(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-15
(54)【発明の名称】インビボ光感知を含む陰圧創傷療法ドレッシング材
(51)【国際特許分類】
A61F 13/05 20240101AFI20250708BHJP
A61M 27/00 20060101ALI20250708BHJP
【FI】
A61F13/05
A61M27/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024572621
(86)(22)【出願日】2023-05-31
(85)【翻訳文提出日】2024-12-09
(86)【国際出願番号】 IB2023055604
(87)【国際公開番号】W WO2023237974
(87)【国際公開日】2023-12-14
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524062087
【氏名又は名称】ソルベンタム インテレクチュアル プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ブリーチ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】プラット,ベンジャミン エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,ティモシー エム.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA40
4C267BB13
4C267BB24
4C267BB62
4C267CC01
4C267GG02
4C267JJ03
4C267JJ14
(57)【要約】
陰圧によって組織部位を治療するためのドレッシング材は、カバーと、創傷接触層と、マニホールドと、少なくとも1つのセンサとを含む。カバーは、第1の表面と第2の表面とを含む。創傷接触層は、第1の表面と第2の表面とを含み、創傷接触層の第2の表面は、組織部位に接触するように構成されている。マニホールドは、第1の表面と第2の表面とを含む。マニホールドは、カバーの第2の表面と創傷接触層の第1の表面との間に配置されるように構成されている。少なくとも1つのセンサは、ポリマーマトリックス中に溶解された複数の酸素感知分子を含むことができる。少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのセンサが光源によって作用されるとき、感知された酸素レベルを示すために色を変化させるように構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰圧によって組織部位を治療するためのドレッシング材であって、
第1の表面と第2の表面とを備えるカバーと、
第1の表面と、第2の表面と、中央開口部とを備える創傷接触層であって、前記創傷接触層の前記第2の表面が、前記組織部位の創部周囲領域に接触するように構成されている、創傷接触層と、
第1の表面と第2の表面とを備える第1のフィルム層であって、前記第1のフィルム層の前記第2の表面が、前記組織部位の創傷に接触するように構成されている、第1のフィルム層と、
第1の表面と第2の表面とを備えるマニホールドであって、前記カバーの前記第2の表面と前記第1のフィルム層の前記第1の表面との間に配置されるように構成されたマニホールドと、
を備え、
前記創傷接触層が、ポリマーマトリックス中に溶解された複数の酸素感知分子を含む少なくとも1つのセンサであって、前記少なくとも1つのセンサが光源によって作用されるとき、感知された酸素レベルを示すために色を変化させるように構成された、少なくとも1つのセンサを更に備える、
ドレッシング材。
【請求項2】
前記創傷接触層が、前記中央開口部を取り囲む周辺部分を更に備え、前記周辺部分が、複数の開口部を備える、請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサが、前記創傷接触層の前記複数の開口部のうちの1つの中に配置されている、請求項2に記載のドレッシング材。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサが、前記創傷接触層の前記第1の表面と前記カバーの前記第2の表面との間に配置され、前記少なくとも1つのセンサが、前記創傷接触層の前記複数の開口部のうちの少なくとも1つに隣接する、請求項2に記載のドレッシング材。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサが、前記創傷接触層の前記第1の表面と前記カバーの前記第2の表面との間に配置され、前記少なくとも1つのセンサが、前記創傷接触層の前記複数の開口部からオフセットしている、請求項2に記載のドレッシング材。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサが、酸素感知フィルムを含む、請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項7】
前記酸素感知フィルムが、低酸素透過性ポリマー又は高酸素透過性ポリマーを含む、請求項6に記載のドレッシング材。
【請求項8】
前記低酸素透過性ポリマーが、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、及びポリ塩化ビニリデンのうちの1つを含む、請求項7に記載のドレッシング材。
【請求項9】
前記高酸素透過性ポリマーが、シリコーン及びポリオレフィンエラストマーのうちの1つを含む、請求項7に記載のドレッシング材。
【請求項10】
前記少なくとも1つのセンサが、流体レベル、酸素レベル、及びpHレベルを検出するように構成されたマルチセンサを含む、請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項11】
陰圧によって組織部位を治療するためのドレッシング材であって、
第1の表面と第2の表面とを備えるカバーと、
第1の表面と、第2の表面と、複数の開口部を有する周辺部分と、中央開口部とを備える創傷接触層であって、前記創傷接触層の前記第2の表面が、前記組織部位の創部周囲領域に接触するように構成されている、創傷接触層と、
第1の表面と第2の表面とを備える第1のフィルム層であって、前記第1のフィルム層の前記第2の表面が、前記組織部位の創傷に接触するように構成されている、第1のフィルム層と、
第1の表面と第2の表面とを備えるマニホールドであって、前記カバーの前記第2の表面と前記第1のフィルム層の前記第1の表面との間に配置されるように構成されたマニホールドと、
を備え、
前記カバーが、ポリマーマトリックス中に溶解された複数の酸素感知分子を含む少なくとも1つのセンサであって、前記少なくとも1つのセンサが光源によって作用されるとき、感知された酸素レベルを示すために色を変化させるように構成された、少なくとも1つのセンサを更に備える、
ドレッシング材。
【請求項12】
前記少なくとも1つのセンサが、前記少なくとも1つのセンサが前記創傷接触層の前記複数の開口部のうちの1つと位置合わせされるように、前記カバーの前記第1の表面の凹部内に配置されている、請求項11に記載のドレッシング材。
【請求項13】
前記カバーの前記第1の表面に取り外し可能に結合された凹部蓋を更に備え、前記凹部蓋が、前記カバーの前記第1の表面の前記凹部内に前記少なくとも1つのセンサを封止するように構成されている、請求項12に記載のドレッシング材。
【請求項14】
前記少なくとも1つのセンサが、前記センサが前記創傷接触層の前記複数の開口部のうちの1つと位置合わせされるように、前記カバーの前記第1の表面上に配置されている、請求項11に記載のドレッシング材。
【請求項15】
前記カバーが、中央開口部を有する中央部分と、周辺部分とを更に備え、前記カバーの前記周辺部分が、前記創傷接触層の前記周辺部分に結合するように構成されている、請求項11に記載のドレッシング材。
【請求項16】
前記カバーが、第1の表面及び第2の表面を有する第2のフィルム層を更に備え、前記第2のフィルム層が、前記カバーの前記中央開口部と実質的に降りるように構成され、前記第2のフィルム層の前記第2の表面が、前記マニホールドの前記第1の表面に結合するように構成されている、請求項15に記載のドレッシング材。
【請求項17】
前記少なくとも1つのセンサが、前記第2のフィルム層の前記第1の表面の凹部内に配置されている、請求項16に記載のドレッシング材。
【請求項18】
前記第2のフィルム層の前記第1の表面に取り外し可能に結合された凹部蓋を更に備え、前記凹部蓋が、前記第2のフィルム層の前記第1の表面の前記凹部内に前記少なくとも1つのセンサを封止するように構成されている、請求項17に記載のドレッシング材。
【請求項19】
前記少なくとも1つのセンサが、前記マニホールドの前記第1の表面と前記第2のフィルム層の前記第2の表面との間に配置されている、請求項16に記載のドレッシング材。
【請求項20】
前記マニホールドの前記第1の表面と前記第2のフィルム層の前記第2の表面との間に少なくとも1つの密閉空洞を更に備え、前記少なくとも1つのセンサが、前記少なくとも1つの密閉空洞内に配置されている、請求項16に記載のドレッシング材。
【請求項21】
陰圧によって組織部位を治療するためのドレッシング材であって、
第1の表面と第2の表面とを備えるカバーと、
第1の表面と、第2の表面と、複数の開口部を有する周辺部分と、中央開口部とを備える創傷接触層であって、前記創傷接触層の前記第2の表面が、前記組織部位の創部周囲領域に接触するように構成されている、創傷接触層と、
第1の表面と第2の表面とを備える第1のフィルム層であって、前記第1のフィルム層の前記第2の表面が、前記組織部位の創傷に接触するように構成されている、第1のフィルム層と、
第1の表面と第2の表面とを備えるマニホールドであって、前記カバーの前記第2の表面と前記第1のフィルム層の前記第1の表面との間に配置されるように構成されたマニホールドと、
前記第1のフィルム層の前記第2の表面に埋め込まれた少なくとも1つのセンサであって、ポリマーマトリックス中に溶解された複数の酸素感知分子を含み、前記少なくとも1つのセンサが光源によって作用されるとき、感知された酸素レベルを示すために色を変化させるように構成された、少なくとも1つのセンサと、
を備える、ドレッシング材。
【請求項22】
陰圧によって組織部位を治療するためのドレッシング材であって、
第1の表面と第2の表面とを備えるカバーと、
第1の表面と、第2の表面と、複数の開口部を有する周辺部分と、中央開口部とを備える創傷接触層であって、前記創傷接触層の前記第2の表面が、前記組織部位の創部周囲領域に接触するように構成されている、創傷接触層と、
第1の表面と第2の表面とを備える第1のフィルム層であって、前記第1のフィルム層の前記第2の表面が、前記組織部位の創傷に接触するように構成されている、第1のフィルム層と、
第1の表面と第2の表面とを備えるマニホールドであって、前記カバーの前記第2の表面と前記第1のフィルム層の前記第1の表面との間に配置されるように構成されたマニホールドと、
前記マニホールドの前記第2の表面と前記第1のフィルム層の前記第1の表面との間に配置された少なくとも1つのセンサであって、ポリマーマトリックス中に溶解された複数の酸素感知分子を含み、前記少なくとも1つのセンサが光源によって作用されるとき、感知された酸素レベルを示すために色を変化させるように構成された、少なくとも1つのセンサと、
を備える、ドレッシング材。
【請求項23】
前記少なくとも1つのセンサが、前記少なくとも1つのセンサが前記マニホールドの窓を通して見えるように、前記マニホールドの前記窓に近接して配置されている、請求項22に記載のドレッシング材。
【請求項24】
陰圧によって組織部位を治療する方法であって、
前記組織部位上にドレッシング材であって、
第1の表面と第2の表面とを備えるカバーと、
第1の表面と第2の表面とを備える創傷接触層であって、前記創傷接触層の前記第2の表面が、前記組織部位に接触するように構成されている、創傷接触層と、
第1の表面と第2の表面とを備えるマニホールドであって、前記カバーの前記第2の表面と前記創傷接触層の前記第1の表面との間に配置されるように構成されたマニホールドと、
ポリマーマトリックス中に溶解された複数のパラメータ感知分子を含む少なくとも1つのセンサであって、前記少なくとも1つのセンサが光源によって作用されるとき、感知されたパラメータを示すように構成された、少なくとも1つのセンサと、
を備えるドレッシング材を配置することと、
陰圧源から前記ドレッシングに陰圧を印加することと、
前記組織部位における前記感知されたパラメータの変化について前記ドレッシング材を監視することと、
を含む、方法。
【請求項25】
前記組織部位における前記感知されたパラメータの変化について前記ドレッシング材を監視することが、前記少なくとも1つのセンサが前記光源によって作用されるとき、前記少なくとも1つのセンサにおける色の変化を検出することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記感知されたパラメータが、流体レベル、酸素レベル、及びpHのうちの少なくとも1つを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
組織部位を治療するための創傷接触層であって、
中央部分と、
前記中央部を取り囲む周辺部分であって、複数の開口部を有する周辺部分と、
ポリマーマトリックス中に溶解された複数の酸素感知分子を含む少なくとも1つのセンサであって、前記複数の開口部の各々から離れて前記周辺部分に一体化され、光源に応じて感知された酸素レベルを示すために色を変化させるように構成された、少なくとも1つのセンサと、
を備える、創傷接触層。
【請求項28】
実質的に本明細書に記載されたシステム、装置、及び方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年6月10日に出願された米国特許仮出願第63/351,029号の優先権の利益を主張するものであり、本仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
添付の特許請求の範囲に記載された本発明は、概して、組織治療システムに関し、より具体的には、限定されないが、インビボ光センサを含む陰圧創傷療法ドレッシング材に関する。
【背景技術】
【0003】
臨床研究及び臨床診療は、組織部位付近の圧力を低減することによって、組織部位における新しい組織の成長を増強及び加速させることができることを示している。この現象の用途は数多くあるが、創傷を治療するために特に有利であることが証明されている。外傷、手術、又は別の原因を問わず、創傷の病因にかかわらず、創傷の適切なケアが転帰に重要である。減圧による創傷又は他の組織の治療は、一般的に「陰圧治療」と称され得るが、例えば、「陰圧創傷療法」、「減圧療法」、「真空療法」、「真空補助閉鎖」、及び「局所陰圧」を含む、他の名称によっても知られている。陰圧療法は、上皮組織及び皮下組織の移行、血流の改善、及び創傷部位における組織の微小変形を含む、多くの利益を提供し得る。全体として、これらの利益は、肉芽組織の発達を高めることができ、かつ治癒時間を短縮することができる。
【0004】
また、組織部位を洗浄することは、新しい組織の成長にとって非常に有益であり得ることが広く受け入れられている。例えば、創傷又は空洞は、治療目的のために液体溶液で洗い流すことができる。これらの臨床診療は、一般に、それぞれ「灌注」及び「洗浄」と呼ばれる。「点滴」は、一般に、組織部位に流体をゆっくりと導入し、流体を除去する前に所定の期間にわたって流体を放置するプロセスを指す、別の臨床診療である。例えば、創傷床上への局所治療溶液の点滴は、陰圧療法と組み合わせて、創傷床内の可溶性汚染物質を遊離させ、感染性物質を除去することによって、創傷治癒を更に促進することができる。結果として、可溶性細菌負荷を減少させ、汚染物質を除去し、創傷を洗浄することができる。
【0005】
陰圧療法及び/又は点滴療法の臨床的な利益は、広く知られているが、療法システム、構成要素、及びプロセスの改善は、ヘルスケア提供者及び患者に利益をもたらすことができる。
【発明の概要】
【0006】
添付の特許請求の範囲には、陰圧療法環境における創傷部位における又はその付近の変化を感知するための新規かつ有用なシステム、装置、及び方法が記載されている。特許請求される主題を当業者が作製及び使用することを可能にするための例示的な実施形態も提供されている。
【0007】
例えば、いくつかの実施形態では、陰圧によって組織部位を治療するためのドレッシング材が説明される。ドレッシング材は、カバーと、少なくとも1つのセンサを含む創傷接触層と、第1のフィルム層と、マニホールドとを含むことができる。カバーは、第1の表面と第2の表面とを含むことができる。創傷接触層は、第1の表面と、第2の表面と、中央開口部とを含むことができる。創傷接触層の第2の表面は、組織部位の創部周囲領域に接触するように構成することができる。第1のフィルム層は、第1の表面と第2の表面とを含むことができる。第1のフィルム層の第2の表面は、組織部位の創傷に接触するように構成することができる。マニホールドは、第1の表面と第2の表面とを含むことができる。マニホールドは、カバーの第2の表面と第1のフィルム層の第1の表面との間に配置されるように構成することができる。少なくとも1つのセンサは、ポリマーマトリックス中に溶解された複数の酸素感知分子を含むことができる。少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのセンサが光源によって作用されるとき、感知された酸素レベルを示すために色を変化させるように構成することができる。
【0008】
いくつかの例示的な実施形態では、創傷接触層は、中央部分を取り囲む周辺部分を更に含むことができる。周辺部分は、複数の開口部を含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、少なくとも1つのセンサは、創傷接触層の複数の開口部のうちの1つの中に配置することができる。他の例示的な実施形態では、少なくとも1つのセンサは、創傷接触層の第1の表面とカバーの第2の表面との間に配置することができる。少なくとも1つのセンサは、創傷接触層の複数の開口部からオフセットすることができる。
【0009】
いくつかの例示的な実施形態では、少なくとも1つのセンサは、酸素感知フィルムを含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、酸素感知フィルムは、低酸素透過性ポリマー又は高酸素透過性ポリマーを含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、低酸素透過性ポリマーは、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、及びポリ塩化ビニリデンのうちの1つを含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、高酸素透過性ポリマーは、シリコーン及びポリオレフィンエラストマーのうちの1つを含むことができる。
【0010】
いくつかの例示的な実施形態では、少なくとも1つのセンサは、流体レベル、酸素レベル、及びpHレベルを検出するように構成されたマルチセンサを含むことができる。
【0011】
陰圧によって組織部位を治療するための別のドレッシング材も本明細書に記載される。ドレッシング材は、少なくとも1つのセンサを含むカバーと、創傷接触層と、第1のフィルム層と、マニホールドとを含むことができる。カバーは、第1の表面と第2の表面とを含むことができる。創傷接触層は、第1の表面と、第2の表面と、中央開口部とを含むことができる。創傷接触層の第2の表面は、組織部位の創部周囲領域に接触するように構成することができる。第1のフィルム層は、第1の表面と第2の表面とを含むことができる。第1のフィルム層の第2の表面は、組織部位の創傷に接触するように構成することができる。マニホールドは、第1の表面と第2の表面とを含むことができる。マニホールドは、カバーの第2の表面と第1のフィルム層の第1の表面との間に配置されるように構成することができる。少なくとも1つのセンサは、ポリマーマトリックス中に溶解された複数の酸素感知分子を含むことができる。少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのセンサが光源によって作用されるとき、感知された酸素レベルを示すために色を変化させるように構成することができる。
【0012】
他の例示的な実施形態では、少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのセンサが創傷接触層の複数の開口部のうちの1つと位置合わせされるように、カバーの第1の表面の凹部内に配置することができる。いくつかの例示的な実施形態では、ドレッシング材は、カバーの第1の表面に取り外し可能に結合された凹部蓋を更に含んでもよい。凹部蓋は、カバーの第1の表面の凹部内に少なくとも1つのセンサを封止するように構成することができる。他の例示的な実施形態では、少なくとも1つのセンサは、センサが創傷接触層の複数の開口部のうちの1つと位置合わせされるように、カバーの第1の表面上に配置することができる。
【0013】
いくつかの例示的な実施形態では、カバーは、中央開口部を有する中央部分と、周辺部分とを更に含むことができる。カバーの周辺部分は、創傷接触層の周辺部分に結合するように構成することができる。いくつかの例示的な実施形態では、カバーは、第1の表面及び第2の表面を有する第2のフィルム層を更に含むことができる。第2のフィルム層は、カバーの中央開口部と実質的に降りる(alight)ように構成することができ、第2のフィルム層の第2の表面は、マニホールドの第1の表面に結合することができる。いくつかの例示的な実施形態では、少なくとも1つのセンサは、第2のフィルム層の第1の表面の凹部内に配置することができる。いくつかの例示的な実施形態では、ドレッシング材は、第2のフィルム層の第1の表面に取り外し可能に結合された凹部蓋を更に含んでもよい。凹部蓋は、第2のフィルム層の第1の表面の凹部内に少なくとも1つのセンサを封止するように構成することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのセンサは、マニホールドの第1の表面と第2のフィルム層の第2の表面との間に配置することができる。他の実施形態では、ドレッシング材は、マニホールドの第1の表面と第2のフィルム層の第2の表面との間に少なくとも1つの密閉空洞を更に含むことができる。少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つの密閉空洞内に配置することができる。
【0014】
陰圧によって組織部位を治療するための別のドレッシング材も本明細書に記載される。ドレッシング材は、カバーと、創傷接触層と、第1のフィルム層と、マニホールドと、少なくとも1つのセンサとを含むことができる。カバーは、第1の表面と第2の表面とを含むことができる。創傷接触層は、第1の表面と、第2の表面と、中央開口部とを含むことができる。創傷接触層の第2の表面は、組織部位の創部周囲領域に接触するように構成することができる。第1のフィルム層は、第1の表面と第2の表面とを含むことができる。第1のフィルム層の第2の表面は、組織部位の創傷に接触するように構成することができる。マニホールドは、第1の表面と第2の表面とを含むことができる。マニホールドは、カバーの第2の表面と第1のフィルム層の第1の表面との間に配置されるように構成することができる。少なくとも1つのセンサは、第1のフィルム層の第2の表面に埋め込むことができる。少なくとも1つのセンサは、ポリマーマトリックス中に溶解された複数の酸素感知分子を含むことができる。少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのセンサが光源によって作用されるとき、感知された酸素レベルを示すために色を変化させるように構成することができる。
【0015】
陰圧によって組織部位を治療するための別のドレッシング材も本明細書に記載される。ドレッシング材は、カバーと、創傷接触層と、第1のフィルム層と、マニホールドと、少なくとも1つのセンサとを含むことができる。カバーは、第1の表面と第2の表面とを含むことができる。創傷接触層は、第1の表面と、第2の表面と、中央開口部とを含むことができる。創傷接触層の第2の表面は、組織部位の創部周囲領域に接触するように構成することができる。第1のフィルム層は、第1の表面と第2の表面とを含むことができる。第1のフィルム層の第2の表面は、組織部位の創傷に接触するように構成することができる。マニホールドは、第1の表面と第2の表面とを含むことができる。マニホールドは、カバーの第2の表面と第1のフィルム層の第1の表面との間に配置されるように構成することができる。少なくとも1つのセンサは、マニホールドの第2の表面と第1のフィルム層の第1の表面との間に配置することができる。少なくとも1つのセンサは、ポリマーマトリックス中に溶解された複数の酸素感知分子を含むことができる。少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのセンサが光源によって作用されるとき、感知された酸素レベルを示すために色を変化させるように構成することができる。
【0016】
いくつかの例示的な実施形態では、少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのセンサがマニホールドの窓を通して見えるように、マニホールドの窓に近接して配置することができる。
【0017】
陰圧によって組織部位を治療する方法も本明細書に記載される。本方法は、ドレッシング材を組織部位上に配置することと、陰圧源からドレッシング材に陰圧を印加することと、組織部位における感知されたパラメータの変化についてドレッシング材を監視することと、を含むことができる。ドレッシング材は、カバーと、創傷接触層と、マニホールドと、少なくとも1つのセンサとを含むことができる。カバーは、第1の表面と第2の表面とを含むことができる。創傷接触層は、第1の表面と第2の表面とを含むことができる。創傷接触層の第2の表面は、組織部位に接触するように構成することができる。マニホールドは、第1の表面と第2の表面とを含むことができる。マニホールドは、カバーの第2の表面と創傷接触層の第1の表面との間に配置されるように構成することができる。少なくとも1つのセンサは、ポリマーマトリックス中に溶解された複数のパラメータ感知分子を含むことができる。少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのセンサが光源によって作用されるとき、感知されたパラメータを示すように構成することができる。
【0018】
いくつかの例示的な実施形態では、組織部位における感知されたパラメータの変化についてドレッシング材を監視することは、少なくとも1つのセンサが光源によって作用されるとき、少なくとも1つのセンサにおける色の変化を検出することを含むことができる。
【0019】
いくつかの例示的な実施形態では、感知されたパラメータは、流体レベル、酸素レベル、及びpHのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0020】
組織部位を治療するための創傷接触層も本明細書に記載される。創傷接触層は、中央部分と、周辺部分と、少なくとも1つのセンサとを含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、周辺部分は、中央部分を取り囲むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、周辺部分は、複数の開口部を含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、少なくとも1つのセンサは、ポリマーマトリックス中に溶解された複数の酸素感知分子を含むことができる。少なくとも1つのセンサは、複数の開口部の各々から離れた周辺部分に一体化することができる。いくつかの例示的な実施形態では、少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのセンサが光源によって作用されるとき、感知された酸素レベルを示すために色を変化させるように構成することができる。
【0021】
特許請求される主題を作製及び使用する目的、利点、及び好ましい態様が、例示的な実施形態の以下の詳細な説明と併せて添付の図面を参照することによって最も良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本明細書に従って陰圧治療及び点滴治療を提供することができる療法システムの例示的な一実施形態のブロック図である。
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示す、
図1のドレッシング材の一実施例の分解図である。
【
図3】
図3は、組み立てられたときの、
図2のドレッシング材の斜視図である。
【
図4】
図4は、例示的な組織部位に適用され、
図1の療法システムのいくつかの実施例に関連付けられた更なる詳細を示す、線4-4で取られた
図3のドレッシング材の断面図である。
【
図5A】
図5Aは、いくつかの実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示す、
図1のドレッシング材の別の実施例の斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、いくつかの例示的な実施形態に関連付けられ得るセンサカバーを含む、5Aのドレッシング材の斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、
図1のドレッシング材の創傷接触層内に配置されたセンサの断面図である。
【
図6B】
図6Bは、
図1のドレッシング材の創傷接触層に一体化されたセンサの断面図である。
【
図6C】
図6Cは、
図1のドレッシング材の創傷接触層とカバーとの間に配置されたセンサの断面図である。
【
図6D】
図6Dは、
図1のドレッシング材の創傷接触層とカバーとの間の別の位置に配置されたセンサの断面図である。
【
図6E】
図6Eは、
図1のドレッシング材のカバーの凹部内に配置されたセンサの断面図である。
【
図6F】
図6Fは、
図1のドレッシング材の創傷接触層の反対側のカバー上に配置されたセンサの断面図である。
【
図7A】
図7Aは、
図1のドレッシング材のマニホールドの反対側の創傷接触層上に配置されたセンサの断面図である。
【
図7B】
図7Bは、
図1のドレッシング材のマニホールドと創傷接触層との間に配置されたセンサの断面図である。
【
図7C】
図7Cは、
図1のドレッシング材のマニホールドとカバーとの間に配置されたセンサの断面図である。
【
図7D】
図7Dは、
図1のドレッシング材のマニホールドとカバーとの間の別の位置に配置されたセンサの断面図である。
【
図7E】
図7Eは、
図1のドレッシング材のマニホールドとカバーとの間の密閉チャンバ内に配置されたセンサの断面図である。
【
図7F】
図7Fは、
図1のドレッシング材のマニホールドの反対側のカバー上に配置されたセンサの断面図である。
【
図8A】
図8Aは、
図1のドレッシング材のカバーの凹部内に配置されたセンサの断面図である。
【
図8B】
図8Bは、
図1のドレッシング材のカバーの別の凹部内に配置されたセンサの断面図である。
【
図9】
図9は、
図1のドレッシング材とともに使用することができるマルチセンサの側面図である。
【
図10】
図10は、光源によって作用されている組織部位に展開された
図5Aのドレッシング材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
例示的な実施形態の以下の説明は、当業者が、添付の特許請求の範囲に記載された主題を作製及び使用することを可能にする情報を提供するが、当該技術分野で既によく知られている特定の詳細は省略され得る。したがって、以下の詳細な説明は、限定ではなく、例示するものとして解釈されるべきである。
【0024】
図1は、本明細書に従って組織部位に局所治療溶液の点滴を用いて陰圧療法を提供することができる療法システム100の例示的な一実施形態のブロック図である。
【0025】
この文脈における「組織部位」という用語は、限定されないが、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、真皮組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、又は靭帯を含む、組織上又は組織内に位置する創傷、欠損、又は他の治療標的を広く指す。創傷としては、例えば、慢性の、急性の、外傷性の、亜急性の、及び裂開した創傷、中間層熱傷、潰瘍(糖尿病潰瘍、圧力潰瘍、又は静脈不全潰瘍、など)、皮弁、及び移植が挙げられ得る。「組織部位」という用語はまた、必ずしも創傷又は欠損しているとは限らないが、代わりに、追加の組織の成長を追加又は促進することが所望され得る領域である、任意の組織の領域も指すことができる。例えば、採取して移植することができる追加の組織を成長させるために、組織部位に陰圧が適用され得る。
【0026】
療法システム100は、陰圧源105などの陰圧源又は陰圧供給部と、1つ以上の分配構成要素と、を含むことができる。分配構成要素は、好ましくは分離可能であり、かつ使い捨て可能、再使用可能、又はリサイクル可能であり得る。ドレッシング材110などのドレッシング材、及び容器115などの流体容器は、療法システム100のいくつかの例に関連付けられ得る分配構成要素の例である。
図1の例に例示されるように、ドレッシング材110は、組織界面120、カバー125、又はいくつかの実施形態ではその両方を備え得るか、又はそれらから本質的になり得る。
【0027】
流体導管は、分配構成要素の別の例示的な例である。この文脈での「流体導管」とは、2つの端部間で流体を搬送するように適合された1つ以上の管腔又は開経路を有する、チューブ、パイプ、ホース、導管、又は他の構造体を広く含む。典型的には、チューブは、いくらかの可撓性を有する細長い円柱構造体であるが、幾何学的形状及び剛性は変化し得る。更に、いくつかの流体導管は、他の構成要素内に成型され得るか、又は別様に他の構成要素と一体的に組み合わせられ得る。分配構成要素はまた、他の構成要素を結合及び結合解除するのを容易にするために、界面又は流体ポートを含み得るか、又は備え得る。いくつかの実施形態では、例えば、ドレッシング材界面は、流体導管をドレッシング材110に結合するのを容易にし得る。例えば、かかるドレッシング材界面は、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio,Texas)から入手可能なSENSAT.R.A.C.(商標)Padであり得る。
【0028】
療法システム100はまた、調節器、又はコントローラ130などのコントローラも含み得る。加えて、療法システム100は、動作パラメータを測定して、動作パラメータを示すフィードバック信号をコントローラ130に提供するためのセンサを含み得る。
図1に例示されるように、例えば、療法システム100は、コントローラ130に結合した第1のセンサ135及び第2のセンサ140を含み得る。
【0029】
療法システム100はまた、点滴溶液源を含んでもよい。例えば、溶液源145は、
図1の例示的な実施形態に示すように、ドレッシング材110に流体結合することができる。溶液源145は、いくつかの実施形態では、陽圧源150などの陽圧源、陰圧源105などの陰圧源、又はその両方に流体結合することができる。点滴調整器155などの調整器もまた、組織部位への点滴溶液(例えば、生理食塩水)の適切な投与量を確実にするために、溶液源145及びドレッシング材110に流体結合することができる。例えば、点滴調整器155は、陰圧間隔中に溶液源から点滴溶液を引き込み、かつ通気間隔中にドレッシング材に溶液を点滴注入するために、陰圧源105によって空気圧で作動することができるピストンを備えてもよい。加えて、又は代替として、コントローラ130は、組織部位への点滴溶液の投与量を制御するために、陰圧源105、陽圧源150、又はその両方に結合することができる。いくつかの実施形態では、点滴調整器155はまた、
図1の実施例に示すように、ドレッシング材110を通して陰圧源105に流体結合することができる。
【0030】
療法システム100のいくつかの構成要素は、療法を更に容易にするセンサ、処理ユニット、アラームインジケータ、メモリ、データベース、ソフトウェア、ディスプレイデバイス、又はユーザインターフェースなどの他の構成要素内に収容され得るか、又はこれらと併せて使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、陰圧源105は、コントローラ130、溶液源145、及び他の構成要素とともに療法ユニット160に組み合わせることができる。
【0031】
概して、療法システム100の構成要素は、直接的又は間接的に結合され得る。例えば、陰圧源105は、容器115に直接的に結合され得、かつ容器115を通してドレッシング材110に間接的に結合され得る。いくつかの文脈では、結合としては、流体結合、機械結合、熱結合、電気結合、又は化学結合(化学接合など)、又はいくつかの組み合わせ、が挙げられ得る。例えば、陰圧源105は、コントローラ130に電気結合され得、かつ組織部位への流体経路を提供するために1つ以上の分配構成要素に流体結合され得る。いくつかの実施形態では、構成要素はまた、物理的近接によって、単一の構造体へと一体化させることによって、又は同じ材料片から形成することによって結合され得る。
【0032】
陰圧源105などの陰圧供給部は、例えば、陰圧の空気のリザーバであり得、又は真空ポンプ、吸引ポンプ、多くの医療施設で利用可能な壁面吸引ポート、若しくはマイクロポンプなどの手動の若しくは電気駆動のデバイスであり得る。「陰圧」とは、概して、シールされた治療環境に対する局所的外部環境における周囲圧力などの局所的周囲圧力未満の圧力を指す。多くの場合、局所的周囲圧力はまた、組織部位が位置する場所の大気圧であり得る。代替的に、圧力は、組織部位における組織に関連付けられた静水圧未満であり得る。別途示されない限り、本明細書に記載された圧力の値は、ゲージ圧である。陰圧の増加への言及は、典型的には、絶対圧力の減少を指し、一方で、陰圧の減少は、典型的には、絶対圧力の増加を指す。陰圧源105によって提供される陰圧の量及び性質は、治療要件に従って変化し得るが、圧力は、概して、-5mmHg(-667Pa)~-500mmHg(-66.7kPa)の、一般的に粗真空とも称される、低真空である。一般的な治療範囲は、-50mmHg(-6.7kPa)~-300mmHg(-39.9kPa)である。
【0033】
容器115は、組織部位から取り出された滲出液及び他の流体を管理するために使用することができる容器、キャニスタ、パウチ、または他の貯蔵構成要素を表す。多くの環境では、流体を回収、貯蔵、及び廃棄するために、剛性容器が好ましくなり得るか、または必要になり得る。他の環境では、流体は、剛性容器に貯蔵されずに適切に廃棄され得るが、再使用可能な容器は、陰圧療法に関連付けられた廃棄物及びコストを低減することができる。
【0034】
コントローラ130などのコントローラは、療法システム100の陰圧源105などの1つ以上の構成要素を動作させるようにプログラムされたマイクロプロセッサ又はコンピュータであり得る。いくつかの実施形態では、例えば、コントローラ130は、マイクロコントローラであり得、これは、概して、療法システム100の1つ以上の動作パラメータを直接的又は間接的に制御するようにプログラムされた、プロセッサコア及びメモリを含む集積回路を備える。動作パラメータは、例えば、陰圧源105に適用される電力、陰圧源105によって生成される圧力、又は組織界面120に分配される圧力を含み得る。コントローラ130はまた、好ましくは、フィードバック信号などの1つ以上の入力信号を受信するように構成されており、かつ入力信号に基づいて1つ以上の動作パラメータを修正するようにプログラムされている。
【0035】
第1のセンサ135及び第2のセンサ140などのセンサは、物理的現象又は特性を検出又は測定するように動作可能な装置とすることができ、概して、検出又は測定された現象又は特性を示す信号を提供することができる。例えば、第1のセンサ135及び第2のセンサ140は、療法システム100の1つ以上の動作パラメータを測定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1のセンサ135は、空気圧経路の圧力を測定して、その測定値を、測定された圧力を示す信号に変換するように構成されたトランスデューサであり得る。いくつかの実施形態では、例えば、第1のセンサ135は、ピエゾ抵抗性歪みゲージであり得る。いくつかの実施形態では、第2のセンサ140は、電圧又は電流などの陰圧源105の動作パラメータを任意選択で測定し得る。好ましくは、第1のセンサ135及び第2のセンサ140からの信号は、コントローラ130への入力信号として適切であるが、いくつかの実施形態では、いくらかの信号調整が適切であり得る。例えば、信号は、コントローラ130によって処理され得る前に、フィルタ処理又は増幅する必要があり得る。典型的には、信号は、電気信号であるが、光信号などの他の形態で表され得る。
【0036】
組織界面120は、概して、組織部位に部分的に又は完全に接触するように適合させることができる。組織界面120は、数多くの形態を採り得、かつ実施される治療のタイプ、又は組織部位の性質及びサイズなどの様々な要因に応じて、数多くのサイズ、形状、又は厚さを有し得る。例えば、組織界面120のサイズ及び形状は、深く不規則な形状の組織部位の輪郭に適合され得る。組織界面120の表面のうちのいずれか又は全ては、起伏のある、粗い、又はギザギザのプロファイルを有し得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、組織界面120は、マニホールドを備える、又は本質的にそれから成ることができる。この文脈におけるマニホールドは、圧力下で組織界面120にわたって流体を収集又は分配する手段を備える、又は本質的にそれから成ることができる。例えば、マニホールドは、供給源から陰圧を受け取って、組織界面120にわたって複数の開口部を通して陰圧を分配するように適合されてもよく、これは、組織部位にわたって流体を収集し、流体を供給源に向かって引き込む効果を有することができる。いくつかの実施形態では、流体経路は、逆転されてもよく、又は二次流体経路が、点滴溶液源からの流体などの流体を組織部位に送達することを促進するために設けられてもよい。
【0038】
いくつかの例示的な実施形態では、マニホールドは、流体の分配又は収集を改善するように相互接続することができる、複数の経路を備えることができる。いくつかの例示的な実施形態では、マニホールドは、相互接続された流体経路を有する多孔性材料を備える、又は本質的にそれから成ることができる。相互接続された流体経路(例えば、チャネル)を形成するように適合させることができる適切な多孔性材料の例としては、網状発泡体などの連続気泡発泡体を含む気泡質発泡体、多孔質組織の集合体、並びに概して細孔、縁部、及び/又は壁を含むガーゼ又はフェルト状マットなどの他の多孔性材料が挙げられる。液体、ゲル、及び他の発泡体はまた、隙間及び流体経路を含み得るか、又はこれらを含むように硬化され得る。いくつかの実施形態では、マニホールドは、追加的又は代替的に、相互接続された流体経路を形成する突起を備えることができる。例えば、マニホールドは、相互接続された流体経路を規定する表面突起を提供するように成型することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、組織界面120は、所定の療法の必要性に従って変化することができる細孔サイズ及び自由体積を有する網状発泡体を備える、又は本質的にそれから成ることができる。例えば、少なくとも90%の自由体積を有する網状発泡体は、多くの療法用途に適し得、いくつかのタイプの療法には、400~600ミクロンの範囲の平均気孔サイズ(40~50個/インチの細孔)を有する発泡体が特に適し得る。組織界面120の引張強度もまた、所定の療法の必要性に従って変化することができる。例えば、発泡体の引張強度は、局所治療溶液の点滴のために増加させることができる。組織界面120の25%圧縮荷重撓みは、少なくとも0.35ポンド/平方インチであってもよく、65%圧縮荷重撓みは、少なくとも0.43ポンド/平方インチであってもよい。いくつかの実施形態では、組織界面120の引張強度は、少なくとも10ポンド/平方インチであってもよい。組織界面120は、少なくとも2.5ポンド/インチの引裂強度を有することができる。いくつかの実施形態では、組織界面は、ポリエステル又はポリエーテルなどのポリオール、トルエンジイソシアネートなどのイソシアネート、並びにアミン及びスズの化合物などの重合調整剤から構成された発泡体であってもよい。いくつかの実施例では、組織界面120は、どちらもKinetic Concepts,Inc.(San Antonio,Texas)から入手可能な、GRANUFOAM(商標)ドレッシング材又はV.A.C.VERAFLO(商標)ドレッシング材に見られるような網状ポリウレタン発泡体であってもよい。
【0040】
組織界面120の厚さもまた、指示された療法の必要性に従って変化し得る。例えば、周辺組織への張力が低減するように、組織界面の厚さを薄くしてもよい。組織界面120の厚さはまた、組織界面120の適合性にも影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、約5ミリメートル~10ミリメートルの範囲の厚さが適切であり得る。
【0041】
組織界面120は、疎水性又は親水性のいずれであってもよい。組織界面120が親水性であってもよい一実施例では、組織界面120はまた、組織部位に陰圧を分配し続けながら、組織部位から離れるように流体を逃がすことができる。組織界面120のウィッキング特性は、毛細管流又は他のウィッキング機構によって、組織部位から離れるように流体を吸引することができる。適切であり得る親水性材料の一例は、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio,Texas)から入手可能なV.A.C.WHITEFOAM(商標)ドレッシング材などのポリビニルアルコールの連続気泡発泡体である。他の親水性発泡体としては、ポリエーテルから作製されたものが挙げられ得る。親水性特性を呈し得る他の発泡体としては、親水性を提供するように処理又はコーティングされた疎水性発泡体が挙げられる。
【0042】
いくつかの実施形態では、組織界面120は、生体吸収性材料から構築することができる。適切な生体吸収性材料としては、限定されないが、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)とポリグリコール酸(polyglycolic acid、PGA)とのポリマーブレンドが挙げられ得る。ポリマーブレンドとしてはまた、限定されないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、及びカプロラクトンを挙げることができる。組織界面120は、新しい細胞成長のための足場としての更なる役割を果たすことができ、又は足場材料は、細胞成長を促進するために、組織界面120と併せて使用することができる。足場は、概して、細胞成長のためのテンプレートを提供する三次元多孔質構造体などの、細胞の成長又は組織の形成を強化又は促進するために使用される物質又は構造体である。足場材料の例示的な例としては、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コーラルヒドロキシアパタイト、カーボネート、又は、処理された同種移植片材料が挙げられる。
【0043】
いくつかの実施形態では、カバー125は、細菌バリア、及び物理的外傷からの保護を提供し得る。カバー125はまた、蒸発損失を低減することができ、かつ2つの構成要素間の、又は治療環境と局所的外部環境との間などの2つの環境間の流体シールを提供することができる材料から構築され得る。カバー125は、例えば、所与の陰圧源に関して組織部位において陰圧を維持するのに十分なシールを提供することができる弾性フィルム又は膜を含み得、又はそれからなり得る。
【0044】
いくつかの例示的な実施形態では、カバー125は、水蒸気に対して透過性であるが、液体に対して不透過性であるポリウレタンフィルムなどのポリマードレープであり得る。他の実施形態では、カバー125は、水蒸気及び液体の両方に対して不透過性であってもよい。かかるドレープは、典型的には、25~50ミクロンの範囲の厚さを有する。透過性材料に関して、透過性は、概して、所望の陰圧が維持され得るように十分に低くするべきである。カバー125は、例えば、親水性ポリウレタンなどのポリウレタン(polyurethane、PU)、セルロース誘導体、親水性ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、親水性アクリル、親水性シリコーンエラストマーなどのシリコーン、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、エチレンビニルアセテート(ethylene vinyl acetate、EVA)、コポリエステル、及びポリエーテルブロックポリマイドコポリマー、のうちの1つ以上を含むことができる。かかる材料は、例えば、3M Company(Minneapolis Minnesota)から市販されているTegaderm(登録商標)ドレープ、Avery Dennison Corporation(Pasadena,California)から市販されているポリウレタン(PU)ドレープ、例えばArkema S.A.(Colombes,France)製のポリエーテルブロックポリアミドコポリマー(PEBAX)、並びにExopack Advanced Coatings(Wrexham,United Kingdom)から市販されているINSPIRE(登録商標)2301及びINSPIRE(登録商標)2327ポリウレタンフィルムとして市販されている。いくつかの実施形態では、カバー125は、2600g/m2/24時間のMVTR(直立カップ技術)及び約30ミクロンの厚さを有するINSPIRE(登録商標)2301を含むことができる。
【0045】
無傷の表皮、ガスケット、又は別のカバーなどの取り付け表面にカバー125を取り付けるために、取り付けデバイスが使用され得る。取り付けデバイスは、多くの形態を採り得る。例えば、取り付けデバイスは、組織部位の周りの表皮にカバー125を接合するように構成された医学的に許容可能な感圧性接着剤であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、カバー125の一部又は全部は、約25~65グラム/平方メートル(gram per square meter、g.s.m.)のコーティング重量を有し得る、アクリル接着剤などの接着剤でコーティングされ得る。いくつかの実施形態では、シールを改善し、漏出を低減するために、より厚い接着剤、又は接着剤の組み合わせが適用され得る。取り付けデバイスの他の例示的な実施形態としては、両面テープ、ペースト、ヒドロコロイド、ヒドロゲル、シリコーンゲル、又はオルガノゲルが挙げられ得る。
【0046】
溶液源145はまた、点滴療法のための溶液を提供することができる、容器、キャニスタ、パウチ、バッグ、又は他の貯蔵構成要素を表してもよい。溶液の組成は、所定の療法に従って変化することができるが、いくつかの処方に適切であり得る溶液の例としては、次亜塩素酸塩ベースの溶液、硝酸銀(0.5%)、イオウベースの溶液、ビグアニド、カチオン性溶液、及び等張溶液が挙げられる。
【0047】
動作中に、組織界面120は、組織部位内に、組織部位を覆って、組織部位上に、又は別様に組織部位に近接して配置され得る。例えば、組織部位が創傷である場合、組織界面120は、部分的又は完全に創傷を塞ぎ得るか、又は創傷を覆って配置され得る。カバー125は、組織界面120を覆って配置され得、かつ組織部位の近くの取り付け表面にシールされ得る。例えば、カバー125は、無傷の表皮の周辺の組織部位にシールされ得る。したがって、ドレッシング材110は、外部環境から実質的に隔離された組織部位に近接してシールされた治療環境を提供することができ、陰圧源105は、シールされた治療環境内の圧力を低減することができる。
【0048】
圧力を低減するプロセスは、例えば、陰圧を「送達する」、「分配する」、又は「生成する」ものとして本明細書で例示的に説明され得る。概して、滲出液及び他の流体は、流体経路に沿ってより低い圧力に向かって流れる。したがって、「下流」という用語は、典型的には、陰圧源に相対的により近い、又は陽圧源からより遠く離れた流体経路内の位置を意味する。反対に、「上流」という用語は、陰圧源から相対的により遠く離れた、又は陽圧源により近い位置を意味する。
【0049】
シールされた治療環境内の組織界面120を通して組織部位にわたって適用される陰圧は、組織部位においてマクロ歪み及びマイクロ歪みを引き起こし得る。陰圧はまた、組織部位から滲出液及び他の流体を除去することもでき、滲出液及び他の流体は、容器115内に回収することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、コントローラ130は、第1のセンサ135などの1つ以上のセンサからデータを受信して処理し得る。コントローラ130はまた、組織界面120に送達される圧力を管理するために、療法システム100の1つ以上の構成要素の動作も制御し得る。いくつかの実施形態では、コントローラ130は、所望の標的圧力を受信するための入力を含み得、かつ組織界面120に適用される標的圧力の設定及び入力に関するデータを処理するようにプログラムされ得る。いくつかの例示的な実施形態では、標的圧力は、組織部位における療法のために所望される標的陰圧として操作者によって設定され、次いで、コントローラ130への入力として提供される、固定圧力値であり得る。標的圧力は、組織部位を形成する組織のタイプ、傷害又は創傷のタイプ(存在する場合)、患者の医学的状態、及び主治医の選好に基づいて、組織部位によって異なり得る。所望の標的圧力を選択した後に、コントローラ130は、標的圧力に基づいて、1つ以上の制御モードで陰圧源105を動作させることができ、かつ組織界面120における標的圧力を維持するために、1つ以上のセンサからフィードバックを受信することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、コントローラ130は、連続圧力モードを有してもよく、連続圧力モードでは、陰圧源105は、治療の持続時間の間、又は手動で停止されるまで、一定の標的陰圧を提供するように動作される。加えて、又は代替として、コントローラは、間欠圧力モードを有してもよい。いくつかの例示的な実施形態では、コントローラ130は、標的圧力と大気圧との間で循環するように陰圧源105を動作させることができる。例えば、標的圧力は、指定された期間(例えば、5分)にわたって135mmHgの値に設定され、その後、指定された期間(例えば、2分)の停止が続いてもよい。このサイクルは、標的圧力と大気圧との間の方形波パターンを形成することができる陰圧源105を作動させることによって繰り返すことができる。
【0052】
いくつかの例示的な実施形態では、周囲圧力から標的圧力への陰圧の増加は、瞬間的でなくてもよい。例えば、陰圧源105及びドレッシング材110は、初期立上り時間を有することができる。初期立上り時間は、使用されるドレッシング材及び治療機器のタイプに応じて変化することができる。例えば、1つの療法システムについての初期立上り時間は、約20~30mmHg/秒の範囲内であってもよく、別の療法システムについては約5~10mmHg/秒の範囲内であってもよい。療法システム100が間欠モードで動作している場合、反復立上り時間は、初期立上り時間に実質的に等しい値であってもよい。
【0053】
いくつかの例示的な動的圧力制御モードでは、標的圧力は、時間とともに変化することができる。例えば、標的圧力は、+25mmHg/分の速度に設定された陰圧の上昇速度及び-25mmHg/分に設定された下降速度で50~135mmHgの陰圧の間で変化する三角波形の形態で変化してもよい。療法システム100の他の実施形態では、三角波形は、約+30mmHg/分の上昇速度及び降下速度又は約-30mmHg/分で25~135mmHgの陰圧の間で変化することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、コントローラ130は、動的圧力モードにおいて可変標的圧力を制御又は決定してもよく、可変標的圧力は、所望の陰圧の範囲としてオペレータによって規定される入力として設定することができる最大圧力値と最小圧力値との間で変化してもよい。可変標的圧力はまた、三角波形、正弦波形、又は鋸歯波形などの所定の波形に従って標的圧力を変化させることができる、コントローラ130によって処理及び制御されてもよい。いくつかの実施形態では、波形は、治療のために所望される所定の又は時変陰圧としてオペレータによって設定されてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、コントローラ130は、組織界面120に提供される点滴溶液に関連するデータなどのデータを受信及び処理してもよい。そのようなデータは、臨床医によって処方される点滴溶液のタイプ、組織部位に点滴注入される流体又は溶液の体積(「充填体積」)、及び組織部位に陰圧を印加する前に組織部位に溶液を放置するために規定される時間の量(「滞留時間」)を含んでもよい。充填体積は、例えば、10~500mLであってもよく、滞留時間は、1秒~30分であってもよい。コントローラ130はまた、点滴溶液に対する療法システム100の1つ以上の構成要素の動作も制御することができる。例えば、コントローラ130は、溶液源145から組織界面120に分配される流体を管理してもよい。いくつかの実施形態では、流体は、陰圧源105からの陰圧を印加して組織部位における圧力を低減し、溶液を組織界面120内に引き込むことによって、組織部位に点滴注入されてもよい。いくつかの実施形態では、陽圧源150からの陽圧を印加して溶液源145から組織界面120に溶液を移動させることによって、溶液を組織部位に点滴注入することができる。加えて、又は代替として、溶液源145は、重力が溶液を組織界面120に移動させることを可能にするために十分な高さまで上昇させてもよい。
【0056】
コントローラ130はまた、溶液の連続流又は溶液の間欠流を提供することによって、425における点滴の流体力学を制御してもよい。陰圧は、溶液の連続流又は間欠流のいずれかを提供するために印加されてもよい。陰圧の印加は、組織界面120を通る点滴溶液の連続流量を達成するための連続圧力動作モードを提供するように実施されてもよく、又は組織界面120を通る点滴溶液の流量を変化させるための動的圧力動作モードを提供するように実施されてもよい。代替として、陰圧の印加は、点滴溶液が組織界面120に滞留することを可能にするための間欠動作モードを提供するように実施されてもよい。間欠モードでは、例えば、治療される組織部位のタイプ及び利用されるドレッシング材のタイプに応じて、特定の充填体積及び滞留時間が提供されてもよい。溶液の点滴後又は点滴中に、陰圧治療を適用してもよい。コントローラ130は、より多くの溶液を点滴注入することによって別の点滴サイクルを開始する前に、動作モード及び陰圧治療の持続時間を選択するために利用することができる。
【0057】
図2は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示す、
図1のドレッシング材110の一実施例の分解図である。ドレッシング材110は、封止層又は創傷接触層202と、第1のフィルム層204と、マニホールド層又はマニホールド206と、第2のフィルム層208と、ドレープ又はカバー125とを含むことができる。創傷接触層202は、適切なゲル材料などの、組織部位との流体シールを提供するのに適した柔軟で曲げやすい材料から形成することができ、実質的に平坦な表面を有してもよい。いくつかの実施形態では、創傷接触層202は、限定はされないが、シリコーンゲル、軟質シリコーン、ヒドロコロイド、ヒドロゲル、ポリウレタンゲル、ポリオレフィンゲル、水素化スチレンコポリマーゲル、発泡ゲル、接着剤でコーティングされたポリウレタン及びポリオレフィンなどの軟質独立気泡発泡体、ポリウレタン、ポリオレフィン、又は水素化スチレンコポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、創傷接触層202は、約200マイクロメートル~約1,000マイクロメートルの範囲の厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、創傷接触層202は、疎水性又は親水性材料から形成することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、創傷接触層202は、疎水性又は疎水性コーティングされた材料を含む、又はそれから形成することができる。例えば、創傷接触層202は、織りメッシュ、不織メッシュ、成型メッシュ、又は押し出しメッシュなどの離間材料を軟質シリコーンなどの疎水性材料でコーティングすることによって形成することができる。
【0059】
創傷接触層202は、第1の表面210と、第1の表面210の反対側の第2の表面212とを有することができる。創傷接触層202はまた、創傷接触層202の外周によって画定される周辺部分又は周辺214と、創傷接触層202を貫通して形成された治療開口部216を含む中心部分215とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、治療開口部216は、マニホールド206の外周に相補的な又は対応する輪郭を有してもよい。創傷接触層202はまた、創傷接触層202を貫通して形成された複数の開口部218を含んでもよい。いくつかの実施形態では、複数の開口部218は、治療開口部216と周辺214との間の創傷接触層202の領域を貫通して形成することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、創傷接触層202の周辺214は、センサ220であってもよく、又はそれを含んでもよい。センサ220は、センサ220が光源によって作用されるとき、感知されたパラメータを示すために色を変化させるように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、センサ220は、酸素レベルを感知するように構成することができる。光源によって作用されると、センサ220は、色を変化させることができる。いくつかの実施形態では、色の強度は、感知された酸素レベルなどの感知されたパラメータに依存することができる。例えば、センサ220は、感知された酸素レベルが比較的低いときに強い光又は強い色を発してもよく、センサ220は、感知された酸素レベルが比較的高いときに比較的鈍い又は薄暗い光又は色を発してもよい。いくつかの実施形態では、センサ220は、周囲環境に曝露されると、基準レベル色を発してもよい。したがって、センサ220が周囲環境の酸素レベルよりも低い酸素レベルを感知したとき、センサ220は、基準レベル色よりも強い、又はより鮮やかな色を発することができる。センサ220が周囲環境の酸素レベルよりも高い酸素レベルを感知したとき、センサ220は、基準レベル色よりも強度が低い又は鮮やかでない色を発することができる。他の実施形態では、センサ220は、上述したものとは異なって光を発してもよいが、感知されたパラメータがセンサ220によって表示されるように、光源に曝露されたときに依然として変化してもよい。いくつかの実施形態では、センサ220は、創傷温度、pHレベル、又は流体の存在などの他のパラメータを感知するように構成することができる。センサ220がpHレベルを感知するように構成されている実施形態では、センサ220は、酸素の感知に関して実質的に上述したように機能することができる。例えば、放出される光の強度は、感知されたpHレベルに依存することができる。センサ220が流体の存在を検出するように構成されている実施形態では、センサ220は、乾燥時に部分的又は完全に不透明であってもよく、流体に曝露されると透明であってもよい。センサ220が不透明から透明に遷移するとき、センサ220は、流体の存在を検出している。
【0061】
いくつかの実施形態では、センサ220は、ドレッシング材110に一体化又はブレンドすることができる染料であってもよい。例えば、センサ220は、いくつかの実施形態では、創傷接触層202の周辺214に一体化することができる。他の実施形態では、センサ220は、遷移金属配位子又は化学感知材料などの発光材料を含有するフィルムであってもよい。化学感知材料は、いくつかの実施形態では、酸素感知材料若しくは分子、又はpH感知材料若しくは分子であってもよい。フィルムは、創傷接触層202などのドレッシング材110の層に結合又は堆積させることができる。いくつかの実施形態では、センサ220は、酸素感知フィルムであってもよい。酸素感知フィルムは、酸素感知分子がポリマーマトリックス中に溶解されたポリマーマトリックスを含むことができる。生体適合性シリコーン及び生体適合性酸素感知材料は、所望の酸素感知フィルムを作製するために、透明な医療グレードポリマーと混合又はブレンドすることができる。いくつかの実施形態では、酸素感知分子は、ポルフィリンであってもよい。酸素感知フィルムは、低酸素透過性ポリマー又は高酸素透過性ポリマーのいずれかを含むことができる。低酸素透過性ポリマーは、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、又は別の同様の材料のうちの少なくとも1つを含むことができる。高酸素透過性ポリマーは、シリコーン、ポリオレフィンエラストマー、又は別の同様の材料のうちの少なくとも1つを含むことができる。他の実施形態では、センサ220は、創傷接触層202などのドレッシング材110の層上に直接印刷された上述のポルフィリンなどの生体適合性酸素感知材料であってもよい。
【0062】
図2に示すように、センサ220は、創傷接触層202の第2の表面212上に堆積されている。いくつかの実施形態では、センサ220は、創傷接触層202の周辺214の周りに延びてもよく、他の実施形態では、センサ220は、創傷接触層202の第2の表面212の全体の上に堆積させることができる。更に他の実施形態では、センサ220は、創傷接触層202の第2の表面212上の個別の位置に堆積させることができる。センサ220は、ドレッシング材110が組織部位上に配置されるときに組織部位の創部周囲領域に近接して配置される、創傷接触層202の第2の表面212の任意の位置にあってもよい。ドレッシング材110が組織部位に配置されると、センサ220は、創傷接触層202が組織部位に結合されている創傷の創部周囲領域におけるパラメータを感知するように構成することができる。例えば、センサ220は、ドレッシング材110が組織部位に結合されると、組織部位の創部周囲領域における酸素レベルを感知するように構成することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、複数の開口部218は、創傷接触層202を通して切断、穿孔、又は局所無線周波数若しくは超音波エネルギーを印加することによって形成することができる。いくつかの実施形態では、複数の開口部218は、創傷接触層202に開口部又は穿孔を形成するための他の好適な技術によって形成することができる。いくつかの実施形態では、複数の開口部218は、均一な分布パターンを有してもよい。他の実施形態では、複数の開口部218は、ランダムに分布していてもよい。いくつかの実施形態では、複数の開口部218は、円形、正方形、星形、楕円形、多角形、スリット、複雑な曲線、直線形状、又は三角形を含む形状の多くの任意の組み合わせを有してもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、複数の開口部218のそれぞれは、均一な又は同様の幾何学的特性を有してもよい。例えば、複数の開口部218の各々は、円形開口部であってもよく、実質的に同じ直径を有してもよい。いくつかの実施形態では、複数の開口部218の各々は、約1ミリメートル~約20ミリメートルの範囲の直径を有してもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、複数の開口部218の幾何学的特性は、変化してもよい。例えば、複数の開口部218の直径は、創傷接触層202の開口部218の配置に応じて変化してもよい。いくつかの実施形態では、複数の開口部218のうちの少なくともいくつかは、約5ミリメートル~約10ミリメートルの範囲の直径を有してもよい。いくつかの実施形態では、複数の開口部218のうちの少なくともいくつかは、約7ミリメートル~約9ミリメートルの範囲の直径を有してもよい。いくつかの実施形態では、創傷接触層202は、角部を含んでもよく、角部又はその付近に配置された複数の開口部218は、約7ミリメートル~約8ミリメートルの範囲の直径を有してもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、周辺214に近接して配置された複数の開口部218のうちの少なくともいくつかは、周辺214で切り開かれ又は露出され、かつ周辺214と(第1の表面210及び/又は第2の表面212に対して)横方向に横に連通する、内部を有することができる。いくつかの実施形態では、横方向は、第1の表面210及び/又は第2の表面212と同じ平面内にあり、かつ周辺214に向かって延びる、方向を指すことができる。いくつかの実施形態では、周辺214に近接して又は周辺214に配置された複数の開口部218のうちの少なくともいくつかは、周辺214の周りに実質的に等間隔に離間していてもよい。代替的に、いくつかの実施形態では、周辺214に近接した又は周辺214にある複数の開口部218の間隔は、不規則に離間していてもよい。
【0067】
第1のフィルム層204は、流体の流れを制御又は管理するのに適した構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、液体不透過性、蒸気透過性エラストマー材料を含む流体制御層であってもよい。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、ポリマーフィルムから形成することができ、又はポリマーフィルムを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、ポリエチレンフィルムなどのポリオレフィンフィルムから形成することができ、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、実質的にクリア又は光学的に透明であってもよい。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、カバー125と同じ材料から形成することができ、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、USPクラスVI規格に従って試験及び認定された生体適合性ポリウレタンフィルムから形成することができ、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204はまた、平滑又は艶消し表面テクスチャを有してもよい。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、Society of Plastics Industry(SPI)規格によるグレードB3以上の艶有仕上げ又は光沢仕上げを有してもよい。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204の表面は、約0.2ミリメートル~約1センチメートルの範囲の高さ変動を有する実質的に平坦な表面であってもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、疎水性であってもよい。第1のフィルム層204の疎水性は、変化することができるが、いくつかの実施例では、少なくとも90度の水との接触角を有することができる。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、150度以下の水との接触角を有してもよい。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、約90度~約120度の範囲、又は約120度~約150度の範囲の水との接触角を有することができる。水接触角は、任意の標準的な装置を使用して測定することができる。手動ゴニオメーターは、接触角を視覚的に概算するために使用することができるが、接触角測定機器は、多くの場合、レベルステージ、液体点滴器(シリンジなど)、カメラ、及び接触角をより正確かつ精密に計算するように設計されたソフトウェアを含む、統合システムを伴い得る。このような統合システムの非限定的な例としては、First Ten Angstroms,Inc.(Portsmouth,Virginia)から全て市販されているFTÅ125、FTÅ200、FTÅ2000、及びFTÅ4000システム、並びにKruss GmbH(Hamburg,Germany)から全て市販されているDTA25、DTA30、及びDTA100システムが挙げられる。特に明記しない限り、本明細書における水接触角は、20~25℃及び相対湿度20~50%の空気中で5センチメートル以下の高さから加えられた液滴について、水平な試料表面上で脱イオン水及び/又は蒸留水を使用して測定される。本明細書における接触角は、5~9回の測定値の平均を表し、最も高い測定値及び最も低い測定値は、破棄される。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204の疎水性は、シリコーン及びフルオロカーボンなどの他の材料の疎水性コーティングで更に強化することができる。
【0069】
第1のフィルム層204はまた、マニホールド206及び第2のフィルム層208を含む他の層への溶接に適していてもよい。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、熱溶接、無線周波数(radio-frequency、RF)溶接、超音波溶接、又は他の方法を使用して、ポリウレタン、ポリウレタンフィルム、及びポリウレタンフォームなどのポリマーに溶接するように適合されてもよい。RF溶接は、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、及びアクリレートなどのより極性の高い材料に特に適することができる。犠牲極性界面を使用して、ポリエチレンなどのより極性の低いフィルム材料のRF溶接を容易にすることができる。
【0070】
第1のフィルム層204の面密度は、所定の療法又は用途に応じて変化してもよい。いくつかの実施形態では、40グラム/平方メートル未満の面密度が好適であり得る。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204の面密度は、約20グラム/平方メートル~約30グラム/平方メートルの範囲であってもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、ポリエチレンフィルムなどの疎水性ポリマーから形成することができ、又はそれを含んでもよい。ポリエチレンの単純かつ不活性な構造は、生物学的組織及び体液と、あったとしてもほとんど相互作用しない表面を提供し、液体の自由な流れを促進することができ、かつ組織及び体液への低い接着性を示す表面を提供し、この特性は、多くの用途に特に有利であり得る。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、ポリウレタン、アクリル、ポリオレフィン(環状オレフィンコポリマーなど)、ポリアセテート、ポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、PEBAXブロックコポリマー、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫物、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリカーボネートスチレン、シリコーン、フルオロポリマー、及びアセテートなどの他のポリマーフィルムから形成することができる。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、約20マイクロメートル~約500マイクロメートルの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、約23マイクロメートル、約25マイクロメートル、約100マイクロメートル、約250マイクロメートル、約300マイクロメートル、及び約500マイクロメートルの厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、ポリアミド、コポリエステル、アイオノマー、及びアクリルなど、ポリエチレンフィルムへの積層に適した極性フィルムを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、ポリエチレンと極性フィルム層との間の結合を改善するために、結合層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、結合層は、エチレン酢酸ビニル又は変性ポリウレタンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204は、エチルメチルアクリレート(EMA)フィルムを含むことができる。
【0072】
第1のフィルム層204は、第1の表面222と、第1の表面222の反対側の第2の表面224とを有することができる。第1のフィルム層204は、第1のフィルム層204の外周によって画定される周辺226を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、周辺226は、スタジアム形状、ディスコ長方形形状、又はオブラウンド形状であってもよい。第1のフィルム層204はまた、第1のフィルム層204を貫通して形成された1つ以上の流体通路228を含んでもよく、それは、第1のフィルム層204にわたって均一に又はランダムに分布することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、流体通路228は、双方向及び流体応答弁として機能してもよい。例えば、各流体通路228は、流体通路228を横切る流体の流れを防止又は実質的に低減するために通常は引っ張られておらず、かつ流体通路228を横切って加えられる圧力勾配に応じて流体通路228を横切る流体の流れを可能にするために拡張又は開放することができる、弾性通路であってもよい。いくつかの実施形態では、流体通路228は、第1のフィルム層204に形成された穿孔を含むことができる。穿孔は、第1のフィルム層204から材料を除去することによって、又は第1のフィルム層204を切断することによって形成することができる。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204を切断することにより、穿孔の縁部を変形させることができる。いくつかの実施形態では、流体通路228は、特に圧力差が存在しない場合に、流体通路228を横切る流体の流れを実質的に低減又は防止するためのシール又は流体制限を形成するのに十分に狭くてもよい。いくつかの実施形態では、流体通路228のうちの1つ以上は、弁を横切る液体の流れを防止するように引っ張られていないときに通常閉鎖され、かつ圧力勾配に応じて開放することができる、エラストマー弁であってもよい。いくつかの実施形態では、流体通路228は、第1のフィルム層204を貫通して形成された開窓を含んでもよい。開窓は、第1のフィルム層204から材料を除去することによって形成することができるが、除去される材料の量及び結果として得られる開窓の寸法は、最大で穿孔よりも1桁小さくてもよく、縁部を変形させなくてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、流体通路228は、第1のフィルム層204に、1つ以上のスリット、スロット、又はスリットとスロットの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、流体通路228は、約5ミリメートル未満の長さ及び約2ミリメートル未満の幅を有する線形スロットを含むことができる。いくつかの実施形態では、長さは、少なくとも約2ミリメートルであってもよく、幅は、少なくとも約0.5ミリメートルであってもよい。いくつかの実施形態では、長さは、約2ミリメートル~約5ミリメートルの範囲であってもよく、幅は、約0.5ミリメートル~約2ミリメートルの範囲であってもよく、公差は、約0.1ミリメートルである。いくつかの実施形態では、長さは、約3ミリメートルであってもよい。そのような寸法及び公差は、例えば、レーザカッタを用いて達成することができる。いくつかの実施形態では、そのような構成のスロットは、通常閉鎖又は静止状態において液体の流れを実質的に低減する不完全弁として機能することができる。そのようなスロットは、完全に閉鎖又は密閉されることなく、流動制限を形成してもよい。スロットは、スロットにわたって印加される圧力勾配に応じて、より広く拡張又は開放し、スロットを通る増加した液体の流れを可能にすることができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、流体通路228は、約5ミリメートル未満の長さを有する線形スリットを含んでもよい。いくつかの実施形態では、線形スリットの長さは、少なくとも約2ミリメートルであってもよい。いくつかの実施形態では、線形スリットの長さは、約2ミリメートル~約5ミリメートルの範囲であってもよく、公差は、約0.1ミリメートルである。いくつかの実施形態では、線形スリットの長さは、約3ミリメートルであってもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書に図示されていないが、第1のフィルム層204は、創傷接触層202と一体であってもよい。例えば、創傷接触層202は、治療開口部216を含まなくてもよく、連続層であってもよい。創傷接触層202の中央部分215は、いくつかの実施形態では、第1のフィルム層の流体通路228を含んでもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、マニホールド206は、第1の表面232と第1の表面232の反対側の第2の表面234とを有する実質的にシート状の構造として形成することができる。いくつかの実施形態では、マニホールド206は、マニホールド206の外周によって画定される周辺236を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、マニホールド206の周辺236は、第1のフィルム層204の周辺226と実質的に同様であってもよく、又は同一の広がりを有してもよい。いくつかの実施形態では、マニホールド206は、約0.5ミリメートルの厚さを有するポリウレタンの真空成形シートなどのポリウレタンのシートから形成することができる。いくつかの実施形態では、マニホールド206は、実質的にクリア又は光学的に透明であるポリマー材料から形成することができ、ユーザがマニホールド206を通して見ることを可能にする。
【0078】
いくつかの実施形態では、複数の窓238は、マニホールド206から除去され、格子パターンを形成してもよい。例えば、複数の窓238は、行及び列のパターンで配置することができる。複数の窓238の各窓238の中心は、行内の複数の窓238の他の各窓238の中心と位置合わせされていてもよく、複数の窓238の各窓238の中心は、列内の複数の窓238の他の各窓238の中心と位置合わせされていてもよい。いくつかの実施形態では、複数のスタンドオフ240を、マニホールド206の第2の表面234上に形成することができる。いくつかの実施形態では、複数のスタンドオフ240は、格子パターンを形成してもよい。例えば、複数のスタンドオフ240は、行及び列のパターンで配置することができる。複数のスタンドオフ240の各スタンドオフ240の中心は、行内の複数のスタンドオフ240の他の各スタンドオフ240の中心と位置合わせされていてもよく、複数のスタンドオフ240の各スタンドオフ240の中心は、列内の複数のスタンドオフ240の他の各スタンドオフ240の中心と位置合わせされていてもよい。いくつかの実施形態では、複数の窓238の各行は、複数のスタンドオフ240の行に隣接して配置することができ、複数の窓238の各列は、複数のスタンドオフ240の列に隣接して配置することができる。いくつかの実施形態では、複数の窓238及び複数のスタンドオフ240は、パターンの行が複数の窓238の行と複数のスタンドオフ240の行との間で交互になり、かつパターンの列が複数の窓238の列と複数のスタンドオフ240の列との間で交互になるような、パターンで配置することができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、各窓238は、マニホールド206の第1の表面232の平面においてプロファイルが実質的に円形であってもよい。いくつかの実施形態では、各スタンドオフ240は、プロファイルが実質的に円形であり、マニホールド206の第2の表面234の平面から実質的に直角に外向きに突出していてもよい。いくつかの実施形態では、複数の窓238の各窓238の直径は、複数のスタンドオフ240の各スタンドオフ240の直径より大きくてもよい。例えば、複数の窓238の各窓238は、約8ミリメートルの直径を有してもよく、複数のスタンドオフ240の各スタンドオフ240は、約3ミリメートルの直径を有してもよい。いくつかの実施形態では、複数のスタンドオフ240の各スタンドオフ240は、約0.5ミリメートル~約3ミリメートルの範囲の高さを有してもよい。いくつかの実施形態では、複数のスタンドオフ240の各スタンドオフ240は、約2.5ミリメートルの高さを有してもよい。いくつかの実施形態では、複数のスタンドオフ240の各スタンドオフ240は、約3ミリメートルの高さを有してもよい。いくつかの実施形態では、行内の複数のスタンドオフ240の各スタンドオフ240は、行内の複数のスタンドオフ240の隣接するスタンドオフ240から中心で約4ミリメートルの距離だけ離間していてもよく、列内の複数のスタンドオフ240の各スタンドオフ240は、列内の複数のスタンドオフ240の隣接するスタンドオフ240から中心で約4ミリメートルの距離だけ離間していてもよい。いくつかの実施形態では、複数のスタンドオフ240は、半カプセルなどの半球形端部を有する直円柱であってもよく、マニホールド206の第2の表面234上に形成され、第2の表面234に対して実質的に垂直な方向に第2の表面234から実質的に離れるように突出していてもよい。いくつかの実施形態では、複数のスタンドオフ240の各々は、約2.5ミリメートル~約3ミリメートルの範囲の高さを有してもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、マニホールド206は、リップ部分又はボス242などの隆起部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、ボス242は、マニホールド206の第1の表面232の平面から実質的に直角に外向きに突出していてもよい。いくつかの実施形態では、ボス242は、マニホールド206の周辺236の形状と同様の縮小されたプロファイル又は輪郭を有してもよい。いくつかの実施形態では、マニホールド206はまた、ボス242とマニホールドの周辺236との間に境界領域244を有してもよい。いくつかの実施形態では、境界領域244は、複数の窓238のうちの窓238又は複数のスタンドオフ240のうちのスタンドオフ240のいずれも含まなくてもよい。
【0081】
第2のフィルム層208は、第1の表面250と、第1の表面250の反対側の第2の表面252とを有することができる。第2のフィルム層208は、第2のフィルム層208の周囲によって画定される周辺254を更に含むことができる。開口部256などの陰圧開口部は、第2のフィルム層208を貫通して形成することができる。いくつかの実施形態では、第2のフィルム層208は、カバー125及び/又は第1のフィルム層204に関して前述した材料のいずれかから形成することができ、又はそれらを含んでもよい。
【0082】
カバー125は、第1の表面262と、第1の表面262の反対側の第2の表面264とを含むことができる。カバー125は、カバー125の外周によって画定される周辺部分又は周辺266を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、カバーは、カバー125を貫通して形成された中央開口部268を有する中央部分267を有してもよい。いくつかの実施形態では、カバー125は、周囲環境とセンサ220との間のバリアとして作用してもよい。例えば、カバー125は、任意の酸素がセンサ220に到達して、組織部位の創部周囲領域において感知された酸素レベルに影響を与えることを阻止するために、実質的に酸素不透過性であってもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、本明細書に図示されていないが、第2のフィルム層208及びカバー125の中央開口部268は、省略されてもよく、カバー125は、カバー125の第2の表面264がマニホールド206の第1の表面232に接触するような連続層であってもよい。他の実施形態では、第2のフィルム層208は、カバー125の一部分であってもよく、周囲環境とドレッシング材110の残りの部分との間にバリアを生成するように、カバー125の中央開口部268と位置合わせされていてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、創傷接触層202の周辺214は、カバー125の周辺266と実質的に同一の広がりを有してもよい。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204の周辺226、マニホールド206の周辺236、及び第2のフィルム層208の周辺254は、実質的に同一の広がりを有してもよい。いくつかの実施形態では、創傷接触層202の治療開口部216の輪郭は、カバー125の中央開口部268の輪郭と実質的に同一の広がりを有してもよい。いくつかの実施形態では、治療開口部216及び中央開口部268の輪郭は、第1のフィルム層204の周辺226、マニホールド206の周辺236、及び第2のフィルム層208の周辺254の輪郭と実質的に同様であってもよい。いくつかの実施形態では、治療開口部216及び中央開口部268の輪郭は、第1のフィルム層204の周辺226、マニホールド206の周辺236、及び第2のフィルム層208の周辺254の輪郭と実質的に同様であるが、縮小されていてもよい。組み立てられた形態では、創傷接触層202、第1のフィルム層204、マニホールド206、第2のフィルム層208、及びカバー125は、創傷接触層202の周辺214がカバー125の周辺266と位置合わせされ、かつ第1のフィルム層204の周辺226がマニホールド206の周辺236及び第2のフィルム層208の周辺254と位置合わせされるように、積層されていてもよい。いくつかの実施形態では、治療開口部216は、中央開口部268と位置合わせされていてもよく、第1のフィルム層204の周辺226、マニホールド206の周辺236、及び第2のフィルム層208の周辺254は、それらが治療開口部216及び中央開口部268の輪郭と位置合わせされ、かつそれらを越えて均等に延びるように、配置することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、治療開口部216の周りの創傷接触層202の第1の表面210の一部分は、周辺226の近くの第1のフィルム層204の第2の表面224の一部分に結合することができ、中央開口部268の周りのカバー125の第2の表面264の一部分は、周辺254の近くの第2のフィルム層208の第1の表面250の一部分に結合することができる。いくつかの実施形態では、周辺214と治療開口部216との間の創傷接触層202の第1の表面210の一部分は、周辺266と中央開口部268との間のカバー125の第2の表面264の一部分に結合することができる。
【0086】
ドレッシング材110のいくつかの実施例はまた、ドレッシング材界面270及び流体導管272を含んでもよい。様々な実装形態では、流体導管272は、ドレッシング材界面270に一方の端部で流体結合することができる可撓性チューブであってもよい。様々な実装形態では、ドレッシング材界面270は、流体導管272とドレッシング材110の内部との間に流体経路を提供するために開口部256の上に配置することができる、エルボーコネクタであってもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、ドレッシング材110は、使用前に、創傷接触層202と、カバー125の第2の表面264上にコーティングされた接着剤とを保護するために、剥離ライナ278を更に含んでもよい。剥離ライナ278はまた、例えば、ドレッシング材110の展開を支援するための剛性も提供することができる。様々な実装形態では、剥離ライナは、ポリエチレンテレフタレート(PET)又は同様の極性半結晶性ポリマーを含んでもよい。剥離ライナ278への極性半結晶性ポリマーの使用は、ドレッシング材110のしわ又は他の変形を実質的に排除することができる。極性半結晶性ポリマーは、高度に配向することができ、かつ物体がドレッシング材110の層及び/若しくは構成要素と接触したときに、又はドレッシング材110が温度若しくは環境の変化を受けたときに、又は殺菌中に起こり得る軟化、膨潤、又は他の変形に対する耐性を有することができる。更に、剥離剤は、創傷接触層202の第2の表面212及びカバー125の第2の表面264上に配置された接着剤と接触するように構成された剥離ライナ278の第1の表面280上に配置することができる。例えば、剥離剤は、シリコーンコーティングであってもよく、手によって、ドレッシング材110に損傷を与えずに、又は変形させずに剥離ライナ278の取り外しを容易にするのに適した剥離要素を有することができる。様々な実装形態では、剥離剤は、フルオロカーボン又はフルオロシリコーンであってもよい。様々な実装形態では、剥離ライナ278は、コーティングされていなくてもよく、又は別様に剥離剤なしで使用することができる。
【0088】
図3は、
図2のドレッシング材110の組み立てられた一実施例の斜視図である。いくつかの例示的な実施形態では、カバー125、第2のフィルム層208、マニホールド206、第1のフィルム層204、及び/又は創傷接触層202は、実質的にクリア又は光学的に透明であってもよく、ドレッシング材110の層の可視化並びにマニホールド206の窓238を通した可視化を可能にする。センサ220はまた、いくつかの実施形態では、ドレッシング材110が光源によって作用されるとき、光又は色を、カバー125及び創傷接触層202を通して観察することができるように、カバー125を通して可視であってもよい。
【0089】
図4は、組織部位402に適用され、
図1の療法システム100に関連付けられた更なる詳細を示す、線4-4で取られた
図3のドレッシング材110を示す断面図である。いくつかの実施形態では、カバー125の第2の表面264は、接着剤層404でコーティングされていてもよく、カバー125の少なくとも一部分は、接着剤層404を用いて創傷接触層202の第1の表面210の少なくとも一部分に結合することができる。接着剤層404は、
図1を参照して前述した取り付けデバイスのいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、カバー125の第2の表面264の一部分は、接着剤層404によって、例えば周辺254で、第2のフィルム層208の第1の表面250の一部分に結合することができる。
【0090】
いくつかの用途では、ドレッシング材110は、創傷406を覆うために組織部位402に適用されてもよい。組織部位402は、創傷406などの欠損又は標的治療部位であってもよく、又はそれを含んでもよく、それは、ドレッシング材110によって部分的又は完全に充填又は被覆されてもよい。いくつかの実施例では、創傷406は、表皮408にあってもよい。いくつかの実施例では、創傷406は、表皮408を通って真皮410内に延びることができる。他の実施例では、創傷406は、表皮408及び真皮410を通って皮下組織412内に延びることができる。いくつかの実施形態では、創傷接触層202の第2の表面212の少なくとも一部分は、創部周囲領域414などの、創傷406を取り囲む表皮408の一部分と接触させられてもよい。第1のフィルム層204の第2の表面224の少なくとも一部分は、創傷406内に、それを覆って、その上に、それに対して、又は別の方法でそれに近接して配置することができる。
【0091】
動作中、陰圧が創傷406に提供されてもよく、及び/又は流体が、療法ユニット160の陰圧源105によって、ドレッシング材界面270及び流体導管272を通して創傷406から除去されてもよい。ドレッシング材110が組織部位402に適用されている間、センサ220は、創部周囲領域414と接触していてもよい。センサ220は、創部周囲領域414においてパラメータを検出するように構成することができる。例えば、センサ220は、創部周囲領域414における酸素レベルを検出するように構成することができる。他の実施形態では、センサ220は、創部周囲領域414におけるpH又は流体レベルなどの別のパラメータを検出するように構成することができる。
【0092】
図5Aは、いくつかの実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示す、
図1のドレッシング材110の別の実施例の斜視図を示す。
図3と同様に、カバー125、第2のフィルム層208、マニホールド206、第1のフィルム層204、及び/又は創傷接触層202は、実質的にクリア又は光学的に透明であってもよく、ドレッシング材110の層の可視化並びにマニホールド206の窓238を通した可視化を可能にする。
【0093】
ドレッシング材110は、創部周囲センサ502を含んでもよい。いくつかの実施形態では、創部周囲センサ502は、創傷接触層202上又はその中に配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、創部周囲センサ502は、カバー125の第2の表面264と創傷接触層202の第1の表面210との間に配置することができる。他の実施形態では、創部周囲センサ502は、創傷接触層202内に組み合わせる、若しくはブレンドすることができ、又は創傷接触層202の第2の表面212に近接して配置することができる。創部周囲センサ502は、上述のセンサ220と同様又は同等であってもよい。例えば、創部周囲センサ502は、組織部位402の創部周囲領域414における酸素レベルなど、組織部位の創部周囲領域におけるパラメータを感知するように構成することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、ドレッシング材110は、少なくとも1つの創傷センサ504を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、創傷センサ504は、第2のフィルム層208の第2の表面252とマニホールド206の第1の表面232との間に配置することができる。他の実施形態では、創傷センサ504は、ドレッシング材110内の異なる位置に配置することができるが、依然として、組織部位402の創傷406などの組織部位の創傷に近接して配置することができる。創傷センサ504は、上述のセンサ220と同様又は同等であってもよい。例えば、創傷センサ504は、組織部位402の創傷406における酸素レベルなど、組織部位の創傷におけるパラメータを感知するように構成することができる。
【0095】
図5Bを参照すると、
図5Aのドレッシング材110の別の実施形態が示されている。ドレッシング材110は、
図5Aのドレッシング材110と同様であってもよいが、創部周囲センサカバー510及び創傷センサカバー512を更に含んでもよい。創部周囲センサカバー510及び創傷センサカバー512は、実質的にクリア又は光学的に透明であってもよく、創部周囲センサカバー510及び創傷センサカバー512を通したドレッシング材110の可視化を可能にする。創部周囲センサカバー510は、カバー125に結合又は一体化することができ、創部周囲センサ502に近接して配置することができる。創部周囲センサカバー510は、ドレッシング材110内の創部周囲センサ502のうちの1つを露出させるために創部周囲センサカバー510の各々を取り外すことができるように、カバー125に取り外し可能に結合することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、創傷センサカバー512は、第2のフィルム層208に結合又は一体化することができ、創傷センサ504に近接して配置することができる。創傷センサカバー512は、ドレッシング材110内の創傷センサ504を露出させるために創傷センサカバーを取り外すことができるように、第2のフィルム層208に取り外し可能に結合することができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、創部周囲センサカバー510及び創傷センサカバー512は、ドレッシング材110が組織部位402などの組織部位に展開されている間に創部周囲センサ502及び創傷センサ504をドレッシング材110に追加する又はそこから取り外すことができるように、ドレッシング材110に含まれてもよい。創部周囲センサカバー510及び創傷センサカバー512は、カバー125及び第2のフィルム層208それぞれとの流体シールを提供するために、水蒸気及び液体の両方に対して不透過性であってもよい。創部周囲センサカバー510及び創傷センサカバー512は、創部周囲センサ502及び創傷センサ504が組織部位402の創部周囲領域414及び創傷406におけるパラメータを感知できるように、創部周囲センサ502及び創傷センサ504を外部又は周囲環境から隔離してもよい。
【0098】
図5Cは、線5C-5Cで取られたドレッシング材110の断面図である。創部周囲センサ502は、創傷接触層202内に配置することができ、創部周囲センサカバー510は、カバー125に結合することができる。創部周囲センサカバー510は、フラップ520を含んでもよい。フラップ520は、ヘルスケア提供者又は別のユーザが、ドレッシング材110から創部周囲センサカバー510を容易に取り外すことを可能にすることができる。創部周囲センサカバー510がドレッシング材110から取り外されると、創部周囲センサ502は、カバー125を通してアクセス可能であってもよい。
【0099】
図5Dは、線5D-5Dで取られたドレッシング材110の断面図である。創傷センサ504は、マニホールド206の第1の表面232に近接して配置することができる。他の実施形態では、創傷センサ504は、マニホールド206の複数の窓238のうちの1つの中などの異なる位置に配置することができる。創傷センサカバー512は、第2のフィルム層208に結合することができる。創傷センサカバー512は、創部周囲センサカバー510のフラップ520と同様のフラップ522を含むことができる。
【0100】
図6A~
図6Fは、ドレッシング材110内の異なる位置に配置された創部周囲センサ502を示す、ドレッシング材110の断面図である。
図6Aは、創傷接触層202の複数の開口部218のうちの1つの中に配置された創部周囲センサ502を示す。ドレッシング材110が組織部位402などの組織部位に配置されると、創部周囲センサ502は、組織部位402の創部周囲領域414と直接接触することができる。
【0101】
図6Bは、創傷接触層202に成形又はブレンドされた創部周囲センサ502を示す。創部周囲センサ502は、複数の開口部218から分離されていてもよく、ドレッシング材110が組織部位402に配置されると、組織部位402の創部周囲領域414と直接接触してもよい。
【0102】
図6Cは、創傷接触層202の第1の表面210に近接して配置された創部周囲センサ502を示す。創部周囲センサ502は、複数の開口部218のうちの1つに近接して配置することができるが、ドレッシング材110が組織部位402に配置されると、組織部位402の創部周囲領域414から分離されていてもよい。
【0103】
図6Dは、創傷接触層202の第1の表面210と、カバー125の第2の表面264との間に配置された創部周囲センサ502を示す。創部周囲センサ502は、ドレッシング材110が組織部位402に配置されると、創部周囲センサ502が組織部位402の創部周囲領域414から隔離されるように、複数の開口部218から隔離されていてもよい。
【0104】
図6Eは、創傷接触層202の複数の開口部218のうちの1つの反対側のカバー125の第1の表面262に結合された創部周囲センサ502を示す。カバー125の一部分602は、創部周囲センサ502の第1の表面604がカバー125の第1の表面262と同一平面になるように、複数の開口部218のうちの1つの中に配置することができる。いくつかの実施形態では、創部周囲センサ502は、組織部位402の創部周囲領域414から隔離されて、センサが光源によって作用されるとき、ベースライン又は大気酸素レベル読取り値を提供することができる。いくつかの実施形態では、創部周囲センサ502を用いて複数の位置でパラメータを測定することができるように、複数の創部周囲センサ502を使用することができる。
【0105】
図6Fは、創傷接触層202の複数の開口部218のうちの1つの反対側のカバー125の第1の表面262に結合された創部周囲センサ502を示す。
図6Eに示す創部周囲センサ502と同様に、創部周囲センサ502は、組織部位402の創部周囲領域414から隔離されて、センサが光源によって作用されるとき、ベースライン又は大気酸素レベル読取り値を提供することができる。いくつかの実施形態では、創部周囲センサ502を用いて複数の位置でパラメータを測定することができるように、複数の創部周囲センサ502を使用することができる。
【0106】
図7A~
図7Fは、ドレッシング材110内の異なる位置に配置された創傷センサ504を示す、ドレッシング材110の断面図である。
図7Aは、第1のフィルム層204の第2の表面224に結合された創傷センサ504を示す。創傷センサ504に近接する第1のフィルム層204は、第1のフィルム層204の第1の表面222が複数のスタンドオフ240のうちの少なくとも1つ及びマニホールド206の第2の表面234に結合され、それにより創傷センサ504が第1のフィルム層204の第2の表面224と同一平面になるように、マニホールド206内に押し込まれてもよい。ドレッシング材110が組織部位402に配置されると、創傷センサ504は、組織部位402の創傷406と直接接触することができる。
【0107】
図7Bは、マニホールド206と第1のフィルム層204との間に配置された創傷センサ504を示す。創傷センサ504は、複数のスタンドオフ240の間に配置されていてもよく、創傷センサ504の少なくとも一部分は、マニホールド206の複数の窓238のうちの1つに近接していてもよい。ドレッシング材110が組織部位402に配置されると、創傷センサ504は、第1のフィルム層204の少なくとも1つ以上の流体通路228を通して組織部位402の創傷406と流体連通することができる。
【0108】
図7Cは、マニホールド206の複数の窓238のうちの1つの中に配置された創傷センサ504を示す。ドレッシング材110が組織部位402に配置されると、創傷センサ504は、第1のフィルム層204の少なくとも1つ以上の流体通路228を通して組織部位402の創傷406と流体連通することができる。
【0109】
図7Dは、マニホールド206と第2のフィルム層208との間に配置された創傷センサ504を示す。マニホールド206の一部分は、創傷センサ504の第1の表面702がマニホールド206の第1の表面232と同一平面になるように、マニホールド206の複数のスタンドオフ240の間に埋め込まれていてもよい。ドレッシング材110が組織部位402に配置されると、創傷センサ504は、マニホールド206及び第1のフィルム層204の1つ以上の流体通路228を通して組織部位402の創傷406と流体接触することができる。
【0110】
図7Eは、マニホールド206と第2のフィルム層208との間に配置された創傷センサ504を示す。マニホールド206の一部分は、創傷センサ504の第1の表面702がマニホールド206の第1の表面232と同一平面になるように、マニホールド206の複数のスタンドオフ240の間に埋め込まれていてもよい。ドレッシング材110は、創傷センサ504を創傷406から流体的に隔離するために創傷センサ504の周りに配置された封止材料704を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、創傷センサ504は、創傷センサ504の第1の表面702を創傷センサ504の第2の表面710に結合することができる縁部706を有することができる。創傷センサ504の縁部706及び第2の表面710は、封止材料に結合することができる。創傷センサ504の第1の表面702は、創傷センサ504を周囲環境及び創傷406の両方から流体的に隔離するために、第2のフィルム層208に結合することができる。
【0111】
図7Fは、マニホールド206の複数の窓238のうちの1つの反対側の第2のフィルム層208の第1の表面250に結合された創傷センサ504を示す。第2のフィルム層208の一部分712は、創傷センサ504の第1の表面702が第2のフィルム層208の第1の表面250と同一平面になるように、マニホールド206の複数の窓238のうちの1つの中に配置することができる。いくつかの実施形態では、創傷センサ504は、組織部位402の創傷406から隔離されて、創傷センサ504が光源によって作用されるとき、ベースライン又は大気酸素レベル読取り値を提供することができる。いくつかの実施形態では、創傷センサ504を用いて複数の位置でパラメータを測定することができるように、複数の創傷センサ504を使用することができる。
【0112】
図8A及び
図8Bは、深部創傷で使用することができるドレッシング材110の代替実施形態の一部分を示す。いくつかの事例では、創傷は、ローリングダイヤフラム802を含む修正されたドレッシング材を必要とする輪郭又は深部領域を有することがある。
図8A及び
図8Bに示すように、ローリングダイヤフラム802は、第1のフィルム層204及びマニホールド206を含むことができる。他の実施形態では、ローリングダイヤフラム802は、第2のフィルム層208を更に含むことができる。創傷センサ504は、マニホールドの第1の表面232上に配置することができ、マニホールド206及び第1のフィルム層204の1つ以上の流体通路228を通して組織部位402の創傷406と流体接触することができる。
図8Bに示すように、ローリングダイヤフラム802は、いくつかの実施形態では、第1のフィルム層204の第2の表面224を越えて延びてもよい。ローリングダイヤフラム802は、創傷センサ504が創傷の深部領域とより密接に接触することができるように、ドレッシング材110が深部創傷内に延びることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ドレッシング材110は、創傷センサ504をドレッシング材110で治療されている創傷内の異なる深さに配置することができるように、ローリングダイヤフラム802がドレッシング材110に沿って離間しているように製造することができる。
【0113】
図9は、ドレッシング材110の前述の実施形態のいずれかとともに使用することができる、センサ900の一実施例を示す。1つのセンサを用いて組織部位における複数のパラメータを監視することが望ましい場合がある。センサ900は、いくつかの実施形態では、流体センサ902、酸素センサ904、及びpHセンサ906を含んでもよい。他の実施形態では、センサ900は、より少ない又は追加のパラメータを監視してもよい。いくつかの実施形態では、センサ900の酸素センサ904及びpHセンサ906の周囲に配置することができる液体バリア908があってもよい。液体バリア908は、創傷からの任意の液体が酸素センサ904及びpHセンサ906と直接接触しないようにするが、液体が流体センサ902と直接接触することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、酸素センサ904及びpHセンサ906は、光源によって作用されるとき、酸素レベル及びpHレベルそれぞれを示すために色を変化させるように構成することができる。いくつかの実施形態では、放出される光の強度は、
図2を参照して上述したように、感知されたパラメータの値に依存することができる。流体センサ902は、流体の存在を検出するように構成することができる。流体センサ902は、センサ220が不透明から透明に遷移するとき、センサ220が流体の存在を検出しているように、乾燥時に部分的又は完全に不透明であってもよく、流体に曝露されると透明であってもよい。センサ900は、ドレッシング材の創部周囲領域又は創傷接触領域のいずれかに構成することができる。いくつかの実施形態では、センサ900は、創部周囲領域及び創傷接触領域の両方にわたって配置することができ、それにより、流体センサ902は、酸素センサ904及びpHセンサ906が組織部位の創傷における酸素及びpHのレベルを検出するように構成されている創部周囲領域内の流体の浸軟又は存在を検出することができる。
【0114】
図10は、組織部位402に展開された療法システム100の例示的な一実施形態を示しており、光源1002がドレッシング材110を照らしている。光源1002は、ドレッシング材110に向かって光1004を発することができる。光1004は、ドレッシング材110のカバー125を貫通して、創部周囲センサ502及び創傷センサ504に到達することができる。光1004が創部周囲センサ502及び創傷センサ504に到達すると、創部周囲センサ502及び創傷センサ504は、色を変化させることができる。創部周囲センサ502及び創傷センサ504の色は、それらが配置されている場所の感知されたパラメータの値に対応する。例えば、感知されたパラメータが酸素レベルである場合、創部周囲センサ502及び創傷センサ504は、それぞれが感知する酸素レベルに対応して色を変化させてもよい。創部周囲センサ502は、第1の酸素レベルを示すことができる第1の色1006であってもよく、創傷センサ504は、第2の酸素レベルを示すことができる第2の色1008であってもよい。創傷センサ504からの第2の色1008は、創傷センサ504が創部周囲センサ502よりも低い酸素レベルを感知していることを示すことができる第1の色1006よりも強い、又はより鮮やかであってもよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書に図示されていないが、創部周囲センサ502及び創傷センサ504から放出される光の強度を捕捉するために、UV感知CCDカメラを、組織部位402の反対側のドレッシング材110の上方に配置することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に図示されていないが、光源1002は、特定の波長のみがドレッシング材110の創部周囲センサ502及び創傷センサ504に到達するように、特定の波長の光を集光してフィルタ除去することができる、励起フィルタを含んでもよい。同様に、UV感知CCDカメラは、いくつかの実施形態では、創部周囲センサ502及び創傷センサ504によって放出される光をフィルタリング及び集光するために、放出フィルタを含んでもよい。
【0116】
陰圧によって組織部位402を治療する方法も本明細書に記載される。本方法は、ドレッシング材110を組織部位402上に配置することと、陰圧源105からドレッシング材110に陰圧を印加することと、組織部位402における感知されたパラメータの変化についてドレッシング材110を監視することと、を含むことができる。ドレッシング材110は、カバー125と、創傷接触層202と、マニホールド206と、センサ220、創部周囲センサ502、又は創傷センサ504などの少なくとも1つのセンサとを含んでもよい。カバー125は、第1の表面262と第2の表面264とを含むことができる。創傷接触層202は、第1の表面210と第2の表面212とを含むことができる。創傷接触層202の第2の表面212は、組織部位402に接触するように構成することができる。マニホールド206は、第1の表面232と第2の表面234とを含むことができる。マニホールド206は、カバー125の第2の表面264と創傷接触層202の第1の表面210との間に配置されるように構成することができる。少なくとも1つのセンサは、ポリマーマトリックス中に溶解された複数のパラメータ感知分子を含むことができる。少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのセンサが光源1002によって作用されるとき、感知されたパラメータを示すように構成することができる。
【0117】
いくつかの例示的な実施形態では、組織部位402における感知されたパラメータの変化についてドレッシング材を監視することは、少なくとも1つのセンサが光源によって作用されるとき、その少なくとも1つのセンサにおける色の変化を検出することを含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、感知されたパラメータは、流体レベル、酸素レベル、及びpHのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0118】
本明細書に記載されたシステム、装置、及び方法は、有意な利点を提供し得る。例えば、ドレッシング材110は、透明であってもよく、それにより、臨床医が、ドレッシング材110を妨げずに、組織部位402を容易に監視することを可能にすることができる。センサ220、創部周囲センサ502、及び創傷センサ504などのセンサは全て、酸素レベル、pHレベル、及び流体検出などのパラメータの変化について臨床医が組織部位402を監視するのを助けることができる。これらのセンサは、ドレッシング材110に一体化される任意の電気構成要素を必要とせずに、組織部位402に関するより多くの情報を伝達することができるので、ドレッシング材をよりスマートにすることができる。
【0119】
いくつかの例示的な実施形態に示してきたが、当業者は、本明細書に記載されたシステム、装置、及び方法が、添付の特許請求の範囲の範囲内にある様々な変更及び修正が可能であることを認識するであろう。更に、「又は」などの用語を使用する様々な代替案の説明は、文脈によって明らかに必要とされない限り、相互排他性を必要とせず、不定冠詞「a」又は「an」は、文脈によって明らかに必要とされない限り、対象を単一の事例に限定しない。構成要素はまた、販売、製造、組み立て、又は使用の目的で、様々な構成で組み合わせられ得るか、又は排除され得る。例えば、いくつかの構成では、ドレッシング材110、容器115、又はその両方は、製造又は販売のために、排除され得るか、又は構成要素から分離され得る。他の例示的な構成では、コントローラ130はまた、他の構成要素とは独立して製造され得るか、構成され得るか、組み立てられ得るか、又は販売され得る。
【0120】
添付の特許請求の範囲は、上記の主題の新規かつ発明的な態様を記載しているが、特許請求の範囲はまた、詳細に具体的に記載されていない追加の主題も包含し得る。例えば、特定の特徴、要素、又は態様は、当業者に既に知られているものから新規かつ発明的な特徴を区別するために必要でない場合、特許請求の範囲から省略され得る。いくつかの実施形態の文脈に記載された特徴、要素、及び態様はまた、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲から逸脱することなく、省略され得、組み合わされ得、又は同じ、均等な、若しくは同様の目的を果たす代替的な特徴によって置き換えられ得る。
【国際調査報告】