(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-23
(54)【発明の名称】トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E))の製造におけるクロロフルオロカーボン不純物を低減させるための方法
(51)【国際特許分類】
C07C 17/383 20060101AFI20250715BHJP
C07C 17/25 20060101ALI20250715BHJP
C07C 21/18 20060101ALI20250715BHJP
【FI】
C07C17/383
C07C17/25
C07C21/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025500917
(86)(22)【出願日】2023-07-11
(85)【翻訳文提出日】2025-01-20
(86)【国際出願番号】 US2023027386
(87)【国際公開番号】W WO2024015371
(87)【国際公開日】2024-01-18
(32)【優先日】2022-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2023-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ホーワス、リチャード ディ.
(72)【発明者】
【氏名】コプカリ、ハルク
(72)【発明者】
【氏名】チェッリ、グスタボ
(72)【発明者】
【氏名】クローズ、ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】マーケル、ダニエル シー.
(72)【発明者】
【氏名】マクレーン、ジェニファー ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ファットーレ、アレックス シー.
(72)【発明者】
【氏名】ファム、ハン ティ.
(72)【発明者】
【氏名】ナバール、カルロス
(72)【発明者】
【氏名】ハワード、ジャスティン
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AA05
4H006AB93
4H006AC13
4H006AD11
4H006BD33
4H006BD52
4H006BD84
(57)【要約】
HFO-1234ze(E)生成プロセスにおける、CFC-113及びHFの反応からのCFC不純物、及び具体的にはCFC-114を低減させるための2つの方法。第1の方法は、中間又は再循環流れを分離及び蒸留に供して、プロセスからCFC-113をパージすることを伴う。第2の方法は、CFC-113とHFC-245faとの間の共沸物の形成を回避するためにより高い圧力で分離を操作することを伴う。CFC-113/HFC245fa共沸物について、またCFC-114及び他のCFC不純物をほとんど含まないHFO-1234ze(E)生成物を生成するために、HFO-1234ze(E)生成物からCFC-114を、かつ/又はHFC-245fa供給物からCFC-113を除去する更なる分離を含む、CFC-113の除去又は軽減のための他の任意選択的なプロセスについても論じられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HFO-1234ze(E)を生成するためのプロセスであって、
HFC-245fa及びCFC-113を含む供給物流れを触媒の存在下、反応器中で反応させて、HFO-1234ze(E)、未反応のHFC-245fa、及びCFC-113を含む第1の生成物流れを形成することと、
前記第1の生成物流れを、HFO-1234ze(E)を含む第2の生成物流れと、未反応のHFC-245fa及びCFC-113を含む第3の生成物流れと、に分離することと、
前記第3の生成物流れを蒸留して、塔頂再循環流れ及び塔底流れであって、前記再循環流れが、未反応のHFC-245fa及び第1の量のCFC-113を含み、前記塔底流れが、前記第1の量よりも多い第2の量のCFC-113を含む、塔頂再循環流れ及び塔底流れを生成することと、
前記再循環流れを前記供給物流れに戻すように移送することと、を含む、HFO-1234ze(E)を生成するためのプロセス。
【請求項2】
前記蒸留が、17psiaを上回る圧力で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記再循環流れが、3重量%未満のCFC-113を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
蒸留工程が、CFC-113の量が前記第3の生成物流れの総重量に基づいて1重量%以上である場合に、前記第3の生成物流れを蒸留することを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記再循環流れ中のCFC-113の量が、前記再循環流れの総重量に基づいて5重量%以下である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記第1の生成物流れが、追加的に、フッ化水素(HF)を含み、CFC-113を除去するための蒸留装置に入る前に分離デバイスに移送されて、HFが除去される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記分離デバイスが、水又は苛性スクラバ、金属塩、硫酸抽出器、気相硫酸抽出器、蒸留塔、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第1の生成物流れが、追加的に、3,3,3-トリフルオロプロピン(TFPy)、TFPy/水共沸物、TFPy/HF共沸物、HFO-1234ze(E)/水共沸物、HFO-1234ze(E)/HF共沸物、HFO-1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロプロペン)、HFC-245cb(1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン)、HFC-152a(1,1-ジフルオロエタン)、HFC-134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、HFC-125(ペンタフルオロエタン)、HFO-1225ye(Z)(1,2,3,3,3,-ペンタフルオロプロペン)、HFO-1234zc(1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン)、又はHFO-1234zf(2,3,3,3-テトラフルオロプロペン)、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む軽質不純物を含み、CFC-113を除去するための蒸留装置に入る前に分離デバイスに移送されて、前記軽質不純物が除去される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記分離デバイスが、バッチ又は連続分別蒸留カラム、スピニングバンド蒸留機器、ワイプドフィルム蒸発器、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
軽質不純物のレベルが、中間流れの総重量に基づいて1重量%以下に低減される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項11】
前記反応器が、以下の条件:
(i)約205℃~370℃の温度、
(ii)約-15~100psiaの圧力、及び
(iii)約1秒~100秒の滞留時間のうちの少なくとも1つで操作される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
HFO-1234ze(E)の生成においてHFC-245fa供給物流れからCFC-113を除去するためのプロセスであって、
HFC-245faであって、第1の量のCFC-113を更に含む、HFC-245faを分離デバイスに供給すること、
前記分離デバイスから、前記第1の量よりも少ない第2の量のCFC-113を有する精製されたHFC-245fa流れを回収すること、を含む、プロセス。
【請求項13】
前記精製されたHFC-245fa流れが、前記精製されたHFC-245fa流れの総重量に基づいて0.05重量%未満のCFC-113を含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
有効量のCFC-113及びHFC-245faから本質的になる共沸性又は共沸様組成物を含む、組成物。
【請求項15】
前記共沸性又は共沸様組成物が、約3.5重量%のCFC-113及び約96.5重量%のHFC-245faから本質的になる、請求項14に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2023年7月6日に出願された米国特許出願公開第18/218,691号の国際出願であり、2022年7月14日に出願された米国特許仮出願第63/389,174号及び2022年10月12日に出願された米国特許仮出願第63/415,457号に対する優先権を主張するものであり、これらの全ては、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E))を生成するためのプロセスにおけるクロロフルオロカーボン不純物の量を低減させるための方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
クロロフルオロカーボン(Chlorofluorocarbon、CFC)は、冷媒、エアゾール噴射剤、発泡剤、熱伝達媒体、ガス状誘電体、及び火炎抑制剤を含む多数の用途において、広範な使用が見出されている。近年、特定のクロロフルオロカーボンは、地球オゾン層に有害であり得ることが広く懸念されている。それゆえ、塩素置換基が少ない又は全く含有しないハロカーボンを使用する努力が世界的になされている。したがって、ハイドロフルオロカーボン、並びに炭素、水素、及びフッ素のみを含有する化合物の生成は、溶媒、発泡剤、冷媒、洗浄剤、エアゾール噴射剤、熱伝達媒体、誘電体、消火組成物、動力サイクル作動流体、及びオゾン層に害を与えず地球温暖化係数も低いハイドロフルオロオレフィン(hydrofluoroolefin、HFO)を生成するための出発物質として使用するための環境的に望ましい生成物を提供するために関心が高まっている対象である。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、HFO-1234ze(E)生成プロセスにおいて、HFとのCFC-113の反応からCFC不純物、及び具体的にはCFC-114が形成されるという発見に基づく。中間又は再循環流れを分離及び蒸留に供して、プロセスからCFC-113をパージすることによって、かかるCFC不純物の量を低減させることが可能であることが見出されている。また、CFC-113とHFC-245faとの間に形成される共沸物を回避するためにより高い圧力で分離を操作することによってCFC不純物の量を低減させることが可能であることも見出されている。CFC-113の除去又は軽減のための他の任意選択的なプロセスは、CFC-114及び他のCFC不純物をほとんど含まないHFO-1234ze(E)生成物を生成するために、HFO-1234ze(E)生成物からCFC-114を、かつ/又はHFC-245fa供給物からCFC-113を除去する更なる分離を含む。
【0005】
その一形態では、本開示は、HFO-1234ze(E)を生成するためのプロセスであって、HFC-245fa及びCFC-113を含む供給物流れを触媒の存在下、反応器中で反応させて、HFO-1234ze(E)、未反応のHFC-245fa、及びCFC-113を含む第1の生成物流れを形成することと、第1の生成物流れを、HFO-1234ze(E)を含有する第2の生成物流れと、未反応のHFC-245fa及びCFC-113を含有する第3の生成物流れと、に分離することと、第3の生成物流れを蒸留して、塔頂再循環流れ及び塔底流れであって、再循環流れが、未反応のHFC-245fa及び第1の量のCFC-113を含有し、塔底流れが、第1の量よりも多い第2の量のCFC-113を含有する、塔頂再循環流れ及び塔底流れを生成することと、再循環流れを供給物流れに戻すように移送することと、を含む、プロセスを提供する。
【0006】
その更なる形態では、本開示は、HFO-1234ze(E)の生成においてHFC-245fa供給物流れからCFC-113を除去するためのプロセスであって、HFC-245faであって、第1の量のCFC-113を更に含む、HFC-245faを分離デバイスに供給すること、分離デバイスから、第1の量よりも少ない第2の量のCFC-113を有する精製されたHFC-245fa流れを回収すること、を含む、プロセスを提供する。
【0007】
その更なる形態では、本開示は、HFO-1234ze(E)プロセスにおいてHFO-1234ze(E)生成物流れからCFC-114を除去するためのプロセスであって、HFO-1234ze(E)であって、第1の量のCFC-114を更に含む、HFO-1234ze(E)を分離デバイスに供給すること、分離デバイスから、第1の量よりも少ない第2の量のCFC-114を有する精製されたHFO-1234ze(E)流れを回収すること、を含む、プロセスを提供する。
【0008】
その更なる形態では、本開示は、CFC-113及びHFC-245faからなる共沸性又は共沸様組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面を考慮して、本開示の実施形態についての以下の記載を参照することによって、本開示の上述及び他の特性、並びにそれらを達成する様式がより明らかになり、本開示自体がより良好に理解されるであろう。
【
図1】HFO-1234ze(E)プロセスにおけるCFC-113及びCFC-114を除去するためのプロセスについての流れ図を提供する。
【
図2】実施例1によるHFC-245fa及びCFC-113についてのエブリオメータでの調査において測定された温度対HFC-245fa重量パーセントのプロットである。
【
図3】5psiaの圧力でのHFC-245faの組成(CFC-113に対する質量%)に対する温度のプロットである。
【
図4】10psiaの圧力でのHFC-245faの組成(CFC-113に対する質量%)に対する温度のプロットである。
【
図5】14.7psiaの圧力でのHFC-245faの組成(CFC-113に対する質量%)に対する温度のプロットである。
【
図6】HFC-245fa及びCFC-113の共沸性組成物(質量%)に対する圧力のプロットである。
【0010】
本明細書に記載の例証は、本開示の実施形態を例示するものであり、かかる例証は、いかなる様式においても本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
I.定義
【0012】
【0013】
本明細書で使用される場合、「CFC-113」及び「CFC-114」という用語は、それぞれ、CFC-113及びCFC-113a並びにCFC-114及びCFC-114aの両方を指す。
【0014】
別段の指定がない限り、「HFO-1234ze」という用語は、HFO-1234ze(E)及びHFO-1234ze(Z)の両方を一緒に指す。
【0015】
II.HFO-1234ze(E)中のCFC-114を低減させるための方法
本開示は、HFO-1234ze(E)生成プロセスにおいて、HFC-245faの脱フッ化水素化反応によって生成されるHFとの、HFC-245fa供給物中に存在するCFC-113及びCFC-113aの反応からCFC-114及びCFC-114aが形成されるという発見に基づく。これらのCFCは不純物であり、かつオゾン破壊物質であるため、HFO-1234ze(E)生成物中のCFCの含有量を制御することが望ましい。いくつかの管轄区域では、規制が特定の放出用途に対してこれらの不純物のレベルを制限している。
【0016】
したがって、HFC-245fa供給物からCFC-113を除去するための、及びHFO-1234ze(E)最終生成物からCFC-114を除去するための方法が必要とされている。本開示は、HFO-1234ze(E)製造プロセス中のいくつかの場所又は単位操作におけるCFC-113及びCFC-114の除去に対処することを意図している。
【0017】
HFO1234ze(E)は、以下の方程式1に示される脱フッ化水素化反応によって工業的に生成され得る。
【0018】
【0019】
HFO-1234ze(E)の生成は、HFC-245faを脱フッ化水素化して、HFO-1234zeのシス及びトランス異性体の組み合わせ、並びにフッ化水素を含む混合物を生成することによる、HFC-245faの触媒転化を伴う。好ましくは、HFC-245faの脱フッ化水素化は、気相中、例えば固定床反応器中で実施してもよい。脱フッ化水素化反応は、任意の好適な反応容器又は反応器中で行ってもよいが、好ましくは、フッ化水素の腐食作用に耐性のある材料、例えばニッケル並びにハステロイ、インコネル、インコロイ、及びモネルを含むその合金、又はフルオロポリマーで裏打ちされた容器から構築されるべきである。
【0020】
HFC-245faのHFO-1234ze(E)及びHFO-1234ze(Z)への転化は、平衡によって制限される。したがって、反応器生成物流れは、しばしば、生成物としてHFO-1234ze(E)を回収し、未転化のHFC-245faを反応器に再循環させるために、いくつかの分離工程を通過する。
【0021】
供給物HFC-245fa流れがCFC-113などの不純物を含有する場合、不純物は再循環流れ中に蓄積され、脱フッ化水素化反応の転化及び収率を妨げる可能性がある。例えば、再循環流れがCFC-113を含む場合、反応器に入る一部のCFC-113は、HFC-245fa脱フッ化水素化反応によって生成されたHFと反応して、以下の方程式2に示される反応によってCFC-113をCFC-114に転化する可能性がある。
【0022】
【0023】
反応器中のCFC-114の形成は、それが望ましくない不純物であり、特に低いCFC-114濃度においてHFO-1234ze(E)から分離することが困難であるため、重大な欠点である。
【0024】
CFC-113及びCFC-114の蓄積を低減させるための別の代替法は、供給物HFC-245fa流れを蒸留して、CFC-113を除去することを伴うであろう。しかしながら、HFC-245faからのCFC-113の分離は、特に低い濃度のCFC-113において困難であり、ここで、以下に論じられるように、CFC-113/HFO-245fa共沸物が存在する可能性があり、また以下に更に論じられるように、かかる共沸物が特に低い圧力においてよく見られることが見出されている。
【0025】
III.HFO-1234ze(E)を生成するためのプロセス
HFO-1234ze(E)を生成するための一般的なプロセスを以下に記載する。本開示は、HFO-1234ze(E)生成物中のCFC不純物のレベルを低減させるためのHFO-1234ze(E)プロセスに組み込まれ得る2つの方法を包含する。
【0026】
セクションIVでより詳細に論じられる第1の方法では、CFC-113は、より小さい、より安価な機器をより低いエネルギー消費及びより低い収率損失で使用することができるように、分離がより容易であるプロセスにおいて中間流れからパージされ得る。この中間流れを分離及び蒸留に供することにより、未転化のHFC-245fa、HFO-1234ze(Z)、HFO-1234ze(E)、及び反応器に戻すように供給することができる低減した量のCFC-113を含む再循環流れ、並びに系から除去することができる不純物を含む廃棄物流れが得られる。
【0027】
セクションVでより詳細に論じられる第2の方法では、反応混合物は、約3.5重量%のCFC-113及び約96.5重量%のHFC-245faで、並びに約14.44℃±0.3℃の温度及び約14.29psia±0.3psiaの圧力での均質な極小沸点共沸物の形成を回避する分離段階の間、増加した圧力に曝露される。この共沸物は分離することが困難であり、セクションVI及び実施例1でより詳細に論じられる。CFC-113及びHFC-245faの共沸物又は共沸様混合物の形成を回避することは、HFC-245faの過剰なパージを低減させることによって収率損失を減少させ得る。
【0028】
CFC不純物のレベルを更に低減させるために、任意選択的に、いずれかの系をいくつかの補助分離デバイスと組み合わせて、HFC-245fa供給物中のCFC-113の量を低減させ(中間蒸留の前に)、HFO-1234ze(E)生成物から任意の残留CFC-114を除去し得る。
【0029】
一般的なHFO-1234ze(E)プロセスの例を
図1に示し、以下に要約する。そこに示されるように、粗製物HFC-245faは供給物流れ10を介してプロセスに入る。流れ10は、任意選択的に、分離デバイス12を通過し、分離デバイス12は、以下に記載されるいくつかの単位操作のうちの1つを介して、HFC-245fa供給物中のCFC-113のレベルを初期に低減させる。
【0030】
供給物流れ10中の組成は、HFC-245fa原料及び不純物として存在するCFC-113を含み得る。供給物流れ10は、0ppmよりも多い量、例えば1ppm以上、若しくは5000ppm以下、4500ppm以下、4000ppm以下、3500ppm以下、3000ppm以下、2500ppm以下、2000ppm以下、1500ppm以下、1000ppm以下、900ppm以下、800ppm以下、700ppm以下、600ppm以下、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、100ppm以下、50ppm以下、20ppm以下、10ppm以下ほどの少ない量、又はこれらの値のうちのいずれか2つを終点として包含する任意の範囲内の量において、CFC-113を含み得る。
【0031】
分離デバイス12は、HFC-245fa中のCFC-113のレベルを減少させるのに好適な任意の分離デバイスであってもよい。一実施形態では、分離デバイスは、分子間の構造又はサイズの差を利用するゼオライトを含み得る。好適なゼオライトとしては、ケイアルミン酸ナトリウム、ゼオライトタイプX、AW-500、3Aモレキュラーシーブ、4Aモレキュラーシーブ、5Aモレキュラーシーブ、活性炭、又は炭素モレキュラーシーブが挙げられる。一実施形態では、分離デバイスは、分子間の双極子モーメントの差を利用するゼオライトを含み得る。一実施形態では、分離デバイスは、分子間の異なる溶解度を利用するために抽出剤を含み得る。好適な抽出剤としては、ペンタン、ヘキサン、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、メタノール、又は水が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、分離デバイスは、共沸蒸留装置を含み得る。一実施形態では、分離デバイスは、不所望のCFC不純物の鉱油中での溶解を達成するのに十分低い速度で、気相における混合物を鉱油に通過させる装置、及び所望の成分から油を排除するノックアウトポットを含み得る。
【0032】
流れ13は、CFC-113を含み、これは廃棄のために系から除去され得る。
【0033】
本明細書では第1の生成物流れとも称される流れ14は、精製されたHFC-245faを反応器16に移送し、ここで、HFC-245faは、触媒的に脱ハロゲン化水素化されて、上に記載のHFO-1234ze(E)を含む生成物を生成する。
【0034】
流れ14中の組成は、0ppmよりも多い量、例えば1ppm以上、若しくは5000ppm以下、4500ppm以下、4000ppm以下、3500ppm以下、3000ppm以下、2500ppm以下、2000ppm以下、1500ppm以下、1000ppm以下、900ppm以下、800ppm以下、700ppm以下、600ppm以下、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、100ppm以下、50ppm以下、20ppm以下、若しくは10ppm以下ほどの少ない量、0ppmを上回る、若しくは0ppmの量、又はこれらの値のうちのいずれか2つを終点として包含する任意の範囲内の量において、CFC-113を含み得る。
【0035】
反応器16は、300°F、325°F、350°F、375°F、400°F、425°F、450°F、475°F、500°F、525°F、550°Fほどの低い温度、若しくは575°F、600°F、625°F、650°F、675°F、700°F、725°F、750°F、775°F、800°Fほどの高い温度、又はこれらの値のうちのいずれか2つを終点として包含する任意の範囲内の温度で操作され得る。反応器16はまた、0psia、5psia、10psia、15psia、20psia、25psia、30psia、35psia、40psia、45psia、50psiaほどの低い圧力、若しくは55psia、60psia、65psia、70psia、75psia、80psia、85psia、90psia、95psia、100psiaほどの高い圧力、又はこれらの値のうちのいずれか2つを終点として包含する任意の範囲内の圧力で操作され得る。反応器16中の滞留時間は、0秒、5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒ほど短くてもよく、若しくは55秒、60秒、65秒、70秒、75秒、80秒、85秒、90秒、95秒、100秒ほど長くてもよく、又はこれらの値のうちのいずれか2つを終点として包含する任意の範囲内であってもよい。
【0036】
脱フッ化水素化触媒としては、酸化クロム、オキシフッ化クロム、及びハロゲン化クロムが挙げられ得る。酸化クロムは、非晶質酸化クロム(Cr2O3)、結晶性酸化クロム、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。オキシフッ化クロムは、HFで前処理されたフレッシュ非晶質酸化クロム(Cr2O3)、HFで前処理されたフレッシュ結晶性酸化クロム(Cr2O3)、非晶質オキシフッ化クロム(CrOxFy(式中、xは、0より大きくてもよいが1.5未満であってもよく、yは、0より大きくてもよいが3未満であってもよい))、結晶性オキシフッ化クロム(CrOxFy(式中、xは、0より大きくてもよいが1.5未満であってもよく、yは、0より大きくてもよいが3未満であってもよい))、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。一実施形態では、触媒は、非晶質オキシフッ化クロム(CrOxFy(式中、xは、0より大きくてもよいが1.5未満であってもよく、yは、0より大きくてもよいが3未満であってもよい))である。ハロゲン化クロムとしては、三フッ化クロム(CrF3)、三塩化クロム(CrCl3)、三ヨウ化クロム(CrI3)及び三臭化クロム(CrBr3)、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。一実施形態では、触媒は、三フッ化クロム(CrF3)である。
【0037】
他の好適な触媒としては、クロム系修飾触媒とも称される、クロム系促進触媒又はクロム系ドープ触媒が挙げられ、これは、クロムをベースとし、K、Na、Cu、Ni、Zn、Co、Mn、Mg、又はそれらの混合物から選択される、一定量の少なくとも1つの共触媒又は修飾剤を含む。共触媒又は修飾剤の量は、触媒の総重量に基づいて0.1重量%~20重量%であってもよく、より具体的には、触媒の総重量に基づいて、0.1重量%、0.5重量%、1.0重量%、1.5重量%ほどの少ない量、若しくは2.0重量%、3.0重量%、4.0重量%、5.0重量%、6.0重量%ほどの多い量、又はこれらの値のうちのいずれか2つを終点として包含する任意の範囲内の量で存在してもよい。1つの好適なクロム促進触媒は、クロミアをベースとし、共触媒として一定量の亜鉛を含む亜鉛/クロミア触媒、例えば、Johnson Mattheyから入手可能なJM 62-3M触媒である。使用前に、一部の金属酸化物を対応する金属フッ化物に転化するのに有効な条件下で、無水HFを使用して触媒のフッ素化処理を行ってもよい。
【0038】
上記クロム系触媒はまた、酸化クロム(VI)の総含有量が、酸化クロム触媒中の総酸化クロムに基づいて約5000ppm以下、約2000ppm以下、約1,000ppm以下、約500ppm以下、約250ppm以下、又は約100ppm以下の量の低クロム(VI)触媒であってもよい。
【0039】
クロム系触媒に加えて、他の好適な触媒として、アルミナ、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化コバルト、フッ化アルミニウム又は金属フッ化物、例えばフッ化鉄、フッ化マグネシウム、フッ化亜鉛、フッ化ニッケル、フッ化コバルト、フッ素化アルミナ、フッ素化酸化鉄、フッ素化酸化マグネシウム、フッ素化酸化ニッケル、フッ素化酸化コバルト、フッ化チタン、フッ化モリブデン、オキシフッ化アルミニウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。使用前に、一部の金属酸化物を対応する金属フッ化物に転化するのに有効な条件下で、無水HFを使用して、金属酸化物(複数可)を含有する触媒のフッ素化処理を行う。五価アンチモン、ニオブ、ヒ素及びタンタルのハロゲン化物は市販されており、それらの混合ハロゲン化物はHFとの反応の際にインサイチュで作製される。五塩化アンチモンは、その低コストと可用性から好ましい。式中、nが0~5である、式SbClnF5-nの五価アンチモン混合ハロゲン化物はより好ましい。フッ素化触媒は、好ましくは少なくとも約97%の純度を有する。使用されるフッ素化触媒の量は大きく変化し得るが、有機物に対して約5~約50重量%、又は好ましくは約10~約25重量%の触媒を使用することが適切である。
【0040】
脱フッ化水素化反応に続いて、粗製生成物流れ18は、HF除去のために分離デバイス20に移送される。
【0041】
流れ18中の組成は、CFC-113、HFC-245fa、HFO-1234ze(Z)、HFO-1234ze(E)、CFC-114、軽質不純物、重質不純物、及びHFを含んでもよい反応器の粗製生成物を含む。HFは、流れの組成物の総重量に基づいて、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%ほどの少ない量、若しくは16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%ほどの多い量、又はこれらの値のうちのいずれか2つを終点として包含する任意の範囲内の量で流れ18中に存在してもよい。
【0042】
分離デバイス20は、流れ18の組成物中のHFのレベルを減少させるのに好適な任意の分離デバイスであってもよい。一実施形態では、HFは、水若しくは苛性スクラバを使用して、又はフッ化カリウム若しくはフッ化ナトリウムなどの金属塩と接触させて回収され得る。別の実施形態では、HFは、組成物を硫酸抽出器に通過させて、抽出されたHFを硫酸から脱着し、次いで脱着されたフッ化水素を蒸留することによって回収され得る。分離は、混合物が液体又は気体状態のいずれかにある間に混合物に硫酸を添加することによって行ってもよい。代替的な実施形態では、混合物からのHFの回収は、気相において硫酸の流れを流れ18に導入する連続プロセスによって行ってもよい。これは、標準的なスクラバ塔において流れ18に対して硫酸の流れを向流で流すことによって行ってもよい。別の実施形態では、HFは、炭素モレキュラーシーブ、HF-ポリマーゲル、膜、又はゼオライト上への吸着によって除去されてもよい。
【0043】
HFの除去の後、流れ22は、凝縮器24において凝縮されて、流れ26を生成する。
【0044】
流れ22中の組成は、CFC-113、HFC-245fa、HFO-1234ze(Z)、HFO-1234ze(E)、CFC-114、軽質成分、重質成分、及び低減した量のHFを含む反応器の粗製生成物を含み得る。HFは、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、又は0.1重量%未満の量において、流れ22中に存在してもよい。
【0045】
凝縮器24は、0psia、10psia、20psia、30psia、40psia、50psia、60psia、70psiaほどの低い圧力、若しくは80psia、90psia、100psia、110psia、120psia、130psia、140psia、150psiaほどの高い圧力、又はこれらの値のうちのいずれか2つを終点として包含する任意の範囲内の圧力で操作され得る。凝縮器24は、-20℃、-10℃、0℃、10℃ほどの低い温度、若しくは20℃、40℃、50℃、60℃ほどの高い温度、又はこれらの値のうちのいずれか2つを終点として包含する任意の範囲内の温度で操作され得る。
【0046】
流れ26は分離デバイス28に供給され、分離デバイス28は、反応混合物を流れ30及び軽質不純物を含む廃棄物流れ52に分離する。
【0047】
本明細書で使用される場合、「軽質不純物」という用語は、-19℃未満の沸点、すなわち、HFO-1234ze(E)の沸点よりも低い沸点を有する不純物又は共沸物を指す。軽質不純物の例としては、3,3,3-トリフルオロプロピン(trifluoropropyne、TFPy)、TFPy/水共沸物、TFPy/HF共沸物、HFO-1234ze(E)/水共沸物、HFO-1234ze(E)/HF共沸物、HFO-1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロプロペン)、HFC-245cb(1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン)、HFC-152a(1,1-ジフルオロエタン)、HFC-134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、HFC-125(ペンタフルオロエタン)、HFO-1225ye(Z)(1,2,3,3,3,-ペンタフルオロプロペン)、HFO-1234zc(1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン)、及びHFO-1234zf(2,3,3,3-テトラフルオロプロペン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
流れ26中の組成は、CFC-113、HFC-245fa、HFO-1234ze(Z)、HFO-1234ze(E)、CFC-114、軽質不純物、重質不純物、及び低減した量のHFを含み得る。流れ26中の軽質不純物の量は、流れの組成物の総重量に基づいて、0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%ほど少なくてもよく、若しくは0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.5重量%、1重量%ほど多くてもよく、又はこれらの値のうちのいずれか2つを終点として包含する任意の範囲内であってもよい。
【0049】
分離デバイス28は、反応混合物から軽質不純物を分離するのに好適な任意のデバイスであってもよい。好適なデバイスの例としては、バッチ若しくは連続分別蒸留カラム、スピニングバンド蒸留機器、又はワイプドフィルム蒸発器が挙げられるが、これらに限定されない。廃棄物流れ29は、軽質不純物を含み、これは反応混合物から除去され得る。
【0050】
流れ30は分離デバイス32に供給され、HFO-1234ze(E)を含む粗製生成物流れ44及び流れ34が得られる。
【0051】
流れ30は、CFC-113、HFC-245fa、HFO-1234ze(Z)、HFO-1234ze(E)、CFC-114、低減した量の軽質不純物、重質不純物、及び低減した量のHFを含み得る。流れ30中の軽質不純物の量は、0.01重量%、0.009重量%、0.008重量%、0.007重量%、0.006重量%、0.005重量%、0.004重量%、0.003重量%、0.002重量%、又は0.001重量%未満であってもよい。
【0052】
分離デバイス32は、混合物からHFO-1234ze(E)を分離するのに好適な任意の分離デバイスであってもよい。好適なデバイスの例としては、バッチ若しくは連続分別蒸留カラム、スピニングバンド蒸留機器、又はワイプドフィルム蒸発器が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書では第2の生成物流れとも称される流れ44は、任意選択的に、分離デバイス46に供給され、分離デバイス46は、CFC-114のレベルを低減させて、流れ48中の精製された最終生成物HFO-1234ze(E)をもたらす。流れ47は、CFC-114を含み、これは廃棄のために系から除去され得る。
【0054】
流れ44は、CFC-114及びHFO-1234ze(E)を含み得る。CFC-114の量は、1000ppm以下、900ppm以下、800ppm以下、700ppm以下、600ppm以下、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、100ppm以下、又は50ppm以下ほど少なくてもよい。
【0055】
流れ48は、HFO-1234ze(E)及び0.001重量%未満、0.0005重量%未満、又は0.00001重量%未満の量においてCFC-114を含み得る精製された生成物流れである。
【0056】
分離デバイス46は、HFO-1234ze(E)中のCFC-114の量を減少させるのに好適な任意の分離デバイスであってもよい。一実施形態では、分離デバイスは、分子間の構造又はサイズの差を利用するゼオライトを含み得る。好適なゼオライトとしては、ケイアルミン酸ナトリウム、ゼオライトタイプX、AW-500、3Aモレキュラーシーブ、4Aモレキュラーシーブ、5Aモレキュラーシーブ、活性炭、又は活性炭素モレキュラーシーブが挙げられる。一実施形態では、分離デバイスは、分子間の双極子モーメントの差を利用するゼオライトを含み得る。一実施形態では、分離デバイスは、分子間の異なる溶解度を利用するために抽出剤を含み得る。好適な抽出剤としては、ペンタン、ヘキサン、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、メタノール、又は水が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、分離デバイスは、共沸蒸留装置を含み得る。一実施形態では、分離デバイスは、不所望のCFC不純物の鉱油中での溶解を達成するのに十分低い速度で、気相における混合物を鉱油に通過させる装置、及び所望の成分から油を排除するノックアウトポットを含み得る。
【0057】
本明細書では第3の生成物流れとも称される流れ34は、蒸留装置36に供給され、蒸留装置36は、除去のための流れ42中の重質不純物を含む塔底流れ、及び供給物流れに戻すように供給される塔頂再循環流れ50をもたらす。
【0058】
本明細書で使用される場合、「重質不純物」という用語は、-19℃よりも高い沸点、すなわち、HFO-1234ze(E)の沸点よりも高い沸点を有する不純物又は共沸物を指す。重質不純物の例としては、HCFO-1233ze(E)(トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-プロペン)、HCFO_1233zd(Z)(シス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-プロペン)、HCFC-244fa(3-クロロ-1,1,1,3-テトラフルオロプロパン)、及びCFC-113が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
流れ34は、CFC-113、HFC-245fa、及びHFO-1234ze(Z)、並びに0.001重量%未満のHFO-1234ze(E)を含み得る。
【0060】
蒸留装置36は、系から重質不純物を分離し、パージするために使用され得る。装置36の使用は、連続又はバッチプロセスで行われ得る。装置36は、0psia、10psia、20psia、30psia、40psia、50psia、60psia、70psiaほどの低い圧力、若しくは80psia、90psia、100psia、110psia、120psia、130psia、140psia、150psiaほどの高い圧力、又はこれらの値のうちのいずれか2つを終点として包含する任意の範囲内の圧力で操作され得る。装置36は、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃ほどの低い温度、若しくは60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃ほどの高い温度、又はこれらの値のうちのいずれか2つを終点として包含する任意の範囲内の温度で操作され得る。
【0061】
廃棄物流れ42は、廃棄物として系から除去され得るCFC-113などの重質不純物を含み、ここで、流れ42中のCFC-113の量は、1重量%以上、2.5重量%以上、4重量%以上、6重量%以下、7.5重量%以下、若しくは10重量%以下、又はこれらの値のうちのいずれか2つを終点として包含する任意の範囲内であってもよい。
【0062】
再循環流れ50は、CFC-113、HFC-245fa、CFC-113及びHFC245faの共沸物、HFO-1234ze(Z)、並びにHFO-1234ze(E)を含み得る。
【0063】
反応器及び蒸留のための加熱システムは、プロセスに必要とされる温度を達成及び/又は維持することができる任意の好適な加熱媒体を含み得る。好適な加熱媒体としては、例えば、とりわけ、溶融塩、熱油、蒸気、及び電気ヒータ(抵抗又は誘導)が挙げられ得る。
【0064】
IV.再循環流れからのCFC-113のパージ
以下の実施例2Aに示されるように、HFO-1234ze(E)生成物からCFC-114を除去すること、又はHFC-245fa供給物からCFC-113を除去することだけに焦点を合わせる必要がないことが見出されている。代わりに、CFC-113は、より小さい、より安価な機器をより低いエネルギー消費及びより低い収率損失で使用することができるように、分離がより容易であるプロセスにおいて中間流れからパージすることができる。この中間流れを分離及び蒸留に供することにより、未転化のHFC-245fa、HFO-1234ze(Z)、HFO-1234ze(E)、及び反応器に戻すように供給することができる低減した量のCFC-113を含む再循環流れ、並びに系から除去することができる不純物を含む廃棄物流れが得られる。
【0065】
以下のセクションVIで更に論じられるように、CFC-113及びHFC-245faは、約3.5重量%のCFC-113及び約96.5重量%のHFC-245faで、並びに約14.44℃±0.3℃の温度及び約14.29psia±0.3psiaの圧力での均質な極小沸点共沸性混合物を形成することが見出されている。
【0066】
このプロセスは、セクションIII及び
図1に概説したのと同じ流れに従うが、CFC-113のレベルは、系からパージされる前に再循環流れ中に蓄積される。CFC-113及びHFC-245fa混合物の発見された共沸挙動のために、CFC-113が1重量%以上、1.5重量%以上、2重量%以上、2.5重量%以上、3重量%以上、3.5重量%以上、4重量%以上、又は5重量%以上まで蓄積している再循環流れからCFC-113を除去することが有益であり得る。この方法は、不必要な分離を最小限に抑えながらCFC不純物を許容可能なレベルまで減少させることと、収率損失を低減させることとの間のバランスをとっている。CFC-113の濃度をそれが除去される前に蓄積させることは、CFC-113及びHFC-245faの混合物においてピンチポイントで成分を分離しようとする試みを回避する。
【0067】
V.より高い圧力での分離の実施
また、以下の実施例2B及び5に示されるように、CFC-113及びHFC-245faの共沸性又は共沸様混合物の形成に関する気液平衡は、圧力依存性であること、かつCFC-113とHFC-245faとの間の共沸挙動は、CFC-113及びHFC-245faを含む混合物が約17psiaよりも高い圧力に暴露される場合に、例えば、共沸物の形成を回避するために本プロセスの分離段階をかかる上昇した圧力で操作することによって、実質的に又は完全に回避することができることが見出されている。
【0068】
HFC-245faからのCFC-113の分離工程をこれらのより高い圧力で操作することは、有利には、CFC-113を再循環流れ中で濃縮させた後に、上記セクションIVで論じられた方法に従ってそれを除去するあらゆる必要性を回避する。更に、より高い圧力で操作することは、CFC-113/HFC-245fa共沸物の形成を回避し、その結果、これらの成分がそれらの沸点の差に従って効果的に分離され得るので、HFC-245faからのCFC-113の最終分離をより容易にする。
【0069】
このプロセスは、セクションIII及び
図1に概説したのと同じ流れに従うが、蒸留装置内の圧力がより高く、廃棄物流れ中のCFC-113の量が増加し、再循環流れ中のCFC-113の量が減少している。反応器のセットアップ及び温度条件を含む他の全てのパラメータは、セクションIIIにおいて上に記載されているものと同じである。
【0070】
蒸留装置36は、17psia以上、18psia以上、19psia以上、20psia以上、25psia以上、30psia以上、35psia以上、40psia以上、45psia以上、50psia以上、55psia以上、60psia以上、65psia以上、70psia以上、75psia以上、80psia以上、85psia以上、90psia以上、95psia以上、100psia以上、105psia以上、110psia以上、115psia以上、120psia以上、125psia以上、130psia以上、135psia以上、140psia以上、145psia以上、若しくは150psia以上の圧力、又はこれらの値のうちのいずれか2つを終点として包含する任意の範囲内の圧力で操作され得る。
【0071】
廃棄物流れ42は、廃棄物として系から除去され得るCFC-113などの重質不純物を含み、ここで、流れ42中のCFC-113の量は、1重量%以上、2重量%以上、3重量%以上、4重量%以上、5重量%以上、6重量%以上、7重量%以上、8重量%以上、9重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、100重量%、又はこれらの値のうちのいずれか2つを終点として包含する任意の範囲内であってもよい。
【0072】
再循環流れ50は、CFC-113、HFC-245fa、CFC-113及びHFC245faの共沸物、HFO-1234ze(Z)、並びにHFO-1234ze(E)を含み得る。再循環流れ中のCFC-113の量は、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、0.1重量%以下、又はこれらの値のうちのいずれか2つを終点として包含する任意の範囲内であってもよい。
【0073】
VI.HFC-245fa及びCFC-113を含む共沸性組成物
本発明者らは、HFC-245fa及びCFC-113が25psiaを下回る圧力で共沸性又は共沸様組成物を形成することを実験的に見出している。この共沸性混合物の発見は、HFC-245faをHFO-1234ze(E)に転化するためのプロセスに関連する。CFC-113は、HFC-245fa供給原料中に見出される可能性があり、HFO-1234ze(E)を生成するための脱フッ化水素化反応中にCFC-114に転化する可能性がある望ましくない不純物である。したがって、HFC-245fa及びCFC-113の混合物を分離するための方法は、HFO-1234ze(E)プロセス全体を通してCFCの蓄積を防止するために必要である。
【0074】
「共沸性」組成物とは、2つ以上の成分の特有の組み合わせである。共沸性組成物は、様々な方法で特徴付けることができる。例えば、所与の圧力では、共沸性組成物は、沸点が高い方の成分よりも高い一定の特性温度で沸騰する(極大沸点の共沸物)か、又は沸点が低い方の成分よりも低い一定の特性温度で沸騰する(極小沸点の共沸物)かのいずれかである。この特性温度では、同じ組成が気相及び液相の両方に存在することになる。共沸性組成物は、沸騰又は蒸発時に分留しない。したがって、共沸性組成物の成分を相変化において分離することはできない。
【0075】
共沸性組成物はまた、特性共沸温度で、液相の気泡点圧力(bubble point pressure)が気相の露点圧力と同一であることも特徴とする。
【0076】
共沸性組成物の挙動は、沸騰又は蒸発中に液体組成がかなりの程度で変化する非共沸性組成物の挙動とは対照的である。
【0077】
本開示の目的の場合、共沸性組成物は、2つ以上の成分の沸点よりも低い一定の特性温度で沸騰し(極小沸点の共沸物)、それによって気相及び液相の両方において同じ組成を有する組成物として特徴付けられている。
【0078】
しかしながら、当業者であれば、異なる圧力では、共沸性組成物の組成及び沸点の両方がある程度変化すると理解するであろう。したがって、温度及び/又は圧力に応じて、共沸性組成物は、変化し得る組成を有し得る。したがって、当業者であれば、固定された組成ではなく組成範囲を使用して共沸性組成物を定義することができると理解するであろう。更に、共沸物は、特定の圧力での固定された沸点によって特徴付けられる組成物の各成分の正確な重量パーセンテージの観点から定義することもできる。
【0079】
「共沸様」組成物とは、実質的に共沸性組成物として挙動する2つ以上の成分の組成物である。したがって、本開示の目的の場合、共沸様組成物は、所与の圧力下で液体形態にあるとき実質的に一定の温度で沸騰し、かつ沸騰中の液体組成物と実質的に同一の気体組成を提供する、2つ以上の異なる成分の組み合わせである。
【0080】
本開示の目的の場合、HFC-245fa及びCFC-113を含む共沸性又は共沸様組成物は、約14.29psia±0.3psiaの圧力で約14.44℃±0.3℃の温度範囲において沸騰する組成物又は組成物の範囲である。
【0081】
共沸性又は共沸様組成物は、多数の異なる方法を使用して同定することができる。本開示の目的の場合、共沸性又は共沸様組成物は、エブリオメータを使用して実験的に同定される(Walas,Phase Equilibria in Chemical Engineering,Butterworth-Heinemann,1985,533-544)。エブリオメータは、気液平衡温度を測定することによって液体の沸点の極めて正確な測定値を提供するように設計されている。
【0082】
成分のそれぞれの単独の沸点は、一定の圧力で測定される。当業者によって理解されるように、二成分の共沸性又は共沸様組成物については、組成物の成分のうちの1つの沸点が最初に測定される。次いで、組成物の第2の成分が様々な量で添加され、当該の一定の圧力でエブリオメータを使用して、得られた組成物のそれぞれの沸点が測定される。
【0083】
測定された沸点は、試験された組成物の組成に対して、例えば二成分共沸物の場合、組成物に添加された第2の成分の量に対してプロットされる(重量%又はモル%のいずれか一方で表される)。共沸性組成物の存在は、単独のいずれかの成分の沸点よりも高い又は低い極大沸騰温度又は極小沸騰温度を観察することによって特定することができる。
【0084】
当業者によって理解されるように、共沸性又は共沸様組成物の同定は、第2の成分を第1の成分に添加した際の組成物の沸点の変化を第1の成分の沸点と比較することによって行われる。したがって、沸点の変化を測定するために、特定の成分の報告された沸点に系を較正する必要はない。
【0085】
前述のように、極大沸点又は極小沸点では、気相の組成は、液相の組成と同一となる。したがって、共沸様組成物は、約14.29psia±0.3psiaの圧力で約14.44℃±0.3℃の沸点である、実質的に一定の極小沸点又は極大沸点を提供する成分の組成物であり、その実質的に一定の沸点では、気相の組成は、液相の組成と実質的に同一となるであろう。
【0086】
約14.29psia±0.3psiaの圧力で約14.44℃±0.3℃の沸点における共沸性又は共沸様組成物は、約1重量%~約15重量%のCFC-113、約1重量%~約10重量%のCFC-113、約1重量%~約5重量%のCFC-113、又は約3.5重量%のCFC-113、及び約85重量%~約99重量%のHFC-245fa、約90重量%~約99重量%のHFC-245fa、約95重量%~約99重量%のHFC-245fa、又は約96.5重量%のHFC-245faを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0087】
換言すれば、約14.29psia±0.3psiaの圧力で約14.44℃±0.3℃の沸点における共沸性又は共沸様組成物は、約1重量%~約15重量%のCFC-113及び約85重量%~約99重量%のHFC-245fa、又は約1重量%~約10重量%のCFC-113及び約90重量%~約99重量%のHFC-245fa、又は約1重量%~約5重量%のCFC-113及び約95重量%~約99重量%のHFC-245fa、又は約3.5重量%のCFC-113及び約96.5重量%のHFC-245faを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0088】
別の言い方をすれば、共沸性又は共沸様組成物は、約14.29psia±0.3psiaの圧力で約14.44℃±0.3℃の沸点において、約1重量%ほどの少ないCFC-113、又は約5重量%、約10重量%、若しくは約15重量%ほどの多いCFC-113、あるいはこれらの値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなり、共沸性又は共沸様組成物は、約85重量%、約90重量%、約95重量%ほどの少ないHFC-245fa、又は約99重量%ほどの多いHFC-245fa、あるいはこれらの値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0089】
本開示の共沸性又は共沸様組成物は、約14.29psia±0.3psiaの圧力で約14.44℃±0.3℃の沸点を有する
【0090】
共沸性又は共沸様組成物は、圧力依存性であることも見出されている。一定の極小又は極大沸点挙動は、約17psiaを下回る圧力で観察され、約17psiaを上回る圧力では、共沸性又は共沸様挙動は観察されない。
【0091】
例えば、共沸性又は共沸様組成物は、約17psiaを下回る圧力、例えば16psia以下、15psia以下、14psia以下、13psia以下、12psia以下、11psia以下、10psia以下、9psia以下、8psia以下、7psia以下、6psia以下、5psia以下、4psia以下、3psia以下、2psia以下、1psia以下、又は終点としてのこれらの値のうちのいずれか2つによって包含される任意の範囲内の圧力で存在してもよい。
【0092】
共沸性又は共沸様組成物は、約17psiaを上回る圧力、例えば18psia以上、19psia以上、20psia以上、21psia以上、22psia以上、23psia以上、24psia以上、25psia以上、26psia以上、27psia以上、28psia以上、29psia以上、30psia以上、31psia以上、32psia以上、33psia以上、34psia以上、35psia以上、36psia以上、又は終点としてのこれらの値のうちのいずれか2つによって包含される任意の範囲内の圧力で存在しなくてもよい。
【0093】
本明細書で使用される場合、「終点としてのこれらの値のうちのいずれか2つによって包含される任意の範囲内」という句は、文字どおり、値が列挙のより低い部分にあるか又は列挙のより高い部分にあるかにかかわらず、任意の範囲がかかる句の前に列挙された値のうちのいずれか2つから選択され得ることを意味する。例えば、一対の値は、2つのより低い値、2つのより高い値、又はより低い値及びより高い値から選択され得る。
【実施例】
【0094】
実施例1-エブリオメータでの調査
エブリオメータを使用して、HFC-245fa及びCFC-113の共沸性及び共沸様組成物を測定した。エブリオメータは、底部で密封かつ上部で空気に開放された真空ジャケット付きガラス容器を含んでいた。エブリオメータの上部又は凝縮器ジャケットに、ドライアイス及びエタノールの混合物を充填して、14.40psiaの圧力で、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)について15.3℃、及び1,1,2-トリクロロ-トリフルオロエタン(CFC-113)について47.5℃の通常の沸点よりも大幅に低い約-72℃の温度を達成した。このようにして、系中の全ての蒸気が凝縮し、エブリオメータに還流し、液相及び気相が平衡状態になることを確実にした。ガラス容器内に±0.002℃の精度を有する石英白金温度計を挿入し、使用して、混合物の平衡沸点に相当する凝縮蒸気の温度を決定した。沸騰石を使用して、エブリオメータ内での混合物のスムーズな沸騰の維持を補助した。
【0095】
以下の手順を使用した。
1.石英温度計を、氷/水スラリーを含有する長いデュワーに浸し、温度計が0℃を読み取ったことを確認した。デュワーは、温度計のシャフトの長さの少なくとも3/4が氷/水に浸されるほど充分に深かった。温度計の抵抗をオーム単位で記録した。
2.凝縮器のジャケットをエタノールで全体の1/4充填した。ゆっくりとドライアイスを導入することによって凝縮器のジャケットを冷却して、エタノールが沸騰して吹き出すこと及び/又は飛散することを回避した。
3.既知量のCFC-113又はHFC-245faをエブリオメータに添加し、激しい還流状態にした。温度インジケータ付きの気圧計を使用して温度及び大気圧を記録した。
【0096】
測定は、2つの工程で実施した。第1の工程では、まず、ガスクロマトグラフィ(gas chromatography、GC)によって決定される99.88面積%の純度を有する約24.50gのCFC-113を、±0.01gの精度を有するはかりを使用して添加前後に容器を計量することによってエブリオメータに導入した。液体を沸騰させ、記録された気圧でCFC-113の平衡温度を記録した。次いで、ガスクロマトグラフィ(GC)によって決定される99.99面積%の純度を有するHFC-245faを微増させながらエブリオメータに導入し、凝縮した液体混合物の平衡温度を記録した。
【0097】
第2の工程では、ガスクロマトグラフィ(GC)によって決定される99面積%の純度を有する約16.09gのHFC-245faを、±0.01gの精度を有するはかりを使用して添加前後に容器を計量することによってエブリオメータに導入した。液体を沸騰させ、記録された気圧でHFC-245faの平衡温度を記録した。次いで、ガスクロマトグラフィ(GC)によって決定される99.88面積%の純度を有するCFC-113を微増させながらエブリオメータに導入し、凝縮した液体混合物の平衡温度を記録した。
【0098】
上記の第1及び第2の工程からのデータを組み合わせて、以下の表2に提示される0~100重量パーセントのHFC-245fa及びCFC-113の各々の組成範囲のデータを完成させた。これは、共沸物が形成されたことを示す温度の極小を示し、このデータは、
図2にグラフの形態でも提示されている。データは、14.29Psiaの圧力で約3.5重量%のCFC-113において弱い極小沸騰共沸物の形成を示唆している。共沸温度は14.44℃であり、これは、HFC-245faの沸点を下回る。
【0099】
【0100】
実施例2A-再循環流れからCFC-113をパージすることによってHFO-1234ze(E)中のCFC-114を除去するためのプロセス
実施例2Aは、
図1に描写されるプロセスにおける各流れについての材料のバランスを提供する。
【0101】
【0102】
図1に示されるように、CFC-113不純物は、17psiaを下回る圧力での蒸留を介してHFC-245faのHFO-1234ze(E)へのプロセスの再循環流れから除去される。再循環流れ50は主に、未転化のHFC-245fa、HFO-1234ze(Z)、1234ze(E)、及びCFC-113を含む。HFC-245faからCFC-113を分離することに伴う困難性のために、成分が1重量%以上まで蓄積している再循環流れから113を除去することが有益である。CFC-113は高沸騰不純物であるため、重質不純物パージ流れ42において除去することができる。
【0103】
実施例2B-より高い圧力で操作することによってHFO-1234ze(E)中のCFC-114を除去するためのプロセス
実施例2Bは、
図1に描写されるプロセスにおける各流れについての材料のバランスを提供する。実施例2Bは、蒸留を介するCFC-113の除去(ブロック36)が17psiaを上回る圧力で行われ、再循環流れ50中に113を蓄積する必要がないという点で2Aとは異なる。
【0104】
【0105】
図1に示されるように、CFC-113不純物は、17psiaを上回る圧力での蒸留を介してHFC-245faのHFO-1234ze(E)へのプロセスの再循環流れから除去される。再循環流れ50は主に、未転化のHFC-245fa、HFO-1234ze(Z)、1234ze(E)、及びCFC-113を含む。113と245faとの間の共沸物はこの圧力では存在しないため、113を1重量%以上まで有することを必要としない。これは、反応器(ブロック16)に供給される113の量及び反応器によって生成される114の量を低減させる。CFC-113は高沸騰不純物であるため、重質不純物パージ流れ42において除去することができる。
【0106】
実施例3-CFC-113/HFC-245faの混合物の分離
実施例3A-吸着剤
図1に戻って参照すると、CFC-113は、モレキュラーシーブを含む吸着デバイスを通過させることによって、CFC-113及びHFC-245faを含む流れから除去される。それにより、CFC-113の量は、HFC-245fa供給物流れにとって許容可能なレベルまで低減される。
【0107】
実施例3B-液体抽出
図1に戻って参照すると、CFC-113は、ヘキサン及び酢酸エチルの混合物を使用する液体抽出によって、CFC-113及びHFC-245faを含む流れから除去される。それにより、CFC-113の量は、HFC-245fa供給物流れにとって許容可能なレベルまで低減される。
【0108】
実施例3C-鉱油抽出
図1に戻って参照すると、CFC-113は、鉱油抽出によってCFC-113及びHFC-245faを含む流れから除去される。0.50重量%のCFC-113を含むHFC-245faの流れを気化させ、充填されたカラムの底部に1時間当たり約2.2lbsの供給速度で約4時間供給する。鉱油の流れを、同じ時間枠の間に1時間当たり約3.5lbsの供給速度で同じ充填されたカラムの上部に連続的に供給する。カラムの上部から出るガスの流れは、0.10重量%未満のCFC-113を有するHFC-245faを含む。鉱油中のCFC-113の濃度は、検出不可能から約0.25重量%に増加する。
【0109】
実施例4-CFC-114/HFO-1234ze(E)の混合物の分離
実施例4A-吸着剤
図1に戻って参照すると、CFC-114は、モレキュラーシーブを含む吸着デバイスを通過させることによって、CFC-114及びHFO-1234ze(E)を含む流れから除去される。それにより、CFC-114の量は、HFO-1234ze(E)生成物流れにとって許容可能なレベルまで低減される。
【0110】
実施例4B-液体抽出
図1に戻って参照すると、CFC-114は、ヘキサン及び酢酸エチルの混合物を使用する液体抽出によって、CFC-114及びHFO-1234ze(E)を含む流れから除去される。それにより、CFC-114の量は、HFO-1234ze(E)生成物流れにとって許容可能なレベルまで低減される。
【0111】
実施例4C-鉱油抽出
図1に戻って参照すると、CFC-114は、鉱油抽出によってCFC-114及びHFO-1234ze(E)を含む流れから除去される。0.20重量%のCFC-114不純物を含有するHFO-1234ze(E)の流れを気化させ、充填されたカラムの底部に1時間当たり約2.1lbsの供給速度で約4時間供給する。鉱油の流れを、同じ時間枠の間に1時間当たり約3.3lbsの供給速度で同じ充填されたカラムの上部に連続的に供給する。カラムの上部から出るガスの流れは、0.050重量%未満のCFC-114を有するHFO-1234ze(E)を含む。鉱油中のCFC-114の濃度は、検出不可能から約0.095重量%に増加する。
【0112】
実施例5-異なる圧力でのHFC-245fa及びCFC-113混合物のエブリオメータでの調査
HFC-245fa及びCFC-113を等圧エブリオメータにおいて試験した。圧力コントローラを使用して圧力を設定し、RTDを使用して温度を測定した。充填及び添加は、容量測定的にポンプを通して行った。以下のデータセットは、これらの実験からの結果である。結論は、共沸性組成物が圧力に基づいてシフトし、20.4psiaを上回ると壊れると予測されるということであった。
【0113】
【0114】
これらのデータを
図3~5にプロットする。
図3は、5psiaの圧力での92.20重量%のHFC-245faにおける極小沸騰共沸物を示す。
図4は、10psiaの圧力での95.01重量%のHFC-245faにおける極小沸騰共沸物を示す。
図5は、14.7psiaの圧力での97.01重量%のHFC-245faにおける極小沸騰共沸物を示す。
【0115】
圧力が
図3~5を通して増加するにつれて、共沸挙動はより弱くなり、これは、HFC-245faとCFC-113との間の共沸挙動が圧力依存性であることを示している。
図6は、HFC-245faの共沸性組成物(質量%)に対する圧力をプロットし、共沸物の軌跡が圧力とともにシフトすることを示す。
【0116】
態様
態様1は、HFO-1234ze(E)を生成するためのプロセスであって、HFC-245fa及びCFC-113を含む供給物流れを触媒の存在下、反応器中で反応させて、HFO-1234ze(E)、未反応のHFC-245fa、及びCFC-113を含む第1の生成物流れを形成することと、第1の生成物流れを、HFO-1234ze(E)を含む第2の生成物流れと、未反応のHFC-245fa及びCFC-113を含む第3の生成物流れと、に分離することと、第3の生成物流れを蒸留して、塔頂再循環流れ及び塔底流れであって、再循環流れが、未反応のHFC-245fa及び第1の量のCFC-113を含み、塔底流れが、第1の量よりも多い第2の量のCFC-113を含む、塔頂再循環流れ及び塔底流れを生成することと、再循環流れを供給物流れに戻すように移送することと、を含む、プロセスである。
【0117】
態様2は、蒸留が、17psiaを上回る圧力で行われる、態様1のプロセスである。
【0118】
態様3は、再循環流れが、3重量%未満のCFC-113を含む、態様1又は2のプロセスである。
【0119】
態様4は、蒸留工程が、CFC-113の量が第3の生成物流れの総重量に基づいて1重量%以上である場合に、第3の生成物流れを蒸留することを含む、態様1~3のうちのいずれかのプロセスである。
【0120】
態様5は、再循環流れ中のCFC-113の量が、再循環流れの総重量に基づいて5重量%以下である、態様1~4のうちのいずれかのプロセスである。
【0121】
態様6は、第1の生成物流れが、追加的に、フッ化水素(hydrogen fluoride、HF)を含み、CFC-113を除去するための蒸留装置に入る前に分離デバイスに移送されて、HFが除去される、態様1~5のうちのいずれかのプロセスである。
【0122】
態様7は、分離デバイスが、水又は苛性スクラバ、金属塩、硫酸抽出器、気相硫酸抽出器、蒸留塔、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、態様6のプロセスである。
【0123】
態様8は、第1の生成物流れが、追加的に、3,3,3-トリフルオロプロピン(TFPy)、TFPy/水共沸物、TFPy/HF共沸物、HFO-1234ze(E)/水共沸物、HFO-1234ze(E)/HF共沸物、HFO-1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロプロペン)、HFC-245cb(1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン)、HFC-152a(1,1-ジフルオロエタン)、HFC-134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、HFC-125(ペンタフルオロエタン)、HFO-1225ye(Z)(1,2,3,3,3,-ペンタフルオロプロペン)、HFO-1234zc(1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン)、又はHFO-1234zf(2,3,3,3-テトラフルオロプロペン)、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む軽質不純物を含み、CFC-113を除去するための蒸留装置に入る前に分離デバイスに移送されて、軽質不純物が除去される、態様1~7のうちのいずれかのプロセスである。
【0124】
態様9は、分離デバイスが、バッチ又は連続分別蒸留カラム、スピニングバンド蒸留機器、ワイプドフィルム蒸発器、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、態様8のプロセスである。
【0125】
態様10は、軽質不純物のレベルが、中間流れの総重量に基づいて1重量%以下に低減される、態様8のプロセスである。
【0126】
態様11は、反応器が、以下の条件:
(i)約205℃~370℃の温度、
(ii)約-15~100psiaの圧力、及び
(iii)約1秒~100秒の滞留時間のうちの少なくとも1つで操作される、態様1~10のうちのいずれか1つのプロセスである。
【0127】
態様12は、蒸留装置が、以下の条件:
(i)約10℃~105℃の温度、及び
(ii)約-15~150psiaの圧力のうちの少なくとも1つで操作される、態様1のプロセスである
【0128】
態様13は、HFO-1234ze(E)の生成においてHFC-245fa供給物流れからCFC-113を除去するためのプロセスであって、HFC-245faであって、第1の量のCFC-113を更に含む、HFC-245faを分離デバイスに供給すること、分離デバイスから、第1の量よりも少ない第2の量のCFC-113を有する精製されたHFC-245fa流れを回収すること、を含む、プロセスである。
【0129】
態様14は、分離デバイスが、ゼオライト、液体抽出剤、共沸蒸留装置、鉱油、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、態様13のプロセスである。
【0130】
態様15は、精製されたHFC-245fa流れが、精製されたHFC-245fa流れの総重量に基づいて0.05重量%未満のCFC-113を含む、態様13のプロセスである。
【0131】
態様16は、HFO-1234ze(E)プロセスにおいてHFO-1234ze(E)生成物流れからCFC-114を除去するためのプロセスであって、HFO-1234ze(E)であって、第1の量のCFC-114を更に含む、HFO-1234ze(E)を分離デバイスに供給すること、分離デバイスから、第1の量よりも少ない第2の量のCFC-114を有する精製されたHFO-1234ze(E)流れを回収すること、を含む、プロセスである。
【0132】
態様17は、分離デバイスが、ゼオライト、液体抽出剤、共沸蒸留装置、鉱油、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、態様16のプロセスである。
【0133】
態様18は、精製されたHFO-1234ze(E)流れが、0.01重量%未満のCFC-114を含む、態様16のプロセスである。
【0134】
態様19は、有効量のCFC-113及びHFC-245faから本質的になる共沸性又は共沸様組成物を含む、組成物である。
【0135】
態様20は、共沸性又は共沸様組成物が、約3.5重量%のCFC-113及び約96.5重量%のHFC-245faから本質的になる、態様19の組成物である。
【0136】
前述の説明は、本開示の単なる例示に過ぎないことが理解されるべきである。本開示から逸脱することなく、当業者によって様々な代替形態及び修正形態を考案することができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲内に含まれる全てのかかる代替形態、修正形態、及び変動を包含することを意図する。
【手続補正書】
【提出日】2025-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HFO-1234ze(E)を生成するためのプロセスであって、
HFC-245fa及びCFC-113を含む供給物流れを触媒の存在下、反応器中で反応させて、HFO-1234ze(E)、未反応のHFC-245fa、及びCFC-113を含む第1の生成物流れを形成することと、
前記第1の生成物流れを、HFO-1234ze(E)を含む第2の生成物流れと、未反応のHFC-245fa及びCFC-113を含む第3の生成物流れと、に分離することと、
前記第3の生成物流れを蒸留して、塔頂再循環流れ及び塔底流れであって、前記再循環流れが、未反応のHFC-245fa及び第1の量のCFC-113を含み、前記塔底流れが、前記第1の量よりも多い第2の量のCFC-113を含む、塔頂再循環流れ及び塔底流れを生成することと、
前記再循環流れを前記供給物流れに戻すように移送することと、を含む、HFO-1234ze(E)を生成するためのプロセス。
【請求項2】
HFO-1234ze(E)の生成においてHFC-245fa供給物流れからCFC-113を除去するためのプロセスであって、
HFC-245faであって、第1の量のCFC-113を更に含む、HFC-245faを分離デバイスに供給すること、
前記分離デバイスから、前記第1の量よりも少ない第2の量のCFC-113を有する精製されたHFC-245fa流れを回収すること、を含む、プロセス。
【請求項3】
有効量のCFC-113及びHFC-245faから本質的になる共沸性又は共沸様組成物を含む、組成物。
【国際調査報告】