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特表2025-524079結膜充血の定量的評価方法、装置及び記憶媒体
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  • 特表-結膜充血の定量的評価方法、装置及び記憶媒体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-07-25
(54)【発明の名称】結膜充血の定量的評価方法、装置及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20250717BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20250717BHJP
   A61B 3/13 20060101ALI20250717BHJP
【FI】
G16H10/00
G06T7/00 612
A61B3/13
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025504149
(86)(22)【出願日】2023-08-17
(85)【翻訳文提出日】2025-01-22
(86)【国際出願番号】 CN2023113490
(87)【国際公開番号】W WO2024037581
(87)【国際公開日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】202210992159.0
(32)【優先日】2022-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517398254
【氏名又は名称】上海市内分泌代謝病研究所
(71)【出願人】
【識別番号】525028374
【氏名又は名称】上海佰翊医療科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【弁理士】
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】王 衛慶
(72)【発明者】
【氏名】寧 光
(72)【発明者】
【氏名】沈 力韵
(72)【発明者】
【氏名】田 超楠
(72)【発明者】
【氏名】杜 東
【テーマコード(参考)】
4C316
5L096
5L099
【Fターム(参考)】
4C316AA01
4C316AB16
4C316FB21
4C316FB26
5L096AA02
5L096AA06
5L096CA04
5L096DA02
5L096FA59
5L096GA40
5L096GA51
5L099AA04
(57)【要約】
本発明は、結膜充血の定量的評価方法、装置及び記憶媒体を開示する。結膜充血の定量的評価方法は、眼球の内側から外側へ又は外側から内側への運動のビデオを取得するステップS1と、ビデオに対して眼部画像分割を行って眼部結膜画像を取得し、眼部結膜画像から各画素の赤色チャネル値及び青色チャネル値を抽出するステップS2と、各画素の赤色チャネル値と青色チャネル値との比例値により結膜充血の百分率を決定するステップS3と、を含む。結膜充血の定量的評価方法により、結膜充血の正確な値を取得することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼球の内側から外側へ又は外側から内側への運動のビデオを取得するステップS1と、
前記ビデオに対して眼部画像分割を行って眼部結膜画像を取得し、前記眼部結膜画像から各画素の赤色チャネル値及び青色チャネル値を抽出するステップS2と、
各画素の赤色チャネル値と青色チャネル値との比例値により結膜充血の百分率を決定するステップS3と、を含む、
ことを特徴とする結膜充血の定量的評価方法。
【請求項2】
前記ステップS2では、前記眼球が内側、外側への限界位置まで運動した第2眼位画像をそれぞれ取得し、眼球が内側への限界位置まで運動した第2眼位画像と眼球が外側への限界位置まで運動した第2眼位画像とを組み合わせて前記眼部結膜画像を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の結膜充血の定量的評価方法。
【請求項3】
前記ステップS3では、赤色チャネル値と青色チャネル値との比例値が閾値を超える画素点が充血部であると判断し、結膜充血の百分率は、充血部の画素点の面積が前記眼部結膜画像の結膜面積を占める百分率である、
ことを特徴とする請求項1に記載の結膜充血の定量化評価方法。
【請求項4】
前記閾値は、予め設定された固定値であるか、又は手動で設定された値である、
ことを特徴とする請求項3に記載の結膜充血の定量的評価方法。
【請求項5】
ビデオ取得命令に応答して、眼球の内側から外側へ又は外側から内側への運動のビデオを取得するビデオ取得モジュールと、
前記ビデオに対して眼部画像分割を行って眼部結膜画像を取得し、前記眼部結膜画像から各画素の赤色チャネル値及び青色チャネル値を抽出する特徴抽出モジュールと、
各画素の赤色チャネル値と青色チャネル値との比例値を計算して、結膜充血の百分率を決定する計算モジュールと、を含む、
ことを特徴とする結膜充血の定量的評価装置。
【請求項6】
前記特徴抽出モジュールは、
前記ビデオから、眼球が内側、外側への限界位置まで運動した第2眼位画像を抽出し、眼球が内側への限界位置まで運動した第2眼位画像と眼球が外側への限界位置まで運動した第2眼位画像とを組み合わせて前記眼部結膜画像を取得する画像処理サブモジュールを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の結膜充血の定量的評価装置。
【請求項7】
プロセッサによってロードされ、かつ請求項1~4のいずれか一項に記載の結膜充血の定量的評価方法を実行する少なくとも1つのプログラムコードが記憶される、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼部検出の技術分野に関し、特に、結膜充血の定量的評価方法、装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
結膜充血の程度は、医師が患者の眼部炎症を評価する際の重要な参考指標の1つである。臨床上、医師は、患者から1m以内で、人工経験で結膜充血の程度が軽度、中度、重度のいずれであるかを判断する必要がある。異なる医師の主観的意識により、軽度、中度、重度の判断について統一基準がなく、誤診、見逃しを引き起こしやすい。
【0003】
人工測定において正確度が人的要因により影響される問題が存在し、従来技術において、形状に依存する画像識別関連技術手段を提出した。中国特許CN111212594A(出願番号:CN201880066273.2、公開日:2020年5月29日)に記載されるように、カメラによって撮影された眼を含む画像を取得し、画像における1つ以上の血管を識別し、識別された1つ以上の血管のサイズに基づいて結膜充血の程度を決定する。また、従来技術において、眼部の赤色画素値の占める割合を利用して結膜充血の程度を検査する方法が開示されており、当該方法では、具体的には、高解像度の眼部画像を取得し、眼部画像をRGBから灰白に変換し、ガウシアンフィルタを利用して横方向と縦方向の勾配の差が大きい領域を見つけ、フィルタヒートマップで閾値を利用して充血部と非充血部を分割する。
【0004】
しかしながら、眼部の充血は、結膜充血であることが多く、該領域の充血は、拡散型であることが多いため、従来技術において形状に依存する識別方法を用いると、以下の欠点が存在する。1、血管の色の濃淡により影響されやすく、赤色の画素値を正確に抽出できないため、識別が不正確になり、2、人体の眼球構造の特徴により、まぶたと眼球との交差箇所に陰影があり、正確度に影響を与え、3、同一の光束が眼球に照射され、眼球が球面であるため、光線が不均一になるという状況が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術における結膜充血の程度の測定における精度が高くないという問題を解決するために、本発明は、結膜充血の定量的評価方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術手段を用いる。
【0007】
一態様では、本発明に係る結膜充血の定量的評価方法は、
眼球の内側から外側へ又は外側から内側への運動のビデオを取得するステップS1と、
前記ビデオに対して眼部画像分割を行って眼部結膜画像を取得し、前記眼部結膜画像から各画素の赤色チャネル値及び青色チャネル値を抽出するステップS2と、
各画素の赤色チャネル値と青色チャネル値との比例値により結膜充血の百分率を決定するステップS3と、を含む。
【0008】
さらに、前記ステップS2では、前記眼球が内側、外側への限界位置まで運動した第2眼位画像をそれぞれ取得し、眼球が内側への限界位置まで運動した第2眼位画像と眼球が外側への限界位置まで運動した第2眼位画像とを組み合わせて前記眼部結膜画像を取得する。
【0009】
さらに、前記ステップS3では、赤色チャネル値と青色チャネル値との比例値が閾値を超える画素点が充血部であると判断し、結膜充血の百分率は、充血部の画素点の面積が前記眼部結膜画像の結膜面積を占める百分率である。
【0010】
さらに、前記閾値は、予め設定された固定値であるか、又は手動で設定された値である。
【0011】
一態様では、本願に係る結膜充血の定量的評価装置は、
ビデオ取得命令に応答して、眼球の内側から外側へ又は外側から内側への運動のビデオを取得するビデオ取得モジュールと、
前記ビデオに対して眼部画像分割を行って眼部結膜画像を取得し、前記眼部結膜画像から各画素の赤色チャネル値及び青色チャネル値を抽出する特徴抽出モジュールと、
各画素の赤色チャネル値と青色チャネル値との比例値を計算して、結膜充血の百分率を決定する計算モジュールと、を含む。
【0012】
さらに、前記特徴抽出モジュールは、前記ビデオから、眼球が内側、外側への限界位置まで運動した第2眼位画像を抽出する画像抽出モジュールをさらに含む。
【0013】
一態様では、本発明に係るコンピュータ可読記憶媒体には、プロセッサによってロードされて実行されて、前述の第1態様における結膜充血の定量的評価方法を実現する少なくとも1つのプログラムコードが記憶される。
【発明の効果】
【0014】
従来技術に比べて、本発明は、少なくとも以下の有益な効果を有する。
【0015】
本発明では、眼球が内側、外側への限界位置まで運動した第2眼位画像によって眼部結膜画像を合成してから、画像の各画素から赤色チャネル値及び青色チャネル値を抽出し、充血部領域で反射された光が赤色光を主とし、強膜自体が赤及び青のいずれに対しても高い反射率を有するため、充血部がある箇所で、赤色チャネル値が青色チャネル値より顕著に高く、充血部がない箇所で、赤色チャネル値と青色チャネル値が同等であり、各画素の赤色チャネル値と青色チャネル値との比例値によって充血点を正確に決定して、結膜充血の百分率を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る結膜充血の定量的評価方法のフローチャートである。
図2】本発明に係る結膜充血の定量的評価原理のブロック図である。
図3】本発明に係る結膜充血の定量的評価ステップ図である。
図4】本発明に係る結膜充血の定量的評価装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面及び実施例を参照しながら、本発明の具体的な実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0018】
図1~3に示すように、結膜充血の定量的評価方法は、以下のステップS1~ステップS3を含む。
【0019】
ステップS1では、眼球の内側から外側へ又は外側から内側への運動のビデオを取得し、
具体的には、ステップS1では、眼部評価又は測定装置によってユーザの眼部、頭部を固定し、ユーザの眼部の前部に設けられたカメラによって眼球が内側から外側へ又は外側から内側へ水平方向に運動したビデオを撮影して取得し、指示ランプを用いてユーザの眼球の運動を指示してもよい。
【0020】
他の眼部機器又はビデオ収集機器によって必要な眼球運動のビデオを取得してもよい。
【0021】
ステップS2では、前記ビデオに対して眼部画像分割を行って眼部結膜画像を取得し、前記眼部結膜画像から各画素の赤色チャネル値及び青色チャネル値を抽出し、
具体的には、ステップS2では、ビデオに対して眼部画像分割を行うことにより眼球を除去した眼部結膜画像を取得することができ、具体的には、ビデオから眼球が内側、外側への限界位置まで運動した第2眼位画像をそれぞれ抽出し、抽出された眼球が内側への限界位置まで運動した第2眼位画像と眼球が外側への限界位置まで運動した第2眼位画像とを組み合わせて眼部結膜画像を取得することにより、眼球画像の影響のない眼部結膜画像を取得し、眼部結膜画像から各画素点の赤色チャネル値及び青色チャネル値を抽出する。
【0022】
なお、眼位とは、眼科検査における眼球の位置を指し、第1眼位、第2眼位、第3眼位に分けられる。第1眼位とは、両眼が水平面上で無限遠箇所を真っ直ぐ見ているときの眼位を指し、第2眼位とは、眼球が上、下、内、外側へ回転するときの眼位を指し、第3眼位とは、眼球が内上、内下、外上、外下へ斜めに回転するときの眼位、即ち鼻上、鼻下、側頭上、側頭下へ回転するときの眼位を指す。それに応じて、第1、第2、第3眼位画像は、それぞれ眼球が各眼位にあるときに撮影された画像を指す。
【0023】
ステップS3では、各画素の赤色チャネル値と青色チャネル値との比例値により結膜充血の百分率を決定する。
【0024】
前記ステップS3では、赤色チャネル値と青色チャネル値との比例値が閾値を超える画素点が充血部であると判断し、結膜充血の百分率は、充血部の画素点の面積が前記眼部結膜画像の結膜面積を占める百分率である。充血部領域で反射された光が赤色光を主とし、強膜自体が赤及び青のいずれに対しても高い反射率を有するため、充血部がある箇所で、赤色チャネル値が青色チャネル値より顕著に高く、充血部がない箇所で、赤色チャネル値と青色チャネル値が同等であるため、各画素の赤色チャネル値と青色チャネル値との比例値により結膜充血の百分率を決定する。具体的には、前記閾値は、予め設定された固定値であるか、又は手動で設定された値である。例えば、コンピュータにおいて閾値3を予め入力してもよく、赤色チャネル値と青色チャネル値との比例値が3を超える画素点が充血部であると判断し、ある画素点のRGB値がRGB(250、245、240)である場合、赤色チャネル値と青色チャネル値が同等であり、両者の比が1に近いと、この画素点は、充血部ではなく、強膜自体の白色であり、ある画素点のRGB値がRGB(250、20、15)である場合、赤色チャネル値と青色チャネル値との比例値が閾値3を超えると、この画素点が充血部であると判断する。閾値を予め入力する以外に、前記閾値は、医師、操作者などの技術者が経験に基づいて手動で設定した値であってもよい。
【0025】
図3は、結膜充血の定量的評価方法のステップ図をより具体的に示し、まず、ユーザがカメラの前で眼球の左右運動を制御し、ビデオで記録し、次に眼部画像分割を行い、眼部画像分割時に、眼球が内側、外側への限界位置まで運動した第2眼位画像をそれぞれ取得し、眼球が内側への限界位置まで運動した第2眼位画像と眼球が外側への限界位置まで運動した第2眼位画像とを組み合わせて眼部結膜画像を取得し、眼部結膜画像における各画素点の赤色チャネル値、青色チャネル値を抽出し、さらに各画素点の赤青チャネル画素値の比を取得し、かつ予め設定された閾値又は手動で設定された閾値に基づいて各画素点が充血部であるか否かを判断することにより、充血部の百分率を取得する。
【0026】
図4は、本発明の実施例に係る結膜充血の定量的評価装置40の概略構成図である。図4に示すように、当該装置は、ビデオ取得モジュール401と、特徴抽出モジュール402と、計算モジュール403と、を含む。
【0027】
ビデオ取得モジュール401は、ビデオ取得命令に応答して、眼球の内側から外側へ又は外側から内側への運動のビデオを取得する。可能な一実施形態では、ビデオ取得モジュールは、取得命令を受信する場合、起動するようにカメラ又は他の撮影機器を制御し、かつ音声機器又は照明装置を制御することにより、ユーザの眼球運動をガイドして、必要な眼部運動のビデオを取得することができる。
【0028】
特徴抽出モジュール402は、前記ビデオに対して眼部画像分割を行って眼部結膜画像を取得し、前記眼部結膜画像から各画素の赤色チャネル値及び青色チャネル値を抽出する。
【0029】
計算モジュール403は、各画素の赤色チャネル値と青色チャネル値との比例値を計算して、結膜充血の百分率を決定する。
【0030】
さらに、前記特徴抽出モジュールは、前記ビデオから、眼球が内側、外側への限界位置まで運動した第2眼位画像を抽出する画像抽出モジュールをさらに含む。
【0031】
例示的な実施例では、プロセッサによってロードされて実行されて、上記実施例における結膜充血の定量的評価方法を実現する少なくとも1つのプログラムコードが記憶されるメモリを含むコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。例えば、当該コンピュータ可読記憶媒体は、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(Compact Disc Read-Only Memory、CDROM)、磁気テープ、フロッピーディスク及び光データ記憶機器などであってもよい。
【0032】
当業者であれば、上記実施例のステップの全部又は一部の実現が、ハードウェアによって完了されてもよく、少なくとも1つのプログラムコードに関連するハードウェアによって完了されてもよく、当該プログラムがコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、上述した記憶媒体が読み取り専用メモリ、磁気ディスク又は光ディスクなどであってもよいと理解される。
【0033】
以上は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の構想及び原則内に行われた全ての修正、等価置換及び改善などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】