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特表2025-529890酸無水物エポキシ硬化物の分解方法、それで調製されたポリオール及び熱硬化性樹脂
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  • 特表-酸無水物エポキシ硬化物の分解方法、それで調製されたポリオール及び熱硬化性樹脂 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-09-09
(54)【発明の名称】酸無水物エポキシ硬化物の分解方法、それで調製されたポリオール及び熱硬化性樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/28 20060101AFI20250902BHJP
   C08J 11/24 20060101ALI20250902BHJP
   C07C 275/10 20060101ALI20250902BHJP
   C07C 233/19 20060101ALI20250902BHJP
   C07C 43/23 20060101ALI20250902BHJP
   C07C 43/13 20060101ALI20250902BHJP
   C08G 59/24 20060101ALI20250902BHJP
   C08G 59/48 20060101ALI20250902BHJP
   C08G 59/14 20060101ALI20250902BHJP
   C08G 63/181 20060101ALI20250902BHJP
   C08G 63/40 20060101ALI20250902BHJP
【FI】
C08J11/28
C08J11/24 ZAB
C07C275/10 CSP
C07C233/19
C07C43/23 D
C07C43/13 D
C08G59/24
C08G59/48
C08G59/14
C08G63/181
C08G63/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025511674
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2025-02-21
(86)【国際出願番号】 CN2022120750
(87)【国際公開番号】W WO2024060177
(87)【国際公開日】2024-03-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522336890
【氏名又は名称】上緯創新育成股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SWANCOR INNOVATION & INCUBATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】3F.,No.11,Gongye S.6th Rd.,Nantou City,Nantou County 540028,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100192603
【弁理士】
【氏名又は名称】網盛 俊
(72)【発明者】
【氏名】汪孟▲緯▼
(72)【発明者】
【氏名】曾建▲い▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼孟庭
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼智▲凱▼
【テーマコード(参考)】
4F401
4H006
4J029
4J036
【Fターム(参考)】
4F401AA21
4F401BA06
4F401CA67
4F401CA68
4F401DC01
4F401EA59
4F401EA67
4F401FA01Y
4F401FA06Y
4F401FA07Z
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB49
4H006BJ50
4H006BN10
4H006BP10
4H006BP30
4H006GP01
4H006GP03
4J029AA07
4J029AB01
4J029AB04
4J029AB07
4J029AC02
4J029AD02
4J029AD07
4J029AE01
4J029BA08
4J029BB05A
4J029BF09
4J029BH01
4J029CB04A
4J029DA10
4J029GA13
4J029HA01
4J029HB06
4J029KE03
4J029KE05
4J036AD08
4J036AD09
4J036AD11
4J036AD13
4J036AD20
4J036CB10
4J036CB12
4J036DB15
4J036JA15
(57)【要約】
【課題】本発明は、酸無水物エポキシ硬化物の分解方法、それで調製されたポリオール及び熱硬化性樹脂を提供する。
【解決手段】前記酸無水物エポキシ硬化物の分解方法は、酸無水物エポキシ硬化物とアルコールアミン化合物を混合して分解系を形成する混合工程であって、アルコールアミン化合物は、式(I)に示される構造を有し、式(I)における各符号は、明細書に定義される混合工程と、分解系を分解温度に加熱して、酸無水物エポキシ硬化物を分解してポリオールを形成する分解工程と、を含む。これによって、アルコールアミン化合物で加熱して酸無水物エポキシ硬化物を分解し、且つ得られた生成物であるポリオールは、不飽和ポリエステル樹脂の調製に適用され、循環回収の目的を達成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸無水物エポキシ硬化物とアルコールアミン化合物を混合して分解系を形成する混合工程であって、前記アルコールアミン化合物は、式(I)に示される構造を有し、
【化1】
は、それぞれ独立してメチル基又は水素原子であり、pは、0~6の整数である混合工程と、
前記分解系を分解温度に加熱して、前記酸無水物エポキシ硬化物を分解してポリオールを形成する分解工程と、
を含む酸無水物エポキシ硬化物の分解方法。
【請求項2】
式(II)に示されるエポキシ化合物又は/及び式(III)に示されるエポキシ化合物と、式(IV)に示される酸無水物化合物と、を反応させて、前記酸無水物エポキシ硬化物を合成する酸無水物エポキシ硬化物合成工程をさらに含み、
【化2】
Xは、それぞれ独立して炭素数1~12のアルキル鎖、式(A)又は式(B)に示される構造であり、
【化3】
は、それぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子であり、aは、0~4の整数であり、n及びqは、0~10の整数であり、
Yは、それぞれ独立して単結合、式(i)、式(ii)、式(iii)、式(iv)、式(v)、式(vi)、式(vii)、式(viii)、式(ix)又は式(x)に示される構造であり、
【化4】
及びXは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数6~12の芳香族基であり、
Zは、それぞれ独立して炭素数1~12のアルキル鎖、オルトフェニレン基、メタフェニレン基、パラフェニレン基、式(xi)又は式(xii)に示される構造であり、
【化5】
tは、1~6の整数であり、
Arは、単結合、二重結合、式(a)、式(b)、式(c)又は式(d)に示される構造である、
【化6】
請求項1に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法。
【請求項3】
前記分解温度は、80℃~180℃である請求項1に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法。
【請求項4】
前記分解温度は、100℃~150℃である請求項3に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法。
【請求項5】
前記分解工程において、前記分解系を前記分解温度に加熱した後、5分~600分の分解時間だけ維持する請求項1に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法。
【請求項6】
前記分解時間は、360分~480分である請求項5に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法。
【請求項7】
前記ポリオールは、式(V)、式(VI)、式(VII)及び式(VIII)に示される構造のうちの少なくとも1つを含む請求項1に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法。
【化7】
【請求項8】
前記アルコールアミン化合物と前記酸無水物エポキシ硬化物との重量比は、5:1~20:1である請求項1に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法。
【請求項9】
前記アルコールアミン化合物と前記酸無水物エポキシ硬化物との重量比は、10:1である請求項8に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法で調製されるポリオール。
【請求項11】
請求項10に記載のポリオールを樹脂反応物に添加して調製される熱硬化性樹脂。
【請求項12】
前記熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂である請求項11に記載の熱硬化性樹脂。
【請求項13】
前記樹脂反応物は、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ベンゾキノン、無水フタル酸、無水マレイン酸及びスチレンを含む請求項12に記載の熱硬化性樹脂。
【請求項14】
前記ポリオールの添加量は、前記樹脂反応物と前記ポリオールの合計含有量の1重量%~30重量%である請求項11に記載の熱硬化性樹脂。
【請求項15】
前記ポリオールの添加量は、前記樹脂反応物と前記ポリオールの合計含有量の5重量%~15重量%である請求項14に記載の熱硬化性樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化物の分解方法、特に酸無水物エポキシ硬化物の分解方法、それで調製されたポリオール及び熱硬化性樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性材料は、硬化前に樹脂加工性に優れた特性を有し、且つ架橋硬化後の優れた熱安定性、機械的強度及び耐薬品性などの利点を有しているため、様々な分野に広く応用されており、高強度と軽量化のニーズがある繊維複合材料によく用いられている。しかしながら、熱硬化性材料自体の再加工不可能性と良好な耐薬品性などの特性により、廃棄後の回収と再利用が困難になり、また、繊維複合材料の燃焼は、焼成設備の寿命を短縮しやすく、大量の廃棄物問題を引き起こすため、廃棄した熱硬化性材料をどのように処理するかは、現在の環境保護議題における重点となる改善目標である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、エポキシ樹脂は、熱硬化性樹脂の中で人気のある材料の1つであり、広い物理的性質設計空間を持っており、異なるタイプの硬化剤を組み合わせることによって様々な異なる成形条件と物理的性質需要に対応することができるが、様々な硬化剤とエポキシ硬化物を混合した後に安定した共有結合網状結合を形成するため、二次応用上で再加工や回収が困難になる。
【0004】
多くのタイプの硬化剤の中で、酸無水物は、硬化剤として従来の引抜き炭素繊維板複合材料の中でよく見られる組み合わせであり、架橋後にエステル系結合を生成し、エステル交換反応又は加水分解反応によって構造分解を行う可能性があり、最終的に複合材料の分解の目的を達成するが、この方法は、触媒が残留し、変換効率が悪いなどの問題がある。また、アルカリ触媒を用いて樹脂中のエステル結合の加水分解を促進することもあるが、この分解方法は、廃水を発生させ、環境に二次汚染をもたらす。
【0005】
これを鑑みて、循環経済の効果を達成することができるために、如何にエポキシ硬化物を分解する方法を見つけ、分解した生成物を回収して再利用するかは、関連業者の努力の目標となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの目的は、酸無水物エポキシ硬化物の分解方法及びそれで調製されたポリオールを提供することにあり、アルコールアミン化合物で酸無水物エポキシ硬化物を加熱して分解し、得られた生成物は、アミド又は尿素を含むポリオールである。
【0007】
本発明の別の目的は、熱硬化性樹脂を提供することにあり、酸無水物エポキシ硬化物を分解した生成物であるポリオールが熱硬化性樹脂の調製に適用され、循環回収の目的を達成することができる。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、酸無水物エポキシ硬化物とアルコールアミン化合物を混合して分解系を形成する混合工程であって、アルコールアミン化合物は、式(I)に示される構造を有し、
【化1】
は、それぞれ独立してメチル基又は水素原子であり、pは、0~6の整数である混合工程と、分解系を分解温度に加熱して、酸無水物エポキシ硬化物を分解してポリオールを形成する分解工程と、を含む酸無水物エポキシ硬化物の分解方法を提供する。
【0009】
前の段落に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法によれば、式(II)に示されるエポキシ化合物又は/及び式(III)に示されるエポキシ化合物と、式(IV)に示される酸無水物化合物と、を反応させて、酸無水物エポキシ硬化物を合成する酸無水物エポキシ硬化物合成工程をさらに含んでもよい。
【化2】
【0010】
Xは、それぞれ独立して炭素数1~12のアルキル鎖、式(A)又は式(B)に示される構造であり、
【化3】
は、それぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子であり、aは、0~4の整数であり、n及びqは、0~10の整数であり、Yは、それぞれ独立して単結合、式(i)、式(ii)、式(iii)、式(iv)、式(v)、式(vi)、式(vii)、式(viii)、式(ix)又は式(x)に示される構造であり、
【化4】
及びXは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数6~12の芳香族基であり、Zは、それぞれ独立して炭素数1~12のアルキル鎖、オルトフェニレン基、メタフェニレン基、パラフェニレン基、式(xi)又は式(xii)に示される構造であり、
【化5】
tは、1~6の整数であり、Arは、単結合、二重結合、式(a)、式(b)、式(c)又は式(d)に示される構造である。
【化6】
【0011】
前の段落に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法によれば、分解温度は、80℃~180℃であってもよい。
【0012】
前の段落に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法によれば、分解温度は、100℃~150℃であってもよい。
【0013】
前の段落に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法によれば、分解工程において、分解系を分解温度に加熱した後、5分~600分であってもよい分解時間だけ維持する。
【0014】
前の段落に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法によれば、分解時間は、360分~480分であってもよい。
【0015】
前の段落に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法によれば、ポリオールは、式(V)、式(VI)、式(VII)及び式(VIII)に示される構造のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【化7】
【0016】
前の段落に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法によれば、アルコールアミン化合物と酸無水物エポキシ硬化物との重量比は、5:1~20:1であってもよい。
【0017】
前の段落に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法によれば、アルコールアミン化合物と酸無水物エポキシ硬化物との重量比は、10:1であってもよい。
【0018】
本発明の別の実施形態は、前記酸無水物エポキシ硬化物の分解方法で調製されたポリオールを提供する。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態は、前記ポリオールを樹脂反応物に添加して調製された熱硬化性樹脂を提供する。
【0020】
前の段落に記載の熱硬化性樹脂によれば、熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂であってもよい。
【0021】
前の段落に記載の熱硬化性樹脂によれば、樹脂反応物は、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ベンゾキノン、無水フタル酸、無水マレイン酸及びスチレンを含んでもよい。
【0022】
前の段落に記載の熱硬化性樹脂によれば、ポリオールの添加量は、樹脂反応物とポリオールの合計含有量の1重量%~30重量%であってもよい。
【0023】
前の段落に記載の熱硬化性樹脂によれば、ポリオールの添加量は、樹脂反応物とポリオールの合計含有量の5重量%~15重量%であってもよい。
【発明の効果】
【0024】
これによって、本発明の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法は、主にアルコールアミン化合物で加熱して酸無水物エポキシ硬化物を溶解して、アミド又は尿素構造を有するポリオールを得、熱硬化性樹脂の調製に適用し、循環回収の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の上記及び他の目的、特徴、利点及び実施例をより明確且つ理解しやすくするために、図面を以下のように説明する。
図1】本発明の一実施形態による酸無水物エポキシ硬化物の分解方法の工程フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の各実施形態をより詳細に検討する。しかしながら、この実施形態は様々な発明概念の応用であり、様々な異なる特定の範囲内で具体的に実行することができる。特定の実施形態は、説明のみを目的とし、開示される範囲に限定されない。
【0027】
本発明では、化合物構造を骨格式(skeleton formula)で表すことがあり、このような表示法は炭素原子、水素原子及び炭化水素結合を省略することができる。もし、構造式に官能基が明確に描かれているものがあれば、図面を基準とする。
【0028】
本発明では、「アルコールアミン化合物は、式(I)に示される構造を有する」は、簡潔さとスムーズさのために、式(I)に示されるアルコールアミン化合物又はアルコールアミン化合物(I)と表現されることがあり、その他の化合物又は基の表示方式は、以下のようにして類推する。
【0029】
<酸無水物エポキシ硬化物の分解方法>
本発明の一実施形態による酸無水物エポキシ硬化物の分解方法100の工程フローチャートである図1を併せて参照されたい。図1では、酸無水物エポキシ硬化物の分解方法100は、工程110及び工程120を含む。
【0030】
工程110は、酸無水物エポキシ硬化物とアルコールアミン化合物を混合して分解系を形成する混合工程であり、且つアルコールアミン化合物は、式(I)に示される構造を有し、
【化8】
は、それぞれ独立してメチル基又は水素原子であり、pは、0~6の整数である。
【0031】
工程120は、分解系を分解温度に加熱して、酸無水物エポキシ硬化物を分解してポリオールを形成する分解工程であり、分解温度は、80℃~180℃であってもよく、好適には、100℃~150℃であってもよい。詳細には、分解系を分解温度に加熱した後、分解時間だけ維持することができ、5分~600分であってもよく、好適には、360分~480分であってもよい。
【0032】
また、本発明の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法100は、混合工程の前、式(II)に示されるエポキシ化合物又は/及び式(III)に示されるエポキシ化合物と、式(IV)に示される酸無水物化合物と、を反応させて、酸無水物エポキシ硬化物を合成する酸無水物エポキシ硬化物合成工程をさらに含んでもよい。
【化9】
【0033】
Xは、それぞれ独立して炭素数1~12のアルキル鎖、式(A)又は式(B)に示される構造であり、
【化10】
は、それぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子であり、aは、0~4の整数であり、n及びqは、0~10の整数である。Yは、それぞれ独立して単結合、式(i)、式(ii)、式(iii)、式(iv)、式(v)、式(vi)、式(vii)、式(viii)、式(ix)又は式(x)に示される構造であり、
【化11】
及びXは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数6~12の芳香族基である。Zは、それぞれ独立して炭素数1~12のアルキル鎖、オルトフェニレン基、メタフェニレン基、パラフェニレン基、式(xi)又は式(xii)に示される構造であり、
【化12】
tは、1~6の整数である。Arは、単結合、二重結合、式(a)、式(b)、式(c)又は式(d)に示される構造であり、
【化13】
詳細には、本発明は、式(II)に示されるエポキシ化合物又は式(III)に示されるエポキシ化合物又は式(II)及び式(III)を混合したエポキシ化合物と、式(IV)に示される酸無水物化合物と、を硬化反応させて、酸無水物エポキシ硬化物を形成し、式(I)に示されるアルコールアミン化合物とを加熱して分解反応させ、分解後に得られたポリオールは、式(V)、式(VI)、式(VII)及び式(VIII)に示される構造のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0034】
【化14】
X、Ar、R及びpの定義については上記を参照することとし、ここでは説明しない。また、アルコールアミン化合物と酸無水物エポキシ硬化物との重量比は、5:1~20:1であってもよく、好適には、10:1である。
【0035】
具体的に、式(II)に示されるエポキシ化合物から合成された酸無水物エポキシ硬化物は、分解後、式(V)、式(VI)及び式(VII)に示されるものを含むポリオールを形成することができ、式(III)に示されるエポキシ化合物から合成された酸無水物エポキシ硬化物は、分解後、式(VI)及び式(VIII)に示されるものを含むポリオールを形成することができ、式(II)及び式(III)を混合したエポキシ化合物から合成された酸無水物エポキシ硬化物は、分解後、式(V)、式(VI)、式(VII)及び式(VIII)に示されるものを含むポリオールを形成することができる。
【0036】
例えば、式(II)及び式(III)に示されるエポキシ化合物では、Xが式(A)に示される構造であり、nとaが0であり、Yが式(i)に示される構造及びXとXがメチル基である場合、エポキシ化合物は、式(II-a)及び式(III-a)に示される構造を有する。
【化15】
【0037】
また、式(IV)に示される酸無水物化合物では、Arが式(d)に示される構造である場合、酸無水物化合物は、メチルヘキサヒドロ無水物(MHHPA)であり、式(I)に示されるアルコールアミン化合物では、Rが水素原子であり、pが0である場合、アルコールアミン化合物は、エタノールアミンである。これによって、式(II-a)及び式(III-a)に示されるエポキシ化合物とメチルヘキサヒドロ無水物から合成された酸無水物エポキシ硬化物をエタノールアミンで分解した後、式(V-a)、式(VI-a)、式(VII-a)及び式(VIII-a)に示されるものを含むポリオールを得ることができる。
【化16】
【0038】
また、式(III)に示されるエポキシ化合物では、Xが式(B)に示される構造であり、qが0であり、Zが炭素数4のアルキル鎖である場合、エポキシ化合物は、式(III-b)に示される構造を有する。
【化17】
【0039】
これによって、式(III-b)に示されるエポキシ化合物とメチルヘキサヒドロ無水物から合成された酸無水物エポキシ硬化物をエタノールアミンで分解した後、上記式(VI-a)及び式(VIII-b)に示されるものを含むポリオールを得ることができる。
【化18】
【0040】
本発明は、前述酸無水物エポキシ硬化物の分解方法100によって、酸無水物エポキシ硬化物とアルコールアミン化合物の混合物を加熱して分解することにより得られた、式(V)、式(VI)、式(VII)及び式(VIII)に示される構造のうちの少なくとも1つを含む、アミド又は尿素構造を含むポリオールをさらに提供する。
【0041】
<熱硬化性樹脂>
本発明は、前述酸無水物エポキシ硬化物の分解方法100で調製されたポリオールを樹脂反応物に添加して調製された熱硬化性樹脂をさらに提供する。具体的に、ポリオールの添加量は、樹脂の基本的な物理的性質に影響を与えないために、樹脂反応物とポリオールの合計含有量の1重量%~30重量%であってもよく、好適には、5重量%~15重量%であってもよい。ポリオールの詳細については上記を参照することとし、ここでは詳しく説明しない。また、本発明の熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂であってもよいため、前述樹脂反応物は、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ベンゾキノン、無水フタル酸、無水マレイン酸及びスチレンを含んでもよいが、前述熱硬化性樹脂の種類及びその樹脂反応物は、この開示内容に限定されず、必要に応じて異なる樹脂反応物を用いて本発明の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法100で得られたポリオールと硬化させて所望の熱硬化性樹脂を形成することができる。これによって、本発明の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法100で得られたポリオールは、熱硬化性樹脂に適用され、循環回収の目的を達成することができる。
【0042】
当業者に有利になるために、本発明を以下の具体的な実施例を用いてさらに例示し、過度な解読を必要とせずに本発明を完全に利用し、実施することができ、これらの実施例を本発明の範囲を制限するものと見なすべきではないが、本発明をどのように実施する材料及び方法を説明するために使用する。
【実施例
【0043】
<実施例/比較例>
<分解酸無水物エポキシ硬化物>
実施例1:式(II-a)及び式(III-a)からなるエポキシ樹脂混合物とメチルヘキサヒドロ無水物とを硬化して得られた酸無水物エポキシ硬化物をエタノールアミンで150℃に加熱し、エタノールアミンの使用量は、酸無水物エポキシ硬化物の10倍の重量比であり、反応時間は、6時間であった。そして、酸無水物エポキシ硬化物を完全に溶解した後、減圧濃縮を行ってエタノールアミンを抽出し、最終的に式(V-a)、式(VI-a)、式(VII-a)及び式(VIII-a)に示されるものを含むポリオール(活性水素当量HEW=147.98g/eq)を得ることができた。
【0044】
実施例2:式(III-b)に示されるエポキシ化合物とメチルヘキサヒドロ無水物とを硬化して得られた酸無水物エポキシ硬化物をエタノールアミンで150℃に加熱し、エタノールアミンの使用量は、酸無水物エポキシ硬化物の10倍の重量比であり、反応時間は、6時間であった。そして、酸無水物エポキシ硬化物を完全に溶解した後、減圧濃縮を行ってエタノールアミンを抽出し、最終的に式(VI-a)及び式(VIII-b)に示されるものを含むポリオール(活性水素当量HEW=103.12g/eq)を得ることができた。
【0045】
比較例1:市販のo-クレゾールノボラックエポキシ樹脂(o-cresol novolac epoxy resin、長春樹脂から購入、商品コードCNE220)とメチルヘキサヒドロ無水物とを硬化して得られた酸無水物エポキシ硬化物をエタノールアミンで150℃に加熱し、エタノールアミンの使用量は、酸無水物エポキシ硬化物の10倍の重量比であり、反応時間は、6時間であり、この時、酸無水物エポキシ硬化物は完全に溶解していなかった。
【0046】
比較例2:式(II-a)及び式(III-a)からなるエポキシ樹脂混合物とメチルヘキサヒドロ無水物とを硬化して得られた酸無水物エポキシ硬化物にエチレングリコールとチタンn-ブトキシド(Ti(OBu))をエステル交換触媒として添加し、150℃に加熱し、エチレングリコールの使用量は、酸無水物エポキシ硬化物の10倍の重量比であり、反応時間は、6時間であり、このとき、酸無水物エポキシ硬化物は完全に溶解していなかった。
【0047】
比較例3:式(II-a)及び式(III-a)からなるエポキシ樹脂混合物とメチルヘキサヒドロ無水物とを硬化して得られた酸無水物エポキシ硬化物に、エチレングリコールと3-ピコリン(3-picoline)を添加し、150℃に加熱し、エチレングリコールの使用量は、酸無水物エポキシ硬化物の10倍の重量比であり、反応時間は、6時間であり、このとき、酸無水物エポキシ硬化物は完全に溶解していなかった。
【0048】
本願の実施例1~実施例2及び比較例1~比較例3が6時間反応した後の残存重量(%)を以下の表1にリストした。
【0049】
【表1】
【0050】
表1の結果から分かるように、実施例1及び実施例2では、それぞれ異なる構造の線形エポキシ化合物を硬化して酸無水物エポキシ硬化物を形成し、アルコールアミン化合物で加熱分解し、すべて150℃で完全に分解でき、非常に優れた分解効果があった。しかしながら、比較例1に示すように、線形エポキシ化合物を非線形の多官能エポキシ樹脂CNEに置換し、アルコールアミン化合物で加熱処理すると、全分解生成物が得られず、後の応用が困難になった。また、酸無水物エポキシ硬化物をアルコール系混合物に分解しようとすると、本発明によるアルコールアミン化合物で加熱する以外に、理論的にはジアルコールによるエステル交換反応によっても目的を達成することができるが、表1の結果に示すように、比較例2及び比較例3では、エチレングリコールとアルカリ触媒又はエステル交換触媒とを組み合わせて使用して、150℃で6時間処理した後、その酸無水物エポキシ硬化物はいずれも明らかな分解効果がなく、本発明においてアルコールアミン化合物を用いて酸無水物エポキシ硬化物の分解を行う利点を明らかにすることができた。
【0051】
<不飽和ポリエステル樹脂の調製>
実施例3:実施例1で得られた160.82グラムのポリオールと、59.05グラムのプロピレングリコールと、29.11グラムのジエチレングリコールと、0.052グラムのベンゾキノンと、110グラムの無水フタル酸と、82.83グラムの無水マレイン酸と、を混合し、100℃に昇温して10分間撹拌して、210℃に昇温し蒸留(減圧蒸留)して過剰のアルコールアミン化合物を除去し、前述ポリオールと、プロピレングリコールと、ジエチレングリコールと、ベンゾキノンと、無水フタル酸と、無水マレイン酸と、を混合して8時間反応させた後に、酸価が35mgKOH/gよりも小さいと検出し、214.99グラムのスチレンを添加して希釈して、実施例3の不飽和ポリエステル樹脂を得た。
【0052】
実施例4:実施例1で得られた67.64グラムのポリオールと、63.05グラムのプロピレングリコールと、31.52グラムのジエチレングリコールと、0.052グラムのベンゾキノンと、110グラムの無水フタル酸と、82.83グラムの無水マレイン酸と、を混合し、100℃に昇温して10分撹拌して、210℃に昇温し蒸留(減圧蒸留)して過剰のアルコールアミン化合物を除去し、前述ポリオールと、プロピレングリコールと、ジエチレングリコールと、ベンゾキノンと、無水フタル酸と、無水マレイン酸と、を混合して8時間反応させた後に、酸価が35mgKOH/gよりも小さいと検出し、214.99グラムのスチレンを添加して希釈して、実施例4の不飽和ポリエステル樹脂を得た。
【0053】
比較例4:実施例1で得られた201.06グラムのポリオールと、12.94グラムのプロピレングリコールと、6.47グラムのジエチレングリコールと、0.052グラムのベンゾキノンと、110グラムの無水フタル酸と、82.83グラムの無水マレイン酸と、を混合し、100℃に昇温して10分撹拌して、210℃に昇温し蒸留(減圧蒸留)して過剰のアルコールアミン化合物を除去し、前述ポリオールと、プロピレングリコールと、ジエチレングリコールと、ベンゾキノンと、無水フタル酸と、無水マレイン酸と、を混合し、8時間反応させた後に、酸価が35mgKOH/gよりも小さいと検出し、214.99グラムのスチレン希釈を添加して、比較例4の不飽和ポリエステル樹脂を得た。
【0054】
比較例5:88.94グラムのプロピレングリコールと、44.47グラムのジエチレングリコールと、0.052グラムのベンゾキノンと、110グラムの無水フタル酸と、82.83グラムの無水マレイン酸と、を混合し、100℃に昇温して10分撹拌して、210℃に昇温して蒸留し、8時間反応させた後に、酸価が35mgKOH/gよりも小さいと検出し、214.99グラムのスチレンを添加して希釈して、比較例5の不飽和ポリエステル樹脂を得た。
【0055】
また、実施例3、実施例4及び比較例4、比較例5の不飽和ポリエステル樹脂のそれぞれに1phrの過酸化物MEKPOと1phrのオクタン酸コバルトを添加し、均一に撹拌した後に、金型に注ぎ、室温下で12時間硬化した後、80℃で4時間硬化させて、後の物理的性質の評価を行った。
【0056】
<熱特性評価>
実施例3、実施例4及び比較例4、比較例5に熱特性を評価し、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter、DSC)を用いて10℃/minの昇温速度でガラス転移温度(T)を測定し、T(℃)測定結果を以下の表2にリストした。
【0057】
【表2】
【0058】
表2の結果から分かるように、実施例3及び実施例4のポリオールは、添加割合が30重量%よりも小さく、示される物理的性質が、ポリオールが添加されていない比較例5と類似しており、業界応用規範(ガラス転移温度が60℃より大きい)に適合することができ、比較例4のポリオールは、添加割合が30重量%より大きく、その物理的性質が大幅に低下し、耐熱性が業界ニーズに適合できなかった。
【0059】
以上のように、本発明では、線形エポキシ化合物構造と酸無水物化合物を硬化して得られた酸無水物エポキシ硬化物をアルコールアミン化合物で加熱して分解し、且つ分解して得られたポリオールを不飽和ポリエステル樹脂合成に導入することが可能であり、水洗精製することなく後の不飽和ポリエステル樹脂合成の原料とすることができる。また、分解物の原料は、酸無水物エポキシ硬化物を回収することから得られ、工業コスト面で有利であり、樹脂の回収再利用にもかなり貢献している。
【0060】
本発明は上記のように実施形態で開示されているが、上記した実施形態は本発明を限定するために使用されるものではなく、いかなる当業者の誰でも、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、種々の変更及び修飾を行うことができるので、本発明の保護範囲は請求項に規定されたものを基準とすべきである。
【符号の説明】
【0061】
100:酸無水物エポキシ硬化物の分解方法
110、120:工程
図1
【手続補正書】
【提出日】2025-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)に示されるエポキシ化合物又は/及び式(III)に示されるエポキシ化合物と、式(IV)に示される酸無水物化合物と、を反応させて、酸無水物エポキシ硬化物を合成する酸無水物エポキシ硬化物合成工程であって、
【化1】
Xは、それぞれ独立して炭素数1~12のアルキル鎖、式(A)又は式(B)に示される構造であり、
【化2】
は、それぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子であり、aは、0~4の整数であり、n及びqは、0~10の整数であり、
Yは、それぞれ独立して単結合、式(i)、式(ii)、式(iii)、式(iv)、式(v)、式(vi)、式(vii)、式(viii)、式(ix)又は式(x)に示される構造であり、
【化3】
及びX は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数6~12の芳香族基であり、
Zは、それぞれ独立して炭素数1~12のアルキル鎖、オルトフェニレン基、メタフェニレン基、パラフェニレン基、式(xi)又は式(xii)に示される構造であり、
【化4】
tは、1~6の整数であり、
Arは、式(a)、式(b)、式(c)又は式(d)に示される構造である酸無水物エポキシ硬化物合成工程と、
【化5】
前記酸無水物エポキシ硬化物とアルコールアミン化合物を混合して分解系を形成する混合工程であって、前記アルコールアミン化合物は、式(I)に示される構造を有し、
【化6】
は、それぞれ独立してメチル基又は水素原子であり、pは、0~6の整数であり、且つ前記アルコールアミン化合物と前記酸無水物エポキシ硬化物との重量比は、5:1~20:1である混合工程と、
前記分解系を分解温度に加熱して、前記酸無水物エポキシ硬化物を分解してポリオールを形成する分解工程と、
を含む酸無水物エポキシ硬化物の分解方法。
【請求項2】
前記分解温度は、80℃~180℃である請求項1に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法。
【請求項3】
前記分解温度は、100℃~150℃である請求項に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法。
【請求項4】
前記分解工程において、前記分解系を前記分解温度に加熱した後、5分~600分の分解時間だけ維持する請求項1に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法。
【請求項5】
前記分解時間は、360分~480分である請求項に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法。
【請求項6】
前記ポリオールは、式(V)、式(VI)、式(VII)及び式(VIII)に示される構造のうちの少なくともつを含む請求項1に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法。
【化7】
は、それぞれ独立してメチル基又は水素原子であり、pは、0~6の整数である。
【請求項7】
前記アルコールアミン化合物と前記酸無水物エポキシ硬化物との重量比は、10:1である請求項に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法。
【請求項8】
式(V)、式(VI)、式(VII)及び式(VIII)に示される構造のうちの少なくとも2つを含み、
【化8】
は、それぞれ独立してメチル基又は水素原子であり、pは、0~6の整数であり、
Xは、それぞれ独立して炭素数1~12のアルキル鎖、式(A)又は式(B)に示される構造であり、
【化9】
は、それぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子であり、aは、0~4の整数であり、n及びqは、0~10の整数であり、
Yは、それぞれ独立して単結合、式(i)、式(ii)、式(iii)、式(iv)、式(v)、式(vi)、式(vii)、式(viii)、式(ix)又は式(x)に示される構造であり、
【化10】
及びX は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数6~12の芳香族基であり、
Zは、それぞれ独立して炭素数1~12のアルキル鎖、オルトフェニレン基、メタフェニレン基、パラフェニレン基、式(xi)又は式(xii)に示される構造であり、
【化11】
tは、1~6の整数であり、
Arは、式(a)、式(b)、式(c)又は式(d)に示される構造である、
【化12】
ポリオール。
【請求項9】
請求項に記載のポリオールを樹脂反応物に添加して調製され、前記ポリオールの添加量は、前記樹脂反応物と前記ポリオールの合計含有量の1重量%~30重量%である熱硬化性樹脂。
【請求項10】
前記熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂である請求項に記載の熱硬化性樹脂。
【請求項11】
前記樹脂反応物は、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ベンゾキノン、無水フタル酸、無水マレイン酸及びスチレンを含む請求項10に記載の熱硬化性樹脂。
【請求項12】
前記ポリオールの添加量は、前記樹脂反応物と前記ポリオールの合計含有量の重量%~15重量%である請求項に記載の熱硬化性樹脂。
【請求項13】
酸無水物エポキシ硬化物とアルコールアミン化合物を混合して分解系を形成する混合工程であって、前記アルコールアミン化合物は、式(I)に示される構造を有し、
【化13】
は、それぞれ独立してメチル基又は水素原子であり、pは、0~6の整数であり、且つ前記アルコールアミン化合物と前記酸無水物エポキシ硬化物との重量比は、5:1~20:1であり、
前記酸無水物エポキシ硬化物は、線形エポキシ化合物と酸無水物化合物から合成された混合工程と、
前記分解系を分解温度に加熱して、前記酸無水物エポキシ硬化物を分解してポリオールを形成する分解工程と、
を含む酸無水物エポキシ硬化物の分解方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、式(II)に示されるエポキシ化合物又は/及び式(III)に示されるエポキシ化合物と、式(IV)に示される酸無水物化合物と、を反応させて、酸無水物エポキシ硬化物を合成する酸無水物エポキシ硬化物合成工程であって、
【化14】
Xは、それぞれ独立して炭素数1~12のアルキル鎖、式(A)又は式(B)に示される構造であり、
【化15】
は、それぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子であり、aは、0~4の整数であり、n及びqは、0~10の整数であり、Yは、それぞれ独立して単結合、式(i)、式(ii)、式(iii)、式(iv)、式(v)、式(vi)、式(vii)、式(viii)、式(ix)又は式(x)に示される構造であり、
【化16】
及びX は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数6~12の芳香族基であり、Zは、それぞれ独立して炭素数1~12のアルキル鎖、オルトフェニレン基、メタフェニレン基、パラフェニレン基、式(xi)又は式(xii)に示される構造であり、
【化17】
tは、1~6の整数であり、Arは、式(a)、式(b)、式(c)又は式(d)に示される構造である酸無水物エポキシ硬化物合成工程と、
【化18】
酸無水物エポキシ硬化物とアルコールアミン化合物を混合して分解系を形成する混合工程であって、前記アルコールアミン化合物は、式(I)に示される構造を有し、
【化19】
は、それぞれ独立してメチル基又は水素原子であり、pは、0~6の整数であり、且つアルコールアミン化合物と酸無水物エポキシ硬化物との重量比は、5:1~20:1である混合工程と、分解系を分解温度に加熱して、酸無水物エポキシ硬化物を分解してポリオールを形成する分解工程と、を含む酸無水物エポキシ硬化物の分解方法を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
前の段落に記載の酸無水物エポキシ硬化物の分解方法によれば、ポリオールは、式(V)、式(VI)、式(VII)及び式(VIII)に示される構造のうちの少なくともつを含んでもよい。
【化20】
は、それぞれ独立してメチル基又は水素原子であり、pは、0~6の整数である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明の別の実施形態は、ポリオールを提供し、ポリオールは、式(V)、式(VI)、式(VII)及び式(VIII)に示される構造のうちの少なくとも2つを含んでもよい。
【化21】
は、それぞれ独立してメチル基又は水素原子であり、pは、0~6の整数であり、
Xは、それぞれ独立して炭素数1~12のアルキル鎖、式(A)又は式(B)に示される構造であり、
【化22】
は、それぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子であり、aは、0~4の整数であり、n及びqは、0~10の整数であり、
Yは、それぞれ独立して単結合、式(i)、式(ii)、式(iii)、式(iv)、式(v)、式(vi)、式(vii)、式(viii)、式(ix)又は式(x)に示される構造であり、
【化23】
及びX は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数6~12の芳香族基であり、
Zは、それぞれ独立して炭素数1~12のアルキル鎖、オルトフェニレン基、メタフェニレン基、パラフェニレン基、式(xi)又は式(xii)に示される構造であり、
【化24】
tは、1~6の整数であり、
Arは、式(a)、式(b)、式(c)又は式(d)に示される構造である、
【化25】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明のさらに別の実施形態は、前記ポリオールを樹脂反応物に添加して調製された熱硬化性樹脂を提供し、ポリオールの添加量は、樹脂反応物とポリオールの合計含有量の1重量%~30重量%であってよい
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
前の段落に記載の熱硬化性樹脂によれば、ポリオールの添加量は、樹脂反応物とポリオールの合計含有量の5重量%~15重量%であってもよい。
本発明の更に1つの実施形態によれば、酸無水物エポキシ硬化物とアルコールアミン化合物を混合して分解系を形成する混合工程であって、アルコールアミン化合物は、式(I)に示される構造を有し、
【化26】
は、それぞれ独立してメチル基又は水素原子であり、pは、0~6の整数であり、且つアルコールアミン化合物と酸無水物エポキシ硬化物との重量比は、5:1~20:1であり、酸無水物エポキシ硬化物は、線形エポキシ化合物と酸無水物化合物から合成された混合工程と、分解系を分解温度に加熱して、酸無水物エポキシ硬化物を分解してポリオールを形成する分解工程と、を含む酸無水物エポキシ硬化物の分解方法を提供する。
【国際調査報告】