から選択される1種以上の金属をさらに含んでもよい。この際、前記金属は、塩化物、アルコキシ塩化物、アルキル化物などの形態で含まれてもよいが、これは一例にすぎず、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0040】
一実施形態において、前記チタン(Ti)を含む金属化合物は、TiX4または(R3O)zTi(X)4-zを含んでもよい。この際、前記Xは、I、Br、Cl、またはFであるハロゲン原子であり、前記R3は、それぞれ独立して、直鎖または分岐鎖のC1-10アルキル、C1-8アルキル、C2-6アルキル、またはC1-5アルキルであり、前記zは、1~4の整数(例えば、1、2、3、または4)である。前記金属化合物の具体例としては、TiCl4、TiBr4、TiI4、Ti(OBu)4、Ti(Oi-Pr)4、Ti(OEt)4、Ti(OEt)2(Cl)2、またはTi(OEt)(Cl)3などであってもよい。ただし、これは一例にすぎず、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0041】
一実施形態において、前記チタン(Ti)を含む金属化合物は、V族金属化合物をさらに含む混合金属化合物であってもよい。例えば、一実施形態に係る金属化合物は、チタンを含む金属化合物(TiCl4)とV族金属を含むV族金属化合物(VOCl3)の混合金属化合物であってもよい。
【0042】
一実施形態において、前記分岐鎖アルキルアルコールまたはシクロアルキルアルコールは、前記ジアルキルマグネシウムのモル数の1倍を超えるモル数で添加されてもよい。例えば、前記ジアルキルマグネシウムのモル数の1.2倍以上、1.5倍以上、2.0倍以上、10倍以下、8倍以下、5倍以下、4倍以下、または3.5倍以下で添加されてもよい。または、前記ジアルキルマグネシウムと前記分岐鎖アルキルアルコールまたはシクロアルキルアルコールのモル比は1:1.2~1:10、1:1.5~1:10、1:1.5~1:8、1:1.5~1:6、1:1.5~1:5、1:2~1:8、1:2~1:4、または1:1.5~1:3.5であってもよい。
【0043】
一実施形態において、前記分岐鎖アルキルアルコールまたはシクロアルキルアルコールは、前記化学式1で表される化合物のモル数の2倍を超えるモル数で添加されてもよい。例えば、前記化学式1で表される化合物のモル数の2.2倍以上、2.5倍以上、3倍以上、4倍以上、10倍以下、9倍以下、8倍以下、または7倍以下で添加されてもよい。または、前記化学式1で表される化合物と前記分岐鎖アルキルアルコールまたはシクロアルキルアルコールのモル比は1:2.5~1:10、1:2.5~1:9、1:2.5~1:8、1:2.5~1:7、1:3~1:10、または1:4~1:10であってもよい。
【0044】
一実施形態において、前記分岐鎖アルキルアルコールまたはシクロアルキルアルコールを添加するステップは、約10℃~-50℃、0℃~-30℃、-5℃~-25℃、-10℃~-20℃の温度で行われてもよい。また、前記分岐鎖アルキルアルコールまたはシクロアルキルアルコールの添加後には、約120分~300分、180分~300分、200分~300分、220分~260分、または約240分間反応させるステップが行われてもよい。
【0045】
一実施形態に係る前記分岐鎖アルキルアルコールは、分岐鎖(branch)のアルキル基が置換されたアルコールであれば特に限定されず、例えば、C3-20の分岐鎖アルキルアルコール、C3-15の分岐鎖アルキルアルコール、C3-10の分岐鎖アルキルアルコール、C3-8の分岐鎖アルキルアルコール、C3-6の分岐鎖アルキルアルコール、C3-5の分岐鎖アルキルアルコール、またはC3-4の分岐鎖アルキルアルコールであってもよい。具体例としては、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、2-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-ペンタノール、ネオペンタノール、2-メチル-2-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、2,2-ジメチル-1-ブタノール、2,3-ジメチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-1-ブタノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-エチル-1-ブタノール、またはこれらの2種以上の組み合わせであってもよい。また、前記アルコールは一例にすぎず、分岐鎖のアルキル鎖を有するアルコールであれば特に限定されない。
【0046】
一実施形態に係る前記シクロアルキルアルコールは、環状(cyclic)のアルキル基が置換されたアルコールであれば特に限定されず、例えば、C3-20のシクロアルキルアルコール、C3-15のシクロアルキルアルコール、C3-10のシクロアルキルアルコール、C3-8のシクロアルキルアルコール、C3-6のシクロアルキルアルコール、C4-6のシクロアルキルアルコール、またはC5-6のシクロアルキルアルコールであってもよい。具体例としては、シクロプロパノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、シクロノナノール、シクロデカノール、ビシクロ[2.1.1]ヘキサノール、ビシクロ[2.2.1]ヘプタノール、オクタヒドロペンタレノール、オクタヒドロ-1H-インデノール、またはこれらの2種以上の組み合わせであってもよい。または、前述した一実施形態に係るシクロアルキルアルコールは、不飽和結合を含む環状のアルキル基が置換されたアルコールを含んでもよく、シクロアルキル基に任意の置換基が置換された構造を限定なく含んでもよい。また、前記シクロアルキルアルコールは一例にすぎず、シクロアルキル基を有するアルコールであれば特に限定されない。
【0047】
他の一実施形態は、一実施形態に係る低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒の製造方法により製造される、低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒を提供する。
【0048】
また他の一実施形態は、前述した一実施形態に係る低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒を用いて低密度共重合体を製造する方法を提供する。具体的には、オレフィン単量体を一実施形態に係る前記低密度共重合体重合用チーグラー・ナッタ触媒と接触させるステップを含む、低密度共重合体の製造方法を提供する。
【0049】
一実施形態において、前記オレフィン単量体は、例えば、炭素数2~20、2~15、4~10のオレフィン単量体であってもよい。
一実施形態において、前記低密度共重合体は、例えば、直鎖状低密度共重合体であってもよく、一例として、直鎖状低密度ポリエチレン(Linear low density polyethylene)であってもよい。
【0050】
一実施形態において、前記低密度共重合体は、密度が0.91g/mL~0.94g/mL、0.912g/mL~0.938g/mL、0.915g/mL~0.935g/mL、または0.915g/mL~0.924g/mLであってもよいが、これは一例にすぎず、必ずしもこれに限定されるものではない。一実施形態において、前記低密度共重合体は、ISO 1133:1997またはASTM D1238:1999に準じて、約190℃で測定された溶融指数(Melt index、MI)が0.1g/10min~5.0g/10min、0.1g/10min~4.0g/10min、0.1g/10min~3.0g/10min、0.1g/10min~2.0g/10min、0.1g/10min~1.0g/10min、0.2g/10min~1.0g/10min、0.4g/10min~1.0g/10min、または0.5g/10min~0.9g/10minであってもよいが、これは一例にすぎず、必ずしもこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0051】
以下、実施例および実験例を具体的に例示して説明する。ただし、後述する実施例および実験例は、一実施態様の一部を例示するものであり、本明細書に記載された技術がこれに限定されるものではない。
【0052】
<実施例1-1~実施例1-4>
500mLのフラスコに0.9Mエチルノルマルブチルマグネシウム(BEM、[ジアルキルマグネシウム])ヘプタン溶液33mL(30.0mmol)を投入し、ノルマルヘプタン100mLを投入した。溶液を撹拌しつつ、トリエチルアルミニウム(AlEt3、[アルミニウム化合物-1])3.50g(15.0mmol)を徐々に滴下した。その後、反応温度を約0℃~-30℃レベルに維持しつつ、イソプロピルアルコール(i-PrOH、[アルコール])を下記表1に示すような当量で徐々に滴下しつつ4時間程度十分に反応を行い、0.2M濃度のマグネシウム担体スラリー溶液を製造した。
【0053】
0.2Mマグネシウム担体スラリー溶液([担体])30mL(6.00mmol)を100mLのフラスコに投入し、5重量% Ti(Oi-Pr)4([金属化合物])ヘプタン溶液3.3mL(0.40mmol)を投入して4時間以上撹拌した。その後、ヘキサンに希釈された1.0Mエチルアルミニウムジクロライド溶液(C2H5AlCl2、[アルミニウム化合物-2])2mL(2.00mmol)を投入して室温で6時間以上撹拌し、赤褐色の触媒(チーグラー・ナッタ)溶液を製造した。
【0054】
<実施例2-1~実施例2-4>
前記実施例1-1~実施例1-4と同様の方法で行うが、[金属化合物]を5重量% TiCl4ヘプタン溶液3.28mL(0.40mmol)に変更して赤褐色の触媒(チーグラー・ナッタ)溶液を製造した。
【0055】
<実施例3-1~実施例3-4>
前記実施例1-1~実施例1-4と同様の方法で行うが、[アルミニウム化合物-1]をトリイソブチルアルミニウム(Al(i-Bu)3)2.97g(15.0mmol)に変更して赤褐色の触媒(チーグラー・ナッタ)溶液を製造した。
【0056】
<実施例4-1~実施例4-4>
前記実施例1-1~実施例1-4と同様の方法で行うが、[アルコール]をイソブチルアルコール(i-BuOH)に変更して赤褐色の触媒(チーグラー・ナッタ)溶液を製造した。
【0057】
<実施例5-1~実施例5-4>
前記実施例1-1~実施例1-4と同様の方法で行うが、[アルコール]を2-メチル-2-プロピルアルコール(t-BuOH)に変更して赤褐色の触媒(チーグラー・ナッタ)溶液を製造した。
【0058】
<実施例6-1~実施例6-4>
前記実施例1-1~実施例1-4と同様の方法で行うが、[アルコール]をシクロヘキサノール(CHN)に変更して赤褐色の触媒(チーグラー・ナッタ)溶液を製造した。
【0059】
<比較例1-1~比較例1-4>
500mLのフラスコに0.9Mエチルノルマルブチルマグネシウム(BEM、[ジアルキルマグネシウム])ヘプタン溶液33mL(30.0mmol)を投入し、ノルマルヘプタン120mLを投入した。溶液を撹拌しつつ、トリイソブチルアルミニウム(Al(i-Bu)3、[アルミニウム化合物-1])2.97g(15.0mmol)を徐々に滴下した。その後、反応温度を約0℃~-30℃レベルに維持しつつ、ノルマルプロピルアルコール(n-PrOH、[アルコール])を下記表1に示すような当量で徐々に滴下しつつ4時間程度十分に反応を行い、0.2M濃度の透明なマグネシウム担体溶液を製造した。
【0060】
0.2Mマグネシウム担体スラリー溶液([担体])30mL(6.00mmol)を100mLのフラスコに投入し、Ti(Oi-Pr)4([金属化合物])ヘプタン溶液0.36mL(0.34g、1.20mmol)を投入して4時間以上撹拌した。その後、ヘキサンに希釈された1.0Mエチルアルミニウムジクロライド溶液(C2H5AlCl2、[アルミニウム化合物-2])24.00mL(24.00mmol)を投入して室温で6時間以上撹拌し、褐色の触媒(チーグラー・ナッタ)溶液を製造した。
【0061】
<比較例2-1~比較例2-4>
前記比較例1-1~比較例1-4と同様の方法で行うが、[アルミニウム化合物-1]をトリエチルアルコール(AlEt3)に変更して触媒(チーグラー・ナッタ)溶液を製造した。
【0062】
<比較例3-1~比較例3-4>
前記実施例1-1~実施例1-4と同様の方法で行うが、[アルコール]をノルマルブチルアルコール(n-BuOH)に変更して触媒(チーグラー・ナッタ)溶液を製造した。
【0063】
【0064】
1)ジアルキルマグネシウムA:BEM
2)アルミニウム化合物-1
B:AlEt3/C:Al(i-Bu)3
3)アルコール
D:i-PrOH/E:i-BuOH/F:t-BuOH/G:CHN/H:n-PrOH/I:n-BuOH
【0065】
【0066】
1)金属化合物J:Ti(Oi-Pr)4/K:TiCl4
2)アルミニウム化合物-2
L:C2H5AlCl2
【0067】
<実験例1>低密度共重合体の重合
オートクレーブ反応器に安定した無水窒素状態で飽和炭化水素溶媒(メチルシクロヘキサン)を0.5L充填し、トリエチルアルミニウム0.2g(0.15mol)と1-オクテン100mL(70g、0.7mol)を投入し、反応器の温度を180℃に上昇しつつ撹拌した後、エチレン30barで反応器内部に投入した。前記実施例1-4、実施例2-4、実施例3-4、実施例4-4、実施例5-4、実施例6-4、比較例1-4、および比較例3-4で製造された触媒1.7μmolを飽和炭化水素溶媒(メチルシクロヘキサン)3mLで希釈して触媒ポットに移送し、無水窒素50barで触媒ポットを加圧した。オートクレーブ反応器がエチレンで飽和した後、180℃の等温条件で触媒ポットの触媒を反応器内部に投入し、エチレンを連続的に供給するセミバッチ(semi-batch)重合を10分間行った。その後、反応器を吐出部に回収し、溶媒を乾燥し、直鎖状低密度共重合体(直鎖状低密度ポリエチレン、LLDPE)を得た。得られた直鎖状低密度ポリエチレンの収量、触媒マイレージ(Mileage)、溶融指数(Melting index)、密度を測定し、下記表3に示した。
【0068】
この際、触媒マイレージは、生成されたLLDPEの質量を触媒の質量で割った値と定義した。溶融指数は、ASTM D1238規格に準じて190℃で試験して測定し、密度は、密度測定装置(Density Gradient column)を用いて測定した。
【0069】
【0070】
前記表3を参照すると、比較例で製造された触媒を用いて重合した場合に比べて、実施例で製造された触媒を用いて重合した場合、共重合体の収量が著しく上昇し、触媒マイレージ値が上昇することを確認することができる。
【0071】
<実験例2>結晶化溶出分別法(Crystallization elution fractionation、CEF)
結晶化溶出分別法(CEF)により前記実施例1-4の触媒を用いて製造された重合物の物性を分析するために、POLYMER-CHAR CRYTEX-42機器を活用し、TCB(トリクロロベンゼン)溶液を活用して試験した。この際、市販製品A(Dow社(DOWLEX 2045G)、MI:1.00g/10min、密度:0.9200g/mL)、市販製品B(SK社(FN810)、MI:0.99、密度:0.9198g/mL)を準備し、比較群として実験した。その結果を
図1に示した。
【0072】
前記実験から、CEFスペクトルにおいて、実施例の触媒を用いて製造された重合物が、市販製品に比べて、約80℃~100℃の高密度領域(ホモポリマー)の割合が低く、約50℃~80℃の低密度領域(共重合体)の割合が高いことを確認することができた。したがって、実施例の触媒を用いることで、延伸率の高い低密度の共重合体を効果的に製造できることが分かる。
【0073】
<実験例3>マグネシウム担体溶液の形状分析
アルコール溶媒の種類によるマグネシウム担体溶液の透明度および溶解度を分析するために、前記実施例および比較例で製造されたそれぞれのマグネシウム担体溶液の形状を観察して下記表4に示し、そのうち、実施例1-4、実施例3-4、実施例4-4、実施例5-4、実施例6-4、比較例1-4、比較例2-4、比較例3-4で製造されたマグネシウム担体溶液の写真を撮って
図2に示した。
【0074】
【表4(1)】
【表4(2)】
TS:Transparent Solution(透明溶液)OS:Opaque Slurry(不透明スラリー)
【0075】
前記表4および
図2から確認できるように、分岐鎖のアルキルアルコールおよびシクロアルキルアルコールを溶媒として製造されたマグネシウム担体溶液は、不透明な形状で観察され、直鎖のアルキルアルコールを溶媒として製造されたマグネシウム担体溶液は、透明な形状で観察された。このことから、マグネシウム担体溶液の製造において、アルコール溶媒が溶液の形状に大きく寄与することを確認することができ、特にイソプロピル、イソブチル、tert-ブチルなどの分岐鎖のアルキルが置換されたアルコールや、シクロヘキサンなどの環状のアルキルが置換されたアルコールを用いることで、物性が非常に安定したマグネシウム担体を製造することができ、それを用いることで、低密度共重合体製造活性の高いチーグラー・ナッタ触媒を製造できることが分かる。
【0076】
以上、好ましい実施例および実験例により一実施形態を詳しく説明したが、一実施形態の範囲が特定の実施例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲により解釈されなければならない。
【国際調査報告】