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特表2025-522153マロン酸またはその誘導体を含む金属恒常性回復剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-10
(54)【発明の名称】マロン酸またはその誘導体を含む金属恒常性回復剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/194 20060101AFI20250703BHJP
   A61K 31/225 20060101ALI20250703BHJP
   A61K 31/16 20060101ALI20250703BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20250703BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20250703BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20250703BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250703BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20250703BHJP
【FI】
A61K31/194
A61K31/225
A61K31/16
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/14
A61P43/00 111
A61K31/495
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025525403
(86)(22)【出願日】2023-07-14
(85)【翻訳文提出日】2025-03-06
(86)【国際出願番号】 EP2023069736
(87)【国際公開番号】W WO2024013400
(87)【国際公開日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】22185041.5
(32)【優先日】2022-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】525017220
【氏名又は名称】オックスフォード アンチバイオティック グループ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】OXFORD ANTIBIOTIC GROUP GMBH
【住所又は居所原語表記】Technopark 1, 3430 Tulln an der Donau, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】ジェノフ、ミロスラフ
(72)【発明者】
【氏名】プレッチュ、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】プレッチュ、ダグマー
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC73
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA22
4C086ZC02
4C086ZC41
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA36
4C206DB29
4C206GA13
4C206GA22
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA02
4C206ZA16
4C206ZA22
4C206ZC02
4C206ZC41
(57)【要約】
本発明は、患者のメタロチオネイン生合成促進剤としての使用のための下記式(I):

(I)
(式中、XおよびYはそれぞれ独立して-O、-OR、および-NRから選択され、Mは一価または多価の金属アニオンから選択され、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素および1から25個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖、分岐または環状炭化水素ラジカルから選択され、1つ以上の炭素原子はOまたはNに置換されてもよく、RおよびRは結合して窒素原子と一緒に複素環式炭化水素ラジカルを形成してもよい)のマロン酸およびその誘導体;ならびに式(I)の化合物を含有する医薬組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のメタロチオネイン生合成促進剤としての使用のための下記式(I)のマロン酸およびその誘導体:
【化53】

(I)
式中、XおよびYがそれぞれ独立して-O、-OR、および-NRから選択され、Mが一価または多価の金属アニオンから選択され、R、RおよびRがそれぞれ独立して水素および1から25個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖、分岐または環状炭化水素ラジカルから選択され、1つ以上の炭素原子がOまたはNに置換されてもよく、RおよびRが結合して窒素原子と一緒に複素環式炭化水素ラジカルを形成してもよい。
【請求項2】
式(I)において、XおよびYの両方が、-Oを表し、各Mが独立して一価および多価金属アニオンから選択され、Mが好ましくはアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオンを表し、より好ましくはアルカリ金属イオンを表すことを特徴とする、請求項1に記載の使用のための化合物。
【請求項3】
、RおよびRがそれぞれ独立して水素および1から15個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖、分岐または環状炭素原子から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用のための化合物。
【請求項4】
、RおよびRがそれぞれ独立して水素および1から10個の炭素原子を有する飽和または不飽和炭素原子から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の使用のための化合物。
【請求項5】
化合物が以下から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のための化合物:マロン酸、マロン酸ジアミド、マロン酸二ナトリウム、マロン酸ジメチルエステル、マロン酸メチルエステルカリウム塩、マロン酸メチルエステルアミド、N-(3-アミノプロピル)マロン酸アミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル、マロン酸アダマンタン1-イルエチルエステル、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-アミノプロピル)アミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-アミノプロピル)-N-メチルアミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-ピペラジンアミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-(4-アミノブチリル)ピペラジンアミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-アミノピペリジンアミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-(4-(4-アミノブチリル)アミノ)ピペリジンアミド、マロン酸メチルエステル-N-(アダマンタン-1-イル)アミド、N-(アダマンタン-1-イル)マロン酸アミド、N-アダマンタン-1-イル-N’-(3-アミノプロピル)マロン酸ジアミド、N-アダマンタン-1-イル-N’-(3-アミノプロピル)-N’-メチルマロン酸ジアミド、N-アダマンタン-1-イル-N’-ピペラジンマロン酸ジアミド、N-アダマンタン-1-イル-N’-(4-(4-アミノブチリル)ピペラジン)マロン酸ジアミド、N-(3-アミノプロピル)-N’-モルホリンマロン酸ジアミド、N-(3-アミノプロピル)-N’-ピペリジンマロン酸ジアミド、N-(3-アミノプロピル)-N’-デカヒドロキノリンマロン酸ジアミド、N-(3-アミノプロピル)-N’-デカヒドロイソキノリンマロン酸ジアミド、N-(3-アミノプロピル)-N’-(6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-イルメチル)マロン酸ジアミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-ジメチルアミノプロピル)アミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-モルホリノプロピル)アミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-(3-トリフルオロメチルベンジル)ピペラジンアミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-(3-フルオロベンジル)ピペラジンアミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-(2-メトキシフェニル)ピペラジンアミド、マロン酸-N-(3,5-ジメチル)アダマンタン-1-イルアミド、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-(3-アミノプロピル)マロン酸ジアミド、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-(3-モルホリノプロピル)マロン酸ジアミド、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-ピペラジンマロン酸ジアミド、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(3-トリフルオロメチルベンジル)ピペラジンマロン酸ジアミド、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(3-フルオロベンジル)ピペラジンマロン酸ジアミド、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(2-メトキシフェニル)ピペラジンマロン酸ジアミド、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(4-メトキシフェニル)ピペラジンマロン酸ジアミド、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(2,4-ジメトキシフェニル)ピペラジンマロン酸ジアミド、およびN-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(2-モルホリノ-2-オキソエチル)ピペラジンマロン酸ジアミド。
【請求項6】
メタロチオネイン生合成促進が金属恒常性を回復させ、それにより神経変性疾患の治療に役立つことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
【請求項7】
神経変性疾患がアルツハイマー病、パーキンソン病およびハンチントン病から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の使用のための化合物。
【請求項8】
神経変性疾患がアルツハイマー病またはパーキンソン病であることを特徴とする、請求項7に記載の使用のための化合物。
【請求項9】
患者のメタロチオネイン生合成を促進することにより、ヒトまたは動物の身体を療法的に治療するための医薬組成物であって、請求項1~5のいずれか1項に定義の化合物、少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤、および任意に1つ以上の他の医薬上許容される成分を含む、医薬組成物。
【請求項10】
神経変性疾患の治療に役立つことを特徴とする、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
アルツハイマー病またはパーキンソン病の治療に役立つことを特徴とする、請求項10に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経変性疾患に対する可能性を秘めた薬剤である金属恒常性を回復させる新薬に関する。
【背景技術】
【0002】
最新技術
アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病およびプリオン病などの神経疾患は、誤って折りたたまれたタンパク質の蓄積と神経細胞死を特徴とする加齢に関連するニューロンの疾患である。これらの疾患はすべて、現在、医学における最大の課題の1つであり、世界中で発生している。
【0003】
2020年の約5,000万件の症例のうち、アルツハイマー病は、これらの疾患の代表的なひとつである。地球上の3秒ごとに1人が認知症を発症し、そのうち約70%がアルツハイマー病であると確認されている。一般的に、アルツハイマー病は、患者の思考、行動および記憶に影響を及ぼす認知症の一種である。この疾患の進行は中程度で、大脳の学習部分に関連するニューロンが減少する。アルツハイマー病を治療するための現在のアプローチはすべて、一時的な症状の緩和しか提供せず、根本的な病気のメカニズムを阻害または逆転させるものではない。なぜなら、それらは主にアミロイドカスケード仮説に基づいて開発され、満足のいく治療法にはつながっていないからである。
【0004】
現代の二番目に多い神経疾患はパーキンソン病で、大脳基底核のドーパミン受容体の変性によって引き起こされる進行性の神経障害である。これはパーキンソン症候群の最も一般的な形態であり、4つの主な兆候:運動緩慢、固縮、振戦、姿勢不安定のうち2つを特徴とする疾患群である。パーキンソン病財団によると、世界中で約1,000万人がパーキンソン病に苦しんでいる。これにより、パーキンソン病は2番目に多い神経変性障害となり、70歳を超える世界人口の約1.2%が罹患している。アルツハイマー病と同様、パーキンソン病を治癒できる治療はまだない。そのため、現在の治療の目的は症状の緩和である。導入から40年を超えても、次の式のレボドパ(L-DOPA、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン)は、相変わらずパーキンソン病に伴う症状を軽減する最も効果的な治療法である。
【0005】
【化1】
【0006】
WO2017/142855 A1は、下記式IおよびIIによるイタコン酸およびマロン酸の誘導体をそれぞれ開示する:
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、RからRはそれぞれ独立して水素または任意の数の炭素原子を有する置換されてもよいアルキル、アルケニルもしくはアルキニル基を表し、任意の置換基は、ヒドロキシに加えて、時には(ヘテロ)芳香族炭化水素の膨大な範囲も含んでもよい。これらの定義には、コハク酸およびマレイン酸またはフマル酸の誘導体も含まれ、イタコン酸(メチレンコハク酸としても知られる)、マロン酸、それらのジメチルエステル、ならびにフマル酸および2-メチルフマル酸(メサコン酸)が好ましいものとして挙げられる。
【0009】
これらの化合物は免疫調節剤として作用し、その結果、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病およびプリオン病などの神経変性疾患など多面的なさまざまな種類の疾患に使用できると言われている。好ましい実施形態では、化合物はさまざまなタンパク質の発現を阻害すると言われている。ただし、例では、遊離マロン酸とイタコン酸のみが、基質であるコハク酸との構造的類似性に基づくと言われているコハク酸脱水素酵素の阻害剤としての効果について調査された。神経変性疾患の治療における潜在的な有効性は、このことから推測することはできない。
【0010】
この治療戦略の欠如を克服し、他の治療オプションを見つけるために、これらの疾患の治療のための新しいターゲットに関する研究が行われてきた。2008年に、BushおよびTanziは“metal hypothesis of Alzheimer’s disease”(A. Bush and R. E. Tanzi, “Therapeutics for Alzheimer’s disease based on the metal hypothesis”, Neurotherapeutics 5(3), 421-432 (2008))で、金属恒常性の崩壊が神経変性疾患の主な原因であり、そのため金属恒常性を回復する薬剤が有望な新しい治療戦略を提供することができると提唱した。その後、金属キレート剤は、神経変性疾患の潜在的治療剤として繰り返し提案されてきた。例えば、M.TosatoとA.Di Marcoによる“Metal Chelation Therapy and Parkinson’s Disease: A Critical Review on the Thermo-dynamics of Complex Formation between Relevant Metal Ions and Promising or Estab-lished Drugs”, Biomolecules 9(7), 269 (2019)では、パーキンソン病の治療薬として過去数年間に研究されてきた約800種類の物質が列挙され、その中にはマロン酸も金属キレート剤として挙げられている;同様にAcevedoらは、“Redox active metals in neurodegenerative diseases“, Biol. Inorg. Chem. 24(8), 1141-1157 (2019)で、金属キレート剤が、アルツハイマー病やパーキンソン病の主な原因の1つであるβ-アミロイド(「Aβ」)やα-シヌクレインのミスフォールディングや凝集を防ぐ手段であることなどを明らかにする。P.A.AdlardとA.I.Bushによるレビュー(“Metals and Alzheimer’s Disease: How Far Have We Come in the Clinic?”, J. Alzheimer’s Dis. 62(3), 1369-1379 (2018))においても、キレート剤クリオキノール(5-クロロ-7-ヨードキノリン-8-オール):
【0011】
【化3】
【0012】
について同様のことが主張されている。
【0013】
近年、本発明者らの作業グループは、Rhabditidaグループの線虫であるCaenorhabditis elegansのトランスジェニック株を使用した新しいスクリーニングアッセイを開発した。これは、金属恒常性を回復するというこの新しい戦略に基づくが、具体的には、体内のメタロチオネイン生合成をアップレギュレーションすることによる:参照Pretschら, “Prolongation of metallothionein induction combats As and α-synu-clein toxicity in aged transgenic Caenorhabditis elegans”, Sci. Rep. 10, 11707 (July 16, 2020)。彼らは、メタロチオネイン、つまり重金属を結合する細胞質タンパク質の内因性生合成を延長することで、毒性のあるβ-アミロイド(「Aβ」)とα-シヌクレインの発現が抑制され、対応する線虫の幼虫の寿命を大幅に延ばすことができると説明する。エモジン(1,3,8-トリヒドロキシ-6-メチルアントラセン-9,10-ジオン)は、これを実現する薬剤の1つとして特定された:
【0014】
【化4】
【0015】
その後の論文(D. Pretsch, “Abnormal metal homeostasis as a common drug target to combat neurodegenerative diseases”, Neural Regen. Res. 16(12), 2388-2389 (2021))では、エモジンの効果だけでなく、クリオキノールの効果も、D-ペニシラミン(2-アミノ-3-メルカプト-3-メチルブタン酸)やジエチルジチオカルバミン酸
【0016】
【化5】
【0017】
などの他の効果的な(特に銅)キレートがパーキンソン病に関連したマウス試験モデルで失敗したのと同様に、そのキレート特性(のみ)に基づくものではないとさらに述べている。この研究ではD-ペニシラミンは神経保護効果を示さなかったが、ジエチルジチオカルバミン酸が存在すると神経毒性が高くなった。C. elegans線虫アッセイにおいて、エモジンとクリオキノールの作用機序は、体内でのメタロチオネインの生合成の延長につながることから、キレートによる重金属イオンの結合とは無関係なはずである。
【0018】
Hamaら(“Malonic acid suppresses lipopolysaccharide-induced BV2 microglia cell activation by inhibiting the p38 MAPK/NF-κB pathway”, Anim. Cells Syst. (Seoul) 25(2), 110-118 (2021)も、マロン酸をアルツハイマー病やパーキンソン病の潜在的な治療薬として開示しているが、これはインターロイキンなどのさまざまなサイトカインの発現を阻害する能力があり、その結果、炎症の発生に関与するさまざまなシグナル伝達経路(例、MAPK経路)を阻害できるためである。
【0019】
このような背景のもと、本発明の目的は、モデル生物としてのC. elegansに基づく新しいアッセイ法を用いて、体内のメタロチオネイン生合成を促進する薬剤として好適であり、神経変性疾患に対する新たな可能性を秘めた活性薬剤となり得る化学化合物を同定することである。
【発明の概要】
【0020】
本発明は、患者のメタロチオネイン生合成促進剤としての使用のための下記式(I)のマロン酸およびその誘導体を提供することによりこの目的を達成する:
【0021】
【化6】
【0022】
式中、XおよびYはそれぞれ独立して-O、-OR、および-NRから選択され、式中、Mは一価または多価の金属アニオンから選択され、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素および1から25個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖、分岐または環状炭化水素ラジカルから選択され、1つ以上の炭素原子はOまたはNに置換されてもよく、RおよびRは任意に結合して窒素原子と一緒に複素環式炭化水素ラジカルを形成してもよい。
【0023】
最近開発した上記のアッセイ法を使用して、発明者らは、驚くべきことに、式(I)のマロン酸自体と様々な誘導体、すなわちそのエステル、アミドおよび塩の両方が、C. elegansモデル生物におけるメタロチオネイン生合成を促進し、それによって金属恒常性を回復するための薬剤として有効であり、その結果、神経変性疾患と戦うための薬剤として適している可能性が非常に高いことを見出した。未置換マロン酸は、そのキレート特性のために神経変性疾患の治療剤として数回開示されているが、線虫アッセイにおいて、それ、またはその誘導体のいずれかが細胞におけるメタロチオネイン生合成の促進に肯定的な効果を示すかどうかは予測できなかった。この結果は、長鎖誘導体にとって特に驚くべきものであり、そのいくつかは芳香族化合物で置換さえされており、また比較的かさ高い構造を持つものもあり、中心求核部分C(=O)-CH-C(=O)の孤立電子対へのアクセスが限られているため、金属キレートの形成への適合性が大幅に低下する。
【0024】
しかし、この有効性は、マロン酸部分が中央のα炭素原子で置換されていないマロン酸誘導体についてのみ確認され、これは後の実施例および比較例によって裏付けられ、これもまた驚くべきことであり、このアッセイにおける有効性の理由が、化合物が金属イオンとキレートを形成する能力に過ぎないという考えとは明らかに矛盾する。これは、比較例8における化合物(108)、N-(3-アミノプロピル)-N’-テトラヒドロキノリンマロン酸ジアミドの無効性によっても証明されているが、他のすべての芳香族置換化合物は肯定的な結果を示している。
【0025】
実施形態の1つのグループ(そのすべてがマロン酸の塩である)では、式(I)のXおよびYの少なくとも1つは-Oであるが、好ましくはXおよびYの両方が-Oであり、ここでMは一価および多価金属アニオンから独立して選択され、Mは好ましくはアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオンであり、より好ましくはアルカリ金属イオンである。カルボキシレートイオンを1つだけ含むマロン酸塩、ならびにカルボキシル基の両方がイオン化カルボキシレートとして存在するマロン酸塩は、それぞれ有効であることが証明されている。しかし、後者の場合、製造プロセスがいくらか単純であるため、本発明では、現在、これらが好ましい。
【0026】
単一のマロン酸塩のみの場合(この場合、XおよびYの一方のみが-Oを表し、他方がエステル基-ORまたはアミド基-NRを表す)、およびジアミド、ジエステル、およびエステルアミドの場合(この場合、XおよびYの両方が、-ORまたはNRを表す)の両方において、R、RおよびRは、好ましくはそれぞれ独立して、水素および1から15個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖、分岐または環状炭化水素ラジカルから選択され、さらにより好ましくは水素および1から10個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルから選択される、なぜなら化合物の分子量が低いと、投与される活性物質の量が減少するからである。
【0027】
特に、本発明による化合物は下記から選択される:マロン酸(1)、マロン酸ジアミド(2)、マロン酸二ナトリウム(3)、マロン酸ジメチルエステル(4)、マロン酸メチルエステルカリウム塩(5)、マロン酸メチルエステルアミド(6)、N-(3-アミノプロピル)マロン酸アミド(7)、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル(8)、マロン酸アダマンタン-1-イルエチルエステル(9)、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-アミノプロピル)アミド(10)、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-アミノプロピル)-N-メチルアミド(11)、マロン酸アダマンタン-1-イルエステルピペラジンアミド(12)、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-(4-アミノブチリル)ピペラジンアミド(13)、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-アミノピペリジンアミド(14)、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-(4-(4-アミノブチリル)アミノ)ピペリジンアミド(15)、マロン酸メチルエステル-N-(アダマンタン-1-イル)アミド(16)、N-(アダマンタン-1-イル)マロン酸アミド(17)、N-アダマンタン-1-イル-N’-(3-アミノプロピル)マロン酸ジアミド(18)、N-アダマンタン-1-イル-N’-(3-アミノプロピル)-N’-メチルマロン酸ジアミド(19)、N-アダマンタン-1-イル-N’-ピペラジンマロン酸ジアミド(20)、N-アダマンタン-1-イル-N’-(4-(4-アミノブチリル)ピペラジン)マロン酸ジアミド(21)、N-(3-アミノプロピル)-N’-モルホリンマロン酸ジアミド(22)、N-(3-アミノプロピル)-N’-ピペリジンマロン酸ジアミド(23)、N-(3-アミノプロピル)-N’-デカヒドロキノリンマロン酸ジアミド(24)、N-(3-アミノプロピル)-N’-デカヒドロイソキノリンマロン酸ジアミド(25)、N-(3-アミノプロピル)-N’-(6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-イルメチル)マロン酸ジアミド(26)、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-ジメチルアミノプロピル)アミド(27)、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-モルホリノプロピル)アミド(28)、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-(3-トリフルオロメチルベンジル)ピペラジンアミド(29)、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-(3-フルオロベンジル)ピペラジンアミド(30)、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-(2-メトキシフェニル)ピペラジンアミド(31)、マロン酸-N-(3,5-ジメチル)アダマンタン-1-イルアミド(32)、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-(3-アミノプロピル)マロン酸ジアミド(33)、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-(3-モルホリノプロピル)マロン酸ジアミド(34)、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-ピペラジンマロン酸ジアミド(35)、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(3-トリフルオロメチルベンジル)ピペラジンマロン酸ジアミド(36)、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(3-フルオロベンジル)ピペラジンマロン酸ジアミド(37)、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(2-メトキシフェニル)ピペラジンマロン酸ジアミド(38)、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(4-メトキシフェニル)ピペラジンマロン酸ジアミド(39)、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(2,4-ジメトキシフェニル)ピペラジンマロン酸ジアミド(40)、およびN-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(2-モルホリノ-2-オキソエチル)ピペラジンマロン酸ジアミド(41)。
【0028】
好ましい実施形態では、患者のメタロチオネイン生合成の促進は、金属恒常性を回復させ、それにより患者の神経変性疾患の治療に役立ち、神経変性疾患は特に好ましくはアルツハイマー病、パーキンソン病,およびハンチントン病から選択され、特にアルツハイマー病は、上記の「金属仮説」によれば、金属恒常性を回復することによって最も効果的に治療できる可能性があり、これは、Pretschら(上記参照)によれば、メタロチオネイン生合成を促進することによって達成できるはずである。
【0029】
したがって、第2の態様において、本発明は、患者のメタロチオネイン生合成を促進することにより、ヒトまたは動物の身体を療法的に治療するための医薬組成物も提供し、この医薬組成物は、第1の態様に従う使用のための上記で定義された化合物および少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含み、さらに任意に1つ以上の他の医薬上許容される成分を含み、この組成物は、好ましくは神経変性疾患、より好ましくはアルツハイマー病またはパーキンソン病、特にアルツハイマー病の治療にも役立つ。
【実施例
【0030】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、これらは本発明を説明するためのものであり、限定的なものとして理解されるものではない。
【0031】
以下に記載する実施例および比較例の化合物は、市販のものを購入するか、または合成例に示した方法で調製し、その後、前述の「Pretschら」に開示されたアッセイ方法を用いて、神経変性疾患に対する活性剤としての適性を試験した。
【0032】
試験化合物は標準的な反応順序で合成され、すべての出発生成物は市販されているか、あるいは市販の試薬からあらかじめ合成されたもので、さらに精製することなく合成に使用した。Avance AV400スペクトロメーター(Bruker)を用いて400MHzで記録したH NMRスペクトルと、LCMS-8040(Shimadzu)を用いて記録したマススペクトルを用いて特性評価を行った。
【0033】
具体的には、この最初の一連の試験では、以下の化合物の有効性を調べた。さらなる試験は現在、発明者らの研究作業の対象となっている。
【0034】
本発明の実施例として、これまでに以下のものが試験されている:
【0035】
【化7】
【0036】
【化8】
【0037】
【化9】
【0038】
【化10】
【0039】
【化11】
【0040】
【化12】
【0041】
【化13】
【0042】
【化14】
【0043】
およびまた下記化合物を比較例として調べた:
【0044】
【化15】
【0045】
【化16】
【0046】
【化17】
【0047】
これらのうち、化合物(1)から(7)および(101)から(107)は市販品から入手し、その他の化合物(8)から(41)および(108)は以下に述べる方法で調製した。
【0048】
合成例1
マロン酸アダマンタン-1-イルエステル(8)の調製
【0049】
【化18】
【0050】
1.0g(6.57mmol)のアダマンタン-1-オールと0.95g(6.57mmol)の2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4,6-ジオンのトルエン溶液を12h還流し、その後、反応混合物を室温まで冷却した。続いて、60mlの飽和NaHCO水溶液をゆっくりと加え、相分離を起こさせた。トルエン相を捨て、水相を100mlの1N HClで注意深く酸性化した。酸性溶液をジクロロメタンで抽出し、有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて、1.5gの標題化合物を無色の結晶として得た。
1H NMR (CD3OD): δ = 1.71 (m, 6H, adamantyl), 2.10-2.20 (m, 9H, adamantyl), 3.25 (s, 2H), 4.81 (brs, 1H). MS (ESI-): m/z (%) 237 (100, [M-H]-), 283 (47, [M+HCOO-]).
【0051】
合成例2
マロン酸アダマンタン-1-イルエチルエステル(9)の調製
【0052】
【化19】
【0053】
エタノール10ml中のマロン酸アダマンタン-1-イルエステル(8)35mgの溶液に、ジオキサン中の4N HClを2ml加えた。室温で24h撹拌した後、反応混合物を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル95:5)で精製し、無色の液体(35mg)として標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 1.25 (t, 3H, J=7,14 Hz), 1.62 (m, 6H), 2.08-2.13 (m, 9H), 3.23 (s, 2H), 4.16 (q, 2H, J=7.14 Hz). MS (ESI+): m/z (%) 267 (13, [M+H]+), 284 (6, [M+H2O]+), 289 (100, [M+Na]+).
【0054】
合成例3
マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-アミノプロピル)アミド(10)の調製
【0055】
【化20】
【0056】
8mlのジメチルホルムアミド(DMF)中の、0℃に冷却した22mg(0.126mmol)の3-アミノプロピルカルバミン酸-tert-ブチルエステル(N-Boc-1,3-プロパンジアミン)(104)、30mg(0.126mmol)のマロン酸アダマンタン-1-イルエステル(8)および45μl(0.252mmol)のジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)の溶液に、54mg(0.126mmol)の(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノモルホリノカルベニウムヘキサフルオロホスフェート(COMU)を加えた。2h撹拌し室温まで温めた後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1N HClおよび飽和NaHCO水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。Boc保護マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-アミノプロピル)アミド(10a)を含む残渣(47mg)を、さらに精製することなく次の工程に使用した。
MS (ESI+): m/z (%) 395 (100, [M+H]+), 417 (100, [M+Na]+), 811 (100, [2M+Na]+).
【0057】
こうして得られた残渣をジクロロメタン8mlに溶解し、ジオキサン中の4N HClを1.26ml加え、混合物を室温で2h撹拌した。その後、揮発分を真空中で除去し、標題化合物(10)の塩酸塩を黄色オイル(34mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 1.60-1.72 (m, 10H), 2.10-2.18 (m, 9H), 2.85 (s, 2H), 3.22-3.25 (m, 1H), 3.62-3.70 (m, 2H), 3.75-3.79 (m, 1H). MS (ESI+): m/z (%) 295 (100, [M+H]+), 589 (80, [2M+H]+), 611 (15, [2M+Na]+).
【0058】
合成例4
マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-アミノプロピル)-N-メチルアミド(11)の調製
【0059】
【化21】
【0060】
マロン酸アダマンチルエステル(8)(289mg、1.211mmol)、3-(メチルアミノ)プロピルカルバミン酸tert-ブチルエステル(105)(228mg、1.211mmol)、およびトリエチルアミン(TEA)(340μl、2.422mmol)のDMF(6ml)溶液に、1mlの1.6Mプロパンホスホン酸無水物(T3P)酢酸エチル溶液をゆっくりと加え、室温で1h撹拌した。次に、反応混合物を飽和食塩水と混合して加水分解し、ジクロロメタンで抽出した。抽出物をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 70:30)で精製し、Boc保護マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-アミノプロピル)-N-メチルアミド(11a)を無色オイル(370mg)の形で得た。
MS (ESI+): m/z (%) 409 (100, [M+H]+, 431 (100, [M+Na]+), 309 (100, [M-Boc]+), 839 (100, [2M+Na]+).
【0061】
こうして得られた生成物(0.96mmol)を20mlのジクロロメタンに溶解し、ジオキサン中の4NのHClを9.6ml加え、混合物を室温で1.5h撹拌した。その後、揮発性成分を真空中で除去し、標題化合物(11)の塩酸塩を黄色オイル(260mg)の形で得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ = 1.63-1.75 (m, 10H), 2.10-2.20 (m, 9H), 2.85 (s, 2H), 2.97 (s, 3H) 3.22-3.25 (m, 1H), 3.61-3.72 (m, 2H), 3.73-3.82 (m, 1H). MS (ESI+): m/z (%) 309 (100, [M+H]+), 331 (17, [M+Na]+), 617 (77, [2M]+).
【0062】
合成例5
マロン酸アダマンタン-1-イルエステルピペラジンアミド(12)の調製
【0063】
【化22】
【0064】
合成は、合成例4と同様に、マロン酸アダマンチルエステル(8)(150mg、0.630mmol)、1-ピペラジンカルバミン酸-tert-ブチルエステル(117mg、0.630mmol)およびTEA(176μl、1.26mmol)をDMF(7ml)に512μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液とともに加えて行った。残渣をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 90:10→50:50)で精製して、Boc保護された標題化合物(12a)を白色固体(232mg)の形で得た。
MS (ESI+): m/z (%) 407 (100, [M+H]+), 429 (100, [M+Na]+), 836 (100, [2M+Na]+).
【0065】
こうして得られた生成物(0.571mmol)を合成例4と同様に脱保護し、標題化合物(12)の塩酸塩を白色固体(169mg)の形で得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ = 1.6 (t, 6H, J=3.0 Hz), 2.03 (d, 6H, J=3.0 Hz), 2.11 (brs, 3H), 3.05 (dt, 4H, J=22.6, 5.2 Hz), 3.32 (brs, 1H), 3.48 (s, 2H), 3.63 (dt, 4H, J=22.6, 5.2 Hz)
MS (ESI+): m/z (%) 307 (100, [M+H]+), 329 (25, [M+Na]+), 635 (15, [2M+Na]+).
【0066】
合成例6
マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-(4-アミノブチリル)ピペラジンアミド(13)の調製
【0067】
【化23】
【0068】
合成は、合成例4と同様に、マロン酸アダマンタン-1-イルエステルピペラジンアミド(12)(180mg、0.525mmol)、4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸(107mg、0.525mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(219μl、1.575mmol)をDMF(7ml)に427μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液とともに加えて行った。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 80:20)で精製して、Boc保護された標題化合物(13a)を白色固体(190mg)の形で得た。
MS (ESI+): m/z (%) 492 (100, [M+H]+), 514 (100, [M+Na]+), 392 (72, {M+H-Boc]+).
【0069】
こうして得られた生成物(0.386mmol)を合成例4と同様に脱保護し、標題化合物(12)の塩酸塩を白色粉末(151mg)の形で得た。
1H NMR (DMSO-d6): 1.59 (brs, 6H), 1.76 (quint, 2H, J=7.4 Hz), 2.03 (d, 6H, J=3Hz), 2.10 (brs, 3H), 2.45 (quint, 2H, J=7.4 Hz), 2.74-2.83 (m, 2H), 3.34 (brs, 2H), 3.40-3.45 (m, 8H), 3.54 (s, 2H). MS (ESI+): m/z (%) 392 (100, [M+H]+), 414 (100, [M+Na]+), 430 (10, [M+K]+), 805 (69, [2M+Na]+).
【0070】
合成例7
マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-アミノピペリジンアミド(14)の調製
【0071】
【化24】
【0072】
合成は、合成例4と同様に、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル(8)(150mg、0,630mmol)、ピペリジン-4-イル-カルバミン酸tert-ブチルエステル(126mg、0,630mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(176μl、1.26mmol)をDMF(7ml)に512μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液とともに加えて行った。残渣をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 90:10→80:20)で精製して、Boc保護された標題化合物(14a)を白色固体(236mg)の形で得た。
MS (ESI+): m/z (%) 421 (100, [M+H]+), 443 (100, [M+Na]+), 864 (100, [2M+Na]+).
【0073】
こうして得られた生成物(0,561mmol)を合成例4と同様に脱保護し、標題化合物(14)の塩酸塩を白色粉末(175mg)の形で得た。
MS (ESI+): m/z (%) 321 (100, [M+H]+), 343 (7, [M+Na]+), 641 (24, [2M+H]+), 663 (95, [2M+Na]+).
【0074】
合成例8
マロン酸アダマンタン-1-イルエステル(4-(4-アミノブチリル)アミノ)ピペリジンアミド(15)の調製
【0075】
【化25】
【0076】
合成は、合成例4と同様に、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-アミノピペリジンアミド(14)(140mg、0.392mmol)、4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸(80mg、0.392mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(164μl、1.176mmol)をDMF(7ml)に319μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液とともに加えて行った。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 80:20→酢酸エチル)で精製して、Boc保護された標題化合物(15a)を黄色オイル(83mg)の形で得た。
MS (ESI+): m/z (%) 506 (100, [M+H]+), 528 (100, [M+Na]+), 406 (78, [M-Boc+H]+).
【0077】
こうして得られた生成物(0.164mmol)を合成例4と同様に脱保護し、標題化合物(14)の塩酸塩を黄色粉末(80mg)の形で得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ = 1.64 (dt, 3H, J=13.1, 2.8 Hz), 1.66 (dt, 3H, J=13.1, 2.8 Hz), 1.74 (sept, 3H, J=2.8 Hz), 1.80-1.87 (m, 6H), 2.09-2.13 (m, 6H), 2.16 (t, 2H, J=7.4 Hz), 2.65 (t, 2H, J=7.7 Hz), 3.04-3.13 (m, 2H), 3.35 (ddd, 2H, J=14.7, 6.8, 2.8 Hz), 3.55 (s, 2H), 4.11-4.21 (m, 1H), 7.97 (brs, 2H). MS (ESI+): m/z (%) 406 (100, [M+H]+), 428 (100, [M+Na]+), 811 (100, [2M+H]+), 833 (53, [2M+Na]+).
【0078】
合成例9
マロン酸メチルエステル-N-(アダマンタン-1-イル)アミド(16)の調製
【0079】
【化26】
【0080】
マロン酸メチルエステルクロリド(322μl、3.005mmol)を不活性ガス雰囲気下でジクロロメタン30mlに溶かし、-20℃に冷却した後、1-アダマンタンアミン(107)(1.0g、6.612mmol)のジクロロメタン10ml溶液をシリンジを用いてゆっくり加えた。反応混合物を室温で1h撹拌し、飽和NHCl水溶液で反応停止し、ジクロロメタンで抽出した。有機相をMgSOで乾燥し、濾過し、蒸発乾固させて、標題化合物を白色結晶(760mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 1.68 (m, 6H), 2.01-2.10 (m, 9H), 3.22 (s, 2H), 3.74 (s, 3H), 6.64 (brs, 1H). MS (ESI+): m/z (%) 252 (100, [M+H]+), 274 (100, [M+Na]+), 503 (78, [2M+H]+).
【0081】
合成例10
N-(アダマンタン-1-イル)マロン酸アミド(17)の調製
【0082】
【化27】
【0083】
THF/HO(2:1)30ml中のマロン酸メチルエステル-N-(アダマンタン-1-イル)アミド(16)750mg(2.98mmol)の溶液に、6mlの1M NaOH水溶液を加え、室温で撹拌した。1h後、THFをロータリーエバポレーターで除去し、残った水溶液を2NのHClで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固して、標題化合物(17)をオフホワイトの粉末(670mg)として得た。
MS (ESI-): m/z (%) 236 (100, [M-H]-), 473 (100, [2M-H]-).
【0084】
合成例11
N-アダマンタン-1-イル-N’-(3-アミノプロピル)マロン酸ジアミド(18)の調製
【0085】
【化28】
【0086】
ジクロロメタン(8ml)中の0℃に冷却したN-(アダマンタン-1-イル)マロン酸アミド(17)(50mg、0.211mmol)、3-アミノプロピルカルバミン酸tert-ブチルエステル(104)(37mg、0.211mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(13mg、0.106mmol)の溶液に、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(40μl、0.253mmol)を加えた。4h撹拌し室温まで温めた後、反応混合物を蒸発乾固した。Boc保護N-アダマンタン-1-イル-N’-(3-アミノプロピル)マロン酸ジアミド(18a)(59mg、0.202mmol)を含む残渣を、さらに精製することなく次の工程に使用した。
MS (ESI+): m/z (%) 394 (100, [M+H]+), 415 (100, [M+Na]+), 294 (70, [M-BOC+H]+), 787 (40, [2M+H]+).
【0087】
こうして得られた残渣をジクロロメタン6mlに溶解し、ジオキサン中の4NのHClを2ml加え、混合物を室温で2h撹拌した。その後、揮発分を真空中で除去し、標題化合物(18)の塩酸塩を黄色オイル(55mg)の形で得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ = 1.61 (m, 6H, adamantyl), 1.68 (quint, 2H, J=7.1 Hz), 1.90-2.00 (m, 9H, adamantyl), 2.74-2.82 (m, 2H), 2.98 (s, 2H), 3.12 (q, 2H, J=6.42 Hz), 7.58 (s, 1H). MS (ESI+): m/z (%) 294 (90, [M+H]+), 316 (100, [M+Na]+), 608 (45, [2M+Na]+).
【0088】
合成例12
N-アダマンタン-1-イル-N’-(3-アミノプロピル)-N’-メチルマロン酸ジアミド(19)の調製
【0089】
【化29】
【0090】
合成は、合成例4と同様に、N-(アダマンタン-1-イル)マロン酸アミド(17)(50mg、0.211mmol)、3-(メチルアミノ)プロピルカルバミン酸tert-ブチルエステル(105)(40mg、0.211mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(60μl、0.422mmol)をDMF(10ml)に175μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えて行った。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 70:30)で精製して、Boc保護された標題化合物 (19a)を黄色オイル(83mg)の形で得た。
MS (ESI+): m/z (%) 408 (100, [M+H]+), 430 (100, [M+Na]+), 308 (100, [M-BOC+H]+), 815 (50, [2M+H]+).
【0091】
こうして得られた生成物(46mg、0.113mmol)を合成例4と同様に脱保護し、標題化合物(19)の塩酸塩を黄色オイル(33mg)の形で得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ = 1.61 (m, 6H, adamantyl), 1.74 (quint, 2H, J=5.5 Hz), 1.97-2.07 (m, 9H, adamantyl), 2.75-2.84 (m, 2H), 2.93 (s, 3H), 3.26 (s, 2H), 3.35 (t, 2H, J=5.5 Hz), 3.41 (brs, 2H), 7.50 (s, 1H). MS (ESI+): m/z (%) 308 (100, [M+H]+), 330 (33, [M+Na]+), 615 (100, [2M+H]+).
【0092】
合成例13
N-アダマンタン-1-イル-N’-ピペラジンマロン酸ジアミド(20)の調製
【0093】
【化30】
【0094】
合成は、合成例4と同様に、市販のマロン酸4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジンアミド(250mg、0.918mmol)、1-アダマンタンアミン(107)(139mg、0.918mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(265μl、1.84mmol)をDMF(17ml)に750μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えて行った。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 90:10→50:50)で精製して、Boc保護された標題化合物(20a)を白色固体(260mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 1.46 (s, 9H), 1.67 (t, 7H, J=3.9 Hz), 1.98 (d, 6H, J=3.1 Hz), 2.06 (brs, 3H), 3.24 (s, 2H), 3.40-3.46 (m, 4H), 3.52-3.55 (m, 2H), 3.58-3.61 (m, 2H), 6.73 (brs, 1H). MS (ESI+): m/z (%) 406 (100, [M+H]+), 428 (100, [M+Na]+), 833 (2M+Na]+).
【0095】
こうして得られた生成物(0.647mmol)を合成例4と同様に脱保護し、標題化合物(20)の塩酸塩を白色粉末(192mg)の形で得た。
1H NMR (DMSO-d6): 1.61 (brs, 6H), 1.9 (d, 6H, J=2.95 Hz), 2.00 (brs, 3H), 3.00 (brs, 2H), 3.10 (brs, 2H), 3.66-3.68 (m, 4H), 4.01 (brs, 2H). MS (ESI+): m/z (%) 306 (100, [M+H]+), 329 (7, [M+Na]+), 633 (95, [2M+Na]+).
【0096】
合成例14
N-アダマンタン-1-イル-N’-(4-(4-アミノブチリル)ピペラジン)マロン酸ジアミド(21)の調製
【0097】
【化31】
【0098】
合成は、合成例4と同様に、N-アダマンタン-1-イル-N’-ピペラジンマロン酸ジアミド(20)の塩酸塩(140mg、0.410mmol)、4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸(83mg、0.410mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(171μl、1.23mmol)をDMF(7ml)に333μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えて行った。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール 95:5)で精製して、Boc保護された標題化合物(21a)を白色固体(180mg)の形で得た。
MS (ESI+): m/z (%) 491 (100, [M+H]+), 513 (100, [M+Na]+), 391 (38, [M-Boc+H]+).
【0099】
こうして得られた生成物(0.367mmol)を合成例4と同様に脱保護し、標題化合物(21)の塩酸塩を白色粉末(150mg)の形で得た。
1H NMR (DMSO-d6): 1.59 (brs, 6H), 1.77 (quint, 2H, J=6.4 Hz), 1.89 (brs, 6H), 1.98 (brs, 3H), 2.43-2.47 (m, 2H), 2.76-2.81 (m, 2H), 3.26-3.30 (m, 2H), 3.39-3.45 (m, 8H), 4.34 (brs, 2H), 7.61 (s, 1H).
【0100】
合成例15
N-(3-アミノプロピル)-N’-モルホリンマロン酸ジアミド(22)の調製
【0101】
【化32】
【0102】
合成は、合成例4と同様に、市販のN-モルホリノマロン酸アミド(90mg、0.520mmol)、3-アミノプロピルカルバミン酸tert-ブチルエステル(N-Boc-1,3-プロパンジアミン)(104)(91mg、0.520mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(145μl、1.04mmol)をDMF(5ml)に423μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えて行った。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール 95:5)で精製して、Boc保護された標題化合物(22a)を黄色オイル(90mg)の形で得た。
MS (ESI+): m/z (%) 330 (100, [M+H]+), 352 (100, [M+Na]+), 230 (100, [M-Boc+H]+), 681 (100, [2M+Na]+).
【0103】
こうして得られた生成物(0.273mmol)を合成例4と同様に脱保護し、標題化合物(22)の塩酸塩を黄色がかったオイル(76mg)の形で得た。
MS (ESI+): m/z (%) 230 (100, [M+H]+), 252 (100, [M+Na]+), 459 (11, [2M+H]+), 481 (100, [2M+Na]+).
【0104】
合成例16
N-(3-アミノプロピル)-N’-ピペリジンマロン酸ジアミド(23)の調製
【0105】
【化33】
【0106】
合成は、合成例9、10および4の組み合わせと同様に行ったが、まず合成例9と同様に、マロン酸メチルエステル-N-ピペリジンアミドをマロン酸メチルエステルクロリド(250μl,2.33mmol)およびピペリジン(506μl,5.126mmol)から10mlジクロロメタン中、-20℃で調製し、次に合成例10と同様に、THF/HO(2:1)中、水性NaOHで加水分解し、マロン酸-N-ピペリジンアミドを得た。
MS (ESI+): m/z (%) 172 (100, [M+H]+), 194 (50, [M+H]+).
【0107】
これ(280mg、1.636mmol)を次に合成例4と同様に、3-アミノプロピルカルバミン酸tert-ブチルエステル(N-Boc-1,3-プロパンジアミン)(285mg、1.636mmol)およびTEA(456μl、3.272mmol)をDMF(6ml)に1.33mlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えたものと反応させた。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 50:50→酢酸エチル)で精製して、Boc保護された標題化合物(23a)を無色オイル(370mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 1.43 (s, 9H), 1.53-1.60 (m, 4H), 1.63-1.68 (m, 5H), 3.14 (q, 2H, J=6.5 Hz), 3.31 (s, 2H), 3.33 (q, 2H, J=6.5 Hz), 3.45 (t, 2H, J=4.8 Hz), 3.56 (t, 2H, J=4.8 Hz), 7.78 (s, 1H). MS (ESI+): m/z (%) 328 (100, [M+H]+), 350 (100, [M+Na]+), 228 (80, [M-Boc+H]+), 677 (100, [2M+Na]+).
【0108】
こうして得られた生成物(1.13mmol)を合成例4と同様に脱保護し、標題化合物(23)の塩酸塩を白色粉末(330mg)の形で得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ = 1.37-1.43 (m, 2H), 1.45-1.50 (m, 2H), 1.53-1.59 (m, 2H), 1.69 (quint, 2H, J=8.3 Hz), 2.75-2.83 (m, 2H), 3.12 (q, 2H, 4.8 Hz), 3.35-3.41 (m, 4H), 7.96 (s, 1H). MS (ESI+): m/z (%) 228 (100, [M+H]+), 250 (16, [M+Na]+), 455 (40, [2M+H]+).
【0109】
合成例17
N-(3-アミノプロピル)-N’-デカヒドロキノリンマロン酸ジアミド(24)の調製
【0110】
【化34】
【0111】
合成は、合成例16と同様に行い、マロン酸メチルエステルクロリド(175μl、1.63mmol)およびトランス-デカヒドロキノリン(500mg,3.59mmol)からマロン酸メチルエステル-N-デカヒドロキノリンアミドにし、これを加水分解してマロン酸-N-デカヒドロキノリンアミドを得た。
MS (ESI+): m/z (%) 226 (100, [M+H]+), 248 (85, [M+Na]+).
【0112】
これ(190mg、0.843mmol)を、3-アミノプロピルカルバミン酸tert-ブチルエステル(N-Boc-1,3-プロパンジアミン)(147mg、0.843mmol)およびTEA(236μl、1.686mmol)をDMF(6ml)に685μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えたものと反応させた。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 50:50→40:60)で精製して、Boc保護された標題化合物(24a)を無色オイル(230mg)の形で得た。
MS (ESI+): m/z (%) 382 (100, [M+H]+), 404 (80, [M+Na]+), 282 (37, [M-Boc+H]+), 785 (15, [2M+Na]+).
【0113】
こうして得られた生成物(0.603mmol)を同様の方法で脱保護し、標題化合物(24)の塩酸塩を白色粉末(215mg)の形で得た。
MS (ESI+): m/z (%) 282 (100, [M+H)+], 304 (30, [M+Na]+), 563 (80, [2M+H]+), 585 (60, [2M+Na]+).
【0114】
合成例18
N-(3-アミノプロピル)-N’-デカヒドロイソキノリンマロン酸ジアミド(25)の調製
【0115】
【化35】
【0116】
合成は、合成例17と同様に行い、マロン酸メチルエステルクロリド(175μl、1.63mmol)およびデカヒドロイソキノリン(500mg、3.59mmol)からマロン酸メチルエステル-N-デカヒドロイソキノリンアミドにし、これを加水分解してマロン酸-N-デカヒドロイソキノリンアミドを得た。
MS (ESI+): m/z (%) 226 (100, [M+H]+), 248 (100, [M+Na]+), 473 (36, [2M+Na]+).
【0117】
これ(272mg、1.207mmol)を、3-アミノプロピルカルバミン酸tert-ブチルエステル(N-Boc-1,3-プロパンジアミン)(210mg、1.207mmol)およびTEA(336μl、2.414mmol)をDMF(10ml)に980μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えたものと反応させた。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製して、Boc保護された標題化合物(25a)を無色オイル(306mg)の形で得た。
MS (ESI+): m/z (%) 382 (100, [M+H]+), 404 (100, [M+Na]+), 282 (100, [M-Boc+H]+), 785 (100, [2M+Na]+).
【0118】
こうして得られた生成物(0.786mmol)を同様の方法で脱保護し、標題化合物(25)の塩酸塩を白色粉末(280mg)の形で得た。
MS (ESI+): m/z (%) 282 (100, [M+H]+), 304 (20, [M+Na]+), 563 (40, [2M+H]+), 585 (50, [2M+Na]+).
【0119】
合成例19
N-(3-アミノプロピル)-N’-(ピナン-10-イル)マロン酸ジアミド(26)の調製
【0120】
【化36】
【0121】
合成は、合成例16と同様に行い、マロン酸メチルエステルクロリド(250μl、2.33mmol)および(-)-シス-ミルタニルアミン(10-ピナンアミン)(860mg、5.13mmol)からマロン酸メチルエステル-N-(ピナン-10-イル)アミドにし、これを加水分解してマロン酸-N-(ピナン-10-イル)アミドを得た。
MS (ESI+): m/z (%) 240 (100, [M+H]+), 262 (55, [M+Na]+), 501 (10, [2M+Na]+). MS (ESI-) m/z (%) 238 (100, [M-H]-), 477 (100, [2M-H]-).
【0122】
これ(295mg、1.327mmol)を、3-アミノプロピルカルバミン酸tert-ブチルエステル(N-Boc-1,3-プロパンジアミン)(231mg、1.327mmol)およびTEA(371μl、2.654mmol)をDMF(7ml)に1.1mlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えたものと反応させた。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 50:50→酢酸エチル)で精製して、Boc保護された標題化合物(26a)を無色オイル(278mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 0.88 (d, 1H, J=8.5 Hz), 1.02 (s, 3H), 1.18 (s, 3H), 1.44 (s, 9H), 1.45-1.50 (m, 1H), 1.59-1.67 (m, 4H), 1.84-1.98 (m, 5H), 2.16-2.24 (m, 1H), 2.33-2.38 (m, 1H), 3.16 (s, 2H), 3.13-3.18 (m, 2H), 3.24-3.34 (m, 4H), 7.05 (s, 1H). MS (ESI+): m/z (%) 396 (100, [M+H]+), 296 (100, [M-Boc+H]+), 418 (100, [M+Na]+), 791(100, [2M+H]+), 813 (100, [2M+Na]+).
【0123】
こうして得られた生成物(0.703mmol)を同様の方法で脱保護し、標題化合物(26)の塩酸塩を白色固体(260mg)の形で得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ = 0.84 (d, 1H, J=8.5 Hz), 0.99 (s, 3H), 1.15 (s, 3H), 1.38-1.45 (m, 1H), 1.65-1.72 (m, 2H), 1.79-1.91 (m, 5H), 2.06-2.14 (m, 1H), 2.29-2.34 (m, 1H), 2.75-2.83 (m, 2H), 3.01 (s, 2H), 3.03-3.08 (m, 2H), 3.10-3.16 (m, 2H), 3.64-3.73 (m, 1H), 7.82 (brs, 2H). MS (ESI+): m/z (%) 296 (100, [M+H]+), 318 (90, [M+Na]+), 591 (100, [2M+H]+), 613 (100, [2M+Na]+).
【0124】
合成例20
N-(3-アミノプロピル)-N’-テトラヒドロキノリンマロン酸ジアミド(108)の調製
【0125】
【化37】
【0126】
合成は、合成例17と同様に行い、マロン酸メチルエステルクロリド(175μl、1.63mmol)および1,2,3,4-テトラヒドロキノリン(478mg、3.59mmol)からマロン酸メチルエステル-N-テトラヒドロキノリンアミドにし、これを加水分解してマロン酸-N-テトラヒドロキノリンアミドを得た。
MS (ESI+): m/z (%) 220 (100, [M+H]+), 242 (100, [M+Na]+), 461 (17, [2M+Na]+). MS (ESI-) m/z (%) 218 (100, [M-H]-).
【0127】
これ(250mg、1.140mmol)を、3-アミノプロピルカルバミン酸tert-ブチルエステル(N-Boc-1,3-プロパンジアミン)(199mg、1.140mmol)およびTEA(318μl、2.280mmol)をDMF(10ml)に900μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えたものと反応させた。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 70:30→40:60)で精製して、Boc保護された標題化合物(108a)を無色オイル(230mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 1.43 (s, 9H), 1.67 (quint, 2H, J=6.7 Hz), 1.98 (quint, 2H, J=6.7 Hz), 2.72 (brs, 2H), 3.16 (q, 2H, J=6.2 Hz), 3.34 (q, 2H, J=6.4 Hz), 3.47 (s, 2H), 3.82 (t, 2H, J=6.7 Hz), 5.00 (brs, 1H), 7.09-7.23 (m, 4H). MS (ESI+): m/z (%) 376 (100, [M+H]+), 398 (100, [M+Na]+), 276 (100,[M-Boc+H]+), 773 (100, [2M+Na]+). MS (ESI-) m/z (%) 374 (100, [M-H]-).
【0128】
こうして得られた生成物(275mg、0.732mmol)を同様の方法で脱保護し、標題化合物(108)の塩酸塩を白色粉末(264mg)の形で得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ = 1.67 (quint, 2H, J=7.1 Hz), 1.87 (quint, 2H, J=6.6), 2.69 (t, 2H, J=6.6 Hz), 2.78 (q, 2H, J=6.6 Hz), 3.11 (q, 2H, 6.5 Hz), 3.67 (s, 2H), 3.64-3.72 (m, 2H), 7.09-7.20 (m, 4H), 7.82 (brs, 2H), 8.22 (brs, 1H). MS (ESI+): m/z (%) 276 (100, [M+H]+), 298 (8, [M+Na]+), 551 (11, [2M+H]+), 573 (18, [2M+Na]+).
【0129】
合成例21
マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-ジメチルアミノプロピル)アミド(27)の調製
【0130】
【化38】
【0131】
マロン酸アダマンタン-1-イルエステル(8)(350mg、1.469mmol)および3-アミノプロピルジメチルアミン(150mg、1.469mmol)のDMF(10ml)溶液に、トリエチルアミン(TEA)(409μl、2.398mmol)および1.2mlの1.6Mプロパンホスホン酸無水物(T3P)の酢酸エチル溶液をゆっくりと加え、室温で1h撹拌した。次に、反応混合物を飽和食塩水と混合して加水分解し、酢酸エチルで抽出した。抽出物をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 50:50→酢酸エチル/メタノール 70:30)で精製し、標題化合物(27)を無色オイル(400mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 1.66 (m, 6H, adamantyl), 1.72 (quint, 2H, J=6.77 Hz), 2.04-2.11 (m, 9H, adamantyl), 2.28 (s, 6H), 2.42 (t, 2H, J=6.92 Hz), 3.19 (s, 2H), 3.45 (q, 2H, J=6.30 Hz), 7.62 (brs, 1H). MS (ESI+): m/z (%) 323 (100, [M+H]+), 345 (11, [M+Na]+).
【0132】
合成例22
マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-モルホリノプロピル)アミド(28)の調製
【0133】
【化39】
【0134】
合成は、合成例21と同様に行い、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル(8)(190mg、0.797mmol)、3-モルホリノプロピルアミン(115mg、0.797mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(222μl、1.594mmol)をDMF(5ml)に650μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加え行った。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル→酢酸エチル/メタノール 90:10)で精製して、標題化合物(28)を無色オイル(250mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 1.65-1.74 (m, 8H), 2.10 (m, 6H, adamantyl), 2.17 (brs, 3H, adamantyl), 2.40-2.44 (m, 6H), 3.19 (s, 2H), 3.33-3.38 (m, 2H), 3.72 (t, 4H, J=4.68 Hz), 7.61 (brs, 1H). MS (ESI+): m/z (%) 365 (100, [M+H]+), 387 (20, [M+Na]+), 751 (67, [2M+Na]+).
【0135】
合成例23
マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-(3-トリフルオロメチルベンジル)ピペラジンアミド(29)の調製
【0136】
【化40】
【0137】
合成は、合成例21と同様に行い、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル(8)(85mg、0.357mmol)、1-(3-トリフルオロメチルベンジル)ピペラジン(87mg、0.357mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(100μl、0.714mmol)をDMF(2ml)に290μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加え行った。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 90:10→50:50)で精製して、標題化合物(29)を無色オイル(116mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 1.65 (m, 6H, adamantyl), 2.10-2.17 (m, 9H, adamantyl), 2.45 (q, 4H, J=4.61 Hz), 3.37 (s, 2H), 3.44 (t, 2H, J=5.05 Hz), 3.57 (s, 2H), 3.66 (t, 2H, J=5.05 Hz), 7.42-7.59 (m, 4H, H-Aryl). MS (ESI+): m/z (%) 465 (100, [M+H]+), 487 (42, [M+Na]+), 951 (7, [2M+Na]+).
【0138】
合成例24
マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-(3-フルオロベンジル)ピペラジンアミド(30)の調製
【0139】
【化41】
【0140】
合成は、合成例21と同様に行い、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル(8)(127mg、0.533mmol)、1-(3-フルオロベンジル)ピペラジン(104mg、0.533mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(149μl、1.07mmol)をDMF(4ml)に433μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加え行った。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 80:20→50:50)で精製して、標題化合物(30)を無色オイル(172mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 1.65 (m, 6H, adamantyl), 2.10-2.16 (m, 9H, adamantyl), 2.44 (q, 4H, J=5.20 Hz), 3.37 (s, 2H), 3.43 (t, 2H, J=5.00 Hz), 3.51 (s, 2H), 3.65 (t, 2H, J=5.07 Hz), 6.93-6.98 (m, 1H, H-Aryl), 7.05-7.08 (m, 2H, H-Aryl), 7.25-7.30 (m, 1H, H-Aryl). MS (ESI+): m/z (%) 415 (100, [M+H]+), 437 (32, [M+Na]+), 851 (10, [2M+Na]+).
【0141】
合成例25
マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-(2-メトキシフェニル)ピペラジンアミド(31)の調製
【0142】
【化42】
【0143】
合成は、合成例21と同様に行い、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル(8)(100mg、0.420mmol)、1-(2-メトキシフェニル)ピペラジン(81mg、0.420mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(341μl、0.546mmol)をDMF(4ml)に341μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えて行った。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 95:5→85:15)で精製して、標題化合物(31)を白色結晶(130mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 1.65 (m, 6H, adamantyl), 2.12-2.17 (m, 9H, adamantyl), 3.06 (dt, 4H, J=14.37, 10.21 Hz), 3.42 (s, 2H), 3.62 (t, 2H, J=5.04 Hz), 3.82 (t, 2H, J=5.10 Hz), 3.88 (s, 3H), 6.88-6.95 (m, 3H, H-Aryl), 7.02-7.06 (m, 1H, H-Aryl). MS (ESI+): m/z (%) 413 (100, [M+H]+), 435 (57, [M+Na]+), 847 (38, [2M+Na]+).
【0144】
合成例26
マロン酸-N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)アミド(32)の調製
【0145】
【化43】
【0146】
マロン酸メチルエステルクロリド(173mg、1.27mmol)を不活性ガス雰囲気下で10mlのジクロロメタンに溶解し、-20℃に冷却した後、3,5-ジメチル-1-アダマンタンアミン(500mg、2.79mmol)の10mlのジクロロメタン溶液をシリンジを用いてゆっくり加えた。反応混合物を室温で1.5h撹拌した後、溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルに再溶解した。有機相を1N HClおよび飽和NaHCO水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。残渣のマロン酸メチルエステル-N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)アミドをTHFとHO(2:1)の混合物に溶解し、これに6mlの1M NaOH水溶液を加え、室温で撹拌した。1h後、THFをロータリーエバポレーターで除去し、残った水溶液を2N HClで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて、標題化合物(32)を白色結晶(260mg)の形で得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ = 0.80 (s, 6H), 1.08 (s, 2H), 1.26 (qd, 4H, J=6.18, 2.86Hz), 1.55 (s, 4H), 1.72 (d, 2H, J=2.97 Hz), 2.05 (quint, 1H, J=3.10 Hz), 3.04 (s, 2H), 7.56 (brs, 1H), 12.39 (brs, 1H). MS (ESI+): m/z (%) 266 (100, [M+H]+), 288 (9, [M+Na]+).
【0147】
合成例27
N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-(3-アミノプロピル)マロン酸ジアミド(33)の調製
【0148】
【化44】
【0149】
合成は、合成例21と同様に行い、マロン酸-N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)アミド(32)(100mg、0.377mmol)、3-アミノプロピルカルバミン酸tert-ブチルエステル(104)(66mg、0.377mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(105μl、0.754mmol)をDMF(4ml)に306μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えて行った。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 80:20→50:50)で精製して、標題化合物(33a)を無色オイル(110mg)の形で得た。
MS (ESI+): m/z (%) 422 (100, [M+H]+), 444 (100, [M+Na]+), 865 (90, [2M+Na]+).
【0150】
こうして得られた残渣(110mg、0.261mmol)を30mlのジクロロメタンに溶解し、その後402μlのトリフルオロ酢酸(TFA)を加え、混合物を室温で4h撹拌した。続いて、60mlの飽和NaHCO水溶液を加え、混合物をジクロロメタンで抽出した。有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて、標題化合物(33)を黄色がかったオイル(76mg)の形で得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ = 0.79 (s, 6H), 1.08-1.10 (m, 3H), 1.22-1.31 (m, 4H), 1.54 (s, 4H), 1.65 (quint, 2H, J=6.86 Hz), 1.72 (d, 2H, J=2.48 Hz), 2.05 (m, 1H), 2.77 (t, 2H, J=7.30 Hz), 2.96 (s, 2H), 3.11 (q, 2H, J=6.36 Hz). MS (ESI+): m/z (%) 322 (100, [M+H]+), 344 (76, [M+Na]+), 643 (70, [2M+H]+).
【0151】
合成例28
N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-(3-モルホリノプロピル)マロン酸ジアミド(34)の調製
【0152】
【化45】
【0153】
合成は、合成例21と同様に行い、マロン酸-N-(3,5-ジメチル)アダマンタン-1-イルアミド(32)(48mg、0.181mmol)、3-モルホリノプロピルアミン(26mg、0.181mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(51μl、0.362mmol)をDMF(2ml)に147μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えて行った。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル→酢酸エチル/メタノール 85:15)で精製して、標題化合物(34)を無色オイル(50mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 0.84 (s, 6H), 1.11-1.19 (m, 2H), 1.25-1.39 (m, 4H), 1.60-1.72 (m, 6H), 1.83 (d, 2H, J=2.95 Hz), 2.14 (quint, 1H, J=3.15 Hz), 2.40-2.44 (m, 6H), 3.02 (s, 2H), 3.34 (q, 2H, J=6.14 Hz), 3.71 (t, 4H, J=4.67 Hz), 6.64 (brs, 1H), 7.64 (brs, 1H). MS (ESI+): m/z (%) 392 (100, [M+H]+), 414 (24, [M+Na]+), 805 (22, [2M+Na]+).
【0154】
合成例29
N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-ピペラジンマロン酸ジアミド(35)の調製
【0155】
【化46】
【0156】
合成は、合成例4と同様に行い、マロン酸-N-(3,5-ジメチル)アダマンタン-1-イルアミド(32)(100mg、0.358mmol)、1-ピペラジンカルバミン酸tert-ブチルエステル(67mg、0.358mmol)およびトリエチルアミン(100μl、0.716mmol)をDMF(5ml)に291μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えて行った。酢酸エチルで抽出後に得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 80:20→50:50)で精製して、Boc保護された標題化合物(35a)を無色オイル(150mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 0.83 (s, 6H), 1.10-1.19 (m, 2H), 1.25-1.30 (m, 2H), 1.35-1.39 (m, 2H), 1.46 (s, 9H, H-Boc), 1.59-1.68 (m, 5H), 1.83 (d, 2H, J=2.68 Hz), 2.13 (quint, 1H, J=3.15 Hz), 3.23 (s, 2H), 3.40-3.47 (m, 4H), 3.51-3.54 (m, 2H), 3.58-3.61 (m, 2H). MS (ESI+): m/z (%) 434 (100, [M+H]+), 456 (100, [M+Na]+), 867 (100, [2M+H]+), 889 (100, [2M+Na]+).
【0157】
こうして得られた生成物(150mg、0.346mmol)を合成例4と同様に脱保護し、標題化合物(35)の塩酸塩を白色固体(125mg)の形で得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ = 0.79 (s, 6H), 1.08 (s, 2H), 1.21-1.31 (m, 4H), 1.54 (s, 4H), 1.72 (s, 2H, J=2.84 Hz), 2.05 (m, 1H), 2.99 (brs, 2H), 3.09 (brs, 2H), 3.63-3.67 (m, 4H), 7.66 (brs, 1H), 9.30 (brs, 1H). MS (ESI+): m/z (%) 334 (100, [M+H]+), 356 (31, [M+Na]+), 689 (32, [2M+Na]+).
【0158】
合成例30
N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(3-トリフルオロメチルベンジル)ピペラジンマロン酸ジアミド(36)の調製
【0159】
【化47】
【0160】
合成は、合成例21と同様に行い、マロン酸-N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)アミド(32)(95mg、0.358mmol)、1-(3-トリフルオロメチルベンジル)ピペラジン(87mg、0.357mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(100μl、0.714mmol)をDMF(2ml)に290μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えて行った。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 80:20→40:60)で精製して、標題化合物(36)を無色オイル(110mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 0.84 (s, 6H), 1.10-1.20 (m, 2H), 1.25-1.30 (m, 2H), 1.36-1.39 (m, 2H), 1.64 (q, 4H, J=11.77 Hz), 1.83 (brs, 2H), 2.13 (quint, 1H, J=3.13 Hz), 2.43 (brs, 4H), 3.21 (s, 2H), 3.56-3.65 (m, 6H), 7.42-7.59 (m, 4H, H-Aryl). MS (ESI+): m/z (%) 492 (100, [M+H]+), 514 (85, [M+Na]+), 983 (8, [2M+H]+).
【0161】
合成例31
N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(3-フルオロベンジル)ピペラジンマロン酸ジアミド(37)の調製
【0162】
【化48】
【0163】
合成は、合成例21と同様に行い、マロン酸-N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)アミド(32)(95mg、0.358mmol)、1-(3-フルオロベンジル)ピペラジン(70mg、0.358mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(100μl、0.716mmol)をDMF(2ml)に290μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えて行った。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 50:50→酢酸エチル)で精製して標題化合物(37)を無色オイル(107mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ= 0.84 (s, 6H), 1.10-1.20 (m, 2H), 1.25-1.30 (m, 2H), 1.36-1.40 (m, 2H), 1.64 (q, 4H, J=11.47 Hz), 1.83 (d, 2H, J=2.29 Hz), 2.13 (quint, 1H, J=3.15 Hz), 2.43 (brs, 4H), 3.21 (s, 2H), 3.51-3.63 (m, 6H), 6.94-7.30 (m, 4H, H-Aryl). MS (ESI+): m/z (%) 442 (100, [M+H]+), 464 (75, [M+Na]+), 905 (100, [2M+Na]+).
【0164】
合成例32
N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(2-メトキシフェニル)ピペラジンマロン酸ジアミド(38)の調製
【0165】
【化49】
【0166】
合成は、合成例21と同様に行い、マロン酸-N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)アミド(32)(95mg、0.358mmol)、1-(2-メトキシフェニル)ピペラジン(69mg、0.358mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(100ml、0.716mmol)をDMF(2ml)に290μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えて行った。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 90:10→50:50)で精製して標題化合物(38)を白色泡(120mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 0.84 (s, 6H), 1.10-1.19 (m, 2H), 1.26-1.29 (m, 2H), 1.36-1.40 (m, 2H), 1.61-1.70 (m, 5H), 1.85 (d, 2H, J=2.76 Hz), 2.13 (quint, 1H, J=3.15 Hz), 3.05 (brs, 4H), 3.27 (s, 2H), 3.74 (brs, 2H), 3.82 (brs, 2H), 3.88 (s, 3H), 6.88-7.05 (m, 4H, H-Aryl). MS (ESI+): m/z (%) 440 (100, [M+H]+), 462 (77, [M+Na]+), 901 (84, [2M+Na]+).
【0167】
合成例33
N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(4-メトキシフェニル)ピペラジンマロン酸ジアミド(39)の調製
【0168】
【化50】
【0169】
合成は、合成例21と同様に行い、マロン酸-N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)アミド(32)(95mg、0.358mmol)、1-(4-メトキシフェニル)ピペラジン(69mg、0.358mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(100ml、0.716mmol)をDMF(2ml)に290μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えて行った。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 90:10→50:50)で精製して標題化合物(38)を白色固体(113mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 0.84 (s, 6H), 1.10-1.19 (m, 2H), 1.26-1.29 (m, 2H), 1.35-1.40 (m, 2H), 1.60-1.69 (m, 5H), 1.84 (d, 2H, J=2.75 Hz), 2.13 (quint, 1H, J=3.14 Hz), 3.05 (brs, 4H), 3.27 (s, 2H), 3.77 (s, 3H), 3.71-3.78 (m, 4H), 6.84-6.91 (m, 4H, H-Aryl). MS (ESI+): m/z (%) 440 (100, [M+H]+), 462 (100, [M+Na]+), 901 (100, [2M+Na]+).
【0170】
合成例34
N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(2,4-ジメトキシフェニル)ピペラジンマロン酸ジアミド(40)の調製
【0171】
【化51】
【0172】
合成は、合成例21と同様に行い、マロン酸-N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)アミド(32)(85mg、0.320mmol)、1-(2,4-ジメトキシフェニル)ピペラジン(71mg、0.320mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(90ml、0.640mmol)をDMF(2ml)に240μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えて行った。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 90:10→40:60)で精製して標題化合物(40)を白色固体(120mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 0.84 (s, 6H), 1.10-1.20 (m, 2H), 1.26-1.29 (m, 2H), 1.35-1.40 (m, 2H), 1.61-1.70 (m, 5H), 1.85 (d, 2H, J=2.71 Hz), 2.13 (quint, 1H, J=3.13 Hz), 2.96 (brs, 4H), 3.26 (s, 2H), 3.71 (brs, 2H), 3.78 (s, 3H), 3.80 (brs, 2H), 6.42 (dd, 2H, J=8.61 Hz, 2.55 Hz), 6.49 (d, 2H, J=2.65 Hz), 6.82 (d, 2H, J=8.43 Hz). MS (ESI+): m/z (%) 470 (100, [M+H]+, 492 (87, [M+Na]+), 961 (14, [2M+Na]+).
【0173】
合成例35
N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(2-モルホリノ-2-オキソエチル)ピペラジンマロン酸ジアミド(41)の調製
【0174】
【化52】
【0175】
合成は、合成例21と同様に行い、マロン酸-N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)アミド(32)(68mg、0.256mmol)、1-モルホリノ-2-(ピペラジン-1-イル)エタノン(55mg、0.256mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(72ml、0.512mmol)をDMF(2ml)に208μlの1.6M T3P酢酸エチル溶液と共に加えて行った。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 90:10)で精製して標題化合物(41)を白色泡(94mg)の形で得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 0.84 (s, 6H), 1.10-1.20 (m, 2H), 1.25-1.29 (m, 2H), 1.35-1.39 (m, 2H), 1.64 (q, 4H, J=11.88 Hz), 1.83 (d, 2H, J=2.47 Hz), 2.12 (quint, 1H, J=3.13 Hz), 2.63 (brs, 4H), 3.22 (s, 2H), 3.29 (brs, 2H), 3.54-3.71 (m, 11H). MS (ESI+): m/z (%) 461 (100, [M+H]+), 483 (100, [M+Na]+), 921 (78, [2M+H]+), 943 (58, [2M+Na]+).
【0176】
実施例1から41、比較例1から8-アルツハイマー試験
上記合成例で調製した、または購入した物質(1)から(41)および(101)から(108)を線虫Caenorhabditis elegans(Pretschら、上記参照)を用いた最初に述べたスクリーニングアッセイにおいて、トランスジェニックC. elegans CL2659株を用いた標準化されたβ-アミロイド試験系における96ウェル手順で、アルツハイマー病の治療剤としての潜在的適性について試験した。この目的のために、ステージL3の線虫幼虫を、ウェルあたり10~20匹の密度で使用した。筋細胞におけるβ-アミロイドの発現は、温度上昇によって誘導され、関連する麻痺は、48時間後の試験終了まで定期的に記録された。このモデルでは、対照物質と比較して、β-アミロイドの発現を低下させる濃度での活性物質を使用すると、神経毒性活性β-アミロイドによって引き起こされる幼虫の麻痺の有意な遅延が観察されるはずである。
【0177】
この目的のため、上記の物質を1mg/ml、100μg/ml、および10μg/mlの濃度で、陰性対照としてのケルセチンと比較して試験した。試験結果は以下の表1に示され、麻痺(「アルツハイマーの」)の遅延が観察された濃度範囲(μg/ml)が本発明による実施例について示されているが、比較例については1mg/mlの濃度であっても効果は観察されなかった。
【0178】
実施例42から82、比較例9から16-パーキンソン試験
上記と同じ物質を、線虫Caenorhabditis elegans(Pretschら、上記参照)を用いた最初に述べたスクリーニングアッセイにおいて、トランスジェニックC. elegans NL5901株を用いた標準化されたα-シヌクレイン試験系における96ウェル手順で、パーキンソン病の治療剤としての潜在的適合性について試験した。この線虫株は、すべての筋肉細胞で緑色蛍光タンパク質(GFP)に結合したヒトα-シヌクレインを発現する。GFP標識により、マルチプレートリーダーを使用して24から48h間、発現したタンパク質レベルを直接検出できる。この試験モデルでは、対照物質と比較して、α-シヌクレインの発現が低下する濃度での活性物質で、神経毒性α-シヌクレインの発現の有意な低下が観察されるはずである。
【0179】
この目的のため、該物質を再び、1mg/ml、100μg/ml、および10μg/mlの濃度で、今回は対照としての最初に述べたパーキンソン病治療剤レボドパと比較して試験した。また試験結果は以下の表に重ねて示され、α-シヌクレイン発現の低下(「パーキンソンの」)が検出された濃度範囲(μg/ml)が再び本発明による実施例について示されているが、この試験の比較例については1mg/mlの濃度であっても効果は再び観察されなかった。
【0180】
【表1-1】
【0181】
【表1-2】
【0182】
【表1-3】
【0183】
上記の試験結果は、マロン酸とその複数の誘導体がアルツハイマー病とパーキンソン病の両方、さらにはハンチントン病やプリオン病にも効く可能性を秘めた有望な薬剤であることを明確に示す。
【0184】
さまざまな置換パターンで得られた結果は、活性分子は、その有効性を損なうことなく、遊離カルボキシル基だけでなく、塩、エステルおよび置換または非置換アミドを含めることができることを示す。小さな基(メチル、エチル)と大きめの基(例、ジメチルアダマンチルやフェニルピペラジニル)の両方が同等の有効性を示したので、置換基のかさ高さも、重要な役割を果たすようには見えない。
【0185】
比較例からもわかるように、ジメチルマロン酸(101)もジメチルマロン酸ジメチルエステル(102)も有効でないことが証明されたことから、この有効性は、特に未置換マロン酸部分の存在に明らかに基づいている。化合物(103)から(106)の無効性が証明するように、本発明に従って有効なマロン酸誘導体に含まれる置換基、例えば(ジメチル)アダマンチル基やアミノプロピル基は、効力の程度にほとんど影響を与えない。テトラヒドロキノリンアミド(108)の無効性は、もちろん芳香族置換基の存在に起因するものではない。特に、非芳香族デカヒドロキノリンアミド(24)とその異性体であるデカヒドロイソキノリンアミド(25)は、10μg/mlを超える濃度ですでに有効であったにもかかわらず、フェニルピペラジンアミド誘導体もすべて陽性であった。
【0186】
さらに、一連の試験で選択された希釈率1:10は、実際に有効な濃度に広い余裕を残す。これは、例えば、10μg/mlを超える濃度ですでに有効であり、したがって「++」と評価されている化合物が、限界値100μg/mlのすぐ下の濃度、例えば90μg/ml以上でのみ有効である可能性を排除するものではない。一方、100μg/mlを超える濃度でのみ有効であり、したがって「+」と評価されている化合物の有効限界は、限界値をわずかに上回る場合がありうる。かかる化合物の有効性は、実際には数パーセントしか違わない。
【0187】
また、試験で実際に得られる各化合物の量、すなわちモル量は、当然のことながら分子量に依存し、分子量は広い範囲内で変化するということも念頭に置くべきである。例えば、遊離マロン酸(1)(104.06g/mol)およびマロン酸ジアミド(2)(102.09g/mol)は、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(3-トリフルオロメチルベンジル)ピペラジンマロン酸ジアミド(36)(491.60g/mol)の5分の1強の分子量を有するにすぎない。この約5という率は、すでに希釈率1:10のほぼ半分を予測しているが、マロン酸自体と比較的低分子量のその3つの誘導体は、濃度が100μg/mlを超えるときのみ有効であったが、芳香族化合物(36)に次いで2番目に分子量が高い、すなわち460.62g/molである化合物(41)は、すでに10μg/mlを超えると有効であった。
【0188】
したがって、置換パターンと試験における希釈率をさらに変化させることによる有効性の最適化に関するさらなる調査は、現在、発明者らの研究対象である。
【0189】
したがって、本発明は、C. elegans線虫アッセイにおける有効性により、極めて低濃度であってもメタロチオネインの内因性生合成を誘導することができるため、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の治療に適しているはずの化合物群を提供する。
【手続補正書】
【提出日】2025-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のメタロチオネイン生合成促進剤としての使用のための下記式(I)のマロン酸およびその誘導体:
【化53】


(I)
式中、XおよびYがそれぞれ独立して-O、-OR、および-NRから選択され、Mが一価または多価の金属カチオンから選択され、R、RおよびRがそれぞれ独立して水素および1から25個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖、分岐または環状炭化水素ラジカルから選択され、1つ以上の炭素原子がOまたはNに置換されてもよく、RおよびRが結合して窒素原子と一緒に複素環式炭化水素ラジカルを形成してもよい。
【請求項2】
式(I)において、XおよびYの両方が、-Oを表し、各Mが独立して一価および多価金属カチオンから選択され、Mが好ましくはアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオンを表し、より好ましくはアルカリ金属イオンを表すことを特徴とする、請求項1に記載の使用のための化合物。
【請求項3】
、RおよびRがそれぞれ独立して水素および1から15個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖、分岐または環状炭素原子から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用のための化合物。
【請求項4】
、RおよびRがそれぞれ独立して水素および1から10個の炭素原子を有する飽和または不飽和炭素原子から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の使用のための化合物。
【請求項5】
化合物が以下から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のための化合物:マロン酸、マロン酸ジアミド、マロン酸二ナトリウム、マロン酸ジメチルエステル、マロン酸メチルエステルカリウム塩、マロン酸メチルエステルアミド、N-(3-アミノプロピル)マロン酸アミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル、マロン酸アダマンタン1-イルエチルエステル、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-アミノプロピル)アミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-アミノプロピル)-N-メチルアミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-ピペラジンアミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-(4-アミノブチリル)ピペラジンアミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-アミノピペリジンアミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-(4-(4-アミノブチリル)アミノ)ピペリジンアミド、マロン酸メチルエステル-N-(アダマンタン-1-イル)アミド、N-(アダマンタン-1-イル)マロン酸アミド、N-アダマンタン-1-イル-N’-(3-アミノプロピル)マロン酸ジアミド、N-アダマンタン-1-イル-N’-(3-アミノプロピル)-N’-メチルマロン酸ジアミド、N-アダマンタン-1-イル-N’-ピペラジンマロン酸ジアミド、N-アダマンタン-1-イル-N’-(4-(4-アミノブチリル)ピペラジン)マロン酸ジアミド、N-(3-アミノプロピル)-N’-モルホリンマロン酸ジアミド、N-(3-アミノプロピル)-N’-ピペリジンマロン酸ジアミド、N-(3-アミノプロピル)-N’-デカヒドロキノリンマロン酸ジアミド、N-(3-アミノプロピル)-N’-デカヒドロイソキノリンマロン酸ジアミド、N-(3-アミノプロピル)-N’-(6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-イルメチル)マロン酸ジアミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-ジメチルアミノプロピル)アミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-N-(3-モルホリノプロピル)アミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-(3-トリフルオロメチルベンジル)ピペラジンアミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-(3-フルオロベンジル)ピペラジンアミド、マロン酸アダマンタン-1-イルエステル-4-(2-メトキシフェニル)ピペラジンアミド、マロン酸-N-(3,5-ジメチル)アダマンタン-1-イルアミド、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-(3-アミノプロピル)マロン酸ジアミド、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-(3-モルホリノプロピル)マロン酸ジアミド、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-ピペラジンマロン酸ジアミド、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(3-トリフルオロメチルベンジル)ピペラジンマロン酸ジアミド、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(3-フルオロベンジル)ピペラジンマロン酸ジアミド、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(2-メトキシフェニル)ピペラジンマロン酸ジアミド、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(4-メトキシフェニル)ピペラジンマロン酸ジアミド、N-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(2,4-ジメトキシフェニル)ピペラジンマロン酸ジアミド、およびN-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-イル)-N’-4-(2-モルホリノ-2-オキソエチル)ピペラジンマロン酸ジアミド。
【請求項6】
メタロチオネイン生合成促進が金属恒常性を回復させ、それにより神経変性疾患の治療に役立つことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
【請求項7】
神経変性疾患がアルツハイマー病、パーキンソン病およびハンチントン病から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の使用のための化合物。
【請求項8】
神経変性疾患がアルツハイマー病またはパーキンソン病であることを特徴とする、請求項7に記載の使用のための化合物。
【請求項9】
患者のメタロチオネイン生合成を促進することにより、ヒトまたは動物の身体を療法的に治療するための医薬組成物であって、請求項1~5のいずれか1項に定義の化合物、少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤、および任意に1つ以上の他の医薬上許容される成分を含む、医薬組成物。
【請求項10】
神経変性疾患の治療に役立つことを特徴とする、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
アルツハイマー病またはパーキンソン病の治療に役立つことを特徴とする、請求項10に記載の医薬組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
式中、XおよびYはそれぞれ独立して-O、-OR、および-NRから選択され、式中、Mは一価または多価の金属カチオンから選択され、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素および1から25個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖、分岐または環状炭化水素ラジカルから選択され、1つ以上の炭素原子はOまたはNに置換されてもよく、RおよびRは任意に結合して窒素原子と一緒に複素環式炭化水素ラジカルを形成してもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
実施形態の1つのグループ(そのすべてがマロン酸の塩である)では、式(I)のXおよびYの少なくとも1つは-Oであるが、好ましくはXおよびYの両方が-Oであり、ここでMは一価および多価金属カチオンから独立して選択され、Mは好ましくはアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオンであり、より好ましくはアルカリ金属イオンである。カルボキシレートイオンを1つだけ含むマロン酸塩、ならびにカルボキシル基の両方がイオン化カルボキシレートとして存在するマロン酸塩は、それぞれ有効であることが証明されている。しかし、後者の場合、製造プロセスがいくらか単純であるため、本発明では、現在、これらが好ましい。
【国際調査報告】