(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-17
(54)【発明の名称】冷媒システムを形成する方法
(51)【国際特許分類】
C09K 5/04 20060101AFI20250710BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20250710BHJP
【FI】
C09K5/04 F
C09K5/04 E
F25B1/00 396B
F25B1/00 396Z
F25B1/00 397A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025501421
(86)(22)【出願日】2023-07-18
(85)【翻訳文提出日】2025-01-10
(86)【国際出願番号】 US2023028040
(87)【国際公開番号】W WO2024020039
(87)【国際公開日】2024-01-25
(32)【優先日】2022-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ラシェド、ウィサム
(72)【発明者】
【氏名】ウィスニック、パヴェウ
(72)【発明者】
【氏名】ガオ、カイミ
(72)【発明者】
【氏名】プロヒト、ニレシュ
(72)【発明者】
【氏名】セティ、アンキット
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ ベルナルディ、ジャン
(57)【要約】
冷蔵システムを改善するための方法であって、システムを修正することと、既存の冷媒を、(1)少なくとも約50重量%のR1234ze(E)と、(2)0%超~約11%のHFC-134a、HFC-134、HFC-227ea、HFC-125、及びこれらの2つ以上の組み合わせと、(3)約4重量%~約20重量%のHFO-1336mzz(E)、HFO-1224yd(Z)、及びこれらの組み合わせと、を含む置換冷媒であって、上記第2の冷媒は、(i)400超の職業曝露限界(OEL)を有し、(ii)ASHRAE Standard34によってクラスA1として分類され、かつ(iii)約150以下のGWPを有する、置換冷媒で置換することと、を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝達システムを改善するための方法であって、前記熱伝達システムは、
(iii)150超のGWPを有する既存の冷媒と、
(iv)冷媒流の順に、消費者が利用可能な製品を含む冷蔵空間内又はその近くに位置する、少なくとも1つの蒸発器、少なくとも1つの圧縮機、少なくとも1つの凝縮器、及び少なくとも1つの膨張装置を備える既存の冷凍回路と、を備え、
前記方法は、
(a)過冷却冷媒と、流れの順に、圧縮機、前記過冷却冷媒から熱を放出するための熱交換器、膨張装置、及び過冷却熱交換器と、を備える過冷却冷凍回路であって、
a.前記過冷却熱交換器は、前記既存の冷凍回路の前記少なくとも1つの凝縮器と前記少なくとも1つの膨張装置との間で、前記過冷却冷凍回路及び前記既存の冷凍回路を熱的に接続し、
b.前記過冷却熱交換器は、前記既存の冷凍回路から前記過冷却冷凍回路に熱を伝達するように構成されている、過冷却冷凍回路を設置することと、
(b)前記既存の冷媒を、(1)少なくとも約50重量%のR1234ze(E)と、(2)0%超~約11%のHFC-134a、HFC-134、HFC-227ea、HFC-125、及びこれらの2つ以上の組み合わせと、(3)約4重量%~約20重量%のHFO-1336mzz(E)、HFO-1224yd(Z)、及びこれらの組み合わせと、を含む置換冷媒であって、前記置換冷媒は、(i)400超の職業曝露限界(OEL)を有し、(ii)ASHRAE Standard34によってクラスA1として分類され、かつ(iii)約150以下のGWPを有する、置換冷媒で置換することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記置換冷媒は、R471A、R476A、及びB6から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記既存の冷媒は、R404A、R407、R448、R449、R454、R513、R22、及び134aから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記過冷却冷媒は、R455A、R454C、プロパン、R1234yf、R152a、R1234ze、R471A、R476A、及びB6から選択され、
前記既存の冷媒は、R404A、R407、R448、R449、R454、R513、R22、及び134aから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記既存の冷媒は、R404A、R134a、及びR448Aから選択され、
前記置換冷媒は、R471A、R476A、及びB6から選択され、
前記過冷却冷媒は、R455A、R454C、R1234yf、及びR1234zeから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記置換冷媒は、ポリオールエステル(POE)、鉱油、アルキルベンゼン(AB)、ポリビニルエーテル(PVE)、及びポリ(アルファオレフィン)(PAO)から選択される潤滑剤と共に使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記置換冷媒は、ポリ(アルキレングリコール)(PAG)潤滑剤と共に使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記置換冷媒は、ポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤と共に使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記過冷却冷媒及び前記置換冷媒は、ポリオールエステル(POE)、鉱油、アルキルベンゼン(AB)、ポリビニルエーテル(PVE)、及びポリ(アルファオレフィン)(PAO)から独立して選択される潤滑剤と共に使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(b)は、
前記既存の冷媒回路の前記少なくとも1つの蒸発器と前記少なくとも1つの膨張装置との間の流体接続の少なくとも一部を除去することと、
置換流体接続であって、冷媒が、前記流体接続を通過する間に前記過冷却熱交換器を通過する、置換流体接続を設けることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、R404A、R448、R449、R407などの高地球温暖化冷媒を使用する熱伝達システムの改善に関する。本発明は更に、これらの方法によって得ることができる熱伝達システム、及びそのような改善された熱伝達システムを使用する熱伝達方法に及ぶ。
【背景技術】
【0002】
産業用、商用、及び家庭用の使用について、冷媒液を使用した機械冷凍システム、並びにヒートポンプ及び空調機などの関連する熱伝達デバイスが当該技術分野で周知である。クロロフルオロカーボン(chlorofluorocarbon、CFC)は、かかるシステムのための冷媒として1930年代に開発された。しかしながら、1980年代以降、成層圏オゾン層に対するCFCの影響が多くの注目を集めるようになった。1987年には、CFC製品の段階的削減のためのタイムテーブルを定めた、地球環境を保護するためのモントリオール議定書に多くの政府が署名した。水素を含有する、より環境的に許容される材料、すなわちヒドロクロロフルオロカーボン(hydrochlorofluorocarbon、HCFC)がCFCに取って代わった。最も一般的に使用されたヒドロクロロフルオロカーボン冷媒のうちの1つが、クロロジフルオロメタン(HCFC-22)であった。しかしながら、モントリオール議定書のその後の改正は、CFCの段階的削減を加速させ、HCFC-22を含むHCFCの段階的削減もスケジュールされた。
【0003】
有利な性能特性の必要な寄せ集めを有しつつ、環境要求を満たす新しい冷媒を作り出すことは、産業にとって非常に大きく、複雑な課題となっている。ある性能特性を改善することにより、別のカテゴリーの性能が悪化することが多く、独自の特定の要求を冷媒に課すことの多い、個々の商業的用途によって悪化する。
【0004】
例えば、R22、R404A、R407A、R448A、R449Aなどの伝熱流体は、低温又は中温用途で、スーパーマーケットなど商業利用のための大規模分散型直接膨張冷蔵システムにおいて使用されてきた。しかしながら、これらの冷媒は、IPCC AR5による、許容できないほど高い地球温暖化係数(Global Warming Potential、GWP)、すなわち、R404A(GWP=3940)、R22(GWP=1760)、R407F(GWP=1674)、R448A(GWP=1273)、R449A(GWP=1283)を有する。このようなシステム内の継手、ホース、及び/又は機器の部品では最終的に漏れが生じる可能性が高いので、このような環境に有害な冷媒が大気に漏出する可能性は高くなる。その上、長い管路は、潜在的に漏れ得るより多くの配管継手、弁などを含むので、漏れが生じた場合、管路が長いほど、大気に失われる高GWP冷媒の量が多くなる。
【0005】
そのような分散型冷蔵システムの環境上の欠陥の問題に対処しようとする努力は、そのような高価で大型のシステムの大規模な交換に伴うであろう多額の費用を1つの理由として、かなりの工学的課題を提示する。その上、従来の屋根搭載又は機械室凝縮器/圧縮機システムは、高レベルの効率及び能力を提供し、これらのシステムをより環境的に魅力的になるように修正する任意の努力は、望ましくは、この効率及び能力を維持するべきである。
【0006】
そのような分散型冷蔵システムの環境上の欠陥の問題に対処しようとする努力は、そのような高価で大型のシステムの大規模な交換に伴うであろう多額の費用を1つの理由として、かなりの工学的課題を提示する。その上、従来の屋根搭載又は機械室凝縮器/圧縮機システムは、高レベルの効率及び能力を提供し、これらのシステムをより環境的に魅力的になるように修正する任意の努力は、望ましくは、この効率及び能力を維持するべきである。
【0007】
従来の分散型冷蔵システムを、効率及び能力を維持しながら、より環境に優しいものに変換しようとする努力に関連して、いくつかの熱力学的及び流体流の課題が生じる。例えば、出願人らは、既存の高GWP冷媒の代わりに既存の分散型冷蔵システムにおいて単純に使用され得る環境に優しい冷媒(例えば、(AR5によって測定したときに)約150以下のGWP)を特定することは、不可能ではないとしても非常に困難であることを認識するに至った。以前に開示されたR-22の代替品が研究されており、冷却能力の低下及び電力要件の増加をもたらし、したがって、性能の全体的な著しい低下をもたらすことが示された。(国際公開第2020/223196(A1)号を参照)。これは、この問題に対する実行可能な解決策を開発することが困難であることを示している。
【0008】
加えて、不燃性である組成物を使用することは、特に多くの分散型冷蔵システムを含む多くの用途において重要であるか、又は不可欠であるかのいずれかと一般的に考えられている。本明細書で使用される場合、「不燃性」という用語は、参照により本明細書に組み込まれている、ASHRAE Standard34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsに記載されて、ASHRAE Standard34-2016の付録B1に記載されている条件において、ASTM規格E-681-2009 Standard Test Method for Concentration Limits of Flammability of Chemicals(Vapors and Gases)に従い測定したときに不燃性であると測定されている化合物又は組成物を意味する。残念なことに、既存の分散型冷蔵システムの改修として望ましいかもしれない多くのHFCは、本明細書で用いる場合では、不燃性ではない。例えば、フルオロアルカンジフルオロエタン(HFC-152a)及びフルオロアルケン1,1,1-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)は各々可燃性であり、したがって多くの用途での使用には実行可能ではない。
【0009】
使用効率に関しては、冷媒の熱力学性能又はエネルギー効率の喪失は、電気エネルギーの需要の増加の結果として化石燃料の使用量の増加がもたらされることにより、二次的な環境影響を有し得ることに留意することが重要である。
【0010】
本出願は、これら及び他の必要性を満たす発明について記載する。本出願は、熱伝達システム、特に分散型システムを改善する方法であって、許容可能な熱力学的性能(特に動作能力)を維持しつつ、システムインフラストラクチャにわずかな変更を加えるだけで、当業者が冷媒をより低いGWPの冷媒に置換することを可能にする方法について記載する。システムインフラストラクチャの変更を最小限に抑えることは、本方法に伴う機器の停止期間及び財政的資本費用支出を最小限に抑えるので、特に魅力的である。
【発明の概要】
【0011】
出願人らは、上記の必要性及び他の必要性が、熱伝達システムを改善するための方法によって満たされ得ることを見出し、上記熱伝達システムは、
(i)150超のGWPを有する既存の冷媒と、
(ii)冷媒流の順に、消費者が利用可能な製品を含む冷蔵空間内又はその近くに位置する、少なくとも1つの蒸発器、少なくとも1つの圧縮機、及び少なくとも1つの凝縮器、及び少なくとも1つの膨張装置を備える既存の冷凍回路と、を備え、
上記方法は、
(a)過冷却冷媒と、冷媒流の順に、圧縮機、過冷却冷凍回路から熱を放出するための熱交換器、膨張装置、及び過冷却熱交換器と、を備える過冷却冷凍回路であって、
a.上記過冷却熱交換器は、上記既存の冷媒回路の上記少なくとも1つの凝縮器と上記少なくとも1つの膨張装置(例えば、膨張弁)との間で、上記過冷却冷凍回路及び上記既存の冷凍回路を熱的に接続し、
b.上記過冷却熱交換器は、既存の冷媒回路から過冷却回路に熱を伝達するように構成されている、過冷却冷凍回路を設置することと、
(b)上記既存の冷媒を、(1)少なくとも約50重量%のR1234ze(E)と、(2)0%超~約11%のHFC-134a、HFC-134、HFC-227ea、HFC-125、及びこれらの2つ以上の組み合わせと、(3)約4重量%~約20重量%のHFO-1336mzz(E)、HFO-1224yd(Z)、及びこれらの組み合わせと、を含む置換冷媒であって、上記置換冷媒は、(i)400超の職業曝露限界(Occupational Exposure Limit、OEL)を有し、(ii)ASHRAE Standard34によってクラスA1として分類され、かつ(iii)約150以下のGWPを有する、置換冷媒で置換することと、を含む。
【0012】
当業者に理解されるように、熱伝達システムを改善する方法は、既存の機器に対する最小限の変更を必要とする。配線/導管/管の大部分は、本方法を実施するために変更する必要はなく、ほとんどの場合、蒸発器、凝縮器、圧縮機などと同様に、単純に所定の位置に留まる。代わりに、既存の回路は、過冷却冷凍回路が膨張装置/弁及び蒸発器に向かう途中で置換冷媒を更に冷却することを可能にする過冷却熱交換器を設置することによって修正される。この変更は、システムの能力を大幅に増加させ、魅力的な熱力学的性能を維持しつつ、低GWP冷媒を使用できるようにする。過冷却冷媒の性質は特に限定されず、自身のシステムの特定の要望を満たすように過冷却冷媒を柔軟に選択することができるという更なる利点を当業者にもたらす。
【0013】
本発明はまた、上記及び本明細書に記載の方法によって得ることができる熱伝達システムを含む。本発明は、
(a)第1の(コア)冷凍回路であって、
a.冷媒流の順に、凝縮器、任意選択のレシーバ、過冷却熱交換器、少なくとも1つの膨張装置(例えば、膨張弁)、消費者が利用可能な製品を含む冷蔵空間内又はその近くに位置する、少なくとも1つの蒸発器、及び少なくとも1つの圧縮機と、
b.第1の(コア)冷凍回路内のコア冷媒であって、コア冷媒は、(1)少なくとも約50重量%のR1234ze(E)と、(2)0%超~約11%のHFC-134a、HFC-134、HFC-227ea、HFC-125、及びこれらの2つ以上の組み合わせと、(3)約4重量%~約20重量%のHFO-1336mzz(E)、HFO-1224yd(Z)、及びこれらの組み合わせと、を含み、上記コア冷媒は、(i)400超の職業曝露限界(OEL)を有し、(ii)ASHRAE Standard34によってクラスA1として分類され、かつ(iii)約150以下のGWPを有する、コア冷媒と、を備える第1の(コア)冷凍回路と、
(b)過冷却冷凍回路であって、
a.冷媒流の順に、圧縮機、過冷却冷凍回路から熱を放出するための熱交換器、膨張装置(例えば、膨張弁)、及び第1の冷凍回路の過冷却熱交換器であって、過冷却熱交換器は、第1の(コア)冷媒回路の上記少なくとも1つの凝縮器と上記少なくとも1つの膨張装置(例えば、膨張弁)との間から過冷却冷凍回路に熱を伝達するように構成されている、圧縮機、熱交換器、膨張装置、及び過冷却熱交換器と、
b.過冷却冷凍回路内の過冷却冷媒と、を備える過冷却冷凍回路と、を備える熱伝達システムを含む。
【0014】
熱伝達システムが、上記及び下記の熱伝達システムを改善する方法によって得ることができることは、当業者には明らかであろう。したがって、熱伝達システムの第1の/コア冷凍回路は、熱伝達システムを改善するための方法の既存の冷凍回路に対応する。したがって、本特許出願における既存の冷凍回路に関する全ての開示は、上述した冷蔵システムの第1の/コア冷凍回路及び本特許出願の他の箇所に、個別にも集合的にも明確に適用することができる。
【0015】
本発明はまた、上記及び下記の熱伝達システムを使用する熱伝達方法に及ぶ。熱伝達方法は、以下でより詳細に説明するように、冷蔵を提供しようとする場合に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】従来技術の分散型システムの半概略図である。
【
図4】本発明による分散型システムの半概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
本発明の目的では、2%を超える量について重量%で表現される量に関係する「約」という用語は、成分の量が、±2重量%の量だけ変動する可能性があることを意味する。
【0018】
本発明の目的では、摂氏度(℃)の温度に関する「約」という用語は、規定温度が+/-5℃の量で変動し得ることを意味する。
【0019】
本発明の目的では、電力使用量の割合に関する「約」という用語は、記載された割合が最大1%まで変動し得ることを意味する。
【0020】
本発明の目的のために、熱伝達システムからの既存の冷媒の除去に関する「実質的な部分」という用語は、システムに含まれる既存の冷媒の少なくとも約50%を除去することを意味する。
【0021】
「能力」という用語は、冷蔵システムにおいて冷媒によって提供される冷却の量(BTU/hr又はkW)である。これは、冷媒が蒸発器を通る際の冷媒のBTU/lb又はkJ/kgでのエンタルピの変化を、冷媒の質量流量で乗じることによって実験的に決定される。エンタルピは、冷媒の圧力及び温度の測定から決定することができる。冷蔵システムの能力は、冷却される領域を特定の温度に維持する能力に関連する。冷媒の能力は、冷媒が提供する冷却又は加熱の量を表し、冷媒の所与の容積流量に対する熱量をポンプ圧送する圧縮機のある程度の能力を提供する。換言すれば、特定の圧縮機を考慮すると、より高い能力を有する冷媒は、より多くの冷却又は加熱力を供給するであろう。
【0022】
「性能係数」という語句(以下「coefficient of performance、COP」)は、冷媒の蒸発又は凝縮を伴う特定の加熱又は冷却サイクルにおいて冷媒の相対的な熱力学的効率を表すのに特に有用な、広く受け入れられている冷媒性能の尺度である。冷凍工学では、この用語は、蒸気の圧縮時に圧縮機によって印加されるエネルギーに対する有用な冷凍又は冷却能力の比を表し、したがって冷媒などの熱伝達流体の所与の容積流量に対する熱量をポンプ圧送する所与の圧縮機の能力を表す。換言すれば、特定の圧縮機を考慮すると、より高いCOPを有する冷媒は、より多くの冷却又は加熱力を供給するであろう。特定の動作条件における冷媒のCOPを推定するための1つの手段は、標準的な冷凍サイクル分析技術を用いた冷媒の熱力学的特性からのものである(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、R.C.Downing,FLUOROCARBON REFRIGERANTS HANDBOOK,Chapter 3,Prentice-Hall,1988を参照されたい)。
【0023】
「吐出温度」という語句は、圧縮機の出口における冷媒の温度を指す。低い吐出温度の利点は、好ましくは圧縮機構成要素を保護するように設計されたシステムの熱防御面を作動させることなく既存の設備の使用を可能にし、吐出温度を下げるための液体注入などの高価な制御装置の使用を回避することである。
【0024】
本明細書で使用される「集中冷蔵システム」という用語は、1つ以上の中央に配置された圧縮機又は圧縮機のラックと、1つ以上の中央に配置された凝縮器と、当該集中圧縮機又は圧縮機のラックから離れて配置され、かつ当該中央に配置された凝縮器から液体冷媒を受け取る複数の蒸発器とを含む、冷蔵システムを意味する。
【0025】
集中システムとは対照的に、「分散型冷蔵システム」という用語は、冷蔵を必要とする場所(例えば、陳列ケース)の隣に、又はその近くに分散する、いくつかの圧縮機又は圧縮機ラックを備えるシステムを意味する。
【0026】
本明細書で使用される「直接膨張」は、液体冷媒が蒸発器に入り、コイル(好ましくは、管状コイル)を通って流れ、ディスプレイケース内を循環する空気から熱が吸収されるにつれて蒸発する蒸発器を利用し、蒸発器の入口に温度自動調節膨張弁を使用し、蒸発器出口で実質的に全ての冷媒が蒸発し、任意選択で出口で所定量の過熱を有するのに十分な冷媒を供給するように制御される熱伝達システムを意味する。
【0027】
「地球温暖化係数」(以下「Global Warming Potential、GWP」)という語句は、異なるガスの地球温暖化への影響の比較を可能にするために開発されたものであり、本明細書で使用される場合、上述のようなAR5によって決定されるGWPを指す。具体的には、ある気体の1トンの排出が、二酸化炭素の1トンの排出に対して相対的に、所与の期間にわたってどのくらいのエネルギーを吸収するかの尺度である。GWPが大きいほど、所与の気体は、CO2と比較して、その期間にわたって地球をより一層温めることになる。GWPに通常使用される期間は、100年である。GWPは、アナリストが異なる気体の放出推定値を合計することを可能にする、一般的な尺度を提供する。http://www.protocolodemontreal.org.br/site/images/publicacoes/setor_manufatura_equipamentos_refrigeracao_arcondicionado/Como_calcular_el_Potencial_de_Calentamiento_Atmosferico_en_las_mezclas_de_refrigerantes.pdfを参照のこと。
【0028】
「職業曝露限界(OEL)」という用語は、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsに従って決定される。
【0029】
本明細書で使用される場合、「許容可能な毒性」という句は、組成物が、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsによってクラス「A」として分類され、ASHRAE Standard 34-2016のAppendix B1に説明されていることを意味する(各規格は本出願の出願日時点で存在するとおり)。不燃性かつ低毒性である物質は、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsによって「A1」として分類され、ASHRAE Standard 34-2016のAppendix B1(各規格は本出願の出願日時点で存在すとおり)に説明されている。
【0030】
「質量流量」という用語は、単位時間当たりの導管を通過する冷媒の質量である。
【0031】
本明細書で使用される場合、「置き換え」という用語は、別の冷媒と共に用いるために設計されている、又はそれと共に用いるのが好適な熱伝達システムにおける、本発明の組成物の使用を意味する。例えば、本発明の冷媒又は熱伝達組成物が、R-410Aと共に用いられるように設計された熱伝達システムにおいて用いられるとき、本発明の冷媒又は熱伝達組成物は、当該システムにおけるR-410Aの置き換え物である。したがって、「置き換え」という用語は、R-410Aと共に用いるように設計されたか、R-410Aと共に一般的に用いられるか、又は、R-410Aと共に用いるのに好適な新規及び既存のシステムの両方において、本発明の冷媒及び熱伝達組成物を使用することを含むことが理解されるであろう。
【0032】
「グライド(glide)」という用語は、一定圧力で蒸発器又は凝縮器における相変化プロセス中に様々な温度を有する非共沸性冷媒混合物に適用され、本明細書では、100kPaの圧力における飽和蒸気温度と飽和液体温度との間の差として定量化される。
【0033】
「低温冷蔵システム」という用語は、約40℃~約70℃の凝縮温度、及び約-45℃~-12℃(この温度を含む)の蒸発温度で作動する熱伝達システムを指す。
【0034】
「中温冷蔵システム」という用語は、約40℃~約70℃の凝縮温度、及び-12℃~約0℃の蒸発温度で作動する熱伝達システムを指す。
【0035】
本明細書で使用される、「スーパーマーケット冷蔵」という用語は、冷却又は冷凍食品を、製品ディスプレイケース及び保存冷蔵庫の両方にて維持するために用いる、商用冷蔵システムを意味する。
【0036】
本明細書で使用される「過冷却」という用語は、置換(又はコア)冷媒を凝縮器の出口における温度を大幅に下回る温度に冷却することを指す。
図3及び
図4を参照すると、過冷却は、凝縮温度と膨張装置/弁入口における液体温度との間の差を意味する。
【0037】
「標準沸点」という用語は、1気圧で測定される単一成分の沸点を指し、1気圧での成分のブレンドの初留点を指す。
【0038】
「R22」という用語は、クロロジフルオロメタンを意味する。
【0039】
本明細書で使用される、「HFC32」及び「R32」という用語は各々、ジフルオロメタンを意味する。
【0040】
「HFC-125」及び「R125」という用語は、ペンタフルオロエタンを意味する。
【0041】
「HFC-134a」及び「R134a」という用語は、1,1,1,2,-テトラフルオロエタンを意味する。
【0042】
「HFC-134」及び「R134」という用語は、1,1,2,2-テトラフルオロエタンを意味する。
【0043】
「R143a」という用語は、1,1,1-トリフルオロエタンを意味する。
【0044】
「R290」という用語は、プロパンを意味する。
【0045】
「R404A」という用語は、約44重量%のR-125、約52重量%のR143a、及び約4重量%のR-134aの組み合わせを意味する。
【0046】
「R407A」という用語は、約20重量%のR-32、約40重量%のR125、及び約40重量%のR-134aの組み合わせを意味する。
【0047】
「R407B」という用語は、約10重量%のR-32、約70重量%のR125、及び約20重量%のR-134aの組み合わせを意味する。
【0048】
「R407C」という用語は、約23重量%のR-32、約25重量%のR125、及び約52重量%のR-134aの組み合わせを意味する。
【0049】
「R407D」という用語は、約15重量%のR-32、約15重量%のR125、及び約70重量%のR-134aの組み合わせを意味する。
【0050】
「R407F」という用語は、約40重量%のR-32、約30重量%のR125、及び約30重量%のR-134aの組み合わせを意味する。
【0051】
「R407」という用語は、R407A、R407B、R407C、R407D、及びR407Fのうちのいずれかを意味する。
【0052】
「R448A」という用語は、約26重量%のR-32、約26重量%のR125、及び約21重量%のR-134aの組み合わせを意味する。
【0053】
「R448A」という用語は、約26重量%のR-32、約26重量%のR125、及び約21重量%のR-134aの組み合わせを意味する。
【0054】
「R448」という用語は、R448Aを含む任意の文字表記を有するR448として指定される冷媒を意味する。
【0055】
「R449A」という用語は、約24.3重量%のR-32、約24.7重量%のR125、及び約25.7重量%のR-134aの組み合わせを意味する。
【0056】
「R449」という用語は、R449Aを含む任意の文字表記を有するR449として指定される冷媒を意味する。
【0057】
「R454B」という用語は、約68.9重量%のR-32及び約31.1重量%のR1234yfの組み合わせを意味する。
【0058】
「R454」という用語は、R454Bを含む任意の文字表記を有するR454として指定される冷媒を意味する。
【0059】
「R513A」という用語は、約44重量%のR-134a及び約56重量%のR1234yfの組み合わせを意味する。
【0060】
「R449」という用語は、R449Aを含む任意の文字表記を有するR449として指定される冷媒を意味する。
【0061】
本明細書で使用される、「HFO1234yf」及び「R1234yf」という用語は各々、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを意味する。
【0062】
本明細書で使用される、「HFO1234ze(E)」、「R1234ze(E)」、及び「1234ze(E)」という用語は各々、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを意味する。特に明記しない限り、「HFO1234ze」、「R1234ze」及び「1234ze」は、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを意味する。
【0063】
定義された用語の群への本明細書における言及は、全てのそのような定義された用語を含み、接尾辞指定を有する全てのそのような用語を含む。
【0064】
システム及び方法
本発明は、既存の熱伝達システムを改善する方法を組み込んでいる。
【0065】
改善前に、既存の熱伝達システムは、
(i)150超(例えば、500超、又は1200超)のGWPを有する既存の冷媒と、
(ii)流れの順に、消費者が利用可能な製品を含む冷蔵空間内又はその近くに位置する、少なくとも1つの蒸発器、少なくとも1つの圧縮機(又は圧縮機のラック)、少なくとも1つの凝縮器、及び少なくとも1つの膨張装置(例えば、少なくとも1つの膨張弁)を備える既存の冷凍回路と、を備える。
【0066】
既存の熱伝達システムは、本発明に従って改善されるタイプの既存の分散型冷蔵システムの代表的な例である
図1及び
図2を参照することによって更に理解することができる。当業者が認識するであろうように、これらのタイプのシステムは、蒸気圧縮冷凍回路の周りに冷媒を循環させることによって動作する。少なくとも1つの蒸発器(4、4a)は、消費者が利用可能な消費製品を含む空間など冷蔵空間内又はその近くに位置する。蒸発器は、冷蔵空間から冷媒に熱を伝達するように機能し、冷媒は、概して、結果として液体/蒸気から蒸気に変化する。蒸気は、冷媒をより高温に圧縮する、少なくとも1つの圧縮機又は圧縮機ラック(5)に送られる。圧縮された冷媒蒸気は凝縮器(1)に送られ、そこで冷媒が液体に変換される間に冷媒から熱が放出される。レシーバ(3)は、任意選択的に凝縮器の下流に位置して、膨張装置3に供給する液体冷媒のリザーバを提供する。少なくとも1つの蒸発器(4、4a)に戻る前に、冷媒は、少なくとも1つの膨張装置(3、3a)(例えば、少なくとも1つの膨張弁)を通過する際に急速に蒸発して、少なくとも1つの蒸発器において熱を受け入れるのに望ましい、冷却された気液を生成する。複数の蒸発器及び膨張装置又は弁(3a)が存在する場合、各蒸発器/膨張弁対は、分散型システム、例えば、食品店(例えば、スーパーマーケット)などの商業店において、任意選択的に異なる温度で動作する、異なる冷蔵キャビネットにサービスを提供することができる。
【0067】
少なくとも1つの蒸発器(4、4a)は、中温蒸発器として動作するように構成されていることが好ましい。任意選択的に、蒸発器は、-12℃~0℃の温度で動作するように構成されている。
【0068】
図1及び
図2に概略的に示されているが、実際には、これらの配管網の各々は、概して、アキュムレータレシーバ(3)から液体冷媒を輸送するための広範囲で長い一連の導管を表し、アキュムレータレシーバ(3)は、圧縮機又は圧縮機ラック(5)及び凝縮器(1)と共に、陳列ケースから離れた場所に配置されることが多い。したがって、配管網は大きく、例えば、スーパーマーケットの屋根又は機械室から、スーパーマーケットに配置された多数の陳列ケースに到達するためにスーパーマーケットの床上に広がるまでの距離をカバーすることが多い。
【0069】
図1及び
図2の圧縮機又は圧縮機ラックは2台の圧縮機を有するものとして示されているが、実際には、圧縮機/圧縮機ラックは、個々の用途に応じて、1台の圧縮機から最大約5台の圧縮機を備えることができることがまた当業者には認識されよう。本発明に従って提供される既存の冷媒システムは、約3kW~約500kWの圧縮機作業能力を表すことができる。圧縮機のタイプに関して、全てのタイプの圧縮機がそのようなシステムに存在し得ることが企図されるが、そのようなシステムの多くにおいて、使用される圧縮機は、スクリュー圧縮機、スクロール圧縮機、往復圧縮機、遠心圧縮機、二軸スクリュー圧縮機、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0070】
既存の冷凍回路内の既存の冷媒は、概して、150超、500超、又は1200超のGWP(AR5に従って測定)を有する。好ましい既存の冷媒としては、R404A、R407(R407A、R407B、R407C、R407Dのそれぞれなど)、R448(全ての文字表記)、R449(全ての文字表記)、R454、R513、R22、及び134a、より好ましくはR404A、R407A、R407B、R407C、R407D、R448(全ての文字表記)、及びR449(全ての文字表記)、最も好ましくはR404Aが挙げられる。
【0071】
本発明は、
図1及び
図2に開示されたタイプなどのシステムを改善して、少なくともシステム全体の許容可能な性能を達成しつつ、好ましくは全体的な熱伝達性能を向上しつつ、公衆に開放された領域に曝される冷媒の毒性及び可燃性の点でシステムの安全面を悪化させることなく、システムの環境適合性を改善することを含む。
【0072】
この改善方法は、概して、2つの主要ステップ、すなわち、過冷却熱交換器を介して接続された過冷却冷凍回路を挿入するステップと、既存の冷媒を置換冷媒で置換するステップ(例えば、置換冷媒をシステムに追加する前に既存の冷媒の実質的に全てを除去することによって)と、を含む。当業者であれば、これらのステップは、改善するシステムの実用上の制限を受ける任意の順序で実行することができることを理解するであろう。例えば、既存の冷媒を、機械的に変更又は置換される既存のシステムの領域から隔離することが実際的である場合、既存の冷媒が漏れるリスクを冒すことなく、過冷却冷凍回路を設置した後に既存の冷媒を置換することが可能である。一般的にそうであるように、このように既存の冷媒を隔離することが実際的でない場合、既存の冷媒を除去し、過冷却冷凍回路及び過冷却熱交換器を設置し、次いで置換冷媒をシステムに追加することがより実際的である。そうすることにより、既存の冷媒が漏れるリスクが低減する。この方法ステップは、請求項1に示されるステップのシーケンスと一致する順序で以下に説明するが、当業者は、本発明が事象のこの順序に限定されないことを理解するであろう。
【0073】
過冷却熱交換器は、既存の冷凍回路の凝縮器と少なくとも1つの膨張装置(例えば、少なくとも1つの膨張弁)との間に流体接続で設置される。レシーバ(2)が存在する場合、過冷却熱交換器は、概して、レシーバと少なくとも1つの膨張装置との間に流体接続で設置される。この作業は、概して、配管全体を交換することによって、又はこの管の一部を取り外すことによって、この流体接続の一部又は全部を取り外すことを含む。
【0074】
過冷却熱交換器(6)の性質は特に限定されず、それらのシステムの適切な設計を選択することは当業者の能力の範囲内である。しかしながら、熱交換器は、既存の熱伝達回路から過冷却冷凍回路への熱伝達を可能にすることによって、既存の回路と設置されている過冷却回路とを熱的に連結するように構成されている。このようにして、過冷却回路は、冷媒が膨張装置又は弁(3、3a)に到達する前に、既存の冷凍回路内の冷媒の更なる冷却を容易にする。
【0075】
上述したように、過冷却熱交換器は、過冷却冷凍回路の重要な部分を形成する。この回路は、例えば、
図1及び
図2の熱伝達システムに請求項1の方法を適用することによって得られる熱伝達システムを示す
図3及び
図4に示す形態をとることができる。
図3及び
図4では、既存の冷凍回路(101)の残りは、過冷却熱交換器(6)を介して過冷却冷凍回路(102)と熱的に連結されているように示されている。過冷却熱交換器は、凝縮器(1)から膨張装置/弁(3、3a)及び任意選択のレシーバ(2)の下流を通過する冷媒を冷却するように構成されている。図示のように、過冷却回路は、圧縮機(7)と、過冷却冷媒から熱を放出するための熱交換器(8)と、膨張弁(9)と、を更に備える。熱交換器(8)は、様々な異なる方法で熱を放出することができ、本発明に更に有利な汎用性をもたらす。例えば、熱交換器(8)は、熱を周囲、例えば建物外の空気に放出することができるか、又は熱を水に放出することができる。後者によって暖められた水は、それ自体を、暖房目的、例えば、住宅暖房又は商業用暖房に使用することができる。
【0076】
過冷却冷媒の性質は特に限定されない。この柔軟性は、当業者に自身の好み及び改善しようとしている特定のシステムの要求に基づいて選択する自由を提供するので、本発明の更なる利点である。過冷却冷媒は、有利には、R455A、R454C、プロパン、R1234yf、R152a、R1234ze、R471A、R476A及びB6からなる群から選択することができる。これらの冷媒は、過冷却冷凍回路において特に有効であることが判明している。例えば、これらの冷媒を使用する過冷却冷凍回路を追加することは、冷媒としてR404Aを使用する既存の冷凍回路(過冷却なし)と比較して、性能係数を少なくとも30重量%増加させることが判明している。より好ましくは、過冷却冷媒は、R455A、R454C、R1234yf、R1234ze、及びR471Aから、最も好ましくはR455A及びR454Cから選択される。過冷却熱交換器を含む過冷却冷凍回路は、好ましくは、概して公衆に曝される領域外に位置する。例えば、熱伝達システムがスーパーマーケットなどの商業的環境で使用される場合、過冷却冷凍回路は、概して、顧客に曝される領域外に位置する。このように過冷却冷凍回路を位置付けることは、可燃性の過冷却冷媒を用いる場合の安全性を高めるので好ましい。
【0077】
過冷却冷媒の条件は大きく異なり得るが、過冷却温度は、10~70℃、好ましくは30~50℃の範囲、例えば、約40℃である。
【0078】
重要なことには、本発明の方法は、(1)少なくとも約50重量%のR1234ze(E)と、(2)0%超~約11%のHFC-134a、HFC-134、HFC-227ea、HFC-125、及びこれらの2つ以上の組み合わせと、(3)約4重量%~約20重量%のHFO-1336mzz(E)、HFO-1224yd(Z)、及びこれらの組み合わせと、を含む置換冷媒を使用することを含み、上記置換冷媒は、(i)400超の職業曝露限界(OEL)を有し、(ii)ASHRAE Standard34によってクラスA1として分類され、かつ(iii)約150以下のGWPを有する。以下の表Aは、これらの基準を満たし、本発明に従って大きな、予期せぬ利点をもたらす2つの置換冷媒ブレンドを識別するものであり、表中の量は全て「約」が先行していると見なされることが理解される。
【0079】
【0080】
好ましい実施形態では、置換冷媒は、以下の表Bに指定された成分の範囲内から選択され、表中の量は全て「約」が先行すると見なされることが理解される。
【0081】
【0082】
当業者は、B4は範囲の狭いバージョンのB1であり、B5は範囲の狭いバージョンのB2であり、B6は範囲の狭いバージョンのB6であることを理解するであろう。
【0083】
好ましい実施形態では、置換冷媒は、以下の表Cに指定された範囲内の標準沸点を有し、表中の量は全て「約」が先行すると見なされることが理解される。
【0084】
【0085】
好ましい実施形態では、置換冷媒は、以下の表Dに指定された範囲内の勾配を有し、表中の量は全て「約」が先行すると見なされることが理解される。
【0086】
【0087】
本発明の利点は、既存の熱伝達システムを改善する方法が、既存の熱伝達システムを形成する機器の大部分に対してほとんど又は全く変更を必要としないことである。過冷却熱交換器の設置を可能にするために部分的に又は完全に取り外される導管以外は、他の場所での機器の変更をほとんど又は全く必要としない。これは、既存の冷凍回路の動作条件を大幅に変更する必要なく、同等又は改善された熱力学的性能が達成されるからである。概して、システムの導管/配管、凝縮器、膨張弁、圧縮機、及び圧力シールは、本発明に対応するために変更を必要とせず、したがって熱伝達システムの改善に伴う時間、複雑さ、及び費用が低減される。
【0088】
また、必須の機器変更の数を低減することにより、当業者が選択した場合には、予算及び時間を解放して自発的な機器変更を行い、システムを更に強化する。例えば、当業者は、蒸発器によって冷却される空間内の断熱レベルを増加させることによって、例えば、店舗/スーパーマーケットの冷蔵ユニットなどの少なくとも1つの蒸発器による冷蔵空間にドアを付加することによって、システムの性能を向上させることを選択することができる。既存の冷媒がR448A又はR404Aである場合、店舗/スーパーマーケットの冷蔵ユニットにドアを付加することは、能力に関して厳密な一致を達成するのに役立つので、特に有用である。また、膨張弁(3、3a)を交換して、蒸発器(4、4a)に入る前の置換冷媒の物理的特性を修正することにより、既存の冷媒としてR448A又はR404Aを置換するときに、能力を高めることができる。
【0089】
上述したように、本発明は、熱伝達システムにも及ぶ。これらの伝熱システムは、上述した伝熱システムを改善する方法によって得ることができるが、このようにして製造されたものに限定されない。熱伝達システムは、
(a)第1の(コア)冷凍回路であって、
a.第1の(コア)冷凍回路内のコア冷媒であって、コア冷媒は、(1)少なくとも約50重量%のR1234ze(E)と、(2)0%超~約11%のHFC-134a、HFC-134、HFC-227ea、HFC-125、及びこれらの2つ以上の組み合わせと、(3)約4重量%~約20重量%のHFO-1336mzz(E)、HFO-1224yd(Z)、及びこれらの組み合わせと、を含み、上記コア冷媒は、(i)400超の職業曝露限界(OEL)を有し、(ii)ASHRAE Standard34によってクラスA1として分類され、かつ(iii)約150以下のGWPを有する、コア冷媒と、
b.冷媒流の順に、消費者が利用可能な製品を含む冷蔵空間内又はその近くに位置する、少なくとも1つの蒸発器、少なくとも1つの圧縮機、少なくとも1つの凝縮器、及び少なくとも1つの膨張装置と、を備える、第1の(コア)冷凍回路と、
(b)過冷却冷凍回路であって、
a.過冷却冷凍回路内の過冷却冷媒と、
b.冷媒流の順に、圧縮機、過冷却冷凍冷媒/回路から熱を放出するための蒸発器、膨張装置、過冷却熱交換器、及び過冷却冷媒と、を備え、上記過冷却熱交換器は、第1の(コア)冷媒回路の上記少なくとも1つの凝縮器と上記少なくとも1つの膨張装置(例えば、膨張弁)との間から過冷却冷凍回路に熱を伝達するように構成されている、過冷却冷凍回路と、を備える。
【0090】
熱伝達システムを改善する方法の好ましい特徴は、この熱伝達システムに明確に適用される。例えば、熱伝達システムを改善する方法について記載された好ましい冷媒及び操作条件は、そのような方法によって得ることができるので、上述の熱伝達システムに明確に適用される。
【0091】
本発明はまた、熱伝達システムを改善する方法によって得ることができる熱伝達システムを使用する熱伝達方法に及ぶ。改善された熱伝達システムの利点は、様々な最終用途に使用できることである。特に好ましいタイプの伝熱システムは、低温又は中温冷蔵システム、好ましくは中温冷蔵システムである。好ましい最終用途は、冷蔵、定置冷蔵、商業用定置冷蔵、例えば食品倉庫、低温貯蔵庫及びスーパーマーケットなど食品店におけるものである。
【0092】
冷媒の組み合わせ
当業者に理解されるように、本発明は、異なる目的のために異なる冷媒を利用する方法及びシステムに関する。好ましい冷媒の組み合わせを以下の表E~表Gに示す。当業者は、以下のことを理解するであろう。
・冷蔵システムを改善する方法は、既存の冷媒、置換冷媒、及び過冷却冷媒に関する。
・これらの方法から得ることができる熱伝達システムは、コア冷媒(すなわち、置換冷媒)及び過冷却冷媒を有し、これらの熱伝達システムを使用する熱伝達方法は、同じコア及び過冷却冷媒を有する。換言すると、表Eの「既存の冷媒」列は、これらの熱伝達システム及び熱伝達方法の冷媒の組み合わせについて検討するときに無視することができる。
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
当業者はまた、置換/コア冷媒及び/又は過冷却冷媒と組み合わせて圧縮機潤滑剤を含むことが有利であることを理解するであろう。有用な圧縮機潤滑剤としては、ポリオールエステル(polyol ester、POE)、鉱油、アルキルベンゼン(alkylbenzene、AB)、ポリビニルエーテル(polyvinyl ether、PVE)、ポリ(アルキレングリコール)(poly (alkylene glycol、PAG)、及びポリ(アルファオレフィン)(poly (alpha-olefins)、PAO)が挙げられる。したがって、当業者は、表H及び表Iの特徴の組み合わせも有利であることを理解するであろう。
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【実施例】
【0128】
以下の実施例は、本発明を例示する目的で提供されるが、その範囲を限定するものではない。
【0129】
より高いGWPの冷媒をより低いGWPの冷媒に置換することなど冷蔵システムを改善する方法を評価するときには、以下のような性能パラメータ、すなわち、(1)同じ冷却能力を達成するためのシステム内の冷媒の容積流量、(2)同じ冷却能力を達成するためのシステム内の冷媒の質量流量、(3)冷媒の密度、及び(4)圧力損失比を考慮することが重要である。
【0130】
比較例1-冷媒としてR-404Aを使用した冷蔵システム
図1に開示されたタイプの冷蔵システムは、既存の冷媒としてR-404Aを備えていた。冷媒としてR-404Aを使用するシステム動作条件は、以下のとおりである。
冷却能力:45.0kW
等エントロピ効率:0.65
容積効率:100%
凝縮温度:40℃
過熱:10℃
蒸発温度:-10℃
【0131】
このシステムは、熱力学的性能及び熱伝達性能の観点からは良好に動作するが、システム全体がその全体を循環する高GWP冷媒R404Aを含むので、その環境影響の観点からは非常に望ましくない。このシステムの性能を、以下の結果表1及び表2に更に要約する。
【0132】
比較例2-R-404Aの代わりにR-471Aを使用した冷蔵システム
R-404Aの代わりに低GWP冷媒のR-471Aを使用することを除いて、比較例1を繰り返した。R-471Aは、以下の相対量の以下の成分からなる冷媒である。
【0133】
【0134】
このシステムの性能を、以下の結果表1及び表2に更に要約する。
【0135】
【0136】
上記の結果表1の結果から分かるように、R-417AをR-404Aと交換することは、低GWP冷媒を含有するという観点からシステムを改善するが、冷却能力を低下させる。本発明は、この問題及び他の問題を解決する。
【0137】
実施例1-R455Aを使用する専用機械式過冷却システム(Dedicated Mechanical Subcooling System、DMSS)を設置し、R404Aを冷媒A1(R-471A)Aで置換することによる冷蔵システムの改善
比較例1の熱伝達システム(そこに含まれる既存の冷媒R404Aを含む)を、
図3に示す、改善された熱伝達システムを形成するための出発点として使用した。冷蔵システムから冷媒R404Aを除去し、過冷却熱交換器(6)をレシーバ(2)と膨張弁(3)との間に設置した。過冷却熱交換器は、主冷凍回路と、既存の冷媒回路を流れる冷媒を冷却する役割を果たす専用機械式過冷却システム(DMSS)(102)との間で熱を交換するように構成された。DMSS蒸発温度は0℃であり、凝縮温度は40℃であった。DMSSの他の詳細は以下の結果表2に示す。
【0138】
修正後、冷媒R471Aをコア回路冷媒として使用し、冷媒R455AをDMSS冷媒として使用した。改善された冷蔵システムの性能を以下の結果表2に要約する。
【0139】
実施例2-R455Aを使用する専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R404Aを冷媒A1(R-471A)で置換し、熱交換器を修正することによる冷蔵システムの改善
熱交換器を低圧流体に適合するように修正したことを除いて、実施例1を繰り返した。改善された冷蔵システムの性能を以下の結果表2に要約する。
【0140】
【0141】
結果表2から分かるように、高GWP冷媒R404AをR471Aなど低GWP冷媒で置換すると、冷却能力の許容できない低下が生じた。しかしながら、この欠点は、凝縮器と蒸発器との間に強力な過冷却システムを設置することによって驚くほど軽減することができる。冷却能力は、他の変更を行うことなく、R404Aの39%からR404Aの57%へと増加する。熱交換器を修正することにより、これはR404Aの70%まで更に増加する。
【0142】
比較例1のシステムに対するこれらの修正には、多数の利点が伴う。第1に、許容できないレベルの冷却能力を犠牲にすることなく、主回路を循環する冷媒のGWPを大幅に低下させることができる。第2に、主冷凍回路自体に対する修正は比較的少なく、凝縮器と蒸発器との間に熱交換器を設置することだけを要する。
【0143】
実施例3-R454Cを使用する専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R404Aを冷媒A1(R-471A)で置換することによる冷蔵システムの改善
実施例1を繰り返したが、DMSS回路では冷媒R454Cを使用した。改善された冷蔵システムの性能を以下の結果表3に要約する。
【0144】
実施例4-R454Cを使用する専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R404Aを冷媒A1(R-471A)で置換し、熱交換器を修正することによる冷蔵システムの改善
実施例2を繰り返したが、DMSS回路では冷媒R454Cを使用した。改善された冷蔵システムの性能を以下の結果表3に要約する。
【0145】
【0146】
実施例1及び実施例2と同様に、実施例3及び実施例4は、本発明を使用して良好な冷却能力を達成できることを示している。実施例3及び実施例4は更に、種々の冷媒がDMSS回路で使用可能であることを示す。
【0147】
実施例5-プロパンを使用する専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R404Aを冷媒A1(R-471A)で置換することによる冷蔵システムの改善
実施例1を繰り返したが、DMSS回路では冷媒プロパンを使用した。改善された冷蔵システムの性能を以下の結果表4に要約する。
【0148】
実施例6-プロパンを使用する専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R404Aを冷媒A1(R-471A)で置換し、熱交換器を修正することによる冷蔵システムの改善
実施例2を繰り返したが、DMSS回路では冷媒プロパンを使用した。改善された冷蔵システムの性能を以下の結果表4に要約する。
【0149】
【0150】
実施例5及び実施例6は、本発明を使用して良好な冷却能力を達成することができることを示し、過冷却冷媒の柔軟性を更に強調する。
【0151】
実施例7-HFO-1234yfを使用する専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R404Aを冷媒A1(R-471A)で置換することによる冷蔵システムの改善
実施例1を繰り返したが、DMSS回路では冷媒HFO-1234yfを使用した。改善された冷蔵システムの性能を以下の結果表4に要約する。
【0152】
実施例8-HFO-1234yfを使用する専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R404Aを冷媒A1(R-471A)で置換し、熱交換器を修正することによる冷蔵システムの改善
実施例2を繰り返したが、DMSS回路では冷媒HFO-1234yfを使用した。改善された冷蔵システムの性能を以下の結果表4に要約する。
【0153】
【0154】
実施例7及び実施例8は、本発明を使用して良好な冷却能力を達成することができることを示し、過冷却冷媒の柔軟性を更に強調する。
【0155】
実施例9-R152aを使用する専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R404Aを冷媒A1(R-471A)で置換することによる冷蔵システムの改善
実施例1を繰り返したが、DMSS回路では冷媒R152aを使用した。改善された冷蔵システムの性能を以下の結果表5に要約する。
【0156】
実施例10-R152aを使用する専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R404Aを冷媒A1(R-471A)で置換し、熱交換器を修正することによる冷蔵システムの改善
実施例2を繰り返したが、DMSS回路では冷媒R152aを使用した。改善された冷蔵システムの性能を以下の結果表5に要約する。
【0157】
【0158】
実施例9及び実施例10は、本発明を使用して良好な冷却能力を達成することができることを示し、過冷却冷媒の柔軟性を更に強調する。
【0159】
実施例11-HFO-1234(E)を使用する専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R404Aを冷媒A1(R-471A)で置換することによる冷蔵システムの改善
実施例1を繰り返したが、DMSS回路では冷媒HFO-1234(E)を使用した。改善された冷蔵システムの性能を以下の結果表6に要約する。
【0160】
実施例12-HFO-1234(E)を使用する専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R404Aを冷媒A1(R-471A)で置換し、熱交換器を修正することによる冷蔵システムの改善
実施例2を繰り返したが、DMSS回路では冷媒HFO-1234(E)を使用した。改善された冷蔵システムの性能を以下の結果表6に要約する。
【0161】
【0162】
実施例11及び実施例12は、本発明を使用して良好な冷却能力を達成することができることを示し、過冷却冷媒の柔軟性を更に強調する。
【0163】
実施例13-R471Aを使用する専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R404Aを冷媒A1(R-471A)で置換することによる冷蔵システムの改善
実施例1を繰り返したが、DMSS回路では冷媒R471Aを使用した。改善された冷蔵システムの性能を以下の結果表7に要約する。
【0164】
実施例14-R471Aを使用する専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R404Aを冷媒A1(R-471A)で置換し、熱交換器を修正することによる冷蔵システムの改善
実施例2を繰り返したが、DMSS回路では冷媒R471Aを使用した。改善された冷蔵システムの性能を以下の結果表7に要約する。
【0165】
【0166】
実施例13及び実施例14は、本発明を使用して良好な冷却能力を達成することができることを示し、過冷却冷媒の柔軟性を更に強調する。
【0167】
実施例15-専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R404AをR476Aで置換することによる冷蔵システムの改善
実施例1~実施例14を繰り返したが、R404Aの代わりにR476Aを使用した。本実施例内の多数の実験について、同様の好ましい予想外の結果が達成される。
【0168】
実施例16-専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R404Aを冷媒B6で置換することによる冷蔵システムの改善
実施例1~実施例14を繰り返したが、R404Aの代わりに冷媒B6を使用した。本実施例内の多数の実験について、同様の好ましい予想外の結果が達成される。
【0169】
実施例17-専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R448をR471Aで置換することによる冷蔵システムの改善
実施例1~実施例14を繰り返したが、R448の代わりにR471Aを使用した。本実施例内の多数の実験について、同様の好ましい予想外の結果が達成される。
【0170】
実施例18-専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R448をR476Aで置換することによる冷蔵システムの改善
実施例1~実施例14を繰り返したが、R448の代わりにR476Aを使用した。本実施例内の多数の実験について、同様の好ましい予想外の結果が達成される。
【0171】
実施例19-専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R448を冷媒B6で置換することによる冷蔵システムの改善
実施例1~実施例14を繰り返したが、R448の代わりに冷媒B6を使用した。本実施例内の多数の実験について、同様の好ましい予想外の結果が達成される。
【0172】
実施例20-専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R134aをR471Aで置換することによる冷蔵システムの改善
実施例1~実施例14を繰り返したが、R134aの代わりにR471Aを使用した。本実施例内の多数の実験について、同様の好ましい予想外の結果が達成される。
【0173】
実施例21-専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R134aをR476Aで置換することによる冷蔵システムの改善
実施例1~実施例14を繰り返したが、R134aの代わりにR476Aを使用した。本実施例内の多数の実験について、同様の好ましい予想外の結果が達成される。
【0174】
実施例22-専用機械式過冷却システム(DMSS)を設置し、R134aを冷媒B6で置換することによる冷蔵システムの改善
実施例1~実施例14を繰り返したが、R134aの代わりに冷媒B6を使用した。本実施例内の多数の実験について、同様の好ましい予想外の結果が達成される。
【手続補正書】
【提出日】2025-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝達システムを改善するための方法であって、前記熱伝達システムは、
(i)150超のGWPを有する既存の冷媒であって、前記既存の冷媒は、R404A、R407、R448、R449、R454、R513、R22、及び134aから選択される、既存の冷媒と、
(ii)冷媒流の順に、消費者が利用可能な製品を含む冷蔵空間内又はその近くに位置する、少なくとも1つの蒸発器、少なくとも1つの圧縮機、少なくとも1つの凝縮器、及び少なくとも1つの膨張装置を備える既存の冷凍回路と、を備え、
前記方法は、
(a)過冷却冷媒と、流れの順に、圧縮機、前記過冷却冷媒から熱を放出するための熱交換器、膨張装置、及び過冷却熱交換器と、を備える過冷却冷凍回路であって、
a.前記過冷却熱交換器は、前記既存の冷凍回路の前記少なくとも1つの凝縮器と前記少なくとも1つの膨張装置との間で、前記過冷却冷凍回路及び前記既存の冷凍回路を熱的に接続し、
b.前記過冷却熱交換器は、前記既存の冷凍回路から前記過冷却冷凍回路に熱を伝達するように構成されている、過冷却冷凍回路を設置することと、
(b)前記既存の冷媒を、(1)少なくとも約50重量%のR1234ze(E)と、(2)0%超~約11%のHFC-134a、HFC-134、HFC-227ea、HFC-125、及びこれらの2つ以上の組み合わせと、(3)約4重量%~約20重量%のHFO-1336mzz(E)、HFO-1224yd(Z)、及びこれらの組み合わせと、を含む置換冷媒であって、前記置換冷媒は、(i)400超の職業曝露限界(OEL)を有し、(ii)ASHRAE Standard34によってクラスA1として分類され、かつ(iii)約150以下のGWPを有する、置換冷媒で置換することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記既存の冷媒は、R404A、R134a、及びR448Aから選択され、
前記置換冷媒は、R471A、R476A、及びB6から選択され、
前記過冷却冷媒は、R455A、R454C、R1234yf、及びR1234zeから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(b)は、
前記既存の冷媒回路の前記少なくとも1つの蒸発器と前記少なくとも1つの膨張装置との間の流体接続の少なくとも一部を除去することと、
置換流体接続であって、冷媒が、前記流体接続を通過する間に前記過冷却熱交換器を通過する、置換流体接続を設けることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】